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JP2000219794A - 高ニトリル系重合体組成物及びその製造方法 - Google Patents

高ニトリル系重合体組成物及びその製造方法

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JP2000219794A
JP2000219794A JP11020912A JP2091299A JP2000219794A JP 2000219794 A JP2000219794 A JP 2000219794A JP 11020912 A JP11020912 A JP 11020912A JP 2091299 A JP2091299 A JP 2091299A JP 2000219794 A JP2000219794 A JP 2000219794A
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high nitrile
nitrile polymer
phosphite
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JP11020912A
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Hiroaki Narisawa
宏彰 成澤
Masahiro Kaneko
昌弘 金子
Atsuo Kawada
充生 河田
Kyoji Kuroda
恭次 黒田
Shinichi Asai
真一 浅井
Makoto Someta
誠 染田
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Mitsui Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Chemicals Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 成形加工による黄色への変色が抑制され、耐
衝撃性が効果的に発揮される高ニトリル系重合体組成物
及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 不飽和ニトリル系単量体単位50重量%
以上、及びこれと共重合可能な単量体単位50重量%以
下を含む高ニトリル系重合体100重量部、並びに、共
役ジエン単量体単位50重量%以上、及びこれと共重合
性の単量体単位50重量%以下を含む共役ジエン系合成
ゴム1〜40重量部からなり、且つ、全重合体中に不飽
和ニトリル系単量体単位50重量%以上を含むゴム含有
高ニトリル系重合体と、リン原子に結合した酸素原子の
少なくとも一つに二つ以上の置換基を有するフェニル基
が結合した亜リン酸エステルと、チオエーテル化合物か
らなり、ゴム含有高ニトリル系重合体100重量部に対
して、該亜リン酸エステル0.5〜2重量部、及びチオ
エーテル化合物0.1〜1重量部を含む高ニトリル系重
合体組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高ニトリル系重合
体組成物及びその製造方法に関する。詳しくは、成形加
工による黄色への変色が少なく、耐衝撃性を効果的に発
揮する高ニトリル系重合体組成物及びその製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】ゴム含有高ニトリル系重合体は、不飽和
ニトリル単量体単位を高い割合で含有する高ニトリル系
重合体が本来有する優れたガスバリアー性、耐薬品性、
薬効成分や臭気の非吸着性等の他、優れた耐衝撃性をも
具備した熱可塑性重合体であり、食品、農医薬品、化粧
品等の分野における包装材料、容器材料等として使用さ
れている。
【0003】かかるゴム含有高ニトリル系重合体の代表
例として、特公昭46−25005号公報には、共役ジ
エン系ゴムの存在下で不飽和ニトリル及びアクリル酸エ
ステルをグラフト共重合させる高ニトリル系重合体の製
造方法が開示されている。かかる重合体は、ガスバリア
ー性に優れ、公知の成形方法により任意の包装容器材料
に成形できる。しかし、元来黄色度が高く、更に熱履歴
の増加に伴い黄色度が著しく増加するため、成形加工時
には熱履歴をできるだけ少なくする必要がある。しか
し、実際には、シートやフィルムの両端耳の部分や、射
出成形体のランナーの部分をリサイクルして使うことが
多く、熱履歴の増加に伴う黄色度の増加抑制が望まれて
いる。また、ゴム成分が耐熱性の低い共役ジエン系合成
ゴムであるため、高温で押出成形や射出成形を行うと、
重合体の分子量やゴム含有量に見合うだけ十分な耐衝撃
性が得られず、効果的でないという問題があった。
【0004】特開昭49−10950号公報、特開昭4
9−10951号公報、特開昭50−77452号公
報、特開昭51−31740号公報等には、有機錫化合
物を単独、またはフェノール系、イオウ系、リン系から
選ばれる酸化防止剤との併用で高ニトリル系重合体に添
加することにより黄色への変色を抑制する方法が開示さ
れている。しかし、その効果は実用的に十分なものでは
なく、耐衝撃性を効果的に発揮させる方法については全
く記載されていない。
【0005】また、特開昭51−98755号公報に
は、7−オキサビシクロ〔2.2.1〕−5−ヘプテン
−2,3−ジカルボン酸や5−ノルボルネン−2,3−
ジカルボン酸またはこれらの酸無水物やカルボキシイミ
ドをゴム含有高ニトリル系重合体に添加することにより
黄色への変色を抑制する方法が開示されている。しか
し、その効果も実用的に十分なものではなく、また、耐
衝撃性を効果的に発揮させる方法については全く記載さ
れていない。更に、特開平4−132764号公報に
は、アルキルフェノールを酸化防止剤として高ニトリル
系重合体に添加することにより黄色への変色を抑制する
方法が開示されている。しかし、この方法による黄変抑
制効果も実用的に不十分であり、耐衝撃性を効果的に発
揮させる方法についても何ら記載されていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
問題を解決し、成形加工における黄色への変色が抑制さ
れ、同時に耐衝撃性が効果的に発揮される高ニトリル系
重合体組成物及びその製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】共役ジエン系ゴム含有高
ニトリル系重合体は、アクリロニトリル−ブタジエン−
スチレン単量体単位からなる、所謂、ABS樹脂等とは
異なり、耐熱性の低い共役ジエン系合成ゴム成分を含有
することに加えて、多量の不飽和ニトリル系単量体単位
で構成されることから極めて熱安定性が悪い。更に、高
ニトリル系重合体が有する高いガスバリアー性や耐薬品
性のため、ABS樹脂や塩化ビニル樹脂等とは異なり、
酸化防止剤等の添加剤の混合・分散が難しくその効果が
発揮されにくい。
【0008】そこで本発明者らは、化学構造の異なる添
加剤やその添加量、添加方法等を鋭意研究した結果、特
定の構造を有する亜リン酸エステルの特定量とチオエー
テル化合物の特定量を、好ましくは特定の方法で添加す
ることにより、高ニトリル系重合体本来の特性であるガ
スバリアー性、耐薬品性、加工流動性等を損なうことな
く、成形加工における黄色への変色が抑制され、同時に
耐衝撃性が効果的に発揮される重合体組成物が得られる
ことを見出し、本発明を完成した。
【0009】即ち、本発明の第1発明は、不飽和ニトリ
ル系単量体単位50重量%以上、及びこれと共重合可能
な単量体単位50重量%以下を含む高ニトリル系重合体
(A1)100重量部、並びに、共役ジエン単量体単位
50重量%以上、及びこれと共重合性の単量体単位50
重量%以下を含む共役ジエン系合成ゴム(A2)1〜4
0重量部からなり、且つ、全重合体{(A1)+(A
2)}中に不飽和ニトリル系単量体単位50重量%以上
を含むゴム含有高ニトリル系重合体(A)と、リン原子
に結合した酸素原子の少なくとも一つに二つ以上の置換
基を有するフェニル基が結合した亜リン酸エステル
(B)と、チオエーテル化合物(C)からなり、(A)
100重量部に対して(B)を0.5〜2重量部、
(C)を0.1〜1重量部含む高ニトリル系重合体組成
物である。
【0010】第1発明の特徴は、共役ジエン系合成ゴム
含有高ニトリル系重合体組成物の成形加工における黄色
への変色の抑制や耐衝撃性を効果的に発揮させる成分と
して、特定の構造を有する亜リン酸エステルの特定量
と、チオエーテル化合物の特定量を含んでいる点にあ
る。
【0011】また、本発明の第2発明は、第1発明の高
ニトリル系重合体組成物の好ましい製造方法であり、上
記ゴム含有高ニトリル系重合体(A)を乳化重合により
合成した後、該重合体乳化液に上記亜リン酸エステル
(B)を(A)100重量部に対して0.5〜2重量
部、チオエーテル化合物(C)を(A)100重量部に
対して0.1〜1重量部乳化して添加する高ニトリル系
重合体組成物の製造方法である。
【0012】第2発明の特徴は、ガスバリアー性や耐薬
品性に優れる性質により、添加剤等と混ざりにくいゴム
含有高ニトリル系重合体中に亜リン酸エステル及びチオ
エーテル化合物を均一に分散させるため、両者を乳化液
の状態で混合している点にある。
【0013】かかる構成により、高ニトリル系重合体の
特性を維持しつつ、成形加工における黄色への変色が抑
制され、同時に耐衝撃性が効果的に発揮されるゴム含有
高ニトリル系重合体組成物が得られるものである。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明の高ニトリル系重合体組成物は、共役ジエ
ン単量体50重量%以上、及びこれと共重合性の単量体
50重量%以下を含む単量体混合物を重合して共役ジエ
ン系合成ゴム(A2)を製造し、不飽和ニトリル系単量
体50重量%以上、及びこれと共重合可能な単量体50
重量%以下を含む単量体混合物を重合して高ニトリル系
重合体(A1)を製造して、(A1)100重量部及び
(A2)1〜40重量部からなる全重合体{(A1)+
(A2)}中の不飽和ニトリル系単量体単位が50重量
%以上となるようにゴム含有高ニトリル系重合体(A)
を調製し、次いで、(A)100重量部に対して、リン
原子に結合した酸素原子の少なくとも一つに二つ以上の
置換基を有するフェニル基が結合した亜リン酸エステル
(B)0.5〜2重量部、及び、チオエーテル化合物
(C)0.1〜1重量部を添加することにより製造され
る。
【0015】本発明に係わるゴム含有高ニトリル系重合
体(A)は、高ニトリル系重合体(A1)及び共役ジエ
ン系合成ゴム(A2)からなる。高ニトリル系重合体
(A1)は、特定量の不飽和ニトリル系単量体単位とこ
れと共重合可能な単量体単位を含む。重合に使用する該
不飽和ニトリル系単量体としては、アクリロニトリル、
メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル等が
挙げられる。好ましくはアクリロニトリル、メタクリロ
ニトリルである。
【0016】ゴム含有高ニトリル系重合体組成物の特性
は、全重合体{(A1)+(A2)}中の不飽和ニトリル
系単量体単位の量に影響される。即ち、不飽和ニトリル
系単量体単位の量が少ないと、耐薬品性、ガスバリアー
性等の特性が低下する。かかる点を考慮すると、ゴム成
分を含む全重合体中に50重量%以上の不飽和ニトリル
系単量体単位を有するように、不飽和ニトリル系単量体
を使用することが好ましい。共役ジエン系合成ゴム(A
2)の使用量,組成を考慮すると、高ニトリル系重合体
(A1)中には60〜90重量%の不飽和ニトリル系単
量体単位を含むことが好ましい。
【0017】高ニトリル系重合体(A1)に用いる不飽
和ニトリル系単量体と共重合可能な単量体としては、不
飽和カルボン酸エステル、芳香族ビニル化合物、不飽和
ジカルボン酸誘導体、α−オレフィン、ビニルエステ
ル、ビニルエーテル等が挙げられる。不飽和カルボン酸
エステルとしては、アクリル酸又はメタクリル酸のメチ
ル、エチル、プロピル、ブチル等のアルキルエステルを
挙げることができる。好ましいものはアクリル酸メチ
ル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリ
ル酸エチルである。また、芳香族ビニル化合物として
は、スチレン、α−メチルスチレンやビニルトルエン
類、ビニルキシレン類等が挙げられる。好ましいものは
スチレンである。
【0018】不飽和ジカルボン酸誘導体としては、N−
フェニルマレイミドやN−シクロヘキシルマレイミド、
無水マレイン酸等が挙げられる。好ましいものはN−フ
ェニルマレイミドである。α−オレフィンとしては、イ
ソブチレン、2−メチル−1−ブテン、2−メチル−1
−ペンテン、2−メチル−1−ヘキセン等が挙げられ、
好ましくはイソブチレンである。ビニルエステルとして
は、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等が
挙げられ、好ましくは酢酸ビニルである。ビニルエーテ
ルとしては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエー
テル、プロピルビニルエーテル類、ブチルビニルエーテ
ル類、メチルイソプロペニルエーテル、エチルイソプロ
ペニルエーテル等が挙げられる。好ましくはメチルビニ
ルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエ
ーテル類、ブチルビニルエーテル類である。
【0019】本発明に係わる共役ジエン系合成ゴム(A
2)は、共役ジエン系単量体50重量%以上、及び、こ
れと共重合性の単量体、例えば、不飽和ニトリル、芳香
族ビニル化合物、不飽和カルボン酸エステル等から選ば
れた少なくとも一種の単量体との共重合体である。共役
ジエン単量体としては、1,3−ブタジエン、イソプレ
ン、クロロプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジ
エン、2,3−ジエチル−1,3−ブタジエン等が例示
される。入手の容易さや重合性が良い等の観点から、
1,3−ブタジエン、イソプレンが好ましい。
【0020】不飽和ニトリルとしては、アクリロニトリ
ル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル
等が挙げられる。好ましくはアクリロニトリル、メタク
リロニトリルである。また、芳香族ビニル化合物として
は、スチレン、α−メチルスチレンやビニルトルエン
類、ビニルキシレン類等が挙げられる。好ましいものは
スチレンである。不飽和カルボン酸エステルとしては、
アクリル酸又はメタクリル酸のメチル、エチル、プロピ
ル、ブチル等のアルキルエステルを挙げることができ
る。好ましいものはアクリル酸メチル、アクリル酸エチ
ル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルである。
【0021】具体的には、共役ジエン系合成ゴムとして
は、1,3−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、
1,3−ブタジエン−アクリロニトリル及びメタクリロ
ニトリル共重合体、1,3−ブタジエン−アクリロニト
リル及びスチレン共重合体、1,3−ブタジエン−スチ
レン共重合体が好ましく挙げられる。より好ましくは
1,3−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体であ
る。
【0022】これらの共役ジエン系合成ゴム(A2)に
含まれる共役ジエン単量体単位の量は、得られるゴム含
有高ニトリル系重合体(A)の耐衝撃性に関係する。か
かる点を考慮すると、(A2)は共役ジエン単量体単位
を50重量%以上含むことが好ましい。更に好ましく
は、55〜85重量%である。また、高ニトリル系重合
体(A1)に対する共役ジエン系合成ゴム(A2)の量
は、耐衝撃性、成形加工性に影響を及ぼす。共役ジエン
系合成ゴム(A2)の量が少ないと耐衝撃性が低下し、
逆に多いと成形加工性が低下する。かかる点を考慮する
と、高ニトリル系重合体(A1)100重量部に対する
共役ジエン系合成ゴム(A2)の量は、1〜40重量部
であることが好ましい。更に好ましくは、5〜30重量
部である。
【0023】共役ジエン系合成ゴムは、公知の方法によ
って製造できるが、乳化重合法が好適である。また、重
合温度には特に制限はないが、重合速度、生産性等を考
慮すると、40〜70℃の温度範囲が好ましい。
【0024】ゴム含有高ニトリル系重合体(A)の製造
方法としては、共役ジエン系合成ゴム(A2)の存在下
に、不飽和ニトリル系単量体及びこれと共重合性の単量
体を重合させ、重合体の一部をゴムにグラフトさせる方
法、あるいは、共役ジエン系合成ゴム(A2)と、不飽
和ニトリル系単量体単位及びこれと共重合性の単量体単
位を含む高ニトリル系重合体(A1)とをブレンドする
方法等が挙げられる。得られるゴム含有高ニトリル系重
合体(A)の耐衝撃性等を考慮すると、前者の方が好ま
しい。
【0025】高ニトリル系重合体(A1)の重合方法
は、乳化重合、溶液重合、懸濁重合、塊状重合、または
これらの組合せ法等、公知の重合方法が適用できる。し
かし、ガスバリアー性や耐薬品性に優れる性質により、
添加剤等と混ざりにくいゴム含有高ニトリル系重合体中
に上記特定の構造を有する亜リン酸エステル及びチオエ
ーテル化合物を均一に分散させるため、両者を乳化液や
溶液の状態で混合することを考慮すると、乳化重合及び
溶液重合が好ましく適用される。更に、重合熱の除去や
重合後の後処理の容易さ、有機溶媒の回収・再生等の付
帯設備の簡易化、等を考慮すると乳化重合法がより好ま
しく適用される。乳化重合法の場合は、重合体生成物は
ラテックス状で得られるので、従来公知の方法、例え
ば、硫酸アルミニウムや硫酸マグネシウム等の電解質ま
たは溶媒による凝集法、または凍結法等により重合体を
凝固、分離、水洗の後、乾燥して重合体を得る方法が挙
げられる。
【0026】高ニトリル系重合体(A1)の重合反応を
行うには、この他に重合開始剤、分子量調節剤が、特
に、乳化重合を適用する場合には、乳化剤や分散剤、分
子量調節剤の効果を高めるために添加する酸類等が使用
されるが、その種類及び量は公知のものが適用される。
高ニトリル系重合体(A1)の製造時の重合温度には特
に制限はなく、0〜100℃の任意の温度において実施
できる。重合速度、転化率、生産性等を考慮すると、5
0〜70℃の温度範囲が好ましい。
【0027】本発明で使用する亜リン酸エステルは、リ
ン原子に結合した酸素原子の少なくとも一つに二つ以上
の置換基を有するフェニル基が結合した構造を含む化合
物である。該フェニル基が有する置換基は、熱安定性や
耐加水分解性を考慮すると、2位及び4位に存在するこ
とが好ましく、更に他の位置に存在していてもよい。該
フェニル基が有する置換基の種類としては、水素原子よ
りも立体的に嵩高い基であって且つ熱分解等により脱離
しにくいことが必要であり、メチル、エチル、tert
−ブチル等のアルキル基やその誘導体等が好ましく挙げ
られる。また、リン原子に結合した他の酸素原子につい
ては、フェニル基が結合していても他のアルキル基等が
結合していてもよい。但し、フェニル基が結合する場合
は、上記同様脱離しにくい二つ以上の置換基を有する方
が好ましい。リン原子に結合した他の酸素原子に結合す
るフェニル基以外の基としては、ネオペンチル、オクチ
ル、ノニル、デシル、ドデシル、トリデシル、テトラデ
シル、ペンタデシル、オクタデシル等のアルキル基やそ
の誘導体が好ましく挙げられる。
【0028】上記の好ましい亜リン酸エステルは、下記
一般式(1)〔化5〕で表される。
【0029】
【化5】
【0030】(式中、Zは、水素原子、置換基を有して
いてもよい炭素数1〜6の、アルキル基、アルケニル
基、またはアリール基を示す。アルキル基としては、直
鎖または分岐鎖のいずれでもよく、好ましくは直鎖であ
る。置換基としては、下記一般式(3)〔化6〕で表さ
れる置換基等が挙げられる。
【0031】
【化6】
【0032】(式中、X1及びX2、R1〜R6は、いずれ
も一般式(1)と同様である。) Zとしては、アルキル基、または上記一般式(3)で置
換されたアルキル基が特に好適である。X1及びX2は、
各々独立して直接結合、エーテル基、置換基を有してい
てもよい炭素数1〜10のアルキレン基、またはエーテ
ル結合を含む炭素数1〜10のアルキレン基を表し、特
には直接結合が好ましく用いられる。なお、アルキレン
基としては、炭素数1〜6のものが好ましい。R1及び
2は、各々独立して水素原子、置換基を有していても
よい炭素数1〜30、好ましくは炭素数2〜25、更に
好ましくは炭素数5〜20、特に好ましくは炭素数10
〜15の、アルキル基、アルケニル基、アリール基を表
す。特にアルキル基が好適である。アルキル基として
は、直鎖または分岐鎖のいずれでもよい。R3は、置換
基を有していてもよい炭素数1〜30の、アルキル基、
アルケニル基、またはアリール基を示し、R4〜R6は、
各々独立して水素原子、置換基を有していてもよい炭素
数1〜30の、アルキル基、アルケニル基、またはアリ
ール基を示す。また、R4としては、特に、水素原子が
好ましく、R3、R5、R6としては、好ましくは炭素数
1〜20、更に好ましくは炭素数1〜10、特には炭素
数1〜4のアルキル基が好ましい。アルキル基として
は、直鎖または分岐鎖のいずれでもよい。nは1〜4の
整数、好ましくは1〜2、特に好ましくは2である。) 本発明で使用する更に好ましい亜リン酸エステルは、下
記一般式(2)〔化7〕で表される化合物である。
【0033】
【化7】
【0034】(式中、Z1及びZ2は、各々独立して上記
Zと同じである。R1、R2、R4〜R8及びR10〜R
12は、各々独立して上記R1、R2、R4〜R6と同様、R
3及びR9は、各々独立して上記R3と同様であり、特に
はR1、R2、R7、R8は、炭素数10〜15のアルキル
基であることが好ましい。また、R3、R5、R9、R11
は、特に炭素数1〜4のアルキル基が好適であり、
4、R6、R10、R12は、特に水素原子であることが好
ましい。) 上記亜リン酸エステルの具体例としては、4,4’−ブ
チリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェ
ニルジトリデシルフォスファイト)、1,1,3−トリ
ス(2−メチル−4−ジトリデシルフォスファイト−5
−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,1,3,3
−テトラキス(2−メチル−4−ジトリデシルフォスフ
ァイト−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、トリ
ス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)フォスフ
ァイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニ
ル)ペンタエリスリトール−ジフォスファイト、ビス
(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニ
ル)ペンタエリスリトール−ジフォスファイト、2,2
−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニ
ル)オクチルフォスファイト等が挙げられる。
【0035】これらの内、好ましくは4,4’−ブチリ
デンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェニル
ジトリデシルフォスファイト)(式(4))、1,1,
3−トリス(2−メチル−4−ジトリデシルフォスファ
イト−5−tert−ブチルフェニル)ブタン(式
(5))、1,1,3,3−テトラキス(2−メチル−
4−ジトリデシルフォスファイト−5−tert−ブチ
ルフェニル)ブタン(式(6))であり、特に好ましく
は、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−te
rt−ブチルフェニルジトリデシルフォスファイト)、
1,1,3−トリス(2−メチル−4−ジトリデシルフ
ォスファイト−5−tert−ブチルフェニル)ブタン
である。
【0036】
【化8】
【0037】これら亜リン酸エステルは二種以上を併用
しても良く、その添加量は、ゴム含有高ニトリル系重合
体(A)100重量部に対して0.5〜2重量部であ
る。添加量が0.5重量部未満の場合は、得られる高ニ
トリル系重合体組成物の黄色度が高く、耐衝撃性が低下
するので好ましくない。2重量部を超える場合は、黄色
度を低く抑える効果が既に飽和していて殆ど下がらず、
耐衝撃性向上効果も飽和している他、逆に熱履歴の増加
に伴う黄色度の増加が却って大きくなる傾向があり好ま
しくない。
【0038】本発明で亜リン酸エステルと併用するチオ
エーテル化合物としては、ドデシル、トリデシル、テト
ラデシル、オクタデシル等のアルキル基を有するジアル
キル3,3'−チオジプロピオネートや、ペンタエリス
リチルテトラキス(3−ドデシルチオプロピオネート)
等が挙げられる。好ましくはジドデシル3,3'−チオ
ジプロピオネート、ジトリデシル3,3'−チオジプロ
ピオネートである。これらチオエーテル化合物は二種以
上を併用しても良く、その添加量は、ゴム含有高ニトリ
ル系重合体(A)100重量部に対して0.1〜1重量
部である。添加量が0.1重量部未満の場合は、得られ
る高ニトリル系重合体組成物の耐衝撃性が低下し、1重
量部を超える場合は、成形加工時の滑性が大きくなり過
ぎてトラブルが生じ易い傾向があり好ましくない。
【0039】従って、本発明の高ニトリル系重合体組成
物の黄色度を低く抑え、熱履歴の増加に伴う黄色度の増
加を抑制し、同時に耐衝撃性を効果的に発揮させるため
には、上記亜リン酸エステルとチオエーテル化合物のそ
れぞれが上記の量添加されることが必要不可欠である。
【0040】本発明において、亜リン酸エステルやチオ
エーテル化合物の添加方法としては、重合前や重合中、
重合後に添加する方法あるいは重合後に回収した重合体
に添加ブレンドする方法が考えられる。しかし、ガスバ
リアー性や耐薬品性に優れる性質により、添加剤等と混
ざりにくいゴム含有高ニトリル系重合体中にこれらを均
一に分散させることと、これら添加剤の重合反応中にお
ける安定性等を考慮すると、これら添加剤の重合体への
添加は、重合後であることが好ましく、且つ、重合体と
亜リン酸エステルやチオエーテル化合物が共に溶媒に溶
解または共に乳化された状態で合一することが好まし
い。具体的には、溶液重合で合成した重合体の反応溶液
に、これら添加剤を溶媒に溶解した状態で添加する方
法、乳化重合で合成した重合体の乳化液に、これら添加
剤を乳化した状態で添加する方法が挙げられる。溶液重
合の場合における有機溶剤の回収等を考慮すると、水を
媒体に用いる後者の方法が好ましい。
【0041】亜リン酸エステルやチオエーテル化合物を
乳化して添加する場合に使用する乳化剤としては、特に
制限はなく、公知のものが使用できる。亜リン酸エステ
ルとの相性や乳化力等を考慮すると、オレイン酸カリウ
ム等の脂肪酸塩、ドデシル硫酸ナトリウム等のアルキル
硫酸エステル塩、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム
等のアルキルスルホコハク酸塩が好ましい。また、乳化
液の調製方法としては、予め調製した乳化剤水溶液に、
攪拌下チオエーテル化合物、亜リン酸エステルを順次添
加する方法、脂肪酸、アルキルスルホコハク酸等とチオ
エーテル化合物、亜リン酸エステルを予め混合して溶解
させ、塩基性物質及び水を添加して攪拌する方法が好ま
しく挙げられる。乳化液調製後の安定性や乳化状態が良
好な点で、後者の方法がより好ましい。更にこれら乳化
液の調製は、添加する亜リン酸エステル及びチオエーテ
ル化合物の融点や相溶性等の特性に応じ、加温しながら
行うことが好ましい。
【0042】その他、可塑剤、安定剤、潤滑剤、染料及
び顔料、充填剤等を必要に応じて重合前や重合中、重合
後に添加することも可能である。
【0043】上記方法により製造される高ニトリル系重
合体組成物は、既知の熱可塑性重合体材料を使用する従
来の成形法、例えば押出成形、射出成形、ブロー成形等
により容易に熱成形が可能であり、高ニトリル系重合体
が本来有する酸素、窒素、二酸化炭素、フロン等のガ
ス、ガソリン等の蒸気に対する高いバリアー性及び各種
有機溶媒、酸、塩基等に対する優れた耐薬品性を備えて
いるのみならず、黄色度が低く抑えられ、且つ、熱履歴
の増加に伴う黄色度の増加が抑制され、同時に耐衝撃性
を効果的に発揮するため、極めて実用価値の高い新規な
重合体組成物である。
【0044】
【実施例】以下、実施例及び比較例を示して本発明につ
いて更に詳細を説明するが、本発明はこれらにより限定
されるものではない。なお、実施例、比較例中の「部」
及び「%」はいずれも重量基準を意味する。また、実施
例及び比較例中に示した物性試験片の調製、黄色度、リ
サイクル黄色度、アイゾッド衝撃強度の測定は下記の方
法で行った。
【0045】(1)物性試験片の調製 得られた重合体組成物を押出機を用い、160〜180
℃で溶融、混練してペレット化する。次いで得られたペ
レットを物性試験片用金型を装着した射出成形機を用
い、190〜200℃で成形して物性試験片を得る。
【0046】(2)リサイクル黄色度 (1)で調製した物性試験片のうち厚さ3mmのシート
に関し、JIS K−7103に規定される方法に従
い、SMカラーコンピューター〔スガ試験機(株)製、
型式:SM−3〕を用いて測定する。この物性試験片
(リサイクル0回目)を粉砕機を用いて粉砕し、その粉
砕物を再び射出成形して調製した物性試験片(リサイク
ル1回目)のうち、厚さ3mmのシートに関して同様に
黄色度を測定する。更にこの操作を2回繰り返し、リサ
イクル3回目,4回目の物性試験片を調製して、各々得
られた厚さ3mmのシートの黄色度を測定する。
【0047】(3)アイゾッド衝撃強度〔J/m〕 (1)で調製した物性試験片のうちアイゾッド試験片に
ノッチを入れ、ASTM D−256(ノッチ付)に規
定される方法に従い、23℃においてアイゾッド衝撃試
験機〔(株)東洋精機製作所製、秤量:200N・c
m〕を用いて測定し、摩擦損失を見込まない計算式で算
出する。
【0048】(i)共役ジエン系合成ゴムラテックスの
製造 ステンレス製重合反応器にアクリロニトリル30部、
1,3−ブタジエン70部、脂肪酸石ケン1.4部、ナ
フタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物0.1
部、アゾビスイソブチロニトリル0.1部、t−ドデシ
ルメルカプタン0.65部及び水200部を装入して、
窒素雰囲気下において、攪拌下、56℃で12時間半重
合反応を行い、転化率90%で重合を終了した。未反応
の単量体を減圧ストリッピングにより除き、固形分濃度
約30%の共役ジエン系合成ゴムラテックスを得た。ま
た、ラテックスより固形分を回収し、乾燥後、元素分析
によりゴム中の1,3−ブタジエン及びアクリロニトリ
ル単位の含有量を求めたところ、1,3−ブタジエン単
位が71%、アクリロニトリル単位が29%であった。
【0049】(ii)ゴム含有高ニトリル系重合体の製造 ステンレス製重合反応器に上記(i)のラテックス(固
形分量)10.5部、アクリロニトリル15部、アクリ
ル酸メチル5部、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム
0.29部、ポリビニルピロリドン0.10部、ヘキサ
メタリン酸ナトリウム0.035部、及び、水150部
を仕込み、攪拌下、窒素雰囲気下で58℃に昇温した。
その後、重合開始剤として過硫酸カリウム0.04部を
添加して重合を開始した。重合開始時より起算して30
分後、重合系にリン酸を加えてpHを3.0とし、次い
で、アクリロニトリル60部、アクリル酸メチル20
部、ペンタエリスリトールテトラキス(β−メルカプト
プロピオネート)1.60部、ジオクチルスルホコハク
酸ナトリウム1.15部、ポリビニルピロリドン0.4
1部、ヘキサメタリン酸ナトリウム0.14部、水85
部を7時間かけて連続的に添加しながら、58℃で重合
を継続した。この間、重合開始時より起算して30分後
から3時間後まではリン酸も連続的に添加し、重合系の
pHを約3.0±0.3に保って重合を行った。重合開
始から9時間が経過した時点で重合反応を停止した。ラ
テックス中に残存する未反応単量体のガスクロマトグラ
フによる分析値から、ゴム成分を除く重合体の組成を求
めたところ、アクリロニトリル単位が75%,アクリル
酸メチル単位が25%であり、重合率は90%であっ
た。未反応の単量体を減圧ストリッピングにより除いて
得たラテックスに、以下の実施例及び比較例に示す亜リ
ン酸エステルとチオエーテル化合物を含む乳化液を添加
して攪拌した。次いで、ラテックスに含まれる重合体1
00重量部に対し、硫酸マグネシウム3.7重量部をこ
れに添加、混合して、重合体組成物を凝集させ、分離し
た。得られた重合体組成物を10重量倍の水を用いて7
5℃で100分間洗浄した。次いで濾別した後、流動乾
燥機を用い、100℃で10分間乾燥して粉粒体状の重
合体組成物を得た。
【0050】実施例1 ジドデシル3,3’−チオジプロピオネート0.4部に
オレイン酸0.27部を加え、70℃に加温しながら攪
拌して完全に溶解させた。次に4,4’−ブチリデンビ
ス(3−メチル−6−tert−ブチルフェニルジトリ
デシルフォスファイト)1.4部を加え、攪拌して溶解
させた。これに45%水酸化カリウム水溶液0.16部
を加え、攪拌下、更に水4.63部を徐々に加えて、上
記(ii)に記載した亜リン酸エステルとチオエーテル化
合物を含む乳化液を調製し、上記(ii)に記載した方法
で高ニトリル系重合体組成物を得た。物性試験片の調製
及び物性の測定を上記方法により行い、その結果を〔表
1〕及び〔表2〕に示す。
【0051】実施例2〜6、比較例1〜9 亜リン酸エステルの種類及び添加量、チオエーテル化合
物の添加量を〔表1〕及び〔表2〕に示すように変更し
た以外は、実施例1と同様にして乳化液を調製し、上記
(ii)に記載した方法で高ニトリル系重合体組成物を得
た。得られた各重合体組成物に関し、物性試験片の調製
及び物性の測定を上記方法により行い、その結果を〔表
1〕及び〔表2〕に示す。
【0052】
【表1】 表中の記号の説明 a:4,4'-フ゛チリテ゛ンヒ゛ス(3-メチル-6-tert-フ゛チルフェニルシ゛トリテ゛シルフォス
ファイト) b:1,1,3-トリス(2-メチル-4-シ゛トリテ゛シルフォスファイト-5-tert-フ゛チルフェニ
ル)フ゛タン c:トリテ゛シルフォスファイト d:シ゛フェニルモノオクチルフォスファイト e:トリス(4-ノニルフェニルフォスファイト) f:シ゛オクタテ゛シルヘ゜ンタエリスリトールシ゛フォスファイト DDTDP:シ゛ト゛テ゛シル3,3'-チオシ゛フ゜ロヒ゜オネート
【0053】
【表2】 表中の記号の説明 a:4,4'-フ゛チリテ゛ンヒ゛ス(3-メチル-6-tert-フ゛チルフェニルシ゛トリテ゛シルフォス
ファイト) DDTDP:シ゛ト゛テ゛シル3,3'-チオシ゛フ゜ロヒ゜オネート
【0054】表の簡単な説明 〔表1〕は、それぞれ化学構造の異なる亜リン酸エステ
ルの一定量と、同一のチオエーテル化合物の一定量を添
加した、ゴム含有高ニトリル系重合体組成物におけるリ
サイクル黄色度を示したものである。〔表2〕は、亜リ
ン酸エステルとチオエーテル化合物の組合せが同じで、
それぞれ両者の添加量が異なる、ゴム含有高ニトリル系
重合体組成物におけるリサイクル黄色度、アイゾッド衝
撃強度を示したものである。
【0055】なお、表中、aは4,4’−ブチリデンビ
ス(3−メチル−6−tert−ブチルフェニルジトリ
デシルフォスファイト)、bは1,1,3−トリス(2
−メチル−4−ジトリデシルフォスファイト−5−te
rt−ブチルフェニル)ブタン、cはトリデシルフォス
ファイト、dはジフェニルモノオクチルフォスファイ
ト、eはトリス(4−ノニルフェニルフォスファイ
ト)、fはジオクタデシルペンタエリスリトールジフォ
スファイト、DDTDPはジドデシル3,3’−チオジ
プロピオネートをそれぞれ表す。
【0056】実施例及び比較例の考察 本発明によれば、従来の技術では不十分であった、ゴム
含有高ニトリル系重合体組成物における、成形加工にお
ける黄色への変色が抑制され、同時に耐衝撃性が効果的
に発揮される。
【0057】〔表1〕に示した結果について ゴム含有高ニトリル系重合体に、本発明の範囲内、即
ち、リン原子に結合した酸素原子の少なくとも一つに二
つ以上の置換基を有するフェニル基が結合した亜リン酸
エステルの特定量を添加した実施例1及び実施例2で得
られた高ニトリル系重合体組成物は、黄色度が低く抑え
られ、熱履歴の増加に伴う黄色度の増加が抑制されてい
る。一方、本発明の範囲外の亜リン酸エステルで、リン
原子に結合した酸素原子の三つ全てにアルキル基が結合
している比較例1、リン原子に結合した酸素原子の二つ
にフェニル基が結合しているがそのフェニル基に置換基
を有していない比較例2は、熱履歴の増加に伴う黄色度
の増加抑制効果が不十分である。同じく本発明の範囲外
の亜リン酸エステルで、リン原子に結合した酸素原子の
三つにフェニル基が結合しているがそのフェニル基に一
つしか置換基を有していない比較例3、リン原子に結合
した酸素原子の二つに共通のネオペンチル基が結合し
て、サイクリックネオペンタンテトライル構造を有する
比較例4は、熱履歴が少ない段階でも黄色度が高い。
【0058】〔表2〕に示した結果について ゴム含有高ニトリル系重合体に、本発明の範囲内、即
ち、リン原子に結合した酸素原子の少なくとも一つに二
つ以上の置換基を有するフェニル基が結合した亜リン酸
エステルとチオエーテル化合物の特定量を添加した実施
例1及び実施例3〜5で得られた高ニトリル系重合体組
成物は、黄色度が低く抑えられ、熱履歴の増加に伴う黄
色度の増加も抑制されていて、同時に十分な耐衝撃性を
発揮している。一方、亜リン酸エステルの化学構造とチ
オエーテル化合物の添加量が本発明の範囲内であって
も、亜リン酸エステルの添加量が少なく本発明の範囲外
である比較例5は、熱履歴が少ない段階でも黄色度が高
く、耐衝撃性が十分に発揮されていない。比較例6は、
チオエーテル化合物を本発明の範囲の上限近くまで添加
したもので、耐衝撃性は改善されるが、黄色度は改善さ
れない。逆に、亜リン酸エステルの添加量が多く、本発
明の範囲外である比較例7は、黄色度を低く抑える効果
が既に飽和していて、実施例3と比較して殆ど下がって
おらず、熱履歴の増加に伴う黄色度の増加が却って大き
くなっている。また、亜リン酸エステルの化学構造と添
加量が本発明の範囲内であっても、チオエーテル化合物
の添加量が少なく本発明の範囲外である比較例8は、耐
衝撃性が十分に発揮されていない。比較例9は、亜リン
酸エステルを本発明の範囲の上限まで添加したものであ
るが、チオエーテル化合物の添加量が少ないままでは耐
衝撃性は改善されない。
【0059】
【発明の効果】本発明に係わる高ニトリル系重合体組成
物は、ガスバリアー性、耐薬品性、非吸着性等が要求さ
れ、且つ、成形加工による黄色への変色の抑制及び耐衝
撃性が要求される押出成形、ブロー成形、射出成形等の
成形材料として好適である。
フロントページの続き (72)発明者 黒田 恭次 愛知県名古屋市緑区鳴海町三高根14−12 (72)発明者 浅井 真一 愛知県名古屋市南区丹後通2丁目1番地 三井化学株式会社内 (72)発明者 染田 誠 愛知県名古屋市南区丹後通2丁目1番地 三井化学株式会社内 Fターム(参考) 4J002 AC072 AC082 BG091 BG101 BN062 BN152 EV067 EW066 FD020 FD030 FD036 FD037 FD090 FD170 GG00

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 不飽和ニトリル系単量体単位50重量%
    以上、及びこれと共重合可能な単量体単位50重量%以
    下を含む高ニトリル系重合体(A1)100重量部、並
    びに、共役ジエン単量体単位50重量%以上、及びこれ
    と共重合性の単量体単位50重量%以下を含む共役ジエ
    ン系合成ゴム(A2)1〜40重量部からなり、且つ、
    全重合体{(A1)+(A2)}中に不飽和ニトリル系単
    量体単位50重量%以上を含むゴム含有高ニトリル系重
    合体(A)と、リン原子に結合した酸素原子の少なくと
    も一つに二つ以上の置換基を有するフェニル基が結合し
    た亜リン酸エステル(B)と、チオエーテル化合物
    (C)からなり、(A)100重量部に対して(B)を
    0.5〜2重量部、(C)を0.1〜1重量部含む高ニ
    トリル系重合体組成物。
  2. 【請求項2】 ゴム含有高ニトリル系重合体(A)が、
    共役ジエン系合成ゴム(A2)1〜40重量部の存在
    下、不飽和ニトリル系単量体50重量%以上、及び、こ
    れと共重合可能な単量体50重量%以下を含む単量体混
    合物100重量部を共重合して得られたゴム含有高ニト
    リル系重合体である請求項1記載の高ニトリル系重合体
    組成物。
  3. 【請求項3】 高ニトリル系重合体(A1)が、不飽和
    ニトリル系単量体単位60〜90重量%、及びこれと共
    重合可能な単量体単位40〜10重量%を含む請求項1
    記載の高ニトリル系重合体組成物。
  4. 【請求項4】 亜リン酸エステル(B)が、一般式
    (1)〔化1〕で表される化合物である請求項1記載の
    高ニトリル系重合体組成物。 【化1】 (式中、Zは、水素原子、置換基を有していてもよい炭
    素数1〜6の、アルキル基、アルケニル基、またはアリ
    ール基を示す。X1及びX2は、各々独立して直接結合、
    エーテル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜10
    のアルキレン基、またはエーテル結合を含む炭素数1〜
    10のアルキレン基を表す。R1、R2及びR4〜R6は、
    各々独立して水素原子、置換基を有していてもよい炭素
    数1〜30の、アルキル基、アルケニル基、アリール基
    を示し、R3は、置換基を有していてもよい炭素数1〜
    30の、アルキル基、アルケニル基、アリール基を示
    す。nは1〜4の整数を表す。)
  5. 【請求項5】 亜リン酸エステル(B)が、一般式
    (2)〔化2〕で表される化合物である請求項1記載の
    高ニトリル系重合体組成物。 【化2】 (式中、Z1及びZ2は、各々独立して水素原子、置換基
    を有していてもよい炭素数1〜6の、アルキル基、アル
    ケニル基、またはアリール基を示す。R1、R2、R4
    8及びR10〜R12は、各々独立して水素原子、置換基
    を有していてもよい炭素数1〜30の、アルキル基、ア
    ルケニル基、アリール基を示し、R3及びR9は、各々独
    立して置換基を有していてもよい炭素数1〜30の、ア
    ルキル基、アルケニル基、アリール基を示す。)
  6. 【請求項6】 亜リン酸エステルが4,4’−ブチリデ
    ンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェニルジ
    トリデシルフォスファイト)、1,1,3−トリス(2
    −メチル−4−ジトリデシルフォスファイト−5−te
    rt−ブチルフェニル)ブタンから選ばれた少なくとも
    1種の化合物である請求項1記載の高ニトリル系重合体
    組成物。
  7. 【請求項7】 チオエーテル化合物(C)が、ジドデシ
    ル3,3’−チオジプロピオネート、ジトリデシル3,
    3’−チオジプロピオネートから選ばれた少なくとも1
    種の化合物である請求項1記載の高ニトリル系重合体組
    成物。
  8. 【請求項8】 共役ジエン単量体50重量%以上、及び
    これと共重合性の単量体50重量%以下を含む単量体混
    合物を乳化重合して共役ジエン系合成ゴム(A2)を製
    造し、不飽和ニトリル系単量体50重量%以上、及びこ
    れと共重合可能な単量体50重量%以下を含む単量体混
    合物を乳化重合して高ニトリル系重合体(A1)を製造
    して、(A1)100重量部及び(A2)1〜40重量
    部からなる全重合体{(A1)+(A2)}中の不飽和ニ
    トリル系単量体単位が50重量%以上となるようにゴム
    含有高ニトリル系重合体(A)を調製し、次いで、
    (A)100重量部に対して、リン原子に結合した酸素
    原子の少なくとも一つに二つ以上の置換基を有するフェ
    ニル基が結合した亜リン酸エステル(B)0.5〜2重
    量部、及び、チオエーテル化合物(C)0.1〜1重量
    部を添加する高ニトリル系重合体組成物の製造方法。
  9. 【請求項9】 共役ジエン系合成ゴム(A2)の存在下
    で高ニトリル系重合体(A1)を共重合する請求項8記
    載の高ニトリル系重合体組成物の製造方法。
  10. 【請求項10】 不飽和ニトリル系単量体60〜90重
    量%、及びこれと共重合可能な単量体単位40〜10重
    量%を含む単量体混合物を用いて高ニトリル系重合体
    (A1)を製造する請求項8記載の高ニトリル系重合体
    組成物の製造方法。
  11. 【請求項11】 亜リン酸エステル(B)が、一般式
    (1)〔化3〕で表される化合物である請求項8記載の
    高ニトリル系重合体組成物の製造方法。 【化3】 (式中、Zは、水素原子、置換基を有していてもよい炭
    素数1〜6の、アルキル基、アルケニル基、またはアリ
    ール基を示す。X1及びX2は、各々独立して直接結合、
    エーテル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜10
    のアルキレン基、またはエーテル結合を含む炭素数1〜
    10のアルキレン基を表す。R1、R2及びR4〜R6は、
    各々独立して水素原子、置換基を有していてもよい炭素
    数1〜30の、アルキル基、アルケニル基、アリール基
    を示し、R3は、置換基を有していてもよい炭素数1〜
    30の、アルキル基、アルケニル基、アリール基を示
    す。nは1〜4の整数を表す。)
  12. 【請求項12】 亜リン酸エステル(B)が、一般式
    (2)〔化4〕で表される化合物である請求項8記載の
    高ニトリル系重合体組成物の製造方法。 【化4】 (式中、Z1及びZ2は、各々独立して水素原子、置換基
    を有していてもよい炭素数1〜6の、アルキル基、アル
    ケニル基、またはアリール基を示す。R1、R2、R4
    8及びR10〜R12は、各々独立して水素原子、置換基
    を有していてもよい炭素数1〜30の、アルキル基、ア
    ルケニル基、アリール基を示し、R3及びR9は、各々独
    立して置換基を有していてもよい炭素数1〜30の、ア
    ルキル基、アルケニル基、アリール基を示す。)
  13. 【請求項13】 亜リン酸エステルが4,4’−ブチリ
    デンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェニル
    ジトリデシルフォスファイト)、1,1,3−トリス
    (2−メチル−4−ジトリデシルフォスファイト−5−
    tert−ブチルフェニル)ブタンから選ばれた少なく
    とも1種の化合物である請求項8記載の高ニトリル系重
    合体組成物の製造方法。
  14. 【請求項14】 チオエーテル化合物(C)が、ジドデ
    シル3,3’−チオジプロピオネート、ジトリデシル
    3,3’−チオジプロピオネートから選ばれた少なくと
    も1種の化合物である請求項8記載の高ニトリル系重合
    体組成物の製造方法。
  15. 【請求項15】 ゴム含有高ニトリル系重合体(A)の
    乳化液に、亜リン酸エステル(B)及びチオエーテル化
    合物(C)を乳化して添加する請求項8〜14のいずれ
    か1項に記載の高ニトリル系重合体組成物の製造方法。
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JP2002130553A (ja) * 2000-10-26 2002-05-09 Ck Kinzoku Kk 樹脂被覆継手
JP2007238839A (ja) * 2006-03-10 2007-09-20 Arai Pump Mfg Co Ltd ゴム組成物

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