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JP2000509394A - 細胞膜を横切って物質を輸送するためのポリペプチド結合体 - Google Patents

細胞膜を横切って物質を輸送するためのポリペプチド結合体

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JP2000509394A JP9539221A JP53922197A JP2000509394A JP 2000509394 A JP2000509394 A JP 2000509394A JP 9539221 A JP9539221 A JP 9539221A JP 53922197 A JP53922197 A JP 53922197A JP 2000509394 A JP2000509394 A JP 2000509394A
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Abstract

(57)【要約】 生きている生物において化合物を送達するのに効果的なポリマー組成物が記載される。この組成物は、低pHの親油性形態から高pHの親水性形態への可逆的pH依存的遷移を受けることによって、親水性および親油性の両方の環境での溶解性を示すポリペプチドを含む。

Description

【発明の詳細な説明】 細胞膜を横切って物質を輸送するためのポリペプチド結合体発明の分野 本発明は、生きている生物において化合物を送達するのに効果的なポリマー組 成物の使用に関する。この組成物は、低pHの親油性形態から高pHの親水性形態へ の可逆的pH依存性遷移を受けることによって、親水性および親油性の両方の環境 下で溶解性を示す。参考文献 発明の背景 細胞膜および角質層の細胞外マトリクスを構成するような脂質層は、薬物送達 に対する強力な障壁を構築し得る。最適な送達については、薬物は、体の水性コ ンパートメントおよびこれらのコンパートメントを包む脂質層の両方に自由に溶 解すべきである。 低から中程度の極性の多くの低分子量化合物は脂質層を通って直接通過し得る が、より大きな極性および/またはより高い分子量を有する化合物は、一般的に 、エンドサイトーシスまたは関連するプロセスによってのみ、真核生物細胞に入 る。このプロセスでは、化合物は、膜の領域の進行性陥入によって細胞に取り込 まれ、最終的に、細胞内で閉鎖した小胞、すなわちエンドソームを形成する。ほ とんど の場合、次に、エンドソームは、リソソームに合併され、中に取り込まれた化合 物を分解性酵素に曝露させる。 脂質層を横切る薬物および他の化合物のより効果的な送達を促進するために、 選択された条件下での脂質溶解性および他の条件下での水溶性に影響を及ぼす薬 物輸送組成物を提供することが望まれる。リソソーム酵素への曝露を避ける経路 によって細胞サイトゾルに化合物を送達することもまた望まれる。発明の要旨 1つの局面では、本発明は、化合物を、低pH環境から脂質層を横切ってより高 いpHの水性コンパートメントに輸送するための組成物を提供する。この組成物は 、1つ以上の対のカルボキシル基を有するポリペプチドを含み、ここで一対のカ ルボキシル基は、0、2または3アミノ酸、および約8〜約100アミノ酸残基の 間の長さ、および好ましくは10〜50残基の間の長さによって分けられる。ポリペ プチドは、さらに、脂質層への末端領域の侵入およびポリペプチドを分割するこ とを促進するために、ポリペプチドの一方の末端領域にイニシエーター部分を含 む。このようなポリペプチドは、親油性形態(これは、低pH環境から脂質層へ分 割するのに効果的である)と親水性形態(これは、脂質層からより高いpHの水性 コンパートメントへ優先的に分割するのに効果的である)との間の可逆性遷移を 受けるのに効果的である。これによって、ポリペプチドは、低pH環境からより高 いpHのコンパートメントへ脂質層を横切ることが可能である。組成物はまた、ポ リペプチドに共有結合され、輸送されるべき化合物を含む。 1つの好ましい実施態様では、イニシエーター部分を除いて、ポリペプチドを 形成するアミノ酸残基の30〜100パーセントは、グルタミン酸である。ポリペプ チド中のグルタミン酸残基の対は、他のアミノ酸残基によって分けられ得、これ は好ましくは、ロイシン、メチオニン、アラニン、および2-アミノ酪酸からなる 群より選択される。あるいは、ポリペプチドは、一方の末端領域にイニシエータ ー部分を有するポリグルタミン酸であり得る。 イニシエーター部分は、3〜12アミノ酸残基を有するイニシエーターアミノ酸 配列であり得る。この配列は、同じ長さのポリグルタミン酸がαヘリックスを形 成するpHよりも高いpHでαヘリックスを形成するのに効果的である。このような 配列において好ましいアミノ酸残基は、グルタミン酸、ロイシン、メチオニン、 アラニン、2-アミノ酪酸、ノルバリン、およびβ-アラニンであり、ここで非グ ルタミン酸対グルタミン酸残基の比は、1より大きい。ポリペプチド成分が約50 %以下のグルタミン酸残基を有する配列を含む場合、イニシエーター配列は、そ れ自体のポリペプチドの末端領域であり得る。 あるいは、NまたはC末端に共有結合した基であり得、これは、この末端で正 または負の電荷を排除するのに効果的であり、そして末端付近の極性部位を保護 するのに効果的な少なくとも1つの遠隔極性基を有する。末端での親油性物質( 送達されるべき化合物を含む)は、イニシエーター部分として作用し得る。単一 のポリペプチドはまた、このようなイニシエーター部分の組み合わせを含み得る 。 送達されるべき化合物は、ポリペプチド成分の末端、代表的にはイニシエータ ー配列の反対側の末端に付着され得る。組成物は、1つのポリペプチド成分当た り1つのみ、または複数の化合物を有し得る。送達されるべき化合物は、注入可 能な水性送達培地(例えば、タキソール、シクロスポリン、アンホテリシンB) 中に遊離形態でそれ自体ほんのわずかに溶解性である化合物を含み得る。他の実 施態様では、化合物は、配列特異的核酸結合ポリマー、例えば、アンチセンス化 合物である。 他の局面では、本発明は、低pH環境から脂質層を横切ってより高いpHの水性コ ンパートメントへの化合物の輸送を促進するための方法を提供する。この方法に よれば、化合物は、上記のようにポリペプチドに共有結合される。この方法は、 例えば、所定のpHを有する細胞外培地からより高いpHを有する細胞のサイトゾル に治療化合物を送達することに有用である。1つの特定の適用では、この方法は 、抗腫瘍治療に使用され、ここでは、細胞は酸性の細胞外培地中に存在する腫瘍 細胞であり、そして結合した化合物は抗新生物剤である。他の適用では、この方 法は、H.pylori感染の処置に使用され、ここでは、細胞外培地は胃液であり、 細胞はH.pylori細菌細胞であり、そして化合物は抗細菌剤であり、あるいは、 歯の崩壊の処置および予防に使用され、ここでは、細胞は酸生成カリエス誘発性 細 菌細胞であり、そして結合した化合物はカリエス誘発性細菌に対して効果的な薬 剤である。 さらなる適用は、角質層を通る化合物の経皮送達、および脳血液関門を横切っ て化合物を輸送することを包含し、ここで、横切られるべき脂質層は、角質層の 細胞外マトリクスを含む。後者の場合、組成物は、毛細血管壁の内皮細胞を通っ てトランスサイトーシス小胞内に輸送され、そしてエンドサイトーシス小胞内に 脳細胞によって取り込まれる。 以下の本発明の詳細な説明が、付随する図面とともに読まれる場合、本発明の これらおよび他の特徴は、より十分に明らかになる。図面の簡単な説明 図1A〜1Bは、ポリマーの側鎖カルボキシルの親水性および親油性コンホメーシ ョン間のpH依存性遷移を示す; 図2Aは、本発明の1つの局面によれば、結合した化合物を有するポリペプチド の、エンドサイトーシスによるサイトゾル侵入のプロセスを示す; 図2Bは、初期エンドソームに存在する、高いpH形態でのポリペプチド−化合物 複合体を示す; 図2Cは、後期エンドソームに存在し、脂質膜に侵入し、そしてより高いpHのサ イトゾルを変換する際に高pH形態に変換して戻る、低pH形態での複合体を示す; 図3は、結合した化合物を含むポリペプチドの経皮輸送プロセスを示し、ここ で、複合体は、細胞外脂質マトリクスから角質層下の水性コンパートメントに通 過する; 図4は、αヘリックス中のポリペプチドの対になった一定の間隔をあけたグル タミン酸カルボキシルを示す; 図5A〜5Cは、ポリペプチドの代表的なC末端の末端構造を示し、ここで5B〜5C における構造は、部分的に保護されたまたは欠失した末端極性部位を有する; 図6A〜6Dは、ポリペプチドの代表的なN末端の末端構造を示し、ここで6B〜6D における構造は、保護された末端極性部位を有する; 図6Eは、図6Dに示されるように、ポリペプチドにおけるN末端の末端構造の極 性部位を保護するために使用され得る「Nクラウン」構造を示す; 図7は、本発明の実施態様によれば、分子エンジンとして機能するポリペプチ ドを示す; 図8A〜8Cは、オクタノール溶解性および細胞侵入について評価されたポリペプ チドを示し、ここで、図8Aは、非改変末端を有するポリグルタミン酸を示し、図 8Bは、極性部位を欠失または保護する基の組込みを示し、そして図8Cは、末端で の親油性アミノ酸残基のさらなる付加を示す; 図9は、ポリペプチド上の側鎖結合の代表的部位を示し、左から右へ、アミド およびカーバメートがリジンに連結し、エステルがグルタミン酸に連結し、そし てジスルフィド、チオエーテル、およびアミドがシステインに連結することを示 す; 図10は、本発明に従って使用され得るポリペプチドの調製方法を示す; 図11A〜11Bは、ポリペプチドの側鎖または末端に化合物を結合することに使用 され得るような、代表的なポリマー−化合物結合を示す; 図12は、ポリカチオン頭部基に結合される脂質アンカーによる、図2Aに示され るような、エンドサイトーシスの増強を示す; 図13A〜Cは、モルホリノアンチセンスオリゴマーへ本発明のポリペプチドを連 結するための手順を示す;および 図14A〜14Fは、pHの関数として、いくつかの代表的ポリペプチドのオクタノー ル/水分配特性を示す。発明の詳細な説明 I.定義 以下の用語は、他に指示がなければ以下の意味を有する。 本発明のポリペプチド、またはこのポリペプチドのセグメントの「低pH形態」 (また、低pHコンホメーション、親油性形態、または親油性コンホメーション) は、対になった側鎖または末端カルボキシル基間の水素結合により親油性にされ た、実質的に非イオン性のαヘリカルコンホメーションである。 本発明のポリペプチド、またはこのポリペプチドのセグメントの「高pH形態」 (また、高pHコンホメーション、親水性形態、または親水性コンホメーション) は、側鎖または末端カルボキシル基が、全体的にまたは主として非水素結合した イオン性状態にあるコンホメーションである。 ポリペプチドの親油性形態および親水性形態間の「可逆性遷移」は、非イオン 性のαヘリカルコンホメーション(ここで、側鎖カルボキシルが分子内水素結合 に関係し、低pHで好都合である)と、形態(ここで、側鎖カルボキシルがイオン 性の非水素結合状態であり、高pHで好都合である)との間の遷移である。このよ うな遷移は、ポリペプチド全体を含み得、またはポリペプチドの局在化した領域 で生じ得、または特にこの領域が水性/脂質界面付近にある場合、特に親油性で ありおよび/または特にαヘリックスの形成に好都合である組成物を有する。こ のようなポリペプチドの局在化した領域は、脂質相からさらに離れたポリペプチ ドの領域が親水性コンホメーションにあり得るとしても、膜のような脂質相への ポリペプチドの侵入を開始することに、しばしば効果的である。 「酸アミノ酸」または「酸側鎖酸」は、ポリペプチドに組込まれた場合に遊離 のカルボキシル基を有するものである。例としては、アスパラギン酸およびグル タミン酸である。 「非酸アミノ酸」または「非酸側鎖酸」は、ポリペプチドに組込まれた場合に 遊離のカルボキシル基を有さないものである。 「高グルタミン酸」ポリペプチドは、約50%以上のグルタミン酸残基を含むポ リペプチドである。 「イニシエーター配列」は、哺乳動物細胞のエンドソームに到達可能なpHで、 一般的にはグルタミン酸残基の同じ長さの配列がαヘリックスを形成するpHより も著しく高いpHで、αヘリックスを容易に形成するポリペプチドの末端での短い (代表的には3〜12アミノ酸残基)配列である。ポリペプチドの末端でのこのよ うな配列は、脂質層へのポリペプチドの侵入を開始し、そしてポリペプチドのす ぐ隣接するセグメントでのαヘリックス形成を促進する。 ポリペプチドの末端でまたはその付近で極性基を「欠失」または「保護」する 基は、末端でカルボキシレートアニオンまたはプロトン化したアミンをキャップ または置換する、共有結合した部分である。好ましい基は、非共有結合、代表的 には水素結合によって、末端付近の他の極性部位をさらにマスクする。 「エンドサイトーシス」は、細胞外物質が細胞膜の陥入によって細胞中に取り 込まれるプロセスであり、これは閉じて、エンドソームとして公知の細胞内の小 胞を形成する。細胞外化合物が細胞表面の特異的レセプターに結合するか、また は細胞外化合物が細胞膜付近に存在することによって非特異的に輸入され得る場 合、エンドサイトーシスは、レセプターに媒介され得る。後者のプロセスは、液 相エンドサイトーシスまたはピノサイトーシスとしても公知である。関連のプロ セスであるポトサイトーシスは、カベオラとして公知の細胞表面付近の小胞によ って細胞に化合物を取り込む。上記のプロセスのすべてにおいて、細胞外化合物 を包む小胞は、形成後にますます酸性になる。したがって、本発明の組成物およ び方法は、輸送のこれらの方法のすべてに適用可能である。 II.ポリマー組成物 本発明のポリマー組成物は、疎水性のαヘリカル形態と親水性形態との間の遷 移を受け得るポリペプチド成分を含む;末端領域を介する脂質層へのポリペプチ ドの分配を促進するためのポリペプチドの一方の末端領域でのイニシエーター部 分、およびポリペプチドに共有結合した送達されるべき化合物。 以下に記載のように、1つの対の2つのカルボキシルが0、2または3アミノ 酸に分かれる場合、ポリペプチド成分は、カルボキシル基の1つ以上の対、およ び好ましくはカルボキシル基の2つ以上の対を含む。ポリペプチドのアミノ酸の 組成物および位置づけは、水性および脂質様相の両方の存在下で、ポリペプチド が、代表的には約4.0と約7.0との間のpHで、複数のイオン化した親水性構造を含 む高pH形態と、対になったカルボキシル間の水素結合によって親油性にされる実 質的に非イオン性のαヘリカル構造を含む低pH形態との間の可逆的遷移を受ける ようなものである。 親油性の低pH形態は脂質環境に分配するが、親水性の高pH形態は優先的に水性 溶液に分配する。図1Aは、ポリペプチドの親水性と親油性形態との間のpH依存性 遷移を示し、そして図1Bは、適切な間隔を開けたカルボキシル含有アミノ酸対の 特異的配列についてのこの溶解性遷移を示す。A.脂質層を横切る組成物輸送 ポリマー組成物は、細胞外コンパートメントから細胞内のサイトゾルコンパー トメントへ結合した化合物を輸送するために使用され得る。このプロセスは図2A に示される。組成物10は、ポリペプチドの高pH形態によって与えられる水溶性に よって、水性ベヒクル中で、細胞外コンパートメントに容易に送達される。細胞 12によるエンドサイトーシスの後、組成物は、エンドソーム14内に包まれる。エ ンドソーム内のpHは、エンドソーム膜内のATP駆動プロトンポンプの作用によっ て減少する(例えば、Clague,Fuchsを参照のこと)。組成物は、16で示される 、後期エンドソームの漸増酸性環境において、エンドソーム膜に侵入する低pH脂 質溶解性形態に変換する。 エンドソーム膜のサイトゾル面に接触させる際に、組成物は、18で示されるよ うに、水性サイトゾルのほぼ中性のpHでポリペプチド鎖の進行性イオン化および 溶媒和によってサイトゾル中に能動的に引き込まれ、所望の細胞下コンパートメ ントへの結合した化合物20の送達を生じる。以下でさらに論議するように、L-ア ミノ酸から構築されたポリペプチドは、代表的には、薬物が放出された後、示さ れるように、サイトゾルで分解される。この一方向能動輸送プロセスは、図2Bお よび2Cにさらに例示され、ここではエンドソーム膜の一部のみが表される。 上記の図は、エンドソーム膜に侵入する前の完全に水素結合したコンホメーシ ョンを仮定するポリペプチドを表す。このようなものは、ポリペプチドが比較的 高pHでαヘリックスを容易に形成する組成物にある場合に生じるようである。し かし、高極性ペプチド、すなわち、高いパーセントの酸側鎖残基を含むペプチド については、ポリペプチドの他の領域が非水素結合した親水性コンホメーション にある場合でさえ、膜への侵入は、ポリペプチドの局在化した親油性領域によっ て開始され得る。このような侵入は、この親油性領域がポリペプチドの末端にあ る場合、特に好都合である。したがって、ポリペプチドの末端、特に高濃度の極 性基を含むより長いポリペプチドは、比較的高pHで親油性コンホメーションを容 易に仮定するアミノ酸配列を含み得、または他には末端をより親油性にするため に改変され得る。このような改変は、以下にさらに論議される。 本発明の組成物の有利点は、上記の説明からわかり得るように、エンドソーム からサイトゾルへの輸送が、エンドソーム膜の破壊なしに達成され、そのため細 胞のサイトゾルコンパートメントへのリソソーム酵素の漏出を避け得ることであ る。 ポリマー組成物はまた、以下に記載のように、細胞外培地が細胞のサイトゾル のpHよりも低いpHを有する場合、結合した化合物を細胞のサイトゾルに直接輸送 するために使用され得る。これは、例えば、酸性環境において、真核生物細胞、 細菌、または他の標的細胞に化合物を選択的送達させる。 ポリマー組成物は、さらに、以下に記載のように、および図3に示されるよう に、選択された化合物の経皮送達のために使用され得る。この場合、組成物10は 、低pH脂質可溶性形態で、22で示される表皮の表面と接触し、角質層の細胞外脂 質マトリクス24(上皮細胞26を含む)を通って拡散する。28で示される角質層の 下にある水性コンパートメントとの接触の際、組成物は、このコンパートメント のほぼ中性のpHでポリペプチド鎖の進行性イオン化および溶媒和によって、この コンパートメントに能動的に引き入れられ、それによって下にある組織に結合し た化合物を送達し、そして続いて体全体にわたって分布させる。 組成物は、水性送達培地において遊離形態でほんのわずかに可溶性である化合 物の送達に、特に有用である。これらの化合物には、TaxolTM.TaxolTMアナログ 、シクロスポリンアナログ、およびアンホテリシンBが含まれる。配列特異的核 酸結合ポリマーの送達も考慮される。B.ポリペプチド成分 ポリペプチド成分の2つの重要な構造的特徴は、a)少なくとも1つの適切な 間隔を開けた酸対を含むこと、およびb)低pHで親油性αヘリックスを採用する ために十分な多くのアミノ酸を含むことである。所定の適用について好ましいポ リマーを選択することにおいて、送達されるべき化合物の特性、そこからおよび そこへ化合物が送達されるべきコンパートメント、ならびに曝露された極性部位 を保護しヘリックスの末端で親油性を増加させるための末端改変を含む所望性の ような、種々の因子が考慮される。 B1.酸性アミノ酸.ポリペプチドがαヘリカルコンホメーションである場合 に水素間結合し得る遊離のカルボキシル基を提供するために、カルボキシル側鎖 アミノ酸、好ましくはアスパラギン酸およびグルタミン酸が含まれる。これらの 酸の好ましい数および頻度は、以下に記載する。 いずれかのポリペプチド末端での遊離カルボキシル基もまた適切に位置したカ ルボキシル側鎖アミノ酸と水素結合し得ることが理解される。例えば、カルボキ シル末端は、実施例1に記載のように、このような酸を使用するポリペプチドの 合成を開始することによって、その末端基として、β-アラニン、γ-アミノ酪酸 、または他のω-アミノカルボン酸で調製され得る。これは、C末端でω-カルボ キシアルキルアミドを生じ(例えば、図10および5Cに示すように)、ここでアル キル鎖の末端のカルボキシル基は、水素結合に利用可能である。N末端は、さら なる水素結合カルボキシル基を提供するために、グルタル酸のようなジ酸でキャ ップされ得る(図6Bに示されるように)。 B2.非酸性アミノ酸.ポリマーの非酸アミノ酸は、存在する場合、主として 、各水素結合対の2つのカルボキシル基間に適切な間隔を提供するために、およ び以下に記載のように、選択された値に分配遷移のpHを調節するために用いられ る。これらのアミノ酸は、ポリマーが低pHのαヘリカルコンホメーション(すな わち、アルギニン、リジン、およびヒスチジン)にある場合、カチオン性である 部分を含むべきではない。(例外は、以下に記載のように、輸送された化合物の 結合のための部位としてのリジンのようなアミノ酸の低レベルの使用である。) ポリマーの非酸アミノ酸のほとんどは、比較的非極性でありそしてαヘリックス 形成に適合可能である。したがって、ほとんどの適用に好ましい非酸アミノ酸は 、トリプトファン、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、 バリン、およびアラニンから選択される。ノルバリン、α-アミノ酪酸、ならび にアスパラギン酸およびグルタミン酸の側鎖エステルもまた、「非酸」アミノ酸 として適切である。費用、使用の容易さ、および他の実際的考慮に基づくと、ロ イシン、メチオニン、アラニン、およびα-アミノ酪酸が特に好ましい。 核酸の例外として、高密度の酸性部分を有するポリマーは、細胞の内部の天然 成分ではなく、そのためそこでの毒性を証明し得る。しかし、薬物輸送機能を行 った後、そのポリマーが細胞のサイトゾルに特有の天然のサブユニットに分解さ れるならば、このような毒性は、非常に減少または抑制される。これに関して、 天然のL-アミノ酸から構成される組み立てられていないポリペプチドが、細胞の サイトゾルにおいて、主としてプロテアソームと呼ばれる複合多環構造において 、迅速に脱重合し得ることが公知である。 ポリマーが細胞のサイトゾル内の無害のサブユニットに分解されることが望ま れる適用については、ポリマーの好ましいアミノ酸は、天然のL-アミノ酸から選 択される。逆に、以下に記載のように、ポリマーがサイトゾルにおいて未処置の ままであることが望まれる適用については、好ましいアミノ酸はD-アミノ酸から 選択される。後者の適用では、α-アミノ酪酸、ノルバリン、およびノルロイシ ンのような、他の非天然アミノ酸も適切である。 B3.酸のスペーシング.αヘリックスコンホメーションにおいて、ポリペプ チド骨格のアミド部分は、広範囲の分子内水素結合によって溶媒から効果的に保 護されることが公知である。αヘリカルコンホメーションのポリペプチドにおい て、酸性側鎖の適切なスペーシングが、遊離酸状態で対になった酸部分間の二つ の水素結合の形成によって溶媒から酸部分の極性部位を実質的に保護すると予測 された。環境からのポリマーの極性部位のこのような保護は、改善された脂質溶 解性を生じるべきである。3つのアミノ酸に分かれる対になったグルタミン酸を 含む、このような1つの代表的構造を、図4に示す。 CPK分子モデルでの研究を、所望の水素結合した構造を提供するために酸側鎖 の好ましいスペーシングを予測するために使用した。適切なポリペプチド配列で のその後のオクタノール/水およびペンタノール/水分配研究は、アスパラギン 酸およびグルタミン酸から選択される酸対がそのように間隔をあける場合、良好 な脂質溶解性が、低pHで実際に達成され得ることを確認した。表1は、低pHで酸 対の極性部位の所望の保護を提供するこれらのスペーシングを挙げる。 表1 E-E D-E E-X-X-E E-X-X-D E-X-X-X-E E-X-X-X-D D-X-X-X-E ここで:E=グルタミン酸 D=アスパラギン酸 X=アミノ酸 表からわかり得るように、カルボキシル側鎖アミノ酸間の0、2、または3ア ミノ酸のスペーシングが効果的である。これらのうち、カルボキシル側鎖アミノ 酸間の2または3アミノ酸のスペーシングが好ましい。 極性側鎖が非極性側鎖と交互になる場合の配列を含むポリペプチドは、β-シ ートおよび関連のコンホメーションを採用することが公知である。約6アミノ酸 長よりも大きなこのような交互配列を有するポリペプチドは、おそらく極性部位 が溶媒から適切に保護されていない複数鎖複合体の形成のため、一般的には低pH でオクタノールに不溶性であることが見いだされた。したがって、本発明のポリ マーは、交互になった極性および非極性側鎖の重要な流れ(run)から大きく自由 であるべきである。 B4.ポリペプチドの長さ.カルボキシル側鎖の適切に間隔をあけた対を有す るαヘリックスを形成するために、本発明のポリペプチドは、少なくとも8アミ ノ酸長、好ましくは少なくとも10アミノ酸長であるべきである。 実用的な速度で脂質膜を横切って拡散しない特に大きなおよび/または極性化 合物の送達については、αヘリカルコンホメーションにおいて、ポリマーが膜の 厚さよりも長い場合、このような送達は促進される。この場合、ポリペプチドの 少なくとも一部分は、サイトゾルに侵入しそして高pH形態に変換され得、大きな および/または極性の化合物が、図7に示されるように、脂質膜に侵入すること が必要とされる前に、プロセスは溶媒和およびイオン化によってエネルギー的に 好都合になる。 ポリペプチドαヘリックスでは、各アミノ酸残基は、軸の長さに対して約1.5 Å寄与する。真核生物細胞における細胞膜の脂質二重層が、代表的には約33〜36 Å厚であるので、ポリマー組成物について好ましい長さは、約22アミノ酸以上で ある。好ましくは、少なくとも1つの酸側鎖が高pHコンパートメントに侵入して イオン性高pH形態への変換を開始することを確実にするために、いくつかの追加 のアミノ酸が含まれる。したがって、約24〜100アミノ酸、好ましくは24〜48ア ミノ酸の長さの範囲のポリペプチドは、大きなおよび/または極性の化合物のエ ンドソームからサイトゾルへの輸送に好ましい。 より小さいまたはより極性の低い結合した化合物の送達については、より短い ペプチドが使用され得る。ポリペプチドがその遷移pH以下、その付近、または幾 分上である場合、低pH親油性形態は、脂質膜中およびこれを横切ってポリペプチ ドを拡散させるために十分な平衡濃度で存在する。上記のように、この拡散を顕 著に妨害する結合した化合物についてのみ、所定の任意の時間に膜を完全に横切 るためのポリペプチドが必要である。 さらに以下に記載のように、細胞膜への侵入は、おそらく、ポリペプチドの末 端で、特により極性のポリペプチドについて、開始されるようである。約200ア ミノ酸よりも大きな長さを有するもののようなより長いポリペプチドでは、末端 は、低濃度であり、そして統計的には細胞膜にあまり接触しないようである。さ らに、サイズのみによって、より長いポリペプチドは、代表的には約80nm(800 Å)の直径であるエンドソーム内に効果的に吸い込まれ得ない。したがって、上 記のような好ましいポリペプチドは、200より少ないアミノ酸、および最も好ま しくは約100より小さいアミノ酸の平均長を有する。 B5.ポリグルタミン酸およびポリアスパラギン酸ホモポリマー成分. 例えば、Aldrich Chemical Co.,Milwaukee,WIから市販される、またはN-カ ルボキシ無水物(Blout)から容易に重合されるような、高分子量のランダム長 のポリグルタミン酸は、水から沈殿されるが、約pH4でn-ペンタノールに分配さ れない。このようなポリマーもまた、哺乳動物細胞のエンドソームで到達可能な pHで、以下および実施例10Aに記載のような、直接侵入実験で細胞膜を横切らな い。さらに、高分子量ポリ-L-グルタミン酸が、水溶性を増加させることによっ て薬物のエンドサイトーシス取り込みを増強させようと努力して、アドリアマイ シン(Hoes,Nukui)のような種々の抗ガン剤に連結された場合、ポリペプチド −薬物結合体のポリグルタミン酸成分は、エンドソーム膜に侵入もせず、膜を横 切って薬物を輸送もしなかった。むしろ、キャリアを、融合したエンドソーム− リソソーム内で分解し、そして次いで放出された薬物を、リソソーム膜を横切っ てサイトゾル中に能動的に拡散した。 これらの結果は、さらに以下に記載のように、比較的極性のポリペプチド(例 えば、約50%以上のグルタミン酸残基を含む)が、ポリペプチドの一方または他 方の末端を介して細胞膜中に侵入し始めるという前提で説明され得る。改変され ていない末端を有する高グルタミン酸ポリペプチドは、C末端およびN末端の両 方で多数の保護されていない極性部位を有するので、これらは、明らかに、細胞 膜の非極性内部に効果的に侵入し始めることができない。 これらの結果とは逆に、60〜100%グルタミン酸残基を有する比較的低分子量 のポリペプチドは、以下に記載のように、一方または両方の末端で局所的親油性 を提供するように改変される場合、実施例10Aに記載のように、直接侵入実験に おいて細胞膜を横切る。このように改変された高グルタミン酸ポリペプチドもま た、4.3〜4.9の範囲のpHで水性緩衝液からn-ペンタノールに分配され得る。 ポリアスパラギン酸は、酸性のpHの水溶液に可溶性であり、水相のpHが4のよ うに低い場合でさえ、n-オクタノールまたはn-ペンタノールに分配されない。ポ リアスパラギン酸はまた、以下に記載のように、直接侵入実験において細胞膜を 横切らない。このような親油性の欠如は、分配計算(Leo)を根拠にして予測さ れ、そしてポリアスパラギン酸αヘリックスの分子モデリングが、カルボキシル 基が環境から極性酸部位を保護するために必要とされる二重水素結合した対を形 成することができないことを示すためである。C.イニシエーター部分 イニシエーター部分の2つの一般的な実施態様が期待される。第1は、イニシ エーターポリペプチド配列であり、これは約50%以下の酸性残基を含むポリペプ チド成分の末端領域伸長であり得、あるいは酸性アミノ酸のホモポリマーの場合 には、約50%以下の酸性、例えば、グルタミン酸残基を含む、より疎水性のαヘ リックス形成領域であり得る。第2は、例えば、投与されるべき化合物、あるい は末端電荷および極性基を排除および/またはマスクするのに効果的な化合物で あり得る疎水性部分である。 C1.イニシエーター配列 上記のポリグルタミン酸のC末端付近の親油性ア ミノ酸のさらなる追加(すなわち、残基位置C2、C3、およびC5でのロイシン;図 8Cを参照のこと)は、細胞膜を横切る非常に良好な輸送を提供した。ポリペプチ ドは、n-ペンタノールへの良好な溶解性を示したが、酸性pHではn-オクタノール への良好な溶解性を示さなかった。 ポリペプチド末端でのこのようなアミノ酸配列は、本発明の実施例では、この コンホメーションを仮定するためにグルタミン酸残基の同様の長さの配列に必要 とされるよりも、高いpHでαヘリックスを形成するのに効果的なイニシエーター 配列を提供することに特に有用である。細胞侵入および分配研究は、このような αヘリックス形成イニシエーター配列の包含が、脂質溶解性および細胞侵入を、 αヘリックス形成をそれ自体で開始しない親油性改変基よりも非常に大きな程度 に増大させることを示した。比較的高いpHでαヘリックスを形成するにおいて、 イニシエーター配列はまた、ポリペプチドの隣接セグメントにおけるその後のα ヘリックス伝播を促進する。 好ましいイニシエーター配列は、3〜12、および好ましくは5〜10アミノ酸残 基長であり、そして好ましくは、グルタミン酸、ロイシン、メチオニン、アラニ ン、2-アミノ酪酸、3-アミノ酪酸、ノルバリン、およびβ-アラニンを含み、こ こで非酸側鎖残基対酸側鎖残基の比は、1より大きく、好ましくは2より大きい 。このようなイニシエーター配列の例は、XEXXβおよびXEXXXβ(C末端)なら びにグルタル酸-XXEXおよびグルタル酸-XXXEX(N末端)であり、ここでEはグル タミン酸であり、βはβ-アラニンであり、そしてXは上記のリストから選択され る。1つのこのようなC末端配列であるleu-glu-leu-leu-βを、図8Cに示す。 このような末端配列は、非常に極性の(例えば、高グルタミン酸)ポリペプチ ドにおいて最も明確な有益性を提供する。これらはまた、酸側鎖残基のより低い レベル(すなわち、約50%以下)を含む所定の配列のポリペプチドで有用である 。しかし、このようなポリペプチドは、一般的に、αヘリックス形成に対するよ り高い傾向を有し、したがって、他のイニシエーター部分(例えば、末端の親油 性 薬物、または上記のような保護基)は、このようなポリペプチドの膜への侵入を 開始するのに効果的であり得る。 C2.極性部位の保護または除去.αヘリカルコンホメーションでのポリペプ チドは、代表的には、分子内水素結合によって保護されないC末端およびN末端 の両方に複数の極性部位を含む。これらの保護されていない極性およびイオン性 部位は、溶媒和したカウンターイオンおよび溶媒和の水の存在のため、および非 αヘリカルコンホメーションを仮定するような極性末端の傾向のため、脂質層へ のポリペプチドの開始に対する実質的な障害を構築する。末端電荷を欠失するこ とおよび1つ以上のこれらの極性部位を保護または除去することは、特に短いま たは非常に極性のポリペプチド(例えば、上記の高グルタミン酸ポリペプチド) の場合、脂質溶解性を改善し得る。 ポリマー末端に結合された親油性物質(例えば、送達されるべき薬物)は、こ の末端での電荷を排除しそして局所的親油性を与える。末端電荷を欠失すること および極性部位を保護または除去することはまた、C末端またはN末端で、末端 カルボキシルまたはアミノ基に共有結合するかまたは含み、そしてヒドロキシル またはカルボキシル基のような少なくとも1つの遠隔の極性基をさらに含み、ポ リペプチド末端でまたはその付近で1つ以上の追加の極性基を水素結合によって 保護するのに効果的である基を、組み入れることによって達成され得る。特定の 例は以下のとおりである。 C末端保護.ポリペプチドのC末端は、代表的には、図5Aに示すように、分子 内水素結合によって保護されない3つのカルボニル基および1つの負に荷電した カルボキシレートイオンを含む。これらの保護されていない末端極性部位の数を 減少させる1つの方法は、図5Bに示されるように、C末端で、α-エステル、好 ましくは2-ヒドロキシエチルエステルを組み入れることである。極性部位はまた 、図5Cに示されるようにおよび実施例1に記載のように、β-アラニンを有する 支持体樹脂上でポリペプチドの合成を開始することによって、C末端から都合よ く排除され得る。N末端保護.ポリペプチドのN末端は、代表的には、図6Aに示すように、分子 内水素結合によって保護されない3つのアミドプロトンおよび1つの正に荷電し たプロトン化アミンを含む。極性部位は、図6Bに示されるように、ジ酸を有する ポリペプチドを終結させることによってN末端から都合よく除去され得る。ある いは、極性部位は、図6Cに示されるように、末端アミンをアセチル化することに よって、簡単に保護され得る。水素結合は、ポリペプチドがαヘリックスである 場合に示されるように生じる。N末端のより広範な保護は、αヘリックスのN末 端で正常に曝露された極性部位のすべてを保護するように設計された、N-クラウ ンといわれる新規の構造によって達成され得る。図6Dは、このような1つのN-ク ラウンを示し、その構造は、図6Eに与えられ、H-結合したコンホメーションでは 、αヘリカルコンホメーションに存在するポリペプチドのN末端に連結された場 合に採用されると考えられる。 このような改変を有するポリグルタミン酸を図8Bに示す。図8Aに示される改変 されていないポリペプチドは、n-オクタノールまたはn-ペンタノールに分配され ず、直接侵入研究において細胞膜を横切るどのような輸送も示さなかった。 図8Bに示されるようなN末端カルボキシ-フルオレセインの付加は、N末端か ら正電荷を除去し、N末端極性部位を部分的に保護し、そして大きな親油性部分 (すなわち、低pH形態でのフルオレセイン)をN末端に付加する。さらに、2つ の極性部位を有する負に荷電したカルボキシレートは、図10に示されるように、 β-アラニンでポリペプチド合成を開始することによってC末端から排除された 。これらの改変は、細胞膜を横切った適度な輸送を与え(図8B)、そしてポリペ プチドはn-ペンタノールに分配したが、n-オクタノールには分配しなかった。 実施において、一旦ポリペプチドの末端のイニシエーター部分が膜に侵入する と、ポリペプチドの次のセグメントは、親油性の水素結合したコンホメーション に変換し得る。このような変換は、エンドソーム内の漸増酸性環境によって、な らびにポリペプチドの隣接αヘリカルセグメントおよび細胞膜の近位によって提 供される増加した局所的親油性によって誘導される。 イニシエーター部分の侵入の後、多数の酸側鎖を有するポリペプチドは、「段 階的」様式で膜に分配し得、ここでは、膜にすぐ隣接して位置する酸側鎖は、近 くの酸側鎖と水素結合した対を形成し、そしてこの対を含み、親油性αヘリカル コンホメーションを仮定したポリペプチドのセグメントは、膜に侵入する。この 意味で、カルボン酸側鎖間のスペーシングは、特に重要である。ポリペプチドが 上記の段階的方法で膜に侵入する場合、もう1つのカルボキシレート側鎖と対に なることができない膜に隣接したカルボキシレート側鎖は、さらなる侵入をブロ ックするようである。上記のように、0、2または3アミノ酸のスペーシングは 、このような対形成に効果的である。さらに、薬物が、末端でのみよりもポリペ プチド鎖に沿った部位で結合されるべきならば、これらは側鎖カルボキシレート 間のスペーシングおよび対形成を妨害しないように位置しなければならない。し たがって、薬物のランダム結合、ならびに非酸側鎖残基(グルタミン酸エステル を含む)のランダムスペーシングは、避けられるべきである。 さらに以下に記載のように、一方向輸送についての追加の駆動力は、ポリペプ チドが膜にわたりそしてより高いpHの細胞サイトゾルに遭遇すると、側鎖カルボ キシルのイオン化および水和によって提供される。したがって、高い割合の側鎖 カルボキシルを有するポリペプチドは、結合した化合物を膜を横切って輸送する ための高い駆動力を提供することが予想される。 したがって、本発明での使用のためのポリペプチドの1つの好ましいクラスに は、30%〜100%、および好ましくは50%〜100%のグルタミン酸含量を有し、そ して一方の末端で本明細書に記載のようなイニシエーター配列を有するものが含 まれる。(この意味では、100%グルタミン酸含量とは、イニシエーター部分を 除いて、ポリペプチドの中心鎖をいう。)好ましくは、輸送されるべき化合物は 、ポリペプチドの他方の末端にまたはその付近に結合される。D.遷移pH ポリペプチド成分またはそのセグメントが、親水性形態と親油性形態との間で 変換し、そして水相から脂質相へ、あるいはその逆に分配するのに効果的である pHを、「遷移pH」という。一般的に、化合物を低pH環境から脂質層を横切ってよ り高いpHの水性コンパートメントに輸送することについて、この変換は、低pH環 境のpHよりも大きいまたはほぼ等しく、そしてより高いpHの水性コンパートメン トのpHよりも低いpHで生じるべきである。 しかし、上記の論議から、ポリペプチドの局所的改変が、全体としてポリペプ チドがこのような改変の不在下でまたは脂質層の不在下でαヘリカルコンホメー ションに変換するpHよりも大きなpHで、脂質層への侵入および分配を促進し得る ことが理解される。膜のような薄い脂質層を通る水性コンパートメントへの輸送 もまた、組成物がこの水性コンパートメントに接触させる際に親水性コンパート メントに変換して戻るので、イオン化および溶媒和によって促進される。したが って、組成物がインビボでまたは細胞侵入研究で効果的に輸送するpHは、2相分 配研究において、ポリペプチド分子の遷移pHとは異なり得る。したがって、後者 の値は、ポリペプチドの最初の選択についての有用なガイドラインとして用いる が、特に高極性のポリペプチドについては、以下に記載の直接侵入研究によって 補われるべきである。 効果的な遷移pHは、種々の適用について変化する。例えば、潰瘍の主要な原因 である、細菌H.pyloriは、胃中の非常に酸性の環境に存在する。この環境は、 以下に記載のように、約4.5以下のpHで脂質層への分配に効果的であるポリマー 組成物の使用によって、特異的に標的され得る。 逆に、経皮送達については、a)ポリマー組成物が、角質層の細胞外脂質マト リクスに安全に到達可能なpHで親油性形態で存在すること、およびb)ポリマー 組成物が、角質層の下にある水性環境に接触させる際に親水性形態に変換するこ とが好ましい。約5〜6.5の範囲の遷移pHは、一般的にこれらの2つの基準を満 たす。 エンドソームから真核生物細胞のサイトゾルへの比較的極性の化合物の輸送に おいて、本明細書に記載のポリマー組成物は、エンドソーム膜中および膜を介し て比較的極性の化合物を引っ張る分子エンジンとして機能し得る。図7に示され るように、非イオン性親油性αヘリカルポリペプチドがエンドソーム膜のサイト ゾル面でイオン化および溶媒和を受けるので、エンジンによって作用する駆動力 が生じる。この駆動力は、一部は、遷移pHとサイトゾルのpHとの間の差の関数で ある。したがって、遷移pHが低いほど、このようなエンジンが作用すべき力がよ り強く、そのためエンドソーム膜を通って輸送し得る負荷がより大きい。かなり 小さくおよび/またはほんの適度に極性である化合物について、エンドソームか らサイトゾルへの輸送に使用されるポリマー組成物は、6.4〜6.8の範囲にあるよ うなかなり高い遷移pHを有し得る。より大きくおよび/またはより極性の化合物 (すなわち、より大きな負荷)については、遷移pHは、一般的により低いべきで ある。 しかし、遷移pHが低すぎる場合、エンドソーム/リソソーム融合は、ポリペプ チドエンジンが親油性形態へ変換しそして包んでいる膜に侵入する前に生じ得、 輸送機能を行い得る前にポリペプチド(L-アミノ酸を含むと仮定する)の酵素的 分解を導く。エンドソーム/リソソーム融合の時点で、エンドソームのpHは、代 表的には、約5〜6の範囲である。したがって、この範囲における最小遷移pHは 、L-アミノ酸から組み立てられる組成物が好ましく、そしてエンドサイトーシス 侵入が意図される。 上記から、最適遷移pHが、実質的に、送達されるべき化合物ならびにそこから およびそこに送達されるべきコンパートメントに依存して変化し得ることがわか る。以下に記載のいくつかのパラメーターは、広いpH範囲にわたって遷移pHを調 節するために変化され得、それによって、ポリマー組成物の最適化は、選択され たコンパートメント間の選択された化合物の送達を可能にする。 1.)長さ.表2Aに示すように、ポリペプチドの長さが増加するにつれて、オク タノール/水分配系で決定した場合、遷移pHの適度の増加がある。 2.)酸アミノ酸.表2Bの結果は、一般的に、グルタミン酸残基が、アスパラギ ン酸残基よりも高い遷移pHを提供することを示す。この表の結果はまた、順序お よびスペーシング(すなわち、ELLDL対ELLLD)もまた遷移pHに重要な影響を有す ることを示す。 3.)非酸アミノ酸.表2Cの結果は、非酸アミノ酸部分の選択がまた、遷移pHに 実質的に影響を与え得ることを示す。例えば、ロイシンをフェニルアラニンで置 換することは、遷移pHを減少させる。表2Cに示されるように、遷移pHはまた、ロ イシン−>バリン−>アラニン−>グリシン(グリシンについてのデータは示し ていない)の順で各置換によってさらに減少する。したがって、広い範囲にわた って遷移pHを調節する1つの簡単な方法は、ロイシン残基(高い遷移pH値を与え る)をアラニンで漸次置換することによる。ロイシンがノルロイシンとほぼ同じ 遷移pH値を与えることもわかる。 4.)酸対非酸の比.遷移pHは、一般的に、酸アミノ酸の割合(ロイシンのよう な親油性アミノ酸を置換すること)が増加するにつれて減少することが見出され た。 5.)末端構造.水素結合に関係ない極性の末端基をマスクするまたは欠失する ことは、遷移pHを増加させるのに役立つ。 表2 A.長さ繰り返し配列 長さ 遷移pH* -ELALE- 25 5.83 -ELALE- 45 6.05 -ELALE- 65 6.14 B.酸アミノ酸繰り返し配列 長さ 遷移pH* -ELLLE- 50 6.92 -ELLLD- 50 6.51 -DLLLE- 60 6.45 -ELLEL- 49 6.85 -ELLDL- 49 6.29 C.非酸アミノ酸繰り返し配列 長さ 遷移pH* -ELEDLDLL- 54 5.50 -EFEDLDLL- 54 5.39 -ELLLE- 50 6.92 -ELVLE- 50 6.44 -ELALE- 50 6.14 -ELLLE- 30 6.83 -ELALE- 30 5.90 -EALAE- 30 5.10 -ELLLE- 30 6.93 -EnLnLnLE- 30 6.90 A=アラニン D=アスパラギン酸 E=グルタミン酸 F=フェニルアラニン L=ロイシン nL=ノルロイシン V=バリン *n-オクタノール/水で決定した場合 表2は、上記の構造的特徴を変化させることによるn-オクタノール/水分配系 で到達される遷移pHの選択を示す。これらのパラメータ一をさらに調節すること によって、さらに高いまたは低い遷移pHを有するポリペプチドを調製することが できる。例えば、4以下の遷移pHを有する組成物は、比較的短いポリペプチドに おいて高い割合のアスパラギン酸およびアラニンサブユニットを含むことによっ て調製され得る。 上記のように、オクタノール/水またはペンタノール/水分配研究から決定さ れた遷移pHは、選択された環境への化合物の送達に適切なポリペプチドを選択す るために有用なガイドラインを提供する。しかし、追加の因子が、細胞環境にお いてポリペプチドの挙動に影響を及ぼし得ることが理解される。研究は、例えば 、高レベルのロイシンを含むポリペプチドが血清タンパク質に結合し得ることを 示唆している。末端に親油性の局所的領域を有するポリペプチドが、バルク分配 研 究で示されるよりも高いpHでインビトロまたはインビボで細胞侵入に効果的な遷 移を受け得ることも、本明細書で示されている。したがって、分配研究は、理想 的には、組成物の膜輸送特性をさらに評価するために、以下に記載のような、イ ンビトロ細胞侵入実験の後である。候補ポリペプチドはまた、血清アルブミンを 添加したおよび添加しないアガロースゲルでの電気泳動を行うことによって、血 清タンパク質への結合についてテストされ得る。E.ポリペプチド成分への化合物のカップリング 1つ以上の薬物または他の化合物は、末端での部位を介しておよび/または鎖 内の限られた数の選択された部位でポリペプチドに結合され得る。上記のように 、鎖に沿った化合物のランダム結合または高い負荷は、特に高い酸側鎖ポリペプ チドについて、膜への分配を妨げ得る。 選択的結合のための方法は、当該技術分野で周知であり、そしていくつかのこ のような方法は、以下の実施例2〜7に記載される。図9は、実質的に多様な化 合物およびポリマー組成物に便利および効果的の両方である、代表的な結合位置 およびタイプを示す。左から右へ、リジンへのアミドおよびカーバメート結合、 グルタミン酸へのエステル結合、およびシステインへのジスルフィド、チオエー テル、およびアミド結合が示される。特に、アミド、カーバメート、エステル、 チオエーテル、ジスルフィド、およびヒドラゾンから選択された結合は、代表的 には、形成することが容易であり、そしてほとんどの適用に適切である。結合が 、化合物の送達後にサイトゾルで容易に切断されるべきである場合、エステルお よびジスルフィド結合が特に好ましい。 図11は、このような結合の代表的な出発物質および生成物を例示する。実施例 2〜7は、これらの結合タイプを介する代表的ポリマーへの代表的化合物の結合 を記載し、これには、シクロスポリン、TaxolTM(paclitaxel)、およびモルホ リノアンチセンスオリゴマー(SummertonおよびWeller)を含む。シクロスポリ ンは、ジスルフィド結合(実施例3A)、チオエーテル結合(実施例4A)、カーバ メート結合(実施例5)、およびアミドまたはチオエーテル結合(実施例6)を 介してポリペプチドに結合される。同様の方法を使用するTaxolTMのポリペプチ ドの対応する結合(実施例3B、4B、5、および6B、および7A)、ならびにモルホ リノアンチセンスオリゴマーへのアミド結合(実施例6C、図13A〜Cに示される) もまた、記載される。 上記の実施例において、TaxolTMは、そのC-7ヒドロキシル基を介してポリペプ チドに好都合に結合される。シクロスポリンAを結合するために、一級ヒドロキ シル基を有するメタボライト17(EberleおよびNuninger,1992)が使用される。 これらの両方の場合、結合は、分子の公知の活性部位を含まない。メトロニダゾ ールまたはドキソルビシンのような、以下に記載の適用で使用され得る他の薬物 もまた、好都合な結合のための一級ヒドロキシル基を有する。一般的に、多くの 官能基(ヒドロキシル、アミノ、ハロゲンなど)が結合に使用され得る。特にポ リペプチドまたはその任意の部分が送達後に化合物へ結合したままである場合、 化合物の活性部位の一部であることが知られていない基が好ましい。 実施例8は、ポリマー−化合物生成物の精製のための代表的な方法、ならびに その生成物の構造分析の方法を記載する。 化合物/ポリペプチド比は、好ましくは5:1またはそれ以下、および大きいお よび/または極性化合物についてはより好ましくは1:1である。好ましくは、化 合物は、ポリペプチドの末端でまたは付近で結合され;最も好ましくは、一方の 末端はイニシエーター部分を含み、そして他方は結合した化合物を含む。 核酸結合ポリマーのような特に大きいおよび/または極性化合物については、 輸送は、本発明の複数(例えば、2〜5)のポリペプチドキャリアを単一の化合 物分子に結合することによって増強され得る。キャリアは、好ましくは、輸送さ れるべき分子の同じ領域に(例えば、核酸結合ポリマーにまたは付近に)結合さ れる。 III.組成物特性の評価 A.分配特性 水とn-オクタノールとの間の化合物の分配は、通常、水性コンパートメントと 細胞膜の脂質二重層との間の化合物の分配を評価するための薬学的調査に使用さ れている。n-オクタノールと種々のpHの一連の緩衝液との間の分配を使用して、 アミノ酸の約50%までの酸側鎖酸含量を有する本発明のポリマー組成物のpH依存 的溶解性特性の定量的測定を提供した。50%を越える酸側鎖含量を有するポリマ ー組成物については、n-ペンタノールと水性緩衝液との間の分配を使用した。n- オクタノール/水で得られた遷移pH値が、n-ペンタノール/水で得られたものよ り約0.3pHユニット低いことに留意すべきである。 その遷移pHで、ポリマーは、水相および有機相において等しい濃度で分配する 。これらの研究から決定した遷移pH値は、ポリマー溶解性特性に対する種々の因 子の効果の簡単な定量的評価を与える。実施例9は、このような分配研究を行う ためおよび代表的なポリマー組成物についての遷移pHを得るための便利な手順を 記載する。この手順では、フルオレセインでタグ付けしたポリペプチドは、n− オクタノールまたはn-ペンタノールと種々のpHの水性緩衝液との間で分配され、 そして各相の吸光度が測定される。図14A〜Fは、本発明の6つの代表的なフルオ レセインでタグ付けしたポリペプチド組成物についてのpHの関数として、これら の吸光度値のプロットを示し、ここで6つの異なるポリペプチドは、5.1〜6.9の 範囲のオクタノール/水遷移pH値を示す。 次の項に記載の培養した細胞での実験の結果は、約50%までの酸アミノ酸組成 物を有するポリマーについては、ポリマーが低pHコンホメーションである場合、 これらの分配特性が、一般的に、ポリマーが脂質層に侵入する能力を予測するこ とを示唆する。上記のように末端基の親油性を生じるように改変する場合、50% より大きい酸アミノ酸組成物を有するポリマーは、分配研究で示される遷移pHか ら予測されるよりも高いpHで、より効果的な直接細胞侵入を示す傾向がある。 B.サイトゾル侵入 B1.直接侵入.選択された化合物の送達についてポリマー組成物をスクリーニ ングすることにおいて、直接的膜貫通通過は、細胞外培地のpHの簡単な段階的減 少によって評価され得、これは、膜に埋められたプロトンポンプの作用によって エンドソームで生じる進行性pH減少に匹敵する。このプロセスはまた、細胞外培 地のpHが細胞のサイトゾルのpHよりも低い場合、インビボでの直接的侵入の代表 である。 真核生物細胞では、蛍光化合物がエンドソーム/リソソームコンパートメント に限定される場合、蛍光顕微鏡検査は、細胞での核周囲の点状パターンを示す。 逆に、蛍光化合物がサイトゾルに侵入する場合、細胞全体に拡散する蛍光が見ら れる。したがって、サイトゾルに輸送されるべき化合物に蛍光タグを結合するこ とは、培養した細胞への添加後、ポリマー−化合物生成物の細胞下局在化を容易 に評価することを可能にする。理想的には、結合した蛍光タグは、輸送プロセス に最小の影響を有するべきである。詳細には、これは、比較的小さいべきであり 、そして低pHでオクタノールおよび脂質層にかなり可溶でありそして中性pHおよ びそれ以上で水溶液にかなり可溶であるべきである。ほとんどのこのような適用 に適切な2つの蛍光タグは、5-カルボキシ-フルオレセインおよび7-ジメチルア ミノクマリン-4-酢酸(Molecular Probes Inc.,Eugene,Oregonから得た)であ る。 実施例10Aは、培養した真核生物細胞での直接的細胞侵入実験を記載する。こ の実験では、細胞を、5-カルボキシフルオレセインでタグ付けした本発明の代表 的なポリマー組成物で、2、3分間処理した。細胞外培地が中性であった場合、 サイトゾル侵入は観察されなかった。しかし、細胞外培地のpHが、エンドソーム で生じる進行性pH減少に匹敵するように段階的に減少した場合、ポリマーが、サ イトゾルコンパートメントに迅速に侵入することが見られ、これは細胞全体にわ たって拡散した蛍光によって証明された。 B2.エンドサイトーシスによる侵入 直接的細胞侵入研究が、選択された化合物の膜貫通送達に1つ以上のポリマー が効果的であることを示した後、エンドサイトーシスによる細胞侵入は、実施例 10に記載のような方法によって評価され得る。 図2は、エンドサイトーシス取り込みによる真核生物細胞のサイトゾルへの、 本発明のポリマー化合物組成物の侵入を示す。この図から、真核生物細胞のサイ トゾルへの侵入が、複数工程を包含することがみられ、その主なものは、最初の エンドサイトーシス取り込みおよびそれに続く酸性化したエンドソームから中性 サイトゾルへの膜貫通通過である。 蛍光でタグ付けしたポリペプチドが細胞にエンドサイトーシスされる場合、核 周囲の点状パターンの観察は、タグ付けされた材料がエンドソームまたはエンド ソーム/リソソームコンパートメントに局在することを示す。したがって、細胞 全体にわたって拡散した蛍光は、ポリペプチドが、所望のエンドソームからサイ トゾルへの輸送を達成したことを示し得た。しかし、L-アミノ酸から組み立てら れたポリペプチドの場合、このようなパターンはまた、ポリペプチドがリソソー ム酵素によって分解されそして蛍光タグのみがサイトゾルに拡散したことを示し 得た。したがって、エンドサイトーシス経路によるこのようなぺプチドのサイト ゾル侵入が、実施例10に記載のように、ポリペプチド−薬物生成物の薬物成分に ついての機能的アッセイによって評価されることが好ましい。あるいは、選択さ れたポリペプチドのエンドサイトーシス送達を示しそして最適化することに関す る、最初のエンドサイトーシス侵入研究は、リソソーム酵素によって分解されな いD-アミノ酸から組み立てられたポリマーで行われ得る。本発明を支持する研究 では、同じ配列を有するD-およびL-ポリペプチドが、同じ分配および膜輸送特性 を示すことが示されている。 この実施例では、ポリペプチドに結合した化合物は、配列特異的核酸結合ポリ マーであり、詳細には、処理した細胞に含まれるプラスミドによってコードされ る、ホタルルシフェラーゼについての特異的メッセンジャーRNAを標的とした非 イオン性アンチセンスオリゴマー(SummertonおよびWeller)である。アンチセ ンスオリゴマーが、トランスフェクトした細胞のサイトゾルコンパートメントに 接近する場合、未処理細胞に対して、デキサメタゾン誘導したルシフェラーゼ活 性の顕著な減少が観察されるべきである。 ポリマー−化合物組成物を、エンドサイトーシス取り込みに適切な時間、約5 時間、細胞に接触させた。ポリペプチド単独、アンチセンスオリゴ単独、および 培地単独(コントロール)もテストした。実施例に記載のように、アンチセンス オリゴ単独は、おそらく細胞のサイトゾルに侵入できないため、標的したメッセ ンジャーRNAを阻害できなかった。逆に、本発明のポリマーに結合した同じアン チセンスオリゴは、コントロールに対して約31%ルシフェラーゼ活性を阻害し、 これはサイトゾルコンパートメントへの化合物の良好な送達を示唆した。 結合した親和性部分によるエンドサイトーシスの増強.本発明のポリマー組成 物は、本質的に中性の細胞外培地中で比較的高密度の負電荷を有する。さらに、 相当な部分で糖衣上のシアル酸残基のため、代表的には、真核生物細胞の外表面 はまた、相当な密度の負電荷を有する。おそらく、同様に荷電したポリマーと細 胞表面との間の静電反発のため、流体相エンドサイトーシスによるいくつかのポ リマー−化合物生成物の細胞侵入の速度は、比較的遅いようである。 以下に記載のさらなる実験結果は、エンドサイトーシスの速度が、ポリマー− 化合物組成物に結合したまたは複合体化した脂質アンカー(すなわち、脂肪酸、 長鎖アルキルアミン、長鎖アルコールなどのような親油性分子)のような、細胞 表面に対する親和性を有する部分を使用することによって、しばしば増強され得 ることを示唆する。このような脂質アンカーは、エンドソームを形成するための 細胞膜の陥入の際に、より大量のポリマー−化合物が他の場合よりも包まれるよ うに、細胞表面でポリマー−化合物の濃度を増加させる役割を有し易い。 脂質アンカーが静電引力によってポリマーに結合される場合、このような引力 は、低pHで、すなわち、後期エンドソーム内で排除される。脂質アンカーがポリ マー−化合物に共有結合される場合、ポリマー−化合物が、エンドソーム膜に埋 められた脂質アンカーに結合したままであるよりもサイトゾルで自由に放出され るように、結合が細胞のサイトゾル中で切断可能であることが、一般的に望まし い。 実施例10にも記載された、上記のポリペプチド−アンチセンスオリゴ組成物を 使用するさらなる実験では、四カチオン性脂質アンカー(TransfectamTM.Prome ga Corp.,Madison,WI,USAから)を添加して、ポリアニオン性ポリマー組成物 と複合体化することによってエンドサイトーシスエ程を増強した。これは図12に 示し、ここでは、脂質アンカーは30で示される。この場合、ルシフェラーゼ活性 は、コントロールに対して約68%阻害された。これは、上記の脂質アンカーなし の31%と比較される。 図12は、ポリマーが後期エンドソームで、その低pH非イオン性形態に変換する 場合、TransfectamTMのような脂質アンカーが、最初のエンドサイトーシス工程 、次いで、ポリマーからの解離を増強することにおいて果たす、起こりそうな役 割を示す。 親油性薬物(例えば、TaxolTMおよびシクロスポリンA)のような多くの化合 物が、その本来の親油性のため、エンドサイトーシスを増強するように作用する ことが理解されるべきである。このような場合、一般的に、別々の脂質アンカー は必要とされない。 エンドサイトーシスはまた、レセプターシグナル、またはリガンドのポリペプ チド−化合物組成物への結合によって促進され得る。レセプターが媒介するエン ドサイトーシスでは、取り込みのために標的された組成物に結合または複合体化 したリガンドは、細胞表面のレセプターに結合し得る。このようなリガンドは、 さらに以下に記載のように、一般的なエンドサイトーシス取り込みを増強するた めに、または特定の細胞タイプを標的するために、使用され得る。 IV.適用 本発明のポリマーは、体内の特定の細胞または位置への結合した化合物の送達 を標的するために使用され得る。標的の特異性は、サイトゾルと細胞外培地との 間のpH差(differential)を利用することによって、または標的した細胞表面レ セプターの使用によって、制御され得る。A.H.pylori感染の処置 標的細胞が酸性環境に存在する場合、細胞への直接侵入は、エンドソームによ る侵入を必要とせずに、細胞外環境と細胞のサイトゾルとの間のpH差によって促 進される。このような直接侵入は、一般的には、エンドサイトーシス侵入よりも 非常に速い。低pH環境でのこのような標的の例を以下に示す。 胃の非常に酸性の環境は、約4.5よりも低いpHで膜への分配に効果的なポリマ ー組成物を使用することによって、H.pylori感染の処置でのように特異的に利 用され得る。真核生物細胞のエンドソームコンパートメントを含む、体における 他のコンパートメントは、4.5〜6.5の範囲のpHを有しており、これは、この低い pHに到達せず、そしてそのためポリマー組成物を、その脂質層を横切る通過のた めに必要とされる親油性状態に変換しない。 例えば、6.5または7.0までの、より高い遷移pHを有するポリペプチドが、H.p ylori細胞にさらに侵入するが、エンドサイトーシスによって他の細胞にも侵入 し得、その結果、選択性が減少する。 細菌細胞に浸透するために、組成物は、外膜(グラム陰性菌で)、細胞壁、お よび内形質膜を通過できなければならない。細菌細胞壁は、一般的に、2000Da以 上の球状化合物の侵入を排除する。本発明の支持での研究は、本明細書に記載の ポリペプチド組成物が、一般的に2000Daよりも高分子量であるが、H.pylori細 胞に良好に浸透することを示す。低pHでの組成物は、球状よりも主として直線桿 体であるので、これらがレプテーション(reptation)メカニズムによって細胞 壁を浸透すると仮定される。 H.pyloriを標的するために使用されている薬物には、アモキシシリン、ビス マス塩、メトロニダゾリン、オメプラゾール、クラリスロマイシン、およびテト ラサイクリンが挙げられる。単一の薬物での治療は、感染部位での薬物のpH効果 および/または不適切な濃度のため、必ずしも効果的とは限らない。したがって 、ビスマス塩(例えば、次サリチル酸ビスマス(bisumuth subsalicylate))、抗 感染剤(例えば、メトロニダゾール)、およびテトラサイクリンまたはアモキシ シリンのいずれかの組み合わせを使用する、3薬物治療がしばしば推奨される( 例えば、Dixon,O’Conner,Glupczynskiを参照のこと)。本発明の方法は、病 原体に対してより選択的な標的を提供するので、より高用量の薬物および/また はより細胞傷害性の薬物が送達され得、そのためより大きな効率の単一および複 数の両方の薬物療法、ならびに一般的に根絶に必要とされる3〜4週よりも短い 処置期間を提供する。 この適用は、有益性が、化合物の送達後に、ポリペプチドを未処理で維持する ことによって得られ得るものである。詳細には、未処理のポリペプチド−化合物 組成物は、胃または小腸壁に吸収されないようであり、そのため標的されていな い体の部位への結合した化合物の送達を防止する。上記のように、D-アミノ酸か ら構成されるポリペプチドは、タンパク質分解酵素によって分解されず、そして そのためこの目的に好ましい。アミドのような、比較的安定な化合物−ポリペプ チド結合はまた、この場合に好ましい。B.標的腫瘍細胞 ほとんどの固体腫瘍塊は、不十分な血液供給のため、低酸素(酸素不足)であ る細胞を含む。この低酸素症は、このような細胞を放射線および薬物治療の両方 により抵抗性にする(例えば、Kennedyを参照のこと)。抗ガン剤の送達はまた 、限定された血管系によって損なわれ得る。 このような固体腫瘍内の細胞外環境は、嫌気的条件下の乳酸の産生のような因 子のため、正常組織(例えば、Kennedy,Tannock,Vaupel)よりも酸性であるこ とが示されている。測定したpHは、代表的には、6.0〜7.0の範囲にあり、あるい は、一般的には、対応する正常組織よりも低い約0.3〜1.0ユニットである(Vaup el)。 腫瘍塊の細胞外培地もまた、腫瘍細胞自体の細胞内コンパートメントよりも低 いpHであるようである(Newell)。例えば、主として細胞内pHを測定する31P NM RによるpHの測定は、脳腫瘍および肉腫が、対応する正常組織よりも高い細胞内p Hを有することを示した(Vaupel)。 本発明の方法によれば、低酸素腫瘍細胞は、その低pH環境によって、この細胞 外環境に存在するpHでの膜への分配に効果的であるポリペプチドに結合した抗新 生物薬物によって標的され得る。このような薬物には、例えば、シスプラチン、 メトトレキセートおよびフルオロウラシルのような抗代謝剤、ドキソルビシンの ようなトポイソメラーゼインヒビター、シクロホスファミドおよびクロラムブシ ルのようなアルキル化剤、ならびにビンブラスチン、ビンクリスチン、ドセタキ セル、およびパクリタキセル(TaxolTM)のようなチューブリン結合植物アルカ ロイドが含まれる。 上記のような、低酸素細胞の標的に効果的なポリペプチドはまた、後期エンド ソームでのその親油性形態へのpH依存的遷移を受け得、ここで代表的には、pH範 囲は約4.5〜6.5である。しかし、直接細胞侵入は、一般的に、エンドサイトーシ スよりも非常に速い。適切なpH差を使用する直接的細胞侵入実験において、輸送 は数分内に生じる;例えば、実施例10を参照のこと。他方、感知可能なエンドサ イトーシス侵入は、一般的に、多くの時間がかかる。したがって、標的されてい ない細胞によるエンドサイトーシス取り込みは、細胞外培地と細胞内コンパート メントとの間に存在するpH差によって誘導される、標的されたガン細胞への直接 侵入に対して最少である。C.歯崩壊の処置/予防 歯の崩壊(歯カリエス)は、炭水化物を破壊することにおいて細菌による酸の 産生(酸生成)によって促進される。スクロース誘導されたプラーク(Igarashi )のpHの研究は、2日齢のプラークで4.6±0.2の最小pHを示した;21日後にはpH は5.7に上昇した。優勢な細菌は、Streptococci(全体の>50%)およびActinom yces(全体の>10%)であった。もう1つの研究では、カリエス活性部位から取 った細菌は、糖ブロス中で4.2以下の最終pHを生じた(van Houte)。 抗細菌剤は、約4.5〜6.5の範囲のpHで、好ましくは約4.5〜5.5の範囲のpHで、 膜への分配に効果的なポリペプチドを使用して、上記の方法に従って、崩壊また は潜在的崩壊部位に標的され得る。歯カリエスの処置に使用されている適切な抗 細菌剤には、クロルヘキシジン、トリクロサン(Friedman,Bouwsma)、キシリ トール、抗細菌酵素、ならびに9-オクタデセン-1-アミンヒドロフルオリドおよ び1-ヘキサデシルアミンヒドロフルオリドのようなアミンフルオリドが含まれる 。D.細胞表面レセプターの標的 エンドサイトーシスによる薬物送達は、適切なリガンド、またはレセプターシ グナルにポリマー薬物組成物を結合または複合体化することによって促進され得 る。マンノース-6-ホスフェート、ビオチン、葉酸、および他の水溶性ビタミン のようなあるレセプターシグナルが、多くの細胞タイプへの送達を与え(Ludwig )、そのため多くの適用において細胞侵入を促進するために使用され得るので、 このようなリガンドの使用は、細胞標的の多能性を提供し得る。以下にさらに記 載のように、他には、1つまたは2、3の特異的細胞タイプへの送達に焦点を絞 るために使用され得る。 一般的に、ポリマー薬物組成物とリガンドとの間の結合が切断可能であり、そ のため輸送後にポリマー薬物がサイトゾルで自由に放出され得ることが望ましい 。 リボフラビン、チアミン、ニコチン酸、および葉酸のような水溶性ビタミンは 、細胞表面レセプターを標的するために使用され得る。これらの化合物は、小分 子の取り込みについて特定化されるエンドサイトーシスの変法であるポトサイト ーシスによって、細胞に取り込まれると考えられる。ポトサイトーシスでは、レ セ プターは、カベオラとして公知の細胞表面の小さい(約50nm直径)穴または小胞 に存在する。これらのカベオラは、細胞表面でまたはその付近で、開閉のサイク ルを行っているままである。閉じている場合、膜内のプロトンポンプは、カベオ ラ内約6.0のpHを生じる。 カベオラのpHが十分に低くなる場合、ビタミンは、結合したポリマーとともに 、レセプターから放出される(Anderson)。次いで、親油性コンホメーションへ のpH依存的遷移を受けた後、ポリマー化合物組成物は、脂質膜に挿入し、その後 本明細書に記載のメカニズムにしたがって、サイトゾルへ輸送する。 この経路は、代表的には、エンドサイトーシス経路のように大きなpHの差異を 含まないが、ある有利点を提供する。カベオラは、プレリソソームに溶け込まず 、したがって、分解性酵素への化合物の潜在的曝露が避けられる。さらに、水溶 性ビタミンは、カベオラ内の低pHに曝露される場合、一般的に、ポリマーから放 出され、遊離のポリマー薬物のサイトゾルへの侵入を可能にする。 レセプターシグナルによって特異的に標的され得る細胞には、肝臓細胞(肝細 胞)が含まれ、その表面は、ガラクトース末端糖タンパク質を特異的に認識する レセプターを含む。多くの悪性細胞は、特定のレセプターを過剰発現し、そのた め、葉酸(Mathias)および上皮増殖因子(Deshpande)を使用して報告されてい るように、このような細胞を選択的に標的することができ得る。D-シクロセリン は、細菌の細胞形質膜を通る輸送を促進することが報告されている(Chopra,Ra paport)。E.血液-脳関門を横切る輸送 血液-脳関門(BBB)は、血流と中枢神経系との間の物質の交換を調節し、薬物 輸送に対する強力な障壁を提供する。脳毛細血管の内皮細胞は、隣接細胞と密接 する細胞のまわりの周囲のバンドである「堅い連結」を含む。これらの連結は、 細胞間の輸送を防止し、そのため、効果的な輸送については、化合物は、内皮細 胞自体を通過しなければならない。このようなペプチドの輸送に関する研究は、 親油性が、おそらく、BBBを横切るペプチドの輸送を促進することにおいて最も 重要な因子であることを示す(Banga)。 一般的に、化合物は、トランスサイトーシスによって細胞を横切って輸送され 得る。毛細血管内の極性を与えられた内皮細胞(すなわち、明確な頂膜および基 底膜を有する細胞)の場合、化合物は、最初に、トランスサイトーシス小胞へ、 毛細血管内壁における頂膜を通って取り込まれる。このような小胞は、代表的に は、約6.0のpHを到達する。小胞は、毛細血管外壁で、内皮細胞の基底膜に化合 物を移動する。次いで、化合物は、トランスサイトーシス小胞から追い出され、 それによって化合物を細胞および毛細血管の外に放出する。 本発明の方法によれば、血液-脳関門を横切る化合物の輸送は、化合物を本発 明のポリペプチドに連結することによって行われ得、これは以下に記載のように 、選択された範囲内のpHで膜への分配に効果的である。組成物は、好ましくは、 脳内皮細胞の表面のレセプターに結合するのに効果的な、レセプターシグナル( 例えば、ヒポキサンチンまたはイノシン)にさらに連結される。脳血流への送達 後、組成物は、上記のように、トランスサイトーシスによって毛細血管壁を横切 って輸送される。 次いで、組成物は、本明細書に記載のメカニズムに従って、エンドサイトーシ スによって脳細胞に取り込まれ、そして細胞サイトゾルに放出されるために利用 可能である。後者のプロセスでは、エンドソームは、約5.0のpHを有することが 期待される。 上記から、ポリマーが細胞膜を横切るのに効果的であるpHが、5.0と6.0との間 、より一般的には、内皮細胞においてトランスサイトーシス小胞のpH以下および 最終標的細胞においてエンドサイトーシス小胞のpH以上であるべきであることが わかり得る。pHが6.0以上であるならば、この場合、ポリマーは、トランスサイ トーシス小胞内でその親油性コンホメーションをとりそしてその膜を浸透し、そ のため標的した脳細胞の代わりに内皮細胞に侵入する。F.経皮送達 皮膚の主な浸透性障壁である角質層は、細胞外脂質マトリクスに取り囲まれる 角質化した上皮細胞からなる。皮膚を通る化合物の通過についての主な経路を構 築する細胞外脂質マトリクスは、積み重ねた二重層の極性面間に分散した水およ び他の極性化合物とともに、脂質二重層の複数シートに整列した脂質(セラミド 、コレステロール、遊離脂肪酸、およびコレステリルスルフェート)からなる。 複数の交互になった極性および非極性層のこの構造は、親水性および親油性の両 方の化合物の浸透のための強力な障壁を提供する。複数の脂質二重層のそれぞれ は、親水性化合物の通過のための実質的な障壁として作用し、一方、積み重ねた 脂質二重層の極性面間の水および他の極性化合物の層のそれぞれは、親油性化合 物の通過に対する実質的な障壁として作用する。 細胞外脂質マトリクスの積み重ねた二重層が、種々の浸透エンハンサー(例え ば、Azone(1-ドデシル-アザシクロヘプタン-2-オン))、不飽和長鎖アルコー ル、および不飽和長鎖脂肪酸(例えば、オレイン酸およびリノレン酸)によって 乱雑にされ得ることが公知である(Aungstら,1986;RehfeldおよびElias,1982; Goldenら,1986;GoodmanおよびBarry,1985,1986)。 浸透エンハンサーでの皮膚の処置は、種々の比較的両親媒性の薬物の改良され た送達を与えるが、多くの親油性および親水性化合物の簡単かつ効果的な経皮送 達は、当該技術分野で公知の方法によっては、依然として容易に達成されない。 本発明によれば、適切なポリペプチドは、その低pH脂質溶解性形態で表皮の表 面と接触する。皮膚表面のpHは、代表的には、5.0〜5.5の範囲にあるので(例え ば、Yosipovitch,Kortingを参照のこと)、この範囲またはより高い遷移pHを有 するポリペプチドは、主として皮膚表面にその低pH形態で存在する。ペプチドは 、その親油性形態で、角質層の細胞外マトリクスの脂質層を通って拡散し得る。 角質層の下にある水性コンパートメントとの接触の際、組成物は、このコンパ ートメントのほぼ中性pHでのポリペプチド鎖の漸進的イオン化および溶媒和によ って、このコンパートメントに能動的に引き込まれる。親水性および親油性の両 方の化合物が輸送され得る。この適用に好ましいポリペプチドは、約5と6.5と の間のpHで可逆的pH依存的遷移を受ける。 本発明のポリマー組成物は、好ましくは、上記のように、1つ以上の適切な浸 透エンハンサーと協力して使用される。オレイン酸およびリノレン酸のような親 油性酸は、脂質層を横切る通過の間、その低pH親油性形態でポリマーを維持する ために添加され得る。これらの脂肪酸はまた、上記のように、浸透エンハンサー として機能する。 実施例11は、抗拒絶剤、シクロスポリンAの経皮送達を増強するための、本発 明の代表的ポリマー組成物の使用を示す。G.化合物送達後のポリペプチドの分布 上記のように、本発明のポリペプチドは、細胞のサイトゾルに侵入した後、プ ロテアソームによって分解されやすく、そのため輸送された薬物または他の化合 物を遊離する。この薬物の放出を、例えば、図2に示す。 いくつかの場合では、ポリペプチドがもとのままであることが所望され得、こ の場合、ポリペプチドはD-アミノ酸から合成されるべきである。1つの例は、上 でH.pyloriの根絶について記載されるように、胃への送達である。もう1つは 、例えば、腫瘍細胞への、非常に毒性の高い薬物の選択的送達である。ポリペプ チドの輸送作用が、より低いpHからより高いpHへ向かう一方向であるので、薬物 に結合したポリペプチドは、最初に送達される標的細胞から薬物が拡散して戻る ことを防止する。したがって、標的されていない細胞への接近から生じる、望ま しくない副作用は最小になる。 もとのままのポリペプチドはまた、細胞プロセスによる、送達された薬物の流 出を防止または最小にし得る。多くの細胞は、細胞から薬物化合物を外へ輸送す る薬物排出ポンプとして働く糖タンパク質を発現する。結合したポリペプチドは 、このプロセスを妨害し易く、そして結合した薬物の流出(exportation)を減 少させまたは防止し易い。 薬物に結合したポリペプチド全体を維持することの代替として、ポリペプチド は、薬物に隣接した1つ以上のD-アミノ酸および残りのL-アミノ酸で調製され得 る。L-アミノ酸は、プロテアソームによって除去され、薬物に結合したD-アミノ 酸の短くなったポリペプチド「テイル(tail)」を残す。 しかし、D-およびL-アミノ酸セグメントが連結される場合、αヘリックスの局 所的な崩壊がこのようなセグメントの連結部で生じ易いことに留意すべきである 。この場合、近傍における遊離カルボキシルの遮蔽および水素結合は効率が低く 、そしてすべて1つの立体配置が使用される場合よりも、ポリペプチドのαヘリ カ ル形態は親油性が少ない場合がある。H.処方物および投与 本発明の組成物を含む処方物は、好ましくは正確な投与量の単純投与に適切な 単位投与形態で、例えば、錠剤、カプセル剤、粉剤、持続放出処方物、溶液、懸 濁液、乳化液、坐剤、軟膏、ローション剤、またはエアロゾルのような、固体、 半固体、または液体投与形態であり得る。 このような処方物には、代表的には、従来の薬学的キャリアまたは賦形剤が含 まれ、そして、他の医療薬剤、キャリア、またはアジュバントをさらに含み得る 。好ましくは、処方物は、本発明の1つまたは複数の化合物の約0.5重量%〜75 重量%を含み、残りは適切な薬学的賦形剤からなる。経口投与については、この ような賦形剤には、薬学的グレードのマンニトール、ラクトース、スターチ、ス テアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、タルク、セルロース、グルコ ース、ゼラチン、スクロース、炭酸マグネシウムなどが含まれる。所望であれば 、組成物はまた、湿潤剤、乳化剤、または緩衝剤のような、少量の非毒性補助化 合物を含み得る。 液体組成物は、溶液または懸濁液を形成するために、例えば、生理食塩水、デ キストロース水溶液、グリセロール、またはエタノールのようなキャリア中に、 ポリペプチド−化合物組成物(約0.5%〜約20%)および必要に応じた薬学的ア ジュバントを溶解または分散することによって調製され得る。 組成物は、種々の公知の経路、例えば、経口、上記のような経皮、あるいは非 経口(例えば、静脈内、皮下、腹腔内、または筋肉内注射による)によって被験 体に投与され得る。 経口液体調製物での使用については、組成物は、液体形態、あるいは水または 正常生理食塩液中での水和に適切な乾燥形態のいずれかで供給される、溶液、懸 濁液、乳化液、またはシロップとして調製され得る。 経皮送達は、代表的には、選択された皮膚領域への化合物のゆっくりした送達 を可能にする経皮「パッチ」の使用を含む。経皮パッチ送達システムの例は、米 国特許第4,655,766号(液体を吸収する浸透圧駆動システム)、および米国特許 第5,004,610号(速度制御した経皮送達システム)によって提供される。 経皮送達については、上記のように、浸透を増強する化合物を含むことが所望 であり得る。このような処方物は、目的の領域への閉塞詰め物(occluded dressi ng)として提供され得るか、あるいは1つ以上の上記の経皮パッチ形状で提供さ れ得る。 非経口投与については、非経口投与用の注入可能組成物は、代表的には、滅菌 生理学的塩溶液のような、適切なIV溶液中に、本発明の組成物を含む。組成物は また、脂質またはリン脂質中、リポソーム懸濁液中、または水性乳化液中の、懸 濁液として処方され得る。 このような投与形態を調製する方法は公知であるか、または当業者に明らかで ある;例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences(1980)を参照のこと。 以下の実施例は、本発明を例示する。 実施例1 ポリマー組成物の代表的調製方法 A.組み立て 図10に示すように、β-アラニンがポリペプチドのC末端残基を構成するよう に、合成樹脂を調製する。0.7mMolのp-アルコキシベンジルアルコール,(Cat .# A3039,Sigma Chem.Co.,St.Louis,MO)を含む1グラムの1%架橋ポリス チレン樹脂を、8mlのN-メチルピロリジノン(NMP)に溶解し、そして0.62gのフ ルオレニルメトキシカルボニル(FMOC)β-アラニン,2を添加し、次いで316μ lのN,N'-ジイソプロピルカルボジイミドおよび41μlのN-メチルイミダゾール を添加する。このスラリーを、37℃で100分間激しく撹拌しながらインキュベー トし、次いでNMP続いてCH2Cl2で徹底的に洗浄し、排出し、そして乾燥する。こ れは、物質1グラム当たり約250μmolのβ-アラニン-FMOCの含有量(loading )で樹脂3を与える。ポリペプチドを伸長するための保護した/活性化したアミ ノ酸のその後の添加は、Athertonら(1988)により行われ得る。この方法は、4で 示すような、N-フルオレニルメトキシ-カルボニルペンタフルオロフェニルアミ ノ酸エステルを使用する。所望ならば、図8B〜Cに示されるような、末端を改変 する構造が付 加され得、ここで、活性化したエステル5は、ポリペプチドのN末端と反応する 。次いで、標準的方法に従ってポリペプチドを切断しそして脱保護する。 ポリペプチドの末端以外の1つ以上の位置で輸送されるべき化合物(代表的に は薬物)を結合することが望まれる場合、適切に保護されたリジンまたはシステ インは、代表的には、1つまたは複数の選択された結合位置に組み込まれる。合 成樹脂からの完成したポリペプチドの切断および側鎖脱保護の後、薬物は、図9 に示される連結を与えるために、実施例2に記載のように、得られるアミンまた はスルフヒドリル部分に結合され得る。 あるいは、ある薬物は、エステル結合によって、グルタミン酸のγカルボキシ ルまたはアスパラギン酸のβ-カルボキシルに、必要であれば適切に保護して、 結合され得る。次いで、得られたアミノ酸を、1つ以上の選択された位置でポリ ペプチド鎖に組み込む。このような薬物は、ポリペプチドを組み立てるために、 合成樹脂からポリペプチドを切断するために、および側鎖を脱保護するために使 用される条件で残存する構造を有さなければならない。 B.末端改変 輸送されるべき化合物がN末端を介して結合されない場合、一般的に、N末端 極性部位の少なくともいくつかを遮蔽または欠失することが望ましい。これは、 完成した樹脂結合ポリペプチドのN末端からFOMC部分を切断し、次いで無水グル タル酸、無水酢酸、または図6Eに示されるスクシンイミド誘導体のニトロフェニ ルエステルで処理して、それぞれ図6B、6C、および6Dに示されるような末端構造 を得ることによって、容易に達成される。 C.合成樹脂からの切断、脱保護、および単離 完成したポリペプチドは、樹脂をCH2Cl2で洗浄し、排出し、そして樹脂1グラ ム当たり、10mlのトリフルオロ酢酸(TFA)、10mlのCH2Cl2、および400mgのジチ オエリトリトールを含む溶液を添加することによって、樹脂から切断され得る。 20分後、切断溶液をフラスコに排出し、そしてCH2Cl2をエバポレーションによっ て除去する。その後、5〜10ml TFAを添加し、そして溶液を4時間43℃に 保持して、保護基の除去を行う。一般的に、脱保護したポリペプチドの後処理は 、エーテル沈殿、エーテルでの完全な洗浄および乾燥を伴う。 本発明の組成物を調製するためにも適切である当該技術分野で公知の種々の他 のペプチド組み立て方法があることが、理解されるべきである。 実施例2 カラム上でのポリペプチドへの化合物の結合 合成樹脂からポリペプチドを切断しそして側鎖を脱保護するために使用される 条件で残存し得る薬物または他の化合物(例えば、分配および細胞侵入研究につ いての蛍光タグ)については、完成した樹脂結合ポリペプチドのN末端からFMOC を切断し、次いで末端アミンにこのような化合物を連結することが、しばしば望 ましい。このような場合、結合されるべき化合物は、代表的には、図9に示され るようなポリペプチドに、それぞれアミドまたはカルバメート結合を形成するの に効果的な活性エステルまたは活性カーボネート部分を生成するために、当該技 術分野で公知の方法によって、活性化される。 以下の実施例3〜7は、カラムからの除去後にポリペプチドに化合物を結合す る代表的方法を記載する。 実施例3 ポリペプチドのシステイン残基へのジスルフィド結合 ポリペプチド組成物のシステインに薬物を連結するための便利な十分に確立さ れた方法では、脱保護されたポリペプチドは、2,2'-ジピリジルジスルフィドと 反応し、そしてスルフヒドリル部分を含む薬物を添加して、図7および11に示さ れるように、所望のジスルフィド結合を形成する。このようなジスルフィド結合 の特に有利な点は、細胞外コンパートメントでおよびエンドソーム内で比較的安 定であるが、エンドソーム膜を横切る輸送後、サイトゾルコンパートメントで容 易に切断されることである。以下の具体的な実施例は、この方法の適用を例示す る。 3A.ジスルフィド結合したポリペプチド−シクロスポリン結合体の調製.配列 (FMOC-ELLD-[LELLD]7LELLβ;β=β-アラニン)を有するポリペプチドは、実 施例1Aで与えられる方法によって固相支持体上で組み立てられる。末端FMOC基を 、NMP中20%のピペリジンでの処理によって切断し、そして末端S-トリチル化FMO C-システインを、実施例1Aの方法によって組み込む。FMOC基の切断およびアセチ ル化の後、ポリペプチドをカラムから切断し、脱保護し、沈殿させ、そして実施 例1Cのように洗浄する。ポリペプチドを、0.1Mジチオトレイトールを含むpH=7. 5のtris緩衝液に溶解する。溶液を、等容量のアセトニトリルで希釈し、そして 十分なジピリジルジスルフィドで処理して0.4モル溶液を生成する。室温にて2 時間撹拌した後、混合物を、等容量の水で希釈し、十分な水飽和した酢酸エチル で洗浄して、過剰のジピリジルジスルフィドを除去する。溶液を部分的にエバポ レートして残りの酢酸エチルを除去し、そして生成物を、Amberchrome(TosoHaa s)を通す溶液の通過、次に0.01%トリエチルアミン緩衝液を含む0〜80%アセ トニトリルでの溶出、次に凍結乾燥によって単離する。 別々のフラスコに、一級ヒドロキシル基を有するシクロスポリンAメタボライ ト17(EberleおよびNuninger,1992)を、ChenおよびTai(1995)の方法を使用し て無水コハク酸で処理し、そして酸を、N-ヒドロキシスクシンイミドおよび1-(3 -ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミドメチオジド(Aldrich)で活 性化エステルに変換する。生成物を、DMFに溶解し、そして2-アミノエタンチオ ール塩酸塩およびトリエチルアミンで処理する。反応混合物を、ジクロロメタン で希釈し、そして0.1Mクエン酸で洗浄して、過剰の試薬を除去する。生成物を、 エバポレーションによって得る。残渣をDMFに溶解し、そしてこれまでの段落か らのピリジルポリペプチドジスルフィドで処理する。 生成物を、DMFのエバポレート除去、次いで0.01%トリエチルアミン緩衝液中 0〜80%アセトニトリルで溶出するAmberchromeでの逆相精製、次に凍結乾燥に よって単離する。あるいは、DMFのエバポレーションに続いて、生成物を、0.1MN a2HPO4に溶解し、そして水で飽和した酢酸エチルで十分に洗浄する。溶解した酢 酸エチルを除去するための部分エバポレーションの後、ギ酸を添加して、生成物 を沈殿させ、これを0.1%ギ酸を含む水で十分に洗浄し、次いで高真空下で完全 に乾燥させる。 3B.ジスルフィド結合したポリペプチド−TaxolTM結合体の調製.システイン の末端ピリジルジスルフィド部分とともに配列(AcNH-CELLD-[LELLD]7LELLβ; β=β-アラニン)を有するポリペプチドを、上記の項のように調製する。 別々の容器中で、TaxolTMを、Gueritte-Vogeleinら(1991)の方法によって、7- グルタリルTaxolTMに変換する。この種のカルボキシル基を、ジクロロメタン中1 -(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミドメチオジド(Aldrich) および4-ジメチルアミノピリジンを使用して、N-ヒドロキシスクシンイミドとの N-ヒドロキシスクシンイミドエステルとして活性化する。生成物を、DMFに溶解 し、そして2-アミノエタンチオール塩酸塩およびトリエチルアミンで処理する。 反応混合物を、ジクロロメタンで希釈し、そして0.1Mクエン酸で洗浄して、過剰 の試薬を除去する。生成物をエバポレーションによって得る。残渣をDMFに溶解 し、そして上記からのピリジルポリペプチドジスルフィドで処理する。生成物を 、シクロスポリンの実施例のように単離する。 実施例4 ポリペプチドのシステイン残基へのチオエーテル結合 4A.チオエーテル結合ポリペプチド−シクロスポリン結合体の調製.シクロス ポリンAメタボライト17(実施例3Aを参照)を、1:1ジクロロメタン/ピリジン 中の無水クロロ酢酸で処理し、酸クロリドを形成する(図11を参照のこと)。過 剰の試薬を、水の添加によってクエンチし、そして溶媒をエバポレートする。残 渣を酢酸エチルに溶解し、そして0.1Mクエン酸、0.1M重炭酸ナトリウム、および 塩水で洗浄し、次いでエバポレートする。残渣をDMFに再溶解する。 実施例3Aで調製されたポリペプチドピリジルジスルフィドを、pH9.0ホウ酸緩 衝液に溶解する。これを、等容量の上記のDMF溶液(CS:ポリペプチドの比=4:1 )と混合し、そしてTCEP(トリス(カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩)を添加 する。室温で撹拌した後、生成物を、実施例3Aでのように単離する。 4B.チオエーテル結合したポリペプチド−TaxolTM結合体の調製.配列(FMOC- ELLD-[LELLD]7LELLβ;β=β-アラニン)を有するポリペプチドを、実施例1Aで のように固相支持体上で調製する。末端FMOC基を除去し、そしてカラムをジイ ソプロピルエチルアミンを含むジクロロメタン中のアクリロイルクロリドで処理 して、末端アクリリル基を形成する(図11)。ポリマーをカラムから取り出し、 標準的方法に従ってトリフルオロ酢酸を使用して脱保護し、沈殿させ、そして洗 浄する。生成物を、pH9.0ホウ酸緩衝液に溶解する。 別々のフラスコ中で、TaxolTMを、実施例3Aでの方法によってチオール化した 種に変換する。生成物をDMFに溶解し、上の段落からのアクリルアミド種と混合 し、そしてTCEPを添加する。室温にて撹拌後、生成物を実施例3Aにおけるように 単離する。 実施例5 ポリペプチドのアミン部分へのカルバメート結合 実施例1Cでのように調製した1つ以上のアミン部分を含む脱保護したポリペプ チドのエーテル沈殿物を、0.1M Na2HPO4水溶液に溶解する。ポリペプチドを沈殿 させるために十分なギ酸を添加し、そして沈殿物を遠心分離によって集め、そし て水中0.1%ギ酸で2回洗浄する。次いで、ポリペプチド沈殿物を、高真空下で 一晩乾燥させる。 少なくとも1つのヒドロキシル部分を含む、ポリペプチドに結合されるべき化 合物を、NMP中3当量のビス-ニトロフェニルカーボネートおよび0.1当量のトリ エチルアミンと反応させることによって活性化する。活性化後、過剰のビス-ニ トロフェニルカーボネートを除去し、次いで活性カーボネート生成物(図11を参 照のこと)を、NMP中の、上記のように調製した、0.5〜2当量のポリペプチド組 成物と反応させる。一般的に、良好なカップリングを、43℃にて12〜72時間のイ ンキュベーションによって達成する。 実施例6 アミン部分へのアミド結合 6A.アミド結合したポリペプチド−シクロスポリン結合体の調製. 1.所定の長さのペプチドの使用.配列(FMOC-ELLD-[LELLD]7LELLβ;β=β -アラニン)を有するポリペプチドを、実施例1Aで与えられる方法によって、 固相支持体上に組み立てる。末端FMOC基を、実施例1Aでの方法のように切断し、 そして樹脂を、NMP中の過剰のグルタル酸のビス−(4-ニトロフェニル)エステル で処理する。(エステルを、ジクロロメタン中のトリエチルアミンを使用して、 グルタリルクロリドおよびニトロフェノールから調製する。過剰のニトロフェノ ールおよび未反応のグルタル酸種を除去するために、水酸化ナトリウム溶液で洗 浄した後、エバポレートした生成物を、トルエンから再結晶する。)活性化した ポリペプチドを、カラムから切断し、沈殿させ、そして実施例1Cでの方法を使用 して洗浄する。 別々のフラスコ中で、シクロスポリンAメタボライト17(実施例3Aを参照のこ と)を、4-ジメチルアミノピリジン触媒の存在下、ジクロロメタン中のグリシン のFMOC誘導体および1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミドメ チオジド(Aldrich)で処理する。反応混合物を、酸および塩基で洗浄して、過 剰の試薬を除去し、そして生成物を、クロロホルム中の0〜2%メタノールを使 用して、シリカゲル上でクロマトグラフィーを行う。FMOC基の除去を、DMF中20 %トリエチルアミンを含むFMOC-グリシルシクロスポリンの、50℃での1時間の 処理によって達成する。トリエチルアミンを、真空下エバポレーションによって 除去し、そして遊離のアミノ誘導体を、上記の活性化したポリペプチドと混合す る。溶液を、最小容量まで真空下でエバポレートし、そして42℃にて24時間放置 する。生成物を、実施例3Aにおけるように単離する。 2.ランダム長の高グルタミン酸含量ペプチドの使用.高グルタミン酸含量の 、C末端イニシエーター領域を有するランダム長ペプチドを、以下のように調製 する。 N-Fmoc-β-アラニンをプレロードしたクロロトリチル樹脂(Novabiochem,LaJ olla CA)を、HBTU(Novabiochem)およびジイソプロピルエチルアミンを使用し て、N-α-Fmoc-L-グルタミン酸γ-t-ブチルエステルおよびN-α-Fmoc-L-ロイシ ンと反応させて、FMOC-LeuGlu(OtBu)LeuLeu-NHCH2CH2COO-樹脂を生成する。次い で、Fmoc基を、通常の方法で除去する。 樹脂結合したイニシエーターペプチドを、約10対1の無水物対イニシエーター 比を使用して、DMF中L-グルタミン酸γ-(4-メトキシベンジル)エステルのカルボ キシ無水物(Hanabusaら,1984)で6回処理した。これは、ペプチドに約40〜50 の保護したグルタミン酸残基を付加するために十分である。次いで、N-末端を、 過剰のグルタル酸のビス-(p-ニトロフェニル)エステルと反応させる。 ペプチドを、実施例1Cに記載のように、樹脂から切断しそして脱保護する。エ バポレーション後の残渣を、ジクロロメタンに溶解し、そして水で洗浄して、少 量のトリフルオロ酢酸を除去する。単離したポリ酸をDMFに溶解し、そしてTaxolTM -7-アラニン(Mathewら,1992)で処理する。反応混合物を、pH7.0リン酸緩衝 液で希釈し、そして生成物を、0〜1.0M NaClグラジエントを使用するQ-Sepharo se(Pharmacia,Piscataway,NJ)でのイオン交換クロマトグラフィーによって 精製する。次いで、物質を、Amberchrome SD(TosoHaas)への吸着、0〜80%アセ トニトリルグラジエントでの溶出、および凍結乾燥によって、ナトリウム塩とし て単離する。 6B.アミド結合したポリペプチド-TaxolTM結合体の調製.配列(H2N-ELLD-[LE LLD]7LELLβ;β=β-アラニン)を有するポリペプチドを、末端アミノ基ととも に、実施例1および5におけるように調製する。 別々の容器中で、TaxolTMを、Gueritte-Vogeleinら(1991)の方法によって、7- グルタリルTaxolTMに変換する。この種のカルボキシル基を、ジクロロメタン中 の1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミドメチオジド(Aldrich )および4-ジメチルアミノピリジンを使用して、N-ヒドロキシスクシンイミドと のN-ヒドロキシスクシンイミドエステルとして活性化する。過剰の試薬および副 生成物の除去のための洗浄後、エステルを、エバポレーションによって単離し、 そしてDMF中でポリペプチドと混合する。溶液を、最小容量まで真空下でエバポ レートし、そして42℃にて24時間放置する。生成物を実施例3におけるように単 離する。 6C.ポリペプチドと20マーのモルホリノアンチセンスオリゴの5'末端との間の アミド結合の調製 .モルホリノオリゴおよびポリペプチドの構造およびサブユニ ット配列は、図13を参照して、以下のとおりである: R1=-ELLDLELLDLELLDLELLDLELLDLELLDLELLDLELLDLELLβ ここでD=アスパラギン酸、E=グルタミン酸、L=ロイシン、β=β-アラニン R2=5'-G*G*UG*G*UUC*C*UUC*UC*A*G*UC*G*G*-アセチル ここで A*=モルホリノ6-ベンゾイルアデニン C*=モルホリノ6-ベンゾイルシトシン G*=モルホリノ6-フェニルアセチルグアニン U=モルホリノウラシル 手順1(図13A):図13Aにで示される、SummertonおよびWeller(1993)のよ うに調製した、17mg(2μMole)の塩基保護したモルホリノアンチセンスオ リゴ(MW 8361)を、200μl NMPに懸濁する。ビス(p-ニトロフェニル)スクシネ ート2(7.2mg;20μMol)を添加し、そして調製物を43℃にて4時間インキュ ベートする。未反応のスクシネートを、30mlのアセトニトリルからモルホリノ− スクシネート生成物を沈殿させることによって除去し、遠心分離し、上清を捨て 、0.4mlのNMP中でペレットを再懸濁し、30mlのアセトニトリルに添加し、遠心分 離し、上清を捨て、そして高真空下でペレットになったモルホリノ−スクシネー ト生成物3を乾燥させる。 上で調製した、スクシネートリンカー3(2μMole)を有するモルホリノ アンチセンスオリゴを、4で示される、上で定義されるような、31mg(6μMo le)の脱保護した44-アミノ酸ポリペプチドR1-NH2とともに3mmのマグネチッ ク撹拌バーを含む0.75mlバイアルに入れ、実施例2B(iii)に記載のように水溶液 から沈殿させ、これはN末端に遊離アミン部分を有する。DMF(150μL)を添加 し、そして混合物を、溶解が完了するまで温水浴中で撹拌する。次いで、反応混 合物を43℃にて72時間インキュベートし、200μLのNMPで希釈し、そして2mlの スクリューキャップバイアルに移す。600μLの濃NH4OHを添加し、そして溶液を 43℃にて18時間インキュベートして、モルホリノアンチセンスオリゴのプリンお よびピリミジン塩基を脱保護する。生成物5を、実施例8Cに記載のように精製す る。 手順2(図13B):この手順では、活性化したスクシネートリンカーをポリペ プチドに付加し、そして付加物をモルホリノアンチセンスオリゴと反応させる。 したがって、実施例1におけるように調製した、180mgの合成樹脂/ポリペプチ ドのNMP懸濁液を、NMP中の20%ピペリジンで処理し、次いでNMPで繰り返して洗 浄する。ビス(p-ニトロフェニル)スクシネート(150mg)を0.9mlのNMPに溶解し 、樹脂/ポリペプチド調製物を含む短いフリットカラムに添加し、そして43℃に て2時間インキュベートする。過剰のスクシネートリンカーを洗い流し、そして 実施例1Cに記載のように、生成物を合成樹脂から切断して、ポリペプチド−スク シネート生成物(MW 5329)を得る。 マグネチック撹拌バーを含む0.75mlバイアル中に、上記のように調製した32mg (6μMole)のポリペプチド−スクシネート生成物を入れ、そして5'二級ア ミン部分を含む17mg(2μMole)のモルホリノアンチセンスオリゴ(1)、 および150μLのDMFを添加する。この混合物を、溶解が完了するまで温水浴中で 撹拌する。次いで、反応混合物を、43℃にて48時間インキュベートする。その後 、反応混合物を、200μLのNMPで希釈し、そして2mlのスクリューキャップバイ アルに移す。600μLの濃NH4OHを添加し、そして溶液を43℃にて18時間インキュ ベートして、モルホリノアンチセンスオリゴのプリンおよびピリミジン塩基を脱 保護する。生成物(5)を、実施例8Cに記載のように精製する。 手順3(図13C):モルホリノアンチセンスオリゴを調製し、ここでは、当該 技術分野で公知の方法に従って、5'-SHを含む第1のサブユニットを、ジスルフ ィド結合を介して合成樹脂に連結する。依然として保護された塩基を有する2vut hMorpholinoオリゴを、1%wt/volジチオトレイトールおよび5%v/vトリエチル アミンを含むN-メチルピロリジノンを使用して、合成樹脂から切断する。溶出さ れたオリゴを、t-ブチルメチルエーテルで沈殿させ、そしてペレットを、t-ブチ ルメチルエーテルで2回洗浄し、次いで高真空下で乾燥させて、5'-SHおよび3' アセチルを有する塩基保護されたモルホリノオリゴを得る。 図10に示されるように調製した、配列E32MELMLβ(N末端からC末端)を有す る、なお合成樹脂上にあるポリペプチドを、ジクロロメタン中の無水クロロ酢酸 を使用してN末端でキャップし、そして樹脂を完全に洗浄する。次いで、ポリペ プチドを切断し、そして49:49:2のTFA:CH2Cl2:H2Oで樹脂から溶出し、CH2Cl2を アスピレーター真空下で除去し、98:2のTFA:H2Oを添加し、そして溶液を43℃に て4時間からインキュベートする。次いで、ポリペプチドを、t-ブチルメチル エーテルで沈殿させ、そしてペレットをt-ブチルメチルエーテルで2回洗浄し、 そして高真空下で乾燥させて、図13Cに示されるクロロアセチル化したポリペプ チドを得る。 モルホリノオリゴおよびポリペプチドを、5μmoleの5'-SHモルホリノオ リゴ、10μmolクロロアセチルポリペプチド、および400μmol N,N-ジメチ ルエタノールアミンを1mlのホルムアミドに添加することによってカップリング し、溶解が完了するまで撹拌し、次いで室温にて2時間インキュベートして、手 順3vuth、図13Cに示されるように、チオエーテル結合によって連結されたポリペ プチド−モルホリノオリゴを得る。モルホリノオリゴの塩基を、2容量の濃NH4O Hを反応混合物に添加することによって脱保護し、そして43℃にて16時間インキ ュベートする。過剰のNH3を放出した後、生成物を、実施例8Cに記載のように、 陰イオン交換クロマトグラフィーによって精製する。 実施例7A カルボキシル部分へのアミド結合 この実施例は、ランダム長の高グルタミン酸含量ペプチドとの、アミド結合し たポリペプチド−TaxolTM結合体の調製を記載する。 高グルタミン酸含量の、C末端イニシエーター領域を含むランダム長ペプチド を、まず以下のように調製する。 N-Fmoc-β-アラニン(Novabiochem)で予備充填(preload)されたクロロトリ チル樹脂を、HBTU(Novabiochem)およびジイソプロピルエチルアミドを使用し て、N-α-Fmoc-L-グルタミン酸γ-t-ブチルエステルおよびN-α-Fmoc-L-ロイシ ンと反応させて、Fmoc-Leu-Glu(OtBu)LeuLeu-NHCH2CH2COO-樹脂を生成する。保 護されたペプチドを、ジクロロメタン中0.5%トリフルオロ酢酸との処理によっ て樹脂から除去する。残渣を、ジクロロメタンで再溶解し、そしてジフェニルジ アゾメタン(Kametaniら)で処理してC末端ジフェニルメチルエステルを生成し 、そして生成物をヘキサンで沈殿させる。残渣をジクロロメタンで溶解し、そし て生成物をエーテル/ヘキサンで沈殿させる。沈殿物を、20%(v/v)ピペリジン を含むDMFに溶解する。溶液をエバポレートし、そしてアミノ末端のイニシエー タ ーペプチドを伸長のために用意する。 イニシエーターペプチドをDMFに溶解し、そしてL-グルタミン酸γ-(4-メトキ シベンジル)エステルのカルボン酸無水物(Hanabusaら)と反応させる。無水物 対イニシエーター比は、約60:1であった。これは、約40〜50の保護されたグルタ ミン酸残基をペプチドに付加するために十分である。反応を、無水酢酸の添加に よってクエンチし、溶媒をエバポレーションによって除去し、そして生成物をエ ーテル/ヘキサンを使用してジクロロメタンからの繰り返し沈殿によって精製し た。 ペプチドを、実施例1Cに記載のように脱保護し、そして0.1M Na2HPO4への溶解 によって結合のために調製し、次いで実施例5に記載のようにギ酸で沈殿する。 ポリ酸をDMFに溶解し、そして酸側鎖の5〜30%を置換するために十分な、TaxolTM -7-アラニン(Mathewら)および1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカル ボジイミドメチオジドで処理する。反応混合物を、pH7.0リン酸緩衝液で希釈し 、そして生成物を、0〜1.0M NaClグラジエントを使用するQ-Sepharose(Pharma cia)でのイオン交換クロマトグラフィーによって精製する。次いで、物質を、A nberchrome SD(TosoHaas)への吸着、0〜80%アセトニトリルグラジエントでの 溶出、および凍結乾燥によって、ナトリウム塩として単離する。 実施例7B N末端システインへのアミド結合 非常に効果的なカップリングは、Dawsonら(1994)の方法に従って、活性チオ エステルを含む薬物または他の化合物とN末端システイン残基との間で行われ得 る。図11に示されるように、このカップリングは2工程で進行する。最初のチオ エステルにおけるシステインスルフヒドリルの攻撃の後に、アミド結合を形成す るための生成物のチオエステルにおけるN末端アミンによる迅速な分子内攻撃が 続く。 実施例8 ポリマー化合物生成物の精製および構造分析のための代表的方法 A.シリカゲルクロマトグラフィー ポリペプチド成分が組成物のクロマトグラフィー特性を左右する、多くのポリ ペプチド−薬物生成物については、精製は、シリカゲルクロマトグラフィーによ って容易に達成される。約1:1〜3:1,v/vの範囲の割合でのイソプロパノールと2 5%トリエチルアミン水溶液との混合物は、代表的には、良好なクロマトグラフ ィー分解能を提供する。 B.分配による精製 減少したpHでオクタノールに良好に分配するポリペプチド組成物(一般的に、 50%未満のアミノ酸組成物を有するもの)は、n-オクタノールとポリペプチドの 遷移pHより約0.2pH単位低いpHを有する水性緩衝液との間で分配することによっ て、ポリペプチド組み立て中に生じる望ましくない失敗した配列から、しばしば 効果的に分離され得る。精製したポリペプチドは、水性Na2HPO4への分配によっ ってオクタノール相から回収され得、次いでギ酸で沈殿させる。代表的には、こ の精製手順は、薬物の結合前に行う。この「機能による精製(purification-by- function)」方法は、失敗配列の重要な画分を含むかなり長いポリペプチドの調 製に有用であることが見いだされている。 C.イオン交換/逆相クロマトグラフィー ポリペプチド−薬物生成物を精製するための特に多才な方法は、イオン交換ク ロマトグラフィー次いで逆相クロマトグラフィーを用い、ここで後の段階は塩を 除去しそしてさらなる精製を提供する。この精製方法の使用は、ポリペプチド− モルホリノアンチセンスオリゴ生成物について記載され、その合成は実施例6Cに 記載されそしてその構造は図13に示される。 ポリペプチド−モルホリノオリゴ調製物を、回転蒸発(rotovap)フラスコに 移し、そして過剰のアンモニアをアスピレーター真空下で除去する。約10mlのTr is酢酸緩衝液(0.1M Trizma塩基、酢酸でpH8)を添加し、そして溶液を、MacroP rep Q陰イオン交換樹脂(BioRad Corp.)の2.5cm×15cmカラムにロードする。ロ ードした後、カラムを、Tris酢酸緩衝液で10分間洗浄し(流速5ml/分)、次い でNaClを0から1.0Mまで直線的に増加させるTris酢酸緩衝液で、40分間かけて溶 出する。このシステムでは、モルホリノアンチセンスオリゴ(254nmでモニタ ーする)は最初の15分で溶出し、そしてポリペプチド−モルホリノ生成物は、約 30分で溶出する。 ポリペプチド−モルホリノピークを集め、次いで50μmポリプロピレンの2.5c m×15cmカラム(Polysciences Corp.)で脱塩する。この逆相カラムを、1%濃N H4OHで15分間洗浄し、次いで1%濃NH4OH中0〜80%アセトニトリルグラジエン トで、5ml/分の流速で40分かけて溶出する。ポリペプチド−モルホリノオリゴ生 成物を含む画分を合わせ、アセトニトリルおよびアンモニアを除去するために簡 単に回転蒸発(rotovaped)し、次いで凍結乾燥する。 D.マススペクトル分析 マススペクトル分析について、ポリペプチド−モルホリノ生成物の一部を、1 %濃NH4OH中20μMの濃度で懸濁する。3,4,5-トリヒドロキシアセトフェノン/ クエン酸ジアンモニウム(1:2)で共結晶(co-crystallize)したこの物質を、 レーザー脱着飛行時間型マススペクトロメトリーによって分析する。代表的分析 では、11,881のマスが見られ、これは図13で示されるポリペプチド−モルホリノ 生成物について予測された11,861の計算マスとほぼ正確に一致する。 実施例9 分配特性の評価 特定の送達適用のためのポリペプチド組成物の最適化において、ポリペプチド 成分単独における分配研究を最初に行うことが、しばしば望まれる。このような 研究では、一般的に、オクタノールと水相との間のポリペプチドの分布の定量を 簡単にするための発色団または蛍光団タグを付加することが有用である。これに 関して、5-カルボキシフルオレセインは、容易に定量されそして合理的な長さの ポリペプチドの分配特性に過度の影響を有さないタグを構築する。このタグは、 細胞侵入研究に適切な容易に可視化されるシグナルを提供することのさらなる有 利点を有する。 代表的分配研究を、以下に記載する。ストック緩衝液1{0.1Mクエン酸(pKa1 =3.14;pKa2=4.77;pKa3=6.39)、0.1M N-モルホリンエタンスルホン酸(MES ;pKa=6.1)、および0.1Mリン酸(pKa1=2.2;PKa2=7.2)}およびス トック緩衝液2(0.1M MESナトリウム塩、0.1Mクエン酸三ナトリウム、および0. 1Mリン酸二ナトリウム)を調製する。ストック緩衝液1をストック緩衝液2で滴 定して、約0.2pH単位づつ増加する、pH4〜pH8の範囲の一連の緩衝液を形成する 。 各バイアルが0.28mlの1つの緩衝液のセットおよび0.3mlの溶媒を含む、1セ ットの0.75mlガラスバイアルを調製する。溶媒は、約50%未満の酸アミノ酸を含 むポリペプチドのためのn-オクタノールおよび約50%を越える酸アミノ酸を含む ポリペプチドのためのn-ペンタノールである。このセットの各バイアルに、結合 したカルボキシフルオレセインを有するポリペプチドの0.1mM水溶液の20μlを 添加する。これらのバイアルのそれぞれをキャップし、完全に振盪し、次いで遠 心分離して相を分離する。その後、150μlの上のオクタノール相を、150μlの 85%イソプロパノール/15%1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU )に添加し、そしてこの溶液の吸光度を、500nmで測定する。次に、150μlの下 の水相を、150μlの85%イソプロパノール/15%DBUに添加し、そして吸光度を 測定する。 図14A〜Fは、本発明の6つの代表的フルオレセインでタグ付けしたポリペプチ ド組成物についてのpHの関数としてのこれらの吸光度値のプロットを示し、ここ で、6つの異なるポリペプチドは、5.1〜6.9の範囲のオクタノール/水遷移pH値 を示す。 実施例10 サイトゾル侵入の評価 A.直接侵入 この実施例は、細胞外培地から直接、付着した動物細胞のサイトゾルへの、結 合した薬物を含むまたは含まない、フルオレセインでタグ付けしたポリペプチド 組成物の輸送についてのテストのための有用な方法を記載する。エンドサイトー シスによる感知できる細胞侵入が、この手順の短い期間(約20分)で生じないこ とに留意すべきである。蛍光顕微鏡検査で一般的に使用される封入培地は、細胞 の環境の浸透圧およびpHの両方を改変するので、これらの細胞侵入研究に封入培 地を使用しないことが推奨される。その代わりに、細胞を、水浸用対物鏡を使用 して検査する。さらに、細胞を検査する培養培地が、フェノールレッド(これは 、代表的には、培養培地中でpH指示薬として使用される)を含まないことが望ま しい。なぜなら、この化合物が蛍光シグナルを妨害するからである。 直接細胞侵入研究についての手順を以下に記載する。培地1は、NaOHでpH6.5 に調節された、20mM MES(モルホリンエタンスルホン酸)で緩衝化した無血清培 地を含む。培地2は、pH5.0に調節された、50mM MESで緩衝化された無血清培地 を含む。 フルオレセインでタグ付けしたポリペプチド組成物の1mM溶液の150μlアリコ ートを、1.9mlの培地1に希釈し、そして0.5ml部分を、Hela細胞が24時間前にプ レーティングされた、4つのガラスチャンバースライドの2cm×2cmウェルに添 加する。10分後、375μlの培地2を、ウェル2、3、および4(pH6.0を与える )に添加する。さらに10分後、さらなる375μlの培地2を、ウェル3および4 (pH5.8を与える)に添加する。10分後、さらなる500μlの培地2を、ウェル4 (pH5.6を与える)に添加する。各添加の後、スライドを、穏やかに渦巻かせて 、溶液を完全に混合する。最後の添加の10分後、すべてのウェルをアスピレート し、そして各ウェルを、1ml容量のDME-F12培養培地+10%FBS,pH7.4で3回洗浄 し、そして細胞を、蛍光顕微鏡検査によって観察する。 サイトゾル侵入は、一般的に、細胞の内部全体にわたる拡散した蛍光によって 示される。しかし、いくつかの化合物(例えば、アンチセンスオリゴマー)が、 続いて、サイトゾルから核(ここにこれらが優先的に蓄積する)へ通過すること に、留意すべきである。したがって、直接侵入実験における核蓄積もまた、良好 なサイトゾル侵入についての証拠である。 蛍光顕微鏡検査によるサイトゾル侵入の上記の定量的評価の他に、輸送される 薬物に特異的な定性的および/または定量的機能アッセイもまた、減少-pH培地 での細胞の処理後に行われ得ることが、理解されるべきである。 上記の手順は、所望の場合、輸送されるべき結合した化合物を含む、本発明の 所定のポリペプチド組成物の膜貫通輸送を行うために、pHがどれくらい低くなけ ればならないかについての情報を提供する。 ポリマーが、アルカリ金属塩基またはアンモニアでよりも、トリエチルアミン で、精製中に中和される場合、一般的に、優れた侵入が得られたことに、留意す べきである。この効果は、比較的親油性の対イオンによるものであり得る。した がって、テストされるべきポリペプチドは、この結果における対イオンの任意の このような効果を最小にするために一貫した方法で精製されるべきである。 B.エンドサイトーシスによる侵入 蛍光タグ付けしたポリペプチドを細胞にエンドサイトーシスする場合、核周囲 の点状パターンの観察は、タグ付けした物質がエンドソーム/リソソームコンパ ートメントに局在することを示す。しかし、細胞全体に拡散した蛍光は、ポリぺ プチドが所望のエンドソームからサイトゾルへの輸送を達成したこと、またはポ リペプチド(L-アミノ酸から組み立てられる場合)がリソソーム酵素によって分 解し、そして蛍光タグがサイトゾル中に拡散したことを示し得た。したがって、 エンドサイトーシス経路によるサイトゾル侵入が、ポリペプチド−薬物生成物の 薬物成分についての機能的アッセイによって確認されることが望まれる。以下の 2つの実施例は、このような機能的アッセイを利用する。 1.エンドサイトーシスエンハンサーなし.この機能的アッセイで使用される Hela細胞を、ウサギα-グロビンmRNAの5'非翻訳領域をコードする遺伝予を制御 するマウス乳ガンウイルスプロモーター(デキサメタゾンで誘導性)、次にホタ ルルシフェラーゼについてのコード配列(Partridge,1996)を含むプラスミド で安定にトランスフェクトした。無細胞および細胞内掻き取り−装填(in-cells crape-load)翻訳研究は、図13に示されるモルホリノアンチセンスオリゴマーが 、この遺伝子構築物からのルシフェラーゼの翻訳をブロックすることに非常に効 果的であることを示している。したがって、図13のアンチセンスオリゴマーがこ れらのトランスフェクトされた細胞のサイトゾルコンパートメントへの接近を得 る場合、未処理の細胞に対して、デキサメタゾン誘導の際、ルシフェラーゼ活性 の顕著な減少をもたらすべきである。照度計での相対光ユニットとして測定され る、ルシフェラーゼ活性のこのような減少は、モルホリノオリゴマーの良好なサ イトゾル送達を示す。 サイトゾル送達をテストするために、実施例6Cにおけるように調製したポリペ プチド−モルホリノアンチセンスオリゴヌクレオチド生成物を、5μMの濃度で 培養培地に懸濁した。上記のトランスフェクトしたHela細胞を、懸濁液で5時間 処理し、次いでデキサメタゾンで16時間処理してルシフェラーゼ合成を誘導した 。並行して、別々のウェル中の細胞を、a)培地単独、b)モルホリノアンチセン スオリゴ、およびc)ポリペプチドで処理した。 これらの4つのウェル中の細胞からのルシフェラーゼを定量し、そして相対光 ユニットを表3に示す。 表3 処理 相対光ユニット 培地単独 100 ポリペプチド 105 ポリペプチド−モルホリノ生成物 69 モルホリノアンチセンスオリゴ 114 ポリペプチド−モルホリノ生成物で処理した細胞におけるルシフェラーゼ活性 の阻害は、ポリペプチドが、Hela細胞のエンドソームからサイトゾルにこのアン チセンスオリゴマーを輸送したことを示唆する。 2.エンドサイトーシスエンハンサーあり.上記の実施例における実験を、以 下の変更を行って繰り返した:a)培地中のポリペプチド−モルホリノ生成物の 濃度は300nMのみであった、およびb)Transfectam(Promega Corp.,Madison,W I)を20μg/mlの濃度で添加した。四カチオン性Transfectamが、ポリアニオン 性ポリペプチドに(その高pH形態で)静電的に結合し、そしてTransfectamの2 つの長鎖アルカン部分が、図12に示されるように、細胞表面で複合体化したポリ ペプチド−モルホリノ生成物の効果的な濃度まで実質的に増加させるための脂質 アンカーとして作用し、それによって細胞への侵入の速度を実質的に増加させる ことが予測された。 この実験からの結果を表4に示す。表4 処理 相対光ユニット 培地のみ..................78 Transfectam ................97 Transfectam+ポリペプチドーモルホリノ生成物 35 Transfectamとポリペプチド−モルホリノ生成物との組み合わせで処理した細 胞におけるルシフェラーゼ活性の増加した阻害はまた、ポリペプチドが、Hela細 胞のエンドソームからサイトゾルへこのアンチセンスオリゴを輸送したこと、お よびサイトゾル侵入が最初のエンドサイトーシス工程を加速することによって増 加し得ることを示唆する。 実施例11 経皮送達の増強 この実施例は、表皮を横切る非常に最小の通過を通常示す薬物の経皮送達を増 強するための、本発明の代表的なポリペプチド組成物の使用を例示する。トリチ ウム化したシクロスポリンAメタボライト17を、実施例3および4に記載のよう に、適切なポリペプチドに連結し、そしてその低pH形態でのポリペプチド部分を 有する結合体組成物を、親油性脂肪酸(例えば、10%リノレン酸/90%プロピレ ングリコール)を含む適切な浸透エンハンサー溶液に懸濁する。結合したポリペ プチドを含まないトリチル化したシクロスポリンAメタボライト17を、非改変薬 物の経皮通過の速度の比較評価のために、同じ浸透エンハンサー溶液に懸濁する 。 各シクロスポリン含有溶液を、ヌードヘアレスマウスの皮膚の所定の領域に接 触し、そして小アリコートの血液を、皮膚を通っておよび循環系へ通過したトリ チル化薬物の量の評価のために定期的に採取する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 31/337 A61K 31/335 602 31/74 31/74 // A61K 38/00 37/02 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(GH,KE,LS,MW,S D,SZ,UG),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU ,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH, CN,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,G E,GH,HU,IL,IS,JP,KE,KG,KP ,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU, LV,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,N Z,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI ,SK,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,UZ, VN,YU (72)発明者 ウェラー,ドワイト ディー. アメリカ合衆国 オレゴン 97330,コー バリス,エヌ.ダブリュー.エルムウッド ストリート 3323

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.低pH環境から脂質層を横切ってより高いpH水性コンパートメントへ化合物 を輸送するための組成物であって、 (a)1つ以上の対の側鎖カルボキシル基を含むポリペプチドであって、ここ で (i)1対の該カルボキシル基が、0、2または3アミノ酸によって分けられ 、 (ii)該ポリペプチドが、約8と約100との間のアミノ酸残基の長さを有し、 (iii)該ポリペプチドが、該低pH環境から該脂質層へ分配するのに効果的な 親油性形態と、該脂質層から該より高いpHの水性コンパートメントへ優先的に分 配するのに効果的な親水性形態との間で、可逆的遷移を受けるのに効果的であり 、そして (iv)該ポリペプチドが、該脂質層への末端領域の侵入を促進するために、該 ポリペプチドの該末端領域にイニシエーター部分を含み、 ここで、該イニシエーター部分が、(i)3〜12アミノ酸残基を有するイニシ エーターポリペプチド配列であって、ここで非酸側鎖残基対酸側鎖残基の比が1 より大きい、配列、(ii)NまたはC末端で正または負電荷を排除するのに効 果的であり、そして該末端付近で極性部位を保護するのに効果的な少なくとも1 つの遠隔の極性基を有する、該NまたはC末端に共有結合した基、(iii)送達 されるべき親油性化合物、および(iv)それらの組み合わせ、からなる群より選 択され; これによって、該ポリペプチドが、該低pH環境から該より高いpHコンパートメ ントへ該脂質層を横切ることが可能である、ポリペプチド、および (b)該ポリペプチドに共有結合した、輸送されるべき化合物、 を含む、組成物。 2.前記イニシエーター部分が、前記イニシエーターポリペプチド配列である 、請求項1に記載の組成物。 3.前記配列が、5〜10アミノ酸残基を有する、請求項2に記載の組成物。 4.前記イニシエーター配列におけるアミノ酸残基が、グルタミン酸、ロイシ ン、ノルバリン、メチオニン、アラニン、α-アミノ酪酸、β-アミノ酪酸、およ びβ-アラニンからなる群より選択され、ここで非グルタミン酸対グルタミン酸 残基の比が1より大きい、請求項2に記載の組成物。 5.前記NまたはC末端に共有結合した前記基が、前記ポリペプチドの合成を 開始するために使用される該C末端でのβ-アラニン部分、該ポリペプチドを終 結するために使用される該N末端でのジカルボン酸、およびこの2つの組み合わ せから選択される、請求項1に記載の組成物。 6.前記ポリペプチドを形成するアミノ酸残基の30〜100パーセントがグルタ ミン酸である、請求項1に記載の組成物。 7.前記ポリペプチドが、前記末端領域にイニシエーター部分を有するポリグ ルタミン酸である、請求項6に記載の組成物。 8.前記イニシエーター部分が、前記ポリペプチドの合成を開始するために使 用される前記C末端でのβ-アラニン部分、該ポリペプチドを終結するために使 用される前記N末端でのジカルボン酸、およびこの2つの組み合わせから選択さ れる、請求項7に記載の組成物。 9.前記輸送された化合物の共有結合に使用されない前記ポリペプチドの非酸 側鎖残基が、該ポリペプチドが低pHα-ヘリカルコンホメーションである場合に カチオン性である部分を含まない、請求項1に記載の組成物。 10.前記非酸側鎖残基が、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、メ チオニン、バリン、ノルバリン、アラニン、α-アミノ酪酸、ならびにアスパラ ギン酸およびグルタミン酸の側鎖エステルからなる群より選択される、請求項9 に記載の組成物。 11.前記非酸側鎖残基が、ロイシン、メチオニン、アラニン、およびα-ア ミノ酪酸から選択される、請求項10に記載の組成物。 12.前記ポリペプチドが、約24と100との間のアミノ酸残基の所定の長さを 有する、請求項1に記載の組成物。 13.前記ポリペプチドが、約24と48との間のアミノ酸残基の所定の長さを有 する、請求項12に記載の組成物。 14.前記ポリペプチドが、約8と約100との間のグルタミン酸および非グル タミン酸残基の所定の配列を有する、請求項1に記載の組成物。 15.前記所定の配列のポリペプチドが、50%未満の酸側鎖アミノ酸残基を有 する、請求項14に記載の組成物。 16.化合物/ポリペプチド比が、5:1以下である、請求項1に記載の組成物 。 17.前記組成物が、前記イニシエーター部分を有する末端とは反対のポリペ プチドの末端にまたはその付近に結合した、単一の結合した化合物を含む、請求 項16に記載の組成物。 18.前記化合物が、タキソール、シクロスポリン、アンホテリシンB、およ び配列特異的核酸結合ポリマーからなる群より選択される、請求項1に記載の組 成物。 19.前記化合物が、配列特異的核酸結合ポリマーである、請求項18に記載 の組成物。 20.低pH環境から脂質層を横切ってより高いpH水性コンパートメントへの化 合物の輸送を促進するための方法であって、 1つ以上の対の側鎖カルボキシル基を含むポリペプチドに該化合物を共有結合 する工程であって、ここで (i)1対の該カルボキシル基が、0、2または3アミノ酸によって分けられ 、 (ii)該ポリペプチドが、約8と約100との間のアミノ酸残基の長さを有し、 (iii)該ポリペプチドが、該低pH環境から該脂質層へ分配するのに効果的な 親油性形態と、該より高いpHの水性コンパートメントへ優先的に分配するのに効 果的な親水性形態との間で、可逆的遷移を受けるのに効果的であり、そして (iv)該ポリペプチドが、該脂質層への末端領域の侵入を促進するために、該 末端領域にイニシエーター部分を含み、 ここで、該イニシエーター部分が、(i)3〜12アミノ酸残基を有するイニシ エーターポリペプチド配列であって、ここで非酸側鎖残基対酸側鎖残基の比が1 より大きく、同じ長さのポリグルタミン酸がαヘリックスを形成するpHよりも 高いpHでαヘリックスを形成するのに効果的である、配列、(ii)NまたはC 末端で正または負電荷を排除するのに効果的であり、そして該末端付近で極性部 位を保護するのに効果的な少なくとも1つの遠隔の極性基を有する、該Nまたは C末端に共有結合した基、(iii)送達されるべき親油性化合物、および(iv) それらの組み合わせ、からなる群より選択され; これによって、該ポリペプチドおよび結合した化合物が、該低pHコンパートメ ントから該より高いpHコンパートメントへ該脂質層を横切ることが可能である、 工程 を包含する、方法。 21.前記ポリペプチドの非酸側鎖残基が、フェニルアラニン、ロイシン、イ ソロイシン、メチオニン、バリン、ノルバリン、アラニン、α-アミノ酪酸、な らびにアスパラギン酸およびグルタミン酸の側鎖エステルからなる群より選択さ れる、請求項20に記載の方法。 22.前記ポリペプチドが、該ポリペプチドの合成を開始するために使用され る前記C末端でのβ-アラニン部分、該ポリペプチドを終結するために使用され る前記N末端でのジカルボン酸、およびこの2つの組み合わせから選択されるイ ニシエーター部分を有するポリグルタミン酸である、請求項20に記載の方法。 23.前記ポリペプチドが50%未満の酸側鎖アミノ酸残基を有する所定の配列 のポリペプチドである、請求項20に記載の方法。 24.前記化合物/ポリペプチド比が5:1以下である、請求項20に記載の方 法。 25.前記化合物が、タキソール、シクロスポリン、アンホテリシンB、およ び配列特異的核酸結合ポリマーからなる群より選択される、請求項24に記載の 方法。 26.前記送達されるべき化合物が治療化合物である、所定のpHを有する細胞 外培地から、より高いpHを有する細胞のサイトゾルへ、該化合物を送達するこ とにおける使用のための、請求項20に記載の方法。 27.前記細胞外培地が胃液であり、前記細胞がH.pylori細菌細胞であり、 そして前記結合した化合物が抗細菌剤である、H.pylori感染の処置での使用の ための、請求項26に記載の方法。 28.前記細胞が酸性の細胞外培地に存在する腫瘍細胞であり、前記結合した 化合物が抗新生物剤である、抗腫瘍治療での使用のための、請求項26に記載の 方法。 29.前記細胞が酸生成カリエス誘発性細菌細胞であり、そして前記結合した 化合物がカリエス誘発性細菌に対して効果的な抗細菌剤である、歯の崩壊の処置 および予防での使用のための、請求項26に記載の方法。 30.前記脂質層が角質層の細胞外マトリクスを含む、角質層を通る化合物の 経皮送達での使用のための、請求項20に記載の方法。
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