[go: up one dir, main page]

JP2001064744A - スピニング加工に適した高強度アルミニウム合金板およびその製造方法 - Google Patents

スピニング加工に適した高強度アルミニウム合金板およびその製造方法

Info

Publication number
JP2001064744A
JP2001064744A JP24282299A JP24282299A JP2001064744A JP 2001064744 A JP2001064744 A JP 2001064744A JP 24282299 A JP24282299 A JP 24282299A JP 24282299 A JP24282299 A JP 24282299A JP 2001064744 A JP2001064744 A JP 2001064744A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
spinning
rolled
rolling
sheet
recrystallized
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP24282299A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazumitsu Mizushima
一光 水嶋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Light Metal Co Ltd
Original Assignee
Nippon Light Metal Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Light Metal Co Ltd filed Critical Nippon Light Metal Co Ltd
Priority to JP24282299A priority Critical patent/JP2001064744A/ja
Publication of JP2001064744A publication Critical patent/JP2001064744A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Shaping Metal By Deep-Drawing, Or The Like (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 自動車等のホイールリムやパラボラアンテ
ナ、鏡板や鍋、釜などの円筒状、カップ状ないし椀型等
の製品を得るに適したスピニング加工性に優れた高強度
アルミニウム合金板の提供およびその好ましい製造方法
を確立する。 【構成】 Mg:2.4〜3.0wt%,Mn:0.5〜1.0wt%,
Cr:0.05〜0.20wt%を含有し、残部が実質的にアル
ミニウムからなるアルミニウム合金圧延板であって、該
圧延板は再結晶しており、しかも圧延板の圧延方向に平
行な直角断面の再結晶粒径が円相当径で100μm 以下
とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はスピニング加工に適
した高強度アルミニウム合金板およびその製造方法に係
り、自動車等のホイールリムやパラボラアンテナ、鏡板
や鍋、釜などの円筒状、カップ状ないし椀型等の製品を
得るためのスピニング加工性に優れた高強度アルミニウ
ム合金板を提供し、また該合金板の好ましい製造方法を
確立しようとするものである。
【0002】
【従来の技術】円筒状、カップ状ないし椀型などのスピ
ニング加工は図1に示すように軸を中心として回転する
所定形状の成形型1に被加工材としての圧延板3を板押
え4で押さえ込み、成形型1の軸方向にそって移動する
ロール2を移動させて被加工材たる前記圧延板3を所望
形状に成形させるものである。なおこの場合の成形型1
として代表的なリム形状の例は図2に示す断面図の如く
である。
【0003】ところで上記したようなスピニング加工は
図1に示したような成形型1を中心として成立し、別段
大きな設備を準備しなくても加工でき、しかもアルミニ
ウム合金は成形性が良好で圧延板から塑性加工したもの
は靱性が高く、成形体の厚さを薄くできて軽量化が図れ
るところから、上述したような製品の多くはアルミニウ
ム合金圧延板をスピニング加工して製造されている。即
ち例えば、自動車等のホイールリムはリム加工後熱処理
によって強度を付与すると熱処理後に歪み矯正等の工程
を必要とし製造工程が煩雑となるので、スピニング加工
用リム合金としては非熱処理型のMgを2.5wt%程度含有
するA5052を用いることが一般的であった。しかし
近年は更に強度が求められるようになり、A5052に
更にMnを0.7wt%程度含有したA5454が使用される
ようになってきた。
【0004】また、特開昭61−163251号公報に
はMgを2.0wt%、Mnを0.6wt%含有するリム用アルミニ
ウム圧延板の製造方法が開示されている。即ち同公報の
記述によれば、上記組成の鋳塊を450℃の温度に加熱
し12時間保持して均質化処理を行い、ついで熱間圧延
により所定の板厚に圧延するスピニング加工性の優れた
板の製造方法、および同組成の鋳塊を530℃の温度に
加熱し12時間保持して均質化処理を行い、ついで熱間
圧延により所定の板厚に圧延し、しかる後340℃の温
度で2時間保持して軟質化するスピニング加工性の優れ
た板の製造方法が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前記したA5052は
鋳塊を480℃に2時間保持する均質化処理を施した後
熱間圧延、冷間圧延、必要によって中間焼鈍を施した後
最終焼鈍を施して軟質化した厚さ5mm程度のリム用板を
製造している。しかしこのようなA5052の板製造条
件でA5454板材を製造したのではスピニング加工に
満足できる板材とはならない。
【0006】また、前記したA5454圧延板を上記し
たような短時間の均質化処理を施す製造方法で製造した
圧延板は、加工時に成形体の加工面に回転軸に直角方向
に微細な割れが生じ、また長時間保持の均質化処理を施
す製造方法で製造した圧延板は、加工時に成形体の加工
面に肌荒れを生ずる問題点があった。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は上記したような
従来技術における課題を解消することについて検討を重
ねて創案されたものであって、微細な割れ発生および肌
荒れの生じないA5454のスピニング加工用板および
熱処理時間が短くて生産性の良好な該スピニング加工用
板の製造方法を提供することに成功したものであって、
以下の如くである。
【0008】(1) Mg:2.4〜3.0wt%, Mn:0.5〜
1.0wt%,Cr:0.05〜0.20wt%を含有し、残部が実
質的にアルミニウムからなるアルミニウム合金圧延板で
あって、該圧延板は再結晶しており、しかも圧延板の圧
延方向に平行な直角断面の再結晶粒径が円相当径で10
0μm 以下であることを特徴とするスピニング加工に適
した高強度アルミニウム合金板。
【0009】(2) Mg:2.4〜3.0wt%, Mn:0.5〜
1.0wt%,Cr:0.05〜0.20wt%を含有し、更に、T
i:0.005〜0.20wt%もしくは Ti:0.005〜0.
20wt%およびB:0.0005〜0.02wt%を含有し、
残部がAlと不純物からなるアルミニウム合金圧延板であ
って、該圧延板は再結晶しており、しかも圧延板の圧延
方向に平行な直角断面の再結晶粒径が円相当径で100
μm 以下であることを特徴とするスピニング加工に適し
た高強度アルミニウム合金板。
【0010】(3) Mg:2.4〜3.0wt%, Mn:0.5〜
1.0wt%,Cr:0.05〜0.20wt%を含有し、残部が実
質的にアルミニウムからなるアルミニウム合金鋳塊を4
10〜470℃の温度に保持して第1の析出処理を施
し、更に加熱して500〜550℃の温度に保持して第
2の析出処理を施した後、熱間圧延を380℃以上の温
度で終了し、次に冷間圧延して所望の板厚とし、あるい
は冷間圧延の中間で焼鈍処理を施した後、最終の焼鈍処
理を施すに際して最終焼鈍処理前における冷間圧延の合
計圧延率を25%以上としたことを特徴とするスピニン
グ加工に適した高強度アルミニウム合金板の製造方法。
【0011】即ち、発明者らは上記したような目的を達
成するために割れ発生の原因を検討した結果、スピニン
グ加工時の微細な割れの発生は、最終焼鈍して軟質化処
理した板の芯部に再結晶していない繊維状の加工組織が
残り、板の延性が低下し、あるいは表層が大きく加工を
受け、表面に割れが生じ易くなったものと推測された。
また肌荒れは表面組織が粗大晶からなると、スピニング
加工によって結晶粒界が変形し、粗大晶が目視で確認で
きるようになって平滑性を失った表面状態になるためと
推定された。これらの推測結果を基に板がどのようなも
のであればスピニング加工時に割れの発生および肌荒れ
の発生が防げるか検討した結果、板全体の結晶組織が微
細再結晶粒であるとスピニング加工時に微割れの発生お
よび肌荒れの発生が防げること、またこのような板全体
の結晶組織を微細再結晶粒とするには添加した含有Mnを
十分に析出させれば最終焼鈍処理で微細再結晶粒とする
ことができることなどを見いだし本発明を完成したもの
である。
【0012】上記したアルミニウム合金板の発明は、M
g:2.4〜3.0wt%、Mn:0.5〜1.0wt%、Cr:0.05
〜0.20wt%を含有し、残部が実質的にアルミニウムか
ら成り、必要により鋳造組織の微細化剤、即ちTi:0.0
05〜0.20wt%、もしくはTi:0.005〜0.20wt%
およびB:0.0005〜0.02wt%を含有するアルミニ
ウム合金圧延板であって、該圧延板は再結晶しており、
しかも圧延板の圧延方向に平行な直角断面の再結晶粒径
が円相当径で100μm 以下であることを特徴とするも
のである。つまり圧延板の圧延方向に平行な直角断面の
再結晶粒径を円相当径で100μm 以下とすることによ
りスピニング加工時における微割れの発生および肌荒れ
の発生が防げる。
【0013】また本発明における製造法の発明は上記し
たように、Mg:2.4〜3.0wt%、Mn:0.5〜1.0wt%、
Cr:0.05〜0.20wt%を含有し、残部が実質的にアル
ミニウムからなるアルミニウム合金鋳塊を、410〜4
70℃の温度に保持して第一の析出処理を施し、更に加
熱して500〜550℃の温度に保持して第二の析出処
理した後、熱間圧延を380℃以上の温度で終了し、次
に冷間圧延して所望の板厚とし、あるいは冷間圧延の中
間で焼鈍処理を施した後、最終の焼鈍処理を施すに際し
て、最終焼鈍処理前の冷間圧延の合計圧延率を25%以
上とすることを特徴とするスピニング加工に適した高強
度アルミニウム合金板の製造方法である。二段の析出処
理を施し、熱間圧延を高温で終了し、最終焼鈍処理前に
おける冷間圧延の合計圧延率を特定値以上とすることに
より板全体の組織を微細再結晶粒とすることができ、し
かも熱処理時間短く製造することができる。
【0014】次に上記したような本発明における合金組
成について説明すると以下の如くである。 Mg:2.4〜3.0wt%。 Mgはアルミニウムに対する固溶量が高く、従ってスピニ
ング加工で強度付与が容易とするために添加するもので
ある。また添加量高くしても板製造に支障少なく好まし
い元素であって、下限値未満では固溶量過少で強度付与
が十分でなく、上限値を超えると固溶量過多となり、Mn
の含有と相まってスピニング加工時に強度が高くなり、
形状によって高加工度の箇所でしわ乃至割れが発生し易
くなって好ましくない。またMgの偏析による応力腐食割
れが生じ易く上限値を超える添加は何れにしても好まし
くない。
【0015】Mn:0.5〜1.0wt%。 MnはMgを2.4〜3.0wt%含有したAl−Mg合金に強度を付
与するために添加するものである。この強度付与はアル
ミニウムに対するMnの固溶によるところもあるが、主体
はMnを含有する金属間化合物による析出分散型の強度付
与である。下限値未満では析出量が少なくて強度不足と
なる。上限値を超えると析出量過多となり、Mgの含有と
相まってスピニング加工時に強度高くなり形状によって
高加工度の箇所でしわ乃至割れが発生し易くなって好ま
しくない。また上限値を超える最終焼鈍処理で再結晶さ
せ難く粗大再結晶粒組織となってスピニング加工し難く
して好ましくない。
【0016】Cr:0.05〜0.20wt%。 CrはMnと相まってMnと同様の効果を持ち、Mgを2.4〜3.
0wt%含有したAl−Mg合金の強度付与と、再結晶粒を微
細化するために添加するものである。下限値未満ではそ
れらの効果が不十分であり、上限値を超えると最終焼鈍
で再結晶させ難く粗大再結晶粒組織となってスピニング
加工し難くして好ましない。
【0017】残部実質的にアルミニウムとは、必要によ
り次の如き元素を含有しているアルミニウムであるとい
う意味である。即ち本発明の効果をもたらす主元素が前
述のMg、Mn、Crであるところ、これらの元素以外の他の
元素として特に本発明の効果を妨げる程度には含有しな
い有意または不純物の元素を含有しているAlという意味
である。即ち圧延用の鋳塊を鋳造するに際しては、急冷
鋳造して鋳塊が鋳造割れを生じないように有意な元素を
添加する。このような元素は例えば代表的にはTiの0.0
05〜0.20wt%、Bの0.0005〜0.02wt%、Zrの
0.005〜0.20wt%の1種または2種以上を添加含有
させるが、特にこれらの元素は本発明の効果を妨げるも
のではなく、必要により添加する元素である。また溶湯
の溶製および鋳造に際してMg含有量の多い合金ではMgの
酸化防止のために通常添加される0.0002〜0.02%
のBe添加は本発明の効果を妨げるものではなく、同様に
必要により添加してもよい元素である。
【0018】また不純物元素としてはアルミニウム地金
および返り材等から混入してくる元素でSi,Fe,Cu,N
i,Zn,Ga,V等があり、Siの0.25wt%以下、Feの0.
40wt%以下、Cuの0.10wt%以下、Niの0.05wt%以
下、Znの0.25wt%以下、Gaの0.05wt%以下、Vの0.
05wt%以下は本発明において許容される含有量であ
る。特にFeは後述する如く、Al−Fe−Mnを形成させ、Mn
を化合物の形態で析出させるために含有されている必要
があり、その下限値を0.10wt%とする。
【0019】Ti:0.005〜0.20wt%もしくはTi:0.
005〜0.20wt%およびB:0.005〜0.02wt% TiもしくはTiおよびBは、上述の鋳造組織を微細化する
ための一般的な元素であって、その含有量は夫々上記し
た通りであり、急冷鋳造して鋳塊が鋳造割れを生じる虞
のあるような場合は添加することが好ましい。
【0020】また本発明の合金板は、板の芯部において
まで再結晶粒であって、しかもその寸法が圧延板の図3
に示す如き圧延方向に平行な直角断面の再結晶粒径が円
相当径で100μm 以下であると、従来のA5052板
よりも強度が高いにもかかわらず、スピニング加工にお
いて板内部まで均質に加工を受け、加工に際して表面の
微細な割れを生じない。この円相当径で100μm を超
えた再結晶粒径が存在すると、均質な加工を妨げ、加工
に際して粗大な再結晶粒が目視的に顕在化し所謂肌荒れ
現象を生じ、あるいはその粒界が割れる等の障害を生じ
て好ましくない。
【0021】次に本発明の製造方法について説明する
と、上述したような組成に調整したアルミニウム合金溶
湯を水冷鋳型を用いて急冷凝固させて圧延用鋳塊をDC
鋳造する。このDC鋳造法は急冷であるため合金元素を
固溶するが、本発明に係る合金元素の内Mnの固溶は最終
焼鈍における再結晶化を妨げるので、前記圧延用鋳塊を
第一の析出処理とし410〜470℃の温度に保持して
固溶しているMnをAl−Fe−Mn系の金属間化合物として析
出させる。これは鋳塊中のMnを不純物として含有してい
るFeと反応させMnを十分に析出させようとするものであ
って、加熱保持温度が下限値未満であるとAl−Fe−Mn系
金属間化合物の析出が不十分で、爾後の熱処理、熱間圧
延を経ても、冷間圧延後の最終焼鈍処理において微細な
再結晶粒を得ることができない。また加熱保持温度が上
限値を超えると、Al−Fe−Mn系金属間化合物の最適析出
温度条件を外れ、Al−Fe−Mn系金属間化合物の析出が不
十分で、爾後の熱処理、熱間圧延を経ても、冷間圧延後
の最終焼鈍において微細な再結晶粒を得ることができな
い。好ましい析出処理温度は410〜460℃、更に好
ましい析出処理温度は420〜450℃である。この処
理の保持時間は好ましくは0.5時間以上であって上限は
限定されないが工業的には4時間であり、4時間を超え
ても析出効果はそれほど向上しない。熱処理時間を長く
するとエネルギー経済的に不利となる。この第一の析出
処理で析出したAl−Fe−Mn系金属間化合物は、爾後の第
二の析出処理で再固溶するが、爾後の熱間圧延条件で再
析出し易く、結果として本発明の好ましい効果をもたら
す。
【0022】次に更に連続加熱して第二の析出処理とし
て500〜550℃の温度に保持して固溶しているMnを
Al−Mnの金属間化合物として析出させる。加熱保持温度
が下限値未満であるとAl−Mn金属間化合物の析出が不十
分で、爾後の熱間圧延を経ても、冷間圧延後の最終焼鈍
処理において微細な再結晶粒を得ることができない。ま
た加熱保持温度が上限値を超えると、Al−Mn金属間化合
物の最適析出温度条件を外れ、Al−Mn金属間化合物の析
出が不十分で、爾後の熱間圧延を経ても、冷間圧延後の
最終焼鈍において微細な再結晶粒を得ることができな
い。好ましい析出処理温度は515〜535℃である。
この処理の保持時間は好ましくは0.5時間以上であっ
て、上限は特定されないが工業的には2時間であり、2
時間を超えても析出効果はそれほど向上しない。また熱
処理時間を長くするとエネルギー経済的に不利となる。
【0023】第一の析出処理までの加熱速度は特に限定
するものではないが、アルミニウムの熱伝達と伝導速度
において、急速に加熱し過ぎて、鋳塊の表層と内部の温
度差が大きくなり、表層においてバーニングを生じ部分
的溶解を生じさせなければ限定するものではないが、速
きに過ぎるとバーニングを起こすので、通常は45℃/
時間以下の加熱速度で加熱する。遅きに過ぎると生産性
を低下させるので30℃/hr以上が好ましい。第二の析
出処理温度までの加熱速度も特に限定するものではない
が、温度が既に高くバーニングを起こし易いので、通常
は20℃/時間以下の加熱速度で加熱する。遅きに過ぎ
ると生産性を低下させるので10℃/時間以上が好まし
い。
【0024】第一の析出処理および第二の析出処理を経
た鋳塊は、爾後熱間圧延する。熱間圧延は第二の析出処
理の温度近傍、好ましくは480℃の温度以上で開始す
るのが好ましい。また熱間圧延は380℃の温度以上で
終了させる必要がある。これは熱間圧延の間および熱間
終了後に第一の析出処理で析出させたAl−Fe−Mn系金属
間化合物を再析出させる必要があるからである。熱間圧
延終了温度が380℃未満であると熱間圧延中および熱
延終了後にAl−Fe−Mn系金属間化合物として析出するMn
量が少なく、析出させ得なかった分固溶してしまい、爾
後の処理で微細均一な再結晶粒が得られないからであ
る。
【0025】熱間圧延の終了時における板厚は本発明に
おいては特に限定する必要はないが、コイル状に巻き取
る場合は通常12mm以下であり、製品板厚が4〜6mmで
あるとして爾後の最終冷間圧延率を考慮すると、6mm以
上であって適宜好ましい板厚を選択する。
【0026】熱間圧延を380℃以上で終了させた厚さ
12〜6mmの熱間圧延終了板は、次に冷間圧延して所望
の板厚とし、あるいは冷間圧延の中間で焼鈍を施した
後、最終焼鈍処理を施す。最終焼鈍処理前の最終冷間圧
延の合計圧延率を25%以上とするが、これは板に適度
の歪み量を蓄積させ最終焼鈍処理で冷間圧延板を再結晶
化し板の芯部においてまで再結晶粒とし、しかもその寸
法が圧延板の圧延方向に平行な直角断面において円相当
径で100μm 以下であって、板全体を微細均一な再結
晶粒組織とするためである。この最終の合計冷間圧延率
が下限値未満であると粗大な再結晶粒が発生し微細均一
組織が得られず、スピニング加工で均一な加工を妨げ粗
大な再結晶粒が目視的に顕在化し所謂肌荒れを生じ、あ
るいはその粒界が割れる等の障害を生じて好ましくな
い。好ましい最終冷間圧延率は30%以上である。最終
焼鈍は再結晶させるための処理であって、320℃以
上、好ましくは330℃以上の温度で1時間以上好まし
くは2時間以上保持させる。
【0027】
【実施例】本発明によるものの具体的な実施例を比較例
と共に示すと、先ず本発明者等の用いた圧延板のAl以外
の組成は次の表1に示す如くである。
【0028】
【表1】
【0029】即ち、前記表1における合金番号1〜3は
本発明例であり、合金番号4はA5052相当の比較例
であるが、この表1に示した合金番号1〜3のものは厚
さ560mmのDC鋳塊における表面8mmを面削し、次の
表2に記載の如く処理した。
【0030】
【表2】
【0031】即ち、第1の析出処理として430〜45
0℃の温度に保持し、更に第2の析出処理として515
〜535℃の温度に保持し、次に熱間圧延を500℃の
温度で開始し、熱間圧延終了温度を380〜410℃で
終了し、最終冷間圧延の合計圧延率を30〜40%で行
い6mm厚の板とした。次にこの最終冷間圧延板を340
℃の温度で最終焼鈍処理を行った。これらの製造工程を
表2に示す。次にこのようにして得られた最終焼鈍処理
板について、再結晶粒径、電気伝導度、引張強度、伸び
およびスピニング加工性をそれぞれ測定した結果は次の
表3に示す如くである。
【0032】
【表3】
【0033】なお上記した再結晶粒径およびスピニング
加工性は次のような方法によって測定した。 再結晶粒径 圧延方向に平行な断面を、画像解析装置を用いて円相当
径として測定した。 スピニング加工性 前述した図1に示す如き装置を用い、板を成形型に板抑
えで抑え下記条件で加工した。加工終了後板の表面を目
視観察し、割れ発生の有無および肌荒れの有無を目視で
判別した。 成形型寸法:250mmφ 板寸法:6mm×350mmφ 成形型回転数:300rpm ロール送り速度:600mm/分 ロールと成形型の間隔:5mm 潤滑油なし
【0034】上記したような本発明の実施例に対し比較
例として次の表4に示すような試料番号6〜11の試料
を準備した。即ちこれらの試料番号4〜11のものは前
記した表1に示した合金番号2および4のものを採用
し、厚さ560mmのDC鋳塊を前記した本発明実施例の
ものと同じ量面削し、試料番号4および5のものは前述
した表2、試料番号6〜11は表4記載の如く処理し
た。
【0035】
【表4】
【0036】上記のようにして得られた試料については
前述した本発明の実施例と同一事項を同じ条件で測定し
たが、このようにして得られた比較例たる試料番号6〜
11の結果は次の表5に示す如くである。
【0037】
【表5】
【0038】即ち、本発明実施例の結果を示した前記表
3と比較例の結果を示したこの表5の結果によるならば
試料番号6はA5052で強度が低いことが確認でき
る。即ち表3の結果によれば本発明例(試料番号1,
2,3)のものは比較例である試料番号6で示すA50
52のものと比較して強度が高く、再結晶粒径が100
μm 以下と微細均一で、スピニング加工時微細な割れが
発生せず、肌荒れなくスピニング加工性の良好なことが
明かである。
【0039】また均質化処理の保持時間が短い試料番号
7,8および10の比較例のものは芯部に未再結晶部分
が残り、スピニング加工時に微細な割れが発生しスピニ
ング加工性の劣ることが明かである。なお熱延ままの比
較例(試料番号9)のものは表面は微細再結晶粒である
が焼鈍処理を受けないので中央芯部は熱延で伸びた未再
結晶粒であり、スピニング加工時に微細な割れが発生
し、スピニング加工性に劣ることがこの点においても明
かである。
【0040】更に均質化処理の保持時間が長い試料番号
11の比較例のものは全体が再結晶粒となっても本発明
の如き最終冷間圧延が施されていないので再結晶粒径が
大きく、肌荒れを生じスピニング加工性が悪いことが理
解される。また熱延終了温度が本発明の条件から外れる
比較例(試料番号4)は、芯部に未再結晶部分が残り、
スピニング加工時に微細な割れが発生しスピニング加工
性の悪いことが判る。なお最終冷間圧延率が本発明の条
件から外れる比較例(試料番号5)は、再結晶粒径が大
きく肌荒れが生じてスピニング加工性の悪いことが理解
される。
【0041】
【発明の効果】以上説明したような本発明によるときは
板の芯部まで微細な再結晶粒組織で、しかも強度の高い
試料を提供し、またその好ましい製造法を提供するもの
で、スピニング加工性に優れた材料を得しめて、自動車
等の車輌用ホイールリム、パラボラアンテナ、鏡板、
鍋、釜などの円筒状、カップ状ないし椀形などの各種製
品を確実に製造せしめ、またそうした用途に供される高
強度アルミニウム合金板を熱処理時間が短かく生産性に
優れた条件下で的確に生産し提供し得るものであるから
工業的にその効果の大きい発明である。
【図面の簡単な説明】
【図1】スピニング加工の状態を示した断面的説明図で
ある。
【図2】図1に示したものにおける成形型としてホイー
ル成形型の1例についての断面図である。
【図3】本発明でいう再結晶粒径の測定位置を示した説
明図である。
【符号の説明】
1 軸を中心として回転する成形型 2 成形型の軸方向に移動させる加工ロール 3 被加工材(板) 4 板押え
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年9月6日(1999.9.6)
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正内容】
【図2】
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C22F 1/00 630 C22F 1/00 630A 630K 684 684B 686 686Z 691 691B 694 694A 694B

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Mg:2.4〜3.0wt%, Mn:0.5〜1.0
    wt%,Cr:0.05〜0.20wt%を含有し、残部が実質的
    にアルミニウムからなるアルミニウム合金圧延板であっ
    て、該圧延板は再結晶しており、しかも圧延板の圧延方
    向に平行な直角断面の再結晶粒径が円相当径で100μ
    m 以下であることを特徴とするスピニング加工に適した
    高強度アルミニウム合金板。
  2. 【請求項2】 Mg:2.4〜3.0wt%, Mn:0.5〜1.0
    wt%,Cr:0.05〜0.20wt%を含有し、更に、 Ti:0.005〜0.20wt%もしくは Ti:0.005〜0.
    20wt%およびB:0.0005〜0.02wt%を含有し、
    残部がAlと不純物からなるアルミニウム合金圧延板であ
    って、該圧延板は再結晶しており、しかも圧延板の圧延
    方向に平行な直角断面の再結晶粒径が円相当径で100
    μm 以下であることを特徴とするスピニング加工に適し
    た高強度アルミニウム合金板。
  3. 【請求項3】 Mg:2.4〜3.0wt%, Mn:0.5〜1.0
    wt%,Cr:0.05〜0.20wt%を含有し、残部が実質的
    にアルミニウムからなるアルミニウム合金鋳塊を410
    〜470℃の温度に保持して第1の析出処理を施し、更
    に加熱して500〜550℃の温度に保持して第2の析
    出処理を施した後、熱間圧延を380℃以上の温度で終
    了し、次に冷間圧延して所望の板厚とし、あるいは冷間
    圧延の中間で焼鈍処理を施した後、最終の焼鈍処理を施
    すに際して最終焼鈍処理前における冷間圧延の合計圧延
    率を25%以上としたことを特徴とするスピニング加工
    に適した高強度アルミニウム合金板の製造方法。
JP24282299A 1999-08-30 1999-08-30 スピニング加工に適した高強度アルミニウム合金板およびその製造方法 Pending JP2001064744A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP24282299A JP2001064744A (ja) 1999-08-30 1999-08-30 スピニング加工に適した高強度アルミニウム合金板およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP24282299A JP2001064744A (ja) 1999-08-30 1999-08-30 スピニング加工に適した高強度アルミニウム合金板およびその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001064744A true JP2001064744A (ja) 2001-03-13

Family

ID=17094819

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP24282299A Pending JP2001064744A (ja) 1999-08-30 1999-08-30 スピニング加工に適した高強度アルミニウム合金板およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001064744A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2011096178A1 (ja) * 2010-02-02 2011-08-11 ワシ興産株式会社 鍛造ビレット、軽金属製ホイール及びそれらの製造方法
EP2703508A1 (de) * 2012-08-28 2014-03-05 Hydro Aluminium Rolled Products GmbH Gegen interkristalline Korrosion beständige Aluminiumlegierung
CN107904457A (zh) * 2017-12-11 2018-04-13 天津忠旺铝业有限公司 一种高性能5454‑o/h111状态铝合金板材的制备工艺
CN116159916A (zh) * 2022-12-19 2023-05-26 北京卫星制造厂有限公司 一种大厚度5b70密封舱体的高性能旋压成形方法

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5625955A (en) * 1979-08-06 1981-03-12 Sumitomo Light Metal Ind Ltd Manufacture of structural aluminum alloy having superior strength and formability
JPS61163251A (ja) * 1985-01-11 1986-07-23 Kobe Steel Ltd スピニング加工性の優れた自動車ホイ−ル用Al−Mg系合金の製造法
JPS6289852A (ja) * 1985-09-24 1987-04-24 Kobe Steel Ltd 焼付硬化性に優れたアルミニウム合金板の製造法
JPH0257655A (ja) * 1988-08-24 1990-02-27 Sumitomo Light Metal Ind Ltd 表面処理特性にすぐれた成形用アルミニウム合金板材の製造方法
JPH073372A (ja) * 1993-06-17 1995-01-06 Sky Alum Co Ltd 耐応力腐食割れ性高強度アルミニウム合金板およびその製造方法
JPH07197172A (ja) * 1993-12-29 1995-08-01 Shinko Alcoa Yuso Kizai Kk スピニング成形性に優れるホイールリム用Al−Mg系合金及びその製造方法
JP2000080431A (ja) * 1998-09-02 2000-03-21 Kobe Steel Ltd プレス成形性に優れるAl―Mg系合金板

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5625955A (en) * 1979-08-06 1981-03-12 Sumitomo Light Metal Ind Ltd Manufacture of structural aluminum alloy having superior strength and formability
JPS61163251A (ja) * 1985-01-11 1986-07-23 Kobe Steel Ltd スピニング加工性の優れた自動車ホイ−ル用Al−Mg系合金の製造法
JPS6289852A (ja) * 1985-09-24 1987-04-24 Kobe Steel Ltd 焼付硬化性に優れたアルミニウム合金板の製造法
JPH0257655A (ja) * 1988-08-24 1990-02-27 Sumitomo Light Metal Ind Ltd 表面処理特性にすぐれた成形用アルミニウム合金板材の製造方法
JPH073372A (ja) * 1993-06-17 1995-01-06 Sky Alum Co Ltd 耐応力腐食割れ性高強度アルミニウム合金板およびその製造方法
JPH07197172A (ja) * 1993-12-29 1995-08-01 Shinko Alcoa Yuso Kizai Kk スピニング成形性に優れるホイールリム用Al−Mg系合金及びその製造方法
JP2000080431A (ja) * 1998-09-02 2000-03-21 Kobe Steel Ltd プレス成形性に優れるAl―Mg系合金板

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2011096178A1 (ja) * 2010-02-02 2011-08-11 ワシ興産株式会社 鍛造ビレット、軽金属製ホイール及びそれらの製造方法
JP2011177785A (ja) * 2010-02-02 2011-09-15 Washi Kosan Co Ltd 鍛造ビレット、軽金属製ホイール及びそれらの製造方法
EP2703508A1 (de) * 2012-08-28 2014-03-05 Hydro Aluminium Rolled Products GmbH Gegen interkristalline Korrosion beständige Aluminiumlegierung
WO2014033048A1 (de) * 2012-08-28 2014-03-06 Hydro Aluminium Rolled Products Gmbh Gegen interkristalline korrosion beständige aluminiumlegierung
RU2634822C2 (ru) * 2012-08-28 2017-11-03 Гидро Алюминиум Ролд Продактс Гмбх Алюминиевый сплав, устойчивый к межкристаллитной коррозии
US10113222B2 (en) 2012-08-28 2018-10-30 Hydro Aluminium Rolled Products Gmbh Aluminium alloy which is resistant to intercrystalline corrosion
CN107904457A (zh) * 2017-12-11 2018-04-13 天津忠旺铝业有限公司 一种高性能5454‑o/h111状态铝合金板材的制备工艺
CN107904457B (zh) * 2017-12-11 2019-11-19 天津忠旺铝业有限公司 一种高性能5454-o/h111状态铝合金板材的制备工艺
CN116159916A (zh) * 2022-12-19 2023-05-26 北京卫星制造厂有限公司 一种大厚度5b70密封舱体的高性能旋压成形方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0097319B1 (en) A cold-rolled aluminium-alloy sheet for forming and process for producing the same
WO2005056859A1 (ja) ベークハード性およびヘム加工性に優れたAl-Mg-Si合金板の製造方法
EP0480402B1 (en) Process for manufacturing aluminium alloy material with excellent formability, shape fixability and bake hardenability
JPH07197219A (ja) 成形用アルミニウム合金板材の製造方法
JP4229307B2 (ja) 耐応力腐食割れ性に優れた航空機ストリンガー用アルミニウム合金板およびその製造方法
JP2002348625A (ja) 温間成形性に優れたアルミニウム合金板およびその製造法
JP5059505B2 (ja) 高強度で成形が可能なアルミニウム合金冷延板
JPH0931616A (ja) 成形性に優れたAl−Mg−Si系合金板とその製造方法
JP2004027253A (ja) 成形加工用アルミニウム合金板およびその製造方法
JP2001032031A (ja) 耐応力腐食割れ性に優れた構造材用アルミニウム合金板
JP3605662B2 (ja) 容器用アルミニウム箔
CN113474479A (zh) 由铝合金制造板材或带材的方法和由此制成的板材、带材或成形件
JP2001020027A (ja) 耐食性および成形性に優れたAl−Mg−Si−Cu系合金板とその製造方法
JP2001064744A (ja) スピニング加工に適した高強度アルミニウム合金板およびその製造方法
JP2004263253A (ja) 缶胴用アルミニウム合金硬質板およびその製造方法
JP3867569B2 (ja) 容器用アルミニウム箔およびその製造方法
JPH11350058A (ja) 成形性及び焼き付け硬化性に優れるアルミニウム合金板及びその製造方法
JP2521330B2 (ja) 高成形性アルミニウム合金硬質板の製造法
JP3201783B2 (ja) 強度と成形性に優れたアルミニウム合金硬質板の製造方法
JP2895510B2 (ja) 成形用アルミニウム合金材の製造方法
JPH10259441A (ja) 高速超塑性成形性に優れ且つ成形後のキャビティの少ないアルミニウム合金板およびその製造方法
JPH0860283A (ja) Di缶胴用アルミニウム合金板およびその製造方法
JPH11256291A (ja) 缶胴用アルミニウム合金板の製造方法
JP4479114B2 (ja) スピニング加工用アルミニウム合金厚板の製造方法
JP4226208B2 (ja) 微細結晶により強化されたAl−Mn−Mg系合金焼鈍板およびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20031224

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20040330