JP2001137930A - 金属鋼帯の製造方法 - Google Patents
金属鋼帯の製造方法Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】溶接点通過時に問題となるスキンパスミルにお
ける絞りの発生およびロール疵の発生と、レベラーロー
ル通過時のロール疵発生を共に防止して、トラブルの無
い安定した金属鋼帯の製造方法を提供する。 【解決手段】金属鋼帯1の溶接点が上記スキンパスミル
5とテンションレベラー8とを通過する間に、張力一定
制御により調質圧延を行う工程を備えており、この工程
では、金属鋼帯の溶接点が少なくともスキンパスミルを
通過する間はスキンパスミル圧下力を定常状態における
圧下力よりも低減させ、かつ少なくともテンションレベ
ラーを通過する間はテンションレベラーのレベラーロー
ルのインターメッシュを定常状態におけるインターメッ
シュよりも低減させている。
ける絞りの発生およびロール疵の発生と、レベラーロー
ル通過時のロール疵発生を共に防止して、トラブルの無
い安定した金属鋼帯の製造方法を提供する。 【解決手段】金属鋼帯1の溶接点が上記スキンパスミル
5とテンションレベラー8とを通過する間に、張力一定
制御により調質圧延を行う工程を備えており、この工程
では、金属鋼帯の溶接点が少なくともスキンパスミルを
通過する間はスキンパスミル圧下力を定常状態における
圧下力よりも低減させ、かつ少なくともテンションレベ
ラーを通過する間はテンションレベラーのレベラーロー
ルのインターメッシュを定常状態におけるインターメッ
シュよりも低減させている。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はスキンパスミルとテ
ンションレベラーとを連続して配置して金属鋼帯を調質
圧延する方法において、金属鋼帯の絞りやロール疵等を
防止する金属鋼帯の製造方法に係わる。
ンションレベラーとを連続して配置して金属鋼帯を調質
圧延する方法において、金属鋼帯の絞りやロール疵等を
防止する金属鋼帯の製造方法に係わる。
【0002】
【従来の技術】通常の金属鋼帯、例えば冷延鋼帯は、冷
間圧延後、軟化焼鈍が行われたのちに、材質調整と平坦
度の改善のためにスキンパスミルあるいはテンションレ
ベラーといった調質圧延設備を経ることで製品となる。
スキンパスミルとしては、自動車用鋼帯などのシート材
に対しては、一般に1基の4段圧延機が使用され、プレス
加工時の降伏点伸びを回避するため、通常は0.2〜1%
程度の伸びが冷延鋼帯に付与される。また、テンション
レベラーは、張力を付与した状態で曲げ変形を与えるこ
とで冷延鋼帯に塑性伸びを与えるもので、通常はO.2〜
O.5%以上の伸びを付与するものである。
間圧延後、軟化焼鈍が行われたのちに、材質調整と平坦
度の改善のためにスキンパスミルあるいはテンションレ
ベラーといった調質圧延設備を経ることで製品となる。
スキンパスミルとしては、自動車用鋼帯などのシート材
に対しては、一般に1基の4段圧延機が使用され、プレス
加工時の降伏点伸びを回避するため、通常は0.2〜1%
程度の伸びが冷延鋼帯に付与される。また、テンション
レベラーは、張力を付与した状態で曲げ変形を与えるこ
とで冷延鋼帯に塑性伸びを与えるもので、通常はO.2〜
O.5%以上の伸びを付与するものである。
【0003】これら調質圧延設備においては、連続的に
冷延鋼帯の処理を行うために、連続ラインの入側におい
て鋼帯の端部を重ね合せて溶接を行うのが一般的であ
る。ところが、その場合、溶接部の板厚は母材板厚より
も厚くなることから、冷延鋼帯の溶接点が調質圧延設備
を通過する前後の設定条件、すなわち、定常状態(以
下、本明細書において定常状態とは、冷延鋼帯の溶接点
が調質圧延設備を通過する前後の状態をいう。)での設
定条件で調質圧延設備を通過させた場合には、溶接部に
過大な変形をもたらすことで、板破断の危険性が生じ
る。また、調質圧延設備のロールに疵が発生し、その疵
が鋼帯に転写されることによって製品の品質が悪化する
ことがあるこれに対して、例えば特公平3−12970号、特
開平2−41717号等において、テンションレベラーの運転
方法に関連した提案がなされている。
冷延鋼帯の処理を行うために、連続ラインの入側におい
て鋼帯の端部を重ね合せて溶接を行うのが一般的であ
る。ところが、その場合、溶接部の板厚は母材板厚より
も厚くなることから、冷延鋼帯の溶接点が調質圧延設備
を通過する前後の設定条件、すなわち、定常状態(以
下、本明細書において定常状態とは、冷延鋼帯の溶接点
が調質圧延設備を通過する前後の状態をいう。)での設
定条件で調質圧延設備を通過させた場合には、溶接部に
過大な変形をもたらすことで、板破断の危険性が生じ
る。また、調質圧延設備のロールに疵が発生し、その疵
が鋼帯に転写されることによって製品の品質が悪化する
ことがあるこれに対して、例えば特公平3−12970号、特
開平2−41717号等において、テンションレベラーの運転
方法に関連した提案がなされている。
【0004】特公平3−12970号は、溶接部を代表とする
レベリング不要部がレベラーを通過する前に、レベラー
ロールのインターメッシュを開放あるいは軽減し終わっ
た後に、ストリップに作用している張力を高張力から低
張力に切替えて、溶接部がレベラーを通過後に低張力か
ら高張力への切替えを行うものである。また、特開平2
−41717号には、溶接部がレベラー部に到達する前に、
伸び率あるいは張力を所定距離の間変化させてテンショ
ンレベラーを通過させるものである。
レベリング不要部がレベラーを通過する前に、レベラー
ロールのインターメッシュを開放あるいは軽減し終わっ
た後に、ストリップに作用している張力を高張力から低
張力に切替えて、溶接部がレベラーを通過後に低張力か
ら高張力への切替えを行うものである。また、特開平2
−41717号には、溶接部がレベラー部に到達する前に、
伸び率あるいは張力を所定距離の間変化させてテンショ
ンレベラーを通過させるものである。
【0005】スキンパスミルあるいはテンションレベラ
ーのみの場合は上記技術により対応がなされているが、
最近では、冷延鋼帯の品質を一層高めるために、スキン
パスミルとテンションレベラーを併用されるようになっ
ている。主に、スキンパスミルでは材質調整および適切
な表面粗さの付与が行われると同時に、ある程度の平坦
度を確保した後、テンションレベラーを通過させること
で、完全に平坦な冷延鋼帯を得ると共に、反りの矯正が
行われている。一般にはスキンパスミルとテンションレ
ベラーとの間に両者の干渉を低減する目的でブライドル
ロールを配置するものがあるが、特開平9−85341号に記
載されたようなスキンパスミルとテンションレベラーを
連続的に配置することで設備コスト低減と設備のコンパ
クト化を図ったものもある。
ーのみの場合は上記技術により対応がなされているが、
最近では、冷延鋼帯の品質を一層高めるために、スキン
パスミルとテンションレベラーを併用されるようになっ
ている。主に、スキンパスミルでは材質調整および適切
な表面粗さの付与が行われると同時に、ある程度の平坦
度を確保した後、テンションレベラーを通過させること
で、完全に平坦な冷延鋼帯を得ると共に、反りの矯正が
行われている。一般にはスキンパスミルとテンションレ
ベラーとの間に両者の干渉を低減する目的でブライドル
ロールを配置するものがあるが、特開平9−85341号に記
載されたようなスキンパスミルとテンションレベラーを
連続的に配置することで設備コスト低減と設備のコンパ
クト化を図ったものもある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明が対象とするス
キンパスミルとテンションレベラーを連続的に配置する
ことで設備のコンパクト化を図った調質圧延設備におい
て、溶接点通過時の運転方法として前記の特公平3−129
70号、特開平2−41717号による技術を適用した場合には
以下のような問題が生じる。
キンパスミルとテンションレベラーを連続的に配置する
ことで設備のコンパクト化を図った調質圧延設備におい
て、溶接点通過時の運転方法として前記の特公平3−129
70号、特開平2−41717号による技術を適用した場合には
以下のような問題が生じる。
【0007】特公平3−12970号に記載されている溶接点
通過方法では、溶接点の破断を防止するために、ライン
張力を高張力から低張力ヘの切替えること、及びレベラ
ーロールのインターメッシュを定常状態よりも低減ある
いは開放することが必要となっている。一方、特開平2
−41717号に記載されている溶接点通過方法では、伸び
率あるいは張力を所定距離の間、低下させて溶接部を通
過させることが必要とされている。伸び率値を低下させ
ることは、実質的に張力が低下することに他ならず、い
ずれにしても溶接点がテンションレベラーを通過する際
には、ライン張力を定常状態よりも低下させることが必
須とされている。
通過方法では、溶接点の破断を防止するために、ライン
張力を高張力から低張力ヘの切替えること、及びレベラ
ーロールのインターメッシュを定常状態よりも低減ある
いは開放することが必要となっている。一方、特開平2
−41717号に記載されている溶接点通過方法では、伸び
率あるいは張力を所定距離の間、低下させて溶接部を通
過させることが必要とされている。伸び率値を低下させ
ることは、実質的に張力が低下することに他ならず、い
ずれにしても溶接点がテンションレベラーを通過する際
には、ライン張力を定常状態よりも低下させることが必
須とされている。
【0008】このような方法による溶接点通過時の運転
方法は、通常のテンションレベラーにおいてはレベラー
の前後にブライドルロールが配置され、テンションレベ
ラーの張力を目標値に制御することが可能であることか
ら、溶接部の破断を防止し、レベラーロールの疵を防止
する上では効果があると考えられる。ところが、本発明
が対象とするスキンパスミルとテンションレベラーの連
続設備においては、テンションレベラーの張力のみを単
独に制御することができないため、レベラー部の張力を
変化させた場合には、不可避的にスキンパスミルの前方
あるいは後方の張力が変化することになる。この場合
に、特に問題となるのは、スキンパスミルの前方あるい
は後方の張力を低下することは、圧延巾の鋼帯にミル絞
りと呼ばれる操業トラブルをもたらすことである。これ
は、鋼帯がスキンバスミルのロール間に重ね合わさるよ
うに噛込む現象であり、スキンパスミルの圧延ロールに
は疵が発生すると共に、板破断が生じることで、生産性
の大幅な低下を招くことになる。
方法は、通常のテンションレベラーにおいてはレベラー
の前後にブライドルロールが配置され、テンションレベ
ラーの張力を目標値に制御することが可能であることか
ら、溶接部の破断を防止し、レベラーロールの疵を防止
する上では効果があると考えられる。ところが、本発明
が対象とするスキンパスミルとテンションレベラーの連
続設備においては、テンションレベラーの張力のみを単
独に制御することができないため、レベラー部の張力を
変化させた場合には、不可避的にスキンパスミルの前方
あるいは後方の張力が変化することになる。この場合
に、特に問題となるのは、スキンパスミルの前方あるい
は後方の張力を低下することは、圧延巾の鋼帯にミル絞
りと呼ばれる操業トラブルをもたらすことである。これ
は、鋼帯がスキンバスミルのロール間に重ね合わさるよ
うに噛込む現象であり、スキンパスミルの圧延ロールに
は疵が発生すると共に、板破断が生じることで、生産性
の大幅な低下を招くことになる。
【0009】以上のように、スキンパスミルとテンショ
ンレベラーを連続的に配置した調質圧延設備における溶
接点通過方法としては、独立して配置されるテンション
レベラーに対する運転方法を直接適用することができな
い。本発明は、このような状況を鑑みてなされたもの
で、スキンパスミルとテンションレベラーを連続的に配
置することで設備のコンパクト化を図った調質圧延設備
において、溶接点通過時に問題となるスキンパスミルに
おける絞りの発生およびロール疵の発生と、レベラーロ
ール通過時のロール疵発生を共に防止した金属鋼帯の製
造方法を提供することを目的とする。
ンレベラーを連続的に配置した調質圧延設備における溶
接点通過方法としては、独立して配置されるテンション
レベラーに対する運転方法を直接適用することができな
い。本発明は、このような状況を鑑みてなされたもの
で、スキンパスミルとテンションレベラーを連続的に配
置することで設備のコンパクト化を図った調質圧延設備
において、溶接点通過時に問題となるスキンパスミルに
おける絞りの発生およびロール疵の発生と、レベラーロ
ール通過時のロール疵発生を共に防止した金属鋼帯の製
造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1に対応する発明は、スキンパスミルとテン
ションレベラーとを連続して配置して金属鋼帯を調質圧
延する方法において、金属鋼帯の溶接点が上記スキンパ
スミルとテンションレベラーとを通過する間に、張力一
定制御により調質圧延を行う工程を備え、この工程は、
金属鋼帯の溶接点が少なくともスキンパスミルを通過す
る間は、スキンパスミル圧下力を定常状態における圧下
力よりも低減させ、かつ少なくともテンションレベラー
を通過する間は、テンションレベラーのレベラーロール
のインターメッシュを定常状態におけるインターメッシ
ュよりも低減させることを特徴とする金属鋼帯の製造方
法である。
に、請求項1に対応する発明は、スキンパスミルとテン
ションレベラーとを連続して配置して金属鋼帯を調質圧
延する方法において、金属鋼帯の溶接点が上記スキンパ
スミルとテンションレベラーとを通過する間に、張力一
定制御により調質圧延を行う工程を備え、この工程は、
金属鋼帯の溶接点が少なくともスキンパスミルを通過す
る間は、スキンパスミル圧下力を定常状態における圧下
力よりも低減させ、かつ少なくともテンションレベラー
を通過する間は、テンションレベラーのレベラーロール
のインターメッシュを定常状態におけるインターメッシ
ュよりも低減させることを特徴とする金属鋼帯の製造方
法である。
【0011】また、請求項2の発明は、金属鋼帯の溶接
点がスキンパスミルとテンションレベラーとを通過する
間は、スキンパスミル圧下力を定常状態における圧下力
よりも低減させ、かつ、レベラーロールのインターメッ
シュを定常状態におけるインターメッシュよりも低減さ
せることを特徴とする請求項1記載の金属鋼帯の製造方
法である。
点がスキンパスミルとテンションレベラーとを通過する
間は、スキンパスミル圧下力を定常状態における圧下力
よりも低減させ、かつ、レベラーロールのインターメッ
シュを定常状態におけるインターメッシュよりも低減さ
せることを特徴とする請求項1記載の金属鋼帯の製造方
法である。
【0012】更に、請求項3の発明は、金属鋼帯の溶接
点がスキンパスミルを通過する間は、スキンパスミル圧
下力を定常状態における圧下力よりも低減させ、かつ、
テンションレベラーを通過する間はレベラーロールのイ
ンターメッシュを定常状態におけるインターメッシュよ
りも低減させることを特徴とする請求項1記載の金属鋼
帯の製造方法である。
点がスキンパスミルを通過する間は、スキンパスミル圧
下力を定常状態における圧下力よりも低減させ、かつ、
テンションレベラーを通過する間はレベラーロールのイ
ンターメッシュを定常状態におけるインターメッシュよ
りも低減させることを特徴とする請求項1記載の金属鋼
帯の製造方法である。
【0013】本発明者らは、テンションレベラー単独で
運転した場合に、重ね合せ溶接によって定常部よりも厚
くなった溶接点がレベラー部を通過する際のロール疵発
生状況を、種々の張力、インターメッシュの設定に対し
て調査し、図5に示す結果を得た。この図から、張力と
インターメッシュのうちいずれか一方を定常状態の設定
に比べて低減しておくことで、ロール疵の発生を防止可
能であることが分かる。本発明はかかる新規の知見に基
づくものであり、張力およびインターメッシュの両者を
低減すること、あるいは少なくとも張力を低減しなけれ
ばならないとする従来の知見とは異なるものである。す
なわち、本発明によれば、溶接点通過時の張力は定常状
態と同じ値に保持していても、インターメッシュを低減
することで、ロール疵は発生しないことが明らかとな
り、スキンパスミルの張力が低下することによるミル絞
りの発生を防止できる。
運転した場合に、重ね合せ溶接によって定常部よりも厚
くなった溶接点がレベラー部を通過する際のロール疵発
生状況を、種々の張力、インターメッシュの設定に対し
て調査し、図5に示す結果を得た。この図から、張力と
インターメッシュのうちいずれか一方を定常状態の設定
に比べて低減しておくことで、ロール疵の発生を防止可
能であることが分かる。本発明はかかる新規の知見に基
づくものであり、張力およびインターメッシュの両者を
低減すること、あるいは少なくとも張力を低減しなけれ
ばならないとする従来の知見とは異なるものである。す
なわち、本発明によれば、溶接点通過時の張力は定常状
態と同じ値に保持していても、インターメッシュを低減
することで、ロール疵は発生しないことが明らかとな
り、スキンパスミルの張力が低下することによるミル絞
りの発生を防止できる。
【0014】また、溶接点がスキンパスミルを通過する
際には、圧下力を定常状態の設定と同程度に保持した場
合には、ワークロールと金属鋼帯との間に発生する局部
的な高面圧によってワークロールに疵が発生するが、本
発明では、溶接点がスキンパスミルを通過する際に、予
め圧下力を定常状態の設定に比べて低下させているの
で、前記面圧は緩和され、疵の発生は見られない。
際には、圧下力を定常状態の設定と同程度に保持した場
合には、ワークロールと金属鋼帯との間に発生する局部
的な高面圧によってワークロールに疵が発生するが、本
発明では、溶接点がスキンパスミルを通過する際に、予
め圧下力を定常状態の設定に比べて低下させているの
で、前記面圧は緩和され、疵の発生は見られない。
【0015】以上の知見から、重ね合せ溶接によって、
それ以外の部分よりも厚くなった溶接点が、スキンパス
ミルを通過する場合には、ライン張力を定常状態の設定
と同程度の値に保持しておくことでミル絞りを防止で
き、スキンパスミルの圧下力を低減することで圧延ロー
ルの疵を防止することができる。さらに、レベラーを通
過する場合にインターメッシュを低減させておくこと
で、レベラーロールの疵も防止することが可能となる。
それ以外の部分よりも厚くなった溶接点が、スキンパス
ミルを通過する場合には、ライン張力を定常状態の設定
と同程度の値に保持しておくことでミル絞りを防止で
き、スキンパスミルの圧下力を低減することで圧延ロー
ルの疵を防止することができる。さらに、レベラーを通
過する場合にインターメッシュを低減させておくこと
で、レベラーロールの疵も防止することが可能となる。
【0016】次に、金属鋼帯の溶接点が調質圧延設備を
通過する間は張力一定制御により調質圧延を行う理由に
ついて説明する。通常の調質圧延は、スキンパスミルと
テンションレベラーにおける伸び率の和が目標値に一致
するように制御を行う伸び率制御で行われる。伸び率制
御では、スキンパスミルの圧下力を低下させることによ
って生じるミルでの伸び率の低下を補償するために、張
力を増加させざるを得ず、レベラー部の伸び率を制御し
ている場合も同様であり、インターメッシュを軽減させ
ることで生じる伸び率の低下は、張力の増加で補償せざ
るを得ない。したがって、伸び率制御を行ったまま溶接
点通過を実施した場合には、張力の大きな変動を伴うこ
とになり、操業の安定性の点から好ましくない。場合に
よっては、スキンパスミルの圧下力の変化やロールレベ
ラーのインターメッシュの変更に対して制御系の応答が
遅れることで、張力や伸び率のハンチングが生じる可能
性もある。よって、本発明のように、金属鋼帯の溶接点
がスキンパスミルとテンションレベラーを通過する間は
張力一定制御により調質圧延を行うことが必要である。
通過する間は張力一定制御により調質圧延を行う理由に
ついて説明する。通常の調質圧延は、スキンパスミルと
テンションレベラーにおける伸び率の和が目標値に一致
するように制御を行う伸び率制御で行われる。伸び率制
御では、スキンパスミルの圧下力を低下させることによ
って生じるミルでの伸び率の低下を補償するために、張
力を増加させざるを得ず、レベラー部の伸び率を制御し
ている場合も同様であり、インターメッシュを軽減させ
ることで生じる伸び率の低下は、張力の増加で補償せざ
るを得ない。したがって、伸び率制御を行ったまま溶接
点通過を実施した場合には、張力の大きな変動を伴うこ
とになり、操業の安定性の点から好ましくない。場合に
よっては、スキンパスミルの圧下力の変化やロールレベ
ラーのインターメッシュの変更に対して制御系の応答が
遅れることで、張力や伸び率のハンチングが生じる可能
性もある。よって、本発明のように、金属鋼帯の溶接点
がスキンパスミルとテンションレベラーを通過する間は
張力一定制御により調質圧延を行うことが必要である。
【0017】
【発明の実施の形態】図1は本発明の一実施例に係わる
冷延鋼帯の調質圧延設備を表している。これは連続的に
鋼帯1を処理するためのラインであり、入側プライドル
ロール2よりも上流側には、冷延鋼帯を払い出すための
ペイオフリールと冷延鋼帯を接続するための溶接機を備
えている。連続焼鈍ラインに設置する場合には、溶接機
に続いて焼鈍炉が配置され、入側ブライドルロール2に
冷延鋼帯が供給される。入側ブライドルロール2の下流
側には、スキンパスミル5、テンションレベラー8、出側
ブライドルロール9が配置される。スキンパスミル5とテ
ンションレベラー8との間には、プライドルロールは設
置されないことから、既設のスキンパスミル5の山側に
テンションレベラー8を設置するだけで、本発明が対象
とする調質圧延設備を実現することができる。
冷延鋼帯の調質圧延設備を表している。これは連続的に
鋼帯1を処理するためのラインであり、入側プライドル
ロール2よりも上流側には、冷延鋼帯を払い出すための
ペイオフリールと冷延鋼帯を接続するための溶接機を備
えている。連続焼鈍ラインに設置する場合には、溶接機
に続いて焼鈍炉が配置され、入側ブライドルロール2に
冷延鋼帯が供給される。入側ブライドルロール2の下流
側には、スキンパスミル5、テンションレベラー8、出側
ブライドルロール9が配置される。スキンパスミル5とテ
ンションレベラー8との間には、プライドルロールは設
置されないことから、既設のスキンパスミル5の山側に
テンションレベラー8を設置するだけで、本発明が対象
とする調質圧延設備を実現することができる。
【0018】また、スキンパスミル5、テンションレベ
ラー8の張力および伸び率を計測する目的から、張力計3
a,3b,3cおよび鋼帯速度検出器4a,4b,4cが設置され
ている。張力計3a,鋼帯速度検出器4aは、入側ブライド
ルロール2とスキンパスミル5との間の帳力T0と鋼帯速度
V0を測定し、張力計3b,鋼帯速度検出器4bは、スキンパ
スミルとテンションレベラーとの間の張力T1と鋼帯速度
V1を測定する。また、張力計3c,鋼帯速度検出器4cはテ
ンションレベラーと出側ブライドルロールの間の張力T2
と鋼帯速度V2を測定するものである。このときスキンパ
スミルの伸び率εMは、鋼帯速度VO,V1との比から求め
ることができ、テンションレベラー8の伸び率8LはV1,V
2から算出可能である。さらに、スキンパスミルおよび
テンションレベラーの伸び率の和εTは、鋼帯速度VO,V
2の比から求めることができる。
ラー8の張力および伸び率を計測する目的から、張力計3
a,3b,3cおよび鋼帯速度検出器4a,4b,4cが設置され
ている。張力計3a,鋼帯速度検出器4aは、入側ブライド
ルロール2とスキンパスミル5との間の帳力T0と鋼帯速度
V0を測定し、張力計3b,鋼帯速度検出器4bは、スキンパ
スミルとテンションレベラーとの間の張力T1と鋼帯速度
V1を測定する。また、張力計3c,鋼帯速度検出器4cはテ
ンションレベラーと出側ブライドルロールの間の張力T2
と鋼帯速度V2を測定するものである。このときスキンパ
スミルの伸び率εMは、鋼帯速度VO,V1との比から求め
ることができ、テンションレベラー8の伸び率8LはV1,V
2から算出可能である。さらに、スキンパスミルおよび
テンションレベラーの伸び率の和εTは、鋼帯速度VO,V
2の比から求めることができる。
【0019】一方、このような計測器を利用した伸び率
制御に関しては、いくつかの方法が可能であるが、その
一例を以下に記載する。定常部における伸び率制御とし
て、テンションレベラーのインターメッシュを一定値に
保持しながら、スキンパスミルとテンションレベラーの
伸び率の和εTが目標値に一致するようにスキンパスミ
ルの圧下位置Sを変更する。圧下位置Sの変更によって、
スキンパスミルにおける圧下力が変化し、主にスキンパ
スミルの伸び率εMの修正が行われる。それと同時に鋼
帯速度V1および張力T1が変化することでテンションレベ
ラーの伸び率εLも同時に変化することになる。
制御に関しては、いくつかの方法が可能であるが、その
一例を以下に記載する。定常部における伸び率制御とし
て、テンションレベラーのインターメッシュを一定値に
保持しながら、スキンパスミルとテンションレベラーの
伸び率の和εTが目標値に一致するようにスキンパスミ
ルの圧下位置Sを変更する。圧下位置Sの変更によって、
スキンパスミルにおける圧下力が変化し、主にスキンパ
スミルの伸び率εMの修正が行われる。それと同時に鋼
帯速度V1および張力T1が変化することでテンションレベ
ラーの伸び率εLも同時に変化することになる。
【0020】ライン速度VOは入側ブライドルロール2の
回転速度M2によって制御され、張力TOはスキンパスミル
5のロール回転速度M5によって制御される。更に、張力T
1が出側ブライドルロールの回転速度M9によって制御さ
れるが、これは、張力T2を出側ブライドルロール9の回
転速度M9によって制御する場合である。なお、本発明の
実施形態としては、スキンパスミル5の伸びび率εMとテ
ンションレベラー8の伸び率εLを独立して制御する方法
として、特開平9−85341または特開平7−68319に記載さ
れる方法を用いてもよい。
回転速度M2によって制御され、張力TOはスキンパスミル
5のロール回転速度M5によって制御される。更に、張力T
1が出側ブライドルロールの回転速度M9によって制御さ
れるが、これは、張力T2を出側ブライドルロール9の回
転速度M9によって制御する場合である。なお、本発明の
実施形態としては、スキンパスミル5の伸びび率εMとテ
ンションレベラー8の伸び率εLを独立して制御する方法
として、特開平9−85341または特開平7−68319に記載さ
れる方法を用いてもよい。
【0021】上記の方法により、溶接点がスキンパスミ
ルとテンションレベラーを通過する前後は伸び率制御で
冷延鋼帯を製造し、冷延鋼帯の溶接点がスキンパスミル
とテンションレベラーを通過する間、すなわち入り側ブ
ライドルロール2のA点から出側ブライドルロール9のB点
の間は、制御方法を張力一定制御に切り換える。張力一
定制御に切り替えた場合の制御としては、伸び率制御方
式と同様に、TOをスキンパスミル5のロール回転速度M5
によって制御し、T1またはT2を入り側と出側のブライド
ルロールの回転速度M2,M9によって制御する。ただし、
伸び率制御を行わないので、スキンパスミルの圧下位置
は自由に変更することが可能であり、溶接点通過時には
圧下力を定常部に比べて低減することができる。なお、
これらの制御方式の変更は、溶接点のトラッキング情報
に基づいて行われ、溶接点がスキンパスミルを通過する
よりも一定距離手前に到達した時点で、伸び率制御から
張力一定制御に切り替えられ、溶接点がテンションレベ
ラーを通過した後に、再び張力一定制御から伸び率制御
に切替えを行う。以上のような伸び率制御と張力制御の
切替えや、張力と伸び率の目標値の設定、テンションレ
ベラー8のインターメッシュの設定等は制御装置13によ
って行われる。
ルとテンションレベラーを通過する前後は伸び率制御で
冷延鋼帯を製造し、冷延鋼帯の溶接点がスキンパスミル
とテンションレベラーを通過する間、すなわち入り側ブ
ライドルロール2のA点から出側ブライドルロール9のB点
の間は、制御方法を張力一定制御に切り換える。張力一
定制御に切り替えた場合の制御としては、伸び率制御方
式と同様に、TOをスキンパスミル5のロール回転速度M5
によって制御し、T1またはT2を入り側と出側のブライド
ルロールの回転速度M2,M9によって制御する。ただし、
伸び率制御を行わないので、スキンパスミルの圧下位置
は自由に変更することが可能であり、溶接点通過時には
圧下力を定常部に比べて低減することができる。なお、
これらの制御方式の変更は、溶接点のトラッキング情報
に基づいて行われ、溶接点がスキンパスミルを通過する
よりも一定距離手前に到達した時点で、伸び率制御から
張力一定制御に切り替えられ、溶接点がテンションレベ
ラーを通過した後に、再び張力一定制御から伸び率制御
に切替えを行う。以上のような伸び率制御と張力制御の
切替えや、張力と伸び率の目標値の設定、テンションレ
ベラー8のインターメッシュの設定等は制御装置13によ
って行われる。
【0022】より具体的な制御方法について図2を用い
て説明する。図は溶接点の通過に伴う制御方法を表した
ものであり、溶接点が入側ブライドルロール2のA点に到
達した時点で伸び率制御から、張力一定制御への切替え
を行う。その後、溶接点がスキンパスミル5に到達する
時点では、その圧下力が十分低減されているように、予
め圧下力の変更を行っておく。それと同時にテンション
レベラー8のインターメッシュも低減した状態で溶接点
通過させる。溶接点がテンションレベラー8を通過した
時点で、スキンパスミル5およびテンションレベラー8を
設定値に復帰させ、その後出側ブライドルロール9のB点
に到達した時点で張力一定制御から伸び率制御に復帰す
る。
て説明する。図は溶接点の通過に伴う制御方法を表した
ものであり、溶接点が入側ブライドルロール2のA点に到
達した時点で伸び率制御から、張力一定制御への切替え
を行う。その後、溶接点がスキンパスミル5に到達する
時点では、その圧下力が十分低減されているように、予
め圧下力の変更を行っておく。それと同時にテンション
レベラー8のインターメッシュも低減した状態で溶接点
通過させる。溶接点がテンションレベラー8を通過した
時点で、スキンパスミル5およびテンションレベラー8を
設定値に復帰させ、その後出側ブライドルロール9のB点
に到達した時点で張力一定制御から伸び率制御に復帰す
る。
【0023】一方、図3に示すように、溶接点がスキン
パスミル5を通過する間のみ、その圧下力を低減させて
おき、通過後には圧下力を復帰させ、テンションレベラ
ー8においても溶接点が通過する間のみインターメッシ
ュを低減させておくことで、溶接点近傍のオフテンパー
部、オフレベラー部の長さを短縮することが可能であ
り、歩留りを向上させることができる。
パスミル5を通過する間のみ、その圧下力を低減させて
おき、通過後には圧下力を復帰させ、テンションレベラ
ー8においても溶接点が通過する間のみインターメッシ
ュを低減させておくことで、溶接点近傍のオフテンパー
部、オフレベラー部の長さを短縮することが可能であ
り、歩留りを向上させることができる。
【0024】本発明の実施の形態としては、スキンパス
ミル、テンションレベラーの順で配置された例を示した
が、本発明はこの順序に拘束されるものではなく、それ
ぞれ複数台設置された調質圧延機列にも有効に働くもの
である。また、スキンパスミルとテンションレベラーが
連続して配置した形態とは、ブライドルロールのような
冷延鋼板の張力を積極的に制御する設備が両者間に無い
ことを意味している。したがって、張力計等の計測器や
アンチクロスロール等の補助的なロール等が有ることは
一向にかまわない。なお、本発明の実施例には冷延鋼帯
を例を示したが、溶融めっき鋼帯や電磁鋼帯等の高機能
薄鋼帯の製造方法に適用しても一向にかまわない。
ミル、テンションレベラーの順で配置された例を示した
が、本発明はこの順序に拘束されるものではなく、それ
ぞれ複数台設置された調質圧延機列にも有効に働くもの
である。また、スキンパスミルとテンションレベラーが
連続して配置した形態とは、ブライドルロールのような
冷延鋼板の張力を積極的に制御する設備が両者間に無い
ことを意味している。したがって、張力計等の計測器や
アンチクロスロール等の補助的なロール等が有ることは
一向にかまわない。なお、本発明の実施例には冷延鋼帯
を例を示したが、溶融めっき鋼帯や電磁鋼帯等の高機能
薄鋼帯の製造方法に適用しても一向にかまわない。
【0025】
【実施例】本発明による一実施例について、図1に示す
調質圧延設備を用いた図2の制御方法による結果を説明
する。本実施例では、冷間圧延および連続焼鈍によって
軟化した板厚1.2mm、板幅1250mmの冷延鋼帯を連続的に
調質圧延を行った。スキンパスミル5は、1基の4段圧延
機であり、ワークロール径はφ500mmある。また、テン
ションレベラー8は、伸長ユニット11および反り矯正ユ
ニット12から構成され、伸長ユニット11のワークロール
径はφ35mm、反り矯正ユニット12のワークロール径でφ
45mmである。
調質圧延設備を用いた図2の制御方法による結果を説明
する。本実施例では、冷間圧延および連続焼鈍によって
軟化した板厚1.2mm、板幅1250mmの冷延鋼帯を連続的に
調質圧延を行った。スキンパスミル5は、1基の4段圧延
機であり、ワークロール径はφ500mmある。また、テン
ションレベラー8は、伸長ユニット11および反り矯正ユ
ニット12から構成され、伸長ユニット11のワークロール
径はφ35mm、反り矯正ユニット12のワークロール径でφ
45mmである。
【0026】定常状態での操業条件としては、ライン速
度150mpmに対して、スキンパスミル5の圧下力は平均で3
50kN、伸び率は0.8%である。このときの張力は、入側ブ
ライドルロール2とスキンパスミル5の間の張力T0は68MP
a、スキンパスミル5とテンションレベラー8の間の張力T
1が70MPaで制御されている。また、テンションレベラー
8の伸長ユニット11のインターメッシュは5mm、反り矯正
ユニット12のインターメッシュは8mmで設定されてお
り、レベラーでの伸び率は0.5%である。実際の制御とし
ては、スキンパスミル5とテンションレベラー8との伸び
率の和が1.3%となるように制御されている。
度150mpmに対して、スキンパスミル5の圧下力は平均で3
50kN、伸び率は0.8%である。このときの張力は、入側ブ
ライドルロール2とスキンパスミル5の間の張力T0は68MP
a、スキンパスミル5とテンションレベラー8の間の張力T
1が70MPaで制御されている。また、テンションレベラー
8の伸長ユニット11のインターメッシュは5mm、反り矯正
ユニット12のインターメッシュは8mmで設定されてお
り、レベラーでの伸び率は0.5%である。実際の制御とし
ては、スキンパスミル5とテンションレベラー8との伸び
率の和が1.3%となるように制御されている。
【0027】ところで、スキンパスミル単独での運転を
行い、溶接点通過時にスキンパスミルのロールに対して
疵が発生する圧下力を調査した結果、板幅あたりの圧下
力が1200kN/m以下であれば、圧延ロールヘの疵が発生し
ないことが分かった。そこで、本実施例では溶接点通過
時のスキンパスミルにおける圧下力が1500kN以下となる
ように設定を行った。
行い、溶接点通過時にスキンパスミルのロールに対して
疵が発生する圧下力を調査した結果、板幅あたりの圧下
力が1200kN/m以下であれば、圧延ロールヘの疵が発生し
ないことが分かった。そこで、本実施例では溶接点通過
時のスキンパスミルにおける圧下力が1500kN以下となる
ように設定を行った。
【0028】このような条件に基づいて、スキンパスミ
ルとテンションレベラーを併用した操業を実施し、溶接
点がスキンパスミルに到達する前に、伸び率制御から張
力一定制御への切替えを行い、その後に、張力T1および
テンションレベラーのインターメッシュを種々に変更す
る試験を実施した。その結果を図4に示す。図からは、
インターメッシュおよび張力T1が大きい場合にロール疵
が発生しやすいことを示している。ただし、張力が高く
てもインターメッシュが小さければ、ロール疵が発生し
ないこと、あるいはインターメッシュが大きくても張力
が小さければロール疵が発生しないことを表している。
ところが、張力T1が小さい場合には、スキンパスミルに
おいて冷延鋼帯の絞りが発生し、操業トラブルとなっ
た。
ルとテンションレベラーを併用した操業を実施し、溶接
点がスキンパスミルに到達する前に、伸び率制御から張
力一定制御への切替えを行い、その後に、張力T1および
テンションレベラーのインターメッシュを種々に変更す
る試験を実施した。その結果を図4に示す。図からは、
インターメッシュおよび張力T1が大きい場合にロール疵
が発生しやすいことを示している。ただし、張力が高く
てもインターメッシュが小さければ、ロール疵が発生し
ないこと、あるいはインターメッシュが大きくても張力
が小さければロール疵が発生しないことを表している。
ところが、張力T1が小さい場合には、スキンパスミルに
おいて冷延鋼帯の絞りが発生し、操業トラブルとなっ
た。
【0029】以上から、スキンパスミルおよびテンショ
ンレベラーにおいてロール庇の発生を防止し、スキンパ
スミルにおける操業トラブルをなくすためには、溶接点
通過時の張力を定常部と同じ、またはミル絞りが発生し
ない程度に低減した状態で、スキンパスミルの圧下力が
1500kN以下となるようにロールギャップを設定すると共
に、テンションレベラーのインターメッシュを2mm以下
とすることが必要となる。ところで、この場合のインタ
ーメッシュの下限値は0mmが好ましく、完全にレベラー
を開放することは好ましくない。これはインターメッシ
ュが0mmであっても冷延鋼帯に対しては、板厚分に相当
する曲げ変形が生じて、ロールと冷延鋼帯とは接触状態
を保っているのに対して、レベラーを開放した場合には
ロールと鋼帯とが接触しなくなるという違いがあり、一
般にテンションレベラーのロールは無駆動であるため、
圧下を解放後に再圧下を行う場合に、停止したロールと
移動中の鋼帯とが接触することですり疵を発生すること
がその理由である。
ンレベラーにおいてロール庇の発生を防止し、スキンパ
スミルにおける操業トラブルをなくすためには、溶接点
通過時の張力を定常部と同じ、またはミル絞りが発生し
ない程度に低減した状態で、スキンパスミルの圧下力が
1500kN以下となるようにロールギャップを設定すると共
に、テンションレベラーのインターメッシュを2mm以下
とすることが必要となる。ところで、この場合のインタ
ーメッシュの下限値は0mmが好ましく、完全にレベラー
を開放することは好ましくない。これはインターメッシ
ュが0mmであっても冷延鋼帯に対しては、板厚分に相当
する曲げ変形が生じて、ロールと冷延鋼帯とは接触状態
を保っているのに対して、レベラーを開放した場合には
ロールと鋼帯とが接触しなくなるという違いがあり、一
般にテンションレベラーのロールは無駆動であるため、
圧下を解放後に再圧下を行う場合に、停止したロールと
移動中の鋼帯とが接触することですり疵を発生すること
がその理由である。
【0030】以上のような溶接点通過方法を採用するこ
とで、ロール疵やミル絞り等のトラブルが発生すること
なく安定した操業を実現可能であるが、ロール疵の発生
は冷延鋼帯の強度や溶接部の板厚などの条件によって変
化することから、必ずしも上記インターメッシュが適切
な値とは限らないが、本発明者らによる調査の結果、定
常状態と同一の張力にて溶接点を通過させる場合、テン
ションレベラー通過前の板厚に対する定常部の板厚の比
を3倍した値以下となるようにインターメッシュを設定
することで、レベラーのロール疵を防止できることが分
かっている。
とで、ロール疵やミル絞り等のトラブルが発生すること
なく安定した操業を実現可能であるが、ロール疵の発生
は冷延鋼帯の強度や溶接部の板厚などの条件によって変
化することから、必ずしも上記インターメッシュが適切
な値とは限らないが、本発明者らによる調査の結果、定
常状態と同一の張力にて溶接点を通過させる場合、テン
ションレベラー通過前の板厚に対する定常部の板厚の比
を3倍した値以下となるようにインターメッシュを設定
することで、レベラーのロール疵を防止できることが分
かっている。
【0031】
【発明の効果】以上詳記したように本発明によれば、金
属鋼帯の溶接点が少なくともスキンパスミルを通過する
間はスキンパスミル圧下力を定常状態における圧下力よ
りも低減させ、かつ少なくともテンションレベラーを通
過する間はテンションレベラーのレベラーロールのイン
ターメッシュを定常状態におけるインターメッシュより
も低減させることにより、連続的に通過する金属鋼帯の
溶接部近傍で発生するミル絞りやロール疵等を防止で
き、トラブルの無い安定した金属鋼帯の製造が可能とな
る。
属鋼帯の溶接点が少なくともスキンパスミルを通過する
間はスキンパスミル圧下力を定常状態における圧下力よ
りも低減させ、かつ少なくともテンションレベラーを通
過する間はテンションレベラーのレベラーロールのイン
ターメッシュを定常状態におけるインターメッシュより
も低減させることにより、連続的に通過する金属鋼帯の
溶接部近傍で発生するミル絞りやロール疵等を防止で
き、トラブルの無い安定した金属鋼帯の製造が可能とな
る。
【図1】本発明を実施するための冷延鋼帯の調質圧延設
備を示す図。
備を示す図。
【図2】発明による溶接点通過方法の一例を示す図。
【図3】発明による溶接点通過方法の他の例を示す図。
【図4】本発明による操業結果を表す図。
【図5】テンションレベラーの操業条件とロール疵発生
状況の関係を示す図。
状況の関係を示す図。
1:鋼帯、2:入側ブライドルロール、3a,3b,3c:テン
ションメータロール、4a,4b,4c:板速度計、5:スキ
ンパスミル、6:区下装置、7:インターメッシュ設定信
号、8:テンションレベラー、9:出側ブライドルロー
ル、10:アンチクロスロール、11:伸長ユニット、12:
反り矯正ユニット、13:調質圧延設備制御装置、M2:入
り側ブライドルロールの回転速度、M5:スキンパスミル
のロール回転速度、M9:出側ブライドルロールの回転速
度、A点、B点:張力制御切り換え位置
ションメータロール、4a,4b,4c:板速度計、5:スキ
ンパスミル、6:区下装置、7:インターメッシュ設定信
号、8:テンションレベラー、9:出側ブライドルロー
ル、10:アンチクロスロール、11:伸長ユニット、12:
反り矯正ユニット、13:調質圧延設備制御装置、M2:入
り側ブライドルロールの回転速度、M5:スキンパスミル
のロール回転速度、M9:出側ブライドルロールの回転速
度、A点、B点:張力制御切り換え位置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 馬立 健治 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 永廣 昭浩 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 上原 修 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 Fターム(参考) 4E002 AD06 BC03 BC04 BD20 CB03 CB09 4E024 BB10 CC02 EE01 FF04
Claims (3)
- 【請求項1】 スキンパスミルとテンションレベラーと
を連続して配置して金属鋼帯を調質圧延する方法におい
て、金属鋼帯の溶接点が上記スキンパスミルとテンショ
ンレベラーとを通過する間に、張力一定制御により調質
圧延を行う工程を備え、この工程は、金属鋼帯の溶接点
が少なくともスキンパスミルを通過する間は、スキンパ
スミル圧下力を定常状態における圧下力よりも低減さ
せ、かつ少なくともテンションレベラーを通過する間
は、テンションレベラーのレベラーロールのインターメ
ッシュを定常状態におけるインターメッシュよりも低減
させることを特徴とする金属鋼帯の製造方法 - 【請求項2】 金属鋼帯の溶接点がスキンパスミルとテ
ンションレベラーとを通過する間は、スキンパスミル圧
下力を定常状態における圧下力よりも低減させ、かつ、
レベラーロールのインターメッシュを定常状態における
インターメッシュよりも低減させることを特徴とする請
求項1記載の金属鋼帯の製造方法。 - 【請求項3】 金属鋼帯の溶接点がスキンパスミルを通
過する間は、スキンパスミル圧下力を定常状態における
圧下力よりも低減させ、かつ、テンションレベラーを通
過する間はレベラーロールのインターメッシュを定常状
態におけるインターメッシュよりも低減させることを特
徴とする請求項1記載の金属鋼帯の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32714099A JP2001137930A (ja) | 1999-11-17 | 1999-11-17 | 金属鋼帯の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32714099A JP2001137930A (ja) | 1999-11-17 | 1999-11-17 | 金属鋼帯の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001137930A true JP2001137930A (ja) | 2001-05-22 |
Family
ID=18195773
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP32714099A Pending JP2001137930A (ja) | 1999-11-17 | 1999-11-17 | 金属鋼帯の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2001137930A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102553938A (zh) * | 2011-12-20 | 2012-07-11 | 河南鸽瑞复合材料有限公司 | 带侧推装置的多辊轧机的控制方法 |
CN106424170A (zh) * | 2016-09-28 | 2017-02-22 | 邯钢集团邯宝钢铁有限公司 | 一种酸轧机组拉矫机控制方法 |
CN119327863A (zh) * | 2024-12-20 | 2025-01-21 | 中国重型机械研究院股份公司 | 一种控制冷轧铜带材表面辊印的方法 |
-
1999
- 1999-11-17 JP JP32714099A patent/JP2001137930A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102553938A (zh) * | 2011-12-20 | 2012-07-11 | 河南鸽瑞复合材料有限公司 | 带侧推装置的多辊轧机的控制方法 |
CN106424170A (zh) * | 2016-09-28 | 2017-02-22 | 邯钢集团邯宝钢铁有限公司 | 一种酸轧机组拉矫机控制方法 |
CN106424170B (zh) * | 2016-09-28 | 2017-12-29 | 邯钢集团邯宝钢铁有限公司 | 一种酸轧机组拉矫机控制方法 |
CN119327863A (zh) * | 2024-12-20 | 2025-01-21 | 中国重型机械研究院股份公司 | 一种控制冷轧铜带材表面辊印的方法 |
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