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JP2002134416A - p型3族窒化物の結晶成長方法および製造方法、並びに半導体素子 - Google Patents

p型3族窒化物の結晶成長方法および製造方法、並びに半導体素子

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Publication number
JP2002134416A
JP2002134416A JP2000319949A JP2000319949A JP2002134416A JP 2002134416 A JP2002134416 A JP 2002134416A JP 2000319949 A JP2000319949 A JP 2000319949A JP 2000319949 A JP2000319949 A JP 2000319949A JP 2002134416 A JP2002134416 A JP 2002134416A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
iii nitride
group iii
type
hydrogen
atmosphere
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000319949A
Other languages
English (en)
Inventor
Takeshi Miki
剛 三樹
Hirokazu Iwata
浩和 岩田
Shoji Sarayama
正二 皿山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ricoh Co Ltd filed Critical Ricoh Co Ltd
Priority to JP2000319949A priority Critical patent/JP2002134416A/ja
Publication of JP2002134416A publication Critical patent/JP2002134416A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 同時ドープによるp型ドーパントの取り込み
サイトの安定化を最大限生かしたp型3族窒化物の結晶
成長方法を得る。 【解決手段】 良く洗浄したサファイア基板101を反
応容器内のサセプターに固定する。容器内を真空排気
後、水素雰囲気中でサーマルクリーニングを行う。その
後、基板温度500℃、Ga源としてTMG30μmo
l/min、N源としてアンモニア2LM、キャリアガ
スとしてN2 15LMとH2 5LMを供給し、GaN低
温バッファ層102を成膜した。本構成により、水素を
含む条件で成膜することにより高品位の成膜が可能とな
り、成長後の冷却雰囲気を窒素原料のみ若しくは少なく
とも窒素原料を含む雰囲気とすることで、アニール工程
を経ることなく、低抵抗なp型3族窒化物が得られると
ともに、低抵抗なp型電極が形成可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、p型3族窒化物の
結晶成長方法および製造方法、並びに半導体素子に関
し、例えば、光通信用半導体レーザ、光ディスク用光源
として適用されるp型3族窒化物の結晶成長方法および
製造方法、並びに半導体素子に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、p型3族窒化物の結晶成長方法お
よび製造方法、並びに半導体素子は一般に、半導体発光
素子用エピタキシャル膜のp型導電性に関する結晶成長
方法、製造方法および半導体素子へ適用される。
【0003】近年、光ディスクの大容量化に代表される
短波長半導体レーザのニーズの高まりにより、発振波長
635〜650nmの赤色可視光半導体レーザによるD
VD規格に続く、次世代高密度ディスク規格用光源とし
て、GaN系材料による青紫半導体レーザーに期待が寄
せられている。
【0004】この材料系の問題点として、格子整合する
高品位のエピタキシャル成長用基板が存在しないことが
挙げられるが、サファイア基板上への低温バッファーの
成膜などのブレークスルーにより、高輝度の青及び緑L
EDの量産の成功に続き、発振波長400nmの青紫半
導体レーザーの上位置にこぎ着けるにいたっている。
【0005】GaN系材料においては他のワイドギャッ
プ材料同様にp型、若しくはn型のいずれか一方の導電
性は容易に得られるが、他方の導電性を得ることが難し
いという性質を持っている。このため、GaN系におい
てはn型は容易に得られるものの、p型は例えばMgを
ドーパントとしてドープしてもas grownでは活性化せず
低抵抗なp型膜は得られなかった。
【0006】当初、MO−CVD法により成膜したp型
不純物をドープしたGaN膜中のp型不純物の不活性化
の原因は、Si、GaAs等の不純物における水素によ
る不活性化と同様のメカニズムで起こると考えられ、こ
の問題を解決するため、様々なアニール法や成長後のチ
ャンバー内の雰囲気調整によるp型ドーパントの活性化
のアイディアが開示されている。
【0007】(従来技術例1)たとえば、特開平2−2
57679号によれば、GaN膜中のp型不純物の活性
化方法として、GaN膜表面への電子線の照射による方
法が開示されている。この方法によれば、電子線の進入
深さに相当する膜厚の活性化が可能とされているが、膜
全面の電子線による走査が必要となる。
【0008】(従来技術例2)また、特許第25407
91号によれば、窒素等不活性ガス雰囲気中でのアニー
ルによるアクセプターの活性化の技術が開示されてい
る。この方法によれば、気相法によりサファイア基板上
に成膜した、p型不純物をドープしたGaN膜を、窒素
雰囲気下で400℃以上でアニールすることによりアク
セプターが活性化するとしている。
【0009】(従来技術例3)さらに、特開平11−1
45518号によれば、酸化雰囲気中でのアニールによ
り、GaN膜中からの水素の引き抜きが促進され熱処理
温度の低温化が可能であるとしている。この方法では、
p型GaN層上に蒸着したCo膜とp−GaN界面にお
いて、酸化雰囲気下でCoの酸化とGaN中の水素によ
る還元によりGaN中からの水素の引き抜きが促進さ
れ、結果としてp−GaN中のp型不純物が活性化され
るとしている。
【0010】(従来技術例4)この他、特開平8−12
5222号によれば、結晶成長終了後の冷却雰囲気を水
素を含まない雰囲気や不活性ガス雰囲気とすることによ
り、低抵抗な膜が得られるとしている。
【0011】(従来技術例5)一方、特開平10−10
1496号によれば、上記のp型ドーパントの活性化の
上限は、Mgに代表されるp型ドーパントを単独ドープ
しようとしたために、ドープ濃度が1018cm-3を越え
るとGa位置を占めていたMgが格子間位置に移り、ド
ナーとなり、結果として、格子間位置に移りドナーとな
ったMgが、Ga位置のアクセプターのMgを相殺する
補償機構が働いているため存在するとしている。
【0012】この解決方法として、p型不純物であるM
gあるいはBeと同時にn型不純物であるSiあるいは
Oを2:1の比率でドープすることにより、p型不純物
2原子とn型不純物1原子よりなるクラスターを形成す
ることにより、アクセプターの取り込み位置が安定化す
るとしている。結果として、クラスターが取り込まれる
ことにより、取り込まれるドナー1原子分の補償効果も
含め、1つのクラスターが取り込まれることにより1つ
の安定なアクセプターが得られるとしている。
【0013】(従来技術例6)また、特開平10−15
4829号には、p型ドーパントを酸素と同時ドープす
ることにより、格子間位置のp型ドーパントが酸素によ
り置き換えられることにより、p型ドーパントがGa位
置に入りやすくなり、さらにアニールにより結晶中のp
型ドーパントの活性化を阻害している水素を取り除くこ
とにより、結果としてp型ドーパント単独でのドープと
アニールによるp−GaN膜よりも高いキャリア濃度を
得ることができるとしている。
【0014】その他の従来技術例として、p型3族窒化
物半導体の結晶成長方法および半導体装置は、p型ドー
パントと水素の両方を含む3族窒化物半導体膜中の水素
濃度の分布が、膜表面が最も高く、膜の内部へと濃度勾
配を持つことに着目し、最表面の水素濃度の高い部分を
除去する、あるいは、3族窒化物半導体表面に3族窒化
物半導体積層構造を設けることにより、3族窒化物半導
体表面の水素濃度を低減し、低抵抗な3族窒化物半導体
を得る成長方法、および、水素ガスを含む雰囲気でp型
ドーパントをドープした3族窒化物半導体を成長後、窒
素原料のみもしくは窒素原料を含む雰囲気で成長温度か
ら降温し、低抵抗な3族窒化物半導体を得る結晶成長方
法がある。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、以上の
従来例1から4に述べた、GaN膜中に取り込まれた水
素によるp型ドーパントの不活性化を、電子線による励
起(従来技術例1)、熱的励起(従来技術例2)、酸化
還元反応に基づく化学反応(従来技術例3)および成長
後の冷却雰囲気による活性化の促進(従来技術例4)の
いずれの方法により活性化しようとしても、1017cm
-3のオーダが得られるキャリア濃度が上限である。この
p型GaNのキャリア濃度の上限が、p型GaN層への
オーミック電極形成を困難なものとしており、かつ、デ
バイス化した場合のキャリアの注入効率を低下させる最
大の要因となっている。
【0016】p型ドーパントが単独ドープされたGaN
中のp型ドーパントの水素による不活性化は、電子線に
よる励起(従来技術例1)、熱的励起(従来技術例
2)、酸化還元反応に基づく化学反応(従来技術例
3)、成長後の冷却雰囲気による活性化の促進(従来技
術例4)のいずれの方法により活性化しても1017cm
-3のオーダが得られるキャリア濃度の限界で、P型電極
の接触抵抗は十分に低いものが得られていない。
【0017】また、熱処理を伴うものは、不活性ガス雰
囲気かつ高温に曝されることにより、GaN表面の解離
が進み、表面抵抗が上がるなど特性劣化の問題がある
(従来技術例2、4)。
【0018】これに対し、p型ドーパントであるMgと
n型ドーパントであるSiを同時ドープした場合には、
Mgの取り込みサイトは安定化するが、MO−CVD法
で作成した膜中では取り込まれた水素により、Mgは不
活性化されている(従来技術例4)。
【0019】また、同時ドープしたGaN膜をアニール
により活性化した場合には、膜中の水素の排出により活
性化は認められるが、不活性ガス中でのアニールによる
表面劣化や、アニール後も膜中の水素の濃度分布は、膜
表面が最も高いことなどの原因によりp型電極の特性は
十分ではない(従来技術例5)など、未だ同時ドープに
よるp型ドーパントの取り込みサイトの安定化を最大限
生かしたドーパントの活性化方法は得られていない。
【0020】本発明は、同時ドープによるp型ドーパン
トの取り込みサイトの安定化を最大限生かしたp型3族
窒化物の結晶成長方法および製造方法、並びに半導体素
子を提供することを目的とする。
【0021】さらに詳述すれば、本発明の目的は、同時
ドーピングによるGaサイトを占めるp型ドーパントの
増加の効果を最大限生かす、p型ドーパントの活性化率
の向上方法の具体的手段を提供することにある。
【0022】請求項1から9に記載の発明は、同時ドー
ピングによるGaサイトを占めるp型ドーパントの増加
の効果を最大限生かす、p型ドーパントの活性化率向上
の具体的手段を提供することを目的としている。
【0023】請求項10に記載の発明は、請求項1から
9に記載のp型3族窒化物の結晶成長方法を用いて半導
体素子を形成することにより高性能の半導体素子を得る
ことを目的としている。
【0024】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
め、請求項1に記載のp型3族窒化物の結晶成長方法、
p型ドーパントと同時に少なくとも1種のn型ドーパン
トをドープした3族窒化物の結晶成長において、3族窒
化物を水素を含む雰囲気で結晶成長後に、窒素原料のみ
もしくは少なくとも窒素原料を含む雰囲気で結晶成長温
度から降温することを特徴としている。
【0025】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
のp型3族窒化物の結晶成長方法において、結晶成長後
の冷却雰囲気を構成する窒素原料が、少なくとも水素と
窒素を含む窒素原料であることを特徴とする。
【0026】請求項3に記載の発明は、請求項1または
2に記載のp型3族窒化物の結晶成長方法において、結
晶成長後の冷却雰囲気を構成する窒素原料が、アンモニ
アであることを特徴とする。
【0027】請求項4に記載の発明のp型3族窒化物の
製造方法は、p型ドーパントと同時に少なくとも1種の
n型ドーパントをドープした3族窒化物の製造方法にお
いて、3族窒化物の結晶成長終了後に該3族窒化物の表
面層の全部あるいは一部を除去することを特徴とする。
【0028】請求項5に記載の発明は、請求項4に記載
のp型3族窒化物の製造方法において、除去する3族窒
化物の表面層の厚さが表面から0.5μm以上であるこ
とを特徴とする。
【0029】請求項6に記載のp型3族窒化物の結晶成
長方法は、p型ドーパントと同時に少なくとも1種のn
型ドーパントをドープした3族窒化物の製造方法におい
て、3族窒化物上に少なくとも1層以上の3族窒化物積
層構造を形成することにより3族窒化物をp型3族窒化
物とする。
【0030】請求項7に記載の発明は、請求項6に記載
の3族窒化物の結晶製造方法において、3族窒化物積層
構造の厚さを0.5μm以上とすることを特徴とする。
【0031】請求項8に記載の発明は、請求項4から7
のいずれかに記載のp型3族窒化物の結晶製造方法にお
いて、結晶成長後、窒素原料のみもしくは少なくとも窒
素原料を含む雰囲気で結晶成長温度から降温することを
特徴とする。
【0032】請求項9に記載のp型3族窒化物の結晶製
造方法は、請求項1から8のいずれかに記載のp型3族
窒化物の結晶成長方法または結晶製造方法において、p
型ドーパントがMgであることを特徴とする。
【0033】請求項10に記載の半導体素子は、請求項
1から9のいずれかに記載の3族窒化物の結晶成長方法
および製造方法を用いて形成されたことを特徴とする。
【0034】
【発明の実施の形態】次に添付図面を参照して本発明に
よるp型3族窒化物の結晶成長方法および製造方法、並
びに半導体素子の実施の形態を詳細に説明する。図1か
ら図4を参照すると本発明のp型3族窒化物の結晶成長
方法および製造方法、並びに半導体素子の一実施形態が
示されている。
【0035】(1)請求項1の構成・動作 請求項1の発明は、p型ドーパントと同時に少なくとも
1種のn型ドーパントをドープした3族窒化物1の成長
において、3族窒化物1を水素を含む雰囲気で成長後、
窒素原料のみ若しくは少なくとも窒素原料を含む雰囲気
で成長温度から降温することを特徴とする、p型3族窒
化物の結晶成長方法である。
【0036】本発明のp型3族窒化物の結晶成長方法
は、まず、p型ドーパントと同時に少なくとも1種のn
型ドーパントを同時ドープした3族窒化物を水素を含む
雰囲気で成長させている。ここで述べる、同時ドープす
るn型ドーパントとは、具体的にはSi、C、O、G
e、S、Se、Te等3族窒化物中でn型ドーパントと
して振る舞う不純物を指している。また、成長雰囲気を
水素を含む雰囲気とすることで、不活性ガス雰囲気での
成長に比較し高品位な3族窒化物が得られる。
【0037】同時ドープの効果を、GaN結晶を例に説
明すると、p型ドーパントとしてMgを、同時ドープす
るドーパントとしてSiをドーピングした場合、p型ド
ーパントであるMg2原子とn型ドーパントであるSi
1原子でクラスターを形成することにより、p型ドーパ
ントであるMgの取り込みサイトが安定化する。p型ド
ーパント2原子が安定化することにより、n型ドーパン
ト1原子分の補償効果も含め、1つのクラスターが形成
されることにより、正味1つの安定なアクセプターが得
られる。しかし、現実には、取り込みサイトは安定化し
ても、雰囲気中の水素によりアクセプターが不活性化さ
れており、as grownでは低抵抗な膜は得られていない。
【0038】本発明では、成膜後の冷却雰囲気を、窒素
原料のみ若しくは少なくとも窒素原料を含む雰囲気とし
ている。本発明で用いる冷却雰囲気は、以下のような理
由によりp型ドーパントの活性化を助けていると考えら
れる。
【0039】冷却中にチャンバー内に供給される窒素原
料の大部分は未分解で、サセプターを含む基板近傍での
み熱分解は起こっている。従って、チャンバー内の雰囲
気は未分解の窒素原料若しくは未分解の窒素原料を含む
雰囲気が支配的で、冷却中に水素が膜中に拡散すること
を防いでいる。また、サセプターを含む基板近傍では、
熱分解された窒素原料が窒素源として働くため、試料表
面での窒素の解離による分解反応を防いでいる。結果と
してp型ドーパントの活性化率の高い、即ち低抵抗のp
型3族窒化物を得ることができる。
【0040】同時ドーピングによるp−GaN成長の一
例である実施例1を用いて本発明の構成を説明する。ま
ず、良く洗浄したサファイア基板101を反応容器内の
サセプターに固定する。容器内を真空排気後、水素雰囲
気中でサーマルクリーニングを行う。その後、基板温度
500℃、Ga源としてTMG30μmol/min、
N源としてアンモニア2LM、キャリアガスとしてN2
15LMとH2 5LMを供給し、GaN低温バッファー
層102を成膜した。
【0041】Ga源を停止後、1050℃に昇温し、G
a源としてTMG30μmol/min、p型ドーパン
トのMg源としてEtCp2 Mgを0.07μmol/
minを、同時ドーピングするドーパントとしてSi
を、50ppm希釈のモノシランで3μmol/min
供給し、MgとSiの同時ドープGaN層103を2μ
m成長させた。Ga源、Mg源およびSi源を供給停止
後、キャリアガスの内水素を供給停止し、N源としての
アンモニアのみを10LMに増加したガス流中で室温ま
で冷却し、取り出した。
【0042】SIMSによる分析によれば、本発明のp
−GaN層表面の水素は、従来のMO−CVD法により
成膜したp−GaNよりも低く、キャリア濃度の測定の
結果、1018cm-3を越えるp型GaNが得られ、同時
ドーピングの効果を生かすものとなっている。
【0043】上記の実施例1は、本発明の実施形態の一
例であり、p−GaNに限定されることなく広くp型3
族窒化物に応用可能で、また、実施例1で示した冷却中
の雰囲気は一例であり、上記の条件に限るものではない
(本実施例では、冷却雰囲気はアンモニアのみで構成さ
れているが、アンモニアを含む、例えば窒素との混合雰
囲気でも低抵抗のp型3族窒化物が得られる)。p型ド
ーパントおよび同時ドーピングするドーパントも上記実
施例以外の構成をとることが可能である。
【0044】(2)請求項2の構成・動作 請求項1に記載の結晶成長方法において、結晶成長後の
冷却雰囲気を構成する窒素原料が、少なくとも水素と窒
素を含む窒素原料であることを特徴とする、p型3族窒
化物の結晶成長方法である。
【0045】請求項2の発明は、成長時には水素雰囲気
中で、高品位3族窒化物膜を成膜し、冷却雰囲気が少な
くとも水素と窒素を含む窒素原料のみ、若しくは少なく
とも窒素原料を含む雰囲気としている。
【0046】雰囲気の働きは、以下のように考えられ
る。チャンバー内の雰囲気は、窒素原料が、基板近傍で
のみ熱分解するので、チャンバー内に供給される窒素原
料若しくは窒素原料を含む雰囲気が支配的である。ま
た、基板近傍においては、窒素原料は、熱分解により活
性な窒素と水素を供給する。供給された活性な窒素は、
3族窒化物表面の窒素の解離による分解を防止し、活性
な水素は原料中のアルキル基の分解を促進し、また、結
晶表面の吸着物質のクリーニング効果などの働きがあ
り、結果として高品位の膜が得られる。
【0047】水素は、供給された原料の分解により生成
され、基板近傍においてのみ存在する。従って、水素は
速やかに雰囲気中に拡散し、膜中への水素の拡散が抑制
される。結果として、高品位かつ水素によるp型ドーパ
ントの不活性化の影響のないp型3族窒化物が得られ
る。また、窒素原料は、成膜中と冷却中途で異なる窒素
原料を用いることも可能である。
【0048】ここで述べる少なくとも水素と窒素を含む
窒素原料とは、アンモニア以外にも、モノメチルヒドラ
ジン等の窒素原料が広く用いることができる。また、こ
れらの窒素原料と窒素等の混合ガス雰囲気での冷却が可
能なのはいうまでもない。
【0049】(3)請求項3の構成・動作 請求項1から2に記載の結晶成長方法において、結晶成
長後の冷却雰囲気を構成する窒素原料が、アンモニアで
あることを特徴とするp型3族窒化物の結晶成長方法で
ある。
【0050】冷却中のアンモニアの働きは、以下のよう
に考えられる。アンモニアは、高温領域での熱分解によ
り活性な窒素と水素を供給し、活性な窒素は、3族窒化
物の窒素の解離による分解を抑制し、活性な水素は、表
面に吸着したアルキル基の分解を促進する。冷却過程で
は、徐々に分解率が下がり、基板近傍の水素濃度も下が
る。冷却過程初期のアンモニアが分解する高温状態は比
較的短時間であり、かつ、水素は基板近傍にのみ存在し
速やかに雰囲気中に拡散するため、他の窒素原料に比べ
少なく、結果として、高品位かつ水素によるp型ドーパ
ントの不活性化の影響が他の窒素原料を用いた場合に比
べより少ない低抵抗なp型3族窒化物が得られる。
【0051】(4)請求項4の構成・動作 請求項4の発明は、請求項1から3のp型3族窒化物半
導体の結晶成長方法と異なる別の方法で、p型ドーパン
トと同時に少なくとも1種のn型ドーパントをドープし
た3族窒化物2の結晶成長方法において、3族窒化物2
の結晶成長終了後、その表面層の全部あるいは一部を除
去することを特徴とするp型3族窒化物の結晶成長方法
である。
【0052】本発明のp型3族窒化物の結晶成長方法
は、まず、p型ドーパントと同時に少なくとも1種のn
型ドーパントを同時ドープした3族窒化物に成長させて
いる。例えば、GaN結晶を例に説明すると、p型ドー
パントとしてMgを、同時ドープするドーパントとして
Siをドーピングすることで、p型ドーパントであるM
g2原子とn型ドーパントであるSi1原子でクラスタ
ーを形成することにより、p型ドーパントであるMgの
取り込みサイトが安定化する。p型ドーパント2原子が
安定化することにより、n型ドーパント1原子分の補償
効果も含め、1つのクラスターが形成されることによ
り、正味1つの安定なアクセプターが得られる。
【0053】しかし、現実には、取り込みサイトは安定
化しても、雰囲気中の水素によりアクセプターが不活性
化されており、as grownでは低抵抗な膜は得られていな
い。膜中の水素の分布は、SIMSによる分析によれば
膜表面で濃度が高く、膜中では低いという濃度分布を持
っている。
【0054】このような、as grownでの膜中の水素の分
布に鑑み、膜表面の高濃度に水素を含む部分を全面若し
くは電極形成部分を含む一部について除去し、水素濃度
の低い部位を表面に露出させることで、低抵抗な電極が
形成可能となり、結果として低抵抗なp型3族窒化物結
晶が得られることを見いだした。以上、GaNに、p型
ドーパントとしてMgを、同時ドーピングするn型不純
物にSiをドーピングした例を用い本発明の構成を説明
したが、本発明は広くp型3族窒化物結晶へのp型ドー
ピングに応用可能で、3族窒化物結晶とp型ドーパント
および同時ドーピングするドーパントの組み合わせは上
記の例に限定されるものではない。
【0055】(5)請求項5の構成・動作 請求項5の発明は、請求項4に記載の結晶成長方法にお
いて、除去する3族窒化物2の厚さが表面から0.5μ
m以上であることを特徴とするp型3族窒化物の結晶成
長方法である。
【0056】本発明の構成を、p−GaNの製造法であ
る実施例2を図1を用いて説明する。 (a)まず、良く洗浄したサファイア基板101を反応
容器内のサセプターに固定する。容器内を真空排気後、
水素雰囲気中でサーマルクリーニングを行う。
【0057】(b)その後、基板温度500℃、Ga源
としてTMG30μmol/min、N源としてアンモ
ニア2LM、キャリアガスとしてN2 15LMとH2
LMを供給し、GaN低温バッファ102を成膜した。
【0058】(c)Ga源を停止後、1050℃に昇温
し、Ga源としてTMG30μmol/min、p型ド
ーパントのMg源としてEtCp2 Mgを0.07μm
ol/minを、同時ドーピングするドーパントとして
Siを、50ppm希釈のモノシランで3μmol/m
in供給し、MgとSiの同時ドープGaN層103を
2μm成長させた。Ga源、Mg源およびSi源を供給
停止後、室温まで冷却し、取り出した。同時ドープした
GaN層103表面をテスターで測定したところ導通は
なかった。
【0059】(d)取り出した基板に、電極パターンを
ポジレジスト104によりパターンニングを施し、RI
BEにより塩素ガスを用いて同時ドープGaN層103
表面を0.5μmエッチングした。露出したGaN層1
03のエッチング面105、106間の導通をテスター
で調べると導通があり、低抵抗のp型になっていること
がわかった。
【0060】(e)エッチングしたGaN層103面に
Ni/Au電極107を成膜、500℃、5minでの
アニールにより低抵抗のp型電極が形成された。以上、
本発明の構成をp−GaN層の作製の実施例を用いて説
明した。本発明は、GaNに限らず、他のp型3族窒化
物および同時ドーピングによる構成も可能である。
【0061】(6)請求項6の構成・動作 請求項6の発明は、p型ドーパントと同時に少なくとも
1種のn型ドーパントをドープした3族窒化物2の結晶
成長方法において、3族窒化物2上に少なくとも1層以
上の3族窒化物積層構造1を形成することにより3族窒
化物2をp型3族窒化物とするp型3族窒化物の結晶成
長方法である。
【0062】請求項6を、同時ドーピングによるp−G
aN成長の実施例3を図2を用いて構成を説明する。ま
ず、良く洗浄したサファイア基板201を反応容器内の
サセプターに固定する。容器内を真空排気後、水素雰囲
気中でサーマルクリーニングを行う。その後、基板温度
500℃、Ga源としてTMG30μmol/min、
N源としてアンモニア2LM、キャリアガスとしてN2
15LMとH2 5LMを供給し、GaN低温バッファ層
202を成膜した。Ga源を停止後、1050℃に昇温
し、Ga源としてTMG30μmol/min、p型ド
ーパントのMg源としてEtCp2 Mgを0.07μm
ol/minを、同時ドーピングするドーパントとして
Siを、50ppm希釈のモノシランで3μmol/m
in供給し、MgとSiの同時ドープGaN層203を
2μm成長させた。
【0063】Mg源を供給停止し、同時ドーピング層の
上に、non−GaN層204を1μm成長した後、G
a源およびSi源を供給停止後、室温まで冷却し、取り
出した。SIMSによる分析によれば、non−GaN
層204の下部に位置するp−GaN層203の水素は
p−GaN/non−GaN界面から低く一定で、no
n−GaN層204をエッチングし測定した結果、キャ
リア濃度が1018cm -3を越えるp型GaNが得られ
た。
【0064】上記の実施例3は、本発明の実施形態の1
例であり、p−GaNに限定されることなく広くp型3
族窒化物に応用可能で、3族窒化物2上の3族窒化物積
層構造1は、多層構造であっても良く、また、p型ドー
パントおよび同時ドーピングするドーパントも上記実施
例以外の構成をとることが可能である。
【0065】(7)請求項7の構成・動作 請求項7の発明は、請求項6に記載の結晶成長方法にお
いて、3族窒化物積層構造1の厚さを0.5μm以上と
することを特徴とするp型3族窒化物の結晶成長方法で
ある。
【0066】本発明は、実施例3に一例を示すのと同様
に、p型ドーパントと同時にSi等をドーピングした3
族窒化物2上に、3族窒化物積層構造1の成膜してい
る。3族窒化物積層構造1の厚さを変えた試料のSIM
Sによる水素濃度の分析によれば、3族窒化物積層構造
1が0.5μmを越える厚さである場合には、3族窒化
物2中の水素濃度は、3族窒化物積層構造1との界面か
らほぼ一定の低濃度である。また、3族窒化物積層構造
1をエッチングにより除去後、キャリア濃度を測定し、
1018cm-3を越えるp型GaNがえられることが確認
された。本発明は、p−GaNに限定されることなく広
くp型3族窒化物に応用可能で、3族窒化物2上の3族
窒化物積層構造1は、多層構造であっても良く、また、
p型ドーパントおよび同時ドーピングするドーパントも
上記以外の多様な構成をとることが可能である。
【0067】(8)請求項8の構成・動作 請求項8に記載の発明は、請求項4から7に記載の結晶
成長方法において、結晶成長後、窒素原料のみもしくは
少なくとも窒素原料を含む雰囲気で成長温度から降温す
ることを特徴とするp型3族窒化物の結晶成長方法であ
る。
【0068】本発明は例えば、実施例2および3に示す
結晶成長工程において、成長後の冷却中の雰囲気が、実
施例1で示したような、窒素原料であるアンモニア10
0%の雰囲気下であるか、あるいは、窒素原料であるア
ンモニアとキャリアガスでかつ不活性ガスである窒素の
混合雰囲気であることを特徴としている。
【0069】請求項4から7に記載の結晶成長方法にお
ける、同時ドーピングしたp型3族窒化物2中の水素濃
度を下げるための構成は、成長時と冷却時の雰囲気を特
に変えることなく成長するため、冷却時に雰囲気中から
の膜中への水素の拡散があることを前提に、水素濃度の
高い部分を除去あるいは上部に積層構造を設けることに
より回避している。
【0070】これに加えて、窒素原料のみ若しくは少な
くとも窒素原料を含む雰囲気で成長温度から降温すれ
ば、基板近傍を除くチャンバー内は未分解の窒素原料若
しくは窒素原料を含む雰囲気であり、基板近傍は、高温
での窒素原料分解により生じる活性な窒素と水素を含
み、窒素は3族窒化物膜の窒素の解離を抑制し、水素は
基板近傍のみに存在し速やかに気相中に拡散する。この
ため、その影響を受けるのは表面のみであることから、
冷却時の膜中への水素の拡散をコントロールすることが
でき、結果として、除去する表面層の厚さが薄くても、
あるいは、上部に成長する積層構造の必要膜厚が薄くて
も、低抵抗のp型3族窒化物が得られた。
【0071】(9)請求項9の構成・動作 請求項9に記載の発明は、請求項1から8に記載の結晶
成長方法において、p型ドーパントがMgであることを
特徴とするp型3族窒化物の結晶成長方法である。実施
例1から3に示したように、p型ドーパントとしてMg
を用いることにより低抵抗のp型3族窒化物が得られ
た。
【0072】(10)請求項10の構成・動作 請求項10に記載の発明は、請求項1から9に記載の3
族窒化物の結晶成長方法を用いて形成された半導体素子
である。
【0073】本発明による半導体レーザー素子構造の第
一の例である実施例4を、図3を用いて説明する。実施
例4は、請求項1から9の3族窒化物の結晶成長方法を
p−GaNおよびp−AlGaN膜に用いた半導体レー
ザの一例である。素子はMO−CVD法により、サファ
イア基板301にGaNバッファ層302を介して、n
−GaNコンタクト層303、n−In0.1 Ga 0.9
クラック防止層304、n−Al0.1 Ga 0.9Nクラッ
ド層305、n−GaNガイド層306、活性層として
In0.15Ga0.85N/In0.05Ga0.95N2周期よりな
るDQW構造307、MgとSiを同時ドーピングした
p−GaNガイド層308、同じくMgとSiを同時ド
ーピングしたp−Al0.1 Ga 0.9Nクラッド層30
9、およびMgとSiを同時ドーピングしたp−GaN
コンタクト層310の順に成膜され、窒素原料であるア
ンモニアと不活性ガスである窒素の混合雰囲気中で冷却
し、ドライエッチングによるリッジ形成後、p型電極用
メタル313を電流狭窄用のSiO2 絶縁層311の開
口部に成膜している。
【0074】また、n型電極メタル312は、ドライエ
ッチングによりn−GaNコンタクト層303を露出
し、電流狭窄用のSiO2 絶縁層311の開口部に成膜
している。本実施例では、p型コンタクト層に本発明を
用いることで、低抵抗なコンタクト層が得られ、本コン
タクト層上に形成することで低抵抗なp型電極が得られ
た。また、p型領域全体に本発明を用いることにより、
p型電極を含むp型領域全体が低抵抗化し、p型電極付
近で消費されていた電力が削減され、発熱量が少ない、
安定動作と長寿命化を特徴とする半導体レーザー素子が
得られた。本発明は、発光素子の構造および製造方法に
限定されるものではない。
【0075】本発明による半導体レーザー素子構造の第
二の例である実施例5を、図4を用いて説明する。実施
例5は、請求項1から9のp−GaN膜をp−GaNコ
ンタクト層に用いた半導体レーザーである。素子はMO
−CVD法により、サファイア基板401にGaNバッ
ファ層402を介して、MgとSiを同時ドーピングし
たp−GaNコンタクト層403、p−In0.1 Ga
0.9Nクラック防止層404、p−Al0.1 Ga 0.9
クラッド層405、p−GaNガイド層406、活性層
としてIn0.15Ga0.85N/In0.05Ga0.95N2周期
よりなるDQW構造407、n−GaNガイド層40
8、n−Al0.1 Ga 0.9Nクラッド層409、n−G
aNコンタクト層410が順に成膜され、ドライエッチ
ングによりn−GaNコンタクト層410の表面リッジ
形成後、n型電極用メタル413を電流狭窄用のSiO
2 絶縁層411の開口部に成膜している。また、p型電
極メタル412は、ドライエッチングによりMgとSi
を同時ドーピングしたp−GaNコンタクト層403を
露出し、電流狭窄用のSiO2 絶縁層411の開口部に
成膜している。
【0076】本実施例では、本発明の3族窒化物結晶を
p型コンタクト層に用いることで、結果として低抵抗な
p型電極が得られ、かつ、ガイド層等、活性層に近接す
る層に同時ドープした層を用いないことで、活性層への
ドーパントの拡散による高抵抗化を防止することができ
る( 低濃度の同時ドープは両ドーパントが互いに補償し
あうのみで高抵抗化する)。結果として、より動作の安
定した長寿命な半導体レーザー素子が得られた。本発明
は、発光素子の構造および製造方法に限定されるもので
はない。
【0077】
【発明の効果】(1)請求項1に対応する作用効果 以上の説明より明らかなように、請求項1記載のp型3
族窒化物の結晶成長方法は、p型ドーパントと同時に少
なくとも1種のn型ドーパントをドープした3族窒化物
1の成長において、3族窒化物1を水素を含む雰囲気で
成長後、窒素原料のみもしくは少なくとも窒素原料を含
む雰囲気で成長温度から降温することを特徴としてい
る。本構成により、水素を含む条件で成膜することによ
り高品位の成膜が可能となり、成長後の冷却雰囲気を窒
素原料のみもしくは少なくとも窒素原料を含む雰囲気と
することで、アニール工程を経ることなく、低抵抗なp
型3族窒化物が得られるとともに、低抵抗なp型電極が
形成可能となる。
【0078】(2)請求項2に対応する作用効果 請求項1に記載のp型3族窒化物の結晶成長方法におい
て、結晶成長後の冷却雰囲気を構成する窒素原料が、少
なくとも水素と窒素を含む窒素原料であることを特徴と
するp型3族窒化物の結晶成長方法で、窒素原料として
少なくとも水素と窒素を含む原料を用いることで、請求
項1の効果に加え、熱分解により供給される水素の成長
膜表面でのアルキル基分解促進により、表面のクリーニ
ング効果が得られ、より高品位かつ低抵抗なp型3族窒
化物が得られるとともに、低抵抗なp型電極が形成可能
となる。
【0079】(3)請求項3に対応する作用効果 請求項1および2に記載の結晶成長方法において、結晶
成長後の冷却雰囲気を構成する窒素原料がアンモニアで
あることを特徴とするp型3族窒化物の結晶成長方法
で、請求項2に述べる少なくとも水素と窒素を含む窒素
原料の内、アンモニアは高純度品が容易かつ安価に入手
可能な窒素原料である。これを冷却中の雰囲気に用いる
ことで、請求項1および2の効果に加え、結晶表面から
の窒素原料に由来する不純物の拡散のない高純度かつ高
品位の3族窒化物が得られ、結果として、より高品位か
つ低抵抗なp型3族窒化物が得られるとともに、低抵抗
なp型電極が形成可能となる。また、他の窒素原料を用
いた場合よりも原料価格が安く、低コストな素子が得ら
れる。
【0080】(4)請求項4に対応する作用効果 請求項4の発明は、p型ドーパントと同時に少なくとも
1種のn型ドーパントをドープした3族窒化物2の結晶
成長方法において、3族窒化物2の成長終了後その表面
層の全部あるいは一部を除去することを特徴とするp型
3族窒化物の結晶成長方法で、従来のMO−CVD法に
より成膜したp型3族窒化物に比べ、表面の高濃度に水
素を含む部位を除去しているため、水素濃度が膜表面か
ら低くほぼ一定である。一方、アニールにより水素を除
去した場合には、水素濃度の分布は膜中に比べ表面では
高く、必ずしも、低抵抗な電極が形成できているとはい
えなかった。本発明の効果は、膜表面の除去により、新
たに得られた膜表面の水素濃度を下げることにより、低
抵抗なp型電極が形成可能なp型3族窒化物が得られる
ことにある。また、本発明の工程では、アニールのよう
な高温の再加熱工程はなく、GaN系発行デバイスのよ
うな、InGaN等熱的に不安定な層を含む多層膜構造
に対して用いても熱分解等の損傷を与えることなく、低
抵抗のp型3族窒化物が得られるメリットがある。
【0081】(5)請求項5に対応する作用効果 請求項5の発明は、請求項4に記載の結晶成長方法にお
いて、除去する3族窒化物2の厚さが表面から0.5μ
m以上であることを特徴とするp型3族窒化物の結晶成
長方法で、MO−CVD法により成膜したp型3族窒化
物の水素濃度は、表面が最も高く膜中が低いという濃度
分布を持っている。SIMSによる分析によれば、表面
から低下していく水素濃度は、表面から約0.5μmの
深さからほぼ一定となっており、表面から0.5μm以
上を除去することにより最大の効果が得られる。請求項
4同様に、本発明の工程には、アニールのような高温の
再加熱工程はなく、GaN系発光デバイスのような、I
nGaN等熱的に不安定な層を含む多層膜構造に対して
用いても熱分解等の損傷を与えることなく、低抵抗のp
型3族窒化物が得られるメリットがある。
【0082】(6)請求項6に対応する作用効果 請求項6の発明は、p型ドーパントと同時に少なくとも
1種のn型ドーパントをドープした3族窒化物2の結晶
成長方法において、3族窒化物2上に少なくとも1層以
上の3族窒化物積層構造1を形成することにより3族窒
化物2をp型3族窒化物とするp型3族窒化物の結晶成
長方法で、3族窒化物2上に少なくとも1層以上の3族
窒化物積層構造1を積層することにより、表面からの水
素濃度の分布の高濃度の領域をp型3族窒化物層の外に
設けることが可能になり、結果として、低抵抗なp型3
族窒化物を得ることができる。
【0083】(7)請求項7に対応する作用効果 請求項7の発明は、請求項6に記載の結晶成長方法にお
いて、3族窒化物積層構造1の厚さを0.5μm以上と
することを特徴とするp型3族窒化物の結晶成長方法
で、請求項6の発明において、3族窒化物積層構造1の
厚さを0.5μm以上とすることにより、3族窒化物2
を表面から0.5μmの水素濃度の高い領域の下とする
ことができ、結果として、低抵抗なp型3族窒化物層を
得ることができる。
【0084】(8)請求項8に対応する作用効果 請求項8に記載の発明は、請求項4から7に記載の結晶
成長方法において、結晶成長後、窒素原料のみもしくは
少なくとも窒素原料を含む雰囲気で成長温度から降温す
ることを特徴とするp型3族窒化物の結晶成長方法で、
請求項4から7に記載の結晶成長方法は、p型3族窒化
物中の水素の深さ方向の分布に着目し、水素濃度の高い
表面付近を除去、あるいは上部に3族窒化物積層構造を
設けることにより、p型3族窒化物から水素濃度の高い
部位を除いている。
【0085】p型3族窒化物の結晶成長後の冷却雰囲気
を、窒素原料のみ若しくは窒素原料を少なくとも含む雰
囲気とすることにより、冷却中の冷却雰囲気からの水素
の拡散を防ぐことができ、請求項4および5の水素濃度
の高い表面付近を除去する成長方法に用いた場合には、
表面の水素濃度が下がるとともに膜中への深さ方向の水
素濃度の分布が緩和されるため、除去する部位の厚さが
薄くなり、プロセスや素子設計の自由度が大きくなると
ともに、より低抵抗なp型3族窒化物を得ることができ
る。
【0086】請求項6および7の3族窒化物積層構造を
設ける方法に用いた場合には、3族窒化物積層構造表面
の水素濃度が下がるとともに、3族窒化物積層構造中の
水素濃度の分布が緩和されるため、3族窒化物積層構造
の必要な厚さは薄くなり、結果として素子の構造やプロ
セスの自由度が上がる。
【0087】(9)請求項9に対応する作用効果 請求項1から8に記載のp型3族窒化物の結晶成長方法
において、p型ドーパントがMgであることを特徴とす
るp型3族窒化物の結晶成長方法で、p型ドーパントに
Mgを用い、同時ドーピングを行うことで、これまでの
原料供給系を大きく変更することなく、同時ドーピング
が導入可能であり、かつ、MO−CVD法でのドーピン
グでは最もアクセプター準位の浅いドーパントである。
また、Mgは3族窒化物における代表的なp型ドーパン
トであり、取り込み特性等が十分把握されていることも
取り込み量比の制御の点でメリットがある。
【0088】(10)請求項10に対応する作用効果 請求項10に記載の発明は、請求項1から9に記載の3
族窒化物の結晶成長法を用いて形成された半導体素子
で、請求項1から9に記載の3族窒化物結晶は同時ドー
プと成長後の冷却雰囲気を制御することにより、p型ド
ーパントの活性化率を上げた低抵抗のp型3族窒化物結
晶であるので、この結晶を用いたp型領域は、低抵抗化
しており、これを素子に採用することで電流注入効果の
高い、高効率な素子が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のp型3族窒化物の結晶成長方法であ
り、第2の実施形態による一例を示す図である。
【図2】本発明の第3の実施形態によるp型3族窒化物
の結晶成長方法の一例を示す図である。
【図3】本発明の第4の実施形態による半導体レーザ構
造の一例を示す図である。
【図4】本発明の第5の実施形態による半導体レーザ構
造の一例を示す図である。
【符号の説明】
101 サファイア基板 102 GaN低温バッファ層 103 Mg、Si同時ドープGaN層 104 ポジレジスト 105 エッチング面1 106 エッチング面2 107 Ni/Au電極 201 サファイア基板 202 GaN低温バッファ層 203 Mg、Si同時ドープGaN層(p型3族窒化
物2) 204 non−GaN層(3族窒化物積層構造1) 301 サファイア基板 302 GaNバッファ層 303 n−GaNコンタクト層 304 n−In0.1 Ga0.9 Nクラック防止層 305 n−Al0.1 Ga0.9 Nクラッド層 306 n−GaNガイド層 307 DQW活性層 308 p−GaNガイド層(Mg、Si同時ド−プ) 309 p−Al0.1 Ga0.9 Nクラッド層(Mg、S
i同時ド−プ) 310 p−GaNコンタクト層(Mg、Si同時ド−
プ) 311 SiO2 絶縁層 312 n型電極メタル 313 p型電極メタル 401 サファイア基板 402 GaNバッファ層 403 p−GaNコンタクト層(Mg、Si同時ド−
プ) 404 p−In0.1 Ga0.9 Nクラック防止層 405 p−Al0.1 Ga0.9 Nクラッド層 406 p−GaNガイド層 407 DQW活性層 408 n−GaNガイド層 409 n−Al0.1 Ga0.9 Nクラッド層 410 n−GaNコンタクト層 411 SiO2 絶縁層 412 p型電極メタル 413 n型電極メタル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G077 AA03 BE15 DB08 EB01 ED06 EF03 HA02 TB05 TB13 TC02 TC03 TC13 TC19 5F045 AA04 AB14 AC08 AC12 AC19 AD07 AD08 AD14 AF07 BB04 CA12 5F073 AA74 BA01 BA06 CA07 CB05 DA05 DA24

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 p型ドーパントと同時に少なくとも1種
    のn型ドーパントをドープした3族窒化物の結晶成長に
    おいて、 前記3族窒化物を水素を含む雰囲気で結晶成長後に、窒
    素原料のみもしくは少なくとも窒素原料を含む雰囲気で
    結晶成長温度から降温すること、 を特徴とするp型3族窒化物の結晶成長方法。
  2. 【請求項2】 結晶成長後の冷却雰囲気を構成する前記
    窒素原料が、少なくとも水素と窒素を含む窒素原料であ
    ること、 を特徴とする請求項1に記載のp型3族窒化物の結晶成
    長方法。
  3. 【請求項3】 結晶成長後の冷却雰囲気を構成する前記
    窒素原料が、アンモニアであること、 を特徴とする請求項1または2に記載のp型3族窒化物
    の結晶成長方法。
  4. 【請求項4】 前記p型ドーパントと同時に少なくとも
    1種のn型ドーパントをドープした3族窒化物の製造方
    法において、 前記3族窒化物の結晶成長終了後に該3族窒化物の表面
    層の全部あるいは一部を除去すること、 を特徴とするp型3族窒化物の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記除去する3族窒化物の表面層の厚さ
    が表面から0.5μm以上であること、 を特徴とする請求項4に記載のp型3族窒化物の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 前記p型ドーパントと同時に少なくとも
    1種のn型ドーパントをドープした3族窒化物の製造方
    法において、 前記3族窒化物上に少なくとも1層以上の3族窒化物積
    層構造を形成することにより前記3族窒化物をp型3族
    窒化物とすること、 を特徴とするp型3族窒化物の製造方法。
  7. 【請求項7】 3族窒化物積層構造の厚さを0.5μm
    以上とすること、 を特徴とする請求項6に記載のp型3族窒化物の製造方
    法。
  8. 【請求項8】 結晶成長後、窒素原料のみもしくは少な
    くとも窒素原料を含む雰囲気で結晶成長温度から降温す
    ること、 を特徴とする請求項4から7のいずれかに記載のp型3
    族窒化物の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記p型ドーパントがMgであることを
    特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のp型3族
    窒化物の結晶製造方法。
  10. 【請求項10】 前記p型3族窒化物の結晶成長方法お
    よび製造方法を用いて形成されたことを特徴とする請求
    項1から9の何れかに記載の半導体素子。
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