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JP2002518853A - 超電導トンネル接合デバイス - Google Patents

超電導トンネル接合デバイス

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Publication number
JP2002518853A
JP2002518853A JP2000555304A JP2000555304A JP2002518853A JP 2002518853 A JP2002518853 A JP 2002518853A JP 2000555304 A JP2000555304 A JP 2000555304A JP 2000555304 A JP2000555304 A JP 2000555304A JP 2002518853 A JP2002518853 A JP 2002518853A
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JP
Japan
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superconducting
region
tunnel junction
normal
quasiparticles
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Withdrawn
Application number
JP2000555304A
Other languages
English (en)
Inventor
ブース、ノーマン、イワート
ウロム、ジョエル、ナザン
ナハム、マイケル
Original Assignee
イシス イノベイション リミテッド
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Priority claimed from GBGB9813108.9A external-priority patent/GB9813108D0/en
Priority claimed from GBGB9907460.1A external-priority patent/GB9907460D0/en
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Publication of JP2002518853A publication Critical patent/JP2002518853A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

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    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10NELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10N60/00Superconducting devices
    • H10N60/10Junction-based devices
    • H10N60/128Junction-based devices having three or more electrodes, e.g. transistor-like structures

Landscapes

  • Superconductor Devices And Manufacturing Methods Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 超電導トンネル接合デバイスであって、超電導領域(S1)の準粒子は、ノーマル・メタル・トラップ(N1)へ弛緩し、そのポテンシャル・エネルギを電子−電子の相互作用において解放し、トラップの中の励起されたチャージ・キャリヤの数を増やすようになっている。その励起されたチャージ・キャリヤは絶縁のトンネル接合障壁(I2)を通って第2の超電導領域(S2)へトンネルする。第1の超電導領域の準粒子は、エネルギの大きい粒子/放射線の吸収によって、あるいはベース領域からトンネルして入ってくるチャージ・キャリヤによる注入によって形成され、ベース領域は、ノーマル・メタル(N0)または超電導体(またはその両方)または半導体であってよい。第2の超電導体に対するトラップからの電流は、ベース領域から出てくる電流より大きく、従って、電流増幅を提供する。従って、このデバイスは、三端子トランジスタに似たデバイスを形成する。それは粒子/放射線検出器として、あるいはその中でアナログ信号増幅器またはマイクロ冷却素子またはデジタル・スイッチとして使うことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本発明は、電流および電圧の両方の低レベル信号を増幅器することができる超
電導トンネル接合デバイスに関する。
【0002】 増幅機能を有し、入力が出力からよく隔離されている超電導三端子デバイスに
対する研究は、20年以上にもわたって進捗してきている。半導体電子回路に比
べて超電導電子回路の利点は、2つの広い領域に基づいている。1つは、ジョセ
フソン接合の高いスイッチング速度および低い電力消費に基づいたデジタル的応
用であり、もう1つは、非常に広い周波数スペクトルでの電磁現象に対する極端
に高い感度および応答に基づいたアナログ的応用である。このスペクトルは、直
流および低周波の磁場(SQUIDデバイスが使われる場所)から、マイクロ波
およびミリ波、赤外線、光およびUV照射まで、並びにX線およびγ線の検出お
よびスペクトル分析の範囲にまでわたっている。また、電子回路の温度を下げる
ことは、その本来的なノイズを減らす傾向がある。しかし、コンプリメント三端
子トランジスタに似たデバイスはなく、これらの利点は、非常に特殊化された応
用に対して限定される。ごく近い将来において、特に天体物理学に対する超電導
フォトン計数分光器の応用において、多くの検出器ピクセルおよびアナログ電子
回路チャネルが必要となる。
【0003】 これらの利点を利用するために、三端子トランジスタに似たデバイスは、以下
の厳しい性質を満足しなければならない。 ・電流利得 ・電圧利得 ・入力と出力との隔離 ・高速度 ・超大規模集積(VLSI)への可能性 ・低消費電力 ・他のデバイスおよび伝送線路とのインピーダンスの互換性 ・製造性 デジタル設計の容易化のために、三端子デバイスは、反転型でラッチしないこ
とも必要である。
【0004】 不平衡の超電導および準粒子力学に基づいた少なくとも3つの異なるデバイス
が提案され、研究されてきた。それらはグレイ効果トランジスタ、準粒子素子お
よび準粒子乗算器である。これらは、それぞれ以下に簡単に説明されるが、これ
らのデバイスのすべてが準粒子トンネリングを利用する。
【0005】 グレイ効果トランジスタはUS−A−4,157,555号の中で記述され、
超電導体−絶縁物−超電導体(SIS)接合における準粒子に対する2つのトン
ネル化プロセス(およびそれらの逆)が存在し、ある種の条件下では、複数のト
ンネル化が発生する可能性があるという事実に依存している。グレイ効果トラン
ジスタは、プレーナ並列配置構成における超電導材料の3つの薄膜を配置するこ
とによって、その膜を絶縁酸化物の層によって互いに絶縁することによって形成
され、2つのトンネル接合を形成する。1つの接合は、超電導のエネルギ・ギャ
ップの約2倍にバイアスされ、他の接合は、超電導のエネルギ・ギャップの2倍
以下にバイアスされている。1つの接合によって中央に準粒子を注入することに
より、第2の接合において電流利得が提供される。
【0006】 この複数トンネル効果は、準粒子のトラッピングと組み合わされる時、単独の
X線量子の吸収からの低レベル信号を増幅するために使われてきた。比較的最近
になって、約200以上の複数トンネル化増幅係数を有する同じ方式は、個々の
光量子のエネルギをカウントして測定するために使われてきている。この増幅方
式は、極端に有用であることが証明されているが、それは電流増幅ではなく、電
荷増幅を発生し、すなわち、電流パルスの振幅ではなく、その長さが拡張される
【0007】 準粒子素子は、EP−AI−0081007号の中で記述されており、ダブル
SISトンネル接合構造の中央電極のエネルギ・ギャップΔの抑圧によって利得
を発生する。このデバイスにおいては、中央の超電導層の超電導エネルギ・ギャ
ップがエネルギの大きい準粒子の過剰注入によって変えられ、そのエネルギ・ギ
ャップがその熱平衡値に関して大幅に変化し、ほとんどの場合、消滅させられる
ようになる。このデバイスの一例においては、三電極デバイスが電極間にトンネ
ル障壁を設けて作られる。第1のトンネル接合は、中央の超電導電極の中にエネ
ルギの大きい準粒子を大量に注入するために使われ、その超電導エネルギ・ギャ
ップを劇的に変化させる。順に、これは第2のトンネル接合の電流/電圧特性を
大幅に変更する。初期には、このデバイスは、非常に有望であるように思われた
が、アナログまたはスイッチングのいずれに対しても、すべての要求を満たすこ
とはなく、特に出力から入力の隔離の要求を満たさなかった。この問題は、トラ
ンジスタに似た動作の二液体(Landauer)モデルを使って視覚化するこ
とができ、その中で、三端子デバイスは、液体駆動型の「ピストン」との類似性
において示され、「制御」液体が第2の「移動」液体の流れを制御する。適切な
動作のために、液体は、それらの間にほとんど混合がなく分離されることが重要
である。バイポーラ・トランジスタの場合、小さいベース電流がずっと大きなコ
レクタ電流を制御し、出力における変化が入力には、ほとんど影響しない。同様
な特徴は、ほとんどの他の半導体三端子デバイスに対しても適用される。しかし
、準粒子素子の場合、中央の超電体電極が僅かな程度の一方向性だけで入力と出
力との間で共有される。そのようなデバイスは、あまり有用ではない。さらに、
ギャップの抑圧は、平衡からの大きな偏位を要求する。
【0008】 準粒子乗算器[N E ブース“Quasiparticle trappi
ng and the quasiparticle multiplier”
(準粒子トラッピングおよび準粒子乗算器)、Appl.Phys Lett,
50,293(1987)]は、準粒子トラッピング方式を使用する。準粒子素
子と同様に、それはトンネル障壁によって分離された3つ(最小限)の導電性膜
から構成されている。中央の膜は、2つの超電導体の二層構造の膜であり、一次
膜S1のエネルギ・ギャップは、Δ1であり、トラッピング膜S2のエネルギ・
ギャップは、Δ2である。Δ2がΔ1の3分の1より小さい場合、トラッピング
のプロセスにおいて放射されるフォノンによって、追加の準粒子が作り出される
可能性があり、そのプロセスではS1からS2へ拡散していく準粒子が低い方の
エネルギ・ギャップへ弛緩する。準粒子素子と対照的に、高い方向性がある。元
々提案されたように、いくつかの段を光電子増倍器のようにカスケードに接続す
ることができるが、Nb−Al膜に対する1段当たりの利得は、3より大きくな
く、この値は、弛緩フォノンがトラップの中に吸収される場合(ほとんどあり得
ない)にのみ得られる。
【0009】 上記の3つのデバイスのすべてがジョセフソン効果を抑圧するために小さな磁
場を印加する必要があることも注意する必要がある。
【0010】 特定の応用を有する可能性のある他のデバイス、例えば、渦流に基づいたデバ
イスも提案され、研究されてきた。ごく最近、ノーマル・メタル膜を通る電流に
よる超電導電流の制御に基づいた新しいデバイスは、A F モルプルゴ(Mo
rpurgo)、T M クラプウェイク(Klapwijk)およびB J
バン・ウィーズ(van Wees)の“Hot Electron Tuna
ble Supercurrent”(ホット・エレクトロン制御可能な超電導
電流)、Appl.Phys.Lett.72,966(1998)において提
案された。
【0011】 従って、満足できるトランジスタに似た超電導デバイスに対するニーズは、ま
だ満たされていない。
【0012】 本発明は、1つのデバイスを提供し、その中で超電導領域からエネルギ・ギャ
ップΔで通常の領域へ移動している準粒子が電子−電子の相互作用において、そ
のポテンシャル・エネルギを失い、通常の領域において熱的に励起された平衡状
態の数より多い数の励起された電子を増加させる。この増加が電流増幅に対する
基本である。同じ効果がホールで発生する可能性がある。以下において、チャー
ジ・キャリヤという用語は、電子またはホールを指すために使われる。
【0013】 さらに詳しく言えば、本発明に従って第1のノーマル領域と接触している第1
の超電導領域を含んでいる超電導トンネル接合デバイスが提供され、第1のノー
マル領域へ弛緩している第1の超電導領域からの準粒子のポテンシャル・エネル
ギが第1のノーマル領域のフェルミ・レベル以上に励起されたチャージ・キャリ
ヤの数の増加に変換される。
【0014】 そのデバイスは、トンネル接合を形成するための絶縁トンネル障壁によって第
1のノーマル領域から分離されている第2の超電導領域をさらに含むことができ
、そのトンネル接合を横切ってチャージ・キャリヤが第2の超電導領域へトンネ
ルし、準粒子をその中で形成する。この第2の超電導領域は、そのデバイスの電
極を形成することができる。
【0015】 第2の超電導領域および第1のノーマル領域を互いに相対的にバイアスし、第
2の超電導領域のエネルギ・ギャップが第1のノーマル領域のフェルミ・レベル
に近くなるようにすることができる。
【0016】 従って、第1のノーマル領域(導電領域)は、第1の超電導領域からの準粒子
に対するトラップとして働き、準粒子がそのトラップに入ると、弛緩し、そのポ
テンシャル・エネルギがノーマル・トラップの中のチャージ・キャリヤの運動エ
ネルギに変換される。このノーマル・トラップは、NIS(ノーマル、絶縁体、
超電導体)接合であるトンネル接合の通常の電極として働くように構成される。
弛緩している準粒子からのエネルギの転送によって、ノーマル・トラップの中の
チャージ・キャリヤの数が熱励起によって生成される平衡数以上に増加する。こ
れが電流増幅の基本である。ノーマル・トラップ領域は、以前には超電導電極か
らの準粒子のエネルギを消費させるために使われてきたが、本発明においては、
そのエネルギが消費されず、ノーマル・トラップの中のチャージ・キャリヤを励
起するために使われ、それによって増幅された電流が形成される。
【0017】 この超電導デバイスの重要な特徴は、第1の超電導領域の中のエネルギ・ギャ
ップの存在であり、第1の超電導体領域の中の準粒子のポテンシャル・エネルギ
Δがチャージ・キャリヤの励起に変換され、それが順に、第2の超電導領域に対
してトンネル電流を形成し、それがノーマル・メタル・トラップの中に励起され
たチャージ・キャリヤが存在する時だけ流れる。
【0018】 第1の超電導領域の中の準粒子は、そのデバイスが検出器として使われている
時、入射する放射または粒子(例えば、核粒子)によって、その中に直接、生成
されるか、あるいは「ベース」領域からトンネル接合を経由して注入されるかの
いずれかで生成することができる。(「ベース」という用語は「エミッタ」、「
コレクタ」と同様にバイポーラ・トランジスタとの類似性で使われている。ただ
し、明らかに、物理的な動作原理は異なっている)。ベース領域は、絶縁トンネ
ル障壁によって第1の超電導領域から分離されている第2のノーマル領域を含む
ことができる。そのベース領域は、トンネル障壁を通ってフェルミ・レベル以上
に励起されたチャージ・キャリヤが第1の超電導領域において準粒子を形成する
ように電気的にバイアスされる。従って、そのデバイスの構造は、N−I−SN
−I−Sとなっている。その増幅効果は、第1のノーマル領域(トラップ)の中
の励起されたチャージ・キャリヤの数を第2の領域に対して比較することによっ
て理解することができる。ベースにおいては、励起されたチャージ・キャリヤの
数は、単純に熱平衡の励起された数である。しかし、トラップにおいては、その
数は、第1の超電導領域からの弛緩している準粒子からのエネルギによって増加
される。この数の増加が増幅を表している。
【0019】 ノーマルのベース領域についての上記のN−I−SN−I−Sデバイスにおい
て、第1のノーマル領域は、エミッタ電極を形成することができ、第2の超電導
領域がコレクタ電極を形成し、従って、バイポーラ・トランジスタに似たデバイ
スを生成している。
【0020】 他の実施形態においては、ベース領域は、1つの超電導領域を含むことができ
、その場合、ベース−エミッタ接合がジョセフソン接合として働く。すなわち、
小さい磁場を印加することによって、その中のジョセフソン電流を抑圧すること
ができる。もう1つの代替案は、ベース領域が半導体膜である場合、例えば、放
射線検出器として使われる場合である。
【0021】 上記N−I−SN−I−Sデバイスを密接に接触しているもう1つの超電導体
領域を有しているノーマルなベース領域によって変更し、ベースのノーマル膜が
もう1つの超電導領域の中で発生された準粒子に対するトラップとして働くよう
にすることができる。そのようなデバイスも放射線検出器として、特にX線また
はフォノン検出器として使うことができる。
【0022】 コレクタ領域(第2の超電導体)は、エミッタ領域(第1のノーマル領域)に
対して相対的に電気的にバイアスされ、エネルギ・ギャップのトップがエミッタ
のフェルミ・レベルのすぐ上にあるようにし、チャージ・キャリヤのトンネリン
グを可能にするようになっている。同様に、ベース領域が提供されている場所で
は、ベースとエミッタが相対的に同様にバイアスされ、第1の超電導領域のエネ
ルギ・ギャップのトップをフェルミ・レベルのすぐ上に置き、チャージ・キャリ
ヤのトンネリングを可能にしている。
【0023】 第2の超電導領域は、そのものがコレクタ電極を形成することができるが、そ
れに接触しているもう1つのノーマル領域をその領域からの準粒子に対してトラ
ップとしてさらに提供することも可能である。次に、そのノーマル領域がコレク
タ電極の電気的および熱的な接触を形成する。
【0024】 上記のデバイスにおいて、ベース−エミッタ接合またはコレクタ−エミッタ接
合を2つまたはそれ以上の並列の接合に分割して加算回路、ファンアウト回路ま
たはダブル・コレクタ回路を提供することができる。
【0025】 そのデバイスの中で使われる材料に関しては、超電導体は、任意の超電導材料
、例えば、ニオビウム、窒化ニオビウムまたはアルミニウムであってよく、ノー
マル領域は、金属と同様な導電性の領域、例えば、モリブデン、タングステン、
マグネシウム、カルシウム、銅、パラジウム、銀または金などの金属の領域であ
ってよい。その超電導材料は、特にアルミニウムが使われている場合、超電導コ
ヒーレンス長を減らすために不純あるいは不規則なものとすることができる。も
ちろん、高温超電導体または有機超電導体も使うことができる。
【0026】 このデバイスは、半導体トランジスタに類似した方法でアナログ電気信号増幅
器として、あるいはデジタル・スイッチング・デバイスとして使うことができる
。また、広範囲の粒子/放射線、例えば、核粒子、フォトン、X線、フォノン、
二分子イオンまたは塵埃粒子などのための検出器としても使うことができる。従
って、それは各種の計測器、例えば、質量分析器、走査型電子顕微鏡と組み合わ
せて使うことができる。
【0027】 また、このデバイスは、マイクロ冷却素子としても使うことができる。この理
由は、ベース領域から「ホット」チャージ・キャリヤを取り除くことによって、
その領域の電子冷却ができるからである。その冷却効果は、同じベース領域を冷
却するために2つまたはそれ以上のデバイスを使うことによって増加させること
ができる。
【0028】 このデバイスは、ノーマル領域から超電導体へのチャージ・キャリヤのトンネ
ル化が電子またはホールのいずれかであるようにバイアスすることができること
が理解される。
【0029】 従って、本発明のデバイスは、広範囲の各種の機能を実行することができ、ま
た超電導三端子デバイスに必要な性質のすべてを有することが理解される。単純
にバイアスの極性を逆にすることによって、同じデバイスからpnpおよびnp
nのバイポーラ・トランジスタの両方に等価な出力特性を実現することができる
。また、半導体の分野には存在しない2つの相補デバイス、すなわち、電流利得
が負であるデバイスを簡単に実現することができる。準粒子素子とは対照的に、
出力における変化の入力に及ぼす影響は、最小限であり、従って、入力と出力と
の間の分離が良好である。また、このデバイスは、ジョセフソン接合回路と簡単
に合同することができる。この理由は、上記の従来の技術において説明された3
種類の不平衡デバイスとは異なり、ジョセフソン効果を抑圧するための磁場が不
要であるからである。このデバイスは、高感度で光学的にカップルされた入力を
受け入れるように構成することができる。
【0030】 1つの特定の利点は、放射線損傷に対する抵抗性が高いことである。これによ
って、このデバイスは、原子炉またはアクセラレータまたは宇宙(例えば、衛星
上)などの苛酷な環境において使うことができる。
【0031】 本発明を添付の図面を参照しながら以下にさらに記述するが、これは単なる例
示にすぎない。
【0032】 本発明の第1の実施形態の動作は、図1を参照して以下に説明される。簡単の
ために、準電子トンネル化に関して説明される。ただし、以下に説明されるよう
に、バイアス極性の1つまたは両方を逆転することによって、超電導領域におけ
る準ホールを形成するためにホールがトンネルする類似のデバイスが与えられる
【0033】 それはノーマル・メタルN1と、それにメタリックに接触しているエネルギ・
ギャップΔ1の超電導体S1から構成されている二層構造に基づいている。拡散ま
たは衝突によってS1からN1へ移動する準粒子は、励起された電子(およびホー
ル)の数を熱励起の平衡状態の数以上に増加させることによって、そのポテンシ
ャル・エネルギ≧Δ1を解放する。フェルミ・レベル以上にチャージ・キャリヤ
の個数を増加させることは、トラップN1がノーマル−絶縁物−超電導体(NI
S)接合のN個の電極としても使われる時の電流増幅のための基本である。
【0034】 図1の上部に概略的に示されているように、入力段は、ノーマル・メタル領域
0、絶縁トンネル障壁I1、その次に超電導領域S1から構成されているNIS
トンネル接合J1から構成されている。ノーマル・メタルの準粒子トラップN1
超電導領域S1に対して付着されている。このノーマル・メタル・トラップN1
、絶縁のトンネル障壁I2およびもう1つの超電導領域S2によって形成される第
2接合J2(N122)のノーマル−メタル電極として働くように構成されてい
る。接合J1およびJ2は、それぞれ準粒子素子との類似性における「インジェク
タ」および「アクセプタ」と考えることができる。シンボルOは、電気的接触を
示す。一般に、その接触は、超電導性であるべきであるが、これは必ずしも不可
欠ではない。それらはバイポーラ・トランジスタに対するベース、エミッタおよ
びコレクタの接続に対するラベルとの類似性においてb、e、cとラベルが付け
られている。
【0035】 このデバイスの動作は、図1の下側の部分の中の電子エネルギ・レベルを参照
することによっても理解することができる。超電導体およびノーマル・メタルに
おける充填された(影付きの)および空の電子状態がエネルギの縦方向のプロッ
ト付きで示されている。また、フェルミ・レベル以上に励起された電子およびそ
の仲間のホールの状態も示されている。超電導体の中の価電子のほとんどが従来
のシンボルによって示されているようなフェルミ・レベルにおけるクーパ(Co
oper)ペアの形式である。任意の動作温度Tにおいて、N0の中のいくつか
の電子がフェルミ・レベルEF以上の状態まで熱的に励起され、それに対応して
いるEF以下のホール状態を残している。(励起された電子の数は、多くの方法
、例えば、N0電極におけるエネルギの大きい電子の注入または放射の吸収によ
って増加させることができる)。N0の中のエネルギがΔ1とeVbeとの差より大
きい電子(ここで、eは電荷であり、Vbeはコンタクトbとeとの間のバイアス
電圧である)が絶縁のトンネル障壁I1を通ってトンネルすることができ、S1
において準粒子となる。これはN0電極における電子に及ぼす冷却効果を有する
。N0の冷却効果は、N0が放射またはフォノンの検出器として使われる時、その
デバイスが2段のマイクロ冷却素子として使われる時に重要である。しかし、デ
バイスが回路要素としてみなされる時、このN0の冷却を無視することができる
。S1の中に注入される各準粒子のポテンシャル・エネルギは、≧Δ1である。拡
散または衝突の輸送によって準粒子がノーマル・メタル領域N1に到達すると、
それらは、それぞれのポテンシャル・エネルギを解放することによって弛緩する
。本発明によると、このエネルギは、ノーマル・メタル領域N1の中の他の電子
と共有することによって解放され、従って、N1の中の電子システムを加熱し(
電子−電子相互作用)、トラップから脱出することができるフォノンを解放する
ことによってではなく、構造全体を加熱する(電子−フォノンの相互作用)。従
って、N1におけるフェルミ・レベル以上の電子の平均個数における増加および
ホールの数における対応している増加がある。N0とN1が似た温度にある場合、
トラップされた各準粒子に対して約kBTのエネルギまで励起された電子の数<
n>がある。ここで、kBは、ボルツマン定数である。ここで、ノーマル・メタ
ル領域N1は、第2の接合N122のノーマル・メタル電極として使われている
。この第2の接合の電流は、第1の接合の電流より大きくなり、それはそのノー
マル・メタル電極N1の中に<n>〜Δ1/kBT倍の数の「ホット」電子がある
からである。従って、一次近似でΔ1/kBTの電流利得を伴う増幅効果がある。
電流が連続であるので、励起されたトンネル化電子は、電源からeコンタクトの
中に注入されたフェルミ・レベルにおける電子によって置き換えられる。
【0036】 二流体モデルの表現では、「制御」流体は、ベース−エミッタ電流、すなわち
、N0からN1への電流であり、「ピストン」は、エミッタ電極N1の実効電子温
度Teであり、「移動している」流体は、コレクタ電流、すなわち、Teの強い関
数であるN1からN2への電流である。N1の中の電子の温度変化がN0の中の電子
の温度変化を発生するバック・ミキシングは、非常に間接的にしか発生しない可
能性があり、そのことは出力が入力からかなり十分に隔離されていることを意味
する。
【0037】 バイポーラ・トランジスタまたは電界効果トランジスタとの類似性は、正確で
はない。バイアスの極性および電流の流れがエミッタに対して相対的に定義され
ている半導体デバイスを記述するための決まりにおいて、バイアス電圧がVbe
よびVccとして示されている図1のデバイスの電流利得は、負である。このデバ
イスは、図8(c)によって抽象的に記述されている。両方のバイアス極性が反
転された場合、図8(d)のデバイスが得られ、その電流利得も負である。これ
らのデバイスに対応している半導体トランジスタはない。バイアスの極性が(c
)または(d)から逆転されている図8(a)および(b)のデバイスの電流利
得は、正であり、npnおよびpnpのバイポーラ・トランジスタにそれぞれ最
もよく似ている。
【0038】 3つの電極のどれかを分割して、2つまたはそれ以上の並列の接合にすること
もできる。これは図9(a)において概略的に示されているように加算回路を作
るためのベース電極によって、図9(b)によって示されているようなエミッタ
電極によって、またはファンアウト回路を作るためのコレクタ電極によって行う
ことができる。そのような回路には、ある種の応用があり得るが、並列の接続が
互いに十分には隔離されていないので、おそらくあまり有用ではない。もっと有
用なデバイスは、図8(e)および(f)に抽象的に示されているように、2つ
の出力(同じ接合領域の)が直列になっているダブル・コレクタ接合によるデバ
イスであり、その物理的構造が図9(c)に概略的に示されている。これらのデ
バイスの電流利得は、単独コレクタ・デバイスの半分であるが、電圧利得は、倍
である。エミッタが接地されているように示されているが、これはその必要はな
い。そのバイアス電圧は、2つのコレクタ間のちょうど中間である必要がある。
【0039】 もう1つのノーマル・メタル・トラップN2を第2の超電導領域S2の上に製造
することができ、これを1つまたはそれ以上のさらにカスケードに接続されてい
る段に対する入力電極として使うことができる。
【0040】 このデバイスの直流動作が以下に説明される。ふたたび図1の中に概略的に示
されている実施形態およびエネルギ・レベルの図を参照する。
【0041】 両方の接続に対する電流INIS、電圧Vと温度Tとの間の関係は、以下の既知
の近似NIS式によって与えられる。
【0042】 ここで、電流も(Δ/e)/RNNの単位で正規化された形式Iで書かれている
。ここで、RNNは、接合のノーマル状態の抵抗であり、正規化された変数の項で
はYおよびZは、以下のように表される。
【0043】 |Y|<1の場合、順方向の特性は、指数関数的であり、これはpn接合の特
性に似ている。しかし、半導体のpn接合と対照的に、その逆方向特性は、順方
向特性の非対称的な特性である。図1において、S1の中の準粒子のほとんどが
トラップN1に入り、そのポテンシャル・エネルギ を与えることによってN1のフェルミ・レベルの近くにまで弛緩する。超電導ト
ラップに関与した準粒子増倍器において、この弛緩は、フォノンの照射によって
発生した。しかし、本発明においては、この弛緩は、電子−フォノン(e−p)
の相互作用ではなく、電子−電子(e−e)の相互作用によって主として発生す
る。その望ましい結果は、トラップされた準粒子のエネルギがそのトラップの中
の電子システムを加熱し、フォノンの照射(それは主として、そのトラップを抜
け出して構造全体を加熱する)によって失われないことである。その望ましい結
果は、励起することができる大量の自由電子を有するノーマル・メタル・トラッ
プに対して起こりやすく、一方、超電導トラップにおいては、電子のほとんどが
クーパ・ペアにおいて束縛され、2個の励起された電子を発生するためには2Δ
のエネルギが必要である。例えば、35〜250mKの範囲内の温度において超
電導のアルミニウム膜の場合、ノーマル・メタル銀の並んで立っているトラッピ
ング膜によって、準粒子は、そのエネルギの80%以上を銀の中の導電電子に対
して転送し、100mKにおける超電導アルミニウム膜の場合、並んで立ってい
るノーマル・メタル銀のトラッピング膜によって、準粒子は、そのエネルギーの
90%以上を銀の中の導電電子に対して転送する。このプロセスに対する効率を
ηとすると、ベース電流Ibは、以下の式によって与えられるN1へのパワーフロ
ーを発生する。
【0044】 図2は、図1のデバイスにおけるパワーフローのメイン・ルートを概略的に示
している。パワーPbは、信号励起に起因するベース電極N0の中へ流れ込むパワ
ーを表している。ジュール・パワーPj1=IbbeおよびPj2=Icceは、第1
および第2の超電導領域S1およびS2において、それぞれフォノン・システムの
中で消費される。準粒子のトラッピングに起因するノーマル・メタルのエミッタ
電極N1へのパワーフローPeは、式(3)によって与えられる。ただし、損失P L1 は、同じ形式であるが、ηが(1−η)によって置き換えられている。もちろ
ん、電流は、連続である。再結合によって失われる準粒子は、フェルミ・レベル
にあるクーパ・ペアによって置き換えられ、N層からトンネルする励起された電
子がフェルミ・レベルにある電子によって置き換えられる。上記のように、NI
Sのトンネリングは、ノーマル・メタル電極の中の電子を冷却するという顕著な
性質を有する。PN0およびPN1として示されている、ノーマル・メタル領域N0
およびN1からのトンネルに起因する冷却パワーは、以下の式によって与えられ
る。
【0045】 前に説明されたように、ほとんどの場合、PN0を無視する。また、最終の電気
抵抗に起因するバイアス電流によってN0およびN1の層の中でジュール・パワー
が消費される可能性もある。以下に説明されるデバイスの場合、これは無視でき
た。
【0046】 量Pep0およびPep1は、N0およびN1の電極の中の電子システムからそれぞれ
のフォノン・システムに対する、従って、温度T0に保たれている基板に対する
熱的パワー損失である。これらの熱的パワー損失は、以下の式のように書くこと
ができる。
【0047】 ここで、ΩNは、電子温度TNにあるノーマル・メタルのボリュームであり、Σは
、1〜5nWμm-3-5の範囲内の値の材料依存の量である。この式において、
N電極におけるフォノン温度は、ヒート・バスT1と同じであると仮定した。こ
れが良好な近似となる範囲は、その膜の幾何学的構造およびそれぞれの基板に対
するカップリングの詳細によって変わる。
【0048】 最後に、PSSとして示されている残りのパワーは、基板の中で消費される必要
がある。このパワーは、 のエネルギにあるS2における準粒子のポテンシャル・エネルギの中に主として
存在する。このエネルギは、主として粒子再結合によって失われ、結果の2Δの
フォノンがデバイスの中に逆にリークし、パワーフローを変える可能性がある。
この効果によって、準粒子が再結合する前にその接合から拡散するように、第2
の超電導領域S2を大面積の電極とすることによって最小化することができる。
代わりに、ノーマル・メタル膜N2は、例えば、図9、図10、図12および図
13に示されているように、準粒子およびサーマライザに対するトラップとして
働くように第2の超電導領域S2に対して付着させることができる。このもう1
つのノーマル・メタル膜N2は、基板に十分結合されている必要がある。
【0049】 上で得られたΔ1/kBTよりもっと実際的な電流利得の近似評価が以下に説明
される。
【0050】 エミッタ電極N1から出入りするパワーフローを考える。直流状態においては
、正味のフローは、0でなければならない。それによって以下の式が成立する。
【0051】 第1項は、弛緩している準粒子によって与えられるパワーであり、第2項は、
上記の熱的パワー損失であり、右辺は、エミッタからコレクタへ流れるパワーで
ある。これは、このデバイスの動作を支配する基本式である。
【0052】 ここで、式(6)の2つの異なるリミットを考える。ある場合(例えば、以下
に説明されるようなデバイスの場合)、コレクタ電流に起因する冷却パワーを無
視することができる。この場合、(A)式(6)の右辺(rhs)は、非常に小
さく、エミッタ電子温度は、左辺(lhs)を0に設定することによって計算さ
れ、以下の式が得られる。
【0053】 このIbの値に対するIcは、次に式(1)の中に、この値Teを挿入すること
によって求めることができる(一定のVceに対して)。
【0054】 簡単にPepの項を無視して、以下の式(B)が得られる。
【0055】 マイクロ冷却素子のテストにおいては、0.9〜0.95のバイアス電圧eV
/Δが最も良い結果を与えた。従って、10〜20の電流利得がΔ1≒Δ2に対し
て実現可能である。
【0056】 Pepの項を含めると、式(6)は、入力電流IbをIc、Vceおよびエミッタ電
極Teの電子温度の関数として解かなければならない。これらの3つの値は、パ
ワー平衡式(6)によって、および式(1)によって与えられているコレクタの
I/V特性の両方によって関連付けられていることに注意される。解の一例が図
3に示されており、その中では式(6)の両辺がスケールされたエミッタ温度T e /T0(ここで、T0はベースの温度である)の関数としてプロットされている
。その交点が動作点であり、エミッタの電子温度Teおよびパワーフローの大き
さを与える。点AおよびBは、上記のリミット(A)および(B)に適応する。
【0057】 このモデルによると、入力電流Ibは、Tcを増加させ、固定のVceに対して、
出力電流Icの振幅が2つの接合のすべての極性の組合せに対して増加する。し
かし、Icの増加がIbの変化を生じる可能性がある直接のメカニズムは、存在し
ない。従って、出力から入力への分離は、大きい。フォノンの生成および幾何学
的配置構成に強く依存するS2、N1およびS1から逆にN0へ戻る転送の詳細のモ
デルは、トランジスタの場合の電圧フィードバック比に類似している間接のカッ
プリングを評価するために必要である。その電流利得は、図1に示されているよ
うに、バイアス電圧|Vce|がΔ2に近付く時に1を超える可能性がある。しか
し、|Vce|は、Δ2をあまり大きく超えてはならない。この理由は、ホールお
よび電子の両方がN1の温度にほとんど依存せずに流れる可能性があるからであ
る。
【0058】 コレクタ特性の例が100mKにおけるAlに対応しているΔ1、Δ2およびT 0 に対して図5に示されている。
【0059】 図に示されているように、線形の負荷線を選定して(a)一定電圧のバイアス
における電流利得または(b)一定電流のバイアスにおける電圧利得(または任
意の中間の組合せ)のいずれかを与えることができる。例えば、正規化されたベ
ース電流の0.0025から0.0050までの変化によって、RNN1=RNN2
対して8.5の電流利得に対応して負荷線(a)に沿って、0.021の正規化
されたコレクタ電流の変化が与えられる。
【0060】 線形動作の領域は、抵抗の負荷線に対して制限されるが、(c)負荷として別
のデバイスを使うことによって線形の領域を拡大することができることが分かる
。図5の中の水平方向の目盛りは|Yce|=0.98まで伸びており、この値に
おいて、式(1)の近似が下記の正確な式から大幅にずれはじめ、電流を40%
だけ多く評価する。
【0061】 式(6)において を使うことによって、S1およびS2を異なる超電導体とすることができる。また
、接合のノーマル状態の抵抗値RNN1とRNN2とが異なる配置構成およびN1トラ
ップのボリュームを変更する(限度内で)ことも可能である。従って、設計にお
いて、かなりの柔軟性があり、特定の応用に対して設計を最適化するための可能
性がある。例えば、図3に戻って参照すると、図に示されているパラメータに対
して、1hsとマークされている曲線がトラップのボリュームを変えることによ
って水平軸と交わる点を変更することができる。また、Δ2またはRNN2を変更す
ることによって、Rhsとマークされている曲線を定数(1より大きいか小さい
)で乗算することもできる。特に、2より僅かに大きい係数で、それを乗算する
ことによって、交点がTe/T0≒1になり、その結果、エミッタの温度がこの動
作点においてバス温度に近くなる。しかし、入力パワーによるエミッタ温度の変
化のレートは、減少する。他方、Rhsの大きさを減らした場合、ベース電流の
変化に起因する温度変化が増加するが、デバイスの挙動は、Pepの項にさらに依
存するようになる。以下に説明されるように、同様な考察がデバイスの時間応答
およびバンド幅に対しても適用される。
【0062】 さらに、式(6)から分かるように、ベース電極の正確な性質は、それが準粒
子をS1の中に注入できる限り無関係である。図1の実施形態において、それは
ノーマル・メタルであるが、それは例えば、図11(f)に示されているように
超電導体S0とすることができる。この場合、接合J1は、ジョセフソン接合とし
て働くことができ、あるいは、その接合面に小さな磁場を印加することによって
ジョセフソン電流を抑圧することができる。また、ベース電極は、半導体Sm
例えば、図11(e)に示されているような光に感じる半導体材料の薄膜とする
こともできる。これらのデバイスについては、後でそれらが有用である特定の応
用に関して説明される。
【0063】 ノーマルのベース電極を有するデバイスの入力特性が式(1)によって(ある
いは、より正確には式(A1)によって)与えられている。小信号解析の場合、
一定温度におけるバイアス電圧に関して偏微分が必要であり、正規化された入力
コンダクタンスは、以下のようになる。
【0064】 ここで、通常の動的入力抵抗rinを定義している。ここで、Vce>0で式(1
)に基づいた近似の結果およびその微分を主として使用する。それらは計算が比
較的容易であるだけでなく、比較的透過的な代数的結果を与えるからである。
【0065】 ここで、エミッタに流れ込むパワーPsig(t)に起因するエミッタ温度Te
おける時間依存の変化ΔTe(t)を考える。式(6)は、より一般的な形式で
以下のように書き換えることができる。
【0066】 ここで、Ceは、エミッタの電子的熱容量である。大きな温度変化に対して、
この式が数値的に解かれ、最も便利なのは、コレクタ−エミッタ接合の一定電流
または一定電圧のバイアスのいずれかに対して解かれる。小さい温度変化に対し
て、リミットΔTe(t)<<Teにおいて、式(6)が式(9)から差し引かれ
、以下の式が得られる。
【0067】 さらに解析を進めるために、時間依存性Psig(t)に対する1つの形式が選
択され、特に が選定される。これはボロメトリックな応答 を発生すると仮定される。これによって以下の式が得られる。
【0068】 一定電圧バイアス(CVB)または一定電流バイアス(CCB)のいずれかに
おける微分dPNI/dTeが取られる。式(4)に与えられている式PNIに対す
る近似の形式によって、以下のように放射感度が得られる。 (a)CCBの場合、
【0069】 (b)CVBの場合、
【0070】 ここで、
【0071】 ここで、この近似はVCE>0に対して式(1)を微分し、 で置き換えることによって得られ、ここで、ψ=(Δ2−eVce)/(kBe
である。時定数は、以下の式で表される。
【0072】 sig(t)がどのようにして発生されるかはまだ指定されていないので、こ
れらの関係は、任意のNIS接合に対して成立する。将来の参照のために、GCC B およびGCVBは、電熱的フィードバックを提供し、両方とも1つのモードの動作
に対してのみ安定性を有する他のボロメトリック・デバイスに対する状況とは対
照的に、CCB(δVce/δTe)Iが負であるので)およびCVBの両方に対
して安定な動作を生じる傾向があるネガティブ・フィードバックを提供する。
【0073】 電気的小信号パラメータを得るために、ここで、式(3)から以下の式を与え
る時間依存のベース電流 によって、Psig(t)が発生されると仮定する。
【0074】 CCBに対して、小信号の順方向変換インピーダンスが以下のように導かれる
【0075】 ここで、rtrは、変換抵抗であり、それは三極管に対する類似性において電圧
増幅係数が以下のように導かれる。
【0076】 ここで、一定に保たれている温度は、ベースの温度であり、エミッタの温度T e ではないことに注意される。CVBに対して、小信号電流利得を直接以下のよ
うに導く。
【0077】 最大電流利得は、Yce=1のすぐ下の電圧バイアス値において達成され、ここ
で、 が最大値であり、これは冷却パワーの挙動に似ている。
【0078】 このデバイスと半導体バイポーラ・トランジスタとの間にいくつかの比較が得
られるが、その類似性は、あまり有用ではない。この理由は、トランジスタの場
合、そのコレクタ電流は、広い範囲にわたってVceにはほとんど無関係であり、
一方、このデバイスの場合は、強い依存性があり、真空管の三極管との共通性が
より多い。結果として、相互コンダクタンスは、有用なパラメータではない。
【0079】 低周波電源および電流源の等価回路を使うことができる1つの有用なパラメー
タは、出力またはコレクタのコンダクタンスgcであり、それは以下の式によっ
て与えられる。
【0080】 正規化された形式においては、gNc≡RNN2cは、図5に示されているコレク
タ特性の傾斜である。β0および出力コンダクタンスgNcのプロットは、ふたた
び100mKにおけるAlの例に対して図6に示されている。その結果は、10
〜20の電流利得の評価が確認されている。
【0081】 ここで、増幅器段の低周波利得は、式(14)〜(17)から得られる電圧源
または電流源の等価回路から推定することができ、それは図20に示されている
。例えば、負荷RLに対して、図20(b)は、以下の式を与える。
【0082】 一例として、0.1Ω-1のgcの値およびRL=50Ωは、単独段に対して20
0VA-1に近い回路の変換抵抗を与えることができる。式(18)の符号は、b
−eまたはc−eのバイアス極性を反転することによって反転できることが思い
出される。
【0083】 高い周波数での動作に対して、時定数τCCBおよびτCVBを考慮することができ
る。それぞれのTeおよびYceによる変動は、非常に複雑である。この理由は、
これらの変数について、トンネリングおよび電子−フォノンのカップリングの両
方に起因して、エミッタの熱容量および熱電導率の依存性が異なるからである。
一例として、τCVBが図6の同じパラメータに対して図7にプロットされている
。この時定数についての詳しい説明が以下に与えられる。
【0084】 このデバイスの感度(または増幅機能)および時定数について説明してきた。
敏感な粒子および放射線の検出および低レベル信号のアナログ増幅にとって特に
重要な第3の属性は、電子的ノイズである。どの応用においても。そのデバイス
に固有のノイズ源があり、周辺および負荷されているコンポーネントおよび他の
デバイスからの外来性のソースもある。e−c接合N1−I2−S2が考慮される
。この理由は、それは動作を制御するN1の中の電子の温度Teであるからである
。NIS接合に本来的なノイズの3つのソースがある。ただし、それらのうちの
2つは、相関がある。その第1は、電子−フォノンのパワーフローにおける変動
に起因する変動ノイズ、すなわち、「フォノン・ノイズ」である。エミッタにお
けるパワーに関する寄与は、パワー・スペクトル密度またはノイズ等価パワー(
NEP)の項で書かれる。フォノンのノイズ項に対する平衡近似は、以下の式で
表される。
【0085】 他の本来的な寄与は、接合におけるショット・ノイズの電気的および熱的効果
である。c−e接合におけるショット・ノイズは、 によって与えられる単位バンド幅における平均二乗電流変動を生じる。ショット
・ノイズの電流は、ISN=√2eIcとして定義することができ、それはショッ
ト・ノイズ電圧VSN=√2eIc/gcも与える。これらは、式(4)の冷却パワ
ーPNIにおける変動を生じる。ショット・ノイズの熱的影響は、式(11)〜(
12)から導かれるのと同じステップに従うが、CCBにおいては、VSNを使っ
てδTeを発生し、CVBにおいては、ISNを発生する。電気的影響と熱的影響
が加算される時に部分的な打ち消しがあり、その結果は、CCBとCVBに対し
て同じである。すなわち、
【0086】 ここで、
【0087】 ここで、b−e接合が考察される。ふたたびショット・ノイズ があり、各準粒子がエネルギーΔ1をエミッタの中に効率ηで搬送する。エミッ
タにおけるパワーと呼ばれるノイズ・パワーは、以下の式で表される。
【0088】 この式において、Ibは、b−e接合のバイアス電流または信号電流である可
能性がある。そのとき、合計の本来的な|NEP(ω)|2が式(19)、(2
0)および(22)の和で与えられる。
【0089】 別のデバイス、例えば、近くの2段のSQUID増幅器または入力の電流ノイ
ズが であって、電圧ノイズが である室温増幅器などに対する接続に対して、以下の追加の寄与がある。
【0090】 ここで、SIおよびSVは、式(12)で定義されている。
【0091】 NEPは、ボロメトリック・モードでの検出器の応答に対して重要であり、個
々の粒子またはフォトンのエネルギーが測定される時に、NEPをエネルギの分
解能に関連付けることができる。しかし、電子デバイスの場合、入力における等
価の電流および電圧のノイズ源を知ることの方がより有用である。このデバイス
の場合、式(3)に導く物理現象がエミッタにおけるパワーとベースにおける電
流入力との間の関係を提供し、入力における電流ノイズは、以下の式で与えられ
る。
【0092】 ここで、τep=Ce/Gepである。また、どのベース・バイアス抵抗器Rbにおい
てもジョセフソン・ノイズがあり、それは の寄与を提供する。
【0093】 <物理的構造> 本発明を実施しているデバイスは、シャドー・マスクまたはフォトリソグラフ
ィック・マスクのいずれかを使って薄膜技術で作ることができる。この技術は、
SQUIDなどの他の超電導デバイスの製造のために使われる技術と同じである
。シャドー・マスクを使って製造された上記のような非常に単純なN−I−SN
−I−Sデバイスが図4に概略的に示されており、それは縦方向の目盛りが大き
く誇張されていて、膜には前と同じようにラベルが付けられている。ベース電極
0に対するコンタクトは、膜が他の電極と接触しないように隔離するために、
酸化シリコンの膜を使って図の面に直角の方向に作られている。ミクロン・スケ
ールのリソグラフィの場合、準粒子素子のために開発されたプレーナ・スタック
型接合技術の修正を使って製造することができる。エッジ・スタック型の技法は
、中央電極が二層構造になっているので適切ではない。三端子デバイスのために
開発されたウェーハ全体の処理ルートの僅かな修正に基づいた技法が使える。ス
タック型接合の幾何学的配置は、準粒子がノーマル・メタル膜の中でトラップさ
れる前に移動しなければならない距離が最小になるので望ましい。しかし、接続
が基板上で隣り合っている幾何学的配置は、ある応用においては有用である可能
性があり、より良い冷却の利点があり得る。
【0094】 製造の重要な条件は、高品質、超電導膜とそれぞれ対応しているノーマル・メ
タル・トラップのクリーンな界面である。この条件は、準粒子トラッピングを使
用するすべてのデバイスに対して適用される。本発明のデバイスの動作に対して
、エミッタ電極の超電導およびノーマルのコンポーネントの両方は、近接効果が
支配的でないように十分厚いことが重要である。両方のコンポーネントの厚さは
、超電導コンポーネントにおけるピッパード(Pippard)のコヒーレンス
長より大きい必要がある。それは純度によって変わるが、固有コヒーレンス長よ
り短い。固有コヒーレンス長は、いくつかの超電導体に対して知られており、例
えば、高純度のアルミニウムの場合、それは約1.6マイクロメートルであり、
ニオビウムの場合は、約0.04マイクロメートルであり、より高い温度の超電
導材料の場合はずっと短い。実効的なコヒーレンス長は、不純あるいは不規則な
超電導材料を意図的に使うことによって短くすることができる。
【0095】 さらに材料に関して言えば、ノーマル・メタルおよび超電導体の両方について
広い選択がある。検出器の応用の場合、1Kより十分に低い温度において動作す
ることが重要であり、アルミニウムがその超電導体として良い選択である。より
高い動作温度が使える、より一般的な応用の場合、ニオビウムおよび窒化ニオビ
ウムが良い選択である。ノーマル・メタル膜に対しては、モリブデンまたはタン
グステンがニオビウムまたは窒化ニオビウムと一緒に使うのに良い選択である。
この理由は、電子−フォノンの相互作用より電子−電子の相互作用が支配的であ
ることが、広い動作温度範囲にわたって期待されるからである。また、冶金学的
な良い理由もある。これらのノーマル・メタルは、超電導アルミニウムと一緒に
使うこともできる。アルミニウムと一緒に使うためのいくつかの可能性は、マグ
ネシウム、カルシウム、銅、パラジウム、銀および金である。ノーマル・メタル
膜としてマグネシウムを使うことの1つの可能な利点は、それが容易に酸化され
てメタル障壁を形成することである。これはトンネル障壁を超電導膜上だけに製
造しなければならないようなデバイス設計に対して柔軟性を追加する。上記のよ
うに、コヒーレンス長の理由で、不純な超電導材料を使うことが有利な可能性が
ある。ノーマル・メタルに対しては、不純または不規則な材料を使うことが有利
である可能性がある。この理由は、これによって電子−フォノンの相互作用の強
さに相対的に電子−電子の相互作用の強さが増加する傾向があるからである。
【0096】 もちろん、このデバイスを高温超電導体または有機超電導体を使うことができ
る。より高い温度での動作の機能とは別に、高温超電導体のエネルギ・ギャップ
は、従来の低温超電導体のエネルギ・ギャップより大きい。これによって、従来
の超電導体で可能である数ミリボルトの代わりに、おそらく数百ミリボルトの出
力電圧振幅が可能である。
【0097】 上記のように、ノーマル・メタル膜N0(または超電導膜S0)の代わりに薄い
半導体膜Smを使うことができる。動作時に、その半導体膜Smの導電性が十分に
高く、バイアス電圧Vbeのほとんどが半導体膜Smの両端ではなく、トンネル障
壁I1の両端に現れる必要がある。このデバイスは、光導電性またはホット・エ
レクトロン効果を使っている放射検出において有用である。このコンテキストに
おいて、例えば、InSbなどの半導体に対する多くの可能性がある。
【0098】 動作原理を示すテスト・デバイスが図16に示されている。「e、S1」とラ
ベルが付けられている中央のストリップは、Al膜である。「ファー・インジェ
クタ(Far injector)」とマークされているAg−I−Al接合は
、準粒子の損失を評価するために使われたものであり、それはメインのデバイス
構造の部分ではない。また、超電導のヒータ電極もメインのデバイス構造の一部
ではないが、準粒子のトラッピングによるAgトラップ(N1とラベルが付けら
れている)の電子システムの加熱の効果をヒータ電極による電流の印加によるト
ラップのジュール加熱の効果と比較するために使われている。コレクタ接合J2
を流れる電流またはその両端の電圧は、既知の方法でバス温度を変化させること
によって温度計として校正された。これが行われると、ヒータ電極と一緒にこの
接合を使ってAgの電子温度を測定すること、式(6)の有効性を示すこと、お
よび重要な量Σを測定することができる。ベース−エミッタ接合J1(または「
ファー・インジェクタ」を経由して超電導性のAlストリップの中に準粒子を注
入することができ、Alトラップの中に貯蔵されたエネルギを測定して、ヒータ
電極を使ったジュール加熱によって貯蔵されるエネルギと比較することができる
。これらのデバイスにおいては、トラップされた準粒子がそれらの励起エネルギ
ーの80%以上を広い範囲の電子およびフォノンにわたってAgトラップの中の
電導電子に対して転送することが分かった。約100mKの遷移温度におけるA
lからWへの準粒子の拡散に対して僅かに高い90%のエネルギ転送効率のリミ
ットが見出された。
【0099】 図17は、トラップの中の電子温度を上昇させるために必要であったヒータ電
極によって発生されたジュール・パワーPjを示している。このスムースな曲線
は、Pj=ΣAd(Te 5−T0 5)の形式に適合し、値Σ=2.1nWK-5μm-3
を生じる。図18は、トラップ中の電子温度とベース−エミッタ接合J1におい
て注入された準粒子電流との間の関係を示している。これは注入された準粒子が
トラップ中の電子を加熱すること、その加熱パワーは、式(3)によって予測さ
れているように注入された電流に比例していることを明確に示している。温度依
存性に対する詳細の適合は、平均の準粒子エネルギ がインジェクタの電流にどのように依存するか、また準粒子の拡散係数および準
粒子の自己再結合レートも含めなければならない。しかし、これらの詳細を無視
し、粗い適合を行うことによって、1/3の組み合わされた効率が準粒子のトラ
ッピングに対して、そのエネルギのトラップ中の電導電子に対する転送に対して
得られる。この数値はJ1からトラップへの拡散時の期待される準粒子の損失と
矛盾せず、その適合は、式(6)がこのデバイスの挙動を概略的に予測すること
を示している。
【0100】 数組のIc/Vce点がいくつかのトラップ温度において測定され、その結果は
、図5の中に示されているのと定性的に同じであった。次に、0.045μAの
一定コレクタ電流において走査が行われ、VceにおけるシフトがJ1における注
入された電流の関数として測定された。その結果が図19(a)に示されている
。このスムースな曲線は、Δ2およびRNN2の測定値を使って式(1)から得られ
ている。その一致は、単に定性的であるが、絶対温度のスケールにおける1つの
不確実性があり、示されている領域の中で式(1)の精度も変化している。図1
9(b)は、Vceデータの数値微分から評価された実験的な変換抵抗を示してい
る。このスムースな曲線は、実験値η≒1/3を使った式(14)の概略形式か
らの予測である。最後に、注入なしで測定されたIc/Vce曲線は、gc≒0.0
2AV-1の値を与える。これを観測されたrtr≒4.00VA-1および式(17
)と一緒に使って、β0≒8が得られる。準粒子の損失を最小化するように設計
された幾何学的構造によって、20の値が得られるはずである。
【0101】 <電気的特性> 電子回路デバイスとしてのノーマル・メタルのベース電極を有するデバイスの
使用が以下に説明される。
【0102】 ノーマル・メタル・ベース電極を備えた入力特性は、本質的に式(1)および
一定温度におけるバイアス電圧に関してその偏微分、正規化された入力コンダク
タンスgNinによって与えられる。逆の転送特性は、S2、N1およびS1からN0
への戻りのフォノンの転送に主として依存する。これらの影響がどの程度大きい
かは、幾何学的配置に非常に強く依存する。ベース電極がフォノンまたは放射の
検出器として使われる時、温度に関しての入力の電流および電圧の偏微分、(∂
I/∂Z)Yおよび(∂Y/∂Z)Iが注目される。
【0103】 順方向転送および出力の特性を得るためには、パワー平衡の式(6)が解かれ
なければならない。動作温度T0に対する広い範囲の可能性のために、Δの値が
異なっていて、RNN、ΩNNおよびΣの設計値が異なっている超電導体において、
(Δ1/e)2/RNN1の単位で表現される正規化されたパワーPiの項で式(6)
を書き直すことが有用である。
【0104】 ここで、
【0105】 ほとんどの計算は、η=1およびC21=1を取る。
【0106】 コレクタ特性の例が100mKにおけるアルミニウムに対応しているΔ1、Δ2 およびZ0に対して図5に示されている。この曲線は、0.0025のステップ
で0.0025から0.025までの正規化されたベース電流の異なる値に対す
る曲線である。図に示されているように、線形の負荷線を電流利得と電圧利得の
両方を与えるように選定することができる。負荷線の例は、(a)負荷抵抗がR NN /10で電源電圧が0.9Δ/eの負荷線、(b)負荷抵抗が20RNNで電源
電圧が1.5Δ/eの負荷線、(c)負荷として本発明による別のデバイス(こ
の場合、ΔがΔ2の2倍、電源電圧が2.7Δ/e)である。抵抗の負荷線に対
する線形動作の領域は、限られているが、負荷としてもう1つのデバイス(おそ
らくカスケード構成)を使うことによって線形の領域を拡張できることは、明ら
かである。
【0107】 本発明のデバイスをよく知られている半導体のバイポーラ・トランジスタと比
較することができる。その類似性は、あまり有用ではない。この理由は、トラン
ジスタの場合、コレクタ電流が広範囲のVceにほとんど無関係であり、一方、本
発明のデバイスにおいては、真空管の三極管との共通性がより大きいからである
。結果として、相互コンダクタンスは、あまり有用なパラメータではない。ほと
んどの場合、入力および出力のコンダクタンスおよび小信号電流利得βが使われ
る。
【0108】 コレクタ電流をベース電流とコレクタ電圧(一定電圧バイアス)の関数として
取ることによって、小信号電流利得は、以下の式によって与えられる。
【0109】 ここで、時定数τVBは、後で評価される。電流利得β0と正規化された出力コン
ダクタンスgNcのプロットは、ふたたび100mKにおけるアルミニウムの例に
対して示されている。そのパラメータは、正規化されたベース電流の各種の値に
対して0.0025のステップで0.0025から0.025まで、正規化され
たコレクタ電圧に対してプロットされている。これは10〜20の電流利得が達
成できることの以前の評価を確認する。最大の電流利得は、Yce=1のすぐ下の
電圧バイアスにおいて実現され、それは冷却パワーの利得と同様な挙動である。
Ncの値は、普通は0.1〜2の範囲にある。これはRNNの0.5〜10倍の範
囲内の出力抵抗を提供する。
【0110】 増幅器段の低周波利得が負荷RLに対する電流源等価回路の式からここで評価
される。
【0111】 ここで、rL=RL/RNN2である。電圧源等価回路をvin/iin≡rin=Rnn1
Nbであることから簡単に導くことができる。
【0112】 高い周波数における動作の場合、時定数τVBを考慮しなければならず、これが
超電導のアルミニウム膜および100mKの動作について一定電圧に対して図7
にプロットされている。その曲線は、各種の値の正規化されたベース電流に対し
て、0.0025のステップで0.0025から0.025までの正規化された
コレクタ電圧に対してプロットされている。τVBの変動は、複雑である。この理
由は、それが依存する量、エミッタの熱容量およびトンネリングに起因し、電子
−フォノンのカップリングに起因する熱伝導度に依存しており、TeおよびYce
の関数であるからである。τVBの値を制御する他のファクタについての説明は、
デジタル・スイッチとして使われる時のデバイスの速度に関連して以下に与えら
れる。
【0113】 検出器の応用の場合、1Kより十分低い温度において動作することが普通、重
要である場合、Alが超電導体として受入れ可能な選択である。ただし、それは
あまり丈夫ではない。0.2K以上の温度において、電流利得は、Gepが温度に
強く依存するために主として減少し始める。これは図21(a)に示されており
、ここで、β0がエミッタ温度(実線の曲線)の関数としてYce=0.95に対
してプロットされている。RNN2を減らすことによって、上方の温度範囲を拡大
することができる。点線の曲線は、RNN2=0.01Ωまでの100倍の減少の
効果を示している。しかし、この値は、おそらく技術能力の限界にある。点線の
曲線は、同時にRNN2の同じ値で10倍のファクタだけトラップのボリュームを
増加させる効果を示している。これは3He冷却システムに対応している約0.
35K(ただし、これより高くない)のアルミニウムAlに基づいたデバイスを
動作させる必要があることを示している。
【0114】 より高い動作温度が使える、より一般的な応用に対して、NbおよびNbNは
、良い選択である。これらの材料は、Δの値がずっと大きいので、電圧出力をよ
り大きくすることもできる。図21(b)は、Nbの場合の対応している曲線を
示している。NbNに対する結果は、同様であるが、約0.3Kだけ高い温度に
対してシフトされる。これはポンプされた3Heの約1.2Kの温度、ただし、
あまり大きくない温度において、効果的にNbまたはNbNに基づいたデバイス
を動作させることがちょうど実現できることを意味する。適切な温度は、3He
のシステム、稀釈冷却素子および断熱消磁システムについて容易に得られる。
【0115】 40μm3のノーマル・メタル・トラップのボリュームに対して、0.1Kの
温度における動作に対して計算された図7にプロットされている時定数τCVB
、期待される時間応答に対する粗いガイドを与えるに過ぎない。それは励起後の
熱的回復に対する時間の測度であり、デバイスの動作温度および製造パラメータ
を変更することによって数桁程度、変化させることができる。式(12d)およ
び(16)の構造から、電流利得を回復時間に対して、あるいはその逆にトレー
ドオフすることができることは明らかである。図22(a)は、Alに対するτ CVB が、図21(a)を参照して説明されたようにエミッタの温度および他のパ
ラメータによって、どのように変化するかを示している。図22(b)は、Nb
に対する対応している結果を示している。NbNに対する結果は、非常によく似
ている。スタック型の接合の幾何学的配置のデバイスに対して数ナノ秒の回復時
間が可能である。隣り合った形の幾何学的配置の場合、トラップに対する準粒子
の拡散時間における広がりに対する時間応答に対する追加の寄与がある。
【0116】 1つの重要な製造条件は、S膜とそれぞれに対応しているNメタル・トラップ
との間の高品質の界面、特にS11界面である。この条件は、準粒子のトラッピ
ングを使用するすべてのデバイスに対して適用される。また、エミッタ電極のS 1 およびN1の両方のコンポーネントが十分に厚く、N1に対するS1の接近に起因
するそのエネルギ・ギャップにおける変化なしにS1が超電導にとどまり、N1
誘起されたエネルギ・ギャップなしにノーマルにとどまるようなデバイスの動作
に対しても重要である。それらが薄過ぎる場合、S1のエネルギ・ギャップが減
少し、N1が近接効果のために超電導性となる。N1におけるすべてのフェルミ・
レベルにおける状態の密度の抑圧は、おそらく受入れ可能であるが、小さなエネ
ルギ・ギャップが存在する場合、磁場によって抑圧されない限りバイアスの不安
定性につながるジョセフソン電流がある。上記の説明から、このデバイスの動作
は、トンネル・コンダクタンスが高いこと(実際には接合面積が大きくなってい
ること)およびトラップ・ボリュームが小さいこと(実際にはN1膜が薄くなっ
ていること)に対して改善されている。
【0117】 準粒子のトラッピングが最初に検討され、トンネル接合デバイスに対して適用
されていた時点で、近接効果の唯一の利用できるモデルは、非常に薄い層に限定
されていた。まだ制約があったが、粒子トラッピングに対する超電導の二層構造
のより一般的な理論がゴルボフ(Golubov)およびその共同研究者によっ
て開発された。比較的最近、その理論が中規模の長さのスケールまで拡張された
が、S1−N1の界面の完全な透明性の限定されたケースにおいてのみであり、磁
気効果を含んでおり、トンネル接合検出器に対する二層構造の一般化されたモデ
ルに対して拡張されている。実際に使われる薄膜の場合、動作は普通、「ダーテ
ィ・リミット」にあり、その場合、電子の平均自由行程がS1における超電導の
コヒーレンス長およびN1における相関長より短い。このデバイスの場合、次の
事項を要約することができる。
【0118】 (1) 厚さdSおよびdNは、S1における超電導のコヒーレンス長に比例す
る。従って、S1のコヒーレンス長は短くなければならず、従って、薄い層を得
るためにはAlではなく、むしろNbおよびNbNまたはTaが選定される必要
がある。意図的に膜を汚すことによって長さのスケールも短くすることができる
が、これはS1を通じておよびS1−N1界面を横切って良い準粒子転送が望まし
いので推奨されない。
【0119】 (2) S1の厚さは、少なくとも1コヒーレンス長である必要があり、その
数倍が好ましい。Nbに対する約38nmの固有コヒーレンス長で、これは問題
にならない。
【0120】 (3) dNが有限である時、N1の中には非ゼロのエネルギ・ギャップ(ミニ
ギャップ)が常に存在する。そのギャップの大きさは、dNが増加するにつれて
ほぼ1/dN 2で短くなる。ミニギャップは、その界面がより透明である場合に高
くなる。これは最も望ましくない。
【0121】 (4) スピン・フリップの散乱レートΓsfを導入することによってミニギャ
ップが抑圧され、Γsf≧0.4Δ/hの場合にギャップのない状況に導くことが
できる。スピン・フリップ散乱は、磁気不純物によって発生する可能性があり、
これがN1においてブレークするクーパ・ペアにつながる。印加される磁場もペ
アのブレーキング機構であり、N1におけるミニギャップを取り除くために使う
ことができる。
【0122】 銅(Cu)の膜が250〜500nmの範囲の厚さで高純度のInの単結晶の
上にデポジットされ、トンネル接合がそのCuの上に作られ、それらの特性が0
.35Kと1Kとの間の温度において測定された。界面転送が比較的乏しいデバ
イスの場合、Cuにおけるミニギャップは、250nmのCuに対する24μe
Vから、500nmのCuに対する10μeVにまでスムースに減少した。界面
転送が非常に高いデバイスの場合、そのミニギャップは、450nmのCuに対
して180μeVであった。
【0123】 トンネル接合がAg上に作られている200nmのAgと200nmのAlと
から構成されている二層構造の場合、Alが超電導であって、0.43K以上の
温度においては、Agがノーマルであったが、この温度以下では、50μeVの
ミニギャップでAgが超電導性になったことが分かっている。また、0.18K
において、Agにおける超電導性は、4.5mTの磁場を印加することによって
消すことができた。スタック型の接合デバイスを製造するための最初の試みにお
いて、Al(380nm)−Ag(300nm)の二層構造のAg側に作られた
接合でジョセフソン電流が観測された。これはAgが超電導性であることを示し
ている。
【0124】 これらの結果は、共にN1の厚さが500nm程度に大きい場合でさえも、少
なくともS1がAlまたはInである時には、N1は、普通、超電導性であること
を示している。In結晶での結果の場合、S1におけるコヒーレンス長は、44
0nmのバルク値に確かに近かった。
【0125】 別の実験においては、Alとよく接触しているCu線における状態の密度が界
面から200、300および800nmの距離において測定された。フェルミ・
エネルギに近い状態の密度における減少がCuにおいて見られたが、ミニギャッ
プはなかった。このミニギャップが存在しなかったのは、Γsf=1.5×1010-1の当てはめられた値でのスピン・フリップの散乱のためであった。この実験
で使われた幾何学的構造は、図16の並んで立っている幾何学的構造に似ている
(ただし、約50のファクタだけ線形のスケールにおいて縮小されている)。
【0126】 このことは、並んで立っている幾何学的構造が使われている場合、N1におけ
るミニギャップを避けることが簡単であることを示している。スタック型の幾何
学的構造の場合、小さな磁場を印加する必要がある可能性があり、あるいは磁気
的不純物をN1の中に導入する必要があり得る。もう1つの可能性は、低温にお
ける磁化率が高い金属、例えば、Pdを使うことである。さもなければ、N1
ための材料は、冶金学的な理由に対して選定される必要がある。例えば、Moま
たはWは、NbまたはNbNと一緒に使うのに良い選択である。他の可能性とし
ては、Mg、Ca、Cu、Pd、AgおよびAuなどがある。Mgを使うことの
1つの利点は、それが容易に酸化されてトンネル障壁を形成することである。こ
れによって、この方法によらない場合には、トンネル障壁をS膜上だけに作らな
ければならないデバイス設計に対して柔軟性が追加される。
【0127】 低温におけるメタルの中のホット・エレクトロン効果は、よく知られている。
低温でメタルの中に電流Iが流れる時、標準の二温度モデルは、I2Rのパワー
がその電子システムにおいて消費されること、その電界からの電子によって得ら
れるエネルギがメタルの中の電子−フォノンの相互作用によって、温度T0にお
ける格子および基板システムに対して転送されることを仮定している。低温にお
いては、電子−フォノンのカップリングが弱くなるので、エネルギが電子間の衝
突によって、それが格子へ転送されるより速く分配される。これは、格子温度よ
り高い電子温度Teによって特徴付けられる新しい電子分布に導く。エネルギは
、式(5)に従って電子とフォノン・システムとの間で転送され、低温における
導電電子とフォノン・システムとの間の実効熱電導率は、T4に比例する。
【0128】 しかし、もっと前のフェーズを考慮する必要がある。準粒子がノーマル膜に入
る時、それらがどのように、どんな効率でそれぞれのエネルギを他の電子と共有
し、温度Teによって特徴付けることができるエネルギ分布を形成するのであろ
うか。それらは、エネルギΔ1でトラップに入ることが思い出される。そのエネ
ルギは、温度Δ1/kBに対応し、その値は、Alの場合、約2.0Kであり、N
bの場合、約17Kである。励起エネルギEは、文献での慣例によりケルビンの
単位で表される。熱中性子化の間にΔ1/kB以下のすべてのエネルギは関連する
。エネルギ・スケールの他端においては、Kの100sの電子エネルギを生じる
メタル膜のパルス型のレーザ励起による実験がある。
【0129】 このデバイスは、カスケード・プロセスにおいて膜の他の電子の間に分布され
る膜N1の中にトラップされた準粒子のエネルギを使用する。トラップされた準
粒子は、そのエネルギを電子−電子相互作用によって、あるいはフォノンの放出
によって他の電子へ転送することができ、その後、フォノンは、別の電子によっ
て吸収される。弛緩フォノンが電子を励起する前に膜N1から立ち去る場合、ト
ラップの電子システムから準粒子のエネルギーが失われる。従って、このデバイ
スは、電子−電子(e−e)、電子−フォノン(e−p)、フォノン−電子(p
−e)およびフォノンの脱出(esc)プロセスの相対的なレートを使用する。
直接の測定は、トラップされた準粒子がその励起エネルギのほとんどを他の電子
に対して転送することを示す。上記に類似のデバイスにおいては、準粒子は、超
電導のAlからノーマルのAgの中へトラップされ、熱中性子化の効率が80%
以上であり、380mK以下のバス温度においては、温度に無関係であった。関
与した各種のプロセスの散乱レートの評価は、これらの結果を支持し説明する。
この解析は、以下に要約される。
【0130】 e−eの散乱レートは、散乱電子のエネルギ、サンプルの実効次元(D)およ
び存在する不規則性の程度に強く依存する。電子の励起エネルギがトラップを横
断する輸送時間に関連付けられたエネルギにおける不確実性より小さい時、その
トラップにおいて3Dから2Dへのクロスオーバが発生する。このデバイスのよ
うな薄膜デバイスにおいては、そのトラップは、2Dに似ている。以下の場合、
そのトラップ膜は、汚れていると考えられる。
【0131】 ここで、τelは、弾性散乱時間、kFは、フェルミ波数、dNは、トラップの厚さ
である。クリーン散乱およびダーティ散乱の両方が発生し、ダーティ散乱は、中
性子化がカスケードに、より低いエネルギへ進行する場合に支配的となる。e−
eの散乱時間は、次のように要約することができる。
【0132】 ここで、Rsqは、シート抵抗であり、数値は、Ag膜に対して適用される。 ふたたびEおよびEFは、ケルビンの単位である。 比較において、変形ポテンシャル・モデルを使ってe−pおよびp−eの散乱
時間が計算された。その結果は、Ag膜に対して以下の通りであった。
【0133】 ここで、Epは、ケルビンの単位でのフォノンのエネルギである。従って、Δ1 B ≒2KでのAlからトラップに入る準粒子の場合、 は、τepよりほぼ10倍短く、従って、トラップされた準粒子のエネルギは、ト
ラップの電子の間に分配される。 とτepが同等程度であり、より高いエネルギの場合(Nbから入る準粒子の場合
のように)、フォノンの放射が同等程度になる場合、そのフォノンのエネルギは
、トラップの電子の中にまだ保持されている。この理由は、p−eの散乱時間τ ep が小さく、フォノンの脱出時間τescよりおそらく非常に短いからである。4
つの散乱プロセスが準粒子の熱中性子化の詳細モデルに統合化されると、90%
以上の熱中性子化効率が予測される。また、そのモデルは、超電導体がより大き
いギャップの超電導体、例えば、TaまたはNbなどから1Kに近い温度におい
てノーマル・メタルの中にトラップされる時、90%より大きい熱中性子化効率
を予測する。これらの計算はデバイスを広い範囲の超電導材料から作ることがで
き、かなりの広い温度範囲にわたって動作させることができることを示している
。また、これらの散乱レートは、遷移温度においてAlからWへのトラッピング
に対しても評価され、電子の高い熱中性子化効率がAl−Wのシステムから示さ
れている。
【0134】 <応用> 本発明は、広い範囲に応用される。それらは、例えば、(a)マイクロ冷却に
おいて、(b)パルス・モードおよび連続波(CWまたはボロメトリック)モー
ドの両方における粒子および放射線の検出において、(c)他のタイプの低温粒
子および放射線の検出器および他のセンサに対する前置増幅器として、(d)汎
用のアナログ電子デバイスとして、(e)デジタルの電子回路において有用なス
イッチング・デバイスとして使われる。これらの応用と共に、(f)低温クライ
オスタットから室温の電子回路に至るまでの回路からの低レベル信号を得るため
の増幅のインターフェース・デバイスとしての動作および(g)検出器アレイの
アナログおよびデジタル電子回路の大規模集積化に対して適用される可能性を有
する。以下、本発明に基づいたデバイスをどのように使うことができるかのいく
つかの例を示す。
【0135】 a) マイクロ冷却 個々のNIS接合または2つの接合を直列にして使ったマイクロ冷却素子が提
案されている(例えば、M ナーム(Nahum)、T M アイルス(Eil
es)およびJ M マルチネス(Maratinis)の“Electron
ic microrefrigerator based on a norm
al−insulator−superconductor tunnel j
unction”(ノーマル−絶縁物−超電導体トンネル接合に基づいた電子マ
イクロ冷却素子)、Appl.Phys.Lett.65,2123(1994
))。さらに、(i)冷却しようとしているノーマル・メタル電極を加熱するバ
ック・トンネリングの量を減らすため、(ii)再結合プロセスにおいて作られ
たフォノンによってノーマル・メタル層の加熱に導く超電導層の中の準粒子の再
結合のレートを減らすために、超電導電極に注入される準粒子を取り除くことに
よって、その性能を改善するために、NIS接合の超電導電極上にノーマル・メ
タル・トラップを使うことも知られている。しかし、本発明によると、ノーマル
層は、エミッタ電極であるように構成され、その冷却効果が増幅される。これは
より低い温度の発生または開始温度をより高くすることの可能性に繋げることが
でき、やはり最終的に低い温度を達成することができる。そのような2つのデバ
イスを使ってノーマル・メタルN0のベース領域を冷却するための冷却素子の設
計の概略が図10に示されている。ベース領域N0に対するバイアスは示されて
いないが、接合が同一でない場合は、追加のバイアスが必要となる可能性がある
【0136】 b) 粒子および放射線の検出 本発明は、放射線の検出のためにボロメトリック・モードで、あるいは個々の
フォノンまたは粒子の計数モードのいずれかにおいて、いくつかの方法で使うこ
とができる。両方の場合において、放射線は、図2の入射パワーPbによって、
あるいは図11(a)の中の入射フォトンによって概略的に示されているように
ベース電極N0に吸収されることによって検出することができる。この場合、本
発明は、N0の追加の冷却を生じる可能性があり、それはN0の熱容量を下げ、従
って、感度を改善し、信号の増幅も提供する。フォトン計数スペクトロメータと
して使われる時、このデバイスは、図11(b)に概略的に示されているオック
スフォード・インスツルメント(Oxford Instruments)との
共同でのヨーロッパ宇宙局(European Space Agency)に
よって開発されたような粒子トラップおよびグレイ(Gray)効果を使ったS
ISデバイスと競合できる。
【0137】 より単純なデバイスにおいても、図11(c)に示されているベース電極なし
の二端子SNISデバイスも競合できる。図11(b)および(c)に示されて
いる両方のデバイスにおいて、個々のフォトンが超電導領域S1の中のクーパ・
ペアをブレークし、準粒子を発生する。図11(b)のデバイスにおいては、過
剰な準粒子が超電導トラップSTの中にトラップされ、それらは両方向にトンネ
ル障壁を横切ってトンネルし、200までの電荷増幅係数を導く。図11(c)
のデバイスにおいては、過剰な準粒子は、ノーマル・メタル・トラップの中にト
ラップされ、β0の電流増幅を導き、β0は、20以上となる可能性があり、積分
時間が減少する。β0の別のファクタによる更なる増幅は、図11(d)に示さ
れているようなベース電極の一部として吸収する超電導膜S0のあるデバイスを
使うことによって達成することができる。図11(a)、(c)および(d)の
本発明のすべてのデバイスは、磁場が印加される必要がなく、一方、図11(b
)のデバイスは、ジョセフソン電流を抑圧するために磁場が必要であることに注
意される。
【0138】 これは検出器デバイスのアレイが必要である場合に特に重要である。そのよう
なデバイスにおいては、個々の接合は、普通は20〜100μm平方となる。S
ISデバイスのアレイ、例えば、図11(b)に示されているようなフォノン媒
介型の粒子検出またはトラッピング・デバイスに対するSIS接合の直列接続さ
れたアレイに対して最適である磁場の値を見つけることは困難であることが分か
っている。本発明におけるジョセフソン電流およびフィスク(Fiske)ステ
ップが存在しないことによって、デバイスをバイアスすることが非常に簡単にな
る。フォトンまたは他の粒子がN0層に吸収される時、その分光学的機能は、比
較的良好であることが期待される。この理由は、励起スペクトルの統計値がずっ
と高いからである。ノーマル・メタル層N0の場合、励起のために必要なエネル
ギは、kBTに過ぎないが、一方、SIS検出器の場合、それはΔであり、Δは
、kBTよりずっと大きい。従って、本発明は、NIS接合の分光学的品質を信
号の内部増幅と組み合わせることができる。
【0139】 ノーマル・メタル膜を粒子または放射線の吸収膜として使う場合の1つの問題
点は、ノーマル・メタルの熱容量が遷移温度より十分低い超電導体に比べてずっ
と高いことである。ノーマル・メタルの吸収膜の場合、その熱容量は、その面積
×厚さに比例し、絶対温度に比例する。X線の分光分析の場合、その厚さは十分
に大きくなければならず、エネルギーが高いX線に対しては、さらに増加する。
しかし、UVから赤外線までの範囲の放射線に対して、非常に薄い層だけで済む
。これは質量分析器における二分子イオンなどの重い粒子または塵埃の粒子に対
するケースでもある。X線分光分析に対する応用の場合、ある程度の厚さが必要
であり、検出器デバイスは、面積が非常に小さくならざるを得ない。この問題は
、マイクロチャネル・フォーカシング光学系を使うことによってある程度緩和す
ることができる。1つの異なる解決策は、ノーマル・メタルのベース領域N0
対して付着され、より厚いおよび/またはより大きな面積の超電導膜S0の中に
X線(または他の量子または粒子)を吸収する方法である。これは既に図11(
d)において示され、その場合、ノーマル・メタルのベース領域N0は、S0の中
のエネルギのデポジションにおいて生じた準粒子に対する準粒子トラップとして
働く。超電導層S0におけるエネルギ吸収によって、それがノーマル・メタル層
0に直接吸収された場合よりも励起が少なくなることが、前に説明したように
ノーマル・メタル・トラップのホット・エレクトロンの発生によっておおむね克
服される。言い換えれば、S00の二層構造は、増幅器として働き、本発明の効
果に起因する追加の内部増幅がある。このアイデアを拡張して準粒子の拡散に基
づいた大面積の位置センシティブな検出器を作ることができる。そのようなデバ
イスは、大面積のフォノン検出器としても使える可能性がある。トップから入射
する放射線または粒子あるいは基板からのフォノンの検出のために使える可能性
および位置センシティブな検出器に対する1つの可能性が図12に概略的に示さ
れている。粒子または放射線(または基板からのフォノン)は、超電導膜S0
ブレークするクーパ・ペアによって吸収される。その準粒子のいくつかがN0
それはベース電極である)へ拡散し、それらが準粒子トラッピングによって励起
された電子を発生する。2つまたはそれ以上のデバイスを使って位置感知ストリ
ップ検出器(その一端がここに示されている)、あるいは二次元の位置感知検出
器を実装することができる。S00IS11IS22デバイスが1つだけここに
示されているが、2つ以上をS0の吸収膜に対して接続することができる。理想
的な形式でここに示されているデバイスは、既知のスタック型接合のウェーハ全
体の処理技法を適切に変更することによって作ることができる。
【0140】 本発明の各デバイスは、絶縁増幅器として働き、追加のそのようなデバイスは
、同様な検出器デバイスのアレイから読み出すためのバッファまたはマルチプレ
クサとして働くように使うことができることも強調されるべきである。
【0141】 冷却素子として使われるデバイスを粒子および放射線の検出のために使われる
他のデバイスと組み合わせることができる。冷却によって感度が高くなり、分光
学的分解能がよくなり、一方、その検出器は、内部増幅を提供する。これらの機
能を有するデバイスが図13に概略的に示されている。その検出器は、放射線ま
たは粒子を吸収するノーマル膜N0から構成され、N0は、例えば、熱容量および
熱電導率が低いSi34の薄膜上に作られる。2つのデバイスQ1およびQ2が直
列に接続されたものが膜を冷却するために使われ、一方、第3のQ3が信号を増
幅するために検出器の一体化された部分として使われる。
【0142】 粒子および放射線の検出器に対するもう1つの可能性は、膜N0が超電導性の
材料であり、図13のデバイスQ1およびQ2がそれを冷却し、それがちょうどそ
の超電導性からノーマルへの遷移温度であるようにすることである。この場合、
それは遷移エッジ・センサとして働き、その電子温度における変化がN0からS1 へのトンネリングによって、もう1つのデバイス構造Q3に対して伝えられる。
0が正しくその遷移温度になっているので、バイアスを複雑化するジョセフソ
ン電流またはフィスク・ステップはないはずである。
【0143】 特定の周波数帯域において放射線を検出するために半導体がよく使われる。そ
の検出機構は、通常、放射線による電子−ホール対の生成であり、それによって
電流が発生する。従って、薄い半導体Smをベース電極として、図11(e)に
よって示されているように使うことができ、内部増幅のある選択的な放射線検出
器を提供することができる。
【0144】 c) 粒子および放射線のセンサのための前置増幅器 上記のように、本発明は、外部刺激がベース電極またはそれに付着されている
いくつかの層に吸収される時に増幅型の放射線および粒子検出器として使うこと
ができる。また、本発明は、他のタイプのセンサ、例えば、SIS接合またはT
ESセンサなどと組み合わせて使うこともできる。近年、TESセンサの使用が
伸びている。この理由は、それらが一定電圧バイアスでの電熱的フィードバック
(ETF)によって安定にバイアスすることができ、その電流信号をSQUID
増幅器によって読み出すことができるからである。本発明のデバイスは、高価な
SQUID増幅器の代わりに前置増幅器として使うことができ、TESと同じ温
度で動作させることができるという利点がある。それはETFの利点を維持し、
ダブル・コレクタ構成によって大きな電圧出力を与えることができる。1つの単
純な回路が図14に示されており、SQUID回路との比較も行われている。図
14(a)は、SQUIDの前置増幅器を備えた抵抗R(T)のTESの読出し
のための回路を示している。TESは、電圧バイアスされており、一方、SQU
IDは、定電流でバイアスされている。図14(b)は、本発明によるダブル・
コレクタ・デバイスQを使っているTESの読出しのための回路を示している。
図14(c)は、デバイスQの入力I/V特性および遷移において2つの僅かに
異なる温度のTESの負荷線を示している。励起に起因する動作点の移動が矢印
によって示されている。I/V特性の形状のために、負の電熱的フィードバック
が維持されている。式(10)および図6から、SQUIDの読出しにおいて実
現できる104VA-1の数倍の領域におけるvout/iinの値が本発明に基づいた
比較的単純な段によって得られる。
【0145】 d) アナログの電子デバイス 既に示されたように、本発明は、三端子のトランジスタに似たデバイスに対す
るすべての基準を満足するデバイスを提供することができ、上記のように、その
デバイスを増幅器として使うことができる。2つ以上のデバイスを一緒に使って
ロングテール・ペア、電流ミラー、カスケード構成および場合によっては、演算
増幅器などの複数トランジスタに似た回路を実装することができる。本発明は、
図8に抽象的に示されている4+2種類のデバイスのために、おびただしい数の
可能性を提供する。これらのタイプのすべてを超電導電子回路ファンドリ・プロ
セスにおいて同時に作ることができる。例えば、これによって、次に図14(b
)の単純な回路は、本発明のデバイスを使って製造されたフィードバック演算増
幅器を使用している図15の回路によって置き換えられる。
【0146】 多くの同様な応用において、このデバイスは、センサとして、例えば、図11
(a)〜(e)に示されているように使われ、これらの次に受動部品と一緒に回
路要素として使われる他のデバイスを続けるか、あるいは他のデバイスの中に集
積化されるようにすることができる。これらのセンサは、光学的入力カップリン
グを組み込むこともできる。
【0147】 e) デジタル・スイッチング回路 図5に示されている非線形の入力特性および非線形のコレクタ特性は、本発明
を実施しているデバイスをバイポーラ・トランジスタの場合と同様にスイッチと
して動作させることができることを示している。本発明を使用したスイッチング
回路の設計は、単に電源の接続によって反転型あるいは非反転型の出力を選定す
る追加の特徴を有する。さらに、ダブル・コレクタ構成は、出力電圧振幅を倍に
することができ、あるいはファンアウトの機能を提供することができる。
【0148】 多くのスイッチングの応用において、特にコンピュータのプロセッサの論理回
路においては、スピードが重要である。これは超電導のジョセフソン接合に基づ
いた電子論理回路の開発が進行していることの主要な理由の1つである。本発明
は、動作のスピードに関してジョセフソン接合に基づいた最新バージョンのデバ
イスと競合することはできない。しかし、それは程良いスイッチングの機能と組
み合わせた電力利得を提供することができ、従って、異なる演算または信号処理
構造間のカップリングまたはインターフェース用のデバイスとして使うことがで
きる。
【0149】 図7にプロットされている時定数τVBは、40μm3のノーマル・メタル・ト
ラップのボリュームおよび0.1Kの温度における動作に対して計算されたもの
であり、デジタル・スイッチング時間に対する非常にラフな手引きを与えるだけ
である。それはこれらの条件下での励起の後の熱的回復のための時間の1つの測
度であり、そのデバイスの動作温度および製造パラメータを変更することによっ
て数桁程度、変化させることができる。例えば、ノーマル・メタル電極N1の熱
容量は、Teに比例するが、e−pのカップリングに起因する熱電導率は、Te 4
に比例し、従って、純粋の熱的影響は、Te -3として変化する。従って、他のこ
とが等しいとして、0.1Kにおけるアルミニウムに対して図7にプロットされ
ている100nsまでのτVBの純粋に熱的な部分は、1Kにおけるニオビウムに
対して0.1nsとなる。しかし、より高い温度においては、式(5)の中の指
数5が実質的に1になり、従って、使用されるノーマル・メタルに依存する最適
な温度範囲がある。
【0150】 熱電導率に対して他の寄与、すなわち、トンネリングに起因するものは、コレ
クタ−エミッタ接合の電導率に比例している。ノーマル・メタル・トラップ電極
1をできるだけ薄くすることによって、トンネリング時間を最小化することが
できる。これは高速の動作に対して、超電導領域S1の超電導コヒーレンス長が
小さくなければならないことを意味する。これに関して、ニオビウムまたは窒化
ニオビウムまたは高温超電導体を使うことは、アルミニウムを使うよりずっと良
い。これまで既に、コヒーレンス長を小さくするために不純あるいは不規則な超
電導材料を使うことを説明してきた。
【0151】 ジョセフソン接合デバイスを補完するものとしての潜在的な使用は別として、
既に述べられたように、デバイスのベース電極を図11(e)に示されているよ
うに超電導体S0として、それによってジョセフソン接合J1をその構造の一体部
分として組み込むことが可能である。J1がゼロ電圧状態にある時、トラップN1 の中への準粒子の注入はなく、J2を流れる電流は、小さい。J1が抵抗性の状態
にスイッチされると、準粒子の流れが生じ、それによってJ2を通る電流が増加
する。そのようなデバイスは、ジョセフソン接合論理回路に対するインターフェ
ース回路として、またはファンアウトとして動作することができる。また、磁場
を使ってジョセフソン効果を抑圧することもでき、その場合、この構造は、内部
増幅を有するSIS検出デバイスのように動作する。これは、ある種の準粒子の
ミキサの応用において有用である可能性がある。
【0152】 <大規模集積> この構造および製造ステップを構成する薄膜は、ジョセフソン接合および他の
超電導デバイスを作るために使われるものと、まったく同じではないにしても、
非常によく似ている。その膜および構造は、現代の半導体集積回路において使わ
れるものに似ている。超電導電子回路に対するファウンドリ・スタイルの製造手
順が多くの産業によって完成されてきている。従って、このデバイスの大規模集
積が、そのジョセフソン接合論理回路への組込みを含めて可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 デバイスの異なる部分に関連付けられたエネルギ・レベルを示した本発明の第
1の実施形態の略図である。
【図2】 図1のデバイスにおける電気的および熱的なパワーフローの略図である。
【図3】 図1のデバイスにおけるパワーフローの平衡を示すグラフである。
【図4】 図1のデバイスに対する概略製造図である。
【図5】 図1のデバイスのコレクタの特性を示すグラフである。
【図6】 図1のデバイスの小信号パラメータを示すグラフであり、 (a)は、電流利得β0を示し、 (b)は、正規化された出力コンダクタンスgNcを示す。
【図7】 0.1Kにおけるアルミニウム・デバイスの熱回復に対する時定数を示すグラ
フである。
【図8】 本発明の各種のタイプの実施形態の略図である。
【図9】 本発明のもう1つの実施形態であり、 (a)は、加算器の応用に対する2つの別々のベース・エミッタ接合を示し、 (b)は、2つの別々のエミッタ−コレクタ接合を示し、 (c)は、出力電圧振幅を倍にするダブル・コレクタ構成を示す。
【図10】 2つのデバイスがマイクロ冷却素子を形成するために使われている本発明の1
つの実施形態を示す。
【図11】 (a)および(c)〜(f)は、各種の応用に対してデバイスのベース領域が
変えられている本発明の実施形態を示しており、図11(b)は比較のための従
来の技術を示す。
【図12】 本発明の実施形態を使った粒子/放射検出器構造の略図である。
【図13】 もう1つのコンポジットの粒子/放射検出器の略図である。
【図14】 超電導遷移エッジ・センサによる本発明の実施形態の使用を示しており、(a
)は、SQUID前置増幅器を使用した従来の回路を示しており、(b)は、本
発明の1つの実施形態を使用した回路図を示しており、(c)は、(b)の回路
の入力のI/V特性を示す。
【図15】 本発明の実施形態を使った集積回路の演算増幅器を使っている低温センサの略
図である。
【図16】 本発明の一実施形態によるテスト・デバイスの写真である。
【図17】 図16のデバイスにおけるジュール・パワーと電子温度との間の関係を示す。
【図18】 図16のデバイスにおける電子温度と注入された準粒子電流との間の関係を示
す。
【図19】 (a)は、図16のデバイスにおける注入された電流とVCEのシフトとの間の
関係を示す。(b)は、図16のデバイスに対する注入された電流の関数として
の変換抵抗値の間の関係を示す。
【図20】 (a)および(b)は、等価回路を示す。
【図21】 グラフ表示を示す。
【図22】 グラフ表示を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),CA,JP,U S (72)発明者 ウロム、ジョエル、ナザン アメリカ合衆国 マサチューセッツ、ケン ブリッジ、ディパートメント オブ フィ ジクス、ハーバード ユニバーシティ (72)発明者 ナハム、マイケル アメリカ合衆国 マサチューセッツ、ケン ブリッジ、ディパートメント オブ フィ ジクス、ハーバード ユニバーシティ Fターム(参考) 4M113 AB08 AB15 AC24 AC44 AC50 CA12 CA13 CA17 CA42

Claims (26)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1のノーマル領域(N1)と接触している第1の超電導領
    域(S1)を含んでいる超電導トンネル接合デバイスであって、前記第1のノー
    マル領域(N1)の中へ弛緩する第1の超電導体領域(S1)からの準粒子のポテ
    ンシャル・エネルギーは、前記第1のノーマル領域(N1)のフェルミ・レベル
    以上に励起されたチャージ・キャリヤの数の増加に変換されるデバイス。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の超電導トンネル接合デバイスにおいて、絶縁
    のトンネル障壁(I2)によって前記第1のノーマル領域(N1)から隔てられた
    第2の超電導領域(S2)をさらに含み、トンネル接合(J2)を形成し、前記ト
    ンネル接合を横切って前記チャージ・キャリヤは、前記第2の超電導領域(S2
    )の中へトンネルし、その中に準粒子を形成するデバイス。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の超電導トンネル接合デバイスにおいて、前記
    第2の超電導領域(S2)と前記第1のノーマル領域(N1)は、相対的に電気的
    にバイアスされ、前記第2の超電導領域(S2)のエネルギ・ギャップのトップ
    は、前記第1のノーマル領域(N1)のフェルミ・レベルのすぐ上にあるデバイ
    ス。
  4. 【請求項4】 請求項2または3記載の超電導トンネル接合デバイスにおい
    て、前記第2の超電導領域(S2)は、前記デバイスの電極を形成しているデバ
    イス。
  5. 【請求項5】 前記請求項のいずれかに記載の超電導トンネル接合デバイス
    において、前記第1の超電導領域(S1)の中に準粒子を注入するためのベース
    領域(N0、I1)をさらに含むデバイス。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の超電導トンネル接合デバイスにおいて、前記
    ベース領域は、絶縁のトンネル障壁(I1)によって前記第1の超電導領域(S1 )から隔てられている第2のノーマル領域(N0)を含み、そのフェルミ・レベ
    ル以上に励起されたチャージ・キャリヤは、前記トンネル障壁を通ってトンネル
    し、前記第1の超電導領域(S1)に準粒子を形成するように電気的にバイアス
    されているデバイス。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の超電導トンネル接合デバイスにおいて、前記
    第1のノーマル領域(N1)と前記第2の超電導領域(S2)は、前記デバイスの
    エミッタおよびコレクタの電極を形成し、前記第2のノーマル領域(N0)は、
    前記デバイスのベース電極を形成し、前記ベース電極は、前記コレクタ電極とエ
    ミッタ電極との間の電流を制御するデバイス。
  8. 【請求項8】 請求項5記載の超電導トンネル接合デバイスにおいて、前記
    ベース領域は、絶縁のトンネル接合障壁(I1)によって前記第1の超電導領域
    (S1)から隔てられている第3の超電導領域(S0)を含むデバイス。
  9. 【請求項9】 請求項8記載の超電導トンネル接合デバイスにおいて、前記
    第1の超電導領域と前記第3の超電導領域との間のジョセフソン電流は、磁場の
    印加によって抑圧されるデバイス。
  10. 【請求項10】 請求項5記載の超電導トンネル接合デバイスにおいて、前
    記ベース領域は、絶縁のトンネル接合障壁(I1)によって前記第1の超電導領
    域(S1)から隔てられている半導体領域(Sm)を含むデバイス。
  11. 【請求項11】 請求項6記載の超電導トンネル接合デバイスにおいて、前
    記ベース領域は、前記第2のノーマル領域(N0)と接触している第3の超電導
    領域(S0)をさらに含み、前記第3の超電導領域(S0)で発生された準粒子は
    、前記第2のノーマル領域(N0)へ弛緩し、そのポテンシャル・エネルギをフ
    ェルミ・レベル以上に励起されたチャージ・キャリヤの数の増加に変換するデバ
    イス。
  12. 【請求項12】 前記請求項のいずれかに記載の超電導トンネル接合デバイ
    スにおいて、前記第2の超電導領域(S2)から準粒子を受け取るために、前記
    第2の超電導領域(S2)と接触しているノーマル領域(N2)をさらに含むデバ
    イス。
  13. 【請求項13】 請求項5またはこれに従属する任意の請求項に記載の超電
    導トンネル接合デバイスにおいて、前記ベース領域は、2つの別々の領域を含み
    、それぞれが前記第1の超電導領域(S1)に準粒子を注入するデバイス。
  14. 【請求項14】 請求項1から請求項12のいずれかに記載の超電導トンネ
    ル接合デバイスにおいて、前記第2の超電導領域(S2)は、2つの別々の超電
    導領域を含み、それぞれが前記第1のノーマル領域(N1)からトンネルするチ
    ャージ・キャリヤを受け取るデバイス。
  15. 【請求項15】 請求項1から請求項12のいずれかに記載の超電導トンネ
    ル接合デバイスにおいて、前記第1の超電導領域(S1)は、2つの別々の超電
    導領域を含み、前記別々の各領域からの準粒子は、2つの別々の第1のノーマル
    領域(N1)へ弛緩するデバイス。
  16. 【請求項16】 請求項1から請求項15のいずれかに記載の超電導トンネ
    ル接合デバイスにおいて、少なくとも1つの前記超電導領域は、アルミニウム、
    ニオビウム、窒化ニオビウムから選択され、前記ノーマル領域の少なくとも1つ
    は、モリブデン、タングステン、マグネシウム、カルシウム、銅、パラジウム、
    銀および金から選択されるデバイス。
  17. 【請求項17】 前記請求項のいずれかに記載の超電導トンネル接合デバイ
    スにおいて、前記超電導領域の少なくとも1つは、不純または不規則なものであ
    るデバイス。
  18. 【請求項18】 請求項6記載の超電導トンネル接合デバイスを含んでいる
    粒子/放射線検出器において、前記第2のノーマル領域(N0)は、検出器要素
    を形成し、受け取られた粒子または放射線によって前記絶縁のトンネル接合障壁
    を通ってトンネルするチャージ・キャリヤの励起が発生する検出器。
  19. 【請求項19】 請求項8記載の超電導トンネル接合デバイスを含んでいる
    粒子/放射線検出器において、前記第3の準粒子(S0)は、検出器要素を形成
    し、受け取られた粒子または放射線は、前記絶縁のトンネル接合障壁(I1)を
    通ってトンネルする準粒子を形成する検出器。
  20. 【請求項20】 請求項10記載の超電導トンネル接合デバイスを含んでい
    る粒子/放射線検出器において、前記半導体領域(Sm)は、検出器要素を形成
    し、受け取られた粒子または放射線によって前記絶縁のトンネル接合障壁(I1
    )を通ってトンネルするチャージ・キャリヤの励起が発生する検出器。
  21. 【請求項21】 請求項11記載の超電導トンネル接合デバイスを含んでい
    る粒子/放射線検出器において、前記第3の超電導領域(S0)は、検出器要素
    を形成し、受け取られた領域または放射線は、準粒子を形成し、前記準粒子が前
    記第2のノーマル領域(N0)へ弛緩して前記絶縁のトンネル接合障壁(I1)を
    通ってトンネルするチャージ・キャリヤの励起を発生する検出器。
  22. 【請求項22】 請求項18、請求項19、請求項20または請求項21記
    載の粒子/放射線検出器において、フォトン、X線、フォノン、二分子イオンま
    たは塵埃の粒子を検出するための検出器。
  23. 【請求項23】 請求項1から請求項6のいずれかに記載の超電導トンネル
    接合デバイスを含むマイクロ冷却素子。
  24. 【請求項24】 請求項23記載のマイクロ冷却素子において、2つの超電
    導トンネル接合デバイスがあり、第1の超電導領域(S1)は、絶縁のトンネル
    接合障壁(I2)によってノーマルの冷却領域(N0)から隔てられているように
    構成され、前記ノーマルの冷却領域(N0)のフェルミ・レベル以上に励起され
    たチャージ・キャリヤの第1の超電導領域(S1)へのトンネリングによって、
    前記ノーマルの冷却領域(N0)の冷却が生じるマイクロ冷却素子。
  25. 【請求項25】 請求項7記載の超電導トンネル接合デバイスを含んでいる
    アナログ電気信号増幅器であって、前記ベースまたはエミッタの電極は、増幅さ
    れるべき電気信号を受け取るための入力を形成し、出力は、前記コレクタ電極と
    前記エミッタ電極との間または前記コレクタ電極と前記ベース電極との間に現れ
    る増幅器。
  26. 【請求項26】 請求項7記載の超電導トンネル接合デバイスを含んでいる
    デジタル・スイッチング・デバイスにおいて、前記ベース電極に印加された信号
    は、前記コレクタおよびエミッタを通して流れる電流をスイッチするデバイス。
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