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JP2002224686A - 澱粉粒子含有液の嫌気性処理方法および装置 - Google Patents

澱粉粒子含有液の嫌気性処理方法および装置

Info

Publication number
JP2002224686A
JP2002224686A JP2001028402A JP2001028402A JP2002224686A JP 2002224686 A JP2002224686 A JP 2002224686A JP 2001028402 A JP2001028402 A JP 2001028402A JP 2001028402 A JP2001028402 A JP 2001028402A JP 2002224686 A JP2002224686 A JP 2002224686A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
starch
ozone
liquid
treatment
anaerobic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001028402A
Other languages
English (en)
Inventor
Mikio Kitagawa
幹夫 北川
Yoshimi Taguchi
佳美 田口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kurita Water Industries Ltd
Original Assignee
Kurita Water Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kurita Water Industries Ltd filed Critical Kurita Water Industries Ltd
Priority to JP2001028402A priority Critical patent/JP2002224686A/ja
Publication of JP2002224686A publication Critical patent/JP2002224686A/ja
Pending legal-status Critical Current

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    • Y02W10/12

Landscapes

  • Treatment Of Water By Oxidation Or Reduction (AREA)
  • Purification Treatments By Anaerobic Or Anaerobic And Aerobic Bacteria Or Animals (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 澱粉粒子含有液全体を高負荷かつ高速で効率
よく嫌気性処理することができる澱粉粒子含有液の嫌気
性処理方法および装置を提供する。 【解決手段】 澱粉粒子含有液を沈殿槽1で澱粉粒子1
0と澱粉分離液とに分離し、澱粉粒子10を含む澱粉粒
子濃縮液はオゾン処理槽2に導入し、塩酸でpH5以下
に調整後オゾン処理し、酸生成槽3に導入して前記澱粉
分離液と混合し、嫌気性を維持して酸生成菌により有機
酸生成を行い、次に酸生成液をメタン発酵槽4に導入し
て上向流でスラッジブランケット27を通過させ、メタ
ン生成菌により有機酸を嫌気的に分解し、メタンと二酸
化炭素に転換させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は澱粉粒子含有液を嫌
気性処理する方法および装置に関し、特に馬鈴薯や甘薯
等から澱粉を製造する工程から排出される澱粉製造排水
の処理に適した澱粉粒子含有液の嫌気性処理方法および
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】澱粉は、一般的に馬鈴薯や甘薯などの原
料をすりつぶして冷水にさらした後、澱粉粒子を回収
し、これを脱水、乾燥、精製して製造されている。この
ような澱粉製造工程から排出される排水は、未回収の微
細澱粉粒子や破砕した薯滓、析出した蛋白質を主とする
SSが500〜5000mg/l程度含まれ、BODは
2000〜30000mg/l程度の高濃度排水であ
り、BOD負荷量は1日当たり数千kg以上に達し、非
常に汚濁負荷量の多い排水である。また、馬鈴薯澱粉に
代表されるように、澱粉製造期間は年間数か月間と短期
間に集中している。
【0003】従来の澱粉製造排水の処理方法は、活性汚
泥処理に代表される好気性処理が主流であるが、非常に
負荷量が多いことから大容量の曝気槽、好気性ラグーン
を必要とし、多大な建設費、維持管理費となっている。
さらに、発生する余剰汚泥処理や、排水貯槽、曝気槽等
から発生する臭気対策が大きな課題となっている。好気
性処理に代る方法としては嫌気性処理がある。この嫌気
性処理法の中には、排水の全体を消化槽に滞留させて嫌
気性消化(メタン発酵)を行う嫌気性消化法があるが、
長い滞留時間を必要とするため大容量の消化槽を必要と
するという問題点がある。
【0004】最近、これらの処理法の問題点を解決する
ため、UASB(Upflow Anaerobic
Sludge Blanket・・・・上向流式嫌気性スラ
ッジブランケット)方式、流動床方式、固定床方式など
に代表される高負荷型嫌気性処理の適用が検討されてい
る。この方法は嫌気性微生物をスラッジブランケット、
固定床等に高密度で集積した汚泥に、主として溶解性B
ODを含む被処理液を高負荷かつ高流速で接触させるこ
とにより効率よく有機物を分解する方法である。
【0005】ところが、この嫌気性処理方法で澱粉製造
排水を処理する場合、前もって排水中のSS成分を除去
しておく必要があり、またSS成分を含めた排水全体を
処理すると処理性能が低下する。その原因は、澱粉製造
排水中に含まれている微細な澱粉粒子の嫌気性分解速度
が非常に遅いためである。このため、前もって沈殿槽や
原水槽で澱粉粒子を含むSSを除去し、澱粉粒子の少な
い排水を高負荷型嫌気性処理することが行われている。
【0006】しかし、このような従来の高負荷型嫌気性
処理では前もって分離したSSを別途処理する必要があ
り、このSSは農地へ還元したり、埋立処理が行われて
いるが、貯留段階で発生する悪臭が大きな問題となって
いる。また農地へ還元する場合は窒素過多、病害発生源
などの問題もある。このため、澱粉粒子を分離除去する
ことなく、澱粉製造排水全体を高負荷で嫌気性処理する
ことができる方法が要望されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、澱粉
粒子含有液を高負荷かつ高速で効率よく嫌気性処理する
ことができる澱粉粒子含有液の嫌気性処理方法および装
置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は次の澱粉粒子含
有液の嫌気性処理方法および装置である。 (1) 澱粉粒子含有液をpH5以下でオゾン処理する
オゾン処理工程と、オゾン処理液を嫌気性微生物を含む
汚泥の存在下に嫌気性処理する嫌気性処理工程とを有す
る澱粉粒子含有液の嫌気性処理方法。 (2) 澱粉粒子含有液を澱粉粒子濃縮液と澱粉分離液
とに分離する濃縮分離工程と、前記澱粉粒子濃縮液をp
H5以下でオゾン処理するオゾン処理工程と、オゾン処
理液および前記澱粉分離液を導入し、嫌気性微生物を含
む汚泥の存在下に嫌気性処理する嫌気性処理工程とを有
する澱粉粒子含有液の嫌気性処理方法。 (3) 澱粉粒子含有液または濃縮液をpH5以下でオ
ゾン処理するオゾン処理装置と、少なくともオゾン処理
液を導入し、嫌気性微生物を含む汚泥の存在下に嫌気性
処理する嫌気性反応槽とを有する澱粉粒子含有液の嫌気
性処理装置。
【0009】本発明で処理対象とする澱粉粒子含有液
は、澱粉粒子を含有する排水であり、蛋白質や脂質など
が含まれていてもよい。通常澱粉を含む植物から澱粉を
分離して製造する工程から排出される澱粉製造排水であ
る。このような澱粉粒子含有液としては、馬鈴薯澱粉製
造工程から排出される澱粉製造排水が典型的であるが、
くず、その他の植物からの澱粉製造排水であってもよ
い。
【0010】馬鈴薯澱粉製造工程から排出される排水と
しては、BODが30000mg/l付近、SSが50
00mg/l付近の高濃度のデカンター排水と、BOD
が2000mg/l付近、SSが500mg/l付近の
ハイドロサイクロン排水に大別されるが、本発明ではど
ちらの排水も処理することができる。またこれらの排水
を混合して処理することもできる。澱粉粒子はハイドロ
サイクロン排水に多く含まれており、時にはSSの大部
分が澱粉粒子であるハイドロサイクロン排水もあるが、
本発明はこのようなハイドロサイクロン排水の処理にも
好適に適用することができる。
【0011】本発明のオゾン処理工程は、澱粉粒子を液
化しやすいように改質処理する工程であり、澱粉粒子含
有液をpH5以下、好ましくは3以下に保持し、オゾン
含有ガスを供給して澱粉粒子をオゾン処理する。このオ
ゾン処理により澱粉粒子は表面が軟化し、嫌気性処理に
よる液化が容易になる。蛋白質その他の有機性固形物も
液化しやすいように改質される。オゾン処理には、澱粉
粒子含有液を前記pHに調整することができるpH調整
手段およびオゾン含有ガス供給手段を備えた装置を使用
することができる。オゾン含有ガスとしては純オゾンの
ほか、オゾンと他のガスの混合ガス、例えばオゾン化空
気などが使用できる。
【0012】pHを前記範囲に調整するには、塩酸、硫
酸等の鉱酸;水酸化ナトリウム等のアルカリなどが使用
できる。澱粉製造排水の場合は通常pHは中性付近にあ
るので、通常酸を添加してpHを調整する。この場合、
後工程の嫌気性処理における硫化水素発生低減の観点か
ら、塩酸が好ましい。
【0013】澱粉粒子含有液中の澱粉粒子は上記pHに
保持され、SSあたり0.1〜1重量%のオゾン含有ガ
スを供給してオゾン処理することにより、通常1〜2時
間でほぼ完全に改質される。ここで改質されるとは、顕
微鏡観察において澱粉の粒子が観察されなくなるか、あ
るいは表面が酸化されて変質し、またヨウ素・澱粉反応
による呈色反応が認められなくなることを意味する。澱
粉粒子は完全に液化されると嫌気性処理工程が容易にな
るが、そのためには多量のオゾンと長時間の処理時間が
必要になるので、液化しないで残留する澱粉粒子その他
のSS成分の表面が変質して易分解性になる程度にオゾ
ン処理するのが好ましい。
【0014】オゾン処理は、SS(澱粉粒子量)あたり
0.1〜1重量%オゾンに対応するオゾン含有ガスを供
給するのが好ましいが、これは例えば液化反応槽への澱
粉粒子の移送量が100kg−DS/hrの時は100
〜1000g−O3/hrのオゾン含有ガスを供給する
ことを意味する。
【0015】オゾン処理のpHが3以下の場合で、オゾ
ン処理槽が十分に撹拌されている場合は、オゾン含有ガ
ス供給量が少なくても澱粉粒子をオゾン処理する効果は
高く、pHが4〜5である場合はその効果が低減する。
またpHが5を超える場合は、pHが3以下の場合と比
較してオゾン処理効果は1/3以下となり、適切なオゾ
ン含有ガス供給量はオゾン処理槽内のpHおよび撹拌状
況等に左右される。従って例えば澱粉粒子の濃度が10
000mg/l以上であり、オゾン処理槽内のpHが3
以下で、十分な撹拌が行われている場合のオゾン含有ガ
ス供給量は、SSの0.1重量%でよく、オゾン処理槽
の滞留時間は1〜2時間でよい。
【0016】一方オゾン処理のpHが4.6未満の場
合、被処理液中の蛋白質が酸変性してゲル状となる割合
が多くなり、このためゲルに包含される澱粉粒子の量も
多くなるが、オゾン処理によりゲル化した蛋白質も酸化
により改質されて嫌気性処理工程で容易に液化するた
め、澱粉粒子がゲル化した蛋白質に包含されても液化効
率は低下しない。オゾン処理により澱粉粒子の液化が容
易になる主因は明確ではないが、オゾンの酸化力により
澱粉粒子の構造(結晶状態)が軟弱化するため嫌気性処
理の酸生成工程における液化が容易になると推定され
る。
【0017】オゾン処理する被処理液は、不溶性の澱粉
粒子を主とし、蛋白質、脂質なども含むSSを1000
0mg/l以上、好ましくは10000〜20000m
g/lの濃度で含んでいるものが望ましい。澱粉製造排
水中のSS濃度は通常500〜5000mg/l程度で
あるので、オゾン処理工程の前に濃縮分離工程を設け、
澱粉粒子を濃縮した澱粉粒子濃縮液についてオゾン処理
を行うのが好ましい。澱粉粒子濃縮液をオゾン処理する
ことにより、オゾン処理装置の小型化、pH調整剤の低
減、オゾン供給量の低減などが可能となる。
【0018】本発明において必要に応じてオゾン処理工
程の前に設けられる濃縮分離工程は、澱粉粒子含有液を
澱粉粒子濃縮液と澱粉分離液とに分離する工程である。
濃縮分離工程は、液中から固形分を分離または濃縮でき
る公知の装置または手段を用いて行うことができ、例え
ばデカンター型遠心分離機、分離板型遠心分離機、沈降
分離による沈殿槽、ろ布等を用いたろ過分離装置などが
使用可能である。例えば、沈殿槽を用いて澱粉粒子含有
液を分離する場合、2〜4時間の滞留時間で沈降分離す
ることができる。濃縮分離工程で得られた澱粉粒子濃縮
液は前記オゾン処理に供し、澱粉分離液は後述の嫌気性
処理に供する。
【0019】オゾン処理工程に用いるオゾン供給装置と
しては、前記澱粉粒子濃縮液中の澱粉粒子量が、50〜
100kg−DS/hrに達し、澱粉粒子量あたり0.
1重量%のオゾンを供給する場合で50〜100g−オ
ゾン/hrが必要量とされるため、大型で高い効率のオ
ゾン供給装置が適し、乾燥空気や高濃度酸素ガスを原料
とした放電方式が好ましい。
【0020】本発明の嫌気性処理工程は、前記オゾン処
理したオゾン処理液を嫌気性微生物を含む汚泥の存在下
に嫌気性処理する工程である。濃縮分離工程を設けた場
合は、通常オゾン処理液と濃縮分離工程で得られた澱粉
分離液とを嫌気性処理するのが好ましいが、オゾン処理
液だけを嫌気性処理することもできる。
【0021】嫌気性処理は、公知の装置により公知の方
法で行うことができるが、UASB、流動床、固定床等
を利用した高負荷型嫌気性処理を行うのが好ましい。高
負荷型嫌気性処理では溶解性有機物が処理の対象とな
り、固形物は前もって酸生成工程で液化することが好ま
しい。本発明ではオゾン処理により澱粉、蛋白質、その
他の有機性の固形物は易分解性に改質されるので、酸生
成工程において高速で液化することができる。高負荷型
嫌気性処理はメタン生成菌を高濃縮した状態で嫌気性処
理槽に保持し、被処理液と高負荷かつ高速で接触させて
短時間で嫌気性処理を行う方式の処理方法である。
【0022】UASB方式はメタン生成菌を含む汚泥を
高濃縮して形成したグラニュール汚泥からなるスラッジ
ブランケットに被処理液を上向流で高速に通液して接触
させ処理する方式のものである。流動床方式は砂等の担
体を担持させて流動床を形成し、被処理液と接触させる
方式のものである。固定床方式は担体に汚泥を形成した
固定床に被処理液を通液して接触させる方式のものであ
る。いずれも汚泥を高濃度の状態で保持することによ
り、高負荷かつ高速での処理を可能とする。
【0023】嫌気性処理は酸生成菌により有機物を有機
酸に分解する酸生成工程と、メタン生成菌により有機酸
をメタンに分解するメタン生成工程とからなり、本発明
ではこれらを同時に行う一相式でもよいが、酸生成工程
とメタン生成工程とを別工程にして、メタン生成工程の
前段で酸生成菌により液化澱粉、蛋白質、その他の有機
物から有機酸を生成させた後、メタン生成菌を高濃度で
保持するUASB方式などにより、高負荷で有機酸から
メタン生成を行う二相式が、処理速度、メタン生成量の
点から好ましい。一相式、二相式いずれの場合もメタン
生成菌を利用する嫌気性処理は30〜38℃、好ましく
は35〜36℃、BOD濃度2000〜30000mg
/l、好ましくは3000〜6000mg/lで嫌気状
態に保つことにより、メタン生成菌の活性を高くして効
率よく処理を行うことができる。
【0024】嫌気性処理工程における酸生成工程におい
て、オゾン処理液中の澱粉、蛋白質、その他の有機物粒
子は表面構造が軟弱化され、液化および酸生成が生じや
すい状態となっている。澱粉排水中にはオゾン処理後の
澱粉を蟻酸、酢酸、プロピオン酸等の低級脂肪酸(有機
酸)に転換する酸生成細菌が多量に存在するため、酸生
成工程に流入するオゾン処理槽中の細菌が、オゾン処理
により死滅または不活性化されていても澱粉分離液中の
細菌により酸生成反応は生じるので、澱粉排水を固液分
離し、濃縮液をオゾン処理してオゾン処理液を澱粉分離
液と混合して嫌気性処理するのが好ましい。
【0025】澱粉排水をそのままオゾン処理する場合で
も、酸生成槽に担体等を投入して汚泥を保持することに
より、液化を十分に行うことができる。また酸生成反応
を促進させる目的でメタン生成工程から生じる処理水の
一部を酸生成工程に返送することもでき、その場合の返
送量は酸生成工程流入液量の1容量%程度でよい。
【0026】酸生成工程の滞留時間は槽内液の水温が3
5〜37°Cで、pHが5〜7に調整されている場合は
4〜12時間程度である。なお酸生成槽内のpHが澱粉
分離液の流入により低下するときは、水酸化ナトリウム
等のアルカリ剤によりpH調整することができる。
【0027】嫌気性処理工程におけるメタン生成工程の
負荷はBOD負荷として5〜20kg/m3/d、好ま
しくは10〜15kg/m3/dとするのが望ましい。
BOD負荷が上記範囲にある場合、より高水質の処理水
をより効率よく得ることができる。
【0028】嫌気性処理により澱粉その他の固形物が液
化した溶解性有機物が分解され、メタンおよび炭酸ガス
が発生する。ここで発生するガスは回収して燃料として
利用することができる。処理液はそのまま、または必要
により他の低濃度排水や工業用水等で希釈して下水道等
に放流することもできるし、他の低濃度排水とともに好
気性処理することにより、残留する有機物を分解するこ
ともできる。
【0029】このように、本発明は澱粉粒子をオゾン処
理工程においてオゾン処理することにより、オゾン処理
液を嫌気性処理することが可能となり、従来の方法のよ
うに澱粉粒子を農地に還元したり、埋立処理する必要は
なくなり、澱粉製造排水全体を高負荷かつ高速で効率よ
く嫌気性処理することができる。このため、農地還元、
埋立処理する場合に発生する臭気を防止できる。また本
発明はオゾン処理装置を設置することにより、既存の嫌
気性処理設備で実施することが可能であるので、低コス
トでの処理が可能である。さらに高負荷での高度な処理
が可能であり、また澱粉製造排水処理全体における発生
メタンガス量が増大し、有効利用も可能になる。
【0030】通常、澱粉粒子の嫌気性反応は、次の3段
階の反応で進行する。 1)第1反応 澱粉粒子を可溶化澱粉に転換させる液化反応。 2)第2反応 可溶化澱粉から酢酸およびプロピオン酸等の有機酸を生
成させる有機酸生成反応。 3)第3反応 有機酸からメタンガスを発生させるメタン生成反応。
【0031】結晶状態の澱粉の場合、上記一連の反応に
要する時間の中では、第1反応である液化反応の時間が
最も長く、pHが中性付近、液温36℃付近の嫌気性条
件下では3〜4日間を要することがわかった。第2反応
である有機酸生成反応は、液化反応が十分に進行してい
る場合には4〜12時間で進行する。また第3反応であ
るメタン生成反応は、有機酸生成反応が十分に進行して
いる場合にはBOD負荷10kg/m3/d以上の高負
荷処理も可能である。
【0032】pH4.6〜5.4、温度50〜70℃で
液化処理することにより澱粉粒子の液化反応を進行させ
る方法では、澱粉粒子中に多量の蛋白質を含有している
場合には、pH処理によりゲル化した蛋白質が澱粉粒子
を包み込むことで液化反応効率は低下する。
【0033】本発明では、pH5以下でオゾン処理する
ことにより、上記の有機酸生成工程に要する時間内に、
澱粉その他の固形物の液化と酸生成を同時に行うことが
できる。このため、澱粉粒子を分離して農地に還元した
り、埋立処理する必要はなくなり、澱粉製造排水全体を
高負荷かつ高速で効率よく嫌気性処理することができ
る。
【0034】
【発明の効果】本発明の澱粉粒子含有液の嫌気性処理方
法は、澱粉粒子含有液または澱粉粒子濃縮液をpH5以
下でオゾン処理したのち嫌気性処理するので、澱粉粒子
を別途処理することなく、澱粉粒子含有液全体を高負荷
かつ高速で効率よく嫌気性処理することができる。本発
明の澱粉粒子含有液の嫌気性処理装置は、澱粉粒子濃縮
液をpH5以下でオゾン処理するオゾン処理装置を有し
ているので、澱粉粒子を別途処理することなく、澱粉粒
子含有液全体を高負荷かつ高速で効率よく嫌気性処理す
ることができる。
【0035】
【発明の実施の形態】本発明の実施形態を図面により説
明する。図1は、実施形態の澱粉粒子含有液の嫌気性処
理装置を示す系統図である。図1において、1は沈殿
槽、2はオゾン処理槽、3は酸生成槽、4はUASB方
式のメタン発酵槽、5はオゾン発生機である。
【0036】沈殿槽1には原水路11、濃縮液路12お
よび澱粉分離液路13が接続している。オゾン処理槽2
には、濃縮液路12、オゾン処理液路14、pH調整剤
供給路15およびオゾン供給路18が接続し、内部に撹
拌機17が設けられており、沈殿槽1で沈降分離した澱
粉粒子濃縮液を濃縮液路12から導入し、槽内液のpH
が5以下、好ましくは3以下となるようにpHを保持
し、オゾン発生機5でオゾン含有ガスを発生させてオゾ
ン供給路18からオゾン含有ガスを供給し、オゾン処理
するように構成されている。
【0037】酸生成槽3には、澱粉分離液路13、オゾ
ン処理液路14、酸生成液路21、pH調整剤供給路2
3が接続し、内部には撹拌器22が設けられている。メ
タン発酵槽4には酸生成液路21が下部に接続し、ガス
回収路28が上部に接続している。処理水路25は、返
送路26が分岐して、処理水の一部を酸生成槽3に返送
している。メタン発酵槽4の内部にはスラッジブランケ
ット27が形成されている。酸生成槽3とメタン発酵槽
4とで嫌気性反応槽を構成している。
【0038】図1の嫌気性処理装置で澱粉粒子含有液を
処理するには、原水として澱粉粒子含有液を原水路11
から沈殿槽1に導入し、重力沈降により澱粉粒子10と
澱粉分離液とに分離する。澱粉粒子10を含む澱粉粒子
濃縮液は濃縮液路12からオゾン処理槽2に導入してオ
ゾン処理し、澱粉分離液は澱粉分離液路13から酸生成
槽3に導入して有機酸を生成させる。
【0039】オゾン処理槽2では澱粉粒子10を含む澱
粉粒子濃縮液を濃縮液路12から導入し、pH調整剤供
給路15から槽内液のpHが前記pHとなるように塩酸
を供給するとともに、オゾン供給路18からオゾン含有
ガスを供給してオゾン処理する。通常1〜2時間で、澱
粉粒子10はほぼ完全に易液化性に改質される。オゾン
含有ガスはオゾン発生機5で発生させ、SSあたり0.
1〜1重量%オゾンの量となるように供給する。
【0040】酸生成槽3では、オゾン処理液および沈殿
槽1で分離した澱粉分離液を導入するが、オゾン処理液
の流入により酸生成槽3内のpHが低下する時は、pH
調整剤供給路23から水酸化ナトリウムの水溶液を供給
し、嫌気性を維持して撹拌器22で緩やかに撹拌しなが
ら酸生成菌を含む槽内液と混合し、澱粉その他の改質固
形物の液化と有機酸生成を行う。これにより、槽内の有
機物は酸生成菌により分解され有機酸が生成する。
【0041】有機酸生成液は酸生成液路21からメタン
発酵槽4の下部に導入し、上向流でスラッジブランケッ
ト27を通過させる。このとき、透過液は嫌気性下にグ
ラニュール汚泥と接触し、これにより有機酸はグラニュ
ール汚泥に含まれるメタン生成菌の作用により嫌気的に
分解されてメタンと二酸化炭素に転換される。メタン発
酵処理液は処理水として処理水路25から排出するが、
一部は分岐して返送路26から酸生成槽3に返送する。
返送量は酸生成槽3の流入液量の1%程度でよい。発生
ガスはガス回収路28から回収して燃料ガス等として利
用する。
【0042】図1の装置において、UASB方式などの
高負荷型嫌気性処理装置の代わりに浮遊式のメタン発酵
槽を使用することもできる。さらに沈殿槽1を省略し
て、原水を直接オゾン処理槽2に導入して液化処理する
こともできる。
【0043】
【実施例】実施例1 図1の装置により、澱粉製造排水を嫌気性処理した。す
なわち、馬鈴薯澱粉製造工程から排出されるデカンター
排水とハイドロサイクロン排水との混合排水について、
嫌気性処理を行った。上記デカンター排水はBODが3
0000mg/l付近、SSが5000mg/l付近で
あり、ハイドロサイクロン排水はBODが2000mg
/l付近、SSが500mg/l付近であり、粒子状の
澱粉はハイドロサイクロン排水に多く含まれている。処
理対象の混合排水はデカンター排水をハイドロサイクロ
ン排水で10倍に希釈した混合排水であり、この混合排
水のSSは950mg/l、BODは4800mg/l
である(表1参照)。上記混合排水を、滞留時間4時間
原水槽を兼ねた沈殿槽1(初沈槽)で沈降分離し、澱粉
粒子濃縮液と澱粉分離液とを得た。これらのSSおよび
BODを表1に示す。
【0044】上記澱粉粒子濃縮液はオゾン処理槽2へ導
入し、塩酸でpH3に調整後、強撹拌下でオゾン含有率
100mg−オゾン/lのオゾン含有ガスと接触させ、
1時間オゾン処理した。オゾン量はSS量の0.1重量
%に相当する15mg−オゾン/lである。このオゾン
処理液は、SSが3000mg/lであったが、ヨウ素
・澱粉反応による呈色反応では青色の呈色は観察され
ず、また顕微鏡観察でも澱粉粒子は認められなかった。
オゾン処理液のSSの主体は、SSの有機態窒素の測定
結果から、蛋白質がゲル化析出したものであることが明
らかとなったが、表面構造は軟弱化している状態であっ
た。
【0045】オゾン処理液は沈殿槽1で得られた澱粉分
離液と混合し、この混合液を酸生成槽3に導入し、pH
6に調整後、液温36℃、滞留時間8時間の条件で緩速
撹拌し有機酸生成を行った。得られた有機酸生成液(メ
タン発酵槽導入液)のSSは酸生成細菌の増殖も加わり
550mg/l、BODは澱粉粒子が液化してBODに
測定されやすくなったことから5500mg/lと増加
した。BOD成分の80%は酢酸、プロピオン酸、乳
酸、酪酸等の低級脂肪酸(有機酸)とエタノールであ
り、十分な有機酸生成反応が進行していた。
【0046】上記有機酸生成液はUASB方式のメタン
発酵槽4に導入して上向流で通液し、メタン発酵処理し
た。有機酸生成液のメタン生成速度を回分方式で測定
し、メタン発酵槽4の負荷量(除去量)を求めた。メタ
ン発酵槽4の滞留時間は、沈殿槽1の分離液量に対して
8時間に設定し、槽内pHは7.0、液温は36℃に調
整した。メタン生成速度は発生したメタンガス量から求
め、計算上のメタン発酵槽4のBOD負荷量は14kg
/m3/dの高負荷に達した。メタン発酵処理液(処理
水)はBODが300〜350mg/lであり、発生ガ
ス量はメタン発酵槽4容量当たり9.1〜9.7倍に達
した。なお、発生ガス中の炭酸ガス含有量は18〜25
容量%であった。結果を表1に示す。
【0047】
【表1】
【0048】実施例2 実施例1において、オゾン処理液に澱粉分離液を混合す
ることなく、オゾン処理液を単独で有機酸生成処理し
た。酸生成槽3の滞留時間は24時間、メタン発酵槽4
の滞留時間は48時間とした。他の条件は実施例1と同
じである。有機酸生成液(メタン発酵槽導入液)のBO
D濃度は12000〜21000mg/l、メタン発酵
槽4のBOD負荷量は6〜10.5kg/m3/dであ
り、実施例1の負荷量に比べて3/4〜1/2に設定し
た。結果を表2に示す。
【0049】
【表2】
【0050】実施例2のメタン発酵処理液(処理水)の
SSおよびBODは実施例1に比べて高く、このまま放
流できない場合は、さらに好気性処理する。
【0051】参考例1 実施例2で得られた有機酸生成液を市水で5倍に希釈し
(BOD=2400〜4200mg/l)、この希釈液
をメタン発酵槽4に導入してBOD負荷量2.4〜4.
2kg/m3/d(滞留時間24時間)でメタン発酵処
理を行ったところ、メタン発酵処理液(処理水)のBO
Dは実施例1と同等の300〜350mg/lが得られ
た。
【0052】比較例1 実施例1において、沈殿槽1で得られた澱粉分離液を単
独で有機酸生成を行った。酸生成槽3の条件は実施例1
と同じである。得られた有機酸生成液をメタン発酵槽4
(滞留時間8時間)に導入し、メタン発酵処理を行っ
た。その結果、メタン発酵槽4の負荷量は10〜10.
5kg/m3/d、発生ガス量はメタン発酵槽4容量当
たり6.5〜6.9倍、メタン発酵処理液のBODは実
施例1と同等な300〜350mg/lであった。結果
を表3に示す。
【0053】
【表3】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の澱粉粒子含有液の嫌気性処理
装置を示す系統図である。
【符号の説明】
1 沈殿槽 2 オゾン処理槽 3 酸生成槽 4 メタン発酵槽 5 オゾン発生機 10 澱粉粒子 11 原水路 12 濃縮液路 13 澱粉分離液路 14 オゾン処理液路 15、23 pH調整剤供給路 17、22 撹拌器 18 オゾン含有ガス供給路 21 酸生成液路 25 処理水路 26 返送路 27 スラッジブランケット 28 ガス回収路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C02F 9/00 503 C02F 9/00 503C 504 504A 504E

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 澱粉粒子含有液をpH5以下でオゾン処
    理するオゾン処理工程と、 オゾン処理液を嫌気性微生物を含む汚泥の存在下に嫌気
    性処理する嫌気性処理工程とを有する澱粉粒子含有液の
    嫌気性処理方法。
  2. 【請求項2】 澱粉粒子含有液を澱粉粒子濃縮液と澱粉
    分離液とに分離する濃縮分離工程と、 前記澱粉粒子濃縮液をpH5以下でオゾン処理するオゾ
    ン処理工程と、 オゾン処理液および前記澱粉分離液を導入し、嫌気性微
    生物を含む汚泥の存在下に嫌気性処理する嫌気性処理工
    程とを有する澱粉粒子含有液の嫌気性処理方法。
  3. 【請求項3】 澱粉粒子含有液または濃縮液をpH5以
    下でオゾン処理するオゾン処理装置と、 少なくともオゾン処理液を導入し、嫌気性微生物を含む
    汚泥の存在下に嫌気性処理する嫌気性反応槽とを有する
    澱粉粒子含有液の嫌気性処理装置。
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