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JP2003012952A - フタロシアニン色素の製造方法、フタロシアニン色素、着色組成物、インク、インクジェット記録用インク、インクジェット記録用インクセット、インクジェット記録方法、容器 - Google Patents

フタロシアニン色素の製造方法、フタロシアニン色素、着色組成物、インク、インクジェット記録用インク、インクジェット記録用インクセット、インクジェット記録方法、容器

Info

Publication number
JP2003012952A
JP2003012952A JP2001193638A JP2001193638A JP2003012952A JP 2003012952 A JP2003012952 A JP 2003012952A JP 2001193638 A JP2001193638 A JP 2001193638A JP 2001193638 A JP2001193638 A JP 2001193638A JP 2003012952 A JP2003012952 A JP 2003012952A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ink
jet recording
group
ink jet
dye
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001193638A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoshiharu Yabuki
嘉治 矢吹
Keiichi Tateishi
桂一 立石
Masaki Noro
正樹 野呂
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Photo Film Co Ltd filed Critical Fuji Photo Film Co Ltd
Priority to JP2001193638A priority Critical patent/JP2003012952A/ja
Publication of JP2003012952A publication Critical patent/JP2003012952A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Nitrogen And Oxygen Or Sulfur-Condensed Heterocyclic Ring Systems (AREA)
  • Inks, Pencil-Leads, Or Crayons (AREA)
  • Ink Jet (AREA)
  • Ink Jet Recording Methods And Recording Media Thereof (AREA)
  • Nitrogen Condensed Heterocyclic Rings (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶解性に優れた新規なフタロシアニン色素の
製造方法及びフタロシアニン色素、該フタロシアニン色
素を含む着色組成物を提供する。更に、様々な環境条件
下においても記録安定性の高い、インク、インクジェッ
ト記録用インク、インクジェット記録用インクセット、
インクジェット記録方法、及び容器を提供する。 【解決手段】 溶解性基又はその前駆体が異なるフタロ
ニトリル、および、溶解性基又はその前駆体が異なるフ
タル酸誘導体から選ばれる少なくとも2種類と、金属誘
導体と、を反応させて得たフタロシアニン色素を製造す
ることを特徴とするフタロシアニン色素の製造方法、及
び該製造方法により得られたフタロシアニン色素、更に
該フタロシアニン色素を含む着色組成物、該着色組成物
を含むインク及びインクジェット記録用インク、インク
ジェット記録用インクセット、インクジェット記録方
法、容器。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶解性が改良さ
れ、堅牢性に優れたフタロシアニン色素、及びその製造
方法、前記フタロシアニン色素を含有する着色組成物、
該着色組成物を含むインク、インクジェット記録用イン
ク、インクジェット記録用インクセット、インクジェッ
ト記録方法、容器に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、画像記録材料としては、特にカラ
ー画像を形成するための材料が主流であり、具体的に
は、インクジェット方式の記録材料、感熱転写方式の記
録材料、電子写真方式の記録材料、転写式ハロゲン化銀
感光材料、印刷インク、記録ペン等が盛んに利用されて
いる。また、撮影機器ではCCDなどの撮像素子におい
て、ディスプレーではLCDやPDPにおいて、カラー
画像を記録・再現するためにカラーフィルターが使用さ
れている。これらのカラー画像記録材料やカラーフィル
ターでは、フルカラー画像を再現あるいは記録する為
に、いわゆる加法混色法や減法混色法の3原色の色素
(染料や顔料)が使用されているが、好ましい色再現域
を実現出来る吸収特性を有し、且つさまざまな使用条
件、環境条件に耐えうる堅牢で溶解性の良い色素がなか
なかないのが実状であり、改善が強く望まれている。
【0003】インクジェット記録方法は、材料費が安価
であること、高速記録が可能なこと、記録時の騒音が少
ないこと、更にカラー記録が容易であることから、急速
に普及し、更に発展しつつある。インクジェット記録方
法には、連続的に液滴を飛翔させるコンティニュアス方
式と画像情報信号に応じて液滴を飛翔させるオンデマン
ド方式が有り、その吐出方式にはピエゾ素子により圧力
を加えて液滴を吐出させる方式、熱によりインク中に気
泡を発生させて液滴を吐出させる方式、超音波を用いた
方式、あるいは静電力により液滴を吸引吐出させる方式
がある。また、インクジェット記録用インクとしては、
水性インク、油性インク、あるいは固体(溶融型)イン
クが用いられる。
【0004】このようなインクジェット記録用インクに
用いられる色素に対しては、溶剤に対する溶解性あるい
は分散性が良好なこと、高濃度記録が可能であること、
色相が良好であること、光、熱、環境中の活性ガス(N
Ox、オゾン等の酸化性ガスの他SOxなど)に対して
堅牢であること、水や薬品に対する堅牢性に優れている
こと、受像材料に対して定着性が良く滲みにくいこと、
インクとしての保存性に優れていること、毒性がないこ
と、純度が高いこと、更には、安価に入手できることが
要求されている。しかしながら、これらの要求を高いレ
ベルで満たす色素を捜し求めることは、極めて難しい。
特に、良好なシアン色相を有し、光,湿度,熱に対して
堅牢であること、中でも多孔質の白色無機顔料粒子を含
有するインク受容層を有する受像材料上に印字する際に
は、環境中のオゾンなどの酸化性ガスに対して堅牢であ
ることが強く望まれている。
【0005】このようなインクジェット記録用インクに
用いられるシアンの色素骨格としてはフタロシアニン
系、アントラキノン系、トリフェニルメタン系などがあ
り、フタロシアニン系が代表的である。
【0006】最も広範囲に報告され、利用されている代
表的なフタロシアニン色素は、以下の〜で分類され
るフタロシアニン誘導体が挙げられる。 Direct Blue 86又はDirect B
lue 87のような銅フタロシアニン色素{例えば、
Cu−Pc−(SO3Na)m:m=1〜4の混合物} Direct Blue 199、及び特開昭62−
190273号、特開昭63−28690号、特開昭6
3−306075号、特開昭63−306076号、特
開平2−131983号、特開平3−122171号、
特開平3−200883号、特開平7−138511号
等の各公報に記載のフタロシアニン色素{例えば、Cu
−Pc−(SO3Na)m(SO2NH2n:m+n=1
〜4の混合物}
【0007】特開昭63−210175号、特開昭6
3−37176号、特開昭63−304071号、特開
平5−171085号等の各公報、WO 00/081
02号等に記載のフタロシアニン色素{例えば、Cu−
Pc−(CO2H)m(CONR12n:m+n=0〜
4の数} 特開昭59−30874号、特開平1−126381
号、特開平1−190770号、特開平6−16982
号、特開平7−82499号、特開平8−34942
号、特開平8−60053号、特開平8−113745
号、特開平8−310116号、特開平10−1400
63号、特開平10−298463号、特開平11−2
9729号、特開平11−320921号等の各公報、
EP173476A2号、EP468649A1号、E
P559309A2号、EP596383A1号、DE
3411476号、US6086955号、WO 99
/13009号、GB2341868A号等に記載のフ
タロシアニン色素{例えば、Cu−Pc−(SO3H)m
(SO2NR12n:m+n=0〜4の数、且つ、m≠
0}
【0008】特開昭60−208365号、特開昭6
1−2772号、特開平6−57653号、特開平8−
60052号、特開平8−295819号、特開平10
−130517号、特開平11−72614号、特表平
11−515047号、特表平11−515048号等
の各公報、EP196901A2号、WO95/292
08号、WO98/49239号、WO98/4924
0号、WO99/50363号、WO99/67334
号等に記載のフタロシアニン色素{例えば、Cu−Pc
−(SO3H)l(SO2NH2m(SO2NR12n
l+m+n=0〜4の数} 特開昭59−22967号、特開昭61−18557
6号、特開平1−95093号、特開平3−19578
3号等の各公報、EP649881A1号、WO 00
/08101号、WO00/08103号等に記載のフ
タロシアニン色素{例えば、Cu−Pc−(SO2NR1
2n:n=1〜5の数}
【0009】現在一般に広く用いられているDirec
t Blue 87又はDirect Blue 19
9に代表され、また前記公報等にも記載があるフタロシ
アニン色素は、マゼンタやイエローに比べ耐光性に優れ
るという特徴があるものの、染料の溶解性に起因する問
題が生じやすく、例えば、製造時に溶解不良が発生して
製造トラブルとなったり、製品保存時や使用時に不溶物
が析出して問題を起こすことも多い。特に先に述べたイ
ンクジェット記録においては、染料の析出により印字ヘ
ッドの目詰まりや吐出不良を引き起こし、印字画像の著
しい劣化を引き起こすなどの問題がある。
【0010】また、昨今環境問題として取りあげられる
ことの多いオゾン等の酸化性ガスによっても褪色しやす
く、印字濃度が大きく低下してしまうことが大きな問題
となっている。
【0011】現在、インクジェット記録は使用分野が急
拡大しており、一般家庭、SOHO、業務分野等で今後
ますます広く使用されるようになると、様々な使用条件
や使用環境にさらされる結果、シアン染料の溶解性不良
に起因するトラブルが発生したり、光や環境中の活性ガ
スに曝されて印字画像の褪色が問題となる場合が多くな
る。したがって、特に良好な色相を有し、光堅牢性およ
び環境中の活性ガス(NOx、オゾン等の酸化性ガスの
他SOxなど)堅牢性に優れ、高い溶解性を有した色素
及びインク組成物がますます強く望まれている。
【0012】しかしながら、これらの要求を高いレベル
で満たすフタロシアニン色素及びそれを含むシアンイン
クを捜し求めることは、極めて難しい。
【0013】これまで、耐オゾンガス性を付与したフタ
ロシアニン色素としては、特開平3−103484号、
特開平4−39365号、特開2000−303009
号等の各公報が開示されているが、いずれも色相と光及
び酸化性ガス堅牢性を両立させるには至っていないのが
現状である。特に耐オゾンガス性に関しては指針となる
色素の性質について報告された例は今までに無かった。
【0014】また、一般に、フタロシアニン色素(化合
物)は、WO 00/17275、同00/0810
3、同00/08101、同98/41853、特開平
10−36471号公報などに記載されているように、
無置換のフタロシアニン化合物をスルホン化し、水溶性
染料として使用する場合にはスルホン化した化合物のア
ルカリ金属塩、例えばナトリウム塩としてそのまま使用
し、油溶性染料に誘導する場合には、スルホン化後にス
ルホニルクロライド化、アミド化反応を経て合成したも
のを使用することができる。この場合、スルホン化がフ
タロシアニン核のどの位置でも起こり得る上にスルホン
化される個数も制御が困難である。従って、このような
反応条件でスルホ基を導入した場合には、生成物に導入
されたスルホ基の位置と個数は特定できず、必ず置換基
の個数や置換位置の異なる混合物を与える。そして、そ
の混合物の中には、溶解性が低い成分、例えばフタロシ
アニン核に対して1つあるいは2つしかスルホン化され
ていない成分が混入することとなり、水溶性染料として
使用する場合でも油溶性染料に誘導する場合でも、溶解
性が不十分となり易く、溶解性の改善が望まれている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来に
おける問題を解決し、以下の目的を達成することを課題
とする。即ち、本発明の第一の目的は、三原色の色素と
して色再現性に優れた吸収特性を有し、且つ光、熱、湿
度および環境中の活性ガスに対して十分な堅牢性を有
し、溶解性に優れた新規なフタロシアニン色素の製造方
法、及び該製造方法により得られたフタロシアニン色
素、該フタロシアニン色素を用いた着色組成物を提供す
ることである。本発明の第二の目的は、前記着色組成物
を含み、インク保存安定性および目詰まり回復性に優
れ、良好な色相を有し、更に光及び環境中の活性ガス、
特にオゾンガスに対して、堅牢性の高い画像を形成する
ことが出来る、様々な環境条件下で使用されても記録安
定性の高い、インク、インクジェット記録用インク、該
インクジェット記録用インクからなる、インクジェット
記録用インクセット、前記インクジェット記録用インク
を用いたインクジェット記録方法、及び前記インクジェ
ット記録用インクを収容する容器を提供することであ
る。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者らは,良好な色
相と溶解性を有し、且つ光堅牢性及びガス堅牢性(特
に、オゾンガス)の高いフタロシアニン色素誘導体を詳
細に検討したところ、従来知られていない、特定の合成
法で合成された特定の構造のフタロシアニン色素によ
り、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成
するに至った。即ち、本発明は、
【0017】<1> 溶解性基又はその前駆体が異なる
フタロニトリル、および、溶解性基又はその前駆体が異
なるフタル酸誘導体から選ばれる少なくとも2種類と、
金属誘導体と、を反応させて得たフタロシアニン色素を
製造することを特徴とするフタロシアニン色素の製造方
法である。
【0018】<2> 前記フタロシアニン色素が、4つ
のベンゼン環を有しているフタロシアニン骨格からな
り、前記4つのベンゼン環に、ハメットの置換基定数σ
p値が0.4以上である、異なる溶解性基が、それぞれ
少なくとも1個以上存在していることを特徴とする<1
>に記載のフタロシアニン色素の製造方法である。
【0019】<3> <1>又は<2>に記載のフタロ
シアニン色素の製造方法により得られたフタロシアニン
色素である。 <4> <3>に記載のフタロシアニン色素を含有する
ことを特徴とする着色組成物である。
【0020】<5> <4>に記載の着色組成物を含有
してなるインクである。 <6> <4>に記載の着色組成物を含有してなるイン
クジェット記録用インクである。
【0021】<7> 色素濃度の異なる2種以上のイン
クジェット記録用インクを備えるインクジェット記録用
インクセットであって、前記インクジェット記録用イン
クが、<6>に記載のインクジェット用インクであるこ
とを特徴とするインクジェット記録用インクセットであ
る。
【0022】<8> <6>に記載のインクジェット記
録用インクにエネルギーを供与して、前記インクの液滴
を受像材料へ吐出させ、受像材料表面に画像を記録する
ことを特徴とするインクジェット記録方法である。 <9> <6>に記載のインクジェット記録用インクを
収容してなることを特徴とする容器である。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。 [フタロシアニン色素の製造方法、フタロシアニン色
素]本発明のフタロシアニン色素の製造方法は、溶解性
基又はその前駆体を予め導入したフタロニトリル(o−
フタロニトリル)および溶解性基又はその前駆体を予め
導入したフタル酸誘導体(以下、フタロニトリルおよび
フタル酸誘導体を「フタル酸誘導体」という)と、金属
誘導体と、を反応させてフタロシアニン色素を製造する
方法である。この製造方法は、原料であるフタル酸誘導
体に溶解性基もしくはその前駆体を予め導入させるの
で、得られるフタロシアニン色素の構造中に、例えば4
つのベンゼン環に漏れなく溶解性基もしくはその前駆体
を導入したり、望みの溶解性基を特定の数だけ導入する
ことができる。さらには後述するように、電子吸引性の
溶解性基を導入することで酸化電位を高く(貴に)調整
できる。このため、三原色の色素として色再現性に優れ
た吸収特性を有し、且つ光、熱、湿度および環境中の活
性ガスに対して十分な堅牢性を有し、溶解性に優れたフ
タロシアニン色素を製造することができる。
【0024】更に、本発明のフタロシアニン色素の製造
方法は、前記溶解性基又はその前駆体が異なっている、
少なくとも2種類のフタル酸誘導体を用いていることを
特徴としている。これにより、使用したフタル酸誘導体
の仕込み比率から決まる分布を持った、溶解性基の種類
と結合位置が異なるフタロシアニン色素の混合となるた
め、さらに溶解性が向上する。よって、本発明はフタロ
シアニン色素の溶解性改良方法をも提供する。この結
果、本発明のフタロシアニン色素を用いたインクジェッ
ト記録用インクは、保存安定性および目詰まり回復性が
向上する。
【0025】本発明のフタロシアニン色素の製造方法
は、好適には、原料となるフタル酸誘導体として、フタ
ロニトリル系化合物(下記化合物A)、ジイミノイソイ
ンドリン系化合物(下記化合物B)、フタル酸系化合物
およびその塩(下記化合物C)、無水フタル酸系化合物
(下記化合物D)を用いることが出来る。
【0026】溶解性基又はその前駆体が異なる少なくと
も2種類のフタル酸誘導体と、金属誘導体として下記一
般式(I)で表される金属誘導体と反応させて、フタロ
シアニン色素を合成することができる。また、原料とな
るフタル酸誘導体としての化合物A〜DにおけるX’が
溶解性基の前駆体である場合、フタロシアニン環を形成
後溶解性基に変換することで、本発明のフタロシアニン
色素を合成することができる。
【0027】
【化1】
【0028】一般式(I):M−(Z)d
【0029】前記化合物A〜Dにおいて、X’は溶解性
基もしくはその前駆体を表す。前記一般式(I)におい
て、Mは、水素原子、金属原子、またはその酸化物、水
酸化物、及びハロゲン化物を表す。Zは、ハロゲン原
子、酢酸陰イオン、アセチルアセトネート、酸素などの
1価又は2価の配位子を表す。dは、1〜4の整数を表
す。
【0030】原料となるフタル酸誘導体(化合物A〜
D)について説明する。溶解性基とは、フタロシアニン
色素に溶解性を付与する置換基である。溶解性基により
フタロシアニン色素に水溶性を付与する場合には、親水
性基を表す。一方、溶解性基によりフタロシアニン色素
に油溶性を付与する場合には、疎水性基を表す。本発明
のフタロシアニン色素は水溶性でも油溶性であってもよ
い。
【0031】親水性基としては、例えばイオン性親水性
基もしくはイオン性親水性基が置換された置換基が挙げ
られる。イオン性親水性基の例としては、スルホ基、カ
ルボキシル基、ホスホノ基および4級アンモニウムが挙
げられる。中でも、スルホ基およびカルボキシル基が好
ましい。スルホ基、及びカルボキシル基は塩の状態であ
ってもよく、塩を形成する対イオンの例には、アンモニ
ウムイオン、アルカリ金属イオン(例、ナトリウムイオ
ン、カリウムイオン)および有機カチオン(例、トリエ
チルアンモニウムイオン、テトラメチルグアニジウムイ
オン)が含まれる。
【0032】疎水性基としては、炭素数8から20の脂
肪族基、炭素数8から20の芳香族基、並びに、それら
を部分構造に有するスルファモイル基、スルホニル基、
スルフィニル基、スルフェニル基、カルバモイル基、ア
シル基、エステル基、アルコキシ基、アリールオキシ
基、アシルアミノ基、及びアミノ基を表す。脂肪族基は
アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アル
ケニル基、アルキニル基、置換アルキニル基、アラルキ
ル基、置換アラルキル基を意味する。脂肪族基は分岐を
有していてもよく、また環を形成していてもよい。芳香
族基は、アリール基および置換アリール基を意味する。
アリール基はフェニル基またはナフチル基である事が好
ましく、フェニル基である事が特に好ましい。
【0033】また、溶解性基の前駆体とは、フタロシア
ニン環を形成後、反応により溶解性基に変換され得る置
換基を表す。このような置換基としては、水酸基、ハロ
ゲン原子、メルカプト基、アミノ基、アシルアミノ基、
アルコキシカルボニル基、アルケニル基、イミド基等の
反応性置換基、若しくは、それらを置換基として有する
置換基等が挙げられる。
【0034】化合物A〜Dにおいて、X’は親水性基で
あることが好ましく、−SO2−R1又は−SO2NR2
3が特に好ましい。R1は置換もしくは無置換のアルキル
基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無
置換のヘテロ環基が好ましく、その中でも置換アルキル
基、置換アリール基、置換へテロ環基が最も好ましい。
2は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置
換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換の
ヘテロ環基が好ましく、その中でも水素原子、置換アル
キル基、置換アリール基、置換へテロ環基が最も好まし
い。R3は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もし
くは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロ
環基が好ましく、その中でも置換アルキル基、置換アリ
ール基、置換へテロ環基が最も好ましい。
【0035】化合物A〜Dにおいて、aはX’の置換基
数を表し、1〜4の整数である。bはYの置換基数を表
し、a+b=4の関係を満たす整数を表す。好ましくは
aは1又は2であり、さらに好ましくは1である。aが
1又は2である場合、X’が置換する位置は、化合物
A,Cでは4,5位、化合物B,Dでは5,6位(すな
わち※印の位置、以降β位と呼ぶ)であることが好まし
い。
【0036】化合物A〜Dにおいて、Yは一価の置換基
を表す。この一価の置換基の例としては、水素原子、ハ
ロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アラルキル
基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル
基、ニトロ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アルコキ
シ基、アリールオキシ基、アミド基、アリールアミノ
基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルキルチ
オ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニルアミノ
基、スルホンアミド基、カルバモイル基、アルコキシカ
ルボニル基、ヘテロ環オキシ基、アゾ基、アシルオキシ
基、カルバモイルオキシ基、シリルオキシ基、アリール
オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニルアミノ
基、イミド基、ヘテロ環チオ基、ホスホリル基、アシル
基を挙げることができ、各々はさらに置換基を有してい
てもよい。中で特に好ましいものは、水素原子、ハロゲ
ン原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、アルコキ
シ基、アミド基、ウレイド基、スルホンアミド基、カル
バモイル基、スルファモイル基、アルコキシカルボニル
基であり、特に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基が好
ましく、水素原子が最も好ましい。また、この一価の置
換基が有する炭素原子の数は8未満であることが好まし
い。
【0037】なお、前記各置換基がさらに置換基を有し
ている場合の置換基としては、好ましいものとして、ハ
ロゲン原子、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、
ニトロ基、カルボキシル基、アシルアミノ基、ウレイド
基、スルファモイルアミノ基、アルキルオキシカルボニ
ル基、アルキルオキシカルボニルアミノ基、スルホンア
ミド基、スルファモイル基、カルバモイル基、スルホニ
ル基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、イミド
基、ヘテロ環チオ基、アシル基を挙が挙げられる。
【0038】フタロニトリル系化合物(化合物A)の具
体例としては、4−スルホフタロニトリル、4−(3−
スルホプロピルスルホニル)フタロニトリル、4,5−
ビス(3−スルホプロピルスルホニル)フタロニトリル
が挙げられる。
【0039】ジイミノイソインドリン系化合物(化合物
B)の具体例としては、3−アミノ−1−イミノ−1H
−イソインドール−5−スルホン酸が挙げられる。
【0040】フタル酸系化合物およびその塩(下記化合
物C)の具体例としては、トリメリット酸、4−スルホ
フタル酸、4−(3−スルホプロピルスルホニル)フタ
ル酸が挙げられる。
【0041】無水フタル酸系化合物(化合物D)の具体
例としては、無水トリメリット酸、4−スルホ無水フタ
ル酸が挙げられる。
【0042】金属誘導体(一般式(I)で表される金属
誘導体)を説明する。一般式(I)において、Mは、水
素原子、金属原子、またはその酸化物、水酸化物、及び
ハロゲン化物を表す。金属原子としては、Li、Na、
K、Mg、Ti、Zr、V、Nb、Ta、Cr、Mo、
W、Mn、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、O
s、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、H
g、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Pb、S
b、Bi等が挙げられる。
【0043】酸化物としては、VO、GeO等が挙げら
れる。水酸化物としては、Si(OH)2、Cr(O
H)2、Sn(OH)2等が挙げられる。ハロゲン化物と
しては、AlCl、SiCl2、VCl、VCl2、VO
Cl、FeCl、GaCl、ZrCl等が挙げられる。
中でも、Mとしては、Cu、Ni、Zn、Al等が好ま
しく、Cuが最も好ましい。Zはハロゲン原子、酢酸陰
イオン、アセチルアセトネート、酸素などの1価又は2
価の配位子を示し、dは1〜4の整数である。
【0044】一般式(I)において、Zはハロゲン原
子、酢酸陰イオン、アセチルアセトネート、酸素などの
1価又は2価の配位子を表し、dは1〜4の整数を表
す。
【0045】金属誘導体(一般式(I)で表される金属
誘導体)の具体例としては、Al、Si、Ti、V、M
n,Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ge、Ru、R
h、Pd、In、Sn、Pt、Pb等のハロゲン化物、
カルボン酸誘導体、硫酸塩、硝酸塩、カルボニル化合
物、酸化物、錯体等が挙げられる。さらに具体的には、
塩化銅、臭化銅、沃化銅、塩化ニッケル、臭化ニッケ
ル、酢酸ニッケル、塩化コバルト、臭化コバルト、酢酸
コバルト、塩化鉄、塩化亜鉛、臭化亜鉛、沃化亜鉛、酢
酸亜鉛、塩化バナジウム、オキシ三塩化バナジウム、塩
化パラジウム、酢酸パラジウム、塩化アルミニウム、塩
化マンガン、酢酸マンガン、アセチルアセトンマンガ
ン、塩化マンガン、塩化鉛、酢酸鉛、塩化インジウム、
塩化チタン、塩化スズ等が挙げられる。
【0046】本発明のフタロシアニン色素の好ましい置
換基の組み合わせについては、種々の置換基の少なくと
も1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、よ
り多くの種々の置換基が前記好ましい基である化合物が
より好ましく、全ての置換基が前記好ましい基である化
合物が最も好ましい。本発明の最も好ましいフタル酸誘
導体、すなわちa=1で溶解性基がβ位(前記化合物
A,Cでは4,5位、B,Dでは5,6位)に置換し、
Yは水素原子、MはCuであるもの、から調製されるフ
タロシアニン色素は、たとえば4種類の異なるフタル酸
誘導体を使用して合成する場合する場合には,以下の一
般式(II)で表される。 一般式(II): Cu−Pc−(X1)k(X2)l
(X3)m(X4)n
【0047】一般式(II)において、Cu−Pcは銅フ
タロシアニンを表し、k、l、m、nは仕込み比率を表
す総和が4となる0以上の数字であり、X1,X2,X
3,X4はβ位に置換した互いに異なる溶解性基をあら
わす。
【0048】原因は詳細には不明であるが、溶解性基が
β位にのみ導入された色素は、その他のものと比較して
色相・光堅牢性・オゾンガス耐性等において優れている
傾向にある。溶解性基Xや置換基Yは、この場合溶解性
基Xとして電子吸引性の大きな置換基を選択する方が合
成上好ましい。
【0049】以下、本発明のフタロシアニン色素の製造
方法により得られるフタロシアニン色素(一般式(I)
で表されるフタロシアニン色素)の具体例(例示化合物
1〜59)を挙げるが、本発明は、これら具体例に限定
されるわけではない。尚、表1〜表6中のR1、R2
欄、及び化2、化3の化学式の下部に記載の()内の数
値は、後述するハメットの置換基定数σp値を示す。ま
た、化2、化3の化学式の右下部に記載の下線の付して
ある数値は、後述する酸化電位を示す。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
【表3】
【0053】
【化2】
【0054】
【表4】
【0055】
【表5】
【0056】
【表6】
【0057】
【化3】
【0058】本発明の合成法に従えば、望みの溶解性基
の組み合わせを特定の数だけ導入することができる。本
発明のフタロシアニン色素の製造方法において、前記、
溶解性基Xや置換基Yとして電子吸引性の大きな置換基
を選択することで、得られるフタロシアニン色素の酸化
電位を高く(貴に)調整でき、オゾンや一重項酸素など
の活性ガス(例えば酸化性ガス)に対して反応性をより
抑制することが可能となり、活性ガスに対して耐性を持
つ色素を得ることができる。
【0059】このような電子吸引性を示す尺度として、
ハメットの置換基定数σp値(以下、単に「σp値」と
いう)を用いることができ、溶解性基のσp値が0.4
0以上であることが好ましく、より好ましくは0.45
以上であり、さらに好ましくは0.50以上である。但
し、溶解性基が、σp値0.4以上の場合、得られるフ
タロシアニン色素(原料であるフタル酸誘導体も含む)
にはスルホ基は含まい、或いは、フタロシアニン色素に
おけるフタロシアニン核(ベンゼン環構造:原料である
フタル酸誘導体の場合、そのベンゼン環構造)に直接ス
ルホ基が結合することはない。スルホ基を有する場合は
必ずフタロシアニン核に連結基を介して結合してなる。
【0060】なお、得られるフタロシアニン色素が、そ
の構造中のフタロシアニン核(ベンゼン環構造)に水素
原子以外の複数の置換基(溶解性基も含む)を有する場
合、置換基(溶解性基も含む)のσp値の総和が0.5
0以上であることが好ましく、より好ましくは0.55
以上であり、さらに好ましくは0.60以上である。
【0061】ここで、ハメットの置換基定数σp値につ
いて若干説明する。ハメット則は、ベンゼン誘導体の反
応又は平衡に及ぼす置換基の影響を定量的に論ずるため
に1935年L.P.Hammettにより提唱された
経験則であるが、これは今日広く妥当性が認められてい
る。ハメット則に求められた置換基定数にはσp値とσ
m値があり、これらの値は多くの一般的な成書に見出す
ことができるが、例えば、J.A.Dean編、「La
nge’s Handbook of Chemist
ry」第12版、1979年(Mc Graw−Hil
l)や「化学の領域」増刊、122号、96〜103
頁、1979年(南光堂)に詳しい。
【0062】このように、溶解性基として、電子吸引性
の大きな置換基を導入した結果、酸化電位が貴なフタロ
シアニン色素を得ることができるが、その酸化電位とし
ては、1.0V(vs SCE)よりも貴であることが
好ましい。酸化電位は貴であるほど好ましく、酸化電位
が1.1V(vs SCE)よりも貴であることがより
好ましく、1.2V(vs SCE)より貴であること
が最も好ましい。
【0063】この酸化電位の値(Eox)は当業者が容
易に測定することができる。この方法に関しては、例え
ばP.Delahay著“New Instrumen
talMethods in Electrochem
istry”(1954年Interscience
Publishers社刊)やA.J.Bard他著
“Electrochemical Methods”
(1980年 JohnWiley&Sons社刊)、
藤嶋昭他著“電気化学測定法”(1984年技報堂出版
社刊)に記載されている。
【0064】本発明の測定に用いる支持電解質や溶媒
は、被験試料の酸化電位や溶解性により適当なものを選
ぶことができる。用いることができる支持電解質や溶媒
については藤嶋昭他著“電気化学測定法”(1984年
技報堂出版社刊)101〜118ページに記載があ
る。本発明では、酸化電位は、過塩素酸テトラプロピル
アンモニウムを支持電解質として含むジメチルホルムア
ミド中に、被験試料を1×10-4〜1×10-6モル/リ
ットル溶解して、直流ポーラログラフィーを用いて、作
用極として炭素(GC)電極、対極として白金電極、参
照極としてSCE(飽和カロメル電極)に対する値とし
て測定する。この値は、液間電位差や試料溶液の液抵抗
などの影響で、数10ミルボルト程度偏位することがあ
るが、標準試料(例えばハイドロキノン)を入れて電位
の再現性を保証することができる。
【0065】本発明のフタロシアニン色素の製造方法お
ける、フタル酸誘導体と金属誘導体との合成条件につい
て詳細に説明する。
【0066】フタル酸誘導体と金属誘導体との使用量の
比率は、モル比(金属誘導体:フタル酸誘導体)で3:
1〜6:1が好ましい。フタル酸誘導体と金属誘導体と
の反応は、通常、溶媒の存在下に行われる。溶媒として
は、沸点80℃以上、好ましくは130℃以上の有機溶
媒が用いられる。例えばn−アミルアルコール、n−ヘ
キサノール、シクロヘキサノール、2−メチル−1−ペ
ンタノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、1
−オクタノール、2−エチルヘキサノール、ベンジルア
ルコール、エチレングリコール、プロピレングリコー
ル、エトキシエタノール、プロポキシエタノール、ブト
キシエタノール、ジメチルアミノエタノール、ジエチル
アミノエタノール、トリクロロベンゼン、クロロナフタ
レン、スルフォラン、ニトロベンゼン、キノリン、尿素
等がある。溶媒の使用量はフタル酸誘導体の1〜100
質量倍であることが好ましく、より好ましくは5〜20
質量倍である。フタル酸誘導体と金属誘導体との反応
は、触媒の存在下で行われてもよい。触媒としては1,
8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン
(DBU)或いはモリブデン酸アンモニウム等が挙げら
れる。触媒の使用量はフタル酸誘導体1モルに対して、
0.1〜10倍モルであることが好ましく、より好まし
くは0.5〜2倍モルである。
【0067】フタル酸誘導体と金属誘導体との反応は、
80〜300℃の反応温度の範囲にて行なわれることが
好ましく、より好ましくは100〜250℃の反応温度
の範囲、さらに好ましくは130〜230℃の反応温度
の範囲である。この反応温度が80℃未満であると反応
速度が極端に遅くなることがあり、一方300℃を超え
ると得られるフタロシアニン色素の分解が起こる可能性
がある。また、反応時間は2〜20時間の範囲が好まし
く、より好ましくは5〜15時間の範囲、さらに好まし
くは5〜10時間の範囲である。この反応時間が2時間
未満であると未反応原料が多く存在してしまうことがあ
り、一方20時間を超えと得られるフタロシアニン色素
の分解が起こる可能性がある。
【0068】本発明のフタロシアニン色素の製造方法に
おいては、これらの反応によって得られる生成物(フタ
ロシアニン色素)は通常の有機合成反応の後処理方法に
従って処理した後、精製してあるいは精製せずに供する
ことができる。すなわち、例えば、反応系から遊離した
ものを精製せずに、あるいは再結晶、カラムクロマトグ
ラフィー(例えば、ゲルパーメーションクロマトグラフ
ィ(SEPHADEXTMLH−20:Pharmaci
a製)等にて精製する操作を単独、あるいは組み合わせ
て行ない、供することができる。
【0069】また、反応終了後、反応溶媒を留去して、
あるいは留去せずに水、又は氷にあけ、中和してあるい
は中和せずに遊離したものを精製せずに、あるいは再結
晶、カラムクロマトグラフィー等にて精製する操作を単
独に、あるいは組み合わせて行なった後、供することも
できる。また、反応終了後、反応溶媒を留去して、ある
いは留去せずに水、又は氷にあけ中和して、あるいは中
和せずに、有機溶媒/水溶液にて抽出したものを精製せ
ずに、あるいは晶析、カラムクロマトグラフィーにて精
製する操作を単独あるいは組み合わせて行なった後、供
することもできる。
【0070】本発明のフタロシアニン色素の用途として
は、画像、特にカラー画像を形成するための材料が挙げ
られ、具体的には、インクジェット記録用記録材料(イ
ンク)を初めとして、感熱転写型画像記録材料、感圧記
録材料、電子写真方式を用いる記録材料、転写式ハロゲ
ン化銀感光材料、印刷インク、記録ペン等であり、好ま
しくはインクジェット記録用記録材料(インク)、感熱
転写型画像記録材料、電子写真方式を用いる記録材料で
あり、更に好ましくはインクジェット記録用記録材料
(インク)である。また、米国特許4808501号、
特開平6−35182号公報などに記載されているLC
DやCCDなどの固体撮像素子で用いられているカラー
フィルター、各種繊維の染色のための染色液にも適用で
きる。本発明のフタロシアニン色素は、その用途に適し
た溶解性、熱移動性などの物性を、置換基により調整し
て使用する。
【0071】[インクジェット記録用インク、インクジ
ェット記録用インクセット]本発明のインクジェット記
録用インクは、前記本発明のフタロシアニン色素を含有
してなる。本発明のインクジェット記録用インクは、良
好な色相を有し、光及び環境中の活性ガス、特にオゾン
ガスに対して堅牢性の高い画像を形成することができ、
様々な環境条件化で使用されても高い記録安定性を示
す。
【0072】本発明のインクジェット記録用インクは、
通常、親油性媒体や水性媒体中に本発明のフタロシアニ
ン色素を溶解及び/又は乳化分散させることによって製
造することができる。好ましくは、水性媒体を用いる場
合である。必要に応じてその他の添加剤を、本発明の効
果を害しない範囲内において含有される。
【0073】その他の添加剤としては、例えば、乾燥防
止剤(湿潤剤)、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進
剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面
張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定
剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤が挙げられ
る。これらの各種添加剤は、水溶性インクの場合にはイ
ンク液に直接添加する。油溶性染料を分散物の形で用い
る場合には、染料分散物の調製後分散物に添加するのが
一般的であるが、調製時に油相または水相に添加しても
よい。
【0074】乾燥防止剤はインクジェット記録方式に用
いるノズルのインク噴射口において該インクジェット記
録用インクが乾燥することによる目詰まりを防止する目
的で好適に使用される。
【0075】乾燥防止剤としては、水より蒸気圧の低い
水溶性有機溶剤が好ましい。具体的な例としてはエチレ
ングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリ
コール、ポリエチレングリコール、チオジグリコール、
ジチオジグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジ
オール、1,2,6−ヘキサントリオール、アセチレン
グリコール誘導体、グリセリン、トリメチロールプロパ
ン等に代表される多価アルコール類;エチレングリコー
ルモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリ
コールモノメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレ
ングリコールモノエチル(又はブチル)エーテル等の多
価アルコールの低級アルキルエーテル類;2−ピロリド
ン、N−メチルー2−ピロリドン、1,3−ジメチル−
2−イミダゾリジノン、N−エチルモルホリン等の複素
環類;スルホラン、ジメチルスルホキシド、3−スルホ
レン等の含硫黄化合物;ジアセトンアルコール、ジエタ
ノールアミン等の多官能化合物;尿素誘導体が挙げられ
る。これらのうちグリセリン、ジエチレングリコール等
の多価アルコールがより好ましい。また前記の乾燥防止
剤は単独で用いても良いし2種以上併用しても良い。こ
れらの乾燥防止剤はインク中に10〜50質量%含有す
ることが好ましい。従来のフタロシアニン色素では、こ
れらの水溶性有機溶剤を用いると、これらが貧溶媒とし
て働いて、染料の中の溶解性が低い成分、例えば先に述
べたスルホ基が1乃至2個しか導入されていない成分が
長期の保存中に析出し、ヘッドの目詰まりを引き起こし
たり印字画質を劣化させることがあったが、本発明のフ
タロシアニン色素は溶解性に優れるため、そのような問
題を克服できる。
【0076】浸透促進剤は、インクジェット記録用イン
クを紙により良く浸透させる目的で好適に使用される。
前記浸透促進剤としてはエタノール、イソプロパノー
ル、ブタノール,ジ(トリ)エチレングリコールモノブ
チルエーテル、1,2−ヘキサンジオール等のアルコー
ル類やラウリル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム
やノニオン性界面活性剤等を用いることができる。これ
らはインク中に5〜30質量%含有すれば通常充分な効
果があり、印字の滲み、紙抜け(プリントスルー)を起
こさない添加量の範囲で使用するのが好ましい。
【0077】紫外線吸収剤は、画像の保存性を向上させ
る目的で使用される。前記紫外線吸収剤としては特開昭
58−185677号公報、同61−190537号公
報、特開平2−782号公報、同5−197075号公
報、同9−34057号公報等に記載されたベンゾトリ
アゾール系化合物、特開昭46−2784号公報、特開
平5−194483号公報、米国特許第3214463
号等に記載されたベンゾフェノン系化合物、特公昭48
−30492号公報、同56−21141号公報、特開
平10−88106号公報等に記載された桂皮酸系化合
物、特開平4−298503号公報、同8−53427
号公報、同8−239368号公報、同10−1826
21号公報、特表平8−501291号公報等に記載さ
れたトリアジン系化合物、リサーチディスクロージャー
No.24239号に記載された化合物やスチルベン
系、ベンズオキサゾール系化合物に代表される紫外線を
吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤も用
いることができる。
【0078】褪色防止剤は、画像の保存性を向上させる
目的で使用される。褪色防止剤としては、各種の有機系
及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。
有機の褪色防止剤としてはハイドロキノン類、アルコキ
シフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノー
ル類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン
類、アルコキシアニリン類、ヘテロ環類などがあり、金
属錯体としてはニッケル錯体、亜鉛錯体などがある。よ
り具体的にはリサーチディスクロージャーNo.176
43の第VIIのIないしJ項、同No.15162、同N
o.18716の650頁左欄、同No.36544の
527頁、同No.307105の872頁、同No.
15162に引用された特許に記載された化合物や特開
昭62−215272号公報の127頁〜137頁に記
載された代表的化合物の一般式及び化合物例に含まれる
化合物を使用することができる。
【0079】防黴剤としてはデヒドロ酢酸ナトリウム、
安息香酸ナトリウム、ナトリウムピリジンチオン−1−
オキシド、p−ヒドロキシ安息香酸エチルエステル、
1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンおよびその塩
等が挙げられる。これらはインク中に0.02〜1.0
0質量%使用するのが好ましい。
【0080】pH調整剤としては前記中和剤(有機塩
基、無機アルカリ)を用いることができる。前記pH調
整剤はインクジェット記録用インクの保存安定性を向上
させる目的で、該インクジェット記録用インクがpH6
〜10と夏用に添加するのが好ましく、pH7〜10と
なるように添加するのがより好ましい。
【0081】表面張力調整剤としてはノニオン、カチオ
ンあるいはアニオン界面活性剤が挙げられる。尚、本発
明のインクジェット記録用インクの表面張力は25〜7
0mPa・sが好ましい。さらに25〜60mN/mが
好ましい。また本発明のインクジェット記録用インクの
粘度は30mPa・s以下が好ましい。更に20mPa
・s以下に調整することがより好ましい。界面活性剤の
例としては、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アル
キルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホ
ン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸
エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、
ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等のアニオ
ン系界面活性剤や、ポリオキシエチレンアルキルエーテ
ル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリ
オキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エス
テル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、
ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸
エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコ
ポリマー等のノニオン系界面活性剤が好ましい。また、
アセチレン系ポリオキシエチレンオキシド界面活性剤で
あるSURFYNOLS(AirProducts&C
hemicals社)も好ましく用いられる。また、
N,N−ジメチル−N−アルキルアミンオキシドのよう
なアミンオキシド型の両性界面活性剤等も好ましい。更
に、特開昭59−157,636号の第(37)〜(3
8)頁、リサーチ・ディスクロージャーNo.3081
19(1989年)記載の界面活性剤として挙げたもの
も使うことができる。
【0082】消泡剤としては、フッ素系、シリコーン系
化合物やEDTAに代表されるキレート剤等も必要に応
じて使用することができる。
【0083】本発明のインクジェット記録用インクにお
いては、フタロシアニン色素を水性媒体に分散させる場
合は、特開平11−286637号公報、特願平200
0−78491号、同2000−80259号、同20
00−62370号のように色素と油溶性ポリマーとを
含有する着色微粒子を水性媒体に分散したり、特願平2
000−78454号、同2000−78491号、同
2000−203856号,同2000−203857
号のように高沸点有機溶媒に溶解したフタロシアニン色
素を水性媒体中に分散することが好ましい。フタロシア
ニン色素を水性媒体に分散させる場合の具体的な方法,
使用する油溶性ポリマー、高沸点有機溶剤、添加剤及び
それらの使用量は、前記公報等に記載されたものを好ま
しく使用することができる。前記のインクジェット記録
用インクの調製方法については、先述の特許以外にも特
開平5−148436号、同5−295312号、同7
−97541号、同7−82515号、同7−1185
84号、特開平11−286637号の各公報、特願2
000−87539号に詳細が記載されていて、本発明
のインクジェット記録用インクの調製にも利用できる。
【0084】水性媒体は、水を主成分とし、所望によ
り、水混和性有機溶剤を添加した混合物を用いることが
できる。水混和性有機溶剤の例には、アルコール(例え
ば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロ
パノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタ
ノール、t−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノー
ル、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール)、多価
アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレ
ングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレン
グリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリ
コール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコー
ル、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリ
ン、ヘキサントリオール、チオジグリコール)、グリコ
ール誘導体(例えば、エチレングリコールモノメチルエ
ーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチ
レングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングルコ
ールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブ
チルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテ
ル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロ
ピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレング
リコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジア
セテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセ
テート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、
トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレン
グリコールモノフェニルエーテル)、アミン(例えば、
エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノー
ルアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチル
ジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリ
ン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエ
チレンテトラミン、ポリエチレンイミン、テトラメチル
プロピレンジアミン)及びその他の極性溶媒(例えば、
ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N
−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スル
ホラン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリド
ン、N−ビニル−2−ピロリドン、2−オキサゾリド
ン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、アセト
ニトリル、アセトン)が含まれる。尚、前記水混和性有
機溶剤は、二種類以上を併用してもよい。従来のフタロ
シアニン色素では、これらの水溶性有機溶剤を用いる
と、これらが貧溶媒として働いて、染料の中の溶解性が
低い成分、例えば先に述べたスルホ基が1乃至2個しか
導入されていない成分が長期の保存中に析出し、ヘッド
の目詰まりを引き起こしたり印字画質を劣化させること
があったが、本発明のフタロシアニン色素は溶解性に優
れるためそのような問題を克服できる。
【0085】本発明のインクジェット記録用インクは、
単色の画像形成のみならず、フルカラーの画像形成に用
いることができる。フルカラー画像を形成するために、
マゼンタ色調インク、シアン色調インク、及びイエロー
色調インクを用いることができる。また、これらの色調
インクを本発明のフタロシアニン色素と併用すること
で、広範囲な可視領域の色調を出すことができ、さらに
ブラック色調インクも用いてもよい。これらの色調イン
クに適用可能な各色の色素(染料や顔料等)を以下に示
す。
【0086】適用できるイエロー染料としては、任意の
ものを使用する事が出来る。例えばカップリング成分
(以降カプラー成分と呼ぶ)としてフェノール類、ナフ
トール類、アニリン類、ピラゾロンやピリドン等のよう
なヘテロ環類;開鎖型活性メチレン化合物類、などを有
するアリールもしくはヘテリルアゾ染料;例えばカプラ
ー成分として開鎖型活性メチレン化合物類などを有する
アゾメチン染料;例えばベンジリデン染料やモノメチン
オキソノール染料等のようなメチン染料;例えばナフト
キノン染料、アントラキノン染料等のようなキノン系染
料などがあり、これ以外の染料種としてはキノフタロン
染料、ニトロ・ニトロソ染料、アクリジン染料、アクリ
ジノン染料等を挙げることができる。
【0087】適用できるシアン染料としては、任意のも
のを使用する事が出来る。例えばカプラー成分としてフ
ェノール類、ナフトール類、アニリン類などを有するア
リールもしくはヘテリルアゾ染料;例えばカプラー成分
としてフェノール類、ナフトール類、ピロロトリアゾー
ルのようなヘテロ環類などを有するアゾメチン染料;シ
アニン染料、オキソノール染料、メロシアニン染料など
のようなポリメチン染料;ジフェニルメタン染料、トリ
フェニルメタン染料、キサンテン染料などのようなカル
ボニウム染料;他のフタロシアニン染料;アントラキノ
ン染料;インジゴ・チオインジゴ染料などを挙げること
ができる。
【0088】適用できる黒色材としては、ジスアゾ、ト
リスアゾ、テトラアゾ染料のほか、カーボンブラックの
分散体を挙げることができる。前記各染料は、クロモフ
ォアの一部が解離して初めてイエロー、シアンの各色を
呈するものであっても良く、その場合のカウンターカチ
オンはアルカリ金属や、アンモニウムのような無機のカ
チオンであってもよいし、ピリジニウム、4級アンモニ
ウム塩のような有機のカチオンであってもよく、さらに
はそれらを部分構造に有するポリマーカチオンであって
もよい。
【0089】本発明のインクジェット記録用インクにお
いて、フタロシアニン色素は、インクジェット記録用イ
ンク100質量部に対して0.2質量部〜10質量部含
有するのが好ましい。
【0090】本発明のインクジェット記録用インクは、
その色素濃度の異なる2種以上を用いてインクジェット
記録用インクセットとしても用いることができる(本発
明のインクジェット記録用インクセット)。近年、イン
クジェット記録方式においては、高画質を得るために、
同色の色素で印字濃度が異なるように、濃淡の2色イン
ク、あるいは3段階の色素濃度のインクをセットで使用
するようになってきている。前記フタロシアニン色素
は、溶解性に優れ高濃度に溶解しても溶解安定性が優れ
るため、これらの多段階濃度のインクセットに使用する
ことが特に好ましい。前記フタロシアニン色素ととも
に、他の色素を併用してもよい。2種類以上の色素を併
用する場合は、色素の含有量の合計が前記範囲となって
いるのが好ましい。
【0091】[インクジェット記録方法]本発明のイン
クジェット記録方法は、前記本発明のインクジェット記
録用インクにエネルギーを供与して、前記インクの液滴
を受像材料へ吐出させ、受像材料上に画像を記録する方
法である。
【0092】画像を記録させる受像材料は、公知の受像
材料、即ち普通紙、樹脂コート紙、例えば特開平8−1
69172号公報、同8−27693号公報、同2−2
76670号公報、同7−276789号公報、同9−
323475号公報、特開昭62−238783号公
報、特開平10−153989号公報、同10−217
473号公報、同10−235995号公報、同10−
337947号公報、同10−217597号公報、同
10−337947号公報等に記載されているインクジ
ェット専用紙、フィルム、電子写真共用紙、布帛、ガラ
ス、金属、陶磁器等が挙げれる。
【0093】受像材料には、画像を形成する際に、光沢
性や耐水性を与えたり耐候性を改善する目的からポリマ
ーラテックス化合物を用いてもよい。ラテックス化合物
を受像材料に付与する時期については、着色剤を付与す
る前であっても、後であっても、また同時であってもよ
い。したがって添加する場所も受像材料中であっても、
前記本発明のインクジェット記録用インク中であっても
よく、あるいはポリマーラテックス単独の液状物として
使用しても良い。具体的には、特願2000−3630
90号、同2000−315231号、同2000−3
54380号、同2000−343944号、同200
0−268952号、同2000−299465号、同
2000−297365号に記載された方法を好ましく
用いることができる。
【0094】受像材料として、特に好ましくは支持体上
に、白色顔料を含むインク受容層を有するものが、良好
な色相で、画質の高い画像を形成することができる観点
から好ましい。支持体としては、LBKP、NBKP等
の化学パルプ、GP、PGW、RMP、TMP、CTM
P、CMP、CGP等の機械パルプ、DIP等の古紙パ
ルプ等からなり、必要に応じて従来公知の顔料、バイン
ダー、サイズ剤、定着剤、カチオン剤、紙力増強剤等の
添加剤を混合し、長網抄紙機、円網抄紙機等の各種装置
で製造されたもの等が使用可能である。これらの支持体
の他に合成紙、プラスチックフィルムシートのいずれで
あってもよく、支持体の厚みは10〜250μm、坪量
は10〜250g/m2が望ましい。支持体には、その
ままインク受容層及びバックコート層を設けてもよい
し、デンプン、ポリビニルアルコール等でサイズプレス
やアンカーコート層を設けた後、インク受容層及びバッ
クコー卜層を設けてもよい。更に支持体には、マシンカ
レンダー、TGカレンダー、ソフトカレンダー等のカレ
ンダー装置により平坦化処理を行ってもよい。支持体と
しては、両面をポリオレフィン(例えば、ポリエチレ
ン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ
ブテン及びそれらのコポリマー)でラミネートした紙及
びプラスチックフィルムがより好ましく用いられる。ポ
リオレフィン中に、白色顔料(例えば、酸化チタン、酸
化亜鉛)又は色味付け染料(例えば、コバルトブルー、
群青、酸化ネオジウム)を添加することが好ましい。
【0095】インク受容層には、白色顔料が含まれる
が、通常、これら顔料は水性バインダーに分散されてな
る。白色顔料としては、炭酸カルシウム、カオリン、タ
ルク、クレー、珪藻土、合成非晶質シリカ、珪酸アルミ
ニウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、水酸化ア
ルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、硫酸バ
リウム、硫酸カルシウム、二酸化チタン、硫化亜鉛、炭
酸亜鉛等の白色無機顔料、スチレン系ピグメント、アク
リル系ピグメント、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔
料等が挙げられる。インク受容層に含有される白色顔料
としては、多孔性無機顔料が好ましく、特に細孔面積が
大きい合成非晶質シリカ等が好適である。合成非晶質シ
リカは、乾式製造法によって得られる無水珪酸及び湿式
製造法によって得られる含水珪酸のいずれも使用可能で
あるが、特に含水珪酸を使用することが望ましい。
【0096】水性バインダーとしては、ポリビニルアル
コール、シラノール変性ポリビニルアルコール、デンプ
ン、カチオン化デンプン、カゼイン、ゼラチン、カルボ
キシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、
ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキサイド、ポ
リアルキレンオキサイド誘導体等の水溶性高分子、スチ
レンブタジエンラテックス、アクリルエマルジョン等の
水分散性高分子等が挙げられる。これらの水性バインダ
ーは単独又は2種以上併用して用いることができる。本
発明においては、これらの中でも特にポリビニルアルコ
ール、シラノール変性ポリビニルアルコールが顔料に対
する付着性、インク受容層の耐剥離性の点で好適であ
る。インク受容層は、顔料及び水性結着剤の他に媒染
剤、耐水化剤、耐光性向上剤、界面活性剤、その他の添
加剤を含有することができる。
【0097】インク受容層中に添加する媒染剤は、不動
化されていることが好ましい。そのためには、ポリマー
媒染剤が好ましく用いられる。ポリマー媒染剤について
は、特開昭48−28325号、同54−74430
号、同54−124726号、同55−22766号、
同55−142339号、同60−23850号、同6
0−23851号、同60−23852号、同60−2
3853号、同60−57836号、同60−6064
3号、同60−118834号、同60−122940
号、同60−122941号、同60−122942
号、同60−235134号、特開平1−161236
号の各公報、米国特許2484430号、同25485
64号、同3148061号、同3309690号、同
4115124号、同4124386号、同41938
00号、同4273853号、同4282305号、同
4450224号の各明細書に記載がある。特開平1−
161236号公報の212〜215頁に記載のポリマ
ー媒染剤を含有する受像材料が特に好ましい。同公報記
載のポリマー媒染剤を用いると、優れた画質の画像が得
られ、かつ画像の耐光性が改善される。
【0098】耐水化剤は、画像の耐水化に有効であり、
これらの耐水化剤としては、特にカチオン樹脂が望まし
い。このようなカチオン樹脂としては、ポリアミドポリ
アミンエピクロルヒドリン、ポリエチレンイミン、ポリ
アミンスルホン、ジメチルジアリルアンモニウムクロラ
イド重合物、カチオンポリアクリルアミド、コロイダル
シリカ等が挙げられ、これらのカチオン樹脂の中で特に
ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリンが好適であ
る。これらのカチオン樹脂の含有量は、インク受容層の
全固形分に対して1〜15質量%が好ましく、特に3〜
10質量%であることが好ましい。
【0099】耐光性向上剤としては、硫酸亜鉛、酸化亜
鉛、ヒンダードアミン系酸化防止剤、ベンゾフェノン系
や、ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤等が挙げられ
る。これらの中で特に硫酸亜鉛が好適である。
【0100】界面活性剤は、塗布助剤、剥離性改良剤、
スベリ性改良剤あるいは帯電防止剤として機能する。界
面活性剤については、特開昭62−173463号、同
62−183457号の各公報に記載がある。界面活性
剤の代わりに有機フルオロ化合物を用いてもよい。有機
フルオロ化合物は、疎水性であることが好ましい。有機
フルオロ化合物の例には、フッ素系界面活性剤、オイル
状フッ素系化合物(例えば、フッ素油)及び固体状フッ
素化合物樹脂(例えば、四フッ化エチレン樹脂)が含ま
れる。有機フルオロ化合物については、特公昭57−9
053号(第8〜17欄)、特開昭61−20994
号、同62−135826号の各公報に記載がある。そ
の他のインク受容層に添加される添加剤としては、顔料
分散剤、増粘剤、消泡剤、染料、蛍光増白剤、防腐剤、
pH調整剤、マット剤、硬膜剤等が挙げられる。尚、イ
ンク受容層は1層でも2層でもよい。
【0101】受像材料には、バックコート層を設けるこ
ともでき、この層に添加可能な成分としては、白色顔
料、水性バインダー、その他の成分が挙げられる。バッ
クコート層に含有される白色顔料としては、例えば、軽
質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タ
ルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、
酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸
アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグ
ネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、コロ
イダルアルミナ、擬べーマイト、水酸化アルミニウム、
アルミナ、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、
炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等の白色無機顔
料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プ
ラスチックピグメント,ポリエチレン、マイクロカプセ
ル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が挙げられ
る。
【0102】バックコート層に含有される水性バインダ
ーとしては、スチレン/マレイン酸塩共重合体、スチレ
ン/アクリル酸塩共重合体、ポリビニルアルコール、シ
ラノール変性ポリビニルアルコール、デンプン、カチオ
ン化デンプン、カゼイン、ゼラチン、カルボキシメチル
セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニル
ピロリドン等の水溶性高分子、スチレンブタジエンラテ
ックス、アクリルエマルジョン等の水分散性高分子等が
挙げられる。バックコート層に含有されるその他の成分
としては、消泡剤、抑泡剤、染料、蛍光増白剤、防腐
剤、耐水化剤等が挙げられる。
【0103】受像材料の構成層(バックコート層を含
む)には、ポリマーラテックスを添加してもよい。ポリ
マーラテックスは、寸度安定化、カール防止、接着防
止、膜のひび割れ防止のような膜物性改良の目的で使用
される。ポリマーラテックスについては、特開昭62−
245258号、同62−110066号の各公報に記
載がある。ガラス転移温度が低い(40℃以下の)ポリ
マーラテックスを媒染剤を含む層に添加すると、層のひ
び割れやカールを防止することができる。また、ガラス
転移温度が高いポリマーラテックスをバックコート層に
添加しても、カールを防止することができる。
【0104】本発明のインクジェット記録方法は、特に
制限なく、公知の方式、例えば静電誘引力を利用してイ
ンクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力
を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方
式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して、
放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェッ
ト方式、及びインクを加熱して気泡を形成し、生じた圧
力を利用するサーマルインクジェット方式等に用いられ
る。インクジェット記録方式には、フォトインクと称す
る濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、
実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて
画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が
含まれる。
【0105】[容器]本発明の容器は、前記本発明のイ
ンクジェット記録用インクが収容されてなる容器であ
り、例えば、インクジェット記録装置に装着可能なカー
トリッジやボトル等が挙げられる。また、前記本発明の
容器をインクタンク部に装着したインクジェット記録装
置は、前記フタロシアニン色素が、長期間容器や装置内
に保存され環境の種々の条件化にさらされても、溶解性
に優れているので、溶解性の低い成分が析出する問題が
生じ難くなる。
【0106】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明するが、本発明
はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0107】以下に、前記具体的化合物2、3、4、5
の合成例を示す。 〔合成例1〕 (化合物2の合成)窒素気流下、4−ニトロフタロニト
リル26.0gを200mLのDMSO(ジメチルスル
ホキシド)に溶解し、内温20℃で撹拌しながら30.
3gの3−メルカプト−プロパン−スルホン酸ナトリウ
ムを添加し、続いて24.4gの無水炭酸ナトリウムを
徐々に添加した。更に反応液を撹拌しながら80℃まで
加温し、同温度で1時間撹拌した。その後20℃まで冷
却し、反応液をヌッチェでろ過し、ろ液を1500mL
の酢酸エチルにあけて晶析し、引き続き室温で30分間
撹拌し、析出した粗結晶をヌッチェでろ過し、酢酸エチ
ルで洗浄後、乾燥した。得られた粗結晶をメタノール/
酢酸エチルから再結晶して、化合物E:4−(3−スル
ホプロピルスルフェニル)フタロニトリルのNa塩4
2.5gを得た。
【0108】化合物A42.0gを300mLの酢酸に
溶解し、内温20℃で撹拌しながら2.5gのNa2
4・2H2Oを添加した後、水浴し内温10℃まで冷却
した。引き続き32mLの過酸化水素水(30%)を発
熱に注意しながら徐々に滴下した。更に、内温15〜2
0℃で30分間撹拌した後に、反応液を内温60℃まで
加温して、同温度で1時間撹拌した。その後20℃まで
冷却し、反応液に1500mLの酢酸エチルを注入し、
引き続き同温度にて30分間撹拌し、析出した粗結晶を
ヌッチェでろ過し、200mLの酢酸エチルで洗浄後乾
燥した。得られた粗結晶はメタノール/酢酸エチルを用
いて加熱洗浄して精製して、化合物F:4−(3−スル
ホプロピルスルホニル)フタロニトリルのNa塩40.
0gを得た。
【0109】窒素気流下、4−ニトロフタロニトリル2
6.0gを200mLのDMF(ジメチルホルムアミ
ド)に溶解し、内温20℃で撹拌しながら29.3gの
3−カルボキシベンゼンスルフィン酸を添加した後、4
2mLのトリエチルアミンを徐々に添加した。更に反応
液を撹拌しながら、80℃まで加温し、同温度で1時間
撹拌した。その後20℃まで冷却し、反応液を塩酸35
mLを加えた水1000mL中にあけて晶析し、析出し
た粗結晶をヌッチェでろ過し、水で洗浄後乾燥した。得
られた粗結晶を、メタノール/酢酸エチルから再結晶し
て、化合物G:4−(3−カルボキシフェニルスルホニ
ル)フタロニトリル33.2gを得た。
【0110】冷却管のついた三つ口フラスコに、n−ア
ミルアルコール70mLを入れ、そこに化合物F5.0
g、化合物G1.6g、塩化銅1.0gを添加し、撹拌
しながら室温で7.0mLの1,8−ジアザビシクロ
[5,4,0]−7−ウンデセン(DBU)を滴下し
た。引き続き、反応液を内温100℃まで加温して、同
温度で10時間撹拌した。その後、40℃まで冷却し、
50℃の加温したメタノール250mLを注入して、還
流下で1時間撹拌した。次に、反応液を室温まで冷却し
た後、得られた固体をヌッチェでろ過し、200mLの
メタノールで洗浄した。続いて得られた固体を塩化ナト
リウムで飽和した100mLの1M塩酸水溶液に加え、
未反応の銅塩を溶かし出した。不溶物をろ過した後、ろ
液に300mLのメタノールを滴下して晶析した後、得
られた粗結晶をヌッチェでろ過し、200mLのメタノ
ールで洗浄した。粗結晶を50mLの水に溶解させた
後、水溶液を撹拌しながら、酢酸ナトリウムの飽和メタ
ノール溶液100mLを徐々に添加して造塩した。更に
撹拌しながら還流温度まで加温し、同温度で1時間撹拌
した。室温まで冷却した後、析出した結晶をろ過し、メ
タノールで洗浄した。引き続き、80%メタノール10
0mLに得られた結晶を加え、1時間還流下撹拌し、室
温まで冷却した後、析出した結晶をろ過し、得られた結
晶を70%メタノール水溶液100mLに加え、1時間
還流撹拌し、室温まで冷却した後、析出した結晶をろ過
し、メタノール100mLで洗浄後乾燥して、化合物2
の青色結晶を3.2g得た。化合物2の20℃における
水への溶解度は29%(W/V)であった。(W/Vは
水1mL当りに溶解しうる色素質量(g)を表す。)
【0111】〔合成例2〕 (化合物3の合成)化合物2の合成において、合成した
化合物F及びGのn−アミルアルコール70mLに対す
る添加量を、化合物Fは3.4g、化合物Gは3.2g
に変更した以外は、化合物2の合成と同様にして、化合
物3を合成した。化合物3の20℃における水への溶解
度は24%(W/V)であった。
【0112】〔合成例3〕 (化合物4の合成)化合物2の合成において、合成した
化合物F及びGのn−アミルアルコール70mLに対す
る添加量を、化合物Fは1.7g、化合物Gは4.8g
に変更した以外は、化合物2の合成と同様にして、化合
物4を合成した。化合物4の20℃における水への溶解
度は21%(W/V)であった。
【0113】〔合成例4〕 (化合物5の合成)化合物2の合成において、合成した
化合物F及びGのn−アミルアルコール70mLに対す
る添加量を、化合物Fは6.0g、化合物Gは0.8g
に変更した以外は、化合物2の合成と同様にして、化合
物5を合成した。化合物5の20℃における水への溶解
度は32%(W/V)であった。
【0114】〔実施例1〕 (水性インクの調製)下記の成分を30〜40℃で加熱
しながら1時間撹拌した後、平均孔径0.8μm、直径
47mmのミクロフィルターを用いて加圧濾過して、イ
ンク液Aを調製した。 −インク液Aの組成− ・色素(具体的化合物例2) 5質量部 ・ジエチレングリコール 9質量部 ・テトラエチレングルコールモノブチルエーテル 9質量部 ・グリセリン 7質量部 ・ジエタノールアミン 1質量部 ・水 70質量部
【0115】前記アゾ色素を、下記表7に示すように変
更した以外は、インク液Aの調製と同様にして、インク
液B〜Kを調製した。
【0116】比較例として下記試料を用いた。 比較染料1:特開2000−303009の合成例2の
化合物 比較染料2:C.I.Direct Blue 86 比較染料3:C.I.Direct Blue 87 比較染料4:C.I.Direct Blue 199
【0117】(画像記録及び評価)インク液A〜Iを用
いて、インクジェットプリンター(PM−700C、セ
イコーエプソン(株)製)で、フォト光沢紙(富士写真
フイルム(株)製インクジェットペーパー、スーパーフ
ォトグレード)に画像を記録した。得られた画像につい
て、色相と光堅牢性を評価した。
【0118】<色相>目視にて下記基準で評価した。 [判定基準] 〇:色相が最良 △:良好である。 ×:不良でる。
【0119】<光堅牢性>記録した直後の画像濃度Ci
を測定した後、ウェザーメーター(アトラスC.16
5)を用いて、画像にキセノン光(8万5千ルクス)を
7日間照射した後、再び画像濃度Cfを測定し、キセノ
ン光照射前後の画像濃度の差から色素残存率({(Ci
−Cf)/Ci}×100%)を算出し、下記基準で評
価した。画像濃度は反射濃度計(X−Rite310T
R)を用いて測定した。
【0120】[判定基準]反射濃度が1、1.5、及び
2.0の3点で測定した。 〇:いずれの濃度においても色素残存率が90%以上で
ある。 △:2点の濃度で色素残存率が90%未満である。 ×:いずれの濃度においても色素残存率が90%未満で
ある。
【0121】<耐オゾンガス性>記録した直後の画像
を、オゾンガス濃度が0.5ppmに設定されたボック
ス内に72時間放置し、オゾンガス下放置前後の画像濃
度を反射濃度計(X−Rite310TR)を用いて測
定し、色素残存率として下記基準で評価した。尚、ボッ
クス内のオゾンガス濃度は、APPLICS製オゾンガ
スモニター(モデル:OZG−EM−01)を用いて設
定した。
【0122】[判定基準]反射濃度が1、1.5、及び
2.0の3点で測定した。 ○:何れの濃度でも色素残存率が70%以上である。 △:1又は2点の濃度で色素残存率が70%未満であ
る。 ×:何れの濃度でも色素残存率が70%未満である。
【0123】<インク保存安定性>インクについて保存
安定性および目詰まり回復性の試験を実施することで染
料の溶解性を評価した。インク保存安定性は、インク液
A〜Kをポリエチレン製容器に入れ、−20℃および、
70℃の条件下で3か月間保存し、保存前後の不溶物析
出の有無を調べ、下記基準で評価した。
【0124】[判定基準]経時後の記録液を試験管にと
り目視で観察した。 ○:不溶分が全く認められない状態である。 △:不溶分が少量認められる状態である。 ×:不溶分が目立ち、実用レベルでない状態である。
【0125】<目詰まり回復性>プリンターに各インク
を充填し、キャップをしない状態で40℃の環境に1ヶ
月間放置し、放置後、全ノズルが正常吐出するまでに要
するクリーニングの動作回数から、下記基準で評価し
た。
【0126】[判定基準] A;クリーニング2回以内で復帰する。 B;クリーニング3〜5回で復帰する。 C;クリーニング6回以上で復帰する。 NG;復帰しない。
【0127】<溶解度>溶解度は化合物の20℃におけ
る水への溶解度(%)であり、W/Vは水1mL当りに
溶解しうる色素質量(g)を表す。
【0128】
【表7】
【0129】表7に示すように、インク液A〜Gから得
られたシアン画像は、インク液H〜Kから得られたシア
ン画像よりも堅牢性が高く、特に耐オゾンガス性には顕
著な差が認められた。また、本発明の調製法によるイン
ク液は、厳しい保存条件に曝されても低溶解成分の析出
による印字の悪化が無く、インク保存安定性、および目
詰まり回復性に優れる事が判った。
【0130】〔実施例2〕 (試料201の作製)シアン色素(具体的化合物例4
3;油溶性染料)4.83g、ジオクチルスルホコハク
酸ナトリウム7.04gを、下記高沸点有機溶媒(s−
2)4.22g、下記高沸点有機溶媒(s−11)5.
63g及び酢酸エチル50ml中に70℃にて溶解させ
た。この溶液中に500mlの脱イオン水をマグネチッ
クスターラーで撹拌しながら添加し、水中油滴型の粗粒
分散物を作製した。次にこの粗粒分散物を、マイクロフ
ルイダイザー(MICROFLUIDEX INC)に
て600bar(60MPa)の圧力で5回通過させる
ことで微粒子化を行った。更にでき上がった乳化物をロ
ータリーエバポレーターにて酢酸エチルの臭気が無くな
るまで脱溶媒を行った。こうして得られた疎水性染料の
微細乳化物に、ジエチレングリコール140g、グリセ
リン50g、SURFYNOL465(AirProd
ucts&Chemicals社)7g、脱イオン水9
00mlを添加してインクを作製した。
【0131】
【化4】
【0132】(試料202〜204の作製)試料201
のシアン色素(具体的化合物例43;油溶性染料)を下
記表8のシアン色素(油溶性染料)に変更した以外は、
試料201と同様に試料202〜204を作製した。
【0133】比較染料5は、WO 00/08103に
記載された方法に従って銅フタロシアニンから銅フタロ
シアニンテトラスルホニルクロライド体を誘導し、つい
で4−オクチルアニリンと反応させて調製した。
【0134】こうして得られた試料201〜204及び
比較試料について乳化分散インクの体積平均粒子サイズ
をマイクロトラックUPA(日機装株式会社)を用いて
測定した。更に、インク試料201〜204及び比較試
料について下記評価を行った。尚、「色調」、「耐光
性」は、各インクジェット用インクを、インクジェット
プリンター(EPSON(株)社製;PM−700C)
でフォト光沢紙(富士写真フイルム(株)製;インクジ
ェットペーパー、フォトグレード)に画像を記録した後
で評価したものである。
【0135】<色相>記録した画像の390〜730n
m領域のインターバル10nmによる反射スペクトルを
測定し、これをCIE L***色空間系に基づい
て、a*、b*を算出した。マゼンタとして好ましい色調
を下記のように定義した。
【0136】[判定基準] 好ましいa*:76以上、 好ましいb*:−30以上0以下 A:a*、b*ともに好ましい領域 B:a*、b*の一方のみ好ましい領域 C:a*、b*のいずれも好ましい領域外
【0137】<光堅牢性>前記画像を形成したフォト光
沢紙に、ウェザーメーター(アトラスC.I65)を用
いて、キセノン光(85000lx)を10日間照射
し、キセノン照射前後の画像濃度を反射濃度計(X−R
ite310TR)を用いて測定し、色素残存率として
下記基準で評価した。
【0138】[判定基準]反射濃度は、1、1.5及び
2.0の3点で測定した。 A:何れの濃度でも色素残存率が80%以上である。 B:1又は2点が80%未満である。 C:何れの濃度でも色素残存率が80%未満である。
【0139】<耐オゾンガス性>前記画像を形成したフ
ォト光沢紙を、オゾンガス濃度が0.5ppmに設定さ
れたボックス内に24時間放置し、オゾンガス下放置前
後の画像濃度を反射濃度計(X−Rite310TR)
を用いて測定し、色素残存率として下記基準で評価し
た。尚、前記反射濃度は、1、1.5及び2.0の3点
で測定した。ボックス内のオゾンガス濃度は、APPL
ICS製オゾンガスモニター(モデル:OZG−EM−
01)を用いて設定した。
【0140】[判定基準] A:何れの濃度でも色素残存率が70%以上である。 B:1又は2点が70%未満である。 C:何れの濃度でも色素残存率が70%未満以上であ
る。
【0141】<インク保存安定性および目詰まり回復性
>実施例1と同じように、各インクについて保存安定性
および目詰まり回復性の試験を実施することで染料の溶
解性を評価した。
【0142】
【表8】
【0143】表8から明らかなように、本発明のインク
ジェット用インクは色調、光及びオゾンガスに対する堅
牢性、インク保存安定性、および目詰まり回復性に優れ
るものであった。
【0144】〔実施例3〕実施例2で作製した同じイン
クを、インクジェットプリンターBJ−F850(CA
NON社製)のカートリッジに詰め、同機にて同社のフ
ォト光沢紙GP−301に画像をプリントし、実施例2
と同様な評価を行ったところ、実施例2と同様な結果が
得られた。
【0145】
【発明の効果】本発明によれば、1)三原色の色素とし
て色再現性に優れた吸収特性を有し、且つ光,熱,湿度
および環境中の活性ガスに対して十分な堅牢性を有する
溶解性に優れた新規なフタロシアニン色素の製造方法、
及び該製造方法により得られたフタロシアニン色素を用
いた着色組成物を提供し、2)前記着色組成物の使用に
より、インク保存安定性、および目詰まり回復性に優
れ、良好な色相を有し、光及び環境中の活性ガス、特に
オゾンガスに対して堅牢性の高い画像を形成することが
でき、様々な環境条件化で使用されても記録安定性の高
い、インク、インクジェット記録用インク、インクジェ
ット記録用インクセット、前記インクジェット記録用イ
ンクを用いたインクジェット記録方法、及び容器を提供
することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09B 47/073 C09B 47/08 47/08 67/20 G 67/20 C09D 11/00 C09D 11/00 B41J 3/04 101Y (72)発明者 野呂 正樹 神奈川県南足柄市中沼210番地 富士写真 フイルム株式会社内 Fターム(参考) 2C056 EA13 FC02 2H086 BA02 BA51 BA55 4C050 PA12 PA13 PA15 4C072 BB04 CC04 CC13 EE09 FF16 GG01 HH02 4J039 BC60 GA24

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶解性基又はその前駆体が異なるフタロ
    ニトリル、および、溶解性基又はその前駆体が異なるフ
    タル酸誘導体から選ばれる少なくとも2種類と、金属誘
    導体と、を反応させて得たフタロシアニン色素を製造す
    ることを特徴とするフタロシアニン色素の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記フタロシアニン色素が、4つのベン
    ゼン環を有しているフタロシアニン骨格からなり、前記
    4つのベンゼン環に、ハメットの置換基定数σp値が
    0.4以上である、異なる溶解性基が、それぞれ少なく
    とも1個以上存在していることを特徴とする請求項1に
    記載のフタロシアニン色素の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載のフタロシアニン
    色素の製造方法により得られたフタロシアニン色素。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載のフタロシアニン色素を
    含有することを特徴とする着色組成物。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の着色組成物を含有して
    なるインク。
  6. 【請求項6】 請求項4に記載の着色組成物を含有して
    なるインクジェット記録用インク。
  7. 【請求項7】 色素濃度の異なる2種以上のインクジェ
    ット記録用インクを備えるインクジェット記録用インク
    セットであって、前記インクジェット記録用インクが、
    請求項6に記載のインクジェット用インクであることを
    特徴とするインクジェット記録用インクセット。
  8. 【請求項8】 請求項6に記載のインクジェット記録用
    インクにエネルギーを供与して、前記インクの液滴を受
    像材料へ吐出させ、受像材料表面に画像を記録すること
    を特徴とするインクジェット記録方法。
  9. 【請求項9】 請求項6に記載のインクジェット記録用
    インクを収容してなることを特徴とする容器。
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