JP2002053376A - 窒化ケイ素セラミックスの焼結方法 - Google Patents
窒化ケイ素セラミックスの焼結方法Info
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- JP2002053376A JP2002053376A JP2000239875A JP2000239875A JP2002053376A JP 2002053376 A JP2002053376 A JP 2002053376A JP 2000239875 A JP2000239875 A JP 2000239875A JP 2000239875 A JP2000239875 A JP 2000239875A JP 2002053376 A JP2002053376 A JP 2002053376A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 焼結時の重量損失がなく、均質で高強度な窒
化ケイ素セラミックスを得るための焼結方法を提供する
こと。 【解決手段】 窒化ケイ素粉末に焼結助剤を添加して湿
式混合して成形した被焼結体を、窒化ケイ素とシリカの
混合粉末又は、窒化ケイ素とシリカと分散材として作用
する窒化ホウ素の混合粉末、あるいは酸窒化ケイ素粉末
中に埋め込み、あるいは被焼結体の周囲にこれらの粉末
を設置して、常圧若しくは加圧N2ガス雰囲気下で焼結
する。
化ケイ素セラミックスを得るための焼結方法を提供する
こと。 【解決手段】 窒化ケイ素粉末に焼結助剤を添加して湿
式混合して成形した被焼結体を、窒化ケイ素とシリカの
混合粉末又は、窒化ケイ素とシリカと分散材として作用
する窒化ホウ素の混合粉末、あるいは酸窒化ケイ素粉末
中に埋め込み、あるいは被焼結体の周囲にこれらの粉末
を設置して、常圧若しくは加圧N2ガス雰囲気下で焼結
する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、窒化ケイ素セラミ
ックスの焼結方法に関し、更に詳しくは、高温下での機
械的特性の良好な窒化ケイ素セラミックス焼結体を製造
するための焼結方法に関するものである。
ックスの焼結方法に関し、更に詳しくは、高温下での機
械的特性の良好な窒化ケイ素セラミックス焼結体を製造
するための焼結方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】窒化ケイ素セラミックス焼結体(以下、
Si3N4焼結体)は優れた強度、耐熱衝撃性、耐摩耗
性、耐食性などを有し、またこれらの特性は特に100
0〜1300℃の高温環境において他の金属およびセラ
ミックス材料に較べその優位性を発揮する。このように
優れた高温特性を有するSi3N4焼結体は自動車のエ
ンジン部材等をはじめとして多方面で応用されている材
料である。
Si3N4焼結体)は優れた強度、耐熱衝撃性、耐摩耗
性、耐食性などを有し、またこれらの特性は特に100
0〜1300℃の高温環境において他の金属およびセラ
ミックス材料に較べその優位性を発揮する。このように
優れた高温特性を有するSi3N4焼結体は自動車のエ
ンジン部材等をはじめとして多方面で応用されている材
料である。
【0003】窒化ケイ素(以下、Si3N4)は共有性
結合化合物であるため、自己拡散係数が低く難焼結性の
物質である。従って、Si3N4単独での焼結は困難で
あり、通常、焼結助剤と呼ばれる高温下(焼結温度域)
で粒界ガラス相を形成する添加材を添加して焼結が行わ
れる。この粒界ガラス相はSi3N4粒子間を結びつけ
る接着剤のような役割を果たしており、最終的に得られ
るSi3N4焼結体の構造はSi3N4粒子と粒界ガラ
ス相から構成される。この焼結助剤はイットリア(以
下、Y2O3)、アルミナ(以下、Al2O3)、マグ
ネシア(MgO)、マグネシウム−アルミニウムスピネ
ル(MgAl2O4)等を代表とする金属酸化物や一部
窒化アルミニウム(AlN)等の非酸化物等が用いられ
ており、用途に応じて様々な選択が可能である。その中
でも優れた機械的特性を発現するものとして、Y2O3
−Al2O3の2元系の焼結助剤が工業的に広く用いら
れている。
結合化合物であるため、自己拡散係数が低く難焼結性の
物質である。従って、Si3N4単独での焼結は困難で
あり、通常、焼結助剤と呼ばれる高温下(焼結温度域)
で粒界ガラス相を形成する添加材を添加して焼結が行わ
れる。この粒界ガラス相はSi3N4粒子間を結びつけ
る接着剤のような役割を果たしており、最終的に得られ
るSi3N4焼結体の構造はSi3N4粒子と粒界ガラ
ス相から構成される。この焼結助剤はイットリア(以
下、Y2O3)、アルミナ(以下、Al2O3)、マグ
ネシア(MgO)、マグネシウム−アルミニウムスピネ
ル(MgAl2O4)等を代表とする金属酸化物や一部
窒化アルミニウム(AlN)等の非酸化物等が用いられ
ており、用途に応じて様々な選択が可能である。その中
でも優れた機械的特性を発現するものとして、Y2O3
−Al2O3の2元系の焼結助剤が工業的に広く用いら
れている。
【0004】また、Si3N4粉末の表面にはシリカ
(以下、SiO2)成分から成る厚さ数十nmの酸化膜
が存在する。このSiO2成分はSi3N4粉末と添加
材との混合に通常用いられるアルコール中での湿式混合
の際に増加する。また、このSiO2酸化膜は1400
〜1500℃付近で添加材と共に溶融し、粒界ガラス相
形成の一端を担う。
(以下、SiO2)成分から成る厚さ数十nmの酸化膜
が存在する。このSiO2成分はSi3N4粉末と添加
材との混合に通常用いられるアルコール中での湿式混合
の際に増加する。また、このSiO2酸化膜は1400
〜1500℃付近で添加材と共に溶融し、粒界ガラス相
形成の一端を担う。
【0005】上記のようにSi3N4粉末と焼結助剤粉
末を混合し、所望の形状に成形したものを焼結しSi3
N4焼結体製品とするものであるが、工業的なSi3N
4焼結体は通常ガス圧焼結法により製造される。この方
法は焼結温度を1800〜1900℃とし、10気圧
(以下、atm)以上の窒素(以下、N2)ガスを導入
して焼結が為されるものである。N2ガスはSi3N4
の焼結には不可欠であり、他のガスの代用はできない。
また、10atm以上の高圧のN2ガスを負荷する理由
は、高温下で生じる分解反応を抑制するためである。常
圧(1atm)のN2ガス雰囲気で焼結した場合には通
常1500℃付近から分解反応すなわち物質の損失が生
じ、その分解量が大きくなると表面劣化が生じ、良質の
Si3N4セラミックスを作ることができない。従っ
て、ガス圧焼結法はSi3N4セラミックスの焼結法と
しては現時点で最も有効な手段として知られている。
末を混合し、所望の形状に成形したものを焼結しSi3
N4焼結体製品とするものであるが、工業的なSi3N
4焼結体は通常ガス圧焼結法により製造される。この方
法は焼結温度を1800〜1900℃とし、10気圧
(以下、atm)以上の窒素(以下、N2)ガスを導入
して焼結が為されるものである。N2ガスはSi3N4
の焼結には不可欠であり、他のガスの代用はできない。
また、10atm以上の高圧のN2ガスを負荷する理由
は、高温下で生じる分解反応を抑制するためである。常
圧(1atm)のN2ガス雰囲気で焼結した場合には通
常1500℃付近から分解反応すなわち物質の損失が生
じ、その分解量が大きくなると表面劣化が生じ、良質の
Si3N4セラミックスを作ることができない。従っ
て、ガス圧焼結法はSi3N4セラミックスの焼結法と
しては現時点で最も有効な手段として知られている。
【0006】しかし、ガス圧焼結法の最大の問題は製造
コストが高いことである。10atm以上の高圧のN2
ガスを必要とするため焼結炉は高価であり、また一旦導
入したN2ガスは炉内に滞留したままの閉じた系で焼結
が行われるいわゆるバッチ式の焼結炉であるために、新
たな焼結を行う度に焼結炉の蓋を開けて、中身の出し入
れをしなければならず製品の大量生産には不向きである
という問題があった。このような焼結炉から生産される
Si3N4焼結体製品のコストは高く、用途拡大への大
きな妨げとなっていた。
コストが高いことである。10atm以上の高圧のN2
ガスを必要とするため焼結炉は高価であり、また一旦導
入したN2ガスは炉内に滞留したままの閉じた系で焼結
が行われるいわゆるバッチ式の焼結炉であるために、新
たな焼結を行う度に焼結炉の蓋を開けて、中身の出し入
れをしなければならず製品の大量生産には不向きである
という問題があった。このような焼結炉から生産される
Si3N4焼結体製品のコストは高く、用途拡大への大
きな妨げとなっていた。
【0007】そこで、安価なSi3N4焼結体製品を製
造する有効な手段の1つとして常圧(1atm)のN2
ガスを負荷して焼結を行う常圧焼結法による製造が挙げ
られる。この焼結法であれば、高圧のN2ガスを負荷す
る必要がないために焼結装置が簡略化されて製造コスト
が低廉で済むだけでなく、従来のガス圧焼結では行うこ
とができなかったオープン式の連続焼結炉によるSi3
N4焼結体の製造が可能となり、製品の大量生産および
それに伴う製造コストの大幅削減が期待できる。
造する有効な手段の1つとして常圧(1atm)のN2
ガスを負荷して焼結を行う常圧焼結法による製造が挙げ
られる。この焼結法であれば、高圧のN2ガスを負荷す
る必要がないために焼結装置が簡略化されて製造コスト
が低廉で済むだけでなく、従来のガス圧焼結では行うこ
とができなかったオープン式の連続焼結炉によるSi3
N4焼結体の製造が可能となり、製品の大量生産および
それに伴う製造コストの大幅削減が期待できる。
【0008】しかし、常圧焼結法の最大の問題は高温下
(焼結温度域)で生じる分解反応である。これは被焼結
体の構成成分同士が反応してガス化し、それに伴い重量
損失すなわち物質の損失が生じるもので、製品の表面変
質が起こるなど良好な製品を作ることができない。この
焼結時の重量損失を引き起こす反応は反応1に示した化
学式によるものである。従来のガス圧焼結法は高圧のN
2ガスを炉内に負荷することによって、化1の右辺にあ
るN2ガス分圧が高められ化1の右への進行を抑制して
いる。
(焼結温度域)で生じる分解反応である。これは被焼結
体の構成成分同士が反応してガス化し、それに伴い重量
損失すなわち物質の損失が生じるもので、製品の表面変
質が起こるなど良好な製品を作ることができない。この
焼結時の重量損失を引き起こす反応は反応1に示した化
学式によるものである。従来のガス圧焼結法は高圧のN
2ガスを炉内に負荷することによって、化1の右辺にあ
るN2ガス分圧が高められ化1の右への進行を抑制して
いる。
【0009】
【化1】Si3N4(s)+3SiO2(l)→6Si
O(g)+2N2(g) s、l、g:それぞれ固体、液体、気体状態を表す。
O(g)+2N2(g) s、l、g:それぞれ固体、液体、気体状態を表す。
【0010】この化1のSi3N4(s)はSi3N4
粒子である。一方、SiO2(l)の供給源としては2
つあり、1つはSi3N4粉末の表面に元々存在するS
iO 2酸化膜であり、もう1つは通常Si3N4粉末と
添加材(焼結助剤)粉末との混合は均一に分散させるた
めにアルコール中での湿式混合により為され、その際に
アルコールとSi3N4との反応によりSiO2が形成
され、このSiO2が供給源となるものである。
粒子である。一方、SiO2(l)の供給源としては2
つあり、1つはSi3N4粉末の表面に元々存在するS
iO 2酸化膜であり、もう1つは通常Si3N4粉末と
添加材(焼結助剤)粉末との混合は均一に分散させるた
めにアルコール中での湿式混合により為され、その際に
アルコールとSi3N4との反応によりSiO2が形成
され、このSiO2が供給源となるものである。
【0011】この上記反応を抑える有効な手段として被
焼結体を粉末に埋めて焼結するいわゆる「埋め焼き焼
結」の方法がある。埋める粉末としては従来、Si3N
4とBNの混合粉末が用いられてきた。三友等(専門誌
「日本セラミックス協会学術論文誌」Vol.88、p
49、1980参照)あるいはPompe等(専門誌
「Proceedings of British C
eramics Society」Vol.31,p9
7、1981参照)によってその有用性が確かめられ、
今やSi3N4の焼結には欠かせない手段となってい
る。従来のガス圧焼結法でも、高圧のN2ガスの負荷に
よって化1による物質の損失が完全に抑えられるわけで
はなく、僅かながらも生じる。そこで、抑制効果を一層
強める目的で、工業的なガス圧焼結では埋め焼きの手段
が多く用いられている。
焼結体を粉末に埋めて焼結するいわゆる「埋め焼き焼
結」の方法がある。埋める粉末としては従来、Si3N
4とBNの混合粉末が用いられてきた。三友等(専門誌
「日本セラミックス協会学術論文誌」Vol.88、p
49、1980参照)あるいはPompe等(専門誌
「Proceedings of British C
eramics Society」Vol.31,p9
7、1981参照)によってその有用性が確かめられ、
今やSi3N4の焼結には欠かせない手段となってい
る。従来のガス圧焼結法でも、高圧のN2ガスの負荷に
よって化1による物質の損失が完全に抑えられるわけで
はなく、僅かながらも生じる。そこで、抑制効果を一層
強める目的で、工業的なガス圧焼結では埋め焼きの手段
が多く用いられている。
【0012】この埋め焼き焼結に用いるSi3N4とB
Nの埋め焼き用混合粉末(以下、埋め粉)が重量損失を
抑制するメカニズムは、埋め粉中のSi3N4とそのS
i3N4粉末の表面に存在するシリカ(SiO2)との
直接反応(化1)によって埋め粉からSiOガスと窒素
ガスが発生することで被焼結体の周囲のSiOガス分圧
が高められ、被焼結体の方からの化1によるガス発生が
抑制されるものである。化1の進行が被焼結体よりも埋
め粉から優先されるのは、埋め粉の方が反応に与る比表
面積が大きく、反応性が高いことに起因する。一方、埋
め粉中のBN粉末の役割は、埋め粉中のSi3N4粉末
表面に存在するSiO2が高温下(焼結温度域)では溶
融し、被焼結体へ固着するあるいは埋め粉そのものが焼
結固化する恐れがあり、これを防止する目的でSi3N
4粉末と被焼結体の接触面積を減らすための分散材とし
て作用するものである。
Nの埋め焼き用混合粉末(以下、埋め粉)が重量損失を
抑制するメカニズムは、埋め粉中のSi3N4とそのS
i3N4粉末の表面に存在するシリカ(SiO2)との
直接反応(化1)によって埋め粉からSiOガスと窒素
ガスが発生することで被焼結体の周囲のSiOガス分圧
が高められ、被焼結体の方からの化1によるガス発生が
抑制されるものである。化1の進行が被焼結体よりも埋
め粉から優先されるのは、埋め粉の方が反応に与る比表
面積が大きく、反応性が高いことに起因する。一方、埋
め粉中のBN粉末の役割は、埋め粉中のSi3N4粉末
表面に存在するSiO2が高温下(焼結温度域)では溶
融し、被焼結体へ固着するあるいは埋め粉そのものが焼
結固化する恐れがあり、これを防止する目的でSi3N
4粉末と被焼結体の接触面積を減らすための分散材とし
て作用するものである。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかし、埋め粉として
用いるSi3N4粉末表面のSiO2は表面に数十nm
程度、割合にして全体の約2mass%にすぎず、化1
によるSiOガスの発生を長時間持続することはできな
かった。従って、埋め粉中のSiO2が消失した後は被
焼結体から発生する重量損失反応(化1)をもはや抑制
することができずに、埋め粉としての役割を果たさない
こととなる。
用いるSi3N4粉末表面のSiO2は表面に数十nm
程度、割合にして全体の約2mass%にすぎず、化1
によるSiOガスの発生を長時間持続することはできな
かった。従って、埋め粉中のSiO2が消失した後は被
焼結体から発生する重量損失反応(化1)をもはや抑制
することができずに、埋め粉としての役割を果たさない
こととなる。
【0014】但し、従来のガス圧焼結法では、高圧の窒
素ガスによる重量損失抑制の効果が強く、また焼結コス
トをできるだけ抑えるべく高温、短時間保持(2時間程
度)の焼結を行うため、上記のような長時間での埋め粉
中のSiO2の消失はそれほど深刻な問題ではなかっ
た。
素ガスによる重量損失抑制の効果が強く、また焼結コス
トをできるだけ抑えるべく高温、短時間保持(2時間程
度)の焼結を行うため、上記のような長時間での埋め粉
中のSiO2の消失はそれほど深刻な問題ではなかっ
た。
【0015】良質のSi3N4焼結体を製造するための
条件として物質の損失を抑えることのほかに、機械的特
性向上のためにSi3N4粒子の粒成長を促し微構造を
発達させることが挙げられる。微構造を発達させるため
には焼結温度を高くするか保持時間を長くとる必要があ
る。焼結温度の上昇は特に常圧のN2ガス雰囲気下にお
いて化1による物質の損失以外の弊害も出てくる恐れが
あるため、できるだけ低く設定することが望まれる。従
って、常圧焼結法で埋め焼きを行う場合には埋め粉中の
シリカを長時間存在させることが良質の窒化ケイ素セラ
ミックスを作るための重要の要件となる。
条件として物質の損失を抑えることのほかに、機械的特
性向上のためにSi3N4粒子の粒成長を促し微構造を
発達させることが挙げられる。微構造を発達させるため
には焼結温度を高くするか保持時間を長くとる必要があ
る。焼結温度の上昇は特に常圧のN2ガス雰囲気下にお
いて化1による物質の損失以外の弊害も出てくる恐れが
あるため、できるだけ低く設定することが望まれる。従
って、常圧焼結法で埋め焼きを行う場合には埋め粉中の
シリカを長時間存在させることが良質の窒化ケイ素セラ
ミックスを作るための重要の要件となる。
【0016】こうした問題を解決するために、埋め粉に
用いるSi3N4粉末を予め酸化させてさらに表面のS
iO2量を多くすることでSiOガスの発生を長時間持
続させる手段も考えられるが、酸化処理によってSi3
N4粉末表面にSiO2膜を所望の量に制御して形成さ
せることは現実には困難な作業であり、また埋め粉を酸
化処理するという作業工程が増えるため焼結プロセスの
経済的メリットはなく、現実的な解決法とはいえない
用いるSi3N4粉末を予め酸化させてさらに表面のS
iO2量を多くすることでSiOガスの発生を長時間持
続させる手段も考えられるが、酸化処理によってSi3
N4粉末表面にSiO2膜を所望の量に制御して形成さ
せることは現実には困難な作業であり、また埋め粉を酸
化処理するという作業工程が増えるため焼結プロセスの
経済的メリットはなく、現実的な解決法とはいえない
【0017】常圧焼結法はSi3N4焼結体の製造コス
トの低廉化に有効な手段であるが、従来の技術では分解
反応による物質の損失の問題を解決することができず、
所望の特性を有するSi3N4焼結体製品を得ることが
できないという問題があった。
トの低廉化に有効な手段であるが、従来の技術では分解
反応による物質の損失の問題を解決することができず、
所望の特性を有するSi3N4焼結体製品を得ることが
できないという問題があった。
【0018】そこで本願発明者らは、種々の実験を重ね
た結果、埋め焼きの手法を用いた常圧焼結法において、
物質の損失のほとんど無い良質のSi3N4焼結体を製
造するための焼結方法を考えるに至ったものである。
た結果、埋め焼きの手法を用いた常圧焼結法において、
物質の損失のほとんど無い良質のSi3N4焼結体を製
造するための焼結方法を考えるに至ったものである。
【0019】本発明の解決しようとする課題は、Si3
N4焼結体を製造するに際し、焼結時の物質損失が抑制
された良質なSi3N4焼結体を製造するための焼結方
法を提供することである。
N4焼結体を製造するに際し、焼結時の物質損失が抑制
された良質なSi3N4焼結体を製造するための焼結方
法を提供することである。
【0020】
【課題を解決するための手段】この課題を解決するため
に本発明に係るSi3N4焼結体の焼結方法は、請求項
1に記載のように、窒化ケイ素(Si3N4)とシリカ
(SiO2)から成る混合粉末若しくは窒化ケイ素(S
i3N4)とシリカ(SiO2)と分散材として作用す
る窒化ホウ素(BN)粉末から成る混合粉末若しくは酸
窒化ケイ素(Si2N2O)粉末を、窒化ケイ素(Si
3N4)粉末と焼結助剤として作用する1種類以上の添
加材とを混合し成形したSi3N4被焼結体とサヤ中に
同時に存在させて焼結することを趣旨とするものであ
る。
に本発明に係るSi3N4焼結体の焼結方法は、請求項
1に記載のように、窒化ケイ素(Si3N4)とシリカ
(SiO2)から成る混合粉末若しくは窒化ケイ素(S
i3N4)とシリカ(SiO2)と分散材として作用す
る窒化ホウ素(BN)粉末から成る混合粉末若しくは酸
窒化ケイ素(Si2N2O)粉末を、窒化ケイ素(Si
3N4)粉末と焼結助剤として作用する1種類以上の添
加材とを混合し成形したSi3N4被焼結体とサヤ中に
同時に存在させて焼結することを趣旨とするものであ
る。
【0021】この窒化ケイ素(Si3N4)とシリカ
(SiO2)から成る混合粉末若しくは酸窒化ケイ素
(Si2N2O)粉末を被焼結体と同時に存在させる具
体的な手段としては、請求項2に記載のように、窒化ケ
イ素(Si3N4)とシリカ(SiO2)の混合粉末若
しくは窒化ケイ素(Si3N4)とシリカ(SiO2)
とこれらの粉末の分散材として作用する窒化ホウ素から
成る混合粉末若しくは酸窒化ケイ素(Si2N2O)粉
末をサヤ中に詰めて、これらの粉末中に前記窒化ケイ素
(Si3N4)被焼結体を埋める方法、あるいは請求項
3に記載のように、前記窒化ケイ素(Si3N4)とシ
リカ(SiO2)の混合粉末若しくは酸窒化ケイ素(S
i2N2O)粉末の粉末成形体若しくは該混合粉末若し
くは酸窒化ケイ素(Si2N2O)粉末そのものを、窒
化ケイ素(Si3N4)被焼結体の周囲に設置する方法
であることを要件とするものである。
(SiO2)から成る混合粉末若しくは酸窒化ケイ素
(Si2N2O)粉末を被焼結体と同時に存在させる具
体的な手段としては、請求項2に記載のように、窒化ケ
イ素(Si3N4)とシリカ(SiO2)の混合粉末若
しくは窒化ケイ素(Si3N4)とシリカ(SiO2)
とこれらの粉末の分散材として作用する窒化ホウ素から
成る混合粉末若しくは酸窒化ケイ素(Si2N2O)粉
末をサヤ中に詰めて、これらの粉末中に前記窒化ケイ素
(Si3N4)被焼結体を埋める方法、あるいは請求項
3に記載のように、前記窒化ケイ素(Si3N4)とシ
リカ(SiO2)の混合粉末若しくは酸窒化ケイ素(S
i2N2O)粉末の粉末成形体若しくは該混合粉末若し
くは酸窒化ケイ素(Si2N2O)粉末そのものを、窒
化ケイ素(Si3N4)被焼結体の周囲に設置する方法
であることを要件とするものである。
【0022】上記のSi3N4とSiO2から成る混合
粉末が被焼結体の重量損失反応(化1)を抑制する機構
は化2および化3に示した2段階反応によって被焼結体
周囲にSiOガスを効果的に発生させ、且つ発生したS
iOガスが長時間持続することによって化1による被焼
結体の重量損失を抑制するものである。すなわち、化2
は混合粉末中のSiO2粉末が分解反応を起こしてSi
Oガスと酸素(O2)が発生し、さらにこの酸素はSi
3N4粉末と活性酸化反応(化3)を起こしてSiOガ
スとN2ガスを発生する。従って、最終的には混合粉末
から発生するものはSiOガスとN2ガスであるので被
焼結体から生じる重量損失反応(化1)を効率良く抑制
することが可能となる。また、従来の埋め焼き焼結の課
題であった埋め粉からのガス発生の持続時間が短いとい
う問題も、混合粉末中のSiO2の混合量を増やすこと
によって長時間側まで持続させることが可能となり解決
できる。
粉末が被焼結体の重量損失反応(化1)を抑制する機構
は化2および化3に示した2段階反応によって被焼結体
周囲にSiOガスを効果的に発生させ、且つ発生したS
iOガスが長時間持続することによって化1による被焼
結体の重量損失を抑制するものである。すなわち、化2
は混合粉末中のSiO2粉末が分解反応を起こしてSi
Oガスと酸素(O2)が発生し、さらにこの酸素はSi
3N4粉末と活性酸化反応(化3)を起こしてSiOガ
スとN2ガスを発生する。従って、最終的には混合粉末
から発生するものはSiOガスとN2ガスであるので被
焼結体から生じる重量損失反応(化1)を効率良く抑制
することが可能となる。また、従来の埋め焼き焼結の課
題であった埋め粉からのガス発生の持続時間が短いとい
う問題も、混合粉末中のSiO2の混合量を増やすこと
によって長時間側まで持続させることが可能となり解決
できる。
【0023】
【化2】SiO2(l)→SiO(g)+1/2O
2(g)
2(g)
【0024】
【化3】Si3N4(s)+3/2O2(g)→3Si
O(g)+2N2(g)
O(g)+2N2(g)
【0025】このSi3N4とSiO2の混合粉末を用
いた上記の反応による重量損失の抑制効果は、請求項2
に記載のように混合粉末中に被焼結体を埋めて焼結して
も、あるいは請求項3に記載のように被焼結体の周囲に
混合粉末の成形体ペレット若しくは粉末そのものを設置
して焼結しても同様の効果が得られるものである。
いた上記の反応による重量損失の抑制効果は、請求項2
に記載のように混合粉末中に被焼結体を埋めて焼結して
も、あるいは請求項3に記載のように被焼結体の周囲に
混合粉末の成形体ペレット若しくは粉末そのものを設置
して焼結しても同様の効果が得られるものである。
【0026】被焼結体を混合粉末中に埋めて焼結する場
合には、埋め粉中のSiO2が高温下で溶融し焼結体表
面に固着することによって焼結体表面ががさがさになっ
たりする問題が生じる恐れがあり、これを抑制するため
に分散材としてBN粉末を埋め粉中に添加して焼結が為
される。しかし、BN粉末を混ぜ合わせてもSiO2の
固着が完全に防止できるわけではない。そこで請求項3
に記載のように、被焼結体と同時に存在させる混合粉末
を埋め粉として用いるのではなく、被焼結体の周囲に成
形体若しくは粉末の状態で設置することにより、重量損
失を抑制するだけでなく被焼結体と混合粉末が接してい
ないため溶融したSiO2が被焼結体に固着することも
防ぐことができるというメリットがある。
合には、埋め粉中のSiO2が高温下で溶融し焼結体表
面に固着することによって焼結体表面ががさがさになっ
たりする問題が生じる恐れがあり、これを抑制するため
に分散材としてBN粉末を埋め粉中に添加して焼結が為
される。しかし、BN粉末を混ぜ合わせてもSiO2の
固着が完全に防止できるわけではない。そこで請求項3
に記載のように、被焼結体と同時に存在させる混合粉末
を埋め粉として用いるのではなく、被焼結体の周囲に成
形体若しくは粉末の状態で設置することにより、重量損
失を抑制するだけでなく被焼結体と混合粉末が接してい
ないため溶融したSiO2が被焼結体に固着することも
防ぐことができるというメリットがある。
【0027】この場合にSi3N4とSiO2の混合比
は請求項4に記載のように、Si3N4とSiO2の混
合粉末中のシリカ粉末の混合量が10〜70mass%
の範囲となるように混合することが望ましく、この範囲
内のSiO2量であれば化2及び化3による2段階反応
によって効率良くSiOガスを発生させることが可能で
ある。SiO2の混合量が10mass%以下であれ
ば、従来の埋め粉中のSiO2量と顕著な差はなく、長
時間の抑制効果は期待できない。一方、70mass%
を越えると化2によって過剰の酸素が発生し、この酸素
が被焼結体を活性酸化する恐れがあるため好ましくな
い。
は請求項4に記載のように、Si3N4とSiO2の混
合粉末中のシリカ粉末の混合量が10〜70mass%
の範囲となるように混合することが望ましく、この範囲
内のSiO2量であれば化2及び化3による2段階反応
によって効率良くSiOガスを発生させることが可能で
ある。SiO2の混合量が10mass%以下であれ
ば、従来の埋め粉中のSiO2量と顕著な差はなく、長
時間の抑制効果は期待できない。一方、70mass%
を越えると化2によって過剰の酸素が発生し、この酸素
が被焼結体を活性酸化する恐れがあるため好ましくな
い。
【0028】さらに、混合粉末中のSiO2は請求項5
に記載のように、粒度が500μm以上であることが望
ましい。一般に粉末の粒度は係る反応の反応速度に大き
な影響を与える。すなわちこの場合、粉末が細かいほど
混合粉末から生じる化2及び化3の反応速度は大きくな
り、本願発明の混合粉末においては500μmよりも小
さい粒度のSiO2粉末を用いると、被焼結体周囲に過
剰のSiOガスと酸素(O2)が発生し、このSiOガ
スがO2ガスと共に被焼結体の粒界ガラス相中へと溶け
込む現象が本発明者らによって確認された。これにより
表面付近の粒界ガラス相中のSiO2濃度が上昇し、さ
らにこの高濃度のSiO2と被焼結体中のSi3N4と
が反応して被焼結体表面にSi2N2Oを生成する。こ
の現象は化4で表され、被焼結体は重量増加する。
に記載のように、粒度が500μm以上であることが望
ましい。一般に粉末の粒度は係る反応の反応速度に大き
な影響を与える。すなわちこの場合、粉末が細かいほど
混合粉末から生じる化2及び化3の反応速度は大きくな
り、本願発明の混合粉末においては500μmよりも小
さい粒度のSiO2粉末を用いると、被焼結体周囲に過
剰のSiOガスと酸素(O2)が発生し、このSiOガ
スがO2ガスと共に被焼結体の粒界ガラス相中へと溶け
込む現象が本発明者らによって確認された。これにより
表面付近の粒界ガラス相中のSiO2濃度が上昇し、さ
らにこの高濃度のSiO2と被焼結体中のSi3N4と
が反応して被焼結体表面にSi2N2Oを生成する。こ
の現象は化4で表され、被焼結体は重量増加する。
【0029】
【化4】Si3N4(s)+SiO2(g)→2Si2
N2O(s)
N2O(s)
【0030】Si2N2O焼結体はSi3N4焼結体よ
りも強度、破壊靭性値等が劣るためこの化合物が被焼結
体表面に生成することは好ましくない。一方、粒度が3
00μm以上のSiO2粉末を用いれば過剰のSiOガ
スが発生し、被焼結体の粒界ガラス相へ溶け込むことも
ほとんど無く、その結果、化4によるSi2N2Oも生
成せずに均質なSi3N4焼結体を得ることができる。
りも強度、破壊靭性値等が劣るためこの化合物が被焼結
体表面に生成することは好ましくない。一方、粒度が3
00μm以上のSiO2粉末を用いれば過剰のSiOガ
スが発生し、被焼結体の粒界ガラス相へ溶け込むことも
ほとんど無く、その結果、化4によるSi2N2Oも生
成せずに均質なSi3N4焼結体を得ることができる。
【0031】さらに、被焼結体をSi3N4とSiO2
の混合粉末に埋めて焼結する場合には、混合粉末中のS
iO2が溶融して被焼結体に固着する恐れがあるために
BN粉末を分散材として添加することが望ましい。その
時のBN粉末の混合量は請求項6に記載のように、混合
粉末中の20〜70mass%の範囲であることが望ま
しい。20mass%以下であれば分散材としての効果
があまりなく、一方70mass%以上であれば混合粉
末全体に占めるSi3N4とSiO2の割合が少なく、
重量損失の抑制効果が小さくなるためである。
の混合粉末に埋めて焼結する場合には、混合粉末中のS
iO2が溶融して被焼結体に固着する恐れがあるために
BN粉末を分散材として添加することが望ましい。その
時のBN粉末の混合量は請求項6に記載のように、混合
粉末中の20〜70mass%の範囲であることが望ま
しい。20mass%以下であれば分散材としての効果
があまりなく、一方70mass%以上であれば混合粉
末全体に占めるSi3N4とSiO2の割合が少なく、
重量損失の抑制効果が小さくなるためである。
【0032】また、Si2N2O粉末が被焼結体の重量
損失反応(化1)を抑制する機構は化5に示した分解反
応によって被焼結体周囲にSiOガスを効果的に発生さ
せ、且つ発生したSiOガスが長時間持続することによ
って化1による被焼結体の重量損失を抑制するものであ
る。この反応で発生するものはSiOガスとN2ガスの
みであるので被焼結体から生じる重量損失反応(化1)
を効率良く抑制することが可能となる。また、Si2N
2OはSi3N4とSiO2がモル比で1:1で構成さ
れた化合物であり、Si2N2O中のSiO2成分は4
3mass%に該当し、従来の埋め粉中のSiO2量
(約2mass%)に較べてはるかに多く、従来の埋め
焼き焼結の課題であった埋め粉からのガス発生の持続時
間が短いという問題も解決できる。
損失反応(化1)を抑制する機構は化5に示した分解反
応によって被焼結体周囲にSiOガスを効果的に発生さ
せ、且つ発生したSiOガスが長時間持続することによ
って化1による被焼結体の重量損失を抑制するものであ
る。この反応で発生するものはSiOガスとN2ガスの
みであるので被焼結体から生じる重量損失反応(化1)
を効率良く抑制することが可能となる。また、Si2N
2OはSi3N4とSiO2がモル比で1:1で構成さ
れた化合物であり、Si2N2O中のSiO2成分は4
3mass%に該当し、従来の埋め粉中のSiO2量
(約2mass%)に較べてはるかに多く、従来の埋め
焼き焼結の課題であった埋め粉からのガス発生の持続時
間が短いという問題も解決できる。
【0033】
【化5】3Si2N2O(s)→3SiO(g)+N2
(g)+Si3N4(s)
(g)+Si3N4(s)
【0034】このSi2N2O粉末を用いた上記の反応
による重量損失の抑制効果は、請求項1に記載のように
混合粉末中に被焼結体を埋めて焼結しても、あるいは請
求項2に記載のように被焼結体の周囲に混合粉末の成形
体ペレット若しくは粉末そのものを設置して焼結しても
同様の効果が得られるものである。
による重量損失の抑制効果は、請求項1に記載のように
混合粉末中に被焼結体を埋めて焼結しても、あるいは請
求項2に記載のように被焼結体の周囲に混合粉末の成形
体ペレット若しくは粉末そのものを設置して焼結しても
同様の効果が得られるものである。
【0035】上記したSi3N4とSiO2の混合粉末
と被焼結体はサヤと呼ばれる容器に入れて焼結を行う。
このサヤは焼結炉内の雰囲気と遮断するために用いられ
るものである。通常、Si3N4の焼結に用いられる焼
結炉は、発熱体や断熱材等の炉材がカーボン製のもので
構成されている。これは使用環境が1800〜1900
℃のN2ガスすなわち不活性雰囲気でありこれに耐えう
る材質でなければならないこと、さらにカーボンが比較
的安価な材質であること等の理由によるものである。そ
のため高温下(焼結温度域)ではカーボン炉材とN2ガ
ス中に含まれる微量の酸素が反応して一酸化炭素(以
下、CO)ガスを生成し、この雰囲気中に被焼結体を晒
した状態で焼結を行うとSi3N4はCOガスと反応し
て多量の重量損失が生じる。そこで、前記粉末と被焼結
体をサヤに入れることでCOガス雰囲気から保護されて
焼結することができる。
と被焼結体はサヤと呼ばれる容器に入れて焼結を行う。
このサヤは焼結炉内の雰囲気と遮断するために用いられ
るものである。通常、Si3N4の焼結に用いられる焼
結炉は、発熱体や断熱材等の炉材がカーボン製のもので
構成されている。これは使用環境が1800〜1900
℃のN2ガスすなわち不活性雰囲気でありこれに耐えう
る材質でなければならないこと、さらにカーボンが比較
的安価な材質であること等の理由によるものである。そ
のため高温下(焼結温度域)ではカーボン炉材とN2ガ
ス中に含まれる微量の酸素が反応して一酸化炭素(以
下、CO)ガスを生成し、この雰囲気中に被焼結体を晒
した状態で焼結を行うとSi3N4はCOガスと反応し
て多量の重量損失が生じる。そこで、前記粉末と被焼結
体をサヤに入れることでCOガス雰囲気から保護されて
焼結することができる。
【0036】用いるサヤは請求項7に記載されるよう
に、Si3N4製またはBN製の焼結体であることが望
ましい。両材質共に高温下(焼結温度域)で極めて安定
に存在し、サヤからの分解反応によるガス発生によって
被焼結体に悪影響が及ぶ心配もない。サヤに用いる焼結
体の強度は特別に高くする必要はない。従って、例え
ば、Si3N4製のサヤであれば、反応焼結により作製
した焼結体で十分に足りうる。
に、Si3N4製またはBN製の焼結体であることが望
ましい。両材質共に高温下(焼結温度域)で極めて安定
に存在し、サヤからの分解反応によるガス発生によって
被焼結体に悪影響が及ぶ心配もない。サヤに用いる焼結
体の強度は特別に高くする必要はない。従って、例え
ば、Si3N4製のサヤであれば、反応焼結により作製
した焼結体で十分に足りうる。
【0037】そして前記Si3N4焼結体の焼結法は、
請求項8に記載のように常圧焼結だけでなく、ガス圧焼
結にも適応できるものである。但し、本願発明はSi3
N4とSiO2の混合粉末あるいはSi2N2Oの粉末
と被焼結体を同時に存在させて焼結することを主旨とす
るため、ホットプレス、熱間静水圧(HIP)焼結、反
応焼結等のその他の窒化ケイ素セラミックスの焼結法は
該当しない。
請求項8に記載のように常圧焼結だけでなく、ガス圧焼
結にも適応できるものである。但し、本願発明はSi3
N4とSiO2の混合粉末あるいはSi2N2Oの粉末
と被焼結体を同時に存在させて焼結することを主旨とす
るため、ホットプレス、熱間静水圧(HIP)焼結、反
応焼結等のその他の窒化ケイ素セラミックスの焼結法は
該当しない。
【0038】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施例を詳細に説
明する。(実施例1)Si3N4粉末に焼結助剤とし
て、5mass%Y2O3−3mass%Al 2O3を
添加し、これをエタノール中で24時間湿式混合し、次
いで乾燥させて混合粉末を得た。得られた粉末を一軸加
圧による仮成形、次いでCIP(冷間静水圧プレス)に
よる本成形を行い、寸法が50x50x5/mmの粉末
成形体を作製した。得られた粉末成形体は、内径100
mmφ、深さ15mmのBN製のサヤ内に入れ、さらに
成形体の周囲をSi3N4粉末、SiO2粉末およびB
N粉末を乾式混合した混合粉末で覆って、常圧(1at
m)N2ガス雰囲気中、1750℃で4時間焼結を行っ
た。ここで混合粉末中に用いるSi3N4粉末は予め1
750℃で4時間熱処理を行って表面に存在するSiO
2層を除去した。Si3N4被焼結体の周囲に充填され
るSi3N4、SiO2、BNの混合粉末は、Si3N
4粉末とSiO2粉末とを足した重量とBN粉末の重量
が重量比で1:1になるように設定し、さらにSi3N
4とSiO2が重量比で、100:0〜0:100まで
10mass%毎に混合条件を変えて秤量した。また、
SiO 2粉末は平均粒径が1000μmの大きさのもの
を用いた。
明する。(実施例1)Si3N4粉末に焼結助剤とし
て、5mass%Y2O3−3mass%Al 2O3を
添加し、これをエタノール中で24時間湿式混合し、次
いで乾燥させて混合粉末を得た。得られた粉末を一軸加
圧による仮成形、次いでCIP(冷間静水圧プレス)に
よる本成形を行い、寸法が50x50x5/mmの粉末
成形体を作製した。得られた粉末成形体は、内径100
mmφ、深さ15mmのBN製のサヤ内に入れ、さらに
成形体の周囲をSi3N4粉末、SiO2粉末およびB
N粉末を乾式混合した混合粉末で覆って、常圧(1at
m)N2ガス雰囲気中、1750℃で4時間焼結を行っ
た。ここで混合粉末中に用いるSi3N4粉末は予め1
750℃で4時間熱処理を行って表面に存在するSiO
2層を除去した。Si3N4被焼結体の周囲に充填され
るSi3N4、SiO2、BNの混合粉末は、Si3N
4粉末とSiO2粉末とを足した重量とBN粉末の重量
が重量比で1:1になるように設定し、さらにSi3N
4とSiO2が重量比で、100:0〜0:100まで
10mass%毎に混合条件を変えて秤量した。また、
SiO 2粉末は平均粒径が1000μmの大きさのもの
を用いた。
【0039】図1は焼結時の焼結炉の概略断面図を示し
たものである。焼結炉10は断熱材12、ヒーター14
がカーボン材で構成されている。被焼結体16はBN製
サヤ18の中に入れ、さらに被焼結体の周囲をSi3N
4、SiO2、BNの混合粉末20で埋める。これによ
り被焼結体は焼結炉内部に多く存在するCOガスとの反
応が回避される。またさらに、BN製サヤは焼結炉内に
安定に設置するために、カーボン製の容器22に入れ、
この容器を台座24と固定して設置する。焼結時の雰囲
気N2ガスはガス導入口26より導入する。
たものである。焼結炉10は断熱材12、ヒーター14
がカーボン材で構成されている。被焼結体16はBN製
サヤ18の中に入れ、さらに被焼結体の周囲をSi3N
4、SiO2、BNの混合粉末20で埋める。これによ
り被焼結体は焼結炉内部に多く存在するCOガスとの反
応が回避される。またさらに、BN製サヤは焼結炉内に
安定に設置するために、カーボン製の容器22に入れ、
この容器を台座24と固定して設置する。焼結時の雰囲
気N2ガスはガス導入口26より導入する。
【0040】得られた焼結体の重量損失率と3点曲げ強
度の結果を表1に示した。3点曲げ強度の測定はJIS
R1601に準拠した方法で行った。3点曲げ強度測
定用の試験片は焼結体の表面状態の影響が明確に表れる
ように強度測定の際の引張り面は焼結体の表面層が残る
ように加工した。すなわち、焼結により得られた焼結体
の自然面のごく表面付近のみを3点曲げ強度の測定がで
きる程度に仕上げ加工したものである。この試験片の調
製基準は本実施例品だけでなく、以下に示す他の実施例
品および比較例品にも適用した。得られた焼結体が良好
なものであるか否かの判断基準は3点曲げ強度が650
MPaを越えるかどうかに置いた。構造用のSi3N4
セラミックスとして一般に650MPa程度の強度が要
求されるためこの強度値を判断基準とした。
度の結果を表1に示した。3点曲げ強度の測定はJIS
R1601に準拠した方法で行った。3点曲げ強度測
定用の試験片は焼結体の表面状態の影響が明確に表れる
ように強度測定の際の引張り面は焼結体の表面層が残る
ように加工した。すなわち、焼結により得られた焼結体
の自然面のごく表面付近のみを3点曲げ強度の測定がで
きる程度に仕上げ加工したものである。この試験片の調
製基準は本実施例品だけでなく、以下に示す他の実施例
品および比較例品にも適用した。得られた焼結体が良好
なものであるか否かの判断基準は3点曲げ強度が650
MPaを越えるかどうかに置いた。構造用のSi3N4
セラミックスとして一般に650MPa程度の強度が要
求されるためこの強度値を判断基準とした。
【0041】Si3N4粉末のみの埋め焼きではSiO
ガスの発生がないために被焼結体の重量損失は抑えられ
ず、また強度は650MPa以下であった。一方、Si
O2が80mass%以上を占める粉末を用いると、S
iO2が反応に与る分量よりも多く存在するためSiO
2から過剰の酸素が発生し、埋め粉中のSi3N4粉末
だけでなく被焼結体をも酸化してしまい大きな重量損失
が生じた。その結果、強度も650MPa以下と低い値
であった。強度が650MPa以上の良好な焼結体は、
埋め焼きに用いる混合粉末中のSi3N4とSiO2の
重量比が90:10〜30:70の範囲の条件で得られ
た。
ガスの発生がないために被焼結体の重量損失は抑えられ
ず、また強度は650MPa以下であった。一方、Si
O2が80mass%以上を占める粉末を用いると、S
iO2が反応に与る分量よりも多く存在するためSiO
2から過剰の酸素が発生し、埋め粉中のSi3N4粉末
だけでなく被焼結体をも酸化してしまい大きな重量損失
が生じた。その結果、強度も650MPa以下と低い値
であった。強度が650MPa以上の良好な焼結体は、
埋め焼きに用いる混合粉末中のSi3N4とSiO2の
重量比が90:10〜30:70の範囲の条件で得られ
た。
【0042】
【表1】
【0043】(実施例2)実施例1と同じ原料粉末を用
い、実施例1と同一の条件で混合し成形し、得られた粉
末成形体をBN製サヤ中、Si3N4粉末、SiO2粉
末(平均粒径1000μm)およびBN粉末を乾式混合
した混合粉末で覆って、常圧窒素ガス雰囲気中、175
0℃で4時間焼結を行った。混合粉末はSi3N4粉末
とSiO2粉末の混合比を重量比で7:3として、さら
にSi3N4粉末とSiO2粉末とを足した重量とBN
粉末の重量が重量比で100:0〜0:100まで10
mass%毎に変わるように秤量した。Si3N4粉末
は実施例1同様前処理によってSiO2層を除去した。
い、実施例1と同一の条件で混合し成形し、得られた粉
末成形体をBN製サヤ中、Si3N4粉末、SiO2粉
末(平均粒径1000μm)およびBN粉末を乾式混合
した混合粉末で覆って、常圧窒素ガス雰囲気中、175
0℃で4時間焼結を行った。混合粉末はSi3N4粉末
とSiO2粉末の混合比を重量比で7:3として、さら
にSi3N4粉末とSiO2粉末とを足した重量とBN
粉末の重量が重量比で100:0〜0:100まで10
mass%毎に変わるように秤量した。Si3N4粉末
は実施例1同様前処理によってSiO2層を除去した。
【0044】得られた焼結体の重量損失率と3点曲げ強
度の結果を表2に示した。埋め粉中のBN粉末の混合量
が0および10mass%の条件では、埋め粉が被焼結
体に固着して、その結果大きな重量増加を示した。一
方、BNが80mass%以上を占める粉末を用いる
と、重量損失率が大きくなり強度も650MPa以下の
焼結体しか得られなかった。強度が650MPa以上の
良好なSi3N4焼結体は、埋め焼きに用いる混合粉末
中のSi3N4粉末とSiO2粉末とを足した重量とB
N粉末の重量とが重量比で80:20〜30:70の範
囲の条件において得られた。
度の結果を表2に示した。埋め粉中のBN粉末の混合量
が0および10mass%の条件では、埋め粉が被焼結
体に固着して、その結果大きな重量増加を示した。一
方、BNが80mass%以上を占める粉末を用いる
と、重量損失率が大きくなり強度も650MPa以下の
焼結体しか得られなかった。強度が650MPa以上の
良好なSi3N4焼結体は、埋め焼きに用いる混合粉末
中のSi3N4粉末とSiO2粉末とを足した重量とB
N粉末の重量とが重量比で80:20〜30:70の範
囲の条件において得られた。
【0045】
【表2】
【0046】(実施例3)実施例1と同じ原料粉末を用
い、実施例1と同一の条件で混合し成形し、得られた粉
末成形体をBN製サヤ中、Si3N4粉末、SiO2粉
末およびBN粉末を重量比で7:3:10になるように
乾式混合した混合粉末で覆って、常圧N2ガス雰囲気
中、1750℃で4時間焼結を行った。この時、混合粉
末中のSiO 2の平均粒径を50,100,200,3
00、400、500および1000μmと変化させて
焼結を行った。
い、実施例1と同一の条件で混合し成形し、得られた粉
末成形体をBN製サヤ中、Si3N4粉末、SiO2粉
末およびBN粉末を重量比で7:3:10になるように
乾式混合した混合粉末で覆って、常圧N2ガス雰囲気
中、1750℃で4時間焼結を行った。この時、混合粉
末中のSiO 2の平均粒径を50,100,200,3
00、400、500および1000μmと変化させて
焼結を行った。
【0047】得られた焼結体の重量損失率と3点曲げ強
度の結果を表3に示した。埋め粉中のSiO2粉末の粒
径が細かくなるほど、重量増加が大きくなりそれに伴い
強度値が減少する傾向にあった。焼結体表面のX線回折
測定を行った結果、200μm以下のSiO2粉末を用
いた条件で作製した被焼結体の表面には酸窒化ケイ素
(Si2N2O)の生成が確認され、そのX線回折強度
はSiO2粉末の粒径が細かくなるほど増大した。ま
た、これらの条件で作製した被焼結体の強度は650M
Pa以下であった。強度が650MPa以上の良好な焼
結体は、SiO2粉末の平均粒径が300μm以上の時
に得られた。
度の結果を表3に示した。埋め粉中のSiO2粉末の粒
径が細かくなるほど、重量増加が大きくなりそれに伴い
強度値が減少する傾向にあった。焼結体表面のX線回折
測定を行った結果、200μm以下のSiO2粉末を用
いた条件で作製した被焼結体の表面には酸窒化ケイ素
(Si2N2O)の生成が確認され、そのX線回折強度
はSiO2粉末の粒径が細かくなるほど増大した。ま
た、これらの条件で作製した被焼結体の強度は650M
Pa以下であった。強度が650MPa以上の良好な焼
結体は、SiO2粉末の平均粒径が300μm以上の時
に得られた。
【0048】
【表3】
【0049】(実施例4)実施例1と同じ原料粉末を用
い、実施例1と同一の条件で混合し成形し、得られた粉
末成形体をBN製サヤ中、Si2N2O粉末で覆って、
常圧N2ガス雰囲気中、1750℃で4時間焼結を行っ
た。Si2N2O粉末は以下の手順により作製した。S
i3N4粉末とSiO2粉末をモル比で1:1となるよ
うに配合し、さらにAl2O3を5mass%添加した
混合粉末をエタノール中で24時間湿式混合し、次いで
乾燥させて混合粉末を得た。得られた粉末を一軸加圧に
よる仮成形、次いでCIP(冷間静水圧プレス)による
本成形を行い寸法が50x50x5/mmの粉末成形体
を作製した。この成形体を1750℃で4時間焼成して
Si2N2O焼結体を得た。このSi2N2O焼結体を
粉砕し、500μmの篩にかけ、これをSi2N2O粉
末として用いた。
い、実施例1と同一の条件で混合し成形し、得られた粉
末成形体をBN製サヤ中、Si2N2O粉末で覆って、
常圧N2ガス雰囲気中、1750℃で4時間焼結を行っ
た。Si2N2O粉末は以下の手順により作製した。S
i3N4粉末とSiO2粉末をモル比で1:1となるよ
うに配合し、さらにAl2O3を5mass%添加した
混合粉末をエタノール中で24時間湿式混合し、次いで
乾燥させて混合粉末を得た。得られた粉末を一軸加圧に
よる仮成形、次いでCIP(冷間静水圧プレス)による
本成形を行い寸法が50x50x5/mmの粉末成形体
を作製した。この成形体を1750℃で4時間焼成して
Si2N2O焼結体を得た。このSi2N2O焼結体を
粉砕し、500μmの篩にかけ、これをSi2N2O粉
末として用いた。
【0050】焼結体の焼結後の重量損失率は0.3ma
ss%であり、また3点曲げ強度は790MPaの値を
示しており、良好な焼結体が得られた。
ss%であり、また3点曲げ強度は790MPaの値を
示しており、良好な焼結体が得られた。
【0051】(実施例5)実施例1と同じ原料粉末を用
い、実施例1と同一の条件で混合し成形し、得られた粉
末成形体をBN製サヤ中、Si3N4粉末とSiO2粉
末(平均粒径1000μm)を重量比で7:3となるよ
うに乾式混合し成形した粉末成形体を被焼結体の周囲に
設置して、1750℃で4時間焼結を行った。
い、実施例1と同一の条件で混合し成形し、得られた粉
末成形体をBN製サヤ中、Si3N4粉末とSiO2粉
末(平均粒径1000μm)を重量比で7:3となるよ
うに乾式混合し成形した粉末成形体を被焼結体の周囲に
設置して、1750℃で4時間焼結を行った。
【0052】焼結体の焼結後の重量損失率は−0.2m
ass%であり、また3点曲げ強度は763MPaの値
を示しており、強度の基準値以上の良好な焼結体が得ら
れた。
ass%であり、また3点曲げ強度は763MPaの値
を示しており、強度の基準値以上の良好な焼結体が得ら
れた。
【0053】(実施例6)焼結助剤として、5mass
%Y2O3−3mass%Al2O3を添加したSi3
N4粉末を用い、実施例1と同一の条件で混合し成形
し、得られた粉末成形体をBN製サヤ中、Si3N4粉
末、SiO2粉末(平均粒径1000μm)およびBN
粉末を重量比で7:3:10になるように乾式混合した
混合粉末で覆って、常圧N2ガス雰囲気中、1750℃
で保持時間を0,2,4,8および16時間と変化させ
て焼結を行った。
%Y2O3−3mass%Al2O3を添加したSi3
N4粉末を用い、実施例1と同一の条件で混合し成形
し、得られた粉末成形体をBN製サヤ中、Si3N4粉
末、SiO2粉末(平均粒径1000μm)およびBN
粉末を重量比で7:3:10になるように乾式混合した
混合粉末で覆って、常圧N2ガス雰囲気中、1750℃
で保持時間を0,2,4,8および16時間と変化させ
て焼結を行った。
【0054】得られた焼結体の各保持時間における重量
損失率は0〜8時間保持では0.2〜−0.3mass
%と僅かな増減が生じた程度であったが、16時間保持
では1.4%の重量損失が生じた。3点曲げ強度は2時
間以上の保持時間では650MPa以上の値を示してい
た。尚、0時間保持の焼結体は完全に緻密化していなか
ったため測定の対象外とした。
損失率は0〜8時間保持では0.2〜−0.3mass
%と僅かな増減が生じた程度であったが、16時間保持
では1.4%の重量損失が生じた。3点曲げ強度は2時
間以上の保持時間では650MPa以上の値を示してい
た。尚、0時間保持の焼結体は完全に緻密化していなか
ったため測定の対象外とした。
【0055】(比較例1)この比較例は、実施例6と対
比されるものであり、従来からSi3N4セラミックス
の焼結に用いられてきたSi3N4とBNの混合粉末を
埋め粉とする焼結方法である。この埋め粉を用いて常圧
N2ガス雰囲気中で焼結した焼結体と実施例6で作製し
た焼結体を比較したものである。まず、実施例6と同じ
原料粉末を用いて、同じく実施例6と同じ手法により粉
末成形体を作製した。得られた成形体を、BN製サヤ
中、Si3N4粉末とBN粉末を重量比で1:1になる
よう乾式混合した混合粉末中に埋めて、常圧N2ガス雰
囲気中、1750℃で保持時間を0,2,4,8および
16時間と変化させて焼結を行った。
比されるものであり、従来からSi3N4セラミックス
の焼結に用いられてきたSi3N4とBNの混合粉末を
埋め粉とする焼結方法である。この埋め粉を用いて常圧
N2ガス雰囲気中で焼結した焼結体と実施例6で作製し
た焼結体を比較したものである。まず、実施例6と同じ
原料粉末を用いて、同じく実施例6と同じ手法により粉
末成形体を作製した。得られた成形体を、BN製サヤ
中、Si3N4粉末とBN粉末を重量比で1:1になる
よう乾式混合した混合粉末中に埋めて、常圧N2ガス雰
囲気中、1750℃で保持時間を0,2,4,8および
16時間と変化させて焼結を行った。
【0056】得られた焼結体の重量損失率は保持時間と
共に増大し、16時間保持では約4mass%の損失が
生じた。また、光学顕微鏡を用いて焼結体の断面観察を
行ったところ、4時間保持以上の焼結体表面でポーラス
層の形成が確認された。このポーラス層の厚みは保持時
間と共に増大し、16時間保持では約200μmにも達
した。焼結体の3点曲げ強度は4時間保持以上では60
0MPa以下と低い値であった。尚、0時間保持の焼結
体は完全に緻密化していなかったため測定の対象外とし
た。
共に増大し、16時間保持では約4mass%の損失が
生じた。また、光学顕微鏡を用いて焼結体の断面観察を
行ったところ、4時間保持以上の焼結体表面でポーラス
層の形成が確認された。このポーラス層の厚みは保持時
間と共に増大し、16時間保持では約200μmにも達
した。焼結体の3点曲げ強度は4時間保持以上では60
0MPa以下と低い値であった。尚、0時間保持の焼結
体は完全に緻密化していなかったため測定の対象外とし
た。
【0057】(比較例2)この比較例は、実施例6と対
比されるものであり、比較例1と同じ条件で作製した成
形体を比較例1と同じSi3N4とBNの混合粉末の埋
め粉を用いて10atmのN2ガス雰囲気下で焼結(ガ
ス圧焼結)した焼結体と実施例6で作製した焼結体を比
較したものである。この比較例2で用いたガス圧焼結法
は従来、工業的なSi3N4セラミックスの焼結法とし
て用いられている手法である。
比されるものであり、比較例1と同じ条件で作製した成
形体を比較例1と同じSi3N4とBNの混合粉末の埋
め粉を用いて10atmのN2ガス雰囲気下で焼結(ガ
ス圧焼結)した焼結体と実施例6で作製した焼結体を比
較したものである。この比較例2で用いたガス圧焼結法
は従来、工業的なSi3N4セラミックスの焼結法とし
て用いられている手法である。
【0058】焼結体の重量損失率は保持時間の増加に伴
って増大する傾向にあったが、比較例1の常圧焼結に較
べてその損失量を大幅に抑えられ、16時間保持で2.
3mass%と、比較例1の1/2程度であった。ま
た、光学顕微鏡を用いて焼結体の断面観察を行った結
果、10atmN2ガス雰囲気下で焼結した焼結体では
表面ポーラス層は観察されず、8および16時間保持焼
結体では表面から深さ400μmに渡ってポアの無い緻
密な層が形成された。3点曲げ強度は2〜8時間保持の
焼結体では650MPa以上の値が示された。尚、0時
間保持の焼結体は完全に緻密化していなかったため測定
の対象外とした。
って増大する傾向にあったが、比較例1の常圧焼結に較
べてその損失量を大幅に抑えられ、16時間保持で2.
3mass%と、比較例1の1/2程度であった。ま
た、光学顕微鏡を用いて焼結体の断面観察を行った結
果、10atmN2ガス雰囲気下で焼結した焼結体では
表面ポーラス層は観察されず、8および16時間保持焼
結体では表面から深さ400μmに渡ってポアの無い緻
密な層が形成された。3点曲げ強度は2〜8時間保持の
焼結体では650MPa以上の値が示された。尚、0時
間保持の焼結体は完全に緻密化していなかったため測定
の対象外とした。
【0059】次の表4は、実施例6の焼結体と比較例1
および2の焼結体の重量損失率と3点曲げ強度の値をま
とめたものである。表からわかる通り、本願発明の焼結
方法によって作製した実施例品の重量増減の幅は従来の
焼結方法により作製した比較例品に較べてはるかに小さ
く、これまでの常圧焼結時の大きな課題であった重量損
失が大幅に改善された。この重量損失の保持時間変化の
データについては図2にもまとめた。また、3点曲げ強
度のデータも実施例品の方がはるかに優れた結果が得ら
れており、2時間保持以上ではいずれの焼結体も基準値
以上の曲げ強度を示しており、特に8および16時間保
持ではガス圧焼結により作製した焼結体よりもはるかに
優れた強度特性を示した。
および2の焼結体の重量損失率と3点曲げ強度の値をま
とめたものである。表からわかる通り、本願発明の焼結
方法によって作製した実施例品の重量増減の幅は従来の
焼結方法により作製した比較例品に較べてはるかに小さ
く、これまでの常圧焼結時の大きな課題であった重量損
失が大幅に改善された。この重量損失の保持時間変化の
データについては図2にもまとめた。また、3点曲げ強
度のデータも実施例品の方がはるかに優れた結果が得ら
れており、2時間保持以上ではいずれの焼結体も基準値
以上の曲げ強度を示しており、特に8および16時間保
持ではガス圧焼結により作製した焼結体よりもはるかに
優れた強度特性を示した。
【0060】
【表4】
【0061】上記実施例品(実施例6)と比較例品(比
較例1および2)の16時間保持した焼結体の断面構造
の比較を行った結果を図3に示した。図3(a)は実施
例6のSi3N4/SiO2/BN粉末中に埋めて常圧
窒素ガス圧下で焼結した焼結体の断面構造であり、
(b)は比較例1のSi3N4とBNの混合粉末中に埋
めて常圧窒素ガス雰囲気下で焼結した焼結体の断面構造
であり、(c)は比較例2のSi3N4とBNの混合粉
末中に埋めて10atmの窒素ガス雰囲気下で焼結した
焼結体の断面構造である。常圧窒素ガス雰囲気下で焼結
した実施例6と比較例1の断面構造の差は顕著であり、
従来のSi3N4とBNの混合粉末による埋め焼き焼結
では、表面に200μm程度のポーラス層が形成され
た。これに対して実施例6のSi3N4、SiO2、B
Nの混合粉末による埋め焼き焼結では、このようなポー
ラス層の形成は無く、緻密な表面層が形成されていた。
この断面構造は工業的なSi3N4セラミックスの焼結
法であるガス圧焼結法によって作製した焼結体の断面構
造(比較例2)と同等であった。
較例1および2)の16時間保持した焼結体の断面構造
の比較を行った結果を図3に示した。図3(a)は実施
例6のSi3N4/SiO2/BN粉末中に埋めて常圧
窒素ガス圧下で焼結した焼結体の断面構造であり、
(b)は比較例1のSi3N4とBNの混合粉末中に埋
めて常圧窒素ガス雰囲気下で焼結した焼結体の断面構造
であり、(c)は比較例2のSi3N4とBNの混合粉
末中に埋めて10atmの窒素ガス雰囲気下で焼結した
焼結体の断面構造である。常圧窒素ガス雰囲気下で焼結
した実施例6と比較例1の断面構造の差は顕著であり、
従来のSi3N4とBNの混合粉末による埋め焼き焼結
では、表面に200μm程度のポーラス層が形成され
た。これに対して実施例6のSi3N4、SiO2、B
Nの混合粉末による埋め焼き焼結では、このようなポー
ラス層の形成は無く、緻密な表面層が形成されていた。
この断面構造は工業的なSi3N4セラミックスの焼結
法であるガス圧焼結法によって作製した焼結体の断面構
造(比較例2)と同等であった。
【0062】このように、被焼結体をSi3N4とSi
O2(およびBN)から成る混合粉末と同時に焼結する
ことによって混合粉末からSiOガスが発生し、これに
よって被焼結体の重量損失が抑制され良好な焼結体が得
られた。その断面構造は図3(a)に示したように、従
来のSi3N4とBNの混合粉末を用いた埋め焼きの長
時間保持で観察されたようなポーラス層の形成は一切無
く、緻密な表面層が形成された。表面のポーラス層は重
量損失量が大きくなってくることによって生じるもので
あるが、実施例6のように重量損失が効果的に抑制する
ことができればポーラス層の形成は回避される。このよ
うな良好な断面構造は実施例6の焼結体に限らず、用い
る混合粉末が本願請求項1ないし6に記載の条件を具備
するものであればいずれの焼結体においても得られる。
すなわち、実施例6ではSi3N 4/SiO2/BN粉
末中に被焼結体を埋めて焼結する方法をとったが、実施
例4のように、Si2N2O粉末中に被焼結体を埋めて
焼結してもよく、また実施例5のように、Si3N4と
SiO2からなる粉末成形体を被焼結体の周囲に設置し
て焼結しても同様の効果が得られる。
O2(およびBN)から成る混合粉末と同時に焼結する
ことによって混合粉末からSiOガスが発生し、これに
よって被焼結体の重量損失が抑制され良好な焼結体が得
られた。その断面構造は図3(a)に示したように、従
来のSi3N4とBNの混合粉末を用いた埋め焼きの長
時間保持で観察されたようなポーラス層の形成は一切無
く、緻密な表面層が形成された。表面のポーラス層は重
量損失量が大きくなってくることによって生じるもので
あるが、実施例6のように重量損失が効果的に抑制する
ことができればポーラス層の形成は回避される。このよ
うな良好な断面構造は実施例6の焼結体に限らず、用い
る混合粉末が本願請求項1ないし6に記載の条件を具備
するものであればいずれの焼結体においても得られる。
すなわち、実施例6ではSi3N 4/SiO2/BN粉
末中に被焼結体を埋めて焼結する方法をとったが、実施
例4のように、Si2N2O粉末中に被焼結体を埋めて
焼結してもよく、また実施例5のように、Si3N4と
SiO2からなる粉末成形体を被焼結体の周囲に設置し
て焼結しても同様の効果が得られる。
【0063】また、実施例6の焼結体の曲げ強度は比較
例1および2の焼結体よりも高い値を示し、比較例の焼
結体では大きく強度の低下が生じた16時間保持の焼結
体においても650MPa以上の値を示した。このよう
な優れた強度特性を有する焼結体は、用いる混合粉末が
本願請求項1ないし6に記載の条件を具備するものであ
ればいずれの焼結体においても得られる。
例1および2の焼結体よりも高い値を示し、比較例の焼
結体では大きく強度の低下が生じた16時間保持の焼結
体においても650MPa以上の値を示した。このよう
な優れた強度特性を有する焼結体は、用いる混合粉末が
本願請求項1ないし6に記載の条件を具備するものであ
ればいずれの焼結体においても得られる。
【0064】このような作用効果が得られる理由は、S
i3N4とSiO2の混合粉末、あるいはSi2N2O
粉末からSiOガスが発生することによって、被焼結体
周囲のSiOガス分圧が高まり被焼結体からSiOガス
の発生を伴う重量損失が抑制されるためである。しか
も、SiOガスの発生源となるSiO2成分が豊富に存
在するため、従来のSi3N4とBNの混合粉末を用い
た焼結法よりもSiOガスの発生をより長く維持するこ
とができる。これにより、重量損失を抑制しながら、且
つ焼結時間を長くすることによって、焼結体中のSi3
N4粒子の粒成長を促進させ高強度の焼結体を得ること
ができる。
i3N4とSiO2の混合粉末、あるいはSi2N2O
粉末からSiOガスが発生することによって、被焼結体
周囲のSiOガス分圧が高まり被焼結体からSiOガス
の発生を伴う重量損失が抑制されるためである。しか
も、SiOガスの発生源となるSiO2成分が豊富に存
在するため、従来のSi3N4とBNの混合粉末を用い
た焼結法よりもSiOガスの発生をより長く維持するこ
とができる。これにより、重量損失を抑制しながら、且
つ焼結時間を長くすることによって、焼結体中のSi3
N4粒子の粒成長を促進させ高強度の焼結体を得ること
ができる。
【0065】また、常圧焼結法によりSi3N4セラミ
ックスを製造するものであるから、焼結装置が安価でよ
り簡易的なものでもよく、さらにN2ガスの消費量も抑
えられる。またさらに、本願発明の常圧焼結法を基に、
大量生産可能な連続焼結炉に応用すれば窒化ケイ素セラ
ミックス製品の製造コストは大幅に削減されるという大
きなメリットがある。
ックスを製造するものであるから、焼結装置が安価でよ
り簡易的なものでもよく、さらにN2ガスの消費量も抑
えられる。またさらに、本願発明の常圧焼結法を基に、
大量生産可能な連続焼結炉に応用すれば窒化ケイ素セラ
ミックス製品の製造コストは大幅に削減されるという大
きなメリットがある。
【0066】本発明は、上記した実施例に何ら限定され
るものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々
の改変が可能である。例えば、上記実施例では焼結助剤
としてY2O3およびAl2O3を用いたが、高温下で
液相を形成し、窒化ケイ素セラミックスの緻密化を促進
されるものであれば、その他の化合物であってもかまわ
ない。但し、焼結温度域においてSiO2から発生する
SiOガスの平衡蒸気圧よりも高い若しくは同等のガス
成分の発生が予想される化合物を焼結助剤として用いる
ことは好ましくない。例えば、MgOは焼結温度域では
Mgガスを発生するが、このMgガスの平衡蒸気圧はS
iOガスよりも高いためMgOからのガス発生が優位に
なることが予想される。このような状況下では本願発明
のSi3N4とSiO2の混合粉末若しくはSi2N2
O粉末を用いた焼結では、MgOからのガス発生は抑制
することができない。従って、SiOガスの蒸気圧より
も高い若しくは同等のガスが発生する成分を用いる場合
には、さらに別の手段を講じなければならない。
るものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々
の改変が可能である。例えば、上記実施例では焼結助剤
としてY2O3およびAl2O3を用いたが、高温下で
液相を形成し、窒化ケイ素セラミックスの緻密化を促進
されるものであれば、その他の化合物であってもかまわ
ない。但し、焼結温度域においてSiO2から発生する
SiOガスの平衡蒸気圧よりも高い若しくは同等のガス
成分の発生が予想される化合物を焼結助剤として用いる
ことは好ましくない。例えば、MgOは焼結温度域では
Mgガスを発生するが、このMgガスの平衡蒸気圧はS
iOガスよりも高いためMgOからのガス発生が優位に
なることが予想される。このような状況下では本願発明
のSi3N4とSiO2の混合粉末若しくはSi2N2
O粉末を用いた焼結では、MgOからのガス発生は抑制
することができない。従って、SiOガスの蒸気圧より
も高い若しくは同等のガスが発生する成分を用いる場合
には、さらに別の手段を講じなければならない。
【0067】また上記実施例では、Si3N4セラミッ
クスの製造コストの削減を前提としたため常圧焼結によ
るSi3N4セラミックスの作製例を示したが、本願発
明のSi3N4とSiO2の混合粉末、あるいはSi2
N2O粉末を被焼結体と同時に存在させて焼結する手法
は、焼結時の重量損失を抑制するためのものであるの
で、この方法が従来からSi3N4セラミックスの焼結
方法として確立されているガス圧焼結法に応用すること
も勿論可能である。本願発明をガス圧焼結に利用すれ
ば、重量損失の抑制効果がさらに高まるだけでなく、負
荷するN2ガス圧を低減したり、あるいは焼結温度を低
くしてその分保持時間を延ばすなどの手段もとることも
可能となる。これにより焼結装置に掛かる負担も軽減さ
れ、装置の耐用寿命を延ばせる等のメリットが生じる。
クスの製造コストの削減を前提としたため常圧焼結によ
るSi3N4セラミックスの作製例を示したが、本願発
明のSi3N4とSiO2の混合粉末、あるいはSi2
N2O粉末を被焼結体と同時に存在させて焼結する手法
は、焼結時の重量損失を抑制するためのものであるの
で、この方法が従来からSi3N4セラミックスの焼結
方法として確立されているガス圧焼結法に応用すること
も勿論可能である。本願発明をガス圧焼結に利用すれ
ば、重量損失の抑制効果がさらに高まるだけでなく、負
荷するN2ガス圧を低減したり、あるいは焼結温度を低
くしてその分保持時間を延ばすなどの手段もとることも
可能となる。これにより焼結装置に掛かる負担も軽減さ
れ、装置の耐用寿命を延ばせる等のメリットが生じる。
【0068】
【発明の効果】本発明に係るSi3N4セラミックスの
焼結方法によれば、Si3N4とSiO2から成る混合
粉末若しくはSi3N4とSiO2と分散材として作用
するBNから成る混合粉末若しくはSi2N2O粉末
を、BN製若しくはSi3N4製のサヤの中で被焼結体
であるSi3N4粉末成形体と共に焼結することによっ
て、粉末からSiOガスが効率よく長時間に渡って発生
し続けることで、被焼結体の周囲のSiOガス分圧が高
められ、被焼結体からSiOガスの発生を伴う重量損失
が抑制され、重量増減が少なく均質な断面構造を有し、
且つ機械的強度にも優れた窒化ケイ素セラミックスが得
られるものである。これによって、焼結時の重量損失を
抑制するために従来行われてきたガス圧焼結法を用いな
くても、常圧のN2ガス雰囲気下でも、重量損失を十分
に抑制した良好なSi3N4セラミックスを得ることが
可能となり、さらまた、窒素ガスによる加圧が不必要で
あることから大量生産を目的とする連続焼結炉にも応用
が可能でこれによりSi3N4セラミックスの製造コス
トを大幅に低減することができるというメリットがあ
る。
焼結方法によれば、Si3N4とSiO2から成る混合
粉末若しくはSi3N4とSiO2と分散材として作用
するBNから成る混合粉末若しくはSi2N2O粉末
を、BN製若しくはSi3N4製のサヤの中で被焼結体
であるSi3N4粉末成形体と共に焼結することによっ
て、粉末からSiOガスが効率よく長時間に渡って発生
し続けることで、被焼結体の周囲のSiOガス分圧が高
められ、被焼結体からSiOガスの発生を伴う重量損失
が抑制され、重量増減が少なく均質な断面構造を有し、
且つ機械的強度にも優れた窒化ケイ素セラミックスが得
られるものである。これによって、焼結時の重量損失を
抑制するために従来行われてきたガス圧焼結法を用いな
くても、常圧のN2ガス雰囲気下でも、重量損失を十分
に抑制した良好なSi3N4セラミックスを得ることが
可能となり、さらまた、窒素ガスによる加圧が不必要で
あることから大量生産を目的とする連続焼結炉にも応用
が可能でこれによりSi3N4セラミックスの製造コス
トを大幅に低減することができるというメリットがあ
る。
【0069】さらにまた、本願発明を従来のガス圧焼結
に利用すれば、重量損失の抑制効果がより一層高まるだ
けでなく、負荷するN2ガス圧を低減したり、あるいは
焼結温度を低くしてその分保持時間を延ばすなどの手段
もとることも可能となる。これにより焼結装置に掛かる
負担も軽減され、装置の耐用寿命を延ばせる等のメリッ
トがある。
に利用すれば、重量損失の抑制効果がより一層高まるだ
けでなく、負荷するN2ガス圧を低減したり、あるいは
焼結温度を低くしてその分保持時間を延ばすなどの手段
もとることも可能となる。これにより焼結装置に掛かる
負担も軽減され、装置の耐用寿命を延ばせる等のメリッ
トがある。
【図1】本発明の一実施の形態に係る焼結装置の断面の
概略構成図である。
概略構成図である。
【図2】実施例6および比較例1および2の焼結によっ
て得られた焼結体の重量損失の保持時間変化を示したも
のである。
て得られた焼結体の重量損失の保持時間変化を示したも
のである。
【図3】実施例6および比較例1および2の焼結によっ
て得られた焼結体の16時間保持後の断面構造を示した
光学顕微鏡写真である。(a)は実施例6の焼結体、
(b)は比較例1の焼結体、(c)は比較例2の焼結体
である。
て得られた焼結体の16時間保持後の断面構造を示した
光学顕微鏡写真である。(a)は実施例6の焼結体、
(b)は比較例1の焼結体、(c)は比較例2の焼結体
である。
10 カーボン抵抗炉 12 カーボン製断熱材 14 カーボン製ヒーター 16 被焼結体 18 BN製サヤ 20 Si3N4/SiO2/BN混合粉末 22 カーボン製容器 24 台座 26 N2ガス導入口
フロントページの続き Fターム(参考) 4G001 BA03 BA04 BA09 BA32 BA33 BA51 BB03 BB04 BB09 BB32 BB33 BB51 BC54 BC56 BC57 BC62 BD14 BD36
Claims (8)
- 【請求項1】 窒化ケイ素粉末と焼結助剤として作用
する1種類以上の添加材とを混合しブロック状に成形し
た窒化ケイ素被焼結体を、窒化ケイ素とシリカから成る
混合粉末若しくは該窒化ケイ素とシリカと分散材として
作用する窒化ホウ素粉末から成る混合粉末若しくは酸窒
化ケイ素粉末と同時に焼結することを特徴とする窒化ケ
イ素セラミックスの焼結方法。 - 【請求項2】 前記窒化ケイ素とシリカの混合粉末若
しくは窒化ケイ素とシリカとこれらの粉末の分散材とし
て作用する窒化ホウ素から成る混合粉末若しくは酸窒化
ケイ素粉末をサヤ中に詰めて、該混合粉末若しくは酸窒
化ケイ素粉末中に前記窒化ケイ素粉末と焼結助剤として
作用する1種類以上の添加材とを混合しブロック状に成
形した被焼結体を埋めて焼結することを特徴とする請求
項1に記載される窒化ケイ素セラミックスの焼結方法。 - 【請求項3】 前記窒化ケイ素とシリカの混合粉末若
しくは酸窒化ケイ素粉末の粉末成形体若しくは該混合粉
末若しくは酸窒化ケイ素粉末そのものを、窒化ケイ素粉
末と焼結助剤として作用する1種類以上の添加材とを混
合しブロック状に成形した被焼結体の周囲に設置して焼
結することを特徴とする請求項1に記載される窒化ケイ
素セラミックスの焼結方法。 - 【請求項4】 前記窒化ケイ素とシリカの混合粉末中
のシリカ粉末の混合量が10〜60mass%の範囲に
あることを特徴とする請求項1ないし3に記載される窒
化ケイ素セラミックスの焼結方法。 - 【請求項5】 前記窒化ケイ素とシリカと前記分散材
の窒化ホウ素から成る混合粉末中の窒化ホウ素粉末の混
合量が20〜70mass%の範囲にあることを特徴と
する請求項1又は2に記載される窒化ケイ素セラミック
スの焼結方法。 - 【請求項6】 前記窒化ケイ素とシリカの混合粉末若
しくは前記窒化ケイ素とシリカと前記分散材の窒化ホウ
素から成る混合粉末中のシリカの粒度が300μm以上
であることを特徴とする請求項1ないし5に記載される
窒化ケイ素セラミックスの焼結方法。 - 【請求項7】 前記サヤは、窒化ホウ素製若しくは窒
化ケイ素製の焼結体であることを特徴とする請求項1な
いし6に記載される窒化ケイ素セラミックスの焼結方
法。 - 【請求項8】 前記窒化ケイ素粉末と焼結助剤として
作用する1種類以上の添加材とを混合しブロック状に成
形した被焼結体は、窒素ガス雰囲気下において常圧又は
加圧状態で焼結することを特徴とする請求項1ないし7
に記載される窒化ケイ素セラミックスの焼結方法。
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JP2000239875A JP2002053376A (ja) | 2000-08-08 | 2000-08-08 | 窒化ケイ素セラミックスの焼結方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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