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JP2001321643A - 有機液体混合物用分離膜およびその製造方法並びにその分離膜を用いた分離方法および装置 - Google Patents

有機液体混合物用分離膜およびその製造方法並びにその分離膜を用いた分離方法および装置

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Publication number
JP2001321643A
JP2001321643A JP2000144845A JP2000144845A JP2001321643A JP 2001321643 A JP2001321643 A JP 2001321643A JP 2000144845 A JP2000144845 A JP 2000144845A JP 2000144845 A JP2000144845 A JP 2000144845A JP 2001321643 A JP2001321643 A JP 2001321643A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
membrane
organic liquid
liquid mixture
separation membrane
separation
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000144845A
Other languages
English (en)
Inventor
Takao Uete
貴夫 植手
Yoshinari Fusaoka
良成 房岡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Japan Petroleum Energy Center JPEC
Original Assignee
Petroleum Energy Center PEC
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Petroleum Energy Center PEC, Toray Industries Inc filed Critical Petroleum Energy Center PEC
Priority to JP2000144845A priority Critical patent/JP2001321643A/ja
Publication of JP2001321643A publication Critical patent/JP2001321643A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Separation Using Semi-Permeable Membranes (AREA)
  • Degasification And Air Bubble Elimination (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 工業的に使用可能な、より効率の良い有機液
体混合物の膜分離技術を提供する。 【解決手段】 有機液体混合物を膜の片側に供給し、他
の側から気相で有機液体混合物中の一部の成分を分離す
る膜分離法に用いられる分離膜であって、該分離膜が多
孔質支持膜と銀イオンを対イオンとするスルホン酸基含
有ポリイミドからなるものであることを特徴とする有機
液体混合物用分離膜、およびそれを用いた膜分離方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機液体混合物組
成を変化させるのに使用する有機液体混合物用分離膜、
その製造方法、およびその有機液体混合物用分離膜を用
いた分離方法および分離装置に関する。
【0002】
【従来の技術】膜分離技術は食品工業や医療分野、海水
淡水化や超純水分野等の水処理分野等をはじめとして様
々な方面で利用されているが、これまで特に水系を中心
に発達し、工業化されてきた。膜分離技術は省資源・省
エネルギーおよび低環境負荷技術として注目されている
分離技術であり、この膜分離技術を非水系分野、例えば
石油精製プロセスや石油化学工業分野へ適用することが
近年研究されはじめている。石油精製プロセスや石油化
学工業分野における分離は蒸留法を主体とする既存の分
離技術を組合せて行なわれており、省資源・省エネルギ
ーおよび環境の立場からは、より有利な分離技術を開発
し適用することが求められている。このような背景から
膜分離技術を石油精製プロセスや石油化学工業分野の技
術として開発し実用化することが求められている。
【0003】特開昭63−173182号公報、特開昭
63−175607号公報は、アルコールなどの揮発性
濃縮方法を開示している。この方法では、多孔質膜表面
にアルコール親和性の高いポリマーをコーティングした
膜を用いており、膜の細孔が濡れると透過速度が低下す
る。特開平2−2852号、特開平2−2854号公報
は、芳香族成分と非芳香族成分を分離するためのポリウ
レア/ウレタン膜を開示している。この方法では、低分
子量のコポリマーの薄膜を析出させて活性層を形成する
ので機械的強度が低い。特開平2−138136号公報
は、ポリエチレングリコール含浸親水性膜を用いて芳香
族炭化水素を芳香族炭化水素と飽和炭化水素の混合物か
ら分離する方法を開示している。しかし、この方法は、
分離係数が高くかつ透過速度が大きいものとはいえな
い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来技術は有
機液体に対して十分な耐久性があり、かつ分離性能と膜
透過速度を満足し、既存分離設備より経済的に有利な膜
及び膜プロセスとは言えない。また、石油精製プロセス
の場合、処理量が大量であるためガス状態の分離ではエ
ネルギー的に不利になる。これらの理由から現状では石
油精製プロセスや石油化学工業に膜技術を本格的に応用
された例はない。
【0005】有機液体混合物の組成を変化させることが
できれば、石油精製プロセスの場合には、ガソリンのオ
クタン価を向上させたり、軽油のセタン価を向上でき
る。また、膜で目的成分を完全に分離することができな
くとも、蒸留設備に入る前の原料組成を変えておくだけ
で経済的には有利であり、更に蒸留プロセスを膜プロセ
スで置き換えることができれば経済的に有利になること
は言うまでもない。また、ガソリンからベンゼン等の有
害物質を除去できれば低環境負荷の観点から有利であ
る。さらに、オレフィンの分離・濃縮ができればポリマ
ーや石油化学製品の経済的に有利な原料製造方法を提供
することができる。
【0006】そこで本発明の課題は、有機液体混合物の
一部を取り出すための分離膜であって、高い分離性能と
透過性能を有する分離膜およびその製造方法、並びにそ
の分離膜を用いた分離方法と分離装置を提供することに
ある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明に係る分離膜は、有機液体混合物を膜の片側
に供給し、他の側から気相で有機液体混合物中の一部の
成分を分離する方法に用いられる分離膜であって、該分
離膜が多孔質支持膜と多孔質支持膜の細孔内面に存在す
る銀イオンを対イオンとしたスルホン酸基含有ポリイミ
ドとを含むことを特徴とするものからなる。
【0008】上記分離膜においては、多孔質支持膜の平
均細孔径が0.5〜50nmの範囲にあることが好まし
い。また、有機液体混合物が供給される面に、さらに非
多孔層が存在してもよい。
【0009】多孔質支持膜の素材としては、たとえば、
ポリフェニレンスルフォン、ポリフェニレンスルフィド
スルホン、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリ
ル、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレンから
選ばれるものを使用できる。
【0010】分離膜の形状としては、たとえば、中空糸
膜、平膜および管状膜から選ばれるものである。
【0011】本発明に係る有機液体混合物用分離膜の製
造方法は、(A)多孔質支持膜をスルホン酸基含有ポリ
イミドの溶液に接触させた後、スルホン酸基含有ポリイ
ミドの溶液の溶媒を除去し、さらに銀イオン水溶液に接
触させ、該多孔質支持膜の細孔内表面層に銀イオンを対
イオンとしたスルホン酸基含有ポリマーを形成させるこ
とを特徴とする、有機液体混合物を膜の片側に供給し、
他の側から気相で有機液体混合物中の一部の成分を分離
するための分離膜の製造方法や、(B)多孔質支持膜を
銀イオンを対イオンとしたスルホン酸基含有ポリイミド
の溶液に接触させた後、銀イオンを対イオンとしたスル
ホン酸基含有ポリイミドの溶液の溶媒を除去し、多孔質
支持膜の細孔内表面層に銀イオンを対イオンとしたスル
ホン酸基含有ポリイミドを形成させることを特徴とす
る、有機液体混合物を膜の片側に供給し、他の側から気
相で有機液体混合物中の一部の成分を分離するための分
離膜の製造方法、あるいは、(C)多孔質支持膜をスル
ホン酸基含有ポリイミドの前駆体ポリマーであるポリア
ミック酸の溶液に接触させた後、ポリアミック酸溶液の
溶媒を除去し、該多孔質支持膜の細孔内表面層にポリア
ミック酸層を形成させた後、ポリアミック酸をイミド化
してポリイミド層を形成させ、さらに銀イオン水溶液に
接触させて、該多孔質支持膜の細孔内表面層に銀イオン
を対イオンとしたスルホン酸基含有ポリイミド層を形成
させることを特徴とする、有機液体混合物を膜の片側に
供給し、他の側から気相で有機液体混合物中の一部の成
分を分離するための分離膜の製造方法からなる。
【0012】また、本発明に係る有機液体混合物の分離
方法は、前記の様な分離膜の片側に有機液体混合物を供
給し、他の側から気相で有機液体混合物中の一部の成分
を分離することを特徴とする方法からなる。有機液体混
合物は、たとえば、芳香族系炭化水素を含むものであ
り、分離される一部の成分が有機液体混合物より芳香族
系炭化水素成分濃度の高い有機物とされる。この有機液
体混合物は、たとえば芳香族系炭化水素を含むガソリン
である。
【0013】本発明に係る有機液体混合物分離装置は、
容器内に前記のような分離膜、前記分離膜の一方の側に
有機液体混合物供給部、およびその膜の反対の位置に透
過有機液体取出部を有することを特徴とするものからな
る。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の望ましい実施の形
態について説明する。本発明が対象とする膜による分離
方法は、膜の一次側に有機液体混合物を供給し、その反
対側である二次側から混合物中の一部の成分を分離する
ものである。その場合において、通常、二次側は減圧す
るか窒素等の不活性ガスまたは液体で掃引することが好
ましい。不活性ガスまたは温度差を有する液体で二次側
を掃引する方法は、高い真空度に保つ必要がないので、
減圧にする方法よりエネルギー的観点から有利である。
【0015】本発明における有機液体混合物は、化学結
合あるいは分子構造の異なる有機化合物から選ばれるも
のの組合せの混合物であれば特に限定されるものではな
い。例えば、ナフサ、ガソリン、灯油、軽油などとなる
構成成分を含む石油留分が利用でき、それについて例示
すると、パラフィン系炭化水素、オレフィン系炭化水
素、ナフテン系炭化水素、および芳香族系炭化水素のう
ち、2つ以上の炭化水素成分を含むものである。また、
硫黄化合物、窒素化合物、酸素化合物、金属化合物など
の非炭化水素成分を含んでいても差し支えないし、天然
ガスや炭酸ガス、ヘリウムガスなどの気体成分を含んで
いてもよい。
【0016】ここで、パラフィン系炭化水素とは、Cn
2n+2の分子式の飽和鎖状化合物で、分枝のないn−パ
ラフィンと枝分かれしたイソパラフィンとがあり、具体
的には、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘ
プタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン、n−
ウンデカン、n−ドデカン、2−メチルブタン、2,2
−ジメチルプロパンなどが挙げられる。
【0017】オレフィン系炭化水素とは、通常は二重結
合を有する炭化水素で、さらに述べれば二重結合1個の
場合はCn2nの一般式で示される鎖状炭化水素であ
る。具体的には、例えば、1−ペンテン、1−ヘキセ
ン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デ
セン、1−ウンデセン、1−ドデセンなどが挙げられ
る。
【0018】ナフテン系炭化水素とは、1分子中に少な
くとも1個の飽和環を含む炭化水素で、炭素数5個のシ
クロペンタンと、炭素数6個のシクロヘキサンが最も基
本となる環状化合物であり、一般式はCn2nである。
芳香族系炭化水素とは、1分子中に少なくとも1個の芳
香族環を含む炭化水素のことで、具体的には、例えば、
ベンゼンやベンゼンに側鎖のついたトルエン、キシレン
などの単環化合物である。
【0019】有機液体混合物から膜を通じて分離される
一部の成分とは、特に限定されるものではないが、前述
のようなオレフィン系炭化水素、特に芳香族炭化水素が
好適なものとして規定できる。さらに本発明の分離膜が
好適に使用されるのは、芳香族系炭化水素を含む有機液
体混合物からより芳香族系炭化水素成分濃度の高い有機
液体混合物を取り出す作業であり、さらにこの有機液体
混合物がガソリンであるものである。
【0020】本発明の分離膜は、多孔質膜を基材膜と
し、その多孔質支持膜の細孔内径に銀イオンを対イオン
としたスルホン酸基含有ポリイミドの層を形成したこと
を特徴とする。本発明の分離膜を用いた有機液体混合物
の分離においては、有機液体の混合物の少なくとも1成
分が該分離膜を蒸気の状態または多孔質膜の微細孔内に
毛管凝縮を起こした状態で透過していくものと推定され
る。
【0021】膜の細孔径の平均孔径または細孔径分布を
測定する方法は種々あるが、本発明で使用した分離膜の
孔径については、多孔質支持膜の孔径と付与したスルホ
ン酸基含有ポリイミド溶液濃度から推定することができ
る。スルホン酸基含有ポリイミド層の厚みは使用したス
ルホン酸基含有ポリイミド溶液の濃度、多孔質支持膜の
空隙率から推定することができる。
【0022】多孔質支持膜の平均細孔径については水の
透過速度と膜の空隙率とから算出される平均孔径で定義
することができる。 DP=2・(LP・λ・8η/ΦW 1/2 ここで、DPは平均孔径[cm]、LPは透水性[cm
3・dyn-1・s-1]、λは膜厚[cm]、ηは水の粘
土[dyn・s・cm2]、ΦW は膜の含水率すなわち
空隙率である。
【0023】分離膜が性能を発現するには、多孔質支持
膜の微細孔内面に銀イオンを対イオンとしたスルホン酸
基含有ポリイミド層が付与された状態での平均孔径とし
て0.5〜50nmの範囲にあることが好適であり、好
ましくは、0.5〜20nm、更に好ましくは1〜10
nmの範囲であることから、該多孔質支持膜の孔径につ
いても0.5〜50nmの範囲にあることが好適であ
り、好ましくは、0.5〜20nm、更に好ましくは1
〜10nmの範囲である。多孔質支持膜の孔径が小さす
ぎると、孔径が銀イオンを対イオンとしたスルホン酸基
含有ポリイミド層で閉塞され透過速度が低下し、大きす
ぎると分離の選択性が悪くなる。
【0024】多孔質支持膜の素材は、有機液体混合物お
よびスルホン酸基含有ポリイミド溶液やスルホン酸基含
有ポリイミドの前駆体であるポリアミック酸に対して耐
久性がある有機高分子が好ましく使用される。このよう
な高分子素材の例としてはポリフェニレンスルホン、ポ
リフェニレンスルフィドスルホン、ポリテトラフルオロ
エチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリ
ル、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン等を
挙げることができる。
【0025】多孔質支持膜の微細孔内面への銀イオンを
対イオンとしたスルホン酸基含有ポリイミドの付与方法
は、多孔質支持膜の多孔質構造が維持されるものであれ
ば特に限定されないが、該多孔質支持膜をスルホン酸基
含有ポリイミドの溶液中に浸漬する方法や、スルホン酸
基含有ポリイミドを多孔質支持膜に塗布する方法が挙げ
られる。スルホン酸基含有ポリイミドの溶媒を除去する
方法としては、熱をかけて溶媒を気化させる方法や不活
性ガスを接触させて溶媒を気化させる方法、スルホン酸
基含有ポリイミドが溶解しない溶媒と接触させてスルホ
ン酸基含有ポリイミドの溶媒を置換除去する方法などが
挙げられ、これらの方法を組み合わせて使用してもよ
い。あるいは、多孔質支持膜の微細孔内面へのスルホン
酸基含有ポリイミドの付与方法として、ポリイミドの前
駆体ポリマーであるポリアミック酸を用いて多孔質支持
膜の微細孔内面にポリアミック酸を付与した後、該ポリ
アミック酸をポリイミド化して、多孔質支持膜の微細孔
内面にスルホン酸基含有ポリイミドを付与する方法など
がある。
【0026】次に、多孔質支持膜の微細孔表面に付与さ
れたスルホン酸基含有ポリイミドのスルホン酸基の対イ
オンに銀イオンを付与する方法は、スルホン酸基含有ポ
リイミドを付与した多孔質支持膜を銀イオン水溶液に浸
漬する方法や銀イオン水溶液を塗布する方法が挙げられ
る。銀イオン水溶液の溶媒を除去する方法としては、熱
をかけて溶媒を気化させる方法や不活性ガスを接触させ
て溶媒を気化させる方法、真空乾燥器内で溶媒を気化さ
せる方法などが挙げられ、これらの方法を組み合わせて
使用してもよい。
【0027】また、多孔質支持膜の微細孔内面への銀イ
オンを対イオンとしたスルホン酸基含有ポリイミドの付
与方法は、多孔質支持膜の多孔質構造が維持されるもの
であれば特に限定されないが、該多孔質支持膜を銀イオ
ンを対イオンとしたスルホン酸基含有ポリイミドの溶液
中に浸漬する方法や、銀イオンを対イオンとしたスルホ
ン酸基含有ポリイミドを多孔質支持膜に塗布する方法が
挙げられる。銀イオンを対イオンとしたスルホン酸基含
有ポリイミドの溶媒を除去する方法としては、熱をかけ
て溶媒を気化させる方法や不活性ガスを接触させて溶媒
を気化させる方法、スルホン酸基含有ポリイミドが溶解
しない溶媒と接触させてスルホン酸基含有ポリイミドの
溶媒を置換除去する方法などが挙げられ、これらの方法
を組み合わせて使用してもよい。
【0028】本発明の銀イオンを対イオンとしたスルホ
ン酸基含有ポリイミドの層は多孔質支持膜の微細孔内面
に設けられることが重要である。本発明のスルホン酸基
含有ポリイミドの合成に使用されるモノマーはジアミン
成分と酸無水物成分であり、ジアミン成分としては、一
分子中に2個のアミノ基を有し、1個以上のスルホン酸
基を有するアミンであり、ジアミンのモノマーとして
は、1,3−フェニレンジアミン−4−スルホン酸、
2,5−ジアミノベンゼンスルホン酸、2,2’−ベン
ジジンスルホン酸などが好適に使用することができる。
【0029】また、酸無水物成分としては、一分子中に
2個の酸無水物基を有するものであり、先のジアミンと
反応してポリイミドを形成するもので、酸無水物成分の
モノマーとして、例えば、3,3',4,4'−ジフェニ
ルスルホンテトラカルボン酸無水物、4,4'−(ヘキ
サフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、3,
3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無
水物、二無水ピロメリット酸などがが好ましく使用でき
る。
【0030】また、使用されるポリイミドは、複数の酸
無水物成分や複数のアミン成分から合成されるものでも
差し支えない。銀イオンの原料として用いる銀塩は、硝
酸銀やテトラフルオロ硝酸銀などが好ましく使用され
る。また、使用されるスルホン酸基含有ポリイミドは、
複数のポリマーを使用しても差し支えないし、使用され
る銀塩も複数の銀塩を使用しても差し支えない。
【0031】さらに好ましい分離性能を発現させるため
には、本発明の分離膜には、さらに一次側の有機液体混
合物と接触する面にさらに非多孔質の層を設けることが
好ましい。これにより膜の微細孔内への一次側からの有
機液体混合物の侵入を防止し、毛管凝縮を起こす部分を
維持することができるためと推測している。
【0032】有機液体混合物と接液する面に設ける層に
用いる素材は、少なくとも1成分の蒸気を透過し、該有
機液体混合物の液体としての透過を阻止する性質を有す
るものが好ましい。透過速度が有利に得られる点から、
分離操作を行う状況でゴム状態の高分子が好ましく、こ
のような高分子素材の例としては、ポリイソブチレン、
ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリ−1−ブテン、
ポリ−1−ペンテン、ポリオキシメチレン、ポリ−4−
メチルペンテン−1、ポリビニルアルコール、ポリジメ
チルシロキサン、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニ
ル等を挙げることができる。有機液体混合物に対する耐
久性が優れ、薄膜形成性が優れる点で架橋構造を有する
ポリジメチルシロキサンすなわち架橋シリコーンは特に
好ましく用いられる。
【0033】分離膜の形態は平膜、管状膜、中空糸膜等
のいずれの状態のものでもよい。さらに本発明によれ
ば、本発明の分離膜、分離膜の一方の側に有機液体混合
物供給部および前記分離膜の逆の側に透過有機液体取出
部を有する有機液体混合物分離装置、すなわち分離膜モ
ジュールを作成することができる。分離膜モジュールの
形態も平膜も平板型、スパイラル型、プリーツ型、管状
型、中空糸型等いずれの形態でも本発明に用いることが
できる。モジュール化したときを考慮すると、分離膜の
形状としては、膜の自己支持性と機械的・力学的特性、
およびモジュールの構成要素が少なく、耐溶剤性の観点
から中空糸膜が好ましく使用される。
【0034】
【実施例】以下に具体的な比較例と実施例を挙げて本発
明を説明するが、本発明はこれらにより何ら限定される
ものではない。
【0035】実施例1 ジアミン成分として1,3−フェニレンジアミン−4−
スルホン酸と酸無水物成分として3,3',4,4'−ジ
フェニルスルホンテトラカルボン酸無水物から合成した
スルホン酸基含有ポリイミドを、ジメチルアセトアミド
0.1重量%の溶液を調整して複合膜化溶液を得た。平
均細孔径7.5nm、外径1180μm、内径780μ
mのポリフェニレンスルホン中空糸膜を約30cmの長
さに切り、10本を複合膜化溶液に12時間浸漬後、膜
を真空乾燥して溶媒を除去した。その後、1N−NaO
H水溶液に12時間浸漬し、2N−テトラフルオロほう
酸銀水溶液に24時間浸漬した。浸漬後液きりをし風乾
した後、真空乾燥を行い溶媒を除去して中空糸複合膜を
得た。
【0036】2個の枝管の付いた試験用のガラス管ミニ
モジュールに8本の中空糸複合膜を束ねて挿入し、ガラ
ス管ミニモジュールの両端部をエポキシ接着剤でポッテ
ィングし、試験用膜モジュールを作製した。得られた中
空糸膜の内表面を架橋シリコーン溶液でコーティングし
た。コーティング方法は、試験用膜モジュールにシリコ
ーンチューブを接続し、架橋シリコーン溶液を6ccチ
ューブの内側に注いで中空糸膜の内側をコーティングし
た。試験用膜モジュールは、架橋シリコーン溶液を液き
りして窒素ガスで緩やかに約2分パージしたあと60℃
のオーブンにて5分加熱した。架橋シリコーン溶液の調
製方法は、櫛型アミノ変成シリコーンのシクロヘキサン
溶液と架橋剤であるトリレンジイソシアネートのシクロ
ヘキサン溶液を等量混合して得た。櫛型アミノ変成シリ
コーン溶液は、東レシリコーン(株)製BY16−87
2(分子量約12万、側鎖導入率シロキサンユニット中
約1.6%)を用い、2重量%のシクロヘキサン溶液を
調製した。トリレンジイソシアネート溶液は日本ポリウ
レタン(株)製トリレンジイソシアネートコロネートT
−80を用い、0.9重量%のシクロヘキサン溶液を調
製した。
【0037】この試験用ガラス管ミニモジュールを使っ
て、ベンゼン濃度が9mol%のベンゼンとn−ヘプタ
ンを混合した有機液体混合物の分離実験を行なった。有
機液体混合物を約50℃として中空糸膜の内側に膜面線
速度0.2m/secで供給した。中空糸膜の外側には
窒素ガスを膜面線速度2.0m/secで流し、外側に
流れた窒素ガスを液体窒素のコールドトラップで捕捉
し、透過蒸気を凝縮回収した、この透過液成分の濃度を
ガスクロマトグラフィーで測定し、分離係数(α)を算
出した。
【0038】なお、分離係数は「透過液のベンゼン濃度
/透過液のn−ヘプタン濃度」を「供給液のベンゼン濃
度/供給液のn−ヘプタン濃度」で除したものである。
【0039】その結果、分離係数は3.06であった。
膜透過速度は3.3×10-4kg/(m2 ・hr)であ
った。
【0040】実施例2 使用したスルホン酸基含有ポリイミドの溶液濃度が0.
5重量%であること以外は、実施例1と同じ方法により
複合中空糸膜を調製し試験用膜モジュールを作製した。
さらに、実施例1と同じ方法でシリコーンコーティング
を行った、そのモジュールを用い実施例1と同じ方法で
有機液体混合物の分離実験を行なった。分離係数は5.
45であった。膜透過速度は9.2×10-5kg/(m
2 ・hr)であった。
【0041】実施例3 使用したイオン性基含有ポリマーの溶液濃度が2.0重
量%であること以外は、実施例1と同じ方法により複合
中空糸膜を調製し試験用膜モジュールを作製した。さら
に、実施例1と同じ方法でシリコーンコーティングを行
った、そのモジュールを用い実施例1と同じ方法で有機
液体混合物の分離実験を行なった。分離係数は5.31
であった。膜透過速度は7.4×10-5kg/(m2
hr)であった。
【0042】比較例1 平均細孔径7.5nm、外径1180μm、内径780
μmのポリフェニレンスルホン中空糸膜を約20cmの
長さに切り、8本を束ねてガラス管ミニモジュールに挿
入し、両端をエポキシ接着剤でポッティングし、試験用
膜モジュールを作製した。さらに、試験用膜モジュール
の中空糸膜内表面を架橋シリコーン溶液でコーティング
した。コーティング方法は、試験用膜モジュールにシリ
コーンチューブを接続し、架橋シリコーン溶液を6cc
チューブの内側に注いで中空糸膜の内側をコーティング
した。試験用膜モジュールは、架橋シリコーン溶液を液
きりして窒素ガスで緩やかに約2分パージしたあと60
℃のオーブンにて5分加熱した。
【0043】架橋シリコーン溶液の調製方法は、櫛型ア
ミノ変成シリコーンのシクロヘキサン溶液と架橋剤であ
るトリレンジイソシアネートのシクロヘキサン溶液を等
量混合して得た。櫛型アミノ変成シリコーン溶液は、東
レシリコーン(株)製BY16−872(分子量約12
万、側鎖導入率シロキサンユニット中約1.6%)を用
い、2重量%のシクロヘキサン溶液を調製した。トリレ
ンジイソシアネート溶液は日本ポリウレタン(株)製ト
リレンジイソシアネートコロネートT−80を用い、
0.9重量%のシクロヘキサン溶液を調製した。
【0044】この試験用モジュールを使って、ベンゼン
濃度が9mol%のベンゼンとn−ヘプタンを混合した
有機液体混合物の分離実験を行なった。有機液体混合物
を約50℃として中空糸膜の内側に膜面線速度0.2m
/secの流量で供給した。中空糸膜の外側には窒素ガ
スを膜面線速度2.0m/secで流し、外側に流れた
窒素ガスを液体窒素のコールドトラップで捕捉し、透過
蒸気を凝縮回収した。この透過液成分の濃度をガスクロ
マトグラフィーで測定し、分離係数を算出した。試験用
膜モジュールの分離係数は1.81であった。膜透過速
度は2.411kg/(m2 ・hr)であった。
【0045】
【発明の効果】本発明の分離膜および分離方法によれ
ば、膜の微細孔内面に銀イオンを対イオンとするスルホ
ン酸基含有ポリイミドが設けられているために、より高
い分離係数で有機液体混合物から一部の物質を取り出す
ことができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B01D 71/34 B01D 71/34 71/42 71/42 71/64 71/64 71/68 71/68 (72)発明者 房岡 良成 滋賀県大津市園山1丁目1番1号 東レ株 式会社滋賀事業場内 Fターム(参考) 4D006 GA25 HA01 HA21 HA41 MA01 MA02 MA03 MA09 MA22 MA30 MC22 MC23 MC29 MC39 MC58X MC62 MC74X NA44 NA62 NA64 PA05 PB13 PC80 4D011 AA17

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機液体混合物を膜の片側に供給し、他
    の側から気相で有機液体混合物中の一部の成分を分離す
    る方法に用いられる分離膜であって、該分離膜が多孔質
    支持膜と多孔質支持膜の細孔内面に存在する銀イオンを
    対イオンとしたスルホン酸基含有ポリイミドとを含むこ
    とを特徴とする分離膜。
  2. 【請求項2】 前記多孔質支持膜の平均細孔径が0.5
    〜50nmの範囲にあることを特徴とする請求項1に記
    載の分離膜。
  3. 【請求項3】 有機液体混合物が供給される面側に、さ
    らに非多孔層が存在していることを特徴とする請求項1
    または2に記載の分離膜。
  4. 【請求項4】 前記多孔質支持膜の素材がポリフェニレ
    ンスルフォン、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポ
    リフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリスル
    ホン、ポリエチレンおよびポリプロピレンから選ばれる
    ものであることを特徴とする請求項1から3のいずれか
    に記載の分離膜。
  5. 【請求項5】 分離膜が中空糸膜、平膜および管状膜か
    ら選ばれるものであることを特徴とする請求項1から4
    のいずれかに記載の分離膜。
  6. 【請求項6】 多孔質支持膜をスルホン酸基含有ポリイ
    ミドの溶液に接触させた後、スルホン酸基含有ポリイミ
    ドの溶液の溶媒を除去し、さらに銀イオン水溶液に接触
    させ、該多孔質支持膜の細孔内表面層に銀イオンを対イ
    オンとしたスルホン酸基含有ポリマーを形成させること
    を特徴とする、有機液体混合物を膜の片側に供給し、他
    の側から気相で有機液体混合物中の一部の成分を分離す
    るための分離膜の製造方法。
  7. 【請求項7】 多孔質支持膜を銀イオンを対イオンとし
    たスルホン酸基含有ポリイミドの溶液に接触させた後、
    銀イオンを対イオンとしたスルホン酸基含有ポリイミド
    の溶液の溶媒を除去し、該多孔質支持膜の細孔内表面層
    に銀イオンを対イオンとしたスルホン酸基含有ポリイミ
    ドを形成させることを特徴とする、有機液体混合物を膜
    の片側に供給し、他の側から気相で有機液体混合物中の
    一部の成分を分離するための分離膜の製造方法。
  8. 【請求項8】 多孔質支持膜をスルホン酸基含有ポリイ
    ミドの前駆体ポリマーであるポリアミック酸の溶液に接
    触させた後、ポリアミック酸溶液の溶媒を除去し、該多
    孔質支持膜の細孔内表面層に該ポリアミック酸層を形成
    させた後、該ポリアミック酸をイミド化してポリイミド
    層を形成させ、さらに銀イオン水溶液に接触させて、該
    多孔質支持膜の細孔内表面層に銀イオンを対イオンとし
    たスルホン酸基含有ポリイミド層を形成させることを特
    徴とする、有機液体混合物を膜の片側に供給し、他の側
    から気相で有機液体混合物中の一部の成分を分離するた
    めの分離膜の製造方法。
  9. 【請求項9】 ポリアミック酸溶液の除去を、空気また
    は液体との接触により行う、請求項8に記載の分離膜の
    製造方法。
  10. 【請求項10】ポリアミック酸のイミド化を、ポリアミ
    ック酸に脱水性試薬を接触させる方法またはポリアミッ
    ク酸を熱処理する方法により行う、請求項8に記載の分
    離膜の製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項1から5のいずれかに記載の分
    離膜の片側に有機液体混合物を供給し、他の側から気相
    で有機液体混合物中の一部の成分を分離することを特徴
    とする有機液体混合物の分離方法。
  12. 【請求項12】 有機液体混合物が芳香族系炭化水素を
    含むものであり、分離される一部の成分が有機液体混合
    物より芳香族系炭化水素成分濃度の高い有機液体混合物
    である、請求項11に記載の有機液体混合物の分離方
    法。
  13. 【請求項13】 有機液体混合物が芳香族系炭化水素を
    含むガソリンであることを特徴とする、請求項12に記
    載の有機液体混合物の分離方法。
  14. 【請求項14】 容器内に請求項1から5のいずれかに
    記載の分離膜、前記分離膜の一方の側に有機液体混合物
    供給部、およびその膜の反対の位置に透過有機液体取出
    部を有することを特徴とする有機液体混合物分離装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US9862656B2 (en) 2012-02-03 2018-01-09 Sumitomo Seika Chemicals Co., Ltd. Method for producing paraffins

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