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JP2001113374A - シーム溶接部の低温強靱性に優れた超高強度鋼管及びその製造方法 - Google Patents

シーム溶接部の低温強靱性に優れた超高強度鋼管及びその製造方法

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JP2001113374A
JP2001113374A JP29422599A JP29422599A JP2001113374A JP 2001113374 A JP2001113374 A JP 2001113374A JP 29422599 A JP29422599 A JP 29422599A JP 29422599 A JP29422599 A JP 29422599A JP 2001113374 A JP2001113374 A JP 2001113374A
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weld
weld metal
tack
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卓也 原
Hitoshi Asahi
均 朝日
Shigeru Okita
茂 大北
Yoshio Terada
好男 寺田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低温靱性が優れ、かつ現地溶接が容易な引張
強さ900MPa以上(API規格X100超)の超高
強度ラインパイプおよびその製造方法を提供する。 【解決手段】 母材部の引張り強度が900MPa以上
であり、かつ、溶接金属部の引張り強度と母材部の引張
り強度の差が−100MPa以上であるシーム溶接鋼管
であって、該シーム溶接鋼管の前記溶接金属部におい
て、製管プロセスの鋼板付き合わせ部の仮付け溶接後に
行われる本溶接によって形成される内面溶接金属部と外
面溶接金属部の間隔が0mm超であり、かつ、内面溶接
金属部と外面溶接金属部が前記仮付け溶接によって形成
される仮付け溶接金属部とそれぞれ重複していることを
特徴とする低温靱性の優れた超高強度シーム溶接鋼管。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、天然ガス・原油輸
送用ラインパイプとして広く使用でき、高圧化による輸
送効率の向上及び外径・重量の低減による現地施工能率
の向上が可能である900MPa以上の引張強さを有す
るシーム溶接部の低温靱性の優れた超高強度ラインパイ
プおよびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、原油・天然ガスの長距離輸送方法
としてパイプラインの重要性がますます高まっている。
現在、長距離輸送用の幹線ラインパイプとしては米国石
油協会(API)規格X65が設計の基本になってお
り、実際の使用量も圧倒的に多い。しかし、(1) 高圧化
による輸送効率の向上、(2) ラインパイプの外径・重量
の低減による現地施工能率の向上、のためより高強度ラ
インパイプが要望されている。これまでにX80(引張
強さ620MPa以上)までのラインパイプの実用化が
されているが、さらに高強度のラインパイプに対するニ
ーズが強くなってきた。現在、超高強度ラインパイプ製
造法の研究は、従来のX80ラインパイプの製造技術
(例えば、NKK技報No.138(1992), pp24-31 およびTh
e 7th OffshoreMechanics and Arctic Engineering (19
88), Volume V, pp179-185)を基本に検討されている
が、これではせいぜい、X100(引張強さ760MP
a以上)ラインパイプの製造が限界と考えられる。X1
00を越える超高強度ラインパイプについては、既に鋼
板製造の研究は行われている(PCT/JP96/00
155、00157)。しかし、このような超高強度ラ
インパイプでは従来のシーム溶接に関する技術は適用で
きず、シーム溶接技術に関する課題が解決できないと鋼
板は製造できても鋼管の製造は不可能である。パイプラ
インの超高強度化は強度・低温靱性バランスを始めとし
て溶接熱影響部(HAZ)靱性、現地溶接性、継手軟
化、バースト試験による管体破断など多くの問題を抱え
ており、これらを克服した画期的な超高強度ラインパイ
プ(X100超)の早期開発が要望されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は低温靱性のバ
ランスが優れ、かつ現地溶接が容易な引張強さ(TS)
900MPa以上(API規格X100超)の超高強度
ラインパイプ、特にバースト試験において溶接部破断が
なく管体破断するシーム溶接部の低温靱性に優れた超高
強度ラインパイプおよびその製造方法を提供するもので
ある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は以下のと
おりである。 (1)母材部の引張り強度が900MPa以上であり、
かつ、溶接金属部の引張り強度と母材部の引張り強度の
差が−100MPa以上であるシーム溶接鋼管であっ
て、該シーム溶接鋼管の前記溶接金属部において、製管
プロセスの鋼板付き合わせ部の仮付け溶接後に行われる
本溶接によって形成される内面溶接金属部と外面溶接金
属部の間隔が0mm超であり、かつ、内面溶接金属部と
外面溶接金属部が前記仮付け溶接によって形成される仮
付け溶接金属部とそれぞれ重複していることを特徴とす
るシーム溶接部の低温靱性の優れた超高強度溶接鋼管。 (2)重量%で、 C:0.03〜0.10%、 Si:0.6%以下、 Mn:1.7〜2.5%、 P:0.015%以下、 S:0.003%以下、 Ni:0.1〜1.0%、 Mo:0.15〜0.60%、 Nb:0.01〜0.10%、 Ti:0.005〜0.030%、 Al:0.06%以下、 を含有し、さらに重量%で、B:0.0030%以下、
N:0.001〜0.006%、V:0.10%以下、
Cu:1.0%以下、Cr:1.0%以下、Ca:0.
01%以下、REM:0.02%以下、Mg:0.00
6%以下の1種または2種以上を含有し、残部が鉄およ
び不可避的不純物からなる母材部と、 重量%で、 C:0.03〜0.14%、 Si:0.05〜040%、 Mn:1.2〜2.2%、 P:0.010%以下、 S:0.010%以下、 Ni:1.3〜3.2%、 Cr、Mo、Vのうちの1種または2種以上の合計量が
1.0〜2.5%、 B:0.005%以下、 を含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなる溶接
金属部からなり、かつ、溶接金属部のNi量が母材部の
Ni量に比べて1%以上高く、溶接金属部部及び母材の
溶接熱影響部を含むシーム溶接部の組織がベイナイト・
マルテンサイトからなることを特徴とする上記(1)に
記載のシーム溶接部の低温靱性の優れた超高強度溶接鋼
管。 (3)重量%で、 C:0.03〜0.10%、 Si:0.6%以下、 Mn:1.7〜2.5%、 P:0.015%以下、 S:0.003%以下、 Ni:0.1〜1.0%、 Mo:0.15〜0.60%、 Nb:0.01〜0.10%、 Ti:0.005〜0.030%、 Al:0.06%以下、 を含有し、さらに重量%で、B:0.0030%以下、
N:0.001〜0.006%、V:0.10%以下、
Cu:1.0%以下、Cr:1.0%以下、Ca:0.
01%以下、REM:0.02%以下、Mg:0.00
6%以下の1種または2種以上を含有し、残部が鉄およ
び不可避的不純物からなる鋼板の両端部を付き合わせた
後、該付き合わせ部を、重量%で、C:0.01〜0.
12%、Si:0.3%以下、Mn:1.2〜2.4%
を含有しFeを主成分とする溶接ワイヤーを用いて、外
面から仮付け溶接を行った後、該仮付け溶接部を、重量
%で、C:0.01〜0.12%、Si:0.3%以
下、Mn:1.2〜2.4% 、Ni:4.0〜8.5
%、Cr、Mo、Vの1種又は2種以上の合計量3.0
〜5.0%を含有し、かつNi量が前記鋼板のNi量に
比べて1%以上高いFeを主成分とする溶接ワイヤーお
よびフラックスを用いて、溶接によって形成される内面
溶接金属部と外面溶接金属部の間隔が0mm超であり、
かつ、内面溶接金属部と外面溶接金属部が前記仮付け溶
接によって形成される仮付け溶接金属部とそれぞれ重複
するように、前記仮付け溶接部を内面及び外面から本溶
接を行うことを特徴とするシーム溶接部の低温靱性の優
れた超高強度溶接鋼管の製造方法。 (4)前記本溶接において、仮付け溶接部を内面及び外
面からそれぞれ2パス以上の溶接を行うことを特徴とす
る上記(3)に記載のシーム溶接部の低温靱性の優れた
超高強度溶接鋼管の製造方法。 (5)前記仮付け溶接として、MAGアーク溶接、MI
Gアーク溶接、TIGアーク溶接の何れか1つの方法を
用い、前記本溶接として、サブマージアーク溶接、MA
Gアーク溶接、MIGアーク溶接、TIGアーク溶接の
何れか1つの方法を用いることを特徴とする上記(3)
または(4)のいずれかに記載のシーム溶接部の低温靱
性の優れた超高強度溶接鋼管の製造方法。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明の内容について詳細
に説明する。本発明は900MPa以上の引張強さ(T
S)を有するシーム溶接部の低温靱性の優れた超高強度
ラインパイプに関する発明である。この強度水準の超高
強度ラインパイプでは、従来主流であるX65と較べて
約2倍の圧力に耐えるため、同じサイズで約2倍のガス
を輸送することが可能になる。一方、X65を用いて上
記超高強度ラインパイプと同等なガス輸送効率を達成す
る場合は圧力を高めるために肉厚を厚くする必要があ
り、材料費、輸送費、現地溶接施工費が高くなってパイ
プライン敷設費が大幅に上昇する。これが900MPa
以上の引張強さ(TS)を有する低温靱性の優れた超高
強度ラインパイプが必要とされる理由である。従来、こ
のような引張強さが900MPa以上の超高強度ライン
パイプでは、極端に鋼管の製造が困難になるとともに鋼
管の特に低温靱性の特性を確保することが困難になる。
鋼管のシーム溶接部も含めた目標特性を保証するための
目安として、バースト試験において溶接熱影響部及び溶
接金属等で破断せずに管体での破断が達成されることと
ともにシーム溶接部の低温靱性を改善することが重要な
技術的課題になる。従来の超高強度ラインパイプでは、
溶接時にシーム溶接部の接熱影響部の会合部から1mmま
でに旧オーステナイト粒界に沿って粗大なMA(Martensi
te-Austenite Constituent:マルテンサイトとオーステ
ナイトの混成物)が生成しやすく、これが破壊の起点と
なり、吸収エネルギー値を著しく低下させる要因であっ
た。したがって、従来の溶接熱影響部の1/2t部の会
合部あるいは会合部+1mmにおけるV ノッチシャルピー
吸収エネルギーは、−30℃で50J未満と低く、例え
ば−30℃で64J以上の目標を満足させることはかな
り困難であった。
【0006】本発明者らは、引張強さが900MPa以
上の超高強度のラインパイプにおいてシーム溶接部の低
温靱性を改善すべく、実験等により鋭意検討した。図1
及び図2に超高強度のラインパイプにおける従来の溶接
部と本発明による溶接部を示す。通常鋼管の造管時のシ
ーム溶接は、鋼板両端部を付き合わせた後、付き合わせ
部を最初に外面からMAGアーク溶接等で仮付け(以下
仮付け溶接と言う)を行い、その後、その仮付け溶接部
をさらに内面及び外面からサブマージドアーク溶接等で
溶接(以下本溶接と言う)を行う。この際、従来の本溶
接は、図1に示すように本溶接において外面からの溶接
で形成された溶接金属部(以下外面溶接金属部という)
と内面からの溶接で形成された溶接金属部(以下内面溶
接金属部という)を互いに重複させるため、本溶接の前
に行った仮付け溶接金属部が溶融・消失し、溶接入熱が
過度に高くなり溶接熱影響部の旧オーステナイト粒が粗
大化すると共に旧オーステナイト粒界に沿って生成する
MAも粗大化し、これが溶接熱影響部のシャルピー吸収エ
ネルギーを低下させ、また、溶接熱影響部の軟化がおこ
ってバースト試験において溶接部からの破断(管体破断
ではなく)を招く要因となることがわかった。
【0007】本発明者らは、従来のような外面溶接金属
部と内面溶接金属部を互いに重複させた内外面からの本
溶接における過度な溶接入熱の上昇に起因する溶接部低
温靱性の低下という問題を解決するために、本溶接の最
適条件について、詳細な検討をおこなった。その結果、
図2に示すように、仮付け溶接後の本溶接において、外
面溶接金属部と内面溶接金属部を重複させずに仮付け溶
接金属部を溶融させず残存させ、本溶接時の過度な溶接
入熱の上昇を避けることによって溶接熱影響部で粗粒部
の旧オーステナイト粒径の粗大化及びMAの粗大化を抑制
し、溶接熱影響部の1/2t部の会合部あるいは会合+
1mmでのVノッチシャルピー吸収エネルギーを改善
し、また、溶接熱影響部の軟化部が抑えられることによ
ってバースト試験において管体破断(溶接部からの破断
なし)が可能となることがわかった。また、このような
本溶接を行う場合、溶接部の溶接欠陥の発生を防止する
ために、本溶接によって形成された内面溶接金属部及び
外面溶接金属部のそれぞれと、その前の仮付け溶接によ
って形成された仮溶接金属部とを重複する必要があるこ
とがわかった。
【0008】以上の知見から、本発明では、引張強さが
900MPa以上の超高強度のラインパイプのシーム溶
接部において、仮付け溶接後の本溶接によって形成され
る内面溶接金属部と外面溶接金属部の間隔(Δd)が0
mm超(これに対して従来のΔdは0mm以下の値とな
る)とし、かつ、内面溶接金属部及び外面溶接金属部が
前記仮付け溶接によって形成された仮付け溶接金属部と
それぞれ重複することを要件とする。上記Δdが0mm
以下、つまり本溶接によって形成される内面溶接金属部
と外面溶接金属部が重なると、上述のように本溶接の前
に行った仮付け溶接金属部が溶融・消失し、溶接入熱が
過度に高くなり、その結果、溶接熱影響部の旧オーステ
ナイト粒が粗大化すると共に旧オーステナイト粒界に沿
って生成するMAも粗大化し、溶接熱影響部のシャルピー
吸収エネルギーの低下や溶接熱影響部の軟化が起こる。
また、本溶接部によって形成される内面溶接金属部及び
外面溶接金属部のそれぞれと、仮付け溶接によって形成
される仮付け溶接金属部とが重複していなければ、溶接
部の溶接欠陥が発生する。ここで本発明で最初に行う仮
付け溶接の方法は、通常知られているMAGアーク溶接
でもMIGアーク溶接でもTIG溶接でも良い。また、
仮付け溶接の後に行う内外面溶接もサブマージアーク溶
接でもMIGアーク溶接でもTIG溶接でも良い。ま
た、仮付け溶接後の本溶接における仮付け溶接部の内面
及び外面からの溶接は、それぞれ1パス溶接であっても
2パス以上の溶接であっても良いが、本溶接時の溶接入
熱を出来る限り下げることで溶接熱影響部の軟化を抑え
るという点から2パス以上の溶接がより好ましい。
【0009】また、本発明者らが上記溶接法で製造した
鋼管を用いて多数のバースト試験を行った結果から、溶
接金属の引張強度が、[母材部の強度]−100(MP
a)以上であれば溶接部から破断せず、管体から破断す
ることがわかっている。従って、本発明では、溶接部の
平均引張強度を[母材部の円周方向引張強度]−100
(MPa)以上とする。
【0010】次に本発明の鋼管を構成する母材部及び溶
接金属部の成分および組織について説明する。先ず、本
発明の母材成分の限定理由は以下の通りである。C量
は、0.03〜0.10%に限定する。炭素は、鋼の強
度向上に極めて有効であり、マルテンサイト組織におい
て目標とする強度を得るためには、最低0.03%は必
要である。しかし、C量が多すぎると母材、HAZの低
温靱性や現地溶接性の著しい劣化を招くので、その上限
を0.10%とした。さらに、望ましくは上限値は0.
08%が好ましい。
【0011】Siは脱酸や強度向上のために添加する元
素であるが、多く添加するとHAZ靱性、現地溶接性を
著しく劣化させるので、上限を0.6%とした。鋼の脱
酸はAlでもTiでも十分可能であり、Siは必ずしも
添加する必要はない。Mnは本発明鋼のミクロ組織をマ
ルテンサイト主体の組織とし、優れた強度・低温靱性の
バランスを確保する上で不可欠な元素であり、その下限
は1.7%である。しかし、Mnが多すぎると鋼の焼入
れ性が増してHAZ靱性、現地溶接性を劣化させるだけ
でなく、連続鋳造鋼片の中心偏析を助長し、母材の低温
靱性をも劣化させるので上限を2.5%とした。
【0012】本発明では、不純物元素であるP、S量を
それぞれ0.015%、0.003%以下とする。この
主たる理由は母材およびHAZの低温靱性をより一層向
上させるためである。P量の低減は連続鋳造スラブの中
心偏析を軽減するとともに、粒界破壊を防止して低温靱
性を向上させる。また、S量の低減は熱間圧延で延伸化
するMnSを低減して延靱性を向上させる効果がある。
【0013】Niを添加する目的は低炭素の本発明鋼を
低温靱性や現地溶接性を劣化させることなく向上させる
ためである。Ni添加はMnやCr、Mo添加に比較し
て圧延組織(とくに連続鋳造鋼片の中心偏析帯)中に低
温靱性に有害な硬化組織を形成することが少ないばかり
か、0.1%以上の微量Ni添加がHAZ靱性の改善に
も有効であることが判明した(HAZ靱性上、とくに有
効なNi添加量は0.3%以上である)。しかし、添加
量が多すぎると、経済性だけでなく、HAZ靱性や現地
溶接性を劣化させるので、その上限を1.0%とした。
また、Ni添加は連続鋳造時、熱間圧延時におけるCu
割れの防止にも有効である。この場合、NiはCu量の
1/3以上添加する必要がある。
【0014】Moを添加する理由は鋼の焼入れ性を向上
させ、目的とするマルテンサイト主体の組織を得るため
である。B添加鋼においてはMoの焼入れ性向上効果が
高まり、また、MoはNbと共存して制御圧延時にオー
ステナイトの再結晶を抑制し、オーステナイト組織の微
細化にも効果がある。このような効果を得るために、M
oは最低でも0.15%必要である。しかし、過剰なM
o添加はHAZ靱性、現地溶接性を劣化させ、さらにB
の焼入れ性向上効果を消失せしめることもあるので、そ
の上限を0.6%とした。
【0015】Nbは、0.01〜0.10%を含有す
る。NbはMoと共存して制御圧延時にオーステナイト
の再結晶を抑制して組織を微細化するだけでなく、析出
硬化や焼入れ性増大にも寄与し、鋼を強靱化するため、
0.01%以上含有する。特にNbとBが共存すると焼
入れ性向上効果が相乗的に高まる。しかし、Nb添加量
が多すぎると、HAZ靱性や現地溶接性に悪影響をもた
らすので、その上限を0.10%とした。
【0016】Tiは、0.005〜0.030%を含有
する。Ti添加は微細なTiNを形成し、スラブ再加熱
時およびHAZのオーステナイト粒の粗大化を抑制して
ミクロ組織を微細化し、母材およびHAZの低温靱性を
改善する。また、Bの焼入れ性向上効果に有害な固溶N
をTiNとして固定する役割も有する。この目的のため
に、Ti量は3.4N(各々重量%)以上添加すること
が望ましい。また、Al量が少ない時(たとえば0.0
05%以下)、Tiは酸化物を形成し、HAZにおいて
粒内フェライト生成核として作用し、HAZ組織を微細
化する効果も有する。このようなTiNの効果を発現さ
せるためには、最低0.005%のTi添加が必要であ
る。しかし、Ti量が多すぎると、TiNの粗大化やT
iCによる析出硬化が生じ、低温靱性を劣化させるの
で、その上限を0.030%に限定した。
【0017】Alは通常脱酸材として鋼に含まれる元素
で、組織の微細化にも効果を有する。しかし、Al量が
0.06%を越えるとAl系非金属介在物が増加して鋼
の清浄度を害するので、上限を0.06%とした。しか
し、脱酸はTiあるいはSiでも可能であり、Alは必
ずしも添加する必要はない。以上は、本発明の鋼管母材
の主要成分であるが、必要に応じて以下の成分を選択的
に含有させる。
【0018】Bは極微量で鋼の焼入れ性を飛躍的に高
め、目的とするマルテンサイト主体の組織を得るため
に、非常に有効な元素である。さらに、BはMoの焼入
れ性向上効果を高めると共に、Nbと共存して相乗的に
焼入れ性を増す。一方、過剰に添加すると、低温靱性を
劣化させるだけでなく、かえってBの焼入れ性向上効果
を消失せしめることもあるので、その上限を0.003
0%とした。
【0019】NはTiNを形成しスラブ再加熱時および
HAZのオーステナイト粒の粗大化を抑制して母材、H
AZの低温靱性を向上させる。このために必要な最小量
は0.001%である。しかし、N量が多すぎるとスラ
ブ表面疵や固溶NによるHAZ靱性の劣化、Bの焼入れ
性向上効果の低下の原因となるので、その上限は0.0
06%に抑える必要がある。
【0020】つぎに、V、Cu、Cr、Ca、 REM、
Mgを添加する目的について説明する。本発明の鋼管母
材の基本成分に、更にこれらの元素を添加する主たる目
的は、本発明鋼の優れた特徴を損なうことなく、強度・
靱性の一層の向上や製造可能な鋼材サイズの拡大をはか
るためである。したがって、その添加量は自ずから制限
されるべき性質のものである。
【0021】VはNbとほぼ同様の効果を有するが、そ
の効果はNbに比較して弱い。しかし、超高強度鋼にお
けるV添加の効果は大きく、NbとVの複合添加は本発
明鋼の優れた特徴をさらに顕著なものとする。上限はH
AZ靱性、現地溶接性の点から0.10%まで許容でき
るが、特に0.03〜0.08%の添加が望ましい範囲
である。
【0022】Cuは母材、溶接部の強度を増加させる
が、多すぎるとHAZ靱性や現地溶接性を著しく劣化さ
せる。このためCu量の上限は1.0%である。Crは
母材、溶接部の強度を増加させるが、多すぎるとHAZ
靱性や現地溶接性を著しく劣化させる。このためCr量
の上限は0.6%である。CaおよびREMは硫化物
(MnS)の形態を制御し、低温靱性を向上(シャルピ
ー試験の吸収エネルギーの増加など)させる。Ca量が
0.006%、REMが0.02%を越えて添加すると
CaO−CaSまたはREM−CaSが大量に生成して
大型クラスター、大型介在物となり、鋼の清浄度を害す
るだけでなく、現地溶接性にも悪影響をおよぼす。この
ためCa添加量の上限を0.006%またはREM添加
量の条件を0.02%に制限した。なお超高強度ライン
パイプでは、S、O量をそれぞれ0.001%、0.0
02%以下に低減し、以下に示すMnSのクラスターの
形状を制御するための指標であるESSP(EffestiveS
ulphide Shape Controlling Parameter)が0.5≦E
SSP≦10.0を満足するようにCa、S、Oを調整
することがとくに有効である。
【0023】 ESSP=(Ca)〔1−124(O)〕/1.25S … (1) 上記のESSPが0.5未満になるとCaO−CaSが
大量の生成して粗大なクラスター、粗大介在物となり溶
接割れ等の溶接性を悪化させ、上記ESSPが10.0
を越えると、MnSの形状制御の効果がなくなるため、
ESSPを0.5〜10.0に規定する。
【0024】Mgは微細分散した酸化物を形成し、溶接
熱影響部の粒粗大化を抑制して低温靭性を向上させる。
0.006%以上では粗大酸化物を生成し逆に靭性を劣
化させる。以上の個々の添加元素の限定に加えて、さら
に以下に示す焼き入れ性を表す指標であるPを1.9≦
P≦4.0に制限することが望ましい。
【0025】 P=2.7C+0.4Si+Mn+0.8Cr+0.45(Ni+Cu)+( 1+β)Mo−1+β … (2) 但し、B≧3ppmではβ=1、B<3ppmではβ=
0とする。Pを上記のように制御する理由は、目的とす
る強度・低温靱性バランスを達成するためである。P値
の下限を1.9としたのは900MPa以上の強度と優
れた低温靱性を得るためである。また、P値の上限を
4.0としたのは優れたHAZ靱性、現地溶接性を維持
するためである。
【0026】以上が本発明の鋼管母材に含有する成分の
限定根拠であるが、以上のような化学成分を有していて
も、本発明の組織である微細なマルテンサイト+ベイナ
イト主体の組織が得られるための適正な製造条件としな
ければ所望の特性は得られない。微細なマルテンサイト
主体の組織を得る原理的な方法は、再結晶粒を未再結晶
温度域で加工し、板厚方向に偏平したオーステナイト粒
とし、これをフェライト生成が抑制される臨界冷却速度
以上の冷却速度で冷却することである。
【0027】望ましい製造方法は、本発明の化学成分を
有する鋼片を950〜1250℃に再加熱し、700〜
950℃での累積圧下量が50%以上となるように70
0℃以上の鋼材温度で圧延した後、10℃以上の冷却速
度で550℃以下まで冷却する。 また必要に応じてAC1
変態点以下の温度で焼戻しを行う。本発明の鋼管は、こ
のようにして製造された鋼板を管状に成形した後、鋼板
両端部の突き合わせ部をアーク溶接し、さらに拡管して
鋼管をする。
【0028】次ぎに、本発明の鋼管の溶接金属部の成分
の限定理由について述べる。C量は、0.03〜0.1
4%に限定する。炭素は鋼の強度向上に極めて有効であ
り、マルテンサイト組織において目標とする強度を得る
ためには、最低0.03%は必要である。しかし、C量
が多すぎると溶接低温割れが発生しやすくなり、現地溶
接部とシーム溶接が交わるいわゆるTクロス部のHAZ
の最高硬さの上昇招くので、その上限を0.14%とし
た。さらに、望ましくは上限値は0.10%が好まし
い。
【0029】Siはブローホール防止のために0.05
%以上は必要であるが、含有量が多いと低温靱性を著し
く劣化させるので、上限を0.40%とした。特に、内
外面溶接や多層溶接を行う場合、再熱部の低温靱性を劣
化させる。Mnは優れた強度・低温靱性のバランスを確
保する上で不可欠な元素であり、その下限は1.2%で
ある。しかし、Mnが多すぎると偏析が助長され低温靱
性を劣化させるだけでなく、溶接材料の製造も困難にな
るので上限を2.2%とした。
【0030】P、Sは、低温靭性の劣化、低温割れ感受
性の低減のために、P、Sの量は低い方が望ましく、上
限量をそれぞれ0.010%と規定した。Niを添加す
る目的は焼入れ性を高めて強度を確保し、さらに低温靱
性向上させるためである。1.3%以下では目標の強
度、低温靭性を得ることが難しい。一方、含有量が多す
ぎると高温割れの危険があるため上限は3.2%とし
た。
【0031】Cr、Mo、Vの効果の違いは厳密には区
別できないが、いずれも焼入れ性を高めることにより高
強度を得るために添加する。Cr、Mo、Vの1種又は
2種以上の合計量が1.0%以下では効果が十分でな
く、一方多量に添加すると低温割れの危険が増すため上
限を2.5%とした。Bは微量で焼入れ性を高め、溶接
金属の低温靭性向上に有効な元素であるが、含有量が多
すぎると却って低温靭性が低下するので含有範囲を0.
005%以下とした。
【0032】溶接金属には、その他の成分として、溶接
時の精錬・凝固を良好に行わせるために必要に応じて添
加されたTi, Al,Zr,Nb,Mg等の元素を含有
する場合があるが、残部は鉄および不可避的不純物であ
る。本発明の超高強度鋼板は、先に述べた成分を規定し
た鋼を鋳造後、熱間加工し、その後急冷したり、場合に
よっては焼戻しを行って製造される。引張強さ900M
Pa以上の超高強度を達成するためには、鋼をマルテン
サイト・ベイナイト等の低温変態組織主体のミクロ組織
にしてフェライトの生成を抑制する必要がある。
【0033】溶接金属は、溶接後の凝固まま組織であ
り、冷却速度が遅い溶接金属において、本発明が上記の
目的強度を得、さらに本発明の鋼板と同様に優れた低温
靱性を得るためには、溶接金属の化学成分と組織の調整
が必要である。Niは焼入性を高めて低い冷却速度でも
高強度を得ることを可能にし、また、マルテンサイトラ
ス間に残留オーステナイトを形成することを促進し低温
靱性を向上させる。
【0034】本発明では、溶接金属のNi量を鋼板成分
より1%以上高くし、かつ、溶接金属部ならびに溶接熱
影響部をベイナイト・マルテンサイト組織にすることに
より、所望の強度と低温靱性が得られる。溶接金属のN
i量が鋼板成分より1%低い場合は、上記効果が得られ
ないため、本発明では、その下限を1%とした。次に、
本発明の鋼管を製造する方法について説明する。
【0035】本願発明が目指すラインパイプは通常、直
径が450mmから1500mm、肉厚が10mmから
40mm程度のサイズである。このようなサイズの鋼管
を高率良く製造する方法としては、鋼板をU形次いでO
形に成形するUO工程で製管し、鋼板の両端部を突き合
わせて、突き合わせ部をMAGアーク溶接等で外面から
仮付け溶接した後に、この仮付け溶接部を内外面からサ
ブマージアーク溶接等で本溶接し、その後、拡管して真
円度を高める鋼管の製造方法が確立されている。
【0036】サブマージアーク溶接等のアーク溶接方法
は母材の希釈が大きい溶接であり、所望の特性すなわち
溶接金属組成を得るためには、母材の希釈を考慮した溶
接材料の選択が必要である。以下に、本発明の超高強度
ラインパイプを製造する際の溶接に用いる溶接ワイヤー
の化学組成の限定理由を述べる。なお、本発明の本溶接
の前に行う鋼板付き合わせ部の仮付け溶接は、溶接面積
が少なく本溶接に比べて溶接金属部の品質の影響が小さ
いため、本溶接に用いる溶接ワイヤーの成分は、すべて
以下のように規定するが、仮付け溶接に用いる溶接ワイ
ヤーの成分はC、Si、Mn以外の他の成分は、特に規
定する必要はない。
【0037】Cは、溶接金属で必要とされるC量の範囲
を得るために、母材成分による希釈および雰囲気からC
の混入を考慮して0.01〜0.12%とした。Si
は、溶接金属で必要とされるSi量の範囲を得るため
に、母材成分による希釈を考慮して0.3%以下とし
た。Mnは、溶接金属で必要とされるMn量の範囲を得
るために、母材成分による希釈を考慮して1.2%〜
2.4%とした。
【0038】Niは、溶接金属で必要とされるNi量の
範囲を得るために、母材成分による希釈を考慮して4.
0%〜8.5%とした。Cr、Mo、Vは、溶接金属で
必要とされるCr、Mo、Vのうちの1種又は2種以上
の合計量の範囲を得るために、母材成分による希釈を考
慮して3.0%〜5.0%とした。
【0039】その他P,Sの不純物は極力少ない方が望
ましく、Bは強度確保に添加することも可能である。ま
た、Ti,Al,Zr,Nb,Mg等が脱酸を目的とし
て使用される。なお、本発明の仮付け溶接及び本溶接
は、単極だけでなく、複数電極での溶接も可能である。
複数電極で溶接の場合は各種ワイヤーの組み合わせが可
能であり、個々のワイヤーが上記成分範囲にある必要は
なく、それぞれのワイヤー成分と消費量からの平均組成
が上記成分範囲にあれば良い。
【0040】サブマージアーク溶接等の本溶接に使用さ
れるフラックスは大別すると焼成型フラックスと溶融型
フラックスがある。焼成型フラックスは合金材添加が可
能で拡散性水素量が低い利点があるが、粉化しやすく繰
り返し使用が難しい欠点がある。一方、溶融型フラック
スはガラス粉状で、粒強度が高く、吸湿しにくい利点が
あり、拡散性水素がやや高い欠点がある。本願発明のご
とき超高強度の場合は、溶接低温割れが起こりやすく、
この点からは焼成型が望ましいが、一方、回収して繰り
返し使用が可能な溶融型は大量生産に向きコストが低い
利点がある。焼成型ではコストが高いことが、溶融型で
は厳密な品質管理の必要性が問題であるが、工業的に対
処可能な範囲であり、どちらでも本質的には使用可能で
ある。
【0041】溶接条件については望ましい範囲は以下の
通りである。最初に行う仮付け溶接は、MAGアーク溶
接でもMIGアーク溶接でもTIGアーク溶接でもよ
い。通常はMAGアーク溶接である。次に仮付け溶接後
に行う本溶接は、通常サブマージドアーク溶接である
が、TIGアーク溶接でもMIGアーク溶接でも、MA
Gアーク溶接でもよい。溶接速度は1〜3m/分程度が
適切な範囲である。1m/分未満の溶接はラインパイプ
のシーム溶接としては非効率であり、3m/分を超える
高速溶接ではビード形状が安定しない。仮付け溶接とそ
の後の本溶接が重複するならば溶接入熱は出来る限り低
い方が好ましい。また、本溶接のアーク溶接は何パスで
も行ってもよい。溶接入熱は板厚によって異なるが、例
えば板厚16mmの場合では溶接入熱を1.0〜2.7
kJ/mmにすることが望ましい範囲である。入熱が小
さすぎると溶け込みが不十分になり、溶接回数が多くな
り、作業効率が悪くなり、溶接入熱が大きすぎると熱影
響部の軟化が大きく、溶接部の靭性も低下する。
【0042】これらのシーム溶接後、拡管により真円度
を向上させる。真円にするためには塑性域まで変形させ
る必要があるが、本願発明のごとき高強度鋼の場合は
0.7%程度以上の拡管率(=(拡管後円周−拡管前円
周)/拡管前円周)が必要であるが、2%を超える大き
な拡管を行うと、母材、溶接部とも塑性変形による靭性
劣化が大きくなるため、拡管率は0.7〜2%以下にす
るのが望ましい。
【0043】
【実施例】以下に、本発明の実施例とその効果を具体的
に説明する。表1に示す本発明範囲を満たす成分の発明
鋼(A鋼〜D鋼)及び本発明範囲を外れる成分の比較鋼
(E鋼,F鋼)を300トン転炉で溶製後、連続鋳造鋼
片とし、その後1100℃に再加熱後、再結晶域で圧延
し、その後900〜750℃の累積圧下量が75%とな
る制御圧延を16mmまで行い、その後水冷停止温度が
200〜450℃になるように水冷して鋼板を製造し
た。その結果、表1に示されるように発明鋼(A鋼〜D
鋼)の鋼板の強度は、本発明の目標範囲(900MPa
以上)となり、低温靭性(シャルピー試験の−30℃で
の吸収エネルギー:230J以上)も高かった。一方、
C量が高くNiが添加されていないE鋼の鋼板の強度
は、本発明の目標範囲にあるが、低温靭性が低くなり、
C量が低いF鋼の鋼板の低温靱性は目標範囲になるが、
強度が低い。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】これらの鋼板をさらにUO工場で管状に成
形し、鋼板の付き合わせ部を80%Ar+20%CO2
のシールドガスでMAG アーク溶接を用いて仮付け溶接を
行った後、表2に示す溶接ワイヤー及びフラックスを用
い3電極、2.0m/分、入熱1.5KJ/mmの溶接
条件で仮溶接部の内外面を各1パスのサブマージアーク
溶接による本溶接を行い、その後、拡管率1%の拡管を
行った。得られた鋼管の特性を評価した結果を表3に示
す。
【0047】表2に示す本発明範囲を満たす成分の鋼及
び溶接ワイヤーを用いて溶接した発明例(実施No.1
〜6)では、鋼管シーム溶接部に良好な溶接ビードが得
られ、溶接金属部の化学成分は本発明の範囲を満たし、
溶接金属強度(900MPa以上)、溶接金属の引張強
度と鋼板の引張強度の差も適正範囲(−100MPa以
上)も適性であり、本溶接によって形成される内面溶接
金属部と外面溶接金属部の間隔(Δd)(Δd:0mm
超))も適性であった。また、これらの本発明範囲を満
たす発明例の鋼管は、母材部及び溶接部が共に目標とす
る強度、低温靱性等の機械的性質を有し、バースト試験
においても管体破断が達成できた。
【0048】一方、比較例の実施No.7〜9は、母材
成分は本発明の範囲であるが、ワイヤー成分が本発明の
範囲外(No.7:Niが低目、No.8:Cが高目、
No.9:Niが高目)であるため、溶接金属部の成分
が本発明範囲を外れた。その結果、No.7は溶接金属
の強度が低くなり、また、溶接金属の引張強度と鋼板の
引張強度の差が適正範囲(−100MPa以上)を外れ
たためバースト試験では溶接部破断が生じた。また、N
o.8では溶接部の低温割れが発生し、No.9は高温
割れが発生したため、引張り試験、バースト試験は実施
できなかった。
【0049】比較例の実施No.10は、溶接ワイヤー
の成分は本発明の範囲内であるが、鋼板の成分が本発明
範囲外であるため、鋼管母材の低温靱性が目標(低目)
に達しなかった。しかしながら、比較例のNo.11及
びNo.12では、母材及び溶接ワイヤーの成分は本発
明の範囲内であるが、本溶接で形成された溶接部中の内
面溶接金属部と外面溶接金属部との間隔(Δd)が本発
明の範囲(Δd>0)を外れたためバースト試験では溶
接熱影響部破断が生じた。また、比較例のNo.13
は、溶接材料及び溶接金属のCが本願発明範囲を外れて
いる(高目)ために、溶接金属の靭性が低いためにライ
ンパイプの要求特性を満たしていない。比較例のNo1
4は母材及び溶接ワイヤーの成分は本発明の範囲内であ
るが、溶接金属の引張強度と鋼板の引張強度の差が適正
範囲(−100MPa以上)を外れたためバースト試験
では溶接熱影響部破断が生じた。
【0050】
【表3】
【0051】
【表4】
【0052】
【表5】
【0053】
【発明の効果】本発明によれば、母材、溶接部共に低温
靱性のバランスが優れ、かつ現地溶接が容易な引張強さ
900MPa以上(API規格X100超)の超高強度
ラインパイプが実現可能であり、長距離パイプラインの
敷設コストが低下し、世界のエネルギー問題解決に寄与
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の鋼管シーム溶接部の断面図。
【図2】従来の鋼管シーム溶接部の断面図。
【符号の説明】
1…本溶接金属部の外面溶接金属部 2…本溶接金属部の内面溶接金属部 3…鋼管の母材部 4…仮付け溶接金属部
【手続補正書】
【提出日】平成12年4月25日(2000.4.2
5)
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大北 茂 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株式 会社技術開発本部内 (72)発明者 寺田 好男 千葉県君津市君津1番地 新日本製鐵株式 会社君津製鐵所内 Fターム(参考) 4E001 AA03 BB05 BB07 BB08 CA02 CC03 DC01 DC05 DG02

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 母材部の引張り強度が900MPa以上
    であり、かつ、溶接金属部の引張り強度と母材部の引張
    り強度の差が−100MPa以上であるシーム溶接鋼管
    であって、該シーム溶接鋼管の前記溶接金属部におい
    て、製管プロセスの鋼板付き合わせ部の仮付け溶接後に
    行われる本溶接によって形成される内面溶接金属部と外
    面溶接金属部の間隔が0mm超であり、かつ、内面溶接
    金属部と外面溶接金属部が前記仮付け溶接によって形成
    される仮付け溶接金属部とそれぞれ重複していることを
    特徴とするシーム溶接部の低温靱性の優れた超高強度溶
    接鋼管。
  2. 【請求項2】 重量%で、 C:0.03〜0.10%、 Si:0.6%以下、 Mn:1.7〜2.5%、 P:0.015%以下、 S:0.003%以下、 Ni:0.1〜1.0%、 Mo:0.15〜0.60%、 Nb:0.01〜0.10%、 Ti:0.005〜0.030%、 Al:0.06%以下、 を含有し、さらに重量%で、B:0.0030%以下、
    N:0.001〜0.006%、V:0.10%以下、
    Cu:1.0%以下、Cr:1.0%以下、Ca:0.
    01%以下、REM:0.02%以下、Mg:0.00
    6%以下の1種または2種以上を含有し、残部が鉄およ
    び不可避的不純物からなる母材部と、 重量%で、 C:0.03〜0.14%、 Si:0.05〜0.40%、 Mn:1.2〜2.2%、 P:0.010%以下、 S:0.010%以下、 Ni:1.3〜3.2%、 Cr、Mo、Vのうちの1種または2種以上の合計量が
    1.0〜2.5%、 B:0.005%以下、 を含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなる溶接
    金属部からなり、かつ、溶接金属部のNi量が母材部の
    Ni量に比べて1%以上高く、溶接金属部及び母材の溶
    接熱影響部を含むシーム溶接部の組織がベイナイト・マ
    ルテンサイトからなることを特徴とする請求項1に記載
    のシーム溶接部の低温靱性の優れた超高強度溶接鋼管。
  3. 【請求項3】 重量%で、 C:0.03〜0.10%、 Si:0.6%以下、 Mn:1.7〜2.5%、 P:0.015%以下、 S:0.003%以下、 Ni:0.1〜1.0%、 Mo:0.15〜0.60%、 Nb:0.01〜0.10%、 Ti:0.005〜0.030%、 Al:0.06%以下、 を含有し、さらに重量%で、B:0.0030%以下、
    N:0.001〜0.006%、V:0.10%以下、
    Cu:1.0%以下、Cr:1.0%以下、Ca:0.
    01%以下、REM:0.02%以下、Mg:0.00
    6%以下の1種または2種以上を含有し、残部が鉄およ
    び不可避的不純物からなる鋼板の両端部を付き合わせた
    後、該付き合わせ部を、重量%で、C:0.01〜0.
    12%、Si:0.3%以下、Mn:1.2〜2.4%
    を含有しFeを主成分とする溶接ワイヤーを用いて、外
    面から仮付け溶接を行った後、該仮付け溶接部を、重量
    %で、C:0.01〜0.12%、Si:0.3%以
    下、Mn:1.2〜2.4% 、Ni:4.0〜8.5
    %、Cr、Mo、Vの1種又は2種以上の合計量3.0
    〜5.0%を含有し、かつNi量が前記鋼板のNi量に
    比べて1%以上高いFeを主成分とする溶接ワイヤーお
    よびフラックスを用いて、溶接によって形成される内面
    溶接金属部と外面溶接金属部の間隔が0mm超であり、
    かつ、内面溶接金属部と外面溶接金属部が前記仮付け溶
    接によって形成される仮付け溶接金属部とそれぞれ重複
    するように、前記仮付け溶接部を内面及び外面から本溶
    接を行うことを特徴とするシーム溶接部の低温靱性の優
    れた超高強度溶接鋼管の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記本溶接において、仮付け溶接部を内
    面及び外面からそれぞれ2パス以上の溶接を行うことを
    特徴とする請求項3に記載のシーム溶接部の低温靱性の
    優れた超高強度溶接鋼管の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記仮付け溶接として、MAGアーク溶
    接、MIGアーク溶接、TIGアーク溶接の何れか1つ
    の方法を用い、前記本溶接として、サブマージアーク溶
    接、MAGアーク溶接、MIGアーク溶接、TIGアー
    ク溶接の何れか1つの方法を用いることを特徴とする請
    求項3または4のいずれかに記載のシーム溶接部の低温
    靱性の優れた超高強度溶接鋼管の製造方法。
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