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JP2000250074A - エレクトロクロミック素子 - Google Patents

エレクトロクロミック素子

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Publication number
JP2000250074A
JP2000250074A JP11050111A JP5011199A JP2000250074A JP 2000250074 A JP2000250074 A JP 2000250074A JP 11050111 A JP11050111 A JP 11050111A JP 5011199 A JP5011199 A JP 5011199A JP 2000250074 A JP2000250074 A JP 2000250074A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
electrochromic device
electrochromic
solid electrolyte
electrolyte
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP11050111A
Other languages
English (en)
Inventor
Toshimi Fukui
俊巳 福井
Toshio Tsuchiya
俊雄 土谷
Keiji Nishio
圭史 西尾
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kansai Research Institute KRI Inc
Original Assignee
Kansai Research Institute KRI Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kansai Research Institute KRI Inc filed Critical Kansai Research Institute KRI Inc
Priority to JP11050111A priority Critical patent/JP2000250074A/ja
Publication of JP2000250074A publication Critical patent/JP2000250074A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Electrochromic Elements, Electrophoresis, Or Variable Reflection Or Absorption Elements (AREA)
  • Conductive Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 応答性に優れた全固体型のエレクトロクロミ
ック素子を提供する。 【手段】 一対の透明基板1a、1bのそれぞれの対向
面側に透明電極層2a、2bを形成し、それぞれの透明
電極層2a、2bの表面にエレクトロクロミック層3、
4を形成し、両エレクトロクロミック層間に、プロトン
導電性ゲル電解質で形成された固体電解質層5を挾持し
て、応答速度が1秒以内である素子を構成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、物質に印加され
る電圧によって物質の色が可逆的に変化するエレクトロ
クロミック(以下、「EC」という)現象を応用した表
示素子であるエレクトロクロミックディスプレイ(EC
D)等に使用されるEC素子に関し、特に応答性に優れ
た全固体型EC素子に関する。
【0002】
【従来の技術】EC素子は、電圧を印加することにより
物質が酸化または還元する電気化学反応を利用したもの
であり、その反応に伴って物質の色が可逆的に変化する
現象を応用して、表示素子や調光体、透過率可変フィル
タなどへの適用が試みられている。このEC素子は、図
6に縦断面図を模式的に示すような基本構成を有してい
る。
【0003】すなわち、EC素子は、一対の透明基板、
例えばガラス基板10a、10bのそれぞれの対向面側
に透明電極層、例えばITO(Indium Tin
Oxide;酸化インジウム−酸化錫(In−S
nO))電極層12a、12bを形成し、それぞれの
ITO電極層12a、12bの表面に第1のEC層13
および第2のEC層14を形成して、両EC層13、1
4間に電解質層15を挾持するように設けた積層構造を
有している。あるいは、図7に縦断面図を模式的に示す
ように、一対の透明基板、例えばガラス基板20a、2
0bのうちの一方の対向面側に透明電極層、例えばIT
O電極層21を形成するとともに、他方のガラス基板2
0bの対向面側に対極層22を形成し、ITO電極層2
1の表面にEC層23を形成して、EC層23と対極層
22との間に電解質層24を挾持するように設けた積層
構造を有し、電解質層24に白い背景板25を配設した
構成のEC素子もある。前者の図6に示したEC素子
は、透過型の表示モードの相補型素子であり、後者の図
7に示したEC素子は、反射型の表示モードの電荷転送
型素子である。
【0004】また、EC素子には、電解質層15、24
に液体電解質を用いたものと固体電解質を用いたものと
がある。液体電解質を用いたEC素子の例としては、I
TOガラス基板(ガラス基板/ITO膜)/WO(E
C材料)/LiClO−プロピレンカーボネート(電
解質)/白色背景板/カーボン電極(対極材料)/IT
Oガラス基板(ITO膜/ガラス基板)の構成を有し、
EC層としてのWO膜をガラス基板のITO膜上に真
空蒸着により形成し、活性炭クロスをカーボンペースト
でガラス基板のITO膜上に貼り付けて対極層とした電
荷転送型EC素子が、電子部品材料研究会資料CPM8
6−108(電気通信学会)に開示されている。また、
ITOガラス基板(ガラス基板/ITO膜)/WO
LiClO−プロピレンカーボネート/V(E
C材料)/ITOガラス基板(ITO膜/ガラス基板)
の構成を有し、EC層としてのWO膜およびV
膜をそれぞれゾル−ゲル法により形成した相補型EC素
子が、チン・ソリッド・フィルムズ(Thin Sol
id Films)、293、108−112(199
7)に開示されている。これらの液体電解質を用いたE
C素子の応答速度は、例えば着色−消色の1サイクル当
り30秒というようにある程度確保されるが、このEC
素子では、電解質が溶液であるので、そのパッキングの
ための工程が煩雑となり、また、シール部からの液漏れ
や破損時の液漏れを生じる恐れがある、といった大きな
課題を有している。
【0005】一方、固体電解質を用いたEC素子の例と
しては、ITOガラス基板(ガラス基板/ITO膜)/
WO/Sb・nHO(電解質)/カーボン電
極の構成を有し、EC層としてのWO膜をガラス基板
のITO膜上に真空蒸着により形成し、電解質層および
カーボン電極層をスクリーン印刷により形成したEC素
子が、電子技術、26、59(1984)に開示されて
おり、また、ITOガラス基板(ガラス基板/ITO膜
/IrO(EC材料)/Ta(電解質)/WO
/Alの構成を有し、すべての層を真空蒸着またはス
パッタ法により形成した相補型EC素子が、プロシーデ
ィングズ・オブ・ジャパン・ディスプレイ(Proce
edings of Japan Display)’
86、372(1986)に開示されている。また、I
TOガラス基板(ガラス基板/ITO膜)/WO/L
iイオンゲル電解質/CeO−TiO(EC材料)
/ITOガラス基板(ITO膜/ガラス基板)の構成を
有し、各層をゾル−ゲル法によりそれぞれ形成したEC
素子が、ジャーナル・オブ・ノン−クリスタリン・ソリ
ッヅ(Journal of Non−Crystal
line Solids)、218、185−188
(1997)に開示されている。さらに、例えば特開平
10−232413号公報には、EC層を設けた電極付
き基板ともう一方の電極付き基板との間に挾持される電
解質層として、レドックス材料を含有する高分子固体電
解質でありその高分子固体電解質がウレタンアクリレー
トを硬化させたものを用い、対極材料層を必要としない
EC素子が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】固体電解質を用いて電
解質層を形成したEC素子は、全固体型とすることによ
り、液体電解質を用いたEC素子のようにシール部から
の液漏れや破損時の液漏れといった問題が解消され、製
作工程も液体電解質を用いたEC素子に比べて簡易にな
る。しかしながら、固体電解質を用いた全固体型EC素
子は、例えば応答速度が10分以上になるといったよう
に、液体電解質を用いたEC素子に比べて応答性が悪
い。
【0007】この発明は、以上のような事情に鑑みてな
されたものであり、固体電解質を用いた全固体型のEC
素子であって、応答性に優れたEC素子を提供すること
を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、
一対の基板のそれぞれの対向面側に電極層を形成し、そ
れら両電極層間にEC層および固体電解質層を挾持した
EC素子において、前記固体電解質層をプロトン導電性
ゲル電解質によって形成し、応答速度が1秒以内である
ことを特徴とする。
【0009】請求項2に係る発明は、請求項1記載のE
C素子において、それぞれの基板を透明素材で形成する
とともに、それぞれの電極層を透明導電性材料で形成
し、第1のEC層と第2のEC層との間に固体電解質層
を設けたこと、すなわち、透明基板/透明電極層/第1
のEC層/固体電解質層/第2のEC層/透明電極層/
透明基板の構成を有した相補型素子であることを特徴と
する。
【0010】請求項3に係る発明は、請求項1または請
求項2記載のEC素子において、それぞれの基板を有機
−無機ハイブリッド材料で形成して、それぞれの基板が
可撓性を有することを特徴とする。
【0011】請求項4に係る発明は、請求項1または請
求項2記載のEC素子において、それぞれの基板をプラ
スチック材料で形成して、それぞれの基板が可撓性を有
することを特徴とする。
【0012】請求項5に係る発明は、請求項1ないし請
求項4のいずれかに記載のEC素子において、固体電解
質層を形成するプロトン導電性ゲル電解質として、炭
素、酸素、シリコン、硫黄、燐および水素からなる群よ
り選ばれた1種もしくは2種以上の元素を含む物質を用
いたことを特徴とする。
【0013】請求項6に係る発明は、請求項1ないし請
求項5のいずれかに記載のEC素子において、EC層が
非晶質膜であることを特徴とする。
【0014】請求項7に係る発明は、請求項1ないし請
求項6のいずれかに記載のEC素子において、EC層お
よびプロトン導電性ゲル電解質で形成される固体電解質
層がそれぞれ、金属アルコキシドまたは金属塩を原料と
したゾル−ゲル法により成膜された非晶質膜であること
を特徴とする。
【0015】請求項8に係る発明は、請求項1ないし請
求項7のいずれかに記載のEC素子において、エレクト
ロクロミック層の厚みを50μm〜1μmとしたことを
特徴とする。
【0016】請求項9に係る発明は、請求項1ないし請
求項8のいずれかに記載のEC素子において、固体電解
質層を形成するプロトン導電性ゲル電解質として、ポリ
エチレングリコール鎖を有しアルコキシシランの加水分
解物もしくは加水分解重縮合物を含有し硫酸基または燐
酸基を含む物質を用いたことを特徴とする。
【0017】請求項1ないし請求項9に係る各発明のE
C素子は、電解質層が固体であるため、シール部からの
液漏れや破損時の液漏れを生じる恐れが無く安全であ
り、製作工程も比較的に簡易であるとともに、固体電解
質層がプロトン導電性ゲル電解質によって形成されてい
ることにより、応答速度が1秒以内であり応答性に優れ
ている。このEC素子における応答速度が速いのは、電
圧を印加した際に固体電解質層を形成しているプロトン
導電性ゲル電解質中で電解二重層が形成されることによ
るものと考えられる。この点について、図4および図5
に示した模式図に基づいて説明する。
【0018】図4および図5は、EC素子の積層構造を
示す模式図であり、図4が、電圧を印加していない状態
を示し、図5が、電圧を印加した時の状態を示してい
る。これらの図において、符号30a、30bが、それ
ぞれ電極層、例えばITO電極層を示し、符号31a、
31bが、それぞれEC層、例えば31aが酸化バナジ
ウム層、31bが酸化イリジウム(水酸化物の形態であ
るかも知れない)層を示し、符号32が、プロトン導電
性ゲル電解質、図示例では硫酸基を含む物質によって形
成された固体電解質層を示し、また、符号33、34
が、直流電源およびスイッチをそれぞれ示している。な
お、これらの図においては、一対の基板の図示を省略し
ている。
【0019】EC素子のITO電極層30a、30b間
に電圧を印加していないときは、図4に示すように、固
体電解質層32中においてHSO イオンおよびH
イオンは層全体に分散している。なお、図4におい
ては、HSO イオンの分散状態だけを示し、H
イオンの分散状態の図示を省略している。そして、図
5に示すように、ITO電極層30a、30b間に電圧
を印加すると、固体電解質層32中においてH
オンおよびHSO イオンの移動が起こり、H
イオンおよびHSO イオンが酸化バナジウム層31
aおよび酸化イリジウム層31bに沿ってそれぞれ集ま
り、固体電解質層32のゲル電解質中で電解二重層が形
成される。この状態で、酸化バナジウム層31a中への
プロトン(H)の挿入と酸化イリジウム層31bから
のプロトン(H)の引き抜きが行われ、還元反応によ
り酸化バナジウム層31aが着色し、酸化反応により酸
化イリジウム層31bが着色する。また、ITO電極層
30a、30b間に正・負の逆電位を印加すると、逆の
反応が起こり、酸化バナジウム層31aおよび酸化イリ
ジウム層31bの色が消えて透明な状態に戻る。このよ
うに、EC素子のITO電極層30a、30b間に電圧
を印加した時に固体電解質層32のゲル電解質中で電解
二重層が形成されることにより、応答速度が速くなるも
のと考えられる。
【0020】また、請求項3、4に係る各発明のEC素
子は、可撓性があり、また、軽量化が可能である。さら
に、請求項3に係る発明のEC素子では、加熱プロセス
が可能であるので、透明電極やEC材料の特性を向上さ
せることが可能になる。
【0021】請求項6に係る発明のEC素子では、EC
層を形成する際に加熱処理が必要である場合には、加熱
温度が低くてよいことになる。
【0022】請求項7に係る発明のEC素子では、ゾル
−ゲル法によりEC層や電解質層を形成する場合におけ
る加熱温度が低くてよいことになる。
【0023】請求項8に係る発明のEC素子では、電圧
の印加時に適当な色濃度となる。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、この発明の好適な実施形態
について図1ないし図3を参照しながら説明する。
【0025】図1は、この発明の実施形態の1例を示
し、EC素子を模式的に示す縦断面図である。このEC
素子は、一対の透明基板1a、1bのそれぞれの対向面
側に透明電極層2a、2bを形成し、一方の透明電極層
2aの表面にEC材料AからなるEC層3を、他方の透
明電極層2bの表面にEC材料BからなるEC層4をそ
れぞれ形成し、両EC層3、4間に固体電解質層5を挾
持して構成されており、透明基板1a/透明電極層2a
/EC材料AからなるEC層3/固体電解質層5/EC
材料BからなるEC層4/透明電極層2b/透明基板1
bという積層構造を有する相補型素子である。そして、
固体電解質層5が、プロトン導電性ゲル電解質によって
形成されている。
【0026】透明基板1a、1bは、透明性を有するガ
ラス材料やプラスチック材料、あるいは有機−無機ハイ
ブリッド材料で形成されているが、EC素子としての透
光性に影響を与えなければ、透明基板1a、1bの形成
材料は特に限定されない。透明基板1a、1bをプラス
チック材料や有機−無機ハイブリッド材料で形成したと
きは、素子自体に可撓性があり、また、軽量化が可能で
ある。有機−無機ハイブリッドの無機成分は、例えばS
iO、AlやTiO、ZrO、Nb
、Ta等の遷移金属酸化物であり、有機成
分は、例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン
(PP)、ポリスチレン(PS)等のポリオレフィン、
ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリエチレングリコ
ール(PEG)などのポリエーテル、ポリビニルアルコ
ール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポ
リビニルホルマール(PVF)、ポリメタクリル酸(P
MA)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリア
クリル酸エステル、ポリ塩化ビニル(PVC)などのビ
ニル系、ポリイミド、ポリアミド、ヒドロキシプロピル
セルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)等の
セルロース系、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレ
ンテレフタレート(PET)、ビニリデン、ゴム系材
料、フェノール、メラニン、ポリウレタンなどである。
【0027】透明電極層2a、2bは、ITO、SnO
:F(フッ素ドープ酸化スズ)、Ab−SnO(A
TO)、ZnO、Al−ZnO(AZO)などの通常知
られている透明導電性材料を用いて、真空蒸着法やゾル
−ゲル法などの通常知られている方法により透明基板1
a、1b上に成膜することにより形成される。
【0028】EC層3、4を形成するEC材料として
は、WO、V、IrO、プルシアンブルー、
ポリアニリンなどが使用されるが、非晶質酸化物である
ことが特に好ましい。例えば、EC層3を形成する材料
AとしてWOが使用され、EC層4を形成するEC材
料BとしてIrO・xHO(水和物として化学式を
記載したが、実際は水酸化物であるかも知れない)が使
用される。
【0029】EC層3、4の成膜方法としては、スパッ
タ、CVDなどの気相法や、ゾル−ゲル法、噴霧熱分解
法、水熱法等の液相法が用いられる。特に、金属塩や金
属アルコキシドを出発原料にしたゾル−ゲル法により成
膜して、EC層3、4を形成することが好ましく、EC
層3、4が非晶質膜であることが好ましい。この場合、
出発原料としては、WCl、WCl、W(O
R)、HWO、VOCl、VO(OR)、I
rCl、IrCl、などが使用される。アルコキシ
ドのRは、好ましくは炭素数1から5までのアルキル基
である。成膜方法としては、スピン、ディップ、フロ
ー、バーコートなどの方法が用いられる。また、ゲル膜
の加熱処理は、例えば100℃〜600℃で行われが、
好ましくは400℃以下、より好ましくは300℃以下
の温度で行われる。この温度範囲であれば、有機−無機
ハイブリッド上での成膜が可能である。
【0030】固体電解質層5を形成するプロトン導電性
ゲル電解質としては、炭素、酸素、シリコン、硫黄、燐
および水素からなる群より選ばれた1種もしくは2種以
上の元素を含む物質が用いられる。より具体的には、ポ
リエチレングリコール(PEG)鎖を有し、アルコキシ
シランの加水分解物もしくは加水分解重縮合物(ケイ酸
もしくはポリケイ酸またはそれらの誘導体)を含有し、
硫酸基または燐酸基を含む物質が好ましい。固体電解質
層5は、金属塩や金属アルコキシドを出発原料にしたゾ
ル−ゲル法により成膜して形成することが好ましく、非
晶質膜とすることが好ましい。より具体的には、プロト
ン導電性ゲル電解質は、金属塩や金属アルコキシドとア
ミノアルキルポリエチレングリコールと硫酸や燐酸との
反応により合成される。そして、得られた反応物を、透
明基板1a、1b上に形成されたEC層3(またはEC
層4)の表面に塗布し、あるいはEC層3、4間に流し
込んだ後、ゲル化させることにより、固体電解質層5が
形成される。
【0031】上記した実施形態では、透過型の表示モー
ドのEC素子について説明したが、この発明は、図2に
模式的に縦断面図を示すように、反射型の表示モードの
EC素子についても同様に適用し得る。図2に示したE
C素子は、図1に示したEC素子と同様に、一対の透明
基板1a、1bのそれぞれの対向面側に透明電極層2
a、2bを形成し、一方の透明電極層2aの表面にEC
材料AからなるEC層3を、他方の透明電極層2bの表
面にEC材料BからなるEC層4をそれぞれ形成し、両
EC層3、4間に固体電解質層6を挾持して構成されて
いる。そして、このEC素子には、固体電解質層6に白
い背景板7が配設されている。
【0032】
【実施例】この発明の実施例について、EC素子の製造
方法を具体的に示しながら説明する。
【0033】[WO塗布液の合成1]六塩化タングス
テンを脱水エタノールに溶解させた後、その溶液を50
℃の温度で24時間加熱しながら撹拌した。これによ
り、WOとして3重量%のエタノール塗布液を調製し
た。
【0034】[WO塗布液の合成2]ペンタエトキシ
タングステンを脱水エタノールに溶解させた後、その溶
液を0.1M塩酸−エタノール溶液(HO/W=1モ
ル)で加水分解した。これにより、WOとして3重量
%のエタノール塗布液を調製した。
【0035】[V塗布液の合成1]オキシ塩化バ
ナジウムを脱水エタノールに溶解させた後、その溶液を
50℃の温度で24時間加熱しながら撹拌した。これに
より、Vとして3重量%のエタノール塗布液を調
製した。
【0036】[V塗布液の合成2]トリエトキシ
バナジルを脱水エタノールに溶解させることにより、V
として3重量%のエタノール塗布液を調製した。
【0037】[IrO塗布液の合成]四塩化イリジウ
ムを脱水エタノールに溶解させた後、その溶液にIrと
当モルの酢酸を添加した。これにより、IrOとして
2重量%のエタノール塗布液を調製した。
【0038】[ゲル電解質の合成]テトラエトキシシラ
ン(TEOS)と水(HO/TEOS=8倍モル)と
α,ω−ジ(2−アミノプロピル)ポリエチレングリコ
ール(TEOSの重量比で7倍)とを混合し、透明溶液
を得た後、その透明溶液に1M硫酸(HO/TEOS
=70倍モル)を加えた。得られた混合液に超音波照射
を行い、消泡およびゲル化を促進させて、ゲル電解質を
得た。
【0039】[EC素子の作製] (実施例1〜9)ITO電極膜が被着したそれぞれの基
板上にディップコータを用いてEC材料A、Bをそれぞ
れ成膜させた後、加熱処理し、EC層が形成された一対
の基板間にゲル電解質を挟み、40mm角のEC素子を
作製した。使用した基板、EC材料A、B、加熱温度、
EC層の膜厚および結晶性の有無を表1にまとめて示
す。表1中の「結晶性」は、X線回折により調べた結果
であり、「×」が非晶質膜、「○」が結晶性膜であるこ
とをそれぞれ示す。また、実施例9において、基板を形
成するハイブリッド材料には、SiO/ポリイミドハ
イブリッドを用いた。
【0040】
【表1】
【0041】実施例1〜9で得られたEC素子の評価結
果を表2にまとめて示す。表2中、「透過率」は、到達
透過率を意味し、「応答速度」は、到達透過率となるま
での時間を示す。また、実施例1で得られたEC素子に
ついて、3Vの電圧の印加時間と着色および消色時の電
流密度の変化との関係を示すグラフを図3に示す。
【0042】
【表2】
【0043】実施例1〜9のEC素子の応答性は、全て
1秒以下であった。また、プラスチック材料や有機−無
機ハイブリッド材料を用いて基板を形成したEC素子
(実施例7〜9)は、可撓性を有し、曲面状態で透過率
変化が確認された。また、実施例1〜9のEC素子は、
200回を超える繰り返し作動でも、透過率や応答性に
変化が認められなかった。
【0044】(比較例1)グリシドキシプロピルトリメ
トキシシラン、テトラエトキシシラン、過塩素酸リチウ
ム、テトラ−n−プロポキシジルコニウムおよびテトラ
エチレングリコールを出発原料としたLiイオンゲル電
解質を調製した。上記した実施例1と同様に、ITO電
極膜が被着したガラス基板上にディップコータを用いて
WO−1(上記[WO塗布液の合成1]で調製した
塗布液)およびIrO(上記[IrO塗布液の合
成]で調製した塗布液)をそれぞれ成膜させた後、30
0℃の温度で加熱処理し、EC層が形成された一対の基
板間にLiイオンゲル電解質を挟み、EC素子を作製し
た。
【0045】図3に評価結果を示すように、比較例1の
EC素子では、透過率が30%となるまで着色する時間
が100秒以上必要であった。
【0046】(比較例2)過塩素酸リチウムのプロピレ
ンカーボネート溶液を液体Liイオン電解質として、上
記した実施例1と同様の構成で、EC素子を作製した。
【0047】図3に評価結果を示すように、比較例2の
EC素子では、透過率が30%となるまで着色する時間
が15秒以上必要であった。
【0048】以上のように、この発明の実施例1〜9で
得られたEC素子は、比較例1、2で得られた従来タイ
プのEC素子に比べて、非常に応答性が良く、1秒以内
の応答速度で着色−消色の変化が可能であった。また、
プラスチック材料や有機−無機ハイブリッド材料で形成
された基板を使用して作製されたEC素子は、通常のガ
ラス基板を用いたEC素子とは異なり、素子自体に可撓
性があり、軽量化が可能であるため、様々な方面への応
用が期待される。
【0049】
【発明の効果】請求項1に係る発明によると、固体電解
質を用いた全固体型のEC素子であって、応答速度が1
秒以内である応答性に優れたEC素子が得られる。
【0050】請求項2に係る発明では、応答速度が1秒
以内である応答性に優れた相補型のEC素子が得られ
る。
【0051】請求項3、4に係る各発明では、可撓性が
あり軽量化されたEC素子が得られ、従来には無いフィ
ルムタイプのディスプレイなど、様々な応用が期待され
る。さらに、請求項3に係る発明では、加熱プロセスが
可能であるので、透明電極やEC材料の特性を向上させ
て、高性能のEC素子を提供することができる。
【0052】請求項5に係る発明では、応答速度が1秒
以内である応答性に優れた全固体型EC素子が得られ
る。
【0053】請求項6に係る発明では、EC層を形成す
る際に加熱処理が必要である場合には、加熱温度が低く
てよいことになり、基板としてプラスチック材料や有機
−無機ハイブリッド材料で形成された基板を用いてEC
素子を作製することが可能である。
【0054】請求項7に係る発明では、ゾル−ゲル法に
よりEC層や電解質層を形成する場合における加熱温度
が低くてよいことになり、基板としてプラスチック材料
や有機−無機ハイブリッド材料で形成された基板を用い
てEC素子を作製することが可能である。
【0055】請求項8に係る発明では、電圧の印加時に
適当な色濃度となるEC素子が得られる。
【0056】請求項9に係る発明では、応答速度が1秒
以内である応答性に優れた全固体型EC素子が得られ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施形態の1例を示し、EC素子の
基本構成を模式的に示す縦断面図である。
【図2】この発明の別の実施形態を示し、EC素子の基
本構成を模式的に示す縦断面図である。
【図3】この発明の実施例で得られたEC素子につい
て、3Vの電圧の印加時間と着色および消色時の電流密
度の変化との関係を示すグラフである。
【図4】この発明に係るEC素子における応答速度が速
い理由を説明するためのEC素子の積層構造を示す模式
図であり、EC素子に電圧を印加していない状態を示す
図である。
【図5】同じく、EC素子に電圧を印加した時の状態を
示す模式図である。
【図6】従来のEC素子の基本構成の1例を模式的に示
す縦断面図である。
【図7】図6に示したEC素子とは異なるタイプの従来
のEC素子の基本構成の1例を模式的に示す縦断面図で
ある。
【符号の説明】
1a、1b 透明基板 2a、2b 透明電極層 3、4 EC層 5、6 固体電解質層 7 白い背景板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2K001 AA02 CA02 CA04 CA08 CA19 CA20 CA37 DA04 DA19 5G301 CA30 CD01

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一対の基板のそれぞれの対向面側に電極
    層を形成し、それら両電極層間にエレクトロクロミック
    層および固体電解質層を挾持したエレクトロクロミック
    素子において、 前記固体電解質層をプロトン導電性ゲル電解質によって
    形成し、応答速度が1秒以内であることを特徴とするエ
    レクトロクロミック素子。
  2. 【請求項2】 それぞれの基板が透明素材で形成される
    とともに、それぞれの電極層が透明導電性材料で形成さ
    れ、第1のエレクトロクロミック層と第2のエレクトロ
    クロミック層との間に固体電解質層が設けられた請求項
    1記載のエレクトロクロミック素子。
  3. 【請求項3】 それぞれの基板が、有機−無機ハイブリ
    ッド材料で形成されて、可撓性を有する請求項1または
    請求項2記載のエレクトロクロミック素子。
  4. 【請求項4】 それぞれの基板が、プラスチック材料で
    形成されて、可撓性を有する請求項1または請求項2記
    載のエレクトロクロミック素子。
  5. 【請求項5】 固体電解質層を形成するプロトン導電性
    ゲル電解質が、炭素、酸素、シリコン、硫黄、燐および
    水素からなる群より選ばれた1種もしくは2種以上の元
    素を含む物質である請求項1ないし請求項4のいずれか
    に記載のエレクトロクロミック素子。
  6. 【請求項6】 エレクトロクロミック層が非晶質膜であ
    る請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のエレクト
    ロクロミック素子。
  7. 【請求項7】 エレクトロクロミック層およびプロトン
    導電性ゲル電解質で形成される固体電解質層がそれぞ
    れ、金属アルコキシドまたは金属塩を原料としたゾル−
    ゲル法により成膜された非晶質膜である請求項1ないし
    請求項6のいずれかに記載のエレクトロクロミック素
    子。
  8. 【請求項8】 エレクトロクロミック層の厚みが50μ
    m〜1μmである請求項1ないし請求項7のいずれかに
    記載のエレクトロクロミック素子。
  9. 【請求項9】 固体電解質層を形成するプロトン導電性
    ゲル電解質が、ポリエチレングリコール鎖を有しアルコ
    キシシランの加水分解物もしくは加水分解重縮合物を含
    有し硫酸基または燐酸基を含む物質である請求項1ない
    し請求項8のいずれかに記載のエレクトロクロミック素
    子。
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