[go: up one dir, main page]

JP2002105131A - 環状オレフィン系重合体 - Google Patents

環状オレフィン系重合体

Info

Publication number
JP2002105131A
JP2002105131A JP2000296404A JP2000296404A JP2002105131A JP 2002105131 A JP2002105131 A JP 2002105131A JP 2000296404 A JP2000296404 A JP 2000296404A JP 2000296404 A JP2000296404 A JP 2000296404A JP 2002105131 A JP2002105131 A JP 2002105131A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cyclic olefin
group
cyclic
polymer
polymer according
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000296404A
Other languages
English (en)
Inventor
Shigetoshi Nishijima
茂俊 西島
Toshiyuki Hirose
敏行 広瀬
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsui Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Chemicals Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsui Chemicals Inc filed Critical Mitsui Chemicals Inc
Priority to JP2000296404A priority Critical patent/JP2002105131A/ja
Publication of JP2002105131A publication Critical patent/JP2002105131A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
  • Optical Record Carriers And Manufacture Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 低複屈折性、耐熱性、機械的特性、精密成形
性、防湿性(低吸水性)などに優れ、特にわずかな着色
をもなくして極めて高い透明性を有する環状オレフィン
系重合体を提供する。 【解決手段】 環状オレフィン系重合体は、炭素原子数
が2〜20のα-オレフィンと、特定構造の環状オレフ
ィンとの共重合体からなり、厚さ3mmの成形体で測定
した400nmにおける光線透過率が85%以上であ
る。好適な環状オレフィン系重合体は、炭素原子数が2
〜20のα-オレフィンと、該環状オレフィンとを共重
合させてなるα-オレフィン・環状オレフィンランダム
共重合体、およびそのグラフト変性物から選ばれる処理
前重合体を、水素添加処理して得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、吸水率が低く、透
明性に優れる環状オレフィン系重合体に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】一般に透明な樹脂は、光が透過し
やすいことで容器や包装材等にした場合に内容物の確認
が容易であり、持ち運びに便利で加工し易いという性質
を利用し、工業材用途、一般消費材用途ばかりではな
く、医薬、食品、実験機器、光学用途等にも使用されて
きた。具体的には、食品や医薬品の透明容器として好適
に使用されるとともに、眼鏡レンズやピックアップレン
ズ、fθレンズなどの光学機器用のレンズ、またMO、
DVD、CD等の光記録メディアにも使用されている。
【0003】近年、光学製品においては、高密度化、高
精度化が進み、従来用いられてきたポリメチルメタクリ
レート、ポリカーボネートを用いては、要求性能を満足
し得ないことがあった。そのため、特開平11−142
645号公報に開示されるような、低複屈折、高耐熱
性、高耐湿性を有する環状オレフィン系重合体の使用が
増えつつある。
【0004】また、食品包装材料、医療包装材料、フィ
ルム、シートに関しても、透明性、高防湿性、耐熱性、
易廃棄性、軽量性等の観点より、ガラス、ハロゲン含有
樹脂、ポリオレフィン樹脂を材料とするものなどから環
状オレフィン系重合体を材料とするものへの転換が始ま
っている。
【0005】一方、環状オレフィン系重合体は、構造的
には無色の透明な樹脂と考えられるが、従来の環状オレ
フィン系重合体からなる成形品は、わずかに着色して見
えることがあり、改良が求められていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、低複屈折
性、耐熱性、機械的特性、精密成形性、防湿性(低吸水
性)などに優れ、特にわずかな着色をもなくして極めて
高い透明性を有する環状オレフィン系重合体を提供する
ことを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の着
色が、可視光域内の400nm近辺に見られるわずかな
光吸収であることをつきとめ、環状オレフィン系重合体
を水素添加処理することにより、色相が改善されること
を見出し本発明を完成するに至った。
【0008】本発明に係る環状オレフィン系重合体は、
炭素原子数が2〜20のα-オレフィンと、下記式
(I)または(II)で表される環状オレフィンとの共重
合体からなり、厚さ3mmの成形体で測定した400n
mにおける光線透過率が85%以上であることを特徴と
している。
【0009】
【化3】 (上記式(I)中、nは0または1であり、mは0また
は1以上の整数であり、qは0または1であり、R1
18ならびにRaおよびRbは、それぞれ独立に水素原
子、ハロゲン原子または炭化水素基であり、R1 5〜R18
は互いに結合して単環または多環を形成していてもよ
く、かつ該単環または多環が二重結合を有していてもよ
く、またR1 5とR1 6とで、またはR1 7とR1 8とでアルキ
リデン基を形成していてもよい。)、
【0010】
【化4】 (上記式(II)中、pおよびqは0または1以上の整数
であり、mおよびnは0、1または2であり、R1〜R1
9はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、脂肪族炭
化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基または
アルコキシ基であり、R9およびR1 0が結合している炭
素原子と、R1 3またはR1 1が結合している炭素原子とは
直接あるいは炭素原子数1〜3のアルキレン基を介して
結合していてもよく、またn=m=0のとき、R1 5とR
1 2またはR1 5とR1 9とは互いに結合して単環または多環
の芳香族環を形成していてもよい。)。
【0011】本発明においては、炭素原子数が2〜20
のα-オレフィンと、前記式(I)または(II)で表さ
れる環状オレフィンとを共重合させてなるα-オレフィ
ン・環状オレフィンランダム共重合体、およびそのグラ
フト変性物から選ばれる処理前重合体を、水素添加処理
して得られる環状オレフィン系重合体であることが好ま
しい。
【0012】また、前記水素添加処理が、環状飽和炭化
水素を主成分とする溶媒中で行われることが好ましい。
さらに、前記水素添加処理が、シクロヘキサンを50重
量%以上含有する溶媒中で行われることが好ましい。
【0013】本発明により、前記環状オレフィン系重合
体の好適な用途として、該環状オレフィン系重合体から
なるプラスチックレンズ、容器、透明シートまたは透明
ボード、光記録メディアが提供される。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明に係る環状オレフィン系重
合体は、炭素原子数が2〜20のα-オレフィンと、下
記式(I)または(II)で表される環状オレフィンとの
共重合体からなり、厚さ3mmの成形体で測定したAS
TM D1003準拠による400nmにおける光線透
過率が85%以上の重合体である。
【0015】本発明の環状オレフィン系重合体は、好適
には、炭素原子数が2〜20のα-オレフィンと下記式
(I)または(II)で表される環状オレフィンとを共重
合させて得られるα-オレフィン・環状オレフィンラン
ダム共重合体、およびそのグラフト変性物からなる群よ
り選ばれる少なくとも1種の処理前重合体を水素添加処
理して得られる。
【0016】ここで、環状オレフィン系重合体を構成す
る式(I)または(II)で表される環状オレフィンにつ
いて説明する。本発明で用いられる環状オレフィンは、
下記式(I)または(II)で表される。
【0017】
【化5】
【0018】上記式(I)中、nは0または1であり、
mは0または1以上の整数であり、qは0または1であ
る。なお、qが1の場合には、RaおよびRbは、それぞ
れ独立に、下記に示す原子または炭化水素基であり、q
が0の場合には、Ra、Rbの結合はなくなり、両側の炭
素原子が結合して5員環を形成する。
【0019】R1〜R18ならびにRaおよびRbは、それ
ぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基で
ある。ここでハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、
臭素原子またはヨウ素原子である。
【0020】また、炭化水素基としては、それぞれ独立
に、通常、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子
数3〜15のシクロアルキル基、芳香族炭化水素基が挙
げられる。より具体的には、アルキル基としてはメチル
基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、アミル
基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基お
よびオクタデシル基が挙げられ、シクロアルキル基とし
ては、シクロヘキシル基が挙げられ、芳香族炭化水素基
としては、フェニル基、ナフチル基が例示される。これ
らの炭化水素基は、その水素原子がハロゲン原子で置換
されていてもよい。
【0021】さらに上記式(I)において、R1 5〜R18
がそれぞれ結合して(互いに共同して)単環または多環
を形成していてもよく、しかも、このようにして形成さ
れた単環または多環は二重結合を有していてもよい。こ
こで、形成される単環または多環の具体例を下記に示
す。
【化6】
【0022】上記例示において、1または2の番号が付
された炭素原子は、式(I)においてそれぞれR15(R
16)またはR17(R18)が結合している炭素原子を示し
ている。またR15とR16とで、またはR17とR18とでア
ルキリデン基を形成していてもよい。このようなアルキ
リデン基は、通常は炭素原子数2〜20のアルキリデン
基であり、このようなアルキリデン基の具体的な例とし
ては、エチリデン基、プロピリデン基およびイソプロピ
リデン基を挙げることができる。
【0023】
【化7】
【0024】上記式(II)中、pおよびqは0または1
以上の整数であり、mおよびnは0、1または2であ
る。またR1〜R1 9は、それぞれ独立に水素原子、ハロ
ゲン原子、炭化水素基またはアルコキシ基である。ハロ
ゲン原子は、前記式(I)におけるハロゲン原子と同じ
意味である。
【0025】炭化水素基としては、それぞれ独立に炭素
原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のハ
ロゲン化アルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアル
キル基または芳香族炭化水素基が挙げられる。より具体
的には、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プ
ロピル基、イソプロピル基、アミル基、ヘキシル基、オ
クチル基、デシル基、ドデシル基およびオクタデシル基
が挙げられ、シクロアルキル基としては、シクロヘキシ
ル基が挙げられ、芳香族炭化水素基としては、アリール
基およびアラルキル基、具体的には、フェニル基、トリ
ル基、ナフチル基、ベンジル基およびフェニルエチル基
が例示される。
【0026】また、アルコキシ基としては、メトキシ
基、エトキシ基およびプロポキシ基などを例示すること
ができる。これらの炭化水素基およびアルコキシ基は、
フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子で置
換されていてもよい。
【0027】ここで、R9およびR1 0が結合している炭
素原子と、R1 3が結合している炭素原子またはR1 1が結
合している炭素原子とは、直接あるいは炭素原子数1〜
3のアルキレン基を介して結合していてもよい。すなわ
ち上記二個の炭素原子がアルキレン基を介して結合して
いる場合には、R9およびR1 3で表される基が、または
1 0およびR1 1で表される基が、互いに共同して、メチ
レン基(-CH2-)、エチレン基(-CH2CH2-)またはプロピレ
ン基(-CH2CH2CH2-)のうちのいずれかのアルキレン基を
形成している。
【0028】さらに、n=m=0のとき、R1 5とR1 2
たはR1 5とR1 9とは互いに結合して単環または多環の芳
香族環を形成していてもよい。この場合の単環または多
環の芳香族環として、たとえば下記のようなR1 5とR1 2
がさらに芳香族環を形成している基が挙げられる。
【化8】 ここでqは、式(II)におけるqと同じ意味である。
【0029】上記のような式(I)または式(II)で示
される環状オレフィンを、より具体的に次に例示する。
一例として、
【化9】 で示されるビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン(別名ノルボル
ネン。上記式中において、1〜7の数字は炭素の位置番
号を示す。)および該化合物に炭化水素基が置換した誘
導体が挙げられる。
【0030】この置換炭化水素基として、5-メチル、5,
6-ジメチル、1-メチル、5-エチル、5-n-ブチル、5-イ
ソブチル、7-メチル、5-フェニル、5-メチル-5-フェニ
ル、5-ベンジル、5-トリル、5-(エチルフェニル)、5-
(イソプロピルフェニル)、5-(ビフェニル)、5-(β-ナフ
チル)、5-(α-ナフチル)、5-(アントラセニル)、5,6-ジ
フェニルを例示することができる。
【0031】さらに他の誘導体として、シクロペンタジ
エン-アセナフチレン付加物、1,4-メタノ-1,4,4a,9a-テ
トラヒドロフルオレン、1,4-メタノ-1,4,4a,5,10,10a-
ヘキサヒドロアントラセンなどのビシクロ[2.2.1]-2-ヘ
プテン誘導体を例示することができる。
【0032】この他、トリシクロ[4.3.0.12,5]-3-デセ
ン、2-メチルトリシクロ[4.3.0.12,5]-3-デセン、5-メ
チルトリシクロ[4.3.0.12,5]-3-デセンなどのトリシク
ロ[4.3.0.12,5]-3-デセン誘導体、トリシクロ[4.4.0.1
2,5]-3-ウンデセン、10-メチルトリシクロ[4.4.0.12,5]
-3-ウンデセンなどのトリシクロ[4.4.0.12,5]-3-ウンデ
セン誘導体、
【化10】 で示されるテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセ
ン(以後単にテトラシクロドデセンという。上記式中に
おいて、1〜12の数字は炭素の位置番号を示す。)、
およびこれに炭化水素基が置換した誘導体が挙げられ
る。
【0033】その置換基の炭化水素基としては、8-メチ
ル、8-エチル、8-プロピル、8-ブチル、8-イソブチル、
8-ヘキシル、8-シクロヘキシル、8-ステアリル、5,10-
ジメチル、2,10-ジメチル、8,9-ジメチル、8-エチル-9-
メチル、11,12-ジメチル、2,7,9-トリメチル、2,7-ジメ
チル-9-エチル、9-イソブチル-2,7-ジメチル、9,11,12-
トリメチル、9-エチル-11,12-ジメチル、9-イソブチル-
11,12-ジメチル、5,8,9,10-テトラメチル、8-エチリデ
ン、8-エチリデン-9-メチル、8-エチリデン-9-エチル、
8-エチリデン-9-イソプロピル、8-エチリデン-9-ブチ
ル、8-n-プロピリデン、8-n-プロピリデン-9-メチル、8
-n-プロピリデン-9-エチル、8-n-プロピリデン-9-イソ
プロピル、8-n-プロピリデン-9-ブチル、8-イソプロピ
リデン、8-イソプロピリデン-9-メチル、8-イソプロピ
リデン-9-エチル、8-イソプロピリデン-9-イソプロピ
ル、8-イソプロピリデン-9-ブチル、8-クロロ、8-ブロ
モ、8-フルオロ、8,9-ジクロロ、8-フェニル、8-メチル
-8-フェニル、8-ベンジル、8-トリル、8-(エチルフェニ
ル)、8-(イソプロピルフェニル)、8,9-ジフェニル、8-
(ビフェニル)、8-(β-ナフチル)、8-(α-ナフチル)、8-
(アントラセニル)、5,6-ジフェニルを例示することがで
きる。
【0034】さらに他の誘導体として、(シクロペンタ
ジエン-アセナフチレン付加物)とシクロペンタジエン
との付加物などが挙げられる。
【0035】また、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3
-ドデセン誘導体、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.0
9,13]-4-ペンタデセンおよびその誘導体、ペンタシクロ
[7.4.0.12,5.19,12.08,13]-3-ペンタデセンおよびその
誘導体、ペンタシクロ[6.5.1.13 , 6.02 , 7.09 ,13]-4,10-
ペンタデカジエン化合物、ペンタシクロ[8.4.0.12,5.1
9,12.08,13]-3-ヘキサデセンおよびその誘導体、ペンタ
シクロ[6.6.1.13,6.02,7.09, 14]-4-ヘキサデセンおよび
その誘導体、ヘキサシクロ[6.6.1.13,6.110,13.02,7.0
9,14]-4-ヘプタデセンおよびその誘導体、ヘプタシクロ
[8.7.0.12,9.14,7.111, 17.03,8.012,16]-5-エイコセン
およびその誘導体、ヘプタシクロ[8.7.0.13,6.11 0,17.1
12,15.02,7.011,16]-4-エイコセンおよびその誘導体、
ヘプタシクロ[8.8.0.12,9.14,7.111,18.03,8.012,17]-5
-ヘンエイコセンおよびその誘導体、オクタシクロ[8.8.
0.12,9.14,7.111,18.113,16.03,8.012,17]-5-ドコセン
およびその誘導体、ノナシクロ[10.9.1.14,7.113,20.1
15,18.02,10.03,8.012,21.014,19]-5-ペンタコセンおよ
びその誘導体、ノナシクロ[10.10.1.15 , 8.11 4 ,2 1.11 6 ,1
9.02,1 1.04 , 9.01 3 ,2 2.01 5 , 20]-6-ヘキサコセンおよびそ
の誘導体などが挙げられる。
【0036】本発明で使用することのできる前記式
(I)または(II)で表される環状オレフィンの具体例
は、上記した通りであるが、より具体的なこれらの化合
物の構造については、特開平7-145213号公報明細書の段
落番号[0032]〜[0054]に示されており、本
発明においても、該明細書に例示されるものを環状オレ
フィンとして使用することができる。
【0037】上記のような式(I)または(II)で表さ
れる環状オレフィンの製造方法としては、例えば、シク
ロペンタジエンと、対応する構造を有するオレフィン類
とのディールス・アルダー反応を挙げることが出来る。
【0038】これらの環状オレフィンは、単独でも、あ
るいは2種以上組み合わせても用いることができる。
【0039】本発明で用いられる環状オレフィンからな
る処理前重合体は、上記のような式(I)または式(I
I)で表される環状オレフィンを用いて、たとえば特開
昭60-168708号、同61-120816号、同61-115912号、同61-
115916号、同61-271308号、同61-272216号、同62-25240
6号および同62-252407号などの公報において提案された
方法に従い、適宜、条件を選択することにより製造する
ことができる。
【0040】そのうち、炭素原子数が2〜20のα-オ
レフィン・環状オレフィンランダム共重合体は、α-オ
レフィンから誘導される構成単位を、通常は5〜95モ
ル%、好ましくは20〜80モル%の量で、環状オレフ
ィンから誘導される構成単位を、通常は5〜95モル
%、好ましくは20〜80モル%の量で含有している。
なおα-オレフィンおよび環状オレフィンの組成比は、
13C−NMRによって測定される。
【0041】ここで、α-オレフィン・環状オレフィン
ランダム共重合体を構成する炭素原子数が2〜20のα
-オレフィンについて説明する。α-オレフィンとして
は、直鎖状でも分岐状でもよく、エチレン、プロピレ
ン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、
1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセ
ン、1-オクタデセン、1-エイコセンなどの炭素原子数が
2〜20の直鎖状α-オレフィン;3-メチル-1-ブテン、
3-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4-メチル
-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-
ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-エチル-1-ヘキ
セン、3-エチル-1-ヘキセンなどの炭素原子数が4〜2
0の分岐状α-オレフィンなどが挙げられる。これらの
なかでは、炭素原子数が2〜4の直鎖状α-オレフィン
が好ましく、エチレンが特に好ましい。このような直鎖
状または分岐状のα-オレフィンは、1種単独でまたは
2種以上組合わせて用いることができる。
【0042】このα-オレフィン・環状オレフィンラン
ダム共重合体では、上記のような炭素原子数が2〜20
のα-オレフィンから誘導される構成単位と環状オレフ
ィンから誘導される構成単位とが、ランダムに配列して
結合し、実質的に線状構造を有している。この共重合体
が実質的に線状であって、実質的にゲル状架橋構造を有
していないことは、この共重合体が有機溶媒に溶解した
際に、その溶液に不溶分が含まれていないことにより確
認することができる。たとえば、極限粘度[η]を測定
する際に、この共重合体が135℃のデカリンに完全に
溶解することにより確認することができる。
【0043】本発明で用いられるα-オレフィン・環状
オレフィンランダム共重合体において、上記式(I)ま
たは(II)で表される環状オレフィンの少なくとも一部
は、下記式(III)または(IV)で示される繰り返し単
位を構成していると考えられる。
【0044】
【化11】 上記式(III)において、n、m、q、R1〜R18ならび
にRaおよびRbは、式(I)におけるものと同じ意味で
ある。
【0045】
【化12】 上記式(IV)において、n、m、p、qおよびR1〜R1
9は、式(II)におけるものと同じ意味である。
【0046】また本発明で用いられるα-オレフィン・
環状オレフィンランダム共重合体は、必要に応じ、本発
明の目的を損なわない範囲内で、他の共重合可能なモノ
マーから誘導される構成単位を有していてもよい。
【0047】このような他のモノマーとしては、上記の
ような炭素原子数が2〜20のα-オレフィンまたは環
状オレフィン以外のオレフィンを挙げることができ、具
体的には、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキ
セン、3,4-ジメチルシクロペンテン、3-メチルシクロヘ
キセン、2-(2-メチルブチル)-1-シクロヘキセンおよび
シクロオクテン、3a,5,6,7a-テトラヒドロ-4,7-メタノ-
1H-インデンなどのシクロオレフィン、1,4-ヘキサジエ
ン、4-メチル-1,4-ヘキサジエン、5-メチル-1,4-ヘキサ
ジエン、1,7-オクタジエン、ジシクロペンタジエンおよ
び5-ビニル-2-ノルボルネンなどの非共役ジエン類を挙
げることができる。これらの他のモノマーは、単独で
も、あるいは組み合わせても用いることができる。
【0048】α-オレフィン・環状オレフィンランダム
共重合体において、上記のような他のモノマーから誘導
される構成単位を含有させる場合には、通常20モル%
以下、さらには10モル%以下の量とすることが好まし
い。
【0049】本発明で用いられるα-オレフィン・環状
オレフィンランダム共重合体は、炭素原子数が2〜20
のα-オレフィンと式(I)または(II)で表される環
状オレフィンとを用いて、前記公報に開示された製造方
法により製造することができる。これらのうちでも、こ
の共重合反応を、炭化水素溶媒中で行い、該炭化水素溶
媒に可溶性のバナジウム化合物および有機アルミニウム
化合物から形成される触媒を用いる製造方法が好まし
い。
【0050】また、この共重合反応では固体状の周期律
表IV族のメタロセン系触媒を用いることもできる。ここ
で固体状の周期律表IV族のメタロセン系触媒とは、シク
ロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む遷移金属化
合物と、有機アルミニウムオキシ化合物と、必要により
配合される有機アルミニウム化合物とからなる触媒であ
る。ここで周期律表IV族の遷移金属としては、ジルコニ
ウム、チタンまたはハフニウムがあげられ、これらの遷
移金属が少なくとも1個のシクロペンタジエニル骨格を
含む配位子を有している触媒である。シクロペンタジエ
ニル骨格を含む配位子の例としては、アルキル基が置換
していてもよいシクロペンタジエニル基またはインデニ
ル基、テトラヒドロインデニル基、フロオレニル基を挙
げることができる。これらの基は、アルキレン基などの
他の基を介して結合していてもよい。また、シクロペン
タジエニル骨格を含む配位子以外の配位子の例として
は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラ
ルキル基等があげられる。
【0051】また、有機アルミニウムオキシ化合物およ
び有機アルミニウム化合物は、通常ポリオレフィン類の
製造に使用されるものを用いることができる。このよう
な固体状の周期律表IV族のメタロセン系触媒について
は、例えば特開昭61-221206号、特開昭64-106号および
特開平2-173112号公報等に記載されているものを使用す
ることができる。
【0052】本発明において、水素添加処理の処理前重
合体として用いられるグラフト変性物は、上記のエチレ
ン・環状オレフィンランダム共重合体のグラフト変性物
である。
【0053】ここで用いられる変性剤としては、通常不
飽和カルボン酸類があげられ、具体的には、(メタ)アク
リル酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル
酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロ
トン酸、エンドシス-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2,
3-ジカルボン酸(ナジック酸TM)などの不飽和カルボン
酸、さらにこれら不飽和カルボン酸の誘導体たとえば不
飽和カルボン酸無水物、不飽和カルボン酸ハライド、不
飽和カルボン酸アミド、不飽和カルボン酸イミド、不飽
和カルボン酸のエステル化合物などが例示される。
【0054】不飽和カルボン酸の誘導体としては、より
具体的に、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、塩化マ
レイル、マレイミド、マレイン酸モノメチル、マレイン
酸ジメチル、グリシジルマレエートなどが挙げられる。
【0055】これらのなかでは、α,β-不飽和ジカルボ
ン酸およびα,β-不飽和ジカルボン酸無水物たとえばマ
レイン酸、ナジック酸TMおよびこれら酸の無水物が好ま
しく用いられる。これらの変性剤は、2種以上組合わせ
て用いることもできる。
【0056】このようなエチレン・環状オレフィンラン
ダム共重合体のグラフト変性物は、所望の変性率になる
ように、変性剤を該共重合体に配合してグラフト重合さ
せ製造することもできるし、予め高変性率の変性物を調
製し、次いでこの変性物と未変性のエチレン・環状オレ
フィンランダム共重合体とを所望の変性率になるように
混合することにより製造することもできる。
【0057】エチレン・環状オレフィンランダム共重合
体と変性剤とからグラフト変性物を得るには、従来公知
のポリマー変性方法を広く適用することができる。たと
えば溶融状態にあるエチレン・環状オレフィンランダム
共重合体に変性剤を添加してグラフト重合(反応)させ
る方法、あるいはエチレン・環状オレフィンランダム共
重合体の溶媒溶液に変性剤を添加してグラフト反応させ
る方法などによりグラフト変性物を得ることができる。
【0058】このようなグラフト反応は、通常60〜3
50℃の温度で行われる。またグラフト反応は、有機過
酸化物およびアゾ化合物などのラジカル開始剤の共存下
に行うことができる。
【0059】本発明では、水素添加処理の処理前重合体
として、上記のようなエチレン・環状オレフィンランダ
ム共重合体、およびそのグラフト変性物のいずれかを単
独で用いることができ、また同じグループの2種以上
や、異なる2以上のグループを組み合わせて用いること
もできる。
【0060】本発明に係る環状オレフィン系重合体は、
DSCで測定(昇温速度10℃/分)したガラス転移温
度(Tg)が、60〜230℃であることが好ましく、さ
らには、70〜210℃であることが好ましい。
【0061】また、環状オレフィン系重合体は、非晶性
または低結晶性であり、X線回折法によって測定される
結晶化度が、通常20%以下であり、好ましくは10%
以下、さらに好ましくは2%以下である。
【0062】135℃のデカリン中で測定される極限粘
度[η]は、好ましくは0.01〜20dl/gであり、
より好ましくは0.05〜10dl/g、さらに好ましく
は0.08〜5dl/gである。
【0063】ASTM D1238に準じ温度260
℃、荷重2.16kgで測定した溶融流れ指数(MF
R)は、通常0.1〜200g/10分であり、好まし
くは1〜100g/10分、さらに好ましく3〜60g
/10分である。
【0064】軟化点は、サーモメカニカルアナライザー
で測定した軟化点 (TMA)として、通常30℃以上で
あり、好ましくは70℃以上、より好ましくは80℃以
上、さらに好ましくは90〜250℃、特に好ましくは
100〜200℃である。ここで、軟化点の測定は、デ
ュポン社製 Thermo Mechanical Analyzerを用いて、厚
さ1mmのシートの熱変形挙動により行った。すなわち
シート上に荷重49gをかけた石英製針を乗せ、5℃/
分の速度で昇温し、針がシート中に0.635mm侵入
した温度を軟化点(TMA)とした。
【0065】上記の環状オレフィン系重合体のなかで
は、α-オレフィン・環状オレフィンランダム共重合体
を水添処理して得られ、軟化点(TMA)が80℃以上
であり、かつ極限粘度[η]が0.05〜10dl/gで
あるものが好ましい。
【0066】さらには、エチレン・テトラシクロドデセ
ン共重合体またはエチレン・ノルボルネン共重合体を水
添処理して得られるものが好ましい。
【0067】本発明における水添処理は、前記した処理
前重合体を、環状飽和炭化水素を主成分とする溶媒中
で、水素添加触媒の存在下に、水素添加することが好ま
しい。処理前重合体の溶剤としては、シクロヘキサン、
n-ヘキサン、デカリン、シクロヘプタン、シクロペンタ
ン、n-ヘプタン、n-オクタンなどがあげられる。これら
は1種単独で、或いは2種以上混合して用いることがで
きる。
【0068】これらの中では、シクロヘキサン、n-ヘキ
サンが好ましく、特に、シクロヘキサンを50重量%以
上含有する溶剤が好ましい。
【0069】水素添加触媒金属としては、Pt、Rh、
Pd、Cu、Y、Fe、Ru、W、Znなどがあげられ
る。好ましくは、ラニーニッケル、活性炭担持パラジウ
ム、ウィルキンソン錯体が用いられる。
【0070】水素添加の方法は、例えば、処理前重合体
を1〜30重量%、好ましくは3〜20重量%溶解した
前記水素添加用の溶媒に、該重合体に対して0.5〜1
0重量%の濃度の触媒(金属として)を加え、反応温度
20〜200℃、好ましくは40〜120℃、水素分圧
0.1〜20MPa、好ましくは0.5〜10MPaに
おいて行う。反応時間は、要求される色相の改善度の応
じて適宜選ばれるが、通常、5分〜12時間、好ましく
は5分〜6時間の間で選ばれる。反応後、触媒は濾過な
どにより除去される。
【0071】本発明においては、上述した環状オレフィ
ン系重合体に、必要に応じて、さらに他の樹脂を配合し
た樹脂組成物を用いることもできる。他の樹脂は、本発
明の目的を損なわない範囲内で添加される。
【0072】ここで、環状オレフィン系重合体に添加し
得る他の樹脂を以下に例示する。 (1)1個または2個の不飽和結合を有する炭化水素から
誘導される重合体 具体的には、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポ
リメチルブテン-1、ポリ4-メチルペンテン-1、ポリブテ
ン-1およびポリスチレンなどのポリオレフィンが挙げら
れる。なおこれらのポリオレフィンは架橋構造を有して
いてもよい。 (2)ハロゲン含有ビニル重合体 具体的にはポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ
フッ化ビニル、ポリクロロプレン、塩素化ゴムなどが挙
げられる。
【0073】(3)α,β-不飽和酸とその誘導体から誘導
された重合体 具体的にはポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポ
リアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、または前記
の重合体を構成するモノマーとの共重合体、たとえばア
クリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体、アク
リロニトリル・スチレン共重合体、アクリロニトリル・
スチレン・アクリル酸エステル共重合体などが挙げられ
る。
【0074】(4)不飽和アルコールおよびアミン、また
は不飽和アルコールのアシル誘導体またはアセタールか
ら誘導される重合体 具体的にはポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポ
リステアリン酸ビニル、ポリ安息香酸ビニル、ポリマレ
イン酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリアリルフタ
レート、ポリアリルメラミン、または前記重合体を構成
するモノマーとの共重合体、たとえばエチレン・酢酸ビ
ニル共重合体などが挙げられる。
【0075】(5)エポキシドから誘導される重合体 具体的にはポリエチレンオキシドまたはビスグリシジル
エーテルから誘導された重合体などが挙げられる。 (6)ポリアセタール 具体的にはポリオキシメチレン、ポリオキシエチレン、
コモノマーとしてエチレンオキシドを含むようなポリオ
キシメチレンなどが挙げられる。 (7)ポリフェニレンオキシド (8)ポリカーボネート (9)ポリスルフォン (10)ポリウレタンおよび尿素樹脂
【0076】(11)ジアミンおよびジカルボン酸および/
またはアミノカルボン酸、または相応するラクタムから
誘導されたポリアミドおよびコポリアミド 具体的にはナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、
ナイロン12などが挙げられる。 (12)ジカルボン酸およびジアルコールおよび/またはオ
キシカルボン酸、または相応するラクトンから誘導され
たポリエステル 具体的にはポリエチレンテレフタレート、ポリブチレン
テレフタレート、ポリ1,4-ジメチロール・シクロヘキサ
ンテレフタレートなどが挙げられる。
【0077】(13)アルデヒドとフェノール、尿素または
メラミンから誘導された架橋構造を有した重合体 具体的には、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂、尿素
・ホルムアルデヒド樹脂、メラミン・ホルムアルデヒド
樹脂などが挙げられる。 (14)アルキッド樹脂 具体的にはグリセリン・フタル酸樹脂などが挙げられ
る。
【0078】(15)飽和および不飽和ジカルボン酸と多価
アルコールとのコポリエステルから誘導され、架橋剤と
してビニル化合物を使用して得られる不飽和ポリエステ
ル樹脂ならびにハロゲン含有改質樹脂。 (16)天然重合体 具体的にはセルロース、ゴム、蛋白質、あるいはそれら
の誘導体たとえば酢酸セルロース、プロピオン酸セルロ
ース、セルロースエーテルなどが挙げられる。
【0079】(17)軟質重合体 例えば、環状オレフィン成分を含む軟質重合体、α-オ
レフィン系共重合体、α-オレフィン・ジエン系共重合
体、芳香族ビニル系炭化水素・共役ジエン系軟質共重合
体、イソブチレンまたはイソブチレン・共役ジエンから
なる軟質重合体または共重合体等が挙げられる。
【0080】さらに前記の環状オレフィン系重合体に、
本発明の目的を損なわない範囲内であれば、その他の任
意成分を配合してもよく、例えば耐候安定剤、耐熱安定
剤などの安定剤、架橋剤、架橋助剤、帯電防止剤、難燃
剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑
剤、染料、顔料、鉱物油系軟化剤、石油樹脂、天然油、
合成油、ワックス、有機または無機の充填剤などが必要
に応じて配合される。
【0081】このような任意成分として配合される耐候
安定剤の紫外線吸収剤の例としては、ベンゾフェノン系
化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ニッケル系化合
物、ヒンダードアミン系化合物があり、具体的には、2,
2',4,4'-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2-(2'-ヒド
ロキシ-3'-t-ブチル-5'-ブチルフェニル)-5-クロロベン
ゾトリアゾールや2-(2'-ヒドロキシ-3'-t-ブチル-5'-ブ
チルフェニル)ベンゾトリアゾール、ビス(3,5-ジ-t-ブ
チル-4-ヒドロキシベンゾイルフォスフォリックアシッ
ドエチルエステルのニッケル塩、ビス(2,2',6,6'-テト
ラメチル-4-ピペリジン)セバケイトなどが挙げられる。
【0082】また、任意成分として含有される安定剤の
例としては、具体的にテトラキス[メチレン-3-(3,5-ジ-
t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタ
ン、β-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロ
ピオン酸アルキルエステル、2,2'-オギザミドビス[エチ
ル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピ
オネートなどのフェノール系酸化防止剤、ステアリン酸
亜鉛、ステアリン酸カルシウム、1,2-ヒドロキシステア
リン酸カルシウムなどの脂肪酸金属塩などが挙げられ
る。これらは組合わせて用いることもでき、たとえばテ
トラキス[メチレン-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ
フェニル)プロピオネート]メタンとステアリン酸亜鉛ま
たはステアリン酸カルシウムとを組合わせて用いること
ができる。
【0083】また安定剤として、たとえばジステアリル
ペンタエリスリトールジフォスファイト、ジ(ノニルフ
ェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、フェ
ニル-4,4'-イソプロピリデンジフェノール-ペンタエリ
スリトールジフォスファイト、ビス(2,4-ジ-t-ブチルフ
ェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、ビス
(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリト
ールジフォスファイト、フェニルビスフェノール-A-ペ
ンタエリスリトールジフォスファイト、トリス(2,4-ジ-
t-ブチルフェニル)フォスファイト、トリス(ノニルフェ
ニル)フォスファイト、テトラキス(2,4-ジ-t-ブチルフ
ェニル)-4,4'-ビフェニレンジフォスファイト、ビス(2,
6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトー
ルジフォスファイトなどのリン系安定剤を用いることも
できる。これらの安定剤は、1種単独または2種以上組
み合わせて用いることができる。
【0084】また有機または無機の充填剤の例として
は、シリカ、ケイ藻土、アルミナ、酸化チタン、酸化マ
グネシウム、軽石粉、軽石バルーン、水酸化アルミニウ
ム、水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、ド
ロマイト、硫酸カルシウム、チタン酸カリウム、硫酸バ
リウム、亜硫酸カルシウム、タルク、クレー、マイカ、
アスベスト、ガラスフレーク、ガラスビーズ、ケイ酸カ
ルシウム、モンモリロナイト、ベントナイト、グラファ
イト、アルミニウム粉、硫化モリブデンなどを挙げるこ
とができる。
【0085】本発明の環状オレフィン系重合体と、他の
樹脂成分や添加剤等との混合方法としては、それ自体公
知の方法が適用できる。たとえば各成分を同時に混合す
る方法などである。
【0086】この様にして得られる環状オレフィン系重
合体は、色相が改善されており、厚さ3mmの成形体で
分光光度計により測定した、400nmにおける光線透
過率が85%以上、好ましくは87%以上、さらに好ま
しくは89%以上を示す、極めて高い透明性を有する重
合体である。
【0087】この重合体は、高い透明性を有するととも
に、低複屈折性、耐熱性、機械的特性、精密成形性、防
湿性(低吸水性)などに優れているので、プラスチック
レンズ、容器、透明シートまたは透明ボード、光記録メ
ディアなどに好ましく用いられる。
【0088】具体的な用途として、球面レンズ、非球面
レンズ、フレネルレンズなどのプラスチックレンズや、
プリズム、導光板、反射板、光ファイバーなどの光学部
品;CD、MD、DVD、MO、PDなどの光記録メデ
ィア;透明ボード;試験管、バイアルビン、アンプル、
錠剤ビン、プレフィルドシリンジ、ディスポーザブルシ
リンジ、分析セル、輸液用バッグ、採血管などの医薬・
医療容器;広口容器;シャンプー用容器、コーヒー用容
器、調味料用容器、飲料用容器などの日用雑貨・食品容
器;透明シートなどが挙げられる。これらの中でもプラ
スチックレンズ、容器、透明シートおよびボード、光記
録メディアなどが特に好ましい。
【0089】
【実施例】次に、本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。本実施例における光線透過率の測定は、分光光度計
を用いて行い、試料には、射出成形機(東芝機械(株)製
IS−50)によりシリンダー温度270℃、金型温度
115℃にてプレス成形された130mm×120mm
×3mm(厚さ)の角板を用いた。
【0090】(実施例1)ガラス転移温度(Tg)14
0℃、極限粘度[η]0.5dl/gであるエチレンとテ
トラシクロドデセンとのランダム共重合体をシクロヘキ
サンに溶解し、濃度15重量%に調製した。その溶液3
00gにラニーニッケル触媒(ニッケル含有量40重量
%)1.3gを加え、水素分圧3MPa、温度100℃
で4時間反応した。触媒を濾過した後、反応液をアセト
ン中に加えて、重合体を析出させた。この重合体を用い
て厚さ3mmのシートをプレス成形し、400nmにお
ける光線透過率を測定した。結果を表1に示す。
【0091】(実施例2)水素添加反応に用いる触媒と
して、活性炭に担持させたパラジウムをパラジウム量換
算で3g用いた以外は、実施例1と同様な操作で水素添
加処理を行った。得られた重合体を用いて厚さ3mmの
シートをプレス成形し、400nmにおける光線透過率
を測定した。結果を表1に示す。
【0092】(比較例)比較のため、実施例1及び2で
用いた処理前重合体であるエチレン・テトラシクロドデ
センランダム共重合体を、シクロヘキサンに溶解し、濃
度15重量%に調製した。その溶液300gを、水素添
加処理を行うことなく、温度100℃で4時間加熱し、
冷却後アセトン中に加えて、重合体を析出させた。得ら
れた重合体を用いて厚さ3mmのシートをプレス成形
し、400nmにおける光線透過率を測定した。結果を
表1に示す。
【0093】
【表1】
【0094】
【発明の効果】本発明に係る環状オレフィン系重合体
は、低複屈折性、耐熱性、機械的特性、精密成形性、防
湿性(低吸水性)などに優れるとともに、特に色相が改
善され、わずかな着色もなくした極めて高い透明性を有
するので、プラスチックレンズなどの光学用成形品、医
薬・医療、食品用などの各種容器、透明シートおよびボ
ード、CD、MD、DVD、MO、PDなどの光記録メ
ディアなどとして好適に用いられる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G02B 1/04 G02B 1/04 G11B 7/24 526 G11B 7/24 526M // C08L 23:08 C08L 23:08 23:26 23:26 45:00 45:00 Fターム(参考) 4F071 AA14X AA15X AA20X AA21X AF30Y AG05 AG07 AH05 AH19 BC01 BC04 4J100 AA02P AA03P AA04P AA07P AA09P AA15P AA16P AA17P AA18P AA19P AA21P AR09Q AR11Q AR21Q AS15Q BA16H BA16Q BB01Q BB03Q BB07Q BC04Q BC33Q BC43Q BC44Q BC48Q BC49Q BC55H BC55Q CA04 CA31 DA62 HA03 HA53 HB13 HC29 HC30 HC36 HC54 HD22 JA33 JA35 JA36 JA58 5D029 KA12

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素原子数が2〜20のα-オレフィン
    と、下記式(I)または(II)で表される環状オレフィ
    ンとの共重合体からなり、厚さ3mmの成形体で測定し
    た400nmにおける光線透過率が85%以上であるこ
    とを特徴とする環状オレフィン系重合体; 【化1】 (上記式(I)中、nは0または1であり、mは0また
    は1以上の整数であり、qは0または1であり、R1
    18ならびにRaおよびRbは、それぞれ独立に水素原
    子、ハロゲン原子または炭化水素基であり、R1 5〜R18
    は互いに結合して単環または多環を形成していてもよ
    く、かつ該単環または多環が二重結合を有していてもよ
    く、またR1 5とR1 6とで、またはR1 7とR1 8とでアルキ
    リデン基を形成していてもよい。)、 【化2】 (上記式(II)中、pおよびqは0または1以上の整数
    であり、mおよびnは0、1または2であり、R1〜R1
    9はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、脂肪族炭
    化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基または
    アルコキシ基であり、R9およびR1 0が結合している炭
    素原子と、R1 3またはR1 1が結合している炭素原子とは
    直接あるいは炭素原子数1〜3のアルキレン基を介して
    結合していてもよく、またn=m=0のとき、R1 5とR
    1 2またはR1 5とR1 9とは互いに結合して単環または多環
    の芳香族環を形成していてもよい。)。
  2. 【請求項2】 炭素原子数が2〜20のα-オレフィン
    と、前記式(I)または(II)で表される環状オレフィ
    ンとを共重合させてなるα-オレフィン・環状オレフィ
    ンランダム共重合体、およびそのグラフト変性物から選
    ばれる処理前重合体を、水素添加処理して得られること
    を特徴とする請求項1に記載の環状オレフィン系重合
    体。
  3. 【請求項3】 前記水素添加処理が、環状飽和炭化水素
    を主成分とする溶媒中で行われることを特徴とする請求
    項2に記載の環状オレフィン系重合体。
  4. 【請求項4】 前記水素添加処理が、シクロヘキサンを
    50重量%以上含有する溶媒中で行われることを特徴と
    する請求項2に記載の環状オレフィン系重合体。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の環状オ
    レフィン系重合体からなるプラスチックレンズ。
  6. 【請求項6】 請求項1〜4のいずれかに記載の環状オ
    レフィン系重合体からなる容器。
  7. 【請求項7】 請求項1〜4のいずれかに記載の環状オ
    レフィン系重合体からなる透明シートまたは透明ボー
    ド。
  8. 【請求項8】 請求項1〜4のいずれかに記載の環状オ
    レフィン系重合体からなる光記録メディア。
JP2000296404A 2000-09-28 2000-09-28 環状オレフィン系重合体 Pending JP2002105131A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000296404A JP2002105131A (ja) 2000-09-28 2000-09-28 環状オレフィン系重合体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000296404A JP2002105131A (ja) 2000-09-28 2000-09-28 環状オレフィン系重合体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002105131A true JP2002105131A (ja) 2002-04-10

Family

ID=18778686

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000296404A Pending JP2002105131A (ja) 2000-09-28 2000-09-28 環状オレフィン系重合体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002105131A (ja)

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006022264A (ja) * 2004-07-09 2006-01-26 Mitsui Chemicals Inc 熱可塑性樹脂組成物
JP2007138045A (ja) * 2005-11-18 2007-06-07 Nippon Zeon Co Ltd 環状オレフィン重合体、その製法、及びブルーレーザ用光学部品
US7649035B2 (en) 2004-12-10 2010-01-19 Konica Minolta Opto, Inc. Thermoplastic composite material and optical element
JP2010027160A (ja) * 2008-07-22 2010-02-04 Konica Minolta Opto Inc 光ピックアップ装置
WO2010067779A1 (ja) 2008-12-09 2010-06-17 出光興産株式会社 光学部品用樹脂原料組成物、光学部品用樹脂および光学部品
US7977440B2 (en) 2008-06-13 2011-07-12 Konica Minolta Opto, Inc. Optical element and optical pickup apparatus
US8013091B2 (en) 2007-07-02 2011-09-06 Idemitsu Kosan Co., Ltd. Resin for optical component, raw material composition used for resin for optical component, and optical component
US8114942B2 (en) 2005-06-30 2012-02-14 Mitsui Chemicals, Inc. Process for producing cycloolefin resin composition, and cycloolefin resin composition
JP2013024925A (ja) * 2011-07-15 2013-02-04 Idemitsu Kosan Co Ltd 顕微鏡用液浸油

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006022264A (ja) * 2004-07-09 2006-01-26 Mitsui Chemicals Inc 熱可塑性樹脂組成物
US7649035B2 (en) 2004-12-10 2010-01-19 Konica Minolta Opto, Inc. Thermoplastic composite material and optical element
US8114942B2 (en) 2005-06-30 2012-02-14 Mitsui Chemicals, Inc. Process for producing cycloolefin resin composition, and cycloolefin resin composition
JP2007138045A (ja) * 2005-11-18 2007-06-07 Nippon Zeon Co Ltd 環状オレフィン重合体、その製法、及びブルーレーザ用光学部品
US8013091B2 (en) 2007-07-02 2011-09-06 Idemitsu Kosan Co., Ltd. Resin for optical component, raw material composition used for resin for optical component, and optical component
US7977440B2 (en) 2008-06-13 2011-07-12 Konica Minolta Opto, Inc. Optical element and optical pickup apparatus
JP2010027160A (ja) * 2008-07-22 2010-02-04 Konica Minolta Opto Inc 光ピックアップ装置
WO2010067779A1 (ja) 2008-12-09 2010-06-17 出光興産株式会社 光学部品用樹脂原料組成物、光学部品用樹脂および光学部品
JP2013024925A (ja) * 2011-07-15 2013-02-04 Idemitsu Kosan Co Ltd 顕微鏡用液浸油

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5220616B2 (ja) 環状オレフィン系重合体組成物、およびその用途
JP3615249B2 (ja) 光拡散板
JP3723616B2 (ja) 環状オレフィン系樹脂組成物およびその用途
JP2001026718A (ja) 熱可塑性樹脂組成物およびその用途
JP2002105131A (ja) 環状オレフィン系重合体
JP3798202B2 (ja) ポリオレフィン系樹脂組成物およびそれから得られる成形体
EP1002833B1 (en) Polyolefin-based resin compositions and fabricated products produced therefrom
JP2001074915A (ja) トーリックレンズ
CA2054028C (en) Cycloolefin random copolymer composition and uses thereof
JP3633672B2 (ja) 環状オレフィン系樹脂組成物成形体
JP3683631B2 (ja) 環状オレフィン系樹脂組成物およびその用途
JPH09176398A (ja) 環状オレフィン系樹脂組成物およびその用途
JP2002114827A (ja) 環状オレフィン系重合体フィルムまたはシート
JPH0919494A (ja) 医療・医薬用成形体
JP7074517B2 (ja) ガンマ線または電子線照射用の環状オレフィン系樹脂組成物、成形体および当該成形体のガンマ線または電子線照射物
KR20010042631A (ko) 열가소성 수지 조성물 및 그 용도
JP2000119474A (ja) 環状オレフィン系樹脂組成物およびその用途
JP2001064321A (ja) 硬化性樹脂用保存容器
JPH1087752A (ja) 環状オレフィン系樹脂ペレット
JP2002114820A (ja) 環状オレフィン樹脂ペレットおよびその製造方法
JP4229553B2 (ja) 環状オレフィン系樹脂成形体の製造方法
JP3559360B2 (ja) 環状オレフィン系樹脂からなる成形体の製造方法
JP2002275314A (ja) 環状オレフィン系重合体組成物及びその成形品
JPH0753794A (ja) 環状オレフィン系樹脂組成物よりなる容器
JP4979155B2 (ja) 環状オレフィン系樹脂シート又はフィルム及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070828

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20081226

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090408

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090603

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090708

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20091110