JP2002065261A - 生殖細胞の取得方法 - Google Patents
生殖細胞の取得方法Info
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Abstract
培養下に分化した生殖細胞を選別精製して、ES細胞由来
の生殖細胞から精子形成を実現すること。 【解決手段】 Vasa遺伝子またはそのホモログ遺伝子発
現の制御下に置かれるようにマーカー遺伝子を導入した
ES細胞株を、生殖細胞分化促進因子の存在下で培養し、
マーカー遺伝子の発現を指標として生殖細胞分化能を有
する細胞を選択することを特徴とする、生殖細胞の取得
方法。
Description
法およびその利用法に関する。より詳細には、本発明
は、Vasa遺伝子またはそのホモログ遺伝子発現の制御下
に置かれるようにマーカー遺伝子を導入したES細胞株
を、生殖細胞分化促進因子の存在下で培養することを含
む生殖細胞の取得方法、およびその利用法に関する。
卵やES細胞を対象とした遺伝子操作を基盤としており、
遺伝子導入細胞に由来する子孫個体を得るには、仮母親
への移植操作の効率や導入遺伝子の配偶子形成への伝達
効率が遺伝子改変動物作成の効率や作業期間の大きな律
速点となっている。また、これらの手法は、主にES細胞
株が樹立され、且つ世代期間の短い実験動物(マウス)
に有効な方法であり、受精卵採取が困難であったり、世
代期間の長い多くの家畜動物には実用的手法とは言い難
い。また、現在、注目されている体細胞核移植によるク
ローン動物の作成に関しても、受精卵以降の胚操作過程
は共通していることから、この問題は避けて通ることが
できない課題である。
生は、自己再生能を持つ造精幹細胞の周期的分化によっ
て担われ、その産生は個体の全生涯にわたって継続され
る。この発生学的特質に基づいて、精子細胞もしくはそ
の核を用いた人工授精技術や精子の凍結保存技術など、
生体の精子形成細胞から子孫個体を得る生殖工学技術は
急速に発達し、現在これらの技術は既存のものとなりつ
つある。
伝子改変動物の作成では、受精卵もしくは胚盤胞期胚の
生体移植操作が不可欠であり、その胚体において遺伝子
操作細胞が如何に生殖細胞系譜に入るか、即ち精子形成
に寄与するかが大きな鍵となる。この場合、いかなる形
においても精子形成過程までの進行を達成すれば、精子
細胞を用いた生殖工学技術によって遺伝子改変個体の獲
得は可能である。そのため、本発明では、生殖細胞への
分化過程を培養下に進行させること、次いで遺伝子操作
細胞由来の生殖細胞を精製することによって確実に精子
形成への寄与が期待できるシステムを確立することを解
決すべき課題とした。この課題を実現するためには、克
服すべき問題が2つある。
ら生殖細胞の分化を検出可能にすることであり、もう一
つは培養下に分化した生殖細胞を選別精製して、ES細胞
由来の生殖細胞から精子形成を実現することである。前
者については、これまで一般に生殖細胞の前駆体である
始原生殖細胞を識別するのに用いられてきたOct3/4,SSE
A-1抗原及びアルカリフォスファターゼ染色陽性による
検出法が、ES細胞をはじめとする全能性細胞についても
共通の形質であることから、ES細胞から始原生殖細胞へ
の分化を識別する手段とならないことがin vitro生殖細
胞分化誘導系の開発を阻む大きな原因となっていた。
とによって形成される胚様体は、培養後3〜5日目以降
に胚体外外胚葉細胞とともに内・中・外胚葉の胚体細胞
の分化が見られる。同様の胚様体培養において生殖細胞
の分化が起こっていることは、生殖細胞特異的遺伝子Mv
h(mouse vasa homolog)の発現(Fujuwara et al., PNA
S, 91, 12258-12262, 1994; Toyooka et al., Mech. De
v., 93, 139-149, 2000)をlacZ及びGFP遺伝子のマーカ
ー遺伝子発現によって可視化することによって検出可能
となった。培養後5日目の胚様体においてマーカー陽
性、即ちMvh発現陽性の生殖細胞は全体の約0.1〜0.3%
の頻度で出現する。
ーパーファミリーに属する成長因子BMP4(bone morphoge
netic Protein-4)を発現する細胞をES細胞と混合培養す
る操作によって、上記の生殖細胞出現頻度は全体の約3
〜5%(約10〜20倍)増加し、しかも、その出現は培養
後1日の短期間に誘導されることが判明した。細胞選別
装置(FACS)を用いることによってマーカー陽性細胞と
して分別された生殖細胞は、胎生10.5〜13.5日目胎児生
殖巣の始原生殖細胞(PGC)を特徴づけるOct3/4, SSEA-1,
GCNA-1抗原及びアルカリフォスファターゼ陽性の特性
を示す。本発明者らの今回の実験では、2度のFACS選別
によってES細胞由来生殖細胞は90%以上に精製すること
が可能であった。
能を持つことは、生体精巣への移植操作によって検定さ
れた。胎児生殖巣由来細胞と混合とした細胞凝集塊を精
巣皮膜下に移植した場合、12.5日胚始原生殖細胞と同様
に移植塊内に精子形成が観察でき、上記移植法によって
ES細胞由来の精子が作成可能であった。
子改変操作を施したES細胞からキメラ動物の作成作業を
経ることなく、極めて短時間かつ確実にES細胞由来の精
子を獲得する優れた技術を提供できることを意味する。
また、ES細胞からin vitro分化誘導される生殖細胞が正
常の発生能を示したことは、この分化誘導系がES細胞の
全能性検定および生殖細胞成立に対する化学物質の撹乱
作用検定系に利用できることを示している。本発明はこ
れらの知見に基づいて完成したものである。
遺伝子またはそのホモログ遺伝子発現の制御下に置かれ
るようにマーカー遺伝子を導入したES細胞株を、生殖細
胞分化促進因子の存在下で培養し、マーカー遺伝子の発
現を指標として生殖細胞分化能を有する細胞を選択する
ことを特徴とする、生殖細胞の取得方法が提供される。
好ましくは、ES細胞株に導入するマーカー遺伝子は、GF
P、BFB、YFP、あるいはlacZ遺伝子である。好ましく
は、相同組換えによりマーカー遺伝子はES細胞株へ導入
される。好ましくは、ES細胞株は哺乳類又は鳥類由来の
細胞株である。好ましくは、分化促進因子はBMP4であ
る。
化促進因子をコードする遺伝子を導入した細胞と、Vasa
遺伝子またはそのホモログ遺伝子発現の制御下に置かれ
るようにマーカー遺伝子を導入したES細胞株とを共培養
し、マーカー遺伝子の発現を指標として生殖細胞分化能
を有する細胞を選択することを特徴とする、生殖細胞の
取得方法が提供される。好ましくは、生殖細胞分化促進
因子をコードする遺伝子は、BMP4をコードする遺伝子で
ある。
またはそのホモログ遺伝子発現の制御下に置かれるよう
にマーカー遺伝子を導入したES細胞株を被験物質の存在
下で培養し、該マーカー遺伝子の発現を誘起する被験物
質を選択することを特徴とする、生殖細胞分化促進因子
のスクリーニング方法が提供される。本発明の第4の態
様によれば、本発明の第3の態様である生殖細胞分化促
進因子のスクリーニング方法により得られる生殖細胞分
化促進因子が提供される。
1の態様である生殖細胞の取得方法により取得された生
殖細胞を培養し、得られた細胞凝集塊を成体雄の精巣被
膜下に移植し、形成された精細管構造を呈する細胞塊か
ら細胞を取得することを特徴とするES細胞由来の精子の
取得方法が提供される。好ましくは、生殖細胞の培養
は、胎児雄性生殖巣由来細胞と共培養する方法である。
5の態様であるES細胞由来の精子の取得方法により取得
される精子が提供される。本発明の第7の態様によれ
ば、Vasa遺伝子またはそのホモログ遺伝子発現の制御下
に置かれるようにマーカー遺伝子を導入したES細胞株に
外来遺伝子を導入することにより得られる組換え細胞株
をES細胞株として用いて、本発明の第1の態様である生
殖細胞の取得方法を行うことを特徴とする、遺伝子組換
え生殖細胞の取得方法が提供される。
7の態様である遺伝子組換え生殖細胞の取得方法により
取得される遺伝子組換え生殖細胞株を用いて、本発明の
第5の態様である精子の取得方法を行うことを特徴とす
る、遺伝子組換え精子の取得方法が提供される。本発明
の第9の態様によれば、本発明の第8の態様である遺伝
子組換え精子の取得方法により得られる遺伝子組換え精
子が提供される。
第5又は第8の態様である精子の取得方法により得られ
る精子を用いて、顕微受精によりES細胞由来の個体を作
成する方法が提供される。
子またはそのホモログ遺伝子発現の制御下に置かれるよ
うにマーカー遺伝子を導入したES細胞株を被験物質の存
在下で培養し、マーカー遺伝子の発現が誘起されている
細胞数を指標として、生殖細胞への毒性を有する物質を
検定することを特徴とする生殖細胞への毒性試験方法が
提供される。
子またはそのホモログ遺伝子発現の制御下に置かれるよ
うにマーカー遺伝子を導入したES細胞株を、生殖細胞分
化促進因子と被験物質の存在下で培養し、マーカー遺伝
子発現が誘起されている細胞数を指標として、生殖細胞
への毒性を有する物質を検定することを特徴とする、生
殖細胞への毒性試験方法が提供される。
子またはそのホモログ遺伝子発現の制御下に置かれるよ
うにマーカー遺伝子を導入したES細胞株を被験物質の存
在下でBMP4遺伝子導入細胞株と共に培養し、マーカー遺
伝子発現が誘起されている細胞数を指標として、生殖細
胞への毒性を有する物質を検定することを特徴とする、
生殖細胞への毒性試験方法が提供される。
施態様について詳細に説明する。ES細胞から始原生殖細
胞への分化を識別するには、ES細胞には発現せず、分化
した生殖細胞に特異的に発現する形質を指標にする必要
がある。生殖細胞特異的遺伝子Mvh(mouse vasa homolo
g)は、生殖巣内に定住した後期始原生殖細胞に特異的で
あり、それ以前の未分化初期胚細胞やES細胞には発現が
認められないこと(Fujuwara et al., 1994; Toyooka e
t al., 2000)から、本発明ではVasa遺伝子またはその
ホモログ遺伝子発現を生殖細胞の分化指標として用いる
こととした。但し、ES細胞の浮遊培養で形成される胚様
体では、生体内と同様に三胚葉を含む様々な細胞種の分
化が起こり、生殖細胞の出現頻度は極めて少ないと考え
られる。そのため、従来の分子遺伝学的検出法や免疫組
織学的染色法では正確な識別ができないことが予想され
た。本発明では、この問題を克服する手段として、Vasa
遺伝子またはそのホモログ遺伝子発現をGFP(発光クラ
ゲの緑色蛍光蛋白質)およびlacZ(バクテリア由来のガ
ラクトシダーゼ酵素;発色基質によって青色呈色或いは
発光基質によって蛍光発色が可能となる)遺伝子などの
マーカー遺伝子の発現に置き換える遺伝子改変操作を施
し、Vasa遺伝子またはそのホモログ遺伝子発現の制御下
に置かれるように上記マーカー遺伝子を導入したES細胞
株を作製した。
同組換えによってMvh遺伝子座にknock-in(挿入)したES
細胞クローンを樹立し(図1参照)、Mvh遺伝子発現をl
acZ(GFP)発現によって可視化する方策を取った。これ
により、分化した生殖細胞を固定標本とすることなく、
生きたまま高感度に検出する手段となると同時に、分化
した生殖細胞を他の細胞種から分別精製することが可能
になる。
め、培養分化誘導系の優位点を生かして、生殖細胞の分
化促進条件を検討した。生体内では始原生殖細胞は胚体
外組織(胎盤前駆組織)からの局所的な分化誘導作用を
受けて分化すると推定されている。さらに、ノックアウ
トマウス解析から、胚体外組織に発現するBMP4遺伝子の
破壊は始原生殖細胞の欠損をもたらすことが報告され
(Lawson et al., Genes &Dev., 13, 424-436, 199
9)、BMP4が生殖細胞分化促進因子となる可能性が考え
られた。本発明では、BMP4蛋白質を強制発現するベクタ
ーを遺伝子導入したBMP4発現細胞を樹立し、これをES細
胞と均等に混合した上で胚様体形成を行った場合、10倍
以上の出現頻度の増加が起こることを見出した。
選別装置(FACS)によって容易に精製することができる。
この生殖細胞が生体内始原生殖細胞と同様の発生能を持
つことを検証し、ES細胞由来の精子細胞を形成する手段
として、精製細胞に由来する細胞塊を生体精巣内に挿入
移植する方法を用いた。この手法では、移植片は宿主組
織とは分離して独自の精細管組織を構築するため、ES細
胞由来の精子細胞は宿主精子と混合することなく、容易
に分離精製することが可能となる。以下、本発明につい
てさらに詳細に説明する。
そのホモログ遺伝子発現生殖細胞の分化 ES細胞はLIF(Leukemia Inhibitory Factor)存在下で
は未分化性を維持し、約8時間の早い分裂周期を持って
増殖するが、LIF非存在下では増殖率が低下するととも
に初期胚と同様の細胞分化を起こす。特に、浮遊培養に
よって細胞塊を形成すると胚葉体と呼ばれる内・中・外
胚葉性の複数の細胞種からなる球状組織構造が形成され
る。このES細胞のin vitro 分化において、生殖細胞系
譜の分化が起こるか否かを生殖細胞特異的Vasa遺伝子ま
たはそのホモログ遺伝子の発現で検出するシステムにつ
いては、ES細胞にVasa遺伝子またはそのホモログ遺伝子
発現の制御下に置かれるようにマーカー遺伝子を導入
し、これを適当な条件下で培養する方法が用いられる。
これらは例えば、以下の方法を用いて行うことができ
る。Vasa遺伝子またはそのホモログ遺伝子発現細胞の高
感度可視化検出を可能にするため、相同組換えによって
該遺伝子座にIRES-lacZ発現カセットおよびIRES-GFP発
現カセット等を挿入置換(ノックイン)したマーカー遺
伝子導入ES細胞株を樹立する。この可視化マーカー遺伝
子の導入により、Vasa遺伝子またはそのホモログ遺伝子
発現細胞の存在をLacZの酵素活性染色、またはGFPの蛍
光発光等により定量的に識別することができる。実際
に、GFP遺伝子によりMvh遺伝子をノックインしたES細胞
株をLIFを含まない培養液を用いて浮遊培養し、胚様体
形成を行ってGFP陽性細胞の出現を検討した結果、最も
早期には培養後3日目の胚様体において、僅かながらMvh
遺伝子発現細胞の出現が認められ、培養後5日目の胚様
体ではさらにGFP陽性細胞が増加し、全体の約1割の胚様
体にMvh遺伝子発現細胞の存在が観察された。同様に、l
acZをマーカー遺伝子として導入した場合も、Mvh発現生
殖細胞の出現はlacZノックインES細胞を用いた胚葉体形
成において観察された。このMvh発現生殖細胞の出現
は、LIF存在下(103 units/ml)で浮遊培養した場合(胚
葉体と類似の細胞塊が形成される)には検出されず、LI
F非存在下でも通常の組織培養プレートで培養した場合
(細胞塊の形成はない)には検出されないことから、そ
の出現にはLIF非存在下で細胞塊を形成することが必要
である。
ログ遺伝子とは、好ましくは哺乳動物(例えば、マウ
ス、ヒト、ブタ、ウシ、ヒツジ、ラット等)のVasa遺伝
子を意味する。なお、Vasa遺伝子およびそのホモログ遺
伝子は公知であり、例えば、ラット(Komiya et al., D
ev. Biol., 162, 354-363, 1994)、ニワトリ(Tsuneka
wa et al., Development, 127, 2740-2750, 2000)、ゼ
ブラフィッシュ(Yoon et al., Development, 124, 315
7-3165, 1999)等に記載されている。
発現を容易に検出または測定できる遺伝子である限りそ
の種類は特に限定されず、例えば、GFP、BFB、YFP、あ
るいはlacZ遺伝子などが挙げられる。また、マーカー遺
伝子を導入するための発現カセットには、IRES(Intern
al ribosome entry site: Jackson, R.J., et al., Tre
nds Biochem Sci., 15(12), 477-483, 1990)をマーカ
ー遺伝子の5’側に連結するようにして用いると、マー
カー遺伝子の機能発現に有利である。
の制御下に置かれるようにマーカー遺伝子を導入する態
様としては、(1)Vasa遺伝子またはそのホモログ遺伝
子のプロモーターの下流にマーカー遺伝子を該プロモー
ターの制御下に置かれるように導入する態様、並びに、
(2)Vasa遺伝子またはそのホモログ遺伝子のプロモー
ターを連結させたマーカー遺伝子をES細胞株に導入する
態様の2つが挙げられる。上記の第1の態様でマーカー
遺伝子を導入する場合には、該遺伝子をVasa遺伝子又は
そのホモログ遺伝子のDNA配列の間にリーディングフ
レームを合わせるように挿入してもよいし、その一部又
は全部と入れ換えて導入することもできる。導入する方
法としては、相同組換えを用いることができる。上記の
第2の態様でマーカー遺伝子を導入する場合は、Vasa遺
伝子又はそのホモログ遺伝子のプロモーターを直結させ
たマーカー遺伝子の導入部位は特に制限されない。ま
た、導入の方法もそれ自体既知の遺伝子導入法を用いて
行うことができる。これらのうち、マーカー遺伝子とそ
の5’側に連結したIRES配列よりなる発現ユニットを相
同組換えによりVasa遺伝子又はそのホモログ遺伝子の一
部と入れ換えて導入することが好ましい。
されないが、哺乳類又は鳥類由来の細胞株が好ましい。
具体的には、マウス129系統雄由来E14細胞株およびこれ
に由来するE14TG2a細胞株、ヒトES細胞株H9(Thomson e
t al., Science, 282, 1145-1147, 1998)等が挙げられ
る。
現生殖細胞の精製分取 マーカー遺伝子発現が誘導された細胞は、マーカーによ
り発せられる信号を検出することにより分離精製を行う
ことができる。信号の検出法、及び細胞の分離精製法は
それ自体既知の適当な方法を用いることができる。具体
的には例えば以下に記載するようにして行うことができ
る。ノックインES細胞胚葉体において分化誘導されたla
cZ/GFP陽性生殖細胞をセルソーター(FACS)による分離
精製を行う。lacZノックインES細胞の5日目胚様体をコ
ラゲネースにより分散し、分散細胞をlacZ酵素活性で生
体蛍光染色した後、FACSを用いて分析し、lacZ陽性細胞
を分取する。以下の実施例では、lacZ陽性分画に分取さ
れた細胞は全体の0.1〜0.3%であった。このようにして
精製されるlacZ陽性細胞はMvh抗体染色に陽性であるこ
とから、実際に内在性Mvh発現細胞であることが確認さ
れる。同時に、胎児生殖細胞の識別指標のOct3/4抗体染
色、AP染色、およびSycp3蛋白質の検出について陽性で
あることを確認することにより、既存の始原生殖細胞識
別指標のほぼ全てにおいて生殖細胞の特質を持つことを
確認できる。
いて、Mvh発現細胞の出現頻度を指標にして生殖細胞分
化をより効率的に促進する方法も提供される。生体内で
は、胎生6.0〜6.5日目胚において胚体外組織からエピブ
ラストに対して、何らかの生殖細胞分化誘導作用が働く
ことが推定されている。そこで予備実験として、7.5日
目胚の胚体外外胚葉を摘出し、FGF4を含む培地で長期培
養(約1ヶ月)によって増殖させた胚体外外胚葉由来初
代培養細胞とノックインES細胞を等量混合して細胞塊を
形成させる共培養を行った結果、その培養開始後1日目
において、ほとんど全ての細胞塊においてMvh発現細胞
の出現が観察され、Mvh発現細胞の頻度はES細胞単独培
養よりも遥かに高い誘導促進が認められた。これは、胚
体外外胚葉細胞に生殖細胞の分化促進作用があることを
示すとともに、in vitro培養分化系が生体内で起こる生
殖細胞分化の特性を正しく反映していることを示すもの
である。
に由来するM15細胞株に、CMVプロモーターによって胚体
外外胚葉が持つ分化誘導シグナルの候補因子とされるBM
P4全長配列を発現するベクターを遺伝子導入して、BMP4
蛋白質を強制発現するM15細胞株(BMP4-M15)を作成し
た。このBMP4-M15細胞とGFPノックインES細胞を1:1混合
した混合細胞塊を検討した結果、培養開始後1日目にMvh
発現細胞の出現が観察された。なお、対照実験として行
った野生型M15細胞の共培養では、1日目にMvh発現細胞
は全く見られなかった。FACS解析によって、その出現頻
度は約3%と算定され、ES細胞単独の胚様体(5日目)の
場合の6〜10倍に相当する。また、この1回目のFACS精製
によって分取された細胞分画の80%以上はMvh発現細胞
であり、再度この陽性分画をFACS精製に掛けた分画は95
%以上の純度を示した(図3参照)。これらの結果よ
り、Vasa遺伝子またはそのホモログ遺伝子の発現の制御
下に置かれるようにマーカー遺伝子を導入したES細胞株
は、FGF、BMP4等の生殖細胞分化促進因子の存在下で培
養することにより、マーカー遺伝子陽性細胞の分化誘導
が促進できることが分かった。
ードする遺伝子を導入した細胞とVasa遺伝子またはその
ホモログ遺伝子発現の制御下に置かれるようにマーカー
遺伝子を導入したES細胞を共培養することにより供給さ
れることが好ましいことも明らかになった。導入する細
胞としては、本発明で用いるES細胞と同じ培養系におい
て培養可能であって、導入した生殖細胞分化促進因子遺
伝子が発現する細胞であればいかなるものであってもよ
いが、好ましくは中胚葉系の細胞等、さらに好ましくは
生殖隆起体細胞に由来する細胞であるM15(Rassoulzade
gan et al., Cell, 75, 997-1006, 1993)が好ましく用
いられる。生殖細胞分化促進因子をコードする遺伝子を
含む発現カセットとしては、生殖細胞分化促進因子が細
胞内で適当量発現するのに適しているものであればいか
なるものであってもよいが、例えば生殖細胞分化促進因
子をコードする遺伝子の5’側に適当なプロモーター配
列が連結したものを用いることができる。
カセットを導入した細胞内で、生殖細胞分化促進因子を
生殖細胞分化を促進するのに十分な量発現させるような
ものであればいかなるものであってもよい。具体的に
は、例えば、CMVプロモーターが好ましく用いられる。
発現カセットの上記した細胞への導入、及び生殖細胞分
化促進因子強制発現細胞の培養については、それ自体既
知の適当な方法を用いることができる。このようにして
取得された生殖細胞分化促進因子導入細胞を、Vasa遺伝
子またはそのホモログ遺伝子発現の制御下に置かれるよ
うにマーカー遺伝子を導入したES細胞とを共培養するこ
とにより、該ES細胞の生殖細胞への分化を促進する。共
培養する場合の両細胞の割合としては、培養スケール
や、用いるプロモーターの種類によって適宜選択され
る。具体的には、生殖細胞分化促進因子導入細胞の全体
細胞数に対する割合が、1%以上であれば生殖細胞への
分化促進が誘導されるが、好ましくは、10〜50%程
度である。
及び精製条件は、ノックイン操作をしたES細胞を用いて
得られたものであるが、同様にVasa遺伝子またはそのホ
モログ遺伝子発現細胞の挙動を指標にすることによって
他の遺伝子操作処理を施したES細胞或いは無処理のES細
胞についても適用が可能であると考えられる。また、Mv
h抗体染色は他の哺乳動物生殖細胞にも交叉反応するこ
と、Vasaホモログ遺伝子は種を越えて非常に保存性が高
いことから、ヒト、ブタ等の他の哺乳類ES細胞について
も適用が可能と考えられる。
のホモログ遺伝子発現生殖細胞に由来する精子形成 上記3で記載したようにin vitro分化誘導後にFACS精製
された生殖細胞が、生体内で発生した生殖細胞と同様の
発生能を持つが否かは、生体精巣被膜下への移植法によ
って検討することができる。生体精巣被膜下への移植
は、FACS精製したES由来細胞と胎仔(12.5日目胚)雄生
殖巣由来の分散細胞を混合し、1日間の浮遊培養によっ
て細胞凝集塊を形成させ、この凝集塊を成体雄ヌードマ
ウスの精巣被膜下に移植して生体内培養を行えばよい。
培養開始から1〜2ヶ月後、移植精巣内において移植細胞
塊は、宿主精巣とは分離した形で独自の精細管構造を形
成する。組織学的解析からその精細管内部にはES由来生
殖細胞が定着し、精子形成像が観察された。これらの結
果より、上記3で取得した生殖細胞を培養し、得られた
細胞凝集塊を成体雄の精巣被膜下に移植し、形成された
精細管構造を呈する細胞塊から細胞を取得することによ
り、ES細胞由来の精子を取得できることが明らかとなっ
た。
性生殖巣由来細胞と共培養することによれば、さらに好
ましいことも分かった。取得した生殖細胞の培養法は、
それ自体既知の細胞凝集塊が形成されるような培養法で
あればいかなるものであってもよい。具体的には浮遊培
養法が好ましく用いられる。この培養の際、上記したよ
うな胎児雄性生殖巣由来細胞と共培養することが好まし
い。胎児雄性生殖巣由来の細胞としては、適当な動物の
胎児の雄性生殖巣を適当な既知の方法により分散させた
細胞を用いることができる。混合の割合は、特に制限は
ないが、胎児雄性生殖巣由来細胞が全体の細胞数に対
し、50%程度が好ましい。形成された細胞凝集塊の取
得、及び動物成体の精巣皮膜下への移植の方法は、例え
ばHashimoto N. et al., J.Exp.Zool., 253, 61-70, 19
90に記載の方法を用いることができる。移植を行う動物
としては、外来細胞の移植に適した動物、例えば、ヌー
ドマウス等が好ましく用いられる。移植を行った動物を
適当な期間飼育した後、ES細胞由来の生殖細胞により形
成された精細管構造を取得することにより、ES細胞由来
の精子を取得することができる。移植組織の精細管は閉
鎖系であり、宿主精子が混入する恐れはなく極めて高純
度に摘出することができ、上記のようにして取得した精
子を用いた精子顕微注入法による人工受精を介して産仔
を得ることが可能である。精子顕微注入法、人工受精法
および産仔の取得法については、例えば、KimuraY. et
al., Development, 121, 2397-2405, 1995に記載の方法
によることができる。
グ方法 本発明はまた、Vasa遺伝子またはそのホモログ遺伝子発
現の制御下に置かれるようにマーカー遺伝子を導入した
ES細胞株を被験物質の存在下で培養し、該マーカー遺伝
子の発現を誘起する被験物質を選択することを特徴とす
る、生殖細胞分化促進因子のスクリーニング方法、並び
に該スクリーニング方法により得られる生殖細胞分化促
進因子にも関する。被験物質の種類は特には限定されな
いが、例えば、ペプチド、ポリペプチド、合成化合物
(低分子有機化合物、高分子有機化合物など)、微生物
発酵物、生物体(植物又は動物の組織、微生物、又は細
胞などを含む)からの抽出物、あるいはそれらのライブ
ラリーが挙げられる。ライブラリーとしては、合成化合
物ライブラリー(コンビナトリアルライブラリーな
ど)、ペプチドライブラリー(コンビナトリアルライブ
ラリーなど)などが挙げられる。スクリーニングの被験
物質は、天然物でも合成物でもよく、また候補となる単
一の被験物質を独立に試験しても、いくつかの候補とな
る被験物質の混合物(ライブラリーなどを含む)につい
て試験をしてもよい。また、細胞抽出物のような混合物
を分画したものについてスクリーニングを行い、分画を
重ねて、最終的にマーカー遺伝子の発現を誘起する物質
を単離することも可能である。
え精子の取得方法 本発明はまた、Vasa遺伝子またはそのホモログ遺伝子発
現の制御下に置かれるようにマーカー遺伝子を導入した
ES細胞株に外来遺伝子を導入することにより得られる組
換えES細胞株を生殖細胞分化促進因子の存在下で培養
し、マーカー遺伝子の発現を指標として生殖細胞分化能
を有する細胞を選択することを特徴とする、遺伝子組換
え生殖細胞の取得方法にも関する。ES細胞株に導入する
外来遺伝子の種類は特に限定されないが、例えば、ペプ
チドホルモン、神経伝達因子、成長因子等の生理活性物
質およびワクチン等の免疫増強物質やネオマイシン耐性
因子等の薬剤耐性物質などが挙げられる。これ以外に
も、例えば機能が未知のcDNA等も導入することができ
る。このような外来遺伝子の発現のために適当なプロモ
ーター配列を該遺伝子の5’側に結合させて導入するこ
とができる。
通常の遺伝子導入法を使用できる。外来遺伝子の導入位
置も特に限定されず、目的等に応じて適宜選択できる。
外来遺伝子は、Vasa遺伝子またはそのホモログ遺伝子発
現の制御下に置かれるように導入したマーカー遺伝子の
発現に悪影響を及ぼさないように導入することが好まし
い。上記のようにして取得した遺伝子組換え生殖細胞株
を用いて、上記4.に記載したようにして遺伝子組換え精
子を取得することもできる。
現の制御下に置かれるようにマーカー遺伝子を導入した
ES細胞株を被験物質の存在下で培養し、マーカー遺伝子
の発現が誘起されている細胞数を指標として、生殖細胞
への毒性を有する物質を検定することを特徴とする生殖
細胞への毒性試験方法にも関する。ES細胞株を被験物質
の存在下で培養する際に、生殖細胞分化促進因子を存在
させてもよく、より好ましくはBMP4遺伝子導入細胞株と
共に培養する。生殖細胞への毒性を有する物質(被験物
質)の種類は特には限定されないが、例えば、ペプチ
ド、ポリペプチド、合成化合物(低分子有機化合物、高
分子有機化合物など)、微生物発酵物、生物体(植物又
は動物の組織、微生物、又は細胞などを含む)からの抽
出物、あるいはそれらのライブラリーが挙げられる。ラ
イブラリーとしては、合成化合物ライブラリー(コンビ
ナトリアルライブラリーなど)、ペプチドライブラリー
(コンビナトリアルライブラリーなど)などが挙げられ
る。被験物質は、天然物でも合成物でもよく、また候補
となる単一の被験物質を独立に試験しても、いくつかの
候補となる被験物質の混合物(ライブラリーなどを含
む)について試験をしてもよい。また、細胞抽出物のよ
うな混合物を分画したものについてスクリーニングを行
い、分画を重ねて、最終的にマーカー遺伝子の発現を誘
起する物質を単離することも可能である。より具体的に
は、内分泌撹乱物質(環境ホルモン)などを生殖細胞へ
の毒性を有する物質として本発明の毒性試験方法で評価
することができる。以下の実施例により本発明をさらに
具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限
定されるものではない。
vhゲノム遺伝子クローンを基に、そのファージクローン
から切り出された2.2kbのXbaI-SpeIのゲノム断片および
1.2kbのXbaI-XhoIの断片をそれぞれ3'側および5'側の相
同フランキング領域として使用し、翻訳開始点を含む第
2エキソンより3.0kb下流のゲノム領域をIRES-LacZ+pGK-
neo(ネオマイシン耐性遺伝子)またはIRES-GFP+pGK-ne
oカセットと置換するノックインベクターを作製した(図
1参照)。なお、ネガティブ選択のためのMC1DT-A(ジフ
テリア毒素)発現カセットをベクターの3'領域に付加し
た。線状化したノックインベクターをES細胞株(E14TG2
a)にエレクトロポレーションにより導入し、G418の存
在下(175μg/ml)で5〜7日間薬剤耐性による選択を行
った。G418耐性のES細胞クローン(およそ400株)か
ら、0.7 kb HindIII-XbaI および2.6 kb EcoRI-PstI
断片をそれぞれ3'側および5'側の相同組換えを検出する
プローブとしたサザンブロット解析を行い、IRES-LacZ
およびIRES-GFPのノックインベクター各々について、組
換え体ES細胞クローンを選別した。得られたES細胞クロ
ーンを用いて、以下のin vitro分化誘導系を構築した。
分化とBMP4発現支持細胞との共培養による分化誘導の促
進 ES細胞株の培養には、E14TG2細胞株用培地[グラスゴー
(Glasgow)イーグル培地 (GMEM; ギブコ社), 10% ウシ胎
児血清,100μM 非必須アミノ酸 (Gibco), 1mMピルビン
酸ナトリウム(ギブコ社), 107 units/ml Leukemia Inhi
bitory Factor(LIF; ギブコ社), 10-4Mの 2-メルカプト
エタノール]を用いて、通常はゼラチンコート処理を施
した直径6cmの培養ディッシュ中に継代培養した。支持
細胞として用いた培養細胞株、例えばマウス体細胞10.5
日目胚の生殖巣体細胞由来の細胞株であるM15細胞株の
維持、およびES細胞の胚様体形成には、DMEM(ギブコ
社),10% FCS, 100μM 非必須アミノ酸(ギブコ社), 1 mM
ピルビン酸ナトリウム (ギブコ社) を培養液として使
用した。
密度に懸濁し、浮遊培養用組織培養プレートで37℃, 5
%二酸化炭素濃度下で培養後、経時的にMvh発現細胞の
出現を検定した。GFPノックインES細胞の場合は、蛍光
顕微鏡下で観察し、lacZノックインES細胞の場合は、X-
gal 染色法によって、Mvh発現細胞の出現を検出した
(図2参照)。X-gal染色は、培養細胞をPBSで洗浄した
後、氷冷した固定液(1%パラホルムアルデヒド、0.2%
グルタルアルデヒド / PBS)で5分間固定を行い、氷冷
したPBSで3回洗浄を行った後、X-gal染色液 (50mg/ml X
-gal(宝酒造)、5mM K4Fe(CN)63H2O、5mM K3Fe(CN)6、
2mM MgCl2/PBS)により37℃で12〜24時間の発色反応を行
うもので、lacZ陽性細胞は青色に呈色される。
は、CMVプロモーターとネオマイシン耐性遺伝子を持ち
任意の外来遺伝子を挿入可能な哺乳類細胞用発現ベクタ
ー(pTarget, プロメガ社)にBMP4のcDNAを挿入したBMP4
強制発現ベクターを作製した。エレクトロポレーション
法により遺伝子導入、ネオマイシン耐性による選別を行
い、BMP4強制発現ベクターを取り込んだ耐性細胞株を樹
立した。この導入BMP4遺伝子の発現は樹立株のmRNAにつ
いてBMP4特異的なRT-PCR検出を行うことで確認可能であ
る。図3では上述したM15細胞を用いているが、分化誘
導効果と宿主細胞の細胞種には特異性がないことが判明
している。ES細胞と等量のBMP4強制発現細胞を混合し、
上記と同様の胚様体形成培養を行った結果、1日の培養
条件においてMvh発現細胞の出現が検出されただけでな
く、その出現頻度もES単独の場合の10倍前後にも達し
た。
画 胚様体を遠心操作により回収し、0.01%コラゲネース
(シグマ社)を含むPBS中に懸濁し、37℃で30分間の酵
素反応を行った。ピペッティング操作により胚様体の細
胞を分散した後、再び遠心操作を行ってコラゲネースを
除去した。細胞は、PBSで洗浄した後、フェノールレッ
ドを含まないDMEM +10% FCS 中に105/ml 以下の細胞密
度になるよう分散し、FACS(FACStarPLUS、日本ベクト
ン・ディッキンソン)を用いて細胞の精製および分析を
行った。細胞選別の条件設定および解析用のソフトとし
てConsort-30を使用した。lacZ発現細胞の解析の際には
lacZ 生体染色基質(Imagene green C12FDG lacZ 遺伝
子発現キット; Molecular Probes社)を用い、細胞を
固定しない状態で染色(37℃で30分)し分別した。因み
に1回の選別操作によって、およそ105細胞が陽性分画
に回収された。ここで得られた陽性分画は、以下の生殖
細胞形質の検定及び生体移植での発生能の検定に用い
た。
細胞形質の検定 FACSによる選別を行った細胞は4%パラホルムアルデヒ
ドによる固定とPBSによる洗浄後、サイトスピンによる
遠心操作によってスライドガラス上に接着し、ブロッキ
ング液[0.1% BSA (Bovin Serum Albumen, Sigma)/PBS-
T]にてブロッキング反応を行った後(室温、60分)、1
次抗体液と一晩(4℃)反応させた。1次抗体の希釈率は
Mvh抗体の場合は1 :1000、Oct3/4抗体およびSycp3抗体
は1 : 100で反応液を用いた。反応後、PBSで3回(15
分)洗浄し、2次抗体としてはAP(アルカリフォスファ
ターゼ)標識もしくはHRP(ペルオキシダーゼ)標識抗
ウサギIgG(Bio-Rad社)と30分反応を行った。PBSで3回
洗浄した後、抗体反応はBCIP/NBT溶液(AP標識抗体)な
らびにDAB発色液[0.05% 3,3'-diamino-benzidine, 0.0
1% H2O2/PBS]溶液(HRP標識抗体)を用いた酵素抗体法
によって検出し、封入材のEukitt(O.Kindler)を用い
て検鏡試料とした。以上の始原生殖細胞の特性である抗
原蛋白質に対する抗体染色およびAP染色について、選別
細胞は全て陽性反応を示し(図4を参照)、in vitroで
Mvh発現細胞として分化する細胞が生殖細胞であること
が確認された。
検定 12.5日目胎児雄生殖巣細胞を分散し、再凝集塊を形成さ
せた後、成体精巣被膜下に移植した場合、約1〜2カ月後
には移植片内で精子形成を行うことが知られている。こ
れは、12.5日目以降の胎児雄性生殖細胞が適切な培養環
境の下で造精能を獲得することを示している。そこで、
FACS精製したMvh発現細胞について同様の移植実験を行
い、その精子形成能の検定を行った。FACS精製したlacZ
ノックインES由来細胞(約105細胞)と12.5日目胎児雄
生殖巣由来の分散細胞(約105細胞)を混合し、1日間
の浮遊培養によって細胞凝集塊を形成させ、この凝集塊
を成体雄ヌードマウスの精巣被膜下に移植して生体内培
養を行った。この凝集塊培養において宿主生殖巣由来の
始原生殖細胞の生存頻度は極めて僅かであり、仮に混入
したとしてもlacZノックインES由来細胞は、そのlacZ発
現能(Mvh発現は精子細胞まで継続する)において容易
に区別することができる。移植の2ヶ月後、移植精巣内
において移植細胞塊は、独自の精細管構造を形成し、そ
の精細管内部にはES由来細胞による精子形成像が観察さ
れた(図5を参照)。対照実験として分化誘導を経ない
ES細胞を用いて同様の移植実験を行った場合には、宿主
精巣内においてES細胞の特性に由来する腫瘍が形成され
た。従って、ES細胞のin vitro培養でMvh発現細胞とし
て分化する生殖細胞は、少なくとも生体培養法を用いる
ことによって精子まで分化させることができることが判
明した。
いた応用動物の作成は、受精卵へのDNA注入或いは全能
性ES細胞を用いた遺伝子組換えを主体としており、いず
れの場合も遺伝子操作細胞が生殖細胞に分化し、導入遺
伝形質が次世代に継代されることを基盤としている。本
発明は、受精卵やES細胞という全能性細胞から生殖細胞
をin vitroで分化誘導し、より迅速かつ直接的に遺伝子
操作細胞由来の精子を得る技術を提供するものであり、
遺伝子改変技術の効率化、簡便化に大きな寄与を果た
す。また、その簡便化と高効率化を通して遺伝子改変技
術の応用範囲を広げ、再生医療・畜産を始め幅広い基礎
研究の発展に資する。
発現せず、分化した生殖細胞に特異的に発現するマウス
Vasaホモログ(Mvh)遺伝子の発現を高感度に検出するこ
とができる培養細胞系が確立した。本発明は、胚性幹
(ES)細胞のin vitro胚様体形成において生殖細胞の分
化誘導を起こすこと、及びES細胞のin vitro分化誘導か
ら派生した生殖細胞を分離精製することに初めて成功し
たものである。従って、本発明には、以下のような応用
的側面が包含される。
象とした遺伝子改変操作が行われるのは、ES細胞が生殖
細胞(精子)を通して次世代個体になる性質を持つから
であり、ES細胞が持つ全能性の中で、最も欠落しやすい
特性もまた生殖細胞系譜への寄与能力である。本発明
は、このES細胞システムの根幹となる生殖細胞への分化
能を検定するうえで、優れた実験系を提供する。
物の作成は、単離したES細胞を胚盤胞期胚に移植したキ
メラ動物の作成とそれに続くES細胞由来ヘテロ動物の作
成を経て行われる。ここで、キメラ動物においてES細胞
が精子形成にどの程度参画するかが、改変動物作成の成
否を握る重要なステップとなる。これに対して、本発明
はin virto分化系によってES細胞から生殖細胞を選別
し、さらに移植法によって直接的にES細胞由来精子を作
成する技術を提供する。これは、従来法に比べて1世代
短い期間でヘテロ動物を得ることができ、かつES細胞を
確実に生殖系譜に導入できることが優位点となる。具体
的には、生殖細胞系譜への寄与能力が極端に低下してい
るES細胞クローンからも確実に精子及びその産仔を得る
手段を提供する(図6を参照)。
の動物、例えば大型家畜動物や希少動物である場合、性
成熟に至る世代時間や宿主初期胚および母胎の供給は、
さらに困難を招く要因になる。よって、本発明のマウス
以外の動物種への応用はより一層大きな意義を持つこと
になる。
培養における生殖細胞分化の確立は、生命現象の根幹
を担う生殖系譜の成立や分化についての実験モデルシス
テムとして利用できる。例えば、ヒトを含め、生殖細胞
分化に対する環境化学物質等の影響を見る評価システム
への応用が可能である。
操作によってlacZおよびGFP遺伝子をノックインしたES
細胞クローンを作成した。図1の上段は、その設計図を
模式的に示し、下段はゲノムサザン解析によって判別さ
れる2種のノックインES細胞の検定結果を示す写真であ
る。これらのクローンでは生殖細胞特異的なMvh遺伝子
発現がlacZ(クローン#417)およびGFP(クローン#3
7)遺伝子の発現として識別される。
を示す顕微鏡写真である。GFPノックインES細胞を使用
して胚様体形成を行い、培養後0、2,3,5日目の形態と
GFP発現(Mvh発現)細胞の出現を観察した。 培養後、3
日目以降において、一部の胚様体にGFP発現(Mvh発現)
細胞の出現が検出された。右は明視野像、左はその暗視
野蛍光像を示す。
FACS選別による精製を示すチャート及び顕微鏡写真であ
る。胎児期生殖隆起由来の中胚葉性細胞株M15細胞につ
いて、BMP4強制発現ベクターを導入した細胞株を樹立し
た。ES細胞クローンと親株M15を混合して凝集培養した
場合にはGFP(Mvh遺伝子発現)陽性細胞の出現は見られ
ないのに対し、BMP4発現M15細胞との混合では、わずか
1日間の培養で既にGFP陽性細胞の出現が観察され、そ
の出現頻度も約3%にまで増加した。ES細胞単独の場
合、GFP(Mvh遺伝子発現)陽性細胞の出現は見られない
のに対し(上段)、BMP4強制発現細胞との共培養の場
合、培養1日目においてMvh発現細胞が観察された(中
段)。さらに、その陽性細胞分画を再度FACS選別に掛け
ることによって高純度のMvh発現細胞が回収された。右
の染色像は、それぞれの分画の抗Mvh抗体によるMvh発現
の検定をしたもので、上段が抗体染色、下段はその明視
野像を示す。
析を示す顕微鏡写真である。即ち、図4は、FACSにより
培養5日目の胚葉体に出現するGFP(Mvh)発現細胞を解析
した結果を示す。分散した胚葉体細胞にPI染色を行い、
染色された細胞は死細胞として解析の対象から分別し
た。Mvh発現細胞の割合は0.3〜0.5%であった。上段6枚
は、精製された細胞を抗Mvh抗体、抗TRA98抗体, 抗Oct3
/4抗体、抗Sycp3抗体およびAP染色により染色した結果
を示す顕微鏡写真である。精製されたMvh発現細胞はこ
れらの染色について陽性であった。control像は培養1日
目の胚様体細胞を分散したものを抗Mvh抗体により染色
した結果をコントロール実験区として示している。この
場合染色性を示す細胞は観察されなかった。下段2枚
は、培養5日目の胚葉体を分散し、抗Mvh抗体(左)およ
び抗Sycp3抗体(右)にて2重染色した結果を示す顕微
鏡写真である。Mvh発現細胞とSycp3発現細胞は一致する
ことが判明した。
た精子形成像を示す顕微鏡写真である。FACS精製したla
cZノックインES由来細胞と12.5日目胎児雄生殖巣由来の
分散細胞を混合した細胞凝集塊を成体精巣被膜下に移植
した結果、移植後2ヶ月目において宿主精巣内において
移植細胞塊は、独自の精細管構造を形成していた(上
段)。その精細管は、X-gal染色によって強い陽性染色細
胞で満たされ、lacZノックインES細胞に由来することが
判る。精細管内部には、lacZノックインES由来細胞によ
る精子形成像が観察された(下段)。
ある。
Claims (19)
- 【請求項1】 Vasa遺伝子またはそのホモログ遺伝子発
現の制御下に置かれるようにマーカー遺伝子を導入した
ES細胞株を、生殖細胞分化促進因子の存在下で培養し、
マーカー遺伝子の発現を指標として生殖細胞分化能を有
する細胞を選択することを特徴とする、生殖細胞の取得
方法。 - 【請求項2】 ES細胞株に導入するマーカー遺伝子が、
GFP、BFB、YFP、あるいはlacZ遺伝子である請求項1に
記載の生殖細胞の取得方法。 - 【請求項3】 相同組換えによりマーカー遺伝子をES細
胞株へ導入する、請求項1または2に記載の生殖細胞の
取得方法。 - 【請求項4】 ES細胞株が哺乳類又は鳥類由来の細胞株
である、請求項1から3の何れか1項に記載の生殖細胞
の取得方法。 - 【請求項5】 分化促進因子がBMP4である、請求項1か
ら4の何れか1項に記載の生殖細胞の取得方法。 - 【請求項6】 生殖細胞分化促進因子をコードする遺伝
子を導入した細胞と、Vasa遺伝子またはそのホモログ遺
伝子発現の制御下に置かれるようにマーカー遺伝子を導
入したES細胞株とを共培養し、マーカー遺伝子の発現を
指標として生殖細胞分化能を有する細胞を選択すること
を特徴とする、生殖細胞の取得方法。 - 【請求項7】 生殖細胞分化促進因子をコードする遺伝
子が、BMP4をコードする遺伝子である、請求項6に記載
の生殖細胞の取得方法。 - 【請求項8】 Vasa遺伝子またはそのホモログ遺伝子発
現の制御下に置かれるようにマーカー遺伝子を導入した
ES細胞株を被験物質の存在下で培養し、該マーカー遺伝
子の発現を誘起する被験物質を選択することを特徴とす
る、生殖細胞分化促進因子のスクリーニング方法。 - 【請求項9】 請求項8に記載の方法により得られる
生殖細胞分化促進因子。 - 【請求項10】 請求項1から7の何れか1項に記載の
方法により取得された生殖細胞を培養し、得られた細胞
凝集塊を成体雄の精巣被膜下に移植し、形成された精細
管構造を呈する細胞塊から細胞を取得することを特徴と
するES細胞由来の精子の取得方法。 - 【請求項11】 生殖細胞の培養が、胎児雄性生殖巣由
来細胞と共培養する方法である、請求項10に記載の精
子の取得方法。 - 【請求項12】 請求項10又は11に記載の方法によ
り取得される精子。 - 【請求項13】 Vasa遺伝子またはそのホモログ遺伝子
発現の制御下に置かれるようにマーカー遺伝子を導入し
たES細胞株に外来遺伝子を導入することにより得られる
組換え細胞株をES細胞株として用いて請求項1から7の
何れかに記載の方法を行うことを特徴とする、遺伝子組
換え生殖細胞の取得方法。 - 【請求項14】 請求項13に記載の遺伝子組換え生殖
細胞の取得方法により取得される遺伝子組換え生殖細胞
株を用いて、請求項10または11に記載の精子の取得
方法を行うことを特徴とする、遺伝子組換え精子の取得
方法。 - 【請求項15】 請求項14の方法により取得される遺
伝子組換え精子。 - 【請求項16】 請求項10、11又は14に記載の方
法により得られる精子を用いて、顕微受精によりES細胞
由来の個体を作成する方法。 - 【請求項17】 Vasa遺伝子またはそのホモログ遺伝子
発現の制御下に置かれるようにマーカー遺伝子を導入し
たES細胞株を被験物質の存在下で培養し、マーカー遺伝
子の発現が誘起されている細胞数を指標として、生殖細
胞への毒性を有する物質を検定することを特徴とする生
殖細胞への毒性試験方法。 - 【請求項18】 Vasa遺伝子またはそのホモログ遺伝子
発現の制御下に置かれるようにマーカー遺伝子を導入し
たES細胞株を、生殖細胞分化促進因子と被験物質の存在
下で培養し、マーカー遺伝子発現が誘起されている細胞
数を指標として、生殖細胞への毒性を有する物質を検定
することを特徴とする、生殖細胞への毒性試験方法。 - 【請求項19】 Vasa遺伝子またはそのホモログ遺伝子
発現の制御下に置かれるようにマーカー遺伝子を導入し
たES細胞株を被験物質の存在下でBMP4遺伝子導入細胞株
と共に培養し、マーカー遺伝子発現が誘起されている細
胞数を指標として、生殖細胞への毒性を有する物質を検
定することを特徴とする、生殖細胞への毒性試験方法。
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