[go: up one dir, main page]

JP2001064540A - 透明導電性被膜形成用塗布液、透明導電性被膜付基材および表示装置 - Google Patents

透明導電性被膜形成用塗布液、透明導電性被膜付基材および表示装置

Info

Publication number
JP2001064540A
JP2001064540A JP24296799A JP24296799A JP2001064540A JP 2001064540 A JP2001064540 A JP 2001064540A JP 24296799 A JP24296799 A JP 24296799A JP 24296799 A JP24296799 A JP 24296799A JP 2001064540 A JP2001064540 A JP 2001064540A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
conductive film
transparent conductive
forming
fine particles
coating liquid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP24296799A
Other languages
English (en)
Inventor
Tsuguo Koyanagi
柳 嗣 雄 小
Michio Komatsu
松 通 郎 小
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JGC Catalysts and Chemicals Ltd
Original Assignee
Catalysts and Chemicals Industries Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Catalysts and Chemicals Industries Co Ltd filed Critical Catalysts and Chemicals Industries Co Ltd
Priority to JP24296799A priority Critical patent/JP2001064540A/ja
Publication of JP2001064540A publication Critical patent/JP2001064540A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Non-Insulated Conductors (AREA)
  • Surface Treatment Of Optical Elements (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)
  • Shielding Devices Or Components To Electric Or Magnetic Fields (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】102〜104Ω/□程度の低い表面抵抗を有
し、帯電防止性、反射防止性および電磁遮蔽性に優れる
とともに、表面の平坦性・均一性、基材との密着性、耐
薬品性等にも優れ、さらには外観にも優れた透明導電性
被膜が形成可能な透明導電性被膜形成用塗布液を提供す
る。 【解決手段】本発明に係る透明導電性被膜形成用塗布液
は金属微粒子と硫黄化合物と極性溶媒とを含むものであ
る。硫黄化合物としては、二硫化炭素、メルカプト基を
有する有機化合物、メルカプト基を有するシラン系化合
物および/またはこれらの加水分解縮重合物から選ばれ
る1種以上の硫黄化合物が挙げられる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、透明導電性被膜形成用塗
布液および該透明導電性被膜形成用塗布液を用いた透明
導電性被膜付基材および該基材を備えた表示装置に関す
る。
【0002】
【発明の技術的背景】従来より、陰極線管、蛍光表示
管、液晶表示板などの表示パネルの透明基材表面には、
表面帯電防止および反射防止を目的として、帯電防止機
能および反射防止機能を有する透明被膜を形成すること
が行われていた。ところで、陰極線管などから放出され
る電磁波が人体に及ぼす影響が、最近問題にされてお
り、従来の帯電防止、反射防止に加えてこれらの電磁波
および電磁波の放出に伴って形成される電磁場を遮蔽す
ることが望まれている。
【0003】これらの電磁波などを遮蔽する方法の一つ
として、陰極線管などの表示パネルの表面に電磁波遮断
用の導電性被膜を形成する方法がある。ところが、単に
帯電防止用導電性被膜であれば表面抵抗が少なくとも1
7Ω/□程度の表面抵抗を有していれば充分であるの
に対し、電磁遮蔽用の導電性被膜では102〜104Ω/
□のような低い表面抵抗を有することが必要であった。
【0004】このような表面抵抗の低い導電性被膜を、
従来のSbドープ酸化錫またはSnドープ酸化インジウム
のような導電性酸化物を含む塗布液を用いて形成しよう
とすると、従来の帯電防止性被膜の場合よりも膜厚を厚
くする必要があった。導電性被膜の膜厚は、10〜20
0nm程度にしないと反射防止効果は発現しないため、膜
厚を厚くしてしまうと、反射防止効果が低減してしま
い、このため従来のSbドープ酸化錫またはSnドープ酸
化インジウムのような導電性酸化物では、表面抵抗が低
く、電磁波遮断性に優れるとともに、反射防止にも優れ
た導電性被膜を得ることが困難であるという問題があっ
た。
【0005】また、低表面抵抗の導電性被膜を形成する
方法の一つとして、Agなどの金属微粒子を含む導電性
被膜形成用塗布液を用いて基材の表面に金属微粒子含有
被膜を形成する方法も知られている。この方法では、金
属微粒子含有被膜形成用塗布液として、コロイド状の金
属微粒子が極性溶媒に分散したものが用いられ、このよ
うな塗布液では、コロイド状金属微粒子の分散性を向上
させるために、金属微粒子表面がポリビニルアルコー
ル、ポリビニルピロリドンまたはゼラチンなどの有機系
安定剤で表面処理されている。
【0006】しかしながら、このような金属微粒子含有
被膜形成用塗布液を用いて形成された導電性被膜は、被
膜中で金属微粒子同士が安定剤を介して接触するため、
粒界抵抗が大きく、被膜の表面抵抗が低くならないこと
があった。このため、製膜後、400℃程度の高温で焼
成して安定剤を分解除去することが必要となるが、安定
剤の分解除去をするため高温で焼成すると、金属微粒子
同士の融着や凝集が起こり、導電性被膜の透明性やへー
ズが低下するという問題があった。また、陰極線管など
の場合は、高温に晒すと劣化してしまうという問題もあ
った。
【0007】また従来のAgなどの金属微粒子を含む透
明導電性被膜では、金属が酸化されたり、イオン化によ
る粒子成長したり、また場合によっては腐食が発生する
ことがあり、塗膜の導電性や光透過率が低下し、表示装
置が信頼性を欠くという問題があった。また、特開平10
-204336号公報には、銀などの金属微粒子の表面を、金
属硫黄化合物によって被覆することで、微粒子の安定性
を向上させることが開示されている。しかしながら、金
属微粒子表面がこれら金属硫黄化合物で被覆されたもの
では、透明導電性被膜を形成したときに、被膜の導電性
が必ずしも満足しうるものではなかった。さらにまた、
このような従来から使用されてきた塗布液では、金属微
粒子の安定性が不十分であるために、経時的に塗膜形成
性が低下し、塗膜表面の平坦性・均一性、基材との密着
性、被膜の耐薬品性等が劣ることもあった。とくに、従
来の塗布液を使用した場合では、塗膜表面に筋状の凹凸
がなく外観に優れた塗膜を形成することは困難であり、
すなわち製造信頼性に劣るという問題があった。
【0008】
【発明の目的】本発明は、上記のような従来技術の問題
点を解決し、102〜104Ω/□程度の低い表面抵抗を
有し、帯電防止性、反射防止性および電磁遮蔽性に優れ
るとともに、表面の平坦性・均一性、基材との密着性、
耐薬品性等にも優れ、さらには外観にも優れた透明導電
性被膜を形成しうる透明導電性被膜形成用塗布液を提供
することを目的としている。
【0009】
【発明の概要】本発明に係る透明導電性被膜形成用塗布
液は、金属微粒子と硫黄化合物と極性溶媒とを含むこと
を特徴としている。前記硫黄化合物は、二硫化炭素、メ
ルカプト基を有する有機化合物、メルカプト基を有する
シラン系化合物および/またはこれらの加水分解縮重合
物から選ばれる1種以上の硫黄化合物であることが好ま
しい。
【0010】このような硫黄化合物は、塗布液中の硫黄
化合物と金属微粒子との重量比(硫黄化合物/金属微粒
子)が、0.005〜0.5となるように含まれている
ことが好ましい。本発明に係る透明導電性被膜形成用塗
布液には、有機系安定剤、前記金属微粒子以外の導電性
微粒子、マトリックス形成成分を含有していてもよい。
【0011】本発明に係る透明導電性被膜付基材は、基
材と、該基材表面に前記透明導電性被膜形成用塗布液を
塗布・乾燥して形成された透明導電性被膜と、該透明導
電性被膜表面に形成された透明導電性被膜より屈折率の
低い透明被膜とからなることを特徴としている。本発明
に係る透明導電性被膜付材の製造方法は、上記記載の透
明導電性被膜形成用塗布液を基材上に塗布し、乾燥して
透明導電性被膜を形成したのち、該透明導電性被膜上に
透明被膜形成用塗布液を塗布して該透明導電性被膜より
も屈折率の低い透明被膜を形成することを特徴としてい
る。
【0012】また本発明に係る表示装置は、前記方法で
製造された透明導電性被膜付基材によって構成される前
面板を備え、透明導電性被膜が該前面板の外表面に形成
されていることを特徴としている。
【0013】
【発明の具体的説明】以下、本発明について具体的に説
明する。透明導電性被膜形成用塗布液 まず、本発明に係る透明導電性被膜形成用塗布液につい
て説明する。本発明に係る透明導電性被膜形成用塗布液
は、金属微粒子と極性溶媒とともに硫黄化合物硫黄化合
物を含むことを特徴としている。 [金属微粒子]金属微粒子としては、従来公知の金属微
粒子を用いることができ、このような金属微粒子は、単
一成分の金属から構成されていても、また2種以上の金
属成分を含んでいてもよい。
【0014】前記2種以上の金属成分を含む場合、金属
成分は、固溶状態にある合金であっても、固溶状態にな
い共晶体であってもよく、合金と共晶体が共存していて
もよい。このような複合金属微粒子は、金属の酸化やイ
オン化が抑制されるため、複合金属微粒子の粒子成長等
が抑制され、複合金属微粒子の耐腐食性が高く、導電
性、光透過率の低下が小さいなど信頼性に優れている。
このような金属微粒子としては、Au、Ag、Pd、Pt、
Rh、Ru、Cu、Fe、Ni、Co、Sn、Ti、In、Al、
Ta、Sbなどの金属から選ばれる金属微粒子が挙げられ
る。また、複合金属微粒子としては、Au、Ag、Pd、
Pt、Rh、Ru、Cu、Fe、Ni、Co、Sn、Ti、In、
Al、Ta、Sbなどの金属から選ばれる少なくとも2種
以上の金属からなる複合金属微粒子が挙げられる。特に
好ましい2種以上の金属の組合せとしては、Au-Cu、
Ag-Pt、Ag-Pd、Au-Pd、Au-Rh、Pt-Pd、Pt-
Rh、Fe-Ni、Ni-Pd、Fe-Co、Cu-Co、Ru-Ag、
Au-Cu-Ag、Ag-Cu-Pt、Ag-Cu-Pd、Ag-Au-P
d、Au-Rh-Pd、Ag-Pt-Pd、Ag-Pt-Rh、Fe-Ni-
Pd、Fe-Co-Pd、Cu-Co-Pdなどが挙げられる。
【0015】また、Au、Ag、Pd、Pt、Rh、Cu、C
o、Sn、In、Taなどの金属を含む金属微粒子を用いる
場合は、これらの金属の一部が酸化状態にあってもよ
く、該金属の酸化物を含んでいてもよい。さらに、Pや
B原子が該金属に結合していてもよい。このような金属
微粒子は、たとえば特開平10−188681号公報に
記載された以下のような方法によって得ることができ
る。
【0016】(i)アルコール・水混合溶媒中で、1種の
または2種以上の金属塩を還元する方法。このとき2種
以上の金属塩を使用する場合は、2種以上の金属塩を同
時にあるいは別々に還元してもよい。なお、必要に応じ
て還元剤を添加してもよい。還元剤としては、硫酸第1
鉄、クエン酸3ナトリウム、酒石酸、水素化ホウ素ナト
リウム、次亜リン酸ナトリウムなどが挙げられる。反応
時には、圧力容器中で約100℃以上の温度で加熱処理
してもよい。 (ii)単一成分金属微粒子または合金微粒子の分散液に、
該金属微粒子または合金微粒子よりも標準水素電極電位
が高い金属の微粒子またはイオンを存在させて、金属微
粒子または/および合金微粒子上に標準水素電極電位が
高い金属を析出させる方法。こうして得られた複合金属
微粒子上に、さらに標準水素電極電位が高い金属を析出
させてもよい。
【0017】なお、標準水素電極電位の高い金属は、複
合金属微粒子表面層に多く存在していることが好まし
い。このように、標準水素電極電位の最も高い金属が複
合金属微粒子の表面層に多く存在すると、複合金属微粒
子の酸化およびイオン化が抑えられ、イオンマイグレー
ション等による粒子成長の抑制が可能となる。さらに、
このような複合金属微粒子は、耐腐食性が高いので、導
電性、光透過率の低下が抑制することができる。
【0018】本発明で使用される金属微粒子の平均粒径
は、1〜200nm、好ましくは2〜70nmの範囲にある
ことが望ましい。金属微粒子の平均粒径が200nmを越
えると、金属による光の吸収が大きくなり、粒子層の光
透過率が低下するとともにへーズが大きくなる。このた
め被膜付基材を陰極線管の前面板として用いたときに、
表示画像の解像度が低下することがある。また、金属微
粒子の平均粒径が1nm未満の場合には粒子層の表面抵抗
が急激に大きくなるため、本発明の目的を達成しうる程
度の低抵抗値を有する被膜を得ることができないことも
ある。
【0019】[硫黄化合物]本発明で用いられる硫黄化合
物としては、硫黄原子を含んでいるものであれば特に制
限されるものではないが、特に、二硫化炭素(C
2)、メルカプト基を有する有機化合物、メルカプト
基を有するシラン系化合物および/またはこれらの加水
分解縮重合物から選ばれる1種以上の硫黄化合物が好ま
しい。
【0020】メルカプト基を有する有機化合物として
は、メタンチオール(CH3SH)、
【0021】
【化1】
【0022】などが挙げられる。また、メルカプト基を
有するシラン系化合物としては、下記式(1)で表され
る化合物、該化合物の部分加水分解物、加水分解物、こ
れら加水分解物の縮重合物を用いることができる。
【0023】
【化2】
【0024】(式中、R'はビニル基、アリール基、ア
クリル基、炭素数1〜8のアルキル基、水素原子または
ハロゲン原子であり、Rはビニル基、アリール基、アク
リル基、炭系数1〜8のアルキル基、−C24OCa
2a+1(a=1〜4)または水素原子であり、また、nは
0以上の整数であり、mは0、1、2または3の整数で
ある。) 具体的には、メルカプトメチルジエトキシシラン(HS
-Si(CH3)(OC25)2)、メルカプトメチルトリメト
キシシラン(HS-CH2-Si(OCH3)3)、メルカプト
メチルトリメチルシラン(HS-CH2-Si(CH3)(OC
3)2)、2-メルカプトエチルジメトキシト゛(HS-C2
4-Si(CH3)(OCH3)2)、3-メルカプトプロピルメ
チルジメトキシシラン(HS-C36-Si(CH3)3)、3
-メルカプトプロピルトリエトキシシラン(HS-C36
-Si(OC25)3)、3-メルカプトプロピルトリメトキ
シシラン(HS-C36-Si(OCH3)3)等が挙げられ
る。
【0025】以上のような硫黄化合物は、塗布液中で、
前記した金属微粒子表面に、一部が吸着していてもよ
い。金属微粒子の表面にこのような硫黄化合物の吸着は
たとえば以下のようにして行われる。 水と相溶性のある有機溶剤に硫黄化合物を溶解させ、
これを金属微粒子の水分散液に添加する。
【0026】水と相溶性のない有機溶剤に硫黄化合物
を溶解させ、この溶液を金属微粒子の水分散液と混合
し、振蕩して金属微粒子を有機溶媒へ分配させる。 金属微粒子の水分散液に硫黄化合物を添加し、攪拌し
ながら金属微粒子の凝集物を生成させ、この凝集物を濾
過分離した後、有機溶媒に再度分散させる。 このような硫黄化合物は、金属微粒子との吸着性が高
く、しかも脱離しにくいので、この硫黄化合物の存在に
よって、金属微粒子同士の凝集が抑制されているので、
金属微粒子を塗布液中で安定に分散させることができ
る。このように安定に分散した金属微粒子は、塗布後の
乾燥時に溶媒が蒸発して濃縮される場合であっても安定
に分散しているために、乾燥時に乾燥ムラが生じること
がなく、このため筋状の凹凸が発生することがないので
平坦性に優れた被膜を形成することができる。したがっ
てこのような塗布液は製造安定性に優れている。
【0027】なお従来より使用されてきた透明導電性被
膜形成用塗布液にも、金属微粒子の安定性を向上させる
ため、安定化剤が添加されていたが、使用されていた安
定化剤は比較的分子量が小さく、しかも硫黄分を含んで
いないので、金属微粒子との吸着性が弱く、金属微粒子
の安定性を向上させる効果が充分ではなかった。このよ
うに、硫黄化合物を存在(吸着)させることによって、
硫黄化合物の分散安定性が向上する理由は、明確ではな
いものの、金属微粒子に硫黄化合物が吸着することによ
って、金属微粒子のゼータ電位が低下して、分散安定化
すると推察される。さらに加えて、基材表面が、塗布液
中に含まれている硫黄化合物によって清浄化されるた
め、基材表面と塗布液とのなじみがよくなり、ムラのな
い平坦な被膜が形成できるものと推察される。
【0028】[極性溶媒]本発明に透明導電性被膜形成
用塗布液で用いられる極性溶媒としては、水;メタノー
ル、エタノール、プロパノール、ブタノール、ジアセト
ンアルコール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフ
ルフリルアルコール、エチレングリコール、ヘキシレン
グリコール、1-エトキシ-2-プロパノールなどのアルコ
ール類;酢酸メチルエステル、酢酸エチルエステルなど
のエステル類;ジエチルエーテル、エチレングリコール
モノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエ
ーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエ
チレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリ
コールモノエチルエーテルなどのエーテル類;アセト
ン、メチルエチルケトン、アセチルアセトン、アセト酢
酸エステルなどのケトン類などが挙げられる。これらは
単独で使用してもよく、また2種以上混合して使用して
もよい。
【0029】本発明では、使用される透明導電性被膜形
成用塗布液中に、金属微粒子が、0.01〜5重量%、
好ましくは0.05〜2重量%の量で含まれていること
が望ましい。また、硫黄化合物は、塗布液中の硫黄化合
物/金属微粒子の重量比が0.005〜0.5、好ましく
は0.01〜0.2の範囲となるように含まれているこ
とが望ましい。
【0030】重量比が0.01未満であると、塗布液の
安定性、被膜表面の平坦性、密着性を向上する効果が得
られないことがある。また、重量比が0.5を越えると
得られる被膜の導電性が低下する傾向がある。本発明に
係る透明導電性被膜形成用塗布液には、上記金属微粒子
以外の導電性微粒子が含まれていてもよい。
【0031】金属微粒子以外の導電性微粒子としては、
公知の透明導電性無機酸化物微粒子あるいは微粒子カー
ボンなどを用いることができる。透明導電性無機酸化物
微粒子としては、たとえば酸化錫、Sb、FまたはPが
ドーピングざれた酸化錫、酸化インジウム、Snまたは
Fがドーピングされた酸化インジウム、酸化アンチモ
ン、低次酸化チタンなどが挙げられる。
【0032】これら金属微粒子以外の導電性微粒子の平
均粒径は、1〜200nm、好ましくは2〜150nmの範
囲にあることが好ましい。このような導電性微粒子は、
前記金属微粒子1重量部当たり、4重量部以下の量で含
まれていればよい。導電性微粒子が4重量部を超える場
合は、導電性が低下し電磁波遮蔽効果が低下することが
あるので好ましくない。
【0033】このような導電性微粒子を含有すると、金
属微粒子のみで透明導電性微粒子層を形成した場合と比
較して、より透明性に優れた透明導電性微粒子層を形成
することができる。また導電性微粒子を含有することに
よって、安価に透明導電性被膜付基材を製造することが
できる。本発明に係る透明導電性被膜形成用塗布液に
は、被膜形成後の導電性微粒子のバインダーとして作用
するマトリックス形成成分が含まれていてもよい。この
ようなマトリックス形成成分としては、シリカ、シリカ
系複合酸化物、ジルコニア、酸化アンチモンから選ばれ
る1種または2種以上の酸化物の前駆体からなるものが
好ましく、特に、アルコキシシランなどの有機ケイ素化
合物の加水分解縮重合物またはアルカリ金属ケイ酸塩水
溶液を脱アルカリして得られるケイ酸縮重合物が好まし
く用いられる。この他、塗料用樹脂などを用いることも
できる。
【0034】このマトリックス形成成分は、前記金属微
粒子1重量部当たり、0.01〜0.5重量部、好ましく
は0.03〜0.3重量部の量で含まれていればよい。ま
た、本発明では金属微粒子の分散性を向上させるため、
透明導電性被膜形成用塗布液中に有機系安定剤が含まれ
ていてもよい。このような有機系安定剤として具体的に
は、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロ
リドン、ヒドロキシプロピルセルロース、シュウ酸、マ
ロン酸、コハク酸、グルタール酸、アジピン酸、セバシ
ン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、クエン酸など
の多価カルボン酸およびその塩、複素環化合物あるいは
これらの混合物などが挙げられる。
【0035】このような有機系安定剤は、金属微粒子1
重量部に対し、0.005〜0.5重量部、好ましくは
0.01〜0.2重量部含まれていればよい。なお、有機
系安定剤の量が0.005重量部未満の場合は十分な分
散性が得られず、0.5重量部を越えて高い場合は導電
性が阻害されることがある。本発明に係る透明導電性被
膜形成用塗布液は、塗布液中に存在するアルカリ金属イ
オン、アンモニウムイオンおよび多価金属イオン、鉱酸
などの無機陰イオン、酢酸、蟻酸などの有機陰イオン
で、粒子から遊離したイオン濃度の合計量が、塗布液中
の固形分100g当たり10ミリモル以下の量であるこ
とが望ましい。特に鉱酸などの無機陰イオンは、金属微
粒子の安定性、分散性を阻害するので、塗布液中に含ま
れる量は低いほど好ましい。イオン濃度が低くなると、
透明導電性被膜形成用塗布液中に含まれている粒状成
分、特に導電性微粒子の分散状態が良好となり、凝集粒
子をほとんど含んでいない塗布液が得られる。この塗布
液中での粒状成分の単分散状態は、透明導電性微粒子層
の形成過程でも維持される。このため、イオン濃度の低
い透明導電性被膜形成用塗布液から透明導電性被膜を形
成すると、該被膜中に凝集粒子は観察されない。
【0036】また上記のようなイオン濃度の低い透明導
電性被膜形成用塗布液から形成された透明導電性被膜で
は金属微粒子などの導電性微粒子を良好に分散され、か
つ配列されているので、透明導電性被膜中で導電性微粒
子が凝集している場合に比較して、より少ない導電性微
粒子で同等の導電性を有する透明導電性被膜を形成する
ことが可能である。さらに粒状成分同士の凝集に起因す
ると思われる点欠陥および厚さむらのない透明導電性微
粒子層を基材上に形成することが可能である。
【0037】上記のようなイオン濃度の低い塗布液を得
るための脱イオン処理の方法は、最終的に塗布液中に含
まれているイオン濃度が上記のような範囲になるような
方法であれば特に制限されないが、好ましい脱イオン処
理の方法としては、塗布液の原料として用いられる粒状
成分の分散液、または前記分散液から調製された塗布液
を陽イオン交換樹脂および/または陰イオン交換樹脂と
接触させる方法、あるいはこれらの液を限外濾過膜など
により洗浄処理する方法などが挙げられる。
【0038】透明導電性被膜付基材 本発明に係る透明導電性被膜付基材は、基材と、前記記
載の透明導電性被膜形成用塗布液を基材表面に塗布・乾
燥して形成された透明導電性被膜と、該透明導電性被膜
表面に形成された透明導電性被膜より屈折率の低い透明
被膜とからなる。
【0039】本発明に用いられる基材としては、ガラ
ス、プラスチック、セラミックなどからなるフィルム、
シートあるいはその他の成形体などの基材が挙げられ
る。金属微粒子としては、前記と同様のものが挙げられ
る。透明導電性被膜の膜厚は、3〜200nm、好ましく
は5〜150nmの範囲にあることが好ましく、この範囲
の膜厚であれば電磁遮蔽効果に優れた透明導電性被膜付
基材を得ることができる。
【0040】本発明に係る透明導電性被膜付基材では、
前記透明導電性被膜の上に、前記透明導電性被膜よりも
屈折率の低い透明被膜が形成されている。形成される透
明被膜の膜厚は、20〜300nm、好ましくは40〜2
00nmの範囲にあることが好ましい。このような透明被
膜としては、屈折率が透明導電性被膜より低いものであ
れば特に制限されるものではなく、たとえば、シリカ、
チタニア、ジルコニアなどの無機酸化物、およびこれら
の複合酸化物などから形成される。本発明では、透明被
膜として、特に加水分解性有機ケイ素化合物の加水分解
縮重合物、またはアルカリ金属ケイ酸塩水溶液を脱アル
カリして得られるケイ酸縮重合物からなるシリカ系被膜
が好ましい。
【0041】このような透明被膜が形成された透明導電
性被膜付基材は、反射防止性能に優れている。また、上
記透明被膜中には、必要に応じて、フッ化マグネシウム
などの低屈折率材料で構成された微粒子、染料、顔料な
どの添加剤を含まれていてもよい。このような本発明に
係る透明導電性被膜付基材は、まず、前記記載の透明導
電性被膜形成用塗布液を基材上に塗布し、乾燥して透明
導電性被膜を形成したのち、次いで、該透明導電性被膜
上に透明被膜形成用塗布液を塗布して前記透明導電性被
膜よりも屈折率の低い透明被膜を形成することによって
製造される。
【0042】透明導電性被膜形成用塗布液の塗布方法と
しては、ディッピング法、スピナー法、スプレー法、ロ
ールコーター法、フレキソ印刷法などの方法が挙げら
れ、これらの方法によって基材上に透明導電性被膜形成
用塗布液を塗布したのち、常温〜約90℃の範囲の温度
で乾燥する。透明導電性被膜形成用塗布液中に上記のよ
うなマトリックス形成成分が含まれている場合には、マ
トリックス形成成分の硬化処理を行ってもよい。
【0043】硬化処理としては、以下のような方法が挙
げられる。 加熱硬化 乾燥後の塗膜を加熱して、マトリックス成分を硬化させ
る。このときの加熱処理温度は、100℃以上、好まし
くは150〜300℃であることが望ましい。100℃
未満ではマトリックス形成成分が充分硬化しないことが
ある。また加熱処理温度の上限は基材の種類によって異
なるが、基材の転移点以下であればよい。
【0044】電磁波硬化 塗布工程または乾燥工程の後に、あるいは乾燥工程中
に、塗膜に可視光線よりも波長の短い電磁波を照射し
て、マトリックス成分を硬化させる。このようなマトリ
ックス形成成分の硬化を促進するために照射する電磁波
としては、マトリックス形成成分の種類に応じて紫外
線、電子線、X線、γ線などが用いられる。たとえば紫
外線硬化性マトリックス形成成分の硬化を促進するため
には、たとえば、発光強度が約250nmおよび360nm
において極大となり、光強度が10mW/m2以上である高
圧水銀ランプを紫外線源として用い、100mJ/cm2
上のエネルギー量の紫外線が照射される。
【0045】ガス硬化 塗布工程または乾燥工程の後に、あるいは乾燥工程中
に、塗膜をマトリックス形成成分の硬化反応を促進する
ガス雰囲気中に晒すことによって、マトリックス形成成
分を硬化させる。マトリックス形成成分のなかには、ア
ンモニアなどの活性ガスで硬化が促進されるマトリック
ス形成成分があり、このようなマトリックス形成成分を
含む透明導電性微粒子層を、ガス濃度が100〜100
000ppm、好ましくは1000〜10000ppmである
ような硬化促進性ガス雰囲気下で1〜60分処理するこ
とによってマトリックス形成成分の硬化を大幅に促進す
ることができる。
【0046】本発明では、上記のようにして形成された
透明導電性被膜の上に、該被膜よりも屈折率の低い透明
被膜を形成する。透明被膜の形成方法としては、特に制
限はなく、透明被膜の材質に応じて、真空蒸発法、スパ
ッタリング法、イオンプレーティング法などの乾式薄膜
形成方法、あるいは上述したようなディッピング法、ス
ピナー法、スプレー法、ロールコーター法、フレキソ印
刷法などの湿式薄膜形成方法を採用することができる。
【0047】上記透明被膜を湿式薄膜形成方法で形成す
る場合、従来公知の透明被膜形成用塗布液を用いること
ができる。このような透明被膜形成用塗布液としては、
具体的に、シリカ、チタニア、ジルコニアなどの無機酸
化物、またはこれらの複合酸化物を透明被膜形成成分と
して含む塗布液が用いられる。これらのうち、透明被膜
形成用塗布液として、加水分解性有機ケイ素化合物の加
水分解縮重合物、またはアルカリ金属ケイ酸塩水溶液を
脱アルカリして得られるケイ酸液を含むシリカ系透明被
膜形成用塗布液が望ましく、特に下記一般式[I]で表
されるアルコキシシランの加水分解縮重合物を含有して
いることが好適である。このような塗布液から形成され
るシリカ系被膜は、複合金属微粒子含有の導電性微粒子
層よりも屈折率が小さく、得られる透明被膜付基材は反
射防止性に優れている。
【0048】RaSi(OR')4-a [I] (式中、Rはビニル基、アリール基、アクリル基、炭素
数1〜8のアルキル基、水素原子またはハロゲン原子で
あり、R'はビニル基、アリール基、アクリル基、炭系
数1〜8のアルキル基、−C24OCn2n+1(n=1
〜4)または水素原子であり、aは1〜3の整数であ
る。) このようなアルコキシランとしては、テトラメトキシシ
ラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシ
ラン、テトラブトキシシラン、テトラオクチルシラン、
メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラ
ン、エチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポ
キシシラン、ビニルトリメトキシシラン、フェニルトリ
メトキシシラン、ジメチルジメトキシシランなどが挙げ
られる。
【0049】上記のアルコキシシランの1種または2種
以上を、たとえば水−アルコール混合溶媒中で酸触媒の
存在下、加水分解すると、アルコキシシランの加水分解
縮重合物を含む透明被膜形成用塗布液が得られる。この
ような塗布液中に含まれる被膜形成成分の濃度は、酸化
物換算で0.5〜2.0重量%であることが好ましい。本
発明で使用される透明被膜形成用塗布液は、前記透明導
電性被膜形成用塗布液の場合と同様に、脱イオン処理を
行い、透明導電性塗布液のイオン濃度を前記透明導電性
被膜形成用塗布液中の濃度と同じレベルまで低減させて
もよい。
【0050】さらにまた、本発明で使用される透明被膜
形成用塗布液には、フッ化マグネシウムなどの低屈折率
材料で構成された微粒子、透明被膜の透明度および反射
防止性能を阻害しない程度に少量の導電性微粒子および
/または染料または顔料などの添加剤が含まれていても
よい。本発明では、このような透明被膜形成用塗布液を
塗布して形成した被膜を、乾燥時、または乾燥後に、1
50℃以上で加熱するか、未硬化の被膜に可視光線より
も波長の短い紫外線、電子線、X線、γ線などの電磁波
を照射するか、あるいはアンモニアなどの活性ガス雰囲
気中に晒してもよい。このようにすると、被膜形成成分
の硬化が促進され、得られる透明被膜の硬度が高くな
る。
【0051】さらに、透明被膜形成用塗布液を塗布して
被膜を形成する際に、透明導電性被膜を約40〜90℃
に保持しながら透明被膜形成用塗布液を塗布して、前記
のような処理を行うと、透明被膜の表面にリング状の凹
凸が形成し、ギラツキの少ないアンチグレアの透明被膜
付基材が得られる。表示装置 本発明に係る透明導電性被膜付基材は、表示装置の前面
板として好適に用いられる。
【0052】このような前面板に使用される基材として
は、電磁遮蔽に必要な102〜104Ω/□の範囲の表面
抵抗を有し、かつ可視光領域および近赤外領域で十分な
反射防止性能を有する透明導電性被膜付基材が好まし
い。本発明に係る表示装置は、ブラウン管(CRT)、
蛍光表示管(FIP)、プラズマディスプレイ(PD
P)、液晶用ディスプレイ(LCD)などのような電気
的に画像を表示する装置であり、上記のような透明導電
性被膜付基材で構成された前面板を備えている。
【0053】従来の前面板を備えた表示装置を作動させ
ると、前面板に画像が表示されると同時に電磁波が前面
板から放出され、この電磁波が観察者の人体に影響を及
ぼすが、本発明に係る表示装置では、前面板が102
104Ω/□の表面抵抗を有する透明導電性被膜付基材
で構成されているので、このような電磁波、およびこの
電磁波の放出に伴って生じる電磁場を効果的に遮蔽する
ことができる。
【0054】また、表示装置の前面板で反射光が生じる
と、この反射光によって表示画像が見にくくなるが、本
発明に係る表示装置では、前面板が可視光領域および近
赤外領域で十分な反射防止性能を有する透明導電性被膜
付基材で構成されているので、このような反射光を効果
的に防止することができる。さらに、ブラウン管の前面
板が、本発明に係る透明導電性被膜付基材で構成され、
この透明導電性被膜、その上に形成された透明被膜の少
なくとも一方に少量の染料または顔料が含まれている場
合には、これらの染料または顔料がそれぞれ固有な波長
の光を吸収し、これによりブラウン管から放映される表
示画像のコントラストを向上させることができる。
【0055】また、ブラウン管の前面板は、本発明に係
る硫黄化合物を含む透明導電性被膜形成用塗布液から形
成されているので、筋状の凹凸がなく、外観がよいこと
に加えてモアレ現象の発生や可視光の散乱もなく鮮明な
表示画像が得られる。
【0056】
【発明の効果】本発明によれば、導電性、電磁遮蔽性に
優れるとともに、光透過率の制御が可能であり、外観に
優れ製造信頼性に優れた透明導電性被膜を形成しうる透
明導電性被膜形成用塗布液を得ることができる。本発明
に係る透明導電性被膜形成用塗布液は、塗布液中に金属
微粒子とともに硫黄化合物を含んでおり、この硫黄化合
物は吸着力が強く、しかも容易に脱離しないため、塗布
液中における金属微粒子の分散安定性が向上し、しかも
塗膜乾燥時における金属微粒子同士の凝集が抑制される
ので、乾燥ムラが生じて塗膜表面に筋状の凹凸を生じた
りすることなく、外観に優れるとともに製造信頼性が高
く、併せて導電性、電磁遮蔽性に優れるとともに、光透
過率等の低下が小さく、信頼性が高い透明導電性被膜付
基材を得ることができる。
【0057】このような透明導電性被膜付基材を表示装
置の前面板として用いれば、電磁遮蔽性に優れるととも
に反射防止性に優れ、外観欠陥がないために鮮明な画像
を表示できる表示装置を得ることができる。
【0058】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明するが、本
発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0059】
【実施例1〜9、比較例1】a)導電性微粒子分散液の
調製 本実施例および比較例で用いた金属微粒子の分散液の組
成を表1に示す。 金属微粒子(P-1〜P-4)の分散液は、以下の方法で調製
した。純水100gに、あらかじめクエン酸3ナトリウ
ムを金属微粒子1重量部当たり0.01重量部となるよ
うに加え、これに金属換算で濃度が10重量%となり、
金属種が表1の重量比となるように硝酸銀および硝酸パ
ラジウム水溶液を加え、さらに硝酸銀および硝酸パラジ
ウムの合計モル数と等モル数の硫酸第一鉄の水溶液を添
加し、窒素雰囲気下で1時間攪拌して金属微粒子の分散
液を得た。得られた分散液は遠心分離器により水洗して
不純物を除去した後、水に分散させ、ついで表1に示し
た溶媒に表1に示した硫黄化合物を溶解させた硫黄化合
物溶液を混合した後ロータリーエバポレーターにて水分
を除去するとともに濃縮して表1に示す固形分濃度の金
属微粒子分散液(S-1〜S-4)を調製した。また、金属微
粒子分散液(S-1)において、硫黄化合物を用いず溶媒
のみを使用した以外は金属微粒子分散液(S-1)と同様
にして金属微粒子分散液(S-9)を調製した。
【0060】金属微粒子(P-5〜P-8)の分散液は、以下
の方法で調製した。純水100gに、あらかじめクエン
酸3ナトリウムを金属微粒子1重量部当たり0.1重量
部となるように加え、これに金属換算で濃度が1重量%
となり、金属種が表1の重量比となるように塩化金酸、
塩化パラジウム、塩化ルテニウム水溶液を加えて溶解
し、さらに溶解した金属塩の合計モル数と等モル数の濃
度5重量%の水素化ホウ素ナトリウム水溶液を添加して
金属微粒子の分散液を得、さらにこの分散液を限外濾過
装置で洗浄し次いで濃縮した。その後、表1に示した溶
媒に表1に示した硫黄化合物を溶解させた硫黄化合物溶
液を混合した後ロータリーエバポレーターにて水分を除
去するとともに濃縮して表1に示す固形分濃度の金属微
粒子分散液(S-5〜S-8)を調製した。
【0061】導電性カーボン微粒子(P-9)の分散液
は、以下の方法で調製した。1-エトキシ-2-プロパノー
ル100gに、導電性カーボン微粒子(P-9)(三菱化学
(株)製 平均粒子径60nm)を表1の濃度になるよう
に加えて導電性カーボン微粒子分散液(S-10)を調製し
た。調製した微粒子分散液の組成を表1に示す。
【0062】
【表1】
【0063】b)マトリックス形成成分液(M)の調製 正ケイ酸エチル(SiO2:28重量%)50g、エタノ
ール194.6g、濃硝酸1.4gおよび純水34gの混
合溶液を室温で5時間攪拌してSiO2濃度5重量%のマ
トリックス形成成分を含む液(M)を調製した。c)透明導電性被膜形成用塗布液の調製 表1に示す(S-1)〜(S-10)の分散液と、上記マトリック
ス形成成分を含む(M)液、エタノール、イソプロピルア
ルコール、t-ブタノール、1-エトキシ-2-プロパノール
から表2に示す透明導電性被膜形成用塗布液(CS-1)〜(C
S-8)および(CS-10)を調製した。また、(S-9)の分散液を
用いたものには硫黄化合物としてC1225SHを塗布液
中の濃度が500重量ppmとなるように添加して透明導
電性被膜形成用塗布液(CS-9)を調製した。
【0064】調製した塗布液の組成を表2に示す。
【0065】
【表2】
【0066】d)透明被膜形成用塗布液(B)の調製 上記マトリックス形成成分を含む(M)液に、エタノール
/ブタノール/ジアセトンアルコール/イソプロピルア
ルコール(2:1:1:5重量混合比)の混合溶媒を加
え、SiO2 濃度1重量%の透明被膜形成用塗布液(B)を
調製した。
【0067】
【実施例10〜18、比較例2】透明導電性被膜付パネ
ルガラスの製造 ブラウン管用パネルガラス(14")の表面を40℃で保
持しながら、スピナー法で100rpm、90秒の条件で
上記透明導電性被膜形成用塗布液(CS-1)〜(CS-10)をそ
れぞれ透明導電性被膜の膜厚が20nmとなるように塗布
し乾燥した。
【0068】次いで、このようにして形成された透明導
電性微粒子層上に、同じように、スピナー法で100rp
m、90秒の条件で透明被膜形成用塗布液(B)を透明被膜
の膜厚が80nmとなるように塗布・乾燥し、160℃で
30分間焼成して透明導電性被膜付基材を得た。これら
の透明導電性被膜付基材の表面抵抗を表面抵抗計(三菱
油化(株)製:LORESTA)で測定し、ヘーズをへーズコンピ
ューター(日本電色(株)製:3000A)で測定した。反射率
は反射率計(大塚電子(株)製:MCPD-2000)を用いて測定
し、波長400〜700nmの範囲で反射率が最も低い波
長での反射率としこれを表示した。微粒子の粒子径は、
マイクロトラック粒度分析計((株)日機装製)を使用し
た。
【0069】 外観の観察: 評価基準 ◎:筋状の凹凸が全く観察されないもの ○:筋状の凹凸がわずかに観察されるもの △:筋状の凹凸が明らかに観察されるもの 製造信頼性:透明導電性被膜付パネルガラスをさらに9
枚調製し、上記と同様の評価を行った。
【0070】 評価基準 :合計10枚中の◎評価となったものの数 結果を表3に示す。
【0071】
【表3】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G02B 1/10 H05K 9/00 V H01B 5/14 G02B 1/10 A H05K 9/00 Z Fターム(参考) 2K009 AA02 CC02 CC03 CC06 CC09 CC14 CC42 DD02 DD05 EE03 4F100 AA20A AB01A AB19A AB22A AH04A AK52A AR00A AR00B AT00C BA03 BA07 BA10B BA10C DE01A EH462 EJ862 JD08 JG01A JN01A JN01B JN18B 4J038 AA011 DL091 HA066 HA211 HA216 HA441 HA446 JA17 JA25 JA32 JA55 JC01 JC36 KA06 KA20 NA01 NA19 NA20 PA17 PA19 PA21 PB09 PC03 PC08 5E321 BB23 GG05 GH01 5G307 FA01 FA02 FB01 FB02 FC05 FC08 FC10

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属微粒子と硫黄化合物と極性溶媒とを含
    む透明導電性被膜形成用塗布液。
  2. 【請求項2】前記硫黄化合物が、二硫化炭素、メルカプ
    ト基を有する有機化合物、メルカプト基を有するシラン
    系化合物および/またはこれらの加水分解縮重合物から
    選ばれる1種以上の硫黄化合物であることを特徴とする
    請求項1に記載の透明導電性被膜形成用塗布液。
  3. 【請求項3】塗布液中の硫黄化合物と金属微粒子との重
    量比(硫黄化合物/金属微粒子)が、0.005〜0.
    5であることを特徴とする請求項1または2に記載の透
    明導電性被膜形成用塗布液。
  4. 【請求項4】有機系安定剤を含むことを特徴とする請求
    項1〜3のいずれかに記載の透明導電性被膜形成用塗布
    液。
  5. 【請求項5】前記金属微粒子以外の導電性微粒子を含有
    していることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記
    載の透明導電性被膜形成用塗布液。
  6. 【請求項6】透明導電性被膜形成用塗布液がマトリック
    ス形成成分を含有していることを特徴とする請求項1〜
    5のいずれかに記載の透明導電性被膜形成用塗布液。
  7. 【請求項7】前記マトリックス形成成分がシリカ、シリ
    カ系複合酸化物、ジルコニア、酸化アンチモンから選ば
    れる1種または2種以上の酸化物からなることを特徴と
    する請求項1〜6のいずれかに記載の透明導電性被膜形
    成用塗布液。
  8. 【請求項8】基材と、 前記請求項1〜7のいずれかに記載の透明導電性被膜形
    成用塗布液を基材表面に塗布・乾燥して形成された透明
    導電性被膜と、 該透明導電性被膜表面に形成された透明導電性被膜より
    屈折率の低い透明被膜とからなる透明導電性被膜付基
    材。
  9. 【請求項9】前記請求項1〜7のいずれかに記載の透明
    導電性被膜形成用塗布液を基材上に塗布し、乾燥して透
    明導電性被膜を形成したのち、該透明導電性被膜上に透
    明被膜形成用塗布液を塗布して該透明導電性被膜よりも
    屈折率の低い透明被膜を形成することを特徴とする透明
    導電性被膜付基材の製造方法。
  10. 【請求項10】請求項8に記載された透明導電性被膜付
    基材によって構成される前面板を備え、かつ透明導電性
    被膜が該前面板の外表面に形成されていることを特徴と
    する表示装置。
JP24296799A 1999-08-30 1999-08-30 透明導電性被膜形成用塗布液、透明導電性被膜付基材および表示装置 Pending JP2001064540A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP24296799A JP2001064540A (ja) 1999-08-30 1999-08-30 透明導電性被膜形成用塗布液、透明導電性被膜付基材および表示装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP24296799A JP2001064540A (ja) 1999-08-30 1999-08-30 透明導電性被膜形成用塗布液、透明導電性被膜付基材および表示装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001064540A true JP2001064540A (ja) 2001-03-13

Family

ID=17096904

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP24296799A Pending JP2001064540A (ja) 1999-08-30 1999-08-30 透明導電性被膜形成用塗布液、透明導電性被膜付基材および表示装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001064540A (ja)

Cited By (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002099819A1 (fr) * 2001-06-04 2002-12-12 Asahi Glass Company, Limited Solution d'enduction permettant de former un film conducteur transparent colore, corps de base presentant ce film conducteur transparent colore, procede de fabrication dudit corps et dispositif d'affichage
JP2003012965A (ja) * 2001-06-27 2003-01-15 Catalysts & Chem Ind Co Ltd 透明低反射導電性被膜形成用塗布液、透明低反射導電性被膜付基材および表示装置
WO2003049123A1 (en) * 2001-12-05 2003-06-12 Asahi Glass Company, Limited Conductive film, manufacturing method thereof, substrate having the same
JP2005250461A (ja) * 2004-02-06 2005-09-15 Fuji Photo Film Co Ltd 表示装置用の遮光膜、その作製方法、金属微粒子含有組成物、感光性転写材料、表示装置用基板及びカラーフィルター
JP2007125550A (ja) * 2005-10-20 2007-05-24 Samsung Electro Mech Co Ltd チオール系分散剤、及びそれを含む硫化系蛍光体ペースト組成物
KR100749875B1 (ko) * 2006-08-21 2007-08-21 상원개발산업주식회사 속채움블록
KR100749877B1 (ko) * 2007-07-03 2007-08-21 상원개발산업주식회사 속채움블록
KR100839405B1 (ko) * 2001-03-27 2008-06-20 삼성에스디아이 주식회사 투명 도전막 및 그의 제조 방법
JP2008243547A (ja) * 2007-02-28 2008-10-09 Mitsuboshi Belting Ltd 透明電極及びその製造方法
WO2010047391A1 (ja) 2008-10-23 2010-04-29 三菱化学株式会社 熱線反射膜及びその積層体ならびに熱線反射層形成用塗布液
KR101119052B1 (ko) * 2004-02-06 2012-03-15 후지필름 가부시키가이샤 표시장치용 차광막, 그 제작방법, 금속미립자함유 조성물,감광성 전사재료, 표시장치용 기판 및 컬러필터

Cited By (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100839405B1 (ko) * 2001-03-27 2008-06-20 삼성에스디아이 주식회사 투명 도전막 및 그의 제조 방법
US6902815B2 (en) 2001-06-04 2005-06-07 Asahi Glass Company, Limited Coating liquid for forming colored transparent conductive film, substrate with colored transparent conductive film and method for its production, and display device
WO2002099819A1 (fr) * 2001-06-04 2002-12-12 Asahi Glass Company, Limited Solution d'enduction permettant de former un film conducteur transparent colore, corps de base presentant ce film conducteur transparent colore, procede de fabrication dudit corps et dispositif d'affichage
JP2003012965A (ja) * 2001-06-27 2003-01-15 Catalysts & Chem Ind Co Ltd 透明低反射導電性被膜形成用塗布液、透明低反射導電性被膜付基材および表示装置
WO2003049123A1 (en) * 2001-12-05 2003-06-12 Asahi Glass Company, Limited Conductive film, manufacturing method thereof, substrate having the same
JP2005250461A (ja) * 2004-02-06 2005-09-15 Fuji Photo Film Co Ltd 表示装置用の遮光膜、その作製方法、金属微粒子含有組成物、感光性転写材料、表示装置用基板及びカラーフィルター
KR101119052B1 (ko) * 2004-02-06 2012-03-15 후지필름 가부시키가이샤 표시장치용 차광막, 그 제작방법, 금속미립자함유 조성물,감광성 전사재료, 표시장치용 기판 및 컬러필터
JP4602106B2 (ja) * 2004-02-06 2010-12-22 富士フイルム株式会社 表示装置用の遮光膜、その作製方法、金属微粒子含有組成物、表示装置用基板及びカラーフィルター
US7645566B2 (en) 2005-10-20 2010-01-12 Samsung Electro-Mechanics Co., Ltd. Sulfur-containing dispersant and sulfide phosphor paste composition comprising the same
JP2007125550A (ja) * 2005-10-20 2007-05-24 Samsung Electro Mech Co Ltd チオール系分散剤、及びそれを含む硫化系蛍光体ペースト組成物
US7473514B2 (en) * 2005-10-20 2009-01-06 Samsung Electronics Co., Ltd. Sulfur-containing dispersant and sulfide phosphor paste composition comprising the same
KR100749875B1 (ko) * 2006-08-21 2007-08-21 상원개발산업주식회사 속채움블록
JP2008243547A (ja) * 2007-02-28 2008-10-09 Mitsuboshi Belting Ltd 透明電極及びその製造方法
KR100749877B1 (ko) * 2007-07-03 2007-08-21 상원개발산업주식회사 속채움블록
WO2010047391A1 (ja) 2008-10-23 2010-04-29 三菱化学株式会社 熱線反射膜及びその積層体ならびに熱線反射層形成用塗布液

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3563236B2 (ja) 透明導電性被膜形成用塗布液、透明導電性被膜付基材およびその製造方法、表示装置
JP4183924B2 (ja) 金属微粒子および該微粒子の製造方法、該微粒子を含む透明導電性被膜形成用塗布液、透明導電性被膜付基材、表示装置
JP4031624B2 (ja) 透明被膜付基材、透明被膜形成用塗布液、および表示装置
JP5638935B2 (ja) 金属微粒子分散液、透明導電性被膜形成用塗布液及び透明導電性被膜付基材
JP2004055298A (ja) 透明導電性被膜形成用塗布液、および透明導電性被膜付基材、表示装置
JP3302186B2 (ja) 透明導電性被膜付基材、その製造方法および該基材を備えた表示装置
JP3973330B2 (ja) 透明被膜付基材、透明被膜形成用塗布液、および表示装置
JP5580153B2 (ja) 金属微粒子分散液、金属微粒子、金属微粒子分散液の製造法等
JP2001064540A (ja) 透明導電性被膜形成用塗布液、透明導電性被膜付基材および表示装置
JP3982967B2 (ja) 透明被膜形成用塗布液、透明被膜付基材および表示装置
JP4522505B2 (ja) 透明導電性被膜形成用塗布液、透明導電性被膜付基材および表示装置
JP4343520B2 (ja) 透明被膜形成用塗布液および透明被膜付基材、表示装置
JP3779088B2 (ja) 透明導電性被膜形成用塗布液、透明導電性被膜付基材および表示装置
JP5068298B2 (ja) 透明導電性被膜形成用塗布液、透明導電性被膜付基材および表示装置
JP2003342602A (ja) インジウム系金属微粒子およびその製造方法、ならびにインジウム系金属微粒子を含む透明導電性被膜形成用塗布液、透明導電性被膜付基材、表示装置
JP5096666B2 (ja) 鎖状導電性酸化物微粒子の製造方法、鎖状導電性酸化物微粒子、透明導電性被膜形成用塗料および透明導電性被膜付基材
JP5187990B2 (ja) 透明導電性被膜形成用塗布液、透明導電性被膜付基材ならびに表示装置
JP2003012965A (ja) 透明低反射導電性被膜形成用塗布液、透明低反射導電性被膜付基材および表示装置
JPWO2004099074A1 (ja) 透明被膜形成用塗布液および透明被膜付基材、表示装置
JP2003105268A (ja) 透明被膜形成用塗布液および透明導電性被膜付基材、表示装置
JP4372301B2 (ja) 透明導電性被膜形成用塗布液、透明導電性被膜付基材および表示装置
JP2004083812A (ja) 透明被膜形成用塗布液および透明被膜付基材、表示装置
JP4902048B2 (ja) 透明導電性被膜付基材および表示装置
JP4425530B2 (ja) インジウム系酸化物微粒子の製造方法、該微粒子を含む透明導電性被膜形成用塗布液および透明導電性被膜付基材、表示装置
JP2003261326A (ja) インジウム系酸化物微粒子、該微粒子の製造方法ならびに該微粒子を含んでなる透明導電性被膜形成用塗布液および透明導電性被膜付基材、表示装置