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JP2000345097A - ポリオレフィン系エラストマー水性コーティング剤 - Google Patents

ポリオレフィン系エラストマー水性コーティング剤

Info

Publication number
JP2000345097A
JP2000345097A JP11158592A JP15859299A JP2000345097A JP 2000345097 A JP2000345097 A JP 2000345097A JP 11158592 A JP11158592 A JP 11158592A JP 15859299 A JP15859299 A JP 15859299A JP 2000345097 A JP2000345097 A JP 2000345097A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polyolefin
acid
aqueous
aqueous dispersion
coating agent
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP11158592A
Other languages
English (en)
Inventor
Taku Tokita
卓 時田
Hidenori Sakai
英紀 酒井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsui Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Chemicals Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsui Chemicals Inc filed Critical Mitsui Chemicals Inc
Priority to JP11158592A priority Critical patent/JP2000345097A/ja
Publication of JP2000345097A publication Critical patent/JP2000345097A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 廃棄焼却時に塩化水素ガス等の有害ガスを発
生することがなく、耐水性、耐油性、耐薬品性に優れる
と共に各種材料との密着性に優れた被膜を形成すること
のできる水分散型の水性コーティング剤を提供する。 【解決手段】 水性コーティング剤は、(A)ポリオレ
フィン系エラストマー、(B)酸変性ポリオレフィンお
よび/または高級脂肪酸の塩、及び(C)水を含有し、
固形分が水相に均一に分散している水性分散体からなる
ことを特徴とするポリオレフィン系エラストマー水性コ
ーティング剤である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリオレフィン系
エラストマーからなる水性コーティング剤に関する。よ
り詳しくは、耐水性、耐油性、耐薬品性及び各種材料と
の密着性に優れた被膜を形成することができるポリオレ
フィン系エラストマー水性コーティング剤に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】従来から種々の重合体の水性分散
物が知られており、紙や繊維あるいはプラスチック成形
品、木材、金属等の表面に塗布、乾燥させて樹脂被膜を
形成させ、基材に耐水性、耐油性、耐薬品性等を付与し
たり、ヒートシール剤等の接着剤として使用されてい
る。この様な水性分散物は、分散媒として水を使用して
いるので、引火性の問題、作業環境上の問題、取り扱い
性などの面から溶剤を分散媒に用いる溶剤型のものに比
べて有利であり、幅広い分野で利用されている。
【0003】なかでも見掛け上、固体状をしており、加
水によって再分散化し水性分散液となるいわゆる粉末エ
マルジョンとして知られる水性分散物(以下本明細書に
おいては水性分散体と言うことがある)は、水を全く含
有しないか、あるいは低水分濃度のため、気温が低下し
ても凍結の心配がなく、包装や輸送も容易で、また貯蔵
場所も狭くてすむという特長がある。さらにセメント、
モルタル、石こうなど水との接触をきらう粉粒体との混
合を直接行なうことができるという利点も有する。
【0004】このような水性分散体を、できる限り添加
剤を加えることなくかつエネルギー消費量を少なくした
製造方法として、本出願人は、特公平5-39975号公報、
特公平7-96647号公報に記載の方法を開示した。これは
押出機等で特定の成分を溶融混練して、固形分を水性分
散体に転相する方法であり、該水性分散体は見掛上、固
体状をしており、加水により固形分が水相中に均一に分
散する特性を有している。
【0005】ところで、食料品包装材、建材、織物等に
おいて、強度、ガスバリア性や防湿性が付与された製品
では、フィルム、布、紙等の基材の表面に、樹脂として
塩化ビニル系樹脂や塩化ビニリデン系樹脂を塗布して基
材を被覆することが、従来から行われている。しかしな
がら、この塩化ビニル系樹脂や塩化ビニリデン系樹脂で
被覆した製品は、廃棄焼却時に塩化水素を発生して焼却
炉を傷める等の理由から、ポリオレフィン等の他の樹脂
への代替が望まれている。
【0006】一方、ポリオレフィンは、元来難接着性の
樹脂であるため、それを塗装、接着等のコーティングに
用いるためには、ポリオレフィンを溶剤に溶解・分散し
て用いる必要があった。そのため、ポリオレフィンから
なる、上記のような水分散型コーティング剤の要請が高
まっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、廃棄焼却時
に塩化水素ガス等の有害ガスを発生することがなく、耐
水性、耐油性、耐薬品性に優れると共に各種材料との密
着性に優れた被膜を形成することのできる水分散型の水
性コーティング剤を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、(A)
ポリオレフィン系エラストマー、(B)酸変性ポリオレ
フィンおよび/または高級脂肪酸の塩、及び(C)水を
含有し、固形分が水相に均一に分散している水性分散体
からなることを特徴とするポリオレフィン系エラストマ
ー水性コーティング剤が提供される。
【0009】本発明のポリオレフィン系エラストマー水
性コーティング剤は、前記ポリオレフィン系エラストマ
ー(A)100重量部に対して、前記酸変性ポリオレフ
ィンおよび/または高級脂肪酸の塩(B)が0.5〜3
0重量部の割合で含まれる水性分散体からなることが好
ましい。
【0010】また本発明のポリオレフィン系エラストマ
ー水性コーティング剤は、前記ポリオレフィン系エラス
トマー(A)を含む固形分濃度が10〜70重量%であ
り、固形分粒子の平均粒径が0.1〜5μmである水性
分散体からなることが好ましい。
【0011】本発明の好適なポリオレフィン系エラスト
マー水性コーティング剤においては、前記ポリオレフィ
ン系エラストマー(A)が、エチレンとα−オレフィン
および/またはジエンとからなる共重合体であることが
望ましい。
【0012】また本発明の好適なポリオレフィン系エラ
ストマー水性コーティング剤においては、前記酸変性ポ
リオレフィンが、不飽和ジカルボン酸類で変性されたポ
リオレフィンワックスであることが望ましい。
【0013】本発明によれば、前記(A)ポリオレフィ
ン系エラストマーと、(B')酸変性ポリオレフィンお
よび/または高級脂肪酸との溶融混練物に、塩基性物質
と全体の水分濃度が3〜25重量%となるように水を添
加して溶融混練し、酸変性ポリオレフィンおよび/また
は高級脂肪酸の少なくとも一部を中和して固形分を水相
に分散させて得られる前記ポリオレフィン系エラストマ
ー水性コーティング剤が提供される。
【0014】
【発明の実施の形態】以下に本発明のポリオレフィン系
エラストマー水性コーティング剤を構成する各成分につ
いて詳細に説明する。
【0015】(A)ポリオレフィン系エラストマー 本発明の水性分散体を構成するポリオレフィン系エラス
トマーは、低結晶性ないし非晶性のオレフィン系共重合
体であり、所望によりジエンを含有していてもよい。X
線回折法により測定される結晶化度は、50%以下、特
に30%以下が好ましい。
【0016】該共重合体を構成するオレフィンとして
は、エチレンのほかプロピレン、ブテン−1、ペンテン
−1、ヘキセン−1、オクテン−1等のα−オレフィン
をあげることができる。これらは単独でも、複数組み合
わせて使用しても良い。
【0017】ジエンとしては、イソプレン、ブタジエ
ン、ジシクロペンタジエン、ペンタジエン-1,4、2-メチ
ル-ペンタジエン-1,4、ヘキサジエン-1,4、ジビニルベ
ンゼン、メチリデンノルボルネン、エチリデンノルボル
ネン等があり、これらは単独でも、複数組み合わせて使
用しても良い。
【0018】これらのオレフィン系共重合体のなかで
も、エチレンとα−オレフィンおよび/またはジエンと
のゴム状共重合体が好ましい。共重合体中のエチレン含
量は、25〜95モル%、特に50〜95モル%が好ま
しい。ジエンを含有する場合、ジエン含有量は0.5〜
10モル%が好ましい。
【0019】ポリオレフィン系エラストマーとして具体
的には、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・ブ
テン-1共重合体、プロピレン・ブテン-1共重合体、エチ
レン・プロピレン・ヘキサジエン-1,4共重合体、エチレ
ン・プロピレン・ジシクロペンタジエン共重合体、エチ
レン・プロピレン・5-エチリデン-2-ノルボルネン共重
合体、エチレン・プロピレン・5-ビニル-2-ノルボルネ
ン共重合体、エチレン・ブテン-1・5-エチリデン-2-ノ
ルボルネン共重合体、エチレン・ブテン-1・ジシクロペ
ンタジエン共重合体、エチレン・ジシクロペンタジエン
共重合体、エチレン・ブタジエン共重合体などを例示で
きる。
【0020】ポリオレフィン系エラストマーの極限粘度
[η](135℃デカリン溶液における極限粘度)は、
0.5〜2.0dl/gが好ましく、より好ましくは
0.7〜1.5dl/gである。
【0021】(B)酸変性ポリオレフィンおよび/また
は高級脂肪酸の塩 本発明の水性分散体を構成する成分の一つは、(B)酸
変性ポリオレフィンの塩(B-1)および/または高級脂肪
酸の塩(B-2)である。まず、酸変性ポリオレフィンの塩
(B-1)について説明する。
【0022】酸変性ポリオレフィンの塩(B-1)は、ポリ
オレフィンの重合体鎖に結合したカルボン酸の塩の基
(部分中和物ないし部分ケン化物のときはカルボン酸基
を含む)を、樹脂1グラム当たり、−COO−基として
0.05〜5ミリモル、好ましくは0.1〜4ミリモル
の濃度で含むポリオレフィン系樹脂である。
【0023】酸変性ポリオレフィンの塩(B-1)は、例え
ば前記したようなα-オレフィンなどからなるポリオレ
フィンに、中和されているか中和されていないカルボン
酸基を有する単量体、および/またはケン化されている
かケン化されていないカルボン酸エステル基を有する単
量体を、グラフト共重合することにより得ることができ
る。場合によっては、グラフト共重合したものに、塩基
性物質により中和反応またはケン化反応を行うことによ
り得ることができる。この際、樹脂中に中和もしくはケ
ン化されていないカルボン酸基またはカルボン酸エステ
ル基が共存する部分中和物ないし部分ケン化物であって
も良い。
【0024】また酸変性ポリオレフィンの塩(B-1)は、
該ポリオレフィンを構成するオレフィン単量体と、中和
されているか中和されていないカルボン酸基を有する単
量体、および/またはケン化されているかケン化されて
いないカルボン酸エステル基を有する単量体とを、グラ
フト共重合、ブロック共重合またはランダム共重合する
ことにより得られる。場合によっては、共重合したもの
に、塩基性物質を用いて中和反応またはケン化反応を行
うことにより得ることもできる。この際、樹脂中に中和
もしくはケン化されていないカルボン酸基またはカルボ
ン酸エステル基が共存する部分中和物ないし部分ケン化
物であっても良い。
【0025】上記酸変性ポリオレフィンの塩(B-1)を後
中和または後ケン化により得る場合の原料となる重合体
は、ポリオレフィンに、中和されているか中和されてい
ないカルボン酸基を有する単量体、および/またはケン
化されているかケン化されていないカルボン酸エステル
基を有する単量体をグラフト共重合したものであるか、
ポリオレフィンを構成するα−オレフィンなどの単量体
と、中和されているか中和されていないカルボン酸基を
有する単量体、および/またはケン化されているかケン
化されていないカルボン酸エステル基を有する単量体と
を共重合したものである。
【0026】中和されているか中和されていないカルボ
ン酸基を有する単量体、およびケン化されているかケン
化されていないカルボン酸エステル基を有する単量体と
しては、例えばエチレン系不飽和カルボン酸、その無水
物またはそのエステルなどがあげられる。
【0027】ここでエチレン系不飽和カルボン酸として
は(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマール酸、テトラ
ヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン
酸、イソクロトン酸等、その無水物としてはナジック酸
TM(エンドシス-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2,3-ジ
カルボン酸)、無水マレイン酸、無水シトラコン酸等
が、不飽和カルボン酸エステルとしては上記エチレン系
不飽和カルボン酸のメチル、エチルもしくはプロピル等
のモノエステルまたはジエステルなどが例示できる。こ
れらの単量体は単独で用いることもできるし、また複数
で用いることもできる。
【0028】上記の単量体から選ばれるグラフト単量体
を被グラフト重合体にグラフト共重合して変性物を製造
するには、従来公知の種々の方法を採用することができ
る。例えば、被グラフト重合体を溶融させ、グラフト単
量体を添加してグラフト共重合させる方法、あるいは溶
媒に溶解させグラフト単量体を添加してグラフト共重合
させる方法などがあげられる。いずれの場合にも、前記
グラフト単量体を効率よくグラフト共重合させるために
は、ラジカル開始剤の存在下に反応を実施することが好
ましい。
【0029】グラフト反応は通常60〜350℃の温度
で行われる。ラジカル開始剤の使用割合は被グラフト重
合体100重量部に対して、通常0.01〜10重量部
の範囲である。ラジカル開始剤としては、有機ペルオキ
シド、有機ペルエステル、その他アゾ化合物などがあげ
られる。これらのラジカル開始剤の中でもジクミルペル
オキシド、ジ-tert-ブチルペルオキシド、2,5-ジメチル
-2,5-ジ(tert-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、2,5-ジメ
チル-2,5-ジ(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン、1,4-ビ
ス(tert-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン等の
ジアルキルペルオキシドが好ましい。
【0030】前記エチレン系不飽和カルボン酸、その無
水物またはそのエステルの導入される量は、−COO−
基として、樹脂1グラム中に0.05〜5ミリモル、好
ましくは0.1〜0.4ミリモルの範囲にある。
【0031】中和およびケン化に用いる塩基性物質とし
ては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニアお
よびアミン等の水中で塩基として作用する物質、アルカ
リ金属の酸化物、水酸化物、弱塩基、水素化物、アルカ
リ土類金属の酸化物、水酸化物、弱塩基、水素化物等の
水中で塩基として作用する物質、これらの金属のアルコ
キシドなどをあげることができる。このような物質の例
を以下に示す。
【0032】上記アルカリ金属としては、例えばナトリ
ウム、カリウム等、アルカリ土類金属としては、例えば
カルシウム、ストロンチウム、バリウム等をあげること
ができる。アミンとしては、例えばヒドロキシルアミ
ン、ヒドラジン等の無機アミン、メチルアミン、エチル
アミン、エタノールアミン、シクロヘキシルアミン等の
有機アミンをあげることができる。
【0033】アルカリ金属およびアルカリ土類金属の酸
化物、水酸化物、水素化物としては、例えば酸化ナトリ
ウム、過酸化ナトリウム、酸化カリウム、過酸化カリウ
ム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウ
ム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシ
ウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、水素化
ナトリウム、水素化カリウム、水素化カルシウム等をあ
げることができる。
【0034】アルカリ金属およびアルカリ土類金属の弱
塩基としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水
素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素カルシウ
ム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム等
をあげることができる。アンモニアおよびアミン化合物
としては、例えば水酸化アンモニウム、四級アンモニウ
ム化合物例えばテトラメチルアンモニウムヒドロキシ
ド、ヒドラジン水和物等をあげることができる。
【0035】塩基性物質により中和またはケン化された
カルボン酸塩あるいはカルボン酸エステル基としては、
カルボン酸ナトリウム、カルボン酸カリウム等のカルボ
ン酸アルカリ金属塩またはカルボン酸アンモニウムが好
適であり、中でもカルボン酸カリウムが好ましい。
【0036】本発明の水性分散体を構成する他の成分
は、高級脂肪酸の塩(B-2)である。高級脂肪酸の塩(B-2)
としては、炭素数25〜60の脂肪酸の塩が好ましく、
より好ましくは炭素数25〜40の脂肪酸のアルカリ金
属塩、アルカリ土類金属塩、アミンの塩が挙げられる。
特に好ましいのは、モンタン酸のアルカリ金属塩であ
る。
【0037】高級脂肪酸の塩(B-2)として炭素数25〜
60の脂肪酸の塩、特に好ましくはモンタン酸ワックス
の塩を用いれば、酸変性ポリオレフィン(B-1)を併用す
ることなくポリオレフィン系エラストマーからなる水性
分散体の固形分を水に均一に分散させることができる。
【0038】本発明の水性分散体を構成する高級脂肪酸
の塩(B-2)は、高級脂肪酸の塩のほかに、高級脂肪酸及
び/又は高級脂肪酸のエステルを含んでいても良い。エ
ステルを構成するアルコール残基は、炭素数2〜30で
あるものが好ましく、炭素数6〜20であるもののが特
に好ましい。残基は直鎖状でも、分岐状でも差し支えな
い。炭素数が異なるものの混合体であっても良い。アル
コール残基として具体的には、セチルアルコール、ステ
アリルアルコール、オレイルアルコール等の高級アルコ
ールの残基を挙げることができる。特にモンタン酸のエ
ステルワックス、モンタンろうが好適である。
【0039】高級脂肪酸の塩(B-2)は、上記の酸を中和
及び/又は該脂肪酸のエステルをケン化して得ることが
できる。この際、中和もしくはケン化されていない脂肪
酸または脂肪酸エステルが共存する部分中和物ないし部
分ケン化物であっても良い。中和及びケン化に用いるこ
とのできる塩基性物質は、前記の酸変性ポリオレフィン
(B-1)で挙げたものと同様なものを例示できる。
【0040】本発明の水性分散体は以上の構成のもの
に、さらに水を含有するものであるが、水分含有量は全
体当たり、すなわち水性分散体中3〜25重量%とする
ことが好ましい。また、本発明の水性分散体には、必要
に応じて、界面活性剤、有機溶剤、油などの添加剤成分
が添加される。以下これらの添加剤成分について説明す
る。
【0041】添加剤成分 界面活性剤としては、たとえば、アルキルナフタレンス
ルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮
合物のナトリウム塩、クレゾール・シェファー酸ホルム
アルデヒド縮合物のナトリウム塩、アルキルジフェニル
エーテルジスルホン酸ナトリウム塩、リグニンスルホン
酸カルシウム塩、メラニン樹脂スルホン酸ナトリウム
塩、特殊ポリアクリル酸塩、グルコン酸塩、オレフィン
・マレイン酸コポリマー、カルボキシメチルセルロース
ナトリウム塩、金属石鹸(Zn、Al、Na、K塩)、
オレイン酸カリウム塩、オレイン酸ナトリウム塩、ステ
アリン酸カリウム塩、ステアリン酸ナトリウム塩、牛脂
酸カリウム塩、牛脂酸ナトリウム塩、及びステアリン酸
トリエタノールアミン塩等のスルホン酸またはカルボン
酸型のアニオン系界面活性剤;
【0042】また、脂肪酸モノグリセライド、ソルビタ
ン脂肪酸エステル、シュガー脂肪酸部分エステル、ポリ
グリセリン脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレンア
ルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニル
エーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分エ
ステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸部分エ
ステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸部分エス
テル、ポリオキシエチレン脂肪族アミン、ポリオキシエ
チレン(硬化)ヒマシ油、ポリオキシエチレングリコー
ル脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロ
ピレン・ブロックポリマー、ヒドロキシエチルセルロー
ス、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、及
びメチルセルロース等の非イオン(ノニオン)系界面活
性剤が挙げられる。
【0043】これらの界面活性剤は1種または2種以上
を混合して使用することができる。これらの界面活性剤
の内、より安定な水分散体が得られるために、アニオン
系界面活性剤を用いることが好ましく、その中でも、高
級脂肪酸類が好ましく、特に炭素原子数10〜20の、
飽和または不飽和の高級脂肪酸の塩、特にアルカリ金属
塩が好ましい。具体的には、カプリン酸、ウンデカン
酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マーガ
リン酸、ステアリン酸、アラキン酸、リンデン酸、ツズ
酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレ
イン酸、アラキドン酸、牛脂酸等のアルカリ金属塩など
があげられる。
【0044】また、本発明の水性分散体に必要に応じて
加えられる界面活性剤には、塩基処理によって界面活性
剤となる界面活性剤前駆体の有機化合物、たとえば、塩
基処理によってアニオン系界面活性剤となる有機化合物
などを用いても良い。
【0045】添加剤成分としての有機溶剤は、ポリオレ
フィン系エラストマー(A)および酸変性ポリオレフィ
ンおよび/または高級脂肪酸の塩(B)を溶解(ないし
は膨潤)できるものであればよく、たとえばベンゼン、
トルエン、キシレン、スチレン、α−メチルスチレン、
ジビニルベンゼン等の芳香族炭化水素、ヘキサン、ヘプ
タン等の脂肪族炭化水素、トリクロロエチレン等のハロ
ゲン化炭化水素が例示できる。
【0046】この有機溶剤は、最終製品の水性分散体中
に含有されるものであってもよく、また最終水性分散体
から、蒸留、共沸蒸留等の手段で除去されるものであっ
てもよい。たとえば蒸留によって除去する場合には、有
機溶剤の沸点は100℃以下であることが望ましい。こ
の有機溶媒は、ポリオレフィン系エラストマー(A)を
膨潤ないし部分的に溶解させるものであり、従来の溶媒
法と異なり著しく少量で用いられる。
【0047】添加剤成分として用いられる油(天然油な
いし合成油)としては、スピンドル油、マシン油等の鉱
物系潤滑油;流動パラフィン、電気絶縁油、プロセスオ
イル等の鉱物油;アルキルベンゼン油、ジオレフィン
油、ジエステル油、アルキルナフテネート油等の合成
油;ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、ヤシ油、トール油
等の植物油等が使用される。これらの油剤は、樹脂固形
分中に安定保持される上で、200以上の数平均分子量
を有するものが好ましい。
【0048】水性分散体 本発明の水性分散体は、電気抵抗値が通常106Ω・cm以
下、その多くは105Ω・cm以下という低い値を示すこ
と、固形分が水相中に均一に分散することからも連続相
が水である分散体であることが推定される。なお、ここ
で電気抵抗値の測定は、1cm立方の絶縁体容器中の向
い合う両内側に1cmの電極を貼り、分散体を圧入した
後に電極間の抵抗値を交流式抵抗測定器で60Hzによ
り測定できる。
【0049】水性分散体の分散状態は、分散体を冷水中
に投じ、タービン翼を有する通常の撹拌機で撹拌した後
に、分散液を100mesh程度の金網でロ過することと分
散液中の粒子を顕微鏡で観察することによって確認でき
る。本発明の分散体は、水に分散させた状態では、実質
的に球状粒子であり、その平均粒径は0.1〜5μmの
範囲にある。この粒径はマイクロトラックを用いて測定
できる。
【0050】本発明の水性分散体において、前記各成分
は一定の量比の範囲で含有されることが望ましい。すな
わち、ポリオレフィン系エラストマー(A)100重量
部に対して、酸変性ポリオレフィンおよび/または高級
脂肪酸の塩(B)は0.5〜30重量部、好ましくは1
〜20重量部含まれることが望ましい。
【0051】本発明の水性分散体に、所望により添加さ
れる界面活性剤または塩基処理によって界面活性剤とな
る有機化合物は、ポリオレフィン系エラストマー(A)
100重量部当り0.1〜40重量部、特に0.2〜2
0重量部の量で配合するのがよい。また、所望により添
加される有機溶剤の配合量は、ポリオレフィン系エラス
トマー(A)100重量部当り10〜1000重量部、
特に20〜700重量部の範囲が望ましい。また、所望
により添加される油は、ポリオレフィン系エラストマー
(A)100重量部当り10〜500重量部、特に20
〜300重量部の量比で存在させるのがよい。
【0052】また、本発明の水性分散体では、水分含有
量が水性分散体全体に対して3〜25重量%、好ましく
は3〜20重量%である。水分含有量が3重量%未満で
は、転相(水により樹脂固形分が連続相から分散相に変
わること)が起こり難く、好適な水性分散体が得られな
い。また25重量%を超えると、水性分散体が流動性を
持つようになる。つまり、3〜25重量%の範囲にする
ことにより、見掛け上固体の水性分散体とすることがで
きる。
【0053】水性分散体の製造方法 上記のような水性分散体は、前記(A)ポリオレフィン
系エラストマーと、(B)酸変性ポリオレフィンおよび
/または高級脂肪酸の塩との溶融混練物に、水を所定の
濃度になるように添加してさらに溶融混練することによ
り得ることもできるが、本発明では、後中和または後ケ
ン化によって酸変性ポリオレフィンおよび/または高級
脂肪酸の塩とする製造方法が好ましい。
【0054】すなわち、本発明の水性分散体は、前記
(A)ポリオレフィン系エラストマーと、(B')酸変
性ポリオレフィンおよび/または高級脂肪酸との溶融混
練物に、塩基性物質と水を添加して溶融混練し、前記酸
変性ポリオレフィンおよび/または高級脂肪酸の少なく
とも一部を中和して固形分を水相に分散させて得られ
る。このとき、水は分散体全体の水分濃度が3〜25重
量%となるように添加されることが好ましい。
【0055】ここで添加される(B')酸変性ポリオレ
フィンおよび/または高級脂肪酸は、塩基処理によっ
て、ポリオレフィンの重合体鎖に結合したカルボン酸の
塩の基(部分中和物ないし部分ケン化物のときはカルボ
ン酸基を含む)を、樹脂1グラム当たり、−COO−基
として0.05〜5ミリモル、好ましくは0.1〜4ミ
リモルの濃度で生成し得る酸変性ポリオレフィン、およ
び/または、全脂肪酸またはそのエステルの60〜15
0%、好ましくは80〜130%が中和またはケン化さ
れて脂肪酸の塩を生成し得る高級脂肪酸である。
【0056】また、必要に応じて、界面活性剤もしくは
塩基処理によって界面活性剤となる有機化合物、有機溶
剤、油などの添加剤が、前記(A)ポリオレフィン系エ
ラストマーと、(B')酸変性ポリオレフィンおよび/
または高級脂肪酸とに加えられて溶融混練されても良
い。
【0057】本発明の水性分散体の製造方法に利用でき
る溶融混練手段としては、ニーダー、バンバリーミキサ
ー、押出機など公知の方法が挙げられるが、中でも押出
機、特に多軸スクリュー押出機を用いて製造するのが好
ましい。以下、押出機を用いる例で説明するが、他の溶
融混練手段を用いる場合にも、適宜応用され得る。
【0058】本発明の方法の実施に好適に使用される装
置を図1により説明する。第1図において、押出機1は
バレル2とバレル内に設けられた二軸スクリュー3a、
3bとを備えており、その一方の端部にはポリオレフィ
ン系エラストマー(A)及び酸変性ポリオレフィンおよ
び/または高級脂肪酸(B')或いは更に必要あれば界
面活性剤ないしその前駆物質、有機溶剤、油などを供給
するためのホッパー4が設けられ、また押出機1の途中
には水或いは塩基性物質の水溶液を供給するための供給
口5が設けられている。更に、押出機1の他方の端部、
即ち押出口には冷却装置6が設けられている。冷却装置
6は、例えば冷却用媒体を通すためのジャケットを備え
たスタティックミキサーであってもよい。
【0059】水性分散体の製造は、まず疎水性のポリオ
レフィン系エラストマー(A)及び酸変性ポリオレフィ
ンおよび/または高級脂肪酸(B')、或いは更に必要
に応じ界面活性剤、有機溶剤、油剤等をホッパー4から
供給し、これらの成分を溶融混練する。溶融混練時の温
度は、使用する樹脂のうちの最も高い融点もしくは軟化
点以上、好ましくは溶融粘度が106ポイズ以下、特に
105ポイズ以下になる温度以上である。また有機溶剤
や油を併用する場合には重合体の融点もしくは軟化点以
上の温度である必要はなく、組成物の溶融粘度が上記範
囲となる条件下であればよい。
【0060】次いで、押出機1内のバレル2とスクリュ
ー3a、3bとの空隙部の溶融物が充満されている部分
に、供給口5から水或いは塩基性物質の水溶液を添加す
る。空隙部の溶融物が充満されているかは、その部分の
背圧や、樹脂押出量当たりの押出機の動力(比エネルギ
ー)により確認できる。水或いは塩基性物質の水溶液を
添加した後、添加混合物の溶融混練を続行し水性分散体
への転相を行わせる。
【0061】形成される水性分散体は冷却装置6で水の
沸点よりも低い温度に冷却され、安定な水性分散体の形
で取出される。なお、水性分散体の冷却は、これを系外
に取出す場合にのみ必要であり、この水性分散体を系外
に取出すことなく、引続き後処理、化学反応等の用途に
使用する場合には冷却する必要はない。ここで得られる
水性分散体には、さらに水分を添加してもよい。
【0062】溶融混練し製造された水性分散体は、その
後室温またはそれ以下まで自然にまたは人工的に冷却さ
れる。この時に分散粒子は固化し、安定な分散物とな
る。溶剤を用いた場合には、必要により蒸発等の手段で
これを除去してもよい。
【0063】この分散体或いはその加水物の製造にあた
っては、通常水性分散物に使用することのできる各種副
資材たとえばアニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤
などの分散剤、乳化剤、安定化剤、湿潤剤、増粘剤、起
泡剤、消泡剤、凝固剤、ゲル化剤、老化防止剤、軟化
剤、可塑剤、充填剤、着色剤、付香剤、粘着防止剤、離
型剤などを併用してよい。
【0064】また、本発明の水性分散体は、上記で得ら
れた水性分散体に架橋処理をして、ポリオレフィン系エ
ラストマー(A)の分子鎖中に、架橋結合を形成しても
よい。架橋処理は、水性分散体中に、多官能性モノマー
を配合し、電離性放射線架橋や有機過酸化物架橋等の公
知の方法により行うことができる。
【0065】ここで多官能性モノマーとしては、例えば
2以上のエチレン系不飽和結合、特にビニル結合等を有
するモノマーが好適に使用され、具体的には、ジビニル
ベンゼン、テトラメチレンジアクリレート、エチレング
リコールジメタクリレート、1,2,4-トリビニルシクロヘ
キサン、テトラアリロキシエタン等を例示できる。多官
能性モノマーは、ポリオレフィン系エラストマー100
重量部に対して、通常0.1〜20重量部、好ましくは
0.3〜5重量部の割合で用いられる。
【0066】電離性放射線架橋では、電離性放射線とし
てα線、β線、γ線、電子線、X線等のいずれを用いて
も良く、照射線量は通常1〜50メガラド程度である。
【0067】有機過酸化物架橋は、水性分散体中に過酸
化物を均一に分散させた後、過酸化物の分解温度以上に
加熱する方法で、用い得る過酸化物としては、1,1-ビス
(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、t-ブチルパーオ
キシピバレート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサ
ノエート、t-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネー
ト、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキ
サン、3,5,5-トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、
ベンゾイルパーオキサイド、p-クロロベンゾイルパーオ
キサイド、2,4-ジクロロベンゾイルパーオキサイド、イ
ソブチルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジ
カーボネート、ジ(2-エチルヘキシル)パーオキシカーボ
ネートなどが例示される。
【0068】過酸化物の使用量は、ポリオレフィン系エ
ラストマー100重量部当たり、通常0.1〜20重量
部、好ましくは1〜10重量部である。また、架橋度は
特に限定されず、用途に応じて適宜選択される。
【0069】以上の様にして製造された本発明の水性分
散体は、コーティング材として各種材質の表面の被膜形
成に応用される。被コーティング物の材質、形状は、
木、紙、樹脂、金属、ガラス、セラミックなどの材質、
フィルム、シート、繊維、不織布、中空成形体などの形
状のものに特に制限されることなく適用できる。
【0070】金属基材上にコーティングする被膜形成方
法について次に説明する。被膜(コーティング層)の形
成は、金属基材上に前記水性分散体組成物を塗布し、乾
燥、硬化させて行われる。水性分散体組成物の塗布に
は、スプレー、カーテン、フローコーター、ロールコー
ター、刷毛塗り、浸漬等のいずれの方法によっても行な
うことができる。水性分散体組成物を塗布した後の乾燥
は、自然乾燥によっても良いが焼付けを行なうのが好ま
しい。焼付けは、80〜250℃で20秒〜10分間加
熱することにより行い、被膜が形成される。この被膜の
形成工程において、水性分散体組成物がほとんど有機溶
媒等を含有していないものであるため、製造工程の作業
環境を良好に保つことができるという利点がある。
【0071】被膜の厚さは、積層体の用途、使用する水
性分散体組成物等によって適宜選択されるため特に限定
されるものではないが、通常、水性分散体組成物を塗布
した後の乾燥時の塗膜割れを抑えるために、0.5〜2
0μm、特に1〜10μmの厚さが好ましい。
【0072】本発明のポリオレフィン系エラストマー水
性コーティング剤は、分散粒子の平均粒径が0.1〜5
μmと微細で、しかも高濃度であり、各種材料に塗工し
た場合に得られる被膜が、防湿性、撥水性、紙・金属・
木・繊維(天然繊維、合成繊維、無機繊維)・不織布へ
の熱接着性、無機粒子の結着性、熱転写性、強度、耐摩
耗性、耐衝撃性、耐候性、耐溶剤性、耐水性、柔軟性に
優れている。また他の水性コーティング剤に添加して上
記の性能を改良する用途にも使える。
【0073】また、本発明のポリオレフィン系エラスト
マー水性コーティング剤の粒子は、上記した架橋剤、例
えば多官能性不飽和化合物と過酸化物の組合せたものに
より架橋処理を行って架橋水性分散体粒子にすることが
できる。この架橋水性分散体粒子の架橋度は架橋剤の量
により制御でき、たとえば架橋度を高くするとゴム弾性
を有していて、加熱処理によっても粒子状の形状を保持
するような水性分散体粒子が得られる。
【0074】この様な本発明のポリオレフィン系エラス
トマー水性コーティング剤は、紙コーティングによる壁
紙用バインダー、繊維用コーティング剤(繊維、布、ネ
ットの強度増大、吸湿性、撥水性改良、防水性付与)、
各種繊維(ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、ガラス
繊維、炭素繊維、セラミック繊維等)の集束用コーティ
ング剤、滑剤、紙・不織布・滅菌紙の目止め及び熱接着
用コーティング剤、紙・フィルムのヒートシール用コー
ティング剤、接着剤用材料、インキ・塗料のバインダ
ー、セラミック用バインダー、ニッケル−水素電池、リ
チウム電池等の二次電池の電極用バインダー、熱転写リ
ボン用コーティング剤、インクジェットプリンター用紙
及びフィルムのコーティング剤、感熱紙用コーティング
剤、自動車用塗料の耐チッピング性改良剤、フロアーポ
リッシュ用添加剤、フィルム用耐ブロッキング性改良
剤、分散剤等に使用される。
【0075】本発明のポリオレフィン系エラストマー水
性コーティング剤にはさらに、必要に応じて、例えば、
被膜性能を向上させるための水溶性メラミン樹脂、水性
アクリル樹脂、水性ポリカルボジイミド;分散体の安定
性を向上し、粘度を調整するためのポリビニルアルコー
ル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルエーテル、ポリ
エチレンオキサイド、ポリアクリルアミド、ポリアクリ
ル酸、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロー
ス、ヒドロキシエチルセルロース等の有機増粘剤、二酸
化ケイ素、活性白土、ベントナイト等の無機増粘剤;水
性分散体の安定性を向上させるためのノニオン系界面活
性剤、アニオン系界面活性剤、あるいは水溶性多価金属
塩類;その他の防錆剤、防かび剤、耐候安定剤、耐熱安
定剤、難燃剤、発泡剤、消泡剤;チタン白、ベンガラ、
フタロシアニン、カーボンブラック、パーマネントイエ
ロー等の顔料;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭
酸バリウム、タルク、水酸化アルミニウム、硫酸カルシ
ウム、カオリン、雲母、アスベスト、マイカ、ケイ酸カ
ルシウム等の充填剤などを、本発明の目的を損なわない
範囲で添加しても良い。
【0076】
【発明の効果】本発明の水性分散体は、耐水性、耐油
性、耐薬品性に優れると共に各種材料との密着性に優れ
た被膜を形成することができるので、紙、繊維、木材、
金属、プラスチック成型品などの基材表面に塗布乾燥さ
せて樹脂被膜を形成させ、基材に耐水性、耐油性、耐薬
品性、耐食性を付与したり、ヒートシール剤として機能
する。また、本発明の水性分散体は、廃棄焼却時に塩化
水素ガス等の有害ガスを発生することがないので、環境
汚染の問題が無い。また、本発明の水性分散体は、溶融
混練するだけで簡単に製造できる。
【0077】
【実施例】(製造例)ポリオレフィン系エラストマーと
して、エチレン・プロピレン・ターポリマー(三井化学株
式会社製X3012)100重量部に対して、酸変性ポ
リオレフィンとして、無水マレイン酸変性ポリエチレン
ワックス(グラフト量:3重量%、−COO−基:0.
67ミリモル/g-重合体)10重量部およびオレイン酸
カリウム2重量部を混合し、2軸スクリュー押出機(池
貝鉄工製 PCM−30 L/D=20)のホッパーよ
り3000g/時間の速度で供給して190℃で溶融混
練し、同押出機のベント部に設けた供給口より水酸化カ
リウムの18.7%水溶液を123g/時間の割合で連
続的に供給し、加熱温度200℃で連続的に押出した。
【0078】押出された溶融混練物は同押出機出口に設
置したジャケット付きスタティックミキサーで90℃ま
で冷却し、さらに80℃の温水中に投入し固形分濃度4
7重量%になるように調整し、水性分散体を得た。得ら
れた水性分散体の平均粒径は、マイクロトラックで測定
したところ0.5μmであった。
【0079】(実施例1) 〔ガラスファイバー用コーティング剤〕平均繊維径13
μmのEガラスフィラメントの2000本を一束とした
ロービングを400℃のオーブン中に5分間保持した後
取り出し、このロービングを、上記製造例の水性分散体
にアミノイソプロピルトリエトキシシランを加えた混合
液に浸漬した後130℃で乾燥した。次いで角形金型中
にガラス繊維含量が約70重量%になるように、ポリプ
ロピレンフィルム層と、処理したガラスロービングを一
方向に引き揃えて並べた層を交互に16層積層したもの
を載置し、角形金型を250℃に加熱した後、金型の上
下方向から20kg/cm2の圧力を加えて積層板を成
形した。加熱された金型を1℃/分で徐冷した後、成形
板を取り出し、この板から曲げ試験片を切り出して強度
を測定した(測定法:ASTM D790準拠)。その
結果、曲げ強度は60kg/mm2、曲げ弾性率は46
00kg/mm2であった。
【0080】(比較例1)実施例1で用いたロービング
に水性分散体の塗布を行わなかったほかは、実施例1と
同様にして積層板を成形し曲げ強度測定を行った。その
結果、曲げ強度は30kg/mm2、曲げ弾性率は40
00kg/mm2であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る製造方法の実施に使用される混練
装置の側面配置図である。
【符号の説明】 1 押出機 2 バレル 3a、3b スクリュー 4 ホッパー 5 水の供給口 6 冷却装置 7 圧力計
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09D 191/06 C09D 191/06

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)ポリオレフィン系エラストマー、
    (B)酸変性ポリオレフィンおよび/または高級脂肪酸
    の塩、および(C)水を含有し、固形分が水相に均一に
    分散している水性分散体からなることを特徴とするポリ
    オレフィン系エラストマー水性コーティング剤。
  2. 【請求項2】 前記ポリオレフィン系エラストマー
    (A)100重量部に対して、前記酸変性ポリオレフィ
    ンおよび/または高級脂肪酸の塩(B)を0.5〜30
    重量部の割合で含む水性分散体からなることを特徴とす
    る請求項1に記載のポリオレフィン系エラストマー水性
    コーティング剤。
  3. 【請求項3】 前記ポリオレフィン系エラストマー
    (A)を含む固形分濃度が10〜70重量%であり、固
    形分粒子の平均粒径が0.1〜5μmである水性分散体
    からなることを特徴とする請求項1または2に記載のポ
    リオレフィン系エラストマー水性コーティング剤。
  4. 【請求項4】 前記ポリオレフィン系エラストマー
    (A)が、エチレンとα−オレフィンおよび/またはジ
    エンとからなる共重合体であることを特徴とする請求項
    1ないし3のいずれかに記載のポリオレフィン系エラス
    トマー水性コーティング剤。
  5. 【請求項5】 前記酸変性ポリオレフィンが、不飽和ジ
    カルボン酸類で変性されたポリオレフィンワックスであ
    ることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載
    のポリオレフィン系エラストマー水性コーティング剤。
  6. 【請求項6】 前記(A)ポリオレフィン系エラストマ
    ーと、(B')酸変性ポリオレフィンおよび/または高
    級脂肪酸との溶融混練物に、塩基性物質と全体の水分濃
    度が3〜25重量%となるように水を添加して溶融混練
    し、前記酸変性ポリオレフィンおよび/または高級脂肪
    酸の少なくとも一部を中和および/またはケン化して固
    形分を水相に分散させて得られる請求項1ないし5のい
    ずれかに記載のポリオレフィン系エラストマー水性コー
    ティング剤。
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