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JP2001262268A - 高強度低合金耐熱鋼 - Google Patents

高強度低合金耐熱鋼

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Publication number
JP2001262268A
JP2001262268A JP2000306617A JP2000306617A JP2001262268A JP 2001262268 A JP2001262268 A JP 2001262268A JP 2000306617 A JP2000306617 A JP 2000306617A JP 2000306617 A JP2000306617 A JP 2000306617A JP 2001262268 A JP2001262268 A JP 2001262268A
Authority
JP
Japan
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steel
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low alloy
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JP2000306617A
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English (en)
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Inventor
Yoshiori Kono
佳織 河野
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Publication date
Application filed by Sumitomo Metal Industries Ltd filed Critical Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】400℃以上の高温におけるクリープ強度の高
い高強度低合金鋼であっても耐焼戻し脆化および耐SR
割れ性に優れている鋼の提供。 【解決手段】質量%で、C:0.01〜0.25%、M
o:0.1〜2.5%、V:0.01〜0.5%、C
r:0.05〜3%、N:0.01%以下を含み、かつ
下式で表される指数Mが0.1以上である高強度低合金
耐熱鋼。 M=(0.08Cr-0.1W+0.03/C+0.04+0.855V)×(Mo+0.5√Mo)
×0.65 ここで、元素記号は各元素の含有量(質量%)を示す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、耐焼戻し脆化お
よび耐応力除去焼きなまし割れ性(以下、耐SR割れ性
と記す)に優れ、かつ400℃以上の高温におけるクリ
ープ強度が高い耐熱鋼に係わり、さらに詳しくはボイ
ラ、化学工業および原子力などの分野における熱交換器
や配管、耐熱バルブおよび接続継手等の用途、特に加工
後の応力緩和熱処理や溶接後の熱処理が必要な用途に好
適な低合金耐熱鋼に関する。
【0002】
【従来の技術】400℃以上の高温で使用される耐熱鋼
には、(1)Cr含有量が数%の低Crフェライト鋼、
(2)Cr含有量が9〜12%の高Crフェライト鋼、
(3)オーステナイト鋼等に大別される。どのような耐
熱鋼を使用するかは、温度や圧力等の使用環境および経
済性を考慮して適宜決定される。
【0003】これらの耐熱鋼のなかで、炭素鋼や低Cr
フェライト鋼は、高Crフェライト鋼やオーステナイト
鋼に比べて格段に安価で、熱膨張率が小さく、かつ熱伝
導性が優れていることが特徴である。このような炭素鋼
および低合金鋼の代表例としてJISで規格化されてい
る、STBA12(0.45/0.65Mo)、STBA22(0.8
/1.25Cr-0.45/0.65Mo)、STBA23(1/1.5Cr-0.45/0.
65Mo)、STBA24(1.9/2.6Cr-0.87/1.13Mo)、等が
知られている。
【0004】高温強度は、耐圧部材の設計上極めて重要
であり、使用温度によらず高強度であることが望まし
い。特に、ボイラ、化学工業および原子力用として用い
られている耐熱耐圧鋼管では、素材の高温強度に応じて
管の肉厚が決定される。
【0005】このように所望の高強度を得るため、低C
rフェライト鋼においては、多くの場合、析出強化が利
用される。すなわち、析出強化元素であるV、Nbおよ
びTi等を添加し、微細な炭窒化物を析出させることに
より高温強度が得られる。
【0006】このような低Crフェライト鋼は例えば、
特開昭57−131349号、特開昭57−13135
0号、特開昭59−226152号、特開平8−158
022号等の各公報により多数の提案がされ、実用化も
されている。
【0007】しかし、高強度鋼の場合、粒内の強度が高
くなるため、相対的に粒界強度が弱くなり、焼戻し脆化
がおこりやすくなったり、応力除去焼きなまし時に粒界
割れを伴うSR割れを生ずる場合がある。このため、構
造物の安全性を確保するために、母材の組織制御、溶接
方法、熱処理時の昇温と降温速度、熱処理温度および熱
処理時間等に細かい制約が設けられることが多く、施工
上必ずしも取り扱いやすいとはいえない。
【0008】低合金鋼の焼戻し脆化改善方法として、例
えば特開昭55−6458号公報に開示されているよう
に、鋼中のSb、AsおよびP等の不純物元素量を制限
する方法や、特開昭61−16419号公報に開示され
ているように、AlN等の窒化物を利用して、母材の粗
粒化を抑制する方法等が提案されている。
【0009】しかしながら、製鋼技術が向上し不純物元
素量が十分に低減できるようになった現在においても、
なお問題は解決されていないこと、また窒化物が低温靱
性や耐食性の悪化原因となり、その析出量が制限される
こと等から、さらに本質的な対策が望まれている。そし
て、特にCr含有量の少ない低合金鋼において、この問
題は深刻である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、40
0℃以上の高温におけるクリープ強度の高い高強度低合
金鋼であっても耐焼戻し脆化および耐SR割れ性に優れ
た鋼を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者は、低合金鋼の
焼戻し脆化およびSR割れの要因を明らかにする目的で
実験を繰り返した結果、以下の知見を得た。
【0012】a)低合金鋼の焼戻し脆化およびSR割れ
は、マトリックス中の固溶Mo量を0.1%以上に保持
することにより軽減される。
【0013】b)鋼にMoを添加した場合、Moは次の
各形態をとる。すなわち、鋼中のMoは、(1)M23
6型炭化物、M73型炭化物、M6C型炭化物の一部とし
て析出、(2)セメンタイト中に固溶、(3)Mo2
型炭化物として析出、(4)MC型析出物の一部として
析出、(5)析出せずにマトリックス中に固溶する、の
いずれかである。ここで、MはFe,Cr,Mo,W,
V,Nbなどの金属元素の総称であり、「各炭化物の一
部として析出する」とはMの一部がMo原子で置換され
ることを意味する。したがって、化学組成の違いによっ
て、Moの形態が変化するので、Moの含有総量が0.
1%以上であっても、炭化物として析出する量が多けれ
ば、マトリックス中に固溶する量は0.1%未満とな
る。
【0014】c)低合金鋼においては、CrおよびVの
添加により固溶Mo量が増加し、C量の増量およびW添
加により固溶Mo量が減少する。
【0015】d)固溶Mo量を0.1%以上に保持する
ためには、下記式で示される指数Mが0.1以上になる
ように成分設計する必要がある。
【0016】M=(0.08Cr-0.1W+0.03/C+0.04+0.855V)×
(Mo+0.5√Mo)×0.65 以上の知見に基づき、低合金鋼を構成する元素中、C
r、V、WおよびC量と固溶Mo量との関係で整理し、
かつ高温強度および低温靱性などの性能を高めるための
成分設計をおこない、耐焼戻し脆化および耐SR割れ性
に優れた高強度低合金鋼を得るに至った。本発明の要旨
は以下の通りである。 (1)質量%で、C:0.01〜0.25% Mo:0.1〜2.5% V:0.01〜0.5% Cr:0.05〜3% N:0.01%以下 を含み、かつ下記(1)式で表される指数Mが0.1以
上である高強度低合金耐熱鋼。
【0017】 M=(0.08Cr+0.03/C+0.04+0.855V)×(Mo+0.5√Mo)×0.65 ・・・(1) ここで、元素記号は各元素の含有量(質量%)を示す。 (2)さらに、質量%でW:0.05〜3%を含み、か
つ下式(2)式で表される指数Mが0.1以上である上
記(1)に記載の高強度低合金耐熱鋼。
【0018】 M=(0.08Cr-0.1W+0.03/C+0.04+0.855V)×(Mo+0.5√Mo)×0.65 ・・・(2) (3)質量%で、Ti:0.001〜0.05%、N
b:0.005〜0.1%の1種または2種を含む上記
(1)または(2)に記載の高強度低合金耐熱鋼。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明の耐熱鋼の化学組成を限定
した理由について以下に詳しく説明する。なお、以下の
説明において、化学組成の含有量の%表示はすべて質量
%を意味する。
【0020】C:0.01〜0.25% Cは、オーステナイト安定化元素として組織を安定化す
る。また、本発明鋼はマルテンサイト、ベイナイト、フ
ェライトまたはこれらを2種以上含む混合組織である
が、C含有量はこれらの組織のバランス制御のためにも
重要である。さらに、V、Nb、TiおよびZr等の析
出強化型の元素を含む場合には、これらの元素とMX型
微細炭化物を形成し、高温強度の向上に寄与する。ただ
し、C含有量が0.01%未満では上記の効果が得られ
なく、また焼入性が低下して強度と靱性を損なう。一
方、0.25%を超えると、炭化物の析出量が増えてM
oの固溶量が確保できなくなり、焼戻し脆化やSR割れ
を起こしやすくなる。したがって、C含有量は0.01
〜0.25%とした。好ましくは、0.03〜0.20
%、さらに好ましくは0.05〜0.2%である。
【0021】Mo:0.1〜2.5% Moは、本発明鋼において最重要元素で、マトリックス
中のMo固溶量を0.1%以上確保することにより、耐
焼戻し脆性および耐SR割れ性が改善される。さらに、
Moは固溶強化の作用を有しており、強度の向上に寄与
する。また、Mo2C 炭化物やMX型炭化物などの微細
析出物を形成するため、析出強化作用も有する。しか
し、含有量が0.1%未満ではマトリックス中のMoの
固溶量が不十分で、耐焼戻し脆性および耐SR割れ性の
改善に寄与しない。一方、2.5%を超えて過剰に含有
させると、M236やM6C等の粗大な炭化物の析出量が
増加し、靱性やクリープ強度に悪影響を与える。したが
って、Moの含有量は0.1〜2.5%とした。好まし
くは0.15〜1%、さらに好ましくは0.25〜0.
75%である。
【0022】V:0.01〜0.5% Vは、M236型炭化物の析出を抑制し、Moの固溶量
を増加させる。さらに、VはMX型の微細炭窒化物を形
成し、高強度化に寄与する。しかし、0.01%未満で
は、これらの効果は得られない。一方、0.5%を超え
て含有させると、MX型の炭窒化物が粗大化して、かえ
って強度と靱性を損なう。したがって、V含有量は0.
01〜0.5%とする。好ましくは、0.03〜0.2
%、さらに好ましくは0.05〜0.15%である。
【0023】Cr:0.05〜3% Crは、固溶Moの増加に寄与し、さらに耐酸化性と高
温耐食性を改善するため不可欠な元素である。Cr含有
量が0.05%未満ではこれらの効果は得られない。一
方、その含有量が3%を超えると経済性が低下して低合
金鋼の利点が少なくなる、したがってCr含有量は0.
05〜3%とする。好ましいCrの下限値は0.5%、
さらに好ましくは1%である。
【0024】上記の合金成分の他に、必要に応じて下記
の(1)〜(10)のグループの内から選ばれた1または2グ
ループ以上の元素を含有させてもよく、不純物として含
まれるPとSの含有量は、それぞれ、質量%で、0.0
3%以下、0.015%以下であることが好ましい。
【0025】(1)W:0.05〜3% (2)N:0.01%以下 (3)Ti:0.001〜0.05%、Nb:0.005
〜0.1%の1種または 2種 (4)Cu:0.01〜0.5%、Ni:0.01〜0.
5%、Co:0.01〜 0.5%のうちから選ばれ
た1種または2種以上 (5)Ta:0.002〜0.1%,Zr:0.001〜
0.1%の1種または2 種 (6)B:0.0001〜0.01% (7)Al:0.001〜0.05% (8)Si:0.01〜1% (9)Mn:0.01〜1% (10)Ca:0.0001〜0.01%、Mg:0.00
01〜0.01%の1種または2種 以下、上記の諸元素について説明する。
【0026】W:0.05〜3% Wは、必要により含有させる元素で、含有させれば固溶
強化に寄与し、より高温のクリープ強度向上に有効であ
る。この効果は、0.05%以上の添加で得られる。し
かし、3%を超えて含有させると、マトリックス中のM
oの固溶量が減少する上に、長時間使用中に粗大なM6
C 型析出物を形成して、クリープ強度や靱性を損な
う。したがって、Wを含有させる場合は0.01〜3%
とするのが好ましい。さらに好ましくは、0.05〜2
%、さらに好ましくは0.1〜1.5%である。
【0027】N:0.01%以下 Nは必要により含有させる元素で、含有させれば微細な
窒化物を形成してクリープ強度の向上、結晶粒細粒化に
よる靱性改善に寄与する。含有させる場合は、0.00
1%以上が好ましい。一方、0.01%を超えると窒化
物が粗大化して靱性が著しく劣化する。好ましくは0.
001〜0.008%、より好ましくは0.003〜
0.007%である。
【0028】Ti:0.001〜0.05%、Nb:
0.005〜0.1% TiおよびNbは必要により1種以上含有させる元素
で、Tiを含有させればNと結合して微細な窒化物Ti
Nを形成して結晶粒の粗粒化を防止し、靱性の向上、焼
戻し脆化やSR割れ抑制に有効である。しかしながら、
0.05%を超えて含有させると、粗大な窒化物を形成
してかえって靱性を劣化させるため、Ti含有量は0.
001〜0.05%とするのが好ましい。さらに好まし
くは、0.003〜0.02%、さらに好ましくは0.
005〜0.012%である。
【0029】Nbを含有させればN、Cと結合して微細
な炭窒化物を形成する。さらに、NbはTiと複合して
含有させれば、複合析出した(Nb、Ti)(N、C)
は広い温度範囲に渡って微細、かつ安定であるため結晶
粒粗大化防止に有効である。しかしながら、0.005
%未満ではこれらの効果が得られない。一方、0.1%
を超えると粗大な炭窒化物を形成してかえって靱性を劣
化させるため、Nb含有量は0.005〜0.1%とす
るのが好ましい。さらに好ましくは、0.1〜0.08
%、さらに好ましくは0.02〜0.06%である。
【0030】Cu、Ni、Co:これらの元素は必要に
より含有させる元素で、含有させればいずれの元素もオ
ーステナイト安定化に寄与する元素であり、かつ固溶強
化作用を有するので、クリープ強度の向上および長時間
使用時でのクリープ強度の低下防止に有効である。これ
らの効果は、いずれの元素も0.01%で得られる。し
かし、いずれの元素も0.5%を超えて含有させると高
温クリープ強度が低下する。また、経済性の観点からも
過剰添加は好ましくない。したがって、含有させる場合
のこれらの元素量は、いずれの元素も0.01〜0.5
%とするのがよい。いずれの元素も、好ましい範囲は
0.02〜0.3%で、さらに好ましくは0.1〜0.
25%である。
【0031】なお、これらの元素はいずれか1種のみま
たは2種以上の複合で含有させることができる。また、
Niについては靱性、Cuについては熱伝導性を向上さ
せる作用もある。
【0032】Ta、Zr これらの元素は必要により含有させる元素で、含有させ
れば高温で炭窒化物を形成し、結晶粒の粗大化抑制寄与
する。このため、高温での熱処理を必要とする場合な
ど、必要に応じて含有させてもよく、その効果はTa:
0.002%以上、Zr:0.001%以上で顕著にな
る。しかし、いずれの元素も0.1%を超えて含有させ
ると、粗大な析出物を形成し、かえって靱性を劣化させ
る。したがって、含有させる場合のこれらの元素量はT
a:0.002〜0.1%。Zr:0.001〜0.1
%である。より好ましい範囲はTa:0.005〜0.
07%、Zr:0.003〜0.05%、さらに好まし
い範囲はTa:0.01〜0.02%、Zr:0.00
5〜0.012%である。
【0033】B:Bは必要により含有させる元素で、含
有させれば焼入性の向上による安定した強度の確保に有
効な元素である。この効果は、0.0001%以上で得
られる。しかし、0.1%を超えて含有させると炭化物
を粗大化させて強度低下や靱性低下の原因となる。した
がって、含有させる場合のB量は0.0001〜0.1
%とするのがよい。好ましい範囲は0.0005〜0.
015%、さらに好ましい範囲は0.002〜0.00
5%である。
【0034】Al:Alは脱酸剤として使用した場合に
残留する元素である。含有させる場合、この効果は0.
001%以上で得られる。しかし、0.05%を超えて
含有させるとクリープ強度と加工性を損なう。したがっ
て、含有させる場合のAl含有量は0.001〜0.0
5%とするのがよい。好ましい範囲は0.0015〜
0.02%、より好ましい範囲は0.002〜0.01
5%である。なお、本発明でいうAlとは、酸可溶Al
(sol.Al)のことである。
【0035】Si:Siは、脱酸剤と有効な元素あり、
含有させると鋼の耐水蒸気酸化特性を高める元素でもあ
る。これらの効果は0.01%以上で得られる。しか
し、1%を超えて含有させると靱性が著しく低下し、ク
リープ強度に対しても有害である。したがって、含有さ
せる場合のSi量は0.01〜1%とするのがよい。好
ましい範囲は0.1〜0.6%、より好ましい範囲は
0.15〜0.45%である。
【0036】Mn:Mnは必要により含有させる元素
で、含有させれば溶製時の脱硫および脱酸効果によって
熱間加工性を向上させる他、焼入性を向上させる。これ
らの効果は0.01%以上で得られる。しかし、1%を
超えて含有させるとクリープ強化に有効な微細な炭化物
の安定性を損ない、高温長時間のクリープ強度が低下す
る。したがって、含有させる場合のMn量は0.01〜
1%とするのがよい。望ましい範囲は0.05〜0.6
5%、より望ましい範囲は0.1〜0.5%である。
【0037】Ca、Mg:Ca、Mgは必要により含有
させる元素で、含有させれば介在物を低減させ、鋳造性
の向上に寄与する他、焼戻脆化や溶接割れを誘因するS
を固定し、靱性の向上にも寄与する元素である。その効
果は0.0001以上で顕著になる。しかし、0.01
%を超えて含有させると、炭化物や硫化物が増加し、か
えって靱性および強度を損なう。したがって、含有させ
る場合のCa、Mgの量はいずれも0.0001〜0.
01%とするのがよい。好ましい範囲は0.0002〜
0.005%、より好ましい範囲は0.0005〜0.
0035%である。
【0038】指数M:0.1以上 マトリックス中のMo固溶量を0.1%以上に保持する
ためには、下式の指数(M)が0.1以上になるように
C、Cr、V、Moおよび必要により含有させたWを下
記式にしたがって制御する必要がある。
【0039】M=(0.08Cr-0.1W+0.03/C+0.04+0.855V)×
(Mo+0.5√Mo)×0.65 ここで、元素記号は各元素の含有量(質量%)を示す。
【0040】Mが0.1未満の場合は、固溶Mo量の
0.1%以上が保証されず、耐焼戻し脆化や耐SR割れ
性の改善効果は認められない。Mの上限は特に規定する
必要はなく、Mo含有量0.1〜2.5%の範囲内で高
ければ高い方がよい。好ましくは0.2%以上である。
【0041】
【実施例】150kg真空誘導溶解炉にて、表1に示す
化学組成の23種の鋼を溶解し、得られたインゴットを
熱間鍛造後、熱間圧延にて30mm厚の鋼板とした。こ
の鋼板について、950〜1050℃の範囲で焼きなら
し処理をおこない、700〜760℃の範囲で焼戻処理
をおこなった。焼戻条件は、いずれもビッカース硬度が
200±10の範囲内に入るように調整した。
【0042】
【表1】 焼戻後の鋼板から、シャルピー衝撃試験片、鉄研式y型
拘束溶接割れ試験片およびクリープ破断試験片を採取
し、以下の条件でシャルピー衝撃試験による延性−脆性
遷移温度の測定、鉄研式y型拘束溶接割れ試験による耐
SR割れ性の評価、およびクリープ試験による500℃
×7000時間の強度を測定した。
【0043】(1)クリープ破断試験 試験片直径:6mm 標点間距離:30mm 500℃で最長10000時間の試験をおこない、50
0℃×7000時間の平均クリープ破断強度を求めた。
【0044】(2)シャルピー衝撃試験 試験温度:−80℃〜+80℃ (3)鉄研式y型拘束溶接割れ試験 試験片:30mm厚×150mm幅×200mm長 スリット長さ:80mm 溶接法:被覆アーク溶接 溶接後、昇温速度100℃/h、保持温度700℃、保
持時間5hの条件で焼きなまし処理を施した後、JIS
Z3158 に準拠して断面割れ率を測定し、耐SR
割れ性を評価した。これらの試験結果を表2に示す。
【0045】
【表2】 表2の記号A鋼はC含有量およびM値が、B鋼はMo含
有量とM値、C鋼はMo含有量、D鋼はW含有量、E鋼
はCr、V含有量とM値、F鋼はV含有量とM値、G鋼
はV含有量が本発明の範囲外にある比較鋼である。表2
から明らかなように、比較鋼はいずれも焼戻後の靱性が
不芳である。また、A、B、D、E、FおよびG鋼にお
いて耐SR割れ性に劣っていた。
【0046】これに対し、本発明鋼においては、いずれ
もM値が0.2以上であり、焼戻後の延性−脆性遷移温
度が−30℃以下と、良好な靱性を示した。さらに、鉄
研式y型拘束溶接割れ試験にてSR割れが生じなかっ
た。
【0047】500℃×7000時間の平均クリープ強
度は、250MPaであり、クリープ特性も良好であっ
た。
【0048】図1および図2は、表2に示した試験結果
に基づく、M値と靱性および耐SR割れ性との関係を示
す。
【0049】
【発明の効果】本発明の耐熱合金は、焼戻脆化および溶
接後のSR割れが発生することなく、400℃以上の高
温でのクリープ強度が高く、高温で長時間曝される構造
材、さらには溶接や加工後の残留応力除去熱処理が必要
な構造材部材に適しており、施工面でも多くの長所を有
する。
【図面の簡単な説明】
【図1】固溶Mo係数Mと焼戻後の靱性との関係を示す
図である。
【図2】固溶Mo係数MとSR割れ感受性との関係を示
す図である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】質量%で、C:0.01〜0.25% Mo:0.1〜2.5% V:0.01〜0.5% Cr:0.05〜3% N:0.01%以下 を含み、かつ下式(1)式で表される指数Mが0.1以
    上であることを特徴とする高強度低合金耐熱鋼。 M=(0.08Cr+0.03/C+0.04+0.855V)×(Mo+0.5√Mo)×0.65 ・・・(1) ここで、元素記号は各元素の含有量(質量%)を示す。
  2. 【請求項2】質量%で、さらにW:0.05〜3%を含
    み、かつ下式(2)式で表される指数Mが0.1以上で
    あることを特徴とする請求項1に記載の高強度低合金耐
    熱鋼。 M=(0.08Cr-0.1W+0.03/C+0.04+0.855V)×(Mo+0.5√Mo)×0.65 ・・・(2)
  3. 【請求項3】質量%で、Ti:0.001〜0.05
    %、Nb:0.005〜0.1%の1種または2種を含
    むことを特徴とする請求項1または2に記載の高強度低
    合金耐熱鋼。
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