【発明の詳細な説明】
ガンの診断および処置のための方法および組成物 発明の背景
本願は、米国仮特許出願番号第60/007,810号(1995年11月30日出願)の一部継
続出願である。上記に言及される開示の本文全体は、放棄なしに本明細書中で参
考として特定して援用される。
A.発明の分野
本発明は、一般に、ガン生物学の分野に関する。特に、本発明は、扁平上皮ガ
ンの処置のための組成物および方法に関する。顕微鏡的残存腫瘍の検査および体
腔への腫瘍播腫のための動物モデル、ならびにその処置のための方法もまた提供
される。
B.関連分野
細胞増殖および細胞死の平衡速度は、正常な組織ホメオスタシスを維持するの
に重要である。この平衡の破壊は、腫瘍発生の多重過程における主な要因であり
得、そしてアポトーシス、またはプログラム細胞死の阻害は、この破壊の一つの
原因である。このような欠陥の影響は破滅的であり、合衆国だけで毎年50万人を
超える死亡を生じる。
多くのヒトガンの病因において、p53遺伝子(腫瘍サプレッサー)の変異を関
連づける相当な証拠が存在する。報告は、いくつかの異なるヒトガン細胞株(結
腸ガン、神経膠芽細胞腫、乳ガン、骨肉腫および肺ガンの代表物を含む)の増殖
が、野生型p53遺伝子のウイルス媒介移入によって機能的に抑制され得ることを
実証している。野生型p53の外因性p53発現の誘導は、結腸ガン細胞株およびヒト
肺ガンスフェロイドにおけるアポトーシスを誘導することが示され、このことは
プログラム細胞死におけるp53の役割を示唆している。
頭部および頸部の扁平上皮ガン(SCCHN)を有する患者は、しばしば、会話、
嚥下および美容において深い影響を有する疾患に苦しむ。さらに、これらの患者
間の全体の生存率(約50%)は、現代の外科手術および放射線療法が始められて
以来、30年近く変化しないままである。再発は、全身的とは反対に主に局所的お
よび局部的であり、このことは原発性腫瘍部位における顕微鏡的残存ガンが、死
亡率の主な原因であることを示している。これらの事実を仮定して、SCCHNにお
ける顕微鏡的残存疾患を効果的に攻撃する能力は、ガン処置の療法的効力を改良
し得る努力である。
発明の要旨
従って、本発明の目的は、扁平上皮ガンのインビボ処置のための改良された方
法を提供することである。本発明の別の目的は、顕微鏡的残存ガンおよび体腔の
顕微鏡的腫瘍播腫物の発症および処置を評価するための方法を提供することであ
る。
これらの目的を果たすことにおいて、扁平上皮ガンを有する被験体を処置する
ための方法が提供され、その方法は、以下の工程:(a)真核生物細胞において
機能的であるプロモーターおよびp53をコードするポリヌクレオチドを含む発現
構築物を提供する工程であって、ここでポリヌクレオチドはセンスに位置しそし
てプロモーターの制御下にある、工程;および(b)インビボで発現構築物を扁
平上皮ガンと接触させる工程、を含む。
扁平上皮ガンは、頭部および頸部ガンであり得る。扁平上皮ガンの内因性p53
は、変異されていてもよく、または変異されていなくてもよい。発現構築物は、
好ましくは、ウイルスベクター(例えば、レトロウイルスベクター、アデノウイ
ルスベクターおよびアデノ随伴ウイルスベクター)であり、複製欠損アデノウイ
ルスベクターが最も好ましい。特定の実施態様において、p53遺伝子は、発現ベ
クターからのp53の発現が検出され得るようにタグされる。好ましいタグは、免
疫学的なタグ(例えば、連続抗体エピトープ)である。
方法はさらに、切除後の腫瘍ベッド、または「人工体腔」の発現構築物とのさ
らなる接触をともなう腫瘍の外科手術的切除を含み得る。腫瘍ベッドを接触させ
るために用いられる容量は、約3mlから約10mlである。アデノウイルスベクター
が使用される場合、各々の接触において投与されるアデノウイルスの量は、約107
、108、109、1010、1011または1012pfuである。
発現構築物の連続灌流もまた意図される。連続灌流において送達される構築物
の量は、注射を介して送達される量から、所定の期間を通じて同じ全投薬量に近
づくように決定されるが、幾分多い全投薬量が連続灌流を用いて達成され得る。
別の実施態様において、発現構築物は、天然体腔(例えば、口、咽頭、食道、
喉頭、気管、胸膜腔、腹膜腔、または膀胱、結腸もしくは他の内臓器官を含む中
空器官腔)に注射される。
顕微鏡的残存ガンに対する療法の有効性を決定するための方法もまた提供され
、その方法は以下の工程:(a)齧歯類に皮下組織への切開を提供する工程;(b
)切開に腫瘍細胞を播腫する工程;(c)療法レジメを用いて齧歯類を処置する
工程;および(d)腫瘍の発症に対するレジメの衝撃を評価する工程、を含む。
切開は、工程(b)の後かつ工程(c)の前に密封され得る。さらに、レジメは、
切開への療法的組成物の導入を含み得、その切開は密封の後に再開口され、そし
て上記の療法的組成物の導入後に再密封される。
本発明の他の目的、特徴および利点は、以下の詳細な説明から明らかとなる。
しかし、詳細な説明および特定の実施例は、本発明の好ましい実施態様を示すが
、例示のみによって与えられることを理解すべきである。なぜなら、本発明の精
神および範囲内で種々の変更および改変が、この詳細な説明から当業者に明らか
になるからである。
図面の簡単な説明
以下の図面は本明細書の一部を形成し、そして本発明の特定の局面をさらに示
すために含まれる。本発明は、本明細書中に呈示される特定の実施態様の詳細な
説明と組み合わせてこれらの図面の1つ以上を参照して、よりよく理解され得る
:
図1。SCCHN細胞株Tu-138(黒三角)およびTu177(黒四角)の形質導入効率。
組換えβ-galアデノウイルスを、10〜100の範囲の異なるMOIで細胞を感染するた
めに用いた。β-galポジティブ細胞の割合を、複製ディッシュ上での500細胞ず
つの記録から得た。
図2Aおよび図2B。インビトロでのSCCHN細胞増殖の阻害。(図2A)モッ
ク感染Tu-138細胞(黒丸)、dl312感染細胞(黒三角)、およびAd5CMV-p53感染
細胞(黒四角)の増殖曲線。(図2B)モック感染Tu-177細胞(白丸)、dl312
感染細胞(白三角)、およびAd5CMV-p53感染細胞(白四角)の増殖曲線。各々の
示される時点で、細胞の3つのディッシュをトリプシン処理しそして計数した。
感染後の三連のウェル当たりの細胞計数の平均±SEMを、感染からの日数に対し
てプロットした。
図3A、図3B、図3Cおよび図3D。4つのSCCHN細胞株の混成増殖曲線。
(図3A)Tu-138。(図3B)Tu-177。(図3C)MDA 686-LN。(図3D)MDA
886。モック感染細胞(黒丸)、dl312感染細胞(黒三角)、およびAd5CMV-p53感
染細胞(黒四角)。感染後の三連のウェル当たりの細胞計数の平均を、感染から
の日数に対してプロットした;棒、SEM。
図4。正常繊維芽細胞株の増殖曲線。モック感染細胞(白丸)、dl312感染細
胞(白三角)、およびAd5CMV-p53感染細胞(白四角)。
図5Aおよび図5B。SCCHN細胞株の混成増殖曲線。図5A:Tu-138; 図5B:
MDA 686LN; モック感染細胞(白丸)、dl312感染細胞(白三角)、およびAd5CMV
-p53感染細胞(白四角)。各々の示される時点で、細胞の3つのディッシュをト
リプシン処理しそして計数した。三連のディッシュ当たりの細胞数の平均を、感
染後の時間数に対してプロットした;棒、SEM。
図6Aおよび図6B。TUNEL法によるビオチン化dUTPでのアポトーシス性細胞
におけるDNA破壊の標識。感染後に、アポトーシスについてのフローサイトメト
リー分析を、経時的研究で行った。図6A。dl312(複製欠陥アデノウイルス)
で感染したTu-138細胞(パネル1〜パネル4)、野生型p53アデノウイルスで感
染したTu-138細胞(パネル5〜パネル8)。図6B。dl312(複製欠陥アデノウ
イルス)で感染したMDA 686LN細胞(A〜D)、野生型p53アデノウイルスで感染
したMDA 686LN細胞(E〜H)。Apはアポトーシスを表す。
図7Aおよび図7B。SCCHN細胞株の混成増殖曲線。図7A:Tu-138; 図7B:
MDA 686LN; モック感染細胞(白丸)、dl312感染細胞(白三角)、Ad5CMV-p5
3感染細胞(白四角)、およびAd5CMV-p53-FLAG感染細胞(黒四角)。各々の示さ
れる時点で、細胞の3つのディッシュをトリプシン処理しそして計数した。三連
のディッシュ当たりの細胞計数の平均を、感染後の時間数に対してプロットした
;棒、SEM。
好ましい実施態様の詳細な説明
今日までに入手可能な情報は、SCCHNのための処置の第一の欠点の一つは、原
発性腫瘍部位、または隣接する局所的もしくは局部的な組織において疾患を完全
に根絶し得ないことであると示唆する。従って、本発明は、特に、顕微鏡的残存
ガンを攻撃することによって、SCCHNのより完全かつ有効な処置を可能にする遺
伝子療法方法論を提供するために設計される。この方法論は、単独でまたはより
慣習的な処置(例えば、化学療法または放射線療法または外科手術的介入)への
付属物として用いられ得る。さらに、顕微鏡的残存ガン、ならびに体腔の顕微鏡
的腫瘍播腫物に取り組むために特異的に設計された動物モデルを用いて、本発明
者は、これらの方法の効力を実証した。本発明の詳細は、より完全に以下に記載
されている。
より一般的には、現在、ガンのp53遺伝子療法は、腫瘍細胞のp53の状態に関係
なく有効であり得ると観察されている。驚くべきことに、療法効果は、野生型p5
3遺伝子を有するウイルスベクターが腫瘍(その細胞は機能的p53分子を発現する
)を処置するために用いられる場合に観察されている。この結果は、どのように
して腫瘍抑制が機能するかの現在の理解にもとづいては予測されていなかった。
正常細胞(これもまた機能的p53分子を発現する)は、ウイルス構築物由来のp53
の高レベルの発現によって見かけ上影響されないことを仮定して、これもまた驚
くべきことである。このことは、p53遺伝子療法は、ガンの処置に対して、当初
予測されたよりもより幅広く適用され得るという可能性を呈する。
A.p53タンパク質およびポリヌクレオチド
この出願を通して、用語「p53」は、例証されるp53分子ならびに他の種由来の
全てのp53ホモログをいうことが意図される。「野生型」および「変異体」p53は
、
それぞれ、正常な腫瘍抑制活性を発現するp53遺伝子、ならびに抑制活性を欠く
かもしくは減少した抑制活性を有するおよび/または形質転換活性を有するp53
遺伝子をいう。従って「変異体」p53は、単なる配列改変体ではなく、変化され
た機能的プロフィールを示す改変体である。
p53は現在、腫瘍抑制遺伝子として認識されている(Montenarh,1992)。高レ
ベルは、化学的発ガン物質、紫外線照射、およびSV40を含むいくつかのウイルス
によって形質転換された多くの細胞において見出されている。p53遺伝子は、広
範なヒト腫瘍における変異不活化の頻繁な標的であり、そして一般的なヒトガン
における最も頻繁に変異された遺伝子であることが既に実証されている(Mercer
,1992)。それは50%を越えるヒトNSCLCにおいて変異されており(Hollestein
ら、1991)そして幅広い範囲の他の腫瘍において変異されている。
変異されたp53遺伝子を含む腫瘍は、本発明による好ましい標的であるが、請
求されるp53発現ベクターの有用性は、野生型または機能的p53を有する腫瘍の処
置まで広がる。メカニズムは完全には理解されていないが、本発明者は、p53発
現が、機能的p53産物を発現する腫瘍の増殖を制限し得、そしてこのような細胞
におけるアポトーシスを誘導しさえし得ることを決定した。従って、腫瘍のp53
状態は、診断の関連において潜在的に有用ではあるが、本発明の実施にとって不
可欠ではない。この現象は、SCCHN腫瘍に限定されず、神経膠腫、肉腫、ガン腫
、白血病、リンパ腫および黒色腫を含む広範な悪性疾患(皮膚、肝臓、精巣、骨
、脳、膵臓、頭部および頸部、胃、肝臓、肺、卵巣、胸部、結腸、前立腺および
膀胱の腫瘍を含む)に適用され得る。
p53 ポリペプチド
p53遺伝子は、ウイルスタンパク質(例えば、ラージT抗原およびE1B)と複合
体を形成し得る、375アミノ酸のリンタンパク質をコードする。このタンパク質
は、正常組織および細胞において見出されるが、その濃度は、多くの形質転換さ
れた細胞または腫瘍組織と比較するとわずかである。興味深いことに、野生型p5
3は、細胞の増殖および分裂を調節することにおいて重要であるようである。野
生型p53の過剰発現は、いくつかの場合で、ヒト腫瘍細胞株において抗増殖性で
あることが示されている。従って、p53は、細胞増殖のネガティブレギュレータ
ーとして作用し得(Weinberg,1991)、そして制御されていない細胞増殖を直接
的に抑制し得るか、またはこの増殖を抑制する遺伝子を間接的に活性化し得る。
従って、野生型p53の非存在または不活化は、形質転換に寄与し得る。しかし、
いくつかの研究は、変異体p53の存在が、遺伝子の形質転換潜在能力の完全な発
現に必要であり得ることを示す。
野生型p53は、多くの細胞型における中心的に重要な増殖レギュレーターとし
て認識されているが、その遺伝的および生化学的特性は、同様に役割を有してい
るようである。ミスセンス変異はp53遺伝子について一般的であり、そしてオン
コジーンの形質転換能力に不可欠である。点変異によって引き起こされる単一の
遺伝的変化は、発ガン性p53を作り得る。しかし、他のオンコジーンとは異なり
、p53点変異は、少なくとも30の異なるコドンにおいて生じ、しばしば、ホモ接
合性への減数なしに細胞表現型の移行を生じる優性対立遺伝子を作ることが知ら
れている。さらに、これらのドミナントネガティブ対立遺伝子の多くは、生物中
で許容され、そして生殖系列を通り抜けるようである。種々の変異体対立遺伝子
は、最小の機能不全性から強力な浸透性の、ドミナントネガティブ対立遺伝子の
範囲にあるようである(Weinberg,1991)。
Caseyおよび共同研究者らは、2つのヒト乳ガン細胞株への野生型p53をコード
するDNAのトランスフェクションが、このような細胞における増殖抑制制御を回
復することを報告した(Caseyら、1991)。同様の効果はまた、ヒト肺ガン細胞
株への野生型(変異体ではない)p53のトランスフェクションに対しても実証さ
れている(Takahasiら、1992)。p53野生型は、変異体遺伝子を上回って優性で
あるようであり、そして、変異体遺伝子を有する細胞にトランスフェクトされた
場合に増殖に反対して選択する。トランスフェクトされたp53の発現は、内因性p
53を有する正常細胞の増殖に影響を及ぼさない。従って、このような構築物は、
有害な影響なしに正常細胞によって取り込まれ得る。
従って、野生型p53でのp53関連ガンの処置は、悪性細胞の数を減少させ得るこ
とが可能である。しかし、上記のような研究は、このような目標に達するのにほ
ど遠い。少なからず、なぜなら、DNAトランスフェクションは、患者の体内のガ
ン細胞にDNAを導入するために使用され得ないからである。p53 コードポリヌクレオチド
本発明によるポリヌクレオチドは、完全なp53遺伝子、機能的p53タンパク質ド
メイン、または任意のp53ポリペプチドをコードし得る。「相補的」ポリヌクレ
オチドは、標準的なワトソン−クリック相補性規則に従って塩基対合し得るポリ
ヌクレオチドである。すなわち、より大きなプリンはより小さなピリミジンと塩
基対合し、シトシンと対合したグアニン(G:C)、およびチミン(DNAの場合
)(A:T)またはウラシル(RNAの場合)(A:U)のいずれかと対合したア
デニンの組合せを形成する。ハイブリダイズする配列において、イノシン、5-メ
チルシトシン、6-メチルアデニン、ヒポキサンチンおよびその他のようなあまり
一般的でない塩基を含めることは、対合を妨害しない。
本明細書中で使用される用語「相補的配列」は、その全長にわたり実質的に相
補的であり、そして塩基のミスマッチをほとんど有さないポリヌクレオチド配列
を意味する。例えば、長さが15塩基の配列は、それらが13個または14個の位置で
相補的なヌクレオチドを有する場合、相補的であると呼ばれ得る。当然、「完全
に相補的」である配列は、その全長にわたり全体的に相補的であり、そして塩基
のミスマッチを全く有さない配列である。
より低い程度の相同性を有する他の配列もまた、意図される。例えば、高い相
同性の限られた領域を有するが、非相同性領域もまた含むアンチセンス構築物(
例えば、リボザイム)を設計し得る。これらの分子は、50%未満の相同性を有す
るが、適切な条件下で標的配列に結合する。
ポリヌクレオチドは、ゲノムDNAに由来し得る。すなわち、特定の生物のゲノ
ムから直接クローン化される。しかし、他の実施態様において、ポリヌクレオチ
ドは、相補的DNA(cDNA)であり得る。cDNAは、テンプレートとしてメッセンジ
ャーRNA(mRNA)を用いて調製されるDNAである。従って、cDNAは、いかなる中断
されたコード配列も含まず、そして通常は、対応するタンパク質に対するコード
領域(単数または複数)をほとんど独占的に含む。他の実施態様において、ポリ
ヌクレオチドは、合成的に産生され得る。
特定の構築物を生じさせるために、ゲノムDNAの部分とcDNAまたは合成配列と
を組合せることは有利であり得る。例えば、イントロンが最終的な構築物中に所
望される場合、ゲノムクローンを用いることが必要とされる。イントロンは、p5
3に加えて他の遺伝子に由来し得る。cDNAまたは合成ポリヌクレオチドは、構築
物の残りの部分により便利な制限部位を提供し得、そしてそれゆえ、配列の残り
のために用いられる。
p53のヒトおよびマウスDNA配列は、それぞれ配列番号1および配列番号3に提
供され、対応するアミノ酸は、それぞれ配列番号2および配列番号4に提供され
る。
本明細書中に開示されるものとは異なる配列を有するp53の天然の改変体が存
在することが意図される。従って、本発明は、p53の提供されるポリヌクレオチ
ド配列の使用に制限されず、むしろ、任意の天然に生じる改変体の使用を含む。
本発明はまた、これらの配列の化学的に合成された変異体を包含する。
配列改変体の別の種類は、コドンの変化から生じる。20の正常アミノ酸のほと
んどについていくつかのコドンが存在するので、多くの異なるDNAが、p53をコー
ドし得る。以下の表への言及はこのような改変体が同定されることを可能にする
。 遺伝コードの縮重を許容して、本明細書中に開示されたヌクレオチドと同一の
ヌクレオチドの約50%と約75%との間、または約76%と約99%との間を有する配
列が好ましい。「p53コードポリヌクレオチド」の範囲内の配列は、細胞内条件
下で、上記のポリヌクレオチドセグメントと塩基対合し得る。
上記のように、p53コード配列は、完全長ゲノムもしくはcDNAコピー、または
その大きなフラグメントであり得る。本発明はまた、p53のより短いオリゴヌク
レオチドを使用し得る。17塩基長の配列はヒトゲノムにおいて一回のみ生じるは
ずであり、そしてそれゆえ、特有の標的配列を特定するために十分であるはずで
ある。より短いオリゴマーは、容易に作製され、そしてインビボでの接近可能性
を増加させるが、多数の他の要因が塩基対合の特異性を決定することに関与する
。相補的な標的に対するオリゴヌクレオチドの結合親和性および配列特異性の両
方は、長さが増加するとともに増加する。8、9、10、11、12、13、14、15、16
、17、18、19または20塩基対のオリゴヌクレオチドは、例えば、p53変異体の調
製およびPCR反応において用いられることが意図される。
17塩基長の任意の配列は、ヒトゲノムにおいて一回のみ生じるはずであり、そ
してそれゆえ、特有の標的配列を特定するために十分であるはずである。より短
いオリゴマーは、容易に作製され、そしてインビボでの接近可能性を増加させる
が、多数の他の要因がハイブリダイゼーションの特異性を決定することに関与す
る。相補的な標的に対するオリゴヌクレオチドの結合親和性および配列特異性の
両方は、長さが増加するとともに増加する。
特定の実施態様において、他のエレメント(例えば、C-5プロピンピリミジン
を含むエレメント)を含む構築物を使用することを望み得る。ウリジンおよびシ
チジンのC-5プロピンアナログを含むオリゴヌクレオチドは、高親和性でRNAに結
合することが示されている(Wagnerら、1993)。
分子の規定された部分内に作製され得、そしてなお許容可能なレベルの等価な
生物学的活性を有する分子を生じ得る変化の数には制限があるという概念が、生
物学的に機能的な等価なタンパク質またはペプチドの定義に固有であることもま
た当業者によって良く理解される。従って、生物学的に機能的な等価なペプチド
は、本明細書中では、その中で特定の(ほとんどでも全てでもない)アミノ酸が
置換され得るペプチドとして定義される。特に、p16タンパク質のN末端に関す
る場合、約16個のみ、またはより好ましくは約5個のアミノ酸が所定のペプチド
内で変化され得ることが意図される。もちろん、異なる置換を有する多数の異な
るタンパク質/ペプチドは、本発明に従って容易に作製され得、そして用いられ
得る。
アミノ酸置換は、アミノ酸側鎖置換基の相対的類似性(例えば、その疎水性、
親水性、電荷、大きさ、など)に一般的に基づく。アミノ酸側鎖置換基の大きさ
、形、およびタイプの分析により、アルギニン、リジン、およびヒスチジンは、
全て正に荷電した残基であること;アラニン、グリシン、およびセリンは、全て
類似の大きさであること;そしてフェニルアラニン、トリプトファン、およびチ
ロシンは、全て一般的に類似の形を有することが明らかにされている。従って、
これらの考察に基づき、アルギニン、リジン、およびヒスチジン;アラニン、グ
リシン、およびセリン;ならびにフェニルアラニン、トリプトファン、およびチ
ロシン;は、本明細書中で生物学的機能的等価物であると定義される。
変化を作製するにあたり、アミノ酸の疎水親水指数が考慮され得る。各アミノ
酸は、その疎水性および電荷特性に基づき疎水親水指数を割り当てられている。
これらは以下の通りである:イソロイシン(+4.5);バリン(+4.2);ロイシン(+3.
8);フェニルアラニン(+2.8);システイン/シスチン(+2.5);メチオニン(+1.9)
;アラニン(+1.8);グリシン(-0.4);スレオニン(-0.7);セリン(-0.8);トリプ
トファン(-0.9);チロシン(-1.3);プロリン(-1.6);ヒスチジン(-3.2);グルタ
ミン酸(-3.5);グルタミン(-3.5);アスパラギン酸(-3.5);アスパラギン(-3.5)
;リジン(-3.9);およびアルギニン(-4.5)。
タンパク質に相互作用的生物学的機能を与えることにおける疎水親水アミノ酸
指数の重要性は、当該分野で一般的に理解されている(KyteおよびDoolittle,19
82、本明細書中に参考として援用される)。特定のアミノ酸が、類似の疎水親水
指数またはスコアを有する他のアミノ酸に置換され、そしてなお類似の生物学的
活性を保持し得ることは公知である。疎水親水指数に基づいて変化を作製するに
あたり、その疎水親水指数が±2以内のアミノ酸の置換が好ましく、±1以内の
アミノ酸が特に好ましく、そして0.5以内のアミノ酸はさらにより特に好ましい
。
アミノ酸が類似の親水性値を有する別のアミノ酸に置換され得、そしてなお生
物学的に等価なタンパク質を得ることが可能であることが理解される。米国特許
第4,554,101号に詳細に説明されるように、以下の親水性値がアミノ酸残基に割
り当てられている:アルギニン(+3.0);リジン(+3.0);アスパラギン酸(+3.0±
1);グルタミン酸(+3.0±1);セリン(+0.3);アスパラギン(+0.2);グルタミン
(+0.2);グリシン(0);スレオニン(-0.4);プロリン(-0.5±1);アラニ
ン(-0.5);ヒスチジン(-0.5);システイン(-1.0);メチオニン(-1.3);バリン(-
1.5);ロイシン(-1.8);イソロイシン(-1.8);チロシン(-2.3);フェニルアラニ
ン(-2.5);トリプトファン(-3.4)。
類似の親水性値に基づいて変化を作製するにあたり、その親水性値が±2以内
のアミノ酸の置換が好ましく、±1以内のアミノ酸が特に好ましく、そして±0.
5以内のアミノ酸がさらにより特に好ましい。
B.発現ベクター
本出願を通して、用語「発現構築物」は、遺伝子産物をコードする核酸を含む
、任意のタイプの遺伝構築物を含むことを意味する。それにおいて、配列をコー
ドする核酸の一部またはすべてが転写され得る。転写物は、タンパク質に翻訳さ
れ得るが、そうである必要はない。従って、特定の実施態様において、発現は、
p53遺伝子の転写およびp53 mRNAのp53遺伝子産物への翻訳の両方を含む。他の実
施態様において、発現は、p53またはその相補体をコードする核酸の転写のみを
含む。
少なくともp53翻訳産物の発現に作用する構築物のために、p53ポリヌクレオチ
ドをコードするポリヌクレオチドは、プロモーターの転写制御下にある。「プロ
モーター」は、遺伝子の特定の転写を開始するために必要とされる、宿主細胞の
合成装置、または導入された合成装置によって認識されるDNA配列をいう。用語
「転写制御下」は、プロモーターが、ポリヌクレオチドに関してRNAポリメラー
ゼの開始およびポリヌクレオチドの発現を制御するのに正しい位置であることを
意味する。
用語プロモーターは、本明細書中では、RNAポリメラーゼIIの開始部位の周り
でクラスター化される一群の転写制御モジュールの一群を示すために使用される
。プロモーターをどのように組織化するかについての多くの考慮が、いくつかの
ウイルスプロモーター(HSVチミジンキナーゼ(tk)およびSV40初期転写ユニッ
トのプロモーターを含む)の分析から得られる。(より最近の研究により増大し
た)これらの研究は、最近の研究でより強められているが、プロモーターが別個
の機能的モジュール(それぞれが、約7〜20bpのDNAからなり、そして転写アク
チベータまたはリプレッサータンパク質の1つ以上の認識部位を含む)からなる
ことを示す。
各プロモーターにおける少なくとも1つのモジュールは、RNA合成の開始部位
を配置するように機能する。この最もよく知られた例は、TATAボックスであ
る。しかし、TATAボックスを欠くいくつかのプロモーター、例えば、哺乳動
物のターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ遺伝子のプロモータ
ーおよびSV40後期遺伝子のプロモーターでは、開始部位自身に重なる異なるエレ
メントが、開始位置を固定するのを助ける。
さらなるプロモーターエレメントが、転写開始の頻度を調節する。典型的には
、これらは、開始部位の30〜110bp上流の領域に位置する。しかし、多数のプロ
モーターは、最近、開始部位の下流にも機能的エレメントを含むことが示されて
る。プロモーターエレメント間の間隔は、しばしば、柔軟であり、その結果、エ
レメントをもう一方に対して逆向きにしたりまたは移動させたりした場合、プロ
モーターの機能は保存される。tkプロモーターの場合、プロモーターエレメント
間の間隔は、活性が減少し始めるまで、50bpまでに増大し得る。プロモーターに
依存して、個々のエレメントが、転写を活性化するために、協奏的または独立的
のいずれかで機能し得ることは明らかである。
p53ポリヌクレオチドの発現を制御するために用いられる特定のプロモーター
は、標的細胞内で十分なレベルでポリヌクレオチドを発現し得る限り、決定的で
あるとは考えられない。従って、ヒト細胞が標的にされる場合、ヒト細胞中で発
現し得るプロモーターに隣接しかつその制御下に、ポリヌクレオチドコード領域
を配置することが好ましい。一般的にはそのようなプロモーターは、ヒトまたは
ウイルスのいずれかのプロモーターを含み得る。
種々の実施態様において、ヒトサイトメガロウイルス(CMV)即時初期遺伝子
プロモーター、SV40初期プロモーターおよびラウス肉腫ウイルス長末端反復が、
高レベルのp53ポリヌクレオチド発現を得るために使用され得る。当該分野で周
知である他のウイルスまたは哺乳動物細胞または細菌ファージプロモーターのポ
リヌクレオチドの発現を達成するための使用もまた、発現レベルが増殖阻害効果
を産生するために十分であるならば、意図される。
周知の特性を有するプロモーターを用いることにより、トランスフェクション
後のポリヌクレオチド発現のレベルおよびパターンは、最適化され得る。例えば
、特定の細胞において活性であるプロモーター、例えば、チロシナーゼ(黒色腫
)、αフェトタンパク質およびアルブミン(肝腫瘍)、CC10(肺腫瘍)、および
前立腺特異的抗原(前立腺腫瘍)の選択は、ポリヌクレオチドの組織特異的発現
を可能にする。表2は、いくつかのエレメント/プロモーターを列記する。それ
らは、本発明の背景において、p53構築物の発現を調節するために用いられ得る
。このリストは、p53発現の促進に関与する可能性のあるエレメントの余すとこ
ろないすべてを意図せず、単に、その例示である。
エンハンサーは、DNAの同じ分子上の離れた位置に位置するプロモーターから
の転写を増大させる遺伝子エレメントとして最初に検出された。長い距離にわた
って作用するこの能力は、原核生物の転写調節の古典的な研究においてはほとん
ど前例がなかった。その後の研究は、エンハンサー活性を有するDNA領域がプロ
モーターのように大いに組織化されていることを示した。すなわち、それらは多
くの個々のエレメントからなり、そのそれぞれが1つ以上の転写タンパク質に結
合する。
エンハンサーとプロモーターとの間の基本的な違いは、作用性である。エンハ
ンサー領域は、全体として、離れて転写を刺激し得なければならない;これは、
プロモーター領域またはその成分エレメントがそうである必要はない。一方、プ
ロモーターは、特定の部位でそして特定の向きにRNA合成の開始を指向する1つ
以上のエレメントを有しなければならない。エンハンサーは、これらの特異性を
欠く。プロモーターおよびエンハンサーは、多くの場合、重なりそして隣接して
おり、多くの場合、非常に類似したモジュラー構成を有するようである。
さらに、(真核生物プロモーターデータベースEPDBに従って)任意のプロモー
ター/エンハンサー組合せもまた、p53構築物の発現を駆動するために使用され
得る。T3、T7またはSP6細胞質発現系の使用は、別の可能な実施態様である。真
核生物細胞は、適切なバクテリオファージポリメラーゼが提供されれば、送達複
合体の一部またはさらなる遺伝子発現ベクターのいずれかとして、特定のバクテ
リオファージプロモーターからの細胞質転写を支援し得る。 さらに、特定の生理的シグナル応答して調節されるプロモーターを選択して、p5
3構築物を誘導性発現させ得る。例えば、ヒトPAI-1プロモーターの制御下のポリ
ヌクレオチドとともに、発現は腫瘍壊死因子によって誘導され得る。表3は、い
くつかのプロモーター/インデューサーの組合せを示している: 本発明の特定の実施態様において、細胞内での発現ベクターの送達は、発現ベ
クター中にマーカーを含めることにより、インビトロまたはインビボで同定され
得る。マーカーは、発現の容易な同定を可能にする、同定可能な変化をトランス
フェクトした細胞にもたらす。通常、薬剤選択マーカーを含めることにより、ク
ローニングおよび形質転換体の選択が補助される。あるいは、酵素、例えば、ヘ
ルペス単純ウイルスチミジンキナーゼ(tk)(真核生物)またはクロラムフェニ
コールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)(原核生物)が用いられ得る。免疫
学的マーカーもまた、用いられ得る。用いられる選択マーカーは、p53をコード
するポリヌクレオチドと同時に発現し得る限り、重要でないと考えられる。選択
マーカーのさらなる例は、当業者に周知である。
典型的には、転写物の正しいポリアデニル化を行うために、ポリアデニル化シ
グナルを含む。ポリアデニル化シグナルの性質は、本発明の実施を成功させるた
めには重要であるとは考えられない。任意のそのような配列が用いられ得る。本
発明者らは、用いた標的細胞において便利でありそして十分に機能することが知
られていた点で、SV40のポリアデニル化シグナルを用いた。発現構築物トのエレ
メントとして、ターミネーターもまた、意図される。これらのエレメントは、メ
ッセージのレベルを増強させ、そして構築物からの他の配列への読み通しを最少
化するのに役立ち得る。
本発明の好ましい実施態様において、発現構築物は、ウイルス構築物またはウ
イルスゲノムに由来する操作された構築物を含む。特定のウイルスをレセプター
媒介エンドサイトシスを介して細胞に進入させて、そしてある場合は、宿主細胞
染色体中に取り込む能力は哺乳動物細胞への遺伝子移入のための魅力的な候補物
にする。しかし、裸のDNAの直接取り込み、ならびにDNA複合体のレセプター媒介
取り込みが示されているので(以下に議論する)、発現ベクターはウイルスであ
る必要がなく、代わりに、哺乳動物細胞中でコードされる遺伝子の発現を支持す
ることが可能な任意のプラスミド、コスミド、またはファージ構築物(例えば、
pUCまたはBluescriptTMプラスミド系)であればよい。
レトロウイルス
レトロウイルスは、感染した細胞中で、逆転写のプロセスによりそのRNAを二
本鎖DNAに転換する能力により特徴づけられる一本鎖RNAウイルスの一群である(
Coffin、1990)。生じるDNAは、次いで、プロウイルスとして細胞の染色体に安
定的に組み込まれ、そしてウイルスタンパク質の合成を指示する。組込みは、
レシピエント細胞およびその子孫におけるウイルス遺伝子配列の保持をもたらす
。レトロウイルスゲノムは、3つの遺伝子、gag、pol、およびenvを含む。それ
らは、それぞれ、カプシドタンパク質、ポリメラーゼ酵素、およびエンベロープ
成分をコードする。Ψと名付けられた、gag遺伝子の上流で見出された配列は、
ゲノムのビリオンへのパッケージングのためのシグナルとして機能する。2つの
長末端反復(LTR)配列が、ウイルスゲノムの5'末端および3'末端に存在する。
これらは強力なプロモーターおよびエンハンサー配列を含み、そしてまた宿主細
胞ゲノム中での組込みに必要とされる(Coffin、1990)。
レトロウイルスベクターを構築するために、p53をコードする核酸を、複製欠
損であるウイルスを産生するために、特定のウイルス配列の位置に、ウイルスゲ
ノム中に挿入する。ビリオンを産生させるために、gag、pol、およびenv遺伝子
を含むが、LTRおよびΨ成分を有さないパッケージング細胞株を構築する(Mann
ら、1983)。ヒトcDNAを、レトロウイルスのLTRおよびΨ配列とともに含む組換
えプラスミドを、(例えば、リン酸カルシウム沈殿により)この細胞株に導入す
るとき、Ψ配列は、組換えプラスミドのRNA転写物がウイルス粒子にパッケージ
されることを可能にし、次いで、粒子は培養培地中に分泌される(Nicolasおよ
びRubenstein、1988;Temin、1986;Mannら、1983)。次いで、組換えレトロウ
イルスを含む培地を回収し、必要に応じて濃縮し、そして遺伝子移入のために使
用する。レトロウイルスベクターは、広範の種々の細胞タイプに感染し得る。し
かし、組込みおよび安定発現には、宿主細胞の分裂を必要とする(Paskindら、1
975)。
レトロウイルスベクターの特異的な標的化を可能にするために設計された新規
なアプローチが、最近、ウイルスエンベロープにラクトース残基を化学的に付加
することによる、レトロウイルスの化学的な改変に基づいて開発された。この改
変により、シアログリコタンパク質レセプターを介した肝細胞の特異的な感染が
可能になる。
組換えレトロウイルスの標的化に対する異なるアプローチが設計された。その
アプローチでは、レトロウイルスエンベロープタンパク質に対するビオチン化抗
体および特定の細胞レセプターに対するビオチン化抗体を使用した。抗体は、ス
トレプトアビジンを使用することにより、ビオチン成分を介して結合した(Roux
ら、1989)。主要組織適合遺伝子複合体クラスIおよびクラスII抗原に対する抗
体を使用して、彼らは、インビトロで自己向性(ecotropic)ウイルスでそれら
の表面抗原を産生する種々のヒト細胞の感染を示した(Rouxら、1989)。
アデノウイルス
ヒトアデノウイルスは、約36 kbのゲノムサイズの二本鎖DNA腫瘍ウイルスであ
る(Tooze,1981)。真核生物遺伝子発現のモデル系では、アデノウイルスは、幅
広く研究され、そしてよく特徴づけられており、遺伝子移入系としてのアデノウ
イルスの開発のための魅力的な系となっている。ウイルスのこの群は、増殖や操
作が容易であり、そして、インビトロおよびインビボで幅広い宿主範囲を示す。
溶菌性の感染細胞において、アデノウイルスは、宿主タンパク質合成を除外し、
大量のウイルスタンパク質を合成する細胞機構を指向し、そして大量のウイルス
を産生することが可能である。
ゲノムのE1領域は、ウイルスゲノムの転写調節を担うタンパク質をコードする
E1AおよびE1B、ならびに少数の細胞遺伝子を含む。E2発現(E2AおよびE2Bを含む
)は、ウイルス複製機能の合成(例えば、DNA結合タンパク質、DNAポリメラーゼ
、および複製をプライムする末端タンパク質)を可能にする。E3遺伝子産物は、
細胞傷害性T細胞および腫瘍壊死因子による細胞溶解を防ぎ、そしてウイルス増
殖にとって重要であることが明らかである。E4タンパク質に伴う機能は、DNA複
製、遅延遺伝子発現、および宿主細胞停止を含む。遅延遺伝子産物は、ビリオン
カプシドタンパク質のほとんどを含み、そしてこれらは、主要な後期プロモータ
ーからの1個の一次転写のプロセシングのほとんどが起きた後にのみ発現される
。主要後期プロモーター(MLP)は、感染の後期相の間に高い効率を示す(Strat
ford-PerricaudetおよびPerricaudet,1991a)。
ウイルスゲノムの小さな部分のみが、シスで要求されることが明らかであるた
め(Tooze,1981)、アデノウイルス送達ベクターは、293細胞のような細胞株と
関連する場合、大きなDNAフラグメントを置換するための優れた潜在能力を提供
する。Ad5形質転換ヒト胎児腎細胞株(Grahamら、1997)は、トランスで不可欠
なウイルスタンパク質を提供するために開発されている。従って、本発明者は、
アデノウイルスはその特徴のために、インビボでのガン細胞標的化に用いるのに
良好な候補になると推考した(GrunhausおよびHorwitz,1992)。
細胞に外来タンパク質を送達するためのアデノウイルス系の特定の利点は、以
下を包含する:(i)ウイルスDNAの大きな片を外来DNAで相対的に置換する能力
;(ii)組換えアデノウイルスの構造的安定性;(iii)ヒトへのアデノウイル
ス投与の安全性;および(iv)ガンまたは悪性腫瘍を伴うアデノウイルス感染を
伴うことが全く知られていないこと;(v)組換えウイルスの高力価を得る能力
;および(vi)アデノウイルスの高感染性。
レトロウイルスを越えるアデノウイルスベクターのさらなる利点には、高レベ
ルの遺伝子発現が含まれる。さらに、アデノウイルス複製は、レトロウイルス配
列とは異なり、宿主遺伝子複製から独立している。E1領域におけるアデノウイル
ス形質転換遺伝子は、容易に削除され得そしてなお十分な発現ベクターを提供す
るので、アデノウイルスベクターから生じるオンコジーンの危険性は、極わずか
であると考えられている(GrunhausおよびHorwitz,1992)。
一般的には、アデノウイルス遺伝子移入系は、E1のようなそのゲノムの一部の
欠損によって複製欠損にされる組換え操作されたアデノウイルスに基づき、そし
てなお感染能力を保持している。比較的大きな外来タンパク質をコードする配列
は、さらなる欠失がアデノウイルスゲノムにおいて作られた場合、発現され得る
。例えば、E1およびE3の両方を欠失したアデノウイルスは、10 Kbまでの外来遺
伝子を保有し得、そして293細胞において高力価に増殖し得る(Stratford-Perri
caudetおよびPerricaudet,1991a)。アデノウイルス感染後のトランスジーンの
驚くほど不変な発現がまた、報告されている。
近年、アデノウイルス媒介遺伝子移入は、真核生物細胞および全動物への遺伝
子移入を媒介する手段として研究されてきた。例えば、希な劣性遺伝的疾患であ
るオルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)欠損のマウスの処置において、ア
デノウイルス構築物は、正常なOTC酵素を供給するために使用し得ることが見出
された。不運なことに、OTCの正常レベルの発現は、17例のうち4つしか達しな
かった(Stratford-Perricaudetら、1991b)。従って、欠損は、マウスのほとん
どにおいて部分的にしか訂正されず、そして生理的変化および表現型の変化を導
かない。従って、これらの型の結果からは、ガン療法においてアデノウイルスベ
クターを使用することはほとんど奨励されない。
嚢胞性線維症膜貫通調節タンパク質(CFTR)の遺伝子をコットンラット(cott
on rat)の肺上皮に移入するためにアデノウイルスを使用する試みはまた、部分
的には成功しているが、動物の上皮に移入された遺伝子の生物学的活性を評価す
ることは不可能であった(Rosenfeldら、1992)。さらに、これらの研究は、肺
気道細胞における遺伝子移入およびCFTRタンパク質の発現を示したが、生理学的
効果は示さなかった。1991年のScienceの論文で、Rosenfeldらは、al抗トリプシ
ンタンパク質の肺発現を示したが、先と同様に生理学的効果は示さなかった。事
実、彼らは、彼らが観察した発現のレベルは、ヒトでの肺の防御に要求されるレ
ベルの約2%にしかすぎない(すなわち、生理学的効果に必要であるレベルのは
るか下)ことを推定した。
ヒトα1-抗トリプシンの遺伝子は、門脈内注射によって正常ラットの肝臓に導
入され、そこで発現し、そしてこれらのラットの原形質に導入されたヒトタンパ
ク質が分泌される(Jaffeら、1992)。しかし、(そして期待はずれなことに)
得られたレベルは、療法的価値に充分なほどは高くはなかった。
これらの型の結果は、アデノウイルスは、組換え細胞中の十分なタンパク質の
発現を生理学的に明らかな効果に指向し得ることを示さず、そしてその結果、ガ
ン療法に関連して使用するためのアデノウイルス系の有用性は示唆されない。さ
らに、本発明に先行して、p53は、有害であるため、パッケージング細胞(例え
ば、アデノウイルスの調製に用いられるようなもの)に取り込むことはできない
と考えられた。アデノウイルスのEIBはp53に結合するので、これは、アデノウイ
ルスおよびp53技術が組合せられ得ないさらなる理由だと考えられた。
発現構築物としての他のウイルスベクター
他のウイルスベクターを、本発明において発現構築物として使用し得る。ワク
シニアウイルス(Ridgeway,1988; BaichwalおよびSugden,1986; Couparら、198
8)、アデノ随伴ウイルス(AAV)(Ridgeway,1988; BaichwalおよびSugden,1986;
HermonatおよびMuzycska,1984)、およびヘルペスウイルスのようなウイルス由
来のベクターが使用され得る。これらは、種々の哺乳動物細胞に対していくつか
の魅力的な特性を付与する(Friedmann,1989; Ridgeway,1988; BaichwalおよびS
ugden,1986; Couparら、1988; Horwichら、1990)。
欠損B型肝炎ウイルスの最近の認識によって、異なるウイルス配列の構造と機
能との関係における新たな洞察が得られた。インビトロの研究によって、このウ
イルスが、その80%までのゲノムが欠失しているにもかかわらず、ヘルパー依存
性のパッケージング能および逆転写能を保持し得ることが示された(Horwichら、
1990)。このことは、ゲノムの大部分が外来の遺伝的物質で置換され得ることを
示唆した。肝親和性および持続性(組み込み)は、肝臓を指向する遺伝子移入のた
めに特に魅力的な特性であった。Changらは、最近、ポリメラーゼコード配列、
表面コード配列、および前表面コード配列の代わりにクロラムフェニコールアセ
チルトランスフェラーゼ(CAT)遺伝子を、カモB型肝炎ウイルスゲノムに導入し
た。これは、野生型ウイルスとともに鳥類肝癌細胞株にコトランスフェクション
された。高力価の組換えウイルスを含む培養培地を使用して、初代コガモ肝細胞
に感染させた。安定なCAT遺伝子発現が、トランスフェクション後の少なくとも2
4日間、検出された(Changら、1991)。
C.遺伝子送達方法の変更
p53構築物の発現を達成するために、発現ベクターは細胞内に送達されなけれ
ばならない。上記のように、送達のために好ましいメカニズムは、発現ベクター
が感染性アデノウイルス粒子中にカプシド化されているウイルス感染によるもの
である。
培養哺乳動物細胞への発現ベクターの移入のためのいくつかのウイルスを用い
ない方法もまた、本発明によって意図される。これらの方法として、リン酸カル
シウム沈澱(GrahamおよびVan Der Eb,1973; ChenおよびOkayama,1987; Rippe
ら、1990)、DEAE-デキストラン(Gopal,1985)、エレクトロポレーション(Tur-Ka
spaら、1986; Potterら、1984)、直接マイクロインジェクション(Harlandおよび
Weintraub,1985)、DNA積載リポソーム(NicolauおよびSene,1982; Fraleyら、1
979)、およびリポフェクタミン(lipofectamine)-DNA複合体、細胞超音波処理(Fe
chheimerら、1987)、高速マイクロプロジェクタイルを使用する遺伝子ボンバー
ドメント(Yangら、1990)、ポリカチオン(Boussifら、1995)およびレセプター
媒介トランスフェクション(WuおよびWu,1987; WuおよびWu,1988)が挙げられる
。これらの技術のいくつかは、インビボまたはエクスビボの使用のために首尾良
く適用され得る。
本発明の1つの実施態様において、アデノウイルス発現ベクターは、単に裸の
組換えベクターからなり得る。構築物の移入は、細胞膜を物理的または化学的に
透過する上記の方法のいずれによっても行われ得る。例えば、Dubenskyら(1984)
は、成体マウスおよび新生マウスの肝臓および脾臓へCaPO4沈澱物の形態でポリ
オーマウイルスDNAを首尾良く注射し、活発なウイルスの複製および急性感染を
実証した。BenvenistyおよびNeshif(1986)はまた、CaPO4沈澱したプラスミドの
直接腹腔内注射によってトランスフェクトされた遺伝子の発現が生じることを示
した。p53構築物をコードするDNAもまた、類似した様式でインビボで移入され得
ることが予想される。
細胞内へ裸のDNA発現ベクターを移入するための本発明の別の実施態様は、粒
子のボンバードメントを含み得る。この方法は、DNAをコートしたマイクロプロ
ジェクタイルを高速に加速する能力に依存し、この能力によって細胞を殺傷する
ことなく細胞膜を貫き、そして細胞内に侵入することが可能になる(Kleinら、19
87)。小粒子を加速するためのいくつかのデバイスが開発されている。このよう
なデバイスの1つは、電流を生じるための高電圧放電に依存し、これは順次原動
力を提供する(Yangら、1990)。使用されるマイクロプロジェクタイルは、タング
ステンまたは金のビーズのような、生物学的に不活性な物質からなっている。
選択された器官(ラットおよびマウスの肝臓、皮膚、および筋肉組織を含む)は
、インビボでボンバードされている(Yangら、1990; Zeleninら、1991)。これは
、組織または細胞を外科的に露出して、銃と標的器官との間にある組織を全て排
除することを必要とし得る。p53構築物をコードするDNAはこの方法によって送達
され得る。
本発明のさらなる実施態様において、発現ベクターは、リポソーム中に捕獲さ
れ得る。リポソームは、リン脂質2重層膜、および内部の水性媒体によって特徴
づけられる小胞構造物である。多層状のリポソームは、水性媒体によって分離さ
れる複数の脂質層を有する。リン脂質が過剰の水溶液中に懸濁される場合、それ
らは自然に形成される。脂質成分は、密閉構造の形成前に自ら再配列し、そして
脂質2重層間へ水および溶解した溶質を取り込む(GhoshおよびBachhawat、1991)
。リポフェクタミン-DNA複合体もまた、意図される。
インビトロでの外来DNAのリポソーム媒介ポリヌクレオチド送達および発現は
、非常に首尾良く行われている。Wongら(1980)は、培養ニワトリ胚、HeLa、およ
び肝癌細胞中での外来DNAのリポソーム媒介送達および発現の実行可能性を示し
た。Nicolauら(1987)は、静脈内注射後のリポソーム媒介遺伝子移入をラットで
首尾良く達成した。
本発明の特定の実施態様において、リポソームは血球凝集ウイルス(hemagglut
inating virus)(HVJ)と複合体化され得る。このことは細胞膜との融合を容易に
し、そしてリポソームカプセル化DNAの細胞侵入を促進することが示されている(
Kanedaら、1989)。他の実施態様において、リポソームは、核の非ヒストン染色
体タンパク質(HMG-1)と複合体化され得るか、またはこれと共に使用され得る(Ka
toら、1991)。なおさらなる実施態様において、リポソームは、HVJおよびHMG-1
の両方と複合体化され得るか、またはこれらと共に使用され得る。このような発
現ベクターがインビトロおよびインビボでのポリヌクレオチドの移入および発現
において首尾よく使用されているという点で、これらを本発明で応用し得る。バ
クテリオファージプロモーターがDNA構築物において使用される場合、リポソー
ム内に適切なバクテリオファージポリメラーゼを含めることもまた所望される。
細胞に発現ベクターを移入するための別のメカニズムは、レセプター媒介送達
である。このアプローチは、ほとんど全ての真核生物細胞におけるレセプター媒
介エンドサイトーシスによる、高分子の選択的取り込みを利用する。種々のレセ
プターの細胞型特異的分布のために、送達は高度に特異的であり得る(WuおよびW
u、1993)。レセプター媒介遺伝子標的化ビヒクルは、一般に、2つの成分からな
る:細胞レセプター特異的リガンドおよびDNA結合因子。いくつかのリガンドが
レセプター媒介遺伝子移入のために使用されている。最も広範に特徴づけられた
リガンドは、アシアロオロソムコイド(asialoorosomucoid)(ASOR)(WuおよびWu、
1987)およびトランスフェリン(Wagnerら、1990)である。最近、合成ネオ糖タン
パク質(これはASORと同じレセプターを認識する)が遺伝子送達ビヒクルとして使
用されており(Ferkolら、1993; Peralesら、1994)、そして、表皮増殖因子(EGF)
もまた扁平上皮癌細胞へ遺伝子を送達するために使用されている(Myers,EPO 02
73085)。
他の実施態様において、送達ビヒクルはリガンドおよびリポソームを含み得る
例えば、Nicolauら(1987)は、リポソーム中に取り込まれたラクトシル-セラミド
、ガラクトース末端アシアルガングリオシドを使用して、肝細胞によるインスリ
ン遺伝子の取り込みの増加を観察した。従って、アデノウイルス発現ベクターは
また、リポソームを用いてまたは用いずに任意の数のレセプター-リガンド系に
よって、肺、上皮、または腫瘍細胞のような細胞型中へ特異的に送達され得るこ
とが可能である。例えば、表皮増殖因子(EGF)は、EGFレセプターのアップレギュ
レーションを示す多くの腫瘍細胞において、p53構築物の媒介される送達のため
のレセプターとして使用され得る。マンノースは肝細胞上のマンノースレセプタ
ーを標的化するために使用され得る。さらに、CD5(CLL)、CD22(リンパ腫)、CD25
(T細胞白血病)、およびMAA(メラノーマ)に対する抗体が、標的化部分として同
様に使用され得る。
特定の実施態様において、遺伝子移入がエクスビボの条件下でより容易に行わ
れ得る。エクスビボ遺伝子療法は、動物からの細胞の単離、インビトロでの細胞
へのポリヌクレオチドの送達、次いで改変された細胞を動物へ戻すことをいう。
これは、動物からの組織/器官の外科的摘出、または細胞および組織の初代培養
を含み得る。Andersonら、米国特許第5,399,346号(その全体が本明細書に援用さ
れる)は、エクスビボの療法法を開示する。エクスビボ培養の間、発現ベクター
は、p53構築物を発現し得る。最終的に、以下に記載の任意の手段によって薬学
的に受容可能な形態で、細胞は元の動物に再導入され得るか、または別の動物に
投与され得る。
D.薬学的組成物および投与経路
本発明のアデノウイルス発現ベクターの臨床的適用が意図される場合、意図さ
れる適用に適切な薬学的組成物として複合体を調製する必要がある。一般に、こ
れは、発熱物質ならびにヒトまたは動物に有害であり得る他の不純物を本質的に
全く含まない薬学的組成物を調製することを必要とする。一般に、適切な塩およ
び緩衝剤を用いて、複合体を安定化し、そして標的細胞により複合体が取り込ま
れるのを可能にすることも望ましい。
本発明の水性組成物は、薬学的に受容可能なキャリアまたは水性媒体中に溶解
または分散した、有効量の発現ベクターおよび核酸を含む。このような組成物は
また、接種物ともいわれ得る。用語「薬学的または薬理学的に受容可能な」は、
動物またはヒトに適切に投与された場合に、有害な、アレルギー性の、または他
の有害反応を生じない分子的存在および組成物をいう。本明細書中で用いる、「
薬学的に受容可能なキャリア」は、任意および全ての溶媒、分散媒体、コーティ
ング、抗細菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などを包含する。薬学
的に活性な物質のためのこのような媒体および薬剤の使用は、当該分野で周知で
ある。任意の従来の媒体または薬剤が活性成分と不適合性である限りを除いて、
療法的組成物におけるその使用が意図される。補助的活性成分もまた、組成物中
に取り込まれ得る。
遊離の塩基または薬理学的に受容可能な塩としての活性な化合物の溶液は、ヒ
ドロキシプロピルセルロースのような界面活性剤と適切に混合された水中に調製
され得る。分散物はまた、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、および
それらの混合物中、ならびに油中に調製され得る。保存および使用の正常条件下
で、これらの調製物は、微生物の増殖を防ぐための保存剤を含む。
本発明の発現ベクターおよび送達ビヒクルは、古典的な薬学的調製物を包含し
得る。本発明による療法的組成物の投与は、標的組織がその経路を通して利用可
能である限り、任意の正常経路である。これは、経口、経鼻、舌下、直腸、経膣
、または局所を包含する。あるいは、投与は、正常位の注射、皮内注射、眼内注
射皮下注射、筋肉内注射、腹腔内注射、または静脈内注射による。このような組
成物は、通常、生理学的に受容可能なキャリア、緩衝剤、または他の賦形剤を含
む、
薬学的に受容可能な組成物として投与される。
本発明の療法的組成物は、液体溶液または懸濁物のいずれかとして注射可能な
組成物の形態で好都合に投与される;注射前に液体中に溶解または懸濁するため
に適切な固体形態もまた、調製され得る。これらの調製物もまた、乳化され得る
。このような目的のための代表的な組成物は、薬学的に受容可能なキャリアを含
む。例えば、組成物は、リン酸緩衝化生理食塩水1mlあたり10mg、25mg、50mg、
または約100mgまでのヒト血清アルブミンを含み得る。他の薬学的に受容可能な
キャリアは、水溶液、塩を含む無毒性の賦形剤、保存剤、緩衝剤などを包含する
。非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油
、およびオレイン酸エチルのような注射可能な有機エステルである。水性キャリ
アは、水、アルコール/水溶液、生理食塩水、塩化ナトリウムのような非経口ビ
ヒクル、リンゲルデキストロースなど包含する。静脈内ビヒクルは、液体および
栄養補液を包含する。保存剤は、抗微生物剤、抗酸化剤、キレート剤、および不
活性ガスを包含する。薬学的組成物の種々の成分のpHおよび正確な濃度は、周知
のパラメーターに従って調整される。
さらなる処方物は、経口投与に適切である。経口処方物は、例えば、薬学的等
級のマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカ
リンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどのような代表的な賦形剤を
含む。組成物は、溶液、懸濁液、錠剤、丸剤、カプセル剤、徐放性処方物、また
は散剤の形態をとる。経路が局所経路である場合、形態は、クリーム、軟膏、膏
薬、液体またはスプレーであり得る。
療法剤の有効量は、意図される目標(例えば、(i)腫瘍細胞の増殖阻害または(
ii)腫瘍細胞の排除)に基づいて決定される。用語「単位用量」は、被験体にお
ける使用に適切な物理的に別々の単位をいう。ここで、それぞれの単位は、その
投与(すなわち、適切な経路および処置レジメ)に関して上記の所望の応答を生
じるように計算された所定量の療法的組成物を含有する。投与されるべき量(処
置の回数および単位用量の両方による)は、処置されるべき被験体、被験体の状
態、および所望される防御に依存する。療法的組成物の正確な量はまた、実施者
の判断に依存し、そして各個人に特有である。
特定の実施態様において、療法的組成物の持続的な供給を患者に提供すること
が所望され得る。静脈内経路または動脈内経路については、これは、点滴系によ
って達成される。局所的療法については、反復適用が使用される。種々のアプロ
ーチのために、遅延放出処方物は、長期間にわたり、治療薬の制限されるが一定
の量を提供するために用いられ得る。内部適用のために、目的の領域の持続的灌
流が、好まれ得る。これは、挿管によって達成され得、いくつかの場合手術後に
、療法薬の持続投与を続けた。灌流のための期間は、個々の患者および状態につ
いて臨床医によって選択されるが、期間は、約1〜2時間から、2〜6時間まで
、約6〜10時間まで、約10〜24時間まで、約1〜2日、約1〜2週間まで、また
はそれ以上までの範囲であり得る。一般的に、持続灌流を介する療法的組成物の
用量は、1回または複数回の注射によって与えられ、注射が投与される期間につ
いて調節される用量と等しい。しかし、高用量は、灌流を介して達成され得ると
考えられている。
SCCHN の臨床プロトコル
臨床プロトコルは、以下の実施例で議論されるアデノウイルス構築物を用いる
SCCHN疾患の処置を容易にするために開発された。このプロトコルに従って、頭
部および頸部に扁平上皮ガンの組織学的証拠を有する患者が選択される。患者は
、以前に化学療法、放射線療法、または遺伝子療法を受けてもよいがその必要は
ない。最適には、患者は、適切な骨髄機能(末梢血中>2,000/mm3の顆粒球絶対
数および100,000/mm3の血小板数として定義される)、適切な肝機能(≦1.5mg/d
lのビリルビン)および適切な腎機能(<1.5mg/dlのクレアチニン)を有する。
プロトコルは、106個と109個との間のp53アデノウイルス発現構築物の感染性
粒子を含む薬学的組成物の単回容量の投与(腫瘍内注射を介する)を必要とする
。4cm以上の腫瘍については、投与される量は、4〜10 ml(好ましくは10 ml)
であり、4cm未満の腫瘍には、1〜3mlの量(好ましくは3ml)が用いられる。
複数回の注射は、0.1〜0.5 mlの量で、約1cm以上の間隔で、単回用量について
送達される。
処置の過程は、約6用量からなり、2週間にわたって送達された。臨床医によ
る選出に基づいて、レジメは各2週間に6用量またはそれより低い頻度(一ヶ月
、二ヶ月、四ヶ月、等)に基づいて続けられ得る。
患者が、外科的切除に適している場合、腫瘍は、上記のように、少なくとも2
回の連続した2週間の処置過程で処置される。第二(またはそれ以上(例えば、
第三、第四、第五、第六、第七、第八、等))の過程の完了の一週間以内に、患
者は外科的切除を受ける。切開を閉じる前に、p53アデノウイルス発現構築物(1
06個〜109個の感染性粒子)を含む10mlの薬学的組成物を、外科手術部位(手術
ベッド)に送達され、そして少なくとも60分間、接触を維持させる。創傷を閉じ
、そしてドレーンまたはカテーテルをそこに配置する。術後3日に、更なる薬学
的組成物10mlをドレーンを介して投与し、そして、少なくとも2時間手術ベッド
との接触を維持させる。次いで、吸引による除去が、行われ、そしてドレーンを
臨床的に適切な時間で取り外す。
人工体腔および天然体腔の処置
再発性SCCHNの誘引源(prime source)の一つは、腫瘍切除後に原発性腫瘍部
位、ならびに局所的および局地的に残存している顕微鏡的疾患である。さらに、
天然体腔に顕微鏡的腫瘍細胞が播種されるという類似の状況が存在する。このよ
うな顕微鏡的疾患の効果的な処置は、療法レジメにおける重要な進歩を提示する
。
従って、特定の実施態様において、ガンは外科的切除によって除去され得、「
腔」を作る。外科手術の時間およびそれ以後(定期的または持続的に)の両方に
おいて、本発明の療法組成物は体腔に投与される。本質的に、これは、体腔の表
面の「局所的」処置である。組成物の容量は、腔の表面全体が発現構築物と接触
することを確実にするのに十分であるべきである。
一つの実施態様において、投与は簡単に、腫瘍切除によって形成される腔への
療法組成物の注射を伴う。別の実施態様において、スポンジ、スワブまたは他の
デバイスを介する機械的適用が所望され得る。これらのアプローチのいずれかが
、腫瘍除去に続いて、ならびに初めの外科手術の間に、用いられ得る。さらに別
の実施態様において、カテーテルが、外科的侵入部位の閉鎖の前に、腔に挿入さ
れる。次いで、腔は、所望の期間、持続的に灌流され得る。
この処置の別の形態において、療法組成物の「局所的」療法は、天然体腔(例
えば、口、咽頭、食道、喉頭、気管、胸腔、腹腔、または膀胱、結腸、もしくは
他の内臓器官を含む中空器官腔)において、標的にされる。この状況において、
体腔に顕著な原発性腫瘍が存在してもしなくてもよい。処置は体腔の顕微鏡的疾
患を標的にするが、偶然に以前に除去されていない場合は原発性腫瘍塊に、また
はこの腔内に存在し得る前腫瘍病変に影響を及ぼす。一方では、種々の方法は、
これらの内臓器官または腔表面への「局所的」療法に影響を与えるために用い得
る。例えば、咽頭における口腔は、簡単な溶液での口腔のうがい(swishing and
gargling)によって影響され得る。しかし、喉頭および気管内の局所的処置に
は、内視鏡による透視および療法組成物の局所的送達が必要である。膀胱または
結腸粘膜のような内臓器官には、注入とともにカテーテルの内在化が必要であり
得るか、その一方では、サイトスコープまたは他の内視鏡器具で直接透視し得る
。胸腔および腹腔のような腔には、この領域への接近を提供するカテーテルの内
在化または外科的アプローチによって、接近し得る。
投与後のp53発現のモニタリング
本発明の別の局面は、療法組成物の投与後のp53発現のモニタリングを包含す
る。顕微鏡的腫瘍細胞の破壊は観察できないので、標的部位が発現構築物と効果
的に接触したかどうか決定することが重要である。これは、発現構築物が活発に
p53産物を産生する細胞の同定によって、達成され得る。しかし、処置範囲で外
来性p53と腫瘍細胞および非腫瘍細胞に存在するp53との間の区別ができることは
、重要である。外来性p53をトレーサーエレメントでタグすることにより、この
分子の発現およびそれが内因性型ではないという決定的証拠が提供される。
このようなトレーサーは、FLAGバイオシステムによって提供される(Hoppら、
1988)。FLAGポリペプチドはオクタペプチド(AspTyrLysAspAspAspAspLys)であ
り、そしてその小さな大きさは、送達された遺伝子療法タンパク質の発現を破壊
しない。FLAGおよび目的のタンパク質の同時発現は、FLAGタンパク質に対して惹
起される抗体の使用によりトレースされる。
6×His系(Qiagen)のような他の免疫学的マーカー系もまた、使用され得る。
その事柄のために、(i)エピトープの免疫学的完全性が、融合によって妥協せ
ず、そして(ii)p53の機能的完全性が融合によって妥協しない限りは、任意の
直鎖状エピトープがp53との融合タンパク質を生成するために用いられ得る。
E.療法プロトコルの組み合わせ
DNA損傷剤に対する腫瘍細胞耐性は、臨床学的腫瘍学における主要な問題を示
す。現在の癌研究の1つの目的は、化学療法および放射線療法の効力を、遺伝子
療法と組み合わせることによって改良する方法を見出すことである。例えば、単
純ヘルペス-チミジンキナーゼ(HS-tK)遺伝子は、レトロウイルスベクター系に
よって脳腫瘍に送達されると、抗ウイルス剤であるガンシクロビルに対する感受
性を首尾良く誘導した(Culverら、1992)。本発明の情況において、p53療法を
、化学療法または放射線療法介入と組み合わせて同様に用い得ることが意図され
る。
本発明の方法および組成物を用いて、悪性細胞または移入細胞のような細胞を
殺傷するために、一般に、「標的」細胞とp53発現ベクターおよび少なくとも1
つのDNA損傷剤とを接触させる。これらの組成物は、細胞を殺傷するかまたは細
胞の増殖を阻害するために有効な組み合わされた量で提供される。このプロセス
は、細胞を、発現ベクターおよびDNA損傷剤または因子と同時に接触させる工程
を包含し得る。これは、細胞と、単一の組成物または両方の薬剤を含む薬学的処
方物とを接触させる工程により、あるいは細胞と、2つの異なる組成物または処
方物とを同時に接触させる工程により達成され得る。ここで、1つの組成物はp5
3発現ベクターを含み、そしてもう一方の組成物はDNA損傷剤を含む。
あるいは、p53処置を、数分から数週間の範囲の間隔で、DNA損傷剤処置に先立
ってまたは続いて行い得る。DNA損傷因子およびp53発現ベクターが細胞に別々に
適用される実施態様では、一般に、それぞれの送達時間の間においてかなりの時
間の間失効せず、その結果、DNA損傷剤および発現ベクターはなお有利に組み合
わされた効果を細胞に作用し得ることが明らかである。このような場合、細胞と
両方の薬剤とを、互いに一週間に約6時間から1週間以内に、そしてより好まし
くは互いに24〜72時間以内に接触させることが意図される。約48時間のみの時間
の遅れが最も好ましい。しかし、いくつかの状況では、処置の期間を十分に延長
することが望まれ得、その場合、数日(2、3、4、5、6、または7日)から
数週間(1、2、3、4、5、6、7、または8週間)が、それぞれの投与の間
で経過する。
p53構築物またはDNA損傷剤のいずれかの2回以上の投与が望ましいこともまた
考えられ得る。種々の組み合わせが用いられ得、ここでp53は「A」、そしてDNA
損傷剤は「B」である:
A/B/A B/A/B B/B/A A/A/B B/A/A A/B/B A/B/B/B
B/B/B/A B/B/A/B A/A/B/B A/B/A/B A/B/B/A B/B/A/A B/A/B/B
B/A/B/A B/A/A/B A/A/A/B B/A/A/A A/B/A/A A/A/B/A B/A/A/B
細胞殺傷を達成するために、両方の薬剤が、細胞を殺傷するために有効な組み合
わされた量で細胞に送達される。
DNA損傷剤または因子は、本明細書中において、細胞に適用された場合にDNA損
傷を誘導する任意の化学化合物または処置方法として定義される。このような薬
剤および因子は、DNA損傷を誘導する放射線照射および波動(例えば、γ線照射
、X線、UV照射、マイクロ波、電子励起など)を包含する。種々の化学化合物(
「化学療法剤」としてもまた記載される)は、DNA損傷を誘導するために機能し
、それらのすべては本明細書中に開示される組み合わされた処置方法において使
用されることが意図される。使用されることが意図される化学療法剤は、例えば
、アドリアマイシン、5-フルオロウラシル(5FU)、エトポシド(VP-16)、カン
プトテシン、アクチノマイシン-D、マイトマイシンC、シスプラチン(CDDP)
、および過酸化水素(でさえも)を包含する。本発明はまた、1つ以上のDNA損
傷剤(放射線ベースのまたは実際の化合物のいずれか)の組み合わせの使用(例
えば、X線とシスプラチンとの使用、またはシスプラチンとエトポシドとの使用
)を包含する。特定の実施態様において、p53発現ベクターと組み合わせたシス
プラチンの使用は、特に好ましい。
本発明に従って癌を処置することにおいて、発現ベクターに加えて、腫瘍細胞
とDNA損傷剤とを接触させる。これは、局在化した腫瘍部位をDNA損傷放射線(例
えば、X線、UV光、γ線、またはマイクロ波(でさえも))で照射することによ
り達成され得る。あるいは、被験体に療法有効量の薬学的組成物を投与すること
により、腫瘍細胞とDNA損傷剤とを接触させ得る。この組成物は、アドリアマイ
シン、5-フルオロウラシル、エトポシド、カンプトテシン、アクチノマイシン-
D、マイトマイシンC、または、より好ましくは、シスプラチンのようなDNA損
傷化合物を含む。DNA損傷剤は、上記のように、それとp53発現ベクターとを組み
合わせることにより、組み合わされた療法学的組成物またはキットとして、調製
され、そして使用され得る。
ポリヌクレオチド(特に、DNA)を直接架橋する薬剤は、共同的な抗腫瘍性の
組み合わせを導くDNA損傷を生じることが認識され、そして本明細書中で示され
る。シスプラチンのような薬剤および他のDNAアルキル化剤が使用され得る。シ
スプラチンは、全3過程の間、3週間当たりに、5日間で20mg/m2の、臨床学的
適用において使用される効力のある投与量で、癌を処置するために広範に使用さ
れている。シスプラチンは経口的に吸収されず、そしてそれゆえ、静脈内、皮下
、腫瘍内、または腹腔内注入により送達されなければならない。
DNAを損傷する薬剤はまた、DNA複製、有糸分裂、および染色体分離を干渉する
化合物を包含する。このような化学療法的化合物は、アドリアマイシン(ドキソ
ルビシンとしても知られる)、エトポシド、ベラパミル、ポドフィロトキシン(
podophyllotoxin)などを包含する。新生物の処置のための臨床学的設定におい
て広範に使用されるように、これらの化合物は、アドリアマイシンについては21
日間隔で25〜75mg/m2の範囲の投与量でボーラス注入により静脈内に投与され、
エトポシドについては35〜50mg/m2の範囲の投与量で静脈内にまたは静脈投与量
の2倍量が経口的に投与される。
ポリヌクレオチド前駆体およびサブユニットの合成および忠実度を中断する薬
剤はまた、DNA損傷を導く。このような多数のポリヌクレオチド前駆体が開発さ
れている。特に有用なものは広範な試験を受け、そして容易に入手され得る薬剤
である。このように、5-フルオロウラシル(5-FU)のような薬剤は、新生物組織
により好適に使用され、この薬剤を新生物細胞を標的化するために特に有用にす
る。非常に毒性であるが、5-FUは、広範なキャリア(局所を含む)で適用可能で
あるが、しかし、局所を含む静脈内投与が3〜15mg/kg/日の範囲の投与量で通常
使用される。
DNA損傷を引き起こし、そして広範に使用されている他の因子は、γ線、X線
として通常知られているもの、および/または腫瘍細胞に指向される放射性同位
体の送達を包含する。マイクロ波およびUV照射ようなDNA損傷因子の他の形態が
また意図される。すべてのこれらの因子は、DNAの前駆体、DNAの複製および修復
、ならびに染色体の集合および維持に対して、広範囲の損傷DNAをもたらすよう
である。X線の線量範囲は、長い期間(3〜4週間)についての50〜200レント
ゲンの当たり日の線量から、2000〜6000レントゲンの単回線量である。放射性同
位体についての線量範囲は広く変化し、そして同位体の半減期、励起された放射
線の強さおよびタイプ、ならびに新生物細胞による取り込みに依存する。
当業者は、「Remington's Pharmaceutical Sciences」第15版、第33章、特に6
24〜652頁に関心を向ける。用量におけるいくつかのバリエーションが、処置さ
れる被験体の症状に依存して必ず生じる。投与を担う人は、すべての事象におい
て、個々の被験体に適切な用量を決定する。さらに、ヒトへの投与については、
調製物は、FDA当局の生物学的基準により必要とされる滅菌性、発熱性、一般安
全性および純度基準を満たすべきである。
本発明者らは、p53発現ベクターのp53関連癌を保有する患者への局所的送達は
、臨床学的疾患を打ち消すために療法有効な遺伝子を送達するための非常に効果
的な方法であることを示唆する。同様に、化学療法または放射線療法は、被験体
の身体の特定の影響を受けた領域に関するものであり得る。あるいは、p53発現
構築物またはDNA損傷剤の全身性送達は、特定の情況、例えば、広範囲の移入が
生じている場合において適切であり得る。
サイトカイン療法はまた、療法レジメと組み合わせるのに効果的なパートナー
であることが証明されている。種々のサイトカインは、このような組合せアプロ
ーチで使用され得る。サイトカインの例としては、IL-1α、IL-1β、IL-2、IL-3
、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12、IL-13、TGF-β
、GM-CSF、M-CSF、G-CSF、TFNα、TNFβ、LAF、TCGF、BCGF、TRF、BAF、BDG、MP
、LIF、OSM、TMF、PDGF、IFN-α、IFN-β、IFN-γが挙げられる。サイトカイン
は、
下記のように、一貫した臨床指標(例えば、患者の状態およびサイトカインの相
対的毒性)である標準レジメに従って投与される。
p53標的化療法と化学療法、放射線療法およびサイトカイン療法との組み合わ
せに加えて、他の遺伝子療法との組み合わせが有利であることもまた意図される
。例えば、K-rasおよびp53変異体を同時に標的化することで、抗癌処置が改善さ
れ得る。任意の他の腫瘍関連遺伝子は、予想では、この様式(例えば、p21、p16
、p27、E2F、Dpファミリー遺伝子、Rb、APC、DCC、NF-1、NF-2、WT-1、MEN-1、M
EN-II、BRCA1、VHL、FCC、MCC、他のras分子、myc、neu、raf、erb、src、fms、
jun、trk、ret、gsp、hst、bcl、およびabl)で標的化され得る。また、抗体が
任意の外来分子と結合する単鎖抗体構築物の使用を包含するか、または上記に列
挙したサイトカインの1つ以上をコードする遺伝子との組合せにおける、抗体に
基づく遺伝子療法処置と、p53療法との組合せが所望され得る。また、アポトー
シスの過程に関連する他の遺伝子(例えば、アデノウイルスE1A、Bax、Bcl-Xs等
)とp53を組み合わせることが有利であり得る。
F.キット
腫瘍細胞の増殖を阻害するために必要とされる全ての必須な物質および試薬は
、キット内で一緒に組み立てられ得る。これは、一般に、選択されたアデノウイ
ルス発現ベクターを含む。発現ベクターの複製のための種々の培地およびこのよ
うな複製のための宿主細胞もまた含まれ得る。このようなキットは、個々の試薬
それぞれのための別個のコンテナを含み得る。
キットの成分が1つ以上の液体溶液中で提供される場合、液体溶液は、好まし
くは水溶液であり、滅菌水溶液が特に好ましい。インビボでの使用のために、発
現ベクターは、薬学的に受容可能な注射可能な組成物中に処方され得る。この場
合、コンテナ手段は、それ自体が、吸入器、シリンジ、ピペット、点眼器、ある
いは処方物が身体の感染領域(例えば、肺)に適用され得るか、動物内に注射さ
れ得るか、またはキットの他の成分に適用および混合すらされ得る他のこのよう
な同様の装置であり得る。
キットの成分はまた、乾燥形態または凍結乾燥形態で提供され得る。試薬また
は成分が乾燥形態で提供される場合、再構成は、一般に適切な溶媒の添加による
。溶媒がまた、別のコンテナ手段で提供され得ることが予見される。
本発明のキットはまた、代表的に、例えば、所望のバイアルが保持される注入
または吹込み形成のプラスチックコンテナのような、市販のために密閉したバイ
アルを含むための手段を含む。コンテナの数または型とは無関係に、本発明のキ
ットはまた、動物の体内での最終的な複合組成物の注入/投与または配置を補助
するための器具を含み得るか、またはそれとともに詰め込まれ得る。このような
器具は、吸入器、シリンジ、ピペット、鉗子、計量スプーン、点眼器、または任
意のこのような医学的に認められる送達ビヒクルであり得る。
G.顕微鏡的腫瘍播種および残存疾患のための動物モデル
本発明の別の局面は、顕微鏡的残存ガンの分析および体腔の顕微鏡的播種のた
めの動物モデルの改善を包含する。本明細書中で用いられる「ガン」は、単一の
細胞または多細胞の腫瘍塊をいい得る。顕微鏡的疾患において、「腫瘍」は、裸
眼では観察し得ない1個または数個のガン細胞からなる。
本明細書中に記載の動物モデルは、以下を模倣して特に有利である:(i)頭
部および頸部ガン患者の術後の環境(特に、疾患の進行した状態)、および(ii
)罹患した被験体の体腔(ここで、顕微鏡的ガンは定着している)。他の動物モ
デルに類似したガンのためのこのモデルは、動物に接種した腫瘍細胞に由来する
。しかし、区別は、天然体腔または腫瘍塊の切除によって作られた術後の体腔の
生理的等価物である皮下の嚢の作製にある。
本発明は、モデル生物としてのヌードマウスを例示する。しかし、実質的には
、任意の動物が本発明に従って用いられるために使用され得る。特に好ましい動
物は、研究室プロトコルで通常用いられている小動物である。さらに好ましい動
物は、マウス、ラット、モルモット、およびハムスターのような齧歯類である。
ウサギもまた、好ましい種である。動物を選ぶ診断基準は、研究者の個人の好み
に大きく依存している。
第一工程は、実験動物に腫瘍弁を作製することである。用語「腫瘍弁」は、標
的組織を露出する、動物の肉の任意の切開を意味する。切開は、動物の背部側腹
(これは、容易に評価可能な部位に相当する)に作製するのが、一般的に好まし
い。しかし、切開は、動物の他の部分によく作製され得ると理解されており、そ
して組織部位の選択は、研究されている特定の型の療法のような種々の要因に依
存し得る。
一旦標的組織部位が露出されると、ガン細胞(個々のまたは顕微鏡的腫瘍のい
ずれか)は、組織部位に接触する。ガン細胞を組織部位に播種する最も簡便な様
式は、細胞を含む組織培養培地の懸濁液を露出した組織に塗布することである。
ガン細胞塗布は、無菌ピペットまたは任意の他の簡便なアプリケーターを用いて
簡単に達成し得る。当然、この手順は、無菌条件下で行われる。
一つの実施態様において、2.5×106のSCCHN細胞は、ヌードマウスの露出した
組織弁に接種される。当業者は、所定の目的のために、適切な細胞の数を、迅速
に決定し得る。細胞の数は、種々の要因(例えば、動物の大きさ、切開の部位、
腫瘍細胞自身の複製能力、腫瘍増殖に意図した時間、試験するべき潜在的な抗腫
瘍療法、など)に依存している。任意の特定の型の腫瘍のための至適モデル系を
確立するには、投与された細胞の数を一定に調節する必要があり得るにもかかわ
らず、過度の実験量には決して相当しない。動物試験の業者は、このような至適
化が要求されることを認識している。
これは、例えば、異なる数の細胞が動物に送達され、そして組織弁の再密封後
に細胞増殖をモニタリングするという予備研究を行うことによって達成され得る
。当然、大多数の細胞の投与により、顕微鏡的残存腫瘍細胞のより大きな集合が
生じる。
本研究では、弁は、マットレス縫合を用いて効果的に密封された。しかし、当
業者らは、意図される個々の使用に依存して、切開を閉じるのに通常用いる任意
の種々の方法(例えば、接着剤、クランプ、一針縫合、縫合等の使用)を用い得
ることが想定される。
H. 実施例
以下の実施例は、ある特定の実施態様を例示するために単に提供され、そして
どのようにも本発明の範囲を限定するものと考慮されるべきではない。実施例1
組換えアデノウイルスを介した野生型p53遺伝子の導入によるヒト頭部および
頸部ガン細胞の増殖抑制
材料および方法
細胞株および培養条件。ヒトSCCHN細胞株Tu-138およびTu-177の両方は、Depar
tment of Head and Neck Surgery,M.D.Anderson Cancer Centerで樹立された。T
u-138およびTu-177は、歯肉唇側の中程度に分化した扁平上皮ガンおよび不十分
に分化した咽頭の扁平上皮ガンからそれぞれ樹立された。両方の細胞株は、一次
外植片技術(primary explant technique)を介して発達され、そしてそれらは
無胸腺ヌードマウスおよびSCIDマウスにおいてサイトケラチン陽性および腫瘍形
成性であった。これらの細胞を、ペニシリン/ストレプトマイシンを有する10%
熱不活化ウシ胎児血清(FBS)を補充したDMEM/F12培地において増殖させた。
組換えアデノウイルスの調製および感染。組換えp53アデノウイルス(Ad5CMV-
p53)(Zhangら、1994)は、改変された5型アデノウイルス(Ad5)のE1欠損領
域へ挿入されたミニ遺伝子カセット内に、サイトメガロウイルス(CMV)プロモ
ーター、野生型p53cDNA、およびSV40ポリアデニル化シグナルを含む。ウイルス
のストックを、293細胞において増殖させた。細胞を、感染後36〜40時間で回収
し、ペレット化し、リン酸緩衝化された生理食塩水中に再懸濁し、溶解し、そし
て細胞片をCsCl勾配精製に供することより除去した。濃縮したウイルスを、透析
し、等分し、そして-80℃で保存した。DMEM/F12培地中のウイルスおよび2%FBS
の細胞の単分子層への添加により感染を行い、細胞を一定の撹拌を伴って、37℃
で60分間インキュベートし、次いで完全培地(DMEM/F12/10% FBS)を添加し、
そして細胞を所望の長さの時間で37℃でインキュベートした。
ノーザンブロット分析。全RNAを、酸−グアニジニウムチオシアネート法(Cho
mczynskiおよびSacchi、1987)により単離した。ノーザン分析を、全RNA20μgに
対して実施した。メンブレンを、5×SSC/5×Denhardt's溶液/0.5%SDS/変
性サケ精子DNA(20μg/ml)中で、ランダムプライマー法により標識したp53 cDN
Aプローブを用いてハイブリダイズした。また、メンブレンを剥がし、そしてRNA
ローディングコントロールのためにGAPDH cDNAで再プローブした。発現された
p53の相対量を、デンシトメーター(Molecular Dynamics Inc.,Sunnyvale,CA)
により決定した。
ウエスタンブロット分析。全細胞溶解液を、感染24時間後の細胞をRIPA緩衝液
(150mM NaCl、1.0% NP-40、0.5% DOC、0.1% SDS、50mM Tris、pH8.0)中で
5秒間、超音波処理することにより調製した。サンプル由来の50μgのタンパク
質を、10%SDS-PAGEに供し、そしてHybond-ECLメンブレン(Amersham)に移した
。膜を、Blotto/Tween(リン酸緩衝化された生理食塩水中に5%脱脂粉乳、0.2
%Tween20、0.02%アジ化ナトリウム)でブロックし、一次抗体(マウス抗ヒトp
53モノクローナル抗体PAb1801、およびマウス抗ヒトβアクチンモノクローナル
抗体(Amersham))および二次抗体(西洋ワサビペルオキシダーゼ結合ヤギ抗マ
ウスIgG(Boehringer Mannheim、Indianapolis,IN))でプローブした。メンブ
レンを、製造業者が示唆するように処理し、そして発色させた。
免疫組織化学的分析。感染した細胞の単層を、3.8%ホルマリンで固定し、そ
してメタノール中で5分間、3%H2O2で処理した。免疫組織化学的染色を、Vect
astain Eliteキット(Vector,Burlingame,CA)を使用することにより実施した。
使用した一次抗体は抗p53抗体PAb1801であり、そして二次抗体はアビジン標識抗
マウスIgG(Vector)であった。ビオチン処理した西洋ワサビペルオキシダーゼA
BC複合体試薬を使用して、抗原−抗体複合体を検出した。各免疫染色実験におい
て、事前吸着コントロールを使用した。次いで、細胞を、Harrisヘマトキシリン
(Sigma Chemical Co.,St.Louis,MO)を用いて対比染色した。
細胞増殖アッセイ。細胞を、6ウェルプレート中に2×104細胞/mlの密度で3
連でプレートした。細胞を、野生型(Ad5CMV-p53)またはコントロールとして複
製欠損アデノウイルスのいずれかで感染させた。細胞を2日ごとに回収し、計数
し、そしてそれらの生存度をトリパンブルー排除により測定した。
インビボでの腫瘍成長阻害。樹立された皮下の腫結節(tumor nodule)におけ
るAd5CMV-p53の効果を、ヌードマウスにおいて、病原体のない規定された環境に
おいて決定した。実験は、施設の委員会により動物の保護および利用についてな
らびに組換えDNA研究についてレビューされ、そして承認された。簡単に述べれ
ば、アセトプロマジン/ケタミン麻酔の導入後、3つの別々の皮下の組織弁を
各動物上に持ち上げ(elevated)、そして150mlの完全培地中の5×106細胞を先
の丸い(blunt)針を用いて各組織弁に皮下注射した;細胞を、ポケット内で水
平なさし縫い縫合で維持した。4匹の動物を、各細胞株について使用した。4日
後に、動物を再麻酔し、組織弁を、100mlの1)右前側の組織弁にAd5CMV-p53(5
0MOI);2)右後側の組織弁に複製欠損ウイルス(50MOI);そして3)左後側
側面に輸送培地のみ、の送達のために再度持ち上げた。処置が施される前は、全
ての注射部位は皮下の可視かつ明白な発達した結節を有した。動物を、毎日観察
し、20日目に屠殺にした。インビボでの腫瘍体積を、生成物の横断面の直径の平
方根として計算した平均腫瘍直径を有する球形を仮定することにより計算した。
屠殺の後に、切除した腫瘍を、腫瘍の体積を測定するためのマイクロキャリパー
により三次元的に測定した。非パラメトリックFriedman's 2-way ANOVA試験を使
用して、サンプルの平均の間の有為な差異を試験した;SPSS/PC+ソフトウェア
パッケージ(SPSS Inc.,Chicago,II)を使用した。
結果
SCCHN細胞のアデノウイルス感染。Tu-138およびTu-177細胞の最適なアデノウ
イルス形質導入についての条件を、E.coli β-gal遺伝子を発現するアデノウイ
ルスを用いてこれらの細胞を感染することにより決定した。形質導入効率を、X-
gal染色後のブルー細胞の数を計数することにより評価した。感染された細胞の
数と用いたアデノウイルス粒子の数との間に直線的な関係がみられた。100MOIの
β-galアデノウイルスの単回用量を用いて接種した細胞は、60%のブルー細胞を
示し(図1)、そしてこれは複数の感染により100%まで改良された。SCCHN細胞
におけるこのベクターの形質導入効率は、以前に試験された他の細胞株とは全く
異なった:HeLa、HepG2、LM2、およびヒト非小細胞肺ガン細胞株は、30〜50MOI
のβ-galアデノウイルスを伴うインキュベーションの後に97%〜100%の感染効
率を示した(Zhangら、1994)。
アデノウイルスに感染したSCCHN細胞における外因性p53 mRNAの発現。この研
究について、2つのヒトSCCHN細胞株を選択した:Tu-138およびTu-177の両細胞
株は、変異したp53遺伝子を有する。最近作製された組換え野生型p53アデノウイ
ルス(Ad5CMV-p53)を使用して、Tu-138およびTu-177細胞を感染した。感染の24
時間後に、全RNAを単離し、そしてノーザンブロット分析を行った。その高レベ
ルなp53遺伝子産物の発現のために、形質転換された原発性ヒト胎児腎臓細胞株2
93をポジティブコントロールとして使用する一方で、K562(p53遺伝子のホモ接
合型の欠失を有するリンパ芽球腫細胞株)を、ネガティブコントロールとして使
用した。モック感染された細胞からおよび複製欠損アデノウイルス(dl312)を
用いて感染させた細胞から単離したサンプル中に検出された2.8-kb内因性p-53 m
RNAのレベルは類似した。10倍までのより高レベルな外因性1.9-Kb p53 mRNAが、
Ad5CMV-p53を用いて感染させた細胞において存在した。これは、外因性p53 cDNA
が、これらの細胞に首尾良く形質導入され、効率的に転写されたことを示す。興
味深いことに、これらの細胞における内因性p53 mRNAのレベルは、実験のコント
ロールにおけるよりも5倍高かった。ノーザンブロットは、Ad5CMV-p53(DNA)
のRNAの混入の証拠を示さなかった。
アデノウイルスに感染したSCCHN細胞におけるp53タンパク質の発現。ウエスタ
ンブロット分析を行って、産生されたp53タンパク質の量とp53 mRNAのレベルを
比較した。単一特異性抗p53抗体(PAb1801)により認識されるp53のバンドが、K
562細胞を除く全てのサンプルから単離した細胞抽出物中において観察された。
細胞株293は、高レベルのp53タンパク質を示した。モック感染されたTu-138およ
びTu-177細胞から単離したサンプルは、低レベルのp53タンパク質を示した。p53
発現のレベルは、dl312アデノウイルスを用いて感染させたそれらの細胞におい
て同様のままであった。Ad5CMV-p53に感染された細胞において検出されたp53抗
原のレベルは、両方の細胞株において内因性の変異したタンパク質のレベルより
も有意に大きかった。この結果は、Ad5CMV-p53を用いて感染された細胞から産生
された外因性p53 mRNAが、免疫反応性のp53タンパク質に効率的に翻訳されたこ
とを示す。さらに、Ad5CMV-p53を用いて感染された細胞の免疫組織化学的分析は
、p53タンパク質の特徴的な核染色を明らかにしたが、一方、モック感染された
細胞はこれらの細胞においてp53タンパク質の存在にも関わらず、類似の染色を
示さない。このタンパク質の検出の不能は、アッセイの非感受性に起因し得る。
インビトロでのSCCHN細胞増殖における外因性p53の効果。コントロールウイ
ルスdl312を用いて感染させた細胞は、モック感染された細胞の増殖速度と類似
の増殖速度を有する(図2Aおよび2B)。それに対して、Ad5CMV-p53に感染したtu
-138(図2A)およびTu-177(図2B)の増殖は、非常に抑制された。感染の24時間
後に細胞集団の一部が集合し、そしてそれらの外膜がブレブを形成することを伴
って、明白な形態の変化が生じた。プログラムされた細胞死を構成する一連の組
織学的に予測可能な事象の一部が存在する。この効果は、Tu-177細胞よりもTu-1
38についてより顕著であった。複製欠損アデノウイルス(dl312)を用いて感染
された細胞は、組織形態学的な異常性を伴わずに正常な増殖特性を示した。増殖
アッセイは、4回の反復実験において再現性であった。
インビボの腫瘍増殖阻害。4匹の動物を、それぞれの細胞株について試験した
。Tu-177群の一匹の動物は、二次組織弁手術および治療的処置の送達の後に死亡
した。これは、おそらく深い麻酔およびその次のケージの仲間による手足の切断
(mutilation)に起因する。剖検は、転移または全身作用の証拠が無いことを明
らかにした。かなり大きな腫瘍が、動物の両方の後側組織弁(即ち、Ad5CMV-p53
を受けていない部位)で明白であった。ガンの進行の欠如は、動物の右前側のに
おいて有為であり(p<.04)、この動物はAd4CMV-p53を受けていた。そのTu-177
細胞は、これらの動物において以前に樹立されていたものより、より遅い増殖速
度を有していた。Tu-138群の2匹の動物を、早期に屠殺した。なぜなら、それら
は、急速な増殖およびコントロール腫瘍部位の潰瘍形成を経験していたからであ
る。全ての手術部位は、処置前に少なくとも9mm3の病変を発達させた。剖検の
腫瘍体積を、表4に示す。体積の差異は、限定されたサンプルサイズの反映であ
り得るTu-177群において統計学的に有意ではなかった。 a細胞を5×106細胞/組織弁で皮下注射した。腫瘍サイズは、処置の20日後に決
定した。括弧内の数は、評価した動物の数を示す。bAd5CMV-p53をp53に省略した
;Ad5(dl312)の省略としてdl312。
実施例2
顕微鏡的残存頭部および頸部扁平上皮ガンに対するp53アデノウイルスを用い
たインビボの分子的治療
材料および方法
細胞株および培養条件。ヒトSCCHN細胞株Tu-138、Tu-177、MDA 686-LN、およ
びMDA 886は、全て樹立され以前に特徴づけられている(Claymanら,1993;Sack
sら、1988)。これらの細胞を、10%熱不活化ウシ胎児血清(FBS)およびペニシ
リン/ストレプトマイシンを補充したDulbecco's改変Eagle's培地(DMEM/F12)
において増殖させた。
組換えアデノウイルスの調製および感染;細胞増殖アッセイ:ウエスタンブロ
ット分析。全ての手順は、以前に実施例1において記載されている。細胞増殖ア
ッセイを全て3連で実施した。
βガラクトシダーゼアデノウイルスを用いるインビボ形質導入。組織標本のX-
gal染色をO.C.T.凍結組織切片で実施し、形質導入効率を決定した。8μm厚の標
本を冷PBSで洗浄し、そして室温で5分間、0.5%グルタルアルデヒド中で固定し
た。次いで、スライドを4℃のPBSを用いて2回洗浄し、X-gal溶液(DMF中に、1
.3mM MgCl2;15mM,NaCl:44mM Hepes 緩衝液(pH7.4);3mM フェリシアン化カリウ
ム;3mMフェロシアン化カリウム;2% X-gal)中で4時間インキュベートした。ス
ライドを、ヘマトキシリンおよびエオシンを用いて対比染色した。
免疫組織化学的分析。ホルマリン固定し、パラフィン包埋したインビボの動物
実験組織を、4〜5μmに切断し、60℃で乾燥し、パラフィンを除き(deparaff
inized)、そして蒸留水を用いて水和させた。次いで切片を、蒸留水中で0.5%
サポニンを用いて処理し、そして数回蒸留水を交換してリンスした;内因性ペル
オキシダーゼ活性を、メタノール中で3%過酸化水素を用いてブロックし、次に
数回蒸留水を交換してリンスした。振動数2450MHz、700ワットに操作したSharp
Model R9H81電子レンジを用いて、蒸留水中で3分間、切片に、マイクロ波を照
射した。冷却後、切片を数回蒸留水を換えて洗浄し、PBS中に置いた;免疫化学
的研究を、以下の様式におけるHsuら、(1981)のアビジン−ビオチン−ペルオキ
シダーゼ複合体(ABC)法を用いて実施した:切片を、正常ウマ血清を用いてブ
ロックし、ウサギ抗ヒトp53ポリクローナル抗体、クローンOM-1(1:80)(Signet
Laboratories,Denham,MA)を用いて、4℃で一晩インキュベートした。次いで、
抗ウサギIgG Eliteキット(Vector Laboratories,Burlingame,CA)を使用して、
ビオチン化抗ウサギIgGおよびABC複合体(それぞれ45分間インキュベートした)
に適用した。免疫染色反応を、0.01%過酸化水素(pH7.6)を含むPBS中で0.5%D
ABを用いることにより可視化し、0.01%トルイジンブルーを用いて対比染色し、
脱水し、明澄化し、Permount中に取り付けた。免疫染色反応の特異性を検
証するために、試験サンプル、扁平上皮ガン細胞株の組織培養物の公知のポジテ
ィブサイトスピン(cytospin)、ならびにネガティブウサギモノクローナル抗体
コントロールと同じ方法を用いて、免疫ペルオキシダーゼ染色を実施した。
インビボでの腫瘍増殖阻害。この手順を、実施例1に記載されているように実
施した。全ての手術部位を、病理学的に、ならびに全身毒性についての剖検分析
により評価した。
結果
インビトロでのSCCHN細胞増殖における外因性p53の効果。実施例1は、内因的
に変異されたp53を有するSCCHN細胞株におけるAd5CMV-p53によるインビトロでの
細胞増殖の阻害を記載した。本実施例は、内因性の野生型p53を有するSCCHN細胞
株が同様に影響されるか否かを決定する。非悪性線維芽細胞でのAd5CMV-p53の効
果をまた、研究する。
4つのヒトSCCHN細胞株を、この研究のために選択した:Tu-138およびTu-177
は、変異されたp53遺伝子を有し、それに対してMDA 686-LNおよび886の両方は、
野生型p53遺伝子のホモ接合体である。正常な線維芽細胞増殖由来の線維芽細胞
株(それは、核型的に(karyotypically)正常であり、そして非腫瘍形成性であ
る)を、非悪性のコントロール細胞株として使用した。コントロールウイルス(
dl312)を用いて感染させた細胞は、モック感染された細胞の増殖速度と同様の
増殖速度を有し、それに対してAd5CMV-p53を用いて感染させた腫瘍細胞の増殖は
、有意に抑制された(図3A、図3B、図3C、および図3D)。感染の24時間〜48時間
後、全腫瘍細胞において、明白な形態の変化が生じ、細胞集団の一部が集合し、
そしてそれらの外膜がブレブを形成した。これらは、プログラムされた細胞死を
構成する一連の組織学的に予測可能な事象の一部である。効果は、野生型p53を
有する細胞よりも内因性の変異されたp53を有する細胞においてより早期に生じ
た。複製欠損アデノウイルスdl312を用いて感染させた細胞は、組織形態学的な
異常性を伴わずに正常な増殖特性を表した。増殖アッセイは、4回の反復実験に
おいて再現性であった。
アデノウイルスで感染させた正常線維芽細胞における外因性p53タンパク質
の発現および増殖速度に対するその効果。さらに、核型的に正常かつ非腫瘍形成
性の線維芽細胞株に対するAd5CMV-p53の効果をまた研究した。これらの細胞を、
原発性腫瘍細胞株の樹立の間に単離した。感染の24時間後に、ウエスタンブロッ
ト分析を実施し、異なる感染された細胞型により産生されたタンパク質のレベル
を比較した。単一特異性抗p53抗体(PAb1801)により認識されるp53のバンドを
、Ad5CMVp-53を用いて感染させた全てのサンプルから単離した細胞抽出物中にお
いて観察した。実施例1においてそうであったように、p53アデノウイルスを用
いて感染させた細胞株Tu-138は、形質導入後に高レベルのp53タンパク質を示し
、そしてコントロールとして作用した。p53の発現レベルは、モック感染された
細胞およびdl312に感染された細胞の両方において同様なままであった。Ad5CMV-
p53に感染された線維芽細胞は、コントロール細胞のp53タンパク質レベルよりも
高いp53タンパク質レベルを示す。この結果は、免疫反応性のp53タンパク質の産
生により証明されるように、p53遺伝子がAd5CMV-p53を用いて感染された正常な
線維芽細胞内へ効率的に翻訳されることを示す。タンパク質の発現およびAd5CMV
-p53に感染された線維芽細胞のサイトスピンの形質導入効率を、免疫組織化学的
分析により検証した。この線維芽細胞株は、介入(モック、複製欠損ウイルス、
またはAd5CMV-p53)とは無関係に正常な増殖速度および形態を示した(図4)。
これらの実験を二回反復し、他の正常なヒト線維芽細胞株においても検証した。
インビトロでの形質導入効率。インビボでの遺伝子移入の効率を測定するため
に、皮下の組織弁部位を、分子的またはコントロール介入の72時間後に切除した
。アデノウイルスβガラクトシダーゼ標識ベクターを用いる用量応答の実験は、
このモデルにおいて用量応答の形質導入効率を示す。これは、Ad5CMV-p53を用い
る感染の4日後に免疫組織化学的分析を用いて確認した。実験の両群は、前にイ
ンビトロで記載された(実施例1)インビボの用量応答を示した。1010PFUを超
えるウイルス用量が、他の器官系(脳、肝臓、肺、心臓、腹部の内臓器官、およ
び皮膚を含む)におけるp53の発現に影響した実例は無かった。これらの実験は
、ウイルス力価と形質導入効率との間の用量応答関係、ならびに所望の手術モデ
ル分野の範囲内で形質導入された遺伝子の広範な一過性の発現を達成する可能性
を例証した。
インビボでの腫瘍増殖抑制。インビボのAd5CMV-p53媒介遺伝子移入が皮下の組
織弁に移植されたSCCHN細胞の樹立または増殖に影響を与えるか否か決定するた
めに、研究を設計した。この目的を達成するために、顕微鏡的残存疾患モデルを
作製した。このモデルでは、3つの皮下の組織弁を、無胸腺雌性ヌードマウス上
に持ち上げ、そして2.5×106個の腫瘍細胞をピペッティングにより播種した。腫
瘍細胞が結節を形成させる(一般的に4日以内に生じる)代わりの、腫瘍細胞播
種の48時間後に分子的介入の単回用量。この様式では、大きな(gross)腫瘍は
存在しなかったが、全ての大きな腫瘍の手術的除去の臨床的ジレンマを模倣する
(mimicking)顕微鏡的腫瘍細胞が手術部位内に存在した。腫瘍の発達は、腫瘍
細胞の数、移植にあてた時間、およびAd5CMV-p53の用量に直接的に関連した。顕
微鏡的に移植された腫瘍細胞(2.5×106)を受け、そして108またはより大きい
プラーク形成単位(PFU)でAd5CMV-p53を用いて処置されたマウスのうち、2匹
のみが腫瘍を発達させ、その両方は、野生型p53細胞株(MDA 886-LN)を移植さ
れていた。全ての他の細胞株は、腫瘍発達の欠如を示した(表5)。これらの実
験は、Ad5CMV-p53に曝した場合に顕微鏡的腫瘍細胞の増殖が、インビボで効果的
に抑制され得ることを明確に示した。腫瘍形成を、手術部位の粗大および組織分
析により12週間の終わりに(過剰な腫瘍荷重の情況ではより早期の動物屠殺)評
価した。腫瘍樹立のデータを、表5に要約する。
免疫組織化学的分析を、実験動物の腫瘍切片で実施した。この細胞株は、野生
型内因性p53遺伝子を有する。MDA 686-LN(モック感染)の生存可能な腫瘍を用
いて、有意な基礎免疫染色の欠如が存在した。107PFUのAd5CMV-p53は、腫瘍のよ
り中央部において免疫染色で末梢性の腫瘍壊死を示した。108PFUのAd5CMV-p53は
、タンパク質を発現している複数の層(支質および表層性の筋肉層を含む)を有
する手術ポケット全体において見出された免疫染色を用いて腫瘍の全ての壊死を
示す。109PFUのAd5CMV-p53は、108PFUのAd5CMV-p53と同様の結果を示すが、しか
し手術部位および浮腫の全体にわたって増加した外因性p53発現が顕著である。
動物(これは、それ自体の内部標準として作用する)を用いて、4.0×106また
はそれ以上の細胞の移植は、接種の48時間後にAd5CMV-p53を用いて手術部位を処
置した場合でさえ、2.5×106細胞(P<0.01)の腫瘍移植と比較して、皮下の移
植の樹立を有意に増加させた。移植された細胞がAd5CMV-p53介入前の72〜96時間
に樹立することを可能にすることは、腫瘍の生着を同様に増加させた。用量応答
実験は、108および109PFUのAd5CMV-p53が、2.5×106細胞を48時間移植された腫
瘍荷重を阻害するのと等しく効果的であったことを樹立した(図6)。移植され
た腫瘍細胞株(ホモ接合体変異p53または野生型p53のいずれか)の内因性p53の
状態は、腫瘍発達の中止におけるAd5CMV-p53の効果にほとんど影響を有さない。実施例3
頭部および頸部の扁平上皮ガンにおける、野生型p53アデノウイルス遺伝子移
入によって媒介されるアポトーシス誘導
材料および方法
細胞株および培養条件;組換えアデノウイルス調製および感染。実施例1およ
び2において先に記載されたように、全ての手順を実行し、そして細胞株を維持
した。
DNAフラグメント化分析。野生型p53アデノウイルスならびに複製欠損アデノウ
イルスコントロールと共に様々な時間間隔でインキュベートした後、細胞を採取
し、3mlの抽出緩衝液(10mMトリス、pH8.0、0.1M EDTA、20μg/ml RNAse、0.5
% SDS)を添加した300μlのPBS中に再懸濁し、そして37℃で1〜2時間インキ
ュベートした。インキュベーションの最後に、プロテイナーゼKを100μg/mlの最
終濃度まで添加し、そして溶液を50℃の水浴中に少なくとも3時間置いた。DNA
を、等容量の0.5MTris(pH8.0)で飽和したフェノールで抽出し、次いで抽出を
、フェノール/クロロホルムで繰り返した。沈澱したDNAを、1%アガロースゲル
で分析した。
細胞固定。TUNEL法のために、細胞を、氷上で30分間、PBS(pH7.4)中1%ホ
ルムアルデヒド中で固定した。次いで、細胞を3mlのPBSで洗浄し、70%氷冷エ
タノール中に再懸濁し、そして使用されるまで-20℃で貯蔵した。細胞サイクル
分析のために、細胞を70%氷冷エタノールのみの中で固定した。
ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼアッセイ。アッセイを
、Gorczycaらの手順(Gorczycaら,1993)に従って実行した。簡潔には、固定お
よび洗浄の後、細胞を、以下のものを含む50μlのTdT緩衝溶液中で再懸濁した:
0.2Mカコジル酸ナトリウム(pH7.0)、2.5mM Tris-HCl,2.5mM CoCl2(Sigma Ch
emical Company,St.Louis,MO)、0.1mM DTT(Sigma Chemical Company)、0.
25mg/ml BSA(Sigma Chemical Company)、5単位のターミナルトランスフェラ
ーゼ(Boehringer Mannheim Biochemicals,Indianapolis,IN)、および0.5nmo
lのビオチン-16-dUTP、ならびに20μMの濃度のdATP、dGTP、およびdCTP。d-UTP
を有さない各試験サンプルの別々のアリコートをインキュベートすることによ
り、コントロールを調製した。細胞を、37℃で30分間、溶液中でインキュベート
し、PBS中でリンスし、そして以下を含む100μlの染色溶液(FITC)中に再懸濁
した:4×SSC、0.1% Triton X-100、および2.5μg/mlの蛍光化アビジン(Vect
or Labs.Inc.,Burlingame,CA)。チューブを、暗所中、室温で30分間インキ
ュベートした。細胞を、0.1% Triton X-100を有するPBS中でリンスし、そして
ヨウ化プロピジウム(5μg/ml)および70μl(1mg/ml)RNAseを含む0.5ml PBS
に再懸濁した。フローサイトメトリー分析に先立って、暗所中、氷上で30分間チ
ューブをインキュベートした。
フローサイトメトリー分析。全てのサンプルを、標準的な光学的配置(optica
l configuration)でEPICS Profile II フローサイトメーター(Coulter Corp.,
Hialeah,FL)を使用して、分析した。少なくとも5,000事象を各サンプルにつ
いて収集した。TdT末端標識についての陽性を、Eliteワークステーションソフト
ウェア(Coulter Corp.,Hialeah,FL)のimmuno-4プログラムを使用する試験ヒ
ストグラムから、コントロールヒストグラムを減じることにより、決定した。
細胞増殖アッセイ。細胞をプレートし、そして実施例1に記載のように増殖を
モニターした。
アポトーシスについてのインビボ分析。SCCHNの顕微鏡的残存疾患モデルにお
ける遺伝子治療を、上記の実施例2において記載している。
インサイチュ末端標識。先に記載されるように(Wijsmanら,1993)手順を実
行した。簡潔には、パラフィン切片を、5分間ずつ3回キシレン中で脱ろうし、
そして100%、90%、70%、および30%エタノール溶液中に3分間ずつ各スライ
ドを浸すことにより、徐々に水和した。内因性ペルオキシダーゼを、100%メタ
ノール中0.75%H2O2(v/v)の中に20分間スライドを浸すことにより不活性化した
。スライドをPBS中で洗浄した後、切片を、37℃で5分間、0.1N HCl中0.1%ペプ
シン(w/v)(Fisher Scientific,Houston,TX)で消化し、そしてPBS中で広範に
洗浄した。次いで、切片を、以下を含む末端標識カクテルと共に、37℃で1時間
、湿潤したチャンバ内でインキュベートした:ターミナルデオキシヌクレオチジ
ルトランスフェラーゼ0.5単位/μl;ビオチン化されたdUTP、0.06mM;5×tdt緩
衝液、10μl;2回蒸留水を50μlまで。反応を、2回蒸留水中に300mM NaClおよ
び
30mMクエン酸Naを含む緩衝液の中にスライドを浸すことにより、終結させた。ス
ライドをPBS中で洗浄した後、切片を、西洋ワサビペルオキシド結合アビジンと
共に、37℃で1時間、湿潤したチャンバ内でインキュベートした。染色を、3,3'
-ジアミノベンジジンを使用して現像し、そして切片を、メチルグリーンによっ
て対比染色した。
結果
p53アデノウイルスによるSCCHN細胞株の増殖抑制。上記の実施例は、組換えア
デノウイルスベクターにより、野生型p53遺伝子がSCCHN細胞株に効率良く形質導
入され得ることを実証する。結果的に、損傷した腫瘍細胞は、インビトロならび
にインビボで増殖するそれらの能力を失う。抑制効果は、細胞株の内因性p53の
状態から独立している。前増殖速度解析を、1週間の期間を通じて行った。本実
施例は、野生型p53のSCCHN細胞増殖に対する初期効果(すなわち、初期時間間隔
、時間)を調査する。
2つの代表的な細胞株を、本研究において使用した。細胞株Tu-138は、変異型
p53遺伝子を有するが、細胞株MDA 686LNは野生型p53遺伝子を有する。複製欠損
ウイルスdl312に感染した細胞は、モック感染した細胞(図5Aおよび図5B)に
類似の増殖速度を有した。一方、Ad5CMV-p53に感染したTu138(図5A)およびMD
A 686LN(図5B)の細胞増殖は、有意に抑制された。内因性p53タンパク質は、M
DA 686LNに比較して、Tu138のより早くそしてより深い増殖抑制を有するようで
あった。明らかな形態学的変化が観察され、細胞集団の一部は寄せ集まり、そし
て外膜はブレブを形成した。これはアポトーシスに類似し、増殖抑制の開始に付
随して起こった。複製欠損アデノウイルスdl312で感染させた細胞は、組織形態
学的異常を伴わない通常の増殖特徴を実証した。重要なことに、上の実施例2で
詳述されるように、これらの効果は、核型的に正常な線維芽細胞ならびにヒト口
腔ケラチノサイト(不死化されたが非腫瘍原性)のp53アデノウイルス感染に続
いて観察されなかった。
DNAフラグメント化分析。アポトーシスにおける、それを壊死と区別する特徴
的なマーカーの1つは、DNAフラグメントのラダーの生化学的に観察可能な出現
である。細胞がp53アデノウイルス感染に続いてアポトーシスを経験していると
いう考えを確認するために、DNAフラグメント化分析を実行した。複製欠損ウイ
ルス感染または野生型p53アデノウイルス感染に続いて生存可能な細胞から抽出
した染色体DNAを、アガロースゲル電気泳動に供した。約200bpおよびその倍数に
等しいDNAフラグメントの出現を、両細胞株中で注目した。フラグメント化され
たDNAは、Tu-138細胞株におけるp53アデノウイルス感染に次いで22時間で出現し
、一方、MDA 686LN細胞株においては、フラグメント化されたDNAは、野生型p53
アデノウイルス感染に次いで30時間で可視になり、そして48時間でより明らかに
なった。検出可能なフラグメント化されたDNAは、モック感染細胞およびdl-312
感染細胞からは出現しなかった。
インビトロターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼアッセイ。
アポトーシスの別の特徴的マーカーは、形態学的変化、およびクロマチン濃縮を
生じる核の構造組織の破壊である。電子顕微鏡は、そのような超微細構造変化を
検出するために幅広く使用されている。しかし、アポトーシス細胞を同定するた
めの最近のフローサイトメトリー法は、電子顕微鏡に比較して、細胞集団を走査
しそして分析する能力について支持を得ている(Gorczycaら,1993)。発明者は
ここでTUNEL(ターミナルデオキシリボヌクレオチジルトランスフェラーゼ媒介d
UTP-ビオチンニック末端標識)法(Gorczycaら,1993)を採用し、それはアポト
ーシス細胞を同定するための幅広いDNA破損の検出に基づく。p53アデノウイルス
感染に続いて15時間で、生存可能なTu-138細胞集団の4.4%がアポトーシス段階
にあり、対照的にMDA 686LNは全くなかった(図6Aおよび図6B)。観察の期間に
比例して増加したアポトーシス細胞の数はまた、p53アデノウイルスインキュベ
ーションに続いて増加した。ほぼ31%のTu-138細胞が、22時間でアポトーシスを
経験している。アポトーシスの初期誘導において遅延されるが、約60%のMDA 68
6LN細胞が、p53アデノウイルス感染に次いで48時間でアポトーシス段階にあった
。注目すべきことに、Tunel法により決定されたアポトーシス細胞の百分率は、
生存可能な細胞のみが分析に供されたために、有意に少なく見積もられ得る。こ
れらのデータは、増殖率およびDNAフラグメント化分析と良く相関した。モック
感染を使用したコントロール実験ならびに複製欠損ウイルスコントロール(100M
.O.
I.)において、アポトーシスを経験する検出可能な細胞集団は存在しなかった。
従って、アポトーシスは、形質導入されたアデノウイルス遺伝子産物自身の機能
ではなかった。
アポトーシスについてのインビボ分析。上記の実施例は、p53アデノウイルス
がインビボで腫瘍形成を抑制することを示す。この実施例を、インビボでの腫瘍
増殖の抑制がアポトーシスの結果であるか否かを示すために設計した。インサイ
チュ末端標識分析を、実施例2から得られたパラフィン包埋切片におけるアポト
ーシス細胞を検出するために実行した。明らかに、コントロールとしてPBS処置
を受けたMDA 686LN保有動物から単離された組織切片において、染色は観察され
なかった。一方、野生型MDA 686LN保有マウスから単離された組織切片は、高度
に陽性の染色を示し、アポトーシスが真にインビボでの腫瘍増殖の抑制に伴う現
象であることを実証した。
これらの研究の他に発明者は、増殖抑制がある程度誘導されたp21タンパク質
による細胞周期停止のためであるか、あるいは主にアポトーシスの結果であるか
を決定することを探求した。ウェスタンブロッティングは、p21タンパク質が、
野生型p53アデノウイルス感染SCCHN細胞において誘導されることを示した。しか
し、細胞周期分析は、p53アデノウイルス感染細胞におけるp21タンパク質の上昇
したレベルにもかかわらず、S期に比較して、G1期において有意な細胞蓄積が観
察されないことを示した。
実施例4
p53-FLAG:遺伝子治療追跡のための効果的なマーカーによる、頭部および頸部
扁平上皮細胞の増殖抑制
材料および方法。
細胞株および培養条件。組換えアデノウイルス調製および感染;ノーザンブロ
ット分析;ウエスタンブロット分析;細胞増殖アッセイ;免疫組織化学的染色イ
ンビトロ細胞層。実施例1に記載のように、全ての手順を実行し、そして細胞株
を維持した。
p53-FLAGアデノウイルスの生成。p53 cDNA配列を、BamHlでの消化によりpC53
-SNから除去し、そしてpGEM7ZのBamHl部位にクローン化した。次いで、適切な挿
入方向を有する組換えプラスミドをAcclおよびKpn1で消化し、p53 cDNAの3'末端
から22個のアミノ酸を除去した。次いで、停止コドンを含むFLAGペプチドの配列
を含むAccl-Kpn1に一致する末端を有するリンカーを消化されたプラスミドに連
結し、p53-FLAG融合遺伝子を作製した。次いで、得られたp53-FLAG融合遺伝子を
、ヒトCMVプロモーターおよびSVポリアデニル化シグナルを有する発現ベクター
にクローン化した。最終構築物を、続いてシャトルベクターpXCJL.1(Zhangら,
1994)に挿入し、組換えp53-FLAGアデノウイルスを生成した。
インビボ顕微鏡的残存疾患実験。実施例1に記載される胸腺欠損ヌードモデル
系を使用して、限定された病原体の存在しない環境において研究を行った。反復
実験の2つの異なるセットを実行した。最初のは、低下する濃度(1010pfu、109
pfu、108pfu)での3つの組織弁においてAdCMV-p53-FLAGウイルスを使用する、
用量-応答実験であった。第4の組織弁はコントロールとして作用し、それをPBS
かまたは複製欠損アデノウイルス(DL312)のいずれかに無作為化した。3つの
別々の組織弁において1010pfuのAdCMV-p53-FLAG.AdCMV-p53、および複製欠損ア
デノウイルスを使用することで、第2の研究を実行した。第4の組織弁を、同一
量(100μl)の無菌PBSに接種した。処置の48時間後、これらの動物の2匹を屠
殺し、そして組織弁を免疫組織化学的分析のために採取した。残りの動物を21日
間観察し、次いで屠殺した。腫瘍の体積を、比較のためにカリパスを使用して測
定した。
結果
AdCMV-p53およびAdCMV-p53-FLAGウイルスを用いる感染後のmRNAの発現。Tu-13
8とMDA 686-LNの両方を、p53 mRNAの発現について調査した。アデノウイルス感
染の後、総RNAを単離した。ノーザンブロット分析を実行した。外因性AdCMV-p53
mRNAの類似レベルを、AdCMV-p53感染細胞とAdCMV-p53-FLAG感染細胞との間で検
出した。AdCMV-p53およびAdCMV-p53-FLAGによる感染に続くp53 mRNA発現のレベ
ルは、Tu-138およびMDA 686-LNに一致した。強度の変動は、ロードする用量に関
連すると感じられる。p53 mRNAの内因性発現は、変異型p53細胞株Tu-138にお
けるレーン2および3の中に見られる。p53遺伝子について野生型であるMDA 686
-LN細胞株において、有意な内因性p53 mRNA発現は観察されなかった。これらの
データは、AdCMV-p53ウイルスと同様に、AdCMV-p53-FLAGウイルスが首尾良く形
質導入され、そして効率的に転写されることを示唆する。ノーザン分析は、AdCM
V-p53 DNA汚染の証拠を明らかにしなかった。
AdCMV-p53およびAdCMV-p53-FLAGに感染したSCCHN細胞株における外因性p53タ
ンパク質の発現。ウエスタンブロット分析を実行し、AdCMV-p53感染細胞およびA
dCMV-p53-FLAG感染細胞により発現されるタンパク質の量を比較した。タンパク
質バンドを、2つの同時進行ゲル上で、単一特異性p53抗体(PAb1801)および抗
FLAG M2抗体(IB13025)を使用して同定した。p53抗体(pAb1801)を使用して、
AdCMV-p53およびAdCMV-p53-FLAGに感染した両細胞株において、同様に高いレベ
ルのp53が発現した。AdCMV-p53に感染したTu-138およびMDA 686-LN細胞をまた試
験した。複製欠損アデノウイルス感染細胞またはモック感染群のいずれかにおい
て、p53タンパク質発現における変化は示されなかった。同様に実行したゲルを
、マウス抗FLAG M2抗体でプローブした。p53-FLAGタンパク質発現のレベルは、p
53抗体プロービングに続いて発現されるレベルと類似するようであるが、AdCMV-
p53に感染したこれらの細胞において、検出可能なバンドを示さなかった。モッ
クおよびDL312感染細胞は、免疫反応性p53またはFLAGタンパク質の検出可能なレ
ベルを、いずれの細胞においても示さなかった。
インビトロSCCHN細胞増殖に対するAdCMV-p53およびAdCMV-p53-FLAGの効果。Tu
-138およびMDA 686-LN細胞株における野生型p53治療の細胞傷害性効果は、上に
詳細されている。Tu-138細胞株は内因性変異型p53遺伝子を有し、そしてMDA 686
-LN細胞株は野生型p53遺伝子を有する。この研究は、FLAG配列を挿入することに
より、効果における任意の差異がAdCMV-p53ウイルスの組換えに続いて見られる
か否かを決定することを探求した。
複製欠損アデノウイルスに感染した細胞は、モック感染細胞と類似の増殖率を
有する。穏やかな細胞傷害性効果が、複製欠損アデノウイルスによって見られ得
る(図7A)。対照的に、AdCMV-p53またはAdCMV-p53-FLAGに感染したこれらの細
胞は、実質的な全腫瘍細胞死を3日までに経験した。組織学的試験により、原形
質膜によるブレブの形成を明らかにした。それはアポトーシスの特有の特徴であ
り、そしてAdCMV-p53感染SCCHN細胞株における細胞死の機構として特徴づけられ
ている(実施例1)。上記のように、効果は、MDA 686-LN細胞株(野生型p53)
に対するよりも、Tu-138細胞株(変異型p53)に対してより顕著であった。増殖
曲線アッセイは、AdCMV-p53とAdCMV-p53-FLAGウイルスの効果との間に示される
有意な差異を除き、3つの反復研究において再現的であり、これはFLAGペプチド
の付加が細胞増殖の抑制におけるp53の能力に影響を与えなかったことを示唆す
る。
アデノウイルスに感染したSCCHN細胞株の免疫組織化学的染色。感染細胞の単
層を、p53およびp53-FLAGタンパク質の発現について、標準的な免疫組織化学的
染色を使用して比較した。MDA 686-LN細胞株におけるDL312感染細胞のモック感
染において、p53またはFLAGタンパク質のいずれも明らかに同定し得なかった。
しかし、変異p53遺伝子を有するTu-138において、p53についての内因性染色は陽
性であった。細胞がAdCMV-p53ウイルスに感染していた場合、両細胞株において
強い染色を示した。AdCMV-p53-FLAGに感染したそれらの細胞の視覚的検査は、Ad
CMV-p53ウイルスに感染した細胞と比較して、同一の染色強度および抗体としてP
Ab1801を有する陽性細胞の数を示した。AdCMV-p53-FLAGウイルスに感染した細胞
はまた、M2 FLAG抗体に強い免疫組織化学的陽性を示した。しかし、染色の質は
、核内と細胞質におけるより低い程度との両方で異なった。
増殖のインビボ抑制。AdCMV-p53ウイルスの108、109、および1010プラーク形
成単位(pfu)を用いる用量応答研究を、PBSまたはDL312のいずれかであるコン
トロール組織弁と比較して、実施例1に記載の顕微鏡モデル法を使用してTu-138
細胞株に対して実行した。モック感染についての平均腫瘍サイズは1205+/-205mm3
であった。腫瘍サイズは、分子介在において使用されるウイルスの漸増濃度と
直線的な様式で減少した。AdCMV-p53-FLAGの108、109、および1010pfuで処理さ
れたそれらの組織弁について、平均腫瘍サイズはそれぞれ、637+/-113 mm3、392
+/-109 mm3、193+/-74 mm3であった。各動物を、両側t検定を使用してそれ自身
と比較し、そして有意な用量応答効果は、109と1010pfuとの間で処理された組織
弁以外の全ての比較において、p<0.05を示した。明らかに、ウイルスの量が多
くな
るにつれて、より多くの腫瘍増殖阻害が視覚化された。さらなる研究において、
AdCMV-p53の効果を、AdCMV-p53-FLAGの効果と比較した。活性における有意な差
異は示されなかった。
顕微鏡的残存疾患動物モデルにおける外因性腫瘍抑制効果の免疫組織化学的実
証。AdCMV-p53およびAdCMV-p53-FLAGの、比較可能なインビボおよびインビトロ
活性を提供した後、発明者は免疫組織化学的技術を適用し、インビボでのp53-FL
AG融合タンパク質産物を実証した。Tu-138およびMDA 686-LN細胞株を使用して、
顕微鏡的残存疾患組織弁を、処置後48時間で採取し、ホルマリン中で固定し、そ
してパラフィン包埋した。AdCMV-p53-FLAGウイルスで処理した腫瘍細胞の隣接切
片上で、p53およびFLAGタンパク質の両方について染色を適用した。染色強度お
よび陽性に染色した細胞数は、感染において使用したウイルスの数に直接比例し
ていた。コントロールは、MDA 686-LN細胞中のp53およびFLAG抗体の両方での染
色について陰性であった。p53についての内因性染色は、Tu-138腫瘍細胞におい
て示された。組織学的検体を、ヘマトキシリンおよびエオシン、p53抗体、なら
びにFLAG抗体で染色した。FLAG M2抗体での特徴的な細胞質染色は、p53抗体の核
内染色と対照的であった。これがFLAG M2抗体がパラフィン包埋固定組織に効果
的であると証明された最初である。染色は、腫瘍抑制効果が外因性治療によって
指向されることを実証し、そしてインビボモデルにおいて、適用されたFLAG系を
使用することで外因性治療が同定され得ることを実証する。
結論として、所望の遺伝子治療に伴うFLAGタンパク質の同時送達が、遺伝子治
療のマーカーとしての潜在的な有用性を提供することは明らかである。本発明は
、それがp53遺伝子とともに同時に促進され、そしてメッセンジャーRNAおよびタ
ンパク質の発現が検出されなかったことを明らかに示す。より重要なことに、送
達された腫瘍抑制遺伝子の生物学的活性は変化しなかった。免疫組織学的分析が
ホルマリン固定パラフィン包埋組織上で実行された場合に、FLAG抗体が効果的で
あると、初めて証明された。これらの要因は、さらなる遺伝子治療研究における
トレーサーとしての、この新規タンパク質の有用性を示唆する。実施例5
p53アデノウイルスを使用する、頭部および頸部の扁平上皮ガンの治療
患者A
ある53歳の男性患者は、頭部の手術不可能なSCCHN腫瘍を提供する。腫瘍の大
きさは直径約6.5cmである。骨髄機能、血小板数、および腎機能の検査に続き、
患者は、無菌リン酸緩衝化食塩水中で希釈された、アデノウイルス-p53発現構築
物の108個の感染性粒子による最初の治療を、8回の別個の腫瘍内注射(全量10m
l)を介して受ける。3日毎に患者は、同一の治療を、全6回の治療が施される
まで受ける。
6回目の治療の3日後、腫瘍を検査し、そして直径>4.0cmであることを見出
す。組織学的検査は、腫瘍の縁における相当な細胞のフラグメント化を示す。6
回の治療の第2過程が着手され、それに続いて腫瘍は直径>2.0cmでありかつ壊
死的であると見出される。患者は、3ヶ月間週に1回の治療を受け続け、その時
点で腫瘍はもはや明らかではない。
患者B
ある44歳の女性患者は、頸部の手術不可能なSCCHN腫瘍を提供する。腫瘍の大
きさは直径約2.5cmである。骨髄機能、血小板数、および腎機能の検査に続き、
患者は、無菌リン酸緩衝化食塩水中で希釈された、アデノウイルス-p53発現構築
物の5×107個の感染性粒子を用いる最初の治療を、3回の別個の腫瘍内注射(
全量3ml)を介して受ける。3日毎に患者は、同一の治療を、全6回の治療が施
されるまで受ける。
6回目の治療の3日後、腫瘍を除去する。腫瘍ベッドを、6mlの無菌リン酸緩
衝化食塩水中に60分間浸す。接種物を除去し、傷を閉じ、ドレーンを腫瘍ベッド
中に残した。外科的処置後4、7、10、および14日において、無菌リン酸緩衝化
食塩水(全量3ml)中で希釈された、アデノウイルス-p53発現構築物の5×107
個の感染性粒子を、ドレーンによって注入する。2時間腫瘍ベッドを接触させた
後、接種物を吸引によって除去する。処置終了の6ヶ月後、原発性腫瘍、局所的
な腫瘍、または局部的な腫瘍は観察されない。実施例6
進行した再発性頭部および頸部扁平上皮ガンを有する患者の第一相試験
におけるアデノウイルスベクターを介する野生型p53遺伝子の移入
正常な「野生型」p53遺伝子を含有するアデノウイルスベクターを、生検で確
認された頭部および頸部の再発性扁平上皮ガンを有する患者に、対数的に(logo
rithmically)増加する用量で送達した。直接腫瘍注射を、連続した2週間に、
週に3回行った。患者を2つの群に分類した:1)切除可能な再発性疾患、2)
切除不可能な再発性疾患。
切除可能な疾患群に分類された患者に、2週間の期間にわたる第6の遺伝子の
移入事象の72時間後、その再発性新生物の全総量の外科的切除を施した。アデノ
ウイルスベクターはまた、手術中におよび外科的手順の72時間後に逆行性カテー
テル注入を介して送達した。切除不可能な患者に、患者の様態において疾患の進
行または悪化が観察されるまで、2週間のサイクルで毎月、直接腫瘍注射を介す
る反復遺伝子移入試行を施した。この処置の安全性を、精密な病院観察、遺伝子
移入効率を評価するための生検、こぼれた(shed)ベクターについての体液分析
、および剖検分析によりモニターした。
方法
試験被験体。進行した上部気消化管(upper aerodigestive tract)の再発性
扁平上皮ガンを有する21人の患者を、Eastern Cooperative Oncology Group様態
2の患者と共に、切除可能な(第1群)または切除不可能な(第2群)再発性悪
性疾患を有する患者からなる2つの試験腕(study arm)の1つに加えた。試験
被験体の特徴およびアデノウイルスベクターの投薬を、それぞれ、表6および7
に示す。女性の全てが、妊娠試験に陰性であり、そして患者の全てが避妊方法を
使用した。試験に入る前に、すべての患者からインフォームドコンセントを得た
。
遺伝子移入ベクター。本試験は、Ad5CMVp53と称する、エンハンサー(サイト
メガロウイルス)プロモーターを有する複製欠損のアデノウイルス血清型5ベク
ターを用いた。109〜1011の範囲にあるプラーク形成単位(PFU)を有するアデノ
ウイルスベクターの3ロットを、Magenta,Inc.およびIntrogen Therapeutics,
Inc.において良好な製造を実施して産生し、そして凍結(-70℃)させてUnivers
ity of Texas,M.D.Anderson Cancer Centerに輸送した。各ロットは、ウエスタ
ンブロッティングならびにインビトロの腫瘍細胞抑制増殖アッセイを利用する形
質導入に有効であった。ベクターを遺伝子移入の直前に解凍し、そしてリン酸緩
衝化生理食塩水(ビヒクル)中に希釈し、そして4℃で患者の部屋に運搬した。
投薬。アデノウイルスベクターを、5人の患者の群(cohort)にそれぞれ、対
数的に増加する用量で投与した。先の用量で処置された最後の患者の観察の2週
間後に、投薬の増加が確立された。最初の6人の患者の試験への参加に続いて、
3人の患者が、患者が分類された切除可能または切除不可能な群の患者でそれぞ
れ独立した投薬のレベルで、参加した。生物学的なベクターの用量を、全用量(
プラーク形成単位において)に関して記載する。悪性上皮細胞あたりの投与され
たベクターの見積もられた数は、近似していなかった。投与の総容量を表7に示
す。固体の悪性疾患に注射されるアデノウイルスベクターの容量を、臨床的およ
びX線撮影により評価された腫瘍容量により決定した。ベクターを、直接視の下
で、そして手で触診して再発性扁平上皮ガンに直接注射した。注射は、塊を横切
る1センチメーターの増分の間隔を置いた。遺伝子移入後、被験体を少なくとも
1〜1/2時間の間、精密な観察下においた。呼吸のおよび身体の分泌単離物を、
ベクターの最後の遺伝子移入に続いて、72時間維持した。
ベクターの検出。尿および血清サンプルを、293細胞のウイルス培養物、なら
びにベクターに特異的であるアデノウイルスのE1b領域および野生型p53遺伝子の
5'末端を増幅するプライマーを使用したポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を利用し
て散布されたアデノウイルスベクターについてモニターした。次いで、PCR産物
をサザン転写し、1〜5つのウイルス粒子に対するウイルスの検出を改善し、な
らびにPCR産物の特異性を証明した。陽性および陰性のコントロールを各反応に
おいてアッセイした。
安全性。症状、生命力の徴候、血球算定をモニターし、そして毎日、患者を身
体的に検査し、そして写真で記録した。胸部X線撮影、血液の化学的試験、およ
び様態分析を各処置サイクルの初めに行った。遺伝子移入の各サイクルの前およ
び後に、アデノウイルス抗体の血清力価を測定した。最初のサイクルの第6の遺
伝子移入の3日後、腫瘍生検(または外科的切除物)を得た。標本を、すべての
場合に、急速冷凍した病理学的に包埋した標本ならびにホルマリン固定標本とし
て保存した。
血清または尿からの核酸の抽出。Ad5CMV-p53アデノウイルスDNAを、Cunningha
mら(1995)の方法から改変した方法により血清または尿のアリコート0.5mlから
抽出した。簡潔に言うと、蒸留水を添加して1mlにし、そしてそれらを30%のポ
リエチレングリコール(PEG)を用いて沈澱させた。SDS単独では、その粒子から
ウイルスDNAを放出させるには不十分であるため、PEG沈澱の後、プロテイナーゼ
KをSDSに50℃で2〜16時間添加した(Norderら、1990)。サンプルをフェノー
ルを用いて抽出し、そしてウイルスDNAをグリコーゲンの存在下にてエタノール
を用いて沈澱させた(Cunninghamら、1995)。沈澱したDNAを4℃での14000g、1
0分間の遠心分離によって回収し、0.3mlの蒸留水に再懸濁し、そしてエタノール
を用いて再沈澱させた。DNAペレットを70%エタノールを用いてリンスし、真空
乾燥し、そして蒸留水10μlに溶解させた。サンプルは、直ちに分析するか、ま
たは使用するまで-20で保存するかのどちらかであった。核酸の抽出を、可能な
標本の交差汚染を防止するために、生物学的安全キャビネットフードの下で行っ
た。
血清サンプルから単離したDNAに対するPCR反応。プライマーを、アデノウイル
スベクターからのp53遺伝子の特異的な増幅のために設計した。上流プライマー
(5'-CACTGCCCAACAACACCA-3'、配列番号5)は、p53遺伝子の3'末端に対応し、
そして下流プライマー(5'-GCCACGCCCACACATTT-3'、配列番号6)は、アデノウ
イルスタイプ5のE1B領域(野生型配列のヌクレオチド3517〜3533)に対応する
。各PCR反応チューブは、0.2mMの各オリゴヌクレオチド、0.4mMのdNTP、1×Taq
Plus Long低塩緩衝液(Stratageneから)、0.6μlのTaqPlus Long(5U/ml)(St
ratageneから)、および5μlの試験DNAを含んでいた。サンプルを、93℃にて3
分間の後以下の3工程のプロフィール:93℃にて30秒間、65℃にて45秒間、およ
び72℃にて45秒間の合計30または35サイクルにプログラムしたMJ Research Pelt
ier Thermal Cycler(PTC-200)に配置した。5μlの6×ローディング緩衝液(
水中の0.25%のブロモフェノールブルー、0.25%のキシレンシアノールFF、およ
び15%のFicoll(タイプ400;Pharmacia))を各チューブにPCR運転の最後に添
加し、そしてエチジウムブロマイド(0.6μg/ml)を含む1%のアガロース、1×
TBEゲル上にロードした。サンプルを100Vで1〜1.5時間電気泳動し、次いでUV光
下で写真撮影した。
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)。調製したDNAの5μlのみを1回のポリメラー
ゼ連鎖反応において使用し得た。血清について、2mMのMgCl2、50mMのKCl、0.1
%のTriton X-100、200μMの各デオキシリボヌクレオシド三リン酸(dNTP)、10
mMのTris-HCl(pH 9.0)、5μMの各プライマー、および1.7ユニットのTaq DNA
ポリメラーゼ(Promega)を含む20μlの容量でPCRを行った。反応は、94℃で30
秒間、58℃で30秒間、および72℃で60秒間を35サイクル行い、次いで72℃で10分
間伸長した。PCRプライマーをp53 cDNAの3'末端に配置されたセンスプライマー
(5'-GCCTGTCCTGGGAGAGACCG-3'、配列番号7)を用いてAd5CMV-p53の配列から選
択し、そしてアンチセンスプライマーをアデノウイルスタイプ5のE1B領域(5'-
CCCTTAAGCCACGCCCACAC-3'、配列番号8)から選択した。PCR産物(838-bpフラグ
メント)を1%アガロースゲルで分離した。同一のPCR産物をpCR-Scriptベクタ
ー(Stratagene)にサブクローン化し、配列決定し、そしてゲル精製した挿入物
をPCR産物を検出するためのプローブとして使用した。尿について、2mMのMgSO4
、10mMの(NH4)2SO4、10mMのKCl、0.1%のTriton X-100、20mMのTris-HCl(pH 8.
8)、0.1mg/mlのウシ血清アルブミン、200μMの各デオキシリボヌクレオシド三
リン酸(dNTP)、5μMの各プライマー、および2.5ユニットのTaqPlus long DNA
ポリメラーゼ(Stratagene)を含む20μlの容量でPCRを行った。反応は、93℃
で60秒間、次いで93℃で30秒間、65℃で45秒間、および72℃で45秒間を35サイク
ル行い、その後72℃で10分間伸長した。PCRプライマーをp53 cDNAの3'末端に配
置されたセンスプライマー(5'-CACTGCCCAACAACACCA-3'、配列番号9)を用いて
Ad5CMV-p53の配列から選択し、そしてアンチセンスプライマーをアデノウイルス
タイプ5のE1B領域(5'-GCCACGCCCACACATTT-3'、配列番号10)から選択した。PC
R産物(724-bpフラグメント)を1%アガロースゲルで分離した。
サザンブロット分析。PCR産物の特異性を証明するために使用されるサザンブ
ロットにおいて、ゲル中のDNAを変性および中和し、その後キャピラリー吸収に
よってナイロンメンブレン(Hybond-N+、Amersham)にブロッティングした。こ
のメンブレンをRapid-hyb緩衝液(Amersham)中で15分間65℃にて予備ハイブリ
ダイズし、そして32P標識プローブを含む同一の緩衝液中で1〜2時間ハイブリ
ダイズした。このメンブレンを0.1×SSCおよび0.1%SDS中で室温にて2回洗浄し
、そして65℃にて再び2回洗浄した(1回の洗浄あたり15分間)。洗浄したメン
ブ
レンを、増感スクリーンと共に、-70℃にて1〜16時間x線フィルムに曝した。
コントロールおよび試験サンプルの得点付け。以下のコントロールは、全ての
サンプルのバッチに含まれた。DNAの単離工程において、2つの「陰性」血清コ
ントロール(Introgenの従業員由来のプールおよびアリコートされた血清)、お
よび10pfuまたは100pfuのAdCMV-p53ウイルスによってスパイクされた陰性血清か
らなる2つの陽性コントロールを用いた。これは、10(および100)pfuコントロ
ールは陽性であるが、陰性コントロールは陰性であるという感受性窓(window)
を得るために行われた。陰性コントロールが陽性である場合、PCRを30サイクル
のみ繰り返した。10pfuコントロールが陰性である場合、DNAをさらなるエタノー
ル沈澱によってさらに精製し、そしてPCRを繰り返した。上記2つの工程は、常
に、実験パラメーターを適切な感受性窓に与える。
PCRの段階において、1ngのAdCMV-p53 DNA(臨床ロットから単離された)陽性
コントロールおよび陰性(H2O)コントロールを用いた。任意のコントロールが
誤りである場合、バッチのPCRを繰り返した。失敗した陰性PCRコントロールは、
存在しなかった。
推定陽性の確認のために、DNAを血清から(いくつかの一時的に近接したサン
プルと共に)再単離し、そしてこのDNAのPCRを繰り返した。結果が再現され得る
場合のみ、サンプルを陽性として得点付けした。2つのサンプル分析のうち1つ
において陽性であるサンプルを、報告の目的のためには陰性と考えた。繰り返し
できない(処理されていない標本がそれ以上ないために)推定陽性をデータベー
スから削除した。
遺伝子移入の効力の測定。外科的に取り出された組織標本を、凍結バイアル中
に入れ、迅速に瞬間凍結し、次いで使用するまで液体窒素貯蔵で保存した。凍結
サンプルを、液体窒素中に浸漬することにより予備冷却されたステンレススチー
ルBessman組織微粉砕機(Spectrum,Houston,TX)のオリフィスにデカントした。
組織を、スチールハンマーでBessman乳棒を5〜10回打つことにより微細粉末ま
で粉砕した。微粉砕された組織を、組織50mgあたり1mlのTRI試薬(Molecular R
esearch,Cincinnati,OH)を含むガラス製の組織ホモジナイザー(Fisher Scient
ific,Pittsburgh,PA)に移し、そしてテフロン製乳棒を用いて5〜10回上下にス
トロークすることによりホモジナイズした。
ホモジナイズ化に続いて、RNAをTRI試薬と共に提供された説明書に従って単離
した。簡潔には、ホモジネートをポリプロピレン遠心管(Molecular Research)
に移し、そして5分間室温に置き、その後クロロホルム(1mlのTRI試薬あたり0
.2ml)を添加した。次いで、サンプルを激しく混合し、さらに15分間室温でイン
キュベートし、そして12,000×gで15分間4℃にて遠心分離し、RNAを含む水層を
フェノール-クロロホルム相から分離した。イソプロパノールを水層に添加し、
そして室温で15分間インキュベートすることによりRNAを沈澱させた。RNAペレッ
トを12,000×gで15分間4℃での遠心分離により回収し、75%のエタノールで1
回洗浄し、風乾し、ジエチルピロカーボネート(DEPC)処理水中に溶解させ、そ
して260nmの吸光度を測定することにより定量した。混入しているDNAを、50μg
までのRNAを60UのDNaseI(Pharmacia,Piscataway,NJ)と共に25分間37℃にて全
反応容量260μl中でインキュベートすることにより除去した。次いで、RNAをフ
ェノール:クロロホルムで抽出し、エタノール沈澱し、75%のエタノールで1回
洗浄し、微量遠心機中で最高速度で15分間4℃での遠心分離によりペレット化し
、風乾し、DEPC水中に再懸濁させ、そして-80℃で保存した。RNAの品質を、サン
プルを通常の非変性の0.8%アガロースゲルで泳動し、そして28Sおよび18Sのリ
ボゾームのバンドをエチジウムブロマイド染色により可視化することによって評
価した。サンプル間の交差汚染を避け、そしてRNase活性を最小化するために、R
NAの単離に用いた全ての再利用可能な器具を2%のLiqui-Nox(Fisher Scientif
ic)界面活性剤溶液中に最低5分間浸漬し、破片をこすり落とし、10%の漂白溶
液に3分間移し、脱イオン水で徹底的にリンスし、100%のエタノールをスプレ
ーし、乾燥し、クロロホルム中に浸漬させ、そして使用前に再度乾燥させた。
逆転写を、1×RT緩衝液(50mM Tris pH 8.3、75mMの塩化カリウム、3mMの塩
化マグネシウム、および20mMのジチオトレイトール)中に111ngのランダムヘキ
サマー(Gibco BRL,Grand Island,NY)、40ユニットのRNaseインヒビター(Boeh
ringer Mannheim,Indianapolis,IN)、0.4mMの各dNTP(Perkin Elmer,Foster Ci
ty,CA)、および300ユニットのSuperscript II RNase H-逆転写酵素(Gibco BRL
)を含む反応混合物23.5μl中の1.5μgの全細胞RNAを使用して行った。RNAおよ
びランダムヘキサマーを70℃に10分間加熱し、そして氷上で冷却し、その後反応
混合物の残りを添加した。反応物を200ユニットの逆転写酵素と共に25℃にて5
分間インキュベートし、次いで25℃にてさらに10分間インキュベートし、続いて
別の100ユニットの逆転写酵素を添加して、プライマーのアニーリングを容易に
し、その後42℃で50分間インキュベートした。RT反応を、逆転写酵素を15分間70
℃にて加熱不活化することにより終結させた。cDNAに対して相補的なRNAを、1
ユニットのRNase H(Boehringer Mannheim)を用いる20分間37℃での消化により
除去した。組換えアデノウイルスAd5CMV-p53(100:1の感染多重度)を感染さ
せた頭部および頸部の扁平上皮ガン(HNSCC)株TU167由来のRNAを、ウイルスに
より転写されたp53を検出するための陽性コントロールとして使用し、そしてp53
転写ユニットを含有しない変異体アデノウイルスベクターdl312(1)を感染させた
TU167細胞を陰性コントロールとして使用した。
Ad5CMV-p53転写産物を検出するために、PCRを1×PCR緩衝液(50mMの塩化カリ
ウム、10mMのTris pH 9.0、0.1%のTriton X-100)中に0.2mMの各dNTP,1.5mMの
塩化マグネシウム、1ユニットのtaqポリメラーゼ(Promega,Madison,WI)、な
らびに0.5mMの各プライマーCMV2(5'-GGTGCATTGGAACGCGGATT、配列番号11)およ
びP53EX3(5'-GGGGACAGAACGTTGTTTTC、配列番号12)を含む30μlの反応容量で行
った。プライマーCMV2およびP53EX3は、アデノウイルスに由来するp53転写産物
特異的な295塩基フラグメントを増幅する。Ad5CMV-p53転写産物を検出するため
のPCR条件は、以下の通りであった:
94℃で1分間、続いて94℃で30秒間、58℃で40秒間、70℃で1分間を35サイク
ル、そして70℃で10分間の伸長時間。
PCRの間に増幅された産物が、RNA調製物中の検出するmRNAであり、かつ、混入
しているDNAでないことを確実にするために、PCRをまた、平行反応物(これには
、逆転写酵素は添加されていない)由来のRT産物を使用して行った。
グリセルアルデヒド-3-ホスフェートデヒドロゲナーゼ(GAPDH)に対して特
異的なRT-PCRを、RT反応の完全性を調べるために行った。RT反応物の3μl容量
を、1×PCR緩衝液中に0.2mMの各DNTP、2mMの塩化マグネシウム、1ユニットの
taqポリメラーゼ、ならびに0.5mMの各プライマーGAPDH1(5'ACGGATTTGGTCGTATTG
GG、配列番号13)およびGAPDH2(5'TGATTTTGGAGGGATCTCGC、配列番号14)を含む
PCR混合物30μl中に希釈した。GAPDHプライマーは、ヒトGAPDH遺伝子中の3エキ
ソンに及び、そしてmRNAに対して特異的な231塩基の産物を増幅する。GAPDHを検
出するためのPCRの条件は、以下の通りであった:
94℃で1分間、続いて94℃で30秒間、60℃で12秒間、72℃で1分間を35サイク
ル、そして72℃で7分間の伸長時間。
PCRをPerkin Elmer Gene Amp 9600 thermocyclerを使用して行い、そして全て
のプライマーを商業的に合成した(Genosys,Woodlands,TX)。
腫瘍内遺伝子の免疫組織化学的決定。免疫ペルオキシダーゼ試験を、アビジン
-ビオチン-ペルオキシダーゼ複合体(ABC)方法(1)を使用してホルマリン固
定しパラフィン包埋した組織切片で行った。標本を3〜4μmの厚さに切断し、
キシレン中で脱パラフィンし、そして下降するグレード(100〜70%)のエタノ
ール中で再水和した。内因性ペルオキシダーゼ活性を、メタノール中の3%の過
酸化水素によってブロックした。蒸留水およびリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)
中での何回かの洗浄後、バックグラウンドの染色を最小化するために、切片を正
常ウマ血清の1:10希釈物と共にインキュベートした。これに続いて、p53に対
するモノクローナル抗体(DO-1,Oncogene Science,Inc.,Uniondale,NY;1:80希
釈物)およびp21に対するモノクローナル抗体(Oncogene Science,Inc.,1:100
希釈物)と共に、4℃にて一晩のインキュベーションを行った。ペルオキシダー
ゼ染色手順を、ABC Eliteキット(Vector Laboratories,Burlingame,CA)を使用
して行った。免疫染色反応を、0.01%の過酸化水素を含むTris-HCl緩衝液(pH7.
6)中の0.05%の3,3'-ジアミノベンジジン(3,3'-diaminobenzidene)を使
用して可視化した。切片を0.01%のトルイジンブルーによって対比染色し、そし
てパーマウント(permount)に据え付けた。得点付けを、2回の独立した観察に
よって10個の連続した高倍率視野の200個の細胞中で陽性の核染色を計数するこ
とにより行った。
DNAのフラグメント化についてのTUNELアッセイ。TUNELアッセイを、製造業者
により提供された説明書に従ってApoptagTMPLUSキット(Oncor,Gaithersburg,M.
D.)を使用して行った。スライドを0.4%のメチレングリーン(methelene gree
n)によって対比染色した。対応するヘマトキシリン(hematoxilin)およびエオ
シン染色したスライドを、炎症性細胞の浸潤物の存在について評価し、そして1
〜4のスケールで採点した。
細胞変性効果アッセイ手順。患者尿サンプルをまた、サンプル中の任意のウイ
ルスがレシピエント細胞の単層に感染可能であるアッセイにより、Ad5p53の存在
についてモニターした。これらの細胞を、細胞変性効果(CPE)の出現について
モニターする:細胞は寄り集まり、そして表面から分離する。CPEについてアッ
セイされた患者尿サンプルは、第1の処置過程の第2週の間および0日目または
1日目(予備処置)に収集した朝の最初の尿由来であった。およそ15mlの各サン
プルを、使用するまで無菌の15mlのコニカルチューブで-80℃に保存した。IT293
細胞(これは、このアッセイにおいてレシピエント細胞の単層を形成する)を、
37℃の加湿された10%のCO2インキュベーター内で、10%のFBSを加えたDMEM中に
維持した。患者サンプルの試験の2日前に、細胞を12ウェルプレートに1つのウ
ェルあたり2×105個でプレートした。
アッセイ時には、尿サンプルを氷浴中で解凍し、そしてアリコートをDMEMと1
:1で混合し、そして0.22μmのシリンジフィルターを用いて無菌ろ過した。こ
の1:1混合物の350μlのアリコートを、増殖培地を除去した後、ゆっくりと各
ウェルに添加した。このプレートを15分後に穏やかに振動させた。30分後、10%
のFBSを加えたDMEM 2.0misを各ウェルに添加してサンプルを希釈した。アッセイ
の3日目(72時間後)および6日目に、新鮮な培地の0.5mlのアリコートを各ウ
ェルに添加し、単層細胞を最大6〜7日間維持するのを助けた。
患者サンプルを3連でアッセイした。希釈した予備処置サンプルを、そのまま
でアッセイし、そしてまた、この手順によるウイルスの検出に干渉し得る任意の
尿成分を検出するために、1つのウェルあたり105pfuのAd5p53によってスパイク
した。コントロールウェルを、1つのウェルあたり105、104、103、102、または
101pfuでスパイクしたDMEM単独で接種した(各2連)。105pfuのスパイクは、こ
れらの条件下でアッセイの2日目にCPEをもたらす;連続した各日において、次
にスパイクされたコントロールはCPEを示す。従って、各患者のサンプルにCPEが
検出される時間は、そのサンプル中のAd5p53のレベルを示す。
組換え能力のあるアデノウイルス。臨床試験で使用したアデノウイルスp53を
、RCAの存在について、Biotechnology Services Division of Microbiological
Associates,Inc.,(Rockville,Maryland)によるA549細胞を用いて試験した。
統計分析。単腕(single-arm)研究設計を使用した。過度の毒性が見い出され
た試験において必要より多くの患者を登録することを防止するために、Bayesian
の早期中止ルールを実行した。WILCOXON表示順位試験(signed rank test)およ
び指定試験(assigned test)を、それぞれ、TUNELおよび免疫組織化学染色を示
す細胞の割合の処置の前と後との比較のために使用した。統計分析を、Survpac
SPSS-Statisticalパッケージを使用して行った。
応答および毒性。生存および応答をこの暫定分析で評価したが、これはこの分
析の考えられた目的ではなかった。この暫定試験の目的は、この遺伝子移入スト
ラテジーの形質導入の可能性を決定することであった。患者を、遺伝子移入の1
サイクルの後、30日間の観察に続いて、応答および毒性について評価した。治療
の毒性の影響を、National Cancer Instituteの通常の毒性判定基準(Xref.)に
従って評価した。治療に対する応答を、各処置過程前の頸部のCTスキャンまたは
超音波により評価した。患者を、彼らが少なくとも1回の治療過程を施され、続
いて応答の適切な証拠を示す場合、応答について評価した。その再発性腫瘍の外
科的切除を施された患者は、応答について評価できなかった。なぜなら、外科手
術は、30日間の観察期間の前に実施されたからである。全てのCTスキャンを、1
人の放射線科医により評価し、そして超音波は、別の者により評価した。部分的
応答を、測定可能な腫瘍の直径の積の合計における50%以上の減少として定義し
た;小応答を、測定可能な病巣の直径の積の合計における25%〜50%未満の減少
として定義した。疾患の進行を、直径の積の合計における25%以上の増加として
定義した。
生存期間を、プロトコール開始時から終了時まで測定した。各患者の応答を、
頭部および頸部の外科腫瘍遺伝子学者、放射線科医、および医療腫瘍遺伝子学者
からなるデータ管理委員会により再吟味された。結果
ベクターの検出。アデノウイルスベクターDNAを、遺伝子移入の48時間後まで
の患者由来の血清ならびに尿サンプルにおいて、PCRにより検出した。ベクター
についての検出限界は、1〜5ウイルス粒子であった。ウイルスDNAは、各ウイ
ルス投薬で遺伝子移入を施された患者の中で尿中に単離されたが、遺伝子移入の
48時間後には検出されなかった。ウイルスDNAの血清検出は、107PFUを上回るウ
イルスの投薬の増加に伴って増加したが、また、遺伝子移入の48時間後には検出
できなかった。
尿サンプルを、PCRヌクレオチド分析の前に、細胞の単層でのCPEで測定して、
まず感染性ウイルスについて分析し、CPEをモニターするために尿中に存在する
ウイルスを、上記のように293細胞に適用した。これは、寄り集まり、そしてペ
トリ皿から生じる細胞として観察される。CPEは、標本においてまれに同定され
た。CPEは、重層培地において後期(6日より多くの日数)に見出され、そして
これらの結果は、不正確であると考えられた。検出されたアデノウイルスヌクレ
オチドについて同一の尿サンプルのPCRおよびサザンブロット転写によりCPEが確
認された例はなかった。
他の器官系のウイルスDNA分析。PCR分析は、組織間の交差汚染を防止するよう
に注意深くサンプリングし、急速冷凍した剖検標本の皮膚、心筋、肺、および精
巣組織において、109Ad5CMVp53遺伝子移入に続く2ヶ月より多くの期間、ウイル
スDNAの存在を示した。腎実質、副腎、および膵臓組織は、このベクターに特異
的なウイルスDNAの配列を示さなかった。これらの剖検標本の免疫組織化学分析
(は、野生型p53タンパク質産物の過剰発現の証拠を示さなかった)。
遺伝子移入の評価。全ての分析を、ベクターに対する組織曝露の少なくとも1
時間後に行った。mRNA産物を、4時間および48時間にRT-PCRを介して検出した。
それに反して、曝露の1時間後またはそれより短い時間後に冷凍した生検標本は
、p53mRNAを示さなかった。さらに、遺伝子移入がされていない手術部位から得
られた陰性コントロールサンプルもまた、PCR産物について陰性であった。4人
の患者由来の形質導入されていない、および形質導入された生検標本を、RT-PCR
によってAd5CMVp53から転写されたmRNAの存在について分析した。2人の患者由
来
の形質導入された標本は、EtBr染色ゲルで陽性であり、その一方、Ad5CMVp53産
物は、GAPDHは全ての標本から増幅され得るという事実にも関わらず、形質導入
されていないいずれの標本にも検出されなかった。2人の陽性患者由来の295bpP
CR産物の特異性を、サザンブロッティングにより確認した。PCR産物は、逆転写
酵素がRT反応から除かれた場合観察されなかったので、図で検出される295bpの
産物は、汚染しているDNAよりむしろmRNAから産生されたのでなければならなか
った。
免疫組織化学分析。全ての患者の遺伝子移入前および遺伝子移入後の標本を、
各実験において陽性および陰性のコントロールと共に同時に分析した。各標本の
複数の切片を分析し、そしてヘマトキシリンおよびエオシン染色ならびにTDT末
端標識標本と比較した。移入前生検標本が、内因的に過剰発現したp53タンパク
質を示さなかった3人の患者において、ベクター注射後の生検標本は、遺伝子移
入を確認した。21人の患者のうち5人(27%)において、p21(CIP/WAF1)は、
内因的に有意に発現されなかった;これは、患者の遺伝子移入後の生検標本にお
いて遺伝子移入についての情報を与えることを証明した。p53核タンパク質の過
剰発現はまた、腫瘍関連リンパ球ならびに支質腫瘍細胞において見られ、従って
非腫瘍細胞の形質導入も同様に示す。
血清学的抗体応答。アデノウイルス血清型5抗体を、ベクターの繰り返し注射
後に全ての患者において誘導した。しかし、形質導入効率は、最初の遺伝子移入
サイクルとその後のサイクルとを比較して有意に変化したことは見出されなかっ
た。軽度の腫瘍注射部位紅斑が、3×109PFUで最初に認識された。しかし、これ
らの局所反応はベクター寛容性を制限しなかった。全身性過敏症の証拠は、109P
FUで処置した患者における連続6ヶ月もの繰り返しのウイルス投与にも関わらず
、いずれの患者にも見出されなかった。
病理学的観察。針の痕跡を、生検標本の大部分に同定した。そして、遺伝子産
物の発現は、注射部位を越えるより深くの組織において示された。同様に、形質
導入した領域における末端標識した細胞の所見は、腫瘍細胞におけるアポトーシ
スの誘導を示唆したが、支質または炎症細胞にはアポトーシスが存在しないこと
を示唆した。炎症細胞は、患者に認められ、そして109PFU以上の用量を施された
患者のなかでも顕著な組織学的所見となる。興味深いことに、患者番号7(彼の
サンプリングされた発現された内因性野生型p53)は、遺伝子移入の1サイクル
後の彼の2cmの再発性頸部塊において連続的に切断した外科的標本において、生
存能力のある腫瘍の証拠がなく、出血性壊死を示した。壊死の病理学的所見なら
びにアポトーシス誘導は、標本においてよくある観察であった。
臨床的観察。患者は、注射部位が不快であるという最もよくある不都合な事象
を伴ってベクターの直接腫瘍注射に耐性があった。全身性過敏症の証拠は、全身
の抗体力価の上昇の証拠にもかかわらず見られなかったが、局所注射部位の紅斑
の証拠は、109PFU以上のベクターで示された。患者番号5、10、および16は、7
ヶ月のメジアンの追跡によっては、疾患の証拠がないままであった。患者番号7
および13は、それぞれ、その指標の病巣領域において、3〜5ヶ月間、安定した
疾患を示した。患者番号20は、CATスキャンおよび超音波により立証されるよう
に部分的応答を示したが、疾患の進行のために試験からの除去を必要とする脊髄
および胸膜の移入を進展させた。
結論として、頭部および頸部の再発性扁平上皮ガンを有する患者において、ア
デノウイルスにより媒介された野生型p53の遺伝子移入は安全であり、そしてベ
クターの直接腫瘍注射または手術時の点滴注入を介して、有効にガンおよび正常
細胞を形質導入し得る。いずれの患者も、ベクター投与または用量の段階的拡大
を制限し得る毒性を示さなかった。トランスジーン産物の発現は、全身性抗体応
答の進展にもかかわらず変化しなかった。切除された腫瘍標本内に病理学的に見
出された局所的な炎症応答は、事実上、有益であり得る。
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