[go: up one dir, main page]

JP2001335376A - 金属被覆耐火物及びその施工法 - Google Patents

金属被覆耐火物及びその施工法

Info

Publication number
JP2001335376A
JP2001335376A JP2000154632A JP2000154632A JP2001335376A JP 2001335376 A JP2001335376 A JP 2001335376A JP 2000154632 A JP2000154632 A JP 2000154632A JP 2000154632 A JP2000154632 A JP 2000154632A JP 2001335376 A JP2001335376 A JP 2001335376A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
metal
mass
slurry
refractory
coated refractory
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000154632A
Other languages
English (en)
Inventor
Tadanori Shibata
忠則 柴田
Masafumi Fuji
雅史 藤
Iwao Goto
巌 後藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
A&A Material Corp
Kenzai Gijutsu Kenkyusho KK
Original Assignee
A&A Material Corp
Kenzai Gijutsu Kenkyusho KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by A&A Material Corp, Kenzai Gijutsu Kenkyusho KK filed Critical A&A Material Corp
Priority to JP2000154632A priority Critical patent/JP2001335376A/ja
Publication of JP2001335376A publication Critical patent/JP2001335376A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Building Environments (AREA)
  • Ceramic Products (AREA)
  • Preparation Of Clay, And Manufacture Of Mixtures Containing Clay Or Cement (AREA)
  • Curing Cements, Concrete, And Artificial Stone (AREA)
  • Fireproofing Substances (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】2水石膏系または2水石膏−エトリンガイト系
マトリクスの被覆耐火物において、対象金属の腐食に対
して優れた腐食抑制効果を示し、また、その耐火性能を
損なわず、しかも、その施工においては有害なガスの発
生もなく、また、その吹付施工性には何ら悪影響を与え
ない金属被覆耐火物及び施工法を提供する。 【解決手段】被覆耐火物の全固形分100質量部に対し
てベンゼンジカルボン酸塩を0.5〜10質量部含有す
ること、及び、その施工法は、石灰質原料、石膏、フィ
ラー、ベンゼンジカルボン酸塩及び必要に応じて添加剤
からなる主材に加水混合してアルカリ性スラリーとし、
一方、反応性硬化剤に加水混合して酸性スラリーとし、
該2種のスラリーを吹付ノズルに定量供給し、該吹付ノ
ズルにより該2種のスラリーを対象金属に混合吹付けし
て、硬化させることにより解決した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鉄骨建築構造物や
プラント等において、対象金属、例えば鉄骨の梁や柱等
に被覆して耐火構造とするための金属被覆耐火物及びそ
の施工法に関する。
【0002】
【従来の技術】鉄骨建築構造物やプラント等において、
対象金属、例えば鉄骨の梁や柱等に被覆して耐火構造と
するための金属被覆耐火物を形成する方法として、従
来、乾式、半湿式または湿式吹付工法が行われている。
中でも湿式吹付工法には、セメント質材料、無機繊維、
軽量骨材及び増粘剤等を水と混練しスラリーとし、これ
をポンプにより圧送して吹付ノズル部分で圧縮空気と共
に対象金属に吹付ける工法や、石灰質原料等からなるス
ラリーと硬化剤からなるスラリーを吹付ノズルに供給
し、該吹付ノズルで混合して対象金属に吹付ける工法が
ある。
【0003】その際、必要に応じて対象金属、例えば鉄
骨の梁や柱またはデッキプレートに対して、その吹付施
工前に、予め対象金属の表面に防錆塗装処理を行った
り、金属被覆耐火物に防錆剤を添加するなどして対象金
属の腐食を抑制していた。この場合、金属被覆耐火物に
添加して使用する具体的防錆剤は、従来より亜硝酸塩か
らなるものが多く用いられていた。また、モリブデン酸
塩と芳香族カルボン酸類またはその塩を併用した金属防
食剤に関して特開昭59−16984号公報に、あるい
は、アリールカルボン酸とその誘導体及びそれらの塩か
ら選ばれる化合物からなる金属腐食抑制剤に関して特開
昭61−153290号公報に開示されている。さら
に、炭素数2以上の疎水基を有するジカルボン酸化合物
を主成分とするセメント混練物用防錆剤に関して特開平
10−95650号公報に、あるいは、粗無水フタル酸
から無水フタル酸を蒸留したときに生じる残留物を中和
処理して得た塩を主成分とするセメント組成物用混和剤
に関して特開平10−218647号公報に開示されて
いる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来か
ら水硬性材料に多く用いられている亜硝酸塩は、鉄を酸
化することにより腐食抑制させるため、長期的な腐食抑
制効果が期待できない点や、使用する酸性物質と反応し
て有害なNOxガスを発生するために、硬化剤として酸
性物質を使用している一部の湿式吹付工法には使用でき
なかった。亜硝酸塩以外の上記防錆剤についてはその使
用用途が異なり、特開昭59−16984号公報におい
ては、冷却水等の水循環系すなわち流動水中に添加する
金属防食剤として、また特開昭61−153290号公
報においては主に亜鉛のアルカリ腐食に対する金属腐食
抑制剤として述べられている。同様に、特開平10−9
5650号公報及び特開平10−218647号公報
は、セメント質材料に対する防錆剤及び混和剤としてな
された発明である。
【0005】また、亜硝酸塩以外の上記防錆剤はいずれ
も、本発明を含む一部の湿式吹付工法等のように酸性物
質が共存する環境下においては、その使用法も含め腐食
抑制効果が示されておらず、実際その有効性は十分なも
のではなかった。また、湿式吹付工法において、例えば
主に石膏マトリクスのものでは、石膏の硫酸根により対
象金属が腐食し、錆色が現れ美観を損ねたり、場合によ
っては腐食の進行により金属被覆耐火物と対象金属との
付着力が低下して金属被覆耐火物が脱落することさえあ
った。
【0006】本発明は、従来の被覆耐火物における上記
問題を解決するとともに、金属被覆耐火物の吹付施工
性、耐火性能及び諸物性を損なうことなく、対象金属に
対して優れた腐食抑制効果を示す金属被覆耐火物及びそ
の施工法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明に係る金
属被覆耐火物は、2水石膏系または2水石膏−エトリン
ガイト系マトリクスの被覆耐火物であって、該被覆耐火
物の全固形分100質量部に対してベンゼンジカルボン
酸塩を0.5〜10質量部含有することを特徴とするも
のである。さらに、本発明のベンゼンジカルボン酸塩
は、フタル酸ジカリウム、フタル酸ジナトリウムまたは
フタル酸カルシウムから選ばれた1種以上を含むことを
特徴とするものである。
【0008】また、石灰質原料、石膏、フィラー、ベン
ゼンジカルボン酸塩及び必要に応じて添加剤からなる主
材に加水混合してアルカリ性スラリーとし、一方、反応
性硬化剤に加水混合して酸性スラリーとし、該2種のス
ラリーを吹付ノズルに定量供給し、該吹付ノズルにより
該2種のスラリーを対象金属に混合吹付けし、硬化させ
ることを特徴とする金属被覆耐火物の施工法である。さ
らに、本発明の施工法における石灰質原料は、消石灰ま
たは生石灰から選ばれた1種以上で、反応性硬化剤が、
硫酸アルミニウムであることを特徴とする前記の金属被
覆耐火物の施工法である。
【0009】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態につい
てさらに詳細に説明する。本発明の金属被覆耐火物は、
石灰質原料、石膏、フィラー、ベンゼンジカルボン酸塩
及び必要に応じて添加剤からなる主材に加水混合してア
ルカリ性スラリーとし、一方、反応性硬化剤に加水混合
して酸性スラリーとし、該2種のスラリーを吹付ノズル
に定量供給し、該吹付ノズルにより該2種のスラリーを
対象金属に混合吹付けし、硬化させることにより得ら
れ、その結果、2水石膏系または2水石膏−エトリンガ
イト系マトリクスからなるものである。
【0010】また、本発明の2水石膏系マトリクスと
は、普通の硫酸カルシウム2水和物を主に含むものを指
し、具体的には配合原料として2水石膏を含むもの、ま
たは半水石膏の水和反応により生成した2水石膏をい
う。さらに、2水石膏−エトリンガイト系マトリクスと
は、普通の硫酸カルシウム2水和物とエトリンガイトを
主に含むものを指し、具体的には前述した2水石膏と、
配合原料としてエトリンガイトを主に含むもの、または
石灰質原料(消石灰や生石灰)と硫酸アルミニウムとの
化学反応により生成したエトリンガイトを主に含むもの
である。
【0011】本発明でいうベンゼンジカルボン酸塩は、
例えばフタル酸ジカリウム、フタル酸ジナトリウムやフ
タル酸カルシウムが挙げられるが、調製方法が簡便な点
からフタル酸ジナトリウムが特に好ましい。前記のベン
ゼンジカルボン酸塩は、フタル酸ジカリウム、フタル酸
ジナトリウムやフタル酸カルシウムから選ばれた1種以
上を含むものであり、単独または2種以上を併用するこ
とができる。その添加量は被覆耐火物の全固形分100
質量部に対して0.5〜10質量部が適当であり、好適
には1〜5質量部である。この添加量が0.5質量部未
満ではその腐食抑制効果が十分でなく、また10質量部
を超えて添加しても腐食抑制効果が飽和する上にコスト
高となり実用的ではなく、またポンプ圧送性の低下を招
く恐れがある。
【0012】また、フタル酸ジカリウム、フタル酸ジナ
トリウム及びフタル酸カルシウムはベンゼンジカルボン
酸及びその無水物であるフタル酸及び無水フタル酸とは
その溶解度が異なり、例えば20℃における水100g
への溶解度はフタル酸ジナトリウム7/2水和物が7
6.4gであるのに対し、フタル酸及び無水フタル酸の
25℃における水100gへの溶解度はそれぞれ0.7
g及び0.6gである。このベンゼンジカルボン酸塩の
大きな溶解度は、ベンゼンジカルボン酸塩の被覆耐火物
中への分散性を格段に向上させ、その結果、ベンゼンジ
カルボン酸塩が、対象金属にムラ無く行き届き、その腐
食抑制効果を一層優れたものしている。
【0013】さらに、後述する本発明の金属被覆耐火物
の施工法において、その吹付施工後、酸性スラリーとア
ルカリ性スラリーの中和反応と化学反応により金属被覆
耐火物が発熱し、その温度が50℃を超える場合もある
が、ベンゼンジカルボン酸塩はこの発熱温度に対して、
分解または化学変化することなく安定して存在し、腐食
抑制に寄与する。
【0014】しかし、ベンゼンジカルボン酸塩の水溶液
のpHは8〜9.5であるため、中性及びアルカリ性水
溶液中では安定して存在できるが、強酸性水溶液中では
中和反応によりフタル酸とナトリウム塩に分解してしま
うため、ベンゼンカルボン酸塩を酸性スラリーに添加す
ることは好ましくない。従って、ベンゼンジカルボン酸
塩の添加は、石灰質原料、石膏、フィラー及び必要に応
じて添加剤からなるものに対してベンゼンジカルボン酸
塩の粉末を添加する方法、溶解している状態で添加する
方法、乾式混合物に添加する水に対して溶解している状
態で添加する方法であり、乾式混合物を加水混合したア
ルカリ性スラリーに対して溶解している状態で用いるこ
とが好ましい。
【0015】ここでいう溶解している状態とは、水溶液
の状態を指し、その調製方法をフタル酸ジナトリウムを
例に以下に示す。無水フタル酸またはフタル酸1モル
を、水または温水に加え撹拌溶解して水溶液とした後
に、水酸化ナトリウムまたは炭酸ナトリウム等のアルカ
リ性ナトリウム塩2モル(ナトリウム原子換算)を加え
撹拌する方法、もしくは、水酸化ナトリウムまたは炭酸
ナトリウム等のアルカリ性ナトリウム塩2モル(ナトリ
ウム原子換算)を、水または温水に加え撹拌溶解して水
溶液とした後に、無水フタル酸またはフタル酸1モルを
加え撹拌する方法が挙げられる。例えば、60℃の温水
1リットルに対して水酸化ナトリウム6モルを加え撹拌
溶解して水溶液とした後、無水フタル酸3モルを加え撹
拌することにより、固形分濃度約37質量%のフタル酸
ジナトリウム水溶液を得ることができる。
【0016】本発明でいう金属被覆耐火物の施工法は、
石灰質原料、石膏、フィラー、ベンゼンジカルボン酸塩
及び必要に応じて添加剤からなる主材に水を加えミキサ
ーで混練してアルカリ性スラリーとしたものを、例えば
ピストン型ポンプにより耐圧ゴムホースの配管内を圧送
して耐圧ゴムホース先端に取り付けた吹付ノズルに定量
供給し、一方、反応性硬化剤を水に加え、ミキサーで混
合撹拌して酸性スラリーとしたものを、例えばスネーク
ポンプにより別の耐圧ホース内を圧送して吹付ノズルに
定量供給し、該酸性スラリーとアルカリ性スラリーを吹
付ノズル内で合流混合させながら圧縮空気と共に対象金
属に吹付けるものである。
【0017】上記アルカリ性スラリーとは、石灰質原
料、石膏、フィラー、ベンゼンジカルボン酸塩及び必要
に応じて添加剤を予め工場などでブレンダーにより乾式
混合して得た乾式混合物、または施工現場で所定の配合
に従い乾式混合して得た乾式混合物を、ミキサーに投入
し、さらにアルカリ性スラリーの固形分濃度が35〜5
0質量%となるように水を添加し、混練して得られるも
のであり、そのpHが7を超える値を示すスラリーであ
る。一方酸性スラリーとは、ミキサーが取り付けられた
タンクに、酸性スラリーの固形分濃度が35質量%以上
となるよう水をいれ、撹拌しながら反応性硬化剤を投入
し溶解して得られるもので、そのpHが7未満の値を示
すスラリーである。
【0018】本発明で使用する石灰質原料とは、普通ポ
ルトランドセメント、高炉セメント、フライアッシュセ
メント、シリカセメント、早強セメント、超早強セメン
ト、速硬セメント、超速硬セメントもしくは中庸熱セメ
ント等の汎用のセメント、消石灰及び生石灰を指し、単
独または併用することができる。また、石灰質原料は、
対象金属に吹付する際に吹付ノズルで合流混合される酸
性スラリーと極めて短時間で反応し、その反応物が金属
被覆耐火物を高粘度化または硬化させる作用が必要であ
る。このため、好ましい石灰質原料は消石灰または生石
灰であり、単独または併用することができる。石灰質原
料の配合量は、被覆耐火物の全固形分に対して5〜40
質量%が好ましく、該配合量が5質量%未満では酸性ス
ラリーとの反応による金属被覆耐火物の高粘度化の程度
が弱くなるために好ましくない。また、該配合量が40
質量%を超えると、金属被覆耐火物の強度低下や乾燥収
縮率の増大を招くために好ましくない。なお、石灰質原
料の配合量の決定は、後述の反応性硬化剤の配合量も考
慮する必要があり、反応性硬化剤の化学量論以上としな
ければならない。これは反応性硬化剤が強酸性であり、
対象金属の腐食を増大させるため、反応性硬化剤を完全
に中和する必要があるからである。ここで消石灰は、J
IS R 9001に規定される工業用消石灰、JIS
A 6902に規定される左官用消石灰が使用でき、生
石灰についてはJISR 9001に規定される工業用
生石灰で、粉末度としてJIS Z 8801に規定す
る標準網ふるい600μm全通程度まで粉砕したものが
好ましい。
【0019】本発明で使用する石膏は、吹付後硬化し金
属被覆耐火物の強度を維持するために作用するものであ
り、その配合量は、被覆耐火物の全固形分に対して15
質量%以上、好ましくは15〜75質量%とする。石膏
の配合量が15質量%未満の場合、金属被覆耐火物の常
温及び高温時の強度低下を招くために好ましくない。石
膏については特別なものを使用する必要はなく、JIS
A 6904に規定される現場調合プラスター、2水
石膏を乾式焼成し得られる焼き石膏及び2水石膏を水中
で湿式加熱し得られるα−半水石膏等の普通の硫酸カル
シウム半水和物を使用することができる。
【0020】また、石膏には通常硬化遅延剤が使用され
るが、本発明においては、消石灰あるいは生石灰の共存
下で通常2〜12時間程度の硬化時間となるような添加
量の蛋白質系や有機酸系の硬化遅延剤が使用される。な
お、硬化時間の設定は、配管中でアルカリ性スラリーが
硬化するのを防ぐのが主な目的であるため、配管内での
アルカリ性スラリーの滞留時間に応じて設定すればよ
く、必ずしも上記時間に限定されるものではない。
【0021】本発明で使用するフィラーは、金属水酸化
物、繊維質材料及び軽量骨材等があり、その配合量は被
覆耐火物の全固形分に対して10〜50質量%で、それ
ぞれを組み合わせて上記範囲内で用いることができる。
ここでいう金属水酸化物は、水酸化アルミニウム及び水
酸化マグネシウム等が挙げられ、耐火性能向上に効果が
ある。また、繊維質材料としてはパルプ及びロックウー
ル等が、軽量骨材としてはパーライト及び発泡ポリスチ
レン粒子等が挙げられ、これら繊維質材料及び軽量骨材
は、アルカリ性スラリーに適度な粘性を付与し、配管途
中での固形分の分離、あるいは詰まりを防止する上で有
効であり、さらに金属被覆耐火物の低比重化及び柔軟性
の向上により亀裂発生の防止にも有効である。
【0022】さらに、必要に応じて、メチルセルロース
及びポリエチレンオキサイド等の増粘剤、保水剤、ドデ
シルベンゼンスルホン酸及びアルキル硫酸エステル塩等
の界面活性剤のような公知の添加剤を、被覆耐火物の全
固形分に対して0.1〜3.0質量%添加することがで
きる。
【0023】本発明で使用する反応性硬化剤は、急速反
応性及びコストの点から硫酸アルミニウムが好ましい。
また、その配合量は、被覆耐火物の全固形分に対して5
〜25質量%(18水塩換算)が好ましく、5質量%未
満では金属被覆耐火物の高粘度化が十分ではなく、ま
た、25質量%を超えると、金属被覆耐火物の乾燥収縮
率や強度等の物性を悪化させるので好ましくない。ま
た、反応性硬化剤の酸性スラリー中の固形分濃度は35
質量%以上(18水塩換算)が好適であり、高濃度ほど
好ましい。酸性スラリーの固形分濃度が35質量%未満
では、所定量の反応性硬化剤を添加するためには、合流
混合される酸性スラリーが多くなり過ぎてアルカリ性ス
ラリーの固形分濃度が下がり、吹付後の金属被覆耐火物
の高粘度化の程度が弱まるために好ましくない。また酸
性スラリーの固形分濃度の上限は、反応性硬化剤の溶解
度すなわち18水塩換算で50質量%程度までとなる
が、酸性スラリーは、ポンプ圧送に悪影響を及ぼさない
範囲で反応性硬化剤の固形分を含む過飽和の状態であっ
ても差し支えない。
【0024】使用する硫酸アルミニウムは、特に限定さ
れるものではなく、JIS K 1423あるいはJI
S K 1450に規定される工業用あるいは水道用の
硫酸アルミニウムが使用できる。また、一般には、水和
物、無水物あるいは水溶液の状態で入手できるが、いず
れの状態のものであっても使用できる。また、反応性硬
化剤は、酸性スラリーとして吹付ノズルに供給され、ア
ルカリ性スラリーと合流混合した後直ちにアルカリ性ス
ラリー中の石灰質原料と反応し、吹付後極めて短時間で
金属被覆耐火物を高粘度化させる。さらに、硬化遅延剤
を配合することにより硬化時間が調整されている石膏の
硬化を促進し、10分〜1時間程度で硬化させる作用を
有する。
【0025】本発明でいう対象金属とは、鉄骨建築構造
物やプラント等における梁、柱等に使用される各種鉄
骨、デッキプレート等に使用されている亜鉛鋼板、壁等
の下地に用いられるラス及び取付金物等の一般に使用さ
れている金属材料をいう。
【0026】以下、実施例とともに本発明をさらに詳細
に説明する。 (促進腐食試験及びアルカリ性スラリー特性評価試験)
それぞれ被覆耐火物の全固形分に対して、石膏55質量
%、消石灰15質量%、フィラー及び添加剤15質量%
を乾式混合した後、得られた乾式混合物に防錆剤及びア
ルカリ性スラリーの固形分濃度が40質量%となるよう
に水を加え、モルタルミキサーで約6分間混練してアル
カリ性スラリーとした。このアルカリ性スラリーに、反
応性硬化剤として硫酸アルミニウムを固形分濃度50質
量%(18水塩換算)となるように水に溶解して酸性ス
ラリーとしたものを、被覆耐火物の全固形分に対して1
5質量%(18水塩換算)加え、さらにモルタルミキサ
ーで約3分間混練し促進腐食試験用金属被覆耐火物を得
た。また、前記乾式混合物に防錆剤及びアルカリ性スラ
リーの固形分濃度が40質量%となるように水を加え、
モルタルミキサーで2分間混練しアルカリ性スラリーと
し、アルカリ性スラリー特性評価試験用スラリーを得
た。
【0027】得られた促進腐食試験用金属被覆耐火物を
使用して促進腐食試験を行い、また、アルカリ性スラリ
ー特性評価試験用スラリーの密度及びフロー値を測定
し、吹付施工におけるポンプ圧送性及び吹付施工性の指
標となるスラリー特性を評価した。なお、促進腐食試験
及び測定は以下に示す方法で行った。
【0028】(イ)促進腐食試験方法 得られた金属被覆耐火物を、円筒形容器に中空部ができ
ないよう振動を与えながら2リットル充填した後、表面
を研磨、脱脂した鋼板(32×100×3mm)2枚を
円筒形容器の底部に対して垂直に金属被覆耐火物中に埋
設した。さらに、金属被覆耐火物上におもりを載せ14
g/cmの面圧をかけた状態とし、容器に所定の開口
を設けたふたを取り付け、この容器を85℃に保たれた
乾燥機内に入れ、8日間の促進腐食試験を行った。その
後容器内から鋼板を取り出し、鋼板に生成した腐食物を
取り除いて質量を測定した。試験前後の鋼板の質量減少
量を鋼板の表面積で除した値を、促進腐食試験による鋼
板の単位面積当たりの質量減少量とした。ここで、促進
腐食試験による単位面積当たりの質量減少量とは数1の
式で示される。 (ロ)スラリー密度測定方法 容積、質量既知の容器にアルカリ性スラリーを充填して
スラリー質量を測定し、容積で除した値をスラリー密度
とした。ここで、スラリー密度とは数2の式で示され
る。 (ハ)フロー値測定方法 JIS R 5201に示される方法でアルカリ性スラ
リーのフロー値を測定した。
【0029】
【数1】
【0030】
【数2】
【0031】表1に、使用した防錆剤の種類と添加量、
さらに防錆剤無添加を100とした場合の腐食による鋼
板の単位面積当たりの質量減少量、アルカリ性スラリー
の密度及びフロー値を示した。表1から本発明のフタル
酸ジナトリウムを添加したものは、いずれの添加量にお
いても腐食抑制効果が現れていることがわかる。また、
従来から一般的に使用されている亜硝酸カルシウムを添
加したものと比較しても、フタル酸ジナトリウムを添加
したものは、被覆耐火物の全固形分100質量部に対し
て1質量部の添加量で同等の腐食抑制効果を示し、それ
以上の添加量では効果がより優れている事がわかる。さ
らに、ベンゼンジカルボン酸無水物である無水フタル酸
については、本発明の金属被覆耐火物に対する腐食抑制
効果は認められず、ベンゼンジカルボン酸塩を含有する
本発明特有の効果であることがわかる。
【0032】本発明のベンゼンジカルボン酸塩の腐食抑
制効果については、その分子中に存在する大きな疎水基
のベンゼン環に起因して腐食抑制効果を示すものと考え
られるが、水に対する溶解度の小さいベンゼンジカルボ
ン酸無水物では、金属被覆耐火物中への分散性が低く、
効果が現れなかった。一方、ベンゼンジカルボン酸塩は
その溶解度が大きいため、金属被覆耐火物中への分散性
が高く、高い腐食抑制効果が得られるものと考えられ
る。また、本発明のフタル酸ジナトリウムを添加したア
ルカリ性スラリーは、被覆耐火物の全固形分100質量
部に対して5質量部以下の添加量において無添加のもの
と比較して、スラリーの密度は若干小さい値を示し、フ
ロー値は若干大きな値を示した。この結果から、無添加
の場合と比較してフタル酸ジナトリウムを5質量部以下
添加したものについては、そのアルカリ性スラリーのポ
ンプ圧送性及び吹付施工性には差がない。しかし、フタ
ル酸ジナトリウムを10質量部添加したものについて
は、フロー値が小さな値を示し、ポンプ圧送性が低下し
た。
【0033】
【表1】
【0034】(実施例) (吹付による施工性と反応硬化性の確認及び金属被覆耐
火物の促進腐食試験と密度測定)それぞれ被覆耐火物の
全固形分に対して、石膏55質量%、消石灰15質量
%、フィラー及び添加剤15質量%を乾式混合した後、
得られた乾式混合物に防錆剤及びアルカリ性スラリーの
固形分濃度が40質量%となるように水を加えミキサー
で3分間混練してアルカリ性スラリー(pH=13)と
したものを、ピストン型ポンプにより耐圧ゴムホース内
を圧送して耐圧ゴムホース先端に取り付けた吹付ノズル
に25l/分供給する。一方、反応性硬化剤として硫酸
アルミニウムを固形分濃度50質量%(18水塩換算)
となるように水に溶解して酸性スラリー(pH=2)と
したものを、スネークポンプにより別の耐圧ホース内を
圧送して吹付ノズルに供給する。該酸性スラリーを、吹
付ノズルの吐出口近傍に設けた注入口より被覆耐火物の
全固形分に対して15質量%(18水塩換算)となるよ
うに流量を2.4l/分に調整して注入し、吹付ノズル
内で合流混合させながら0.2MPaの圧縮空気と共
に、小口及び裏面をシールした鋼板(300×300×
2.3mm)に一定厚さとなるよう吹付けて促進腐食試
験に用いた。また、金属被覆耐火物の密度測定用として
鋼板(200×200×0.8mm)に吹付け、併せて
吹付による施工性及び反応硬化性の評価を行った。な
お、これらの評価及び測定は、以下に示す方法で行っ
た。
【0035】(ニ)吹付による促進腐食試験方法 金属被覆耐火物を吹付けた鋼板を、85℃相対湿度95
%に設定された恒温恒湿機内で7日間、及び40℃相対
湿度95%に設定された恒温恒湿機内で28日間の2種
類の条件について促進腐食試験を行った。その後鋼板か
ら金属被覆耐火物を取り除き、生成した腐食物を取り除
いて質量を測定し、試験前後の鋼板の質量減少量を鋼板
の表面積で除して、吹付による促進腐食試験での鋼板の
単位面積当たりの質量減少量を求めた。ここで、吹付に
よる促進腐食試験での、鋼板の単位面積当たりの質量減
少量とは数1の式で示される。 (ホ)吹付による施工性及び反応硬化性の評価 鋼板への吹付時におけるダレの有無を目視により、また
反応硬化性を目視及び触感による金属被覆耐火物の高粘
度化及び発熱の確認により評価した。 (ヘ)金属被覆耐火物の密度測定 鋼板に吹付けた金属被覆耐火物を、石膏の水和反応を阻
害しないように通気の少ない室内で1週間養生した後、
40℃に保たれた乾燥機で恒量となるまで乾燥し、質量
を体積で除した値を金属被覆耐火物の密度とした。ここ
で、金属被覆耐火物の密度とは数3の式で示される。
【0036】
【数3】
【0037】表2に使用した防錆剤の種類と添加量、さ
らに防錆剤無添加を100とした場合の腐食による鋼板
の質量減少量、吹付前のアルカリ性スラリー及び金属被
覆耐火物の密度を示した。表2から、本発明のフタル酸
ジナトリウムを添加したものは、いずれの添加量におい
ても、また85℃及び40℃のいずれの促進養生温度に
おいても高い腐食抑制効果が確認できる。また、アルカ
リ性スラリーの密度は若干変化したものの、得られた金
属被覆耐火物の密度は無添加と同程度であった。金属被
覆耐火物の密度は、その耐火性能に大きな影響を及ぼす
が、この結果から、本発明のフタル酸ジナトリウムを添
加したものについては、耐火性能に影響を及ぼすことは
ない。さらに、吹付による施工性及び反応硬化性は、無
添加と比較して遜色なく良好な結果を示し、有害なガス
の発生も確認されなかった。
【0038】比較例2として、表中記載はしていない
が、セメントを含む被覆耐火物について、同様に、吹付
による施工性の確認及びセメントを含む金属被覆耐火物
の促進腐食試験と密度測定を実施した。その結果、促進
腐食試験において、フタル酸ジナトリウムを添加したも
のは無添加と比較して腐食抑制効果が確認された。ま
た、吹付による施工性も無添加と変化無く良好であり、
得られたセメントを含む金属被覆耐火物の密度も無添加
のものと同程度であった。
【0039】
【表2】
【0040】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、2水石膏
系または2水石膏−エトリンガイト系マトリクスの被覆
耐火物において、ベンゼンジカルボン酸塩を使用するこ
とにより、対象金属の腐食に対して優れた腐食抑制効果
を示し、また、その耐火性能を損なわず、しかも、その
施工においては有害なガスの発生もなく、また、その吹
付施工性には何ら悪影響を与えない金属被覆耐火物及び
その施工法を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C04B 28/14 C04B 28/14 C09K 21/02 C09K 21/02 21/06 21/06 E04B 1/94 E04B 1/94 P // C04B 111:28 C04B 111:28 (72)発明者 後藤 巌 茨城県石岡市大字柏原6番1号 株式会社 建材テクノ研究所内 Fターム(参考) 2E001 DE01 EA05 FA01 FA02 GA06 HA03 HB01 HB02 JA01 JA02 JA03 JA07 4G012 PA11 PA14 PB16 4G033 AA12 AB02 AB21 4G056 AA10 CB21 CC02 4H028 AA12 AB04 BA03 BA04

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】2水石膏系または2水石膏−エトリンガイ
    ト系マトリクスの被覆耐火物であって、該被覆耐火物の
    全固形分100質量部に対してベンゼンジカルボン酸塩
    を0.5〜10質量部含有することを特徴とする金属被
    覆耐火物。
  2. 【請求項2】ベンゼンジカルボン酸塩が、フタル酸ジカ
    リウム、フタル酸ジナトリウムまたはフタル酸カルシウ
    ムから選ばれた1種以上を含むことを特徴とする請求項
    1に記載の金属被覆耐火物。
  3. 【請求項3】石灰質原料、石膏、フィラー、ベンゼンジ
    カルボン酸塩及び必要に応じて添加剤からなる主材に加
    水混合してアルカリ性スラリーとし、一方、反応性硬化
    剤に加水混合して酸性スラリーとし、該2種のスラリー
    を吹付ノズルに定量供給し、該吹付ノズルにより該2種
    のスラリーを対象金属に混合吹付けし、硬化させること
    を特徴とする金属被覆耐火物の施工法。
  4. 【請求項4】石灰質原料が消石灰または生石灰から選ば
    れた1種以上、反応性硬化剤が硫酸アルミニウムである
    ことを特徴とする請求項3に記載の金属被覆耐火物の施
    工法。
JP2000154632A 2000-05-25 2000-05-25 金属被覆耐火物及びその施工法 Pending JP2001335376A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000154632A JP2001335376A (ja) 2000-05-25 2000-05-25 金属被覆耐火物及びその施工法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000154632A JP2001335376A (ja) 2000-05-25 2000-05-25 金属被覆耐火物及びその施工法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001335376A true JP2001335376A (ja) 2001-12-04

Family

ID=18659700

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000154632A Pending JP2001335376A (ja) 2000-05-25 2000-05-25 金属被覆耐火物及びその施工法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001335376A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10259949B2 (en) Corrosion resistant spray applied fire resistive materials
JP5156217B2 (ja) 耐火被覆材、耐火被覆材の塗工方法、及び耐火被覆の被膜
JP6647885B2 (ja) 耐食性モルタル組成物
JP7234001B2 (ja) ポリマーセメントモルタル及び鉄筋コンクリートの補修方法
KR20080023685A (ko) 시멘트계 조성물에 동결 및 해동 저항성을 제공하는작용제를 전달하는 방법
KR102284008B1 (ko) 콘크리트 구조물의 보수보강 속경성 모르타르 및 이를 이용한 콘크리트 구조물의 보수보강 시공법
JP3988843B2 (ja) 湿式吹付耐火被覆組成物
JPS581068B2 (ja) コンクリ−ト混合物またはモルタル混合物
US4355079A (en) Corrosion inhibition
JP7372159B2 (ja) 水硬性組成物
JP2003306370A (ja) 吹付け材料及びそれを用いた吹付け工法
AU578350B2 (en) Utilization of latexes with aluminous cement and gypsum compositions
JP2001335376A (ja) 金属被覆耐火物及びその施工法
US4465519A (en) Dry mortar mix with adhesive
JP2014122128A (ja) コンクリート被覆用弾性塗料組成物
JPS61256952A (ja) 鋼材防食性のセメント混練物およびセメント硬化体の製造法
JP2003277120A (ja) 水中ポリマーセメント組成物
KR100561233B1 (ko) 수밀성 무기질 균열저감제가 함유된 레미콘 조성물
JP2010265156A (ja) セメント含有防錆剤組成物、及び防錆処理方法
JP2002167682A (ja) 金属被覆耐火物用防錆剤及びその製造方法
JPS6252156A (ja) モルタル組成物
JP3344986B2 (ja) セメント混和剤及びそれを用いたセメント硬化体の製造法
JP3283070B2 (ja) 吹付耐火被覆組成物及びその施工方法
WO2022215617A1 (ja) 防錆コーティング組成物
JPH0637316B2 (ja) モルタル・コンクリ−ト用混和剤

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070222

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090825

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090908

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20100119