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JP2002020679A - エマルション塗料組成物、製造方法及びその塗装物品 - Google Patents

エマルション塗料組成物、製造方法及びその塗装物品

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Publication number
JP2002020679A
JP2002020679A JP2000202736A JP2000202736A JP2002020679A JP 2002020679 A JP2002020679 A JP 2002020679A JP 2000202736 A JP2000202736 A JP 2000202736A JP 2000202736 A JP2000202736 A JP 2000202736A JP 2002020679 A JP2002020679 A JP 2002020679A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
water
vinyl monomer
polymer portion
graft copolymer
soluble
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000202736A
Other languages
English (en)
Inventor
Norikazu Takizuka
典和 滝塚
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NOF Corp
Original Assignee
NOF Corp
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Publication date
Application filed by NOF Corp filed Critical NOF Corp
Priority to JP2000202736A priority Critical patent/JP2002020679A/ja
Publication of JP2002020679A publication Critical patent/JP2002020679A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた親水性、密着性及び塗膜外観が発現さ
れると共に、有機溶剤から生じる塗装作業環境の問題を
低減させ得る、より安全性が高いエマルション塗料組成
物とその塗装物品及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 ビニル系単量体から形成される親水性重
合体部分と非水溶性ビニル系単量体から形成される疎水
性重合体部分とからなるブロック又はグラフト共重合
体、界面活性剤、水、及び水溶性有機溶剤を含有するエ
マルション塗料組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はエマルション塗料組
成物、製造方法及びその塗装物品に関する。特にプラス
チック材料や金属材料表面を被覆して、これら材料表面
を親水性に改質し得るエマルション塗料組成物、製造方
法及びその塗装物品に関する。
【0002】
【従来の技術】本発明者らは親水性重合体部分と疎水性
重合体部分とからなるブロック又はグラフト共重合体を
用いた親水性多孔膜形成用組成物(特許番号第2707
677号公報)、親水性重合体部分と疎水性重合体部分
とからなるブロック又はグラフト共重合体と界面活性剤
を用いた加熱硬化型防曇剤組成物(特開平6−2121
46号公報)を提案した。これらを使用して得られる塗
膜は、ブロック又はグラフト共重合体中の親水性重合体
部分により塗膜表面に親水性を付与し、同時に疎水性重
合体部分により基材との密着性を付与することができる
ため、親水性と密着性の両面で優れた物性を有してい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしこれらはいずれ
も有機溶剤中に溶解して使用する形態であるため、有機
溶剤の取り扱い上の法規制や塗装作業環境の問題があっ
た。近年では塗膜物性を維持しながら、より安全性が高
いエマルション化させた形態への要求が高まってきてい
る。ところがエマルション化させた形態のブロック又は
グラフト共重合体はバルク重合、溶液重合、エマルショ
ン重合において、合成上の点から容易に得られないとい
う問題があった。即ち、水媒体中で溶液重合を行う場
合、親水性重合体部分を構成する水溶性ビニル系単量体
は水に対して溶解性を示すが、疎水性重合体部分を構成
する非水溶性ビニル系単量体は水に不溶で油滴となって
存在する。そのため結果として水媒体中での溶液重合で
は親水性重合体部分と疎水性重合体部分とからなるブロ
ック又はグラフト共重合体は得られない。また水媒体中
で界面活性剤の存在下でエマルション重合を行う場合、
非水溶性ビニル系単量体は界面活性剤によって形成され
るミセル内に取り込まれて重合するものの、水溶性ビニ
ル系単量体はミセル内に十分に取り込まれない。そのた
め結果として水媒体中でのエマルション重合によっても
親水性重合体部分と疎水性重合体部分とからなるブロッ
ク又はグラフト共重合体は得られない。
【0004】本発明は前記の問題に着目したものであっ
て、その目的は優れた親水性、密着性及び塗膜外観が発
現されると共に、有機溶剤から生じる塗装作業環境の問
題を低減させ得る、より安全性が高いエマルション塗料
組成物とその塗装物品及びその製造方法を提供すること
にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】第1の発明は、水溶性ビ
ニル系単量体から形成される親水性重合体部分と非水溶
性ビニル系単量体から形成される疎水性重合体部分とか
らなるブロック又はグラフト共重合体、界面活性剤、
水、及び水溶性有機溶剤を含有するエマルション塗料組
成物である。
【0006】第2の発明は、ブロック又はグラフト共重
合体の親水性重合体部分が窒素原子含有ビニル系単量体
を含む水溶性ビニル系単量体から形成されていることを
特徴とする第1の発明のエマルション塗料組成物であ
る。
【0007】第3の発明は、ブロック又はグラフト共重
合体の親水性重合体部分が架橋官能基を有するビニル系
単量体を含む水溶性ビニル系単量体から形成されている
ことを特徴とする第1の発明または第2の発明のエマル
ション塗料組成物である。
【0008】第4の発明は、水溶性有機溶剤中でポリメ
リックペルオキシドと、親水性重合体部分を形成する水
溶性ビニル系単量体もしくは疎水性重合体部分を形成す
る非水溶性ビニル系単量体のいずれか一方とからブロッ
ク共重合体前駆体を合成し、さらにそれにもう一方の重
合体部分を形成する水溶性ビニル系単量体もしくは非水
溶性ビニル系単量体を反応させてブロック共重合体を合
成し、次にそのブロック共重合体を含む溶液を界面活性
剤水溶液に添加しながら乳化せしめることを特徴とする
エマルション塗料の製造方法である。
【0009】第5の発明は、水溶性有機溶剤中で過酸化
結合を有するビニル系単量体と、ラジカル重合開始剤
と、親水性重合体部分を形成する水溶性ビニル系単量体
もしくは疎水性重合体部分を形成する非水溶性ビニル系
単量体のいずれか一方とから過酸化結合を有するビニル
系単量体の過酸化結合の分解が起こらない条件下でグラ
フト共重合体前駆体を合成し、さらにそれにもう一方の
重合体部分を形成する水溶性ビニル系単量体もしくは非
水溶性ビニル系単量体を加えて過酸化結合を有するビニ
ル単量体の過酸化結合を分解させる条件下でグラフト共
重合体を合成し、そのグラフト共重合体を含む溶液を界
面活性剤水溶液に添加しながら乳化せしめることを特徴
とするエマルション塗料の製造方法である。
【0010】第6の発明は、第1〜第3の発明のエマル
ション塗料組成物を被塗物に塗布し、加熱硬化して得ら
れる塗装物品である。
【0011】
【発明の実施の形態】次に本発明について順次詳細に説
明する。まず本発明において使用されるブロック又はグ
ラフト共重合体について説明する。ブロック又はグラフ
ト共重合体は水溶性ビニル系単量体から形成される親水
性重合体部分と非水溶性ビニル系単量体から形成される
疎水性重合体部分とから構成されている。
【0012】まず最初にブロック又はグラフト共重合体
中の親水性重合体部分について説明する。この親水性重
合体部分を形成する水溶性ビニル系単量体成分として
は、例えば、(メタ)アクリルアミド(以下、(メタ)
という表記は化合物のビニル基にメチル基を有する場合
と水素基を有する場合の二通りがあることを意味してい
る。この場合は、メタアクリルアミドとアクリルアミド
を示す。)、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N,
N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メ
タ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリ
ルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、
N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N’−
ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,
N’−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミ
ド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、N−(メタ)
アクリロイルピペリジン、N−(メタ)アクリロイルモ
ルホリン、N−ビニル−2−ピロリドン、4−ビニルピ
リジン等の窒素原子含有ビニル系単量体;(メタ)アク
リル酸、イタコン酸、クロトン酸等のカルボン酸基含有
ビニル系単量体、及びこれらの塩(アンモニウム塩、有
機アミン塩、アルカリ金属塩);スチレンスルホン酸、
ビニルスルホン酸、2−アクリルアミドー2−メチルス
ルホン酸、2−スルホエチル(メタ)アクリレート、3
−スルホプロピル(メタ)アクリレート等のスルホン酸
基含有ビニル系単量体、及びこれらの塩(アンモニウム
塩、有機アミン塩、アルカリ金属塩);メトキシエチレ
ングリコール(メタ)アクリレート(ここでエチレンオ
キシドの重合度は1〜10が好適である)、メトキシプ
ロピレングリコール(メタ)アクリレート(ここでプロ
ピレンオキシドの重合度は1〜10が好適である)等の
アルコキシアルキレングリコール基含有ビニル系単量体
等が挙げられ、これらの1種以上が使用される。
【0013】これら水溶性ビニル系単量体の中では、塗
膜の親水性を高めるという点から窒素原子含有ビニル系
単量体、例えば、N,N−ジメチル(メタ)アクリルア
ミド、N,N’−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリ
ルアミド、N−(メタ)アクリロイルモルホリン、N−
ビニル−2−ピロリドン等が好ましく使用される。
【0014】親水性重合体部分は窒素原子含有ビニル系
単量体10〜100重量%を含む水溶性ビニル系単量体
から形成されることが好ましい。親水性重合体部分が窒
素原子含有ビニル系単量体10重量%未満を含む水溶性
ビニル系単量体から形成される場合は、得られる塗膜の
親水性が低下する傾向にある。塗膜の親水性を更に高め
るためには、親水性重合体部分が窒素原子含有ビニル系
単量体20〜100重量%を含む水溶性ビニル系単量体
から形成されることが特に好ましい。
【0015】またブロック又はグラフト共重合体の親水
性重合体部分を形成するために使用される架橋官能基を
有するビニル系単量体成分としては、例えば、N−メチ
ロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチロー
ル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチロール
(メタ)アクリルアミド等のメチロール基又はアルコキ
シメチロール基含有ビニル系単量体;2−ヒドロキシエ
チル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル
(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)
アクリレートにε−カプロラクトンを1モル付加させた
ヒドロキシル基含有ビニル系単量体(ダイセル化学工業
(株)製、商品名:プラクセルFA−1、プラクセルF
M−1など)等が挙げられ、これらの1種または2種以
上が使用される。そして熱硬化性が付与され、熱硬化さ
れた塗膜は親水性と耐水性を両立することができる。
【0016】親水性重合体部分は前記架橋官能基を有す
るビニル系単量体1〜30重量%を含む水溶性ビニル系
単量体成分から形成されることが好ましい。親水性重合
体部分が架橋官能基を有するビニル系単量体1重量%未
満から形成される場合は得られる塗膜の架橋度が低くな
るために塗膜の耐水性が低下し、30重量%を超える場
合には塗膜の密着性が低下する傾向にある。さらに塗膜
の親水性と耐水性、密着性を十分に両立させ得るために
は、親水性重合体部分が前記架橋官能基を有するビニル
系単量体5〜20重量%を含む水溶性ビニル系単量体か
ら形成されることが特に好ましい。
【0017】また塗膜の硬度を高めることを目的に前記
ブロック又はグラフト共重合体中の親水性重合体部分を
形成する前記水溶性ビニル系単量体成分中に炭素数1〜
4の直鎖又は分岐状の低級アルキル基を有するアルコー
ルと(メタ)アクリル酸とのエステル(以下、低級アル
コールの(メタ)アクリル系単量体と略記する。)を含
有させてもよい。具体的には、例えばメチル(メタ)ア
クリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピ
ル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリ
レート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル
(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレー
ト等が挙げられ、これらの1種以上が好ましく使用され
る。
【0018】これら低級アルコールの(メタ)アクリル
系単量体は、前記ブロック又はグラフト共重合体中の親
水性重合体部分を形成する水溶性ビニル系単量体100
重量%に対して、0〜50重量%の範囲で使用されるこ
とが好ましく、50重量%を超える場合は塗膜の親水性
が低下する傾向にあるので好ましくない。
【0019】次にブロック又はグラフト共重合体の疎水
性重合体部分について説明する。この疎水性重合体部分
を構成する非水溶性ビニル系単量体成分としては、例え
ば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アク
リレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプ
ロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アク
リレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチ
ル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)
アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステア
リル(メタ)アクリレート等の直鎖又は分岐状のアルキ
ル基を有するアルキルビニル系単量体;スチレン、ビニ
ルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル系単
量体;アクリロニトリル等が挙げられ、これらの1種ま
たは2種以上が使用される。
【0020】これらの中で、低級アルコールの(メタ)
アクリル系単量体、例えばメチル(メタ)アクリレー
ト、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メ
タ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレー
ト、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メ
タ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート等
が塗膜の硬度を高めると共に、プラスチック材料や金属
材料に対する密着性が得られる点で好ましい。
【0021】また塗膜に透明性を付与することを目的に
前記ブロック又はグラフト共重合体中の疎水性重合体部
分を形成する前記非水溶性ビニル単量体成分中に、酸基
を有するビニル系単量体を含有させてもよい。具体的に
は(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、2−
スルホエチル(メタ)アクリレート、2−アクリルアミ
ドー2−メチルスルホン酸等が挙げられ、これらの1種
または2種以上が使用される。
【0022】これら酸基を有するビニル系単量体は、前
記ブロック又はグラフト共重合体中の疎水性重合体部分
を形成する非水溶性ビニル系単量体100重量%に対し
て、0〜30重量%の範囲で使用される。酸基を有する
ビニル系単量体が30重量%を超える場合は塗膜と基材
との密着性が低下する傾向にある。塗膜の親水性と密着
性及び透明性を十分に両立させ得るためには、酸基を有
するビニル系単量体はブロック又はグラフト共重合体中
の疎水性重合体部分を構成する成分100重量%中に1
〜15重量%の範囲で使用されることが特に好ましい。
【0023】本発明のエマルション塗料組成物において
使用されるブロック又はグラフト共重合体においては、
親水性重合体部分と疎水性重合体部分との重量比が50
/50〜95/5であることが好ましい。親水性重合体
部分が50重量%未満の場合は塗膜の親水性が低下し、
親水性重合体部分が95重量%を超える場合は基材に対
する密着性が低下する傾向にある。
【0024】次に本発明のエマルション塗料組成物にお
いて使用される界面活性剤について説明する。この界面
活性剤としては公知のもの全てが使用可能であり、非イ
オン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性
界面活性剤、両性イオン系界面活性剤から選ばれる1種
以上の界面活性剤が使用される。
【0025】非イオン性界面活性剤としては、例えば、
ポリオキシエチレンラウリルアルコール、ポリオキシエ
チレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイル
エーテル等のポリオキシエチレン高級アルコールエーテ
ル類;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオ
キシエチレンアルキルアリールエーテル類;ポリオキシ
エチレングリコールモノステアレート等のポリオキシエ
チレンアシルエステル類;ポリプロピレングリコールエ
チレンオキサイド付加物;ポリオキシエチレンソルビタ
ンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノ
ステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪族
エステル類;アルキルリン酸エステル、ポリオキシエチ
レンアルキルエーテルリン酸エステル等のリン酸エステ
ル類;セルロースエーテル類等が使用される。
【0026】陰イオン性界面活性剤としては、例えば、
オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム等の脂肪酸
塩;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウ
ム等の高級アルコール硫酸塩;ドデシルベンゼンスルホ
ン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリ
ウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩及びアルキルナ
フタレンスルホン酸塩;ジアルキルスルホコハク酸塩、
ジアルキルホスフェート塩、ポリオキシエチレンアルキ
ルフェニルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシエチ
レンサルフェート塩等が使用される。
【0027】陽イオン性界面活性剤としては、例えば、
エタノールアミン類、ラウリルアミンアセテート、トリ
エタノールアミンモノ蟻酸塩、ステアラミドエチルジエ
チルアミン酢酸塩等のアミン塩;ラウリルトリメチルア
ンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニ
ウムクロライド、ジラウリルジメチルアンモニウムクロ
ライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライ
ド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライ
ド、ステアリルジメチルベンジルアンモニウムクロライ
ド等の第四級アンモニウム塩等が使用される。
【0028】両性界面活性剤としては、例えば、ジメチ
ルアルキルラウリルベタイン、ジメチルアルキルステア
リルベタイン等の脂肪酸型両性界面活性剤;ジメチルア
ルキルスルホベタイン等のスルホン酸型両性界面活性
剤;アルキルグリシン等が使用される。
【0029】特にこれら界面活性剤の中で非イオン性界
面活性剤、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性
剤がエマルション塗料の乳化安定性に優れると共に、得
られる塗膜の親水性をさらに高めることできる点で特に
好ましい。また界面活性剤は1種または2種以上を組み
合わせて使用する。
【0030】界面活性剤の配合量は、前記ブロック又は
グラフト共重合体に対して0.1〜20重量%であるこ
とが好ましい。界面活性剤の配合量が0.1重量%未満
である場合はエマルション塗料製造時の乳化が不十分と
なったり、塗料中に共重合体成分が析出して固形物の沈
降や分離が発生するといった塗料の安定性に問題を生じ
ることがある。また界面活性剤の配合量が20重量%を
超える場合は塗膜の耐水性と塗膜硬度が低下する場合が
ある。エマルション塗料の製造のしやすさと塗膜性能の
バランスから、前記ブロック又はグラフト共重合体と界
面活性剤の重量比は100/0.5〜100/15であ
ることが特に好ましい。
【0031】次に本発明のエマルション塗料組成物にお
いて使用される水溶性有機溶剤について説明する。水溶
性有機溶剤はエマルション塗料組成物中の必須成分であ
り、かつ前記ブロック又はグラフト共重合体の合成工程
においては重合溶媒として使用される。そのため、重合
溶媒としての要件を満たし、かつそれが水に十分に溶解
して均一な溶液となることが必要である。
【0032】本発明のエマルション塗料組成物において
使用される水溶性有機溶剤としては、例えば、メタノー
ル、エタノール、イソプロパノール、ジアセトンアルコ
ール等のアルコール系溶剤;エチレングリコールモノメ
チルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテ
ル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピ
レングリコールモノエチルエーテル、メチルカルビトー
ル、エチルカルビトール、3−メトキシ−1−ブタノー
ル、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール等のア
ルコールエーテル系溶剤;アセトン、メチルエチルケト
ン等のケトン系溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキサン
等のエーテル系溶剤;乳酸メチル、乳酸エチル等のエス
テル系溶剤;ホルムアミド、ジメチルホルムアミド等の
アミド系溶剤等が使用され、これらの1種または2種以
上を組み合わせて使用する。
【0033】ブロック又はグラフト共重合体は通常60
〜120℃の温度範囲で合成されるために、合成温度以
上の沸点を有する水溶性有機溶剤を重合溶媒に用いる必
要があること、そしてブロック又はグラフト共重合体は
親水性重合体部分と疎水性重合体部分という性質の異な
る重合体部分から形成されており、これら両重合体部分
に対して親和性のある水溶性有機溶剤を使用する必要が
ある。これらの2点から前記水溶性有機溶剤の中でも特
にアルコールエーテル系溶剤、エステル系溶剤が重合溶
媒として好ましい。またこれら水溶性有機溶剤は塗装作
業性を改善する目的でエマルション塗料組成物中に後で
追加してもよい。特にエマルション塗料を塗装した際に
タレが発生しやすい場合には、常温で水よりも蒸発速度
の速い水溶性有機溶剤をエマルション塗料に追加するこ
とが好ましい。また一方でエマルション塗料を塗装して
加熱硬化する際にワキが発生しやすい場合には、沸点が
130℃以上、さらに好ましくは150℃以上の沸点を
有する水溶性有機溶剤、例えば、3−メトキシ−1−ブ
タノール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノー
ル、乳酸エチル等をエマルション塗料に追加することが
好ましい。
【0034】次に本発明のエマルション塗料組成物にお
いて使用される水について説明する。水については上水
道水をそのまま使用しても問題のない場合もあるが、水
道水中に含まれる無機イオンや塩素イオン等によってエ
マルション塗料の乳化安定性が損なわれる場合もあり、
イオン交換水または純水を使用するのが好ましい。
【0035】本発明の親水性塗膜を形成するエマルショ
ン塗料組成物において、溶媒である水と水溶性有機溶剤
の比率は特に限定はされないが、なるべく水の含有量が
多いことが塗装作業環境や安全衛生の面で好ましい。水
溶性有機溶剤の含有量は、水と水溶性有機溶剤の総量に
対して通常5〜60重量%、好ましくは10〜50重量
%である。水溶性有機溶剤が60重量%を超えるとエマ
ルション塗料に引火性が出てきて安全性の問題が生じ、
水溶性有機溶剤が5重量%未満であるとエマルション塗
料の塗装作業性面、特に被塗物に対する塗れ性や乾燥
性、タレ、ワキの問題が発生しやすくなる。
【0036】本発明のエマルション塗料は、前記ブロッ
ク又はグラフト共重合体と、界面活性剤、水、及び水溶
性有機溶剤から構成され、各成分のおおよその重量比
は、前記ブロック又はグラフト共重合体/界面活性剤/
水/水溶性有機溶剤=9.99〜25/0.01〜5/
30〜85/5〜40が好ましい。ここでエマルション
塗料中に占める前記ブロック又はグラフト共重合体の含
有量はエマルション塗料の粘度に影響し易く、25重量
%を超えるとエマルション塗料の粘度が高くなり、塗膜
のレベリング性が低下し、9.99重量%未満では成膜
性が劣り塗装作業面での問題が発生する場合がある。ま
た界面活性剤が0.01重量%未満の場合はエマルショ
ン塗料製造時の乳化が不十分となったり、エマルション
塗料の安定性が低下する場合があり、界面活性剤が5重
量%を超えると塗膜の耐水性と塗膜硬度が低下する場合
がある。さらに水が30重量%未満ないし水溶性有機溶
剤が40重量%を超える場合はエマルション塗料に引火
性が出てきて安全性の問題が生じ、水が85重量%を超
える場合ないし水溶性有機溶剤が5重量%未満の場合は
エマルション塗料の塗装作業性に問題が生じる場合があ
る。
【0037】本発明のエマルション塗料組成物はさらに
塗膜強度を高めるために、従来公知の硬化剤と併用して
使用することもできる。但し、使用される硬化剤は水溶
性であるか又は水に安定に乳化、分散するものが好まし
く、例えばヘキサメトキシメチロールメラミン;一部メ
トキシ、又はブトキシ化されたメチロールメラミン縮合
物であるメラミン硬化剤;遊離イソシアネート基をアミ
ン、オキシム等でブロック化されたヘキサメチレンジイ
ソシアネート;又はトルエンジイソシアネート、イソホ
ロンジイソシアネート等の縮合物であるブロックイソシ
アネート硬化剤等が好ましく使用される。これらの硬化
剤は本発明のエマルション塗料組成物に使用されるブロ
ック又はグラフト共重合体100重量%に対して、0〜
30重量%で使用されることが好ましく、30重量%を
超えると得られる塗膜の親水性が低下するので好ましく
ない。
【0038】本発明のエマルション塗料組成物において
は必要により、レベリング剤、消泡剤、硬化触媒、紫外
線吸収剤、酸化防止剤、防カビ剤、抗菌剤等の慣用の添
加剤顔料、染料を配合することができる。これら添加剤
等は水溶性であるか又は水に安定に乳化、分散するもの
が好ましい。本発明のエマルション塗料組成物による塗
膜の形成方法は、通常の塗装方法により被塗物に塗布し
た後、40〜80℃の温度で1〜20分間塗料中に含ま
れる溶媒を揮発乾燥させ、その後80〜180℃の温度
で5〜60分間加熱硬化することによって行われる。但
しこの場合、被塗物がプラスチック材料である場合には
プラスチック材料の熱変形温度以下での硬化温度の設定
が必要である。
【0039】エマルション塗料組成物を塗布される被塗
物は、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチ
レンテレフタレート樹脂等のプラスチック素材;および
アルミニウム、鉄、及びこれらのクロメート処理、亜鉛
処理された金属素材のそれぞれ単独ないし複合素材のフ
ィルム、板、成型品及びその加工品が好ましく使用され
る。
【0040】またエマルション塗料組成物の被塗物に対
する塗れ性やハジキを防止する目的で、塗装前の被塗物
表面の脱脂や洗浄を行うことが好ましく、具体的には洗
剤水溶液又はアルコール溶剤による超音波洗浄方法;ア
ルコール溶剤等を使用したワイピング法;紫外線とオゾ
ンによる被塗物表面の洗浄方法等が好ましい。塗装方法
としては浸漬法、フローコート法、ロールコーター法、
バーコーター法、スプレーコート法等が適しており、形
成される塗膜の膜厚は0.5〜50μmの範囲が好まし
く、さらに良好な塗膜外観を得るためには1〜10μm
の範囲が特に好ましい。
【0041】次に本発明のエマルション塗料の製造方法
について説明する。まず水溶性有機溶剤中でブロック共
重合体を得るための溶液重合について説明する。ブロッ
ク共重合体の重合方法はラジカル重合、カチオン重合、
アニオンリビング重合、カチオンリビング重合等の公知
の各種重合方法によって行うことができるが、この中で
も公知のポリメリックペルオキシドを用いるラジカル重
合法が好ましい。特に次の式(1)、(2)、(3)で
示されるポリメリックペルオキシドの1種以上を重合開
始剤に用いたラジカル重合法が、工業的に大量かつ効率
的に行える点で特に好ましい。
【0042】 〔CO(CH2)4COO(C2H4O)3CO(CH2)4COOO〕k ・・・(1) 〔CO(CH2)7COOO〕m ・・・(2) 〔CO(CH2)6CH(CH2CH3)(CH2)9COOO〕n ・・・(3) (上述の式(1)、式(2)および式(3)中におい
て、k、m、nはいずれも2〜20の整数である。)
【0043】具体的にブロック共重合体を得るための溶
液重合は、撹拌装置、温度計を備えた反応器に水溶性有
機溶剤を仕込み、60〜80℃の温度に加熱する。次に
前記ポリメリックペルオキシドと、親水性重合体部分を
形成する水溶性ビニル系単量体もしくは疎水性重合体部
分を形成する非水溶性ビニル系単量体のいずれか一方と
を30分から3時間を要して添加し、さらに30分から
3時間の重合反応を行いブロック共重合体前駆体を合成
する。次に温度を5〜20℃上昇させ、もう一方の重合
体部分を形成する水溶性ビニル系単量体もしくは非水溶
性ビニル系単量体を30分から3時間を要して添加し、
さらに30分から5時間の重合反応を行ってブロック共
重合体を得る。
【0044】次にグラフト共重合体を得るための溶液重
合について説明する。グラフト共重合体の重合方法は公
知の過酸化結合を有するビニル系単量体を用いるラジカ
ル重合法が好ましく使用され、特に次の式(4)または
(5)で示される過酸化結合を有するビニル系単量体を
用いたラジカル重合法が工業的に大量かつ効率的に行え
る点で特に好ましい。
【0045】
【化1】 (式中、R1はいずれも水素原子、又はメチル基であ
る。)
【0046】
【化2】 (式中、R2はいずれも水素原子、又はメチル基であ
る。)
【0047】具体的にグラフト共重合体を得るための溶
液重合は、撹拌装置、温度計を備えた反応器に水溶性有
機溶剤を仕込み、70〜90℃の温度に加熱する。次に
前記過酸化結合を有するビニル系単量体と、ラジカル重
合開始剤と、親水性重合体部分を形成する水溶性ビニル
系単量体もしくは疎水性重合体部分を形成する非水溶性
ビニル系単量体のいずれか一方とを30分から3時間を
要して添加し、さらに30分から3時間の重合反応を行
いグラフト共重合体前駆体を合成する。この際の重合反
応はラジカル重合開始剤のみの分解に基づくものであ
り、過酸化結合を有するビニル系単量体中の過酸化結合
の分解が起こらない温度条件設定が必要である。ここで
使用されるラジカル重合開始剤としては、例えば、t−
ブチルペルオキシオクタネート、t−ヘキシルペルオキ
シオクタネート、t−ブチルペルオキシピバレート等が
好ましく使用される。
【0048】次に温度を10〜30℃上昇させて過酸化
結合を有するビニル系単量体の過酸化結合が分解する条
件下、もう一方の重合体部分を形成する水溶性ビニル系
単量体もしくは非水溶性ビニル系単量体を30分から3
時間を要して添加し、さらに30分から5時間の重合反
応を行ってグラフト共重合体が得られる。
【0049】次に前記ブロック又はグラフト共重合体の
乳化方法について説明する。乳化にあたっては界面活性
剤を水に完全に溶解させ、この界面活性剤水溶液を攪拌
しながら前記ブロック又はグラフト共重合体を含む溶液
を徐々に添加する。本発明の製造方法において界面活性
剤水溶液中の界面活性剤濃度は特に限定はされないが、
水100重量%に対して0.05〜25重量%の範囲で
安定なエマルション溶液が得られ、特に0.1〜10重
量%の範囲が界面活性剤の水への溶解性と共重合体の乳
化性、安定性の面で最も好ましい。
【0050】前記ブロック又はグラフト共重合体は親水
性重合体と疎水性重合体という性質の異なる重合体同士
で結合されているために、それ自身は水溶性はないもの
の自己界面活性能を有しており、ごく少量の界面活性剤
の存在下で容易に水媒体中で安定な乳化状態を取り得
る。そのため攪拌は水溶液全体が均一に混合し得る程度
の穏やかな攪拌力で十分に乳化を行うことができ、特に
強力な攪拌は乳化時に泡立ちの発生が多くなるため好ま
しくない。乳化時の温度は室温でも構わないが、使用す
る界面活性剤の水への溶解性が十分でない場合は30〜
60℃程度の範囲で加温することが好ましい。前記ブロ
ック又はグラフト共重合体溶液は5〜60分間を要して
添加するのが好ましく、一度に全量を添加すると安定な
乳化状態が得られず、共重合体成分が析出する場合があ
るので好ましくない。前記ブロック又はグラフト共重合
体溶液の添加終了後、さらに5〜30分間攪拌を行って
目的とするエマルション塗料が得られる。
【0051】
【実施例】以下、参考例、実施例、比較例を挙げて本発
明をさらに具体的に説明する。 参考例1 温度計、撹拌装置を備えた反応器に水溶性有機溶剤であ
るプロピレングリコールモノエチルエーテル550gを
仕込み、窒素ガスを吹き込みながら70℃に加熱し、こ
こに下記式(6)で表される重合開始剤(PPO1)で
あるポリメリックペルオキシド5g、親水性重合体部分
を形成する水溶性ビニル系単量体であるN,N−ジメチ
ルアクリルアミド135g、架橋官能基を有するビニル
系単量体であるN−メチロールアクリルアミド15gを
溶解した混合液を2時間を要して滴下し、さらに2時間
重合反応を行ってブロック共重合体前駆体を合成した。
【0052】その後、疎水性重合体部分を形成する非水
溶性ビニル系単量体であるメチルメタクリレート100
gとブチルメタクリレート50gの混合液を1時間を要
して滴下し、80℃で3時間重合反応を行い、ブロック
共重合体を得た。得られたブロック共重合体溶液は仕込
みモノマーの重合転化率100%、固形分35.5%で
あり、ブロック共重合体は親水性重合体部分と疎水性重
合体部分との重量比が50/50、親水性重合体部分に
含まれる窒素原子含有ビニル系単量体の重量割合が10
0%、親水性重合体部分に含まれる架橋官能基を有する
ビニル系単量体の重量割合は10.0%であった。 〔CO(CH2)4COO(C2H4O)3CO(CH2)4COOO〕10 ・・・(6)
【0053】参考例2 温度計、撹拌装置を備えた反応器に水溶性有機溶剤であ
るプロピレンレングリコールモノメチルエーテル500
gを仕込み、窒素ガスを吹き込みながら85℃に加熱
し、ここに重合開始剤であるt−ブチルペルオキシオク
タノエート1gと下記式(7)で示される過酸化結合を
有するビニル系単量体(MPO1)4g、親水性重合体
部分を形成する水溶性ビニル系単量体であるN−アクロ
イルモルホリン63g、メトキシジエチレングリコール
メタクリレート25g、架橋官能基を有するビニル系単
量体である2−ヒドロキシエチルメタクリレート38
g、N−メチロールアクリルアミド5g、及びメチルメ
タクリレート16gを溶解した混合液を2時間を要して
滴下し、さらに2時間重合反応を行ってグラフト共重合
体前駆体を合成した。
【0054】
【化3】
【0055】その後、疎水性重合体部分を形成する非水
溶性ビニル系単量体であるメチルメタクリレート57g
とアクリル酸6gの混合液を1時間を要して滴下し、1
10℃で5時間重合反応を行い、グラフト共重合体を得
た。得られたグラフト共重合体溶液は仕込みモノマーの
重合転化率100%、固形分30.0%であり、グラフ
ト共重合体の親水性重合体部分と疎水性重合体部分との
重量比が70/30、親水性重合体部分に含まれる窒素
原子含有ビニル系単量体の重量割合が46.3%、親水
性重合体部分に含まれる架橋官能基を有するビニル系単
量体の重量割合は29.3%であった。また参考例3〜
5のブロック又はグラフト共重合体を前記と同様の方法
で製造を行った。それぞれの共重合体溶液の原料仕込
量、重合結果を表1および表2に示した。
【0056】
【表1】
【0057】尚、表1における略記号は次の意味を表
す。 PGE:プロピレングリコールモノエチルエーテル(水
溶性有機溶剤)、 PGM:プロピレングリコールモノメチルエーテル(水
溶性有機溶剤)、 MLC:乳酸メチル(水溶性有機溶剤)、 TOL:トルエン(非水溶性有機溶剤)、
【0058】DMA:N,N−ジメチルアクリルアミド
(窒素原子含有ビニル系単量体)、 ACMO:N−アクロイルモルホリン(窒素原子含有ビ
ニル系単量体)、 MDEM:メトキシジエチレングリコールメタクリレー
ト(水溶性ビニル系単量体)、
【0059】NMAA:N−メチロールアクリルアミド
(架橋官能基を有する窒素原子含有ビニル系単量体)、 NMMAA:N−メトキシメチロールアクリルアミド
(架橋官能基を有する窒素原子含有ビニル系単量体)、 HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート(架橋
官能基を有するビニル系単量体)、 MMA:メチルメタクリレート(非水溶性ビニル系単量
体)、 BMA:ブチルメタクリレート(非水溶性ビニル系単量
体)、 AA:アクリル酸(水溶性ビニル系単量体)、
【0060】PPO1:式(6)に示すポリメリックペ
ルオキシド、 PPO2:下式(8)に示すポリメリックペルオキシ
ド、 〔CO(CH2)7COOO〕9 ・・・(8) PPO3:下式(9)に示すポリメリックペルオキシ
ド、 〔CO(CH2)6CH(CH2CH3)(CH2)9COOO〕5 ・・・(9)
【0061】MPO1:式(7)に示す過酸化結合を有
するビニル系単量体、
【0062】MPO2:下式(10)に示す過酸化結合
を有するビニル系単量体、 CH2=CH-CH2OCOOOC(CH3)3 ・・・(10) BPOO:t−ブチルペルオキシオクタノエート(重合
開始剤)
【0063】
【表2】
【0064】また表1における原料仕込量は重量(g)
で表し、固形分は重量%で示した。親水/疎水は親水性
重合体部分と疎水性重合体部分との重量比率を表し、窒
素原子含有単量体とは親水性重合体部分中に含まれる窒
素原子含有ビニル系単量体の重量割合を表し、そして架
橋官能基含有単量体とは親水性重合体部分中に含まれる
架橋官能基を有するビニル系単量体の重量割合を意味し
ている。
【0065】実施例1 フラスコ中にイオン交換水350g、界面活性剤である
ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム10gを仕込み、
攪拌しながら40℃に加温して界面活性剤を十分に溶解
させた。これに参考例1で得られたブロック共重合体溶
液200gを20分を要して穏やかな攪拌下で徐々に添
加し、添加終了後さらに10分間攪拌を行いエマルショ
ン塗料を得た。得られたエマルション塗料は固形分1
4.5%、ブロック共重合体に対する界面活性剤量1
4.1%、エマルション塗料の全溶媒中に占める水含有
量は73.1%であった。
【0066】実施例2〜5及び比較例1、2 エマルション塗料を実施例1と同様の方法で製造し、そ
れぞれのエマルション塗料の原料仕込量、製造結果を表
3に示した。
【0067】
【表3】
【0068】尚、表3における記号は次のことを意味し
ている。 (界面活性剤) a:ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(日本油脂
(株)製、商品名:ラピゾールA−80) b:ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル(日
本油脂(株)製、商品名:ニッサンノニオンHS−21
0)
【0069】また表3において、固形分は重量%を表
し、界面活性剤量はブロックまたはグラフト共重合体1
00重量%に対する界面活性剤の重量割合を表し、水含
有量はエマルション塗料の全溶媒中に占める水の重量割
合を意味している。また乳化性とはエマルション塗料製
造時における乳化性を目視で評価した結果を表し、製造
中において安定に乳化されるものを○、ブロックまたは
グラフト共重合体成分の析出がみられるものを×とし
た。また安定性とはエマルション塗料を1ヶ月間室温に
静置した後の塗料の分離状態を目視で判別した結果を表
し、全く分離の認められないものを○、分離が認められ
るものを×とした。
【0070】実施例6〜10及び比較例3 前記実施例1〜5及び比較例1で得られたエマルション
塗料を乾燥膜厚で5〜8μmとなるようにスプレー塗装
により各種基材に塗装を行い、60℃の温度で10分間
乾燥を行った後、それぞれの条件で加熱硬化を行った。
このようにして得られたそれぞれの塗膜について、以下
に示す評価方法により塗膜性能を評価した結果を表4に
示した。
【0071】
【表4】
【0072】尚、表4における略記号は次のことを意味
している。 (基材) Al:クロメート処理されたアルミニウム板 PC:透明ポリカーボネート樹脂板
【0073】また表4における塗膜性能試験条件と評価
方法は以下の通りである。 外観性:塗膜の外観状態を目視で評価し、異常のないも
のを○とした。 密着性:JIS K5400 8.5.2に規定される
碁盤目・セロテープ(登録商標)剥離法に準じて、塗膜
に1mm×1mmのマス目を100個作成し、その表面
にセロテープを密着させて瞬時にセロテープを剥離して
塗膜の密着度合いを目視で評価した。全く塗膜剥離が認
められないものを○、少しでも塗膜の剥離が認められた
ものを×とした。
【0074】耐水性:60℃温水に塗装板を24時間浸
漬し、室温にて1時間乾燥した後の外観を目視で評価し
た。初期塗膜の状態と全く同じで変化が認められないも
のを○、白化が認められるものを×とした。 対水接触角:塗膜表面に注射器にて水滴をのせ、水との
接触角をコンタクトアングルメーターDCAA型(協和
化学(株)製)にて測定を行った。
【0075】前述した参考例、実施例、比較例をまとめ
ると以下の通りとなる。表3に示したように、実施例1
〜5は本発明のエマルション塗料組成物であり、これら
に用いられているブロック又はグラフト共重合体におい
ては、親水性重合体部分が窒素原子含有ビニル系単量体
10〜100重量%を含む水溶性ビニル系単量体から形
成されており、さらに親水性重合体部分が架橋官能基を
有するビニル系単量体1〜30重量%を含む水溶性ビニ
ル系単量体から形成されており、エマルション塗料製造
時の良好な乳化性と得られたエマルション塗料の安定性
にも優れていた。またこれに加えて表4に示される実施
例6〜10においては優れた外観性、密着性、親水性、
耐水性を有する塗膜が得られた。
【0076】これに対して、界面活性剤を用いずに乳化
を行った比較例1においては塗料製造時の乳化性は問題
なかったものの、1ヶ月間静置した後にわずかに塗料の
分離が認められ、塗料の安定性に問題があった。また比
較例2(参考例5のように非水溶性有機溶剤を重合溶剤
として得られた共重合体溶液を用いた)に示されるよう
に界面活性剤水溶液に添加中に共重合体成分の析出を生
じて乳化不能となり、エマルション塗料を得ることがで
きなかった(表3中、安定性の欄に「−」と記載し
た。)。また比較例3は界面活性剤が用いられていない
ことから塗膜の親水性がやや劣っていた(対水接触角の
値が大きい)。
【0077】
【発明の効果】以上に記載したことから明らかなよう
に、本発明のエマルション塗料組成物によれば優れた塗
膜外観、密着性、耐水性及び親水性の得られる塗膜を形
成することができる。また本発明の製造方法によればエ
マルションとして安定な塗料を得ることができ、さらに
は塗装作業環境の問題を低減させ得る安全性の高いエマ
ルション塗料を提供することができる。したがってこの
発明によればプラスチック材料や金属材料表面での親水
性塗膜の形成に好適に使用され、さらに具体的には建築
外装材や各種構造物への耐汚染性塗料、透明プラスチッ
ク製品への防曇剤、防滴剤、エアコン製品等の熱交換器
に使用されるアルミフィン材への親水化剤等としてその
効果を十分に発揮することができる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水溶性ビニル系単量体から形成される親
    水性重合体部分と非水溶性ビニル系単量体から形成され
    る疎水性重合体部分とからなるブロック又はグラフト共
    重合体、界面活性剤、水、及び水溶性有機溶剤を含有す
    るエマルション塗料組成物。
  2. 【請求項2】 ブロック又はグラフト共重合体の親水性
    重合体部分が窒素原子含有ビニル系単量体を含む水溶性
    ビニル系単量体から形成されていることを特徴とする請
    求項1に記載のエマルション塗料組成物。
  3. 【請求項3】 ブロック又はグラフト共重合体の親水性
    重合体部分が架橋官能基を有するビニル系単量体を含む
    水溶性ビニル系単量体から形成されていることを特徴と
    する請求項1又は請求項2に記載のエマルション塗料組
    成物。
  4. 【請求項4】 水溶性有機溶剤中でポリメリックペルオ
    キシドと、親水性重合体部分を形成する水溶性ビニル系
    単量体もしくは疎水性重合体部分を形成する非水溶性ビ
    ニル系単量体のいずれか一方とからブロック共重合体前
    駆体を合成し、さらにそれにもう一方の重合体部分を形
    成する水溶性ビニル系単量体もしくは非水溶性ビニル系
    単量体を反応させてブロック共重合体を合成し、次にそ
    のブロック共重合体を含む溶液を界面活性剤水溶液に添
    加しながら乳化せしめることを特徴とするエマルション
    塗料の製造方法。
  5. 【請求項5】 水溶性有機溶剤中で過酸化結合を有する
    ビニル系単量体と、ラジカル重合開始剤と、親水性重合
    体部分を形成する水溶性ビニル系単量体もしくは疎水性
    重合体部分を形成する非水溶性ビニル系単量体のいずれ
    か一方とから過酸化結合を有するビニル系単量体の過酸
    化結合の分解が起こらない条件下でグラフト共重合体前
    駆体を合成し、さらにそれにもう一方の重合体部分を形
    成する水溶性ビニル系単量体もしくは非水溶性ビニル系
    単量体を加えて過酸化結合を有するビニル単量体の過酸
    化結合を分解させる条件下でグラフト共重合体を合成
    し、そのグラフト共重合体を含む溶液を界面活性剤水溶
    液に添加しながら乳化せしめることを特徴とするエマル
    ション塗料の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1〜3に記載のエマルション塗料
    組成物を被塗物に塗布し、加熱硬化して得られる塗装物
    品。
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