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JP2001151694A - タンパク質粉体の製造法 - Google Patents

タンパク質粉体の製造法

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Publication number
JP2001151694A
JP2001151694A JP2000285247A JP2000285247A JP2001151694A JP 2001151694 A JP2001151694 A JP 2001151694A JP 2000285247 A JP2000285247 A JP 2000285247A JP 2000285247 A JP2000285247 A JP 2000285247A JP 2001151694 A JP2001151694 A JP 2001151694A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
protein
powder
sustained
release preparation
hgh
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2000285247A
Other languages
English (en)
Inventor
Yutaka Yamagata
豊 山縣
Takayuki Douen
隆行 道圓
Naoki Asakawa
直樹 浅川
Shigeyuki Takada
重行 高田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Takeda Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Takeda Chemical Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Takeda Chemical Industries Ltd filed Critical Takeda Chemical Industries Ltd
Priority to JP2000285247A priority Critical patent/JP2001151694A/ja
Publication of JP2001151694A publication Critical patent/JP2001151694A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

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  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】高次構造を高く保持した安定なタンパク質粉体
を、液化ガスに接触させることなく、簡便に提供する。 【解決手段】タンパク質含有溶液を約-300〜-10℃/分の
冷却速度で凍結後、乾燥することを特徴とするタンパク
質粉体の製造法。 【効果】本発明によれば、高次構造を高く保持した安定
なタンパク質粉体を、液化ガスに接触させることなく、
簡便に製造することができる。さらに本発明の方法で得
られたタンパク質粉体は簡便な微粒化処理により微細粉
体とすることができ、このタンパク質微細粉体を用いれ
ば、長期間に亘り安定した高い血中濃度を示す徐放性製
剤を提供することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、タンパク質粉体の
製造法および、該タンパク質粉体を用いることを特徴と
する徐放性製剤、さらには特定の基剤を用いることを特
徴とする徐放性製剤等に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、遺伝子工学および細胞工学の手法
の発達により、大腸菌、酵母、動物細胞あるいはヤギ、
ハムスター等の生体を用いてタンパク質医薬品が大量に
生産され、臨床への応用が図られている。しかしなが
ら、これらのタンパク質は酸性条件および酵素消化に対
し極めて反応性が高いため経口吸収されない。そこで一
般に皮下あるいは筋肉内投与されるが、生体内での半減
期が短いため、頻回投与が必要であり、注射に伴う患者
の肉体的負担は無視できないものがある。例えば、成長
ホルモン(以下、GHと略記することがある)は、元来
下垂体前葉で生産・分泌される代表的なホルモンで、身
体の成長促進に働くほか、糖・脂質代謝、タンパク同
化、細胞増殖や分化に関与する等、幅広く多彩な生理作
用を有するタンパク質であり、現在では遺伝子組換え技
術を用いて大腸菌により大量生産され、医薬品として全
世界で広く臨床応用されている。しかし、GHは生体内
半減期が短く、有効血中濃度を維持するためには頻回投
与が必要である。とりわけ、下垂体性小人症の場合に
は、乳幼児あるいは若年患者に対して、数ヶ月から10
年以上の長期にわたる連日皮下投与がなされているのが
実状である。
【0003】この様なタンパク質医薬品固有の問題に対
処するため、薬物送達システムに関する種々の研究が行
われてきた。例えば、タンパク質を長期間にわたって持
続放出する徐放剤である。特開平8−217691号公
報(WO 96/07399号公報)には、水溶性ペプ
チド性生理活性物質を塩化亜鉛水溶液等により水不溶性
ないし水難溶性多価金属塩とし、これと生体内分解性ポ
リマーとを含有してなる徐放性製剤の製造法が開示され
ている。また、特表平8−503950号公報(WO
94/12158号公報)には、ヒトGH(以下、hG
Hと略記することがある)と生分解性ポリマーとの徐放
性製剤の製法として、hGHとポリマーとを含有する有
機溶媒溶液を液体窒素中に噴霧し多孔性粒子として生物
活性を保持した形で徐放性マイクロカプセルを調整する
方法が開示されている。更に、特表平10−50401
7号公報(WO 95/29664号公報)には、炭酸
亜鉛等を固体状でポリマー溶液に分散させた後、生理活
性物質(ホルモン等)を添加し、生理活性物質と金属カ
チオンとを別々に生体分解性ポリマーに分散させてなる
徐放性マイクロカプセルの製造法が開示されている。特
開平10−231252号公報(WO 98/2798
0号公報)および特開平10−7538号公報(WO
97/01331号公報)に生理活性ポリペプチド含有
徐放性製剤の製造方法が開示されているが、該生理活性
ポリペプチドの凍結乾燥条件については記載されていな
い。このようにタンパク質の生理活性を保持しながら薬
物送達システムを構築する試みは種々なされているもの
の、高次構造を持つタンパク質固有の問題として、製剤
工程中での変性、製剤中での経時的変化による変性、お
よび/または投与後の生体内での変性等に由来するタン
パク質の安定性に関する問題が見られる可能性がある。
具体的には、徐放性製剤における、製剤内へのタンパク
質取り込み効率の低さ、投与初期の過大な薬物放出、長
期間にわたる薬物放出制御の困難さ、製剤投与後の低い
血中濃度等の問題が解決されないで残る可能性がある。
【0004】しかしながら、タンパク質を微細な粉体と
して調製できれば、分子運動性の低下により、さらなる
安定性の向上が見込まれる。タンパク質微細粉体の製造
法として、特表平4−500527号公報(WO90/
13285号公報)にはタンパク質水溶液を液化ガス中
に噴霧し凍結後、乾燥する方法が開示されている。この
他にも、タンパク質微細粉体の製造法として、ジャーナ
ル オブ ファーマシューティカルサイエンス(Journa
l of Pharmaceutical Sciences)第87巻、152頁(199
8)にスプレードライ法が報告されているが、噴霧して
得られたタンパク質水溶液粒子径に逆相関してタンパク
質の変性度が上昇すること、それを抑制するためには界
面活性剤を多量に添加しなければならないことが記載さ
れている。さらに、本願優先日より後に公開されたWO
99/48519号公報には生理活性ポリペプチド水
溶液に、水混和性の有機溶媒及び/又は揮発性の塩類を
添加後、凍結乾燥して得られる生理活性ポリペプチド粉
体の製造法が記載されている。また、特開平9−248
177号公報には凍結温度以下に冷却した金属板上に微
生物菌体培養物の小滴を滴下して急速凍結させる乾燥微
生物菌体の製造法が記載されている。凍結乾燥時の冷却
速度は、一般に-10℃/分より遅い。例えば、医薬品の凍
結乾燥IV,(大橋洋次著、製剤と機械、第8頁、昭和63年1
月15日、クレスト社発行)には、「通常のバイアルでの
凍結乾燥は、特別な装置でない限り急速凍結することや
ガラス状態を生ずるような糖類の高濃度溶液を使用する
ことは余りない。すなわち、冷却速度は0.3〜5.0
℃/minであり、」と記載されている。一方、液体窒素
等の液化ガスに水溶液を噴霧する場合の冷却速度は極め
て速く、例えば液体窒素の場合-300℃/分より速い。な
お、本明細書においては冷却速度にマイナスをつけて表
現しているが、これは単に冷却することを意図してマイ
ナスをつけている。従って、例えば冷却速度-300℃/分
とは、測定対象物が1分間当たり300℃冷却されること
を示しており、測定対象物が30秒間で150℃冷却される
場合、その冷却速度は-300℃/分として示される。具体
的には、測定対象物が、30秒間で20℃から-130℃まで冷
却された場合、その冷却速度は-300℃/分として示され
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】液化ガス中に噴霧し凍
結後、乾燥するタンパク質粉体の製造法では、スプレー
ドライ法と同様にタンパク質の変性が生じる可能性が高
く、さらに液体冷媒として液化ガスを用いるため、断熱
や温度差による機器材質の膨張収縮への対応、無菌保
持、および液化ガスの排気等に大がかりで高価な設備が
必要になる。また、多量の界面活性剤を用いることによ
り、平均粒子径が数ミクロンのタンパク質微細粉体が得
られるものの、多量の界面活性剤を含有するため、その
用途は限定される。そこで、高次構造を高く保持した安
定なタンパク質粉体を、液化ガスに接触させることな
く、簡便に提供することが求められている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前記の問題
を解決するため鋭意研究を進め、タンパク質粉体を製造
する際、タンパク質含有溶液を凍結させるための冷却速
度を調整することにより、高次構造を高く保持したタン
パク質粉体が得られることを見いだした。さらに得られ
たタンパク質粉体を微粒化処理することにより微細粉体
とすることができることを見出した。加えて、本発明者
らは、こうして得られたタンパク質微細粉体を徐放性製
剤に用いることにより、該製剤におけるタンパク質の封
入率、投与初期の過大な薬物放出および徐放性が改善さ
れることを見いだした。また、凍結の際にタンパク質含
有溶液を塗布または滴下することにより、冷却速度の調
整を行うと共に、高次構造を高く保持したタンパク質粉
体が得られることを見いだした。さらに、前記凍結を医
薬品の凍結乾燥に通常用いられる凍結乾燥機の棚を用い
ることにより、より安価に、さらに簡便に製造すること
ができることを見出した。これらの知見に基づき、本発
明者らは発明を完成させた。
【0007】すなわち、本発明は、(1)タンパク質含
有溶液を冷媒に充填して約-300〜-10℃/分の冷却速度で
凍結後、乾燥することを特徴とするタンパク質粉体の製
造法、(2)タンパク質含有溶液を冷媒に塗布または滴
下することを特徴とする上記(1)記載の製造法、
(3)塗布または滴下する際、滴下流体の直径が約0.1
ないし40mmである上記(2)記載の製造法、(4)タン
パク質含有溶液を液体冷媒に直接接触させないで凍結す
ることを特徴とする上記(1)記載の製造法、(5)タ
ンパク質含有溶液に、揮発性の塩類あるいは水混和性の
有機溶媒を添加することを特徴とする上記(1)記載の
製造法、(6)揮発性の塩類が酢酸アンモニウムである
上記(5)記載の製造法、(7)上記(1)記載の製造
法で得られるタンパク質粉体、(8)タンパク質が、分
子量 約5,000ないし1,000,000ダルトンである上記
(7)記載のタンパク質粉体、(9)タンパク質が、ホ
ルモン、サイトカイン、造血因子、増殖因子または酵素
である上記(7)記載のタンパク質粉体、(10)タン
パク質が成長ホルモンまたはインスリンである上記
(7)記載のタンパク質粉体、(11)タンパク質が、
タンパク質含有溶液中のα−ヘリックス含量に対して約
45%以上のα−ヘリックスを保持していることを特徴と
する上記(7)記載のタンパク質粉体、(12)請求項
7に記載のタンパク質粉体を微粒化処理することを特徴
とするタンパク質微細粉体の製造法、(13)タンパク
質微細粉体の平均粒子経が約0.5ないし20μmとなるよう
に微粒化処理することを特徴とする上記(12)記載の
製造法、(14)上記(12)記載の製造法で得られた
タンパク質微細粉体を含有する徐放性製剤、(15)徐
放性製剤の基剤が生体由来物質または合成ポリマーであ
る上記(14)記載の徐放性製剤、(16)生体由来物
質または合成ポリマーが、生体内分解性ポリマーである
上記(15)記載の徐放性製剤、(17)乳酸とグリコ
ール酸のモル比が約60:40〜70:30の乳酸−グ
リコール酸共重合体および成長ホルモンを含有する徐放
性製剤、(18)上記(12)記載の製造法で得られた
タンパク質微細粉体を用いることを特徴とする徐放性製
剤の製造法、(19)タンパク質含有徐放性製剤を製造
するための上記(7)記載のタンパク質粉体の使用、
(20)タンパク質含有溶液を、噴霧して凍結しないこ
とを特徴とする上記(1)記載の製造法、(21)塗布
または滴下前に約-25℃以下に冷却した冷媒1300cm2当た
り、約10〜250mL/5分の速度で、タンパク質含有溶液を
塗布または滴下することを特徴とする上記(1)記載の
製造法、(22)減圧下乾燥することを特徴とする上記
(1)記載の製造法、および、(23)凍結乾燥機の棚
を用いて凍結する上記(1)記載の製造法に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明におけるタンパク質は、天
然物、合成物、半合成物、あるいは遺伝子組換え法によ
り作製されたもの等のいずれでもよく、更にそれらの誘
導体、類縁体ないしムテインでもよい。一般に、高純度
のタンパク質を大量に得るためには、遺伝子組換え法が
用いられることが多い。本発明におけるタンパク質とし
ては、好ましくは分子量約5,000ないし約1,00
0,000ダルトン、さらに好ましくは分子量約6,0
00ないし約200,000ダルトンのタンパク質が挙
げられる。本発明におけるタンパク質としては、具体的
には、ホルモン、サイトカイン、造血因子、増殖因子、
酵素等が挙げられる。
【0009】前記ホルモンとしては、作動性あるいは拮
抗性のいずれの作用機作を有するものでもよい。ホルモ
ンとしては、具体的には、インスリン、成長ホルモン
(GH)、プロラクチン、甲状腺刺激ホルモン(TS
H)、黄体形成ホルモン(LH)、卵胞刺激ホルモン
(FSH)、ヒト絨毛ゴナドトロピン(HCG)、サイ
モシン(チモシン)、副甲状腺ホルモン(PTH)等、
好ましくはインスリンおよび成長ホルモン、より好まし
くは成長ホルモンが挙げられる。該成長ホルモンとして
は、いずれの種由来のものでも良いが、好ましくはヒト
成長ホルモンが挙げられる。また、脳下垂体等から抽出
される天然由来のものも本発明に用いられるが、好まし
くは遺伝子組換え型GH(特公平6−12996号公
報、特公平6−48987号公報参照)であり、更に好
ましくはN末端にメチオニンを有さない天然型と同じ構
造を有する組換え型hGHである。このような、N末端
にメチオニンを有さない天然型と同じ構造を有する組換
え型hGHは、特開平10−72489号公報(EP−
A−812856号公報)またはWO00/20439
号公報に記載された方法によって得ることができる。該
GHとしては金属塩(金属複合体も含む。例えば、金属
としては亜鉛等が挙げられる。)であってもよいが、実
質的に金属を含有しないGHも用いられる。hGHとし
て、分子量約22Kダルトンのみならず、分子量約20
Kダルトンのもの(特開平7−101877号公報、特
開平10−265404号公報参照)を用いてもよい。
また、hGHとして、hGHの誘導体あるいはその関連
タンパク質(WO99/03887号公報参照)を用い
てもよい。
【0010】前記サイトカインとしては、例えばリンホ
カイン、モノカイン等が用いられる。リンホカインとし
ては、例えばインターフェロン類(アルファ型、ベータ
型、ガンマ型等)、インターロイキン類(例えば、IL
−2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12
等)等が用いられる。該モノカインとしては、例えばイ
ンターロイキン−1(IL−1)、腫瘍壊死因子(TN
F)等が用いられる。サイトカインとしては、好ましく
はリンホカイン等、更に好ましくはインターフェロン
等、特に好ましくはインターフェロンアルファ等であ
る。
【0011】前記造血因子としては、例えばエリスロポ
エチン(EPO)、コロニー刺激因子(G−CSF,G
M−CSF,M−CSF等)、トロンボポエチン(TP
O)、血小板増殖刺激因子、メガカリオサイトポテンシ
エーター等が用いられる。前記増殖因子としては、例え
ば、塩基性あるいは酸性の繊維芽細胞増殖因子(FG
F)あるいはこれらのファミリー(例えば、EGF、T
GF−α、TGF−β、PDGF,酸性FGF,塩基性
FGF、FGF−9等)、肝細胞増殖因子(HGF)、
血管内皮増殖因子(VEGF)、神経細胞増殖因子(N
GF)あるいはこれらのファミリー(例えば、BDN
F、NT−3、NT−4、CNTF、GDNF等)、イ
ンスリン様成長因子(例えば、IGF−1,IGF−2
等)、骨増殖に関与する因子(BMP)あるいはこれら
のファミリー等が用いられる。
【0012】前記酵素としては、例えばスーパーオキシ
ドディスミュターゼ(SOD)、ウロキナーゼ、ティシ
ュープラスミノーゲンアクティベーター(TPA)、ア
スパラギナーゼ、カリクレイン等が用いられる。この他
にも本発明におけるタンパク質として、サイモポエチ
ン、血中胸腺因子(FTS)及びその誘導体(米国特許
第4,229,438号参照)、及びその他の胸腺因子
〔医学のあゆみ、第125巻,第10号,835−84
3頁(1983年)〕等を用いることができる。本発明
におけるタンパク質としては、好ましくはホルモン、よ
り好ましくは成長ホルモンまたはインスリン、さらに好
ましくはヒト成長ホルモンが用いられる。
【0013】本発明におけるタンパク質は、金属を含有
するタンパク質であってもよい。金属を含有するタンパ
ク質の金属含有量は、好ましくは約0.1%(w/w)
以下、さらに好ましくは約0.01%(w/w)以下、
より好ましくは0.001%(w/w)以下、とりわけ
実質的に金属を含まないタンパク質が最適である。金属
を含有するタンパク質として、例えば、結晶性インスリ
ンが挙げられる。結晶性インスリンは、通常、亜鉛、ニ
ッケル、コバルト、カドミウム等の少量の重金属を含ん
でいる。亜鉛を0.4%(w/w)を含んでいるインス
リンは6量体で存在し、それ自身で安定に存在し、生体
内分解性高分子重合物の金属塩との相互作用が弱められ
ると考えられている。本発明におけるタンパク質は、前
もって金属を除去したタンパク質であってもよい。タン
パク質の金属を除去する方法としては公知の方法が用い
られる。例えば、インスリンにおいては、インスリンの
塩酸酸性水溶液を水あるいは酢酸アンモニウム塩溶液に
対して透析した後、凍結乾燥することにより、金属含量
が極めて低いアモルファス状態のインスリンを得ること
ができる。また、タンパク質を得る際に、所望のタンパ
ク質を含有する組織・体液、化学合成粗調製物、あるい
は組換え細胞・菌体から、それぞれ当該タンパク質を純
化・精製する必要がある時には、一般的なタンパク質の
分離精製法が使用できる(「タンパク質」、佐竹一夫
著、朝倉書店;「生理活性ペプチド」、ファルマシアレ
ビュー、No.3、日本薬学会)。それらの分離精製法の中
でもとりわけ、幾つかの液体クロマトグラフィーを組み
合わせることにより(「タンパク質・ペプチドの高速液
体クロマトグラフィー」、宇井信生ら共編、化学同
人)、高純度のタンパク質をその生理活性を損なうこと
なく収率よく得ることができる。その際、分離精製法の
最終工程において、脱塩操作に供されることが好まし
い。
【0014】本発明のタンパク質含有溶液の溶媒は、タ
ンパク質を溶解するものであれば特に限定されない。該
溶媒としては、好ましくは凝固点が約−130℃以上の
溶媒が挙げられる。該溶媒の具体例としては、水、アル
コール類(例、メタノール,エタノール,イソプロパノ
ール等)、アセトン、前記アルコール類と水との混合溶
媒、またはアセトン等の有機溶媒と水との混合溶媒等が
挙げられ、好ましくは水が用いられる。アルコール類、
アセトン等の有機溶媒は、後述する「水混和性の有機溶
媒」として用いることもできる。
【0015】前記溶媒を用いたタンパク質含有溶液は、
揮発性の塩類あるいは水混和性の有機溶媒が添加されて
いることが好ましい。このような揮発性の塩類あるいは
水混和性の有機溶媒の添加により得られるタンパク質水
溶液を、更に凍結乾燥することにより、取り扱いが容易
で(操作性のよい)、かつ微細な(粒子径の小さな)タ
ンパク質粉体を製造することができる。該タンパク質含
有溶液に添加される揮発性の塩類としては、例えばアン
モニウム塩(例えば酢酸アンモニウム、重炭酸アンモニ
ウム、炭酸アンモニウム、塩化アンモニウム等、好まし
くは酢酸アンモニウム等)が挙げられる。これらは適宜
の割合で混合して用いてもよい。揮発性の塩類のタンパ
ク質含有溶液への添加量は、モル比において、例えば約
1倍ないし約80倍モル(具体的には、約10倍ないし
約80倍モル)であり、好ましくは約10倍ないし約7
0倍モルであり、さらに好ましくは約15倍ないし約7
0倍モルであり、より好ましくは約15倍ないし約50
倍モルであり、最も好ましくは約15倍ないし約40倍
モルである。該タンパク質含有溶液に添加される水混和
性の有機溶媒としては、例えば上記したアルコール類、
アセトン等が用いられるが、これらは適宜の割合で混合
して用いてもよいが、好ましくはアルコール類、特にエ
タノールを単独で用いることが望ましい。また、タンパ
ク質含有溶液への添加量(濃度)は、体積比において約
0.03ないし0.5%(V/V)であり、好ましくは約
0.06ないし0.25%(V/V)、更に好ましくは約
0.1ないし0.15%(V/V)である。該タンパク質
含有溶液に添加される水混和性の揮発性の塩類及び/又
は有機溶媒は、単独で用いてもよいし、適宜組み合わせ
て用いてもよい。水混和性の有機溶媒及び揮発性の塩類
を組み合せて用いる時は、上記のそれぞれの添加量に従
って、タンパク質含有溶液に添加することができる。タ
ンパク質含有溶液には、揮発性の塩類が添加されている
ことが好ましく、アンモニウム塩が添加されていること
がより好ましく、酢酸アンモニウムが添加されているこ
とがさらに好ましい。
【0016】凍結操作に供するタンパク質含有溶液の濃
度は、特に限定されないが、例えば0.01%(W/
V)ないし30%(W/V)、好ましくは0.03%
(W/V)ないし10%(W/V)、特に好ましくは
0.05%(W/V)ないし3%(W/V)等である。
例えば、タンパク質がhGHである場合のタンパク質含
有溶液の濃度は、好ましくは約0.01ないし約5%
(W/V)、さらに好ましくは、約0.05ないし約2
%(W/V)、より好ましくは約0.05ないし約0.
5%(W/V)である。凍結操作に供するタンパク質含
有溶液中のタンパク質は、単一のタンパク質であること
が好ましい。
【0017】本発明におけるタンパク質含有溶液の凍結
および乾燥のための方法は、特に限定されないが、減圧
下乾燥(例、真空乾燥)することが好ましい。例えば、
凍結乾燥機で連続した工程で行っても、凍結乾燥機とは
別のところで凍結させたタンパク質含有溶液を凍結乾燥
機で乾燥させてもよい。前記凍結のための装置は特に限
定されないが、タンパク質粉体を、安価に、そして簡便
に製造する観点から、通常医薬品注射剤を凍結乾燥する
ときに使用される凍結乾燥装機の棚(凍結乾燥棚)で行
うことが好ましい。該凍結乾燥機に関しては、小林正和
著「医薬品製造と凍結乾燥技術」(製剤と機械、No. 17
〜23、25〜35、38〜46)に詳しい。それによると、通常
のブラインを用いる冷却では凍結乾燥棚を-70℃まで温
度を下げることが可能である。これらの凍結乾燥機とし
ては、例えば、共和真空技術株式会社製(例、RL シリ
ーズ、RLC シリーズ、RLEシリーズ、R2L シリーズ、R2L
W シリーズ、またはTriomaster シリーズ)、日本真空
技術株式会社製(例、DF シリーズ、DFM シリーズ)等
が挙げられる。また、これらの凍結乾燥機の予備凍結庫
は本来医薬品注射剤製造用に無菌無塵に対応できるよう
に設計されていることから、タンパク質粉体の製造に適
している。凍結乾燥機の一次媒体として液化ガスを用い
て、二次媒体を介して導入することにより、凍結乾燥棚
の温度を通常のブラインで達成されるより更に低下させ
ることも可能である。例えば、一次媒体として液体窒素
を用い、二次媒体としてハイドロフルオロエーテル(HF
E:スリーエム(3M)社製)を介して冷却すれば、HFE-7
100(スリーエム(3M)社製)で-135℃、HFE-72100(ス
リーエム(3M)社製)で-117℃まで、それぞれ冷却する
ことが可能になる。この様な方法を用いることで、タン
パク質含有溶液を直接液化ガスに接触させることが回避
され、液化ガスの無菌無塵処理という困難な問題に直面
する必要が無くなる。好ましい棚の温度は約-130〜-20
℃、さらに好ましくは約-100〜-30℃、より好ましくは
約-80〜-40℃である。この様に凍結乾燥機棚を用いてタ
ンパク質含有溶液を凍結することにより、その後、速や
かに真空乾燥工程に移行することが可能になる。凍結は
凍結乾燥機の棚の上に置かれた冷媒上で行うことが好ま
しい。該冷媒は、特に限定されないが、好ましくはタン
パク質含有溶液を塗布または滴下可能な冷媒、例えば
板、トレー等、好ましくはトレー等が挙げられる。前記
板およびトレー等は平面には限定されず凹凸を有してい
ても、弯曲していてもよい。前記板およびトレー等の材
質は本発明の冷却速度に耐えられるものであればいかな
る材質でもよいが、好ましくは金属(例えば、ステンレ
ス等)製が用いられる。塗布または滴下開始時の冷媒
(例えば、トレー)の温度は、好ましくは約−25℃以
下(例えば、−25℃〜−100℃; 具体的には−2
5℃〜−50℃)であることが好ましい。なお、凍結さ
せたタンパク質含有溶液上に、さらに塗布または滴下を
行ってもよい。塗布または滴下開始時の凍結させたタン
パク質含有溶液の表面温度は、好ましくは約−25℃以
下(例えば、−25℃〜−100℃; 具体的には−2
5℃〜−50℃)であることが好ましい。冷媒および凍
結させたタンパク質含有溶液の表面温度は、例えば温度
センサー〔例えば、熱電対(TYPE T:岡崎製作所製)〕
を用いて測定することができる。また、凍結乾燥機とは
別のところで凍結させたタンパク質含有溶液を凍結乾燥
機で乾燥させる場合は、例えば、タンパク質含有溶液を
凍結した後、その状態を保持したまま、凍結乾燥機の棚
に移送して乾燥する方法が挙げられる。
【0018】本発明におけるタンパク質含有溶液の冷却
速度は、目的とするタンパク質微細粉体の平均粒子径、
タンパク質含有溶液の種類、タンパク質濃度、添加物濃
度等により、適宜制御される。本発明におけるタンパク
質含有溶液の冷却速度は、通常、約-300〜-10℃/分、好
ましくは約-250〜-20℃/分、より好ましくは約-210℃/
分〜-30℃/分、さらに好ましくは-210〜-40℃/分、とり
わけ好ましくは-210〜-70℃/分である。本発明における
冷却速度は、塗布または滴下前のタンパク質含有溶液の
温度、滴下または塗布後のタンパク質含有溶液の凍結時
の温度および凍結までの時間を基に算出される。なお、
滴下または塗布後のタンパク質含有溶液の凍結時の温度
は、例えば前記と同様の温度センサーを用いて測定する
ことができる。前記冷却速度を得る方法として、例え
ば、塗布または滴下前に約-25℃以下(好ましくは約-10
0〜-25℃、より好ましくは約-100〜-30℃、さらに好ま
しくは約-80〜-40℃)に冷却した冷媒1300cm2当たり、
約10〜250mL/5分、好ましくは約15〜200mL/5分で、より
好ましくは約20〜175mL/5分の速度で、タンパク質含有
溶液を塗布または滴下する方法が挙げられる。タンパク
質含有溶液を充填(塗布または滴下)する速度は、上記
冷却速度を得ることができる範囲から適宜選択すること
ができる。また、充填途中で、タンパク質含有溶液の塗
布または滴下の速度を適宜変更してもよい。なお、塗布
または滴下中の冷媒の温度は約−2℃程度になってもよ
い。
【0019】本発明における塗布とは、開口部(例え
ば、タンパク質含有溶液の充填ノズル)より、タンパク
質含有溶液を液滴となることなく連続的な流体として充
填することを示す。本発明における滴下とは、開口部
(例えば、タンパク質含有溶液の充填ノズル)より、タ
ンパク質含有溶液の液滴を形成させて、非連続的な流体
として充填することを示す。塗布又は滴下の際、凍結さ
せようとするタンパク質含有溶液の全量を一気に塗布又
は滴下することもできるが、何回かに分けて間欠的に塗
布又は滴下することが既凍結部の温度を低下させるため
に好ましい。これによって所望の冷却速度を維持するこ
とができる。間欠的に塗布又は滴下する場合、冷媒また
は既凍結部の表面温度が-25℃以下になるまで、塗布と
塗布あるいは滴下と滴下との間に時間的間隔をおくこと
が好ましい。本発明において、滴下流体とは、前記塗布
時の液滴となることなく充填される連続的な流体および
滴下時の非連続的な流体の両者を示す。タンパク質含有
溶液を塗布または滴下する際の、タンパク質含有溶液の
滴下流体の直径(水平断面の最大の長さ)は、例えば約
0.1〜40mm、好ましくは約0.2〜40mm、より好ましくは約
0.3〜20mm、さらに好ましくは約0.3〜10mmである。タン
パク質含有溶液を塗布する際の滴下流体の形状は、円柱
状が好ましいが、例えば多角柱(例えば、三角柱,四角
柱,五角柱,六角柱等)等開口部の形状により様々な形
状にすることができる。また、タンパク質含有溶液を滴
下する際の液滴の直径は、好ましくは約0.1〜10mm、さ
らに好ましくは約0.7〜7mm、より好ましくは約1〜5mm
である。タンパク質含有溶液を滴下する際の開口部(例
えば充填ノズル)の直径は、好ましくは約0.05〜10mm、
より好ましくは約0.1〜5mmである。また、タンパク質含
有溶液を滴下する際の液滴の重量は好ましくは約0.0005
〜500mg、より好ましくは約0.2〜180mg、さらに好まし
くは約0.5〜65mgである。本発明において、タンパク質
含有溶液を塗布または滴下する際、冷媒上に予め、氷床
(ice laying)を作成しておくことも可能である。ま
た、本発明において、タンパク質含有溶液を凍結させる
際、タンパク質含有溶液を層状に凍結させることも可能
である。その際の凍結層の厚さは、好ましくは約0.5〜1
00mm、さらに好ましくは約1〜80mm、より好ましくは約3
〜50mmである。
【0020】本発明の方法により得られたタンパク質粉
体を、より微細な粒子にするために、さらに微粒化処理
することが好ましい。微粒化処理には、医薬品製剤の調
製において知られた種々の粉体粉砕処理方法を用いるこ
とができる。該粉体粉砕処理法として、例えば、乾式粉
砕法としては、ジェットミル法等が挙げられる、また湿
式粉砕法としては、タンパク質微細粉体をその不溶性溶
媒に分散させた後、超音波処理(プローブ型およびバス
型)、攪拌型粉砕器(ポリトロン(キネマチカ社製)、
ミニミクサー、フィルミックス(特殊機化社製)、クレ
アミッックス(Mテック社))等で処理後に該溶媒を除
去する方法が挙げられる。また、本発明の方法により得
られたタンパク質粉体は、タンパク質粉体の不溶性溶媒
(例えば、ジクロロメタン等)中で、軽く攪拌あるいは
軽く振盪することによっても微粒化することができる。
得られたタンパク質粉体を徐放性製剤に適用する場合
は、タンパク粉体を直接、基剤(例、生体内分解性ポリ
マー溶液)中に添加後、超音波もしくは攪拌型粉砕器等
により微粒化処理を行うことが好ましい。例えば、撹拌
型粉砕器として回転径が約9mmのポリトロン(キネマ
チカ社)を用いる際は、好ましくは約500〜4000
0rpm、より好ましくは約1000〜35000rp
m、さらに好ましくは約5000〜30000rpmの
回転数で微粒化処理を行うことが好ましい。その際の攪
拌時間は好ましくは約5秒〜30分、より好ましくは約
10秒〜20分、さらに好ましくは約15秒〜10分で
ある。例えば、撹拌型粉砕器として回転径が約9mmの
ポリトロン(キネマチカ社)を用いる際は、好ましくは
約500〜40000rpmで約5秒〜30分間、より
好ましくは約1000〜35000rpmで約10秒〜
20分間、さらに好ましくは約5000〜30000r
pmで約15秒〜10分間微粒化処理を行うことが好ま
しい。微粒化処理後のタンパク質微細粉体の平均粒子径
はそれを応用する薬物送達システムによっても異なる
が、一般に、好ましくは約0.5〜20μm、さらに好ましく
は0.7〜10μm、より好ましくは約1〜5μmである。本発
明におけるタンパク質微細粉体の平均粒子径は、レーザ
ー回折式粒度分布測定装置(SALD 2000A:島津製作所株
式会社製)により測定することができる。前記測定にお
いてタンパク質微細粉体は、タンパク質微細粉体の不溶
性溶媒(例えば、ジクロロメタン等)に分散後、前記粒
度分布測定装置の測定可能範囲まで、適宜、該溶媒にて
希釈し供される。
【0021】本発明により製造されたタンパク質粉体お
よびタンパク質微細粉体は、本発明の製造法を行う前に
おけるタンパク質含有溶液(例、タンパク質含有水溶
液)中のタンパク質と比較しても、高次構造を高い割合
で保持している。タンパク質粉体およびタンパク質微細
粉体中の二次構造は、FT-IR スペクトル解析より確認す
ることが可能である。この解析はカーペンターらの総説
(ユーロピアン ジーナル オブ ファーマシューティ
クス アンド バイオファーマシューティクス(Europe
an Journal of Pharmaceutics and Biopharmaceutics)
45巻 231-238頁 1998年)に詳しい。それによると、凍
結乾燥して得られたタンパク質粉体およびタンパク質微
細粉体中の二次構造の1つであるα-ヘリックスの含量
は、水溶液中のタンパク質の含量より低下することが報
告されており、変性度が高いほどその低下率が高いこと
が示されている。そこで、FT-IRスペクトル解析して得
られる本発明の製造法を行う前におけるタンパク質含有
溶液(例、タンパク質含有水溶液)中のタンパク質のα
-ヘリックス含量に対する本発明の製造法で得られたタ
ンパク質粉体あるいはタンパク質微細粉体中のα-ヘリ
ックス含量の割合から、タンパク質の高次構造の変性度
を定義できる。前記方法により、タンパク質の変性度を
定義した時、本研究により得られたタンパク質粉体およ
びタンパク質微細粉体はα−ヘリックスを約45%以上
保持していることが好ましく、約50%以上保持してい
ることがさらに好ましい。
【0022】本発明で得られた高次構造(具体的には二
次構造、より具体的にはα−ヘリックス)を保持したタ
ンパク質粉体およびタンパク質微細粉体は種々の薬物送
達システムに応用される。その投与経路としては、経
肺、経粘膜(眼、口腔、鼻、子宮、膣、直腸)、経口、
経皮、筋肉内,皮下,臓器等への注射剤または埋め込み
剤等が挙げられる。タンパク質粉体およびタンパク質微
細粉体は粉体のまま投与することもできるが、種々の剤
形(例、錠剤、顆粒剤、徐放性製剤等)に処方して用い
ることができ、好ましくは徐放性製剤に処方して投与さ
れる。該徐放性製剤は、タンパク質粉体あるいはタンパ
ク質微細粉体と後述する種々の基剤とを用いることによ
り、打錠法、スプレーチリング法、スプレードライ法
(噴霧乾燥法)、乳化法、水中乾燥法(S/O/W法)
または相分離法(コアセルベーション法)等により処方
することができる。
【0023】前記徐放性製剤を処方する際に用いる基剤
は、生体由来のもの、あるいは合成により得られたもの
(例、合成ポリマー)のいずれでもよいが、合成ポリマ
ーを用いることが多い。生体由来の基剤としては、ゼラ
チン、コラーゲン、油脂(脂質、トリグリセライド
等)、血清由来タンパク質(アルブミン、グロブリン
等)、ケラチン、キチン、キトサン、プルラン、セルロ
ース類(ヒドロキシメチルセルロール、カルボイキシメ
チルセルロール等)が挙げられる。合成ポリマーとして
は、生体内分解性ポリマーと生体内非分解性ポリマーの
いずれを用いることもできるが、生体内分解性ポリマー
を用いることが好ましい。
【0024】前記徐放性製剤の基剤に用いられる生体内
分解性ポリマーとしては、例えばα-ヒドロキシカルボ
ン酸類(例えば、グリコール酸、乳酸等)、ヒドロキシ
ジカルボン酸類(例えば、リンゴ酸等)、ヒドロキシト
リカルボン酸(例えば、クエン酸等)等の1種以上から
無触媒脱水重縮合で合成され、遊離のカルボキシル基を
有する重合体あるいはこれらの混合物、ポリ-α-シアノ
アクリル酸エステル、ポリアミノ酸(例えば、ポリ-γ-
ベンジル-L-グルタミン酸等)、無水マレイン酸系重合
体(例えば、スチレン-マレイン酸重合体等)等が挙げ
られる。これらはホモポリマーまたはコポリマーのいず
れであってもよい。重合の形式は、ランダム、ブロッ
ク、グラフトのいずれでもよい。また、上記のα-ヒド
ロキシカルボン酸類、ヒドロキシジカルボン酸類、ヒド
ロキシトリカルボン酸類が分子内に光学活性中心を有す
る場合、D−,L−,DL−体のいずれも用いることが
できる。生体内分解性ポリマーとしては、好ましくは、
末端に遊離のカルボキシル基を有する生体内分解性ポリ
マー、例えばα-ヒドロキシカルボン酸類(例えば、グ
リコール酸、乳酸等)から合成された重合体(例えば、
乳酸重合体、乳酸−グリコール酸共重合体等)、ポリ-
α-シアノアクリル酸エステル等が、より好ましくはα-
ヒドロキシカルボン酸類から合成された重合体等が、さ
らに好ましくは乳酸-グリコール酸重合体等が挙げられ
る。本明細書においては、ポリ乳酸、ポリグリコール酸
等の単重合体のみならず乳酸-グリコール酸共重合体も
含めて、単に乳酸-グリコール酸重合体と称することが
ある。
【0025】生体内分解性ポリマーとして乳酸−グリコ
ール酸重合体(乳酸−グリコール酸共重合体又は単重合
体)を用いる場合、その組成比(モル%)は約100/
0ないし約40/60が好ましく、約85/15ないし
約50/50が更に好ましい。乳酸-グリコール酸重合
体の重量平均分子量は、約3,000ないし約50,0
00が好ましく、約3,000ないし約25,000が
より好ましく、約5,000から約20,000が更に
好ましい。乳酸−グリコール酸重合体の分散度(重量平
均分子量/数平均分子量)は約1.2ないし約4.0が好
ましく、約1.5ないし約3.5が更に好ましい。
【0026】本明細書での乳酸-グリコール酸重合体の
重量平均分子量は、重量平均分子量が120,000、
52,000、22,000、9,200、5,05
0、2,950、1,050、580、162の9種類
のポリスチレンを基準物質としてゲルパーミエーション
クロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン
換算の値を示す。また、乳酸−グリコール酸重合体の分
散度は、前記乳酸-グリコール酸重合体の重量平均分子
量の値から算出した値である。乳酸-グリコール酸重合
体の重量平均分子量の測定は、GPCカラムKF804
L x 2(昭和電工製)、RIモニター L-3300
(日立製作所製)を使用し、移動相としてクロロホルム
を用いて行う。本明細書において、乳酸-グリコール酸
重合体の重量平均分子量は、ポリスチレン換算重量平均
分子量と示されることもある。
【0027】前記末端に遊離のカルボキシル基を有する
生体内分解性ポリマーとは、末端基定量による数平均分
子量と上記のGPC測定による数平均分子量がほぼ一致
するポリマーであり、末端基定量による数平均分子量は
以下のようにして算出される。約1gないし約3gの生
体内分解性ポリマーをアセトン(25ml)とメタノール
(5ml)との混合溶媒に溶解し、フェノールフタレインを
指示薬としてこの溶液中のカルボキシル基を0.05N
アルコール性水酸化カリウム溶液で、室温(20℃)で
撹拌下、速やかに滴定して末端基定量による数平均分子
量を次式で算出した。末端基定量による数平均分子量=
20000×A/BA:生体内分解性ポリマーの質量
(g)B:滴定終点までに添加した0.05Nアルコー
ル性水酸化カリウム溶液 (ml)末端基定量による数
平均分子量が絶対値であるのに対して、GPC測定によ
る数平均分子量は、各種分析・解析条件(例えば、移動
相の種類、カラムの種類、基準物質、スライス幅の選
択、ベースラインの選択等)によって変動する相対値で
あるため、一義的な数値化は困難であるが、両測定によ
る数平均分子量がほぼ一致するとは、例えば、α−ヒド
ロキシカルボン酸類から合成された重合体において、末
端基定量による数平均分子量がGPC測定による数平均
分子量の約0.5倍から約2倍の範囲内であること、好
ましくは約0.7倍から約1.5倍の範囲内であることを
いう。例えば、1種類以上のα-ヒドロキシカルボン酸
類から無触媒脱水重縮合法で合成され、末端に遊離のカ
ルボキシル基を有する重合体では、GPC測定による数
平均分子量と末端基定量による数平均分子量とがほぼ一
致する。これに対し、環状二量体から触媒を用いて開環
重合法で合成され、末端に遊離のカルボキシル基を本質
的には有しない重合体では、末端基定量による数平均分
子量がGPC測定による数平均分子量の約2倍以上に大
きく上回る。この相違によって末端に遊離のカルボキシ
ル基を有する重合体は、末端に遊離のカルボキシル基を
有しない重合体と明確に区別することができる。
【0028】末端に遊離のカルボキシル基を有する乳酸
-グリコール酸重合体は、自体公知の製造法、例えば特
開昭61−28521号公報に記載の方法(例えば無触
媒下の脱水重縮合反応又は無機固体酸触媒下での脱水重
縮合反応による製造方法等)に従って製造することがで
きる。乳酸-グリコール酸重合体の分解・消失速度は、
組成比あるいは重量平均分子量によって大きく変化する
が、一般的にはグリコール酸分率が低いほど分解・消失
が遅いため、グリコール酸分率を低くするかあるいは分
子量を大きくすることによって放出期間を長くすること
(例えば、約6ヶ月)ができる。逆に、グリコール酸分
率を高くするあるいは分子量を小さくすることによって
放出期間を短くすること(例えば、約1週間)もでき
る。例えば、1週間ないし2ヶ月型徐放性製剤とするに
は、前記組成比及び重量平均分子量の範囲の乳酸-グリ
コール酸重合体を用いるのが好ましい。
【0029】従って、本発明において用いる生体内分解
性ポリマーの組成は、目的とする生理活性ポリペプチド
の種類、所望の徐放期間等に応じて、適宜選択されるこ
とが好ましい。その具体例としては、例えば、タンパク
質としてGHを用いる場合、乳酸−グリコール酸重合体
を用いることが好ましく、該乳酸−グリコール酸重合体
としては、その乳酸/グリコール酸組成比(モル%)が
約85/15ないし約50/50の乳酸−グリコール酸
共重合体が好ましく、更に好ましくは約75/25ない
し約50/50の乳酸−グリコール酸共重合体である。
またその重量平均分子量は約8,000ないし約20,0
00が好ましく、更に好ましくは約10,000ないし
約20,000である。また、乳酸−グリコール酸重合
体の分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は約1.
2ないし約4.0が好ましく、更に好ましくは約1.5な
いし約3.5である。乳酸−グリコール酸重合体は、前
記公報記載の方法等、公知の方法に従い製造できる。該
重合体は無触媒脱水重縮合で製造されたものが好まし
い。前記GPC測定法による数平均分子量と末端基定量
法による数平均分子量とが、ほぼ一致する乳酸−グリコ
ール酸重合体(PLGA)を用いることが好ましい。該
重合体は組成比及び/または重量平均分子量の異なる2
種の乳酸−グリコール酸重合体を任意の割合で混合して
用いてもよい。このような例としては、組成比(乳酸/
グリコール酸)(モル%)が約75/25で重量平均分
子量が約10,000の乳酸−グリコール酸共重合体
と、組成比(乳酸/グリコール酸)(モル%)が約50
/50で重量平均分子量が約12,000の乳酸−グリ
コール酸共重合体との混合物等が用いられる。混合する
際の重量比は、好ましくは約25/75ないし約75/
25である。
【0030】徐放性製剤の基剤として用いる生体内分解
性ポリマーは、前記した生体内分解性ポリマーの金属塩
であってもよく、例えば、WO97/01331号公報
に記載の各種生体内分解性ポリマーの多価金属塩等が用
いられる。好ましくは乳酸−グリコール酸重合体の多価
金属塩(さらに好ましくは亜鉛塩,カルシウム塩,マグ
ネシウム塩等、より好ましくは亜鉛塩等)等が用いられ
る。該多価金属塩の金属種としては、生体に悪影響を及
ぼさない化合物であれば特に限定されず、例えば2価
(例、鉄、亜鉛、銅、カルシウム、マグネシウム、アル
ミニウム、スズ、マンガン等)、3価(例、鉄、アルミ
ニウム、マンガン等)、4価(例、スズ等)などの多価
金属も用いることができる。本明細書においては、生体
内分解性ポリマーが金属塩の場合も含めて生体内分解性
ポリマーと称することがあり、例えば乳酸−グリコール
酸重合体が多価金属塩の場合も乳酸-グリコール酸重合
体と称することがある。これらの生体内分解性ポリマー
の多価金属塩はWO97/01331号公報に記載の方
法及びこれに準じる方法により製造することができる。
また、生体内分解性ポリマーの多価金属塩が亜鉛塩の場
合には、生体内分解性ポリマーと酸化亜鉛とを有機溶媒
中で反応させることによって製造することもできる。生
体内分解性ポリマーの亜鉛塩は、例えば以下示す方法で
製造することができる。まず生体内分解性ポリマーと酸
化亜鉛とを有機溶媒中に共存させて、生体内分解性ポリ
マー・酸化亜鉛体の有機溶媒溶液を製造する。この際、
生体内分解性ポリマーの溶液中濃度は分子量、有機溶媒
等の種類によって異なるが、例えば約0.1ないし約8
0%(W/W)、好ましくは約1ないし約70%(W/
W)、更に好ましくは約2ないし約60%(W/W)で
ある。また、添加する酸化亜鉛量は、特開平10−23
1252号公報に記載されたように、有機溶媒の種類に
よって異なるが、例えば生体内分解性ポリマー量の約
0.001ないし約2%(W/W)、好ましくは約0.0
1ないし約1.5%(W/W)、更に好ましくは約0.1
ないし約1%(W/W)である。有機溶媒への生体内分
解性ポリマー及び酸化亜鉛の添加順序は、生体内分解性
ポリマーの有機溶媒溶液に酸化亜鉛を粉末状であるいは
該有機溶媒に懸濁した状態で添加してもよく、逆に酸化
亜鉛の有機溶媒懸濁液中に生体内分解性ポリマーの有機
溶媒溶液を添加してもよい。また、両者を粉末状で混和
後、有機溶媒を添加してもよい。
【0031】徐放性製剤の製造において生体内分解性ポ
リマーの溶解に用いる有機溶媒は、沸点120℃以下で
あることが好ましい。該有機溶媒としては、例えばハロ
ゲン化炭化水素(例えば、ジクロロメタン、クロロホル
ム、四塩化炭素等)、アルコール類(例えば、エタノー
ル、メタノール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペン
タンジオール等)、酢酸エチル、アセトニトリル等が挙
げられる。これらは適宜の割合で混合して用いてもよ
い。有機溶媒を単独で用いる場合、例えばジクロロメタ
ン、アセトニトリル等が好ましい。有機溶媒を混合溶媒
として用いる場合、例えばハロゲン化炭化水素(例え
ば、ジクロロメタン、クロロホルム等)と、アルコール
類(例えば、エタノール、メタノール、1,4−ブタン
ジオール、1,5−ペンタンジオール等)あるいはアセ
トニトリルとの組み合わせが好ましい。特に、ジクロロ
メタンとアセトニトリルとの組み合わせが汎用される。
ハロゲン化炭化水素と、アルコール類あるいはアセトニ
トリルとの混合比(体積比)は約40:1ないし約1:
1であり、好ましくは約20:1ないし約1:1であ
る。特に、ハロゲン化炭化水素(ジクロロメタン等)を
単独、あるいはハロゲン化炭化水素とアセトニトリルと
の9:1ないし1:1の混合溶媒を用いることが望まし
い。また、生体内分解性ポリマーの溶液中濃度は分子
量、有機溶媒等の種類によって異なるが、例えば約0.
01ないし約80%(W/W)、好ましくは約0.1な
いし約70%(W/W)、更に好ましくは約1ないし約
60%(W/W)である。
【0032】徐放性製剤は、水混和性の有機溶媒及び/
又は揮発性塩類を添加したタンパク質含有溶液(例え
ば、生理活性ポリペプチド溶液)を凍結乾燥して得られ
る粉体(S)を、生体由来物質または合成ポリマー(例
えば、生体内分解性ポリマー)を溶解した有機溶媒液
(O)に分散させた、S/O型分散液から溶媒を除去す
ることにより製造される。その製造法としては、例えば
(a)水中乾燥法(S/O/W法)、(b)相分離法(コ
アセルベーション法)及び(c)噴霧乾燥法、あるいは
これらに準じた方法等が挙げられる。以下に徐放性製剤
として、例えばマイクロカプセルを製造する場合の製造
方法について記述する。
【0033】(a)水中乾燥法(S/O/W法) 本法によれば、まずタンパク質水溶液に水混和性の有機
溶媒及び/又は揮発性塩類を添加した後、凍結乾燥によ
りタンパク質粉体(S)を作成する。次に生体内分解性
ポリマーを有機溶媒に溶解し、この有機溶媒液中に上記
のタンパク質微細粉体を添加し分散させる。この際、タ
ンパク質と生体内分解性ポリマーとの比率(重量比)
は、例えば約1:1000ないし約1:1、好ましくは
約1:200ないし約1:5、更に好ましくは約1:1
00ないし約1:5である。また、タンパク質粉体を有
機溶媒液中に均一に分散および微粒化させるため、外部
物理的エネルギーを加えることが好ましい。その方法と
しては例えば、超音波照射、タービン型撹拌器、ホモジ
ナイザー等が用いられる。この時の有機溶媒液中でのタ
ンパク質の平均粒子径としては約0.5〜20μm、さ
らに好ましくは約0.7〜10μm、より好ましくは約
1〜5μmであることが望ましく、本発明の製造法によ
り得られたタンパク質粉体を用いることにより達成され
る。次いでこのようにして調製された有機溶媒分散液
(S/O型分散液)を、更に水性溶媒(W)中に添加し
て、上記と同様の外部物理的エネルギー、例えば超音波
照射、タービン型撹拌器、あるいはホモジナイザー等に
よりS/O/W型エマルションを形成させる。以後、油
相溶媒を蒸発させマイクロカプセルを製造する。この際
の水相体積は、一般的には油相体積の約1倍ないし約1
0,000倍から選ばれる。更に好ましくは約2倍ない
し約5,000倍から選ばれる。特に好ましくは約5倍
ないし約2,000倍から選ばれる。上記外水相中に
は、乳化剤を加えてもよい。該乳化剤としては、一般的
に安定なS/O/Wエマルションを形成できるものであ
れば何れでもよい。乳化剤としては、例えばアニオン性
界面活性剤、非イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレ
ンヒマシ油誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニル
アルコール、カルボキシメチルセルロース、レシチン、
ゼラチン、ヒアルロン酸等が挙げられる。これらは適宜
組み合わせて使用してもよい。外水相中の乳化剤の濃度
は、好ましくは約0.001%ないし20%(w/w)
である。更に好ましくは約0.01%ないし10%(w
/w)、特に好ましくは約0.05%ないし5%(w/
w)である。このようにして得られたマイクロカプセル
は、遠心分離あるいは濾過操作により分取した後、マイ
クロカプセルの表面に付着している乳化剤等を蒸留水に
よる洗浄で除去し、再び蒸留水等に分散して凍結乾燥す
る。その後必要であれば、加温してマイクロカプセル中
の水分及び有機溶媒を更に除去する。減圧下に加温して
もよい。加温条件としては、用いた生体内分解性ポリマ
ーのガラス転移温度以上で、マイクロカプセルの各粒子
が互いに付着しない程度の温度で加熱乾燥する。好まし
くは、生体内分解性ポリマーのガラス転移温度より10
℃低い温度からガラス転移温度より約20℃高い温度の
範囲で加熱乾燥する。ここでガラス転移温度とは、示差
走査熱量計を用い、加温速度毎分10ないし20℃で昇
温した際に得られる中間点を云う。
【0034】(b)相分離法(コアセルベーション法) 本法においては、前記(a)のS/O型分散液にコアセ
ルベーション剤を撹拌下徐々に加えマイクロカプセルを
析出、固化させる。該コアセルベーション剤は、上記分
散液の約0.01倍ないし約1,000倍の体積量が加え
られる。更に好ましくは、約0.05倍ないし約500
倍、特に好ましくは約0.1倍ないし約200倍の体積
量である。コアセルベーション剤としては、生体内分解
性ポリマーを溶解する有機溶媒と混和する高分子系、鉱
物油系又は植物油系の化合物で使用した生体内分解性ポ
リマーを溶解しないものであればよい。具体的には、例
えばシリコン油、ゴマ油、大豆油、コーン油、綿実油、
ココナッツ油、アマニ油、鉱物油、n−ヘキサン、n−
ヘプタン等が用いられる。これらは2種以上混合して用
いてもよい。このようにして得られたマイクロカプセル
を濾過分取した後、ヘプタン等により繰り返し洗浄して
コアセルベーション剤を除去する。更に、(a)と同様
に洗浄し、次いで凍結乾燥する。水中乾燥法及びコアセ
ルベーション法でのマイクロカプセルの製造では、粒子
同士の凝集を防ぐために凝集防止剤を加えてもよい。該
凝集防止剤としては、例えばマンニトール、ラクトー
ス、ブドウ糖、デンプン類(例えば、コーンスターチ
等)、ヒアルロン酸あるいはこのアルカリ金属塩等の水
溶性多糖、グリシン、フィブリン、コラーゲン等の蛋白
質、塩化ナトリウム、リン酸水素ナトリウム等の無機塩
類等が適宜用いられる。
【0035】(c)噴霧乾燥法 本法においては、前記(a)のS/O型分散液を、ノズ
ルを用いてスプレードライヤー(噴霧乾燥器)の乾燥室
内へ噴霧し、極めて短時間に微粒化液滴内の有機溶媒を
揮発させ、マイクロカプセルを製造する。該ノズルとし
ては、例えば二流体ノズル型、圧力ノズル型、回転ディ
スク型等がある。この際所望により、上記の分散液と同
時に、マイクロカプセル粒子同志の凝集防止を目的とし
て前記凝集防止剤の水溶液を別ノズルより噴霧すること
も有効である。このようにして得られたマイクロカプセ
ルは、前記(a)と同様にして洗浄し、必要であれば加
温(要すれば減圧下)により、水分及び有機溶媒を更に
除去する。
【0036】徐放性製剤は微粒子状であることが好まし
い。なぜならば、徐放性製剤は皮下あるいは筋肉内注射
に通常使用される注射針を通して投与される方が、患者
に対し過度の苦痛を与えることがないからである。該徐
放性製剤の粒子径は、例えば平均粒子径として約0.1
ないし300μm、好ましくは約1ないし150μm、特
に好ましくは約2ないし100μmである。徐放性製剤
に含まれるタンパク質の含量は、例えば約0.1ないし
40%(W/W)、好ましくは約0.2ないし20%
(W/W)である。該タンパク質の平均粒子径は好まし
くは約0.5〜20μm以下、さらに好ましくは約0.
7〜10μm、より好ましくは約1〜5μmである。ま
た、徐放性製剤に含まれる生体由来物質または合成ポリ
マー(好ましくは生体内分解性ポリマー)の含量は、例
えば約30ないし99.9%(W/W)、好ましくは約
60ないし97%(W/W)、さらに好ましくは約70
ないし90%(W/W)である。徐放性製剤のタンパク
質の初期放出率[投与後1日(24時間)までの放出
率]は、好ましくは約50%以下、さらに好ましくは約
1ないし40%、より好ましくは約3ないし35%であ
る。なお、該初期放出率は本発明の徐放性製剤皮下投与
後24時間までの血中濃度のAUC(Area Under the C
oncentration)を、タンパク質溶液皮下投与後24時間
までのAUCから得られる投与量−AUC直線に適用さ
せることにより初期放出量が得られ、さらに初期放出率
が算出される。
【0037】徐放性製剤は、例えばマイクロカプセルと
して、あるいはマイクロカプセルを原料物質として種々
の剤形に製剤化し、非経口剤(例えば、筋肉内、皮下、
臓器等への注射剤又は埋め込み剤、鼻腔、直腸、子宮等
への経粘膜剤等)、経口剤(例えば、カプセル剤(例え
ば、硬カプセル剤、軟カプセル剤等)、顆粒剤、散剤等
の固形製剤、懸濁剤等の液剤等)等として投与すること
ができる。徐放性製剤は特に注射用であることが好まし
い。例えば、徐放性製剤がマイクロカプセルである場
合、マイクロカプセルを分散剤(例えば、Tween 80、HC
O-60等の界面活性剤、カルボキシメチルセルロース、ア
ルギン酸ナトリウム、ヒアルロン酸等の多糖類等)、保
存剤(例えば、メチルパラベン、プロピルパラベン
等)、等張化剤(例えば、塩化ナトリウム、マンニトー
ル、ソルビトール、ブドウ糖等)等と共に水性懸濁剤と
することにより実用的な注射用徐放性製剤が得られる。
また、ゴマ油、コーン油等の植物油あるいはこれにレシ
チン等のりん脂質を混合したもの、あるいは中鎖脂肪酸
トリグリセリド(例えば、ミグリオール812)と共に
分散して油性懸濁剤として実際に使用できる徐放性注射
剤とする。
【0038】徐放性製剤が例えばマイクロカプセルであ
る場合、マイクロカプセルの平均粒子径は、懸濁注射剤
として使用する場合には、その分散度、通針性を満足す
る範囲であればよく、例えば平均粒子径として約0.1
ないし約300μmの範囲が挙げられる。平均粒子径
は、好ましくは約1ないし約150μm、特に好ましく
は約2ないし約100μmの範囲である。上記したマイ
クロカプセルを無菌製剤にするには、製造全工程を無菌
にする方法、ガンマ線で滅菌する方法、防腐剤を添加す
る方法等が挙げられるが、特に限定されない。
【0039】該徐放性製剤は、低毒性で、哺乳動物(例
えば、ヒト、牛、豚、犬、ネコ、マウス、ラット、ウサ
ギ等)に対して安全に用いることができる。徐放性製剤
の適応は、使用するタンパク質により種々異なる。タン
パク質が、例えばインスリンである場合には、糖尿病
等、インターフェロン−αである場合には、ウイルス性
肝炎(例えば、C型肝炎、HBe 抗原陽性活動性肝炎
等)、癌(例えば、腎癌、多発性骨髄腫等)等、エリス
ロポエチンの場合には貧血(例えば、腎透析時貧血等)
等、G−CSFの場合には好中球減少症(例えば、制ガ
ン剤治療時)、感染症等、IL−2の場合には癌(例え
ば、血管内皮腫等)等、FGFの場合には骨折、創傷
(床ずれ等)、歯周病、消化管潰瘍等、FGF−9の場合
には血小板減少症等、NGFの場合には老人性痴呆、神
経病(ニューロパシー)等、TPAの場合には血栓症
等、腫瘍壊死因子の場合には癌等の治療又は予防に有効
である。また、GH含有徐放性製剤では、GHの成長ホ
ルモン作用に基づき、GH分泌不全性低身長症(下垂体性
小人症)の他、ターナー症候群、慢性腎疾患、軟骨発育
不全症(軟骨異栄養症)、更には成人成長ホルモン欠損
症(成人GHD)、AIDS等の消耗性疾患の治療にも適応で
きる。また、GHはダウン症候群、シルバー症候群、骨
形成不全症、あるいは若年性慢性関節症等の疾患にも適
応され、有効な治療効果を得たとの報告もあり、GH含
有徐放性製剤はこれらの疾患にも適応可能である。更に
はうっ血性心不全症等の治療又は予防にも有効である。
その他、GH含有徐放性製剤が適応できる対象としては、
臓器移植時やAIDS患者の薬物治療時の造血、低栄養状態
の改善、腎性貧血、狭心症、高脂血症、肥満、火傷・創
傷・潰瘍の治療促進、外科侵襲(手術・外傷)/術後の
早期回復、敗血症、骨粗鬆症の骨折予防、骨粗鬆症によ
る骨折患者の術後筋力早期回復、筋萎縮性側索硬化症
(ALS)、褥瘡等が挙げられる。また、虚弱老人の生活
の質(QOL)の向上を目的とする抗老化薬として、あるい
はhGHの神経保護作用により神経変性疾患(アルツハイ
マー病、パーキンソン病、脳血管障害など)の進展抑制
および改善にも効果が期待できる。GHを徐放性製剤化す
ることにより、GH連日皮下注射剤よりも、これらの適応
症に対してすぐれた薬効が得られる。
【0040】徐放性製剤の投与量は、タンパク質の種類
と含量、放出の持続時間、対象疾病、対象動物等によっ
て種々異なるが、該タンパク質の有効濃度が体内で保持
される量であればよい。該タンパク質の投与量として
は、例えば徐放性製剤が2週間型製剤である場合、好ま
しくは成人1人当たり約0.0001ないし約10mg/k
g体重の範囲から適宜選ぶことができる。更に好ましく
は約0.05ないし約1mg/kg体重の範囲から適宜選ぶこ
とができる。タンパク質の投与量としては、例えば徐放
性製剤が1ヶ月型製剤である場合、好ましくは成人1人
当たり約0.0002ないし約20mg/kg体重の範囲か
ら適宜選ぶことができる。更に好ましくは約0.1ない
し約2mg/kg体重の範囲から適宜選ぶことができる。投
与回数は、1週間に1回、2週間に1回、1ヶ月に1
回、2ヶ月に1回等、該タンパク質の種類と含量、剤
型、放出の持続時間、対象疾病、対象動物等によって適
宜選ぶことができる。好ましくは1週間ないし2ヶ月型
徐放性製剤、さらに好ましくは1週間ないし1ヶ月型徐
放性製剤が挙げられる。例えば、約2週間の徐放期間を
有する徐放性製剤とする場合には、徐放性製剤の基材と
して、乳酸とグリコール酸のモル比が約55:45〜4
5:55(例えば、約50:50)である乳酸−グリコ
ール酸共重合体を用いることが好ましい。また、該乳酸
−グリコール酸共重合体の重量平均分子量は約1000
0〜15000(例えば13000)であることが好ま
しい。徐放性製剤の有効成分であるタンパク質が、例え
ばインスリンである場合には、糖尿病の成人に対する投
与量は、有効成分として通常、約0.001ないし約1m
g/kg体重、好ましくは約0.01ないし約0.2mg/kg
体重の範囲から適宜選び、1週間に1回投与するのがよ
い。
【0041】徐放性製剤の有効成分であるタンパク質
が、GHの場合には、投与量は、GHの種類と含量、放
出の持続時間、対象疾病、対象動物等によって種々異な
るが、該GHの有効濃度が体内で保持される量であれば
よい。前記疾患の治療において、例えば徐放性製剤が2
週間型製剤である場合、GHの投与量は有効成分とし
て、好ましくは、小児あるいは成人1人当たり約0.0
1ないし約5mg/kg体重(約0.03ないし約15 I
U/kg体重)の範囲から適宜選択して安全に投与するこ
とができる。更に好ましくは約0.05ないし約1mg/k
g体重(約0.15ないし約3 IU/kg体重)の範囲か
ら適宜選ぶことができる。投与回数は、1週間に1回、
2週間に1回あるいは1ケ月に1回等、GH含量、剤
型、放出の持続時間、対象疾病、対象動物等によって適
宜選ぶことができる。該徐放性製剤は、常温あるいは冷
所に保存することが好ましい。徐放性製剤は、冷所に保
存することが更に好ましい。ここでいう常温あるいは冷
所とは、日本薬局方において定義されるものである。す
なわち、常温とは15ないし25℃を、冷所とは15℃
以下を意味する。冷所のうち、とりわけ2ないし8℃が
好ましい。
【0042】一方で、約3〜5週間の徐放期間を有する
GH含有徐放性製剤を提供することが求められている
が、本発明者らは本発明を完成させる過程で、約3〜5
週間の徐放期間を有するGH含有徐放性製剤が、特定の
徐放性製剤の基剤を用いることにより得られることを見
出した。約3〜5週間の徐放期間を有するGH含有徐放
性製剤は、例えば前記したマイクロカプセルを製造する
場合の製造法に従って得ることができる。マイクロカプ
セルの製造に用いるGH粉体は、本発明の製造法はもち
ろんのこと、いかなる方法で得られたものであってもよ
い。GH粉体の平均平均粒子経は、好ましくは約0.5〜2
0μm、さらに好ましくは0.7〜10μm、より好ましくは約
1〜5μmである。また、GHの変性度を定義した時、G
H粉体はα−ヘリックスを約45%以上保持しているこ
とが好ましく、約50%以上保持していることがさらに
好ましい。徐放性製剤の基剤としては、乳酸とグリコー
ル酸のモル比が約60:40〜70:30(例えば約6
5:35)である乳酸−グリコール酸共重合体を用いる
ことが好ましい。また、該乳酸グリコール酸共重合体の
重量平均分子量は約10000〜18000(例えば1
4500)であることが好ましい。得られた約3〜5週
間の徐放期間を有するGH含有徐放性マイクロカプセル
を注射用として前記疾患の治療に用いる場合、GHの投
与量は有効成分として、好ましくは、小児あるいは成人
1人当たり約0.02ないし約10mg/kg体重(約0.
06ないし約30 IU/kg体重)の範囲から適宜選択
して安全に投与することができる。更に好ましくは約
0.1ないし約2mg/kg体重(約0.3ないし約6 IU
/kg体重)の範囲から適宜選ぶことができる。
【0043】
【実施例】以下に実施例、比較例、参考例及び試験例を
挙げて、更に具体的に説明するが、これらは本発明を限
定するものではない。なお、冷却速度の算出において、
凍結の確認が困難である場合には任意の単位時間(10
秒以上)での降下温度を求め、算出された最大値を各実
施例の冷却速度とした。
【0044】実施例1 ウシ血清アルブミン(BSA)水溶液の凍結およびそれ
に引き続く真空乾燥 BSA水溶液(最終BSA濃度=2mg/mL)に酢酸アンモ
ニウムを20倍モル等量添加し、0.22μmのろ過を行い
凍結乾燥液処方(処方1)を調製した。この液を10℃以
下に冷却した後、一定量を5分ごとに、凍結乾燥棚上の
−45〜-40℃に冷却したトレー(面積約1300cm2)に、流体
の直径約0.3〜0.5mmで塗布し、凍結乾燥(トリオマスターA04:共
和真空(凝結量10kgタイフ゜))することにより、BSA粉体
を製造した。塗布中のトレー温度は−40〜-30℃であっ
た。このBSA粉体(S)140mgを乳酸−グリコール
酸共重合体(PLGA)(乳酸/グリコール酸(モル比)=
約50/50、ポリスチレン換算重量平均分子量=約1
3000)1.85gおよび酸化亜鉛10mgをジクロロメタン
2.7mLに溶解して得た液(O)中で、ポリトロン(キネマ
チカ社)処理にて分散および微粒化させた。このS/O
分散液100μLにジクロロメタン2.5mLを添加した後、B
SA微細粉体の平均粒子径をレーザー回折式粒度分布測
定装置(SALD2000A:島津)を用いて測定した。処方1を上
記方法により凍結した場合のBSA微細粉体の平均粒子
径を〔表1〕に示す。トレーへの塗布量を10mL/5分〜80
mL/5分と制御することにより、処方1の冷却速度の平均
値が-108.7℃/分(最大-156℃/分)〜-35.1℃/分(最小-3
2.4℃/分)となり、BSA微細粉体の平均粒子径は1.2μ
m〜6.1μmまで制御することが可能であった。
【表1】
【0045】実施例2 BSA水溶液の凍結およびそれに引き続く真空乾燥 実施例1と同様に処方1のBSA水溶液を調製し、この
液を室温とし、一定量を5分ごとに、凍結乾燥棚上の−
45〜-40℃に冷却したトレー(面積約1300cm2)に、流体の
直径約0.3〜0.5mmで塗布し、凍結乾燥(RL-603BS:共和真
空(凝結量60kgタイフ゜))することにより、BSA粉体を無
菌的に製造した。塗布中のトレー温度は−40〜-30℃で
あった。このBSA粉体を用いて、実施例1記載の方法
で、BSA微細粉体の平均粒子径を測定した。処方1を
上記方法により凍結した場合のBSA微細粉体の平均粒
子径を〔表2〕に示す。トレーへの塗布量を30mL/5分〜
60mL/5分と制御することにより、処方1の冷却速度の平
均値が-98.9℃/分(最大-101.1℃/分)〜-80.6℃/分(最小
-70.3℃/分)となり、BSA微細粉体の平均粒子径は1.2
μm〜5.0μmまで制御することが可能であった。
【表2】
【0046】実施例3 hGH水溶液の凍結およびそれに引き続く真空乾燥 遺伝子組み換え型hGH水溶液(最終hGH濃度=2mg/
mL)に酢酸アンモニウムを20倍モル等量添加し、0.22
μmのろ過を行い凍結乾燥液処方(処方2)を調製した。
この液を10℃以下に冷却し、その一定量を5分ごと
に、凍結乾燥棚上の−45〜-40℃に冷却したトレー(面積
1300cm2)に、流体の直径約0.3〜0.5mmで塗布し、凍結乾
燥(トリオマスターA04:共和真空(凝結量10kgタイフ゜))することに
より凍結乾燥粉末(以下、hGH粉体と略記する)を製造
した。塗布中のトレー温度は−40〜-30℃であった。こ
のhGH粉体を用いて、実施例1記載の方法で、hGH
微細粉体の平均粒子径を測定した。処方2を上記方法に
より凍結した場合のhGH微細粉体の平均粒子径を〔表
3〕に示す。トレーへの塗布量を10mL/5分〜86mL/5分と
制御することにより、処方2の冷却速度の平均値が-20
1.0℃/分(最大-203.7℃/分)〜-72.5℃/分(最小-54.6℃/
分)となり、hGH微細粉体の平均粒子径は1.4μm〜4.7
μmまで制御することが可能であった。
【表3】
【0047】実施例4 hGH水溶液の凍結およびそれに引き続く真空乾燥 処方2のhGH水溶液を調製し、この液を室温とし、一
定量を5分ごとに、凍結乾燥棚上の−45〜-40℃に冷却
したトレー(面積約1300cm2)に、流体の直径約0.3〜0.5m
mで塗布し、凍結乾燥(RL-603BS:共和真空(凝結量60kgタイ
フ゜))することによりhGH粉体を無菌的に製造した。塗
布中のトレー温度は−40〜-30℃であった。このhGH
粉体を用いて、実施例1記載の方法で、hGH微細粉体
の平均粒子径を測定した。処方2を上記方法により凍結
した場合のhGH微細粉体の平均粒子径を〔表4〕に示
す。トレーへの塗布量を50mL/5分〜80mL/5分と制御する
ことにより、処方1の冷却速度の平均値が-84.6℃/分
(最大-87.4℃/分)〜-67.3℃/分(最小-54.9℃/分)とな
り、hGH微細粉体の平均粒子径は2.7μm〜5.5μmまで
制御することが可能であった。
【表4】
【0048】実施例5A BSA水溶液の凍結およびそれに引き続く真空乾燥 処方1のBSA水溶液を調製し、この液を室温とし、連
続的に一定量を小滴ずつ、凍結乾燥棚上の−45〜-40℃
に冷却したトレー(面積約1300cm2)に、滴下流体の直径
約2〜3mmで滴下し、凍結乾燥(トリオマスターA04:共和真空(凝
結量10kgタイフ゜))することによりBSA粉体を製造した。
滴下中のトレー温度は、トレー当たりの滴下量が、60mL
/5分の時は-40〜-32℃,80mL/5分の時は-32〜-22℃,1
40mL/5分の時は-34〜-9℃,160mL/5分の時は-26〜-8
℃,150mL/5分の時は-22〜-4℃であった。このBSA
粉体を用いて、実施例1記載の方法で、BSA微細粉体
の粒子径を測定した。なお、トレー当たりの滴下量が、
150mL/5分の時には、充填ノズルのシリコンチューブ径
を2mmから4mmに変更した。処方1を上記方法により凍結
した場合のBSA微細粉体の平均粒子径を〔表5〕に示
す。トレーへの滴下量を60mL/5分〜160mL/5分と制御す
ることにより、処方1の冷却速度の平均値が-92.6℃/分
(最大-101.1℃/分)〜-33.4℃/分(最小-32.6℃/分)とな
り、BSA微細粉体の平均粒子径は1.3μm〜20.0μmま
で制御することが可能であった。
【表5】
【0049】実施例5B BSA水溶液の凍結およびそれに引き続く真空乾燥 処方1のBSA水溶液を調製し、この液を室温とし、連
続的に一定量を小滴ずつ、凍結乾燥棚上の−50〜−4
0℃に冷却したトレー(面積約1300cm2)に、滴下流体の
直径約2〜3mmで滴下し、凍結乾燥(RL-402BS:共和真空
(凝結量40kgタイフ゜))することによりBSA粉体を無菌的
に製造した。滴下中のトレー温度は、500mLの処方1
のBSA水溶液を充填する際のトレー当たりの滴下量
が、60mL/5分の時は-40〜-31℃,80mL/5分の時は-38〜-3
0℃,120mL/5分の時は-28℃〜-12℃であった。このBS
A粉体(S)300mgを乳酸−グリコール酸共重合体
(PLGA)(乳酸/グリコール酸(モル比)=約65/3
5、ポリスチレン換算重量平均分子量=約14500)
1.69gおよび酸化亜鉛10mgをジクロロメタン2.7mLに溶解
して得た液(O)中で、ポリトロン(キネマチカ社)処理
にて分散および微粒化させた。このS/O分散液100μL
にジクロロメタン2.5mLを添加した後、BSA微細粉体
の平均粒子径をレーザー回折式粒度分布測定装置(SALD2
000A:島津)を用いて測定した。処方1を上記方法によ
り凍結した場合のBSA微細粉体の平均粒子径を〔表
6〕に示す。トレーへの滴下量を60mL/5分〜120mL/5分
と制御することにより、処方1の冷却速度の平均値が-9
3.7℃/分(最大-104.2℃/分)〜-59.8℃/分(最小-57.4℃/
分)となり、BSA微細粉体の平均粒子径は1.2μm〜2.4
μmまで制御することが可能であった。
【表6】
【0050】実施例6A hGH水溶液の凍結およびそれに引き続く真空乾燥 処方2のhGH水溶液を調製し、この液を室温とし、連
続的に一定量を小滴ずつ、凍結乾燥棚上の−45〜-40℃
に冷却したトレー(面積約1300cm2)に、滴下流体の直径
約2〜3mmで滴下し、凍結乾燥(トリオマスターA04:共和真空(凝
結量10kgタイフ゜))することによりhGH粉体を製造した。
滴下中のトレー温度は、トレー当たりの滴下量が、140m
L/5分の時は-38〜-18℃,160mL/5分の時は-28〜-2℃で
あった。このhGH粉体を用いて、実施例1記載の方法
で、hGH微細粉体の平均粒子径を測定した。処方2を
上記方法により凍結した場合のhGH微細粉体の平均粒
子径を〔表7〕に示す。トレーへの滴下量を140mL/5分
〜160mL/5分と制御することにより、処方2の冷却速度
の平均値が-74.1℃/分(最大-79.2℃/分)〜-42.6℃/分
(最小-39.8℃/分)となり、hGH微細粉体の平均粒子径
は1.9μm〜5.9μmまで制御することが可能であった。
【表7】
【0051】実施例6B hGH水溶液の凍結およびそれに引き続く真空乾燥 hGH水溶液(最終hGH濃度=5mg/mL)に酢酸アンモ
ニウムを20倍モル等量添加し、0.22μmのろ過を行っ
た凍結乾燥液処方(処方3)および処方2のhGH水溶
液を調製し、この液を室温とし、連続的に一定量を小滴
ずつ、凍結乾燥棚上の−50〜−40℃に冷却したトレ
ー(面積約1300cm2)に、滴下流体の直径約2〜3mmで滴下
し、凍結乾燥(RL-402BS:共和真空(凝結量40kgタイフ゜))す
ることによりhGH粉体を無菌的に製造した。滴下中の
トレー温度は、トレー当たりの滴下量が、60mL/5分の時
(充填液量1L)は-35〜-25℃,80mL/5分の時(充填液量500m
L)は-31〜-24℃,94mL/5分の時(充填液量250mL)は約-30
℃であった。このhGH粉体を用いて、実施例5B記載
の方法で、hGH微細粉体の粒子径を測定した。処方2
および3を上記方法により凍結した場合のhGH微細粉
体の平均粒子径を〔表8〕に示す。処方2の冷却速度の
平均値が-87.4℃/分(最大-95.3℃/分)〜-83.5℃/分(最
小-76.6℃/分)の場合に、hGH微細粉体の平均粒子径
は1.3μm〜1.8μmまで制御することが可能であった。処
方3のhGH水溶液では、冷却速度の平均値が-93.4℃/
分の場合に、hGH微細粉体の平均粒子径は1.8μmに制
御することが可能であった。
【表8】
【0052】実施例6C hGH水溶液の凍結およびそれに引き続く真空乾燥 処方2のhGH水溶液を調製し、この液を室温とし、連
続的に一定量を小滴ずつ、凍結乾燥棚上の−50〜−4
0℃に冷却したトレー(面積約1300cm2)に、滴下流体の
直径約2〜3mmで滴下し、1Lを充填し、凍結乾燥(RL-40
2BS:共和真空(凝結量40kgタイフ゜))することによりhGH
粉体を無菌的に製造した。トレー当たりの滴下量60mL/5
分および80mL/5分で得られたhGH粉体を用いて、実施
例5B記載の方法でhGH微細粉体を調整して平均粒子
径を測定した。トレー当たりの滴下量120mL/5分および1
40mL/5分で得られたhGH粉体を用いて、実施例1記載
の方法でhGH微細粉体を調整して平均粒子径を測定し
た。処方2を上記方法により凍結した場合のhGH微細
粉体の平均粒子径を〔表9〕に示す。hGH水溶液の1
Lを充填した場合、滴下量を60mL/5分〜140mL/5分と制
御することにより、hGH微細粉体の平均粒子径は1.6
μm〜4.0μmまで制御することが可能であった。
【表9】
【0053】参考例1 BSA水溶液の凍結真空乾燥 処方1のBSA水溶液を調製し、この液を層厚が1mm、2
mm、5mmとなるようにトレーに加え、約−5〜0℃に冷
却した。冷却したBSA水溶液を凍結乾燥機(トリオマスターA0
4:共和真空(凝結量10kgタイフ゜))で−50〜−40℃まで
凍結し、凍結乾燥することにより凍結乾燥粉末(以下、
BSA粉体と略記する)を製造した。得られたBSA粉
体を用いて、実施例1記載の方法で、BSA微細粉体の
平均粒子径を測定した。処方1のBSA水溶液を上記方
法により凍結した場合のBSA微細粉体の平均粒子径を
〔表10〕に示す。該凍結乾燥法での冷却速度の平均値
は約−2.1〜−1.6℃/分となり、得られたBSA
微細粉体の平均粒子径は28.9〜35.0μmとなっ
た。
【表10】
【0054】参考例2 BSA水溶液の凍結真空乾燥 処方1のBSA水溶液を調製し、この液を層厚が1mmと
なるようにトレーに加え、凍結乾燥機(トリオマスターA04:共和
真空(凝結量10kgタイフ゜))に仕込み、BSA水溶液の温度
を0℃に制御した。次に凍結乾燥棚の温度を−4℃/h
の冷却速度で冷却し、BSA水溶液を凍結させ、凍結乾
燥しBSA粉体を製造した。このBSA粉体を用いて、
実施例1記載の方法で、BSA微細粉体の平均粒子径を
測定した。処方1のBSA水溶液を上記方法により凍結
した場合のBSA微細粉体の平均粒子径を〔表11〕に
示す。上記方法におけるBSA水溶液の冷却速度は、凍
結乾燥棚の冷却速度と同一の約−4℃/hである。この
時のBSA微細粉体の平均粒子径は32.5μmとなっ
た。
【表11】
【0055】実施例1〜6Cおよび参考例1,2を比べ
た結果、冷却速度が遅いと、タンパク質微細粉体の平均
粒子径が大きくなることが確認された。
【0056】実施例7 hGH水溶液の凍結およびそれに引き続く真空乾燥 処方2のhGH水溶液を調製し、この液を室温とし、断
続的に一定量を、凍結乾燥棚上の−25℃以下に冷却し
たトレー(面積約1300cm2)に噴霧し、凍結乾燥(トリオマスターA
04:共和真空(凝結量10kgタイフ゜))することによりhGH粉
体を製造した。このhGH粉体を用いて実施例1記載の
方法で、hGH微細粉体の平均粒子径を測定した。処方
2を上記方法により凍結した場合のhGH微細粉体の平
均粒子径を〔表12〕に示す。トレーへの処方2の噴霧
量を50mL/5分〜100mL/5分と制御することにより、処方
2の冷却速度の平均値が-65.3℃/分(最大-73.9℃/分)〜
-37.3℃/分(最小-34.3℃/分)となり、hGH微細粉体の
平均粒子径は1.5μm〜9.5μmまで制御することが可能で
あった。
【表12】
【0057】実施例8 hGH含有マイクロカプセルの製造 乳酸−グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール酸=50
/50、ポリスチレン換算平均分子量=13,000,粘
度=0.145dl/g)1.85gと酸化亜鉛10mgと
をジクロロメタン2.7mlに溶解した。この有機溶媒液
に、実施例3中、塗布量(5分当たり塗布量(mL)/トレ
ー)が10および60において得られた、hGH粉体1
40mgを添加し、ポリトロン(キネマチカ社)を用いて
微粒化した。このS/O分散液を0.1%ポリビニルア
ルコール水溶液800mlに添加し、ホモミキサーを用い
て攪拌・乳化した。室温で3時間攪拌してジクロロメタ
ンを揮散させた後、遠心分離(約1,800rpm)する
ことによりマイクロカプセルを分取した。次いで分取し
たマイクロカプセルを蒸留水400mlを用いて2回洗浄
後、D−マンニトール0.2gを添加し凍結乾燥した。
更に残留溶媒除去のため、46℃で3日間真空乾燥して
2種のhGH含有マイクロカプセルを得た。
【0058】実施例9 hGH含有マイクロカプセルの製造 実施例8と同様の操作により、実施例7における噴霧量
(5分当たり塗布量(mL)/トレー)が50および80にお
いて得られたhGH粉体2種のhGH含有マイクロカプ
セルを得た。
【0059】実施例10 hGH含有マイクロカプセルの製造 乳酸−グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール酸(モ
ル比)=約65/35、ポリスチレン換算重量平均分子
量=約14500)1.69gおよび酸化亜鉛10mg
をジクロロメタン2.7mlに溶解した。この有機溶媒
液に実施例6B中の処方2を滴下量94ml/5分(充
填量250ml)で凍結後乾燥して得られたhGH粉体
300mgを添加し、ポリトロン(キネマチカ社)を用
いて微粒化した。このS/O分散液を0.1%ポリビニ
ルアルコール水溶液800mlに添加し、ホモミキサーを
用いて攪拌・乳化した。室温で3時間攪拌してジクロロ
メタンを揮散させた後、遠心分離(約1,800rpm)
することによりマイクロカプセルを分取した。次いで分
取したマイクロカプセルを蒸留水400mlを用いて2回
洗浄後、D−マンニトール0.2gを添加し凍結乾燥し
た。更に残留溶媒除去のため、46℃で3日間真空乾燥
してhGH含有マイクロカプセルを得た。
【0060】実施例11 hGH含有マイクロカプセルの製造 乳酸−グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール酸(モ
ル比)=約65/35、ポリスチレン換算重量平均分子
量=約14500)1.69gおよび酸化亜鉛10mg
をジクロロメタン2.7mlに溶解した。この有機溶媒
液に実施例6B中の処方3を滴下量80ml/5分(充
填量100ml)で凍結後乾燥して得られたhGH粉体
300mgを添加し、ポリトロン(キネマチカ社)を用
いて微粒化した。このS/O分散液を0.1%ポリビニ
ルアルコール水溶液800mlに添加し、ホモミキサーを
用いて攪拌・乳化した。室温で3時間攪拌してジクロロ
メタンを揮散させた後、遠心分離(約1,800rpm)
することによりマイクロカプセルを分取した。次いで分
取したマイクロカプセルを蒸留水400mlを用いて2回
洗浄後、D−マンニトール0.2gを添加し凍結乾燥し
た。更に残留溶媒除去のため、46℃で3日間真空乾燥
してhGH含有マイクロカプセルを得た。
【0061】実施例12 hGH含有マイクロカプセルの製造 乳酸−グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール酸(モ
ル比)=約65/35、ポリスチレン換算重量平均分子
量=約14500)1.69gおよび酸化亜鉛10mg
をジクロロメタン2.565mlに溶解した。この有機
溶媒液に実施例6B中の処方2を滴下量94ml/5分
(充填量250ml)で凍結後乾燥して得られたhGH
粉体300mgを加えた後、エタノール0.135ml
を添加し、ポリトロン(キネマチカ社)を用いて微粒化
した。このS/O分散液を0.1%ポリビニルアルコー
ル水溶液800mlに添加し、ホモミキサーを用いて攪拌
・乳化した。室温で3時間攪拌してジクロロメタンを揮
散させた後、遠心分離(約1,800rpm)することに
よりマイクロカプセルを分取した。次いで分取したマイ
クロカプセルを蒸留水400mlを用いて2回洗浄後、D
−マンニトール0.2gを添加し凍結乾燥した。更に残
留溶媒除去のため、46℃で3日間真空乾燥してhGH
含有マイクロカプセルを得た。
【0062】試験例1 in vivo放出性 免疫抑制SDラット(雄性、6週齢)に実施例8および
9で得たマイクロカプセルを皮下投与し(hGH量とし
て6mg/ラット)、経時的に採血後、その血清中のhG
H濃度をラジオイムノアッセイ(AbビーズHGH:栄研化
学)により測定し、hGH徐放性を評価した。免疫抑制
SDラットは、プログラフ(藤沢薬品)を、マイクロカ
プセル投与3日前に0.4mg/ラット、投与時、4日
後、7日後、11日後及び14日後にそれぞれ0.2mg
/ラットを皮下投与して作成した。結果を〔図1〕に示
す。
【0063】〔図1〕の結果から明らかなように、塗布
して得られたhGH粉体を用いて作成したマイクロカプ
セル投与後の血中hGH濃度は、噴霧して得られた粉体
を用いて作成したマイクロカプセル投与後のものに比
べ、高かった。これらの結果は、すなわち塗布して得ら
れたhGH粉体を用いて作成したマイクロカプセル製剤
のバイオアベイラビリティーが、より高いことを示して
いる。
【0064】試験例2 FT-IRによるタンパク質微細粉体の高次構造解析 実施例4中、塗布量(5分当たり塗布量(mL)/トレー)が
80において得られたhGH粉体および、実施例7中、
噴霧量(5分当たり塗布量(mL)/トレー)が80において
得られたhGH粉体の2種の粉体に対し、FT-IRによる
高次構造解析を行った(ジャーナル オブ ファーマシ
ューティカル サイエンス(Journal ofPharmaceutical
Science)87巻 1412-1420頁 1998年参照)。その結
果をn=3の平均±SDとして、〔表13〕に示す。〔表1
3〕に示すように、塗布して得られた実施例4のhGH
粉体のα−ヘリックス含量は、噴霧して得られた実施例
7のhGH粉体のα−ヘリックス含量に比べて、より一
層高かった。重水中におけるhGHのα−ヘリックス含
量は59%であることから、噴霧して得られた実施例7
のhGH粉体では、重水中に対し39%のα−ヘリック
スを保持していた。また、塗布して得られた実施例4の
hGH粉体は、重水中に対し53%のα−ヘリックスを
保持していた。
【表13】
【0065】
【発明の効果】本発明によれば、高次構造を高く保持し
た安定なタンパク質粉体を、液化ガスに接触させること
なく、簡便に製造することができる。従って、液化ガス
中に噴霧し凍結後に乾燥するタンパク質微細粉体の製造
法に比べて、断熱、温度差による機器材質の膨張収縮、
無菌保持への対応、液化ガスの排気のための大がかりで
高価な設備を用いる必要がない。さらに、本発明の方法
で得られたタンパク質粉体は簡便な微粒化処理により微
細粉体とすることができ、このタンパク質微細粉体を用
いれば、長期間に亘り安定した高い血中濃度を示す徐放
性製剤を提供することができる。また、成長ホルモン含
有製剤を製造する際に、乳酸とグリコール酸のモル比が
約60:40〜70:30の乳酸−グリコール酸共重合
体を基剤として用いることにより、約1ヶ月間に亘り成
長ホルモンを放出する徐放性製剤を製造することができ
る。
【0066】
【図面の簡単な説明】
【図1】免疫抑制SDラットにおける、それぞれ、塗布
〔塗布量:10mL/5分(−▲−),60mL/5分(−
●−)〕および噴霧〔噴霧量:50mL/5分(−△
−),80mL/5分(−○−)〕により凍結させて得ら
れたhGH粉体を用いて作成したマイクロカプセル投与
後の血清中hGH濃度推移を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 38/28 A61P 5/50 38/43 A61K 37/36 47/30 37/02 47/34 37/24 A61P 5/02 37/26 5/50 37/48 (72)発明者 高田 重行 兵庫県西宮市霞町3番20−504号 Fターム(参考) 4C076 AA61 BB01 CC30 EE24A EE48A FF31 GG06 GG21 4C084 AA01 DA01 DA36 DB22 DB34 DC01 MA05 MA38 MA52 NA12 ZB031 ZC031

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】タンパク質含有溶液を冷媒に充填して約-3
    00〜-10℃/分の冷却速度で凍結後、乾燥することを特徴
    とするタンパク質粉体の製造法。
  2. 【請求項2】タンパク質含有溶液を冷媒に塗布または滴
    下することを特徴とする請求項1記載の製造法。
  3. 【請求項3】塗布または滴下する際、滴下流体の直径が
    約0.1ないし40mmである請求項2記載の製造法。
  4. 【請求項4】タンパク質含有溶液を液体冷媒に直接接触
    させないで凍結することを特徴とする請求項1記載の製
    造法。
  5. 【請求項5】タンパク質含有溶液に、揮発性の塩類ある
    いは水混和性の有機溶媒を添加することを特徴とする請
    求項1記載の製造法。
  6. 【請求項6】揮発性の塩類が酢酸アンモニウムである請
    求項5記載の製造法。
  7. 【請求項7】請求項1記載の製造法で得られるタンパク
    質粉体。
  8. 【請求項8】タンパク質が、分子量 約5,000ないし1,00
    0,000ダルトンである請求項7記載のタンパク質粉体。
  9. 【請求項9】タンパク質が、ホルモン、サイトカイン、
    造血因子、増殖因子または酵素である請求項7記載のタ
    ンパク質粉体。
  10. 【請求項10】タンパク質が成長ホルモンまたはインス
    リンである請求項7記載のタンパク質粉体。
  11. 【請求項11】タンパク質が、タンパク質含有溶液中の
    α−ヘリックス含量に対して約45%以上のα−ヘリック
    スを保持していることを特徴とする請求項7記載のタン
    パク質粉体。
  12. 【請求項12】請求項7に記載のタンパク質粉体を微粒
    化処理することを特徴とするタンパク質微細粉体の製造
    法。
  13. 【請求項13】タンパク質微細粉体の平均粒子経が約0.
    5ないし20μmとなるように微粒化処理することを特徴と
    する請求項12記載の製造法。
  14. 【請求項14】請求項12記載の製造法で得られたタン
    パク質微細粉体を含有する徐放性製剤。
  15. 【請求項15】徐放性製剤の基剤が生体由来物質または
    合成ポリマーである請求項14記載の徐放性製剤。
  16. 【請求項16】生体由来物質または合成ポリマーが、生
    体内分解性ポリマーである請求項15記載の徐放性製
    剤。
  17. 【請求項17】乳酸とグリコール酸のモル比が約60:
    40〜70:30の乳酸−グリコール酸共重合体および
    成長ホルモンを含有する徐放性製剤。
  18. 【請求項18】請求項12記載の製造法で得られたタン
    パク質微細粉体を用いることを特徴とする徐放性製剤の
    製造法。
  19. 【請求項19】タンパク質含有徐放性製剤を製造するた
    めの請求項7記載のタンパク質粉体の使用。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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