JP2002239682A - 鋳型への皮膜形成方法、鋳型および多結晶シリコンインゴットの製造方法 - Google Patents
鋳型への皮膜形成方法、鋳型および多結晶シリコンインゴットの製造方法Info
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- JP2002239682A JP2002239682A JP2001033349A JP2001033349A JP2002239682A JP 2002239682 A JP2002239682 A JP 2002239682A JP 2001033349 A JP2001033349 A JP 2001033349A JP 2001033349 A JP2001033349 A JP 2001033349A JP 2002239682 A JP2002239682 A JP 2002239682A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】亀裂がなく、インゴットを得るまでは剥離しに
くい皮膜であって、膜厚が薄くても製品を損傷すること
なくインゴット取出すことができるSi3N4 皮膜を容易
にかつ簡便に形成することができる多結晶シリコンイン
ゴット用鋳型への皮膜形成方法、Si3N4 皮膜の形成さ
れた鋳型、多結晶シリコンインゴットの製造方法の提
供。 【解決手段】離型剤スラリーとして比表面積7m2 /g
以上のSi3N4 粉末とともに分散剤を含むスラリーを用
いて鋳型内面に皮膜を形成する。
くい皮膜であって、膜厚が薄くても製品を損傷すること
なくインゴット取出すことができるSi3N4 皮膜を容易
にかつ簡便に形成することができる多結晶シリコンイン
ゴット用鋳型への皮膜形成方法、Si3N4 皮膜の形成さ
れた鋳型、多結晶シリコンインゴットの製造方法の提
供。 【解決手段】離型剤スラリーとして比表面積7m2 /g
以上のSi3N4 粉末とともに分散剤を含むスラリーを用
いて鋳型内面に皮膜を形成する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、多結晶シリコンイ
ンゴット製造のための鋳型、該鋳型の製造方法および該
鋳型を用いる多結晶シリコンインゴットの製造方法に関
する。
ンゴット製造のための鋳型、該鋳型の製造方法および該
鋳型を用いる多結晶シリコンインゴットの製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】近年、太陽光発電は安全で、かつ低価格
発電が可能なエネルギーを供給しうる方法として脚光を
浴び、その普及のために太陽電池の研究開発が盛んに行
われている。多結晶シリコンは、この太陽電池に最も汎
用性の高い材料として着目されており、さらに動力用電
力供給用材料としても重要視されている。多結晶シリコ
ンは、溶融シリコン(溶湯)を鋳型に流し込み冷却固化
するか、あるいは鋳型中でシリコンを溶融し、冷却固化
してインゴットとして製造されるが、この際にシリコン
インゴットが鋳型に接着し、冷却時にシリコンインゴッ
トが割れるという問題がある。このため、従来、石英ま
たは黒鉛製鋳型の内面には離型剤層を設けている。
発電が可能なエネルギーを供給しうる方法として脚光を
浴び、その普及のために太陽電池の研究開発が盛んに行
われている。多結晶シリコンは、この太陽電池に最も汎
用性の高い材料として着目されており、さらに動力用電
力供給用材料としても重要視されている。多結晶シリコ
ンは、溶融シリコン(溶湯)を鋳型に流し込み冷却固化
するか、あるいは鋳型中でシリコンを溶融し、冷却固化
してインゴットとして製造されるが、この際にシリコン
インゴットが鋳型に接着し、冷却時にシリコンインゴッ
トが割れるという問題がある。このため、従来、石英ま
たは黒鉛製鋳型の内面には離型剤層を設けている。
【0003】上記離型剤としては、ケイ素の酸化物(S
i O2 :たとえば特開平11−244988号)、炭化
物(Si C)、窒化物(Si3N4 )、酸化イットリウム
(特開平7−206419号)などが挙げられ、これら
粉末を、通常、ポリビニルアルコール(PVA)などの
バインダーを含ませた水系スラリーとし、鋳型内面に塗
布し、乾燥し、バインダーを焼成して形成される。上記
のようなケイ素系離型剤のうちでも、最も良質な多結晶
シリコンが得られるのは窒化ケイ素(Si3N4 )である
とする報告(Y.Maeda ら:J.Electochem.Soc.,vol.133,
No.2,Feb.p440-443(1986) 、T.Saito ら:15th IEEE Ph
otovoltaicSpecialists.Conf.,p576-580(1981) )があ
る。
i O2 :たとえば特開平11−244988号)、炭化
物(Si C)、窒化物(Si3N4 )、酸化イットリウム
(特開平7−206419号)などが挙げられ、これら
粉末を、通常、ポリビニルアルコール(PVA)などの
バインダーを含ませた水系スラリーとし、鋳型内面に塗
布し、乾燥し、バインダーを焼成して形成される。上記
のようなケイ素系離型剤のうちでも、最も良質な多結晶
シリコンが得られるのは窒化ケイ素(Si3N4 )である
とする報告(Y.Maeda ら:J.Electochem.Soc.,vol.133,
No.2,Feb.p440-443(1986) 、T.Saito ら:15th IEEE Ph
otovoltaicSpecialists.Conf.,p576-580(1981) )があ
る。
【0004】しかしながらSi3N4 スラリーから形成さ
れる離型剤層は、剥離しやすく、また厚い皮膜は高価で
あるなどの諸問題があり、このため従来、Si3N4 とと
もにSi O2 などを塗布するか、あるいはSi O2 との
多層構造にするなどの改善案が提案されている。
れる離型剤層は、剥離しやすく、また厚い皮膜は高価で
あるなどの諸問題があり、このため従来、Si3N4 とと
もにSi O2 などを塗布するか、あるいはSi O2 との
多層構造にするなどの改善案が提案されている。
【0005】たとえば特開平9−175809号には、
離型剤として平均粒径0.5μmの窒化シリコン(Si3
N4 )粉末を8.7%のポリビニルアルコール水溶液の
スラリーとして用いた場合には、離型剤と鋳塊との付着
はないものの、シリコンの鋳型と鋳型の付着が発生する
ため、離型剤には、窒化シリコンと二酸化シリコンとを
特定比率で用いる必要がある旨記載されている。またた
とえばSi3N4 層と鋳型との間にSi O2 層を設けた多
層構造(特開平6−144824号)、Si O2 層、S
i3N4 とSi O2 との混合粉末層、次いでSi3N4 層と
の多層構造(特開平7−206419号)などが知られ
ている。
離型剤として平均粒径0.5μmの窒化シリコン(Si3
N4 )粉末を8.7%のポリビニルアルコール水溶液の
スラリーとして用いた場合には、離型剤と鋳塊との付着
はないものの、シリコンの鋳型と鋳型の付着が発生する
ため、離型剤には、窒化シリコンと二酸化シリコンとを
特定比率で用いる必要がある旨記載されている。またた
とえばSi3N4 層と鋳型との間にSi O2 層を設けた多
層構造(特開平6−144824号)、Si O2 層、S
i3N4 とSi O2 との混合粉末層、次いでSi3N4 層と
の多層構造(特開平7−206419号)などが知られ
ている。
【0006】上記のような多層構造にすれば、割れのな
い健全な多結晶シリコンインゴットを製造しうる鋳型が
得られるが、皮膜形成に手間およびコストがかかる。ま
たSi O2 を用いると、Si O2 と鋳型が一部接着して
鋳型の再利用が不可能になったり、Si Cを用いること
による汚染(コンタミ)が問題となることがある。
い健全な多結晶シリコンインゴットを製造しうる鋳型が
得られるが、皮膜形成に手間およびコストがかかる。ま
たSi O2 を用いると、Si O2 と鋳型が一部接着して
鋳型の再利用が不可能になったり、Si Cを用いること
による汚染(コンタミ)が問題となることがある。
【0007】Si3N4 のみからなる皮膜も提案されてお
り、たとえば特開平10−316489号には、応力緩
和皮膜として粒径0.5〜1.0μm程度の粉末の分散
液を用いて皮膜を形成することが提案されている。該公
報では、皮膜を形成する際には、分散媒が蒸発するよう
に加熱してもよいが、高温加熱により皮膜に亀裂が生じ
たり、分散材の焼成が生じて皮膜の緻密化により、応力
緩和作用が十分ではなくなるのを避けるために最大でも
180℃以下にすることが好ましい旨記載されている。
また皮膜の厚みは、製品および鋳型本体に損傷を与えず
該皮膜を破壊して取り出すには1mm未満では困難であ
るため、1〜3mm厚であることが好ましい旨記載さ
れ、3mmの実施例が示されている。しかしながら皮膜
を厚くすると、高価なSi3N4 を多量に使用するため、
鋳型および多結晶シリコンインゴットがコスト高になる
という問題がある。
り、たとえば特開平10−316489号には、応力緩
和皮膜として粒径0.5〜1.0μm程度の粉末の分散
液を用いて皮膜を形成することが提案されている。該公
報では、皮膜を形成する際には、分散媒が蒸発するよう
に加熱してもよいが、高温加熱により皮膜に亀裂が生じ
たり、分散材の焼成が生じて皮膜の緻密化により、応力
緩和作用が十分ではなくなるのを避けるために最大でも
180℃以下にすることが好ましい旨記載されている。
また皮膜の厚みは、製品および鋳型本体に損傷を与えず
該皮膜を破壊して取り出すには1mm未満では困難であ
るため、1〜3mm厚であることが好ましい旨記載さ
れ、3mmの実施例が示されている。しかしながら皮膜
を厚くすると、高価なSi3N4 を多量に使用するため、
鋳型および多結晶シリコンインゴットがコスト高になる
という問題がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な多結晶シリコンインゴット製造の状況に鑑みてなされ
たものであって、亀裂がなく、インゴットを得るまでは
剥離しにくく、膜厚が薄くても製品を損傷することなく
インゴット取出すことができるSi3N4 皮膜を容易にか
つ簡便に形成することができる多結晶シリコンインゴッ
ト用鋳型への皮膜形成方法、およびインゴットを低コス
ト化しうるSi3N4 皮膜の形成された鋳型、該鋳型を用
いる多結晶シリコンインゴットの製造方法を提供するこ
とを目的とする。
な多結晶シリコンインゴット製造の状況に鑑みてなされ
たものであって、亀裂がなく、インゴットを得るまでは
剥離しにくく、膜厚が薄くても製品を損傷することなく
インゴット取出すことができるSi3N4 皮膜を容易にか
つ簡便に形成することができる多結晶シリコンインゴッ
ト用鋳型への皮膜形成方法、およびインゴットを低コス
ト化しうるSi3N4 皮膜の形成された鋳型、該鋳型を用
いる多結晶シリコンインゴットの製造方法を提供するこ
とを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、Si3N4 皮
膜は剥離しやすいという従来の課題を解消することによ
り、シリコンインゴットへの汚染が少なく、インゴット
に割れを生じにくい鋳型を得るべく、離型剤としてSi3
N4 のみを用いて剥離しにくい皮膜を形成する方法につ
いて検討する過程で、Si3N4 粉末を微細化し鋳型との
付着力を増強させることを試みた。そしてSi3N4 粉末
が7m2 /g以上の比表面積を有していれば鋳型との付
着力が大きいことが確認できた。ところがSi3N4 微粉
末のみから皮膜を形成しようとすると、Si3N4 微粉末
は水中ではむしろ大きな凝集粒子を形成し、均質な微粉
末分散スラリーを形成することは困難であり、このため
これをスプレーなどで塗布しても均質な皮膜が得られ
ず、皮膜の付着力および強度は増すものの皮膜に亀裂等
が生じやすくなってしまうことがわかった。また上記凝
集粒子の生成を避けるためスラリーの水比を多くする
と、乾燥に長時間を有し、乾燥時に亀裂を生じやすくな
ることもわかった。
膜は剥離しやすいという従来の課題を解消することによ
り、シリコンインゴットへの汚染が少なく、インゴット
に割れを生じにくい鋳型を得るべく、離型剤としてSi3
N4 のみを用いて剥離しにくい皮膜を形成する方法につ
いて検討する過程で、Si3N4 粉末を微細化し鋳型との
付着力を増強させることを試みた。そしてSi3N4 粉末
が7m2 /g以上の比表面積を有していれば鋳型との付
着力が大きいことが確認できた。ところがSi3N4 微粉
末のみから皮膜を形成しようとすると、Si3N4 微粉末
は水中ではむしろ大きな凝集粒子を形成し、均質な微粉
末分散スラリーを形成することは困難であり、このため
これをスプレーなどで塗布しても均質な皮膜が得られ
ず、皮膜の付着力および強度は増すものの皮膜に亀裂等
が生じやすくなってしまうことがわかった。また上記凝
集粒子の生成を避けるためスラリーの水比を多くする
と、乾燥に長時間を有し、乾燥時に亀裂を生じやすくな
ることもわかった。
【0010】本発明者はさらに検討を続けたところ、S
i3N4 粉末の水系スラリーに有機化合物系分散剤を含ま
せることにより、スラリー水比を高くしなくてもSi3N
4 微粉末が均質に分散したスラリーとすることができ、
均質で亀裂のないSi3N4 微粉末のみを離型剤とする皮
膜を短時間でかつ容易に得ることができることを見出し
て本発明を完成するに至った。なお焼成後の皮膜は、実
質的に分散剤を含有しない。
i3N4 粉末の水系スラリーに有機化合物系分散剤を含ま
せることにより、スラリー水比を高くしなくてもSi3N
4 微粉末が均質に分散したスラリーとすることができ、
均質で亀裂のないSi3N4 微粉末のみを離型剤とする皮
膜を短時間でかつ容易に得ることができることを見出し
て本発明を完成するに至った。なお焼成後の皮膜は、実
質的に分散剤を含有しない。
【0011】すなわち本発明に係る多結晶シリコンイン
ゴット用鋳型への皮膜形成方法は、鋳型内面に離型剤ス
ラリーを塗布、乾燥し、皮膜を形成するに際して、離型
剤スラリーとして比表面積7m2 /g以上のSi3N4 粉
末とともに分散剤を含むスラリーを用いる。本発明で
は、上記Si3N4 粉末を35〜70質量%の量で含有す
るスラリーを用いることができる。またスラリー中の前
記分散剤の濃度は、通常、前記Si3N4 粉末質量に対
し、0.01〜2質量%程度であることが好ましい。ス
ラリー中にはバインダーを含ませてもよい。本発明で
は、上記のような分散剤の共存によって、バインダーの
使用量は極少量でよく、通常スラリーを形成する全水量
に対し、3質量%以下でよい。好ましくは2質量%以下
である。乾燥後の皮膜は、必要に応じて空気中にて50
0〜1000℃程度で焼成することができる。バインダ
ー量が少ないため、場合によっては焼成を省略すること
も可能である。
ゴット用鋳型への皮膜形成方法は、鋳型内面に離型剤ス
ラリーを塗布、乾燥し、皮膜を形成するに際して、離型
剤スラリーとして比表面積7m2 /g以上のSi3N4 粉
末とともに分散剤を含むスラリーを用いる。本発明で
は、上記Si3N4 粉末を35〜70質量%の量で含有す
るスラリーを用いることができる。またスラリー中の前
記分散剤の濃度は、通常、前記Si3N4 粉末質量に対
し、0.01〜2質量%程度であることが好ましい。ス
ラリー中にはバインダーを含ませてもよい。本発明で
は、上記のような分散剤の共存によって、バインダーの
使用量は極少量でよく、通常スラリーを形成する全水量
に対し、3質量%以下でよい。好ましくは2質量%以下
である。乾燥後の皮膜は、必要に応じて空気中にて50
0〜1000℃程度で焼成することができる。バインダ
ー量が少ないため、場合によっては焼成を省略すること
も可能である。
【0012】本発明では、鋳型内面に、比表面積7m2
/g以上のSi3N4 粉末からなる被膜を有する多結晶シ
リコンインゴット用鋳型が提供される。該皮膜の厚み
は、0.3mmないし1.0mmであることが望まし
い。この皮膜は上記皮膜形成方法により形成することが
でき、亀裂がない。
/g以上のSi3N4 粉末からなる被膜を有する多結晶シ
リコンインゴット用鋳型が提供される。該皮膜の厚み
は、0.3mmないし1.0mmであることが望まし
い。この皮膜は上記皮膜形成方法により形成することが
でき、亀裂がない。
【0013】本発明に係る多結晶シリコンインゴットの
製造方法では、上記鋳型を用いて溶融シリコンを冷却固
化し、多結晶シリコンインゴットを製造する。
製造方法では、上記鋳型を用いて溶融シリコンを冷却固
化し、多結晶シリコンインゴットを製造する。
【0014】
【発明の実施の形態】以下本発明をより具体的に説明す
る。本明細書において、「鋳型」は溶湯を流し込む鋳型
だけでなくるつぼを含む意味で用いられ、その形状、形
態は特に限定されない。鋳型材質は、シリコンの融点以
上の温度において融解、蒸発、分解等を生じなければ特
に限定されないが、太陽電池特性を劣化させる金属不純
物等の汚染源を最小限に抑制する観点から、黒鉛または
石英が望ましい。ハロゲンガス等で高純度化処理を施し
た黒鉛または石英であればなお良い。
る。本明細書において、「鋳型」は溶湯を流し込む鋳型
だけでなくるつぼを含む意味で用いられ、その形状、形
態は特に限定されない。鋳型材質は、シリコンの融点以
上の温度において融解、蒸発、分解等を生じなければ特
に限定されないが、太陽電池特性を劣化させる金属不純
物等の汚染源を最小限に抑制する観点から、黒鉛または
石英が望ましい。ハロゲンガス等で高純度化処理を施し
た黒鉛または石英であればなお良い。
【0015】本発明では、離型剤としてSi3N4 粉末を
用いるが、Si3N4 粉末のうちでも比表面積7m2 /g
以上であり、好ましくは10m2 /g以上のものを用い
る。このような比表面積のSi3N4 粉末は、高強度で鋳
型に対し付着力の強い皮膜を形成することができる。こ
れにより亀裂のないインゴットを製造することができ
る。なお比表面積7m2 /g未満のSi3N4 粉末から形
成される皮膜は、強度が不充分で、鋳型との付着力も弱
いため、溶融シリコンが一方向凝固するまでの間に一部
の皮膜が剥離しやすく、これによりインゴットの冷却時
に鋳型に接着したインゴット部分から亀裂が生じやす
い。ここでSi3N4 粉末の比表面積は、BET法(たとえ
ば水谷ら著「セラミックプロセッシング」p.68、技法堂
出版(株))に準じて測定される値である。
用いるが、Si3N4 粉末のうちでも比表面積7m2 /g
以上であり、好ましくは10m2 /g以上のものを用い
る。このような比表面積のSi3N4 粉末は、高強度で鋳
型に対し付着力の強い皮膜を形成することができる。こ
れにより亀裂のないインゴットを製造することができ
る。なお比表面積7m2 /g未満のSi3N4 粉末から形
成される皮膜は、強度が不充分で、鋳型との付着力も弱
いため、溶融シリコンが一方向凝固するまでの間に一部
の皮膜が剥離しやすく、これによりインゴットの冷却時
に鋳型に接着したインゴット部分から亀裂が生じやす
い。ここでSi3N4 粉末の比表面積は、BET法(たとえ
ば水谷ら著「セラミックプロセッシング」p.68、技法堂
出版(株))に準じて測定される値である。
【0016】このような比表面積を有する粉末は、7m
2 /g以上の粉末は、通常微粉末であるが、粒度分布は
狭いことが望ましく、平均粒径が0.5μmより小さ
く、好ましくは0.1μmないし0.5μmであり、か
つ1.0μm以上の粒径の粉末は含まないことが望まし
い。比表面積の上限値は特に限定されないが、粉末の取
り扱い作業のしやすさから20m2 /g以下が好まし
い。本発明では、Si3N4 粉末として、7m2 /g以上
の比表面積を有するものであれば市販品をそのままで使
用してもよく、あるいは必要に応じてボールミルなどで
粉砕して用いることもできる。
2 /g以上の粉末は、通常微粉末であるが、粒度分布は
狭いことが望ましく、平均粒径が0.5μmより小さ
く、好ましくは0.1μmないし0.5μmであり、か
つ1.0μm以上の粒径の粉末は含まないことが望まし
い。比表面積の上限値は特に限定されないが、粉末の取
り扱い作業のしやすさから20m2 /g以下が好まし
い。本発明では、Si3N4 粉末として、7m2 /g以上
の比表面積を有するものであれば市販品をそのままで使
用してもよく、あるいは必要に応じてボールミルなどで
粉砕して用いることもできる。
【0017】上記離型剤(Si3N4 粉末)は、水系スラ
リーとして使用する。スラリー調製のための分散媒は、
水のみでもよく、これにアルコール類を添加したもので
もよい。本発明では、このスラリーに分散剤を含ませ
る。分散剤としては、たとえばカルボキシメチルセルロ
ース−Na塩、カルボキシメチルセルロース−NH
4 塩、ポリカルボン酸型アニオン系界面活性剤、アルギ
ン酸ソーダ、ポリアクリル酸ソーダ、縮合ナフタレン・
スルホン酸ソーダ、縮合ナフタレンスルホン酸−NH4
塩、アクリル酸(またはメタクリル酸、または混合物)
オリゴマ、有機酸、クエン酸、酒石酸、 L−アスコルビ
ン酸、ワックスエマルジョン、ポリビニルピロリドン、
イソブチレンまたはスチレンと無水マレイン酸との共重
合体のNH4 塩またはアミン酸、ブタジエンと無水マレ
イン酸との共重合体のNH4 塩等を用いることができ
る。これらを2種以上併用してもよい。上記のうちで
も、金属を含まない化合物が好ましく用いられる。離型
剤(Si3N4 粉末)の質量に対し、通常、0.01〜2
%程度の量で用いることができる。
リーとして使用する。スラリー調製のための分散媒は、
水のみでもよく、これにアルコール類を添加したもので
もよい。本発明では、このスラリーに分散剤を含ませ
る。分散剤としては、たとえばカルボキシメチルセルロ
ース−Na塩、カルボキシメチルセルロース−NH
4 塩、ポリカルボン酸型アニオン系界面活性剤、アルギ
ン酸ソーダ、ポリアクリル酸ソーダ、縮合ナフタレン・
スルホン酸ソーダ、縮合ナフタレンスルホン酸−NH4
塩、アクリル酸(またはメタクリル酸、または混合物)
オリゴマ、有機酸、クエン酸、酒石酸、 L−アスコルビ
ン酸、ワックスエマルジョン、ポリビニルピロリドン、
イソブチレンまたはスチレンと無水マレイン酸との共重
合体のNH4 塩またはアミン酸、ブタジエンと無水マレ
イン酸との共重合体のNH4 塩等を用いることができ
る。これらを2種以上併用してもよい。上記のうちで
も、金属を含まない化合物が好ましく用いられる。離型
剤(Si3N4 粉末)の質量に対し、通常、0.01〜2
%程度の量で用いることができる。
【0018】一般的にスラリー濃度が35〜70質量%
程度の高濃度であると、粘性が急激に増加し、分散性が
急激に低下するため、スプレー塗布時、乾燥時にさまざ
まな技術的障害が発生する。たとえば比表面積7m2 /
g以上のSi3N4 粉末のスラリーについて本発明者が検
討したところでは、実用的に使用しうる濃度は、分散剤
を添加しない場合には35%未満であった。本発明で
は、上記のような分散剤を用いてスラリーを調製してお
り、Si3N4が微粉末であるにも拘らずスラリー濃度を
希薄にしなくても均質なスラリーを得ることができる。
具体的に、スラリー濃度(Si3N4 粉末含有量)が35
〜70質量%程度のスラリーを用いることができる。
程度の高濃度であると、粘性が急激に増加し、分散性が
急激に低下するため、スプレー塗布時、乾燥時にさまざ
まな技術的障害が発生する。たとえば比表面積7m2 /
g以上のSi3N4 粉末のスラリーについて本発明者が検
討したところでは、実用的に使用しうる濃度は、分散剤
を添加しない場合には35%未満であった。本発明で
は、上記のような分散剤を用いてスラリーを調製してお
り、Si3N4が微粉末であるにも拘らずスラリー濃度を
希薄にしなくても均質なスラリーを得ることができる。
具体的に、スラリー濃度(Si3N4 粉末含有量)が35
〜70質量%程度のスラリーを用いることができる。
【0019】本発明では、スラリーにポリビニルアルコ
ール(PVA)などのバインダーを含有させてもよい。
バインダーは、通常、水に溶解して用いられ、スラリー
を形成する水全量に対し3質量%以下の量で用いること
ができる。なお上記した従来の分散剤を含まないSi3N
4 粉末スラリーは、スラリー濃度を低く(水量を多く)
してSi3N4 粉末を分散させる。このためスラリーを鋳
型にスプレー塗布する際には、ダレなどを防止するため
バインダー(PVA)を多量(10%以上、通常20%
程度)に含ませる必要があった。本発明では、高濃度の
スラリーとすることができるため、バインダー量を大幅
に低減することができる。したがって本発明では、通
常、バインダーを除去するために行われる焼成を場合に
よっては省略することも可能である。
ール(PVA)などのバインダーを含有させてもよい。
バインダーは、通常、水に溶解して用いられ、スラリー
を形成する水全量に対し3質量%以下の量で用いること
ができる。なお上記した従来の分散剤を含まないSi3N
4 粉末スラリーは、スラリー濃度を低く(水量を多く)
してSi3N4 粉末を分散させる。このためスラリーを鋳
型にスプレー塗布する際には、ダレなどを防止するため
バインダー(PVA)を多量(10%以上、通常20%
程度)に含ませる必要があった。本発明では、高濃度の
スラリーとすることができるため、バインダー量を大幅
に低減することができる。したがって本発明では、通
常、バインダーを除去するために行われる焼成を場合に
よっては省略することも可能である。
【0020】本発明では、スラリーがこのような高濃度
であっても、スプレーによる均質な塗布が可能である。
しかもスラリーが高濃度であるため、乾燥時間を大幅に
短縮することができる。たとえば希薄スラリーを用いた
場合には多量の水分を蒸発させる必要があり、乾燥時間
が本質的に長く、また長時間かけて温和な条件で乾燥し
たとしても皮膜に微細な亀裂を生じやすいが、上記のよ
うなスラリーを用いれば、乾燥時に生じやすい皮膜の亀
裂発生率を大幅に低減することができ、インゴットが接
着しにくい鋳型を得ることができる。なおスラリー濃度
が70質量%を超えると、分散剤を含んでいてもSi3N
4 粉末を均質に分散することは困難になる。
であっても、スプレーによる均質な塗布が可能である。
しかもスラリーが高濃度であるため、乾燥時間を大幅に
短縮することができる。たとえば希薄スラリーを用いた
場合には多量の水分を蒸発させる必要があり、乾燥時間
が本質的に長く、また長時間かけて温和な条件で乾燥し
たとしても皮膜に微細な亀裂を生じやすいが、上記のよ
うなスラリーを用いれば、乾燥時に生じやすい皮膜の亀
裂発生率を大幅に低減することができ、インゴットが接
着しにくい鋳型を得ることができる。なおスラリー濃度
が70質量%を超えると、分散剤を含んでいてもSi3N
4 粉末を均質に分散することは困難になる。
【0021】上記のようなスラリーは、スプレー、ハケ
などの一般的な方法で塗布することができる。スプレー
塗布は、作業性、作業時間、均一塗布性などの点から好
ましい。スラリーを鋳型内面に塗布した後、乾燥し皮膜
を得る。乾燥は、60〜120℃で行うことが望まし
く、通常1〜2時間行われる。乾燥後の皮膜の焼成は、
通常、空気中で500〜1000℃で30〜120分間
程度行われる。焼成後の皮膜は、実質的に離型剤のみか
らなる。本発明では、乾燥後の焼成工程を省略すること
も可能であり、焼成工程の省略により、作業工程の簡略
化とともに焼成装置を必要としなくなるため製造プロセ
スの大幅な低コスト化を図ることができる。すなわち本
発明のスラリーは、バインダーを含んでいても上述した
ように3%以下と少量でよいため、焼成を省略した場合
に混入が予想される炭素量はほとんどない。本発明で
は、鋳型内面に均質一様に皮膜を形成することができ、
たとえば厚み1.0mm以下の薄い皮膜を形成すること
ができる。
などの一般的な方法で塗布することができる。スプレー
塗布は、作業性、作業時間、均一塗布性などの点から好
ましい。スラリーを鋳型内面に塗布した後、乾燥し皮膜
を得る。乾燥は、60〜120℃で行うことが望まし
く、通常1〜2時間行われる。乾燥後の皮膜の焼成は、
通常、空気中で500〜1000℃で30〜120分間
程度行われる。焼成後の皮膜は、実質的に離型剤のみか
らなる。本発明では、乾燥後の焼成工程を省略すること
も可能であり、焼成工程の省略により、作業工程の簡略
化とともに焼成装置を必要としなくなるため製造プロセ
スの大幅な低コスト化を図ることができる。すなわち本
発明のスラリーは、バインダーを含んでいても上述した
ように3%以下と少量でよいため、焼成を省略した場合
に混入が予想される炭素量はほとんどない。本発明で
は、鋳型内面に均質一様に皮膜を形成することができ、
たとえば厚み1.0mm以下の薄い皮膜を形成すること
ができる。
【0022】上記で得られる皮膜は、比表面積7m2 /
g以上のSi3N4 粉末からなり、皮膜強度が強く、また
鋳型への付着力も強い。本発明では、皮膜厚みが0.3
mm以上であれば従来のように厚くしなくても、離型剤
としての機能を充分に発揮することができる。高価なS
i3N4 粉末の使用量を低減する観点から、皮膜厚みは
1.0mmより薄いことが望ましい。本発明で形成され
る皮膜の厚みは、通常0.3mmないし1.0mm程
度、好ましくは0.3〜0.9mm程度、さらに好まし
くは0.3〜0.6mm程度である。このように薄い皮
膜であっても、インゴットを損傷することなく取出すこ
とができる。
g以上のSi3N4 粉末からなり、皮膜強度が強く、また
鋳型への付着力も強い。本発明では、皮膜厚みが0.3
mm以上であれば従来のように厚くしなくても、離型剤
としての機能を充分に発揮することができる。高価なS
i3N4 粉末の使用量を低減する観点から、皮膜厚みは
1.0mmより薄いことが望ましい。本発明で形成され
る皮膜の厚みは、通常0.3mmないし1.0mm程
度、好ましくは0.3〜0.9mm程度、さらに好まし
くは0.3〜0.6mm程度である。このように薄い皮
膜であっても、インゴットを損傷することなく取出すこ
とができる。
【0023】本発明では、このような皮膜を鋳型内面に
もつ鋳型も提供され、さらにこの鋳型を用いる多結晶シ
リコンインゴットの製造方法も提供される。多結晶シリ
コンインゴットは、上記鋳型を用いること以外は一般的
な多結晶シリコンインゴットの製造と同様に行うことが
できる。上記皮膜を有する鋳型は、溶融シリコンの冷却
固化時に剥離しにくいため、シリコンと鋳型との接着を
起しにくく、接着により生じるシリコンインゴットの割
れが生じにくい。また上記皮膜形成方法によれば、皮膜
が薄くSi3N4 粉末使用量が少なくてすみ、かつ簡便な
作業工程で皮膜を形成することができるため、鋳型の低
コスト化による製品の低コスト化とともに、健全インゴ
ットの歩留まり向上からも多結晶シリコンインゴットの
低コスト化を図り得る。
もつ鋳型も提供され、さらにこの鋳型を用いる多結晶シ
リコンインゴットの製造方法も提供される。多結晶シリ
コンインゴットは、上記鋳型を用いること以外は一般的
な多結晶シリコンインゴットの製造と同様に行うことが
できる。上記皮膜を有する鋳型は、溶融シリコンの冷却
固化時に剥離しにくいため、シリコンと鋳型との接着を
起しにくく、接着により生じるシリコンインゴットの割
れが生じにくい。また上記皮膜形成方法によれば、皮膜
が薄くSi3N4 粉末使用量が少なくてすみ、かつ簡便な
作業工程で皮膜を形成することができるため、鋳型の低
コスト化による製品の低コスト化とともに、健全インゴ
ットの歩留まり向上からも多結晶シリコンインゴットの
低コスト化を図り得る。
【0024】
【実施例】次に本発明を実施例により具体的に説明する
が、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。 (実施例1〜11、比較例1〜3および参考例1〜2) <鋳型皮膜の形成>内寸550mm×550mm×40
0mmの石英製鋳型の内面に表1に示すような各種条件
で離型剤を塗布し、皮膜を形成した。離型剤として、比
表面積3m2/g、5m2/gまたは10m2/gのSi3N4
粉末(市販品)をそのままあるいは必要に応じてボール
ミルで粉砕して、比表面積6m2/g、7m2/g、13m2
/gに調整したSi3N4 粉末を用いた。ポリビニルアル
コールPVAを2%含有する水(純水)に、上記Si3N
4 粉末を表1に示すスラリー濃度となる量で添加し、こ
れにさらにSi3N4 粉末に対し0.2質量%のアクリル
酸オリゴマー系分散剤(比較例3を除く)を添加し、ボ
ールミルで4時間混合してスラリーを調製した。得られ
たスラリーをスプレーにて鋳型内面に所定厚み塗布した
後、120℃で60分乾燥し、皮膜を形成した。次いで
800℃で60分焼成した。上記各スラリーを塗布し、
乾燥した際、割れを生じずに皮膜が得られるおおよその
所要時間を、鋳型材質(石英)の小片を用いて測定し
た。表1中に「塗布・乾燥時間」として示す。
が、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。 (実施例1〜11、比較例1〜3および参考例1〜2) <鋳型皮膜の形成>内寸550mm×550mm×40
0mmの石英製鋳型の内面に表1に示すような各種条件
で離型剤を塗布し、皮膜を形成した。離型剤として、比
表面積3m2/g、5m2/gまたは10m2/gのSi3N4
粉末(市販品)をそのままあるいは必要に応じてボール
ミルで粉砕して、比表面積6m2/g、7m2/g、13m2
/gに調整したSi3N4 粉末を用いた。ポリビニルアル
コールPVAを2%含有する水(純水)に、上記Si3N
4 粉末を表1に示すスラリー濃度となる量で添加し、こ
れにさらにSi3N4 粉末に対し0.2質量%のアクリル
酸オリゴマー系分散剤(比較例3を除く)を添加し、ボ
ールミルで4時間混合してスラリーを調製した。得られ
たスラリーをスプレーにて鋳型内面に所定厚み塗布した
後、120℃で60分乾燥し、皮膜を形成した。次いで
800℃で60分焼成した。上記各スラリーを塗布し、
乾燥した際、割れを生じずに皮膜が得られるおおよその
所要時間を、鋳型材質(石英)の小片を用いて測定し
た。表1中に「塗布・乾燥時間」として示す。
【0025】<多結晶シリコンインゴットの作製>上記
のように皮膜が形成された各鋳型を、黒鉛ヒータを熱源
とするAr雰囲気の炉内に設置し、原料シリコン150
kgを装入して1500℃で溶解後、鋳型底部より、
0.5mm/minの速度で一方向凝固させた。冷却固
化したシリコンインゴットを各鋳型から取出し、インゴ
ットの割れの有無を観察した。結果を表1に示す。表
中、インゴットの割れは、表面からの深さが20mm以
上のものを「有」とし、深さが20mm未満のものを
「無」として示す。
のように皮膜が形成された各鋳型を、黒鉛ヒータを熱源
とするAr雰囲気の炉内に設置し、原料シリコン150
kgを装入して1500℃で溶解後、鋳型底部より、
0.5mm/minの速度で一方向凝固させた。冷却固
化したシリコンインゴットを各鋳型から取出し、インゴ
ットの割れの有無を観察した。結果を表1に示す。表
中、インゴットの割れは、表面からの深さが20mm以
上のものを「有」とし、深さが20mm未満のものを
「無」として示す。
【0026】表1から明らかなように、本発明によれ
ば、Si3N4 微粉末を単独で用いるにも拘らず、スラリ
ーの塗布、乾燥時間が短時間で、かつ簡略な作業により
離型剤皮膜を形成することができ、これにより割れのな
い多結晶シリコンインゴットを製造しうることがわかっ
た。さらに本発明では、離型剤皮膜の厚みが薄くてもよ
く、高価なSi3N4 微粉末の使用量を少量とすることが
できる。また、上記多結晶シリコンインゴットの鋳型か
らの取出し時、製品に損傷を与えることはなかった。
ば、Si3N4 微粉末を単独で用いるにも拘らず、スラリ
ーの塗布、乾燥時間が短時間で、かつ簡略な作業により
離型剤皮膜を形成することができ、これにより割れのな
い多結晶シリコンインゴットを製造しうることがわかっ
た。さらに本発明では、離型剤皮膜の厚みが薄くてもよ
く、高価なSi3N4 微粉末の使用量を少量とすることが
できる。また、上記多結晶シリコンインゴットの鋳型か
らの取出し時、製品に損傷を与えることはなかった。
【0027】
【表1】
【0028】
【発明の効果】本発明は、比表面積の大きなSi3N4 粉
末を分散剤とともに水と混合して塗布、乾燥に適切な濃
度のスラリーとして用いており、これにより鋳型内面に
厚みが薄く、多層膜構造でなくても割れのない皮膜を、
簡単な作業で容易に形成ることができる。またこのSi3
N4 皮膜を有する鋳型を用いれば、割れのない多結晶シ
リコンインゴットを得ることができるため、健全な多結
晶シリコンインゴットを迅速にかつ安価に製造すること
ができる。
末を分散剤とともに水と混合して塗布、乾燥に適切な濃
度のスラリーとして用いており、これにより鋳型内面に
厚みが薄く、多層膜構造でなくても割れのない皮膜を、
簡単な作業で容易に形成ることができる。またこのSi3
N4 皮膜を有する鋳型を用いれば、割れのない多結晶シ
リコンインゴットを得ることができるため、健全な多結
晶シリコンインゴットを迅速にかつ安価に製造すること
ができる。
フロントページの続き (72)発明者 中川 成敏 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地な し) 川崎製鉄株式会社水島製鉄所内 (72)発明者 渕瀬 正 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地な し) 川崎製鉄株式会社水島製鉄所内 (72)発明者 日和佐 章一 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地な し) 川崎製鉄株式会社水島製鉄所内 Fターム(参考) 4E092 AA01 DA10 GA02 4E093 NA10 NB10
Claims (5)
- 【請求項1】鋳型内面に離型剤スラリーを塗布、乾燥
し、皮膜を形成するに際して、離型剤スラリーとして比
表面積7m2 /g以上のSi3N4 粉末とともに分散剤を
含むスラリーを用いる、多結晶シリコンインゴット用鋳
型への皮膜形成方法。 - 【請求項2】前記Si3N4 粉末を35〜70質量%の量
で含有するスラリーを用いる請求項1に記載の皮膜形成
方法。 - 【請求項3】前記分散剤を前記Si3N4 粉末質量に対
し、0.01〜2質量%の量で含有するスラリーを用い
る請求項1または2に記載の皮膜形成方法。 - 【請求項4】鋳型内面に、比表面積7m2 /g以上のS
i3N4 粉末からなり、厚みが0.3mmないし1.0m
mの被膜を有する多結晶シリコンインゴット用鋳型。 - 【請求項5】請求項4に記載の鋳型を用いて溶融シリコ
ンを冷却固化し、多結晶シリコンインゴットを製造する
多結晶シリコンインゴットの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001033349A JP2002239682A (ja) | 2001-02-09 | 2001-02-09 | 鋳型への皮膜形成方法、鋳型および多結晶シリコンインゴットの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001033349A JP2002239682A (ja) | 2001-02-09 | 2001-02-09 | 鋳型への皮膜形成方法、鋳型および多結晶シリコンインゴットの製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002239682A true JP2002239682A (ja) | 2002-08-27 |
Family
ID=18897111
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001033349A Withdrawn JP2002239682A (ja) | 2001-02-09 | 2001-02-09 | 鋳型への皮膜形成方法、鋳型および多結晶シリコンインゴットの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2002239682A (ja) |
Cited By (11)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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-
2001
- 2001-02-09 JP JP2001033349A patent/JP2002239682A/ja not_active Withdrawn
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