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JP2002267835A - 屈折率分散の決定方法および屈折率分布の決定方法 - Google Patents

屈折率分散の決定方法および屈折率分布の決定方法

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Publication number
JP2002267835A
JP2002267835A JP2001066190A JP2001066190A JP2002267835A JP 2002267835 A JP2002267835 A JP 2002267835A JP 2001066190 A JP2001066190 A JP 2001066190A JP 2001066190 A JP2001066190 A JP 2001066190A JP 2002267835 A JP2002267835 A JP 2002267835A
Authority
JP
Japan
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refractive index
film
data
value
wavelength
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001066190A
Other languages
English (en)
Inventor
Hideo Fujii
秀雄 藤井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Pentax Corp
Original Assignee
Asahi Kogaku Kogyo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Kogaku Kogyo Co Ltd filed Critical Asahi Kogaku Kogyo Co Ltd
Priority to JP2001066190A priority Critical patent/JP2002267835A/ja
Publication of JP2002267835A publication Critical patent/JP2002267835A/ja
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  • Testing Of Optical Devices Or Fibers (AREA)
  • Optical Filters (AREA)
  • Surface Treatment Of Optical Elements (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】光学部品の光学特性を精度良く求めることを可
能とするような屈折率分散の決定方法、屈折率分布の決
定方法を提供すること。 【解決手段】膜厚方向の組成分布データと膜の構成材料
の屈折率データとを用いて計算される第1の光学特性の
計算値P1calと測定値P1とを求め、|P1
cal−P1|が許容値以下となるように、各材料の
屈折率データを最適化パラーメータとして第1の最適化
処理を施し、各材料の屈折率を決定する。次いで、膜厚
データを最適化パラーメータとして第2の最適化処理を
施し、膜の膜厚を決定する。その後、第3の光学特性の
計算値P3calと測定値P3とを、異なる複数の波
長について求め、基準波長に対する比屈折率を最適化パ
ラーメータとして第3の最適化処理を施し、比屈折率を
決定する。前記の最適化処理で決定された各材料の屈折
率と膜厚と比屈折率とを用いて、屈折率分散を求める。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、2種以上の材料で
構成された膜の屈折率分散の決定方法および屈折率分布
の決定方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】眼鏡レンズやカメラレンズのような光学
部品においては、優れた性能を保証するために、その光
学特性(例えば、屈折率等)を精度良く求める必要があ
る。
【0003】例えば、従来、光学部品の屈折率を測定す
る方法として、分光反射率法、分光透過率法、偏光解析
法等が用いられてきた。
【0004】これらの方法では、それぞれに対応する光
学特性(分光反射率、分光透過率、偏光解析値)の測定
値と、計算値とが一致するように、膜屈折率、膜厚を最
適化することにより、屈折率を決定する。均質な膜の屈
折率を決定する場合、前述した方法は非常に有効であ
る。
【0005】一方、厚さ方向に組成が変化する膜に前述
した方法を適用する場合には、膜をその厚さ方向に等分
割し、均一な組成を有する薄膜の積層体であるとみなし
て、各薄膜の屈折率を最適化することにより、屈折率分
布を求めていた。しかしながら、このような方法では、
最適化で収束する可能性のある屈折率分布が多数存在す
る。このため、このような方法で求められた屈折率分布
は、信頼性の低いものであった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、光学
部品の光学特性を精度良く求めることを可能とするよう
な屈折率分散の決定方法、屈折率分布の決定方法を提供
することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(12)の本発明により達成される。
【0008】(1) 2種以上の材料で構成され、か
つ、厚さ方向に屈折率が変化する膜について、波長に関
する屈折率分散を求める方法であって、前記膜の厚さ方
向の組成分布データ、および前記膜を構成する各材料の
基準波長における屈折率データを初期条件として用いて
計算される第1の光学特性の計算値と、前記第1の光学
特性の測定値とを求め、前記第1の光学特性の前記計算
値と、前記第1の光学特性の前記測定値とを比較し、そ
の差が許容範囲内の値となるように、前記各材料の前記
基準波長における前記屈折率データを最適化パラーメー
タとして、第1の最適化処理を施すことにより、前記各
材料の前記基準波長における屈折率を決定し、前記第1
の最適化処理を施すことにより決定された前記各材料の
前記基準波長における前記屈折率、前記組成分布デー
タ、および前記膜の膜厚データを初期条件として用いて
計算される第2の光学特性の計算値と、前記第2の光学
特性の測定値とを求め、前記第2の光学特性の前記計算
値と、前記第2の光学特性の前記測定値とを比較し、そ
の差が許容範囲内の値となるように、前記膜厚データを
最適化パラーメータとして、第2の最適化処理を施すこ
とにより、前記膜の膜厚を決定し、前記第1の最適化処
理を施すことにより決定された前記各材料の前記基準波
長における前記屈折率、および前記第2の最適化処理を
施すことにより決定された前記膜厚を用いて計算される
第3の光学特性の計算値と、前記第3の光学特性の測定
値とを、異なる複数の波長について求め、前記複数の波
長について、それぞれ、前記第3の光学特性の計算値
と、前記第3の光学特性の測定値とを比較し、その差が
許容範囲内の値となるように、前記基準波長に対する比
屈折率を最適化パラーメータとして、第3の最適化処理
を施すことにより、前記複数の波長での前記比屈折率を
決定し、波長に関する屈折率分散を求めることを特徴と
する屈折率分散の決定方法。
【0009】これにより、波長に関する屈折率分散を、
精度良く求めることが可能な屈折率分散の決定方法を提
供することができる。
【0010】(2) 前記組成分布データは、前記膜を
厚さ方向に等分割する複数の箇所での組成比データより
なるものである上記(1)に記載の屈折率分散の決定方
法。
【0011】これにより、波長に関する屈折率分散を、
さらに精度良く求めることが可能となる。
【0012】(3) 前記組成分布データは、前記膜の
製造時における前記各材料の成膜速度データから得られ
たものである上記(1)または(2)に記載の屈折率分
散の決定方法。
【0013】これにより、波長に関する屈折率分散を、
さらに精度良く求めることが可能となる。
【0014】(4) 前記各材料の前記屈折率データ
は、前記各材料のそれぞれについて、実質的に単一の前
記各材料のみで構成された膜の屈折率の測定から得られ
たものである上記(1)ないし(3)のいずれかに記載
の屈折率分散の決定方法。
【0015】これにより、波長に関する屈折率分散を、
さらに精度良く求めることが可能となる。
【0016】(5) 前記膜厚データは、前記膜の製造
時における前記各材料の成膜速度データより得られたも
のである上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の屈
折率分散の決定方法。
【0017】これにより、波長に関する屈折率分散を、
より効率良く決定することが可能となる。
【0018】(6) 前記第1の光学特性は、分光反射
率、分光透過率、偏光解析法から選択される少なくとも
一つである上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の
屈折率分散の決定方法。
【0019】これにより、波長に関する屈折率分散を、
さらに精度良く求めることが可能となる。
【0020】(7) 前記第2の光学特性は、分光反射
率、分光透過率、偏光解析法から選択される少なくとも
一つである上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の
屈折率分散の決定方法。
【0021】これにより、波長に関する屈折率分散を、
さらに精度良く求めることが可能となる。
【0022】(8) 前記第3の光学特性は、分光反射
率、分光透過率、偏光解析法から選択される少なくとも
一つである上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の
屈折率分散の決定方法。
【0023】これにより、波長に関する屈折率分散を、
さらに精度良く求めることが可能となる。
【0024】(9) 前記第1の最適化処理は、最小二
乗法により行うものである上記(1)ないし(8)のい
ずれかに記載の屈折率分散の決定方法。
【0025】これにより、波長に関する屈折率分散を、
さらに精度良く求めることが可能となる。
【0026】(10) 前記第2の最適化処理は、最小
二乗法により行うものである上記(1)ないし(9)の
いずれかに記載の屈折率分散の決定方法。
【0027】これにより、波長に関する屈折率分散を、
さらに精度良く求めることが可能となる。
【0028】(11) 前記第3の最適化処理は、最小
二乗法により行うものである上記(1)ないし(10)
のいずれかに記載の屈折率分散の決定方法。
【0029】これにより、波長に関する屈折率分散を、
さらに精度良く求めることが可能となる。
【0030】(12) 上記(1)ないし(11)のい
ずれかに記載の屈折率分散の決定方法で決定された前記
各材料の前記基準波長における前記屈折率、前記膜厚、
および前記比屈折率を用いて、前記膜の厚さ方向の屈折
率分布を求めることを特徴とする屈折率分布の決定方
法。
【0031】これにより、膜の厚さ方向の屈折率分布
を、(正確に)精度良く求めることが可能な屈折率分散
の決定方法を提供することができる。
【0032】
【発明の実施の形態】以下、本発明の屈折率分布の決定
方法および屈折率分散の決定方法を添付図面に示す好適
実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0033】本発明は、2種以上の材料で構成され、そ
の厚さ方向に屈折率が変化する膜について、屈折率分
散、屈折率分布を求める方法である。
【0034】以下、本明細書中では、本発明により屈折
率分散、屈折率分布を求める膜は、n種(ただしnは2
以上の整数)の材料(第1の材料、第2の材料、・・・
第nの材料)で構成されたものとして説明する。
【0035】図1、図2および図3は、本発明の屈折率
分布の決定方法、屈折率分散の決定方法の一例を示すフ
ローチャートである。以下、このフローチャートに基づ
いて説明する。
【0036】まず、屈折率分散、屈折率分布を求める膜
について、成膜速度データがあるか判断する(ステップ
S101)。
【0037】ステップS101において、成膜速度デー
タがあると判断した場合には、前記成膜速度データを用
いて、膜の厚さ方向の異なる複数の箇所における膜の組
成比データを得、該組成比データから膜の厚さ方向の組
成分布データを作成する(ステップS102)。
【0038】言い換えると、ステップS102では、上
面から深さdの部位における、第1の材料の組成比:Q
1(d)、第2の材料の組成比:Q2(d)、・・・第n
の材料の組成比:Qn(d)を、異なる複数のdについ
て求める。
【0039】一方、膜の成膜速度データがないと判断し
た場合には、膜の厚さ方向の異なる複数の箇所におい
て、組成比分析を行う(ステップS103)。
【0040】ステップS103での組成比分析は、いか
なる方法で行ってもよいが、オージェ電子分光法、X線
光電子分光法、2次イオン質量分析から選択される少な
くとも一つの方法を用いて得られたものであるのが好ま
しい。組成比分析をこのような方法で行うことにより、
各材料の組成比を、特に優れた精度で求めることができ
る。
【0041】さらに、ステップS103の測定で得られ
た結果を基に、膜の厚さ方向の異なる複数の箇所におけ
る組成比データを得、該組成比データから膜の厚さ方向
の組成分布データを作成する(ステップS104)。
【0042】言い換えると、ステップS104では、上
面から深さdの部位における、第1の材料の組成比:Q
1(d)、第2の材料の組成比:Q2(d)、・・・第n
の材料の組成比:Qn(d)を、異なる複数のdについ
て求める。
【0043】前記組成比データは、例えば、膜の厚さ方
向の異なる5箇所以上について求めるのが好ましく、1
0箇所以上について求めるのがより好ましい。これによ
り、膜の厚さ方向の組成比分布を、特に優れた精度で求
めることができ、結果として、波長に関する屈折率分
散、膜の厚さ方向の屈折率分布を精度良く決定すること
が可能となる。
【0044】また、前記組成比データは、膜の厚さ方向
の異なる複数箇所に関するものであればよいが、膜を等
分割する複数の箇所について求められたものであるのが
好ましい。これにより、膜の厚さ方向の組成比分布を、
特に優れた精度で求めることができ、結果として、波長
に関する屈折率分散、膜の厚さ方向の屈折率分布を精度
良く決定することが可能となる。
【0045】ステップS102またはステップS104
で得られた組成比データ(組成分布データ)と、膜を構
成する各材料の基準波長における屈折率データとを用い
て、膜の厚さ方向の各部位での、基準波長における屈折
率(以下、「基準屈折率」ともいう)の値を計算により
求める(ステップS105)。
【0046】ここで、基準波長は、実質的に一定の値を
有するものであればいかなる値であってもよいが、例え
ば、膜が眼鏡レンズやカメラレンズのような光学部品で
ある場合、350〜1350nmであるのが好ましく、
400〜1300nmであるのがより好ましい。
【0047】第1の材料、第2の材料、・・・第nの材
料の基準波長における屈折率(基準屈折率)を、それぞ
れ、N1、N2、・・・Nnとしたとき、上面から深さd
の部位での膜の基準屈折率N(d)は、下記式(I)で
表すことができる。 N(d)=Q1(d)・N1+Q2(d)・N2+・・・Qn(d)・Nn ・・・(I)
【0048】このとき、膜を構成する各材料の屈折率デ
ータ(N1、N2、・・・Nn)は、実質的にそれぞれに
対応する材料のみで構成された膜(単一組成膜)の基準
波長における屈折率の測定から得られたものであるのが
好ましい。すなわち、N1としては、実質的に第1の材
料のみで構成された単一組成膜について測定した基準屈
折率を用い、N2としては、実質的に第2の材料のみで
構成された単一組成膜について測定した基準屈折率を用
いるのが好ましい。これにより、後述する第1の最適化
処理を効率良く行うことができる。
【0049】次に、前記組成分布データと前記屈折率デ
ータとを用いて、第1の光学特性の計算値P1calを求
める(ステップS106)。
【0050】ステップS106では、膜が均一な厚さを
有する複数の層からなる積層体(多層膜)であるとみな
して、通常の多層膜計算を行うことにより、第1の光学
特性の計算値P1calを求めることができる。
【0051】第1の光学特性としては、例えば、分光反
射率、分光透過率、偏光解析法による偏光解析値等が挙
げられる。
【0052】次に、ステップS106で求めた第1の光
学特性の計算値P1calを、第1の光学特性の測定値P
mと比較し、第1の光学特性の計算値P1calと第1の
光学特性の測定値P1mとの差の絶対値(以下単に、
「P1calとP1mとの差」という。)、およびこのとき
の各材料の基準屈折率N1、N2、・・・Nnを記憶する
(ステップS107)。
【0053】P1calとP1mとの比較は、いかなる方法
で行ってもよいが、最小二乗法により行うのが好まし
い。P1calとP1mとの比較を最小二乗法で行うことに
より、屈折率分散、屈折率分布をさらに精度良く求める
ことが可能となり、結果として、膜の光学特性をさらに
精度よく求めることが可能となる。
【0054】次に、P1calとP1mとの差が許容値以下
であるか否かを判断する(ステップS108)。
【0055】ステップS108で、P1calとP1mとの
差が許容値を超えると判断した場合、最適化パラメータ
として、各材料の基準波長における屈折率の値を変更す
る(ステップS109)。
【0056】ステップS109の後、ステップS105
に戻り、再度、ステップS105〜ステップS108を
実行する。ただし、ステップS107では、新たに求め
られたP1calとP1mとの差が、既に記憶されているP
calとP1mとの差よりも小さい場合についてのみ、新
たに求められたP1calとP1mとの差、およびこのとき
の各材料の基準屈折率N、N2、・・・Nnを記憶す
る。
【0057】このように、本発明は、ステップS105
〜ステップS108およびステップS109において、
P1calとP1mとの差が許容値以下となるように、各材
料の基準波長における屈折率を変更する点に特徴を有す
る。言い換えると、本発明は、各材料の基準波長におけ
る屈折率を最適化パラメータとして、第1の最適化処理
を施すことに特徴を有する。これにより、波長に関する
屈折率分散、膜の厚さ方向の屈折率分布を精度良く求め
ることが可能となる。
【0058】そして、ステップS108において、P1
calとP1mとの差が許容値以下であると判断した場合、
最終的にステップS108で記憶されたN1、N2、・・
・N nを各材料の基準波長における屈折率として決定す
る(ステップS110)。
【0059】次に、ステップS110で決定した各材料
の基準波長における屈折率と、前記組成分布データと、
膜の膜厚データとを用いて、第2の光学特性の計算値P
ca lを求める(ステップS111)。
【0060】ステップS111では、膜が均一な厚さを
有する複数の層からなる積層体(多層膜)であるとみな
して、通常の多層膜計算を行うことにより、第2の光学
特性の計算値P2calを求めることができる。
【0061】第2の光学特性としては、例えば、分光反
射率、分光透過率、偏光解析法による偏光解析値等が挙
げられる。第2の光学特性は、前記第1の光学特性と同
一であってもよいし、異なるものであってもよい。
【0062】また、膜の膜厚データは、例えば、前記成
膜速度データを用いた計算や、光干渉法、触針法、破断
面観察法、重量測定法等の各種測定法により得ることが
できる。
【0063】次に、ステップS111で求めた第2の光
学特性の計算値P2calを、第2の光学特性の測定値P
mと比較し、第2の光学特性の計算値P2calと第2の
光学特性の測定値P2mとの差の絶対値(以下単に、
「P2calとP2mとの差」という。)、およびこのとき
用いた膜厚データを記憶する(ステップS112)。
【0064】P2calとP2mとの比較は、いかなる方法
で行ってもよいが、最小二乗法により行うのが好まし
い。P2calとP2mとの比較を最小二乗法で行うことに
より、屈折率分散、屈折率分布をさらに精度良く求める
ことが可能となり、結果として、膜の光学特性をさらに
精度よく求めることが可能となる。
【0065】次に、ステップS112での、P2cal
P2mとの差が許容値以下であるか否かを判断する(ス
テップS113)。
【0066】ステップS113で、P2calとP2mとの
差が許容値を超えると判断した場合、各層の厚さが均一
な比率で変化するように、膜厚データの値を最適化パラ
メータとして変更する(ステップS114)。
【0067】ステップS114の後、ステップS111
に戻り、再度、ステップS111〜ステップS113を
実行する。ただし、ステップS112では、新たに求め
られたP2calとP2mとの差が、既に記憶されているP
calとP2mとの差よりも小さい場合についてのみ、新
たに求められたP2calとP2mとの差、およびこのとき
の膜厚データを記憶する。
【0068】このように、本発明は、ステップS111
〜ステップS113およびステップS114において、
P2calとP2mとの差が許容値以下となるように、膜厚
データを変更する点に特徴を有する。言い換えると、本
発明は、膜の膜厚データを最適化パラメータとして、第
2の最適化処理を施すことに特徴を有する。これによ
り、波長に関する屈折率分散、膜の厚さ方向の屈折率分
布を精度良く求めることが可能となる。
【0069】そして、ステップS113において、P2
calとP2mとの差が許容値以下であると判断した場合、
最終的にステップS113で記憶された膜厚データ(最
適化された膜厚データ)を、膜の厚さとして決定する
(ステップS115)。
【0070】その後、ステップS110で決定された各
材料の基準波長における屈折率およびステップS115
で決定された膜の厚さを用いて、以下に示すような第3
の最適化処理を施す。第3の最適化処理は、ある波長領
域の異なる複数の波長において、第3の光学特性の計算
値P3calを求め、これらをそれぞれに対応する第3の
光学特性の測定値P3mと比較することにより行う。第
3の光学特性としては、例えば、分光反射率、分光透過
率、偏光解析法による偏光解析値等が挙げられる。第3
の光学特性は、前記第1の光学特性および/または前記
第2の光学特性と同一であってもよいし、異なるもので
あってもよい。
【0071】まず、第3の光学特性の計算値を求める波
長(以下、「計算波長」ともいう)λを、前記波長領域
(以下、「計算領域」ともいう)の最短波長に設定する
(ステップS116)。
【0072】計算領域の範囲(第3の光学特性の計算値
を求める最長波長と最短波長との差)は、例えば、20
0〜3000nm程度であるのが好ましく、350〜1
350nm程度であるのがより好ましい。
【0073】次に、ステップS110で決定した各材料
の基準屈折率を用いて計算される深さdの部位での基準
屈折率N(d)に、基準波長に対する計算波長λの比屈
折率n(λ)を乗じて、波長λにおける屈折率N
λ(d)とする(ステップS117)。なお、深さdの
部位での、波長λにおける屈折率Nλ(d)は、下記式
(II)で表すことができる。 Nλ(d)=n(λ)・N(d) ・・・(II)
【0074】基準波長に対する計算波長λの比屈折率n
(λ)の初期値は、特に限定されるものではないが、例
えば、n(λ)の初期値を1とすることにより、第3の
最適化処理を効率良く行うことができる。
【0075】次に、ステップS117で求めたN
λ(d)を用いて、第3の光学特性の計算値P3cal
求める(ステップS118)。
【0076】ステップS117では、膜が均一な厚さを
有する複数の層からなる積層体(多層膜)であるとみな
して、通常の多層膜計算を行うことにより、第3の光学
特性の計算値P3calを求めることができる。
【0077】次に、ステップS118で求めた計算波長
λにおける第3の光学特性の計算値P3calを、計算波
長λにおける第3の光学特性の測定値P3mと比較し、
第3の光学特性の計算値P3calと第3の光学特性の測
定値P3mとの差の絶対値(以下単に、「P3calとP3
mとの差」という。)、およびこのとき用いた比屈折率
n(λ)の値を記憶する(ステップS119)。
【0078】P3calとP3mとの比較は、いかなる方法
で行ってもよいが、最小二乗法により行うのが好まし
い。P3calとP3mとの比較を最小二乗法で行うことに
より、屈折率分散、屈折率分布をさらに精度良く求める
ことが可能となり、結果として、膜の光学特性をさらに
精度よく求めることが可能となる。
【0079】次に、ステップS119での、P3cal
P3mとの差が許容値以下であるか否かを判断する(ス
テップS120)。
【0080】ステップS120で、P3calとP3mとの
差が許容値を超えると判断した場合、計算波長での比屈
折率n(λ)の値を最適化パラメータとして変更する
(ステップS121)。
【0081】ステップS121の後、ステップS118
に戻り、再度、ステップS118〜ステップS120を
実行する。ただし、ステップS119では、新たに求め
られたP3calとP3mとの差が、既に記憶されているP
calとP3mとの差よりも小さい場合についてのみ、新
たに求められたP3calとP3mとの差、およびこのとき
の比屈折率n(λ)の値を記憶する。
【0082】このように、本発明は、ステップS118
〜ステップS120およびステップS121において、
P3calとP3mとの差が許容値以下となるように、比屈
折率n(λ)を変更する点に特徴を有する。言い換える
と、本発明は、比屈折率n(λ)を最適化パラメータと
して、第3の最適化処理を施すことに特徴を有する。こ
れにより、波長に関する屈折率分散、膜の厚さ方向の屈
折率分布を精度良く求めることが可能となる。
【0083】そして、ステップS120において、P3
calとP3mとの差が許容値以下であると判断した場合、
最終的にステップS120で記憶された比屈折率n
(λ)(最適化された比屈折率n(λ))を、基準波長
に対する波長λの比屈折率として決定する(ステップS
122)。
【0084】次に、ステップS123で決定した比屈折
率が、計算領域の最大波長におけるものであるか否かを
判断する(ステップS123)。
【0085】ステップS123で、計算波長λが、計算
領域での最大波長でないと判断した場合、計算波長λに
計算間隔Δλを加え、これを新たな計算波長λとする
(ステップS124)。
【0086】計算間隔Δλは、例えば、0.5〜100
nm程度であるのが好ましく、1〜90nm程度である
のがより好ましい。
【0087】ステップS124の後、ステップS118
に戻り、新たな計算波長λについて第3の最適化処理を
施し(ステップS118〜ステップS120およびステ
ップS121)、前記と同様にして、当該計算波長λで
の比屈折率を決定する(ステップS122)。
【0088】そして、ステップS123において、計算
波長λが計算領域での最大波長であると判断した場合、
以上のようにして求められた各計算波長における比屈折
率n(λ)を用いて、波長に関する屈折率分散を決定す
る(ステップS125)。
【0089】さらに、第1の最適化処理で決定した各材
料の屈折率と、第2の最適化処理で決定した膜の厚さ
と、第3の最適化処理で決定した比屈折率とを用いて、
前記計算範囲の任意の波長における屈折率分布が求めら
れる(ステップS126)。
【0090】以上、本発明の屈折率分散の決定方法およ
び屈折率分布の決定方法について説明したが、本発明
は、これに限定されるものではない。
【0091】例えば、前述した実施形態では、第1の光
学特性の計算値P1cal、第2の光学特性の計算値P2
cal、第3の光学特性の計算値P3calを求める際に、膜
が均一な厚さを有する複数の層からなる積層体であると
みなして多層膜計算を行うが、P1cal、P2cal、P3
calは、これ以外の方法で求められるものであってもよ
い。多層膜計算は、例えば、膜が異なる厚さを有する複
数の層の積層体(多層膜)であるものとして行うもので
あってもよい。
【0092】
【実施例】次に、本発明の具体的実施例について説明す
る。
【0093】まず、屈折率分散、屈折率分布を求めるサ
ンプル膜を、以下のようにして製造した。
【0094】[サンプル膜の製造]サンプル膜の製造
は、以下に示すような真空蒸着により行った。
【0095】まず、LaSF010ガラス基板を真空蒸
着装置内に取付け、真空蒸着装置内を2.0×10-3
aまで排気(減圧)した。
【0096】その後、真空蒸着装置内に、酸素導入し、
真空蒸着装置内の真空度を3.0×10-1Paとした。
【0097】その後、LaSF010ガラス基板に、材
料として、TiO2(第1の材料)とSiO2(第2の材
料)とを用いて、これらの混合比を傾斜的に組成変化さ
せつつ、真空蒸着を行うことにより、サンプル膜を作製
した。真空蒸着時における基板温度は、220℃であっ
た。
【0098】真空蒸着は、TiO2の成膜速度を0.5
〜3.0nm/秒で線形変化させ、SiO2の成膜速度
が1.5nm/秒でほぼ一定となるような条件で行っ
た。
【0099】成膜時における、経時的な組成変化は、基
板近くに設置したTiO2用水晶振動子およびSiO2
水晶振動子でモニタした。なお、TiO2用水晶振動子
にはSiO2が蒸着されないように、また、SiO2用水
晶振動子にはTiO2が蒸着されないように、TiO2
水晶振動子およびSiO2用水晶振動子を配置した。図
4に、各振動子を用いて測定されたTiO2およびSi
2の成膜速度変化を示す。
【0100】このようにして作製したサンプル膜につい
て、下記実施例1および比較例1に示すような方法で、
屈折率分散、屈折率分布を決定し、5°分光反射率の測
定値と、計算値とを比較した。
【0101】[屈折率分散、屈折率分布の決定] (実施例1)図1、図2および図3に示すフローチャー
トに従い、以下に示すような方法で、屈折率分散、屈折
率分布を求めた。
【0102】本実施例では、図4に示す成膜速度データ
を用いて、膜の厚さ方向の組成分布データを作成した。
すなわち、ステップS101で、成膜速度データがある
ものと判断し、ステップS102で、図4に示す成膜速
度データを用いて、組成分布データを作成した。得られ
た組成分布データを図5に示す。
【0103】ステップS105では、ステップS102
で得られた組成分布データを用いて、膜の厚さ方向の各
部位での基準波長における屈折率の値を計算により求め
た。このとき、基準波長は、500nmとした。
【0104】なお、TiO2、SiO2の基準波長におけ
る屈折率データとしては、それぞれ、TiO2膜(単一
組成膜)、SiO2膜(単一組成膜)について測定した
基準波長における屈折率(基準屈折率)を用いた。測定
により得られたTiO2膜の基準屈折率(N1)は2.
3、SiO2膜の基準屈折率(N2)は1.44であっ
た。
【0105】また、サンプル膜の膜厚データは、各材料
(TiO2およびSiO2)の成膜速度と蒸着時間とを積
算することにより得た。成膜速度と蒸着時間との積算に
より求められたサンプル膜の膜厚(膜厚データ)は、約
435nmであった。
【0106】このサンプル膜を、厚さ方向に23等分さ
れた厚さ約19nmの層の積層体(多層膜)とみなし、
前記組成分布データと前記屈折率データとを用いて、通
常の多層膜計算を行うことにより、分光反射率(第1の
光学特性)の計算値P1calを求めた(ステップS10
6)。
【0107】ステップS106で求めた分光反射率の計
算値P1calと、分光反射率の測定値P1mとを最小二乗
法により比較し、P1calとP1mとの差、およびこのと
きのTiO2の屈折率(N1)、SiO2の屈折率(N2
を記憶した(ステップS107)。
【0108】その後、P1calとP1mとの差が許容値以
下となるように、第1の最適化処理を施した。すなわ
ち、ステップS108において、P1calとP1mとの差
が許容値を超えると判断した後、ステップS109でN
、Nの値を変化させ、再度、ステップS105〜ス
テップS108を実行し、P1calとP1mとの差が許容
値以下となるように、ステップS109、ステップS1
05〜ステップS108を繰り返し実行した。ただし、
ステップS107では、新たに求められたP1ca lとP
mとの差が、既に記憶されているP1calとP1mとの
差よりも小さい場合についてのみ、新たに求められたP
calとP1mとの差、およびこのときのTiO2の屈折
率(N1)、SiO2の屈折率(N2)を記憶した。
【0109】ステップS108で、P1calとP1mとの
差が許容値以下であると判断したときのN1、N2を、そ
れぞれ、TiO2の屈折率、SiO2の屈折率として決定
した(ステップS110)。
【0110】次に、ステップS110で決定したTiO
2、SiO2の屈折率と、前記組成分布データと、前記膜
厚データとを用いて、通常の多層膜計算により、分光反
射率(第2の光学特性)の計算値P2calを求めた(ス
テップS111)。すなわち、本実施例では、第1の光
学特性および第2の光学特性には、同一の光学特性を用
いた。
【0111】なお、多層膜計算は、サンプル膜を、厚さ
方向に23等分された厚さ約19nmの層の積層体(多
層膜)とみなして行った。
【0112】ステップS111で求めた分光反射率の計
算値P2calと、分光反射率の測定値P2mとを最小二乗
法により比較し、P2calとP2mとの差、およびこのと
きのサンプル膜の膜厚を記憶した(ステップS11
2)。
【0113】その後、P2calとP2mとの差が許容値以
下となるように、第2の最適化処理を施した。すなわ
ち、ステップS113において、P2calとP2mとの差
が許容値を超えると判断した後、ステップS114でサ
ンプル膜の膜厚(膜厚データ)の値を変化させ、再度、
ステップS111〜ステップS113を実行し、P2ca
lとP2mとの差が許容値以下となるように、ステップS
114、ステップS111〜ステップS113を繰り返
し実行した。ただし、ステップS112では、新たに求
められたP2calとP2mとの差が、既に記憶されている
P2calとP2mとの差よりも小さい場合についてのみ、
新たに求められたP2calとP2mとの差、およびこのと
きの膜厚データを記憶した。
【0114】ステップS113で、P2calとP2mとの
差が許容値以下であると判断したとき、最終的にステッ
プS113で記憶された膜厚データをサンプル膜の厚さ
として決定した(ステップS115)。以上のようにし
て決定された膜厚は、460nmであった。
【0115】その後、ステップS110で決定された各
材料の基準波長における屈折率およびステップS115
で決定された膜厚を用いて、以下に示すような第3の最
適化処理を施した。第3の最適化処理は、350〜13
00nmの波長領域(計算領域)において、50nm毎
に、分光反射率(第3の光学特性)の計算値P3cal
求め、これらをそれぞれに対応する分光反射率(第3の
光学特性)の測定値P3mと比較することにより行っ
た。すなわち、本実施例では、第1の光学特性、第2の
光学特性および第3の光学特性としては、同一の光学特
性を用いた。
【0116】まず、計算波長λを350nmに設定し
た。すなわち、計算波長λを、前記計算領域の最短波長
に設定した(ステップS116)。
【0117】次に、ステップS110で決定した各材料
の基準屈折率を用いて計算される深さdの部位での基準
屈折率N(d)に、基準波長に対する計算波長λの比屈
折率n(λ)を乗じて、波長λにおける屈折率N
λ(d)とした(ステップS117)。なお、基準波長
に対する計算波長λの比屈折率n(λ)の初期値は、1
とした。
【0118】次に、ステップS110で決定したTiO
2、SiO2の屈折率と、ステップS115で決定したサ
ンプル膜の膜厚と、ステップS117で求めた波長λに
おける屈折率Nλ(d)とを用いて、通常の多層膜計算
により、分光反射率(第3の光学特性)の計算値P3
calを求めた(ステップS118)。
【0119】なお、多層膜計算は、サンプル膜を、厚さ
方向に23等分された厚さ20nmの層の積層体(多層
膜)とみなして行った。
【0120】ステップS118で求めた計算波長λ(初
期値:350nm)における分光反射率の計算値P3
calと、計算波長λにおける分光反射率の測定値P3m
を最小二乗法により比較し、P3calとP3mとの差、お
よびこのときの比屈折率n(λ)を記憶した(ステップ
S119)。
【0121】その後、P3calとP3mとの差が許容値以
下となるように、第3の最適化処理を施した。すなわ
ち、ステップS120において、P3calとP3mとの差
が許容値を超えると判断した後、ステップS121で比
屈折率n(λ)の値を変化させ、再度、ステップS11
8〜ステップS120を実行し、P3calとP3mとの差
が許容値以下となるように、ステップS121、ステッ
プS118〜ステップS120を繰り返し実行した。た
だし、ステップS119では、新たに求められたP3
calとP3mとの差が、既に記憶されているP3calとP
mとの差よりも小さい場合についてのみ、新たに求め
られたP3calとP3mとの差、およびこのときの比屈折
率n(λ)を記憶した。
【0122】ステップS120で、P3calとP3mとの
差が許容値以下であると判断したとき、最終的にステッ
プS120で記憶された比屈折率n(λ)の値を、基準
波長(500nm)に対する波長λの比屈折率として決
定した(ステップS122)。
【0123】次に、ステップS123で決定した比屈折
率が、計算領域中の最大波長におけるものであるか否か
を判断した(ステップS123)。
【0124】ステップS123で、計算波長λが、計算
領域での最大波長(1300nm)でないと判断したと
き、計算波長λに計算間隔Δλ(50nm)を加え、こ
れを新たな計算波長λとした(ステップS124)。
【0125】ステップS124の後、ステップS118
に戻り、新たな計算波長λについて第3の最適化処理を
施し(ステップS118〜ステップS120およびステ
ップS121)、前記と同様にして、当該計算波長λで
の比屈折率を決定した(ステップS122)。
【0126】そして、ステップS123において、計算
波長λが計算領域での最大波長であると判断した場合、
以上のようにして求められた各計算波長における比屈折
率n(λ)を用いて、波長に関する屈折率分散を決定し
た(ステップS125)。以上のようにして求められた
屈折率分散を図6に太線で示す。
【0127】ステップS125の後、第1の最適化処理
で決定した各材料の屈折率と、第2の最適化処理で決定
した膜厚と、第3の最適化処理で決定した比屈折率とを
用いて、波長500nmにおける屈折率分布を求めた
(ステップS126)。すなわち、厚さ方向での各部位
での基準屈折率N(d)に比屈折率n(λ)=1を乗じ
たものを求めた。その結果を、図7に太線で示す。ま
た、5°分光反射率の計算値と、測定値との比較を図8
に示す。
【0128】(比較例1)以下に示すような方法で、サ
ンプル膜について、屈折率分布を求め、5°分光反射率
の測定値と、計算値とを比較した。
【0129】まず、図4に示す成膜速度データを用い
て、膜の厚さ方向の組成分布データを作成した。得られ
た組成分布データを図5に示す。
【0130】前記組成分布データを用いて、膜の厚さ方
向の各部位での屈折率の値を計算により求めた。
【0131】なお、TiO2、SiO2の屈折率データと
しては、それぞれ、TiO2膜(純物質膜)、SiO2
(純物質膜)について、波長500nmで測定した屈折
率を用いた。測定により得られたTiO2膜の屈折率
(N1)は2.3、SiO2膜の屈折率(N2)は1.4
4であった。
【0132】サンプル膜の膜厚データは、各材料(Ti
2およびSiO2)の成膜速度と蒸着時間とを積算する
ことにより得た。成膜速度と蒸着時間との積算により求
められたサンプル膜の膜厚(膜厚データ)は、約435
nmであった。
【0133】このサンプル膜を、厚さ方向に23等分さ
れた厚さ約19nmの層の積層体(多層膜)とみなし、
前記組成分布データと前記屈折率データとを用いて、通
常の多層膜計算を行うことにより、5°分光反射率の計
算値を求めた。
【0134】以上のようにして求められた5°分光反射
率の計算値と、5°分光反射率の測定値とを図9に示
す。
【0135】また、組成分布データと屈折率データとを
用いて求められた屈折率分布の計算値を図7に細線で示
す。なお、比較例1では、図6の細線で示すように、3
50〜1300nmの波長領域(計算領域)では、屈折
率は一定であるものとした。すなわち、波長500nm
での屈折率に対する比屈折率は、350〜1300nm
の波長領域(計算領域)では、1であるものとした。
【0136】(比較例2)前記実施例1と同様にして、
ステップS101〜ステップS115を行い、その後、
第1の最適化処理で決定した各材料の屈折率と、第2の
最適化処理で決定した膜厚とを用いて、波長500nm
における屈折率分布を求め、5°分光反射率の計算値を
求めた。すなわち、第3の最適化処理を行わなかった以
外は、前記実施例1と同様にして、5°分光反射率の計
算値を求めた。5°分光反射率の計算値と、測定値との
比較を図10に示す。
【0137】[評価]図8から明らかなように、実施例
1では、第1の最適化処理、第2の最適化処理および第
3の最適化処理を施すことにより、5°分光反射率の計
算値と測定値との差は、非常に小さくなっている。
【0138】このように、本発明により求められた屈折
率分散、屈折率分布を用いることにより、高精度で、信
頼性の高い光学特性を決定することが可能となる。
【0139】これに対し、比較例1、2では、図9、図
10に示すように、5°分光反射率の計算値と測定値と
の差が大きく、精度、信頼性の低い結果しか得られなか
った。特に、最適化処理の施していない比較例1では、
5°分光反射率の計算値と測定値との差が特に大きかっ
た。
【0140】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の屈折率分散
の決定方法、屈折率分布の決定方法によれば、光学特性
を精度良く求めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の屈折率分布測定方法を示すフローチャ
ートである。
【図2】本発明の屈折率分布測定方法を示すフローチャ
ートである。
【図3】本発明の屈折率分布測定方法を示すフローチャ
ートである。
【図4】実施例で屈折率分布の測定に用いた薄膜の成膜
速度データを示すグラフである。
【図5】図4に示す成膜速度データから求められたTi
2とSiO2との組成分布を示すグラフである。
【図6】実施例1および比較例1で求められた屈折率分
散を示すグラフである。
【図7】実施例1および比較例1で求められた屈折率分
布を示すグラフである。
【図8】実施例1で求められた5°分光反射率の計算値
と、5°分光反射率の測定値とを示すグラフである。
【図9】比較例1で求められた5°分光反射率の計算値
と、5°分光反射率の測定値とを示すグラフである。
【図10】比較例2で求められた5°分光反射率の計算
値と、5°分光反射率の測定値とを示すグラフである。
【符号の説明】
S101〜S116 ステップ

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2種以上の材料で構成され、かつ、厚さ
    方向に屈折率が変化する膜について、波長に関する屈折
    率分散を求める方法であって、 前記膜の厚さ方向の組成分布データ、および前記膜を構
    成する各材料の基準波長における屈折率データを初期条
    件として用いて計算される第1の光学特性の計算値と、
    前記第1の光学特性の測定値とを求め、 前記第1の光学特性の前記計算値と、前記第1の光学特
    性の前記測定値とを比較し、その差が許容範囲内の値と
    なるように、前記各材料の前記基準波長における前記屈
    折率データを最適化パラーメータとして、第1の最適化
    処理を施すことにより、前記各材料の前記基準波長にお
    ける屈折率を決定し、 前記第1の最適化処理を施すことにより決定された前記
    各材料の前記基準波長における前記屈折率、前記組成分
    布データ、および前記膜の膜厚データを初期条件として
    用いて計算される第2の光学特性の計算値と、前記第2
    の光学特性の測定値とを求め、 前記第2の光学特性の前記計算値と、前記第2の光学特
    性の前記測定値とを比較し、その差が許容範囲内の値と
    なるように、前記膜厚データを最適化パラーメータとし
    て、第2の最適化処理を施すことにより、前記膜の膜厚
    を決定し、 前記第1の最適化処理を施すことにより決定された前記
    各材料の前記基準波長における前記屈折率、および前記
    第2の最適化処理を施すことにより決定された前記膜厚
    を用いて計算される第3の光学特性の計算値と、前記第
    3の光学特性の測定値とを、異なる複数の波長について
    求め、 前記複数の波長について、それぞれ、前記第3の光学特
    性の計算値と、前記第3の光学特性の測定値とを比較
    し、その差が許容範囲内の値となるように、前記基準波
    長に対する比屈折率を最適化パラーメータとして、第3
    の最適化処理を施すことにより、前記複数の波長での前
    記比屈折率を決定し、波長に関する屈折率分散を求める
    ことを特徴とする屈折率分散の決定方法。
  2. 【請求項2】 前記組成分布データは、前記膜を厚さ方
    向に等分割する複数の箇所での組成比データよりなるも
    のである請求項1に記載の屈折率分散の決定方法。
  3. 【請求項3】 前記組成分布データは、前記膜の製造時
    における前記各材料の成膜速度データから得られたもの
    である請求項1または2に記載の屈折率分散の決定方
    法。
  4. 【請求項4】 前記各材料の前記屈折率データは、前記
    各材料のそれぞれについて、実質的に単一の前記各材料
    のみで構成された膜の屈折率の測定から得られたもので
    ある請求項1ないし3のいずれかに記載の屈折率分散の
    決定方法。
  5. 【請求項5】 前記膜厚データは、前記膜の製造時にお
    ける前記各材料の成膜速度データより得られたものであ
    る請求項1ないし4のいずれかに記載の屈折率分散の決
    定方法。
  6. 【請求項6】 前記第1の光学特性は、分光反射率、分
    光透過率、偏光解析法から選択される少なくとも一つで
    ある請求項1ないし5のいずれかに記載の屈折率分散の
    決定方法。
  7. 【請求項7】 前記第2の光学特性は、分光反射率、分
    光透過率、偏光解析法から選択される少なくとも一つで
    ある請求項1ないし6のいずれかに記載の屈折率分散の
    決定方法。
  8. 【請求項8】 前記第3の光学特性は、分光反射率、分
    光透過率、偏光解析法から選択される少なくとも一つで
    ある請求項1ないし7のいずれかに記載の屈折率分散の
    決定方法。
  9. 【請求項9】 前記第1の最適化処理は、最小二乗法に
    より行うものである請求項1ないし8のいずれかに記載
    の屈折率分散の決定方法。
  10. 【請求項10】 前記第2の最適化処理は、最小二乗法
    により行うものである請求項1ないし9のいずれかに記
    載の屈折率分散の決定方法。
  11. 【請求項11】 前記第3の最適化処理は、最小二乗法
    により行うものである請求項1ないし10のいずれかに
    記載の屈折率分散の決定方法。
  12. 【請求項12】 請求項1ないし11のいずれかに記載
    の屈折率分散の決定方法で決定された前記各材料の前記
    基準波長における前記屈折率、前記膜厚、および前記比
    屈折率を用いて、前記膜の厚さ方向の屈折率分布を求め
    ることを特徴とする屈折率分布の決定方法。
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