JP2002178134A - 鋳造組織の微細化方法及び微細化装置 - Google Patents
鋳造組織の微細化方法及び微細化装置Info
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Landscapes
- Refinement Of Pig-Iron, Manufacture Of Cast Iron, And Steel Manufacture Other Than In Revolving Furnaces (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 鋳造品の耐摩耗性、耐焼付性、強度、及び靭
性が良好で、かつ、製造コストが安価な鋳造組織の微細
化方法および微細化装置を提供するものである。 【解決手段】 本発明に係る鋳造組織の微細化方法は、
ターンテーブル11上に鋳型2を設け、その鋳型2内に
金属溶湯22を注湯し、そのターンテーブル11を低速
回転・停止させながら鋳造するものである。
性が良好で、かつ、製造コストが安価な鋳造組織の微細
化方法および微細化装置を提供するものである。 【解決手段】 本発明に係る鋳造組織の微細化方法は、
ターンテーブル11上に鋳型2を設け、その鋳型2内に
金属溶湯22を注湯し、そのターンテーブル11を低速
回転・停止させながら鋳造するものである。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋳造組織の微細化
方法及び微細化装置に係り、特に、鋳造により形成した
シリンダライナの、鋳造組織を微細化する方法及び鋳造
組織を微細化する装置に関するものである。
方法及び微細化装置に係り、特に、鋳造により形成した
シリンダライナの、鋳造組織を微細化する方法及び鋳造
組織を微細化する装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】片状黒鉛鋳鉄は、鋳造性が良好であると
共に、比較的安価であり、また、黒鉛による自己潤滑作
用を有する他に、合金成分によっては(例えば、ボロン
鋳鉄など)、ハードフェイズ(hard phase:セメンタイ
トとステダイト(Fe3 P)の混合相)と呼ばれる硬質
相(例えば、炭化物など)が分散する鋳造組織となるた
め、耐摩耗性が要求される鋳造品(例えば、シリンダラ
イナ)などに賞用されている。
共に、比較的安価であり、また、黒鉛による自己潤滑作
用を有する他に、合金成分によっては(例えば、ボロン
鋳鉄など)、ハードフェイズ(hard phase:セメンタイ
トとステダイト(Fe3 P)の混合相)と呼ばれる硬質
相(例えば、炭化物など)が分散する鋳造組織となるた
め、耐摩耗性が要求される鋳造品(例えば、シリンダラ
イナ)などに賞用されている。
【0003】近年、エンジン、特に、ディーゼルエンジ
ンの高出力化の要求が高まっている。ディーゼルエンジ
ンの高出力化は、シリンダライナに加わる爆発ガス圧の
上昇を招くことから、シリンダライナの耐摩耗性および
耐焼付性などについて、種々のトライボロジィ(摩擦・
摩耗)対策を講ずる必要がある。また、シリンダライナ
に作用する力は、通常、爆発ガス圧によるライナ円周方
向の引張応力、ライナ取付フランジの曲げ応力、および
ピストンに働く側圧の他、熱応力であり、これらの力と
放散熱量などを考慮して、シリンダライナの寸法(特に
肉厚)が決められている。
ンの高出力化の要求が高まっている。ディーゼルエンジ
ンの高出力化は、シリンダライナに加わる爆発ガス圧の
上昇を招くことから、シリンダライナの耐摩耗性および
耐焼付性などについて、種々のトライボロジィ(摩擦・
摩耗)対策を講ずる必要がある。また、シリンダライナ
に作用する力は、通常、爆発ガス圧によるライナ円周方
向の引張応力、ライナ取付フランジの曲げ応力、および
ピストンに働く側圧の他、熱応力であり、これらの力と
放散熱量などを考慮して、シリンダライナの寸法(特に
肉厚)が決められている。
【0004】ここで、片状黒鉛鋳鉄の黒鉛形状は切欠き
作用を有していると共に、良好な自己潤滑作用を発現さ
せる黒鉛形状と靱性を損なわない黒鉛形状の整合が難し
いことから、エンジンの高出力化に伴って、シリンダラ
イナの強度不足が問題となっている。その解決策として
耐摩耗性・耐焼付性に優れる鋳鉄材を内層とし、強靱性
に優れる鋳鋼を外層とする複合シリンダが提案されてい
る(特開昭60−169654号公報参照)。
作用を有していると共に、良好な自己潤滑作用を発現さ
せる黒鉛形状と靱性を損なわない黒鉛形状の整合が難し
いことから、エンジンの高出力化に伴って、シリンダラ
イナの強度不足が問題となっている。その解決策として
耐摩耗性・耐焼付性に優れる鋳鉄材を内層とし、強靱性
に優れる鋳鋼を外層とする複合シリンダが提案されてい
る(特開昭60−169654号公報参照)。
【0005】この複合シリンダライナは遠心鋳造法によ
って鋳造されるものであって、最初に鋳鋼材で外層を鋳
造形成し、外層が凝固した後、外層の内面に鋳鉄材で内
層を鋳造形成する。この時、内層および外層の溶着一体
化不良や、外層内面のスラグやドロスの介在・巻込み等
といった問題を防ぐべく、溶湯の冷却速度を調節すると
いった改善策も提案されている(特開平5−28559
9号公報参照)。
って鋳造されるものであって、最初に鋳鋼材で外層を鋳
造形成し、外層が凝固した後、外層の内面に鋳鉄材で内
層を鋳造形成する。この時、内層および外層の溶着一体
化不良や、外層内面のスラグやドロスの介在・巻込み等
といった問題を防ぐべく、溶湯の冷却速度を調節すると
いった改善策も提案されている(特開平5−28559
9号公報参照)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、遠心鋳
造法は、装置構成や製造工程などが、置注ぎ法と比較し
て複雑であるため、製造コストが高くなってしまうとい
う問題があった。
造法は、装置構成や製造工程などが、置注ぎ法と比較し
て複雑であるため、製造コストが高くなってしまうとい
う問題があった。
【0007】また、遠心鋳造法は、内層の凝固速度の制
御が困難であること及び鋳造時に遠心力を負荷すること
から、強度と自己潤滑性のバランスが良好なA型黒鉛組
織を得にくいという問題があった。
御が困難であること及び鋳造時に遠心力を負荷すること
から、強度と自己潤滑性のバランスが良好なA型黒鉛組
織を得にくいという問題があった。
【0008】さらに、船舶、トラック等の大型ディーゼ
ルエンジンのシリンダライナは、肉厚な鋳造品となるた
め、凝固完了までに長い時間を要する(凝固速度が遅
い)。その結果、粗大な片状黒鉛およびハードフェイズ
の晶出を招いてしまう。片状黒鉛およびハードフェイズ
は、一旦粗大に晶出してしまうと微細化することができ
ず、その結果、得られる鋳造品においては、高い強度は
有するものの、材料スペック通りの伸び、即ち良好な靭
性が得られないという問題があった。
ルエンジンのシリンダライナは、肉厚な鋳造品となるた
め、凝固完了までに長い時間を要する(凝固速度が遅
い)。その結果、粗大な片状黒鉛およびハードフェイズ
の晶出を招いてしまう。片状黒鉛およびハードフェイズ
は、一旦粗大に晶出してしまうと微細化することができ
ず、その結果、得られる鋳造品においては、高い強度は
有するものの、材料スペック通りの伸び、即ち良好な靭
性が得られないという問題があった。
【0009】以上の事情を考慮して創案された本発明の
目的は、鋳造品の耐摩耗性、耐焼付性、強度、及び靭性
が良好で、かつ、製造コストが安価な鋳造組織の微細化
方法および微細化装置を提供することにある。
目的は、鋳造品の耐摩耗性、耐焼付性、強度、及び靭性
が良好で、かつ、製造コストが安価な鋳造組織の微細化
方法および微細化装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成すべく本
発明に係る鋳造組織の微細化方法は、ターンテーブル上
に鋳型を設け、その鋳型内に金属溶湯を注湯し、鋳型面
に若干の凝固シェルを形成させた後、そのターンテーブ
ルを低速回転・停止させながら鋳造するものである。
発明に係る鋳造組織の微細化方法は、ターンテーブル上
に鋳型を設け、その鋳型内に金属溶湯を注湯し、鋳型面
に若干の凝固シェルを形成させた後、そのターンテーブ
ルを低速回転・停止させながら鋳造するものである。
【0011】以上の方法によれば、鋳型内に金属溶湯を
注湯した後、鋳型内で凝固中の金属溶湯に、流れを生じ
させることができる。
注湯した後、鋳型内で凝固中の金属溶湯に、流れを生じ
させることができる。
【0012】また、ターンテーブルを正転、停止、逆
転、停止と順次繰り返し、鋳型内の金属溶湯に回転中心
まわりの正逆の流れを生じさせて金属溶湯を凝固させる
ことが好ましい。
転、停止と順次繰り返し、鋳型内の金属溶湯に回転中心
まわりの正逆の流れを生じさせて金属溶湯を凝固させる
ことが好ましい。
【0013】また、回転速度が6〜10rpmで、回転
角度が90°以上又は回転時間が3秒間以上であること
が好ましい。
角度が90°以上又は回転時間が3秒間以上であること
が好ましい。
【0014】また、正転と逆転の間又は逆転と正転の間
の停止時間が、0.8〜5秒であることが好ましい。
の停止時間が、0.8〜5秒であることが好ましい。
【0015】また、鋳型内に金属溶湯を注湯後、鋳型内
壁に凝固シェルが形成された後、ターンテーブルを低速
回転・停止させることが好ましい。
壁に凝固シェルが形成された後、ターンテーブルを低速
回転・停止させることが好ましい。
【0016】また、注湯後、20〜120分の間隔をあ
けて、ターンテーブルを低速回転・停止させることが好
ましい。
けて、ターンテーブルを低速回転・停止させることが好
ましい。
【0017】また、鋳型がシリンダライナ用鋳型である
と共に、金属溶湯が鋳鉄溶湯であってもよい。
と共に、金属溶湯が鋳鉄溶湯であってもよい。
【0018】一方、本発明に係る鋳造組織の微細化装置
は、金属溶湯を鋳込む鋳型と、その鋳型が載置される回
転手段と、その回転手段の回転・停止を制御する制御手
段を備えたものである。
は、金属溶湯を鋳込む鋳型と、その鋳型が載置される回
転手段と、その回転手段の回転・停止を制御する制御手
段を備えたものである。
【0019】以上の構成によれば、回転手段に載置され
た鋳型を、制御手段で回転・停止と制御しながら回転さ
せることができる。
た鋳型を、制御手段で回転・停止と制御しながら回転さ
せることができる。
【0020】また、回転手段が、鋳型を載置するターン
テーブルと、そのターンテーブルを正逆方向に回転させ
ると共に停止させる駆動装置を備えているのが好まし
い。
テーブルと、そのターンテーブルを正逆方向に回転させ
ると共に停止させる駆動装置を備えているのが好まし
い。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適一実施の形態
を添付図面に基いて説明する。
を添付図面に基いて説明する。
【0022】本発明に係る鋳造組織の微細化装置の斜視
概略図を図1に、図1の回転手段の部分拡大図を図2に
示す。
概略図を図1に、図1の回転手段の部分拡大図を図2に
示す。
【0023】図1,2に示すように、本発明に係る鋳造
組織の微細化装置1は、金属溶湯を鋳込む鋳型(図1中
では、シリンダライナ用砂型)2を、回転手段3の上に
載置・固定し、その回転手段3のモータ(後述)13に
制御手段4を接続したものである。ここで、鋳型2は鋳
枠5a,5b,5cと中子6からなり、また、鋳型2と
回転手段3は、固定治具7で固定されている。
組織の微細化装置1は、金属溶湯を鋳込む鋳型(図1中
では、シリンダライナ用砂型)2を、回転手段3の上に
載置・固定し、その回転手段3のモータ(後述)13に
制御手段4を接続したものである。ここで、鋳型2は鋳
枠5a,5b,5cと中子6からなり、また、鋳型2と
回転手段3は、固定治具7で固定されている。
【0024】回転手段3は、鋳型2を載置するターンテ
ーブル11と、そのターンテーブル11を支持する支持
部12と、ターンテーブル11を正逆方向に回転させる
と共に停止させるモータ(駆動装置)13で構成され
る。モータ13はブレーキを有する減速機14を備えて
おり、モータ13のギア部15が、ターンテーブル11
の下面のギア部16と噛合する。
ーブル11と、そのターンテーブル11を支持する支持
部12と、ターンテーブル11を正逆方向に回転させる
と共に停止させるモータ(駆動装置)13で構成され
る。モータ13はブレーキを有する減速機14を備えて
おり、モータ13のギア部15が、ターンテーブル11
の下面のギア部16と噛合する。
【0025】制御手段4としては、モータ13を間欠的
に、かつ、正逆方向に回転させることができるものであ
れば特に限定するものではないが、間欠の間隔、回転速
度、および回転角度(又は回転時間)を自在に調節する
ことができるものが好ましい。
に、かつ、正逆方向に回転させることができるものであ
れば特に限定するものではないが、間欠の間隔、回転速
度、および回転角度(又は回転時間)を自在に調節する
ことができるものが好ましい。
【0026】次に、本発明に係る鋳造組織の微細化方法
を図1,2に基いて説明する。
を図1,2に基いて説明する。
【0027】回転手段3のターンテーブル11の上に鋳
型(例えば、内径580〜620mm、外径890〜9
30mmのシリンダライナ用鋳型)2を載置・固定した
後、この鋳型2内に、懸堰(タンディッシュ)21を用
いた落し込みにより、金属溶湯(例えば、鋳鉄溶湯)2
2を注湯する。その後、鋳型2の押湯部23への発熱・
保温処置を行い、鋳造品(例えば、シリンダライナ)の
鋳造を行う。
型(例えば、内径580〜620mm、外径890〜9
30mmのシリンダライナ用鋳型)2を載置・固定した
後、この鋳型2内に、懸堰(タンディッシュ)21を用
いた落し込みにより、金属溶湯(例えば、鋳鉄溶湯)2
2を注湯する。その後、鋳型2の押湯部23への発熱・
保温処置を行い、鋳造品(例えば、シリンダライナ)の
鋳造を行う。
【0028】注湯後、鋳型2および回転手段3を、その
ままの状態で20〜120分間静置し、鋳型2の内壁に
厚さ5〜15mmの凝固シェル層を形成させる。この凝
固シェル層は、A型黒鉛組織にハードフェイズが分散晶
出した組織構造であり、耐摩耗性および耐焼付性を有し
ている。
ままの状態で20〜120分間静置し、鋳型2の内壁に
厚さ5〜15mmの凝固シェル層を形成させる。この凝
固シェル層は、A型黒鉛組織にハードフェイズが分散晶
出した組織構造であり、耐摩耗性および耐焼付性を有し
ている。
【0029】その後も鋳型2および回転手段3を静置す
ると、凝固シェル層の表面では樹枝状晶(デンドライ
ト)が成長し、また、鋳鉄溶湯22内では片状黒鉛が晶
出し続ける。ここで、船舶、トラック用のシリンダライ
ナ等は非常に大きな部材であるため、凝固完了までに長
い時間を要する(凝固速度が遅い)。このため、粗大な
デンドライトおよび片状黒鉛が、成長・晶出しやすい。
その結果、A型黒鉛組織に粗大なハードフェイズおよび
片状黒鉛が晶出してしまい、材料スペック通りの伸びが
得られなくなってしまう。
ると、凝固シェル層の表面では樹枝状晶(デンドライ
ト)が成長し、また、鋳鉄溶湯22内では片状黒鉛が晶
出し続ける。ここで、船舶、トラック用のシリンダライ
ナ等は非常に大きな部材であるため、凝固完了までに長
い時間を要する(凝固速度が遅い)。このため、粗大な
デンドライトおよび片状黒鉛が、成長・晶出しやすい。
その結果、A型黒鉛組織に粗大なハードフェイズおよび
片状黒鉛が晶出してしまい、材料スペック通りの伸びが
得られなくなってしまう。
【0030】そこで、本発明に係る鋳造組織の微細化方
法においては、鋳型2の内壁に凝固シェル層を形成させ
た後、モータ13を駆動してターンテーブル11を低速
回転・停止させながら鋳鉄溶湯23の凝固を行う。この
時、ターンテーブル11の低速回転は、正転、停止、逆
転、停止、…と順次繰り返される。また、ターンテーブ
ル11は、モータ13の減速機14のブレーキ機能によ
り、瞬時に正転状態から停止状態又は逆転状態から停止
状態となる。これによって、ターンテーブル11が惰性
で回転することはない。
法においては、鋳型2の内壁に凝固シェル層を形成させ
た後、モータ13を駆動してターンテーブル11を低速
回転・停止させながら鋳鉄溶湯23の凝固を行う。この
時、ターンテーブル11の低速回転は、正転、停止、逆
転、停止、…と順次繰り返される。また、ターンテーブ
ル11は、モータ13の減速機14のブレーキ機能によ
り、瞬時に正転状態から停止状態又は逆転状態から停止
状態となる。これによって、ターンテーブル11が惰性
で回転することはない。
【0031】ターンテーブル11を回転始動させて鋳型
2を回転させると、最初は鋳型2及び凝固シェル層のみ
が回転するため、鋳型2内の凝固シェル層と未凝固の鋳
鉄溶湯22との界面(以下、凝固界面と示す)にズレが
生じる。しかし、すぐに、鋳鉄溶湯22の粘性により、
鋳鉄溶湯22自体も鋳型2及び凝固シェル層の回転に追
従して流動し始める。ターンテーブル11の回転を、正
転、停止、逆転、停止、…と順次繰り返すことで、鋳型
2内の鋳鉄溶湯22に回転中心まわりの正逆の流れが生
じる。
2を回転させると、最初は鋳型2及び凝固シェル層のみ
が回転するため、鋳型2内の凝固シェル層と未凝固の鋳
鉄溶湯22との界面(以下、凝固界面と示す)にズレが
生じる。しかし、すぐに、鋳鉄溶湯22の粘性により、
鋳鉄溶湯22自体も鋳型2及び凝固シェル層の回転に追
従して流動し始める。ターンテーブル11の回転を、正
転、停止、逆転、停止、…と順次繰り返すことで、鋳型
2内の鋳鉄溶湯22に回転中心まわりの正逆の流れが生
じる。
【0032】その後、このターンテーブル11の正転、
停止、逆転、停止、…という操作を、鋳鉄溶湯23の凝
固が完了するまで(例えば、前述したシリンダライナ用
鋳型で約6時間)継続して行う。凝固の完了は、鋳鉄溶
湯22の凝固が鋳型2の底部外周部から押湯部23の内
周部に向かって進行することから、押湯部23の内周部
の状態から、凝固完了の判断を行う。
停止、逆転、停止、…という操作を、鋳鉄溶湯23の凝
固が完了するまで(例えば、前述したシリンダライナ用
鋳型で約6時間)継続して行う。凝固の完了は、鋳鉄溶
湯22の凝固が鋳型2の底部外周部から押湯部23の内
周部に向かって進行することから、押湯部23の内周部
の状態から、凝固完了の判断を行う。
【0033】ここで、鋳型2内への金属溶湯22の注湯
方法としては、落し込みに限定するものではなく、全て
の慣用の置注ぎ法を適用することができ、例えば、むく
り上げ等が挙げられる。
方法としては、落し込みに限定するものではなく、全て
の慣用の置注ぎ法を適用することができ、例えば、むく
り上げ等が挙げられる。
【0034】次に、本発明に係る鋳造組織の微細化方法
の作用を説明する。
の作用を説明する。
【0035】鋳型2及び凝固シェル層の回転に追従して
流動する鋳鉄溶湯22は、ターンテーブル11の回転
(鋳型2の回転)を停止させた後も、しばらくの間、慣
性により流動し続ける。
流動する鋳鉄溶湯22は、ターンテーブル11の回転
(鋳型2の回転)を停止させた後も、しばらくの間、慣
性により流動し続ける。
【0036】この時、ターンテーブル11の回転角度が
小さく、かつ、ターンテーブル11の停止時間が非常に
短いと、慣性による流動中に、ターンテーブル11が逆
転を終え、再び正転し始めることになる。この場合、鋳
鉄溶湯22は、逆方向に流動することはなく、一方向の
みに流動し続けることになる。また、ターンテーブル1
1の停止時間が長いと、その間に慣性による流動は停止
するが、停止時間中に凝固が進行してしまう。
小さく、かつ、ターンテーブル11の停止時間が非常に
短いと、慣性による流動中に、ターンテーブル11が逆
転を終え、再び正転し始めることになる。この場合、鋳
鉄溶湯22は、逆方向に流動することはなく、一方向の
みに流動し続けることになる。また、ターンテーブル1
1の停止時間が長いと、その間に慣性による流動は停止
するが、停止時間中に凝固が進行してしまう。
【0037】ここで、鋳型2及び凝固シェル層の回転に
追従した鋳鉄溶湯22の流動と、成長途上のデンドライ
ト及び晶出途上の片状黒鉛の分断・破砕は、ターンテー
ブル11の加速度(回転速度)、鋳型2内の凝固界面に
おけるズレの距離(ターンテーブル11の回転角度)、
およびターンテーブル11の停止時間と深く関係してい
る。
追従した鋳鉄溶湯22の流動と、成長途上のデンドライ
ト及び晶出途上の片状黒鉛の分断・破砕は、ターンテー
ブル11の加速度(回転速度)、鋳型2内の凝固界面に
おけるズレの距離(ターンテーブル11の回転角度)、
およびターンテーブル11の停止時間と深く関係してい
る。
【0038】成長途上のデンドライト及び晶出途上の片
状黒鉛を分断・破砕する効果は、停止状態の鋳鉄溶湯2
2を流動させる時に得られるものであって、鋳型2の回
転方向と鋳鉄溶湯22の流動方向が同じ時は殆ど得られ
ない。
状黒鉛を分断・破砕する効果は、停止状態の鋳鉄溶湯2
2を流動させる時に得られるものであって、鋳型2の回
転方向と鋳鉄溶湯22の流動方向が同じ時は殆ど得られ
ない。
【0039】ターンテーブル11の回転速度および回転
角度は、鋳鉄溶湯22の流動開始までの時間、流動速
度、鋳型2の安定性、及び溶湯の粘性などに応じて適宜
調節されるものであり、例えば、船舶、トラック等の大
型のシリンダライナの場合で、回転速度は6〜10rp
m、好ましくは7〜9rpm、回転角度は90〜240
°(回転時間にすると4〜7秒間、好ましくは5〜6秒
間)となる。
角度は、鋳鉄溶湯22の流動開始までの時間、流動速
度、鋳型2の安定性、及び溶湯の粘性などに応じて適宜
調節されるものであり、例えば、船舶、トラック等の大
型のシリンダライナの場合で、回転速度は6〜10rp
m、好ましくは7〜9rpm、回転角度は90〜240
°(回転時間にすると4〜7秒間、好ましくは5〜6秒
間)となる。
【0040】また、船舶、トラック等の大型のシリンダ
ライナの場合、鋳鉄溶湯22の慣性による流動時間は
0.8〜1.5秒となるため、ターンテーブル11の停
止時間は少なくとも0.8秒以上必要となる。さらに、
ターンテーブル11の停止時間が5秒よりも長いと、停
止時間中に、粗大なデンドライトの成長や片状黒鉛の凝
集が生じてしまい、シリンダライナの鋳造組織の微細化
を大きく阻害してしまう。このため、ターンテーブル1
1の停止時間は、0.8〜5秒、好ましくは0.8〜2
秒必要となる。
ライナの場合、鋳鉄溶湯22の慣性による流動時間は
0.8〜1.5秒となるため、ターンテーブル11の停
止時間は少なくとも0.8秒以上必要となる。さらに、
ターンテーブル11の停止時間が5秒よりも長いと、停
止時間中に、粗大なデンドライトの成長や片状黒鉛の凝
集が生じてしまい、シリンダライナの鋳造組織の微細化
を大きく阻害してしまう。このため、ターンテーブル1
1の停止時間は、0.8〜5秒、好ましくは0.8〜2
秒必要となる。
【0041】さらに、鋳造組織の微細化を効果的に行う
には、停止時間を挟んで、ターンテーブル11を正逆方
向に交互に回転させるのが好ましいが、ターンテーブル
11の回転は一方向のみであってもよい。この場合にお
いても、ターンテーブル11の停止時間が非常に短い
と、鋳鉄溶湯22が慣性により流動している最中に、再
び鋳型2が回転し始め、鋳鉄溶湯22が一方向のみに流
れ続けることになって、成長途上のデンドライト及び晶
出途上の片状黒鉛の分断・破砕効果が得られなくなって
しまう。
には、停止時間を挟んで、ターンテーブル11を正逆方
向に交互に回転させるのが好ましいが、ターンテーブル
11の回転は一方向のみであってもよい。この場合にお
いても、ターンテーブル11の停止時間が非常に短い
と、鋳鉄溶湯22が慣性により流動している最中に、再
び鋳型2が回転し始め、鋳鉄溶湯22が一方向のみに流
れ続けることになって、成長途上のデンドライト及び晶
出途上の片状黒鉛の分断・破砕効果が得られなくなって
しまう。
【0042】以上、本発明に係る鋳造組織の微細化方法
によれば、鋳型2の内壁に凝固シェル層を形成させた
後、ターンテーブル11を低速回転・停止させながら鋳
鉄溶湯23の凝固を行っている。凝固シェル層を形成さ
せた後に、ターンテーブル11を低速回転・停止させる
ことで、凝固時に、鋳型2内を流動する鋳鉄溶湯22と
鋳型2の内壁(砂壁)が直接接触することがなくなり、
鋳鉄溶湯22中に砂が巻き込まれるのを防ぐことができ
る。この凝固シェル層は、通常の置注ぎ法で形成した凝
固シェル層と同じA型黒鉛組織からなるものであって、
良好な耐摩耗性及び耐焼付性を有している。
によれば、鋳型2の内壁に凝固シェル層を形成させた
後、ターンテーブル11を低速回転・停止させながら鋳
鉄溶湯23の凝固を行っている。凝固シェル層を形成さ
せた後に、ターンテーブル11を低速回転・停止させる
ことで、凝固時に、鋳型2内を流動する鋳鉄溶湯22と
鋳型2の内壁(砂壁)が直接接触することがなくなり、
鋳鉄溶湯22中に砂が巻き込まれるのを防ぐことができ
る。この凝固シェル層は、通常の置注ぎ法で形成した凝
固シェル層と同じA型黒鉛組織からなるものであって、
良好な耐摩耗性及び耐焼付性を有している。
【0043】また、鋳鉄溶湯22の凝固の際に、ターン
テーブル11を、正転、停止、逆転、停止、…と順次繰
り返し低速回転させることで、鋳型2内で凝固中の鋳鉄
溶湯22が回転中心まわりに正逆に流動し、この鋳鉄溶
湯22の流動により、成長途上のデンドライト及び晶出
途上の片状黒鉛が分断・破砕される。
テーブル11を、正転、停止、逆転、停止、…と順次繰
り返し低速回転させることで、鋳型2内で凝固中の鋳鉄
溶湯22が回転中心まわりに正逆に流動し、この鋳鉄溶
湯22の流動により、成長途上のデンドライト及び晶出
途上の片状黒鉛が分断・破砕される。
【0044】さらに、この分断・破砕により、鋳鉄溶湯
22の凝固速度はゆっくりとしたままであるが、粗大な
デンドライトおよび片状黒鉛が成長・晶出することがな
く、その結果、粗大なハードフェイズおよび片状黒鉛の
晶出のない微細な鋳造組織となる。その結果、従来、凝
固速度が遅い等の理由により、粗大な鋳造組織となって
いた肉厚鋳造品であっても、材料スペック通りの伸びを
有した強靭な鋳造品となる。よって、前述したように、
外層が鋳鋼、内層が鋳鉄からなる二層構造の複合シリン
ダとすることなく、エンジンの高出力化に対応すること
ができる。
22の凝固速度はゆっくりとしたままであるが、粗大な
デンドライトおよび片状黒鉛が成長・晶出することがな
く、その結果、粗大なハードフェイズおよび片状黒鉛の
晶出のない微細な鋳造組織となる。その結果、従来、凝
固速度が遅い等の理由により、粗大な鋳造組織となって
いた肉厚鋳造品であっても、材料スペック通りの伸びを
有した強靭な鋳造品となる。よって、前述したように、
外層が鋳鋼、内層が鋳鉄からなる二層構造の複合シリン
ダとすることなく、エンジンの高出力化に対応すること
ができる。
【0045】また、本発明に係る鋳造組織の微細化方法
は、複合シリンダや従来の大型中空円筒状鋳物(例え
ば、鋳鉄管、ロール等)の製造法である遠心鋳造法と比
較して、製造がシンプルで、かつ、容易であり、製造コ
ストが安価となる。
は、複合シリンダや従来の大型中空円筒状鋳物(例え
ば、鋳鉄管、ロール等)の製造法である遠心鋳造法と比
較して、製造がシンプルで、かつ、容易であり、製造コ
ストが安価となる。
【0046】
【実施例】(実施例1)ターンテーブル上に、外径93
0mm、内径620mm、高さ500mmの鋳型を載置
・固定した後、この鋳型内に、化学成分組成が3.3C-1.2
Si-0.8Mn-0.3P-0.03B-1.2Cu-Feの鋳鉄溶湯を注湯する。
その後、鋳型の押湯部への発熱・保温処置を行い、その
ままの状態で60分間静置し、鋳型の内壁に厚さ15m
mの凝固シェル層を形成させる。
0mm、内径620mm、高さ500mmの鋳型を載置
・固定した後、この鋳型内に、化学成分組成が3.3C-1.2
Si-0.8Mn-0.3P-0.03B-1.2Cu-Feの鋳鉄溶湯を注湯する。
その後、鋳型の押湯部への発熱・保温処置を行い、その
ままの状態で60分間静置し、鋳型の内壁に厚さ15m
mの凝固シェル層を形成させる。
【0047】凝固シェル層の形成後、モータを駆動して
ターンテーブルを低速で、正転、停止、逆転、停止、…
と操作しながら鋳鉄溶湯の凝固を行う。この時、ターン
テーブルの回転速度は8rpm、回転角度は180°、
ターンテーブルの停止時間は1秒とした。その後、ター
ンテーブルの正転、停止、逆転、停止、…という操作
を、鋳鉄溶湯の凝固が完了するまで継続して行い、鋳造
試験片を作製する。 (実施例2)ターンテーブルの停止時間を5秒とする以
外は、実施例1と同様にして鋳造試験片を作製する。 (比較例1)ターンテーブル上に、外径930mm、内
径620mm、高さ500mmの鋳型を載置・固定した
後、この鋳型内に、化学成分組成が3.3C-1.2Si-0.8Mn-
0.3P-0.03B-1.2Cu-Feの鋳鉄溶湯を注湯する。その後、
鋳型の押湯部への発熱・保温処置を行い、そのままの状
態で2400分間静置し、鋳造試験片を作製する。
ターンテーブルを低速で、正転、停止、逆転、停止、…
と操作しながら鋳鉄溶湯の凝固を行う。この時、ターン
テーブルの回転速度は8rpm、回転角度は180°、
ターンテーブルの停止時間は1秒とした。その後、ター
ンテーブルの正転、停止、逆転、停止、…という操作
を、鋳鉄溶湯の凝固が完了するまで継続して行い、鋳造
試験片を作製する。 (実施例2)ターンテーブルの停止時間を5秒とする以
外は、実施例1と同様にして鋳造試験片を作製する。 (比較例1)ターンテーブル上に、外径930mm、内
径620mm、高さ500mmの鋳型を載置・固定した
後、この鋳型内に、化学成分組成が3.3C-1.2Si-0.8Mn-
0.3P-0.03B-1.2Cu-Feの鋳鉄溶湯を注湯する。その後、
鋳型の押湯部への発熱・保温処置を行い、そのままの状
態で2400分間静置し、鋳造試験片を作製する。
【0048】実施例1,2及び比較例1の各鋳造試験片
に対して、引張試験及び伸び試験をそれぞれ施し、引張
強度(MPa)及び引張伸び(%)を測定し、その測定
結果をそれぞれ図3,4に示す。また、実施例1,2及
び比較例1の各鋳造試験片の鋳造組織の観察を行い、そ
の観察図をそれぞれ図5,6,7に示す。
に対して、引張試験及び伸び試験をそれぞれ施し、引張
強度(MPa)及び引張伸び(%)を測定し、その測定
結果をそれぞれ図3,4に示す。また、実施例1,2及
び比較例1の各鋳造試験片の鋳造組織の観察を行い、そ
の観察図をそれぞれ図5,6,7に示す。
【0049】図3,4に示すように、ターンテーブルを
低速回転・停止させながら鋳鉄溶湯の凝固を行った実施
例1,2の鋳造試験片は、それぞれ、引張強度が200
MPa、180MPaであり、引張伸びが0.38%、
0.17%であった。また、図5,6に示すように、実
施例1,2の鋳造試験片の鋳造組織においては、微細な
ハードフェイズhと、短くて、かつ、“いも虫状”を呈
した片状黒鉛Gが晶出していた。なお、図6に示したよ
うに、実施例2の鋳造試験片においては、片状黒鉛Gが
やや凝集していた。
低速回転・停止させながら鋳鉄溶湯の凝固を行った実施
例1,2の鋳造試験片は、それぞれ、引張強度が200
MPa、180MPaであり、引張伸びが0.38%、
0.17%であった。また、図5,6に示すように、実
施例1,2の鋳造試験片の鋳造組織においては、微細な
ハードフェイズhと、短くて、かつ、“いも虫状”を呈
した片状黒鉛Gが晶出していた。なお、図6に示したよ
うに、実施例2の鋳造試験片においては、片状黒鉛Gが
やや凝集していた。
【0050】これに対して、ターンテーブルの回転・停
止という操作を行わなかった比較例1の鋳造試験片は、
引張強度が120MPaであり、引張伸びが0.28%
であった。また、図7に示すように、比較例1の鋳造試
験片の鋳造組織においては、粗大なハードフェイズh
と、長大な片状黒鉛Gが晶出していた。
止という操作を行わなかった比較例1の鋳造試験片は、
引張強度が120MPaであり、引張伸びが0.28%
であった。また、図7に示すように、比較例1の鋳造試
験片の鋳造組織においては、粗大なハードフェイズh
と、長大な片状黒鉛Gが晶出していた。
【0051】以上の結果より、実施例1の鋳造試験片
は、比較例1の鋳造試験片と比較すると、引張強度が6
7%、引張伸びが36%向上していた。また、実施例2
の鋳造試験片は、比較例1の鋳造試験片と比較すると、
引張伸びはやや劣るものの、引張強度が50%向上して
いた。
は、比較例1の鋳造試験片と比較すると、引張強度が6
7%、引張伸びが36%向上していた。また、実施例2
の鋳造試験片は、比較例1の鋳造試験片と比較すると、
引張伸びはやや劣るものの、引張強度が50%向上して
いた。
【0052】よって、ターンテーブルを低速回転・停止
させながら鋳鉄溶湯の凝固を行うことで、粗大なハード
フェイズおよび片状黒鉛の晶出のない微細な鋳造組織が
得られ、引張強度及び引張伸びが高い鋳造品が得られる
ことが確認できた。
させながら鋳鉄溶湯の凝固を行うことで、粗大なハード
フェイズおよび片状黒鉛の晶出のない微細な鋳造組織が
得られ、引張強度及び引張伸びが高い鋳造品が得られる
ことが確認できた。
【0053】以上、本発明の実施の形態は、上述した実
施の形態に限定されるものではなく、他にも種々のもの
が想定されることは言うまでもない。
施の形態に限定されるものではなく、他にも種々のもの
が想定されることは言うまでもない。
【0054】
【発明の効果】以上要するに本発明によれば、鋳型内に
金属溶湯を注湯した後、鋳型内で凝固中の金属溶湯に流
れを生じさせることで、鋳造組織が微細な鋳造品を得る
ことができるという優れた効果を発揮する。
金属溶湯を注湯した後、鋳型内で凝固中の金属溶湯に流
れを生じさせることで、鋳造組織が微細な鋳造品を得る
ことができるという優れた効果を発揮する。
【図1】本発明に係る鋳造組織の微細化装置の斜視概略
図である。
図である。
【図2】図1の回転手段の部分拡大図である。
【図3】実施例1,2および比較例1の鋳造品の引張強
度を示す図である。
度を示す図である。
【図4】実施例1,2および比較例1の鋳造品の引張伸
びを示す図である。
びを示す図である。
【図5】本発明に係る鋳造組織の微細化方法により鋳造
した実施例1の鋳造品の組織観察図である。
した実施例1の鋳造品の組織観察図である。
【図6】本発明に係る鋳造組織の微細化方法により鋳造
した実施例2の鋳造品の組織観察図である。
した実施例2の鋳造品の組織観察図である。
【図7】従来の鋳造法により鋳造した比較例1の鋳造品
の組織観察図である。
の組織観察図である。
1 微細化装置 2 鋳型 3 回転手段 4 制御手段 11 ターンテーブル 13 駆動装置 22 鋳鉄溶湯(金属溶湯)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 井上 和彦 兵庫県相生市相生5292 石川島播磨重工業 株式会社相生総合事務所内
Claims (9)
- 【請求項1】 ターンテーブル上に鋳型を設け、その鋳
型内に金属溶湯を注湯し、そのターンテーブルを低速回
転・停止させながら鋳造することを特徴とする鋳造組織
の微細化方法。 - 【請求項2】 ターンテーブルを正転、停止、逆転、停
止と順次繰り返し、鋳型内の金属溶湯に回転中心まわり
の正逆の流れを生じさせて金属溶湯を凝固させる請求項
1記載の鋳造組織の微細化方法。 - 【請求項3】 回転速度が6〜10rpmで、回転角度
が90°以上又は回転時間が3秒間以上である請求項1
又は2記載の鋳造組織の微細化方法。 - 【請求項4】 正転と逆転の間又は逆転と正転の間の停
止時間が、0.8〜5秒である請求項1から3いずれか
に記載の鋳造組織の微細化方法。 - 【請求項5】 鋳型内に金属溶湯を注湯後、鋳型内壁に
凝固シェルが形成された後、ターンテーブルを低速回転
・停止させる請求項1から4いずれかに記載の鋳造組織
の微細化方法。 - 【請求項6】 注湯後、20〜120分の間隔をあけ
て、ターンテーブルを低速回転・停止させる請求項1か
らいずれかに記載の鋳造組織の微細化方法。 - 【請求項7】 鋳型がシリンダライナ用鋳型であると共
に、金属溶湯が鋳鉄溶湯である請求項1から6いずれか
に記載の鋳造組織の微細化方法。 - 【請求項8】 金属溶湯を鋳込む鋳型と、その鋳型が載
置される回転手段と、その回転手段の回転・停止を制御
する制御手段を備えたことを特徴とする鋳造組織の微細
化装置。 - 【請求項9】 回転手段が、鋳型を載置するターンテー
ブルと、そのターンテーブルを正逆方向に回転させると
共に停止させる駆動装置を備えた請求項8記載の鋳造組
織の微細化装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000387117A JP2002178134A (ja) | 2000-12-20 | 2000-12-20 | 鋳造組織の微細化方法及び微細化装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000387117A JP2002178134A (ja) | 2000-12-20 | 2000-12-20 | 鋳造組織の微細化方法及び微細化装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002178134A true JP2002178134A (ja) | 2002-06-25 |
Family
ID=18854108
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000387117A Pending JP2002178134A (ja) | 2000-12-20 | 2000-12-20 | 鋳造組織の微細化方法及び微細化装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2002178134A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101731678B1 (ko) * | 2014-10-29 | 2017-05-11 | (주)제이코어 | 플랜지 주단조 설비, 플랜지 주단조 방법 및 이에 이용되는 플랜지 주조 장치 |
-
2000
- 2000-12-20 JP JP2000387117A patent/JP2002178134A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101731678B1 (ko) * | 2014-10-29 | 2017-05-11 | (주)제이코어 | 플랜지 주단조 설비, 플랜지 주단조 방법 및 이에 이용되는 플랜지 주조 장치 |
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