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JP2002066999A - 微小バルブ機構及びその製造方法 - Google Patents

微小バルブ機構及びその製造方法

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Publication number
JP2002066999A
JP2002066999A JP2000260663A JP2000260663A JP2002066999A JP 2002066999 A JP2002066999 A JP 2002066999A JP 2000260663 A JP2000260663 A JP 2000260663A JP 2000260663 A JP2000260663 A JP 2000260663A JP 2002066999 A JP2002066999 A JP 2002066999A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
gel
thermosensitive
groove
chamber
temperature
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2000260663A
Other languages
English (en)
Inventor
Takanori Anazawa
孝典 穴澤
Atsushi Teramae
敦司 寺前
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kawamura Institute of Chemical Research
Original Assignee
Kawamura Institute of Chemical Research
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kawamura Institute of Chemical Research filed Critical Kawamura Institute of Chemical Research
Priority to JP2000260663A priority Critical patent/JP2002066999A/ja
Publication of JP2002066999A publication Critical patent/JP2002066999A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明が解決しようとする課題は、耐圧性が
高く、また開閉操作に大きな機構が不要で、しかも、実
用的な時間で開閉が可能な、微小バルブ機構及びその製
造方法を提供することにある。 【解決手段】 部材中に毛細管状流路を有し、流路の途
中に流路に面して、感温性ゲルが充填されたゲル室を有
することを特徴とする微小バルブ機構、及び毛細管状流
路の途中に流路に面して形成されたゲル室に、エネルギ
ー線照射によって感温性ゲルを形成する溶液を充填し、
ゲルを形成する部分にエネルギー線を照射して、該ゲル
室内に感温性ゲルを形成する微小バルブ機構の製造方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、微小ケミカルデバ
イス、即ち、部材に微小な流路、反応槽などの構造が形
成された化学・生化学反応用微小デバイス(マイクロ・
リアクター)、膜濾過デバイス、透析デバイス、脱気・
吸気デバイス、抽出デバイスなどの化学的・物理化学的
処理デバイス、DNA分析デバイス、電気泳動デバイ
ス、クロマトグラフィーデバイスなどの微小分析デバイ
ス等、に組み込まれ、或いは接続されて使用される微小
バルブ機構に関し、更に詳しくは、感温性ゲルのゲル転
移を利用して開閉や流量調節を行う微小バルブ機構に関
する。
【0002】
【従来の技術】「サイエンス」誌(第288巻、113
頁、2000年)には、シリコンゴムで形成された液体
流路と、該流路とシリコンゴムの隔壁を隔てて形成され
た加圧用流体導入部を有する微小ケミカルデバイスが記
載されている。そして、該加圧用流体導入部に圧縮空気
を導入し、シリコンゴム隔壁をたわめて流路側に押し出
すことによって流路断面積を変化させて、開閉や液体の
流量調節を行う方法が記載されている。一方では、通常
寸法の流路の開閉に感温性ゲルを利用しようとする試み
もあった。
【0003】しかしながら、このような微小ケミカルデ
バイスは、隔壁を柔軟な素材で形成することが必須であ
るため、流路の耐圧性が低く、また、液体の圧力変化に
よって流路断面積が変化し、流量が圧力に比例しないな
どの不都合があり、更に外部から圧縮空気を導入する機
構を必要とした。また、感温性ゲルを通常寸法のバルブ
に利用しようとする試みは、開閉に長時間を要する欠点
があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、耐圧性が高く、また開閉操作に大きな機構
が不要で、しかも、実用的な時間で開閉が可能な、微小
バルブ機構及びその製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決する方法について鋭意検討した結果、感温性ゲル
のゲル転移に伴う寸法変化を利用してゲルに直線運動を
生じさせることにより、流路の開閉や流量調節が可能で
あること、しかも十分に速い速度で開閉可能であること
を見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】即ち、本発明は、 (1)部材中に毛細管状流路を有し、流路の途中に流路
に面して、感温性ゲルが充填されたゲル室を有すること
を特徴とする微小バルブ機構と、
【0007】(2)毛細管状流路の断面(幅×高さ)が
(1μm×1μm)〜(3mm×3mm)の範囲である
(1)に記載の微小バルブ機構と、
【0008】(3)流路接面からのゲル室の奥行きが、
流路幅の0.5〜100倍である上記の(1)又は
(2)に記載の微小バルブ機構と、
【0009】(4)ゲル室の内部に感温性ゲルのアンカ
ー構造を有する(1)〜(3)のいずれか1つに記載の
微小バルブ機構と、
【0010】(5)感温性ゲルが、ポリ−N−置換(メ
タ)アクリルアミドを主成分とするものである(1)〜
(4)のいずれか1つに記載の微小バルブ機構と、
【0011】(6)感温性ゲルが、多孔質ゲルである、
(1)〜(5)のいずれか1つに記載の微小バルブ機構
と、
【0012】(7)感温性ゲルが4℃〜50℃の温度範
囲で3〜3000%の体積変化を生じる、(1)〜
(6)のいずれか1つに記載の微小バルブ機構と、
【0013】(8)ゲル室部分を温度調節する機構を有
する(1)〜(7)のいずれか1つに記載の微小バルブ
機構と、
【0014】(9)微小バルブ機構が、表面に溝及び凹
部を有する部材(A)と、部材(A)の溝及び凹部が形
成された面に接着された部材(B)で構成されており、
毛細管状流路及びゲル室が、部材(A)の溝及び凹部と
部材(B)とで形成されたものである、(1)〜(8)
のいずれか1つに記載の微小バルブ機構と、
【0015】(10)微小バルブ機構が形成された部材
が、部材(A)と部材(B)の間に固体状物質(C)が
充填された構造を有し、毛細管状流路及びゲル室が固体
状物質(C)の欠損部として形成されたものである
(1)〜(8)のいずれか一つに記載の微小バルブ機構
と、
【0016】(11)毛細管状流路の途中に流路に面し
て形成されたゲル室に、エネルギー線照射によって感温
性ゲルを形成する溶液を充填し、ゲルを形成する部分に
エネルギー線を照射して、該ゲル室内に感温性ゲルを形
成することを特徴とする(1)〜(10)のいづれか1
つに記載の微小バルブ機構の製造方法と、及び、
【0017】(12)表面に溝を有する部材(A)の溝
の途中に、溝に面して形成された凹部に、エネルギー線
照射によって感温性ゲルを形成する溶液を充填し、ゲル
を形成する部分にエネルギー線を照射して、該凹部内に
感温性ゲルを形成した後、部材(A)の溝及び凹部形成
面に部材(B)を接着することを特徴とする(9)に記
載の微小バルブ機構の製造方法とを含むものである。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明の微小バルブ機構の外形は
特に限定されず、用途目的に応じた形状を採りうる。例
えば、シート状(フィルム状、リボン状などを含む。以
下、同様)、板状、塗膜状、棒状、管状、円筒状、その
他複雑な形状の成型物などであり得るが、他の微小ケミ
カルデバイスとの一体化しやすさ及び成形しやすさの面
から、シート状又は板状であることが好ましい。
【0019】本発明の微小バルブ機構は、微小ケミカル
デバイス中に組み込むことも好ましく、更に他の部材や
他の機構と積層あるいは接着することも好ましい。ま
た、複数の微小バルブ機構を1つの部材中に形成するこ
とも可能であり、製造後、これらを切断して複数の微小
バルブ機構とすることも可能である。
【0020】本発明の微小バルブ機構は、部材内部に毛
細管状流路(以下、単に「流路」と称する場合もある)
を有し、該流路を流れる流体が、ゲル室から流路に押し
出された感温性ゲルによって開閉や流量調節がなされる
ように構成されている。
【0021】流路断面の幅及び高さ(微小ケミカルデバ
イスが板状やシート状などの場合には、微小ケミカルデ
バイスの長尺方向の流路断面寸法を「幅」、短尺方向の
断面寸法を「高さ」と称する。微小ケミカルデバイスが
棒状等の場合には、互いに直角な任意の方向を幅及び高
さとしてよい。)は、各々、1μm〜3mm、好ましく
は3μm〜1mm、更に好ましくは5μm〜0.5mm
である。
【0022】また、流路の断面積は好ましくは1×10
-122〜1×10-62であり、更に好ましくは1×1
-102〜1×10-72である。この寸法未満である
場合、製造上の困難が増加する上、液体の遮断性が低下
する傾向にあるので好ましくなく、また、この寸法を超
えると、バルブ機構の耐圧性が低下する傾向にあるので
好ましくない。
【0023】尚、本発明の微小バルブ機構の毛細管状の
流路断面の寸法は、ゲル室が形成された部分、即ち、感
温性ゲルによって開閉がなされる部分の流路において上
記の寸法範囲にあればよく、それ以外の部分においては
上記範囲外であっても良い。
【0024】流路断面の形状は任意であり、矩形(角の
丸められた矩形を含む)、台形、三角形、スリット状、
円、半円、楕円などを例示できるが、好ましくは、角の
丸められた矩形、又は半円である。流路は、ゲル室が形
成された部分、即ち、感温性ゲルによって開閉がなされ
る流路部分において、その形状が他の部分と異なってい
ても良い。
【0025】例えば、該部分が球形、半球形、円錐形
(頂点を丸められた、或いは切り取られた円錐形を含
む)、角錐形(頂点を丸められた、或いは切り取られた
角錐形を含む)などの空洞部であっても良い。流路は、
微小バルブ機構外に開口していても良いし、外部に開口
せず、微小バルブ機構と同一部材に組み込まれた他の微
小ケミカルデバイス機構、例えば反応槽、反応流路、濾
過機構、分析機構などに連絡していても良い。
【0026】本発明の微小バルブ機構は、好ましくは、
直接又は間接的に接着された2つの部材、即ち部材
(A)と部材(B)との間に毛細管状流路が形成された
ものである。
【0027】流路は、例えば、(イ)表面に溝を有する
部材(A)の溝を有する面に、他の部材(B)が接着さ
れて形成されていても良いし、また、例えば、(ロ)部
材(A)と部材(B)の間の流路以外の部分に、固体状
物質(C)が充填されて形成されていても良い。
【0028】上記(イ)における流路は、底面と側面が
部材(A)、上面が部材(B)もしくは部材(B)に塗
布された接着剤で構成されている。但し、部材(A)は
複数の素材で構成されていてもよく、例えば、溝の底と
側面が異なる素材で形成されていても良い。また、上記
(ロ)における流路は、部材(B)を上にした時の底面
が部材(A)、側面が充填された固体状物質(C)、上
面が部材(B)で構成されている。
【0029】流路が、表面に溝を有する部材(A)の溝
を有する面に他の部材(B)を接着して形成される場合
には、溝はその周辺部より低い、いわゆる溝として形成
されていても良いし、部材(A)表面に立つ壁の間とし
て形成されていても良い。溝の深さは場所により異なっ
ていて良い。
【0030】部材(A)の表面に溝を設ける方法は任意
であり、例えば、射出成型、溶剤キャスト法、溶融レプ
リカ法、切削、エネルギー線硬化性樹脂塗膜のパターニ
ング露光と未硬化部の除去、フォトリソグラフィー(エ
ネルギー線リソグラフィーを含む)、湿式エッチング
法、乾式エッチング法、レーザーエッチング法、蒸着
法、気相重合法、溝となるべき部分を切り抜いたシート
状部材と板状部材との接着などの方法を利用できる。
【0031】流路が部材(A)と部材(B)との間の流
路以外の部分に固体状物質(C)が充填されて形成され
ている構造の場合、固体状物質(C)の厚みは必ずしも
均一である必要はないが、均一であることが好ましい。
【0032】部材(A)の形状は任意であるが、シート
状、板状、塗膜状、又は棒状であることが好ましい。部
材(A)が表面に溝を有するものである場合には、溝が
形成された面が平面状の形状であることが好ましい。ま
た、部材(A)は支持体上に形成されたものであっても
よい。
【0033】部材(B)は、表面に溝を有する部材
(A)の溝が形成された面に接着し、部材(A)の溝と
部材(B)でもって毛細管状流路を形成することが可能
なもの、あるいは、部材(A)と部材(B)との間に、
流路となる部分を除いて固体状物質を充填することによ
り部材(A)と部材(B)と固体状物質でもって毛細管
状流路を形成することが可能なものであれば、その形
状、構造、表面状態などは任意である。
【0034】これらは、部材(A)の場合と同様であ
る。部材(B)は、その表面に溝が形成されている必要
はないが、溝や溝以外の構造が形成されていても良い。
例えば部材(B)は、表面に溝が形成された部材(A)
の鏡像体であってもよい。
【0035】表面に溝を有する部材(A)と部材(B)
の接着方法は、部材(A)の表面の溝が毛細管状流路と
して形成される方法であれば任意であり、溶剤型接着剤
の使用、無溶剤型接着剤の使用、溶融型接着剤の使用、
部材(A)及び/又は部材(B)表面への溶剤塗布、熱
や超音波による融着等を使用しうるが、無溶剤型の接着
剤の使用が好ましい。
【0036】無溶剤型接着剤としてエネルギー線硬化性
樹脂を用い、エネルギー線照射により硬化させて接着す
る方法が、微小なデバイスの精密な接着が可能であり、
生産性も高いことから、好ましい。また、溝に保護材を
充填した状態で接着した後、保護材を除去する方法を採
ることも可能である。部材(B)は接着剤の硬化物その
ものであってもよい。
【0037】部材(A)と部材(B)との間の流路以外
の部分に固体状物質を充填することによって形成される
構造の流路を形成する方法は、例えば、部材(A)と部
材(B)の間にエネルギー線硬化性組成物を挟持し、部
材(A)及び/又は部材(B)の外部から、流路となる
部分を除いてエネルギー線を照射し、未硬化のエネルギ
ー線硬化性組成物を除去する方法、
【0038】流路となるべき部分を切り抜いた接着性の
シート状部材を部材(A)と部材(B)間に挟んで互い
に接着する方法、流路となるべき部分に、四フッ化エチ
レン製の棒状物の如き保護物質を置き、接着剤や溶融樹
脂を充填・固化した後、保護物質を除去する方法などを
採ることができる。本法は工程数は少ないが、流路径が
小さくなると、未硬化のエネルギー線硬化性組成物や保
護物質の除去が困難となるため、比較的寸法の大きな流
路を形成する方法として好適である。
【0039】本微小バルブ機構を形成する部材、例えば
部材(A)や部材(B)の材質は任意であり、ガラス、
石英のような結晶、シリコンのような半導体、ステンレ
ススチールのような金属、セラミック、炭素、高分子重
合体(以下、単に重合体と称する)などであり得るが、
重合体であることが、電熱係数が低く微小な部分の温度
設定が可能であるため好ましい。
【0040】重合体は、単独重合体であっても、共重合
体であっても良く、また、熱可塑性重合体であっても、
熱硬化性重合体であっても良い。生産性の面から、熱可
塑性重合体又はエネルギー線硬化性組成物の硬化物であ
ることが好ましい。なお、部材(A)と部材(B)の接
着、部材(C)の硬化、感温性ゲルの形成など於いてエ
ネルギー線を使用する場合には、必要に応じて、部材
(A)、部材(B)の少なくとも一方に、使用するエネ
ルギー線を透過させるものを使用する。
【0041】本発明の微小バルブ機構を形成する部材に
使用できる重合体としては、例えば、ポリスチレン、ポ
リ−α−メチルスチレン、ポリスチレン/マレイン酸共
重合体、ポリスチレン/アクリロニトリル共重合体の如
きスチレン系重合体;ポルスルホン、ポリエーテルスル
ホンの如きポリスルホン系重合体;ポリメチルメタクリ
レート、ポリアクリロニトリルの如き(メタ)アクリル
系重合体;ポリマレイミド系重合体;
【0042】ビスフェノールA系ポリカーボネート、ビ
スフェノールF系ポリカーボネート、ビスフェノールZ
系ポリカーボネートの如きポリカーボネート系重合体;
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−4−メチルペン
テン−1の如きポリオレフィン系重合体;塩化ビニル、
塩化ビニリデンの如き塩素含有重合体;酢酸セルロー
ス、メチルセルロースの如きセルロース系重合体;
【0043】ポリウレタン系重合体;ポリアミド系重合
体;ポリイミド系重合体;ポリ−2,6−ジメチルフェ
ニレンオキサイド、ポリフェニレンサルファイドの如き
ポリエーテル系又はポリチオエーテル系重合体;ポリエ
ーテルエーテルケトンの如きポリエーテルケトン系重合
体;ポリエチレンテレフタレート、ポリアリレートの如
きポリエステル系重合体;エポキシ樹脂;ウレア樹脂;
フェノール樹脂などが挙げられる。
【0044】これらの中でも、接着性が良好な点などか
ら、スチレン系重合体、(メタ)アクリル系重合体、ポ
リカーボネート系重合体、ポリスルホン系重合体、ポリ
エステル系重合体が好ましい。
【0045】エネルギー線硬化性組成物を構成するエネ
ルギー線硬化性化合物は、ラジカル重合性、アニオン重
合性、カチオン重合性等の任意のものであってよい。エ
ネルギー線硬化性化合物は、重合開始剤の非存在下で重
合するものに限らず、重合開始剤の存在下でのみエネル
ギー線により重合するものも使用することができる。
【0046】そのようなエネルギー線硬化性化合物とし
ては、重合性の炭素−炭素二重結合を有するものが好ま
しく、中でも、反応性の高い(メタ)アクリル系化合物
やビニルエーテル類、また光重合開始剤の不存在下でも
硬化するマレイミド系化合物が好ましい。
【0047】エネルギー線硬化性化合物として好ましく
使用することができる架橋重合性の(メタ)アクリル系
単量体としては、例えば、ジエチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)
アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)ア
クリレート、1,8−オクタンジオールジ(メタ)アク
リレート、2,2’−ビス(4−(メタ)アクリロイル
オキシポリエチレンオキシフェニル)プロパン、
【0048】2,2’−ビス(4−(メタ)アクリロイ
ルオキシポリプロピレンオキシフェニル)プロパン、ヒ
ドロキシジピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メ
タ)アクリレート、ジシクロペンタニルジアクリレー
ト、ビス(アクロキシエチル)ヒドロキシエチルイソシ
アヌレート、N−メチレンビスアクリルアミドの如き2
官能単量体;
【0049】トリメチロールプロパントリ(メタ)アク
リレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレ
ート、トリス(アクロキシエチル)イソシアヌレート、
カプロラクトン変性トリス(アクロキシエチル)イソシ
アヌレートの如き3官能単量体;ペンタエリスリトール
テトラ(メタ)アクリレートの如き4官能単量体;ジペ
ンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートの如き
6官能単量体などが挙げられる。
【0050】また、エネルギー線硬化性化合物として、
重合性オリゴマー(プレポリマーとの呼ばれる)を用い
ることもでき、例えば、重量平均分子量が500〜50
000のものが挙げられる。そのような重合性オリゴマ
ーしては、例えば、エポキシ樹脂の(メタ)アクリル酸
エステル、ポリエーテル樹脂の(メタ)アクリル酸エス
テル、ポリブタジエン樹脂の(メタ)アクリル酸エステ
ル、分子末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリウ
レタン樹脂などが挙げられる。
【0051】マレイミド系の架橋重合性のエネルギー線
硬化性化合物としては、例えば、4,4’−メチレンビ
ス(N−フェニルマレイミド)、2,3−ビス(2,
4,5−トリメチル−3−チエニル)マレイミド、1,
2−ビスマレイミドエタン、1,6−ビスマレイミドヘ
キサン、トリエチレングリコールビスマレイミド、N,
N’−m−フェニレンジマレイミド、m−トリレンジマ
レイミド、N,N’−1,4−フェニレンジマレイミ
ド、N,N’−ジフェニルメタンジマレイミド、N,
N’−ジフェニルエーテルジマレイミド、
【0052】N,N’−ジフェニルスルホンジマレイミ
ド、1,4−ビス(マレイミドエチル)−1,4−ジア
ゾニアビシクロ−[2,2,2]オクタンジクロリド、
4,4’−イソプロピリデンジフェニル=ジシアナート
・N,N’−(メチレンジ−p−フェニレン)ジマレイ
ミドの如き2官能マレイミド;N−(9−アクリジニ
ル)マレイミドの如きマレイミド基とマレイミド基以外
の重合性官能基とを有するマレイミドなどが挙げられ
る。
【0053】マレイミド系の架橋重合性オリゴマーとし
ては、例えば、ポリテトラメチレングリコールマレイミ
ドカプリエート、ポリテトラメチレングリコールマレイ
ミドアセテートの如きポリテトラメチレングリコールマ
レイミドアルキレートなどが挙げられる。マレイミド系
の単量体やオリゴマーは、これら同士、及び/又はビニ
ル単量体、ビニルエーテル類、アクリル系単量体の如き
重合性炭素・炭素二重結合を有する化合物と共重合させ
ることもできる。これらの化合物は、単独で用いること
もでき、2種類以上を混合して用いることもできる。
【0054】エネルギー線硬化性組成物には、必要に応
じて、光重合開始剤を添加することもできる。光重合開
始剤は、使用するエネルギー線に対して活性であり、エ
ネルギー線硬化性化合物を重合させることが可能なもの
であれば、特に制限はなく、例えば、ラジカル重合開始
剤、アニオン重合開始剤、カチオン重合開始剤であって
良い。また、光重合開始剤は、マレイミド化合物であっ
て良い。
【0055】混合使用できる単官能マレイミド系単量体
としては、例えば、N−メチルマレイミド、N−エチル
マレイミド、N−ブチルマレイミド、N−ドデシルマレ
イミドの如きN−アルキルマレイミド;N−シクロヘキ
シルマレイミドの如きN−脂環族マレイミド;N−ベン
ジルマレイミド;N−フェニルマレイミド、N−(アル
キルフェニル)マレイミド、N−ジアルコキシフェニル
マレイミド、N−(2−クロロフェニル)マレイミド、
2,3−ジクロロ−N−(2,6−ジエチルフェニル)
マレイミド、
【0056】2,3−ジクロロ−N−(2−エチル−6
−メチルフェニル)マレイミドの如きN−(置換又は非
置換フェニル)マレイミド;N−ベンジル−2,3−ジ
クロロマレイミド、N−(4’−フルオロフェニル)−
2,3−ジクロロマレイミドの如きハロゲンを有するマ
レイミド;ヒドロキシフェニルマレイミドの如き水酸基
を有するマレイミド;N−(4−カルボキシ−3−ヒド
ロキシフェニル)マレイミドの如きカルボキシ基を有す
るマレイミド;
【0057】N−メトキシフェニルマレイミドの如きア
ルコキシ基を有するマレイミド;N−[3−(ジエチル
アミノ)プロピル]マレイミドの如きアミノ基を有する
マレイミド;N−(1−ピレニル)マレイミドの如き多
環芳香族マレイミド;N−(ジメチルアミノ−4−メチ
ル−3−クマリニル)マレイミド、N−(4−アニリノ
−1−ナフチル)マレイミドの如き複素環を有するマレ
イミド等が挙げられる。
【0058】エネルギー線としては、紫外線、可視光
線、赤外線の如き光線;エックス線、ガンマ線の如き電
離放射線;電子線、イオンビーム、ベータ線、重粒子線
の如き粒子線が挙げられる。また、部材はポリマーブレ
ンドやポリマーアロイであっても良いし、発泡体、積層
体、その他の複合体であっても良い。また、部材は改質
剤、着色剤など、その他の成分を含有していても良い。
【0059】改質剤としては、例えば、シリコンオイル
やフッ素置換炭化水素の如き疎水化剤(撥水剤);アニ
オン系、カチオン系、ノニオン系などの界面活性剤、シ
リカゲルの如き無機粉末、ポリビニルピロリドンの如き
親水性重合体などの親水化剤;引張弾性率を調節するた
めの可塑剤などが挙げられる。着色剤としては、例え
ば、任意の染料や顔料、蛍光性の染料や顔料、紫外線吸
収剤が挙げられる。
【0060】本発明の微小バルブ機構は、毛細管状流路
の途上に、流路に開口したゲル室を有する。即ち、ゲル
室は、ゲル室から膨張した感温性ゲルが押し出されて流
路が遮断される位置に設けられる。流路から見たゲル室
の奥行きをゲル室の奥行き、流路の長さ方向のゲル室の
寸法をゲル室の幅、流路の高さ方向のゲル室の寸法をゲ
ル室の高さと称することにすると、ゲル室の奥行きは、
好ましくは流路幅の0.5倍〜100倍、更に好ましく
は1倍〜30倍、最も好ましくは2倍〜10倍である。
【0061】この値が過小であると、流路の遮断が不完
全となったり、温度変化に対する感度が不十分となりが
ちである。また、この値が過大であると、ゲルの膨張に
よりバルブ構造の破壊等の不都合が生じがちである。ゲ
ル室の奥行きは、感温性ゲルの寸法変化の度合いにより
最適値を選ぶことが出来る。
【0062】ゲル室の流路への開口幅は任意であるが、
好ましくは流路幅の1倍〜100倍、更に好ましくは2
倍〜30倍である。この値が過小であると、流路の遮断
が不完全となったり、耐圧性が低下する傾向にあるので
好ましくなく、過大であると流路の死体積の増加を招き
好ましくない。但し、流路に導入される流体の圧力が大
である場合には、流体の漏洩量を減少させるため、ゲル
室の開口幅は大きいことが好ましい。ゲル室の幅は、ゲ
ル室の開口幅と同じである必要はないが、同じである
か、それより小であることが好ましい。
【0063】ゲル室の高さも、膨張したゲルが流路を遮
断出来る高さであれば任意であるが、流路への開口部に
於いては、流路の高さとほぼ同じであることが好まし
い。本発明の微小バルブ機構が、部材(A)と部材
(B)の間に形成されたものである場合には、ゲル室内
部においても流路と同じ高さであることが、製造が容易
であり好ましい。
【0064】ゲル室の形状は任意であるが、感温性ゲル
の収縮時に、感温性ゲルが流路中に飛び出さずにゲル室
に入る構造であることが好ましい。即ち、感温性ゲルの
アンカー構造を有することが好ましい。アンカー構造と
しては、例えば、ゲル室の幅や高さが、奥において開口
部より大なる部分を有する構造、ゲル室内部に於いて感
温性ゲルを止める柱、出っ張り、溝、アンダーカットな
どを有する構造を挙げることができる。
【0065】ゲル室の形成方法は任意であるが、例えば
毛細管状流路と同様の方法が採用できる。即ち、流路が
部材(A)と部材(B)の間に形成されたものである場
合には、ゲル室は、流路と同様にして部材(A)と部材
(B)の間に形成されたものであることが好ましい。他
の方法として、例えば、微小バルブ機構を構成する部材
に、流路に達する孔を穿ち、流路の反対側で該孔を閉じ
ることによって形成することも出来る。
【0066】感温性ゲルとしては、任意の感温性ゲル、
即ち、温度の変化によって膨張/収縮するゲルを使用す
ることが出来る。ゲルの膨張/収縮は、その機構を限定
する必要はなく、例えば、ゲル/固体転移、膨潤度の変
化、イオンなどの他の物質の吸着/放出によるものであ
って良い。
【0067】感温性ゲルは、4℃〜50℃の温度範囲
で、収縮時の体積を基準として、その体積が3〜300
0%変化することが好ましく、10〜1000%変化す
ることが更に好ましい。体積変化量が過小であると、バ
ルブの開閉の不完全、大きなゲル室が必要、応答速度の
悪化等の不都合が生じがちであるし、体積変化量が過大
であると、バルブの耐圧性の低下、耐久性の低下、閉状
態での流体の漏洩などが生じがちとなる。
【0068】感温性ゲルの寸法変化は等方的である必要
はなく、特定の方向の寸法変化が大きなものであっても
良い。温度変化によるゲルの寸法変化量は、重合して感
温性ゲルを形成しうる単量体(以下、重合して感温性ゲ
ルを形成しうる単量体を感温性単量体と称する)の選
択、架橋重合性単量体の添加量の調節などによる架橋度
の調節、感温性以外の単量体の混合比などによって調節
することが出来る。また、室温付近である4℃〜50℃
で上記の体積変化が生じることは、バルブの開閉が容易
となるため好ましい。
【0069】このような感温性ゲルは任意のものを使用
することが出来るが、例えば、N−アルキル(メタ)ア
クリルアミド及び/又はN−アルキレン(メタ)アクリ
ルアミド等のN−置換(メタ)アクリルアミドを含有す
る架橋重合体や、ミリスチル(メタ)アクリレート等の
長鎖アルキル基や長鎖アルキレン基を有する(メタ)ア
クリレート等の(メタ)アクリレートなどの感温性単量
体を含有する架橋重合体を挙げることができる。
【0070】N−アルキル(メタ)アクリルアミド及び
/又はN−アルキレン(メタ)アクリルアミドの例とし
ては、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジエチルア
クリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N,N−
メチルエチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリ
ルアミド、N−n−プロピルアクリルアミド、N−イソ
プロピルメタクリルアミド、N−n−プロピルメタクリ
ルアミド、N−アクリロイルピロリジン、N−メタクリ
ロイルピロリジン、N−アクリロイルピペリジン、N−
メタクリロイルピペリジン等を挙げることができる。
【0071】長鎖アルキル基や長鎖アルキレン基を有す
る(メタ)アクリレートの例としては、炭素数9〜20
のアルキル(メタ)アクリレートを挙げることができ
る。なかでも、室温付近で転移が起こることから、N−
イソプロピルアクリルアミド含有架橋重合体やミリスチ
ル(メタ)アクリレート含有架橋重合体が好ましい。勿
論、これらの感温性単量体は、これら同士、或いは感温
性を示さない他の単量体との共重合体とすることも出来
る。
【0072】感温性ゲルの形成方法、即ち、これらの感
温性単量体を含有する架橋重合体の形成方法は任意であ
る。例えば、感温性単量体が多官能単量体である場合に
は、それ単独の架橋重合であって良いし、感温性単量体
が単官能単量体である場合には、感温性単量体と架橋重
合性化合物との共重合体とする方法、あるいは感温性単
量体の重合体やその溶液を例えば放射線などにより架橋
する方法で実施できる。架橋重合性化合物としては、感
温性単量体と共重合可能なものであれば任意であるが、
エネルギー線により架橋重合可能なものであることが好
ましい。
【0073】架橋重合性化合物は、代表的には1分子内
に2個以上の二重結合を有する多官能単量体や多官能オ
リゴマーを挙げることができる。このような多官能単量
体としては、例えば、メチレンビスアクリルアミド、エ
チレンビスアクリルアミド、ジエチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メ
タ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メ
タ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)
アクリレート、
【0074】2,2’−ビス(4−(メタ)アクリロイ
ルオキシポリエチレンオキシフェニル)プロパン、2,
2’−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシポリプロ
ピレンオキシフェニル)プロパン等の2官能モノマー、
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ト
リメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、イソシ
アヌレートトリ(メタ)アクリレート等の3官能モノマ
ー、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート
等の4官能モノマー、ジペンタエリスリト−ルヘキサア
クリレート等の6官能モノマー等が挙げられる。これら
のモノマーを混合して用いることも勿論可能である。
【0075】エネルギー線照射により架橋可能な多官能
オリゴマーは、例えば、重量平均分子量が500〜50
000のオリゴマー(プレポリマーとも言う)であり、
例えば、エポキシ樹脂の(メタ)アクリル酸エステル、
ポリエーテル樹脂の(メタ)アクリル酸エステル、ポリ
ブタジエン樹脂の(メタ)アクリル酸エステル、分子末
端にアクリル基又はメタクリル基を有するポリウレタン
樹脂等を挙げることができる。もちろんこれらのオリゴ
マ−同士を混合して用いることもできるし、単量体と混
合して用いることもできる。
【0076】架橋重合性化合物は、これらの中で、水溶
性溶剤に可溶なものが好ましく、水溶性であることが更
に好ましい。架橋重合性化合物の混合量や種類を選択す
ることで、感温性ゲルの膨潤度やその変化の程度を調節
することが出来る。架橋重合性化合物の添加量を増す
か、或いは官能基数の多い架橋重合性化合物を使用し
て、架橋密度を上げるほど、感温性ゲルの硬度や強度は
増すが、寸法変化量は減少する。
【0077】本発明においては、感温性ゲルの強度、硬
度、膨潤度、応答温度、応答感度などを調節する目的
で、感温性単量体と架橋重合性化合物の混合物に、これ
らと共重合可能な他の重合性化合物を加えることもでき
る。
【0078】感温性単量体と共重合させることの出来る
他の重合性化合物としては、感温性単量体、及び架橋重
合性化合物と相溶するものが好ましく、通常は単官能の
単量体、又はオリゴマーであり、例えば、アクリルアミ
ド、メタクリルアミド、ポリエチレングリコール(メ
タ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール
(メタ)アクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、ビ
ニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルア
ミド−2−フェニルプロパンスルホン酸、2−アクリル
アミド−2−メチルプロパンスルホン酸エチル(メタ)
アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)
アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレー
ト、
【0079】n−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシ
ル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)
アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェニ
ルセロソルブ(メタ)アクリレート、n−ビニルピロリ
ドン、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペ
ンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニロキ
シエチル(メタ)アクリレートを挙げることができる。
【0080】ゲル室内に感温性ゲルを装着する方法は任
意である。例えば、(i)ゲル室に感温性単量体、架橋
重合性化合物の混合溶液を充填し、必要部分にエネルギ
ー線を照射して感温性ゲルとなる架橋重合体を形成する
方法、(ii)ゲル室に感温性単量体、架橋重合性化合
物、及び水を含有する混合溶液を充填し、ゲル転移温度
未満、若しくは以上の温度にて必要部分にエネルギー線
を照射して感温性ゲルを形成する方法、
【0081】(iii)溶液をゲル室の代わりに、溝と凹
部を有する部材(A)の凹部に充填し、エネルギー線を
照射して感温性ゲルとなる架橋重合体を形成した後、部
材(B)を接着すること以外は上記(i)と同様の方
法、(iv)溶液をゲル室の代わりに、溝と凹部を有する
部材(A)の凹部に充填し、エネルギー線を照射して感
温性ゲルを形成した後、部材(B)を接着すること以外
は上記(ii)と同様の方法、(v)別途形成した感温性
ゲルをゲル転移温度以上又は以下の温度でゲル室に装着
する方法などにより製造することが出来る。
【0082】エネルギー線照射により、部材中に感温性
ゲルを形成する場合には、必要に応じて、未照射部分の
未硬化のゲル原料溶液を除去する。除去方法は洗浄、吸
収、吹き飛ばしなど任意の方法を使用できるが、上記
(i)、(ii)に於いては、ゲルが収縮した状態、例え
ばゲル転移温度以上の温度で洗浄することが好ましい。
洗浄液は、流路に流す液体、例えば水や緩衝溶液である
ことが好ましい。
【0083】感温性ゲルは多孔質ゲルであることも好ま
しい。多孔質ゲルとは、樹脂部分がゲルで構成されてい
る多孔質体である。感温性ゲルとして多孔質ゲルを使用
することで、応答速度が増加する。但し、完全閉状態時
の漏洩量は通常のゲルの場合より大きくなる場合があ
る。
【0084】多孔質ゲルの製造方法は任意であるが、例
えば、特開平5−16076号公報に開示されている方
法で製造することが出来る。即ち、感温性単量体、架橋
重合性単量体、及び、これらと相溶し、これらの共重合
体とは相溶しない化合物〔以下、相分離剤と称する〕の
均一混合溶液(以下、「多孔質ゲル原料溶液」と称する
場合がある)を調製し、この多孔質ゲル原料溶液を用い
て、上記の通常の感温性ゲル形成と同様の方法で、エネ
ルギー線を照射して架橋重合体を形成すると共に相分離
させて多孔質体となし、必要に応じて細孔中の相分離剤
を水系液体と置換する方法により製造することが出来
る。
【0085】相分離剤としては、感温性単量体と架橋重
合性単量体の混合物とは相溶するが、該混合物にエネル
ギー線を照射することにより生成する架橋重合体を膨潤
させず、かつエネルギー線に対して不活性なものであれ
ば特に限定無く用いることが出来る。
【0086】より具体的には水、一価又は多価アルコー
ル類、カプリン酸メチル等のアルキルエステル類、ジイ
ソブチルケトン等のジアルキルケトン類、液状ポリエチ
レングリコ−ル、ポリエチレングリコ−ルのモノエステ
ル、ポリエチレングリコールのモノエーテル、ポリエチ
レングリコールソルビタンモノエステル、ポリエチレン
グリコールソルビタンジエステル、ポリエチレングリコ
ールソルビタントリエステル、ポリエステルポリオー
ル、ポリエチレングリコ−ルアミン等のオリゴマー類、
【0087】酢酸セルロース、エチルセルロース、ニト
ロセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、キトサ
ン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリカ−ボネ−
ト、ポリスルホン、ポリエ−テルスルホン、ポリウレタ
ン、フェノキシ樹脂、ポリアリレート、ポリアクリロニ
トリル、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリル酸、ポ
リメチルメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリエ
チレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニル
メチルエーテル、ポリビニルアルコール等及びこれらの
共重合体等のオリゴマーやポリマー類が挙げられる。相
分離剤はこれら同士やこれらを含む混合物であってよい
し、これらに生成する架橋重合体を膨潤させる溶剤を混
合したものであっても良い。
【0088】相分離剤は、エネルギー線照射により重合
体を成形した後、系によっては除去せずに用いることも
できるが、除去することもできる。除去は洗浄、乾燥、
置換等の任意の方法を採用しうるが、相分離剤を除去す
る必要がある場合には、相分離剤が水溶性であること
が、除去しやすい為、好ましい。
【0089】均一混合溶液の粘度は任意であり、ゲル室
となるべき凹部に均一混合溶液を充填して、エネルギー
線を照射る方法に於いては、高粘度の溶液も使用可能で
あるが、ゲル室に均一混合溶液を充填して、エネルギー
線を照射る方法に於いては、25℃において10000
cps以下であることが好ましく、1000cps以下
であることが更に好ましい。下限は特に限定する必要は
ない。この値より大であると、微小空間への注入や除去
が困難となる。
【0090】本発明の微小バルブ機構の開閉や流量調節
は、ゲル室部分を温度調節することにより行う。ゲル室
の温度調節方法は任意であり、例えば電気ヒーター、ペ
ルチエ素子、温度調節された固体との接触、温度調節さ
れた液体との接触、温度調節された気体の吹きつけ、赤
外線やマイクロ波などの電磁波などが挙げられる。温度
調節機構は本発明の微小バルブ機構に組み込まれていて
も良いし、外部機構であっても良い。温度調節される領
域は他の部分に差し支えがなければ、微小バルブ機構付
近一帯であっても良いし、微小ケミカルデバイス全体で
あっても良い。
【0091】これらの中で、ゲル室付近に電気ヒーター
が装着された構造が、単純であり好ましい。電気ヒータ
ーとしては、例えばニクロム線その他の金属、金属酸化
物、炭素、半導体、導電性プラスチック等であり得る
し、これらの接着、埋め込み、蒸着であり得る。
【0092】電気ヒーターが装着される位置はゲル室と
同一平面内の周囲であっても良いし、ゲル室の上面及び
/又は下面であっても良い。バルブの開閉操作方法は、
感温性ゲルの種類にもよるが、通常は、低温にすること
で、感温性ゲルが収縮することにより閉、高温にするこ
とで感温性ゲルが膨潤することにより開となる。
【0093】本発明の微小バルブ機構は、単純な構造で
微小な流路の開閉や流量調節を行うことができ、反応、
分析、検査などに使用するに当たり、デバイス毎に独立
した送液ポンプを必要とせず、共通の圧力で原液を供給
できるため、多数を同時・並列処理することが容易であ
り、作業効率の向上が計れる。
【0094】また本発明の微小バルブ機構は、混合、反
応、抽出、ろ過などの一つのケミカルデバイスに複数の
流体を流す用途においても、原液を共通の圧力で供給し
ながら流路毎の流量を調節することができるため、装置
を単純化することができる。
【0095】
【実施例】以下、実施例及び比較例を用いて、本発明を
更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例の範囲
に限定されるものではない。なお、以下の実施例におい
て、「部」は、特に断りがない限り「重量部」を表わ
す。
【0096】[エネルギー線照射装置]200wメタル
ハライドランプが組み込まれた、ウシオ電機株式会社製
のマルチライト200型露光装置用光源ユニットを用い
た。紫外線強度は50mw/cm2である。
【0097】[エネルギー線硬化性組成物の調製]平均
分子量約2000の3官能ウレタンアクリレートオリゴ
マー(大日本インキ化学工業株式会社製の「ユニディッ
クV−4263」)を20部、1,6−ヘキサンジオー
ルジアクリレート(第一工業製薬株式会社製の「ニュー
フロンティアHDDA」を20部、ノニルフェノキシポ
リエチレングリコール(n=8)アクリレート(東亜合
成化学株式会社製の「M−114」)を60部、1−ヒ
ドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバガイギー
社製の「イルガキュア184」;光重合開始剤)を5
部、及び2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテ
ン(関東化学株式会社製;重合遅延剤)0.1部を均一
に混合してエネルギー線硬化性組成物(x)を調製し
た。
【0098】[感温性ゲル原料溶液の調製]感温性単量
体としてN−イソプロピルアクリルアミド(和光純薬株
式会社製)を19部、架橋重合性単量体としてビスアク
リルアミド(和光純薬株式会社製)を1部、光重合開始
剤として1,2ヒドロキシ−4−ヒドロキシエトキシ−
2−メチルプロピオフェノン(チバスペシャリティケミ
カルズ株式会社製「イルガキュア2959」を0.1
部、蒸留水を80部を混合してゲル原料溶液(y)を調
製した。
【0099】[多孔質ゲル原料溶液の調製]感温性単量
体としてN−イソプロピルアクリルアミド(和光純薬株
式会社製)を80部、架橋重合性単量体として平均分子
量804の3官能ウレタンアクリレートオリゴマー(大
日本インキ化学工業株式会社製の「ユニディックS9−
414」)を20部、光重合開始剤として1−ヒドロキ
シシクロヘキシルフェニルケトン(チバスペシャリティ
ケミカルズ株式会社製「イルガキュア184」)を5
部、相分離材として分子量10000のポリビニルピロ
リドン(和光純薬株式会社製)を100部及びN,N−
ジメチルアセトアミド(和光純薬株式会社製)を150
部を混合して多孔質ゲル原料溶液(z)を調製した。
【0100】(実施例1) 〔部材(A)の作製〕部材(A)として、「デルペット
670N」(旭化成工業社製のアクリル樹脂)からなる
2.5cm×5cm×厚さ2mmの平板を基材(1)と
してを使用し、これにバーコーターを用いてエネルギー
線硬化性組成物[x]を塗布し、次いで、窒素雰囲気中
でフォトマスクを通して、図1に示した流路(3)及び
ゲル室(4)となる部分以外の部分に紫外線を3秒間照
射して、エネルギー線硬化性組成物[x]を硬化させ
た。
【0101】次いで、50%エタノール水溶液にて未硬
化のエネルギー線硬化性組成物[x]を除去することに
よって、底面がアクリル樹脂製基材(1)、壁面がエネ
ルギー線硬化性組成物[x]硬化物(2)で構成された
幅108μm、深さ67μmの断面が概矩形の溝
(3)、溝の途上に設けられた、三角形の突起状のアン
カー構造(5)を有する奥行き300μm、開口幅30
0μm、深さ67μmの矩形の凹部(4)を形成した。
【0102】更に、溝(3)の両端部において直径0.
5mmのキリ孔を穿つことにより、流入口(6)と流出
口(7)を形成して、図1及び図2に示した部材[A
1]とした。
【0103】〔部材(B)の接着〕ポリプロピレン二軸
延伸シート(二村化学社製の「FOR」、厚さ30μ
m;図示せず)のコロナ処理面に、バーコーターを用い
てエネルギー線硬化性組成物[x]を塗布し、次いで、
窒素雰囲気中で紫外線を1秒間照射して、流動性が喪失
した半硬化の状態の塗膜とし、この塗膜面を部材[A
1]の溝が形成された面に貼り合わせた。
【0104】次に、ポリプロピレン二軸延伸シート側か
ら同じ紫外線を更に30秒間照射して塗膜を完全硬化さ
せることによって、エネルギー線硬化性組成物[x]の
硬化物で構成された厚さ64μmのシート状の部材
(B)(以下、[B1]という。)(8)を形成すると
同時に、部材[A1]の表面に接着し、その間に毛細管
状流路(3)とその途上に形成されたゲル室(4)を形
成した。
【0105】その後、ポリプロピレン二軸延伸シート
(図示せず)を剥離することによって、図1及び図2に
示した形状の、内部に毛細管状流路(3)とゲル室
(4)が形成された部材とした。
【0106】〔感温性ゲルの形成〕感温性ゲル原料溶液
(y)を流入部(6)から導入し、全流路(3)とゲル
室(4)に充填した。その後、氷冷状態で、ゲル室
(4)全体及びゲル室の開口部が接している流路部に、
紫外線を40秒間照射して、照射部のゲル原料溶液
(y)をゲル化させた。次いで微小ケミカルデバイスを
50℃の温水中に入れ、50℃の水を流入部(6)から
導入して流路に通して、未硬化の重合性液体を洗浄除去
した。形成された感温性ゲルは、紫外線照射後の段階で
は透明であったが、50℃での水洗時は白色となった。
【0107】〔流路の開閉試験〕蒸留水が充填された微
小バルブ機構に、25℃の室温にて、流入部(6)から
マイクロシリンジを用いてメチレンブルー(和光純薬株
式会社製)にて着色した水を毛細管に注入することを試
みたが、流入せず、流出部(7)からも水の流出は認め
られなかった。
【0108】次いで、シリンジで圧力を掛けたままの状
態で、部材(B)の外側からゲル室部分に、70℃温度
調節された直径6mmの真鍮棒を接触させたところ、約
5秒後にメチレンブルー水溶液は流路に流入し始め、流
出部(7)から流出した。
【0109】70℃金属棒を取り外し、シリンジで圧力
を掛けたままの状態でブロアーにて室温の気流を当てた
ところ、約1分後に着色液体の流出は停止した。この試
験を5回繰り返したが、流路などの破壊が生じることも
なく、すべて同様の結果であった。
【0110】なお、ガラス板上に感温性ゲル原料溶液
(y)を塗布し、上と同じ紫外線を照射してゲルと成
し、これを切り出して、50℃の水で洗浄した後、4
℃、及び50℃の水に浸漬し、それぞれ2時間後の寸法
を測ったところ、収縮状態である50℃時の寸法を基準
とした、4℃での各辺の寸法変化量は83%(1.83
倍)、体積変化量は513%(6.13倍)であった。
【0111】(実施例2) 〔部材(A)の作製〕「ディックスチレンXC−52
0」(大日本インキ化学工業株式会社製のポリスチレ
ン)からなる2.5cm×5cm×厚さ3mmの平板状
の基材(1)を、電気式熱風トーチで加熱して表面を軟
化させ、180℃に熱したガラス製の鋳型(図示せず)
に押しつけて冷却した後、剥離し、基材(1)表面に、
幅30μm、深さ30μm、長さ30mmであって断面
が概矩形の溝(3)、溝の途上に溝に接して設けられ
た、三角形の突起状のアンカー構造(5)を有する奥行
き75μm、幅60μm、深さ30μmの矩形の凹部
(4)を形成した。
【0112】更に溝(3)の両端部において直径0.5
mmのキリ孔を穿つことにより、流入口(6)と流出口
(7)を形成して、図1及び図2のエネルギー線硬化性
組成物(x)硬化物(2)の代わりに、この部分もまた
基材(1)と同じポリスチレンで形成されていること以
外は、図1及び図2に示した形状の部材(A)(以下、
[A2]という。)を作製した。
【0113】〔感温性ゲルの形成〕重合性液体を毛細管
状流路とゲル室に充填する代わりに、溝(3)と凹部
(4)に充填したこと以外は実施例1と同様にして感温
性ゲルを形成し、水洗して、未硬化のゲル原料溶液を除
去した。
【0114】〔部材(B)の接着〕実施例1と同様にし
て、部材(A)に部材(B)を接着した。 〔流入路、流出路の形成〕次いで、溝(3)の両端部に
おいて、アクリル樹脂板及びエネルギー線硬化性組成物
[x]硬化物に直径0.5mmのキリ孔を穿って流入口
(6)及び流出口(7)を形成した。 〔流路の開閉試験〕実施例1と同様の開閉試験を行い、
実施例1と同様の結果を得た。
【0115】(実施例3) 〔微小バルブ機構の作製〕「デルペット670N」(旭
化成工業社製のアクリル樹脂)からなる2.5cm×5
cm×厚さ2mmの2枚の平板の四隅に、厚さ200μ
mのポリスチレンシートの切片(図示せず)をスペーサ
ーとして置き、その間隙にエネルギー線硬化性組成物
[x]を充填した。次いで、窒素雰囲気中でフォトマス
クを通して、図1に示した流路(3)及びゲル室(4)
となる部分以外の部分に紫外線を10秒間照射して、エ
ネルギー線硬化性組成物[x]を硬化させ、エネルギー
線硬化性組成物[x]の未硬化部分として、流路(3)
とゲル室(4)を形成した。
【0116】次いで、流路(3)の両端部において、一
方の側のアクリル樹脂板[部材(A)(1)とする]
の、流路(3)の両端部となる位置に直径0.5mmの
キリ穴を穿って、流入口(6)と流出口(7)を形成
し、流入口(6)から流出口(7)へ50%エタノール
水溶液を流通させながら、超音波洗浄を行い、未硬化の
エネルギー線硬化性組成物[x]を洗浄除去して、2枚
のアクリル樹脂板[部材(A)と部材(B){それぞ
れ、図1及び図2に於ける(1)、(8)と同じ部
分}]の間に、エネルギー線硬化性組成物[x]硬化物
で構成された部材(C)[図1及び図2に於ける(2)
と同じ部分]の欠損部として、空洞状の幅200μm、
深さ約200μm、長さ30mmの毛細管状流路
(3)、流路の途上に流路に接して設けられた、三角形
の突起状のアンカー構造(5)を有する奥行き500μ
m、幅300μm、深さ約200μmの矩形のゲル室
(4)を形成した。
【0117】その後、全体に紫外線を30秒間照射し
て、エネルギー線硬化性組成物[x]の不完全硬化部分
を完全硬化させた。
【0118】〔感温性ゲルの形成〕実施例1と同様にし
て感温性ゲルを形成した。 〔流路の開閉試験〕実施例1と同様の開閉試験を行い、
実施例1と同様の結果を得た。
【0119】(実施例4) 〔微小バルブ機構の作製〕実施例1で作製した微小バル
ブ機構を用い、部材(B)の表面のゲル室に相対する部
分を含む部分に、エネルギー線硬化性組成物[x]と紫
外線を用いてニクロム線を固定し、温度調節機構として
電気ヒーターを組み込んだ微小バルブ機構[D4]を作
製した。
【0120】〔流路の開閉試験〕温調された金属棒を接
触させる代わりに、ニクロム線に電流を流したこと以外
は実施例1と同様の開閉試験を行い、実施例1と同様の
結果を得た。
【0121】(実施例5) 〔部材(A)の作製〕実施例1と同様にして、部材[A
1]を作製した。 〔感温性多孔質ゲルの作製〕多孔質ゲル原料溶液(z)
をバーコーターを用いてガラス板上に塗布し、25℃、
窒素雰囲気下で紫外線を60秒間照射し、水洗して透明
な感温性多孔質ゲルを得た。この感温性多孔質ゲルの厚
みは約70μmであった。このゲルを50℃の温水に浸
漬したところ、白化して収縮し、固化した。固化した感
温性多孔質ゲルを50℃の温水中で250μm×250
μmに切断し、この切断片を部材[A1]のゲル室に装
着した。
【0122】〔部材(B)の接着〕実施例1と同様にし
て、部材(A)に部材(B)を接着した。 〔流路の開閉試験〕実施例1と同様の開閉試験を行った
ところ、真鍮棒の接触からメチレンブルー水溶液が流路
に流入し始めるまでの時間が約1秒であること、及び金
属棒を取り外してから着色液体の流出が停止するまでの
時間が約10秒であること以外は実施例1と同様の結果
を得た。
【0123】
【発明の効果】本発明は、耐圧性が高く、また開閉操作
に大きな機構が不要で、しかも、実用的な時間で開閉が
可能な、微小バルブ機構及びその製造方法を提供するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で作製した微小バルブ機構の部材
(B)を表面に垂直な方向から見た部分断面平面図模式
図である。
【図2】実施例1で作製した微小バルブ機構の部材
(B)表面に平行な方向から見た立面図模式図である。
【符号の説明】
1:部材(A)の基材 2:部材(A)のエネルギー線硬化性組成物(x)硬化
物層 3:部材(A)の溝、毛細管状流路 4:部材(A)の凹部、ゲル室 5:三角形の突起状アンカー構造 6:部材(A)の流入口 7:部材(A)の流出口 8:部材(B)
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 37/00 101 G01N 30/32 A // G01N 30/32 27/26 331Z

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 部材中に毛細管状流路を有し、流路の途
    中に流路に面して、感温性ゲルが充填されたゲル室を有
    することを特徴とする微小バルブ機構。
  2. 【請求項2】 毛細管状流路の断面(幅×高さ)が(1
    μm×1μm)〜(3mm×3mm)の範囲である請求
    項1に記載の微小バルブ機構。
  3. 【請求項3】 流路接面からのゲル室の奥行きが、流路
    幅の0.5〜100倍である請求項1又は2に記載の微
    小バルブ機構。
  4. 【請求項4】 ゲル室の内部に感温性ゲルのアンカー構
    造を有する請求項1〜3のいずれか1つに記載の微小バ
    ルブ機構。
  5. 【請求項5】 感温性ゲルが、ポリ−N−置換(メタ)
    アクリルアミドを主成分とするものである請求項1〜4
    のいずれか1つに記載の微小バルブ機構。
  6. 【請求項6】 感温性ゲルが、多孔質ゲルである、請求
    項1〜5のいずれか1つに記載の微小バルブ機構。
  7. 【請求項7】 感温性ゲルが4℃〜50℃の温度範囲で
    3〜3000%の体積変化を生じる、請求項1〜6のい
    ずれか1つに記載の微小バルブ機構。
  8. 【請求項8】 ゲル室部分を温度調節する機構を有する
    請求項1〜7のいずれか1つに記載の微小バルブ機構。
  9. 【請求項9】 微小バルブ機構が、表面に溝及び凹部を
    有する部材(A)と、部材(A)の溝及び凹部が形成さ
    れた面に接着された部材(B)で構成されており、毛細
    管状流路及びゲル室が、部材(A)の溝及び凹部と部材
    (B)とで形成されたものである、請求項1〜8のいず
    れか1つに記載の微小バルブ機構。
  10. 【請求項10】 微小バルブ機構が形成された部材が、
    部材(A)と部材(B)の間に固体状物質(C)が充填
    された構造を有し、毛細管状流路及びゲル室が固体状物
    質(C)の欠損部として形成されたものである請求項1
    〜8のいずれか一つに記載の微小バルブ機構。
  11. 【請求項11】 毛細管状流路の途中に流路に面して形
    成されたゲル室に、エネルギー線照射によって感温性ゲ
    ルを形成する溶液を充填し、ゲルを形成する部分にエネ
    ルギー線を照射して、該ゲル室内に感温性ゲルを形成す
    ることを特徴とする請求項1〜10のいづれか1つに記
    載の微小バルブ機構の製造方法。
  12. 【請求項12】 表面に溝を有する部材(A)の溝の途
    中に、溝に面して形成された凹部に、エネルギー線照射
    によって感温性ゲルを形成する溶液を充填し、ゲルを形
    成する部分にエネルギー線を照射して、該凹部内に感温
    性ゲルを形成した後、部材(A)の溝及び凹部形成面に
    部材(B)を接着することを特徴とする請求項9に記載
    の微小バルブ機構の製造方法。
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