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JP2002085551A - 白血球除去フィルター材 - Google Patents

白血球除去フィルター材

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Publication number
JP2002085551A
JP2002085551A JP2000282820A JP2000282820A JP2002085551A JP 2002085551 A JP2002085551 A JP 2002085551A JP 2000282820 A JP2000282820 A JP 2000282820A JP 2000282820 A JP2000282820 A JP 2000282820A JP 2002085551 A JP2002085551 A JP 2002085551A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
filter material
leukocyte
chitosan
filter
blood
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000282820A
Other languages
English (en)
Inventor
Jun Tanaka
純 田中
Aiko Sato
愛子 佐藤
Norio Inama
徳生 稲摩
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Kasei Medical Co Ltd
Original Assignee
Asahi Medical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Medical Co Ltd filed Critical Asahi Medical Co Ltd
Priority to JP2000282820A priority Critical patent/JP2002085551A/ja
Publication of JP2002085551A publication Critical patent/JP2002085551A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 第VIII因子及び赤血球の付着を抑制しつ
つ、且つ高い白血球除去能を有することのできる、白血
球含有液から白血球を除去するためのフィルター材、お
よび白血球除去方法を提供すること。 【解決手段】 白血球除去フィルター材の少なくとも表
面に平均分子量が50,000以上200,000未満
であるキトサンをフィルター材1g当たり10.0〜2
5.0mgのコート量で導入することを特徴とする白血
球フィルター材、および該フィルター材を用いる白血球
除去方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、白血球含有液から
白血球を除去するためのフィルター材および白血球除去
方法に関する。より詳細には、白血球含有液である全血
製剤から有用成分である第VIII因子の付着を抑制しな
がら白血球を除去するための白血球除去フィルター材、
及び該白血球除去フィルター材を用いた白血球の除去方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】輸血の分野においては、血液製剤中に含
まれている混入白血球を除去してから血液製剤を輸血す
る、いわゆる白血球除去輸血が普及してきている。これ
は、輸血に伴う頭痛、吐き気、悪寒、非溶血性発熱反応
などの比較的軽微な副作用や、受血者に深刻な影響を及
ぼすアロ抗原感作、ウィルス感染、輸血後GVHDなどの重
篤な副作用が、主として輸血に用いられた血液製剤中に
混入している白血球が原因で引き起こされることが明ら
かにされたためである。
【0003】その白血球除去方法には、大きく分けて遠
心分離機を用いて血液成分の比重差を利用して白血球を
分離除去する遠心分離法と、繊維素材や、連続気孔を有
する多孔質体などの多孔質素子からなるフィルター材を
用いて白血球を除去するフィルター法の2種類がある。
フィルター法は、白血球除去能に優れていること、操作
が簡便であること、及びコストが安いことなどの利点を
有するため現在普及している。
【0004】さらに、近年は、血液製剤の高品質保持を
目的として、血液センターで血液製剤から白血球除去フ
ィルターを使用して白血球を除去した後、調製した各種
血液製剤を保存するというシステムが検討されている。
その中でも、予め採血後の全血から白血球を除去した
後、赤血球製剤や血漿製剤などの製剤を調整する方法が
普及しはじめている。
【0005】上記の繊維素材や多孔質体などのフィルタ
ー材による白血球除去の機構は、主としてフィルター材
表面と接触した白血球が、フィルター材表面に粘着又は
吸着されることによるとされている。従って、従来のフ
ィルター材における白血球除去能の向上の手段として、
フィルター材と白血球との衝突頻度を高めること、即ち
繊維径やフィルター材の細孔径を小さくしたり、フィル
ター装置内におけるフィルター材の充填密度を高めるこ
となどの検討が行われてきた。しかしながら、全血製剤
のように、製剤中に高い割合で赤血球を含む製剤におい
て、上記の手段のみを用いて高性能化を行うには限界が
あった。即ち、白血球のフィルター材への接触頻度を高
めるに伴い、製剤中に高濃度で存在する赤血球のフィル
ター材への接触頻度及び通液抵抗も高まり、処理時間の
延長や赤血球膜の破壊に伴う溶血が生じる等の問題があ
った。
【0006】一方、フィルター材の表面化学性状に着目
した検討もなされている。特公平01―042906号
公報では親水性かつ負荷電の表面を有するフィルター材
を開示しており、WO87/05812では非イオン性
親水基と塩基性含窒素官能基を有し、塩基性含窒素官能
基を0.2重量%以上4.0重量%未満含有するフィル
ター材を開示している。しかしながら、上記の技術は粘
着性の高い細胞として知られる血小板の通過率を向上さ
せつつ白血球除去能の維持を目的としており、白血球除
去能をさらに向上させることは困難であった。また、特
開平06―247862公報には塩基性官能基と非イオ
ン性親水基を有し、塩基性官能基の非イオン性親水基に
対するモル比が0.6以上6未満、かつ塩基性官能基を
5×10-5meq/m2以上0.1meq/m2未満の密
度で有するフィルター材を開示している。しかしなが
ら、このフィルター材は赤血球の付着抑制効果が充分で
なく、白血球の除去能を安定して向上させることが困難
であった。
【0007】また、WO99/11304によれば、2
5g/L以下の血漿蛋白濃度の血液から白血球を除去す
るフィルター材としてその表面に非イオン性の親水性部
分と塩基性部分とを含む親水性塩基性基を有しており、
該親水性塩基性基において、該親水性部分が該塩基性部
分より末端側に位置している白血球除去フィルター材が
開示されている。しかし全血の場合、血漿蛋白濃度が5
0g/L〜80g/Lと高く、WO99/11304に
開示されている技術では、全血から白血球を除去する
際、白血球除去能を安定して向上させることが困難であ
った。
【0008】また、全血から白血球を除去し、赤血球及
び血小板を回収するフィルター材として、特開平10−
338639公報には、平均分子量200,000〜7
00,000のキトサン及びキトサン誘導体を基材表面
に塗布した白血球除去フィルター材が開示されている。
しかし、上記フィルター材では、有用成分の一つである
第VIII因子がフィルター材表面に吸着され、第VIII因
子の回収量が不十分であった。また、上記フィルター
は、キトサンのコート量が多いために、該フィルターを
用いて実際に血液処理を行うとき、溶出物量が多く、医
療器具の溶出物安全基準内に納まらない恐れがある。
【0009】第VIII因子は血友病の治療に使用される
極めて重要な成分であるが、原料となる血液にはわずか
な量しか含まれておらず、それゆえ、原料血液をフィル
ターで濾過した際に、フィルター表面に吸着して回収で
きない第VIII因子を10%以下に留めることが、献血
で提供された血液を有効に活用する上で極めて重要な問
題であった。しかしながら、従来の白血球除去フィルタ
ー材は何れも吸着性が高く、満足な回収率を得ることが
できなかった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の第一の課題
は、第VIII因子及び赤血球の付着を抑制しつつ、白血
球に対する親和性が極めて高く、白血球含有液を濾過す
る際に格段に高い白血球除去能を発揮できると共に溶出
物が少ない白血球除去フィルター材を提供することにあ
る。本発明の第二の課題は、血漿蛋白濃度が50g/L
〜80g/Lと高濃度である全血製剤等の白血球含有液
から、第VIII因子及び赤血球付着を抑制しつつ、白血
球を非常に高い効率で除去する方法を提供することであ
る。
【0011】
【課題を解決する手段】本発明者らは、少なくともその
表面に、平均分子量が50,000以上200,000
未満であるキトサンがフィルター材当たり10.0〜2
5.0mg/gのコート量で導入された、白血球除去フ
ィルター材を用いれば、上記課題を達成できることを見
出した。すなわち、本発明は、白血球含有液から、有用
成分である第VIII因子および赤血球を高い効率で回収
しながら、白血球を除去し、かつ溶出量を少なく抑える
ためには、フィルター材表面にコートするキトサンの平
均分子量が50,000以上200,000未満であ
り、コート量がフィルター材当たり10.0〜25.0
mg/gであることが必要であることを見出した結果な
されたものである。
【0012】本発明は、白血球含有液から白血球を除去
するフィルター材であって、該フィルター材は、少なく
ともその表面に平均分子量が50,000以上200,
000未満であるキトサンがフィルター材当たり10.
0〜25.0mg/gのコート量で導入された、白血球
除去フィルター材に関する。また、本発明は、少なくと
も、1)導入口、2)前記の白血球除去フィルター材を
含むフィルター、3)導出口、を含む装置を用い、導入
口から白血球含有液を注入し、導出口から該フィルター
で濾過された液を回収することからなる、白血球含有液
から白血球を除去する方法に関する。
【0013】
【本発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明す
る。本発明の白血球除去フィルター材とは、フィルター
材を形成する基材と該基材の表面にキトサンが導入され
たフィルター材である。ここでキトサンが導入されてい
るとは、キトサンが共有結合、イオン結合、物理吸着、
包埋、沈殿不溶化等のあらゆる公知の方法によってフィ
ルター材を形成する基材の表面に脱落しないように導入
されていることを言う。
【0014】本発明のキトサンにおいて、その分子量は
50,000以上200,000未満であることが必要
である。平均分子量が50,000以下の場合は、血液
濾過中に、基材に導入されたキトサンが脱落すなわち溶
出しやすくなるため適さない。また、200,000以
上の場合は、血小板の回収率は高まるものの白血球除去
能が安定して向上せず、第VIII因子の回収率も低くな
るため適さない。より好ましくは平均分子量が80,0
00以上160,000未満、更に好ましくは平均分子
量が90,000以上130,000未満である。
【0015】また、キトサンの脱アセチル化度は、75
%以上95%未満が好ましい。脱アセチル化度が75%
未満の場合、溶媒への溶解性が悪くなり基材表面に均一
に導入されないため白血球除去能が安定して向上しない
傾向にある。脱アセチル化度が95%以上の場合、血液
濾過中に、基材に導入されたキトサンが脱落すなわち溶
出しやすくなるため好ましくない。より好ましくは80
%以上90%未満である。
【0016】上記のキトサンは、例えば和光純薬工業
(株)から、キトサン10、キトサン100、キトサン
500、キトサン1000として入手した試薬を、ゲル
バーミエーションクロマトグラフィーを利用して分画し
て得ることができる。
【0017】本発明におけるキトサンの基材へのコート
濃度は、0.1%以上3.0%未満であることが好まし
い。コート濃度が0.1%未満の場合は、コート量が不
十分でフィルター材への第8因子と赤血球の吸着抑制効
果が十分に得られず、白血球除去能も向上しない傾向に
ある。3.0%以上の場合は、コート膜が基材繊維間に
またがって形成され、基材のポアが閉塞する傾向にあ
る。そのため白血球含有液の片流れや流速の低下が起こ
り、十分な白血球除去能を得ることができなくなる傾向
にあるため好ましくない。より好ましくは、0.2%以
上2.0%未満,更に好ましくは0.3%以上1.5%
未満である。
【0018】キトサンの基材へのコート量は、フィルタ
ー1g当たり10.0〜25.0mgである。コート量
が、10.0mg/gより少ないときは、所望の白血球
除去能を発揮することができず、25.0mg/gを超
えるときには、溶出量が多くなり不適当である。
【0019】本発明におけるフィルター材を形成する基
材としては、メルトブロー法やフラッシュ紡糸法あるい
は抄造法などによって製造された不織布の他、紙、織
布、編布等の繊維や連続した細孔を有する多孔質体(ス
ポンジ状構造物)、多孔膜などが挙げられる。この中で
も不織布あるいは多孔質体は、白血球を効率良く除去で
きる構造であるため好ましい。
【0020】フィルター材を形成する基材が繊維よりな
る場合、その素材としては、ポリアミド、ポリエステ
ル、ポリアクリロニトリル、ポリトリフルオロエチレ
ン、ポリメチルメタアクリレート、ポリスチレン、ポリ
エチレン、ポリプロピレンなどの合成繊維や、セルロー
スなどの再生繊維や精製繊維、セルロースアセテートな
どの半合成繊維、麻、綿、絹などの天然繊維、ガラス繊
維などの無機繊維を挙げることができる。この中でも製
造のし易さ、取扱いのし易さなどの観点からポリエステ
ル、ポリプロピレン、ポリエチレンの合成繊維、セルロ
ースからなる再生繊維または精製繊維であることがより
好ましい。
【0021】さらに、繊維を基材とする場合、ほぼ均一
な繊維径を有する繊維からなる基材であっても良いし、
WO97/23266号に開示されているような、繊維
径の異なる、複数種の繊維が混繊された形態の基材であ
っても良い。
【0022】また、こられの繊維は平均繊維径が0.0
1μm以上3.0μm未満であることが好ましい。平均
繊維径が0.01μm未満であると繊維としての機械的
強度が低く、安定して製造できない恐れがあるため好ま
しくない。平均繊維径が3.0μm以上であると白血球
との接触頻度が低く、本発明の効果が発揮されない恐れ
があるため好ましくない。より好ましい平均繊維径は
0.1μm以上2.0μm未満である。なお、ここで言
う繊維の平均繊維径とは、以下の手順によって求められ
る値である。白血球除去フィルター材または該フィルタ
ー材を形成する繊維基材から実質的に均一と認められる
部分をサンプリングし走査型電子顕微鏡などを用いて写
真に撮る。サンプリングに際しては、一辺が0.5cm
程度の正方形によって区分し、その中から6ヶ所をラン
ダムサンプリングする。またサンプリングした各区分に
ついて3ヶ所以上、好ましくは5ヶ所以上を拡大倍率2
000倍以上で写真に撮る。この写真の上に0.1mm
から10mm程度の等間隔で縦及び横に線を引いた格子
状の透明なシートを載せ、縦線と横線の交点、即ち格子
点にある繊維について繊維軸に対して直角方向の繊維の
幅を測定し、これを繊維径とする。このような測定を5
0本以上、好ましくは100本以上の繊維について測定
し、その平均値を平均繊維径とする。ただし、複数の繊
維が重なり合っており、他の繊維の陰になってその幅が
測定できない場合、また複数の繊維が溶融するなどして
太い繊維になっている場合等々の場合にはこれらのデー
タは削除する。
【0023】フィルター材を構成する基材が多孔質体あ
るいは多孔膜である場合、その素材としてはポリアクリ
ロニトリル、ポリスルホン、セルロース、セルロースア
セテート、ポリビニルホルマール、ポリエステル、ポリ
(メタ)アクリレート、ポリウレタンなどを例示するこ
とができる。また、多孔質体あるいは多孔膜の平均孔径
は1μm以上30μm未満であることが好ましい。平均
孔径が1μm未満であると、赤血球の通過抵抗に起因す
る処理時間の延長が起こる恐れがあるため好ましくな
い。平均孔径が30μmを超えると、白血球との衝突頻
度が低下し、本発明の効果が発揮されない恐れがあるた
め好ましくない。より好ましい平均孔径は5μm以上1
5μm未満である。なお、ここで言う平均孔径とは、水
銀圧入法で測定した値である。即ち、水銀圧入圧0.1
psiaの時の水銀圧入量を0%、水銀圧入圧180p
siaの時の水銀圧入量を100%としたときの、50
%の水銀圧入圧に相当する細孔径を平均孔径とする。
【0024】本発明において、フィルター材表面にキト
サンを導入する方法は、フィルター材の少なくとも表面
にキトサンが導入できる方法であればいずれの方法でも
良い。具体的には、コーティング法、含浸法、基材表面
に塗布する方法、、化学結合法などが挙げられる。
【0025】本発明の第二の課題は、50g/L〜80
g/Lと血漿蛋白濃度が高い全血製剤等の白血球含有液
から、第VIII因子及び赤血球の付着を抑制しつつ、白
血球を非常に高い効率で除去する白血球除去方法を提供
することである。本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、
少なくとも導入口と導出口を有する容器内に本発明の白
血球除去フィルター材を適切に充填した装置で白血球含
有液を濾過し、濾過された液を回収することによって、
上記第二の課題を達成できることを見出した。本発明の
白血球除去フィルター材を充填した装置で濾過する白血
球含有液としては、50g/L〜80g/Lと血漿蛋白
濃度が高い全血製剤などが挙げられる。このような白血
球含有液を、本発明の白血球除去フィルター材を充填し
た装置で濾過することによって白血球を効率よく除去す
ることができ、第VIII因子や赤血球の付着をも抑制す
る、良好な結果を与えることができる。
【0026】
【発明の実施の形態】次に、実施例により本発明をより
詳細かつ具体的に説明するが、本発明はこれに限定され
るものではない。
【実施例1】[フィルターの製造]平均繊維径が12μ
mのポリエステル製不織布0.8gと、その下層にメル
トブロー法によって製造された、平均繊維径が約1.7
μmのポリエステル不織布0.6gと平均繊維径が約
1.3μmのポリエステル不織布5.8gとを、血液の
導入口と導出口を有し有効濾過断面積が44.9cm2
(6.7cm×6.7cm)の容器に、充填密度が約
0.23g/cm3となるように充填した。なお、ここ
で示した不織布の重量は、有効濾過断面積に相当する不
織布の充填重量である。平均分子量100,000、脱
アセチル化度85%のキトサンを、1%酢酸中に溶解し
て0.5%キトサン溶液を作成し、上記のフィルターに
充填し1分間静置した。その後窒素ガスによって余分な
液を吹き飛ばし、さらに45℃で16時間真空乾燥させ
ることによってフィルター装置を作製した。得られたフ
ィルター材のキトサンコート量は、13.6mg/gで
あった。
【0027】[平均分子量の測定]実施例および比較例
におけるキトサンの平均分子量は、次のようにして測定
した。1%酢酸水溶液を溶媒として、0.5wt%およ
び2.0wt%のキトサン溶液を調製する。酢酸水溶液
の調製には脱イオン水を使用した。調製したキトサン溶
液を、25℃で3時間静置した後、回転粘度計(東機産
業(株)製、R100型)を使用して粘度を測定した。
粘度の測定には、含有する重金属が影響するため、粘度
を測定するキトサンは、EDTA・2Naを添加し脱イ
オン水に十分透析した後、苛性アルカリ−メタノールで
沈殿させ、塩分を十分洗浄して乾燥させて試料とした。
平均分子量の算出には、下記の粘度式を用いた。 [η]=K・Mα 式(1) [η]:極限粘度、K:定数、M:平均分子量、α:定
数 本発明の平均分子量算出にあたっては、K=8.93×
10-4、α=0.71を使用した。[η]は、次の手順
で求めた。 ここで、ηsp=(η−η0)/η0、η:キトサン溶液の
粘度、η0:溶媒の粘度、Cはキトサン溶液の濃度であ
る。キトサン溶液の濃度を横軸に、ηsp/Cを縦軸にプ
ロットし、C=0に外挿して[η]を求める。求めた
[η]から、式(1)により平均分子量Mを計算した。
【0028】[コート量の測定]実施例及び比較例のコ
ート量は、以下のような色素吸着法によって測定した。
色素吸着法は、負の荷電を有するトリパンブルーのよう
な色素を親水性塩基性基中の塩基性部分に吸着させ、ト
リパンブルー溶液の吸光度変化量からフィルター材表面
にコーティングされたキトサン量を定量する方法であ
る。より具体的にはトリパンブルーを含むpHが約6の
水溶液を調製してこれを元液とする。次にこの元液をフ
ィルター材に適当量含浸させ、16時間以上室温下で接
触させる。元液とフィルター材に含浸させた後の上清液
との吸光度を578nmの可視光で測定し、吸光度差か
らフィルター材単位重量当たりのコート量を算出する。
【0029】[溶出物量の測定]実施例及び比較例のフ
ィルターの溶出物量は、次のように蒸発残留物量を測定
することにより知ることができる。蒸発残留物量の測定
は、厚生省告示第301号(昭和45年8月10日)
「ディスポーザブル輸血セット基準V−(2)に準ず
る。フィルター材1.5gをとり、細片とし、水約15
0mLで30分間煮沸した後、水を加えて正確に150
mLとし、これを試験液とする。試験液10mLを水浴
上で蒸発乾固し、残留物を105℃で1時間乾燥した
後、測定した重量(mg)を蒸発残留物量とした。その
量が1.0mgであるときに医療器具の溶出物安全基準
を満たしていることになる。
【0030】[血液処理法]400mLの血液に抗凝固
剤として56mLのCPD液(組成:クエン酸ナトリウ
ム26.3g/L、クエン酸3.27g/L、グルコー
ス23.2g/L、リン酸2水素ナトリウム2.51)
を加えて調製した全血製剤456mLを、20℃で6時
間保存した。保存後の全血製剤456mLを、上記フィ
ルターを用い、落差70cmで濾過した。濾過中の血液
処理流速は、25mL/minに調整した。濾過を開始
するにあたり、フィルターを、血液回路を介して全血製
剤が入っている血液バッグに接続後、血液バッグを手で
つかんで加圧し、強制的にフィルター内に血液を満たし
た。かくして、フィルター内に血液が満たされた後、血
液バッグ内に血液がなくなるまで濾過を行い、濾過した
血液を回収した。この時の濾過時間は、フィルターの導
出口より血液が流出し始めた時から血液バッグ内の血液
がなくなるまでとした。
【0031】[白血球除去能]濾過前の全血製剤(以
下、濾過前液と言う)、及び回収された全血製剤(以
下、回収液と言う)の白血球濃度と、濾過前液の体積及
び回収液の体積を測定し、以下の式(I)に従って白血
球除去能を求めた。 白血球除去能=−Log{(回収液中の白血球濃度×回収液体積)/(濾過前 液中の白血球濃度×濾過前液体積)} (I) なお、濾過前液及び回収液の体積は、それぞれの重量を
血液製剤の比重(1.05)で割った値とした。濾過前
液の白血球濃度は、チュルク液によって10倍希釈し、
ビュルケルチュルク型の血球計算盤に注入して、光学顕
微鏡を用いて白血球数をカウントすることによって測定
した。また、回収液の白血球濃度の測定は、以下に示す
方法によって行った。回収液を、リューコプレート液
(SOBIODA社製)にて5倍希釈する。希釈液をよ
く混和した後、室温にて6〜10分間放置した。これ
を、2,750×gで6分間遠心し、上清を除去して液
量を1.02gに調整した。この試料液をよく混和した
後、ナジェット型の血球計算盤に注入し、光学顕微鏡を
用いて白血球数をカウントすることによって白血球濃度
を測定した。
【0032】[赤血球回収率]赤血球回収率は、次式
(II)により求めた。 赤血球回収率(%)={(回収液重量×回収液のヘマトクリット)/(濾過前液 重量×濾過前液のヘマトクリット)}×100 (II) ヘマトクリットは、微量血液検査用ガラス毛細管に血液
を入れ、遠心処理を行い、ヘマトクリットリーダーを用
いて測定した。
【0033】[第VIII因子回収率]また、第VIII因子
の回収率は、次式(III)により求めた。 第VIII因子回収率(%)={(回収液の第VIII因子活性率(%))/(濾過前後 の第VIII因子活性率(%))}×100 (III) 第VIII因子活性率(%)は、通常の方法で測定した。
【0034】[評価]以上の結果、白血球除去能は3.
3、赤血球回収率は91%、第VIII因子回収率は95
%であり、高い白血球除去能と赤血球回収能を発揮し、
かつ第VIII因子の損失も10%以下と良好であった。
また、前記の方法で測定した溶出物量は、0.64mg
であり、溶出物基準を満たしていた。なお、上記の実施
例において、濾過後にフィルター装置内に約10%の血
液が残留するが、赤血球回収率は残留した血液を回収し
ないまま求めた。よって、この算出法による赤血球回収
率が90%であるということは、フィルターを通過した
血液に換算すれば、殆ど100%の赤血球が回収されて
いるということになる。
【0035】
【実施例2】コーティング液として、平均分子量10
0,000、脱アセチル化度85%のキトサンを、1%
酢酸中に溶解し1.0%キトサン溶液を使用してコート
量21.2mg/gのフィルター材を得た以外は、実施
例1と同様な方法によりフィルターを作製した。実施例
1と同様な方法により全血製剤を濾過したところ、白血
球除去能は3.5、赤血球回収率は90%、第VIII因
子回収率は95%であり、高い白血球除去能と赤血球回
収能を発揮し、かつ第VIII因子の損失も10%以下と
良好であった。また、溶出物量は、0.81mgで基準
内であった。
【0036】
【実施例3】コーティング液として、平均分子量15
0,000、脱アセチル化度88%のキトサンを、1%
酢酸中に溶解し0.5%キトサン溶液を使用してコート
量12.1mg/gのフィルター材を得た以外は、実施
例1と同様な方法によりフィルターを作製した。実施例
1と同様な方法により全血製剤を濾過したところ、白血
球除去能は3.1、赤血球回収率は91%、第VIII因
子回収率は93%であり、高い白血球除去能と赤血球回
収能を発揮し、かつ第VIII因子の損失も10%以下と
良好であった。また、溶出物量は、0.52mgで基準
内であった。
【0037】
【実施例4】コーティング液として、平均分子量18
0,000、脱アセチル化度87%のキトサンを、1%
酢酸中に溶解し1.0%キトサン溶液を使用ししてコー
ト量19.6mg/gのフィルター材を得た以外は、実
施例1と同様な方法によりフィルターを作製した。実施
例1と同様な方法により全血製剤を濾過したところ、白
血球除去能は3.3、赤血球回収率は91%、第VIII
因子回収率は93%であり、高い白血球除去能と赤血球
回収能を発揮し、かつ第VIII因子の損失も10%以下
と良好であった。また、溶出物量は、0.72mgで基
準内であった。
【0038】
【比較例1】コーティング液として、平均分子量25
0,000、脱アセチル化度87%のキトサンを、1%
酢酸中に溶解し0.5%キトサン溶液を使用した以外
は、実施例1と同様な方法によりフィルターを作製し
た。コート量は、14.1mg/gであった。実施例1
と同様な方法により全血製剤を濾過したところ、白血球
除去能は2.7、赤血球回収率は91%、第VIII因子
回収率は88%であり、第VIII因子の回収率が悪かっ
た。フィルター材表面にコーティングしたキトサンの平
均分子量が200,000を超えたため、血液を濾過し
ている間に、フィルター材表面に吸着されて回収できな
かった第VIII因子の量が増加し、第VIII因子の損失が
10%を超えたと考えられる。なお、溶出物量は0.5
8mgであった。
【0039】
【比較例2】コーティング液として、平均分子量25
0,000、脱アセチル化度87%のキトサンを、1%
酢酸中に溶解し1.0%キトサン溶液を使用した以外
は、実施例1と同様な方法によりフィルターを作製し
た。コート量は、20.6mg/gであった。実施例1
と同様な方法により全血製剤を濾過したところ、白血球
除去能は2.8、赤血球回収率は90%、第VIII因子
回収率は85%であり、第VIII因子の損失が10%を
超えた。フィルター材表面にコーティングされたキトサ
ンの量を、比較例1の場合に比べて増加させたにも関わ
らず、白血球除去能は、ほとんど向上せず、逆に第VII
I因子の回収率が低下した。フィルター材表面にコーテ
ィングしたキトサンの平均分子量が200,000を超
えた場合、コーティング量を増加させることで、血液を
濾過している間にフィルター材表面に吸着されて回収で
きない第VIII因子の量が増加すると考えられる。な
お、溶出物量は、0.80mgであった。
【0040】
【比較例3】コーティング液として、平均分子量50
0,000、脱アセチル化度90%のキトサンを、1%
酢酸中に溶解し0.5%キトサン溶液を使用した以外
は、実施例1と同様な方法によりフィルターを作製し
た。コート量は、15.2mg/gであった。実施例1
と同様な方法により全血製剤を濾過したところ、白血球
除去能は2.5、赤血球回収率は90%、第VIII因子
回収率は85%であり、第VIII因子の回収率が悪かっ
た。フィルター材表面にコーティングしたキトサンの平
均分子量が200,000を超えた場合、平均分子量が
増加することで、フィルター材表面に吸着されて回収で
きない第VIII因子の量が増加すると考えられる。な
お、溶出物量は、0.64mgであった。
【0041】
【比較例4】コーティング液として、平均分子量22
0,000、脱アセチル化度87%のキトサンを、1%
酢酸中に溶解し0.5%キトサン溶液を使用した以外
は、実施例1と同様な方法によりフィルターを作製し
た。コート量は、13.7mg/gであった。実施例1
と同様な方法により全血製剤を濾過したところ、白血球
除去能は2.7、赤血球回収率は90%、第VIII因子
回収率は88%であり、第VIII因子の回収率が悪かっ
た。フィルター材表面にコーティングしたキトサンの平
均分子量が200,000を超えた場合、第VIII因子
の損失が10%を超えると考えられる。なお、溶出物量
は、0.77mgであった。
【0042】
【比較例5】コーティング液として、平均分子量40,
000、脱アセチル化度87%のキトサンを、1%酢酸
中に溶解し0.5%キトサン溶液を使用した以外は、実
施例1と同様な方法によりフィルターを作製した。コー
ト量は、7.4mg/gであった。実施例1と同様な方
法により全血製剤を濾過したところ、白血球除去能は
2.1、赤血球回収率は90%、第VIII因子回収率は
88%であり、白血球除去能と第VIII因子回収率共に
低かった。フィルター材表面にコーティングしたキトサ
ンの平均分子量が50,000未満の場合、血液濾過中
にコーティングしたキトサンが脱落し、期待するキトサ
ンの効果が得られず、また、コート量も少ないために、
白血球除去能と第VIII因子回収率が共に低かったと考
えられる。なお、溶出物量は、0.52mgであった。
【0043】
【比較例6】コーティング液として、平均分子量15
0,000、脱アセチル化度88%のキトサンを、1%
酢酸中に溶解し2.0%キトサン溶液を使用した以外
は、実施例1と同様な方法によりフィルターを作製し
た。コート量は、34.3mg/gであった。実施例1
と同様な方法により全血製剤を濾過したところ、白血球
除去能は3.1、赤血球回収率は90%、第VIII因子
回収率は90%であった。また、溶出物量は1.24m
gであった。白血球除去能、赤血球回収率、第VIII因
子回収率は共に一応の性能のものが得られているが、溶
出物量が高く溶出基準を満たしていない。これは、コー
ト量が多すぎるためであると考えられる。
【0044】
【比較例7】コーティング液として、平均分子量25
0,000、脱アセチル化度87%のキトサンを、1%
酢酸中に溶解し3.2%キトサン溶液を使用した以外
は、実施例1と同様な方法によりフィルターを作製し
た。コート量は、47.6mg/gであった。実施例1
と同様な方法により全血製剤を濾過したところ、白血球
除去能は2.3、赤血球回収率は89%、第VIII因子
回収率は78%であった。また、溶出物量は、1.83
mgであった。平均分子量が250,000と高く、ま
た、コート量が47.6mg/gと高いために、第VII
I因子回収率が低く、また、溶出物量が多くなったもの
と考えられる。
【0045】実施例1〜4、比較例1〜4の結果を表
1、表2にまとめて示す。
【表1】 実施例
【0046】
【表2】比較例
【0047】
【発明の効果】以上のとおり、少なくとも表面に平均分
子量が、50,000以上200,000未満であるキ
トサンが導入された白血球除去フィルター材によって、
第VIII因子及び赤血球の付着を抑制し、白血球に対す
る親和性が極めて高い白血球除去フィルター材を提供す
ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 稲摩 徳生 大分県大分市大字里2111番地2号 旭メデ ィカル株式会社内 Fターム(参考) 4C077 AA12 BB02 BB03 KK11 KK13 MM09 NN02 PP02 PP03 PP05 PP08 PP10 PP12 PP13 PP15 4D019 AA03 BA04 BA12 BA13 BB02 BB03 BB07 BB08 BC05 BC09

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 白血球含有液から白血球を除去するフィ
    ルター材であって、該フィルター材には、少なくともそ
    の表面に平均分子量が50,000以上200,000
    未満であるキトサンがフィルター材1g当たり10.0
    〜25.0mg導入されていることを特徴とする白血球
    除去フィルター材。
  2. 【請求項2】 1)導入口、2)請求項1記載の白血球
    除去フィルター材を含むフィルター、3)導出口、を少
    なくとも含む白血球除去装置を用い、導入口から白血球
    含有液を注入し、導出口から該フィルターで濾過された
    液を回収することからなる、白血球含有液から白血球を
    除去する方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20190100633A (ko) * 2018-02-21 2019-08-29 건양대학교산학협력단 백혈구제거용 혈액필터 모듈 및 그 제조방법

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20190100633A (ko) * 2018-02-21 2019-08-29 건양대학교산학협력단 백혈구제거용 혈액필터 모듈 및 그 제조방법
KR102074799B1 (ko) * 2018-02-21 2020-02-07 건양대학교산학협력단 백혈구제거용 혈액필터 모듈 및 그 제조방법

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