JP2001252774A - 摩擦攪拌接合方法 - Google Patents
摩擦攪拌接合方法Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】適正な接合条件範囲を拡大し、接合条件の設定
を容易にするとともに接合可能な部材種類を拡大しうる
接合摩擦攪拌接合方法を提供する。 【解決手段】 接合部材A、Bの接合予定部1およびそ
の近傍に、回転する接合工具10を接触させた状態で相対
的に移動させ、発生する摩擦熱で接合工具10の接触部分
を軟化させつつ攪拌して接合する摩擦攪拌接合方法にお
いて、前記接合工具10は、接合予定部1およびその近傍
を押さえ込むショルダー21と、該ショルダー21の先端面
23からの突出部分32が接合予定部1に挿入される攪拌用
のピン31とからなり、前記接合工具10のピン31とショル
ダー21とをそれぞれ独立して回転駆動し、前記ピン31と
ショルダー21との回転周速比を1:0.3〜5.0の範
囲に設定して接合を行う。
を容易にするとともに接合可能な部材種類を拡大しうる
接合摩擦攪拌接合方法を提供する。 【解決手段】 接合部材A、Bの接合予定部1およびそ
の近傍に、回転する接合工具10を接触させた状態で相対
的に移動させ、発生する摩擦熱で接合工具10の接触部分
を軟化させつつ攪拌して接合する摩擦攪拌接合方法にお
いて、前記接合工具10は、接合予定部1およびその近傍
を押さえ込むショルダー21と、該ショルダー21の先端面
23からの突出部分32が接合予定部1に挿入される攪拌用
のピン31とからなり、前記接合工具10のピン31とショル
ダー21とをそれぞれ独立して回転駆動し、前記ピン31と
ショルダー21との回転周速比を1:0.3〜5.0の範
囲に設定して接合を行う。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、接合工具の接触
回転によって発生する摩擦熱で金属材を接合する摩擦攪
拌接合方法に関する。
回転によって発生する摩擦熱で金属材を接合する摩擦攪
拌接合方法に関する。
【0002】
【従来の技術】金属部材の固相接合の一つである摩擦攪
拌接合方法は、高速で回転する接合工具を接合予定部お
よびその近傍に接触させ、発生する摩擦熱により接合部
材を軟化させて攪拌することにより接合する方法であ
る。この摩擦攪拌接合方法は、溶融溶接やろう付よりも
低温で接合できるため、接合時の熱変形や接合部の酸化
による接合不良が少ないという利点があり、各種産業分
野で部材の接合に適用されている。
拌接合方法は、高速で回転する接合工具を接合予定部お
よびその近傍に接触させ、発生する摩擦熱により接合部
材を軟化させて攪拌することにより接合する方法であ
る。この摩擦攪拌接合方法は、溶融溶接やろう付よりも
低温で接合できるため、接合時の熱変形や接合部の酸化
による接合不良が少ないという利点があり、各種産業分
野で部材の接合に適用されている。
【0003】図4に示すように、摩擦攪拌接合方法にお
いて従来使用されて接合工具(50)は、径大のショルダ
ー(51)の先端面(52)にこのショルダー(51)と同じ
回転軸(Q)を有する径小のピン(53)が突設されたも
のである。そして、接合予定部にピン(53)を挿入する
とともに、ショルダー(51)の先端面(52)で接合部を
押さえ込み、接合工具(50)を挿入・回転させた状態で
移動させて接合を行う。なお、図4は、平板状の接合部
材(A)(B)の突き合わせ継ぎ手の製作例を示すもの
であり、(1)は接合予定部である突き合わせ部、
(2)は前記接合工具(50)により接合された接合部で
ある。
いて従来使用されて接合工具(50)は、径大のショルダ
ー(51)の先端面(52)にこのショルダー(51)と同じ
回転軸(Q)を有する径小のピン(53)が突設されたも
のである。そして、接合予定部にピン(53)を挿入する
とともに、ショルダー(51)の先端面(52)で接合部を
押さえ込み、接合工具(50)を挿入・回転させた状態で
移動させて接合を行う。なお、図4は、平板状の接合部
材(A)(B)の突き合わせ継ぎ手の製作例を示すもの
であり、(1)は接合予定部である突き合わせ部、
(2)は前記接合工具(50)により接合された接合部で
ある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
接合工具(50)は径の異なるショルダー(51)とピン
(53)とが一体構造となっているため、これらの周速比
は径寸法の比率で固定されている。そのため、回転数を
低く設定するとピン(53)による接合部の攪拌力が小さ
くなって内部欠陥が生じることがあり、逆に回転数を高
く設定すると、ショルダー(51)の周速が大きくなって
入熱過多となり、表面欠陥が生じることがあり、適正な
接合条件範囲が狭められて条件設定作業が困難であると
いう問題点があった。特に、難接合部材においては適正
な接合条件に設定できないために、良好な接合が行えな
いという問題点さえあった。
接合工具(50)は径の異なるショルダー(51)とピン
(53)とが一体構造となっているため、これらの周速比
は径寸法の比率で固定されている。そのため、回転数を
低く設定するとピン(53)による接合部の攪拌力が小さ
くなって内部欠陥が生じることがあり、逆に回転数を高
く設定すると、ショルダー(51)の周速が大きくなって
入熱過多となり、表面欠陥が生じることがあり、適正な
接合条件範囲が狭められて条件設定作業が困難であると
いう問題点があった。特に、難接合部材においては適正
な接合条件に設定できないために、良好な接合が行えな
いという問題点さえあった。
【0005】この発明は、上述した技術背景に鑑み、適
正な接合条件範囲を拡大し、接合条件の設定を容易にす
るとともに接合可能な部材種類を拡大しうる接合摩擦攪
拌接合方法を目的とする。
正な接合条件範囲を拡大し、接合条件の設定を容易にす
るとともに接合可能な部材種類を拡大しうる接合摩擦攪
拌接合方法を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明の摩擦攪拌接合
方法は、前記目的を達成するために、接合部材(A)
(B)の接合予定部(1)およびその近傍に、回転する
接合工具(10)を接触させた状態で相対的に移動させ、
発生する摩擦熱で接合工具(10)の接触部分を軟化させ
つつ攪拌して接合する摩擦攪拌接合方法において、前記
接合工具(10)は、接合予定部(1)およびその近傍を
押さえ込むショルダー(21)と、該ショルダー(21)の
先端面(23)からの突出部分(32)が接合予定部(1)
に挿入される攪拌用のピン(31)とからなり、前記接合
工具(10)のピン(31)とショルダー(21)とをそれぞ
れ独立して回転駆動し、前記ピン(31)とショルダー
(21)との回転周速比を1:0.3〜5.0の範囲に設
定して接合を行うことを基本要旨とする。
方法は、前記目的を達成するために、接合部材(A)
(B)の接合予定部(1)およびその近傍に、回転する
接合工具(10)を接触させた状態で相対的に移動させ、
発生する摩擦熱で接合工具(10)の接触部分を軟化させ
つつ攪拌して接合する摩擦攪拌接合方法において、前記
接合工具(10)は、接合予定部(1)およびその近傍を
押さえ込むショルダー(21)と、該ショルダー(21)の
先端面(23)からの突出部分(32)が接合予定部(1)
に挿入される攪拌用のピン(31)とからなり、前記接合
工具(10)のピン(31)とショルダー(21)とをそれぞ
れ独立して回転駆動し、前記ピン(31)とショルダー
(21)との回転周速比を1:0.3〜5.0の範囲に設
定して接合を行うことを基本要旨とする。
【0007】また、前記接合工具(10)のショルダー
(21)とピン(31)とを互いに逆方向に回転駆動するこ
とが好ましい。
(21)とピン(31)とを互いに逆方向に回転駆動するこ
とが好ましい。
【0008】さらに、前記接合工具(10)のピン(31)
は、ショルダー(21)に穿設された貫通孔(22)に進退
可能に挿入されていることが好ましい。
は、ショルダー(21)に穿設された貫通孔(22)に進退
可能に挿入されていることが好ましい。
【0009】なお、この発明の摩擦攪拌接合方法は、接
合工具の接触回転によって発生する摩擦熱により軟化す
る金属材であればその組成を問わず適用でき、また同種
金属材の接合のみならず、異種金属材の接合にも適用で
きる。
合工具の接触回転によって発生する摩擦熱により軟化す
る金属材であればその組成を問わず適用でき、また同種
金属材の接合のみならず、異種金属材の接合にも適用で
きる。
【0010】
【発明の実施の形態】この発明の摩擦攪拌接合方法の一
実施形態について、図1および図2に示す平板状の接合
部材(A)(B)の突き合わせ継ぎ手の製作を例に挙げ
て説明する。
実施形態について、図1および図2に示す平板状の接合
部材(A)(B)の突き合わせ継ぎ手の製作を例に挙げ
て説明する。
【0011】これらの図に示す接合工具(10)は、径大
の円柱状のショルダー(21)と、該ショルダー(21)の
中心に穿設された貫通孔(22)に進退可能に挿入された
径小のピン(31)とから構成される。前記ショルダー
(21)とピン(31)とはそれぞれ回転方向および回転速
度が独立して駆動制御されるため、これらの回転方向の
正逆と回転速度比、換言すれば周速比を自在に設定する
ことができる。また、前記ピン(31)はショルダー(2
1)の先端面(23)からの突出部分(32)の長さを自在
に調節でき、接合予定部である接合予定部(1)への挿
入深さを調節することができる。
の円柱状のショルダー(21)と、該ショルダー(21)の
中心に穿設された貫通孔(22)に進退可能に挿入された
径小のピン(31)とから構成される。前記ショルダー
(21)とピン(31)とはそれぞれ回転方向および回転速
度が独立して駆動制御されるため、これらの回転方向の
正逆と回転速度比、換言すれば周速比を自在に設定する
ことができる。また、前記ピン(31)はショルダー(2
1)の先端面(23)からの突出部分(32)の長さを自在
に調節でき、接合予定部である接合予定部(1)への挿
入深さを調節することができる。
【0012】そして、図外の駆動装置により前記接合工
具(10)のショルダー(21)およびピン(31)をそれぞ
れ設定された回転方向と回転速度で回転させつつ、突き
合わせた2枚の接合部材(A)(B)の突き合わせ部
(1)にピン(31)の突出部分(32)を挿入するととも
に、ショルダー(21)の先端面(23)で突き合わせ部
(1)の近傍を押さえ込むようにして接触させ、この状
態のまま突き合わせ部(1)に沿って接合工具(10)を
移動させる。ピン(31)の回転により発生する摩擦熱あ
るいはさらにショルダー(21)の先端面(23)と両接合
部材(A)(B)の上面との摺動に伴い発生する摩擦熱
により、ピン(31)接触部分近傍において接合部材
(A)(B)は軟化しかつピン(31)の回転により攪拌
される。そして、接合工具(10)の移動に伴って、軟化
攪拌部分がピン(31)の進行圧力を受けてピン(31)通
過溝を埋めるように接合工具(10)の進行方向後方へと
回り込む態様で塑性流動したのち摩擦熱を急速に失って
冷却固化する。この現象が接合工具(10)の移動に伴っ
て順次繰り返されていき、最終的に両接合部材(A)
(B)が突き合わせ部(1)において接合一体化され
る。図中、(2)は前記接合工具(10)により接合され
た接合部である。
具(10)のショルダー(21)およびピン(31)をそれぞ
れ設定された回転方向と回転速度で回転させつつ、突き
合わせた2枚の接合部材(A)(B)の突き合わせ部
(1)にピン(31)の突出部分(32)を挿入するととも
に、ショルダー(21)の先端面(23)で突き合わせ部
(1)の近傍を押さえ込むようにして接触させ、この状
態のまま突き合わせ部(1)に沿って接合工具(10)を
移動させる。ピン(31)の回転により発生する摩擦熱あ
るいはさらにショルダー(21)の先端面(23)と両接合
部材(A)(B)の上面との摺動に伴い発生する摩擦熱
により、ピン(31)接触部分近傍において接合部材
(A)(B)は軟化しかつピン(31)の回転により攪拌
される。そして、接合工具(10)の移動に伴って、軟化
攪拌部分がピン(31)の進行圧力を受けてピン(31)通
過溝を埋めるように接合工具(10)の進行方向後方へと
回り込む態様で塑性流動したのち摩擦熱を急速に失って
冷却固化する。この現象が接合工具(10)の移動に伴っ
て順次繰り返されていき、最終的に両接合部材(A)
(B)が突き合わせ部(1)において接合一体化され
る。図中、(2)は前記接合工具(10)により接合され
た接合部である。
【0013】この発明において、前記接合工具(10)の
ピン(31)とショルダー(21)の回転の周速比は、1:
0.3〜5.0の範囲とする。前記周速比が1:0.3
未満でショルダー(21)の周速が遅くなると、ショルダ
ー(21)回転による入熱量が不足して材料が十分に軟化
されずピン(31)回転による攪拌効率が悪くなって接合
部(2)に内部欠陥を生じやすくなる。一方、1:5.
0を超えるとショルダー(21)回転による入熱量が過多
になって接合部(2)に表面欠陥が生じやすくなった
り、熱影響範囲が拡がって、いずれも場合も良好な接合
が困難になる。また、周速比を前記範囲内に設定するこ
とによって良好な接合が達成されるだけでなく、接合工
具(10)の移動速度を速くしても良好な接合が行えるた
め、接合時間が短縮される。また、ピン(31)とショル
ダー(21)とを独立駆動としたことで良好な接合のため
の条件設定が容易になる。前記周速比の好ましい下限値
は1:2.0であり、好ましい上限値は1:3.0であ
る。
ピン(31)とショルダー(21)の回転の周速比は、1:
0.3〜5.0の範囲とする。前記周速比が1:0.3
未満でショルダー(21)の周速が遅くなると、ショルダ
ー(21)回転による入熱量が不足して材料が十分に軟化
されずピン(31)回転による攪拌効率が悪くなって接合
部(2)に内部欠陥を生じやすくなる。一方、1:5.
0を超えるとショルダー(21)回転による入熱量が過多
になって接合部(2)に表面欠陥が生じやすくなった
り、熱影響範囲が拡がって、いずれも場合も良好な接合
が困難になる。また、周速比を前記範囲内に設定するこ
とによって良好な接合が達成されるだけでなく、接合工
具(10)の移動速度を速くしても良好な接合が行えるた
め、接合時間が短縮される。また、ピン(31)とショル
ダー(21)とを独立駆動としたことで良好な接合のため
の条件設定が容易になる。前記周速比の好ましい下限値
は1:2.0であり、好ましい上限値は1:3.0であ
る。
【0014】また、前記ピン(31)とショルダー(21)
とを独立駆動としたことで、これらの回転方向を正方
向、逆方向のいずれでも選択することが可能である。逆
方向の回転では、軟化部分の塑性流動が乱流に近くなっ
て結晶組織が微細化される。その結果、接合部分の強度
および伸びが向上し、さらに良好な接合が達成される。
とを独立駆動としたことで、これらの回転方向を正方
向、逆方向のいずれでも選択することが可能である。逆
方向の回転では、軟化部分の塑性流動が乱流に近くなっ
て結晶組織が微細化される。その結果、接合部分の強度
および伸びが向上し、さらに良好な接合が達成される。
【0015】また、前記ピン(31)はショルダーの貫通
孔(22)内で進退可能であるから、接合予定部の厚さに
応じてショルダー(21)の先端面(23)からの突出部分
(32)の長さを適宜調節することができる。例えば、図
3は接合方向で接合界面の深さが変化する部材(C)
(D)による重ね継ぎ手の製作例を示している。この場
合、接合工具(10)を回転駆動および接合方向に移動さ
せながらピン(31)の突出部分(32)の長さを長くすれ
ば、一連の作業で接合を行うことができる。
孔(22)内で進退可能であるから、接合予定部の厚さに
応じてショルダー(21)の先端面(23)からの突出部分
(32)の長さを適宜調節することができる。例えば、図
3は接合方向で接合界面の深さが変化する部材(C)
(D)による重ね継ぎ手の製作例を示している。この場
合、接合工具(10)を回転駆動および接合方向に移動さ
せながらピン(31)の突出部分(32)の長さを長くすれ
ば、一連の作業で接合を行うことができる。
【0016】
【実施例】図1に示す接合工具(10)を用い、表1に示
す異なる接合条件で突き合わせ継ぎ手の製作を行った。
す異なる接合条件で突き合わせ継ぎ手の製作を行った。
【0017】接合部材(A)(B)として、何れの接合
例においても6N01−T5からなる厚さ4mm×幅10
0mm×長さ500mmをアルミウム合金平板を用い、それ
ぞれ接合距離500mmの接合試験を行った。
例においても6N01−T5からなる厚さ4mm×幅10
0mm×長さ500mmをアルミウム合金平板を用い、それ
ぞれ接合距離500mmの接合試験を行った。
【0018】前記接合工具(10)は、全て直径12mmの
ショルダー(21)の貫通孔(22)に直径2mmのピン(3
1)を挿入し、ショルダー(21)の先端面(23)からの
ピン(31)の突出部分(32)を3.8mmに調整したもの
を用い、回転速度および回転方向のみを変えるものとし
た。表1において、ピン(31)とショルダー(21)の周
速比は、ピンの回転数を基準として表1に示す値となる
ようにショルダーの回転数を設定した。また、従来例1
〜3の「同軸駆動」は、ピン(31)とショルダー(21)
とを同一回転数で同一方向に駆動させることを示してい
る。また、接合速度は前記接合工具(10)の移動速度で
ある。
ショルダー(21)の貫通孔(22)に直径2mmのピン(3
1)を挿入し、ショルダー(21)の先端面(23)からの
ピン(31)の突出部分(32)を3.8mmに調整したもの
を用い、回転速度および回転方向のみを変えるものとし
た。表1において、ピン(31)とショルダー(21)の周
速比は、ピンの回転数を基準として表1に示す値となる
ようにショルダーの回転数を設定した。また、従来例1
〜3の「同軸駆動」は、ピン(31)とショルダー(21)
とを同一回転数で同一方向に駆動させることを示してい
る。また、接合速度は前記接合工具(10)の移動速度で
ある。
【0019】表1の条件で接合した各継ぎ手について、
外観観察により接合の可否を選別するとともに、外観上
良好に接合された継ぎ手について常法により接合部の伸
びと強度を測定した。なお、接合部材(A)(B)自身
の伸びは12%、強度は280MPaである。これらの
評価結果を表1に併せて示す。
外観観察により接合の可否を選別するとともに、外観上
良好に接合された継ぎ手について常法により接合部の伸
びと強度を測定した。なお、接合部材(A)(B)自身
の伸びは12%、強度は280MPaである。これらの
評価結果を表1に併せて示す。
【0020】
【表1】
【0021】表1の結果より、接合工具(10)のピン
(31)とショルダー(21)の周速比を所定範囲に設定す
ることにより、良好な摩擦攪拌接合を行え、かつ接合速
度を向上できることを確認した。また、ピン(31)とシ
ョルダー(21)とを互いに逆回転させることにより、接
合部の伸びと強度を向上でき、母材の物性に近づけ得る
ことを確認した。
(31)とショルダー(21)の周速比を所定範囲に設定す
ることにより、良好な摩擦攪拌接合を行え、かつ接合速
度を向上できることを確認した。また、ピン(31)とシ
ョルダー(21)とを互いに逆回転させることにより、接
合部の伸びと強度を向上でき、母材の物性に近づけ得る
ことを確認した。
【0022】
【発明の効果】以上の次第で、この発明は、接合部材の
接合予定部およびその近傍に、回転する接合工具を接触
させた状態で相対的に移動させ、発生する摩擦熱で接合
工具の接触部分を軟化させつつ攪拌して接合する摩擦攪
拌接合方法において、前記接合工具として、接合予定部
およびその近傍を押さえ込むショルダーと、該ショルダ
ーの先端面からの突出部分が接合予定部に挿入される攪
拌用のピンとからなり、ピンとショルダーとをそれぞれ
独立して回転駆動するものを用いるものであるから、ピ
ンおよびショルダーの径寸法に関係なくこれらの回転周
速比を1:0.3〜5.0未満という接合好適範囲内で
自在に設定して良好な摩擦攪拌接合を行うことができ
る。そして、前記ピンとショルダーとは独立駆動である
から、接合部材に適した回転周速比の設定範囲が拡大
し、適正接合条件の設定が容易になり、また従来適正条
件の設定が困難であった接合部材に対しても、良好な摩
擦攪拌接合が可能となる。
接合予定部およびその近傍に、回転する接合工具を接触
させた状態で相対的に移動させ、発生する摩擦熱で接合
工具の接触部分を軟化させつつ攪拌して接合する摩擦攪
拌接合方法において、前記接合工具として、接合予定部
およびその近傍を押さえ込むショルダーと、該ショルダ
ーの先端面からの突出部分が接合予定部に挿入される攪
拌用のピンとからなり、ピンとショルダーとをそれぞれ
独立して回転駆動するものを用いるものであるから、ピ
ンおよびショルダーの径寸法に関係なくこれらの回転周
速比を1:0.3〜5.0未満という接合好適範囲内で
自在に設定して良好な摩擦攪拌接合を行うことができ
る。そして、前記ピンとショルダーとは独立駆動である
から、接合部材に適した回転周速比の設定範囲が拡大
し、適正接合条件の設定が容易になり、また従来適正条
件の設定が困難であった接合部材に対しても、良好な摩
擦攪拌接合が可能となる。
【0023】また、前記接合工具のショルダーとピンと
を互いに逆方向に回転駆動させることにより、軟化部分
の塑性流動が乱流に近くなって結晶組織が微細化され
る。その結果、接合部分の強度および伸びが向上し、さ
らに良好な接合が達成される。
を互いに逆方向に回転駆動させることにより、軟化部分
の塑性流動が乱流に近くなって結晶組織が微細化され
る。その結果、接合部分の強度および伸びが向上し、さ
らに良好な接合が達成される。
【0024】また、前記接合工具のピンが、ショルダー
に穿設された貫通孔に進退可能に挿入されている場合
は、接合予定部の厚さに応じてショルダーの先端面から
の突出部分の長さを適宜調節することができ、1つの接
合工具を多様な接合部材に適用できる。
に穿設された貫通孔に進退可能に挿入されている場合
は、接合予定部の厚さに応じてショルダーの先端面から
の突出部分の長さを適宜調節することができ、1つの接
合工具を多様な接合部材に適用できる。
【図1】この発明の摩擦攪拌接合方法の一実施形態を示
す斜視図である。
す斜視図である。
【図2】接合工具の縦断面図である。
【図3】この発明の摩擦攪拌接合方法の他の実施形態を
示す縦断面図である。
示す縦断面図である。
【図4】従来の摩擦攪拌接合方法を示す斜視図である。
A,B,C,D…接合部材 1…突き合わせ部(接合予定部) 10…接合工具 21…ショルダー 22…貫通孔 23…先端面 31…ピン 32…突出部分
Claims (3)
- 【請求項1】 接合部材(A)(B)の接合予定部
(1)およびその近傍に、回転する接合工具(10)を接
触させた状態で相対的に移動させ、発生する摩擦熱で接
合工具(10)の接触部分を軟化させつつ攪拌して接合す
る摩擦攪拌接合方法において、 前記接合工具(10)は、接合予定部(1)およびその近
傍を押さえ込むショルダー(21)と、該ショルダー(2
1)の先端面(23)からの突出部分(32)が接合予定部
(1)に挿入される攪拌用のピン(31)とからなり、 前記接合工具(10)のピン(31)とショルダー(21)と
をそれぞれ独立して回転駆動し、前記ピン(31)とショ
ルダー(21)との回転周速比を1:0.3〜5.0の範
囲に設定して接合を行うことを特徴する摩擦攪拌接合方
法。 - 【請求項2】 前記接合工具(10)のショルダー(21)
とピン(31)とを互いに逆方向に回転駆動する請求項1
に記載の摩擦攪拌接合方法。 - 【請求項3】 前記接合工具(10)のピン(31)は、シ
ョルダー(21)に穿設された貫通孔(22)に進退可能に
挿入されている請求項1または2に記載の摩擦攪拌接合
方法。
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