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JP2002256455A - めっき製品の製造方法 - Google Patents

めっき製品の製造方法

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JP2002256455A
JP2002256455A JP2001062243A JP2001062243A JP2002256455A JP 2002256455 A JP2002256455 A JP 2002256455A JP 2001062243 A JP2001062243 A JP 2001062243A JP 2001062243 A JP2001062243 A JP 2001062243A JP 2002256455 A JP2002256455 A JP 2002256455A
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layer
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plated product
metal
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JP2001062243A
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Yasutaka Hasegawa
恭孝 長谷川
Yosuke Maruoka
洋介 丸岡
Yasuhiko Ogisu
康彦 荻巣
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Toyoda Gosei Co Ltd
Original Assignee
Toyoda Gosei Co Ltd
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Publication date
Application filed by Toyoda Gosei Co Ltd filed Critical Toyoda Gosei Co Ltd
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    • B05SPRAYING OR ATOMISING IN GENERAL; APPLYING FLUENT MATERIALS TO SURFACES, IN GENERAL
    • B05DPROCESSES FOR APPLYING FLUENT MATERIALS TO SURFACES, IN GENERAL
    • B05D5/00Processes for applying liquids or other fluent materials to surfaces to obtain special surface effects, finishes or structures
    • B05D5/06Processes for applying liquids or other fluent materials to surfaces to obtain special surface effects, finishes or structures to obtain multicolour or other optical effects
    • B05D5/067Metallic effect
    • B05D5/068Metallic effect achieved by multilayers
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B05SPRAYING OR ATOMISING IN GENERAL; APPLYING FLUENT MATERIALS TO SURFACES, IN GENERAL
    • B05DPROCESSES FOR APPLYING FLUENT MATERIALS TO SURFACES, IN GENERAL
    • B05D3/00Pretreatment of surfaces to which liquids or other fluent materials are to be applied; After-treatment of applied coatings, e.g. intermediate treating of an applied coating preparatory to subsequent applications of liquids or other fluent materials

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  • Chemically Coating (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Other Surface Treatments For Metallic Materials (AREA)
  • Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属めっき層の腐食による意匠性の著しい低
下を防止して耐食性試験に合格することができるように
構成されためっき製品の製造方法を提供する。 【解決手段】 めっき製品11は、基材12の表面にベ
ースコート層13、銀めっき層14及びトップコート層
15が形成されている。前記銀めっき層14は、巨視的
には金属膜として視認され、微視的にはマイクロクラッ
ク形成による結晶粒界17が形成され、微細な金属片1
6を敷き詰めたような組織構造を有している。このめっ
き製品11を製造する際には、まず、基材12の表面に
ベースコート剤を塗布してベースコート層13を形成し
た後、そのベースコート層13の表面に銀鏡反応を利用
して銀めっき層14を被覆する。続いて、銀めっき層1
4に冷熱処理又は超音波処理を行ってマイクロクラック
を形成した後、銀めっき層14の表面にトップコート剤
を塗布してベースコート層15を形成させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、基材の表面にベ
ースコート層、金属めっき層及びトップコート層を備え
ためっき製品の製造方法に関するものである。より詳し
くは、金属めっき層にマイクロクラックを意図的に形成
させることにより、その金属めっき層を構成する金属に
腐食が生じた場合、その腐食が金属めっき層全体に拡が
るのを防止してめっき製品の意匠性の低下を防ぐことが
できるように構成されためっき製品の製造方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、この種のめっき製品の製造方
法としては、特開平10−309774号公報に開示さ
れている銀メッキ層を備える積層品の製造方法が知られ
ている。この積層品は、基材層、アンダーコート層、銀
メッキ層及びトップコート層を備えている。前記アンダ
ーコート層は、アルコキシチタニウムエステル並びにエ
ポキシ基を有するシランカップリング剤及びエポキシ樹
脂のうちの少なくとも一方を含有する塗料からなるアン
ダーコート剤を乾燥させることにより形成されている。
【0003】この積層品を製造する際には、基材の表面
に、前記アンダーコート剤を塗布し、乾燥させて、アン
ダーコート層を形成し、その後、前記アンダーコート層
の表面に銀を含有する水溶液を塗布し、乾燥させて、銀
メッキ層を形成し、次いで、前記銀メッキ層の表面に、
トップコート層を形成させる。そして、上記製造方法を
用いて積層品を製造することによって、絶縁性及び導電
性等、種々の基材に対応することができる。さらに、こ
の方法によれば、銀メッキ層とアンダーコート層との間
の接着性及び耐久性に優れた積層品を製造することがで
きるうえ、作業性に優れ、簡易な方法によって、優れた
性能の銀メッキ層を備える積層品を製造することができ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、前記従来の
銀メッキ層を備える積層品では、トップコート層及び銀
メッキ層において腐食防止に対する特別な構成が備わっ
ていなかった。このため、外部からトップコート層を通
して銀メッキ層へと塩化物イオン(Cl-)が浸入する
ことによって、銀が腐食されてしまうおそれがあった。
このとき、前記銀の腐食は、最初に腐食した部位から徐
々に銀メッキ層全体へと拡がり、巨視的には銀メッキ層
上に白っぽい線が形成されたような状態になり、積層品
自体の意匠性が著しく損なわれてしまっていた。さら
に、この積層品は、外装用に用いられるめっき製品の耐
食性や耐候性を調べるための塩水噴霧試験やCASS試
験等において不合格となる可能性も極めて高かった。
【0005】この発明は、上記のような従来技術に存在
する問題点に着目してなされたものである。その目的と
するところは、金属めっき層の腐食による意匠性の著し
い低下を防止して、耐食性試験に合格することができる
ように構成されためっき製品の製造方法を提供すること
にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、請求項1に記載の発明のめっき製品の製造方法
は、基材の表面に、ベースコート層、金属めっき層及び
トップコート層を備えためっき製品の製造方法におい
て、基材の表面にベースコート層及び金属めっき層を形
成した後、金属めっき層に冷熱処理又は超音波処理を行
うことによってマイクロクラックを形成させた後、その
金属めっき層の表面にトップコート層を形成させること
を特徴とするものである。
【0007】請求項2に記載の発明のめっき製品の製造
方法は、請求項1に記載のめっき製品の製造方法におい
て、前記金属めっき層を、銀鏡反応を利用した化学めっ
き方法を用いて形成された銀めっき層としたことを特徴
とするものである。
【0008】請求項3に記載の発明のめっき製品の製造
方法は、請求項1又は請求項2に記載のめっき製品の製
造方法において、前記冷熱処理は、前記金属めっき層を
−20℃以下に冷却した後に60℃以上に加熱する冷熱
工程を複数回繰り返す処理であることを特徴とするもの
である。
【0009】請求項4に記載の発明のめっき製品の製造
方法は、請求項1から請求項3のいずれかに記載のめっ
き製品の製造方法において、前記金属めっき層にマイク
ロクラックを形成させた後、その金属めっき層の表面に
無機酸化物の超微粒子の分散液を塗布する超微粒子塗布
工程を行うことを特徴とするものである。
【0010】請求項5に記載の発明のめっき製品の製造
方法は、請求項1から請求項4のいずれかに記載のめっ
き製品の製造方法において、前記金属めっき層にマイク
ロクラックを形成させた後、その金属めっき層の表面に
腐食防止皮膜を形成させる腐食防止皮膜形成工程を行う
ことを特徴とするものである。
【0011】請求項6に記載の発明のめっき製品の製造
方法は、請求項5に記載のめっき製品の製造方法におい
て、前記腐食防止皮膜形成工程は、前記金属めっき層の
表面に金属表面処理剤を被覆して腐食防止皮膜を形成さ
せることを特徴とするものである。
【0012】請求項7に記載の発明のめっき製品の製造
方法は、請求項1から請求項6のいずれかに記載のめっ
き製品の製造方法において、塩化物イオンをトラップす
る塩素系トラップ剤を含有するトップコート剤を用い
て、前記金属めっき層の表面にトップコート層を形成さ
せることを特徴とするものである。
【0013】(作用)請求項1に記載の発明によれば、
金属めっき層に冷熱処理又は超音波処理を行うことによ
って、微視的に見たときに金属めっき層の表面に無数の
マイクロクラックが形成される。この金属めっき層は、
巨視的には金属膜として視認され得るものであるが、微
視的には微細な亀甲状又は鱗片状の金属片を敷き詰めた
ような連続的な組織構造を有している。この連続的な組
織構造において、隣り合う金属片(金属粒)は、その端
縁同士を互いに接触又は著しく近接させた状態となって
おり、その境界部分はいわゆる結晶粒界となっている。
【0014】そして、微視的に見ると、金属めっき層を
構成する1個又は数個の金属片が腐食された場合、その
金属片を中心として周囲に隣接する金属片へと腐食の拡
大(伝搬)が進行しようとする。しかしながら、各金属
片は、結晶粒界において腐食の進行に対する連続性が物
理的にほぼ遮断されていることから、隣接する金属片へ
の腐食の伝搬は容易には引き起こされない。このため、
腐食が極めて小さい範囲内に止まって拡散され難く、巨
視的に見た場合の金属めっき層の意匠性の低下が防止さ
れ、各種耐食性試験における不合格品の発生が抑制され
る。なお、前記マイクロクラックが形成されていない金
属めっき層においては、腐食の進行に対する連続性が極
めて高くなっており、微視的及び巨視的に見たときのそ
の進行様式は、金属めっき層上に腐食による線が形成さ
れて徐々に延長され、著しい意匠性の低下が引き起こさ
れる。
【0015】請求項2に記載の発明によれば、従来より
腐食しやすいことから意匠性の低下が問題となっていた
銀めっき層を形成させた場合の欠点が、マイクロクラッ
ク形成により容易に克服され得る。さらに、銀めっき層
を形成させる際に非常に簡便な方法である化学めっき方
法(無電解めっき方法)が用いられることから、その作
業を極めて迅速かつ容易に行うことが可能となり、製造
コストの低減に役立つ。
【0016】請求項3に記載の発明は、形成された金属
めっき層にマイクロクラックを容易に形成させることが
可能となる条件が提示されている。この条件によれば、
微視的に見たときの結晶粒界が適正かつ規則正しく形成
されるとともに、巨視的に見たときの意匠性が高く維持
され得る。さらに、腐食の拡大を効果的に防止すること
が可能なサイズの金属片を形成させることが可能とな
る。また、めっき製品を製造する際の作業性も極めて良
好である。
【0017】請求項4に記載の発明において、無機酸化
物の超微粒子は金属めっき層の表面に被覆される。特
に、この無機酸化物の超微粒子は、サイズが極めて小さ
いことから各金属片の端部、すなわち結晶粒界を埋める
ように被覆され得る。この無機酸化物の超微粒子は、化
学的に極めて安定であることから腐食反応の伝搬を助長
しない。そして、この結晶粒界を埋めるように存在する
無機酸化物の超微粒子は特に、最も腐食されやすい各金
属片の端部において、トップコート層の外部から浸入す
る塩化物イオンが金属片の端部に到達するのを物理的に
阻害する。さらに、腐食された金属片とその金属片に隣
接する腐食されていない金属片との境界部において、腐
食の伝搬及び腐食を引き起こす塩化物イオンの通過も物
理的に阻害する。
【0018】請求項5に記載の発明によれば、金属めっ
き層の表面に腐食防止効果を有する薄い腐食防止皮膜を
形成させることによって、トップコート層の外部から浸
入する塩化物イオンを金属めっき層に接触させ難くす
る。
【0019】請求項6に記載の発明によれば、公知の金
属表面処理剤を用いることにより、極めて簡便に金属め
っき層の表面に腐食防止皮膜を形成させることが可能と
なり、金属めっき層の腐食が容易に防止され得る。
【0020】請求項7に記載の発明によれば、外部から
浸入する塩化物イオンをトップコート層内でトラップ
し、金属めっき層に到達しないように構成することが可
能となる。さらに、このトップコート層は、一度金属め
っき層に到達されてしまった塩化物イオンを再度トラッ
プする能力も有しており、腐食の発生や進行を抑制する
効果も発揮する。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、この発明を具体化した実施
形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1(a)に示
すように、めっき製品11は、合成樹脂製の基材12の
表面(意匠面)に、ベースコート層13(BC層)、銀
めっき層14及びトップコート層15(TC層)が形成
されている。前記銀めっき層14は、銀鏡反応を利用し
た化学めっき方法(無電解めっき方法)を用いて形成さ
れる。
【0022】基材12は、ABS(アクリロニトリル・
ブタジエン・スチレン共重合体)、PC(ポリカーボネ
ート)/ABSアロイ、PP(ポリプロピレン)、オレ
フィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、PMMA
(ポリメタクリル酸メチル)又はTPE(熱可塑性エラ
ストマー)により構成され、公知の射出成形法を用いて
成形される。
【0023】ベースコート層13は、基材12の表面に
ベースコート剤を塗布又は浸漬させた後に乾燥させるこ
とによって形成される。前記ベースコート剤としては、
ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、アクリル樹脂等が
挙げられ、塗布が容易であることから2液硬化型ポリウ
レタン樹脂が好適に使用される。
【0024】銀めっき層14は、アンモニア性硝酸銀
([Ag(NH32+OH-)溶液(トレンス試薬)と
還元剤溶液とをベースコート層13の表面上で混合され
るように塗布することにより酸化還元反応を引き起こ
し、そのベースコート層13の表面に銀(Ag)を析出
させることによって形成される。前記還元剤溶液として
は、グリオキサール等のアルデヒド基を有する有機化合
物(R-CHO)、亜硫酸ナトリウム又はチオ硫酸ナト
リウムが好適に使用される。前記アンモニア性硝酸銀溶
液とアルデヒド基を有する有機化合物とを銀鏡反応させ
る際の反応を下記反応式(1)に示す。
【0025】 2[Ag(NH32+OH- + R-CHO → 2Ag + R-CO2NH4 + H2O + 3NH3 …(1) この銀めっき層14は、無数のマイクロクラックが形成
されることにより、巨視的には金属膜として視認される
が、微視的には図1(b)に模式的に示すように、亀甲
状又は鱗片状に形成された微細な無数の金属片16(金
属粒)を隙間なく敷き詰めたような連続的な組織構造を
有している。この組織構造において、隣り合う金属片1
6は、その端縁同士を互いに接触又は著しく近接させた
状態となっており、その境界部分はいわゆる結晶粒界1
7となっている。
【0026】トップコート層15は、銀めっき層14の
表面にトップコート剤を塗布又は浸漬させた後に乾燥さ
せることによって形成される。前記トップコート剤とし
ては、ポリエステル樹脂やアクリル樹脂等が挙げられ、
塗布が容易であることから2液硬化型ポリウレタン樹脂
又はアクリル変性シリコーン樹脂が好適に使用される。
さらに、前記トップコート剤には、エポキシ系添加剤等
の塩素系トラップ剤を含有させるのが好ましい。この塩
素系トラップ剤は、トップコート層15において、外部
から浸入する塩化物イオンをトラップして銀めっき層1
4に到達するのを抑制し、銀めっき層14の腐食を防止
する効果を有するとともに、銀めっき層14の表面から
塩化物イオンを再度トラップして腐食の拡大を防止する
効果も発揮する。
【0027】上記めっき製品11の製造方法について以
下に記載する。上記のように構成されるめっき製品11
を製造する際には、図2に示すように、まず、ステップ
S20において基材12を所定形状に射出成形した後、
S30のベースコート塗装工程(BC塗装工程)を行
う。
【0028】このS30のベースコート塗装工程は、前
記成形後の基材12の表面にベースコート剤からなるベ
ースコート層13を形成させる工程である。このベース
コート塗装工程では、まず、S31の前処理工程におい
て、イソプロパノール等の洗浄剤を用いて前記成形後の
基材12の表面(意匠面)を充分に洗浄する。続いて、
S32のベース塗装工程において、前記洗浄後の基材1
2の意匠面上にベースコート剤を均一に被覆させる。こ
のS32におけるベースコート剤の被覆方法としては、
塗布又は浸漬のいずれの方法を用いてもよいが、被覆が
容易であることからスプレー塗布するのが好ましい。続
いて、S33の乾燥工程において、前記基材12の意匠
面上に被覆されたベースコート剤をおよそ80℃の温度
で60分間程度乾燥させた後、S40のめっき塗装工程
を行う。
【0029】このS40のめっき塗装工程は、ベースコ
ート層13上に銀めっき層14を形成させる工程であ
る。このめっき塗装工程では、まず、S41の銀鏡前処
理工程において、前記乾燥後のベースコート層13の表
面に2〜3重量%の第二塩化すず(SnCl2)溶液を
塗布又は浸漬させ、すずをベースコート層13の表面に
吸着させる。続いて、S42の水洗工程において、イオ
ン交換水(好ましくは3μS/m3以下)又は蒸留水を
用いてベースコート層13の表面を水洗し、吸着されな
かった余剰の第二塩化すずを取り除いた後、S43の銀
鏡塗装工程を行う。なお、前記すずの代わりにパラジウ
ム(Pd)を用いてもよい。
【0030】このS43の銀鏡塗装工程は、前記水洗後
のベースコート層13の表面に、アンモニア性硝酸銀溶
液と還元剤溶液とを同時に塗布することにより、ベース
コート層13上で両溶液を反応させて銀を析出させる。
なお、この銀鏡塗装工程においても、双頭スプレーガン
又は同芯スプレーガンを利用して両溶液を塗布すると便
利である。さらに、前記析出された銀は、ベースコート
層13の表面に吸着されているすずと置換しながらベー
スコート層13の表面に吸着されて積層し、銀めっき層
14が形成される。続いて、S44の水洗工程におい
て、イオン交換水又は蒸留水を用いて銀めっき層14の
表面を水洗し、その銀めっき層14表面上に残留する銀
鏡反応後の溶液や置換後のすず等を取り除いた後、S4
5の銀鏡後処理工程を行う。
【0031】なお、前記S44の水洗工程後の銀めっき
層14の表面には、イオン交換水又は蒸留水では充分に
取り除くことができなかった微量な不純物が吸着されて
いるおそれがある。特に、上記反応式(1)で示される
銀鏡反応時の有機系副生成物であるNH3やR-CO2
4が銀めっき層14の表面上に極めて残留しやすい。
これら不純物は、空気中の酸素による自然酸化によって
変質し、銀めっき層14の表面が黄色味を帯びた色に変
色(黄変)されてしまい、その意匠性が著しく低下する
原因となる。このS45における銀鏡後処理工程では、
前記不純物による銀めっき層14の黄変を防止するため
の適切な処理が行われる。この銀鏡後処理工程として
は、銀めっき層14の表面に存在する微量な不純物を分
解除去する不純物分解除去工程、前記不純物を吸着除去
する不純物吸着除去工程、又は銀めっき層14の表面に
薄い酸化防止皮膜を形成する酸化防止皮膜形成工程が行
われる。
【0032】不純物分解除去工程は、薄い濃度の酸を銀
めっき層14の表面に塗布又は浸漬させ、銀めっき層1
4表面の不純物を分解除去する処理である。前記酸とし
ては、酢酸又は希硫酸が好適に使用される。この不純物
分解除去工程に使用される酸の酸強度としては、酸定数
Kaが1.0×10-5〜1.0×107、すなわちpK
aが−7〜5の範囲内であるのが好ましい。また、例え
ば酢酸を使用する場合には3〜10重量%の範囲内であ
るのが好ましく、希硫酸を使用する場合には2〜6重量
%の範囲内であるのが好ましい。一方、不純物吸着除去
工程は、銀めっき層14の表面にタンパク質分散液を塗
布又は浸漬させ、銀めっき層14表面の不純物をタンパ
ク質に吸着させて除去する処理である。前記タンパク質
分散液としては、牛乳等の各種哺乳動物の乳又は粉ミル
クが使用可能であるが、水若しくは低濃度のアルコール
水溶液を溶媒とするカゼインの分散液が好適に使用され
る。
【0033】酸化防止皮膜形成工程は、銀めっき層14
の表面に金属表面処理剤を塗布又は浸漬させ、銀めっき
層14の表面に薄い酸化防止皮膜を形成させる処理であ
る。前記金属表面処理剤としては、銀に限らず種々の金
属表面又はめっき表面を処理する公知の金属表面処理剤
が使用可能であり、これら金属表面処理剤を銀めっき層
14又はその他金属やめっき表面に被覆することによっ
て、その表面に高い撥水性を有する酸化皮膜が形成され
るように構成されている。そして、前記銀めっき層14
の表面に形成された酸化皮膜は、銀めっき層14表面へ
の空気の接触を物理的に阻害し、空気中の酸素による銀
めっき層14表面の不純物の自然酸化を防止させるため
の酸化防止皮膜として作用する。また、空気中の窒素に
よる不純物の窒化も同時に防止される。
【0034】この金属表面処理剤としては、奥野製薬工
業株式会社製のトップリンスが最も好適に使用される。
金属表面処理剤としてトップリンスを使用する場合に
は、1〜50重量%の範囲内の水溶液を用いるのが好ま
しい。このトップリンスの濃度が1重量%未満の場合に
は、銀めっき層14表面における酸化防止効果を充分に
発揮させることができない。逆に50重量%を越える場
合には、銀めっき層14の表面が白濁してしまう。
【0035】次に、S46の水洗工程において、銀めっ
き層14の表面をイオン交換水又は蒸留水を用いて水洗
した後、S47の水切りブロー工程において、前記銀め
っき層14表面に付着されている水滴をエアブローにて
吹き飛ばす。続いて、S48のマイクロクラック形成工
程(MC形成工程)を行い、銀めっき層14にマイクロ
クラックを形成させる。このMC形成工程では、冷熱処
理又は超音波処理が行われる。
【0036】冷熱処理は、銀めっき層14を急冷した後
に急加熱する冷熱工程を複数回繰り返すことによって、
銀めっき層14にマイクロクラックを形成させる処理で
ある。この冷熱工程において、銀めっき層14が冷却さ
れたときの冷却温度としては−20℃以下であるのが好
ましく、加熱されたときの加熱温度としては60℃以上
であるのが好ましく、80℃以上であるのがより好まし
い。この冷熱工程は、例えば−20℃以下の保冷庫内で
基材12等を含む銀めっき層14を20分間程度冷却さ
せたり、銀めっき層14の表面全体に−20℃以下の冷
気を20分間程度曝したりして行われる。また、この冷
熱工程は、銀めっき層14に適量のマイクロクラックを
形成させるとともに作業性を高めるために、3回程度繰
り返すのが好ましい。
【0037】この冷熱処理は、−20℃以下から60℃
以上、及び60℃以上から−20℃以下への急激な温度
変化を銀めっき層14に対して繰り返し行うことによ
り、巨視的には銀めっき層14に変化を与えずに、微視
的には銀めっき層14に無数の結晶粒界17を形成させ
る。一方、超音波処理は、銀めっき層14の表面に対し
て超音波を10分間程度照射する処理を行うことによ
り、前記冷熱処理と同様に、巨視的には銀めっき層14
に変化を与えずに、微視的には銀めっき層14に無数の
結晶粒界17を形成させる。
【0038】上記S48のMC形成工程の終了後、直ち
にS50のトップコート塗装工程(TC塗装工程)を行
うことも可能であるが、より好ましくは銀めっき層14
の表面にS49のマイクロクラック後処理工程(MC後
処理工程)を行うとよい。このS49のMC後処理工程
としては、銀めっき層14の表面に無機酸化物の超微粒
子の分散液を塗布する超微粒子塗布工程、又は銀めっき
層14の表面に腐食防止皮膜を形成させる腐食防止皮膜
形成工程が好適に行われる。また、このS49のMC後
処理工程において、前記超微粒子塗布工程と腐食防止皮
膜形成工程とを任意の順序で組み合わせて行ってもよ
く、この場合には銀めっき層14の腐食防止効果をより
一層高めることが可能となる。
【0039】超微粒子塗布工程は、粒子径がnmオーダ
ーの無機酸化物の超微粒子を水に分散させた分散液を銀
めっき層14の表面に塗布する処理である。さらに、前
記銀めっき層14表面の分散液の溶媒を飛ばして乾燥さ
せるとよい。この工程により、銀めっき層14の表面が
超微粒子によって被覆されるとともに、結晶粒界17が
超微粒子によって埋められるように被覆される。前記無
機酸化物としては、酸化アルミニウム(Al23)、酸
化チタン(TiO2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、
酸化ケイ素(SiO2)、酸化鉄(Fe23)、酸化亜
鉛(ZnO)、酸化セリウム(CeO2)、酸化イット
リウム(Y23)等が挙げられるが、入手容易で安価で
あることから酸化アルミニウムが好適に使用される。さ
らに、この無機酸化物の超微粒子の平均粒子径として
は、水に分散可能なnmオーダーのものが使用可能であ
るが、入手容易な市販品の平均粒子径である10〜40
nm程度のものが好適に使用される。
【0040】腐食防止皮膜形成工程は、銀めっき層14
の表面に金属表面処理剤を塗布又は浸漬させ、銀めっき
層14の表面に薄い腐食防止皮膜を形成させる処理であ
る。さらに、前記金属表面処理剤を銀めっき層14の表
面に塗布又は浸漬した後、銀めっき層14の表面をイオ
ン交換水又は蒸留水を用いて水洗し、さらに銀めっき層
14の表面を乾燥させるとよい。前記金属表面処理剤と
しては、上記S45の銀鏡後処理工程の酸化防止皮膜形
成工程で用いられる金属表面処理剤と同じものが使用さ
れる。この金属表面処理剤は、上記と同様に銀めっき層
14の表面に高い撥水性を有する酸化皮膜が形成される
ように構成され、銀めっき層14表面への塩化物イオン
の接触を物理的に阻害し、塩化物イオンによる銀めっき
層14表面の腐食を防止させるための腐食防止皮膜とし
て作用する。
【0041】次に、S50のTC塗装工程において、銀
めっき層14の表面にトップコート剤からなるトップコ
ート層15を形成させる。このTC塗装工程では、ま
ず、S51のトップ塗装工程においてトップコート剤を
銀めっき層14の表面に均一に塗布した後、S52の乾
燥工程においておよそ70℃の温度で60分間程度乾燥
させることによりトップコート層15を形成させる。
【0042】さて、上記のように製造されためっき製品
11は、基材12の意匠面上に下から順に、ベースコー
ト層13、銀めっき層14及びトップコート層15が層
状に形成されている。前記銀めっき層14には、微視的
にはマイクロクラックによる無数の結晶粒界17が形成
されているが、巨視的にはそれら結晶粒界17は視認さ
れず、良好な銀鏡面による光輝性が発揮されている。さ
らに、前記銀めっき層14とトップコート層15との間
には、不純物が存在しないか、或いはその自然酸化が物
理的に防止された状態となっている。このため、このめ
っき製品11の意匠面では、黄色味を帯びることなく白
銀に輝く反射光が目視され、極めて高い意匠性が発揮さ
れている。
【0043】また、このめっき製品11は、塩化物イオ
ンがトップコート層15を通って銀めっき層14に到達
した場合であっても、微視的には1個又は複数個の金属
片16が腐食されるおそれはあるが、巨視的には前記金
属片16の腐食は視認され得ず、良好な意匠性が発揮さ
れる。さらに、前記腐食された金属片16からの腐食の
伝搬に対しては、各金属片16の端縁に沿って結晶粒界
17が形成されていることにより、大幅に阻害されるよ
うになっている。このため、腐食の伝搬を著しく遅延さ
せることができるうえ、たとえ腐食の伝搬が起こった場
合でも、巨視的には視認され得ない微細な点としてのみ
存在しており、著しい意匠性の低下は引き起こされな
い。
【0044】上記構成によって、このめっき製品11が
長期間塩水に曝された場合であっても、その意匠性の低
下がほとんど引き起こされることはない。さらに、この
めっき製品11は、JISに規定される各種塩水噴霧試
験やCASS試験等の耐食性、耐候性試験によりテスト
された場合でも、巨視的に見たときの意匠性の低下がほ
とんど引き起こされないことから、試験に容易に合格す
る。加えて、この効果は、腐食に対してのみならず、め
っき製品11が長時間紫外線等に曝されたときや基材1
2が変形したときにも発揮され、銀めっき層14の巨視
的な意匠性の低下が防止される。
【0045】上記実施形態によって発揮される効果につ
いて、以下に記載する。 ・ 実施形態のめっき製品11の製造方法は、基材12
の表面にベースコート層13及び銀めっき層14を形成
した後、銀めっき層14に冷熱処理又は超音波処理を行
うことによってマイクロクラックを形成させた後、その
銀めっき層14の表面にトップコート層15を形成させ
るように構成されている。このため、マイクロクラック
形成に伴って形成された結晶粒界17が、銀めっき層1
4の腐食の拡大(伝搬)を効果的に抑制し、銀めっき層
14の腐食による意匠性の著しい低下を防止させること
ができる。さらにこのとき、耐食性試験に合格すること
も極めて容易となる。
【0046】また、これらの効果は銀めっきの場合にお
いて特に顕著に発揮され得る。特に、従来より、耐食性
の低い金属からなる金属めっき層を備えためっき製品に
ついては、耐食性試験で不合格となりやすいことや、長
期使用における意匠性の低下が著しいことから、実施に
際して敬遠されがちであった。これに対して、本実施形
態のめっき製品11では、本発明者らの鋭意研究の結
果、耐食性の低い銀めっき層14にマイクロクラックを
意図的に形成させることにより、微視的な銀の腐食を許
容しつつ、巨視的な意匠性の低下を防止するための特別
な工夫がなされている。その結果、耐食性の高低に関わ
らず、所望とする金属を用いた任意のめっき製品を高品
質に製造することが可能となった。
【0047】・ S48のMC形成工程において、銀め
っき層14を−20℃以下に急冷した後に60℃以上に
急加熱する冷熱工程を複数回繰り返す冷熱処理を行うこ
とによって、極めて簡単な作業工程で、適当量、適当な
サイズ及び規則正しく配列されたマイクロクラックを銀
めっき層14に形成させることができる。
【0048】・ S49のMC後処理工程において、銀
めっき層14の表面に無機酸化物の超微粒子の水分散液
を塗布する超微粒子塗布工程を行うことによって、銀め
っき層14の腐食を効果的に抑制することができるう
え、発生した腐食の伝搬を効果的に抑制することができ
る。また、S49のMC後処理工程において、銀めっき
層14の表面に腐食防止皮膜を形成させる腐食防止皮膜
形成工程を行うことによって、銀めっき層14の腐食を
効果的に抑制することができるうえ、発生した腐食の伝
搬を効果的に抑制することができる。加えて、この腐食
防止皮膜形成工程に用いられる金属表面処理剤は、汎用
されているものをほぼそのまま利用することが可能であ
ることから、入手容易かつ安価である。また、これらの
工程は非常に簡単に行うことができることから、作業効
率の低下もほとんどない。
【0049】・ 塩化物イオンをトラップする塩素系ト
ラップ剤を含有するトップコート剤を用いて、前記銀め
っき層14の表面にトップコート層15を形成させるこ
とによって、銀めっき層14の腐食をさらに効果的に抑
制することができる。さらに、発生した腐食の伝搬もよ
り効果的に抑制することが可能である。
【0050】
【実施例】以下、前記実施形態を具体化した実施例及び
比較例について説明する。 (実施例1)ABSにより四角板状に形成された基材1
2を射出成形した後、その基材12の表面(意匠面)に
イソプロパノールをスプレー洗浄してS31の前処理工
程を行った。続いて、ベースコート剤として大橋化学社
製のB−3を基材12の表面にスプレー塗布してS32
のベース塗装工程を行った。その後、80℃の乾燥炉内
で60分間乾燥工程(S33)を行うことによって、基
材12の表面に約20μmの均一な厚さのベースコート
層13が形成された。続いて、ベースコート層13の表
面にアンダーコート剤(大橋化学社製のU−1)をスプ
レー塗布して同様に乾燥させることによってアンダーコ
ート層を形成させた。
【0051】次に、前記アンダーコート層の表面に、3
重量%の第二塩化すず及び1重量%の塩酸を含有する第
二塩化すず溶液をスプレー塗布してS41の銀鏡前処理
工程を行った後、3μS/m3以下のイオン交換水にて
アンダーコート層の表面をスプレー洗浄し、S42の水
洗工程を行った。続いて、トレンス試薬とグリオキサー
ルとを双頭スプレーガン(アネスト岩田社製のRG−
2)を用いてアンダーコート層の表面に同時にスプレー
塗布してS43の銀鏡塗装工程を行うことによって、ア
ンダーコート層の表面に約1000Åの均一な厚さの銀
めっき層14が形成された。その後、イオン交換水にて
銀めっき層14の表面をスプレー洗浄し、S44の水洗
工程を行った。
【0052】次に、銀めっき層14の表面に、金属表面
処理剤(奥野製薬工業社製のトップリンスの10重量%
水溶液)をスプレー塗布してS45の銀鏡後処理工程を
行った後、イオン交換水にて銀めっき層14の表面をス
プレー洗浄してS46の水洗工程を行った。続いて、銀
めっき層14の表面に圧縮空気(エアブロー)を吹き付
けてS47の水切りブロー工程を行った。次に、基材1
2、ベースコート層13、アンダーコート層及び銀めっ
き層14が形成されためっき製品11を、−20℃の保
冷庫内で10分間冷却した後に80℃の乾燥炉(加熱
炉)内で20分間加熱する冷熱処理を3回繰り返してS
48のMC形成工程を行った。
【0053】最後に、銀めっき層14の表面に、トップ
コート剤(大橋化学社製のT−1)をスプレー塗布して
S51のトップ塗装工程を行った後、70℃の乾燥炉内
で60分間乾燥工程(S52)を行うことによって、銀
めっき層14の表面に約20μmの均一な厚さのトップ
コート層15が形成された。得られためっき製品11
は、基材12の表面にベースコート層13、アンダーコ
ート層、銀めっき層14及びトップコート層15が形成
されている。
【0054】(比較例1)S48のMC形成工程を省略
するとともに、S47の水切りブロー工程終了後に50
℃の乾燥炉内で30分間乾燥させた以外は、前記実施例
1と同じ工程を行った。得られためっき製品は、基材1
2の表面にベースコート層13、アンダーコート層、銀
めっき層14及びトップコート層15が形成されてい
る。
【0055】(実施例2)アンダーコート剤として大橋
化学社製のU−2を使用し、トップコート剤として藤倉
化成社製のPTC−02を使用した。さらに、S48の
MC形成工程とS51のトップ塗装工程との間にS49
のMC後処理工程を行った。このMC後処理工程は、酸
化アルミニウムの超微粒子(ナノテック社製のナノマテ
リアル)を弱酸性水に分散させた分散液を銀めっき層1
4の表面にスプレー塗布した後、50℃の乾燥炉内で3
0分間乾燥させることによって行われた。それ以外の工
程は上記実施例1と同じ工程を行うことによって、基材
12の表面にベースコート層13、アンダーコート層、
銀めっき層14及びトップコート層15が形成されため
っき製品11を製造した。
【0056】(比較例2)S48のMC形成工程及びS
49のMC後処理工程を省略した以外は、前記実施例2
と同じ工程を行うことによって、基材12の表面にベー
スコート層13、アンダーコート層、銀めっき層14及
びトップコート層15が形成されためっき製品を製造し
た。
【0057】<耐食性加速試験>実施例1,2のめっき
製品11及び比較例1,2のめっき製品について、CA
SS試験の試験方法に従って耐食性加速試験を行った。
すなわち、5重量%の塩化ナトリウムに少量の酢酸と塩
化第二銅を添加した水溶液を49℃に保って噴霧させた
試験装置内に各めっき製品を静置し、腐食の進行状況と
鏡面の白濁状況とを目視にて判定した。その結果、比較
例1,2のめっき製品では時間経過とともに腐食の進行
及び鏡面の白濁がともに確認され、実施例1,2のめっ
き製品11ではそれらの変化は全く目視され得なかっ
た。さらに、これら実施例と比較例との差は時間経過と
ともに徐々に拡大していった。
【0058】なお、本実施形態は、次のように変更して
具体化することも可能である。 ・ S45の銀鏡後処理工程を省略してもよい。 ・ 銀めっき層14は、化学めっき方法(無電解めっき
方法)に限らず、電気めっき法、ホットスタンピング
法、真空蒸着法等により形成されてもよい。なおこのと
き、これらのめっき方法において、銀めっき層14の形
成後にS48と同様のMC形成工程が行われるように構
成される。
【0059】・ 銀以外の金属、特に耐食性の低い金属
がめっきされためっき製品の製造工程において、金属め
っき層の形成後にS48と同様のMC形成工程を適用し
てもよい。
【0060】・ ゴム、ガラス、陶磁器等を含む各種の
セラミックス、木材、紙等からなる各種の形状の成形品
であって、その表面に直接又は間接的にベースコート層
13を形成させることが可能な材料を用いて基材12を
構成してもよい。また、上記実施形態に列記された以外
の熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂により基材12を構成
してもよい。或いは、基材12は、硬質の合成樹脂によ
って構成されていてもよく、軟質の合成樹脂によって構
成されていてもよい。
【0061】さらに、前記実施形態より把握できる技術
的思想について以下に記載する。 ・ 請求項1から請求項7のいずれかに記載のめっき製
品の製造方法において、前記金属めっき層は耐食性の低
い金属により構成されていることを特徴とするめっき製
品の製造方法。
【0062】・ 請求項1から請求項7のいずれかに記
載のめっき製品の製造方法において、前記基材を合成樹
脂により構成したことを特徴とするめっき製品の製造方
法。このように構成した場合、その表面にベースコート
層、金属めっき層及びトップコート層を容易に形成させ
ることができるうえ、各層の接着性を容易に高めること
ができる。
【0063】
【発明の効果】以上詳述したように、この発明によれ
ば、次のような効果を奏する。請求項1から請求項7に
記載の発明のめっき製品の製造方法によれば、金属めっ
き層の腐食による意匠性の著しい低下を防止して、耐食
性試験に合格することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)は実施形態のめっき製品の一部を模式
的に示す断面図、(b)は同じく斜視図。
【図2】 実施形態のめっき製品の製造方法の流れを示
す図。
【符号の説明】
11…めっき製品、12…基材、13…ベースコート
層、14…金属めっき層としての銀めっき層、15…ト
ップコート層、16…金属めっき層を構成する金属片、
17…マイクロクラックを構成する結晶粒界、S48…
冷熱処理又は超音波処理としてのマイクロクラック形成
工程、S49…超微粒子塗布工程、腐食防止皮膜形成工
程としてのマイクロクラック後処理工程。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C23C 26/00 C23C 26/00 K (72)発明者 荻巣 康彦 愛知県西春日井郡春日町大字落合字長畑1 番地 豊田合成 株式会社内 Fターム(参考) 4D075 AE16 AE18 BB13Y BB18Y BB24Y BB87Y BB93Y CA32 CA33 CA47 CB04 CB13 DA06 DB13 DB14 DB18 DB21 DB35 DB36 DB37 DB43 DB48 DC13 DC15 DC18 DC38 EA07 EA10 EB22 EB35 EB36 EB38 EB42 EC02 EC07 4F100 AB01C AK25 AK41 AK74 AT00A BA04 BA07 BA10A BA10D CC00B CC00D DD40C EH46 EH71C EJ25C EJ42C EJ50C GB90 JB02 JB02D 4K022 AA13 AA16 AA23 AA47 BA01 BA31 CA18 DA01 EA01 EA04 4K044 AA16 AB05 BA08 BA12 BA21 BB04 BB05 BC02 BC09 CA15 CA16 CA53 CA55 CA59 CA62 CA67

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材の表面に、ベースコート層、金属め
    っき層及びトップコート層を備えためっき製品の製造方
    法において、 基材の表面にベースコート層及び金属めっき層を形成し
    た後、金属めっき層に冷熱処理又は超音波処理を行うこ
    とによってマイクロクラックを形成させた後、その金属
    めっき層の表面にトップコート層を形成させることを特
    徴とするめっき製品の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のめっき製品の製造方法
    において、 前記金属めっき層を、銀鏡反応を利用した化学めっき方
    法を用いて形成された銀めっき層としたことを特徴とす
    るめっき製品の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2に記載のめっき製
    品の製造方法において、 前記冷熱処理は、前記金属めっき層を−20℃以下に冷
    却した後に60℃以上に加熱する冷熱工程を複数回繰り
    返す処理であることを特徴とするめっき製品の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 請求項1から請求項3のいずれかに記載
    のめっき製品の製造方法において、 前記金属めっき層にマイクロクラックを形成させた後、
    その金属めっき層の表面に無機酸化物の超微粒子の分散
    液を塗布する超微粒子塗布工程を行うことを特徴とする
    めっき製品の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1から請求項4のいずれかに記載
    のめっき製品の製造方法において、 前記金属めっき層にマイクロクラックを形成させた後、
    その金属めっき層の表面に腐食防止皮膜を形成させる腐
    食防止皮膜形成工程を行うことを特徴とするめっき製品
    の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載のめっき製品の製造方法
    において、 前記腐食防止皮膜形成工程は、前記金属めっき層の表面
    に金属表面処理剤を被覆して腐食防止皮膜を形成させる
    ことを特徴とするめっき製品の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1から請求項6のいずれかに記載
    のめっき製品の製造方法において、 塩化物イオンをトラップする塩素系トラップ剤を含有す
    るトップコート剤を用いて、前記金属めっき層の表面に
    トップコート層を形成させることを特徴とするめっき製
    品の製造方法。
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