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JP2000237931A - 曲面加工方法 - Google Patents

曲面加工方法

Info

Publication number
JP2000237931A
JP2000237931A JP11041688A JP4168899A JP2000237931A JP 2000237931 A JP2000237931 A JP 2000237931A JP 11041688 A JP11041688 A JP 11041688A JP 4168899 A JP4168899 A JP 4168899A JP 2000237931 A JP2000237931 A JP 2000237931A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
tool
curved surface
workpiece
curvature
axis
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP11041688A
Other languages
English (en)
Inventor
Hidetoshi Sakae
英利 寒河江
Kenichi Ichikawa
憲一 市川
Hiroyuki Endo
弘之 遠藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ricoh Co Ltd filed Critical Ricoh Co Ltd
Priority to JP11041688A priority Critical patent/JP2000237931A/ja
Publication of JP2000237931A publication Critical patent/JP2000237931A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Automatic Control Of Machine Tools (AREA)
  • Grinding And Polishing Of Tertiary Curved Surfaces And Surfaces With Complex Shapes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は簡単な装置を利用して曲面形状を高精
度に加工する曲面加工方法を提供する。 【解決手段】研磨装置は、トラバース方向を決定して工
具接触点の軌跡を求め、各区間を円弧で近似して、最小
曲率半径を求める。最小曲率半径を曲率半径とするシリ
ンダ面を有し被加工物と同一素材のダミーワークに対し
て表面粗さが被加工物の研磨目標とする表面粗さを満足
する加工条件である工具送り速度、工具回転数を実験的
に求め、実験で研磨したダミーワークの真円度を崩して
ないかチェックする。真円度を崩していないと、求めた
加工条件を基本加工条件として決定し、真円度を崩して
いると、真円度が維持されるように応答性を調整する。
次に、各走査区間での近似曲率半径と最小曲率半径の比
に基づき、各走査区間での工具送り速度を決定し、最後
に、各走査区間での工具一回転あたりの工具送り量が等
しくなるように、各走査区間での工具回転数を決定し
て、決定した加工条件で被加工物を研磨する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、曲面加工方法に関
し、詳細には、曲面形状を光学部品として使用可能な鏡
面に仕上げる曲面加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、長手方向と短手方向にそれぞれ曲
率半径の異なるトーリックレンズ、断面が比円弧となる
変形トーリックレンズまたはその金型磨き加工法として
は、特開昭62−246467号公報に記載されている
ように、金型の研磨において、金型の周囲にこの金型の
周囲と同じ高さの補助型を嵌合し、研磨作業の開始、終
了あるいは加工方向の切換を前記補助型上で行わせる研
磨方法がある。すなわち、従来は、小径工具を一定の力
で押し付け、これを走査する研磨方式が広く用いられて
いる。
【0003】このような従来の研磨方法においては、工
具の姿勢あるいは工具の回転軸が被加工面の法線に対し
て常に一定の角度をなすように制御することにより形状
精度を上げることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の曲面加工技術にあっては、形状精度を向上さ
せるために、工具の姿勢あるいは工具の回転軸が被加工
面の法線に対して常に一定の角度をなすように制御して
いる。
【0005】このような姿勢制御を行うと、確かに被加
工物の加工面の傾斜角に関わらず、加工点における研磨
工具の法線方向荷重を一定にすることができるが、この
ような姿勢制御を行うためには、工具荷重軸の他に、特
開平9−323252号公報に開示されているようなX
Y直交2軸、AB回転2軸というような4軸同時制御、
あるいは、特開平6−126607に開示されているよ
うなXY直交2軸、A回転1軸というような同時3軸制
御を行う必要がある。
【0006】ところが、4軸同時制御あるいは同時3軸
制御を行うと、装置が複雑化、大型化するとともに、こ
れらの装置を使用して、工具を走査し研磨加工や切削ま
たは研削加工を行うためには、NCプログラムが必要で
あるが、チルト動作と平行移動動作を同時に行う複雑な
プログラムを作成する必要があり、このような複雑なプ
ログラムを作成するには、専用のCAM(Computer Aid
ed Manufacturing)装置がないと、膨大な手間と作業時
間を必要とし、作業性が悪いとともに、コストが高くつ
くという問題があった。
【0007】そこで、請求項1記載の発明は、被加工物
よりも小径の工具を軸心の回りに所定の工具回転数で回
転させながら工具の荷重を略一定にして所定の軌跡上を
所定の工具送り速度で走査させて曲面を加工するに際し
て、工具の被加工物の被加工面に対する接触軌跡を円弧
近似し、当該円弧近似のうち最小曲率半径と同じ曲率半
径の円弧断面を有するダミー加工物を予備加工して、工
具送り速度、工具回転数及び荷重制御の応答条件を決定
し、当該決定した工具送り速度、工具回転数及び荷重制
御の応答条件に基づいて被加工物を加工することによ
り、4軸制御などの複雑な装置と加工プログラムを用い
ることなく、工具荷重軸と直交2軸のNCテーブルで構
成される従来の簡単な曲面加工装置を用いて、安価に、
かつ、簡単に自由曲面を正確に加工することのできる曲
面加工方法を提供することを目的としている。
【0008】請求項2記載の発明は、被加工物よりも小
径の工具を軸心の回りに所定の工具回転数で回転させな
がら工具の荷重を略一定にして所定の軌跡上を所定の工
具送り速度で走査させて曲面を加工するに際して、工具
の被加工物の被加工面に対する接触軌跡を円弧近似し、
当該円弧近似のうち最小曲率半径を求め、各種曲率半径
の円弧断面を有するダミ−加工物を予め予備加工して決
定した工具送り速度、工具回転数及び荷重制御の応答条
件のデータベースから、最小曲率半径に基づいて工具送
り速度、工具回転数及び荷重制御の応答条件を読み出
し、当該読み出した工具送り速度、工具回転数及び荷重
制御の応答条件に基づいて被加工物を加工することによ
り、4軸制御などの複雑な装置と加工プログラムを用い
ることなく、工具荷重軸と直交2軸のNCテーブルで構
成される従来の簡単な曲面加工装置を用いて、工具送り
速度、工具回転数及び荷重制御の応答条件を速やかに決
定し、安価に、かつ、より一層簡単に自由曲面を正確に
加工することのできる曲面加工方法を提供することを目
的としている。
【0009】請求項3記載の発明は、荷重制御の応答条
件として、工具の荷重制御のステップ指令値に対する立
ち上がり時間とオーバーシュート量を用いることによ
り、オペレータの習熟度に関わらず、工具送り速度を変
更せず、かつ、形状の劣化を抑制しつつ、加工を行い、
安価に、かつ、簡単に自由曲面を正確に加工することの
できる曲面加工方法を提供することを目的としている。
【0010】請求項4記載の発明は、最小曲率半径以外
の他の曲率半径の接触軌跡の工具送り速度を、当該接触
軌跡の曲率半径と最小曲率半径との比に基づいて決定す
ることにより、曲率半径の大きさに比例して工具送り速
度を速め、より加工能率の高い加工を行うとともに、不
要な高い周期の表面うねりに対する追従遅れを強めて、
表面うねりの除去性能を向上させ、より一層精度良く自
由曲面を加工することのできる曲面加工方法を提供する
ことを目的としている。
【0011】請求項5記載の発明は、工具の走査とし
て、X軸方向またはY軸方向の直線動作と当該直線動作
を行うためのY軸方向またはX軸方向への所定幅の折り
返し動作とを行い、円弧近似を行う接触軌跡として、当
該折り返し動作を除いた1軸方向の直線動作のみの走査
の軌跡を採用することにより、同時2軸送りに比較して
機械的運動誤差を入りにくくして、汎用の精度の加工機
でより高精度な加工を行えるようにするとともに、研磨
工具を走査するNCプログラムをより簡単かつ短時間に
作成可能として、より一層安価に、かつ、簡単に自由曲
面を正確に加工することのできる曲面加工方法を提供す
ることを目的としている。
【0012】請求項6記載の発明は、工具の走査とし
て、X軸方向またはY軸方向の直線動作と当該直線動作
を行うためのY軸方向またはX軸方向への所定幅の折り
返し動作とを行い、工具の接触軌跡の円弧近似を、直線
動作軸と当該直線動作軸と直交し工具の被加工物の被加
工面への荷重付与軸とのなす面内に工具軌跡を投影し、
当該投影した工具軌跡を最小二乗法で近似して求めるこ
とにより、接触軌跡が工具荷重軸方向から見て曲がりを
生じるような場合にも、荷重制御の応答に対応した曲率
半径を容易かつ正確に求め、より一層正確に自由曲面を
加工することのできる曲面加工方法を提供することを目
的としている。
【0013】請求項7記載の発明は、被加工物の被加工
面が凸曲面と凹曲面が混在する場合、工具軌跡を当該凸
曲面と凹曲面の変極点で分割し、凸曲面の工具軌跡と凹
曲面の工具軌跡のそれぞれについて円弧近似を行うこと
により、工具軌跡が凸の円弧と凹の円弧をなすような複
雑な自由曲面においても、高い形状精度の加工を行うこ
とのできる曲面加工方法を提供することを目的としてい
る。
【0014】請求項8記載の発明は、曲面加工方法を、
被加工物の被加工面の研磨加工に適用することにより、
4軸制御などの複雑な装置と加工プログラムを用いるこ
となく、研磨荷重軸と直交2軸のNCテーブルで構成さ
れる従来の簡単な曲面研磨装置を用いて、工具送り速
度、工具回転数及び荷重制御の応答条件を速やかに決定
し、安価に、かつ、より一層簡単に自由曲面を正確に研
磨加工することのできる曲面加工方法を提供することを
目的としている。
【0015】請求項9記載の発明は、曲面加工方法を、
被加工物の被加工面の切削または研削加工に適用するこ
とにより、工具荷重軸の定寸の切り込み軸に置き換えた
加工機構成に容易に適用して、自由曲面の創成加工を高
精度に行い、表面うねりを抑制しつつ、高精度に切削ま
たは研削加工を行うことのできる曲面加工方法を提供す
ることを目的としている。
【0016】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明の曲
面加工方法は、被加工物よりも小径の工具を所定の軸心
の回りに所定の工具回転数で回転させながら工具の荷重
を略一定にして所定の軌跡上を所定の工具送り速度で走
査させて曲面を加工する曲面加工方法において、前記工
具の前記被加工物の被加工面に対する接触軌跡を円弧近
似し、当該円弧近似のうち最小曲率半径と同じ曲率半径
の円弧断面を有するダミー加工物を予備加工して、工具
送り速度、工具回転数及び荷重制御の応答条件を決定
し、当該決定した工具送り速度、工具回転数及び荷重制
御の応答条件に基づいて前記被加工物を加工することに
より、上記目的を達成している。
【0017】上記構成によれば、被加工物よりも小径の
工具を軸心の回りに所定の工具回転数で回転させながら
工具の荷重を略一定にして所定の軌跡上を所定の工具送
り速度で走査させて曲面を加工するに際して、工具の被
加工物の被加工面に対する接触軌跡を円弧近似し、当該
円弧近似のうち最小曲率半径と同じ曲率半径の円弧断面
を有するダミー加工物を予備加工して、工具送り速度、
工具回転数及び荷重制御の応答条件を決定し、当該決定
した工具送り速度、工具回転数及び荷重制御の応答条件
に基づいて被加工物を加工するので、4軸制御などの複
雑な装置と加工プログラムを用いることなく、工具荷重
軸と直交2軸のNCテーブルで構成される従来の簡単な
曲面加工装置を用いて、安価に、かつ、簡単に自由曲面
を正確に加工することができる。
【0018】請求項2記載の発明の曲面加工方法は、被
加工物よりも小径の工具を所定の軸心の回りに所定の工
具回転数で回転させながら工具の荷重を略一定にして所
定の軌跡上を所定の工具送り速度で走査させて曲面を加
工する曲面加工方法において、前記工具の前記被加工物
の被加工面に対する接触軌跡を円弧近似し、当該円弧近
似のうち最小曲率半径を求め、各種曲率半径の円弧断面
を有するダミ−加工物を予め予備加工して決定した工具
送り速度、工具回転数及び荷重制御の応答条件のデータ
ベースから、前記最小曲率半径に基づいて工具送り速
度、工具回転数及び荷重制御の応答条件を読み出し、当
該読み出した工具送り速度、工具回転数及び荷重制御の
応答条件に基づいて前記被加工物を加工することによ
り、上記目的を達成している。
【0019】上記構成によれば、被加工物よりも小径の
工具を軸心の回りに所定の工具回転数で回転させながら
工具の荷重を略一定にして所定の軌跡上を所定の工具送
り速度で走査させて曲面を加工するに際して、工具の被
加工物の被加工面に対する接触軌跡を円弧近似し、当該
円弧近似のうち最小曲率半径を求め、各種曲率半径の円
弧断面を有するダミ−加工物を予め予備加工して決定し
た工具送り速度、工具回転数及び荷重制御の応答条件の
データベースから、最小曲率半径に基づいて工具送り速
度、工具回転数及び荷重制御の応答条件を読み出し、当
該読み出した工具送り速度、工具回転数及び荷重制御の
応答条件に基づいて被加工物を加工するので、4軸制御
などの複雑な装置と加工プログラムを用いることなく、
工具荷重軸と直交2軸のNCテーブルで構成される従来
の簡単な曲面加工装置を用いて、工具送り速度、工具回
転数及び荷重制御の応答条件を速やかに決定して、安価
に、かつ、より一層簡単に自由曲面を正確に加工するこ
とができる。
【0020】上記各場合において、例えば、請求項3に
記載するように、前記曲面加工方法は、前記荷重制御の
応答条件として、前記工具の荷重制御のステップ指令値
に対する立ち上がり時間とオーバーシュート量を用いる
ものであってもよい。
【0021】上記構成によれば、荷重制御の応答条件と
して、工具の荷重制御のステップ指令値に対する立ち上
がり時間とオーバーシュート量を用いているので、オペ
レータの習熟度に関わらず、工具送り速度を変更せず、
かつ、形状の劣化を抑制しつつ、加工を行うことがで
き、安価に、かつ、簡単に自由曲面を正確に加工するこ
とができる。
【0022】また、例えば、請求項4に記載するよう
に、前記曲面加工方法は、前記最小曲率半径以外の他の
曲率半径の接触軌跡の工具送り速度を、当該接触軌跡の
曲率半径と前記最小曲率半径との比に基づいて決定する
ものであってもよい。
【0023】上記構成によれば、最小曲率半径以外の他
の曲率半径の接触軌跡の工具送り速度を、当該接触軌跡
の曲率半径と最小曲率半径との比に基づいて決定するの
で、曲率半径の大きさに比例して工具送り速度を速め、
より加工能率の高い加工を行うことができるとともに、
不要な高い周期の表面うねりに対する追従遅れを強め
て、表面うねりの除去性能を向上させることができ、よ
り一層精度良く自由曲面を加工することができる。
【0024】さらに、例えば、請求項5に記載するよう
に、前記曲面加工方法は、前記工具の走査として、X軸
方向またはY軸方向の直線動作と当該直線動作を行うた
めのY軸方向またはX軸方向への所定幅の折り返し動作
とを行い、前記円弧近似を行う接触軌跡として、当該折
り返し動作を除いた1軸方向の前記直線動作のみの走査
の軌跡を採用するものであってもよい。
【0025】上記構成によれば、工具の走査として、X
軸方向またはY軸方向の直線動作と当該直線動作を行う
ためのY軸方向またはX軸方向への所定幅の折り返し動
作とを行い、円弧近似を行う接触軌跡として、当該折り
返し動作を除いた1軸方向の直線動作のみの走査の軌跡
を採用しているので、同時2軸送りに比較して機械的運
動誤差を入りにくくして、汎用の精度の加工機でより高
精度な加工を行えるようにすることができるとともに、
研磨工具を走査するNCプログラムをより簡単かつ短時
間に作成することができ、より一層安価に、かつ、簡単
に自由曲面を正確に加工することができる。
【0026】また、例えば、請求項6に記載するよう
に、前記曲面加工方法は、前記工具の走査として、X軸
方向またはY軸方向の直線動作と当該直線動作を行うた
めのY軸方向またはX軸方向への所定幅の折り返し動作
とを行い、前記工具の接触軌跡の円弧近似を、前記直線
動作軸と当該直線動作軸と直交し前記工具の前記被加工
物の被加工面への荷重付与軸とのなす面内に工具軌跡を
投影し、当該投影した工具軌跡を最小二乗法で近似して
求めるものであってもよい。
【0027】上記構成によれば、工具の走査として、X
軸方向またはY軸方向の直線動作と当該直線動作を行う
ためのY軸方向またはX軸方向への所定幅の折り返し動
作とを行い、工具の接触軌跡の円弧近似を、直線動作軸
と当該直線動作軸と直交し工具の被加工物の被加工面へ
の荷重付与軸とのなす面内に工具軌跡を投影し、当該投
影した工具軌跡を最小二乗法で近似して求めているの
で、接触軌跡が工具荷重軸方向から見て曲がりを生じる
ような場合にも、荷重制御の応答に対応した曲率半径を
容易かつ正確に求めることができ、より一層正確に自由
曲面を加工することができる。
【0028】さらに、例えば、請求項7に記載するよう
に、前記曲面加工方法は、前記被加工物の被加工面が凸
曲面と凹曲面が混在する場合、前記工具軌跡を当該凸曲
面と凹曲面の変極点で分割し、凸曲面の工具軌跡と凹曲
面の工具軌跡のそれぞれについて前記円弧近似を行うも
のであってもよい。
【0029】上記構成によれば、被加工物の被加工面が
凸曲面と凹曲面が混在する場合、工具軌跡を当該凸曲面
と凹曲面の変極点で分割し、凸曲面の工具軌跡と凹曲面
の工具軌跡のそれぞれについて円弧近似を行っているの
で、工具軌跡が凸の円弧と凹の円弧をなすような複雑な
自由曲面においても、高い形状精度の加工を行うことが
できる。
【0030】また、例えば、請求項8に記載するよう
に、前記曲面加工方法は、前記被加工物の被加工面を研
磨加工するものであってもよい。
【0031】上記構成によれば、曲面加工方法を、被加
工物の被加工面の研磨加工に適用しているので、4軸制
御などの複雑な装置と加工プログラムを用いることな
く、研磨荷重軸と直交2軸のNCテーブルで構成される
従来の簡単な曲面研磨装置を用いて、工具送り速度、工
具回転数及び荷重制御の応答条件を速やかに決定し、安
価に、かつ、より一層簡単に自由曲面を正確に研磨加工
することができる。
【0032】さらに、例えば、請求項9に記載するよう
に、前記曲面加工方法は、前記被加工物の被加工面を切
削または研削加工するものであってもよい。
【0033】上記構成によれば、曲面加工方法を、被加
工物の被加工面の切削または研削加工に適用しているの
で、工具荷重軸の定寸の切り込み軸に置き換えた加工機
構成に容易に適用して、自由曲面の創成加工を高精度に
行うことができ、表面うねりを抑制しつつ、高精度に切
削または研削加工を行うことができる。
【0034】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施の形態
を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に述
べる実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であるか
ら、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本
発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定す
る旨の記載がない限り、これらの態様に限られるもので
はない。
【0035】図1〜図10は、本発明の曲面加工方法の
一実施の形態を示す図であり、図1は、本発明の曲面加
工方法の一実施の形態を適用した研磨装置1の正面図で
ある。
【0036】図1において、研磨装置1は、XY直交2
軸のNCテーブルをベースとしており、基台2上に図1
において紙面に垂直方向であるX軸方向に移動可能なX
軸テーブル3が載置されている。X軸テーブル3上に
は、図1において両矢印で示す左右方向であるY軸方向
に移動可能なY軸テーブル4が載置されており、Y軸テ
ーブル4上には、被加工物100が固定される。この被
加工物100は、レンズ、ミラー及びこれらの金型とな
るものである。
【0037】基台2には、直動ガイド軸5がX軸及びY
軸に直角の方向であるZ軸方向(図1で上下方向)に延
在する状態で配設されており、直動ガイド軸5には、直
動ガイド6が移動可能に取り付けられている。直動ガイ
ド6には、スピンドル7が固定されており、スピンドル
7の先端には、工具8が取り換え可能に固定される。
【0038】工具8としては、例えば、図2に示すよう
に、研磨工具が用いられ、スピンドル7は、工具8をそ
の回転軸回りに回転駆動させる。
【0039】上記直動ガイド6は、直動ガイド軸5に取
り付けられた加圧機構9により上下移動され、加圧機構
9が、スピンドル7に取り付けられた工具8に所定の研
磨荷重を付与する。直動ガイド6の加圧機構9と対向す
る位置には、ロードセル10が取り付けられており、ロ
ードセル10には、重り11が取り付けられている。そ
して、上記研磨荷重は、ロードセル10により検知さ
れ、研磨装置1は、この検知結果に基づいて加圧機構9
の駆動指令値を逐次決定して、研磨荷重をフィードバッ
ク制御する。
【0040】すなわち、研磨装置1は、図3に示すよう
に、フィードバック制御方式として、PID(プロポー
ショナル・インテグラル・デリバティ)方式を採用して
いる。具体的には、工具加工圧力設定部20、PID調
節器21、空圧レギュレータ22、エアシリンダ23、
ロードセル10、工具8及び被加工物100と研磨荷重
をかけて、工具8により被加工物100を研磨加工す
る。PID調節器21、空圧レギュレータ22及びエア
シリンダ23は、加圧機構9に内蔵されており、PID
調節器21は、工具圧力設定部20に設定されている目
標指令値で空圧レギュレータ22を駆動して、エアシリ
ンダ23により直動ガイド6を移動させる。このときの
研磨荷重をロードセル10で検知して、このロードセル
10の検知結果に基づいて、PID調節器21が駆動指
令値をフィードバック制御し、空圧レギュレータ22及
びエアシリンダ23を駆動させて研磨荷重を制御する。
【0041】次に、本実施の形態の作用を説明する。な
お、以下の説明では、球面形状の被加工物100に対
し、長方形領域の内側を研磨加工する場合を例に挙げ
て、説明する。
【0042】いま、図4に示すように、球面形状を有す
る被加工物100に対して、図4で破線で示す領域が研
磨領域101であるとすると、この研磨領域101は、
Z方向から見て、長方形の形状となっている。
【0043】上記図4に示すような被加工物100の研
磨領域101を研磨装置1で研磨加工を行う場合、研磨
装置1は、図5で実線矢印で示すように、Y軸方向の直
線動作と当該直線動作を行うためのX軸方向への所定幅
の折り返し動作103とを行い、図5に示すような軌跡
を描いて工具8を被加工物100の研磨領域101に接
触させて研磨を行う。この接触軌跡(以下、ツールパス
という。)102は、Z方向から見て略直線形状となる
走査線であり、研磨加工においては、前加工による加工
痕に直交する方向にとることが望ましい。そして、ツー
ルパス102は、直線走査動作と切り返し動作103で
構成されている。
【0044】そして、研磨装置1は、研磨加工を行うに
際し、まず、このツールパス102から切り返し動作1
03を削除して、走査動作の軌跡を円弧近似する。この
円弧近似は、図6に示すように示される。この円弧近似
を行う方法は、図6に示すように、Y軸方向である直線
動作軸と当該直線動作軸と直交し工具8の被加工物10
0(ダミーワーク200)の被加工面への荷重付与軸
(Z軸)とのなすYZ平面内に工具軌跡を投影し、当該
投影した工具軌跡を最小二乗法で近似して、近似円半径
を求める。
【0045】この走査動作の軌跡の円弧近似において
は、被加工物100の研磨領域101が複雑な自由曲面
の場合、1つの走査線内に凸円弧と凹円弧が混在するこ
とがあるが、このような場合には、凸円弧と凹円弧の変
曲点で走査線を分離し、分離したそれぞれの走査線に対
して上記同様の円弧近似を行う。
【0046】いま、図6に示したような凸円弧で近似さ
れる走査線の場合、各走査線での近似円弧半径Rnの絶
対値を比較し、最小値となる最小近似円弧半径Rmin
をみつける。いま、図6では、R1<R2<R3・・・
・<Rnで、近似円弧半径R1が最小近似円弧半径Rm
inであるとする。
【0047】次に、図7に示すように、上記見つけ出し
た最小近似円弧半径Rminである近似円弧半径R1を
曲率半径とするシリンダー形状を有し被加工物100と
同一素材のダミーワーク200を準備し、被加工物10
0の研磨において目標とする表面粗さが得られる研磨条
件を実験的に求める。
【0048】すなわち、図7に示すように、ダミーワー
ク200を研磨装置1のY軸テーブル4上に固定し、X
軸テーブル3、Y軸テーブル4、直動ガイド6の移動を
制御するとともに、研磨荷重を加圧機構9で制御して、
工具8によりダミーワーク200の研磨を、被加工物1
00の研磨において目標とする表面粗さに研磨して、当
該被加工物100の研磨目標の表面粗さに研磨する際の
研磨条件、すなわち、工具送り速度Fmin、工具回転
数Nmin及び研磨荷重Pを取得する。
【0049】この研磨実験においては、工具荷重を発生
させる機構の制御系のパラメータを、安定状態の範疇で
鈍い応答に設定する。この鈍い応答とは、ステップ指定
値に対して立ち上がり時間が比較的大きく、オーバーシ
ュート量が比較的小さくなる状態に設定された応答状態
をいう。このステップ応答波形は、図8のように示さ
れ、立ち上がり時間は、目標値の10%〜90%に要す
る時間をいい、オーバーシュート量は、目標値に対する
行き過ぎ量の比率(%)をいう。
【0050】上記研磨実験により目標とする表面粗さが
確保されると、形状の劣化を評価する。形状劣化の評価
では、ダミーワーク200は、シリンダ形状であり、そ
の横断面は円弧であるため、真円からのズレ量に注目し
て、評価する。なお、形状劣化の評価では、曲率半径の
減少については問題としない。
【0051】形状劣化の評価結果は、図9のように示す
ことができ、図9においては、外周縁が深く除去され両
端がだれた状態となっている。このような形状の崩れ
は、研磨加工条件を変更することなく、荷重制御の応答
特性を調整することで、改善することができる。具体的
には、外周縁のダレについては、図8における立ち上が
り時間の調整を行うことにより改善することができ、頂
点部の乱れについては、オーバーシュート量の調整を行
うことにより改善することができる。また、表面のうね
りを除去するには、真円精度を崩さない範疇で、なるべ
く鈍い応答にすることが有効である。
【0052】上記ダミーワーク200を用いた研磨実験
により、基本加工条件として、基本工具送り速度Fmi
n、基本工具回転数Nmin、研磨荷重Pを決定するこ
とができるとともに、研磨荷重制御系の調整(研磨荷重
Pの応答条件の設定)を行うことができる。
【0053】次に、上記最小曲率半径Rminと基本工
具送り速度Fminの関係に基づいて、図6に示した他
の曲率半径R2、R3、・・・、Rnを有する走査線パ
スの送り速度F2、F3、・・・、Fnを決定する。
【0054】この場合、次式(1)の比率から導かれる
次式(2)に基づいて、工具送り速度F2、F3、・・
・、Fnを算出する。
【0055】 Rmin:Fmin=Rn:Fn・・・(1) Fn=(Fmin×Rn)/Rmin・・・(2) すなわち、最小曲率半径Rmin以外の他の曲率半径R
2、R3、・・・、Rnの接触軌跡の工具送り速度F
2、F3、・・・、Fnを、当該接触軌跡の曲率半径R
2、R3、・・・、Rnと最小曲率半径Rminとの比
に基づいて決定する。
【0056】このようにして基本曲率半径である最小曲
率半径Rminとは異なる曲率半径R2、R3、・・
・、Rnを有する被加工面に対しても、前形状を崩すこ
とのない研磨を行うことができる。
【0057】最後に、各走査線の除去深さをそろえるた
めに、各走査線における工具回転数Nnを設定する。研
磨除去深さは、工具一回転あたりの送り量に略比例する
ため、次式(3)の比率から導かれる次式(4)に基づ
いて、工具回転数Nnを決定する。
【0058】 Fmin:Nmin=Fn:Nn・・・(3) Nn=(Nmin×Fn)/Fmin・・・(4) 上記手順を実行することにより、各走査線の研磨加工条
件である工具送り速度Fnと工具回転数Nnが決定され
る。そして、研磨荷重Pは、走査線によらず共通とす
る。
【0059】上記研磨加工条件は、図10に示す手順に
より行う。すなわち、まず、トラバース方向を決定し
(ステップS101)、工具接触点の軌跡を求める(ス
テップS102)。次に、各区間を円弧で近似して、最
小曲率半径Rminを求め(ステップS103)、最小
曲率半径Rminを曲率半径とするシリンダ面を有し被
加工物100と同一素材のダミーワーク200に対して
表面粗さが被加工物100の研磨において目標とする表
面粗さを満足するような加工条件である工具送り速度F
min、工具回転数Nminを実験的に求める(ステッ
プS104)。
【0060】実験で研磨したダミーワーク200の前形
状(真円度)を崩してないかチェックし(ステップS1
05)、真円度を崩していないときには、実験的に求め
た加工条件を基本加工条件Fmin、Nminとして決
定する(ステップS106)。
【0061】実験で研磨したダミーワーク200の真円
度を崩しているときには、圧力制御系のゲインと減衰性
能を変化させ、真円度が維持されるように応答性を調整
して(ステップS107)、実験的に求めた加工条件を
基本加工条件Fmin、Nminとして決定する(ステ
ップS106)。
【0062】次に、各走査区間R2、R3、・・・、R
nでの近似曲率半径Rn(n=1、2、・・・、n)と
最小曲率半径Rminの比に基づき(Rmin:Rn=
Fmin:Fn)、各走査区間R2、R3、・・・、R
nでの工具送り速度Fn(n=1、2、・・・、n)を
決定する(ステップS108)。
【0063】最後に、各走査区間R2、R3、・・・、
Rnでの工具一回転あたりの工具送り量が等しくなるよ
うに、各走査区間R2、R3、・・・、Rnでの工具回
転数Nnを決定する(ステップS109)。
【0064】このようにして、研磨加工条件である工具
送り速度Fn、工具回転数Nn及び研磨荷重Pを決定す
ると、加工対象である被加工物100をY軸テーブル4
上に固定し、被加工物100の研磨を上記研磨加工条件
である工具送り速度Fn、工具回転数Nn、研磨荷重P
で研磨を行う。
【0065】このように、本実施の形態の曲面加工方法
は、工具8の被加工物100の被加工面(研磨領域)1
01に対する接触軌跡を円弧近似し、当該円弧近似のう
ち最小曲率半径R1と同じ曲率半径の円弧断面を有する
ダミー加工物(ダミーワーク)200を予備加工して、
工具送り速度、工具回転数及び荷重制御の応答条件を決
定し、当該決定した工具送り速度、工具回転数及び荷重
制御の応答条件に基づいて被加工物100を加工してい
る。
【0066】したがって、4軸制御などの複雑な装置と
加工プログラムを用いることなく、工具荷重軸と直交2
軸のNCテーブルで構成される従来の簡単な曲面加工装
置である研磨装置1を用いて、安価に、かつ、簡単に自
由曲面を正確に加工することができる。
【0067】また、本実施の形態の曲面加工方法は、荷
重制御の応答条件として、工具8の荷重制御のステップ
指令値に対する立ち上がり時間とオーバーシュート量を
用いている。
【0068】したがって、オペレータの習熟度に関わら
ず、工具送り速度を変更せず、かつ、形状の劣化を抑制
しつつ、加工を行うことができ、安価に、かつ、簡単に
自由曲面を正確に加工することができる。
【0069】さらに、本実施の形態の曲面加工方法は、
最小曲率半径Rmin以外の他の曲率半径R2、R3、
・・・、Rnの接触軌跡の工具送り速度F2、F3、・
・・、Fnを、当該接触軌跡の曲率半径R2、R3、・
・・、Rnと最小曲率半径Rminとの比に基づいて決
定している。
【0070】したがって、曲率半径の大きさに比例して
工具送り速度を速め、より加工能率の高い加工を行うこ
とができるとともに、不要な高い周期の表面うねりに対
する追従遅れを強めて、表面うねりの除去性能を向上さ
せることができ、より一層精度良く自由曲面を加工する
ことができる。
【0071】また、本実施の形態の曲面加工方法は、工
具8の走査として、Y軸方向の直線動作と当該直線動作
を行うためのX軸方向への所定幅の折り返し動作とを行
い、円弧近似を行う接触軌跡として、当該折り返し動作
を除いた1軸方向の直線動作のみの走査の軌跡を採用し
ている。
【0072】したがって、同時2軸送りに比較して機械
的運動誤差を入りにくくして、汎用の精度の加工機でよ
り高精度な加工を行えるようにすることができるととも
に、研磨工具を走査するNCプログラムをより簡単かつ
短時間に作成することができ、より一層安価に、かつ、
簡単に自由曲面を正確に加工することができる。
【0073】さらに、本実施の形態の曲面加工方法は、
工具8の接触軌跡の円弧近似を、直線動作軸(Y軸)と
当該直線動作軸と直交し工具8の被加工物100の被加
工面への荷重付与軸(X軸)とのなす面(YZ面)内に
工具軌跡を投影し、当該投影した工具軌跡を最小二乗法
で近似して求めている。
【0074】したがって、接触軌跡が工具荷重軸方向か
ら見て曲がりを生じるような場合にも、荷重制御の応答
に対応した曲率半径を容易かつ正確に求めることがで
き、より一層正確に自由曲面を加工することができる。
【0075】また、本実施の形態の曲面加工方法は、被
加工物100の被加工面が凸曲面と凹曲面が混在する場
合、工具軌跡を当該凸曲面と凹曲面の変極点で分割し、
凸曲面の工具軌跡と凹曲面の工具軌跡のそれぞれについ
て円弧近似を行っている。
【0076】したがって、工具軌跡が凸の円弧と凹の円
弧をなすような複雑な自由曲面においても、高い形状精
度の加工を行うことができる。
【0077】さらに、本実施の形態の曲面加工方法は、
被加工物の被加工面の研磨加工に適用しているので、4
軸制御などの複雑な装置と加工プログラムを用いること
なく、研磨荷重軸と直交2軸のNCテーブルで構成され
る従来の簡単な曲面研磨装置を用いて、工具送り速度、
工具回転数及び荷重制御の応答条件を速やかに決定し、
安価に、かつ、より一層簡単に自由曲面を正確に研磨加
工することができる。
【0078】そして、上記手順と同じ手順で決定される
研磨加工条件を用いることにより、自由曲面に対しても
前形状を維持した均等研磨を2軸NCをベースとする加
工機で容易に実現することができる。
【0079】以上、本発明者によってなされた発明を好
適な実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は
上記のものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱
しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもな
い。
【0080】例えば、上記実施の形態においては、最小
曲率半径の円弧断面を有するダミ−加工物(ダミーワー
ク200)を予め予備加工して、工具送り速度、工具回
転数及び荷重制御の応答条件を決定しているが、予め各
種曲率半径の円弧断面を有するダミ−加工物を予備加工
して決定した工具送り速度、工具回転数及び荷重制御の
応答条件のデータベースを作成し、最小曲率半径を求め
ると、当該最小曲率半径に基づいてデータベースから工
具送り速度、工具回転数及び荷重制御の応答条件を読み
出して決定するようにしてもよい。
【0081】このようにすると、工具送り速度、工具回
転数及び荷重制御の応答条件を速やかに決定して、安価
に、かつ、より一層簡単に自由曲面を正確に加工するこ
とができる。
【0082】また、上記実施の形態においては、被加工
物を研磨加工する場合に適用しているが、被加工物の被
加工面を切削または研削加工する場合にも、同様に適用
することができ、この場合、工具荷重軸の定寸の切り込
み軸に置き換えた加工機構成に容易に適用して、自由曲
面の創成加工を高精度に行うことができ、表面うねりを
抑制しつつ、高精度に切削または研削加工を行うことが
できる。
【0083】
【発明の効果】請求項1記載の発明の曲面加工方法によ
れば、被加工物よりも小径の工具を軸心の回りに所定の
工具回転数で回転させながら工具の荷重を略一定にして
所定の軌跡上を所定の工具送り速度で走査させて曲面を
加工するに際して、工具の被加工物の被加工面に対する
接触軌跡を円弧近似し、当該円弧近似のうち最小曲率半
径と同じ曲率半径の円弧断面を有するダミー加工物を予
備加工して、工具送り速度、工具回転数及び荷重制御の
応答条件を決定し、当該決定した工具送り速度、工具回
転数及び荷重制御の応答条件に基づいて被加工物を加工
するので、4軸制御などの複雑な装置と加工プログラム
を用いることなく、工具荷重軸と直交2軸のNCテーブ
ルで構成される従来の簡単な曲面加工装置を用いて、安
価に、かつ、簡単に自由曲面を正確に加工することがで
きる。
【0084】請求項2記載の発明の曲面加工方法によれ
ば、被加工物よりも小径の工具を軸心の回りに所定の工
具回転数で回転させながら工具の荷重を略一定にして所
定の軌跡上を所定の工具送り速度で走査させて曲面を加
工するに際して、工具の被加工物の被加工面に対する接
触軌跡を円弧近似し、当該円弧近似のうち最小曲率半径
を求め、各種曲率半径の円弧断面を有するダミ−加工物
を予め予備加工して決定した工具送り速度、工具回転数
及び荷重制御の応答条件のデータベースから、最小曲率
半径に基づいて工具送り速度、工具回転数及び荷重制御
の応答条件を読み出し、当該読み出した工具送り速度、
工具回転数及び荷重制御の応答条件に基づいて被加工物
を加工するので、4軸制御などの複雑な装置と加工プロ
グラムを用いることなく、工具荷重軸と直交2軸のNC
テーブルで構成される従来の簡単な曲面加工装置を用い
て、工具送り速度、工具回転数及び荷重制御の応答条件
を速やかに決定して、安価に、かつ、より一層簡単に自
由曲面を正確に加工することができる。
【0085】請求項3記載の発明の曲面加工方法によれ
ば、荷重制御の応答条件として、工具の荷重制御のステ
ップ指令値に対する立ち上がり時間とオーバーシュート
量を用いているので、オペレータの習熟度に関わらず、
工具送り速度を変更せず、かつ、形状の劣化を抑制しつ
つ、加工を行うことができ、安価に、かつ、簡単に自由
曲面を正確に加工することができる。
【0086】請求項4記載の発明の曲面加工方法によれ
ば、最小曲率半径以外の他の曲率半径の接触軌跡の工具
送り速度を、当該接触軌跡の曲率半径と最小曲率半径と
の比に基づいて決定するので、曲率半径の大きさに比例
して工具送り速度を速め、より加工能率の高い加工を行
うことができるとともに、不要な高い周期の表面うねり
に対する追従遅れを強めて、表面うねりの除去性能を向
上させることができ、より一層精度良く自由曲面を加工
することができる。
【0087】請求項5記載の発明の曲面加工方法によれ
ば、工具の走査として、X軸方向またはY軸方向の直線
動作と当該直線動作を行うためのY軸方向またはX軸方
向への所定幅の折り返し動作とを行い、円弧近似を行う
接触軌跡として、当該折り返し動作を除いた1軸方向の
直線動作のみの走査の軌跡を採用しているので、同時2
軸送りに比較して機械的運動誤差を入りにくくして、汎
用の精度の加工機でより高精度な加工を行えるようにす
ることができるとともに、研磨工具を走査するNCプロ
グラムをより簡単かつ短時間に作成することができ、よ
り一層安価に、かつ、簡単に自由曲面を正確に加工する
ことができる。
【0088】請求項6記載の発明の曲面加工方法によれ
ば、工具の走査として、X軸方向またはY軸方向の直線
動作と当該直線動作を行うためのY軸方向またはX軸方
向への所定幅の折り返し動作とを行い、工具の接触軌跡
の円弧近似を、直線動作軸と当該直線動作軸と直交し工
具の被加工物の被加工面への荷重付与軸とのなす面内に
工具軌跡を投影し、当該投影した工具軌跡を最小二乗法
で近似して求めているので、接触軌跡が工具荷重軸方向
から見て曲がりを生じるような場合にも、荷重制御の応
答に対応した曲率半径を容易かつ正確に求めることがで
き、より一層正確に自由曲面を加工することができる。
【0089】請求項7記載の発明の曲面加工方法によれ
ば、被加工物の被加工面が凸曲面と凹曲面が混在する場
合、工具軌跡を当該凸曲面と凹曲面の変極点で分割し、
凸曲面の工具軌跡と凹曲面の工具軌跡のそれぞれについ
て円弧近似を行っているので、工具軌跡が凸の円弧と凹
の円弧をなすような複雑な自由曲面においても、高い形
状精度の加工を行うことができる。
【0090】請求項8記載の発明の曲面加工方法によれ
ば、曲面加工方法を、被加工物の被加工面の研磨加工に
適用しているので、4軸制御などの複雑な装置と加工プ
ログラムを用いることなく、研磨荷重軸と直交2軸のN
Cテーブルで構成される従来の簡単な曲面研磨装置を用
いて、工具送り速度、工具回転数及び荷重制御の応答条
件を速やかに決定し、安価に、かつ、より一層簡単に自
由曲面を正確に研磨加工することができる。
【0091】請求項9記載の発明の曲面加工方法によれ
ば、曲面加工方法を、被加工物の被加工面の切削または
研削加工に適用しているので、工具荷重軸の定寸の切り
込み軸に置き換えた加工機構成に容易に適用して、自由
曲面の創成加工を高精度に行うことができ、表面うねり
を抑制しつつ、高精度に切削または研削加工を行うこと
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の曲面加工方法の一実施の形態を適用し
た研磨装置の正面図。
【図2】図1の工具及び被加工物部分の拡大斜視図。
【図3】図1の研磨装置の制御ブロック図。
【図4】曲面加工の対象となる被加工物の研磨領域部分
を拡大して示す斜視図。
【図5】図4の被加工物の接触軌跡(ツールパス)を示
す図。
【図6】図5のツールパスを円弧近似した状態を示す
図。
【図7】研磨条件を決定するためにシリンダー形状のダ
ミーワークを実験研磨している状態を示すダミーワーク
と工具の拡大斜視図。
【図8】ステップ応答波形を示す図。
【図9】ダミーワークの予備研磨の形状評価結果を示す
図。
【図10】研磨条件の決定手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
1 研磨装置 2 基台 3 X軸テーブル 4 Y軸テーブル 5 直動ガイド軸 6 直動ガイド 7 スピンドル 8 工具 9 加圧機構 10 ロードセル 11 重り 20 工具加工圧力設定部 21 PID調節器 22 空圧レギュレータ 23 エアシリンダ 100 被加工物 101 研磨領域 102 接触軌跡 103 切り返し動作 200 ダミーワーク
フロントページの続き Fターム(参考) 3C001 KA01 KB07 TA05 TA06 3C049 AA03 AA11 AA16 AB01 AB06 BA01 BA02 BA04 BA05 BB02 BB08 BC01 BC02 CA01 CA03 CB01 CB05

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】被加工物よりも小径の工具を所定の軸心の
    回りに所定の工具回転数で回転させながら工具の荷重を
    略一定にして所定の軌跡上を所定の工具送り速度で走査
    させて曲面を加工する曲面加工方法において、前記工具
    の前記被加工物の被加工面に対する接触軌跡を円弧近似
    し、当該円弧近似のうち最小曲率半径と同じ曲率半径の
    円弧断面を有するダミー加工物を予備加工して、工具送
    り速度、工具回転数及び荷重制御の応答条件を決定し、
    当該決定した工具送り速度、工具回転数及び荷重制御の
    応答条件に基づいて前記被加工物を加工することを特徴
    とする曲面加工方法。
  2. 【請求項2】被加工物よりも小径の工具を所定の軸心の
    回りに所定の工具回転数で回転させながら工具の荷重を
    略一定にして所定の軌跡上を所定の工具送り速度で走査
    させて曲面を加工する曲面加工方法において、前記工具
    の前記被加工物の被加工面に対する接触軌跡を円弧近似
    し、当該円弧近似のうち最小曲率半径を求め、各種曲率
    半径の円弧断面を有するダミ−加工物を予め予備加工し
    て決定した工具送り速度、工具回転数及び荷重制御の応
    答条件のデータベースから、前記最小曲率半径に基づい
    て工具送り速度、工具回転数及び荷重制御の応答条件を
    読み出し、当該読み出した工具送り速度、工具回転数及
    び荷重制御の応答条件に基づいて前記被加工物を加工す
    ることを特徴とする曲面加工方法。
  3. 【請求項3】前記曲面加工方法は、前記荷重制御の応答
    条件として、前記工具の荷重制御のステップ指令値に対
    する立ち上がり時間とオーバーシュート量を用いること
    を特徴とする請求項1または請求項2記載の曲面加工方
    法。
  4. 【請求項4】前記曲面加工方法は、前記最小曲率半径以
    外の他の曲率半径の接触軌跡の工具送り速度を、当該接
    触軌跡の曲率半径と前記最小曲率半径との比に基づいて
    決定することを特徴とする請求項1から請求項3のいず
    れかに記載の曲面加工方法。
  5. 【請求項5】前記曲面加工方法は、前記工具の走査とし
    て、X軸方向またはY軸方向の直線動作と当該直線動作
    を行うためのY軸方向またはX軸方向への所定幅の折り
    返し動作とを行い、前記円弧近似を行う接触軌跡とし
    て、当該折り返し動作を除いた1軸方向の前記直線動作
    のみの走査の軌跡を採用することを特徴とする請求項1
    から請求項4のいずれかに記載の曲面加工方法。
  6. 【請求項6】前記曲面加工方法は、前記工具の走査とし
    て、X軸方向またはY軸方向の直線動作と当該直線動作
    を行うためのY軸方向またはX軸方向への所定幅の折り
    返し動作とを行い、前記工具の接触軌跡の円弧近似を、
    前記直線動作軸と当該直線動作軸と直交し前記工具の前
    記被加工物の被加工面への荷重付与軸とのなす面内に工
    具軌跡を投影し、当該投影した工具軌跡を最小二乗法で
    近似して求めることを特徴とする請求項1から請求項5
    のいずれかに記載の曲面加工方法。
  7. 【請求項7】前記曲面加工方法は、前記被加工物の被加
    工面が凸曲面と凹曲面が混在する場合、前記工具軌跡を
    当該凸曲面と凹曲面の変極点で分割し、凸曲面の工具軌
    跡と凹曲面の工具軌跡のそれぞれについて前記円弧近似
    を行うことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれ
    かに記載の曲面加工方法。
  8. 【請求項8】前記曲面加工方法は、前記被加工物の被加
    工面を研磨加工することを特徴とする請求項1から請求
    項7のいずれかに記載の曲面加工方法。
  9. 【請求項9】前記曲面加工方法は、前記被加工物の被加
    工面を切削または研削加工することを特徴とする請求項
    1から請求項7のいずれかに記載の曲面加工方法。
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