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JP2002317015A - 成形加工性に優れた熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

成形加工性に優れた熱可塑性樹脂組成物

Info

Publication number
JP2002317015A
JP2002317015A JP2001122177A JP2001122177A JP2002317015A JP 2002317015 A JP2002317015 A JP 2002317015A JP 2001122177 A JP2001122177 A JP 2001122177A JP 2001122177 A JP2001122177 A JP 2001122177A JP 2002317015 A JP2002317015 A JP 2002317015A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
copolymer
parts
resin composition
thermoplastic resin
emulsifier
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001122177A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazuhito Wada
一仁 和田
Kimihide Nishimura
公秀 西村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd filed Critical Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Priority to JP2001122177A priority Critical patent/JP2002317015A/ja
Publication of JP2002317015A publication Critical patent/JP2002317015A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Polymerisation Methods In General (AREA)
  • Graft Or Block Polymers (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 成形加工時の高温滞留によるガスの発生、成
型体表面のシルバーの発生や光沢の低下を改善した共重
合体及び耐熱性、耐衝撃性に優れた熱可塑性樹脂組成物
を提供する。 【解決手段】 TGAによる50℃から350℃への昇
温試験で重量減少量が25%以下である乳化剤を用い、
pH5.0〜9.0の乳化重合系で重合して得られた共
重合体及び該共重合体とジエン系ゴムにビニル単量体を
グラフト重合したグラフト共重合体からなる熱可塑性樹
脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、成形加工時の高
温滞留による成形性(シルバーの発生)、光沢の低下、
ガスの発生を改善した共重合体またはそれを含む耐熱
性、耐衝撃性に優れた熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】 スチレン系樹脂、とくにABS樹脂
は、その優れた耐衝撃性、耐熱性、剛性、加工性などを
有するため、各種雑貨、自動車の内外装材(インパネ、
クラスター、センターパネル、ベンチレーター、コンソ
ール、ピラー、フィニッシャー、ガーニッシュ、スポイ
ラー、ラジエターグリル、ランプハウジング、エアロパ
ーツ、バンパー、ミラーハウジング、ルーフラックモー
ルなど)、ジャー炊飯器、電子レンジ、掃除機などの家
電製品のハウジング、部品、電話機、ファクシミリなど
のOA機器のハウジング、部品などに広く使用されてい
る。
【0003】近年、ABS樹脂は耐熱性を向上させるた
めに、ABS樹脂のマトリックス成分に、Tgの高いα
−アルキル置換芳香族ビニル化合物を共重合した耐熱A
BS樹脂が開発されている。しかし、α−アルキル置換
芳香族ビニル化合物を共重合することにより流動性が低
下するために、高温での成形が要求され、成形加工時の
ガスの発生、成型体表面のシルバーの発生や光沢の低下
等の問題がある。
【0004】前記流動性を改善するために滑剤を添加す
る方法、高分子加工助剤を添加する方法(特開昭62−
053367号公報、特開平03−006252号公
報)が提案されているが、耐熱性の低下、高温成形加工
時の成形性が充分ではない。
【0005】また、耐熱性と流動性を両立させるため
に、マトリックス成分にマレイミド化合物を共重合する
方法(特開昭61−236810号公報、特開昭61−
246217号公報)が提案されているが、高温成形加
工時の成形性が充分ではない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】 本発明は、前記のご
とき問題を解消した、成形加工時の高温滞留によるガス
の発生、成型体表面のシルバーの発生や光沢の低下を改
善した共重合体またはそれを含む耐熱性、耐衝撃性に優
れた熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0007】
【課題を解決するための手段】 本発明者らは、前記課
題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、マトリックス
成分となる共重合体の乳化重合を特定の乳化剤を用い、
特定のpHに調整して行うことによって、成形加工時の
高温滞留による成形性(シルバー)、光沢低下、ガス発
生が改善することを見出し、本発明を完成するに至っ
た。
【0008】すなわち、本発明は、シアン化ビニル化合
物、芳香族ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル
およびこれらと共重合可能な単量体から選ばれる1種ま
たは2種以上、ただし、1種のときはシアン化ビニル化
合物、芳香族ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステ
ルから選ばれる単量体を、50℃から350℃まで毎分
5℃で昇温するTGAによる重量減少量が25%以下で
ある乳化剤を用い、pH5.0〜9.0の乳化重合系で
重合して得られる共重合体(請求項1)、乳化剤がアル
キルスルホン酸金属塩またはアルキルベンゼンスルホン
酸金属塩である請求項1記載の共重合体(請求項2)、
請求項1記載の共重合体10〜90重量部、およびジエ
ン系ゴム重合体10〜90重量%の存在下に、芳香族ビ
ニル化合物、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル
酸エステルおよびこれらと共重合可能な単量体から選ば
れる1種または2種以上、ただし、1種のときはシアン
化ビニル化合物、芳香族ビニル化合物、(メタ)アクリ
ル酸エステルから選ばれる単量体90〜10重量%を重
合して得られるグラフト共重合体90〜10重量部(合
わせて100重量部)からなる熱可塑性樹脂組成物(請
求項3)、グラフト共重合体が、50℃から350℃ま
で毎分5℃で昇温するTGAによる重量減少量が25%
以下である乳化剤を用い、pH5.0〜9.0の乳化重
合系で重合して得られるグラフト共重合体である請求項
3記載の熱可塑性樹脂組成物(請求項4)、グラフト共
重合体が乳化剤としてアルキルスルホン酸金属塩または
アルキルベンゼンスルホン酸金属塩を用いる乳化重合で
得られるグラフト共重合体である請求項3記載の熱可塑
性樹脂組成物(請求項5)、ジエン系ゴム重合体が、5
0℃から350℃まで毎分5℃で昇温するTGAによる
重量減少量が25%以下である乳化剤を用い、pH5.
0〜9.0の乳化重合系で重合して得られるジエン系ゴ
ム重合体である請求項3記載の熱可塑性樹脂組成物(請
求項6)及びジエン系ゴム重合体が、乳化剤としてアル
キルスルホン酸金属塩またはアルキルベンゼンスルホン
酸金属塩を用いる乳化重合で得られるジエン系ゴム重合
体である請求項3記載の熱可塑性樹脂組成物(請求項
7)に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】 本発明の共重合体(I)は、測
定機TGAを用い50℃から350℃まで毎分5℃の速
度で昇温する試験法による重量減少量が25%以下であ
る乳化剤(E)を用い、pH5.0〜9.0の乳化重合
系で重合して得られる共重合体であって、シアン化ビニ
ル化合物、芳香族ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エ
ステルおよびこれらと共重合可能な単量体から選ばれる
1種または2種以上、ただし、1種のときはシアン化ビ
ニル化合物、芳香族ビニル化合物、(メタ)アクリル酸
エステルから選ばれる単量体を重合してえられる。
【0010】共重合体(I)は、耐衝撃性、成形性の点
から、シアン化ビニル化合物を好ましくは10〜45%
(重量%、以下同様)、より好ましくは15〜40%、
更に好ましくは20〜35%、芳香族ビニル化合物を好
ましくは55〜90%、より好ましくは60〜85%、
更に好ましくは65〜80%、(メタ)アクリル酸エス
テルを好ましくは0〜35%、より好ましくは0〜25
%、更に好ましくは0〜15%、およびこれらと共重合
可能な単量体を好ましくは0〜30%、より好ましくは
0〜20%、更に好ましくは0〜10%(合計100
%)を重合して得られる共重合体である。耐熱性の点か
ら共重合体(I)は、α−アルキル置換芳香族ビニル化合
物を好ましくは10〜85%、より好ましくは30〜8
0%、更に好ましくは40〜80%含有するのが好まし
い。
【0011】共重合体(I)を構成する前記シアン化ビ
ニル化合物としては、たとえばアクリロニトリル、メタ
クリロニトリルなどががあげられる。これらは単独で用
いてもよく2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0012】単量体を構成する前記芳香族ビニル化合物
としては、たとえばスチレン、α−メチルスチレン、α
−エチルスチレン、α−メチルクロルスチレン、p−メ
チルスチレン、p−イソプロピルスチレン、クロルスチ
レン、ブロムスチレン、ビニルナフタレン、イソプロペ
ニルナフタレンなどがあげられる。この中でも、前記α
−アルキル置換芳香族ビニル化合物としては、たとえば
α−メチルスチレン、α−エチルスチレン、α−メチル
クロルスチレン、イソプロペニルナフタレンなどがあげ
られる。これらは単独で用いてもよく2種以上を組み合
わせて用いてもよい。
【0013】単量体を構成する前記(メタ)アクリル酸
エステルとしては、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜1
2の直鎖あるいは側鎖を有するアルコールとのエステ
ル、たとえばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチ
ル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタ
クリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸メチル、アク
リル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチ
ル、アクリル酸2−エチルヘキシルなどがあげられる。
これらは単独で用いてもよく2種以上を組み合わせて用
いてもよい。
【0014】単量体を構成する前記その他共重合可能な
単量体としては、たとえば(メタ)アクリル酸、グリシ
ジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシルエチル
(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸アルキ
ルエステル以外の(メタ)アクリル酸誘導体、マレイミ
ド、N−フェニルマレイミドなどのマレイミド化合物な
どがあげられる。これらは単独で用いてもよく2種以上
を組み合わせて用いてもよい。
【0015】これらのうちでは、工業的見地から、シア
ン化ビニル化合物としてはアクリロニトリル、芳香族ビ
ニル化合物としてはスチレン、α−メチルスチレン、
(メタ)アクリル酸エステルとしてはメチルメタクリレ
ート、ブチルメタクリレート、ブチルアクリレートが好
ましい。
【0016】共重合体(I)の具体例としては、たとえ
ばスチレン−アクリロニトリル共重合体、α−メチルス
チレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−α−メ
チルスチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−
アクリロニトリル−メチルメタクリレート共重合体、α
−メチルスチレン−アクリロニトリル−メチルメタクリ
レート共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アク
リロニトリル−メチルメタクリレート共重合体、スチレ
ン−アクリロニトリル−ブチルアクリレート共重合体な
どがあげられる。
【0017】本発明の共重合体(I)は、メチルエチル
ケトン可溶分の還元粘度(30℃、0.3g/dl、
N,N−ジメチルホルムアミド溶液)が好ましくは0.
2〜2dl/g、更に好ましくは0.3〜1.5dl/
g、最も好ましくは0.3〜1dl/gである。還元粘
度が0.2dl/g未満になると、耐衝撃性が低下する
傾向が生じ、2dl/gをこえると加工性が低下する傾
向が生じる。
【0018】本発明に使用される熱可塑性樹脂組成物の
成分であるグラフト共重合体(I)を構成するジエン系
ゴム重合体(R)は耐衝撃性向上のために使用される成
分である。ジエン系ゴム重合体(R)は、耐衝撃性の点
からゲル分が好ましくは50%以上、より好ましくは6
0%以上、更に好ましくは70%以上である。
【0019】ジエン系ゴム重合体(R)の体積平均粒径
は特に制限はないが、光沢、耐衝撃性の点から好ましく
は50〜1000nmである。体積平均粒径が50nm
未満になると耐衝撃性が低下する傾向が生じ、1000
nmをこえると光沢、耐衝撃性が低下する傾向が生じ
る。
【0020】ジエン系ゴム重合体(R)は、シリコーン
系ゴム重合体またはアクリル系ゴム重合体と併用するこ
とも可能で、その場合、ジエン系重合体(R)の比率
は、特に制限はない。耐衝撃性の点から、ジエン系ゴム
重合体(R)が50〜100%、好ましくは60〜10
0%、更に好ましくは70〜100%である。ジエン系
ゴム重合体(R)としては、一般にジエン系ゴムとして
用いられているものであればとくに限定なく使用するこ
とができる。その具体例としては、たとえばブタジエン
ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−
ブタジエンゴム、ブチルアクリレート−ブタジエンゴム
などがあげられる。これらのうちではブタジエンゴムあ
るいはスチレン−ブタジエンゴムが好ましい。
【0021】共重合可能な単量体としては、とくに制限
はないが、たとえばメチルメタクリレート、エチルメタ
クリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシ
ルメタクリレートなどの炭素数1〜12のアルキル基を
有するアルキルメタクリレート;アクリロニトリル、メ
タクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物;スチレ
ン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−イ
ソプロピルスチレン、クロルスチレン、ブロムスチレン
などの芳香族ビニル化合物;(メタ)アクリル酸、グリ
シジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル
(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレ
ート以外の(メタ)アクリル酸誘導体;マレイミド、N
−フェニルマレイミドなどのマレイミド化合物などがあ
げられる。これらは単独で用いてもよく2種以上を組み
合わせて用いてもよい。これらのうちでは、耐衝撃性、
加工性、経済性の点から、メチルメタクリレート、ブチ
ルメタクリレート、アクリロニトリル、スチレン、グリ
シジルメタクリレートが好ましい。
【0022】アクリル系ゴム重合体としては、一般にア
クリル系ゴムとして用いられているものであればとくに
限定なく使用することができる。その具体例としては、
たとえばアクリル酸ブチルゴム、ブタジエン−アクリル
酸ブチルゴム、アクリル酸2−エチルヘキシル−アクリ
ル酸ブチルゴム、メタクリル酸2−エチルヘキシル−ア
クリル酸ブチルゴム、アクリル酸ステアリル−アクリル
酸ブチルゴム、ジメチルシロキサン−アクリル酸ブチル
ゴム、シリコーンゴム/アクリル酸ブチル複合ゴムなど
があげられる。これらのうちではアクリル酸ブチルゴ
ム、ブタジエン−アクリル酸ブチルゴムが好ましい。
【0023】シリコーン系ゴム重合体としては、一般に
シリコーン系ゴムとして用いられているものであればと
くに限定なく使用することができる。その具体例として
は、たとえばポリジメチルシロキサンゴム、シリコーン
ゴム/アクリル酸ブチル複合ゴムなどがあげられる。こ
れらのうちではシリコーンゴム/アクリル酸ブチル複合
ゴムが好ましい。
【0024】本発明のグラフト共重合体(II)は、ジエ
ン系ゴム重合体(R)10〜90%の存在下に芳香族ビ
ニル化合物、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル
酸エステルおよびこれらと共重合可能な単量体から選ば
れる1種または2種以上(ただし、1種のときはシアン
化ビニル化合物、芳香族ビニル化合物、(メタ)アクリ
ル酸エステルから選ばれる)からなる単量体90〜10
%を重合して得られたグラフト共重合体である。グラフ
ト共重合体(II)はMEKに不溶成分を含むもので、グ
ラフト率が好ましくは15〜150%、より好ましくは
25〜120%、さらに好ましくは30〜100%であ
る。グラフト率が15%未満の場合、耐衝撃性および成
形加工時の高温滞留により光沢・成形性(フローマーク
発生の抑制)が低下する傾向が生じ、150%をこえる
と加工性が低下する傾向が生じる。
【0025】グラフト共重合体(II)における単量体
は、耐衝撃性、加工性の点から、シアン化ビニル化合物
好ましくは10〜45%、より好ましくは15〜40
%、更に好ましくは20〜35%、芳香族ビニル化合物
好ましくは55〜90%、より好ましくは60〜85
%、更に好ましくは65〜80%、(メタ)アクリル酸
アルキルエステル好ましくは0〜35%、より好ましく
は0〜25%、更に好ましくは0〜15%、その他共重
合可能な単量体好ましくは0〜30%、より好ましくは
0〜20%、更に好ましくは0〜10%(合計100
%)の割合である。シアン化ビニル化合物が10%未満
になる、芳香族ビニル化合物が90%をこえると、また
は共重合可能な単量体が35%をこえると、いずれの場
合も、耐衝撃性が低下する傾向が生じる。シアン化ビニ
ル化合物が45%をこえる、(メタ)アクリル酸アルキ
ルエステルが35%をこえると、または芳香族ビニル化
合物が55%未満になると、いずれも加工性が低下する
傾向が生じる。
【0026】単量体を構成する前記シアン化ビニル化合
物としては、たとえばアクリロニトリル、メタクリロニ
トリルなどが、前記芳香族ビニル化合物としては、たと
えばスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレ
ン、p−イソプロピルスチレン、クロルスチレン、ブロ
ムスチレン、ビニルナフタレンなどが、(メタ)アクリ
ル酸エステルとしては、たとえば(メタ)アクリル酸お
よびそのメチル、エチル、プロピル、ブチル、2−ヒド
ロキシルエチル、2−エチルヘキシル、グリシジルなど
の(メタ)アクリル酸エステル系単量体などがあげられ
る。工業的見地から、前記シアン化ビニル化合物として
はアクリロニトリル、芳香族ビニル化合物としてはスチ
レン、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしてはメ
タクリル酸メチル、アクリル酸ブチルが好ましい。
【0027】本発明の熱可塑性樹脂組成物(J)は、共
重合体(I)10〜90部(重量部、以下同様)および
グラフト共重合体(II)90〜10部(合計量が100
部)からなり、該組成物中のジエン系ゴム重合体(R)
の含有量が好ましくは5〜40%、より好ましくは5〜
35%、さらに好ましくは10〜35%である。ジエン
系ゴム重合体(R)の含有量が5%未満の場合には耐衝
撃性が低下する傾向があり、40%をこえる場合には加
工性が低下する傾向がある。
【0028】なお、熱可塑性樹脂組成物(J)に含まれ
る共重合体(I)およびグラフト共重合体(II)の割合
は、ジエン系ゴム重合体(R)の含有量が5〜40%に
なるように配合されることが好ましいが、通常、共重合
体(I)が好ましくは10〜90部、より好ましくは1
0〜80部、更に好ましくは10〜70部、およびグラ
フト重量体(II)が好ましくは10〜90部、より好ま
しくは20〜90部、更に好ましくは30〜90部から
なる。共重合体(I)が10部未満になり、グラフト共
重合体(II)が90部をこえると、加工性が低下する傾
向が生じ、共重合体(I)が90部をこえ、グラフト共
重合体(II)が10部未満になると耐衝撃性が低下する
傾向が生じる。
【0029】本発明の熱可塑性樹脂組成物(J)には、
一般に知られている酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収
剤、顔料、帯電防止剤、滑剤を必要に応じて使用しても
よい。とくに、スチレン系樹脂などに用いられるフェノ
ール系、イオウ系、リン系、ヒンダードアミン系の安定
剤、抗酸化剤、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール
系の紫外線吸収剤および脂肪族炭化水素、高級脂肪酸と
高級アルコールとのエステル、脂肪酸金属塩、高級脂肪
酸のアミドまたはビスアミド、それらの変性体、オリゴ
アミド、有機系シリコーンオイルなどの内部滑剤、外部
滑剤などは、本発明の組成物を成形用樹脂組成物とし
て、より高性能なものとするために用いることができ
る。ことに有機系シリコーンオイルは、光沢、耐衝撃
性、摺動性、離型性の点から使用するのが好ましい。有
機系シリコーンオイルの具体例としては、たとえばポリ
ジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、
ポリジフェニルシロキサンなどである。これらのうちで
はポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキ
サンが好ましい。有機系シリコーンオイルの分子量には
とくに限定はないが、1000(千)〜50万程度が好
ましい。有機系シリコーンオイルの動粘度にもとくに限
定はないが、25℃で0.1〜100万cSt(センチ
ストークス)が好ましく、耐衝撃性の点から、より好ま
しくは1〜20万cSt、更に好ましくは10〜10万
cStが好ましい。
【0030】これらの安定剤、滑剤は、単独で用いても
よく2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0031】つぎに、本発明の共重合体(I)および熱
可塑性樹脂組成物(J)の製法について説明する。
【0032】共重合体(I)の製造は、分子量、組成分
布を制御しやすいなどの点から、乳化重合法により製造
を行うのが有利である。乳化重合を行う乳化剤(E)
は、TGA装置を用いる50℃から350℃まで毎分5
℃の昇温速度で昇温する加熱(強制的に送風しない)試
験による重量減少量が25%以下、好ましくは20%以
下、更に好ましくは15%以下である乳化剤を用い、p
H5.0〜9.0の乳化重合系で製造を行う。乳化剤の
重量減少量が25%をこえる、重合系のpH5.0が未
満あるいはpH9.0をこえると、共重合体(I)およ
び熱可塑性樹脂組成物(J)の成形加工時に樹脂が高温
で滞留した場合の成形品の外観性低下(シルバーの発
生)、光沢の低下、ガスの発生量が増加する。重合設備
等の腐食(錆)を防止する観点からも、pH5.0以上
であるのが好ましい。
【0033】TGA(50℃から350℃まで5℃/分
で昇温)による重量減少量が25%以下、かつpH5.
0〜9.0の範囲内で乳化重合を行える乳化剤として、
アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルスル
ホン酸ナトリウム、アルキルスルホン酸カリウムなどの
公知のスルホン酸金属塩を使用することができる。この
具体例としては、炭素数12〜20のアルキルベンゼン
スルホン酸ナトリウム、炭素数12〜20のアルキルス
ルホン酸ナトリウム、炭素数12〜20のアルキルスル
ホン酸カリウムが挙げられる。さらに、製造上の取り扱
いやすさ(排水発泡性)という観点から、アルキルスル
ホン酸ナトリウムを使用するのが好ましい。
【0034】また、上記範囲内のpHで乳化重合が行え
る限り、pH調整剤を併用してもかまわない。pH調整
剤としては、例えば炭酸ソーダ、炭酸カリウム、炭酸水
素ナトリウム、炭酸水素カリウム、水酸化ナトリウム、
水酸化カリウム、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウ
ムなどの公知のpH調整剤を使用することができる。共
重合体(I)の製造は、重合中のpH制御が容易なこと
およびラテックス安定性という観点から、製造中に乳化
剤を二回以上に分けて(重合開始前と重合開始後に1回
以上)追加するのが好ましい。
【0035】また、本発明の範囲のものが得られる限
り、いかなる開始剤、連鎖移動剤を用いて製造したもの
でもかまわない。
【0036】前記開始剤としては、有機系過酸化物、無
機系過酸化物、アゾ化合物などの公知の開始剤を使用す
ることができる。過酸化物は還元剤と組み合わせたレド
ックス系開始剤としても使用することができる。これら
のうちでは、耐衝撃性、発色性の点から、有機系過酸化
物を使用するのが好ましい。
【0037】前記有機系過酸化物は、重合系にそのまま
添加する方法、単量体に混合して添加する方法、乳化剤
水溶液に分散させて添加する方法など、公知の添加法で
添加することができるが、耐衝撃性、発色性の点から、
単量体に混合して添加する方法あるいは乳化剤水溶液に
分散させて添加する方法が好ましい。
【0038】また、前記有機系過酸化物は、重合安定
性、粒径制御の点から、2価の鉄塩などの無機系還元剤
および(または)ホルムアルデヒドスルホキシル酸ソー
ダ、還元糖、アスコルビン酸などの有機系還元剤と組み
合わせたレドックス系開始剤として使用するのが好まし
い。
【0039】前記有機系過酸化物の具体例としては、た
とえばt−ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパー
オキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキ
サイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド、1,
1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイ
ドなどのハイドロパーオキサイド類、クミルパーオキシ
オクテート、t−ブチルイソプロピルカーボネートなど
のパーオキシエステル類、シクロヘキサノンパーオキサ
イドなどのケトンパーオキサイド類、1,1−ビス(t
−ブチルパーオキシ)シクロヘキサンなどのパーオキシ
ケタール類、t−ブチルクミルパーオキサイドなどのジ
アルキルパーオキサイド類、ベンゾイルパーオキサイド
などのジアシルパーオキサイド類、ジイソプロピルパー
オキシジカーボネートなどのパーオキシジカーボネート
類などがあげられる。前記無機系過酸化物の具体例とし
ては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどがあげ
られる。
【0040】前記連鎖移動剤としては、たとえばt−ド
デシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、α−
メチルスチレンダイマー、テルピノレンなど公知の連鎖
移動剤を使用することができる。
【0041】重合時の単量体の添加方法としては、反応
容器に連続的に滴下してもよく、一括で添加してもよ
く、初期に一部を連続的にまたは一括で添加し、その後
残りを連続的に滴下するなど分割添加してもよい。これ
らのうちでは、分子量、組成分布制御の点から、単量体
は連続的に滴下する方法または初期に一部を一括添加
し、その後残りを連続滴下する方法が好ましい。
【0042】グラフト共重合体(II)の製造は、グラフ
ト率、組成分布を制御しやすいなどの点から、乳化重合
法により製造を行うことが好ましい。さらに、ジエン系
ゴム重合体(R)の製造は、ゴムの粒径分布を制御しや
すいなどの点から、乳化重合法により製造を行うことが
より好ましい。
【0043】乳化重合を行う乳化剤(E)は、TGA
(50℃から350℃まで5℃/分で昇温)による重量
減少量が25%以下、好ましくは20%以下、更に好ま
しくは15%以下である乳化剤を用い、pH5.0〜
9.0の乳化重合系で製造を行う。乳化剤の重量減少量
が25%をこえる、重合系のpHが5.0未満あるいは
pHが9.0をこえると、グラフト共重合体(II)およ
び熱可塑性樹脂組成物(J)の成形加工時に樹脂が高温
で滞留した場合の成形品の外観性低下(シルバーの発
生)、光沢の低下、ガスの発生量が増加する。重合設備
等の腐食(錆)を防止する観点からも、pHが5.0以
上であるのが好ましい。
【0044】TGA(50℃から350℃まで5℃/分
で昇温)による重量の減少量が25%以下、かつ重合系
のpHが5.0〜9.0の範囲内で乳化重合を行える乳
化剤として、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、
アルキルスルホン酸ナトリウム、アルキルスルホン酸カ
リウムなどの公知のスルホン酸金属塩を使用することが
できる。この具体例としては、炭素数12〜20のアル
キルベンゼンスルホン酸ナトリウム、炭素数12〜20
のアルキルスルホン酸ナトリウム、炭素数12〜20の
アルキルスルホン酸カリウムが挙げられる。さらに、製
造上の取り扱いやすさ(排水発泡性)という観点から、
アルキルスルホン酸ナトリウムを使用するのが好まし
い。
【0045】グラフト共重合体(II)、ジエン系ゴム重
合体(R)の製造は、重合中のpH制御が容易なことお
よびラテックス安定性という観点から、製造中に乳化剤
を二回以上に分けて(重合開始前と重合開始後に1回以
上)追加するのが好ましい。
【0046】本発明の熱可塑性樹脂組成物(J)は、そ
の製造方法によって異なるが、共重合体(I)、グラフ
ト共重合体(II)を、たとえばラテックス、スラリー、
溶液、粉末、ペレットなどの状態あるいはこれらの組み
合わせで混合して製造することができる。たとえば、共
重合体(I)、グラフト共重合体(II)がラテックスか
ら得られる場合、ポリマー粉末を回収するときは通常の
方法、たとえばラテックスに塩化カルシウム、塩化マグ
ネシウム、硫酸マグネシウムのようなアルカリ土類金属
の塩、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウムのようなアルカ
リ金属の塩、塩酸、硫酸、リン酸、酢酸のような無機酸
および有機酸を添加することでラテックスを凝固させた
のち、脱水乾燥する方法で実施することができる。ま
た、スプレー乾燥法を使用することもできる。この際、
安定剤などの使用する量の一部を分散液の状態でこれら
樹脂のラテックスあるいはスラリーに添加することもで
きる。
【0047】本発明の熱可塑性樹脂組成物(J)は、共
重合体(I)およびグラフト共重合体(II)の粉末、ペ
レットなどに対し、必要に応じて前記の安定剤、滑剤、
顔料などを配合し、バンバリミキサー、ロールミル、1
軸押出機、2軸押出機など公知の溶融混練機で混練し、
射出成形、押出成形、ブロー成形、カレンダー成形など
公知の成形法で、目的の成形品に賦形することができ
る。
【0048】なお、本発明の熱可塑性樹脂組成物(J)
は、マレイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アミ
ド系樹脂、ポリエステル系樹脂、メタクリル系樹脂、塩
化ビニル系樹脂等の他の熱可塑性樹脂とブレンドしポリ
マーアロイとして使用してもよい。
【0049】
【実施例】 以下、本発明の組成物を具体的な実施例に
基づいて説明するが、これら実施例は本発明を限定する
ものではない。なお、実施例および比較例で用いた原料
およびその略号は次の通り。 AN:アクリロニトリル St:スチレン tDM:t−ドデシルメルカプタン CHP:クメンハイドロパーオキサイド PMI:N−フェニルマレイミド αMSt:α−メチルスチレン MMA:メチルメタクリレート BA:ブチルアクリレート TAC:トリアリルシアヌレート 乳化剤: アルキルベンゼンスルホン酸金属塩(ドデシルベンゼン
スルホン酸ナトリウム:ネオペレックス25、花王株式
会社製) アルキルスルホン酸金属塩(アルキルスルホン酸ナトリ
ウム(炭素数平均14):ラテムルPS、花王株式会社
製) ジアルキルスルホコハク酸金属塩(ジオクチルスルホコ
ハク酸ナトリウム:ラピゾールB−80、日本油脂株式
会社製) 脂肪酸金属塩(パルミチン酸ナトリウム:PN−1、日
本油脂株式会社製) 脂肪酸金属塩(オレイン酸カリウム:OSソープ、花王
株式会社製) また、評価方法は次の通り。 (重量減少量)各乳化剤(E)について、リガク株式会
社のシステムTGA(TAS−100)を用いて、50
℃から350℃まで毎分5℃の昇温(強制的な送風はし
ない条件)による重量減少量を測定した。 (還元粘度)共重合体(I)を、濃度0.3g/dlの
N,N−ジメチルホルムアミド溶液として、30℃で、
ウベロード型粘度計で溶液粘度を測定して算出した。 (グラフト率)グラフト共重合体(II)のパウダーをメ
チルエチルケトンに溶解させて、遠心分離し、メチルエ
チルケトン可溶分と不溶分を得た。この可溶分と不溶分
との重量比率から、グラフト共重合体(II)のグラフト
率を算出した。 (ゴム重合体の体積平均粒径)各ラテックスについて、
日機装株式会社製のマイクロトラックUPA粒径分布計
を用いて測定した。 (重合転化率)ガスクロマトグラフィーの結果から算出
した。 (pH)乳化重合開始から終了時までのpHを堀場製作
所株式会社製 pHメーターM−8を用いて測定し、p
Hの変化の最大値と最小値を求めた。 [樹脂組成物の特性] (成形性:シルバー)グラフト共重合体(I)と共重合
体(II)からなる樹脂組成物100部に、エチレンビス
ステアリルアミド1部、AO−20 0.2部を配合し
て作製したペレットを、株式会社ファナック製FAS−
100B射出成形機を使用し、シリンダー温度300
℃、1時間滞留前後の、サンプル(バターケースふた:
150×80×10mm)を成形した。滞留前(高温滞
留による劣化を受けていない)および滞留後1ショット
目(十分に高温滞留を受けている)を目視(5点法)に
て下記基準で評価した。 5点:シルバーが全くない 4点:シルバーがぼんやりと認められる 3点:シルバーがはっきりと認められる 2点:シルバーがバターケースの半面に存在する 1点:シルバーがバターケースの全面に存在する (ガス発生状態)上記滞留後のバターケースふたサンプ
リング後、シリンダーからフリーショットした溶融樹脂
をダンゴ(塊)にし、3分後、ダンゴを割って内部を目
視(5点法)にて下記基準で評価した。 5点:発砲が全くない 4点:発砲がぼんやりと認められる 3点:発砲がはっきりと認められる 2点:発砲がダンゴの半面に存在する 1点:発砲がダンゴの全面に存在する (光沢)株式会社ファナック製FAS−100B射出成
形機を使用し、シリンダー温度280℃、成形サイクル
3分間で、サンプル(バターケースふた:150×80
×10mm)を成形した。1ショット目(高温滞留によ
る劣化を受けていない)および8ショット目(十分に高
温滞留を受け、光沢低下の変動が一定している)を日本
電色工業株式会社製VG−1D を使用し、60°×6
0°反射率で評価した。単位:% (耐熱性:HDT)ASTM D−648規格(1/4
インチ厚み)にしたがって1.82MPa荷重の熱変形
温度で評価した。単位:℃ (耐衝撃性:IZOD)アイゾット衝撃強度で評価し
た。ASTM D−256規格(1/4インチ厚み)に
したがって23℃で測定した。単位:J/m (流動性:SF)株式会社ファナック製FAS−100
B射出成形機を使用し、シリンダー温度250℃、射出
圧力132MPaで、3mm厚さのスパイラル形状の金
型内における樹脂の流動長で評価した。(単位:m
m)。
【0050】共重合体(I)の製造例 共重合体(I−1) 重合機に水250部、アルキルスルホン酸ナトリウム
0.5部(固形分)を投入し、60℃に昇温したのち、
チッ素置換した。つづいてエチレンジアミン四酢酸二ナ
トリウム0.01部、硫酸第一鉄(七水塩)0.002
5部、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム0.
4部を加えたのち、AN25部、 St5部、αMSt
70部、t−DM0.20部およびCHP0.3部の混
合液を8時間かけて連続添加した。連続添加2時間目
に、アルキルスルホン酸ナトリウム0.5部(固形
分)、4時間目にアルキルスルホン酸ナトリウム0.5
部(固形分)を追加した。さらに1時間の後重合を行
い、共重合体(II−1)のラテックスを得た。重合転化
率は97%、還元粘度は0.60dl/gであった。重
合中のpHは7.5〜8.3であった。
【0051】共重合体(I−2)〜(I−6) 表1に記載の原料および乳化剤を表1に記載の割合で用
いた以外は、共重合体(I−1)と同様にして、共重合
体(I−2)〜(I−6)を製造した。重合体(I−
2)〜(I−6)の原料の組成、乳化剤、乳化剤のTG
Aによる重量減少量、重合中のpH、重合転化率、還元
粘度を表1に示す。
【0052】
【表1】 ジエン系ゴム重合体(R)の製造例 ジエン系ゴム重合体(R−1) 耐圧重合機(100L)に水200部を仕込み、重合機
内を脱気し、チッ素置換したのち、ブタジエン100
部、オレイン酸カリウム1.0部、炭酸ナトリウム0.
05部、過硫酸カリウム0.2部、tDM0.15部を
仕込んだ。60℃まで昇温し、重合を開始し、重合を1
6時間で終了させ、ジエン系ゴム重合体(B−1)のラ
テックスを得た。得られたラテックスの重合転化率は9
5%、体積平均粒径は200nmであった。重合中のp
Hは9.6〜10.5であった。
【0053】ジエン系ゴム重合体(R−2) 耐圧重合機(100L)に水200部を仕込み、重合機
内を脱気し、チッ素置換したのち、ブタジエン100
部、アルキルスルホン酸ナトリウム0.6部、炭酸ナト
リウム0.05部、過硫酸カリウム0.2部、tDM
0.15部を仕込んだ。60℃まで昇温し、重合を開始
し、5時間目、10時間目にアルキルスルホン酸ナトリ
ウムを0.5部、0.4部添加し、重合を16時間で終
了させ、ジエン系ゴム重合体(R−2)のラテックスを
得た。得られたラテックスの重合転化率は96%、体積
平均粒径は230nmであった。重合中のpHは7.8
〜8.5であった。
【0054】アクリル系ゴム重合体(A)の製造例 アクリル系ゴム重合体(A) 重合機に純水200部を仕込み、重合機内を脱気し、チ
ッ素置換したのち、アルキルスルホン酸ナトリウム1.
0部を仕込んだ。45℃まで昇温し、エチレンジアミン
四酢酸二ナトリウム0.01部、硫酸第一鉄(七水塩)
0.0025部、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナト
リウム0.3部を加えた。1段目の単量体としてBA7
0部、TAC0.3部、CHP0.03部の混合物を6
時間連続滴下し、滴下終了後、45℃で1時間攪拌し
た。滴下1.5時間目、3時間目にアルキルスルホン酸
ナトリウムを各々0.5部、0.4部を添加した。つづ
いて、2段目の単量体としてBA30部、TAC0.5
部、CHP0.01部の混合物を3時間連続滴下し、滴
下終了後、45℃で1時間攪拌し、重合を終了した。転
化率は99%であった。得られたアクリル系ゴム重合体
(A−1)のラテックスの体積平均粒径は100nmで
あった。重合中のpHは7.8〜8.3であった。
【0055】グラフト共重合体(II)の製造例 グラフト共重合体(II−1) ジエン系ゴム重合体(R−1)のラテックス60部(固
形分)、水250部を重合機に入れチッ素置換し、65
℃に昇温したのち、アルキルスルホン酸ナトリウム0.
2部(固形分)、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム
0.004部、硫酸第一鉄(七水塩)0.001部、ホ
ルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム0.2部を加
え、AN10部、St30部およびCHP0.2部の混
合液を5時間かけて連続添加した。さらに2時間の後重
合を行い、グラフト共重合体(II−1)のラテックスを
得た。重合転化率は96%であった。重合中のpHは
9.2〜11.1であった。重合転化率およびMEK可
溶量、MEK不溶量からグラフト率を求めた。結果を表
2に示す。
【0056】グラフト共重合体(II−2)〜(II−5) 表2に記載の原料、乳化剤を表2に記載の組成で用いた
以外は、グラフト共重合体(II−1)と同様にしてグラ
フト共重合体(II−2)〜(II−5)のラテックスを得
た。グラフト共重合体(II−2)〜(II−5)の原料の
組成、乳化剤、重合中のpH、重合転化率、グラフト率
を表2に示す。
【0057】
【表2】 実施例1 共重合体(I−1)のラテックス、グラフト共重合体
(II−1)のラテックスを表3に示す割合で混合し、フ
ェノール系抗酸化剤(旭電化工業株式会社製AO−5
0)を加えたのち、塩化カルシウムを加えて凝固させ
た。凝固スラリーを熱処理、脱水乾燥して、共重合体
(I−1)およびグラフト共重合体(II−1)の混合樹
脂粉末を得た。ついで得られた混合樹脂粉末に、エチレ
ンビスステアリルアミド1部、フェノール系抗酸化剤
(旭電化工業株式会社製AO−20)0.2部を配合し
株式会社タバタ製20Lヘンシェルミキサーで均一にブ
レンドした。さらに株式会社タバタ製40mmの1軸押
出機で、250℃で溶融混練して、熱可塑性樹脂組成物
のペレットを製造した。このペレットから、株式会社フ
ァナック製射出成形機FAS−100Bを用いて250
℃で必要なテストピースを成形し、試験に供した。ま
た、その他の評価も行なった。結果を表3に示す。
【0058】実施例2〜9および比較例1〜5 表3に記載の原料を表3に記載の割合で用い、実施例1
と同様にしてペレットを製造し、テストピースを成形し
て試験に供した。また、その他の評価も行なった。結果
を表3に示す。
【0059】
【表3】
【0060】
【発明の効果】 本発明の熱可塑性樹脂組成物は、耐熱
性、耐衝撃性に優れ、成形加工時の高温滞留によるガス
の発生、成形体表面のシルバーの発生や光沢の低下を改
善した成形品が得られた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J002 BC07W BN14X EV236 FD316 GN00 GQ01 4J011 KA04 KB05 KB29 4J026 AA45 AA61 AA68 BA05 BA27 BA31 DA04 DA07 DA09 DB04 DB08 DB10 4J100 AB00P AB02P AB03P AB08P AB09P AL03R AL04R AM02Q CA04 CA05 FA02 FA20

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シアン化ビニル化合物、芳香族ビニル化
    合物、(メタ)アクリル酸エステルおよびこれらと共重
    合可能な単量体から選ばれる1種または2種以上、ただ
    し、1種のときはシアン化ビニル化合物、芳香族ビニル
    化合物、(メタ)アクリル酸エステルから選ばれる単量
    体を、50℃から350℃まで毎分5℃で昇温するTG
    Aによる重量減少量が25%以下である乳化剤を用い、
    pH5.0〜9.0の乳化重合系で重合して得られる共
    重合体。
  2. 【請求項2】 乳化剤がアルキルスルホン酸金属塩また
    はアルキルベンゼンスルホン酸金属塩である請求項1記
    載の共重合体。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の共重合体10〜90重量
    部、およびジエン系ゴム重合体10〜90重量%の存在
    下に、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、
    (メタ)アクリル酸エステルおよびこれらと共重合可能
    な単量体から選ばれる1種または2種以上、ただし、1
    種のときはシアン化ビニル化合物、芳香族ビニル化合
    物、(メタ)アクリル酸エステルから選ばれる単量体9
    0〜10重量%を重合して得られるグラフト共重合体9
    0〜10重量部(合わせて100重量部)からなる熱可
    塑性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 グラフト共重合体が、50℃から350
    ℃まで毎分5℃で昇温するTGAによる重量減少量が2
    5%以下である乳化剤を用い、pH5.0〜9.0の乳
    化重合系で重合して得られるグラフト共重合体である請
    求項3記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 グラフト共重合体が乳化剤としてアルキ
    ルスルホン酸金属塩またはアルキルベンゼンスルホン酸
    金属塩を用いる乳化重合で得られるグラフト共重合体で
    ある請求項3記載の熱可塑性樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 ジエン系ゴム重合体が、50℃から35
    0℃まで毎分5℃で昇温するTGAによる重量減少量が
    25%以下である乳化剤を用い、pH5.0〜9.0の
    乳化重合系で重合して得られるジエン系ゴム重合体であ
    る請求項3記載の熱可塑性樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 ジエン系ゴム重合体が、乳化剤としてア
    ルキルスルホン酸金属塩またはアルキルベンゼンスルホ
    ン酸金属塩を用いる乳化重合で得られるジエン系ゴム重
    合体である請求項3記載の熱可塑性樹脂組成物。
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