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JP2001232499A - 粉末成形体の多段成形製造方法 - Google Patents

粉末成形体の多段成形製造方法

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JP2001232499A
JP2001232499A JP2000044148A JP2000044148A JP2001232499A JP 2001232499 A JP2001232499 A JP 2001232499A JP 2000044148 A JP2000044148 A JP 2000044148A JP 2000044148 A JP2000044148 A JP 2000044148A JP 2001232499 A JP2001232499 A JP 2001232499A
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die
punch
material powder
cavity
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Toshiro Yoshihara
敏郎 吉原
Takashi Takashima
隆 鷹島
Satoru Komatsu
悟 小松
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Kobayashi Industry Co Ltd
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Kobayashi Industry Co Ltd
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    • B22CASTING; POWDER METALLURGY
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    • B22F3/00Manufacture of workpieces or articles from metallic powder characterised by the manner of compacting or sintering; Apparatus specially adapted therefor ; Presses and furnaces
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
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    • B30BPRESSES IN GENERAL
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    • B30B11/007Presses specially adapted for forming shaped articles from material in particulate or plastic state, e.g. briquetting presses, tabletting presses using a plurality of pressing members working in different directions
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    • B22FWORKING METALLIC POWDER; MANUFACTURE OF ARTICLES FROM METALLIC POWDER; MAKING METALLIC POWDER; APPARATUS OR DEVICES SPECIALLY ADAPTED FOR METALLIC POWDER
    • B22F3/00Manufacture of workpieces or articles from metallic powder characterised by the manner of compacting or sintering; Apparatus specially adapted therefor ; Presses and furnaces
    • B22F3/02Compacting only
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  • Mechanical Engineering (AREA)
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  • Powder Metallurgy (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】横穴を有する粉末成形体を製造する場合に、該
横穴を形成するためにキャビティに挿通する横穴形成ピ
ンに偏荷重を作用させたりすることなく、横穴を有する
良質な粉末成形体を製造することができる粉末成形体の
多段成形製造方法を提供する。 【解決手段】キャビティ11内の材料粉末12の加圧・
圧縮の開始時から終了時までの加圧工程中に、粉末成形
体50の横穴54を形成するための横穴形成ピン8の中
心軸上における材料粉末11の部位C1〜C3がその中
心軸上で不動となるように、加圧工程における各パンチ
3a〜5a、3b〜5bのダイス2に対する移動量X1
〜X3,Y1〜Y3を設定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、下パンチ及び上パ
ンチ間で材料粉末を加圧・圧縮して粉末成形体を製造す
る方法、詳しくは、下パンチ及び上パンチの両者もしく
は下パンチを複数備える装置を用いて材料粉末を製造す
る方法に関し、特に、横穴を有する粉末成形体の製造に
適した多段成形製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】材料粉末を加圧して粉末成形体を製造す
る場合、粉末成形体の外周形状に沿って形成されたダイ
孔を上下方向に備えるダイスと、該ダイスのダイ孔にそ
の下方から挿入される下パンチと、該ダイ孔にその上方
から挿入されて下パンチとの間にキャビティ(成形空
間)を形成する上パンチとを備えた装置を用い、前記キ
ャイビティに充填される材料粉末を上下の両パンチ間で
加圧・圧縮することで、該キャビティ内に所望形状の粉
末成形体を得る方法が従来から知られている。
【0003】この場合、例えば製造する粉末成形体の上
面部及び下面部に階段状の段差を形成しようとするとき
には、通常、各段差面に対応して互いに対向する下パン
チと上パンチとの組が複数組備えられた装置が用いら
れ、それらの各組の両パンチ間で、材料粉末を加圧・圧
縮することで(所謂、多段成形を行う)、粉末成形体が
製造される。また、例えば上面部が平坦で、下面部に段
差面を有するような粉末成形体を製造する場合には、平
坦な下端面(成形面)を有する単一の上パンチと、上記
段差面を形成するための複数の下パンチを備えた装置が
用いられ、その各下パンチと、上パンチとの間で材料粉
末を加圧・圧縮して多段成形を行うことで、所望の粉末
成形体が製造される。
【0004】なお、このような粉末成形体の製造手法に
おいて、キャビティ内の材料粉末の加圧・圧縮は、前記
多段成形であるか否かによらずに、下パンチ及び上パン
チをそれぞれダイスに対して相対的に上動、下動させる
ことにより行われる。この場合、前記多段成形にあって
は、キャビティ内の材料粉末を加圧・圧縮する際に、ダ
イスを固定し、各組の下パンチ及び上パンチの全てをそ
れぞれ移動させながら材料粉末の加圧・圧縮を行う場合
の他、下パンチのいずれか一つを固定し、他のパンチと
ダイスとを移動させながら材料粉末の加圧・圧縮を行う
場合もあり、さらには、ダイスと上下のパンチとの全て
を移動させながら材料粉末の加圧・圧縮を行う場合もあ
る。
【0005】ところで、例えば下パンチと上パンチとの
組を複数備える装置を用いた多段成形によって粉末成形
体を製造する場合にあっては、キャビティ内の材料粉末
の加圧・圧縮を行う加圧工程における各組の下パンチ及
び上パンチのそれぞれの前記ダイスに対する相対的な移
動量や、相対的な移動速度等、下パンチと上パンチとの
間の材料粉末の加圧条件が不適切であると、キャビティ
内の材料粉末のうち、ある一組の両パンチ間で加圧・圧
縮される部分と、これに隣接する他の一組の両パンチ間
で加圧・圧縮される部分との境界箇所において、最終的
に得られる粉末成形体の強度が部分的に弱くなるという
ような不都合を生じることがある。場合によっては、粉
末成形体が、上記境界箇所において、衝撃等によって簡
単に損壊してしまうという不都合を生じることもある。
【0006】このような不都合を生じる理由の一つとし
て次のような理由が考えられる。
【0007】すなわち、前記加圧条件が不適切である
と、上記境界箇所において、加圧工程の開始時に互いに
隣合っていた材料粉末同士が、加圧工程の終了時までに
上下に位置ずれを生じることがある。このような部分で
は、粉末成形体の強度が不足し、クラック等の不都合を
生じやすいと考えられる。
【0008】なお、上記のような不都合は、単一の上パ
ンチと複数の下パンチとを備える装置による多段成形に
おいても、各下パンチ及び上パンチの前記ダイスに対す
る相対的な移動量や、相対的な移動速度等等の加圧条件
が不適切であると同様に生じることがある。
【0009】また、貫通した横穴を有する粉末成形体を
多段成形により製造する場合において、上記貫通横穴を
粉末成形体に形成するための横穴形成ピンをキャビティ
内に挿通して該キャビティを貫通させ、その挿通状態を
維持したままキャビティ内の材料粉末を加圧・圧縮する
場合にあっては、前記加圧条件が不適切であると、各組
の両パンチから材料粉末を介して前記横穴形成ピンに偏
荷重が作用し、その結果、該横穴形成ピンが折れる等の
不都合を生じることもある。
【0010】同様に、貫通していない横穴、すなわち、
めくら穴状の横穴を有する粉末成形体を多段成形により
製造する場合において、上記めくら穴状の横穴を粉末成
形体に形成するための横穴形成ピンをキャビティ内に挿
入し、その挿入状態を維持したままキャビティ内の材料
粉末を加圧・圧縮する場合にあっては、特に、該横穴形
成ピンが複数組(全組とは限らない)の上下パンチ間に
またがって延在するようにキャビティに挿入されるよう
な場合に、前記加圧条件が不適切であると、各組の両パ
ンチから材料粉末を介して前記横穴形成ピンに偏荷重が
作用し、その結果、該横穴形成ピンが折れる等の不都合
を生じることもある。
【0011】しかるに、従来は、多段成形における材料
粉末の適正な加圧条件を容易に設定する手法が確立され
ておらず、該加圧条件の設定は、試行錯誤や経験に負う
ところが大きいものとなっていた。このため、良質な粉
末成形体を得ることができ、あるいは、粉末材料の加圧
工程中にキャビティ内に挿入される横穴形成ピンの破損
を回避することができるような加圧条件を設定するまで
に、多大な労力を要するものとなっていた。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる背景に
鑑み、材料粉末の適正な加圧条件を容易に設定すること
ができると共に、その設定した加圧条件により良質な粉
末成形体を得ることができる粉末成形体の多段成形製造
方法を提供することを目的とする。
【0013】さらに、貫通した横穴や、めくら穴状の横
穴を有する粉末成形体を製造する場合に、該横穴を形成
するためにキャビティに挿入される横穴形成ピンに偏荷
重を作用させたりすることなく、横穴を有する良質な粉
末成形体を製造することができる粉末成形体の多段成形
製造方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】まず、本発明を説明する
前に、本発明の基本的な原理を図1(a),(b)を参
照して説明する。
【0015】図1(a),(b)において、100はダ
イス、110はこのダイス100のダイ孔101にその
下方から挿入された下パンチ、120は下パンチ110
を挿入したダイ孔101に材料粉末Aを充填した後、該
ダイ孔101にその上方から挿入された上パンチであ
る。ダイ孔101内には、これに挿入された下パンチ1
10と上パンチ110との間に、粉末成形体Bを得るキ
ャビティ102が形成されている。
【0016】これらの図1(a),(b)のうち、図1
(a)は、両パンチ110,120による材料粉末Aの
加圧・圧縮の開始時における状態(より正確には加圧開
始直前の状態。以下、加圧開始初期状態という)を示し
ており、この加圧開始初期状態では、キャビティ102
内の材料粉末Aは両パンチ110,120間に非加圧状
態で保持されている。そして、図1(b)は、上記加圧
開始初期状態から、下パンチ110及び上パンチ120
をそれぞれダイス100に対して上動、下動させて材料
粉末Aを加圧・圧縮し、最終的に粉末成形体Bをキャビ
ティ102内に得た状態(以下、加圧終了状態という)
を示している。
【0017】ここで、キャビティ112内の材料粉末A
の加圧開始時から加圧終了時までの加圧工程中におい
て、該材料粉末Aの各部の上下関係は変化しないものと
する。すなわち、前記加圧開始初期状態において、キャ
ビティ112中の材料粉末Aの、上下方向における任意
の高さ位置に存する部位Cと、その上側あるいは下側に
存する材料粉末Aとに着目したとき、その上下関係は加
圧工程中も維持され、加圧開始初期状態において、前記
部位Cの材料粉末Aよりも上側又は下側に存する粉末材
料Aは、それぞれ加圧工程中も部位Cの材料粉末Aより
も上側、下側に存するものとする。
【0018】このような前提の基で、前記加圧開始初期
状態において、キャビティ112中の任意の高さ位置に
ある材料粉末Aの部位Cに着目し、この部位Cの位置を
表現するために次のようなパラメータを導入する。
【0019】まず、図1(a)の加圧開始初期状態にお
ける材料粉末Aの深さをF(これは加圧開始初期状態に
おける両パンチ110,120間の間隔でもある。以
下、充填深さFという)、この加圧開始初期状態におけ
る上記部位Cの位置を、下パンチ110の上面から間隔
Ncsを存する位置とする。そして、この間隔Ncsの前記
充填深さFに対する比率を百分率で表したものをRs
(=100・Ncs/F)とおく。
【0020】また、図1(b)の加圧終了状態において
両パンチ110,120間に得られる粉末成形体Bの厚
さをH(これは加圧終了状態における両パンチ110,
120間の間隔でもある。以下、成形体厚さHという)
とし、上記部位C(加圧開始初期状態において下パンチ
110の上面から間隔Ncsを存する位置にあった部位)
が、加圧終了状態においては下パンチ110の上面から
間隔Nceを存する位置になるとする。そして、この間隔
Nceの前記成形体厚さHに対する比率を百分率で表した
ものをRe (=100・Nce/H)とおく。
【0021】このとき、前述の如くキャビティ112内
の材料粉末Aの各部の上下関係が加圧工程中に変化しな
いことから、上記の如く定義した比率Rs ,Re は、等
しいと考えてよく、次式(9)が成立する。
【0022】
【数9】
【0023】そこで、上記比率Rs ,Re を改めて参照
符号Rで表し、これを以下、加圧比率R(=Rs =Re
)と称する。このように定義した加圧比率Rは、前記
加圧開始初期状態及び加圧終了状態のいずれかの状態
で、前記部位Cの高さ位置を特定したとき、その部位C
に対して一義的に定まり、該加圧比率Rの値は、加圧開
始初期状態及び加圧終了状態のいずれの状態でも同一と
なる。
【0024】この加圧比率Rを用いると、前記間隔Nc
s,Nceはそれぞれ次式(10),(11)により与え
られる。
【0025】
【数10】
【0026】
【数11】
【0027】次に、材料粉末Aの加圧工程中における下
パンチ110及び上パンチ120のダイス100に対す
る移動速度をそれぞれV1、V2とし、これらの比率V
1:V2は加圧工程中の任意の時刻において一定である
とする(例えば移動速度V1、V2がそれぞれ一定であ
るとする)。
【0028】このとき、キャビティ112内の材料粉末
Aのうちには、上記加圧工程中に、ダイス100に対す
る上下方向の位置が変化しない部位、すなわちダイス1
00に対して上下方向に不動となる部位(以下、ニュー
トラル部位という)が存在する。
【0029】そこで、前記部位Cがこのニュートラル部
位となるための条件を以下に求める。
【0030】すなわち、前記加圧開始初期状態における
下パンチ110の上面の高さを「0」とする上下方向の
座標軸Zをダイス100上に固定的に設定し(上向きを
正とする)、加圧工程における下パンチ110及び上パ
ンチ120のダイス100に対する相対的な移動量をそ
れぞれ図示の如くX,Yとおく。この場合、上向きを正
の向きとしているため、ダイス100に対して下向きに
移動する上パンチ120の移動量Yは負の値である。
【0031】このとき、図1を参照して明らかなように
次式(12)が成立する。
【0032】
【数12】
【0033】また、前記加圧開始初期状態における前記
部位Cの座標位置は前記間隔Ncsに等しく、さらに前記
加圧終了状態における前記部位Cの座標位置は下パンチ
110の移動量Xに前記間隔Nceを加算したもの(=X
+Nce)である。従って、部位Cがダイス100に対し
て不動となる前記ニュートラル部位となるための条件
は、前記式(10),(11)を用いて次式(13)に
より与えられる。
【0034】
【数13】
【0035】さらに、この式(13)と前記式(12)
とから、上パンチ120の移動量Yに関し、次式(1
4)が得られる。
【0036】
【数14】
【0037】従って、キャビティ102内の材料粉末A
のある部位Cを前記ニュートラル部位とするためには、
その部位Cに係わる前記加圧比率Rと、前記充填深さF
及び成形体厚さHとから、上記式(13),(14)に
よりそれぞれ加圧工程における下パンチ110の移動量
X、上パンチ120の移動量Yを定め、その定めた移動
量X,Yに従って、両パンチ110,120をそれぞれ
ダイス100に対して上動、下動させて、キャビティ1
02内の材料粉末Aを加圧・圧縮すればよい。
【0038】このように部位Cがニュートラル部位とな
るように両パンチ110,120の移動量X,Yを定め
て材料粉末Aの加圧・圧縮を行ったとき、該部位Cに存
する材料粉末Aは加圧工程中にダイス100に対して上
下方向に不動となる。
【0039】なお、前記加圧終了状態におけるダイス1
00と上下の両パンチ110,120との相互の位置関
係は、ダイス100のダイ孔101内のどの箇所で粉末
成形体Bを得るかをあらかじめ設計的に定めておけば、
キャビティ102内に最終的に得るべき粉末成形体Bの
サイズや形状から一義的に定まる。従って、加圧工程に
おける前記両パンチ110,120のダイス100に対
する移動量X,Yを上記の如く設定すれば、その移動量
X,Yと、加圧終了状態におけるダイス100と両パン
チ110,120との相互の位置関係とから、前記加圧
開始初期状態における両パンチ110,120のダイス
100に対する位置関係も自ずと定まることとなる。
【0040】また、キャビティ102内の材料粉末Aの
前記ニュートラル部位に着目すると、該ニュートラル部
位はダイス100に対して上下方向に不動であることか
ら、該ニュートラル部位の上側の材料粉末Aは、加圧工
程中に常にダイス100に対して下向きに移動し、該ニ
ュートラル部位の下側の材料粉末Aは、加圧工程中に常
にダイス100に対して上向きに移動する。
【0041】以上説明したことは、複数組の下パンチ及
び上パンチを用いる多段成形において、各組の両パンチ
によりそれらの両パンチ間の材料粉末を加圧・圧縮する
に際して、各組の両パンチについて各々成立する事項で
ある。
【0042】以上説明したことを基礎として、本発明を
以下に説明する。
【0043】本発明の粉末成形体の多段成形製造方法の
第1の態様は、特に上下端面に段差を有するような粉末
成形体の製造に適した多段成形製造方法であり、ダイ孔
を上下方向に備えるダイスと、該ダイスのダイ孔にその
下方から挿入される複数の下パンチと、各下パンチにそ
れぞれ対向して該ダイ孔にその上方から挿入され、前記
複数の下パンチとの間に材料粉末が充填されるキャビテ
ィを形成する複数の上パンチとを備えた装置を用い、互
いに対向する各組の下パンチと上パンチとの間で前記材
料粉末を上下方向に加圧・圧縮することにより前記キャ
ビティ内に粉末成形体を得る多段成形製造方法におい
て、前記各組の両パンチ間の前記材料粉末のうち、当該
両パンチによる該材料粉末の加圧・圧縮を行う加圧工程
中に前記ダイスに対して上下方向に不動となるべき部位
をニュートラル部位とし、該ニュートラル部位が全ての
組の両パンチ間の材料粉末について同一水平面上に並ぶ
ように各組の両パンチ間の材料粉末における該ニュート
ラル部位の位置をあらかじめ定めておき、前記各組の両
パンチ間の材料粉末における前記ニュートラル部位が前
記加圧工程中に前記ダイスに対して上下方向に不動とな
るように各組の両パンチによる材料粉末の加圧・圧縮を
行うことを特徴とするものである。
【0044】また、本発明の粉末成形体の多段成形製造
方法の第2の態様は、特に上端面及び下端面の一方に段
差を有し、他方が平坦面となっているような粉末成形体
の製造に適した多段成形製造方法であり、ダイ孔を上下
方向に備えるダイスと、該ダイスのダイ孔にその下方か
ら挿入される複数の下パンチと、該ダイ孔にその上方か
ら挿入され、前記複数の下パンチとの間に材料粉末が充
填されるキャビティを形成すると共に平坦な下端面を有
する上パンチとを備えた装置を用い、前記各下パンチと
上パンチとの間で前記材料粉末を上下方向に加圧・圧縮
することにより前記キャビティ内に粉末成形体を得る多
段成形製造方法において、前記各下パンチの上方に存す
る材料粉末のうち、各下パンチと前記上パンチとによる
該材料粉末の加圧・圧縮を行う加圧工程中に前記ダイス
に対して上下方向に不動となるべき部位をニュートラル
部位とし、該ニュートラル部位が全ての下パンチの上方
に存する材料粉末について同一水平面上に並ぶように各
下パンチの上方に存する材料粉末における該ニュートラ
ル部位の位置をあらかじめ定めておき、前記各下パンチ
の上方に存する材料粉末における前記ニュートラル部位
が前記加圧工程中に前記ダイスに対して上下方向に不動
となるように各下パンチと前記上パンチとによる材料粉
末の加圧・圧縮を行うことを特徴とするものである。
【0045】かかる本発明の第1及び第2の態様によれ
ば、同一水平面上に並ぶように定めた各組の両パンチ間
の材料粉末(第1の態様)、あるいは各下パンチの上方
に存する材料粉末(第2の態様)における前記ニュート
ラル部位が、前記加圧工程中に前記ダイスに対して上下
方向に不動となるように、各下パンチとこれに対向する
上パンチとの間で前記キャビティ内の材料粉末の加圧・
圧縮を行う。このため、前記加圧工程においては、前記
キャビティ内の材料粉末のうちの上記水平面よりも上側
の材料粉末は、全ての下パンチと上パンチとの間の材料
粉末について、ダイスに対して下向きに移動する。ま
た、上記水平面よりも下側の材料粉末は、全ての下パン
チと上パンチとの間の材料粉末について、ダイスに対し
て上向きに移動する。つまり、キャビティ内の材料粉末
の加圧工程中の移動方向は、前記ニュートラル部位が並
ぶ水平面の上側と下側とで、それぞれ揃うこととなる。
この結果、前記キャビティ内の材料粉末は、どの下パン
チと上パンチとの間で加圧されるかによらずに、均質的
に加圧・圧縮されることなる。
【0046】かかる本発明の第1及び第2の態様のより
具体的な形態では、前記複数の下パンチを挿入した前記
ダイ孔内に、各下パンチの上方に存する材料粉末の深さ
がそれぞれあらかじめ定めた所定量となるように該材料
粉末を充填する工程と、前記複数の上パンチ(第1の態
様)あるいは単一の上パンチ(第2の態様)を前記ダイ
孔にその上方から挿入して該ダイ孔内の材料粉末に接触
させ、該材料粉末が非加圧状態で密封された前記キャビ
ティを該ダイ孔内に形成する工程とを備える。
【0047】さらに、第1の態様にあっては、該材料粉
末の非加圧状態での前記各組の下パンチ及び上パンチの
間隔を維持しつつ該両パンチをダイ孔内で前記ダイスに
対して相対的に上下方向に移動させ、各組の両パンチを
前記材料粉末の加圧・圧縮の開始時における前記ダイス
に対する相対的な初期位置としてあらかじめ定めた位置
に移送する工程を備える。同様に、第2の態様にあって
は、該材料粉末の非加圧状態での前記各下パンチ及び上
パンチの間隔を維持しつつ各下パンチ及び上パンチをダ
イ孔内で前記ダイスに対して相対的に上下方向に移動さ
せ、各下パンチ及び上パンチを前記材料粉末の加圧・圧
縮の開始時における前記ダイスに対する相対的な初期位
置としてあらかじめ定めた位置に移送する工程を備え
る。
【0048】そして、第1の態様にあっては、前記加圧
工程は、前記各組の下パンチ及び上パンチのそれぞれの
前記ダイスに対する相対的な移動速度の比率を一定とし
て、各組の下パンチ及び上パンチをそれぞれ前記初期位
置から前記ダイスに対して相対的に上動、下動させるこ
とにより行うと共に、該加圧工程における各組の下パン
チ及び上パンチのそれぞれの前記ダイスに対する相対的
な移動量は、前記各組の両パンチ間の材料粉末における
前記ニュートラル部位が前記加圧工程中に前記ダイスに
対して上下方向に不動となるようにあらかじめ設定して
おく。
【0049】また、第2の態様にあっては、前記加圧工
程は、前記各下パンチ及び上パンチのそれぞれの前記ダ
イスに対する相対的な移動速度の比率を一定とすること
に加えて、各下パンチの上方に存する材料粉末の前記加
圧工程における圧縮比を全ての下パンチについて同一と
して、各下パンチ及び上パンチをそれぞれ前記初期位置
から前記ダイスに対して相対的に上動、下動させること
により行うと共に、該加圧工程における各下パンチ及び
上パンチのそれぞれの前記ダイスに対する相対的な移動
量は、前記各下パンチの上方に存する材料粉末における
前記ニュートラル部位が前記加圧工程中に前記ダイスに
対して上下方向に不動となるようにあらかじめ設定して
おく。
【0050】上記のような本発明の第1の態様及び第2
の態様によれば、まず、前記複数の下パンチを挿入した
ダイ孔内にその上方から材料粉末を充填する。このと
き、各下パンチの上方に存する材料粉末の深さはそれぞ
れあらかじめ定めた所定量とされる。このように各下パ
ンチの上方に存する材料粉末の深さを所定量とするため
には、例えば前記ダイス孔の上部開口端から各下パンチ
の上面までの間隔が上記所定量となるようにした状態
で、該ダイス孔にその上部開口端まで材料粉末を充填す
ればよい。
【0051】次に、前記複数の上パンチ(第1の態様)
あるいは単一の上パンチ(第2の態様)を前記ダイ孔に
その上方から挿入して該ダイ孔内の材料粉末に接触させ
ることで、該材料粉末が非加圧状態で密封された前記キ
ャビティを該ダイ孔内に形成した後、この非加圧状態で
の各下パンチとこれに対向する上パンチとの間隔(これ
は前記所定量の材料粉末の深さに等しい)を維持したま
ま、各パンチをダイ孔内でダイスに対して相対的に上下
方向に移動させることで、前記初期位置に移送する。こ
の場合に各パンチをその初期位置に移送した状態は、各
下パンチとこれに対向する上パンチとについて、前記図
1(a)の加圧開始初期状態に相当するものである。
【0052】次に、各下パンチと上パンチとをそれぞれ
前記ダイスに対して相対的に上動、下動させることで前
記キャビティ内の材料粉末を加圧・圧縮し、前記キャビ
ティ内に前記粉末成形体を得る。
【0053】このとき、本発明の第1の態様にあって
は、各組の下パンチ及び上パンチのそれぞれの前記ダイ
スに対する相対的な移動速度の比率を一定として各組の
両パンチによる前記材料粉末の加圧・圧縮が行われる。
また、第2の態様にあっては、前記加圧工程は、前記各
下パンチ及び上パンチのそれぞれの前記ダイスに対する
相対的な移動速度の比率を一定とすることに加えて、各
下パンチの上方に存する材料粉末の前記加圧工程におけ
る圧縮比を全ての下パンチについて同一として、前記材
料粉末の加圧・圧縮が行われる。
【0054】このようにしたとき、同一水平面上に並ぶ
ように定めた各組の両パンチ間の材料粉末における前記
ニュートラル部位(第1の態様)、あるいは各下パンチ
の上方に存する材料粉末(第2の態様)における前記ニ
ュートラル部位が、前記加圧工程中に実際にダイスに対
して上下方向に不動となるように、加圧工程における各
下パンチ及び上パンチのそれぞれの前記ダイスに対する
相対的な移動量を設定することができる。つまり、各下
パンチ及び上パンチの移動量は、各下パンチとこれに対
向する上パンチとの間の材料粉末における前記ニュート
ラル部位のあらかじめ定めた位置に対応して定まる前述
の加圧比率と、加圧工程の開始時における材料粉末の深
さ(これは前記所定量である)と、加圧工程の終了時に
おける各下パンチとこれに対向する上パンチとの間隔
(これは最終的にキャビティ内に得る粉末成形体の、当
該両パンチ間で成形される部分のサイズによって定ま
る)とから、前述した式(13),(14)に基づいて
求めることができる。
【0055】また、前記加圧工程の終了時の各パンチと
ダイスとの相互の位置関係は、前記キャビティ内に最終
的に得る前記粉末成形体のサイズや形状によって定まる
ので、この位置関係と、上記の如く設定する各パンチの
前記ダイスに対する相対的な移動量とから、加圧工程の
開始時における各パンチのダイスに対する位置、すなわ
ち前記初期位置も定まることとなる。
【0056】そして、このように各パンチの移動量を設
定し、また、上記の如く下パンチ及び上パンチのそれぞ
れの前記ダイスに対する相対的な移動速度や、各組の上
下のパンチ、あるいは各下パンチに対応する前記ニュー
トラル部位の位置を定めて、前記加圧工程を行ったと
き、各ニュートラル部位を、該加圧工程の開始時から終
了時までダイスに対して上下方向に不動となるようにす
ることができると共に、そのニュートラル部位の全てを
同一水平面上に並ばせることができる。
【0057】このため、前述のように、キャビティ内の
材料粉末の加圧工程中の移動方向は、前記ニュートラル
部位が並ぶ水平面の上側と下側とで、それぞれ揃うこと
となり、キャビティ内の材料粉末を、どの下パンチと上
パンチとの間で加圧されるかによらずに、均質的に加圧
・圧縮することができる。
【0058】以上説明したことから、本発明の第1及び
第2の態様によれば、複数組の上下パンチによる材料粉
末の適正な加圧条件を容易に設定することができると共
に、その設定した加圧条件により良質な粉末成形体を得
ることができる。
【0059】なお、本発明の第2の態様は、本発明の第
1の態様において、各上パンチの下端面を平坦面として
同一面上に配置し、さらに各組の上下の両パンチ間の材
料粉末の圧縮比をいずれの組についても同一として、キ
ャビティ内の材料粉末の加圧・圧縮を行って粉末成形体
を製造した場合と同等である。
【0060】かかる本発明の第1の態様及び第2の態様
では、より具体的には、前記各パンチの移動量は次のよ
うに求めることができる。
【0061】すなわち、まず、本発明の第1の態様にあ
っては、前記各組の下パンチ及び上パンチの組番号をk
(kは、下パンチ及び上パンチの総組数以下の自然
数)、前記加圧工程における第k組の下パンチ及び上パ
ンチのそれぞれの前記ダイスに対する相対的な移動量を
Xk,Ykとしたとき、該移動量Xk,Ykはそれぞれ
次式(15),(16)により設定することができる。
【0062】
【数15】
【0063】
【数16】
【0064】ここで、前記移動量Xk,Ykは上向きを
正方向としている。これらの式(15),(16)は、
それぞれ、各組の両パンチ毎に、前記式(13),(1
4)を表したものである。そして、これらの式(1
5),(16)に用いるパラメータを改めて説明すると
次の通りである。
【0065】すなわち、Rkは、第k組の下パンチ及び
上パンチによる加圧工程の終了時における該下パンチの
上面から両パンチ間の材料粉末の前記ニュートラル部位
までの間隔の、該加圧工程の終了時における両パンチ間
の上下方向の間隔に対する割合を百分率で表したもので
あり、これは、前述した加圧比率Rに相当するものであ
る。なお、このRkは、第k組の下パンチ及び上パンチ
による加圧工程の開始時における該下パンチの上面から
両パンチ間の材料粉末の前記ニュートラル部位までの間
隔の、該加圧工程の開始時における両パンチ間の上下方
向の間隔に対する割合を百分率で表したもの、というよ
うに定義しても同じである。
【0066】また、Fkは、第k組の下パンチ及び上パ
ンチによる加圧工程の開始時における両パンチ間の材料
粉末の深さ(前記充填深さFに相当するもの)であり、
これは、前記キャビティに材料粉末を充填する際におけ
る前記所定量の深さである。また、Hkは、第k組の下
パンチ及び上パンチによる加圧工程の終了時における両
パンチ間の間隔であり、これは粉末成形体のうちの各組
の両パンチ間で成形される部分の厚さ(前記成形体厚さ
Hに相当するもの)である。
【0067】このように式(15),(16)により前
記加圧工程における各組の両パンチの移動量Xk,Yk
を設定したとき、その移動量Xk,Ykの設定を容易に
行うことができる。つまり、前記各ニュートラル部位が
加圧工程中にダイスに対して不動にするような加圧条件
の設定を容易に行うことができる。
【0068】上記と同様にして、本発明の第2の態様に
あっては、前記各下パンチの番号をk(kは、下パンチ
の総数以下の自然数)、前記加圧工程における第k番の
下パンチの前記ダイスに対する相対的な移動量をXk、
mを任意の一つの下パンチの番数、前記加圧工程におけ
る前記上パンチの前記ダイスに対する相対的な移動量を
Yとしたとき、該移動量Xk,Yをそれぞれ前記式(1
5)と、次式(17)により設定することができる。
【0069】
【数17】
【0070】この場合、式(15),(17)中のRk
は第k番の下パンチの上方に存する材料粉末のニュート
ラル部位に係わる加圧比率であり、Fkは第k番の下パ
ンチの上方に存する材料粉末の充填深さ、Hkは加圧工
程の終了時における第k番の下パンチと上パンチとの間
隔(成形体厚さ)である。
【0071】なお、この場合、式(17)中のmとして
いずれの番数のkを用いても、式(17)により求まる
移動量Yが同一となることが前提となるが、このこと
は、いずれの下パンチの上方に存する材料粉末について
も、加圧工程における圧縮比(これは、前記充填深さに
対する成形体厚さの比である)が同一であることから後
述の如く示される。
【0072】このようにして、本発明の第2の態様にお
いても、前記各ニュートラル部位が加圧工程中にダイス
に対して不動にするような加圧条件としての各パンチの
移動量Xk,Yを容易に設定することができる。
【0073】以上のような本発明の第1及び第2の態様
において、前記粉末成形体が貫通横穴を有する粉末成形
体である場合には、前記ダイスには、少なくとも前記各
組の両パンチ(第1の態様)、あるいは各下パンチ及び
上パンチ(第2の態様)を前記ダイスに対する前記初期
位置に移送したときに前記キャビティに先端部が臨む横
穴形成ピンと該横穴形成ピンに対向して前記キャビティ
に先端部が臨む対向ピンとを、それぞれ前記ダイスに横
方向に延在して形成されたピン挿入穴に移動可能に挿入
して搭載しておく。そして、各パンチの前記初期位置へ
の移送後、少なくとも前記加圧工程の終了前に、前記粉
末成形体に前記貫通横穴を形成すべく前記横穴形成ピン
を前記対向ピンに向かって前記キャビティ内に前進させ
て該キャビティを貫通させると共に該横穴形成ピンの前
進に同期させて前記対向ピンを該キャビティ側から後退
させることにより両ピン間の前記粉末材料を前記対向ピ
ン側の前記ピン挿入穴内に前記キャビティから押し出す
工程と、前記横穴形成ピンが前記キャビティを貫通した
状態を前記加圧工程が終了するまで保持する工程とを備
え、前記各組の両パンチ間の材料粉末における前記ニュ
ートラル部位(第1の態様)、あるいは前記各下パンチ
の上方に存する材料粉末における前記ニュートラル部位
(第2の態様)の位置を前記横穴形成ピンの中心軸上の
位置に定める。
【0074】これによれば、前記パンチの前記初期位置
への移送後、少なくとも前記加圧工程の終了前に、前記
対向ピンを後退させつつ前記横穴形成ピンを前記キャビ
ティ内に前進させて該キャビティを貫通させ(このと
き、両ピン間の材料粉末はキャビティから前記対向ピン
側のピン挿入穴内に押し出される)、その横穴形成ピン
の貫通状態を前記加圧工程が終了するまで保持するの
で、その貫通状態のままで、前記キャビティ内の材料粉
末の加圧・圧縮が行われる。これにより、最終的に加圧
工程の終了時にキャビティ内に得られる前記粉末成形体
に前記貫通横穴が形成されることとなる。このとき、前
記各ニュートラル部位を前記横穴形成ピンの中心軸上の
位置に定めているので、該ニュートラル部位は、加圧工
程中に、前記横穴形成ピンに対しても不動となる。従っ
て、前記加圧工程中に、前記横穴形成ピンに偏荷重が作
用することがない。この結果、該横穴形成ピンが加圧工
程中に折れたりすることもなく、貫通横穴を有する良質
の粉末成形体を得ることができる。
【0075】上記のように貫通横穴を有する粉末成形体
を製造する場合、前記対向ピンを後退させつつ前記横穴
形成ピンを前記キャビティ内に前進させて該キャビティ
を貫通させる工程は、例えば、前記加圧工程の開始直前
に行うようにしてもよいが、好ましくは、前記加圧工程
の開始時から終了時までの間に、前記パンチの前記ダイ
スに対する移動を一時的に停止して前記キャビティ内の
材料粉末の加圧・圧縮を中断する工程を備え、前記対向
ピンを後退させつつ前記横穴形成ピンを前記キャビティ
内に前進させて該キャビティを貫通させる工程は、、前
記加圧・圧縮の中断中に行うことが好ましい。
【0076】このようにすることで、前記横穴形成ピン
の前進及び前記対向ピンの後退による前記対向ピン側の
ピン挿入穴内への材料粉末の押し出しは、前記キャビテ
ィ内の材料粉末がある程度圧縮された状態で行われるた
め、キャビティ内の材料粉末が余分に対向ピン側のピン
挿入穴内に押し出されることがなく、その押し出される
材料粉末を必要限に留めることができる。
【0077】また、上記のように貫通横穴を有する粉末
成形体を製造する本発明の第1及び第2の態様では、前
記対向ピンを後退させつつ前記横穴形成ピンを前記キャ
ビティ内に前進させて該キャビティを貫通させた際に、
前記対向ピン側の前記ピン挿入穴内に前記キャビティか
ら押し出された前記材料粉末を、該対向ピン側のピン挿
入穴を前記ダイスの外部に連通させて該ダイスに設けた
粉末排出穴を介して該ダイスの外部に排出する工程を備
えることが好ましい。
【0078】これによれば、前記対向ピン側のピン挿入
穴に押し出された前記材料粉末を前記ダイスの外部で容
易に回収することができ、その材料粉末を粉末成形体の
製造のために再利用することが可能となる。
【0079】次に、本発明の粉末成形体の製造方法の第
3の態様及び第4の態様は、めくら穴状の横穴を有する
粉末成形体を製造するための方法である。そして、本発
明の第3の態様は、特に上下端面に段差を有する粉末成
形体の製造に適した多段成形製造方法であり、ダイ孔を
上下方向に備えるダイスと、該ダイスのダイ孔にその下
方から挿入される複数の下パンチと、各下パンチにそれ
ぞれ対向して該ダイ孔にその上方から挿入され、前記複
数の下パンチとの間に材料粉末が充填されるキャビティ
を形成する複数の上パンチと、該キャビティに向かって
横方向に進退可能に前記ダイスに搭載された横穴形成ピ
ンとを備えた装置を用い、前記横穴形成ピンをその先端
が前記キャビティ内に存するようにして該キャビティ内
に挿入した状態で、互いに対向する各組の下パンチと上
パンチとの間で前記材料粉末を上下方向に加圧・圧縮す
ることにより前記キャビティ内にめくら穴状の横穴を有
する粉末成形体を得る多段成形製造方法において、前記
下パンチ及び上パンチの各組のうち、両パンチが前記キ
ャビティに挿入された横穴形成ピンの上下に該横穴形成
ピンに対向して存する組を特定組とすると共に、前記各
組の両パンチ間の前記材料粉末のうち、当該両パンチに
よる該材料粉末の加圧・圧縮を行う加圧工程中に前記ダ
イスに対して上下方向に不動となるべき部位をニュート
ラル部位とし、該ニュートラル部位が、少なくとも全て
の前記特定組の両パンチ間の材料粉末について前記横穴
形成ピンの中心軸上に存するように各特定組の両パンチ
間の材料粉末における該ニュートラル部位の位置をあら
かじめ定めておき、前記各特定組の両パンチ間の材料粉
末における前記ニュートラル部位が前記加圧工程中に前
記ダイスに対して上下方向に不動となるように各特定組
の両パンチ間による材料粉末の加圧・圧縮を行うことを
特徴とするものである。
【0080】また、本発明の第4の態様は、特に、特に
上端面及び下端面の一方に段差を有し、他方が平坦面と
なっているような粉末成形体の製造に適した多段成形製
造方法であり、ダイ孔を上下方向に備えるダイスと、該
ダイスのダイ孔にその下方から挿入される複数の下パン
チと、該ダイ孔にその上方から挿入され、前記複数の下
パンチとの間に材料粉末が充填されるキャビティを形成
すると共に平坦な下端面を有する上パンチと、該キャビ
ティに向かって横方向に進退可能に前記ダイスに搭載さ
れた横穴形成ピンとを備えた装置を用い、前記横穴形成
ピンをその先端が前記キャビティ内に存するようにして
該キャビティ内に挿入した状態で、前記各下パンチと上
パンチとの間で前記材料粉末を上下方向に加圧・圧縮す
ることにより前記キャビティ内にめくら穴状の横穴を有
する粉末成形体を得る多段成形製造方法において、前記
複数の下パンチのうち、前記キャビティに挿入された横
穴形成ピンの下方に該横穴形成ピンに対向して存する下
パンチを特定下パンチとすると共に、前記各下パンチの
上方に存する前記材料粉末のうち、当該下パンチと前記
上パンチとによる該材料粉末の加圧・圧縮を行う加圧工
程中に前記ダイスに対して上下方向に不動となるべき部
位をニュートラル部位とし、該ニュートラル部位が、少
なくとも全ての前記特定下パンチの上方に存する材料粉
末について前記横穴形成ピンの中心軸上に存するように
各特定下パンチの上方に存する材料粉末における該ニュ
ートラル部位の位置をあらかじめ定めておき、前記各特
定下パンチの上方に存する材料粉末における前記ニュー
トラル部位が前記加圧工程中に前記ダイスに対して上下
方向に不動となるように各特定下パンチと前記上パンチ
とによる材料粉末の加圧・圧縮を行うことを特徴とする
ものである。
【0081】かかる本発明の第3の態様によれば、少な
くとも、互いに対向する上下の両パンチが前記キャビテ
ィに挿入された横穴形成ピンの上下に該横穴形成ピンに
対向して存するような前記特定組の両パンチについて
は、該特定組の両パンチ間の材料粉末における前記ニュ
ートラル部位が、前記キャビティに挿入された横穴形成
ピンの中心軸上に存するように定められる。
【0082】同様に、第4の態様によれば、少なくと
も、前記キャビティに挿入された横穴形成ピンの下方に
該横穴形成ピンに対向して存するような前記特定下パン
チについては、その上方に存する材料粉末における前記
ニュートラル部位が、前記キャビティに挿入された横穴
形成ピンの中心軸上に存するように定められる。
【0083】そして、本発明の第3及び第4の態様で
は、そのニュートラル部位が前記加圧工程中に前記ダイ
スに対して上下方向に不動となるようにキャビティ内の
材料粉末の加圧・圧縮が行われる。このため、前記加圧
工程中に、前記横穴形成ピンに偏荷重が作用することは
なく、該横穴形成ピンが折れたりするのを回避すること
ができる。
【0084】かかる本発明の第3及び第4の態様のより
具体的な形態では、前記複数の下パンチを挿入した前記
ダイ孔内に、各下パンチの上方に存する材料粉末の深さ
がそれぞれあらかじめ定めた所定量となるように該材料
粉末を充填する工程と、前記複数の上パンチ(第3の態
様)、あるいは単一の上パンチ(第4の態様)を前記ダ
イ孔にその上方から挿入して該ダイ孔内の材料粉末に接
触させ、該材料粉末が非加圧状態で密封された前記キャ
ビティを該ダイ孔内に形成する工程とを備える。
【0085】さらに、第3の態様にあっては、該材料粉
末の非加圧状態での前記各組の下パンチ及び上パンチの
間隔を維持しつつ該両パンチをダイ孔内で前記ダイスに
対して相対的に上下方向に移動させ、各組の両パンチを
前記材料粉末の加圧・圧縮の開始時における前記ダイス
に対する相対的な初期位置としてあらかじめ定めた位置
に移送する工程を備える。同様に、第4の態様にあって
は、該材料粉末の非加圧状態での前記各下パンチ及び上
パンチの間隔を維持しつつ各下パンチ及び上パンチをダ
イ孔内で前記ダイスに対して相対的に上下方向に移動さ
せ、各下パンチ及び上パンチを前記材料粉末の加圧・圧
縮の開始時における前記ダイスに対する相対的な初期位
置としてあらかじめ定めた位置に移送する工程を備え
る。
【0086】さらに、第3及び第4のいずれの態様にあ
っても、少なくとも前記キャビティ内の材料粉末の加圧
・圧縮を行う加圧工程の開始前に前記横穴形成ピンを該
キャビティに挿入し、その挿入状態を該加圧工程中に維
持する工程を備える。
【0087】そして、第3の態様にあっては、前記加圧
工程は、少なくとも前記各特定組の下パンチ及び上パン
チのそれぞれの前記ダイスに対する相対的な移動速度の
比率を一定として、各組の下パンチ及び上パンチをそれ
ぞれ前記初期位置から前記ダイスに対して相対的に上
動、下動させることにより行うと共に、少なくとも該加
圧工程における各特定組の下パンチ及び上パンチのそれ
ぞれの前記ダイスに対する相対的な移動量は、該各特定
組の両パンチ間の材料粉末における前記ニュートラル部
位が該加圧工程中に前記ダイスに対して上下方向に不動
となるようにあらかじめ設定しておく。
【0088】また、第4の態様にあっては、前記加圧工
程は、少なくとも前記各特定下パンチ及び上パンチのそ
れぞれの前記ダイスに対する相対的な移動速度の比率を
一定とし且つ、各特定下パンチの上方に存する材料粉末
の前記加圧工程における圧縮比を全ての特定下パンチに
ついて同一として、各下パンチ及び上パンチをそれぞれ
前記初期位置から前記ダイスに対して相対的に上動、下
動させることにより行うと共に、少なくとも該加圧工程
における各特定下パンチ及び上パンチのそれぞれの前記
ダイスに対する相対的な移動量は、前記各特定下パンチ
の上方に存する材料粉末における前記ニュートラル部位
が前記加圧工程中に前記ダイスに対して上下方向に不動
となるようにあらかじめ設定しておく。
【0089】上記のような本発明の第3の態様及び第4
の態様によれば、前記ダイ孔内への材料粉末の充填と前
記キャビティの形成と前記各パンチの前記初期位置への
移送とが前述した本発明の第1及び第2の態様の場合と
全く同様に行われる。また、キャビティ内の材料粉末の
加圧・圧縮を開始する前(例えば、該加圧・圧縮を開始
する直前や、前記キャビティに材料粉末を充填する前
等)に、前記横穴形成ピンを前記キャビティに挿入して
おく。このとき、該横穴形成ピンは粉末成形体にめくら
穴状の横穴を形成するためのものであるので、該横穴形
成ピンの先端は、キャビティ内に存する。
【0090】このように横穴形成ピンをキャビティ内に
挿入し、また、各パンチを前記初期位置に移送した状態
で、次に、各下パンチと上パンチとをそれぞれ前記ダイ
スに対して相対的に上動、下動させることで前記キャビ
ティ内の材料粉末を加圧・圧縮し、前記キャビティ内に
前記粉末成形体を得る。
【0091】このとき、本発明の第3の態様にあって
は、少なくとも前記各特定組の下パンチ及び上パンチに
ついては、各特定組の下パンチ及び上パンチのそれぞれ
の前記ダイスに対する相対的な移動速度の比率を一定と
して、各組の両パンチによる材料粉末の加圧・圧縮が行
われる。また、第4の態様にあっては、少なくとも前記
特定下パンチについては、各下パンチと上パンチとのそ
れぞれの前記ダイスに対する相対的な移動速度の比率を
一定とすることに加えて、各特定パンチの上方に存する
材料粉末の前記加圧工程における圧縮比を全ての特定下
パンチについて同一として、前記材料粉末の加圧・圧縮
が行われる。
【0092】このようにしたとき、同一水平面上に並ぶ
ように定めた各特定組の両パンチ間の材料粉末における
前記ニュートラル部位(第3の態様)、あるいは各特定
下パンチの上方に存する材料粉末(第4の態様)におけ
る前記ニュートラル部位が、前記加圧工程中に実際にダ
イスに対して上下方向に不動となるように、加圧工程に
おける各特定組の下パンチ及び上パンチのそれぞれの前
記ダイスに対する相対的な移動量(第3の態様)、ある
いは、各特定下パンチと上パンチとのそれぞれの前記ダ
イスに対する相対的な移動量(第4の態様)を前述した
第1及び第2の態様の場合と同様に設定することがで
き、また、それらのパンチの前記初期位置も定めること
ができる。
【0093】そして、このように各特定組の上下のパン
チ、あるいは各特定下パンチ及び上パンチの移動量を設
定し、また、それらの各パンチの前記ダイスに対する相
対移動速度や、それらに対応する前記ニュートラル部位
の位置を定めて、前記加圧工程を行ったとき、前記横穴
形成ピンに対向する各特定組の上下のパンチ、あるいは
各特定下パンチに対応する各ニュートラル部位を、該加
圧工程の開始時から終了時までダイスに対して上下方向
に不動となるようにすることができると共に、そのニュ
ートラル部位の全てを同一水平面上に並ばせることがで
きる。
【0094】このため、前記キャビティに挿入された横
穴形成ピンに偏荷重が作用することはなく、横穴形成ピ
ンが加圧工程中に折れたりするのを防止することができ
る。
【0095】かかる本発明の第3の態様及び第4の態様
では、より具体的には、前記各パンチの移動量は次のよ
うに求めることができる。
【0096】すなわち、本発明の第3の態様にあって
は、前記各特定組の下パンチ及び上パンチの組番号をk
としたとき、前記本発明の第1の態様に関して説明した
前記式(15),(16)によって、前記加圧工程にお
ける第k組の下パンチ及び上パンチのそれぞれの前記ダ
イスに対する相対的な移動量Xk,Ykを設定すること
ができる。
【0097】同様に、第4の態様にあっては、前記各特
定下パンチの番号をkとしたとき、前記式(15)によ
って、前記加圧工程における第k番の特定下パンチの前
記ダイスに対する相対的な移動量Xkを設定することが
でき、また、前記式(17)によって、前記加圧工程に
おける上パンチの前記ダイスに対する相対的な移動量Y
を設定することができる。
【0098】従って、前記横穴形成ピンの破損を回避で
きるような加圧条件の設定を容易に行うことができる。
【0099】上述のような本発明の第3の態様におい
て、前記特定組以外の組の両パンチ、すなわち、前記キ
ャビティに挿入された横穴形成ピンの上下に存しないよ
うな両パンチの組については、その移動速度や移動量を
必ずしも特定組の両パンチと同様に設定する必要はない
が、均質的な粉末成形体を得る上では、特定組の両パン
チと同様に移動速度や移動量を設定することが好ましい
と考えられる。同様に、第4の態様においても、均質的
な粉末成形体を得る上では、特定下パンチ以外の下パン
チについても、特定下パンチと同様に移動速度や移動量
を設定することが好ましいと考えられる。
【0100】そこで、本発明の第3の態様では、前記特
定組を含む全ての組の両パンチについて、前記加圧工程
中における各組の下パンチ及び上パンチのそれぞれの前
記ダイスに対する相対的な移動速度の比率を一定として
各組の両パンチによる前記材料粉末の加圧・圧縮を行う
と共に、前記特定組を含む全ての組の両パンチ間の材料
粉末について前記ニュートラル部位が前記横穴形成ピン
の中心軸上に存するように各組の両パンチ間の材料粉末
における該ニュートラル部位の位置をあらかじめ定めて
おき、前記各組の両パンチ間の材料粉末における前記ニ
ュートラル部位が前記加圧工程中に前記ダイスに対して
上下方向に不動となるように、各組の下パンチ及び上パ
ンチのそれぞれの該加圧工程における前記ダイスに対す
る相対的な移動量をあらかじめ設定する。
【0101】同様に、本発明の第4の態様では、前記特
定下パンチを含む全ての下パンチについて、前記加圧工
程中における各下パンチ及び上パンチのそれぞれの前記
ダイスに対する相対的な移動速度の比率を一定として各
下パンチと上パンチとにによる前記材料粉末の加圧・圧
縮を行うと共に、前記特定下パンチを含む全ての下パン
チの上方に存する材料粉末について前記ニュートラル部
位が前記横穴形成ピンの中心軸上に存するように各下パ
ンチの上方に存する材料粉末における該ニュートラル部
位の位置をあらかじめ定めておき、前記各下パンチの上
方に存する材料粉末における前記ニュートラル部位が前
記加圧工程中に前記ダイスに対して上下方向に不動とな
るように、各下パンチ及び上パンチのそれぞれの該加圧
工程における前記ダイスに対する相対的な移動量をあら
かじめ設定する。
【0102】このようにすることで、全ての組の両パン
チ間の材料粉末に対するニュートラル部位(第3の態
様)、あるいは、全ての下パンチの上方の材料粉末に対
するニュートラル部位(第4の態様)が、前記横穴形成
ピンの中心軸を含む同一水平面上に並び、且つ、加圧工
程中にダイスに対して上下に不動となるので、前述した
本発明の第1及び第2の態様に関して説明した如く、前
記キャビティ内の材料粉末は、どのパンチにより加圧さ
れるかによらずに、均質的に加圧・圧縮され、良質の粉
末成形体を得ることができる。
【0103】
【発明の実施の形態】本発明の第1の実施形態を図2〜
図9を参照して説明する。図2は本実施形態で製造する
粉末成形体の一例を示す斜視図及び縦断面図、図3〜図
8は図1の粉末成形体の製造方法を説明するための説明
的断面図、図9は図1の粉末成形体を製造するために材
料粉末を加圧・圧縮する際の加圧条件の設定の仕方を説
明するための説明図である。
【0104】図2において、同図(a)は本実施形態で
製造する粉末成形体50の斜視図、、同図(b)は図2
(a)のI−I線断面による粉末成形体50の縦断面図
である。これらの図に示すように、製造する粉末成形体
50は、例えば、縦方向の長さが異なる3つの垂直姿勢
の方形状の板部51,52,53を重合したような外形
状をなし、それらの板部51,52,53の上下端面に
より、粉末成形体50の上下端部に段差が形成されてい
る。そして、粉末成形体50は、その板部51,52,
53をそれらの法線方向(水平方向)に貫く貫通横穴5
4を有する。
【0105】本実施形態において、この粉末成形体50
の製造に用いる装置は、材料粉末の多段成形を行う装置
であり、図3に示すように、ダイ孔1を上下方向に有す
るダイス2と、このダイス2のダイ孔1にその下方から
挿入される三個の下パンチ3a,4a,5aと、これら
の各パンチ3a,4a,5aにそれぞれ対向してダイ孔
1にその上方から挿入される三個の上パンチ3b,4
b,5bとを具備する。
【0106】ダイス2のダイ孔1は、図2に示した粉末
成形体50の外周形状(垂直面形状)に沿った形状に形
成されている。また、ダイス2の内部の所定の箇所に
は、ダイ孔1に連通させて横方向に穿設された一対のピ
ン挿入穴6,7が、ダイ孔1を間に介在させて同心に相
対向するように備えられている。そして、これらのピン
挿入穴6,7には、それぞれ、前記粉末成形体50の貫
通横穴54の形状を有する横穴形成ピン8と該横穴形成
ピン8に対向する対向ピン9とが、それらの先端面をダ
イ孔1に臨ませて対向するように挿入されている。これ
らの横穴形成ピン8及び対向ピン9は、それぞれ図示し
ないアクチュエータを介してピン挿入穴6,7に沿って
その軸方向(横方向)に移動可能とされている。さら
に、ダイス2には、前記対向ピン9側のピン挿入穴7に
連通してダイス2の下方に開放された粉末排出穴10が
備えられている。
【0107】下パンチ3aとこれに対向する上パンチ4
aとの組、下パンチ3bとこれに対向する上パンチ4b
との組、及び下パンチ3cとこれに対向する上パンチ4
cとの組は、それぞれ、前記粉末成形体50の板部51
の部分、板部52の部分、板部53の部分を成形するた
めのもので、各下パンチ3a〜5aの上面(成形面)
は、それぞれ、粉末成形体50の各板部51〜53の下
端面の形状に形成されている。同様に、各上パンチ3b
〜5bの下面(成形面)は、それぞれ、粉末成形体50
の各板部51〜53の上端面の形状に形成されている。
【0108】なお、本実施形態では、前記ダイス2は装
置に固定されており、各下パンチ3a〜5a及び各上パ
ンチ3b〜5bが図示しないアクチュエータを介して昇
降可能とされている。また、各パンチ3a〜5a,3b
〜5bの昇降や、前記各ピン8,9の移動は、図示しな
いマイクロコンピュータ等を用いて制御される。
【0109】以上のような装置を用いて、粉末成形体5
0は次のように製造される。なお、以下の説明では、下
パンチ3aと上パンチ4aとの組、下パンチ3bと上パ
ンチ4bとの組、及び下パンチ3cと上パンチ4cとの
組をそれぞれ、組パンチ3,4,5と称する。
【0110】まず、図3に示すように、ダイ孔1に挿入
した下パンチ3a〜5aをそれぞれ、ダイ孔1の上端開
口面から所定量F1,F2,F3の深さ位置に移動させ
た状態で、ダイ孔1に、その上方から材料粉末12(例
えば鉄系金属粉末やセラミックス粉末)を充填する。こ
のとき、材料粉末12は、ダイ孔1の上端開口面まで充
填される。すなわち、各下パンチ3a〜5aの上側にそ
れぞれ上記所定量F1,F2,F3の充填深さの材料粉
末12が存するように該材料粉末12がダイ孔1内に充
填される。
【0111】この場合、各下パンチ3a〜5aの上側の
材料粉末12の充填深さF1,F2,F3は、材料粉末
12をどの程度の圧縮比で圧縮して前記粉末成形体50
を製造するかによって設計的に定められるものである。
【0112】次いで、各下パンチ3a〜5aを一斉に、
若干、下動させると共に、各上パンチ3b〜5bの下端
面を同一面上に揃えた状態でそれらの上パンチ3b〜5
bをダイ孔1に向かってその上方から一斉に下動させ、
図4に示すように、各上パンチ3b〜5bをダイ孔1内
に挿入して材料粉末12の上面に接触させる。これによ
り、ダイ孔1内には、下パンチ3a〜5a及び上パンチ
3b〜5b間にキャビティ11が形成され、このキャビ
ティ11内に材料粉末12が密封される。このとき、各
上パンチ3b〜5bは材料粉末12の上面に接触する位
置、すなわち、各上パンチ3b〜5bと対向する各下パ
ンチ3a〜5aの上面からそれぞれ前記所定量の充填深
さF1〜F3の間隔を存する位置で停止され、キャビテ
ィ11内の材料粉末12は非加圧状態に維持される。
【0113】なお、上記のような作動に際しては、下パ
ンチ3a〜5aを下動させる代わりに、ダイス2を上動
させるようにしてもよい。
【0114】次に、各組パンチ3,4,5のそれぞれの
両パンチ間の間隔(これはそれぞれ前記充填深さF1〜
F3である)を維持したまま、キャビティ11内の材料
粉末12の加圧・圧縮を開始する際の各組パンチ3,
4,5の位置として図5に示すようにあらかじめ定めた
初期位置に各組パンチ3,4,5をそれぞれ移送する。
この場合、本実施形態では、図4の状態から各組パンチ
3,4,5をそれぞれ各別の所定量づつ下動させること
で、図5の初期位置に各組パンチ3,4,5が移送さ
れ、キャビティ11の形状が前記粉末成形体50に相似
した形状になる。また、この移送によって、前記横穴形
成ピン8及び対向ピン9は、各組パンチ3,4,5と所
定の位置関係を有してキャビティ11内の材料粉末12
に臨む。
【0115】なお、このとき各組パンチ3,4,5の前
記初期位置がどのように設定されているかについては後
述する。
【0116】次いで、各組パンチ3,4,5の下パンチ
及び上パンチをそれぞれ一斉に上動、下動させてキャビ
ティ11内の材料粉末12の加圧・圧縮を開始し、その
後、該キャビティ11内の材料粉末12が前記粉末成形
体50の形状まで圧縮される前の所定のタイミングで、
材料粉末12の加圧・圧縮を中断する(各組パンチ3,
4,5の下パンチ及び上パンチの移動を停止する)こと
で、図6に示すように該材料粉末12を仮圧縮する。こ
の仮圧縮は、キャビティ11内の材料粉末12がその形
状を維持できる程度であればよく、例えば、キャビティ
11内の材料粉末12を加圧開始時の状態(図6の状
態)から各組パンチ3,4,5の両パンチ間で20〜3
0%圧縮するように行われる。また、この仮圧縮に際し
ては、各組パンチ3,4,5毎に、その各組パンチ3,
4,5の下パンチの移動速度と上パンチの移動速度との
比率が一定となるようにそれらの移動速度が設定されて
いる。すなわち、組パンチ3の下パンチ3aの移動速度
(上昇速度)をVa、上パンチ3bの移動速度(下降速
度)をVbとしたとき、Va:Vbは仮圧縮の工程中に
常に一定となるように(例えばVa、Vbのそれぞれが
あらかじめ定めた一定値となるように)それらの移動速
度Va,Vbが制御される。このことは、他の組パンチ
4,5についても同様である。
【0117】上記のように仮圧縮を行い、キャビティ1
1内の材料粉末12の加圧・圧縮を中断しているとき
に、次に、前記横穴形成ピン8をキャビティ8内に向か
って前進させると共に、これに同期させて、前記対向ピ
ン9をキャビティ11から離反させるように後退させ
る。この動作を、図7に示すように、横穴形成ピン8の
先端部がキャビティ11内を貫通して対向ピン9側のピ
ン挿入穴7に進入し、その先端部が前記粉末排出穴10
に臨む位置に達するまで行う。
【0118】このとき、前記図6の仮圧縮状態で、横穴
形成ピン8と対向ピン9との間に存している材料粉末1
2が横穴形成ピン8の前進及び対向ピン9の後退に伴
い、対向ピン9側のピン挿入穴7内に押し出され、その
押し出された部分が横穴形成ピン8により埋められる。
そして、横穴形成ピン8の先端部が前記粉末排出穴10
に臨む位置に達すると、対向ピン9側のピン挿入穴7内
に押し出された粉末材料11は、粉末排出穴10内に落
下し、該粉末排出穴10を介してダイス2の下方に排出
される。
【0119】このとき、キャビティ11内の材料粉末1
2は、前述の仮圧縮によって、ある程度固められている
ため、横穴形成ピン8の前進に伴い対向ピン9が後退さ
れた際に、両ピン8,9間に存する材料粉末12だけで
なく、その周囲の材料粉末12までもが対向ピン9側の
ピン挿入穴7に内に入り込んでしまうような事態を回避
することができる。すなわち、キャビティ11内からピ
ン挿入穴7内に押し出される材料粉末12を必要限に留
めることができる。
【0120】なお、排出された材料粉末12は、粉末排
出穴10の下方に設けられた図示しない粉末回収器に回
収され、それが新たな粉末成形体50や他の粉末成形体
を製造するための材料粉末として再利用される。
【0121】このようにして、材料粉末12の加圧・圧
縮の中断中に、横穴形成ピン8をキャビティ11に貫通
させた後、その貫通状態を維持したまま、各組パンチ
3,4,5の下パンチ及び上パンチを再びそれぞれ一斉
に上動、下動させてキャビティ11内の材料粉末12の
加圧・圧縮を再開し、この加圧・圧縮をキャビティ11
内の材料粉末10が最終的に図8に示すように前記粉末
成形体50の形状になって、該キャビティ11内に粉末
成形体50が得られるまで行う。
【0122】このとき、各組パンチ3,4,5の下パン
チ及び上パンチの移動速度は、前記仮圧縮の場合と同様
に、各組パンチ3,4,5毎に、その各組パンチ3,
4,5の下パンチの移動速度と上パンチの移動速度との
比率が一定となるように制御される。
【0123】また、前記仮圧縮の際を含めて、前記図5
に示した材料粉末12の加圧・圧縮の開始時の状態か
ら、図8に示した加圧・圧縮の終了時の状態までの加圧
工程における、各組パンチ3,4,5の下パンチ及び上
パンチの移動量は、本実施形態では、各組パンチ3,
4,5の両パンチ間に存する材料粉末12のうち、ダイ
ス2に対して上下に不動となる部位、すなわち前述した
ニュートラル部位が前記横穴形成ピン8の中心軸上に位
置するように設定されているのであるが、これについて
は後述する。
【0124】上記のようにして、キャビティ11内に粉
末成形体50が得られた後には、前記横穴形成ピン8が
ピン挿入穴6内に戻されてキャビティ11内の粉末成形
体50から抜脱され、さらに上パンチ3b,4b,5b
を上動させてダイ孔1内から抜脱した後、下パンチ3
a,4b,5bを上動させることにより、粉末成形体5
0がダイ孔1内から取り出される。なお、横穴形成ピン
8をキャビティ11内の粉末成形体50から抜脱する際
には、それに先だって、上パンチ3b,4b,5bを僅
かに上動させると共に、下パンチ3a,4b,5bを僅
かに下動させると、キャビティ11内の粉末成形体50
に生じている内部応力が解放され、横穴形成ピン8の抜
脱を容易に行うことができる。
【0125】次に、前記図5に示した材料粉末12の加
圧・圧縮の開始時の状態から、図8に示した加圧・圧縮
の終了時の状態までの加圧工程(仮圧縮を含む)におけ
る、各組パンチ3,4,5の下パンチ及び上パンチの移
動量と、加圧工程の開始時における各組パンチ3,4,
5の下パンチ及び上パンチの初期位置とについて前記図
2(b)及び図9を参照して説明する。
【0126】図9(a)は、図5と同じ加圧工程の開始
時の状態、図9(b)は、図8と同じ加圧工程の終了時
の状態を示している。
【0127】図9(a)を参照して本実施形態では、キ
ャビティ11内で組パンチ3の両パンチ3a,3b間に
存する材料粉末12のうちの前記横穴形成ピン8の中心
軸上の部位(詳しくは該中心軸を含む水平面上の部位。
以下同様)C1と、組パンチ4の両パンチ4a,4b間
に存する材料粉末12のうちの横穴形成ピン8の中心軸
上の部位C2と、組パンチ5の両パンチ5a,5b間に
存する材料粉末12のうちの横穴形成ピン8の中心軸上
の部位C3とを(これらの部位C1〜C3が横穴形成ピ
ン8の中心軸上に連続して並んでいる)、前記仮圧縮の
場合を含めてキャビティ11内の材料粉末12の加圧・
圧縮を行う加圧工程中に、ダイス2に対して上下に不動
となるべきニュートラル部位として定める。
【0128】そして、それらのニュートラル部位C1〜
C3がキャビティ11内の材料粉末12の加圧工程中
に、実際にダイス2に対して不動となるように、すなわ
ち、加圧工程中に常に、横穴形成ピン8の中心軸上に存
するように、加圧工程の開始時から終了時までの(前記
仮圧縮を含む)、各組パンチ3〜5の各パンチの加圧工
程中の移動量を設定する。
【0129】この移動量を設定するために、前述した充
填深さF1〜F3以外に、次のようなパラメータを定義
する。
【0130】すなわち、前記図2(b)に示すように、
粉末成形体50の各板部51,52,53の垂直方向の
厚さ(成形体厚さ)をそれぞれH1,H2,H3とし、
また、各板部51,52,53の下端面から前記貫通横
穴54の中心軸までの間隔をそれぞれh1,h2,h3
とする。換言すれば、図9(b)に示す如く、前記加圧
工程の終了時における各組パンチ3〜4の両パンチ間の
間隔をそれぞれH1,H2,H3とし、また、前記加圧
工程の終了時における各下パンチ3a〜5aの上面から
前記横穴形成ピン8の中心軸までの間隔をそれぞれh
1,h2,h3とする。これらのH1,H2,H3,h
1,h2,h3の値は、製造する粉末成形体50の設計
寸法によって定まるものである。
【0131】また、前記加圧工程の開始時から終了時ま
での各パンチ3a,3b,4a,4b,5a,5bの移
動量をそれぞれX1,Y1,X2,Y2,X3,Y3、
前記加圧工程の開始時における各下パンチ3a,4a,
5aのダイス2の上面からの間隔をそれぞれS1,S
2,S3、前記加圧工程の終了時における各下パンチ3
a,4a,5aのダイス2の上面からの間隔をそれぞれ
E1,E2,E3、ダイス2の上面から横穴形成ピン8
の中心軸までの間隔をNLとおく。
【0132】なお、上記移動量X1,Y1,X2,Y
2,X3,Y3に関しては、上向きを正の向きとする。
従って、加圧工程中に上動する下パンチ3a〜5aの移
動量X1〜X3は正の値であり、加圧工程中に下動する
上パンチ3b〜5bの移動量Y1〜Y3は負の値であ
る。
【0133】ここで、まず、組パンチ3の両パンチ3
a,3b間の材料粉末12の前記ニュートラル部位C1
に関し、図9(b)の加圧工程の開始時における下パン
チ3aの上面から該ニュートラル部位C1までの間隔
の、前記充填深さF1(これは加圧工程の開始時におけ
る両パンチ3a,3b間の間隔に等しい)に対する割合
を百分率で表したものをR1とおくと、このR1は、前
述の如く定義した加圧比率に相当するものである。そし
て、このニュートラル部位C1に係わる加圧比率R1
は、該ニュートラル部位C1が加圧工程中に常に横穴形
成ピン8の中心軸上にあるべき部位であるから、図9
(b)の加圧工程の終了時における下パンチ3aの上面
から横穴形成ピン8の中心軸までの間隔h1の、該加圧
工程の終了時における両パンチ3a,3b間の間隔H1
に対する割合を百分率で表したもの(=100・h1/
H1)に等しくなるべきものである。従って、前記ニュ
ートラル部位C1に係わる加圧比率R1の値は、次式
(18)により与えられる。
【0134】
【数18】
【0135】そこで、本実施形態では、組パンチ3の下
パンチ3aの前記移動量X1は前記式(15)に従っ
て、前記加圧比率R1と、加圧工程の開始時における両
パンチ3a,3b間の材料粉末12の充填深さF1と、
粉末成形体50の板部51の垂直方向の厚さH1とを用
いて、次式(19)により設定する。
【0136】
【数19】
【0137】また、組パンチ3の上パンチ3bの前記移
動量Y1は前記式(16)に従って、前記加圧比率R
1、充填深さF1及び粉末成形体50の板部51の厚さ
H1を用いて次式(20)により設定する。
【0138】
【数20】
【0139】さらに、上記の組パンチ3の場合と同様の
考え方によって、組パンチ4の両パンチ4a,4b間の
材料粉末12の前記ニュートラル部位C2に係わる加圧
比率をR2、組パンチ5の両パンチ5a,5b間の材料
粉末12の前記ニュートラル部位C3に係わる加圧比率
をR3とおくと、これらの値は、それぞれ次式(2
1),(22)により与えられる。
【0140】
【数21】
【0141】
【数22】
【0142】そこで、本実施形態では、組パンチ4の下
パンチ4aの前記移動量X2と、上パンチ4bの前記移
動量Y2とは、それぞれ前記式(15),(16)に従
って、前記加圧比率R2と、充填深さF2と、粉末成形
体50の板部52の垂直方向の厚さH2とを用いて、次
式(23),(24)によりそれぞれ設定する。
【0143】
【数23】
【0144】
【数24】
【0145】同様に、組パンチ5の下パンチ5aの前記
移動量X3と、上パンチ5bの前記移動量Y4とは、そ
れぞれ前記加圧比率R3と、充填深さF3と、粉末成形
体50の板部53の垂直方向の厚さH3とを用いて、次
式(25),(26)によりそれぞれ設定する。
【0146】
【数25】
【0147】
【数26】
【0148】次に、本実施形態では、加圧工程の開始時
における各パンチ3a〜5a、3b〜5bの初期位置は
次のように設定する。
【0149】まず、下パンチ3aに関し、前記加圧工程
の終了時における該下パンチ3aの上面からダイス2の
上面までの前記間隔E1は、図9(b)を参照して明ら
かなように、下パンチ3aの上面から横穴形成ピン8の
中心軸までの前記間隔h1と、該中心軸からダイス2の
上面までの間隔NL(これはダイス2の設計上で定まる
値である)との和(=h1+NL)である。また、加圧
工程の開始時における下パンチ3aの上面からダイス2
の上面までの前記間隔S1は、上記間隔E1に、前記式
(14)により設定される下パンチ3aの加圧工程中の
移動量X1を加えたものである。
【0150】そこで、本実施形態では、加圧工程の開始
時における下パンチ3aの初期位置を規定する前記間隔
S1を前記式(19)により設定する移動量X1を用い
て次式(27)により設定する。
【0151】
【数27】
【0152】これと同様の考え方によって、加圧工程の
開始時における下パンチ4a,5aの初期位置を規定す
る前記間隔S2,S3を、本実施形態では、それぞれ前
記式(23),(25)により設定する移動量X2,X
3を用いて次式(28),(29)により設定する。
【0153】
【数28】
【0154】
【数29】
【0155】なお、加圧工程の開始時における前記各上
パンチ3a,4b,5bの初期位置(各上パンチ3a,
4b,5bの下面からダイス2の上面までの間隔)は、
図9(a)を参照して明らかなように、それぞれ上記の
ように設定される間隔S1〜S3に前記各組パンチ3〜
5の両パンチ間の充填深さF1〜F3を減算した値とし
て設定される。
【0156】以上説明したように各パンチ3a〜5a、
3b〜5bの加圧工程中の移動量X1〜X3,Y1〜Y
3と、各パンチ3a〜5a、3b〜5bの加圧工程の開
始時の初期位置とを設定して、前述の如く、材料粉末1
2の加圧・圧縮を行うことで、各組パンチ3〜5の両パ
ンチ間の材料粉末12の前記ニュートラル部位C1〜C
3はそのいずれもが、加圧工程中に、前記横穴形成ピン
8の中心軸上で不動になる。このため、特に前記横穴形
成ピン8をキャビティ11に貫通させた後の材料粉末1
2の加圧・圧縮に際して、該横穴形成ピン8に偏荷重が
作用することがなく、該横穴形成ピン8が破損したりす
るのを確実に防止することができる。
【0157】また、各組パンチ3〜5の両パンチ間の材
料粉末12の前記ニュートラル部位C1〜C3はそのい
ずれもが、加圧工程中に、前記横穴形成ピン8の中心軸
上で不動になることで、組パンチ3の両パンチ間の材料
粉末12とその隣の組パンチ4の両パンチ間の材料粉末
12との境界部分と、組パンチ4の両パンチ間の材料粉
末12とその隣の組パンチ5の両パンチ間の材料粉末1
2との境界部分とにおいて、加圧工程の開始時に互いに
隣合っていた材料粉末12は、その隣接関係が加圧工程
中も維持される。このため、上記の境界部分において粉
末成形体50の強度不足が生じるような事態を防止し、
良品質の粉末成形体50を得ることができる。
【0158】次に、本発明の第2の実施形態を図10〜
図15を参照して説明する。図10は本実施形態で製造
する粉末成形体の一例を示す縦断面図、図11〜図15
は図1の粉末成形体の製造方法を説明するための説明的
断面図である。なお、本実施形態の説明において、前述
の第1の実施形態と同一構成部分については、第1の実
施形態と同一の参照符号を用いる。
【0159】図10を参照して、本実施形態で製造する
粉末成形体60は、例えば前述した図2の粉末成形体5
0と同一の外形状で、板部61,62,63を重合した
ような外形状をなす。各板部61〜63の垂直方向の長
さ(成形体厚さ)等のサイズは、それぞれ図2の粉末成
形体50の板部51〜53と同一である。そして、本実
施形態では、粉末成形体60の板部51の表面(図の左
側面)から板部52にかけて横方向に延在する比較的小
径なめくら穴状の横穴64(以下、めくら横穴6とい
う)を有している。このめくら横穴64は、板部63に
は延びていない。
【0160】なお、本実施形態では、粉末成形体60に
おけるめくら横穴64の中心軸の位置は、前述の粉末成
形体50における貫通横穴54の中心軸の位置と同一
で、板部61〜63のそれぞれの下面から間隔h1,h
2,h3を存する位置である。
【0161】本実施形態において、この粉末成形体60
の製造に用いる装置の基本構成は、前述の粉末成形体5
0の製造に用いる装置と同一であり、ダイ孔1を上下方
向に有するダイス2と、このダイス2のダイ孔1にその
下方から挿入される三個の下パンチ3a,4a,5a
と、これらの各パンチ3a,4a,5aにそれぞれ対向
してダイ孔1にその上方から挿入される三つの上パンチ
3b,4b,5bとを具備する。ダイス2のダイ孔1、
各下パンチ3a〜5a、及び各上パンチ3b〜5bの形
状は、前述の第1の実施形態のものと同一で、下パンチ
3a及び上パンチ3bからなる組パンチ3と、下パンチ
4a及び上パンチ4bからなる組パンチ4と、下パンチ
5a及び上パンチ5bからなる組パンチ5とはそれぞ
れ、粉末成形体60の板部61〜63の部分を成形する
ためのものである。
【0162】一方、本実施形態では、ダイス2の内部に
は、組パンチ3寄りの箇所でダイ孔1に連通させて横方
向に穿設されたピン挿入穴13が備えられ、この挿入穴
13に、前記粉末成形体60のめくら横穴64の形状を
有する横穴形成ピン14がその先端面をダイ孔1に臨ま
せて挿入されている。この横穴形成ピン14は、図示し
ないアクチュエータを介してピン挿入穴13に沿ってそ
の軸方向(横方向)に移動可能とされている。
【0163】なお、前記第1の実施形態の場合と同様、
ダイス2は装置に固定されており、各下パンチ3a〜5
a及び各上パンチ3b〜5bが図示しないアクチュエー
タを介して昇降可能とされていると共に、各パンチ3a
〜5a,3b〜5bの昇降や、前記横穴形成ピン14の
移動は、図示しないマイクロコンピュータ等を用いて制
御される。
【0164】以上のような装置を用いて、粉末成形体6
0は次のように製造される。
【0165】まず、図11に示すように、ダイ孔1内に
挿入した各下パンチ3a〜5aをそれぞれ、ダイ孔1の
上端開口面から所定量F1,F2,F3の深さ位置に移
動させた状態で、前記第1実施形態の場合と全く同様に
(図3参照)、ダイ孔1内にその上方から材料粉末12
を充填する。このときの、材料粉末12の充填深さF
1,F2,F3は前記第1の実施形態と同一である。
【0166】次いで、前記第1の実施形態の場合と全く
同様に、各下パンチ3a〜5aを一斉に、若干、下動さ
せると共に、各上パンチ3b〜5bをダイ孔1に向かっ
てその上方から一斉に下動させ、図12に示すように、
各上パンチ3b〜5bをダイ孔1内に挿入して材料粉末
12の上面に接触させる。これにより、ダイ孔1内に、
材料粉末12が下パンチ3a〜5aと上パンチ3b〜5
bとの間で密封されたキャビティ11を形成する。この
とき、キャビティ11内の材料粉末12は非加圧状態に
維持される。
【0167】次に、前記第1の実施形態の場合と全く同
様に、各組パンチ3,4,5のそれぞれの両パンチ間の
間隔を維持したまま、図13に示す如く各組パンチ3,
4,5をキャビティ11内の材料粉末12の加圧・圧縮
を開始する際の所定の初期位置にそれぞれ移送する。こ
の場合、各組パンチ3〜5の初期位置は、第1の実施形
態と同一である。
【0168】さらに、前記横穴形成ピン14をキャビテ
ィ8内に向かって前進させ、図14に示すごとく、該キ
ャビティ8内の所定の位置(本実施形態では、組パンチ
4の両パンチ間の材料粉末と組パンチ5の両パンチ間の
材料粉末の境界部分)まで、横穴形成ピン14を挿入す
る。このとき、組パンチ3,4の両パンチは、特定組の
両パンチで、横穴形成ピン14の上下に該横穴形成ピン
14に対向して存するものとなるが、組パンチ5の両パ
ンチは、横穴形成ピン14には対向しないものとなる
(組パンチ5の両パンチ間には横穴形成ピン14は存在
しない)。
【0169】そして、この横穴形成ピン14の挿入状態
を維持したまま、各組パンチ3,4,5の下パンチ及び
上パンチをそれぞれ一斉に上動、下動させてキャビティ
11内の材料粉末12の加圧・圧縮を開始し、この加圧
・圧縮を、図15に示す如く、最終的にキャビティ11
内に前記粉末成形体60が得られるまで行う。
【0170】このとき、前記第1の実施形態における材
料粉末の加圧・圧縮の場合と同様に、各組パンチ3,
4,5毎に、その各組パンチ3,4,5の下パンチの移
動速度と上パンチの移動速度との比率が一定となるよう
にそれらの移動速度が制御される。
【0171】また、図14を参照して、本実施形態で
は、前述の第1の実施形態と同様、キャビティ11内で
組パンチ3の両パンチ3a,3b間に存する材料粉末1
2のうちの前記横穴形成ピン14の中心軸上の部位C1
と、組パンチ4の両パンチ4a,4b間に存する材料粉
末12のうちの横穴形成ピン14の中心軸上の部位C2
と、組パンチ5の両パンチ5a,5b間に存する材料粉
末12のうちの横穴形成ピン14の中心軸上の部位C3
とを、キャビティ11内の材料粉末12の加圧・圧縮の
開始時(図14の状態)から、加圧・圧縮の終了時(図
15の状態)までの加圧工程中に、ダイス2に対して上
下に不動となるべきニュートラル部位として定めてい
る。そして、それらのニュートラル部位C1〜C3がキ
ャビティ11内の材料粉末12の加圧工程中に、実際に
ダイス2に対して不動となるように、加圧工程の開始時
から終了時までの、各組パンチ3〜5の各パンチの加圧
工程中の移動量を設定している。
【0172】この場合、本実施形態では、粉末成形体6
0のサイズや外形状は、前記第1の実施形態で製造した
粉末成形体50と同一で、上記各ニュートラル部位C1
〜C3に係わる加圧比率は、第1の実施形態と同一であ
る(前記式(18)、(21)、(22)を参照)。従
って、本実施形態では、各組パンチ3〜5の各パンチの
加圧工程中の移動量は、前記第1の実施形態と同一に設
定され(前記式(19)、(20)、(23)〜(2
6)を参照)、その設定された移動量に従って、加圧工
程中の各組パンチ3,4,5の各パンチの移動が行われ
る。なお、加圧工程の開始時における各組パンチ3〜5
の各パンチの初期位置は、上記のように設定した各パン
チの移動量を用いて、前記第1の実施形態と同様に設定
されたものである。
【0173】上記のようにして、キャビティ11内に粉
末成形体60が得られた後には、前記横穴形成ピン14
がピン挿入穴13内に戻されてキャビティ11内の粉末
成形体60から抜脱され、さらに上パンチ3b,4b,
5bを上動させてダイ孔1内から抜脱した後、下パンチ
3a,4b,5bを上動させることにより、粉末成形体
60がダイ孔1内から取り出される。なお、横穴形成ピ
ン14をキャビティ11内の粉末成形体60から抜脱す
る際には、それに先だって、上パンチ3b,4b,5b
を僅かに上動させると共に、下パンチ3a,4b,5b
を僅かに下動させることで、横穴形成ピン14の抜脱を
容易に行うことができる。
【0174】以上説明した本実施形態においても、前記
第1の実施形態と同様に、各組パンチ3〜5の両パンチ
間の材料粉末12の前記ニュートラル部位C1〜C3は
そのいずれもが、加圧工程中に、前記横穴形成ピン14
の中心軸上で不動になるため、材料粉末12の加圧・圧
縮に際して、該横穴形成ピン14に偏荷重が作用するこ
とがなく、該横穴形成ピン14が破損したりするのを確
実に防止することができる。
【0175】また、各組パンチ3〜5の両パンチ間の材
料粉末12の前記ニュートラル部位C1〜C3はそのい
ずれもが、加圧工程中に、前記横穴形成ピン14の中心
軸上で不動になることで、組パンチ3の両パンチ間の材
料粉末12とその隣の組パンチ4の両パンチ間の材料粉
末12との境界部分と、組パンチ4の両パンチ間の材料
粉末12とその隣の組パンチ5の両パンチ間の材料粉末
12との境界部分とにおいて、加圧工程の開始時に互い
に隣合っていた材料粉末12は、その隣接関係が加圧工
程中も維持される。このため、上記の境界部分において
粉末成形体50の強度不足が生じるような事態を防止
し、良品質の粉末成形体50を得ることができる。
【0176】次に、本発明の第3の実施形態を図16及
び図17を参照して説明する。図16(a),(b)は
それぞれ本実施形態で製造する粉末成形体の斜視図及び
縦断面図、図17は図16の粉末成形体の製造方法を説
明するための説明的断面図である。なお、本実施形態の
説明において、前述の第1の実施形態と同一構成部分に
ついては、第1の実施形態と同一の参照符号を用い、詳
細な説明を省略する。
【0177】図16に示すように、本実施形態で製造す
る粉末成形体70は、前記第1の実施形態で製造した粉
末成形体50(図2参照)と同様に、3つの方形状の板
部71,72,73を垂直姿勢で重合したような外形状
をなす。この場合、粉末成形体70は、その上端部の形
状のみが前記粉末成形体50と異なるものである。すな
わち、粉末成形体70にあっては、その下端部には、板
部71〜73により段差が形成されているが、板部71
〜73の上端面は、同一面上に揃えられている。従っ
て、粉末成形体70の上端面は、段差の無い平坦面とな
っている。そして、この粉末成形体70には、板部71
〜73を貫く貫通横穴74が、前記粉末成形体50と同
様に形成されている。
【0178】なお、図16(b)では、説明の便宜上、
前記図2(b)と同一の参照符号を用いて、板部71〜
73の厚さH1〜H3(垂直方向の長さ)や、各板部7
1〜73の下端面から貫通横穴74の中心軸までの間隔
h1〜h3を示している。
【0179】この粉末成形体60を製造するための装置
は、図17に示す如く、上パンチのみが、前述の第1の
実施形態のもの(図3を参照)と相違するものであり、
第1の実施形態と同一構成のダイス2、下パンチ3a〜
5a、横穴形成ピン8及び対向ピン9を備える一方、粉
末成形体60の上端面が段差の無い平坦面であることか
ら、上パンチは、平坦な下端面(横穴形成ピン8の中心
軸と平行な水平面)を有する単一の上パンチ15により
構成されている。下パンチ3a〜5aは、それぞれ、上
パンチ15と協働して、粉末成形体60の板部61〜6
3の部分を成形するためのものである。
【0180】この装置による粉末成形体60の製造は、
前述の第1の実施形態と全く同様の手順によって行われ
る。すなわち、ダイ孔1内への材料粉末12の充填、キ
ャビティ11の形成、各下パンチ3a〜5a及び上パン
チ15の初期位置への移送、キャビティ11内の材料粉
末12の仮圧縮、横穴形成ピン8のキャビティ11への
挿入・貫通(横穴形成ピン8によりキャビティ11内か
ら押し出される材料粉末12の排出を含む)、横穴形成
ピン8の挿入後の材料粉末11の最終的な加圧・圧縮
(粉末成形体60の成形)が、第1の実施形態と全く同
様のやり方で順次行われる。なお、図17(a)は、各
下パンチ3a〜5a及び上パンチ15を初期位置に移送
した状態(キャビティ11内の材料粉末12の加圧・圧
縮の開始直前の状態)を示し、図17(b)は、キャビ
ティ11内に、最終的に粉末成形体60を得た状態(材
料粉末12の加圧・圧縮の終了時の状態)を示してい
る。
【0181】この場合、本実施形態では、キャビティ1
1内の材料粉末12の仮圧縮の場合を含めて、該材料粉
末12の加圧・圧縮を行う加圧工程中における各下パン
チ3a〜5a及び上パンチ15の移動速度は次のように
制御される。
【0182】すなわち、各下パンチ3a〜5aの移動速
度をそれぞれV1〜V3、上パンチの移動速度をVとお
いたとき、V:V1、V:V2、V:V3がそれぞれ加
圧工程中に一定に維持されるように各パンチ3a〜5
a,15の移動速度が制御される(例えば、各パンチの
移動速度を一定速度に制御する)。
【0183】また、本実施形態では、キャビティ11内
の材料粉末12のうち、下パンチ3aの上方に存する部
分の加圧工程における圧縮比と、下パンチ4aの上方に
存する部分の加圧工程における圧縮比と、下パンチ5a
の上方に存する部分の加圧工程における圧縮比とが同一
となるように、各下パンチ3a〜5aの上方の材料粉末
12の充填深さが設定されている。すなわち、各下パン
チ3a〜5aの上方の材料粉末12の所定量の充填深さ
を前記第1の実施形態の場合と同様に、それぞれF1〜
F3とおいたとき(図17(a)を参照)、各下パンチ
3a〜5aの上方の材料粉末12の圧縮比は、それぞ
れ、前記粉末成形体60の板部61〜63の成形体厚さ
H1〜H3(図16及び図17(b)を参照)を用いて
H1/F1、H2/F2、H3/F3であり、これらの
値が同一となるように、材料粉末12の充填深さF1〜
F3が定められている。なお、以下の説明では、この圧
縮比をα(=H1/F1=H2/F2=H3/F3)と
おく。
【0184】そして、本実施形態では、各下パンチ3a
〜5aの上方の材料粉末12のニュートラル部位C1〜
C3は、前記第1の実施形態と同様に、横穴形成ピン8
の中心軸上の位置に定められ、これらのニュートラル部
位C1〜C3を加圧工程中にダイス2に対して不動とす
る(ニュートラル部位C1〜C3を加圧工程中に定常的
に横穴形成ピン8の中心軸上に位置させる)ために、キ
ャビティ11内の材料粉末12の加圧・圧縮の開始時か
ら終了時まで(仮圧縮を含む)の各下パンチ3a〜5a
の移動量X1〜X3と、上パンチ15の移動量Yとは次
のように設定されている。
【0185】すなわち、各下パンチ3a〜5aの移動量
X1〜X3は、それぞれ前記第1の実施形態と同様に、
前記式(19)、(23)、(25)により設定されて
いる。
【0186】また、上パンチ15の移動量Yは、前記式
(20)、(24)、(26)のいずれか任意の一つの
式の右辺の演算結果として設定されている。
【0187】この場合、式(20)、(24)、(2
6)の右辺のいずれの演算を行っても、同一の演算結果
が得られることが前提となるが、このことは、次のよう
に示される。
【0188】すなわち、本実施形態における材料粉末1
2の前記圧縮比αを用いると、式(20)、(24)、
(26)の右辺はそれぞれ、次式(30)〜(32)に
書き換えられる。
【0189】
【数30】
【0190】
【数31】
【0191】
【数32】
【0192】ここで、本実施形態では、上パンチ15の
下端面は、横穴形成ピン8の中心軸と平行な平坦面であ
るから、これらの式(30)〜(32)の右辺の(H1
−h1),(H2−h2),(H3−h3)は、図17
(b)を参照して明らかなように同一の値(上パンチ1
5と横穴形成ピン8の中心軸との間隔)である。従っ
て、式(30)〜(32)の右辺の演算結果はいずれも
同一となる。このことから、式(20)、(24)、
(26)の右辺のいずれの演算によっても、上パンチ1
5の移動量Yを求めることができることが判る。
【0193】なお、各下パンチ3a〜5aの初期位置、
すなわち、キャビティ11内の材料粉末12の加圧・圧
縮の開始時における、各下パンチ3a〜5aの上面とダ
イス2の上面との間隔S1〜S3(図17(a)を参
照)は、第1の実施形態と同様に、それぞれ前記式(2
7)〜(29)により設定される。また、キャビティ1
1内の材料粉末12の加圧・圧縮の開始時における上パ
ンチ15の上面とダイス2の上面との間隔(上パンチ1
5の初期位置)は、上記間隔S1〜S3のいずれか一つ
から、それに対応する下パンチの上方の材料粉末12の
充填深さを減算してなる値として設定される。
【0194】本実施形態では、上記のようにして、各下
パンチ3a〜5a及び上パンチ15の移動量X1〜X
3,Y等を設定して、キャビティ11内の材料粉末12
の加圧・圧縮を行うことで、横穴形成ピン8の中心軸上
のニュートラル部位C1〜C3がダイス2に対して不動
となり、また、該ニュートラル部位C1〜C3が同一平
面上に揃うことから、前記第1の実施形態と同様に、加
圧工程中における横穴形成ピン8の破損を回避すること
ができると共に、良品質の粉末成形体60を得ることが
できる。
【0195】次に、本発明の第4の実施形態を図18及
び図19を参照して説明する。図18(a),(b)は
それぞれ本実施形態で製造する粉末成形体の斜視図及び
縦断面図、図19は図18の粉末成形体の製造方法を説
明するための説明的断面図である。なお、本実施形態の
説明において、前述の第2の実施形態と同一構成部分に
ついては、第2の実施形態と同一の参照符号を用い、詳
細な説明を省略する。
【0196】図18に示すように、本実施形態で製造す
る粉末成形体80は、前記第2の実施形態で製造した粉
末成形体60(図10参照)と上端部の形状のみが相違
するものである。すなわち、方形状の板部81〜83を
重合したような外形状を有する本実施形態における粉末
成形体80は、その下端部には、板部81〜83により
段差が形成されているが、板部81〜83の上端面は、
前記第3の実施形態における粉末成形体70と同様に同
一面上に揃えられ、粉末成形体80の上端面は、段差の
無い平坦面となっている。そして、この粉末成形体80
には、板部81の部分から板部82の部分にかけて、前
記第2の実施形態の粉末成形体60と同様に、比較的小
径なめくら横穴84が形成されている。
【0197】なお、本実施形態で製造する粉末成形体8
0の各板部81〜83の成形体厚さH1〜H3や、各板
部81〜83の下端面からめくら横穴84の中心軸まで
の間隔h1〜h3は、前記第3実施形態のもの(図16
参照)と同一である。
【0198】この粉末成形体80を製造するための装置
は、図18に示す如く、上パンチのみが、前述の第2の
実施形態のもの(図11を参照)と相違するものであ
り、第1の実施形態と同一構成のダイス2、下パンチ3
a〜5a、横穴形成ピン14を備える一方、上パンチ
は、平坦な下端面(横穴形成ピン14の中心軸と平行な
水平面)を有する単一の上パンチ16により構成されて
いる。下パンチ3a〜5aは、それぞれ、上パンチ16
と協働して、粉末成形体80の板部81〜83の部分を
成形するためのものである。
【0199】この装置による粉末成形体80の製造は、
前述の第2の実施形態と全く同様の手順によって行われ
る。すなわち、ダイ孔1内への材料粉末12の充填、キ
ャビティ11の形成、各下パンチ3a〜5a及び上パン
チ15の初期位置への移送、横穴形成ピン14のキャビ
ティ11への挿入、キャビティ11内の材料粉末12の
加圧・圧縮(粉末成形体80の成形)が、第2の実施形
態と全く同様のやり方で順次行われる。なお、図19
(a)は、各下パンチ3a〜5a及び上パンチ16を初
期位置に移送した状態(キャビティ11内の材料粉末1
2の加圧・圧縮の開始直前の状態)を示し、図19
(b)は、キャビティ11内に、最終的に粉末成形体8
0を得た状態(材料粉末12の加圧・圧縮の終了時の状
態)を示している。
【0200】この場合、本実施形態では、キャビティ1
1内の材料粉末12の加圧・圧縮を行う加圧工程中にお
ける各下パンチ3a〜5a及び上パンチ15の移動速度
は、それをそれぞれV1〜V3、Vとおいたとき、前記
第3の実施形態と全く同様に、V:V1、V:V2、
V:V3がそれぞれ加圧工程中に一定に維持されるよう
に制御される。
【0201】また、本実施形態では、前記第3の実施形
態と同様に、各下パンチ3a〜5aの上方に存する材料
粉末12の圧縮比がいずれも同一となるように、各下パ
ンチ3a〜5aの上方の材料粉末12の充填深さF1〜
F3が設定されている。
【0202】そして、本実施形態においても、各下パン
チ3a〜5aの上方の材料粉末12のニュートラル部位
C1〜C3は、前記第1〜第3の実施形態と同様に、横
穴形成ピン14の中心軸上の位置に定められ、これらの
ニュートラル部位C1〜C3を加圧工程中にダイス2に
対して不動とするために、キャビティ11内の材料粉末
12の加圧・圧縮の開始時から終了時までの各下パンチ
3a〜5aの移動量X1〜X3と、上パンチ16の移動
量Yとは次のように設定されている。
【0203】すなわち、各下パンチ3a〜5aの移動量
X1〜X3は、それぞれ前記第1〜第3の実施形態と同
様に、前記式(19)、(23)、(25)により設定
されている。
【0204】また、上パンチ16の移動量Yは、前記第
3の実施形態と同様に、前記式(20)、(24)、
(26)のいずれか任意の一つの式の右辺の演算結果と
して設定されている。
【0205】この場合、第3の実施形態と同様に、キャ
ビティ11内の材料粉末12の圧縮比を定めているの
で、式(20)、(24)、(26)の右辺のいずれの
演算を行っても、上パンチ15の移動量Yを求めること
ができる。
【0206】なお、各下パンチ3a〜5aの初期位置、
すなわち、キャビティ11内の材料粉末12の加圧・圧
縮の開始時における、各下パンチ3a〜5aの上面とダ
イス2の上面との間隔S1〜S3(図19(a)を参
照)は、第1の実施形態と同様に、それぞれ前記式(2
7)〜(29)により設定される。また、キャビティ1
1内の材料粉末12の加圧・圧縮の開始時における上パ
ンチ16の上面とダイス2の上面との間隔(上パンチ1
5の初期位置)は、上記間隔S1〜S3のいずれか一つ
から、それに対応する下パンチの上方の材料粉末12の
充填深さを減算してなる値として設定される。
【0207】本実施形態では、上記のようにして、各下
パンチ3a〜5a及び上パンチ16の移動量X1〜X
3,Y等を設定して、キャビティ11内の材料粉末12
の加圧・圧縮を行うことで、横穴形成ピン14にその下
方で対向する特定下パンチとなる下パンチ3a,4aの
それぞれに対応するニュートラル部位C1,C2が、加
圧工程中に横穴形成ピン14の中心軸上で不動となるこ
とから、前記第2の実施形態と同様に、横穴形成ピン1
4の破損を回避することができる。
【0208】さらに、下パンチ5aについても、それに
対応するニュートラル部位C3、ニュートラル部位C
1,C2と共に、横穴形成ピン14の中心軸上で不動と
なることから、良質の粉末成形体80を得ることができ
る。
【0209】なお、前述した第2の実施形態及び第4の
実施形態では、キャビティ11内に挿入した横穴形成ピ
ン14に対向しない下パンチ5aの上方の材料粉末12
のニュートラル部位C3についても、横穴形成ピン14
の中心軸上に存するように定めたが、下パンチ5a及び
上パンチ5b、あるいは下パンチ5a及び上パンチ15
による材料粉末12の加圧力は、横穴形成ピン14には
作用しないので、該横穴形成ピン14の破損等を防止す
る上では、上記ニュートラル部位C3は、必ずしも横穴
形成ピン14の中心軸上に定める必要はない。従って、
第2の実施形態における組パンチ5、あるいは第4の実
施形態における下パンチ5aについては、その各パンチ
の移動量や移動速度等は、第2の実施形態や第4の実施
形態と別の形態で設定するようにしてもよい。
【0210】また、前記第2及び第4の実施形態では、
横穴形成ピン14を材料粉末12の加圧・圧縮を開始す
る直前にキャビティ11内に挿入するようにしたが、製
造する粉末成形体の形状やサイズ等によっては、キャビ
ティに材料粉末を充填する前等に横穴形成ピンをキャビ
ティに挿入しておくようにすることも可能である。同様
に、前記第1及び第3の実施形態では、加圧工程の途中
で横穴形成ピン8をキャビティ11に貫通させるように
したが、加圧工程の開始直前や、キャビティへの材料粉
末の充填前等に、横穴形成ピンをキャビティに貫通させ
ておくようにすることも可能である。
【0211】また、以上説明した第1〜第4の各実施形
態では、ダイス2が固定されている場合を例にとって説
明したが、下パンチ3a〜5aのいずれか一つを固定
し、その固定した下パンチに対して他の下パンチ及び上
パンチ3b〜5b,15,16とダイス2とを移動させ
ながら材料粉末12を加圧・圧縮して粉末成形体50,
60,70,80を製造する場合にも本発明を適用する
ことができることはもちろんである。この場合、例えば
下パンチ3aを固定した場合には、加圧工程中の、下パ
ンチ3aに対するダイス2の移動量をXdとすると(但
し、上向きを正とする)、該移動量Xdは、次式(3
3)のように前記式(19)により与えられる値の符号
を逆にした値として設定すればよい。
【0212】
【数33】
【0213】そして、他の下パンチ4a,5aの加圧工
程中の下パンチ3aに対する移動量は、それぞれ前記式
(23),(25)により求まる値から、上記式(3
3)により設定される移動量Xdの値を減算した値に設
定すればよい。同様に、第1及び第2の実施形態に係わ
る上パンチ3a〜5cの加圧工程中の下パンチ3aに対
する移動量は、それぞれ、前記式(20),(24),
(26)により求まる値から、上記式(33)により設
定される移動量Xdの値を減算した値に設定すればよ
い。また、第3及び第4の実施形態に係わる上パンチ1
5の加圧工程中の下パンチ3aに対する移動量は、前記
式(20),(24),(26)のいずれか一つの右辺
の演算により求まる値から、上記式(33)により設定
される移動量Xdの値を減算した値に設定すればよい。
【0214】上記のことは、他の下パンチ4a,5aの
いずれかを固定して材料粉末12の加圧・圧縮を行う場
合についても同様である。
【0215】また、前述の第1及び第2の実施形態で
は、組パンチ3〜5を三組備えた場合を例にとって説明
したが、上下パンチの組数は、製造しようとする粉末成
形体の形状等によって二組、あるいは四組以上としても
よいことはもちろんであり、そのいずれの場合について
も本発明を前述の実施形態と同様に適用することができ
る。同様に、前記第3及び第4の実施形態に関しては、
下パンチの個数が2個、あるいは4個以上の場合でも本
発明を適用することができることはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の基本的原理を説明するための説
明図。
【図2】本発明の第1の実施形態で製造する粉末成形体
の斜視図及び縦断面図。
【図3】図2の粉末成形体を製造方法を説明するための
説明的断面図。
【図4】図2の粉末成形体を製造方法を説明するための
説明的断面図。
【図5】図2の粉末成形体を製造方法を説明するための
説明的断面図。
【図6】図2の粉末成形体を製造方法を説明するための
説明的断面図。
【図7】図2の粉末成形体を製造方法を説明するための
説明的断面図。
【図8】図2の粉末成形体を製造方法を説明するための
説明的断面図。
【図9】図2の粉末成形体を製造方法における各パンチ
の移動量と材料粉末の加圧開始時における各パンチの位
置とを設定する手法を説明するための説明図。
【図10】本発明の第2の実施形態で製造する粉末成形
体の縦断面図。
【図11】図10の粉末成形体を製造方法を説明するた
めの説明的断面図。
【図12】図10の粉末成形体を製造方法を説明するた
めの説明的断面図。
【図13】図10の粉末成形体を製造方法を説明するた
めの説明的断面図。
【図14】図10の粉末成形体を製造方法を説明するた
めの説明的断面図。
【図15】図10の粉末成形体を製造方法を説明するた
めの説明的断面図。
【図16】本発明の第3の実施形態で製造する粉末成形
体の斜視図及び縦断面図。
【図17】図16の粉末成形体を製造方法を説明するた
めの説明的断面図。
【図18】本発明の第4の実施形態で製造する粉末成形
体の縦断面図。
【図19】図18の粉末成形体を製造方法を説明するた
めの説明的断面図。
【符号の説明】
1…ダイ孔、2…ダイス、3a〜5a…下パンチ、3b
〜5b,15,16…上パンチ、6,7…ピン挿入穴、
8,14…横穴形成ピン、9…対向ピン、10…粉末排
出穴、11…キャビティ、12…材料粉末、50,6
0,70,80…粉末成形体,54,64,74,84
…横穴。

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ダイ孔を上下方向に備えるダイスと、該ダ
    イスのダイ孔にその下方から挿入される複数の下パンチ
    と、各下パンチにそれぞれ対向して該ダイ孔にその上方
    から挿入され、前記複数の下パンチとの間に材料粉末が
    充填されるキャビティを形成する複数の上パンチとを備
    えた装置を用い、互いに対向する各組の下パンチと上パ
    ンチとの間で前記材料粉末を上下方向に加圧・圧縮する
    ことにより前記キャビティ内に粉末成形体を得る多段成
    形製造方法において、 前記各組の両パンチ間の前記材料粉末のうち、当該両パ
    ンチによる該材料粉末の加圧・圧縮を行う加圧工程中に
    前記ダイスに対して上下方向に不動となるべき部位をニ
    ュートラル部位とし、該ニュートラル部位が全ての組の
    両パンチ間の材料粉末について同一水平面上に並ぶよう
    に各組の両パンチ間の材料粉末における該ニュートラル
    部位の位置をあらかじめ定めておき、 前記各組の両パンチ間の材料粉末における前記ニュート
    ラル部位が前記加圧工程中に前記ダイスに対して上下方
    向に不動となるように各組の両パンチによる材料粉末の
    加圧・圧縮を行うことを特徴とする粉末成形体の多段成
    形製造方法。
  2. 【請求項2】前記複数の下パンチを挿入した前記ダイ孔
    内に、各下パンチの上方に存する材料粉末の深さがそれ
    ぞれあらかじめ定めた所定量となるように該材料粉末を
    充填する工程と、前記複数の上パンチを前記ダイ孔にそ
    の上方から挿入して該ダイ孔内の材料粉末に接触させ、
    該材料粉末が非加圧状態で密封された前記キャビティを
    該ダイ孔内に形成する工程と、該材料粉末の非加圧状態
    での前記各組の下パンチ及び上パンチの間隔を維持しつ
    つ該両パンチをダイ孔内で前記ダイスに対して相対的に
    上下方向に移動させ、各組の両パンチを前記材料粉末の
    加圧・圧縮の開始時における前記ダイスに対する相対的
    な初期位置としてあらかじめ定めた位置に移送する工程
    とを備え、 前記加圧工程は、前記各組の下パンチ及び上パンチのそ
    れぞれの前記ダイスに対する相対的な移動速度の比率を
    一定として、各組の下パンチ及び上パンチをそれぞれ前
    記初期位置から前記ダイスに対して相対的に上動、下動
    させることにより行うと共に、該加圧工程における各組
    の下パンチ及び上パンチのそれぞれの前記ダイスに対す
    る相対的な移動量は、前記各組の両パンチ間の材料粉末
    における前記ニュートラル部位が前記加圧工程中に前記
    ダイスに対して上下方向に不動となるようにあらかじめ
    設定されていることを特徴とする請求項1記載の粉末成
    形体の多段成形製造方法。
  3. 【請求項3】前記各組の下パンチ及び上パンチの組番号
    をk(kは、下パンチ及び上パンチの総組数以下の自然
    数)、前記加圧工程における第k組の下パンチ及び上パ
    ンチのそれぞれの前記ダイスに対する相対的な移動量を
    Xk,Ykとしたとき、該移動量Xk,Ykをそれぞれ
    次式(1),(2)により設定したことを特徴とする請
    求項2記載の粉末成形体の多段成形製造方法。 【数1】 【数2】 但し、式(1),(2)において、前記移動量Xk,Y
    kは上向きを正方向とする。また、式(3),(4)に
    おいて、Rk:第k組の下パンチ及び上パンチによる加
    圧工程の終了時における該下パンチの上面から両パンチ
    間の材料粉末の前記ニュートラル部位までの間隔の、該
    加圧工程の終了時における両パンチ間の上下方向の間隔
    に対する割合を百分率で表したもの、Fk:第k組の下
    パンチ及び上パンチによる加圧工程の開始時における両
    パンチ間の材料粉末の深さ、Hk:第k組の下パンチ及
    び上パンチによる加圧工程の終了時における両パンチ間
    の間隔。
  4. 【請求項4】前記粉末成形体は貫通横穴を有する粉末成
    形体であって、 前記ダイスには、少なくとも前記各組の両パンチを前記
    ダイスに対する前記初期位置に移送したときに前記キャ
    ビティに先端部が臨む横穴形成ピンと該横穴形成ピンに
    対向して前記キャビティに先端部が臨む対向ピンとがそ
    れぞれ前記ダイスに横方向に延在して形成されたピン挿
    入穴に移動可能に挿入されて搭載されており、 前記各組の両パンチの前記初期位置への移送後、少なく
    とも前記加圧工程の終了前に、前記粉末成形体に前記貫
    通横穴を形成すべく前記横穴形成ピンを前記対向ピンに
    向かって前記キャビティ内に前進させて該キャビティを
    貫通させると共に該横穴形成ピンの前進に同期させて前
    記対向ピンを該キャビティ側から後退させることにより
    両ピン間の前記粉末材料を前記対向ピン側の前記ピン挿
    入穴内に前記キャビティから押し出す工程と、前記横穴
    形成ピンが前記キャビティを貫通した状態を前記加圧工
    程が終了するまで保持する工程とを備え、 前記各組の両パンチ間の材料粉末における前記ニュート
    ラル部位の位置を前記横穴形成ピンの中心軸上の位置に
    定めたことを特徴とする請求項2又は3記載の粉末成形
    体の多段成形製造方法。
  5. 【請求項5】前記加圧工程の開始時から終了時までの間
    に、前記各組の下パンチ及び上パンチの前記ダイスに対
    する移動を一時的に停止して両パンチ間の前記材料粉末
    の加圧・圧縮を中断する工程を備え、 前記対向ピンを後退させつつ前記横穴形成ピンを前記キ
    ャビティ内に前進させて該キャビティを貫通させる工程
    は、前記加圧・圧縮の中断中に行うことを特徴とする請
    求項4記載の粉末成形体の多段成形製造方法。
  6. 【請求項6】前記対向ピンを後退させつつ前記横穴形成
    ピンを前記キャビティ内に前進させて該キャビティを貫
    通させた際に、前記対向ピン側の前記ピン挿入穴内に前
    記キャビティから押し出された前記材料粉末を、該対向
    ピン側のピン挿入穴を前記ダイスの外部に連通させて該
    ダイスに設けた粉末排出穴を介して該ダイスの外部に排
    出する工程を備えたことを特徴とする請求項4又は5記
    載の粉末成形体の多段成形製造方法。
  7. 【請求項7】ダイ孔を上下方向に備えるダイスと、該ダ
    イスのダイ孔にその下方から挿入される複数の下パンチ
    と、該ダイ孔にその上方から挿入され、前記複数の下パ
    ンチとの間に材料粉末が充填されるキャビティを形成す
    ると共に平坦な下端面を有する上パンチとを備えた装置
    を用い、前記各下パンチと上パンチとの間で前記材料粉
    末を上下方向に加圧・圧縮することにより前記キャビテ
    ィ内に粉末成形体を得る多段成形製造方法において、 前記各下パンチの上方に存する材料粉末のうち、各下パ
    ンチと前記上パンチとによる該材料粉末の加圧・圧縮を
    行う加圧工程中に前記ダイスに対して上下方向に不動と
    なるべき部位をニュートラル部位とし、該ニュートラル
    部位が全ての下パンチの上方に存する材料粉末について
    同一水平面上に並ぶように各下パンチの上方に存する材
    料粉末における該ニュートラル部位の位置をあらかじめ
    定めておき、 前記各下パンチの上方に存する材料粉末における前記ニ
    ュートラル部位が前記加圧工程中に前記ダイスに対して
    上下方向に不動となるように各下パンチと前記上パンチ
    とによる材料粉末の加圧・圧縮を行うことを特徴とする
    粉末成形体の多段成形製造方法。
  8. 【請求項8】前記複数の下パンチを挿入した前記ダイ孔
    内に、各下パンチの上方に存する材料粉末の深さがそれ
    ぞれあらかじめ定めた所定量となるように該材料粉末を
    充填する工程と、前記上パンチを前記ダイ孔にその上方
    から挿入して該ダイ孔内の材料粉末に接触させ、該材料
    粉末が非加圧状態で密封された前記キャビティを該ダイ
    孔内に形成する工程と、該材料粉末の非加圧状態での前
    記各下パンチ及び上パンチの間隔を維持しつつ各下パン
    チ及び上パンチをダイ孔内で前記ダイスに対して相対的
    に上下方向に移動させ、各下パンチ及び上パンチを前記
    材料粉末の加圧・圧縮の開始時における前記ダイスに対
    する相対的な初期位置としてあらかじめ定めた位置に移
    送する工程とを備え、 前記加圧工程は、前記各下パンチ及び上パンチのそれぞ
    れの前記ダイスに対する相対的な移動速度の比率を一定
    とし且つ、各下パンチの上方に存する材料粉末の前記加
    圧工程における圧縮比を全ての下パンチについて同一と
    して、各下パンチ及び上パンチをそれぞれ前記初期位置
    から前記ダイスに対して相対的に上動、下動させること
    により行うと共に、該加圧工程における各下パンチ及び
    上パンチのそれぞれの前記ダイスに対する相対的な移動
    量は、前記各下パンチの上方に存する材料粉末における
    前記ニュートラル部位が前記加圧工程中に前記ダイスに
    対して上下方向に不動となるようにあらかじめ設定され
    ていることを特徴とする請求項7記載の粉末成形体の多
    段成形製造方法。
  9. 【請求項9】前記各下パンチの番号をk(kは、下パン
    チの総数以下の自然数)、前記加圧工程における第k番
    の下パンチの前記ダイスに対する相対的な移動量をX
    k、mを任意の一つの下パンチの番数、前記加圧工程に
    おける前記上パンチの前記ダイスに対する相対的な移動
    量をYとしたとき、該移動量Xk,Yをそれぞれ次式
    (3),(4)により設定したことを特徴とする請求項
    8記載の粉末成形体の多段成形製造方法。 【数3】 【数4】 但し、式(3),(4)において、前記移動量Xk,Y
    は上向きを正方向とする。また、式(3),(4)にお
    いて、Rk:第k番の下パンチと上パンチとによる加圧
    工程の終了時における該下パンチの上面から該下パンチ
    の上方の材料粉末の前記ニュートラル部位までの間隔
    の、該加圧工程の終了時における当該第k番の下パンチ
    と上パンチとの間隔に対する割合を百分率で表したも
    の、Fk:第k番の下パンチと上パンチとによる加圧工
    程の開始時における該下パンチの上方の材料粉末の深
    さ、Hk:第k番の下パンチと上パンチとによる加圧工
    程の終了時における当該両パンチ間の間隔。
  10. 【請求項10】前記粉末成形体は貫通横穴を有する粉末
    成形体であって、 前記ダイスには、少なくとも前記各下パンチと前記上パ
    ンチとを前記ダイスに対する前記初期位置に移送したと
    きに前記キャビティに先端部が臨む横穴形成ピンと該横
    穴形成ピンに対向して前記キャビティに先端部が臨む対
    向ピンとがそれぞれ前記ダイスに横方向に延在して形成
    されたピン挿入穴に移動可能に挿入されて搭載されてお
    り、 前記各下パンチ及び前記上パンチの前記初期位置への移
    送後、少なくとも前記加圧工程の終了前に、前記粉末成
    形体に前記貫通横穴を形成すべく前記横穴形成ピンを前
    記対向ピンに向かって前記キャビティ内に前進させて該
    キャビティを貫通させると共に該横穴形成ピンの前進に
    同期させて前記対向ピンを該キャビティ側から後退させ
    ることにより両ピン間の前記粉末材料を前記対向ピン側
    の前記ピン挿入穴内に前記キャビティから押し出す工程
    と、前記横穴形成ピンが前記キャビティを貫通した状態
    を前記加圧工程が終了するまで保持する工程とを備え、 前記各下パンチの上方に存する材料粉末における前記ニ
    ュートラル部位の位置を前記横穴形成ピンの中心軸上の
    位置に定めたことを特徴とする請求項8又は9記載の粉
    末成形体の多段成形製造方法。
  11. 【請求項11】前記加圧工程の開始時から終了時までの
    間に、前記各下パンチ及び上パンチの前記ダイスに対す
    る移動を一時的に停止して各下パンチ及び上パンチ間の
    前記材料粉末の加圧・圧縮を中断する工程を備え、 前記対向ピンを後退させつつ前記横穴形成ピンを前記キ
    ャビティ内に前進させて該キャビティを貫通させる工程
    は、前記加圧・圧縮の中断中に行うことを特徴とする請
    求項10記載の粉末成形体の多段成形製造方法。
  12. 【請求項12】前記対向ピンを後退させつつ前記横穴形
    成ピンを前記キャビティ内に前進させて該キャビティを
    貫通させた際に、前記対向ピン側の前記ピン挿入穴内に
    前記キャビティから押し出された前記材料粉末を、該対
    向ピン側のピン挿入穴を前記ダイスの外部に連通させて
    該ダイスに設けた粉末排出穴を介して該ダイスの外部に
    排出する工程を備えたことを特徴とする請求項10又は
    11記載の粉末成形体の多段成形製造方法。
  13. 【請求項13】ダイ孔を上下方向に備えるダイスと、該
    ダイスのダイ孔にその下方から挿入される複数の下パン
    チと、各下パンチにそれぞれ対向して該ダイ孔にその上
    方から挿入され、前記複数の下パンチとの間に材料粉末
    が充填されるキャビティを形成する複数の上パンチと、
    該キャビティに向かって横方向に進退可能に前記ダイス
    に搭載された横穴形成ピンとを備えた装置を用い、前記
    横穴形成ピンをその先端が前記キャビティ内に存するよ
    うにして該キャビティ内に挿入した状態で、互いに対向
    する各組の下パンチと上パンチとの間で前記材料粉末を
    上下方向に加圧・圧縮することにより前記キャビティ内
    にめくら穴状の横穴を有する粉末成形体を得る多段成形
    製造方法において、 前記下パンチ及び上パンチの各組のうち、両パンチが前
    記キャビティに挿入された横穴形成ピンの上下に該横穴
    形成ピンに対向して存する組を特定組とすると共に、前
    記各組の両パンチ間の前記材料粉末のうち、当該両パン
    チによる該材料粉末の加圧・圧縮を行う加圧工程中に前
    記ダイスに対して上下方向に不動となるべき部位をニュ
    ートラル部位とし、該ニュートラル部位が、少なくとも
    全ての前記特定組の両パンチ間の材料粉末について前記
    横穴形成ピンの中心軸上に存するように各特定組の両パ
    ンチ間の材料粉末における該ニュートラル部位の位置を
    あらかじめ定めておき、 前記各特定組の両パンチ間の材料粉末における前記ニュ
    ートラル部位が前記加圧工程中に前記ダイスに対して上
    下方向に不動となるように各特定組の両パンチ間による
    材料粉末の加圧・圧縮を行うことを特徴とする粉末成形
    体の多段成形製造方法。
  14. 【請求項14】前記複数の下パンチを挿入した前記ダイ
    孔内に、各下パンチの上方に存する材料粉末の深さがそ
    れぞれあらかじめ定めた所定量となるように該材料粉末
    を充填する工程と、前記複数の上パンチを前記ダイ孔に
    その上方から挿入して該ダイ孔内の材料粉末に接触さ
    せ、該材料粉末が非加圧状態で密封された前記キャビテ
    ィを該ダイ孔内に形成する工程と、該材料粉末の非加圧
    状態での前記各組の下パンチ及び上パンチの間隔を維持
    しつつ該両パンチをダイ孔内で前記ダイスに対して相対
    的に上下方向に移動させ、各組の両パンチを前記材料粉
    末の加圧・圧縮の開始時における前記ダイスに対する相
    対的な初期位置としてあらかじめ定めた位置に移送する
    工程と、少なくとも前記キャビティ内の材料粉末の加圧
    ・圧縮を行う加圧工程の開始前に前記横穴形成ピンを該
    キャビティに挿入し、その挿入状態を該加圧工程中に維
    持する工程とを備え、 前記加圧工程は、少なくとも前記各特定組の下パンチ及
    び上パンチのそれぞれの前記ダイスに対する相対的な移
    動速度の比率を一定として、各組の下パンチ及び上パン
    チをそれぞれ前記初期位置から前記ダイスに対して相対
    的に上動、下動させることにより行うと共に、少なくと
    も該加圧工程における各特定組の下パンチ及び上パンチ
    のそれぞれの前記ダイスに対する相対的な移動量は、該
    各特定組の両パンチ間の材料粉末における前記ニュート
    ラル部位が該加圧工程中に前記ダイスに対して上下方向
    に不動となるようにあらかじめ設定されていることを特
    徴とする請求項13記載の粉末成形体の多段成形製造方
    法。
  15. 【請求項15】前記各特定組の下パンチ及び上パンチの
    組番号をk(kは、下パンチ及び上パンチの総組数以下
    の自然数)、前記加圧工程における第k組の下パンチ及
    び上パンチのそれぞれの前記ダイスに対する相対的な移
    動量をXk,Ykとしたとき、該移動量Xk,Ykをそ
    れぞれ次式(5),(6)により設定したことを特徴と
    する請求項14記載の粉末成形体の多段成形製造方法。 【数5】 【数6】 但し、式(5),(6)において、前記移動量Xk,Y
    kは上向きを正方向とする。また、式(5),(6)に
    おいて、Rk:第k組の下パンチ及び上パンチによる加
    圧工程の終了時における該下パンチの上面から両パンチ
    間の材料粉末の前記ニュートラル部位までの間隔の、該
    加圧工程の終了時における両パンチ間の上下方向の間隔
    に対する割合を百分率で表したもの、Fk:第k組の下
    パンチ及び上パンチによる加圧工程の開始時における両
    パンチ間の材料粉末の深さ、Hk:第k組の下パンチ及
    び上パンチによる加圧工程の終了時における両パンチ間
    の間隔。
  16. 【請求項16】前記特定組を含む全ての組の両パンチに
    ついて、前記加圧工程中における各組の下パンチ及び上
    パンチのそれぞれの前記ダイスに対する相対的な移動速
    度の比率を一定として各組の両パンチによる前記材料粉
    末の加圧・圧縮を行うと共に、 前記特定組を含む全ての組の両パンチ間の材料粉末につ
    いて前記ニュートラル部位が前記横穴形成ピンの中心軸
    上に存するように各組の両パンチ間の材料粉末における
    該ニュートラル部位の位置をあらかじめ定めておき、 前記各組の両パンチ間の材料粉末における前記ニュート
    ラル部位が前記加圧工程中に前記ダイスに対して上下方
    向に不動となるように、各組の下パンチ及び上パンチの
    それぞれの該加圧工程における前記ダイスに対する相対
    的な移動量をあらかじめ設定したことを特徴とする請求
    項14又は15記載の粉末成形体の多段成形製造方法。
  17. 【請求項17】ダイ孔を上下方向に備えるダイスと、該
    ダイスのダイ孔にその下方から挿入される複数の下パン
    チと、該ダイ孔にその上方から挿入され、前記複数の下
    パンチとの間に材料粉末が充填されるキャビティを形成
    すると共に平坦な下端面を有する上パンチと、該キャビ
    ティに向かって横方向に進退可能に前記ダイスに搭載さ
    れた横穴形成ピンとを備えた装置を用い、前記横穴形成
    ピンをその先端が前記キャビティ内に存するようにして
    該キャビティ内に挿入した状態で、前記各下パンチと上
    パンチとの間で前記材料粉末を上下方向に加圧・圧縮す
    ることにより前記キャビティ内にめくら穴状の横穴を有
    する粉末成形体を得る多段成形製造方法において、 前記複数の下パンチのうち、前記キャビティに挿入され
    た横穴形成ピンの下方に該横穴形成ピンに対向して存す
    る下パンチを特定下パンチとすると共に、前記各下パン
    チの上方に存する前記材料粉末のうち、当該下パンチと
    前記上パンチとによる該材料粉末の加圧・圧縮を行う加
    圧工程中に前記ダイスに対して上下方向に不動となるべ
    き部位をニュートラル部位とし、該ニュートラル部位
    が、少なくとも全ての前記特定下パンチの上方に存する
    材料粉末について前記横穴形成ピンの中心軸上に存する
    ように各特定下パンチの上方に存する材料粉末における
    該ニュートラル部位の位置をあらかじめ定めておき、 前記各特定下パンチの上方に存する材料粉末における前
    記ニュートラル部位が前記加圧工程中に前記ダイスに対
    して上下方向に不動となるように各特定下パンチと前記
    上パンチとによる材料粉末の加圧・圧縮を行うことを特
    徴とする粉末成形体の多段成形製造方法。
  18. 【請求項18】前記複数の下パンチを挿入した前記ダイ
    孔内に、各下パンチの上方に存する材料粉末の深さがそ
    れぞれあらかじめ定めた所定量となるように該材料粉末
    を充填する工程と、前記上パンチを前記ダイ孔にその上
    方から挿入して該ダイ孔内の材料粉末に接触させ、該材
    料粉末が非加圧状態で密封された前記キャビティを該ダ
    イ孔内に形成する工程と、該材料粉末の非加圧状態での
    前記各下パンチ及び上パンチの間隔を維持しつつ各下パ
    ンチ及び上パンチをダイ孔内で前記ダイスに対して相対
    的に上下方向に移動させ、各下パンチ及び上パンチを前
    記材料粉末の加圧・圧縮の開始時における前記ダイスに
    対する相対的な初期位置としてあらかじめ定めた位置に
    移送する工程と、少なくとも前記キャビティ内の材料粉
    末の加圧・圧縮を行う加圧工程の開始前に前記横穴形成
    ピンを該キャビティに挿入し、その挿入状態を該加圧工
    程中に維持する工程とを備え、 前記加圧工程は、少なくとも前記各特定下パンチ及び上
    パンチのそれぞれの前記ダイスに対する相対的な移動速
    度の比率を一定とし且つ、各特定下パンチの上方に存す
    る材料粉末の前記加圧工程における圧縮比を全ての特定
    下パンチについて同一として、各下パンチ及び上パンチ
    をそれぞれ前記初期位置から前記ダイスに対して相対的
    に上動、下動させることにより行うと共に、少なくとも
    該加圧工程における各特定下パンチ及び上パンチのそれ
    ぞれの前記ダイスに対する相対的な移動量は、前記各特
    定下パンチの上方に存する材料粉末における前記ニュー
    トラル部位が前記加圧工程中に前記ダイスに対して上下
    方向に不動となるようにあらかじめ設定されていること
    を特徴とする請求項17記載の粉末成形体の多段成形製
    造方法。
  19. 【請求項19】前記各特定下パンチの番号をk(kは、
    下パンチの総数以下の自然数)、前記加圧工程における
    第k番の特定下パンチの前記ダイスに対する相対的な移
    動量をXk、mを任意の一つの特定下パンチの番数、前
    記加圧工程における前記上パンチの前記ダイスに対する
    相対的な移動量をYとしたとき、該移動量Xk,Yをそ
    れぞれ次式(7),(8)により設定したことを特徴と
    する請求項18記載の粉末成形体の多段成形製造方法。 【数7】 【数8】 但し、式(7),(8)において、前記移動量Xk,Y
    は上向きを正方向とする。また、式(7),(8)にお
    いて、Rk:第k番の特定下パンチと上パンチとによる
    加圧工程の終了時における該下パンチの上面から該下パ
    ンチの上方の材料粉末の前記ニュートラル部位までの間
    隔の、該加圧工程の終了時における当該第k番の特定下
    パンチと上パンチとの間隔に対する割合を百分率で表し
    たもの、Fk:第k番の特定下パンチと上パンチとによ
    る加圧工程の開始時における該特定下パンチの上方の材
    料粉末の深さ、Hk:第k番の特定下パンチと上パンチ
    とによる加圧工程の終了時における当該両パンチ間の間
    隔。
  20. 【請求項20】前記特定下パンチを含む全ての下パンチ
    について、前記加圧工程中における各下パンチ及び上パ
    ンチのそれぞれの前記ダイスに対する相対的な移動速度
    の比率を一定として各下パンチと上パンチとにによる前
    記材料粉末の加圧・圧縮を行うと共に、 前記特定下パンチを含む全ての下パンチの上方に存する
    材料粉末について前記ニュートラル部位が前記横穴形成
    ピンの中心軸上に存するように各下パンチの上方に存す
    る材料粉末における該ニュートラル部位の位置をあらか
    じめ定めておき、 前記各下パンチの上方に存する材料粉末における前記ニ
    ュートラル部位が前記加圧工程中に前記ダイスに対して
    上下方向に不動となるように、各下パンチ及び上パンチ
    のそれぞれの該加圧工程における前記ダイスに対する相
    対的な移動量をあらかじめ設定したことを特徴とする請
    求項18又は19記載の粉末成形体の多段成形製造方
    法。
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