JP2001106816A - プラスチック成形品の表面処理 - Google Patents
プラスチック成形品の表面処理Info
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- JP2001106816A JP2001106816A JP28856399A JP28856399A JP2001106816A JP 2001106816 A JP2001106816 A JP 2001106816A JP 28856399 A JP28856399 A JP 28856399A JP 28856399 A JP28856399 A JP 28856399A JP 2001106816 A JP2001106816 A JP 2001106816A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 プラスチック成形品であって、高い表面硬さ
を有するとともに美麗な外観をもった表面処理製品を提
供する。 【解決手段】 プラスチック成形品(1)の上に、プラ
イマー層(2)、ハードコート層(3)、金属蒸着膜層
(4)およびイオンプレーティングによる金属または金
属化合物の層(5)を順に設ける。金属蒸着膜層の存在
により、イオンプレーティング層が健全に発達し、美麗
な被膜が形成される。
を有するとともに美麗な外観をもった表面処理製品を提
供する。 【解決手段】 プラスチック成形品(1)の上に、プラ
イマー層(2)、ハードコート層(3)、金属蒸着膜層
(4)およびイオンプレーティングによる金属または金
属化合物の層(5)を順に設ける。金属蒸着膜層の存在
により、イオンプレーティング層が健全に発達し、美麗
な被膜が形成される。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表面が高い硬さと
耐擦傷性を有し、かつ金属の光沢面またはツヤ消し面の
美麗な風合いを有する、表面処理を施したプラスチック
成形品に関し、その製造方法にも関する。
耐擦傷性を有し、かつ金属の光沢面またはツヤ消し面の
美麗な風合いを有する、表面処理を施したプラスチック
成形品に関し、その製造方法にも関する。
【0002】
【従来の技術】プラスチックは、成形性が高いこと、軽
量であること、比較的安価であることなどの利点を買わ
れて、種々の部品の製造に使用されているが、表面の硬
さが低く傷がつきやすいこと、また、外観がそれほど美
麗といえないことなどの限界がある。外観は、塗装を施
すことによって改善できるが、それでも硬度などの表面
物性を高めることはできない。
量であること、比較的安価であることなどの利点を買わ
れて、種々の部品の製造に使用されているが、表面の硬
さが低く傷がつきやすいこと、また、外観がそれほど美
麗といえないことなどの限界がある。外観は、塗装を施
すことによって改善できるが、それでも硬度などの表面
物性を高めることはできない。
【0003】この点をカバーする表面処理技術が種々開
発されていて、たとえばクロムメッキなどの金属メッキ
が、現状では有力な手段として実施されている。クロム
メッキの場合、通常、プラスチック成形品に対してまず
無電解メッキを行なって表面を銅、ニッケル、亜鉛等で
被覆し、得られた電導性の被膜を利用してクロムの電解
メッキを行なう、という手順に従っている。
発されていて、たとえばクロムメッキなどの金属メッキ
が、現状では有力な手段として実施されている。クロム
メッキの場合、通常、プラスチック成形品に対してまず
無電解メッキを行なって表面を銅、ニッケル、亜鉛等で
被覆し、得られた電導性の被膜を利用してクロムの電解
メッキを行なう、という手順に従っている。
【0004】しかし電解メッキは、とくにクロムメッキ
は、環境への問題から近い将来に実施が困難になると考
えられ、これに代わる技術が求められている。そこで注
目されるのが、金属の蒸着やイオンプレーティングのよ
うな、乾式の表面処理技術である。ただし金属蒸着は、
単に金属の被膜をプラスチック成形品の表面に形成する
だけであって、金属光沢を実現することに関しては効果
的であるが、実用的な操業条件で形成できる被膜の厚さ
には限度があり、表面硬さの向上にはそれほど役立たな
い。
は、環境への問題から近い将来に実施が困難になると考
えられ、これに代わる技術が求められている。そこで注
目されるのが、金属の蒸着やイオンプレーティングのよ
うな、乾式の表面処理技術である。ただし金属蒸着は、
単に金属の被膜をプラスチック成形品の表面に形成する
だけであって、金属光沢を実現することに関しては効果
的であるが、実用的な操業条件で形成できる被膜の厚さ
には限度があり、表面硬さの向上にはそれほど役立たな
い。
【0005】これに対し、イオンプレーティングは、金
属の窒化物や炭化物のような、きわめて硬い物質の被膜
を形成することができるから、表面の硬さを高めるとい
う要求をよく満たすことができる。上記のような金属化
合物は、金色、黒色、ブラウンなどの金属固有の色を超
えた色彩を有し、それらの混合した色を出すことも可能
であるから、バラエティに富んだ外観の製品を与えるこ
とができる。
属の窒化物や炭化物のような、きわめて硬い物質の被膜
を形成することができるから、表面の硬さを高めるとい
う要求をよく満たすことができる。上記のような金属化
合物は、金色、黒色、ブラウンなどの金属固有の色を超
えた色彩を有し、それらの混合した色を出すことも可能
であるから、バラエティに富んだ外観の製品を与えるこ
とができる。
【0006】ところが、通常のイオンプレーティング
は、処理温度が200℃またはそれ以上に達するので、
この方法によって表面処理することができるプラスチッ
ク材料はごく限られたものになり、適用範囲の狭いもの
に止まる。いうまでもなく、100℃を超える温度にお
いては、ほとんどの熱可塑性合成樹脂は軟化または溶融
してしまうから、プラスチックの加工性の高さとイオン
プレーティングの利点とを両立させることができない。
は、処理温度が200℃またはそれ以上に達するので、
この方法によって表面処理することができるプラスチッ
ク材料はごく限られたものになり、適用範囲の狭いもの
に止まる。いうまでもなく、100℃を超える温度にお
いては、ほとんどの熱可塑性合成樹脂は軟化または溶融
してしまうから、プラスチックの加工性の高さとイオン
プレーティングの利点とを両立させることができない。
【0007】より低い温度で実施可能なのは、スパッタ
リングを伴うイオンプレーティングである。発明者ら
は、プラスチックの表面処理に、スパッタリングを伴う
イオンプレーティングを行なって、TiNのような金属
化合物の被膜を形成することを企てて研究したが、当初
は、外観が美麗な表面処理製品を得ることができなかっ
た。イオンプレーティングによる被膜は、下地のプラス
チック成形品の表面形状に忠実に形成され、かつその厚
さが0.05〜1μmと薄いので、下地の形状がそのま
ま現れてしまうのである。プラスチックを成形する金型
の内面を平滑に仕上げ、クロムメッキなどを施せば改善
されるが、これはコスト高を招くし、前述のように、ク
ロムメッキはなるべく避けたい処理である。
リングを伴うイオンプレーティングである。発明者ら
は、プラスチックの表面処理に、スパッタリングを伴う
イオンプレーティングを行なって、TiNのような金属
化合物の被膜を形成することを企てて研究したが、当初
は、外観が美麗な表面処理製品を得ることができなかっ
た。イオンプレーティングによる被膜は、下地のプラス
チック成形品の表面形状に忠実に形成され、かつその厚
さが0.05〜1μmと薄いので、下地の形状がそのま
ま現れてしまうのである。プラスチックを成形する金型
の内面を平滑に仕上げ、クロムメッキなどを施せば改善
されるが、これはコスト高を招くし、前述のように、ク
ロムメッキはなるべく避けたい処理である。
【0008】そこで、イオンプレーティングによる被膜
を厚くすることにより上記の問題の解決を図ったが、成
功しなかった。TiNのような金属化合物はセラミック
スであるから、その被膜は可撓性に乏しく、また下地の
プラスチックと硬度が違いすぎるため、プラスチック成
形品の表面から剥離したり、ヒビわれを生じたりしやす
いからである。さらに、プラスチックに添加されている
可塑剤や離型剤が、真空下の処理に際して気化し、所望
の金属化合物の生成を妨げることがあるという、新たな
問題にも遭遇した。
を厚くすることにより上記の問題の解決を図ったが、成
功しなかった。TiNのような金属化合物はセラミック
スであるから、その被膜は可撓性に乏しく、また下地の
プラスチックと硬度が違いすぎるため、プラスチック成
形品の表面から剥離したり、ヒビわれを生じたりしやす
いからである。さらに、プラスチックに添加されている
可塑剤や離型剤が、真空下の処理に際して気化し、所望
の金属化合物の生成を妨げることがあるという、新たな
問題にも遭遇した。
【0009】この対策として、発明者らは、プラスチッ
ク成形品の表面に硬化樹脂塗料を塗布し、これを硬化さ
せてハードコート層を形成し、粗いプラスチック成形品
表面のレべリングをはかるとともに、比較的柔らかいプ
ラスチックと硬いイオンプレーティング被膜との間を調
和させ、あわせてプラスチックから気化してくる可塑剤
や離型剤などを封じ込めることを試みた。この試みはあ
る程度成功し、イオンプレーティング被膜の剥離やヒビ
われとか、添加剤の悪影響などは防げたが、表面処理製
品は、美観の点で不満足なものであった。期待した鮮や
かな色彩の製品ができず、くすんだ色彩のものしか得ら
れなかったのである。
ク成形品の表面に硬化樹脂塗料を塗布し、これを硬化さ
せてハードコート層を形成し、粗いプラスチック成形品
表面のレべリングをはかるとともに、比較的柔らかいプ
ラスチックと硬いイオンプレーティング被膜との間を調
和させ、あわせてプラスチックから気化してくる可塑剤
や離型剤などを封じ込めることを試みた。この試みはあ
る程度成功し、イオンプレーティング被膜の剥離やヒビ
われとか、添加剤の悪影響などは防げたが、表面処理製
品は、美観の点で不満足なものであった。期待した鮮や
かな色彩の製品ができず、くすんだ色彩のものしか得ら
れなかったのである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、プラ
スチック成形品の表面を、イオンプレーティングにより
被覆する技術を改良し、高い表面硬さを有するとともに
美麗な外観をもった製品を提供すること、およびその製
造方法を提供することにある。
スチック成形品の表面を、イオンプレーティングにより
被覆する技術を改良し、高い表面硬さを有するとともに
美麗な外観をもった製品を提供すること、およびその製
造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の表面処理を施し
たプラスチック成形品は、図1に模式的に示したよう
に、プラスチック成形品(1)の上に、ハードコート層
(3)、金属蒸着膜層(4)およびスパッタリングを伴
うイオンプレーティングによる金属または金属化合物の
層(5)を順に設けてなる。
たプラスチック成形品は、図1に模式的に示したよう
に、プラスチック成形品(1)の上に、ハードコート層
(3)、金属蒸着膜層(4)およびスパッタリングを伴
うイオンプレーティングによる金属または金属化合物の
層(5)を順に設けてなる。
【0012】プラスチック成形品(1)とハードコート
層(3)との間には、両者の密着を助ける材料のプライ
マー層(2)を設けてもよい。
層(3)との間には、両者の密着を助ける材料のプライ
マー層(2)を設けてもよい。
【0013】上記の表面処理を施したプラスチック成形
品を製造する本発明の方法は、プラスチック成形品の表
面にハードコート層を形成し、その上に金属の蒸着を行
って蒸着膜を形成したのち、イオンプレーティングによ
り金属または金属化合物の層を設けることからなる。
品を製造する本発明の方法は、プラスチック成形品の表
面にハードコート層を形成し、その上に金属の蒸着を行
って蒸着膜を形成したのち、イオンプレーティングによ
り金属または金属化合物の層を設けることからなる。
【0014】
【発明の実施形態】本発明の表面処理を適用する成形品
をつくるプラスチックとして、耐熱温度が低いものは、
処理中に成形品が変形するおそれがあるから不適当であ
る。この点に留意する限り、任意のものを選択できる
が、好適なプラスチックを挙げれば、各種ポリオレフィ
ン、ポリスチレン、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリカ
ーボネートおよびポリアミドのような熱可塑性樹脂であ
る。所望であれば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリ
コーン樹脂のような硬化樹脂もまた使用できる。成形技
術にも制約はなく、射出成形、押出成形など任意であ
る。
をつくるプラスチックとして、耐熱温度が低いものは、
処理中に成形品が変形するおそれがあるから不適当であ
る。この点に留意する限り、任意のものを選択できる
が、好適なプラスチックを挙げれば、各種ポリオレフィ
ン、ポリスチレン、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリカ
ーボネートおよびポリアミドのような熱可塑性樹脂であ
る。所望であれば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリ
コーン樹脂のような硬化樹脂もまた使用できる。成形技
術にも制約はなく、射出成形、押出成形など任意であ
る。
【0015】ハードコート層を構成する材料は、基材の
プラスチックとの親和性を主に考慮して決定する。本発
明にとって好適なものの例を挙げれば、加熱、風乾また
は紫外線により硬化するウレタン樹脂、シリコーン樹脂
およびアクリル樹脂などである。前記したプライマー層
の使用は、基材とハードコート層との密着を助けるとい
う観点から、好ましいものである。
プラスチックとの親和性を主に考慮して決定する。本発
明にとって好適なものの例を挙げれば、加熱、風乾また
は紫外線により硬化するウレタン樹脂、シリコーン樹脂
およびアクリル樹脂などである。前記したプライマー層
の使用は、基材とハードコート層との密着を助けるとい
う観点から、好ましいものである。
【0016】ハードコートおよびプライマーに関して
は、従来から、プラスチック成形品の表面の耐擦傷性を
高める目的で、さまざまなハードコート剤とプライマー
剤が開発され、使用されているから、それらの中から適
宜選択すればよい。たとえば、特開平7−133441
号は、プラスチックレンズに適したプライマーとしてオ
レフィン系オリゴマーを主体とするものを使用し、その
上にシリコーン系ハードコート剤を塗布し、加熱硬化さ
せることを提案している。
は、従来から、プラスチック成形品の表面の耐擦傷性を
高める目的で、さまざまなハードコート剤とプライマー
剤が開発され、使用されているから、それらの中から適
宜選択すればよい。たとえば、特開平7−133441
号は、プラスチックレンズに適したプライマーとしてオ
レフィン系オリゴマーを主体とするものを使用し、その
上にシリコーン系ハードコート剤を塗布し、加熱硬化さ
せることを提案している。
【0017】ハードコート層は、場合によっては2層ま
たはそれ以上の多層を重ねることもできる。たとえば、
とくに丈夫な表面を形成したい場合には、外側のハード
コートを硬くし、それを支える内側のハードコートは比
較的やわらかで、基材のプラスチックとのなじみがよい
ものを選んで組み合わせるといった変更態様である。ハ
ードコート層の厚さは(多層の場合は合計の厚さで)、
少なくとも1μmは必要であり、3μm以上あることが
好ましい。通常、100μmを超える厚さは不要である
が、プラスチック成形品の表面状態によっては、厚いハ
ードコート層により平滑な表面を得ることが有利な場合
もある。
たはそれ以上の多層を重ねることもできる。たとえば、
とくに丈夫な表面を形成したい場合には、外側のハード
コートを硬くし、それを支える内側のハードコートは比
較的やわらかで、基材のプラスチックとのなじみがよい
ものを選んで組み合わせるといった変更態様である。ハ
ードコート層の厚さは(多層の場合は合計の厚さで)、
少なくとも1μmは必要であり、3μm以上あることが
好ましい。通常、100μmを超える厚さは不要である
が、プラスチック成形品の表面状態によっては、厚いハ
ードコート層により平滑な表面を得ることが有利な場合
もある。
【0018】金属蒸着膜層は、イオンプレーティングに
より金属または金属化合物の被膜を生成させるとき、ハ
ードコート層に直接金属イオンが衝突すると、そのエネ
ルギーが大きいためにハードコート層内に侵入して、プ
レーティング被膜の組成が金属または金属化合物の組成
と異なるものになる。換言すれば、金属または金属化合
物とプラスチックとが混在したものになり、これが、被
膜がくすんだ色になる原因と考えられる。蒸着膜は、基
材の表面を金属の層が一面に被覆したものであるから、
金属イオンの衝撃を受け止め、その表面に金属または金
属化合物の整然とした被覆が行なわれることを可能にす
るわけである。
より金属または金属化合物の被膜を生成させるとき、ハ
ードコート層に直接金属イオンが衝突すると、そのエネ
ルギーが大きいためにハードコート層内に侵入して、プ
レーティング被膜の組成が金属または金属化合物の組成
と異なるものになる。換言すれば、金属または金属化合
物とプラスチックとが混在したものになり、これが、被
膜がくすんだ色になる原因と考えられる。蒸着膜は、基
材の表面を金属の層が一面に被覆したものであるから、
金属イオンの衝撃を受け止め、その表面に金属または金
属化合物の整然とした被覆が行なわれることを可能にす
るわけである。
【0019】このような金属蒸着膜を構成する金属とし
ては、Ti,Cr,Ta,Al,VおよびZrからえら
んだ1種または2種以上のものが適切である。一般に
は、上記の作用を前提にすれば、イオンプレーティング
を構成する金属成分と同じものが好ましい。同じであれ
ば、金属蒸着膜とイオンプレーティング層との密着性を
高く得ることができる。金属蒸着膜の層の厚さは、少な
くとも0.01μmなければならないが、1μmを超え
る必要はない。
ては、Ti,Cr,Ta,Al,VおよびZrからえら
んだ1種または2種以上のものが適切である。一般に
は、上記の作用を前提にすれば、イオンプレーティング
を構成する金属成分と同じものが好ましい。同じであれ
ば、金属蒸着膜とイオンプレーティング層との密着性を
高く得ることができる。金属蒸着膜の層の厚さは、少な
くとも0.01μmなければならないが、1μmを超え
る必要はない。
【0020】本発明に従ってイオンプレーティング層を
構成する金属または金属化合物は、ひとつは表面処理製
品に望む表面物性によって、いまひとつは色彩によっ
て、種類を選択すべきである。好適な例は、TiN(金
色),TiC(黒色)、および(TiAl)−N(ブラ
ウン)であって、それぞれカッコ内に記載した色彩を呈
する。層の厚さは、表面物性の向上を確実にするために
は、少なくとも0.1μm欲しいが、一般に5μmまで
の厚さがあれば十分である。
構成する金属または金属化合物は、ひとつは表面処理製
品に望む表面物性によって、いまひとつは色彩によっ
て、種類を選択すべきである。好適な例は、TiN(金
色),TiC(黒色)、および(TiAl)−N(ブラ
ウン)であって、それぞれカッコ内に記載した色彩を呈
する。層の厚さは、表面物性の向上を確実にするために
は、少なくとも0.1μm欲しいが、一般に5μmまで
の厚さがあれば十分である。
【0021】本発明の表面処理したプラスチック成形品
の製造方法を構成する諸工程のうち、プラスチック成形
品の用意とハードコート層の形成は、(プライマーの利
用を含めて)プラスチック加工の分野において、またそ
れに続く金属蒸着膜の形成とイオンプレーティングによ
る被膜の形成は、真空表面処理の分野において、それぞ
れ既知の技術に従って、既存の設備を使用して実施する
ことができる。
の製造方法を構成する諸工程のうち、プラスチック成形
品の用意とハードコート層の形成は、(プライマーの利
用を含めて)プラスチック加工の分野において、またそ
れに続く金属蒸着膜の形成とイオンプレーティングによ
る被膜の形成は、真空表面処理の分野において、それぞ
れ既知の技術に従って、既存の設備を使用して実施する
ことができる。
【0022】イオンプレーティングに用いる装置として
は、100℃以下の低温操業が可能な、スパッタリング
を利用するイオンプレーティング装置が、対象とするプ
ラスチックに制約を受けず有利である。しかし、それ以
外のイオンプレーティング装置(Ti,Crなどの蒸発
物質にエネルギーを与えて蒸発させる方式、たとえばア
ーク放電、イオンガン、ホローカソード方式のもの)で
あっても、蒸発物質とイオンプレーティングを受ける物
体との距離を離して、低温で処理できるようにした装置
であれば、本発明の実施に使用することができる。
は、100℃以下の低温操業が可能な、スパッタリング
を利用するイオンプレーティング装置が、対象とするプ
ラスチックに制約を受けず有利である。しかし、それ以
外のイオンプレーティング装置(Ti,Crなどの蒸発
物質にエネルギーを与えて蒸発させる方式、たとえばア
ーク放電、イオンガン、ホローカソード方式のもの)で
あっても、蒸発物質とイオンプレーティングを受ける物
体との距離を離して、低温で処理できるようにした装置
であれば、本発明の実施に使用することができる。
【0023】
【実施例】ABS樹脂の射出成形により、乗用車のフロ
ントグリルにとりつけるエンブレム形状の成形品を製造
した。これを、プライマー剤として用意したポリウレタ
ン樹脂塗料液(日本エーアールシー(株)製)に浸漬
し、引き上げて自然流下により液切りし、室温で風乾
後、50℃に60分間加熱して硬化させた。膜厚は0.
5μmであった。続いて、ハードコート剤として用意し
た紫外線硬化型シリコン樹脂塗料(日本エーアールシー
(株)製)を、膜厚10μmとなるように塗布し、紫外
線照射により乾燥硬化させた。
ントグリルにとりつけるエンブレム形状の成形品を製造
した。これを、プライマー剤として用意したポリウレタ
ン樹脂塗料液(日本エーアールシー(株)製)に浸漬
し、引き上げて自然流下により液切りし、室温で風乾
後、50℃に60分間加熱して硬化させた。膜厚は0.
5μmであった。続いて、ハードコート剤として用意し
た紫外線硬化型シリコン樹脂塗料(日本エーアールシー
(株)製)を、膜厚10μmとなるように塗布し、紫外
線照射により乾燥硬化させた。
【0024】このようにして得たハードコート成形品の
表面に、スパッタリングによりTiの厚さ0.1μmの
蒸着膜を形成した。続いて、下記の条件でイオンプレー
ティングを行ない、厚さ0.5μmのTiNの被膜を設
けた。
表面に、スパッタリングによりTiの厚さ0.1μmの
蒸着膜を形成した。続いて、下記の条件でイオンプレー
ティングを行ない、厚さ0.5μmのTiNの被膜を設
けた。
【0025】 反応ガス:窒素 ターゲット(蒸発源):Ti 炉内温度:80℃ 処理時間:60分間 光沢のある金色をした、豪華な外観のエンブレムが得ら
れた。一般に製品表面硬度の指標として採用されている
鉛筆硬度を調べたところ、クロムメッキ品がHであるの
に対し、本発明の実施品では2Hの値が得られた。これ
は、硬質クロムメッキの表面硬度がHv600〜800
であるのに対し、TiN膜のそれは少なくともHv10
00を超えるという事実と符合するものである。別に落
球試験を行ない、小さな衝撃に対する堅牢さをチェック
したところ、このエンブレムは十分に実用に耐えるもの
であった。
れた。一般に製品表面硬度の指標として採用されている
鉛筆硬度を調べたところ、クロムメッキ品がHであるの
に対し、本発明の実施品では2Hの値が得られた。これ
は、硬質クロムメッキの表面硬度がHv600〜800
であるのに対し、TiN膜のそれは少なくともHv10
00を超えるという事実と符合するものである。別に落
球試験を行ない、小さな衝撃に対する堅牢さをチェック
したところ、このエンブレムは十分に実用に耐えるもの
であった。
【0026】
【発明の効果】本発明によれば、プラスチック成形品の
表面の平滑度をとりたてて高める努力たとえば金型のク
ロムメッキをしないで製造したものであっても、ハード
コートおよび金属蒸着の各層を重ねた上にイオンプレー
ティングを行ない、金属または金属化合物の被膜を形成
することにより、十分な表面硬さとともに、被膜の金属
または金属化合物が本来もっている美麗な色彩の、光沢
表面またはツヤ消し表面をもった表面処理プラスチック
成形品がえられる。
表面の平滑度をとりたてて高める努力たとえば金型のク
ロムメッキをしないで製造したものであっても、ハード
コートおよび金属蒸着の各層を重ねた上にイオンプレー
ティングを行ない、金属または金属化合物の被膜を形成
することにより、十分な表面硬さとともに、被膜の金属
または金属化合物が本来もっている美麗な色彩の、光沢
表面またはツヤ消し表面をもった表面処理プラスチック
成形品がえられる。
【図1】 本発明の表面処理したプラスチック成形品に
ついて、表面の層構成を示す模式的な断面図。
ついて、表面の層構成を示す模式的な断面図。
1 プラスチック成形品 2 プライマー層 3 ハードコート層 4 金属蒸着層 5 イオンプレーティングによる金属または金属化合
物の層
物の層
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C23C 14/06 C23C 14/06 Q 14/20 14/20 A // C08L 101:00 C08L 101:00 Fターム(参考) 4D075 AE03 BB85Y CA02 CB02 CB04 DB31 DC38 EB22 EB38 EB43 4F006 AA12 AA15 AA22 AA34 AA36 AA37 AA38 AA42 AB24 AB37 AB39 AB73 BA02 BA14 DA01 DA04 4K029 AA11 BA01 BA03 BA07 BA16 BA17 BA54 BA58 BA60 BB02 BC02 CA03 EA01 FA07
Claims (7)
- 【請求項1】 プラスチック成形品の上に、ハードコー
ト層、金属蒸着膜層およびイオンプレーティングによる
金属または金属化合物の層を順に設けてなる表面処理を
施したプラスチック成形品。 - 【請求項2】 プラスチックが、ポリオレフィン、ポリ
スチレン、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネー
トおよびポリアミドから選んだ熱可塑性樹脂、またはウ
レタン樹脂、エポキシ樹脂およびシリコン樹脂からえら
んた硬化樹脂である請求項1のプラスチック成形品。 - 【請求項3】 ハードコート層を構成する材料が、加
熱、風乾または紫外線により硬化するウレタン樹脂、シ
リコーン樹脂およびアクリル樹脂から選んだものであ
り、層の厚さが1〜100μmである請求項1のプラス
チック成形品。 - 【請求項4】 金属蒸着膜層を構成する金属が、Ti,
Cr,Ta,Al,VおよびZrからえらんだ1種また
は2種以上のものであり、層の厚さが0.01〜1μm
である請求項1のプラスチック成形品。 - 【請求項5】 イオンプレーティング層を構成する金属
または金属化合物が、Ti,Cr,Ta,Al,Vおよ
びZrからえらんだ1種または2種以上の金属またはそ
の窒化物、炭化物もしくは窒化炭化物であり、層の厚さ
が0.05〜5μmである請求項1のプラスチック成形
品。 - 【請求項6】 プラスチック成形品の上に、そのプラス
チックとハードコート層との密着を助ける材料のプライ
マー層を設けた請求項1ないし5のプラスチック成形
品。 - 【請求項7】 プラスチック成形品の表面にハードコー
ト層を形成し、その上に金属の蒸着を行って蒸着膜を形
成したのち、イオンプレーティングにより金属または金
属化合物の層を設けることからなる、表面処理を施した
プラスチック成形品の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28856399A JP2001106816A (ja) | 1999-10-08 | 1999-10-08 | プラスチック成形品の表面処理 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28856399A JP2001106816A (ja) | 1999-10-08 | 1999-10-08 | プラスチック成形品の表面処理 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001106816A true JP2001106816A (ja) | 2001-04-17 |
Family
ID=17731881
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP28856399A Pending JP2001106816A (ja) | 1999-10-08 | 1999-10-08 | プラスチック成形品の表面処理 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2001106816A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007308795A (ja) * | 2006-04-17 | 2007-11-29 | Shincron:Kk | 有色基材の製造方法および有色基材 |
JP2008504994A (ja) * | 2004-07-02 | 2008-02-21 | レーアウ アクチエンゲゼルシヤフト ウント コンパニー | ポリマーのための多重層の層構造体 |
JP2015535312A (ja) * | 2012-10-23 | 2015-12-10 | エーリコン・サーフェス・ソリューションズ・アーゲー・トリューバッハ | 埋込みpvd層で被覆されたプラスチック素材 |
KR101616908B1 (ko) * | 2009-12-24 | 2016-05-02 | 재단법인 포항산업과학연구원 | 플라즈마를 이용한 건식 금속 코팅 방법 |
-
1999
- 1999-10-08 JP JP28856399A patent/JP2001106816A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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