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JP2001506489A - 組換えタンパク質の製造方法 - Google Patents

組換えタンパク質の製造方法

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JP2001506489A
JP2001506489A JP52490498A JP52490498A JP2001506489A JP 2001506489 A JP2001506489 A JP 2001506489A JP 52490498 A JP52490498 A JP 52490498A JP 52490498 A JP52490498 A JP 52490498A JP 2001506489 A JP2001506489 A JP 2001506489A
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casein
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JP52490498A
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ムカージ,プラデイツプ
ハーズ,ロバート・ジヨージ
サーモンド,ジエニフアー・マリー
レオナルド,アマンダ・ユン−ヨング
Original Assignee
アボツト・ラボラトリーズ
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by アボツト・ラボラトリーズ filed Critical アボツト・ラボラトリーズ
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、組換えタンパク質、例えば組換えリン酸化ベータ−カゼインを生体内(in vivo)でプロセシング及び産生する方法に関する。本発明はまた、これらの方法によって産生されたタンパク質及びこれらのタンパク質の使用に関する。

Description

【発明の詳細な説明】 組換えタンパク質の製造方法 発明の背景 技術分野 本発明は、組換えタンパク質、例えば組換えリン酸化ヒトベータ−カゼインを in vivo(生体内)でプロセシング及び産生する方法に関する。本発明は また、これらの方法によって産生されたタンパク質、及び、これらのタンパク質 の使用に関する。背景情報 人乳がヒト乳児の最も優れた宋養源であることは普遍的に認識されている。人 乳は、発育期の乳児の理想的な栄養源であるだけでなく、種々の微生物による感 染から乳児を保護する免疫グロブリン及び非免疫性因子を含有している。人乳は また、消化し易く、牛乳を主成分とする乳児用調合乳に比べてアレルギー反応を 生じることが少ない。 人乳は牛乳及びその他の哺乳動物種の乳とは種々の面で違っている。特に、人 乳と牛乳とは総タンパク質含量が違っている。 また、牛乳は5種類のカゼイン(即ち、2つのアルファーカゼイン、1つのベー タ−カゼイン、1つのカッパーカゼイン及び1つのガンマ−カゼイン)を含有し ている。対照的に、人乳はベータ−カゼインとカッパ−カゼインとだけを含有し ている。 更に、人乳タンパク質のアミノ酸配列は他の哺乳動物の乳タンパク質のアミノ酸 配列とは違っている。 人乳の有利な特性のいくつかを有し、しかもアレルギー反応または乳児による 消化不良のような牛乳を主成分とする乳児用調合乳に伴う欠点が解消された乳児 用調合乳を開発する努力が続けられている。この目標に到達する望ましい方法は 、天然形態の人乳タンパク質のような人乳の数種の既知成分を乳児用調合乳に添 加することである。ヒトのカゼインは重要な物質の代表であり、天然形態で乳児 用調合乳に添加されると、調合乳の栄養価を高め、人乳に由来しない乳タンパク 質に固有の欠点を軽減する。人乳のカゼインはまた、カルシウムの吸収を増進し 、アンギオテンシンI変換酵素を阻害し、オピオイドアゴニストとして作用し、 免疫促進作用及び免疫調節作用を有すると考えられている。 人乳はまた、乳児の成長及び発育に必要なタンパク質の合成 に必要なアミノ酸源となり更に他の重要な生物機能を有するタンパク質、例えば カゼインなどのタンパク質を含有することが認識されている。例えば上記のベー タ−カゼインは、哺乳動物の乳腺で最も多量に合成される乳タンパク質である。 このタンパク質は、ゴルジ装置で翻訳後修飾された後、ミセルと呼ばれるカルシ ウム依存性の大凝塊として分泌される。ベータ−カゼインは単一の物質ではない 。むしろ、授乳中に乳腺刺激ホルモンに応答して分泌される不均一なリンタンパ ク質群である。 ヒトベータ−カゼインの一次構造はGreenbergらによって決定された (Journal of Biological Chemistry 259 :5132−38(1984))。 ヒトカゼインは大量の(>80%)ベータ形態と少量のカッパ形態とから成る。 天然型ベータ−カゼインは25kDaのタンパク質である。人乳中でベータ−カ ゼイン分子は、1つのポリペプチド鎖あたり0〜5個の範囲のリン酸基を含む種 々の程度の翻訳後リン酸化を示す(図1;Greenbergら,前出(198 4);Hanssonら,Protein Expression and P urification 4:373−81(1993))。天然型タンパク質 中のリン 酸基は、アミノ末端の近傍に局在するセリン残基及びトレオニン残基に結合する (Greenbergら,前出(1984))。ヒト及びウシのベータ−カゼイ ンは47%のアミノ酸配列一致を示す。 ベータ−カゼインの利点から考えて、前記に指摘したようにこのタンパク質を 乳児用調合乳または他の栄養調合乳に添加することは極めて有利である。従って 、このタンパク質及び特にべータ−カゼインを組換えによって作製し発現させる 方法を考案する必要がある。しかしながら、細菌系中でタンパク質を発現させた 場合には、N末端がメチオニン残基によって伸長されたタンパク質が得られる。 細菌の成熟サイトゾルタンパク質の有意な画分中では、N末端メチオニンは、 隣接のアミノ酸残基の種類に依存する特異性をもつメチオニンアミノペプチダー ゼによって開裂されている(Ben−Bassatら,Journal of Bacteriology 169:751−57(1987))。大腸菌中で 組換えヒトベータ−カゼインを産生する場合、余分なN末端メチオニンはこのペ プチダーゼによって隣接アルギニン残基から開裂されない(Hanssonら,前出 (1993))。 メチオニンは精製中にスルホニルメチオニンに酸化され、このイベントはタンパ ク質の免疫原性/アレルゲン性を増強するので、この末端メチオニンの除去が望 ましい。 所望のN末端残基をもつ組換えタンパク質を産生させる1つの方法では、N末 端でシグナルペプチドに融合したタンパク質を発現させる。この方法では、シグ ナルペプチドを外的に開裂し、処理した天然型タンパク質をグラム陰性細菌の細 胞周辺腔またはグラム陽性細菌のサイトゾルに蓄積させる。タンパク質は酵母、 真菌類または哺乳類細胞のサイトゾルに分泌及び/または蓄積され得る。しかし ながら、シグナルペプチドを開裂するペプチダーゼの特異性次第で、N末端が不 均一になる(Lingappaら,Proceeding of the Na tional Academy of Science USA ,74:243 2−36(1977);Hirtzmanら,Science 219:620 −25(1983))。 また、シグナルペプチドが開裂されない残留サイトゾルタンパク質も有意量で存 在し得る。 組換えタンパク質からN末端メチオニンを除去する別の方法では、精製した組 換えタンパク質をin vitroプロセシ ングするために精製アミノペプチダーゼ(例えば、メチオニンアミノペプチダー ゼ、アミノペプチダーゼM、ジペプチジルアミノペプチダーゼ)を使用する(B en−Bassat,Purification and Analysis of Recombinant Proteins ,R.Seetharam & S.K.Sharma編,pp.148−59,Marcel Dekke r Inc.,N.Y.(1991))。しかしながら、この方法は多段階精製を 必要とし、経済性がよくないので大規模生産に向かない。 また、N末端がプロリンで始まるタンパク質の産生方法はドイツ特許出願P3 8 11 921.8に記載されている。この方法は、アミノペプチダーゼ−P による酵素開裂を含む。更に、オーストラリア特許出願AU−A−37170/ 89に記載されているように、所望のタンパク質を遊離するためにプロリンイミ ノペプチダーゼも使用されている。これらの方法はいずれも本発明に記載の方法 とは全く違っている。実際、本発明は、これらの2つの方法、上述の方法並びに 従来使用されていた同様のすべての方法の多くの欠点を解消する。発明の概要 本発明は組換えタンパク質のin vivo産生方法を提供する。方法は、( a)(i)タンパク質をコードする核酸配列と、(ii)ペプチダーゼをコード する核酸配列とを含み、タンパク質がその天然形態には存在しない少なくとも1 つのN末端アミノ酸を含み、タンパク質をコードする核酸配列がプロモーターに 作動的に連結されているようなベクターを作製する段階と、(b)組換えタンパ ク質を発現させるために十分な時間及び条件でベクターを宿主細胞に導入する段 階とから成り、宿主細胞が、タンパク質の1つまたは複数のN末端アミノ酸を開 裂する内因性ペプチダーゼをコードしていることを特徴とする。 上記の方法において、段階(a)の核酸配列によってコードされているペプチ ダーゼは例えばイミノペプチダーゼまたはアミノペプチダーゼである。イミノペ プチダーゼはpepIと呼ばれる遺伝子によってコードされ、アミノペプチダー ゼはpepXPと呼ばれる遺伝子によってコードされ得る。内因性ペプチダーゼ は例えばメチオニンアミノペプチダーゼである。産生される組換えタンパク質は 例えば、乳タンパク質、インスリンまたは成長促進因子である。本発明の方法を 使用して産生 され得るこのような乳タンパク質の一例は、組換えリン酸化ヒトベータ−カゼイ ンである。本発明の方法で使用される宿主細胞は例えば真核細胞でもよくまたは 原核細胞でもよい。本発明の方法で使用され得る原核細胞の一例は大腸菌である 。N末端アミノ酸は例えばメチオニンまたはプロリンであろう。 本発明はまた、例えば組換えリン酸化ヒトベータ−カゼインのような本発明の 方法に従って産生される組換えタンパク質を提供する。 更に、本発明は、(a)タンパク質をコードする核酸配列と、(b)ペプチダ ーゼをコードする核酸配列とを含み、タンパク質がその天然形態には存在しない 少なくとも1つのN末端アミノ酸を含み、タンパク質をコードする核酸配列がプ ロモーターに作動的に連結されているベクターを提供する。”少なくとも1つの N末端アミノ酸”は例えばメチオニンまたはプロリンであろう。ベクターは例え ばプラスミド、バクテリオファージまたはコスミドでよい。 更に、本発明はまた、(a)タンパク質をコードする核酸配列と、(b)ペプ チダーゼをコードする核酸配列とを含み、タンパク質がその天然形態には存在し ない少なくとも1つのN末 端アミノ酸を含み、タンパク質をコードする核酸配列がプロモーターに作動的に 連結されているベクターによって形質転換された宿主細胞であって、内因性ペプ チダーゼをコードしている宿主細胞を提供する。核酸配列によってコードされて いるペプチダーゼは例えばイミノペプチダーゼまたはアミノペプチダーゼである 。イミノペプチダーゼはpepI遺伝子によってコードされ、アミノペプチダー ゼはpepXP遺伝子によってコードされ得る。内因性ペプチダーゼは例えばメ チオニンアミノペプチダーゼでよい。宿主細胞は例えば真核細胞でもよくまたは 原核細胞でもよい。前述のように、大腸菌は本発明で使用され得る原核細胞の一 例である。少なくとも1つのN末端アミノ酸は例えばメチオニンまたはプロリン であろう。 更に、本発明はまた、本発明の方法を使用して産生される組換えタンパク質を 含有する乳児用調合乳または医療用栄養物を提供する。 本文中で引用された米国特許及び刊行物はいずれもその記載内容全体が参照に よって本発明に含まれるものとする。図面の簡単な説明 図1は、人乳から検出されるベータ−カゼインの最初の10 個のアミノ酸を表し、リン酸化残基は太字体で示す。 図2は、本発明の方法またはプロセスを示す。ヒトベータ−カゼインをHBで表 し、ヒトカゼインキナーゼ11をCKIIβαで表す。 図3は、組換えヒトベータ−カゼインをコードする遺伝子にプロリンコドンが 付加されたベクターpRAB−28の説明図である。 図4は、組換えヒトベータ−カゼイン中のMet−Pro−Arg−Clu. ..のコーディング配列がヒトカゼインキナーゼII(CKIIβα)遺伝子に 結合されたベクターpRAB−30の説明図である。 図5は、組換えヒトベータ−カゼインをコードする遺伝子のメチオニンの直後 の第二及び第三のアミノ酸として2つのプロリンコドンが付加されたベクターp RAB−48の説明図である。 図6は、pepI遺伝子のクローニングを示す。 図7は、pepI遺伝子に対するPracプロモーターの付加を示す。 図8は、ベクターpRAB−48とpRJB−22との要素 の組合せによって得られる2つの追加プロリンをもつヒトベータ−カゼイン遺伝 子とpepXP遺伝子とを含む発現ベクターpRAB−49の作製を示す。 図9は、pepXP遺伝子に連結されたPtacプロモーターを含むベクター pRAB−50を示す。pRAB−51は2つの追加プロリンをもつヒトベータ −カゼイン配列を含み、pRJB−26はpepXP遺伝子に連結されたPta cを含む。 図10は、組換えベータ−カゼインの産生レベルを、ヒトベータ−カゼイン抗 体によって展開したウェスタンブロットによって示す。Nは人乳から単離した天 然型ヒトベータ−カゼインを表す。Rは精製された非リン酸化組換えヒトベータ −カゼインを表す。番号は使用したプラスミドを表し、33は(pRJB−33 )、36は(pRJB−36)である。各レーンに等容量の溶菌液を充填した。 図11は、2つの追加プロリンコドンを含む組換えヒトベータ−カゼインの産 生を、ヒトベータ−カゼイン抗体によって展開したウェスタンブロットによって 示す。Nは人乳から単離した天然型ヒトベータ−カゼインを表す。Rは精製され た非リン 酸化組換えヒトベータ−カゼインを表す。番号は使用したプラスミドを表し、2 6/51は(pRJB−26/pRAB51)、50は(pRAB−50)であ る。総細胞タンパク質が少なかったのでpRAB−50にはほぼ2倍の量の溶菌 液を使用した。 図12は、イオン交換クロマトグラフィーによるpRJB−36及びpRJB −33に由来の組換えリン酸化ベータ−カゼインのリン酸化形態の分離を示す。 リン酸化レベルは人乳のベータ−カゼインのリン酸化形態のピークで表される。 図13は、構築物pRJB−26/pRAB−51の同時発現によって産生さ れた組換えヒトベータ−カゼインの種々のリン酸化形態を示す。乳中に検出され るベータ−カゼインの6つの異なるリン酸化形態と同じ保持時間をもつピークが 組換えベータ−カゼイン調製物にも存在する。 図14は、pRJB−36に由来の組換えヒトベータ−カゼイン(上段パネル )、及び、二リン酸化天然型ベータ−カゼイン(下段パネル)のエレクトロスプ レーイオン化(ESI)を表し、タンパク質のN末端が適正にプロセシングされ たことが確認される。 図15は、pRAB−30/pRAB−27の同時発現から 単離された二リン酸化組換えヒトベータ−カゼインのESIを表し、タンパク質 のN末端でメチオニンをプロリンから開裂した内因性大腸菌メチオニンアミノペ プチダーゼの活性が確認される。発明の詳細な説明 前述のように、本発明は、宿主細胞中で組換えタンパク質を産生させる方法、 該方法によって得られたタンパク質及びこれらのタンパク質の使用に関する。よ り特定的には本発明は、ヒトベータ−カゼインのような組換えヒトタンパク質を 原核細胞中で産生させる方法であって、得られたタンパタ質が天然型タンパク質 中で検出されるアミノ酸配列に等しいアミノ酸配列をもつことを特徴とする方法 に関する。 本発明は特に、タンパク質、例えば組換えリン酸化ヒトベータ−カゼインタン パク質のin vivoプロセシング及び産生に関する。これは、目的タンパク 質をコードする核酸配列と例えばペプチダーゼのような異種酵素をコードする核 酸配列とを含むベクターを作製することによって達成される。タンパク質は、タ ンパク質の天然形態には存在しない少なくとも1つのN末端アミノ酸を含む。更 に、双方の配列を調節するために少 なくとも1つのプロモーターが使用される。次にベクターを宿主細胞に導入する 。ベクター中に存在するペプチダーゼに加えて、宿主細胞によってコードされた 酵素、例えばメチオニンアミノペプチダーゼ(MAP)の開裂活性を使用して、 タンパク質のN末端配列をプロセシングする。本発明方法によって産生されるベ ータ−カゼインタンパク質は、人乳で検出されるベータ−カゼインタンパク質と 同一であり、例えば乳児用調合乳に添加できる。 本発明方法に使用される諸要素の特性を以下に概説し、より詳細に後述する。タンパク質 : タンパク質をコードする核酸配列に3個またはそれ以上のヌクレオチドが付加 されるように、特定のタンパク質をコードする遺伝子配列を操作する。これらの 3個またはそれ以上のヌクレオチドは1つまたは複数の特定アミノ酸をコードす る。翻訳後、異種タンパク質は1つまたは複数の付加アミノ酸を含むように改変 されたN末端を有している。これらのアミノ酸は宿主細胞によってコードされて いる1つまたは複数のペプチダーゼの(1つまたは複数の)開裂部位に対応する 。ベクター(構築物) : 宿主細胞の形質転換に使用されるベクターは、異種タンパク質をコードする遺 伝子配列と異種ペプチダーゼをコードする遺伝子配列とを含む。異種ペプチダー ゼは、宿主細胞のペプチダーゼによる開裂後に、翻訳されたタンパク質の1つま たは複数のアミノ酸を開裂する。宿主細胞 : 内部でタンパク質の発現が生じまた内部にベクターが挿入される宿主細胞は、 翻訳されたタンパク質が宿主細胞自体の内部で酵素的に修飾されるような内因性 酵素活性を有している。宿主細胞は原核性であっても真核性であってもよい。方法 : 上述のように、上記の諸成分が本発明の方法で使用される。方法は、以下の基 本段階、即ち、(1)N末端に追加のアミノ酸を有しているタンパタ質をコード する核酸配列とペプチダーゼをコードする核酸配列とを構築物またはベクターに 導入する段階、(2)内因性ペプチダーゼ活性を有している宿主細胞に構築物ま たはベクターを挿入する段階、(3)増殖中及びその後のタンパク質発現の誘発 中に、改変されたN末端を有する異 種タンパク質を産生させる段階、(4)宿主の内因性ペプチダーゼが例えば異種 タンパク質のN末端の第一アミノ酸を開裂して異種ペプチダーゼのアミノ酸認識 部位を作製する段階、及び、(5)次いでN末端の第二または直後のアミノ酸を 異種ペプチダーゼによって開裂し、これによって天然型ヒトタンパク質と同一の アミノ酸配列をもつ組換えヒトタンパク質を産生する段階、から成る。 本発明の方法及び該方法を構成する個々の段階を以下に詳細に説明する。タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む構築物(ベクター)の作製 先ず、目的タンパク質をコードするヌクレオチド配列を同定し単離する。適当 なタンパク質は、例えば以下の特性、即ち、(1)タンパク質が原核性または真 核性の起原である、(2)N末端アミノ酸がメチオニンでない、(3)天然型タ ンパク質は、細胞質の内因性プロテアーゼによって後で除去されるペプチド配列 をN末端に伴って合成される、(4)天然型タンパク質は、分泌前に細胞性プロ テアーゼによって除去されるシグナルペプチド配列を伴って合成された分泌タン パク質である、な どの特性を有している任意のタンパク質でよい。 次に、タンパク質をコードするヌクレオチド配列にヌクレオチド(3個または それ以上)を標準遺伝子操作技術(Sambrookら,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd edit ion.Cold Spring Harbor Press.New Yor k,1989)によって付加する。これらのヌクレオチドは異種酵素の活性によ って開裂され得る1つまたは複数のアミノ酸を(タンパク質のアミノ末端または N末端に)有しており、このアミノ酸のヌクレオチド配列は、修飾されたタンパ タ質のヌクレオチド配列と共に構築物(例えば、プラスミド、バクテリオファー ジまたはコスミド)中に配置される。また、これらのアミノ酸の1つが、宿主細 胞によってコードされている内因性酵素によって開裂されてもよい。 これらのヌクレオチド、従って最終的にはタンパク質をコードする遺伝子配列 に付加されるアミノ酸は例えば、メチオニン、プロリン、アラニン及びグリシン のいずれか1つ以上である。本発明の目的のためには付加アミノ酸がメチオニン 及び/またはプロリンであるのが好ましい。 所望のタンパク質のN末端に付加すべきアミノ酸の選択は、構築物に挿入され た配列によってコードされている酵素の開裂特性及び宿主細胞が有している内因 性酵素の開裂特性に依存する。内因性酵素(例えばメチオニンアミノペプチダー ゼ(MAP))の開裂特異性、例えば第二アミノ酸の開裂に特異的なプロテアー ゼの可用性、プロテアーゼ遺伝子のクローニング適性、などを考慮する必要があ る。後述するように、例えばMAPがMet−XからMetを開裂するという条 件で配列Met−X−ProをpepXP遺伝子と共に使用し得る。 修飾されたタンパク質をコードするヌクレオチド配列を構築物に挿入し、プロ モーターに作動的に連結させた後、特定の異種酵素をコードするヌクレオチド配 列を構築物に挿入する。適当な異種酵素は例えばペプチダーゼであり、好ましく はイミノペプチダーゼ及びアミノペプチダーゼである。より好ましくは、L.d elbrueckiiに由来のイミノペプチダーゼまたはL.lactisに由 来のアミノペプチダーゼを使用する。本文中では、前者をコードする遺伝子をp epIと呼び、後者をコードする遺伝子をpepXPと呼ぶ。イミノペプチダー ゼの使用は、N末端配列:NH2−Met−Pro...を有す るタンパク質に限定されているが、アミノペプチダーゼはN末端配列:NH2− Met−X−Proを有するタンパク質に使用され得る。Met−Xタンパク質 については、他のアミノペプチダーゼを使用してもよい。勿論、イミノペプチダ ーゼ及びアミノペプチダーゼと同様に作用する(即ち同じ開裂特異性をもつ)他 の酵素も本発明の目的に使用し得る。 適当なプロモーターは、修飾された目的タンパク質をコードする遺伝子と所望 の異種酵素をコードする遺伝子とを認識する能力を有している少なくとも1つの プロモーターを意味する。当業者はこのようなプロモーターを容易に判断し得る 。本発明に使用できるプロモーターの非限定例は、λPL、Ptac、T7、S P6及びT3である。T7及び/またはPtacを使用するのが好ましい。 更に、目的の組換えタンパク質を産生させるために宿主細胞に1つまたは複数 の構築物を添加し得る。構築物を1つだけ使用するのが好ましい。2つの構築物 を使用する場合、宿主細胞内に構築物を維持するために2つの抗体が必要であり 、このため大規模発酵のコストが高くなる。この点に関してはより詳細に後述す る。 更に、本発明の方法を使用して実質的にいかなる組換えタンパク質の作製も可 能であることに注目されたい。上記では組換えヒトベータ−カゼインに関して説 明した。しかしながら、本発明の方法を使用して産生できる他の組換えタンパク 質として例えばインスリン、成長因子及び人乳タンパク質がある。宿主細胞 構築物を作製した後、構築物を適当な宿主細胞に当業界で公知の技術によって 導入する(例えば、Sambookら,前出(1989)参照)。適当な宿主細 胞は好ましくは、例えばメチオニンをタンパク質から高い効率で除去し、且つ、 例えばカナマイシンまたはトリプトファンのような選択可能マーカーを含む。本 発明の方法に使用できる宿主細胞の例としては、大腸菌(Escherichi a)種、乳酸桿菌(Lactobacillus)種及び桿菌(Bacillus )種のような原核細胞、酵母菌(Saccharomyces)種、ハンゼヌラ( Hansenula)種及び哺乳類細胞のような真核細胞がある。使用され得る 哺乳類細胞の代表例はチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である。好ま しくは大腸菌細胞を使用する。 上述のように、宿主細胞は、目的タンパク質が最終的に得ら れるように、修飾されたタンパク質の1つまたは複数の付加アミノ酸を開裂する 能力をもつペプチダーゼをコードしていなければならない。大腸菌を使用する場 合、すべての細胞がメチオニンアミノペプチダーゼ(MAP)活性を有していな ければならない。他の原核細胞及び真核細胞はMAP+であると報告されている 。しかしながら、合成基質を使用し当業界で公知の技術の1つ(Ben−Bas satら,前出(1987))によって、すべての細胞溶解液についてそのMA P活性の有無を試験し得る。更に、特定のアミノ酸配列の開裂に特異的な1つま たは複数の内因性ペプチダーゼをコードする他の宿主細胞も使用し得る。 宿主細胞が所望のタンパク質、例えば組換えベータ−カゼインを発現させた後 、タンパク質を精製し、所望の製品に添加する。例えば、上記のように、本発明 の方法によって産生させた組換えベータ−カゼインを乳児用調合乳または医療用 栄養物に添加し得る。組換えによって産生されたタンパク質が天然型タンパク質 中で検出されるアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を有しているので、牛乳中で 検出されるタンパク質を主成分とする調合乳または製品のアレルギー反応の発生 率に比べてアレル ギー反応の発生率が少ない。従って、例えば新生児に授乳することを選ばない女 性でも、本発明の方法によって産生された1つまたは複数の組換えタンパク質を 含有する調合乳を乳児に与えることによってアレルギー応答の危険を増すことな く母乳と同じ効果を得ることが可能である(米国特許第5,506,209号及 び第5,538,952号参照)。 本発明方法によって更に他の多くの利点が得られる。例えば、本発明方法を使 用して任意の組換えタンパク質をコードするDNA配列を変更し、N末端に(1 つまたは複数の)追加のアミノ酸のコドンを組込ませ、”新しい”または修飾さ れたタンパク質が同じ構築物に組込まれたペプチダーゼによって開裂されるよう にしてもよい。これによって、所望のN末端をもつタンパク質が一回だけの発酵 によって一段階で産生され得る。 本発明方法はまた、所望のN末端をもつ目的の組換えタンパク質の大規模商業 生産を可能にする。このような大規模生産はしばしば、コストを削減し最大効率 を与えるという利点を有している。 更に、上述のように、必要な発酵は一回だけである。従って、所望のタンパク 質を産生するために、発酵後段階のin vitro 酵素処理のような修飾は全く不要である。 更に、構築物またはベクターを1つだけ使用するので、発酵中にベクターを宿 主内に維持するためには1つの抗生物質をコードする1つの遺伝子だけが必要で ある。このように、1種類だけの抗生物質を使用するので、大規模発酵のコスト が有意に削減される。これは、2つのプラスミドを使用する従来方法に比べて改 良されている。より詳細には、例えば大腸菌のような宿主内に2つのプラスミド を維持するためには、抗生物質耐性のような選択圧力を使用しなければならない 。従って、発酵に2つの抗生物質が必要であり、これは本発明の方法に比べてコ スト高になる。 以下の非限定実施例によって本発明を更に詳細に説明する。実施例I 大腸菌中の異種タンパク質のN末端操作 構築物pRJB−9に由来の組換えヒトベータ−カゼインは、N末端にアルギ ニンを含む人乳ベータ−カゼインに比べて遺伝子のN末端に追加のメチオニンを 含む。母乳中で検出されるタンパク質と同一の組換えタンパク質を作製するため に、メチオニンをプロセシングしなければならない。タンパク質のメチオ ニンの直後に(即ち、メチオニンとアルギニンとの間に)アミノ酸プロリンを付 加すると、大胞菌のメチオニンアミノペプチダーゼがメチオニンをプロリンから 開裂するであろう。L.delbrueckiiのpepIに由来のイミノペプ チダーゼはN末端のプロリンの直後を開裂する(図2)。従って、コードされて いるタンパク質中の第二のアミノ酸として追加のプロリンコドンを付加するため に、合成リンカーRO77/78: 5’--TATGCCGCGTGAAACCATCGAATCCCTGAGCT--3’ 3’--ACGGCGCACTTTGGTAGCTTAGGGAC--5’ (注:下線を付したコドンがプロリン配列)を使用して中間構築物pRAB−2 8(図3)を作製した。リンカーをキナーゼで処理し、次いでpS637のNd eI/SacI部位にクローニングした。プロリンコドンの存在を確認するため にABI373A全自動DNAシークエンサー(Applied Biosys tems Inc.,Foster city,CA)を用いて新しいクローン を配列決定した。 構築物pRJB−9のBglIIフラグメントを、pRAB−28の付加プロ リンコドンを含むBglIIフラグメントで置換した。アンピシリン耐性遺伝子 、CKIIβα遺伝子とコ ーディング配列Met−Pro−Arg−Glu...をもつヒトベータ−カゼ イン遺伝子とを含む新しい構築物をpRAB−30と命名した(図4)。 上記戦略に加えて、適正にプロセシングされたベータ−カゼインを産生するた めの第二の戦略は、N末端配列として5’Met−Pro−Pro−Arg−G lu...をもつタンパク質をコードする修飾されたヒトベータ−カゼイン遺伝 子配列を合成することであった。大腸菌の内因性メチオニンアミノペプチダーゼ がMetの直後を開裂したとき、Pro−Pro−Arg−Glu...配列は アミノペプチダーゼpepXPによって第二プロリンの直後で開裂され、アルギ ニンが第一アミノ酸として残存した(図2)。 合成リンカーR0113/114: 5’--TATGCCGCCGCGTGAAACCATCGAATCCCTGAGCT--3’ 3’--ACGGCGGCGCACTTTGGTAGCTTAGGGAC--5’ (注:下線を付した部分がプロリン配列)をpS637のNdeI/SacI部 位にクローニングすることによって中間構築物pRAB−48を作製した。この 場合にも、第二のプロリンの存在を確認するために新しい構築物を配列決定した (図5)。 pRAB−30中のマーカー遺伝子をアンピシリン耐性からカナマイシン耐性 に変更した。カナマイシン耐性をコードするEcoRI Genblock(P harmacia,Piscataway,N.J.)のEcoRIをクレノウ 酵素(Strategene,La Jolla,CA)で埋め戻し、平滑末端 を形成した。pRAB−30をPvuIで切断し、T4 DNAポリメラーゼで 処理して平滑末端を形成し、平滑末端化したカナマイシンGenblockに結 合させた。得られたクローンをpRJB−18と命名した(図6参照)。実施例11 プロリンイミノペプチダーゼ遺伝子(pepI)及びアミノペプチダーゼ遺伝子 (pepXP)の単離及びクローニング Lactobacillus種に由来のプロリンイミノペプチダーゼの遺伝子 配列は既に公表されている(Kleinら,Microbiology 140 :1133−39(1994))。Lactobacillus delbru eckii亜種lactis ATCC4797を、Lactobacillu s MRSブイヨン(Difco,Detroit,Michigan)中、3 7℃で、A660の光学密度(0.D.)が0.5〜0.6に なるまで増殖させた。50mlのL.delbrueckiiに由来の染色体D NAをLeenhoutsらによって記載された方法(Appl.and En vir.Micro .55:394−400(1989))によって抽出した。 分光光度法(Sambrookら,Molecular Cloning:A Laboratory Manual ,2nd edition.Cold S pring Harbor Press.New York,1989)を用い てDNAを定量した。遺伝子フラグメントを増幅させるためにポリメラーゼ連鎖 反応(PCR)の最適反応条件を、種々の量のDNAを用いて決定した。2つの プライマーのセット、即ち、遺伝子の5’端にEcoRIを導入したRO117 (5’−−TCAGAGGAATTCAAGATGCAAATCACAGAAA AATA−−3’)と、pepI遺伝子の3’端にSalI部位を組込んだRO 118(5’−−GTGTCCGTCGACCTAGTCCTGGCTGATT AACCAGT−−3’)を使用した。標準反応(Ausubelら,Shor t Protocols in Molecular Biology ,2nd edition.Greene Publ.Assocs.and John Wiley & Sons.New York,1992)中のDNAの再生精 度を確保するために、PCR反応にはU1TmaDNAポリメラーゼ(Perk in Elmer,Foster City,CA)を使用した。95℃で5分 間の初期融解段階、次いで94℃で30秒、55℃で2分及び72℃で2分のサ イクルを25回繰返す反応条件を用いた。最適反応を大規模で繰返し、QiaQ uickゲル精製キット(Qiagen,Chatsworth,CA)を用い てアガロースゲルから900塩基のpepI遺伝子フラグメントを精製した。E coRI/SalIで切断しベクターpET−24a(+)に結合したT7プロ モーターのコントロール下のPCRフラグメント(pepI)をpRJB−31 と命名した。 pepI遺伝子フラグメントをその中間ベクターpRJB−31からEcoR I及びSalI DNAフラグメントとして切出し、アガロースゲル電気泳動に よって分離し、フラグメントをQiaQuick Gel精製キット(Quia gen)によって精製した。フラグメントの末端をT4 DNAポリメラーゼ( Boehringer,Mannheim,Indianapolis,IN) で処理して平滑末端を形成 した。pRJB−18をScaIで切断し、ホスファターゼ(Boehring er,Mannheim,Indianapolis,IN)で処理し、Blu nt Ligation簡易キット(5’→3’、Boulder,CO)を平 滑pepIフラグメントと共に使用することによって最終発現クローンを作製し た。得られたクローンをpRJB−33と命名した(図6参照)。 細胞中で産生されるプロリンアミノペプチダーゼの量を増加させるために、大 陽菌プロモーターを使用すべきであると判断した。PtacプロモーターをpK K223−3(Pharmacia)からBamHTフラグメントとして単離し 、末端をT4 DNAポリメラーゼによって処理して平滑末端を形成した。中間 クローンpRAB−52は、pRJB−31(pepI)をEcoRIで切断し 、T4 DNAポリメラーゼで処理して平滑末端を形成し、これを平滑末端をも つPtacフラグメントに結合させることによって作製した(図7参照)。pR AB−52からPtac/pepIをBamHI/SalIフラグメントとして 単離し、T4 DNAポリメラーゼで処理して平滑末端を形成し、pRJB−1 8のScaIに結合させてpRJB−36 を作製した(図7参照)。 pepXP遺伝子を単離するために、Lactococcus lactis 亜種lactis ATCC7962の培養物を、ラクトースを補充したM−1 7(Difco)培地に30℃でA660の光学密度が0.6に達するまで接種 した。Leenhoutsら(Appl.and Envir.Micro.5 5:394−400(1989))に記載されている染色体DNA単離のために 約50mlの培養物を使用した。DNA濃度を分光光度法(Sambrookら ,Molecular Cloning:A Laboratory Manu al ,2nd edition.Cold Spring Harbor Pr ess.New York,1989)によって測定した。遺伝子フラグメント を増幅するためのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(Ausubelら,前出( 1992))の最適反応条件を種々の量のDNAを用いて決定した。標準反応中 のDNA配列の再生精度を確保するためにU1TmaDNAポリメラーゼ(Pe rkin Elmer)を使用した。先ず95℃で5分間の融解段階、次いで7 2℃で3分、95℃で1分、47℃で2分のサイクルを25回繰返す反応条件を 使用した。pepXP単離に使用した プライマーは、遺伝子の5’端にBamHI部位を含むRO37: 5’−−AAAGTAGGATCCTGTTTATTACGGAGGATTTA A−AATGCG−−3’、及び、遺伝子の3’端にSalI部位を組込んだR O35: 5’−−GTCGCGGTCGACTTAATTTTTCACACTTTCAA TAGGAAT−−3’であった。2,400塩基の推定pepXPフラグメン ト(Mayoら,Applied and Environmental Mi crobiology 57:38−44(1991))をアガロースゲルから 精製した。BamHI及びSalIで切断したPCRフラグメントを中間ベクタ ーpUC18に結合し、得られた構築物をpRJB−14と命名した。pepX PをpRJB−14からBamHI/SalIフラグメントとして切出し、pE T−24a(+)ベクターにクローニングした。この新しい構築物をpRAB− 27と命名した。中間発現構築物pRJB−22を作製するために、平滑末端を 形成するように処理したpepXP SmaI/SalIフラグメントを、pR JB−18のScaI部位にクローニングした(図8)。発現構築物pRAB− 49(図8)を、BglIIで切断す ることによってpRJB−22から作製し、ヒトベータ−カゼカゼイン遺伝子を 含むフラグメントをpRAB−48に由来のBglIIフラグメントによって置 換した。 pepXPの産生を最適化するために、追加のプロモーターPtacを使用し た。pKK223−3(Pharmacia)から単離したPtac BamH IフラグメントをpRJB−14のBamHI部位にクローニングしてpRJB −26を作製した。pRJB−26に由来のPtac/pepXPSstI/S alI平滑末端フラグメントをプラスミドpRJB−18のScaI部位に配置 することによってpRJB−28を作製した。構築物pRAB−50(図9)を 作製するために、pRJB−28をBglIIで切断し、得られたフラグメント を、2つの追加プロリンを含むpRAB−48に由来のBglIIフラグメント によって置換した。pRAB−51と命名した追加の構築物(図9)は、pRJ B−18のベータ−カゼイン遺伝子からBglIIフラグメントを除去し、pR AB−46に由来のBglIIフラグメントで置換することによって作製した。 pRAB−51(追加の2つのプロリンをもつカナマイシン耐性のヒトベータ− カゼイン遺伝子)をpRJB−26(ア ンピシリン耐性、Ptacプロモーターのコントロール下に発現されるpepX Pを有している)と共に2プラスミド系として使用して大腸菌株HMS174( DE3)を同時形質転換した。実施例III 大腸菌K−12株中のベータ−カゼインの発現 構築物pRAB−30、pRJB−33及びpRJB−36を用いて大胞菌K −12宿主HMS174(DE3)(Novagen,Madison,WI)を 形質転換した。プラスミドを含む大腸菌宿主を30℃でA600のO.D.が0 .5〜0.9になるまで増殖させた。組換えタンパク質の産生を誘発するために 、ラクトースを最終濃度1.7%(w/v)まで添加し、増殖を16〜20時間 継続した。1mlのアリコートを微量遠心管で11,000×gで遠心して細菌 をペレット化し、上清を傾瀉し、ペレットを200μlまたは1mlの1×SD S−PAGEサンプルバッファ(Laemmli,Nature 227:68 0−685(1970))に再懸濁させた。 10〜20%のSDS−ポリアクリルアミドプレキャストゲル上の不連続系( Integrated Separations System,Natick,MA)中で細胞溶解液をゲル電気泳動によって分 離した。 pRJB−33及びpRJB−36からの組換えベータ−カゼインの産生レベ ル(図10のレーン2及び3)は等しいと考えられる。ベータ−カゼインに対す る抗体を用いて展開させたウェスタンブロット(図10)は、人乳から単離した 天然型ヒトベータ−カゼイン(レーン1参照)及び組換え非リン酸化ベータ−カ ゼイン(レーン4参照)に酷似した分子量をもつ強力なバンドを示した。 ベータ−カゼイン配列のN末端に2つのプロリンコドンを付加した発現系の適 性を、大腸菌中の単一プラスミド系及び2プラスミド系の発現を比較することに よって試験した。構築物pRJB−26(pepXP)及びpRAB−51(ヒ トベータ−カゼインとCKIIβα)を同時に用いてHMS174(DE3)を 同時形質転換させた。また、t7プロモーターのコントロール下のヒトベータ− カゼイン遺伝子及びCKIIβα遺伝子と、Ptacプロモーターのコントロー ル下のpepXPとを含む単一プラスミド系である構築物pRAB−50でHM S174(DE3)を形質転換した。2つの構築物pRJB−16 /pRAB−51の誘発培養物に由来の大脳菌溶解液を単一構築物pRAB−5 0の溶菌液に比較した。天然型ヒトベータ−カゼインに対する抗体を用いてこれ らの溶菌液をウェスタンブロット分析(図11)すると、pRJB−26/pR AB−51の溶菌液に比較してpRAB−50の溶菌液のベータ−カゼインが劇 的に少ないことが判明した(レーン2及び3)。実施例IV 組換えベータ−カゼインのリン酸化形態の単離及びキャラクタリゼーション 7,000×gで4℃で10分間遠心することによって採集した細胞をドライ アイス/エタノールで凍結させ、3回解凍して組換えタンパク質を遊離させた( Johnsonら,Bio/Technology 12:1357−1360 (1994))。 この方法は、組換えヒトベータ−カゼインの比較的純粋なサンプルを遊離すると 考えられた。0.45μの膜で濾過した後、上清をアニオン交換Mono Qカ ラム(Pharmacia)に充填した。組換えヒトベータ−カゼインの種々の リン酸化形態の分析は、20mMのエタノールアミン(pH9.5)、6Mの尿 素中のNaClの0から0.5Mまでの直線勾配を50分 間用いることによって行った(Hanssonら,Proc.Exp.and Purif .4:373−381(1993))。リン酸化形態を、精製した天 然型人乳ベータ−カゼインに比較した夫々の溶出時間によって同定した。推定リ ン酸化形態の画分中の組換えベータ−カゼインの存在を、12.5%のSDS− PAGE Phastゲル(Pharmacia)で分離し、クーマシーブルー で染色することによって確認した。リン酸化形態の確認後、適切な画分を水に透 析し、乾燥し、N末端配列を解析した。 pRJB−33及びpRJB−36に由来の組換えリン酸化ベータ−カゼイン のリン酸化形態のキャラクタリゼーションを行うために、上述のように調製した 溶菌液をアニオン交換カラムで分析した。組換えヒトベータ−カゼインについて は、五リン酸化形態を除く全部で6つのリン酸化形態が検出された。リン酸化レ ベルは図12の人乳ベータ−カゼインのリン酸化形態のクロマトグラムのピーク で示される(2つのリン酸化0のピークが存在することに注目されたい)。非リ ン酸化ベータ−カゼインの2つのアイソフォームが存在すると考えられる。これ はHanssonら、前出(1993)によっても観察されて いた。 天然型ヒトベータ−カゼインと組換えベータ−カゼインとのクロマトグラムを 比較することによって、各ピークが各1つのリン酸化レベルに対応すると推定さ れた。 図13は、2構築物系pRJB−26/pRAB−51から産生された組換え ヒトベータ−カゼインの種々のリン酸化形態を示す。人乳中で検出されたベータ −カゼインの6つの異なるリン酸化形態と同じ保持時間をもつピークが組換えベ ータ−カゼイン調製物にも存在した。実施例V プロリンイミノペプチダーゼアッセイ カナマイシンを含有する50mlの新しいルリア−ベルタニブイヨンに対して 1:50の一夜培養物から細胞を接種した。30℃でA600のO.D.が0. 7〜1に達するまで細胞を増殖させた。pRAB−52は誘導プロモーターPt acを含んでいたので、pRAB−52で形質転換した大腸菌培養物に細菌の対 数増殖期にラクトースを添加した。プラスミドpRJB−33はpepIの構成 性プロモーターを含んでいた。10,000×gで4℃で5分間遠心することに よって各ペレットを採集し た。50mMのトリス(pH8.0)、1mMのEDTA及び0.2mMのフェ ニルメチルスルホニルフルオリド(PMSF)中で氷上でペレットを音波処理し た。イミノペプチダーゼ基質L−プロリル−p−ニトロアニリド(pro−pN A;Bachem Bioscience,Inc.,King of PΓu ssia,PA)を脱イオン水中で6mMの溶液となるように音波処理を用いて 調製した。40μlの基質溶液を、920μlの50mMのトリス−HCl(p H8.0)を入れたキュベットに添加し、キュベットを転倒させて中味を混合し た。温度調節した分光光度計でキュベットを30℃で5分間インキュベーション 後、40μlの細胞抽出物をキュベットに添加し、再度キュベットを転倒させて 中味を混合した。410nmの吸光度の増加を追跡することによって30℃の反 応を1分間モニターした。9600の吸光係数を用いて反応速度を計算した(Z evacoら,Appl.Bacteriol.68:357−366(199 0))。pRJB−33及びpRAB−52のプロリンイミノペプチダーゼ活性 の測定値はそれぞれ0.00053及び0.000042ミリモル/分/mgで あった。実施例VI X−プロリルジペプチジルアミノペプチダーゼアッセイ 所望の構築物を含むHMS174(DE3)の誘発培養物を、100mMのト リス(pH8.0)、1mMのEDTA及び0.2mMのPMSF中で音波処理 によって破壊し、粗抽出物を遠心して落屑を除去した。pRAB−27を含有す る細胞の場合、得られた上清を同じバッファで1mg/mlに希釈した。 100mlのトリス(pH8.0)、2.8mMのPhe−Pro−β−ナフ チルアミン(Bachem Bioscience Inc.,King of Prussia,PA)と453μg以下の抽出物とを含む840μlの最終 容量で23℃で反応を実施した。Phe−Pro−β−ナフチルアミン基質の添 加によって反応を開始させ、1分間の期間の340nmの吸光度の増加によって 反応の進行をモニターした。 HMS174(DE3)(pRAB−27)から調製した抽出物は、合成基質 Phe−Pro−β−ナフチルアミンのPhe−Proジペプチドを開裂するこ とが観察され、これは、in vitroで活性のX−プロリルジペプチジルア ミノペプチダーゼが0.015+/−0.001ミリモル/分/mgで存在 することを示す。 HMS174(DE3)(pRAB−49)から調製した52μgの抽出物を 合成基質Phe−Pro−β−ナフチルアミンに対して試験したが、酵素活性は in vitroアッセイの検出限度を下回っていた。実施例VII タンパク質の配列決定 Applied Biosystems,Inc.(ABI,Foster City,CA)のオンラインABIアナライザーを備えた470Aまたは47 3Aタンパク質シータエンサーを用いた全自動エドマン分解によってN末端配列 が得られた。各サンプルに5〜6サイクルの試験を行った。ミシガン大学医学部 付属のタンパク質及び糖質の構造研究施設(Protein and Carb ohydrate Structure Facility of the U niversity of Michigan Medical School )で分析を行った。 以下の表1は、Mono Qカラムで精製した組換え溶菌液の配列決定によっ て得られた結果を示す。表1 組換えリン酸化ヒトベータ−カゼインのN末端配列X=複数のアミノ酸;*=正しいプロセシング アミノペプチダーゼのpepXPを含有していたHMS174(DE3)(p RAB−27/pRAB−30)から単離した組換えヒトベータ−カゼインの二 リン酸化形態のN末端アミノ酸の配列決定によって、組換えヒトベータ−カゼイ ンのN末端がメチオニンでなくプロリンであることが判明した。アミノペプチダ ーゼ活性が欠失していたHMS174(DE3)(pRAB−30)から得られ た二リン酸化組換えヒトベータ−カゼインのN末端アミノ酸配列はN末端プロリ ンをメチオニンの代わりに含んでいた。従って、HMS174(DE3)大腸菌 株中では、Met−Pro−組換えヒトベータ−カゼインからMetを開裂する 内因性メチオニンアミノペプチダーゼが 存在すると考えられる。 単一構築物pRJB−33は予想された配列Arg−Glu−Thr−Ile −Gluを産生した。pRJB−33のN末端配列パターンは、正しくプロセシ ングされた配列Arg−Glu−Thr−Ile−Glu−Serが存在すると きは、第二サイクルも同じ配列で始まると考えられることを示した。 不完全なプロセシングは配列:Pro−Arg−Glu−Thr−Ileを生じ るであろう。このように、組換えベータ−カゼイン分子の必ずしも全部がイミノ ペプチダーゼによるN末端プロセシングで処理されるとは限らないので、N末端 の完全プロセシングを達成するために増殖条件を変更する必要も生じるかもしれ ない。 (pRJB−36)の溶菌液に由来の二リン酸化組換えベータ−カゼインのN 末端配列はArg−Glu−Thr−Ile...であった。これは、MAPと プロリンイミノペプチダーゼとの組合せが組換えベータ−カゼインのN末端から メチオニン及びプロリンをそれぞれ完全に開裂したことを示す。 pRJB−26/pRAB−51によって産生されたベータ−カゼインの二リ ン酸化種はN末端配列:Arg−Glu... を生じた。この配列解析の第一サイクルは複数のアミノ酸を含んでいたが、これ はサンプル中に存在する遊離アミノ酸の溶出を起因するものであり、このような 状態は頻繁に観察される。従って、第一アミノ酸に関する完全な同定は可能でな かった。しかしながら、第二アミノ酸から始まる配列はGlu−Thr−Ile −Ser−Ser...であり、これは人乳ベータ−カゼインに対応する。これ はまた、MAPとx−プロリルジペプチジルアミノペプチダーゼが組換えヒトベ ータ−カゼインのN末端をプロセシングしたことを示す。pRAB−50から単 離した画分はベータ−カゼインの産生レベルが低かったのでN末端配列について 解析しなかった。実施例VIII エレクトロスプレーイオン化質量分析 エレクトロスプレーイオン化ソースを備えたFinnigan MAT(Sa n Jose,CA)のTSQ−700タンデム四重極質量分析計でサンプルを 分析した。m/z200−2500の四重極マスフィルターを7秒間走査する+ Q1MSモードで器具を作動させた。第二及び第三の四重極マスフィルターは全 部のイオンを透過させるrf−onlyモードで作動させた。 0.1%のトリフルオロ酢酸を含む5:95のCH3CN:H2O中に約1μg /μL(42ピコモル/μL)のサンプルを調製した。この溶液の20μLのア リコートを、35℃に維持した逆相カラム(Vydac、C18、2.1mm× 250mm、300Å)を含むHPLC系に注入した。0.1%のトリフルオロ 酢酸を含むH2O中のCH3CNの5%から70%までの勾配を200μL/分で 70分間用いてタンパク質を溶出させた。流出液をカラム残渣から分離し、4. 5kVで作動し55psiの窒素シースガスで200℃に維持したESIソース に8μL/分で配給した。図14に示した質量は、一次HPLCピークから測定 したエレクトロスプレー質量スペクトルのデコンホリューション後に得られた値 である。 エレクトロスプレーイオン化(ESI)は、pRJB−36からプロセシング された溶菌液に由来の精製二リン酸化組換えヒトベータ−カゼインが正しくプロ セシングされたことを確認した。図14に示すように、組換え型(上段パネル) 及び天然型(下段パネル)の双方の二リン酸化ヒトベータ−カゼインは、240 18ダルトンという理論的重量に実験誤差の範囲内で一致する24019ダルト ンのシグナルを生じた。24019ダ ルトン以外のシグナルは画分中の付加的タンパク質の存在の指標となる。 残りのサンプルを、Analytical of Branford(Bra nford,CT)のエレクトロスプレーイオン化ソースを備えたFinnig an(San Jose,CA)のMAT TSQ70タンデム四重極質量分析 計で分析した。四重極マスフィルターをm/z200−1900から4秒間走査 する+Q3MSモードで器具を作動させた。第一及び第二の四重極マスフィルタ ーは全部のイオンを透過させるrf−onlyモードで作動させた。0.5%の HOAcを含有する1:1のMeOH:H2O中に約4ピコモル/μlでサンプ ルを調製し、Harvard Apparatus 22シリンジポンプを用い て0.8μl/分で質量分析計に注入した。記録した分子量は、測定されたエレ クトロスプレー質量スペクトルのデコンボリューション後に得られた。 エレクトロスプレーイオン化はまた、単離された組換えヒトベータ−カゼイン 画分のリン酸化状態がpRAB−27/pRAB−30の同時発現によって得ら れること及び3つの画分にN末端プロリンが存在することを確認した。図15に 示すように、 画分24は24,115ダルトンのシグナルを生じ、これは1つの追加プロリン 残基を有する二リン酸化組換えヒトベータ−カゼインの予測分子量に実験誤差の 範囲内で一致する。スペクトル中の24,115ダルトン以外のシグナルは、分 析物の人為構造を表す。画分27及び28のESIスペクトルは、それぞれ平均 分子量(N=2)24,272.5及び24,353.5ダルトンのタンパク質 の存在を示した(データ示さず)。これらの分子量もまた、1つの追加プロリン 残基をもつ四リン酸化または五リン酸化組換えヒトベータ−カゼインの予測分子 量に誤差の範囲内で一致する。 pRAB−49のN末端プロセシングの程度をESIを使用して決定した。二 リン酸化分子を分析すると、MAPによるMet除去後に大腸菌由来のタンパク 質配列:Pro−Pro−Arg−Glu...に一致する平均分子量(N=6 )24,222+/−25ダルトンが得られた(データ示さず)。低レベルのア ミノペプチダーゼは、pRAB−49から産生された組換えヒトベータ−カゼイ ンのN末端のプロセシングの欠如の原因となった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 5/10 C12N 9/48 9/48 C12P 21/06 C12P 21/06 C12N 5/00 A (72)発明者 サーモンド,ジエニフアー・マリー アメリカ合衆国、オハイオ・43231、コロ ンブス、アデイロンダツク・アベニユー・ 3072 (72)発明者 レオナルド,アマンダ・ユン−ヨング アメリカ合衆国、オハイオ・43230、ガハ ーナ、シエイドウツド・コート、581

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.(a)(i)タンパク質をコードする核酸配列と、(ii)ペプチダーゼを コードする核酸配列とを含み、前記タンパク質が前記タンパク質の天然形態には 存在しない少なくとも1つのN末端アミノ酸を含み、前記タンパク質をコードす る前記核酸配列がプロモーターに作動的に連結されているようなベクターを作製 する段階と、 (b)前記ベクターを、前記組換えタンパク質が発現するために十分な時間及び 条件下で宿主細胞に導入する段階とから成り、前記宿主細胞が、前記タンパク質 の1つまたは複数の前記N末端アミノ酸を開裂する内因性ペプチダーゼをコード していることを特徴とする組換えタンパク質の生体内産生方法。 2.段階(a)の前記核酸配列によってコードされている前記ペプチダーゼがイ ミノペプチダーゼ及びアミノペプチダーゼから成るグループから選択されること を特徴とする請求項1に記載の方法。 3.前記イミノペプチダーゼがpepI遺伝子によってコードされており、前記 アミノペプチダーゼがpepXP遺伝子によ ってコードされていることを特徴とする請求項2に記載の方法。 4.前記内因性ペプチダーゼがメチオニンアミノペプチダーゼであることを特徴 とする請求項1に記載の方法。 5.前記組換えタンパク質が乳タンパク質、インスリン及び成長促進因子から成 るグループから選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。 6.前記乳タンパク質がリン酸化ヒトベータ−カゼインであることを特徴とする 請求項5に記載の方法。 7.前記宿主細胞が真核細胞及び原核細胞から成るグループから選択されること を特徴とする請求項1に記載の方法。 8.前記原核細胞が大腸菌であることを特徴とする請求項7に記載の方法。 9.前記少なくとも1つのN末端アミノ酸がメチオニン及びプロリンから成るグ ループから選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。 10.請求項1に記載の方法によって産生された組換えタンパク質。 11.前記組換えタンパク質がリン酸化ヒトベータ−カゼインであることを特徴 とする請求項10に記載の組換えタンパク質。 12.(a)タンパク質をコードする核酸配列と、(b)ペプチダーゼをコード する核酸配列とを含み、前記タンパク質が前記タンパク質の天然形態には存在し ない少なくとも1つのN末端アミノ酸を含み、前記タンパク質をコードする前記 核酸配列がプロモーターに作動的に連結されていることを特徴とするベクター。 13.前記少なくとも1つのN末端アミノ酸がメチオニン及びプロリンから成る グループから選択されることを特徴とする請求項12に記載のベクター。 14.前記ベクターがプラスミド、バクテリオファージ及びコスミドから成るグ ループから選択されることを特徴とする請求項12に記載のベクター。 15.(a)タンパク質をコードする核酸配列と、(b)ペプチダーゼをコード する核酸配列とを含み、前記タンパク質が前記タンパク質の天然形態には存在し ない少なくとも1つのN末端アミノ酸を含み、前記タンパク質をコードする前記 核酸配列がプロモーターに作動的に連結されていることを特徴とするベクターを 含む宿主細胞であって、前記宿主細胞が内因性ペプチダーゼをコードしているこ とを特徴とする宿主細胞。 16.前記核酸配列によってコードされている前記ペプチダーゼがイミノペプチ ダーゼ及びアミノペプチダーゼから成るグループから選択されることを特徴とす る請求項15に記載の宿主細胞。 17.前記イミノペプチダーゼがpepI遺伝子によってコードされており、前 記アミノペプチダーゼがpepXP遺伝子によってコードされていることを特徴 とする請求項16に記載の宿主細胞。 18.前記内因性ペプチダーゼがメチオニンアミノペプチダーゼであることを特 徴とする請求項15に記載の宿主細胞。 19.前記宿主細胞が真核細胞及び原核細胞から成るグループから選択されるこ とを特徴とする請求項15に記載の宿主細胞。 20.前記原核細胞が大腸菌であることを特徴とする請求項19に記載の宿主細 胞。 21.前記少なくとも1つのN末端アミノ酸がメチオニン及びプロリンから成る グループから選択されることを特徴とする請求項15に記載の方法。 22.請求項10に記載の前記組換えタンパク質を含む乳児用調合乳または医療 用栄養物。
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