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JP2002126722A - 複数の酸が混合された廃液からの酸の分離回収方法 - Google Patents

複数の酸が混合された廃液からの酸の分離回収方法

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Publication number
JP2002126722A
JP2002126722A JP2000327400A JP2000327400A JP2002126722A JP 2002126722 A JP2002126722 A JP 2002126722A JP 2000327400 A JP2000327400 A JP 2000327400A JP 2000327400 A JP2000327400 A JP 2000327400A JP 2002126722 A JP2002126722 A JP 2002126722A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
acid
acetic acid
nitric acid
stripping
waste liquid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000327400A
Other languages
English (en)
Inventor
Hayaji Shibata
隼次 芝田
Hideki Yamamoto
秀樹 山本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Individual
Original Assignee
Individual
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Individual filed Critical Individual
Priority to JP2000327400A priority Critical patent/JP2002126722A/ja
Publication of JP2002126722A publication Critical patent/JP2002126722A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Physical Water Treatments (AREA)
  • Extraction Or Liquid Replacement (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Weting (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 混酸廃液から各酸を個別に分離して再利用が
十分に可能な状態にして回収することを可能ならしめる
ことができると共に、酢酸塩、硝酸塩等の塩が存在する
排水が出ることもなくて、地球環境保全の要請に十分に
応えることができる、混酸廃液からの酸の分離回収方法
を提供する。 【解決手段】 酢酸と、硝酸又はフッ酸が混合された混
酸廃液に対しては炭素数8〜12のアルコールを抽剤と
して用いることにより酢酸を分離回収する。硝酸とフッ
酸が混合された混酸廃液に対しては正リン酸エステルを
抽剤として用いることにより酢酸を分離回収する。ま
た、酢酸、硝酸及びフッ酸を含む混酸廃液に対しては炭
素数8〜12のアルコールと正リン酸エステルをそれぞ
れ個別に抽剤として用いることにより各酸をそれぞれ分
離回収する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、例えば半導体製
造工場等から排出される複数の酸が混合された廃液から
酸を個別に分離して再利用が十分に可能な状態にして回
収する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年飛躍的に成長した半導体製造産業に
おいては、その製造過程において多様な廃水が出るが、
各廃水の種類、性質等に応じてしかるべき処理が施され
て排出されている。例えばシリコンウェハーの化学エッ
チング処理工程からは、酢酸、硝酸、フッ酸(フッ化水
素酸)が混合された混酸廃液が出るが、このような混酸
廃液から各酸を個別に分離回収して再利用することは現
状では技術的に困難である上に、この混酸廃液には化学
エッチングによりSi、Al、Fe等の各種金属が混在
しているので混酸として再利用することもできないこと
から、この混酸廃液に対して中和処理を施して排水する
のが一般的であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記中
和処理によって排水中に酢酸塩、硝酸塩等の塩が生じる
ので、少なからず環境汚染の原因となることは避けられ
ず、環境保全の観点からするとこの中和処理は決して望
ましい手段とは言えない。また、地球環境保全の要請か
ら、近年リサイクル利用の重要性が叫ばれているが、従
来の中和処理による排出方法は廃酸を全くリサイクル利
用することなく捨ててしまう方法であるので、このよう
な社会的要請にも全く応えることができないものであっ
た。
【0004】この発明は、かかる技術的背景に鑑みてな
されたものであって、混酸廃液から各酸を個別に分離し
て再利用が十分に可能な状態にして回収することを可能
ならしめることができると共に、酢酸塩、硝酸塩等の塩
が存在する排水が出ることもなくて、地球環境保全の要
請に十分に応えることができる、複数の酸が混合された
廃液からの酸の分離回収方法を提供することを目的とす
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明者は鋭意研究の結果、炭素数8〜12のアル
コールを抽剤として用いることにより、酢酸と硝酸が混
合された混酸廃液から酢酸を分離回収できること、また
酢酸とフッ酸が混合された混酸廃液からも酢酸を分離回
収できること、更に正リン酸エステルを抽剤として用い
ることにより硝酸とフッ酸が混合された混酸廃液から硝
酸を分離回収できること、更には炭素数8〜12のアル
コールと正リン酸エステルをそれぞれ個別に抽剤として
用いることにより、酢酸、硝酸及びフッ酸を含む混酸廃
液から各酸を個別に分離回収できることを見出すに至
り、この発明を完成したものである。
【0006】即ち、この発明に係る複数の酸が混合され
た廃液からの酸の分離回収方法は、酢酸と硝酸を含む廃
液又は酢酸とフッ酸を含む廃液と、炭素数8〜12のア
ルコールとを混合することによって、該アルコール中に
前記酢酸を選択的に溶解させて抽出する酢酸抽出工程
と、前記抽出工程で得られた酢酸含有アルコールと、剥
離用水とを接触させることによって、前記酢酸をこの剥
離用水に溶解移動せしめて酢酸を分離回収する酢酸剥離
工程とを包含することを特徴とするものである。
【0007】炭素数8〜12のアルコールを抽剤として
用いているので、上記混酸廃液から酢酸を選択性良く抽
出することができ、これにより酢酸の分離回収が可能と
なる。また、Si、Al、Fe等の各種金属は、上記炭
素数8〜12のアルコールには殆ど抽出されないので、
金属不純物の少ない酢酸を分離回収できる。
【0008】また、この発明の別の、複数の酸が混合さ
れた廃液からの酸の分離回収方法は、硝酸とフッ酸を含
む廃液と、正リン酸エステルとを混合することによっ
て、該正リン酸エステル中に前記硝酸を選択的に溶解さ
せて抽出する硝酸抽出工程と、前記抽出工程で得られた
硝酸含有正リン酸エステルと、剥離用水とを接触させる
ことによって、前記硝酸をこの剥離用水に溶解移動せし
めて硝酸を分離回収する硝酸剥離工程とを包含すること
を特徴とするものである。
【0009】正リン酸エステルを抽剤として用いている
ので、上記混酸廃液から硝酸を選択性良く抽出すること
ができ、これにより硝酸の分離回収が可能となる。ま
た、Si、Al、Fe等の各種金属は、上記正リン酸エ
ステルには殆ど抽出されないので、金属不純物の少ない
硝酸を分離回収できる。
【0010】また、この発明の別の、複数の酸が混合さ
れた廃液からの酸の分離回収方法は、酢酸、硝酸及びフ
ッ酸を含む廃液と、炭素数8〜12のアルコールとを混
合することによって、該アルコール中に前記酢酸を選択
的に溶解させて抽出する酢酸抽出工程と、前記酢酸抽出
工程で得られた酢酸含有アルコールと、剥離用水とを接
触させることによって、前記酢酸をこの剥離用水に溶解
移動せしめて酢酸を分離回収する酢酸剥離工程と、前記
酢酸抽出工程で出た抽出残液と、正リン酸エステルとを
混合することによって、該正リン酸エステル中に前記硝
酸を選択的に溶解させて抽出する硝酸抽出工程と、前記
硝酸抽出工程で得られた硝酸含有正リン酸エステルと、
剥離用水とを接触させることによって、前記硝酸をこの
剥離用水に溶解移動せしめて硝酸を分離回収する硝酸剥
離工程とを包含することを特徴とするものである。
【0011】更に、この発明の別の、複数の酸が混合さ
れた廃液からの酸の分離回収方法は、酢酸、硝酸及びフ
ッ酸を含む廃液と、正リン酸エステルとを混合すること
によって、該正リン酸エステル中に前記硝酸を選択的に
溶解させて抽出する硝酸抽出工程と、前記硝酸抽出工程
で得られた硝酸含有正リン酸エステルと、剥離用水とを
接触させることによって、前記硝酸をこの剥離用水に溶
解移動せしめて硝酸を分離回収する硝酸剥離工程と、前
記硝酸抽出工程で出た抽出残液と、炭素数8〜12のア
ルコールとを混合することによって、該アルコール中に
前記酢酸を選択的に溶解させて抽出する酢酸抽出工程
と、前記酢酸抽出工程で得られた酢酸含有アルコール
と、剥離用水とを接触させることによって、前記酢酸を
この剥離用水に溶解移動せしめて酢酸を分離回収する酢
酸剥離工程とを包含することを特徴とするものである。
【0012】上記2つのいずれの方法も、炭素数8〜1
2のアルコールと正リン酸エステルをそれぞれ個別に抽
剤として用いているので、酢酸、硝酸及びフッ酸を含む
混酸廃液から各酸を個別に分離回収することができる。
また、Si、Al、Fe等の各種金属は、上記炭素数8
〜12のアルコールや正リン酸エステルには殆ど抽出さ
れないので、金属不純物の少ない酢酸、硝酸を分離回収
できる。
【0013】この発明の分離回収方法では、抽出工程及
び剥離工程のいずれにおいても向流多段(抽出)法を採
用するのが好ましい。これにより、抽出濃度のより高
い、かつ不純物のより少ない酸(酢酸、硝酸、フッ酸)
を分離回収できる。
【0014】更に、抽出工程と剥離工程の間に、前記抽
出工程で得られた抽出液と、前記剥離工程で分離回収さ
れた酸水溶液の一部とを接触させる洗浄工程を介在せし
めると共に、該洗浄工程で洗浄された抽出液を次の剥離
工程に供給する一方、同洗浄工程で出た洗浄残液を前記
抽出工程に供給するようにするのが、好ましい。このよ
うな洗浄工程を設けることによって、当該抽出工程で得
られる抽出液中における不純物(金属不純物、当該抽出
工程で抽出対象となっていない酸)の濃度を顕著に低減
できる利点がある。更に、このような洗浄工程を設ける
ことで、各工程(抽出工程、剥離工程)の段数を少なく
しても同等レベルの抽出濃度を確保できるので、設備ス
ペースを低減できると共に省エネルギー化にも資するこ
とができる。
【0015】
【発明の実施の形態】この発明に係る複数の酸が混合さ
れた廃液からの酸の分離回収方法の一実施形態について
図1のフロー図を参照しつつ説明する。本実施形態は、
酢酸、硝酸及びフッ酸を含む混酸廃水から、まず酢酸を
分離回収し、次に硝酸を分離回収し、最後にフッ酸を分
離回収する方法である。
【0016】酢酸を分離回収する工程は、酢酸抽出工
程、洗浄工程及び酢酸剥離工程からなる。まず、酢酸抽
出工程においては、ミキサー槽内に抽剤である炭素数8
〜12のアルコールを供給すると共に、酢酸、硝酸及び
フッ酸を含む混酸廃水も供給して、撹拌を行ってこれら
を混合せしめた後、セトラー槽に移して静置することに
よって、油相である抽出液相と水相である抽出残液相と
の2層に分離させる。この際、炭素数8〜12のアルコ
ールは酢酸に対する抽出選択性に優れるのに対し、硝
酸、フッ酸を殆ど抽出しないので、酢酸は混酸廃水中か
らアルコールへ選択的に溶解して油相であるアルコール
抽出液相に抽出される。
【0017】次の洗浄工程においては、洗浄槽内に前記
抽出液(抽出酢酸を含有したアルコール)を供給すると
共に、後述する酢酸剥離工程で分離回収された酢酸水溶
液の一部を供給し、撹拌を行ってこれらを混合せしめた
後、セトラー槽に移して静置することにより、油相であ
る抽出液相と水相の2層に分離させる。このような洗浄
操作(スクラビング操作)を行うことによって、油相で
ある抽出液相中に僅かに抽出されていた硝酸やフッ酸
(即ちこの工程で抽出対象でない酸)を水相中に移行せ
しめることができるので、抽出液中における不純物(こ
の抽出工程で抽出対象となっていない酸)の濃度を顕著
に低減することができる。更に、この洗浄操作によって
金属不純物の濃度も低減できる。なお、この洗浄工程か
ら出る洗浄残液(水相)は、混酸廃水とともに前記酢酸
抽出工程に供給される。
【0018】次の酢酸剥離工程においては、剥離槽内に
前記洗浄工程で洗浄された抽出液(抽出酢酸を含有した
アルコール)を供給すると共に、剥離用の水も供給し、
撹拌を行ってこれらを混合せしめた後、セトラー槽に移
して静置する。混合によって酢酸が水相に移行するの
で、油相と酢酸水溶液からなる水相の2層に分離する。
この水相を採取することにより、酢酸を分離回収するこ
とができる。なお、本実施形態では、前述したように、
この回収酢酸水溶液の一部を前記洗浄工程に回す、即ち
洗浄工程の水相として用いる。また、この酢酸剥離工程
で残った油相(アルコール)は前記酢酸抽出工程に供給
して抽剤として再利用する。
【0019】次に、硝酸を分離回収する工程について説
明する。この工程は、硝酸抽出工程、洗浄工程及び硝酸
剥離工程からなる。まず、硝酸抽出工程においては、ミ
キサー槽内に抽剤である正リン酸エステルを供給すると
共に前記酢酸抽出工程で出た抽出残液(硝酸とフッ酸が
溶解した水)を供給し、撹拌を行ってこれらを混合せし
めた後、セトラー槽に移して静置することによって、油
相である抽出液相と水相である抽出残液相との2層に分
離させる。この時、正リン酸エステルは硝酸に対する抽
出選択性に優れているが、フッ酸もある程度抽出するの
で、硝酸とフッ酸が正リン酸エステルに溶解して油相で
ある正リン酸エステル抽出液相に抽出される。
【0020】次の洗浄工程においては、洗浄槽内に前記
抽出液(抽出硝酸を含有した正リン酸エステル)を供給
すると共に、後述する硝酸剥離工程で分離回収された硝
酸水溶液の一部を供給し、撹拌を行ってこれらを混合せ
しめた後、セトラー槽に移して静置することにより、油
相である抽出液相と水相の2層に分離させる。このよう
な洗浄操作を行うことによって、油相である抽出液相中
に抽出されていたフッ酸(即ちこの工程で抽出対象でな
い酸)を水相中に移行せしめることができるので、抽出
液中における不純物(この抽出工程で抽出対象となって
いない酸)の濃度を顕著に低減することができる。更
に、この洗浄操作によって金属不純物の濃度も低減でき
る。なお、この洗浄工程から出る洗浄残液(水相)は、
前記酢酸抽出工程で出た抽出残液(硝酸とフッ酸が溶解
した水)と共に前記硝酸抽出工程に供給される。
【0021】次の硝酸剥離工程においては、剥離槽内に
前記洗浄工程で洗浄された抽出液(抽出硝酸を含有した
正リン酸エステル)を供給すると共に、剥離用の水も供
給し、撹拌を行ってこれらを混合せしめた後、セトラー
槽に移して静置する。混合によって硝酸が水相に移行す
るので、油相と硝酸水溶液からなる水相の2層に分離す
る。この水相を採取することにより、硝酸を分離回収す
ることができる。なお、本実施形態では、前述したよう
に、この回収硝酸の一部を前記洗浄工程に供給してい
る。また、本実施形態では、更に洗浄工程に98%硝酸
を少量供給するものとしているが、これは洗浄工程での
洗浄液中の硝酸濃度を高め、もって洗浄工程で有機相
(油相)からのフッ酸の洗浄除去をより有効なものとす
ることを目的として供給しているものである。また、こ
の硝酸剥離工程で残った油相(正リン酸エステル)は前
記硝酸抽出工程に供給して抽剤として再利用する。
【0022】次に、フッ酸を分離回収する工程について
説明する。この工程は、フッ酸抽出工程とフッ酸剥離工
程とからなる。まず、フッ酸抽出工程においては、ミキ
サー槽内に抽剤である正リン酸エステルを供給すると共
に、前記硝酸抽出工程で出た抽出残液(フッ酸が溶解し
た水)を供給し、撹拌を行ってこれらを混合せしめた
後、セトラー槽に移して静置することによって、油相で
ある抽出液相と水相である抽出残液相との2層に分離さ
せる。この時、フッ酸は正リン酸エステル抽出液相に抽
出される。なお、このフッ酸抽出工程で出た抽出残液
(水相)は、中和処理を経て排水されるが、該抽出残液
には酸成分が殆ど残存しないので、排水中には塩成分は
殆ど発生することがなく、従って環境保全の社会的要請
に十分に応えることができる。
【0023】次のフッ酸剥離工程においては、剥離槽内
に前記フッ酸抽出工程で得られた抽出液を供給すると共
に剥離用の水も供給し、撹拌を行ってこれらを混合せし
めた後、セトラー槽に移して静置する。混合によってフ
ッ酸が水相に移行するので、油相とフッ酸水溶液からな
る水相の2層に分離する。この水相を採取することによ
り、フッ酸を分離回収することができる。なお、このフ
ッ酸剥離工程で残った油相(正リン酸エステル)は前記
フッ酸抽出工程に供給して抽剤として再利用する。
【0024】本実施形態では、酢酸抽出工程、硝酸抽出
工程、フッ酸抽出工程、各洗浄工程、酢酸剥離工程、硝
酸剥離工程、フッ酸剥離工程のいずれにおいても、向流
多段(抽出)法を採用している。この向流多段(抽出)
法は、酢酸抽出工程を例に挙げて説明すると、図2に示
すように、複数個の抽出槽(A)…を用いて、混酸廃水
と抽剤(炭素数8〜12のアルコール)を向流させなが
ら各抽出槽で抽出を行う方法であり、他の工程において
も同様の手法を採用している。このような向流多段(抽
出)法を採用することにより、抽出濃度のより高い、か
つ不純物のより少ない回収酸を得ることができる。
【0025】なお、上記実施形態では、酢酸、硝酸、フ
ッ酸の順に順次回収しているが、混酸廃水に対する抽剤
の適用順序を代えて(即ち、正リン酸エステルによる抽
出操作を先に行って)、硝酸、酢酸、フッ酸の順に回収
するものとしても良いが、炭素数8〜12のアルコール
による酢酸の抽出が他の酸(硝酸、フッ酸)との分離性
に優れていることから、本実施形態のような順序で抽出
・分離・回収するのが望ましい。
【0026】この発明において用いる抽剤について説明
する。前記炭素数8〜12のアルコールとしては、例え
ば直鎖アルコールであっても良いし、分岐アルコールで
あっても良く、また1級アルコール、2級アルコール、
3級アルコールのいずれであっても良く、特に限定され
ない。中でも、2−エチルヘキサノールを用いるのが、
酢酸に対する抽出選択性に特に優れる点で、好ましい。
なお、炭素数が8未満のアルコールでは水溶性となって
油相/水相の2層分離による抽出を行うことができない
し、炭素数が12を超えると常温で液体状態を確保する
のが困難となるので抽剤として適さない。
【0027】また、前記正リン酸エステルとは、化学構
造中のプロトンが全てエステル化反応で失われたリン酸
であり、特に限定されるものではないが、例えばトリ−
n−ブチルホスフェート(TBP)、トリ−n−オクチ
ルホスフェート(TOP)等が挙げられる。中でも、正
リン酸エステルとしては、炭素数4〜8のアルコールか
ら合成された(炭素数4〜8のアルコールでエステル化
された)正リン酸エステルを用いるのが好ましい。な
お、トリ−n−ブチルホスフェートの化学構造式を下に
示す。
【0028】
【化1】
【0029】
【実施例】次に、この発明の具体的実施例について説明
する。
【0030】<実施例1>前項で例示した実施形態の分
離回収方法(図1参照)に従い、酢酸、硝酸及びフッ酸
を含む混酸廃液から各酸を個別に分離回収した。この実
施例で用いた混酸廃液は、シリコンウェハーの化学エッ
チング処理工程で生じた混酸廃液であり、表1に示すよ
うな組成(酸組成、金属不純物組成)からなる廃水であ
る。各箇所での流量、各工程での段数、相比などの詳細
な条件は図1中に示した。なお、抽剤である炭素数8〜
12のアルコールとしては2−エチルヘキサノールを用
い、正リン酸エステルとしてはトリ−n−ブチルホスフ
ェート(TBP)を用いた。なお、前記相比とは、水相
流量に対する油相流量の比率(油相流量/水相流量)で
ある。
【0031】
【表1】
【0032】各酸の分離回収結果を表1に示す。表1か
ら明らかなように、酢酸、硝酸、フッ酸のいずれもが高
い濃度で分離回収されていると共に、各回収酸のいずれ
においてもSi、Al、Fe等の金属不純物が極めて少
なく、十分に再利用することができるレベルの回収酸が
得られた。
【0033】
【発明の効果】請求項1及び請求項2の発明によれば、
炭素数8〜12のアルコールを抽剤として用いているの
で、混酸廃液から酢酸を選択性良く分離回収することが
できる。また、Si、Al、Fe等の各種金属は、炭素
数8〜12のアルコールには殆ど抽出されないので、金
属不純物の少ない酢酸を分離回収できる。
【0034】請求項3の発明によれば、正リン酸エステ
ルを抽剤として用いているので、硝酸とフッ酸を含む混
酸廃液から酢酸を選択性良く分離回収することができ
る。また、Si、Al、Fe等の各種金属は、正リン酸
エステルには殆ど抽出されないので、金属不純物の少な
い硝酸を分離回収できる。
【0035】請求項4及び請求項5の発明によれば、炭
素数8〜12のアルコールと正リン酸エステルをそれぞ
れ個別に抽剤として用いているので、酢酸、硝酸及びフ
ッ酸を含む混酸廃液から各酸を個別に選択性良く分離回
収することができる。また、Si、Al、Fe等の各種
金属は、上記炭素数8〜12のアルコールや正リン酸エ
ステルには殆ど抽出されないので、金属不純物濃度の極
めて低い回収酸が得られる。
【0036】更に、請求項1〜5の発明によれば、処理
後排出される排水中に酢酸塩、硝酸塩等の塩が存在しな
いので、環境保全の要請に十分に対応できるものであ
る。
【0037】請求項6の発明によれば、抽出濃度のより
高い、かつ不純物のより少ない酸を分離回収できる。
【0038】請求項7の発明によれば、抽出工程で得ら
れる抽出液中における不純物(金属不純物、当該抽出工
程で抽出対象となっていない酸)の濃度を顕著に低減す
ることができる。更に、洗浄工程を設けたことにより、
各工程(抽出工程、剥離工程)の段数を少なくしても同
等レベルの高い抽出濃度を確保できるので、設備スペー
スを低減できると共に省エネルギー化にも資することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】混酸廃水からの酸の分離回収工程を示すフロー
図である。
【図2】向流多段(抽出)法の説明図である。
【符号の説明】
A…抽出槽
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07C 53/08 C07C 53/08 Fターム(参考) 4D037 AA13 AA14 AB11 AB14 BA11 BA12 4D056 AB01 AB05 AB17 AC06 AC15 BA03 CA17 CA26 4H006 AA02 AD16 BB14 BB31 BC50 BD82

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酢酸と硝酸を含む廃液と、炭素数8〜1
    2のアルコールとを混合することによって、該アルコー
    ル中に前記酢酸を選択的に溶解させて抽出する酢酸抽出
    工程と、 前記抽出工程で得られた酢酸含有アルコールと、剥離用
    水とを接触させることによって、前記酢酸をこの剥離用
    水に溶解移動せしめて酢酸を分離回収する酢酸剥離工程
    とを包含することを特徴とする複数の酸が混合された廃
    液からの酸の分離回収方法。
  2. 【請求項2】 酢酸とフッ酸を含む廃液と、炭素数8〜
    12のアルコールとを混合することによって、該アルコ
    ール中に前記酢酸を選択的に溶解させて抽出する酢酸抽
    出工程と、 前記抽出工程で得られた酢酸含有アルコールと、剥離用
    水とを接触させることによって、前記酢酸をこの剥離用
    水に溶解移動せしめて酢酸を分離回収する酢酸剥離工程
    とを包含することを特徴とする複数の酸が混合された廃
    液からの酸の分離回収方法。
  3. 【請求項3】 硝酸とフッ酸を含む廃液と、正リン酸エ
    ステルとを混合することによって、該正リン酸エステル
    中に前記硝酸を選択的に溶解させて抽出する硝酸抽出工
    程と、 前記抽出工程で得られた硝酸含有正リン酸エステルと、
    剥離用水とを接触させることによって、前記硝酸をこの
    剥離用水に溶解移動せしめて硝酸を分離回収する硝酸剥
    離工程とを包含することを特徴とする複数の酸が混合さ
    れた廃液からの酸の分離回収方法。
  4. 【請求項4】 酢酸、硝酸及びフッ酸を含む廃液と、炭
    素数8〜12のアルコールとを混合することによって、
    該アルコール中に前記酢酸を選択的に溶解させて抽出す
    る酢酸抽出工程と、 前記酢酸抽出工程で得られた酢酸含有アルコールと、剥
    離用水とを接触させることによって、前記酢酸をこの剥
    離用水に溶解移動せしめて酢酸を分離回収する酢酸剥離
    工程と、 前記酢酸抽出工程で出た抽出残液と、正リン酸エステル
    とを混合することによって、該正リン酸エステル中に前
    記硝酸を選択的に溶解させて抽出する硝酸抽出工程と、 前記硝酸抽出工程で得られた硝酸含有正リン酸エステル
    と、剥離用水とを接触させることによって、前記硝酸を
    この剥離用水に溶解移動せしめて硝酸を分離回収する硝
    酸剥離工程とを包含することを特徴とする複数の酸が混
    合された廃液からの酸の分離回収方法。
  5. 【請求項5】 酢酸、硝酸及びフッ酸を含む廃液と、正
    リン酸エステルとを混合することによって、該正リン酸
    エステル中に前記硝酸を選択的に溶解させて抽出する硝
    酸抽出工程と、 前記硝酸抽出工程で得られた硝酸含有正リン酸エステル
    と、剥離用水とを接触させることによって、前記硝酸を
    この剥離用水に溶解移動せしめて硝酸を分離回収する硝
    酸剥離工程と、 前記硝酸抽出工程で出た抽出残液と、炭素数8〜12の
    アルコールとを混合することによって、該アルコール中
    に前記酢酸を選択的に溶解させて抽出する酢酸抽出工程
    と、 前記酢酸抽出工程で得られた酢酸含有アルコールと、剥
    離用水とを接触させることによって、前記酢酸をこの剥
    離用水に溶解移動せしめて酢酸を分離回収する酢酸剥離
    工程とを包含することを特徴とする複数の酸が混合され
    た廃液からの酸の分離回収方法。
  6. 【請求項6】 前記抽出工程及び剥離工程のいずれにお
    いても向流多段(抽出)法を採用する請求項1〜5のい
    ずれか1項に記載の複数の酸が混合された廃液からの酸
    の分離回収方法。
  7. 【請求項7】 前記抽出工程と剥離工程の間に、前記抽
    出工程で得られた抽出液と、前記剥離工程で分離回収さ
    れた酸水溶液の一部とを接触させる洗浄工程を介在せし
    めると共に、該洗浄工程で洗浄された抽出液を次の剥離
    工程に供給する一方、同洗浄工程で出た洗浄残液を前記
    抽出工程に供給する請求項1〜6のいずれか1項に記載
    の複数の酸が混合された廃液からの酸の分離回収方法。
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