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JP2000204059A - 芳香族カルボン酸の製造方法 - Google Patents

芳香族カルボン酸の製造方法

Info

Publication number
JP2000204059A
JP2000204059A JP11004443A JP444399A JP2000204059A JP 2000204059 A JP2000204059 A JP 2000204059A JP 11004443 A JP11004443 A JP 11004443A JP 444399 A JP444399 A JP 444399A JP 2000204059 A JP2000204059 A JP 2000204059A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
reaction
carboxylic acid
mother liquor
compound
oxidation
Prior art date
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Pending
Application number
JP11004443A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroshi Fukuhara
浩 福原
Masato Kawamura
正人 河村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsui Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Chemicals Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsui Chemicals Inc filed Critical Mitsui Chemicals Inc
Priority to JP11004443A priority Critical patent/JP2000204059A/ja
Publication of JP2000204059A publication Critical patent/JP2000204059A/ja
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    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 製造原料を液相酸化した反応母液中の不純物
を簡単なプロセスで効果的に酸化あるいは分解して再び
反応溶媒として利用することにより、高純度かつ高透過
率の芳香族カルボン酸を効率よく低コストで製造する。 【解決手段】 重金属化合物および臭素化合物の存在下
に、低級脂肪族カルボン酸を含む反応溶媒中で、アルキ
ル置換基または一部酸化したアルキル置換基を有する芳
香族化合物を、分子状酸素で液相酸化して芳香族カルボ
ン酸を製造する方法において、前記芳香族化合物を、1
50〜220℃の反応温度で、分子状酸素により液相酸
化し、得られた酸化反応混合物から反応母液を、(反応
温度−30℃)〜反応温度の温度で分離回収し、回収し
た分離母液に炭素数2〜8の脂肪族化合物を添加して分
子状酸素で再酸化し、この酸化分離母液を反応溶媒とし
て再使用する芳香族カルボン酸の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルキル置換基ま
たは一部酸化したアルキル置換基を有する芳香族化合物
(以下、製造原料という場合がある)を分子状酸素で液
相酸化して芳香族カルボン酸を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、重金属化合物および臭素化合物の
存在下に、低級脂肪族カルボン酸を含む反応溶媒中で、
製造原料を分子状酸素で液相酸化して芳香族カルボン酸
を製造する方法では、反応母液の一部を反応溶媒として
酸化反応器へ循環し、残りの反応母液から溶媒である低
級脂肪族カルボン酸を蒸留して回収し、さらに溶媒を回
収した後の残渣から触媒を回収するのが一般的な方法で
あった。
【0003】従来、反応母液をそのまま再使用すること
ができなかった原因は、製造原料を液相酸化した反応混
合物に、生成物である芳香族カルボン酸の他に、製造原
料から相当する芳香族カルボン酸への中間体や芳香族カ
ルボン酸が生成する際の副生物を数多く含んでいるため
である。これらの物質は不純物として、その一部は生成
物である芳香族カルボン酸に混入して製品の品質に影響
を与える。これら不純物は酸化反応混合物から生成物を
分離する際、反応母液中に多く分配されるので、反応母
液の循環に伴って再び酸化反応器に戻される割合が多
い。従って、反応母液を循環使用するに当たっては、不
純物が出来るだけ酸化反応器へ戻らないような工夫が必
要となるのである。
【0004】さて、反応母液から不純物を除去する手段
として数多くの提案があるが、反応母液から低級脂肪族
カルボン酸を溜去し、次いで得られる残渣から触媒を回
収する方法の提案が非常に多い。例えば、特開昭48−
066089号公報、特開昭48−066090号公
報、特開昭48−066091号公報、USP4228
091号、USP4587355号、特公昭62−74
5号公報、特公平6−15501号公報、特開平2−2
03939号公報、特公昭56−25195号公報など
があげられる。これらの方法では、残渣から触媒を回収
する際に、製造原料の酸化反応により副生する不純物が
分離除去される。しかしながら、このような触媒を回収
する方法はプロセスが複雑であるという課題を抱えてい
る。
【0005】また、反応母液を活性炭で処理して不純物
を吸着除去する方法が特開昭56−81534に提案さ
れている。しかし、この方法では、活性炭の使用量が反
応母液に対して0.5〜10wt%と多く、活性炭の再
生装置も必要となるため、工業的な適用は難しい。
【0006】近年、反応母液を蒸留したり、触媒を回収
したりする複雑な操作を必要としない新しい提案もあ
る。例えば、反応母液中に含まれる不純物を逆浸透装置
で除去することを提案するUSP4855491号の方
法、さらには反応母液中の不純物を貴金属触媒の存在下
に還元除去して反応器へ戻すことを提案するUSP48
33269号の方法等が見られるが、これらの提案はま
だ技術的に十分完成されておらず実用化されていないの
が実状である。
【0007】一方、特開昭55−143934号公報に
は、反応促進剤を添加して反応温度110〜140℃で
液相酸化し、得られた酸化生成物を反応温度より5℃以
上高い温度で保持した後母液を分離し、この母液を反応
促進剤と酸素含有ガスで酸化処理し、酸化反応系へ循環
する方法が記載されている。しかし、この方法では、酸
化生成物を加熱して保持するための装置が必要であるほ
か、操作が煩雑になるなど、プロセスが複雑であるとい
う問題点がある。
【0008】ところで、低級脂肪族カルボン酸を反応溶
媒に用いて、重金属化合物および臭素化合物の存在下
に、製造原料を分子状酸素で液相酸化して芳香族カルボ
ン酸を製造する方法においては、溶媒に用いた低級脂肪
族カルボン酸の一部が燃焼ロスすることが知られてい
る。この反応溶媒の燃焼ロスが、芳香族カルボン酸製造
の経済性を下げている主要因となっている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、簡単
なプロセスにより反応母液中の不純物を効果的に酸化あ
るいは分解し、この反応母液を再び反応溶媒として利用
することにより、高純度かつ高透過率の芳香族カルボン
酸を効率よく低コストで製造することができる芳香族カ
ルボン酸の製造方法を提案することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、重金属化
合物および臭素化合物の存在下に、低級脂肪族カルボン
酸を含む反応溶媒中で、製造原料となるアルキル置換基
または一部酸化したアルキル置換基を有する芳香族化合
物を分子状酸素で液相酸化して芳香族カルボン酸を製造
する方法において、製造原料の酸化反応混合物から反応
母液をそのまま高温で分離して回収し、この回収した分
離母液に低級脂肪族化合物を添加して分子状酸素で再酸
化反応を行うと、着色不純物や製造原料からの中間体の
みならず、製造原料の芳香環の縮合した不純物なども効
果的に酸化あるいは分解することができることを見いだ
し、本発明を完成させた。
【0011】すなわち、本発明は次の芳香族カルボン酸
の製造方法である。 (1)重金属化合物および臭素化合物の存在下に、低級
脂肪族カルボン酸を含む反応溶媒中で、アルキル置換基
または一部酸化したアルキル置換基を有する芳香族化合
物を、分子状酸素で液相酸化して芳香族カルボン酸を製
造する方法において、アルキル置換基または一部酸化し
たアルキル置換基を有する芳香族化合物を、150〜2
20℃の反応温度で、分子状酸素により液相酸化し、得
られた酸化反応混合物から反応母液を、(反応温度−3
0℃)〜反応温度の温度で分離回収し、回収した分離母
液に炭素数2〜8の脂肪族化合物を添加して分子状酸素
で再酸化し、この酸化分離母液を反応溶媒として再使用
することを特徴とする芳香族カルボン酸の製造方法。 (2)分離母液に炭素数2〜8の脂肪族化合物を添加し
て分子状酸素で再酸化する際の再酸化反応温度が150
〜230℃である上記(1)記載の芳香族カルボン酸の
製造方法。 (3)炭素数2〜8の脂肪族化合物がアルデヒド類、ケ
トン類および炭化水素類からなる群から選ばれる少なく
とも1種である上記(1)または(2)記載の芳香族カ
ルボン酸の製造方法。 (4)芳香族カルボン酸が反応溶媒に不溶または難溶性
の芳香族カルボン酸である上記(1)ないし(3)のい
ずれかに記載の芳香族カルボン酸の製造方法。
【0012】本発明の製造方法において芳香族カルボン
酸を製造するための製造原料としては、アルキル置換基
または一部酸化したアルキル置換基を有する芳香族化合
物(以下、単に製造原料という場合がある)が使用でき
る。このような、芳香族化合物は単環式であっても、多
環式であってもよい。上記アルキル置換基としては、例
えばメチル基、エチル基、n−プロピル基およびイソプ
ロピル基等の炭素数1〜4のアルキル基をあげることが
できる。また、一部酸化したアルキル基としては、例え
ばホルミル基、アシル基、カルボキシル基およびヒドロ
キシアルキル基等をあげることができる。
【0013】アルキル置換基を有する芳香族化合物、す
なわちアルキル置換芳香族炭化水素の具体的な化合物と
しては、例えばm−ジイソプロピルベンゼン、p−ジイ
ソプロピルベンゼン、m−シメン、p−シメン、m−キ
シレン、p−キシレン、トリメチルベンゼン類、テトラ
メチルベンゼン類等の炭素数1〜4のアルキル基を2〜
4個有するジもしくはポリアルキルベンゼン類;ジメチ
ルナフタレン類、ジエチルナフタレン類およびジイソプ
ロピルナフタレン類等の炭素数1〜4のアルキル基を2
〜4個有するジもしくはポリアルキルナフタレン類;ジ
メチルビフェニル類等の炭素数1〜4のアルキル基を2
〜4個有するポリアルキルビフェニル類等をあげること
ができる。
【0014】また一部酸化したアルキル基を有する芳香
族化合物は、上記化合物におけるアルキル基が一部酸化
されて、前記ホルミル基、アシル基、カルボキシル基ま
たはヒドロキシアルキル基等になった化合物である。具
体的なものとしては、例えば3−メチルベンズアルデヒ
ド、4−メチルベンズアルデヒド、m−トルイル酸、p
−トルイル酸、3−ホルミル安息香酸、4−ホルミル安
息香酸、2−メチル−6−ホルミルナフタレン、および
ホルミルナフタレンカルボン酸類等をあげることができ
る。これらは単独で、あるいは2種以上の混合物として
用いることができる。
【0015】本発明の製造方法においては、重金属化合
物および臭素化合物が触媒として用いられるが、それら
の化合物としては次のようなものが例示される。すなわ
ち、重金属化合物における重金属としては、例えばコバ
ルト、マンガン、ニッケル、クロム、ジルコニウム、
銅、鉛、ハフニウムおよびセリウム等をあげることがで
きる。これらは単独で、または組み合せで用いることが
できるが、特にコバルトとマンガンを組み合せて用いる
のが好ましい。このような重金属の化合物としては、例
えば酢酸塩、硝酸塩、アセチルアセトナト塩、ナフテン
酸塩、ステアリン酸塩、安息香酸塩および臭化物等をあ
げることができるが、特に酢酸塩あるいは臭化物が好ま
しい。
【0016】臭素化合物としては、例えば分子状臭素、
臭化水素、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化アンモ
ニウム、臭化コバルトおよび臭化マンガン等の無機臭素
化合物;臭化メチレン、ブロモホルム、テトラブロモメ
タン、臭化ベンジル、ブロモメチルトルエン、ブロモメ
チル安息香酸、ジブロモエタン、トリブロモエタン、テ
トラブロモエタン、N−ブロモスクシンイミド等の有機
臭素化合物等をあげることができる。これらの臭素化合
物も単独で、または2種以上の混合物として用いられ
る。
【0017】本発明の製造方法において、上記重金属化
合物と臭素化合物との組み合せからなる触媒は、重金属
原子1グラム原子に対して臭素原子0.05〜10グラ
ム原子、好ましくは0.1〜2グラム原子の範囲からな
るものが望ましい。このような触媒は、反応溶媒中で重
金属濃度として通常10〜10000ppm、好ましく
は100〜5000ppmの範囲で用いられる。
【0018】本発明の製造方法では、前記触媒の存在下
に低級脂肪族カルボン酸を含む反応溶媒中で、製造原料
となる芳香族化合物を分子状酸素で液相酸化することに
より製品としての芳香族カルボン酸を得る。製造原料の
酸化反応に使用する分子状酸素としては、例えば酸素や
空気等の分子状酸素含有ガスをあげることができるが、
実用的には空気が好ましく用いられる。分子状酸素は製
造原料となる芳香族化合物を芳香族カルボン酸に酸化す
るに必要な量より過剰に供給する。分子状酸素として空
気を使用する場合、製造原料となる芳香族化合物1kg
に対して2〜20Nm3、好ましくは2.5〜15Nm3
の割合で反応系に供給するのが望ましい。
【0019】本発明の製造方法においては、反応溶媒と
して低級脂肪族カルボン酸を用いるが、その低級脂肪族
カルボン酸の具体的なものとしては、例えば酢酸、プロ
ピオン酸および酪酸等をあげることができる。反応溶媒
として低級脂肪族カルボン酸を用いるに当たって、単独
で使用することもできるし、2種以上の低級脂肪族カル
ボン酸を混合して用いることができる。さらに、低級脂
肪族カルボン酸の単独、あるいは2種以上の低級脂肪族
カルボン酸を混合した混合物と、水とを混合した混合物
の状態で使用することもできる。これらの中では、酢酸
と水との混合物が好ましく、特に酢酸100重量部に対
して水1〜20重量部、好ましくは5〜15重量部を混
合した混合物が望ましい。
【0020】反応溶媒の使用量は、液相部における製造
原料となる芳香族化合物1重量部に対して2〜70重量
部、好ましくは3〜50重量部の範囲、すなわち溶媒量
比が2〜70、好ましくは3〜50となる量が望まし
い。
【0021】本発明の製造方法においては、製造原料の
酸化反応の反応時間は4.5〜120分間、好ましくは
6〜90分間の範囲で調整される。ここで、製造原料の
酸化反応を連続式で行う場合、上記反応時間は滞留時間
である。また製造原料の酸化反応の反応温度は、通常1
50〜220℃、好ましくは180〜200℃の範囲が
望ましい。また、反応圧力は反応系を液相に保つことが
できる圧力以上であれば特に限定されるものではない。
一般的には0.3〜4MPa、好ましくは0.4〜3M
Pa(ゲージ圧)とされる。
【0022】本発明の製造方法においては、製造原料と
なる芳香族化合物に対応した芳香族カルボン酸が得られ
る。芳香族カルボン酸の具体的なものとしては、テレフ
タル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン
酸、4,4’−ビフェニルカルボン酸等の芳香族ジカル
ボン酸;トリメリット酸、トリメシン酸等の芳香族トリ
カルボン酸;ピロメリット酸等の芳香族ポリカルボン酸
などがあげられる。
【0023】本発明の製造方法は、芳香族ジカルボン
酸、または反応溶媒に不溶もしくは難溶性の芳香族カル
ボン酸の製造に適用するのが好ましく、特にテレフタル
酸の製造に適用するのが好ましい。
【0024】本発明の製造方法において、製造原料の酸
化反応を行う方式は特に制限されるものではなく、回分
式、半連続式および連続式の何れの方法で行うこともで
きる。これらの中では、半連続式または連続式反応が好
ましく、連続式反応が特に好ましい。
【0025】上記のようにして製造原料となる芳香族化
合物を酸化することにより、酸化反応混合液中に芳香族
カルボン酸が結晶となって析出し、スラリーが形成され
るので、結晶と反応母液とを分離する。分離して回収し
た結晶は、必要により後処理を行って芳香族カルボン酸
の製品とされる。一方、分離して回収した分離母液は、
後述するように脂肪族化合物を添加して再酸化処理した
後、製造原料の酸化反応用の反応溶媒として再利用す
る。
【0026】酸化反応混合物から反応母液を分離して回
収する際の温度は、(酸化反応温度−30℃)〜(酸化
反応温度)の範囲である。この温度で酸化反応混合物か
ら反応母液を分離して回収するには、製造原料を液相酸
化した酸化反応器からスラリーを抜き出し、結晶と反応
母液との分離装置(高圧反応母液分離装置)に導入し、
高温高圧下に結晶と反応母液とを分離することにより行
うことができる。スラリーを抜き出す際圧力を降下させ
るとフラッシュにより温度降下して不純物が析出するの
で、高温高圧を維持した状態で反応母液の分離を行うの
が好ましい。この場合酸化反応器内の圧力を利用してス
ラリーの抜出および反応母液の分離を行うことができ、
これに伴う圧力降下、ならびに放熱等による実質的に無
視可能な温度降下は許容できる。
【0027】反応母液分離装置としては、反応母液と結
晶とを分離できるものであればよく、洗浄液によってリ
スラリーと固液分離とを繰り返すことにより洗浄を行う
ことができるが、連続的に反応母液をスラリーから分離
し、洗浄液で結晶を洗浄できるものが好ましい。このよ
うな分離装置としては、例えば前記特開昭54−324
31号に示された液体サイクロン、例えば実開昭59−
115451号に示された遠心分離機、例えば特開平1
−299618号、特開平6−327915号に示され
たロータリフィルタ、ベルトフイルタ、その他の濾過機
など、公知のものが使用できる。これらの中では機械部
分がなく、高温高圧をかけ易い液体サイクロンが好まし
い。
【0028】液体サイクロンの場合は、スラリーを接線
方向に導入して旋回流を生じさせて遠心力により分離
し、結晶の流下部に洗浄液を導入して洗浄を行い、洗浄
液を反応母液とともに排出するように構成することがで
きる。遠心分離機の場合は遠心分離により分離された結
晶の搬出域にフィルタを設け、この部分に洗浄液を吹付
けて洗浄を行うように構成することができる。ロータリ
フィルタの場合は、回転円簡形フィルタを濾過域、洗浄
域、脱水域を通過するように回転させ、洗浄域において
洗浄液を吹付けることにより洗浄を行うように構成する
ことができる。このほかベルトフィルタのように濾材が
移動する濾過機ではロータリフィルタと同様に構成する
ことができる。反応母液分離、洗浄工程における圧力は
0.3〜4MPa、好ましくは0.4〜3MPa(ゲー
ジ圧)とするのが好適である。
【0029】本発明の製造方法においては、上記のよう
にして反応母液を分離回収した分離母液に炭素数2〜8
の脂肪族化合物を添加し、この分離母液混合液を分子状
酸素で再酸化し、この酸化分離母液を製造原料の酸化反
応用の反応溶媒として再使用する。
【0030】本発明の製造方法において用いられる炭素
数2〜8の脂肪族化合物(以下、単に脂肪族化合物とい
う場合がある)は、再酸化の工程において分子状酸素で
酸化されることによりカルボン酸になり得る脂肪族化合
物であり、直鎖状の化合物でも、あるいは分岐した化合
物でも良い。また、これらの脂肪族化合物は炭化水素化
合物でも、あるいは一部酸化された含酸素化合物でも良
い。炭素数2〜8の脂肪族化合物の具体的なものとして
は、例えばエタン、プロパン、n−ブタン、i−ブタ
ン、ペンタン類、ヘキサン類、ヘプタン類、オクタン類
等の飽和炭化水素類;エチレン、プロピレン、1−ブテ
ン、2−ブテン、イソブテン、ペンテン類、ヘキセン
類、ペンテン類、オクテン類等の不飽和炭化水素;エタ
ノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブ
タノール、i−ブタノール、アミルアルコール、ヘキサ
ノール、ペンタノール、オクタノール等のアルコール
類;アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、アクロ
レイン、n−ブチルアルデヒド、i−ブチルアルデヒ
ド、パラアルデヒド等のアルデヒド類;アセトン、メチ
ルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイゾブチルケ
トン等のケトン類等があげられる。これらの中では炭化
水素、アルデヒドおよびケトンが好ましい。炭素数2〜
8の脂肪族化合物は1種単独で使用することもできる
し、2種以上を組み合せて使用することもできる。
【0031】本発明の製造方法において、炭素数2〜8
の脂肪族化合物として炭素数2〜8の不飽和脂肪族化合
物を使用する場合、そのままの形で分離母液へ添加して
も良いが、予め不飽和脂肪族化合物と製造原料の酸化反
応の溶媒である低級脂肪族カルボン酸とを反応させて、
相当する低級脂肪族カルボン酸のエステル化合物として
用いることもできる。さらに、分離母液の中へ前記不飽
和脂肪族化合物を添加した後、分子状酸素を吹き込んで
再酸化を行う前にエステル化反応を起こさせてから分離
母液混合液の酸化反応を起こさせることもできる。
【0032】本発明の製造方法において、分離母液に添
加する炭素数2〜8の脂肪族化合物の量は分離母液10
0重量部に対して0.3〜10重量部、好ましくは0.
5〜5重量部とするのが望ましい。添加する脂肪族化合
物の量が多すぎると分離母液混合液を再酸化するに必要
な分子状酸素量が多くなり、ガス供給設備が大きくな
る。さらに、添加した脂肪族化合物から生成する脂肪族
カルボン酸の量が多くなり、それの消費を考慮する必要
がある。
【0033】本発明の製造方法において、分離母液混合
液を再酸化するための分子状酸素としては、製造原料の
酸化反応用の分子状酸素として例示したものと同じもの
が例示されるが、製造原料の酸化反応に供給した分子状
酸素の残存した酸化排ガスの一部あるいは全部を用いる
のが好ましい。また、酸化排ガスの一部あるいは全部に
空気を加えても良い。
【0034】分離母液混合液の再酸化反応温度は150
〜230℃、好ましくは170〜210℃、反応時間は
4.5〜360分間、好ましくは6〜120分間の範囲
で行うのが望ましい。また、反応圧力は反応系を液相に
保つことができる圧力以上であれば特に限定されるもの
ではない。一般的には、0.3〜4MPa、好ましくは
0.4〜3MPa(ゲージ圧)とされる。本発明の製造
方法において、分離母液混合液の再酸化反応を行う方式
は特に制限されるものではなく、回分式、半連続式およ
び連続式の何れの方法で行うこともできる。これらの中
では、半連続式または連続式反応が好ましく、連続式反
応が特に好ましい。
【0035】分離母液に前記炭素数2〜8の脂肪族化合
物を添加して再酸化反応を行うと、添加した脂肪族化合
物から低級脂肪族カルボン酸が生成するとともに、着色
不純物等の不純物が酸化あるいは分解される。また製造
原料からの酸化中間体のみならず、芳香環の縮合した不
純物なども効果的に酸化あるいは分解される。このよう
に、本発明の方法では、脂肪族化合物を添加して再酸化
反応を行うという簡単なプロセスにより、反応母液中の
不純物を酸化あるいは分解することができる。
【0036】分離母液に脂肪族化合物を添加しないで再
酸化処理を行うと、分離母液に含まれている低級脂肪族
カルボン酸、例えば酢酸の燃焼ロスが発生するが、本発
明のように分離母液に前記脂肪族化合物を添加して再酸
化反応を行うと、脂肪族化合物が酸化分解されて低級脂
肪族カルボン酸に転換されるので、反応媒体として使用
する低級脂肪族カルボン酸、例えば酢酸の燃焼ロスは問
題とならない。
【0037】分離母液に脂肪族化合物を添加して再酸化
反応を行うと、中間体が酸化されて生じた芳香族カルボ
ン酸の結晶や、この芳香族カルボン酸が生成する際に副
生した不純物の酸化分解で生じた結晶などが分離母液中
に不溶の固形物として析出してくるが、これらの不溶物
は固液分離して除いても良いが、固形物を含んだまま製
造原料の酸化反応用の反応溶媒として酸化反応器へ戻し
ても良い。固形物を含んだまま反応溶媒として酸化反応
器へ戻した場合でも、固形物中の不純物量が少ないの
で、高純度かつ高透過率の芳香族カルボン酸を製造する
ことができる。前記脂肪族化合物を添加して再酸化処理
した酸化分離母液は、降温操作を行わないで酸化反応器
に戻して再使用するのが好ましい。再使用するに当たっ
ては、反応器内の触媒濃度を調整するのが好ましい。
【0038】本発明の製造方法では、上記のように循環
再使用する反応溶媒の中に低級脂肪族カルボン酸が生成
する。従来法では燃焼ロスによって失われていた低級脂
肪族カルボン酸は新たに補給する必要があったが、本発
明の製造方法では、分離母液混合液の再酸化反応で生成
した低級脂肪族カルボン酸が製造原料の酸化反応用の反
応溶媒となり得るので、燃焼ロスによって失われていた
低級脂肪族カルボン酸を新たに補給する必要は無く、こ
のため低コストで芳香族カルボン酸を製造することがで
きる。
【0039】本発明の製造方法では、分離母液に前記脂
肪族化合物を添加して分子状酸素で再酸化反応を行う
と、酸化反応器から酸化排ガスが排出されるが、この酸
化排ガスは製造原料を酸化した際に排出される排ガスと
一緒にして、酸化排ガスを燃焼処理する排ガス浄化装置
に送り込むのが好ましい。通常、分離母液混合液の酸化
排ガス中には低級脂肪族カルボン酸まで完全に酸化され
ない脂肪族化合物が残留しているので、この残留物が排
ガス浄化装置の燃焼助剤として利用され、このため燃焼
助剤の削減が可能になる。すなわち、排ガス燃焼浄化装
置の操作温度は、通常、製造原料である芳香族化合物の
酸化温度より高い温度領域で行われるため燃焼助剤を必
要とするが、完全に低級脂肪族カルボン酸に転化されて
いない前記脂肪族化合物がこの燃焼助剤として利用され
る。
【0040】本発明を実施するに当たり、反応母液中に
含まれる製造原料となる芳香族化合物を酸化する際の酸
化中間体、ならびに不純物類を、パラキシレンの酸化を
代表して例示すると、酸化中間体としては4−ヒドロキ
シメチル安息香酸(HMBAと略記)、p−トルイル酸
(p−TAと略記)、4−ホルミル安息香酸(4−CB
Aと略記)等があげられる。さらに、酸化反応の不純物
として安息香酸(BAと略記)、イソフタル酸等の低沸
点不純物、ならびにトリメリット酸、ジ−あるいはトリ
カルボキシフルオレノン類、ジ−あるいはトリカルボキ
シベンゾフェノン類、ジ−あるいはトリカルボキシビフ
ェニル類、ジカルボキシスチルベン類等の高沸点不純物
があげられる。
【0041】本発明の製造方法は、前記脂肪族化合物を
分離母液に添加して再酸化することにより、分離母液中
に含まれる着色不純物が酸化あるいは分解され、さらに
分離母液中に含まれている製造原料からの酸化中間体の
みならず、芳香環の縮合した不純物なども効果的に酸化
あるいは分解されるので、反応溶媒中に着色不純物など
の不純物が蓄積することなく溶媒を循環再使用でき、し
かも添加した前記脂肪族化合物も低級脂肪族カルボン酸
まで酸化され、この低級脂肪族カルボン酸は製造原料の
酸化反応用の反応溶媒としてそのまま再使用できるの
で、高純度かつ高透過率の芳香族カルボン酸を低コスト
で効率よく製造することができる。
【0042】
【発明の効果】本発明の芳香族カルボン酸の製造方法
は、酸化反応混合物から反応母液を分離して回収し、こ
の回収した分離母液に炭素数2〜8の脂肪族化合物を添
加して分子状酸素で再酸化しているので、簡単なプロセ
スにより分離母液中に含まれる着色不純物、酸化中間体
および芳香環の縮合した不純物などを効果的に酸化ある
いは分解することができる。しかも、この再酸化処理に
より、脂肪族化合物は低級脂肪族カルボン酸に転換され
るので、この新たに生成した低級脂肪族カルボン酸は製
造原料を液相酸化する際の反応媒体として利用すること
ができ、このため製造原料の液相酸化の際に生じる反応
媒体の燃焼ロスを補給することができる。従って、上記
のようにして再酸化した酸化分離母液を製造原料酸化用
の反応溶媒として再使用することにより、高純度かつ高
透過率の芳香族カルボン酸を低コストで効率よく製造す
ることができる。
【0043】
【発明の実施の形態】以下に実施例をあげて本発明を説
明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定される
ものではない。
【0044】実施例および比較例はいずれも次の連続酸
化装置を用いて製造原料の酸化を行った。すなわち、製
造原料の酸化反応用の酸化反応器と、この酸化反応器か
らの酸化反応混合物を受け取るチタン製500mlの高
温・加圧濾過器と、この高温・加圧濾過器から排出され
る反応母液を受ける1 literのチタン製加圧受器と、前
記酸化反応器からの酸化反応混合物を高温・加圧濾過器
を経由させないで受ける1 literのハステロイC製加圧
受器とを備えた連続酸化装置を用いて芳香族カルボン酸
を製造した。以下、酸化反応器、高温・加圧濾過器およ
びチタン製加圧受器の取出経路をA系、酸化反応器およ
びハステロイC製加圧受器の取出経路をB系という。
【0045】前記製造原料の酸化反応用の酸化反応器
は、内径80mm、深さ208mmの1 literチタン製
の酸化反応器(撹拌翼:ディスク径36mm、ブレード
先端径46mmのディスクタービン)であり、誘導式撹
拌機、空気吹込管、製造原料供給管、溶媒供給口、酸化
排ガス排出口および底部に酸化反応混合物抜出口を備え
ている。また酸化反応器の酸化排ガス排出口はチタン製
の金網を充填物とした内径34mm長さ500mmの蒸
留塔を備え、塔頂部凝縮液の一部を系外に抜き出せるよ
うに構成されている。前記高温・加圧濾過器はハステロ
イC製のフィルターを底部に備えており、高温・加圧状
態で酸化反応混合物を濾過するように構成されている。
【0046】実施例1 酢酸コバルト4水塩8.86g、酢酸マンガン4水塩
4.28g、47重量%濃度の臭化水素酸5.62gお
よび水293gを、酢酸2690gと混合して触媒溶液
を調製した。この触媒溶液の450gを製造原料の酸化
反応用の酸化反応器に仕込んだ後、酸化反応器内を窒素
で加圧して昇温を開始した。酸化反応器の内温が190
℃近くに達したところで、空気を4.7NL/分の流速
で吹き込みを始めた。空気の吹き込みを始めると同時
に、製造原料としてのパラキシレン100重量部を上記
触媒溶液500重量部の割合で混合した製造原料液を4
50g/時間の液流速で供給開始した。酸化反応器内の
圧力を1.28MPa(ゲージ圧)、反応温度を190
℃に保ちながら、空気および製造原料液の供給を続け
た。一方、溶媒供給口に接続した液体供給ポンプによっ
て酢酸を40g/時間の液流速で酸化反応器内に送り込
んだ。さらに、酸化反応器の上部に接続される蒸留塔の
塔頂部から、抜出ポンプを使って凝縮液を70g/時間
の液流速で抜き出した。
【0047】パラキシレンの酸化によって生成するテレ
フタル酸を含む酸化反応混合物は、酸化反応器内に設置
した液面センサーと酸化反応器底部の抜出バルブとを連
動させて、所定の液面(吹込空気をホールドした状態で
600ml)が保てるように間欠的に抜き出した。反応
系がほぼ定常状態(3時間)になるまで、抜き出した酸
化反応混合物は前記B系の受器に集めた。その後、酸化
反応混合物を高温高圧濾過器を備えたA系受器(ハステ
ロイC製の受器)へ抜き出した。高温濾過器内に集めた
酸化反応混合物を190℃の条件下に固液分離した。高
温濾過して得られた反応母液を回収容器集め、分離母液
とした。高温濾過器によって取得されたテレフタル酸は
酢酸洗浄、水洗浄の後、乾燥した。
【0048】製造原料の酸化反応用の酸化反応器から排
出された酸化排ガスは酸素分析計、炭酸ガス分析計、一
酸化炭素ガス分析計に通してガス濃度をモニターした。
その結果、排ガス中のO2濃度は3〜3.5容積%、C
2濃度は1.4〜1.5容積%、CO濃度は0.4〜
0.5容積%であった。蒸留塔塔頂部から抜き出した凝
縮液の酢酸濃度は55〜60重量%であった。パラキシ
レンの酸化で生成した水の大部分は凝縮液に含まれて抜
き出されていた。
【0049】このようにして得られたテレフタル酸サン
プルの分析を行った結果、HMBAが15ppm、p−
TAが150ppm、4−CBAが1390ppmが含
まれていた。さらに、パラキシレン酸化の際に副生した
BAが20ppm、高沸点不純物がトータルで76pp
m含まれていた。また、このテレフタル酸の340nm
における透過率は72%、400nmにおける透過率は
96%であった。なお、透過率はテレフタル酸サンプル
7.5gを2N−水酸化カリウム水溶液に溶解して、セ
ル長1cmの石英セルを用いて測定した値である。一
方、分離母液にはHMBAが250ppm、p−TAが
2310ppm、4−CBAが830ppm、BAが1
210ppm、および高沸点不純物がトータルで290
ppm含まれていた。
【0050】上記分離母液230g、および炭素数2〜
8の脂肪族化合物としてパラアルデヒド6.9gを混合
し、分離母液混合液とした。この分離母液混合液を分離
母液混合液酸化反応用の酸化反応器に仕込んで、再酸化
を行った。なお分離母液混合液酸化反応用の酸化反応器
としては誘導撹拌機、還流冷却器、およびガス吹込管を
備えた内径66mm、深さ168mm、内容量500m
lのチタン製オートクレーブを用いた。分離母液混合液
酸化反応用の酸化反応器を窒素で加圧して190℃まで
昇温した。内温が190℃に達したところで、内容物を
強力に撹拌しながら空気を2NL/分の割合で吹き込ん
だ。酸化反応器の圧力は1.27MPa(ゲージ圧)に
保った。空気の吹き込みとともに酸化反応器の内温が上
昇したが、190℃に保つように加熱用の電気炉を解放
するなどの操作をした。空気吹き込みを始めて約20分
で酸化反応器の内温が下がりはじめ、パラアルデヒドの
酸化が終了したことが観察された。さらに、5分間空気
吹き込みを続けた後、吹き込みを停止して酸化反応器を
冷却した。酸化反応器を解放後、酸化分離母液237g
を得た。この酸化分離母液の一部をサンプリングして不
純物を分析した結果、HMBAは70ppm、p−TA
は500ppm、4−CBAは200ppmへとそれぞ
れ減少していた。さらに、BAは960ppm、高沸点
不純物トータルは180ppmへと減少していた。
【0051】上記のようにして得た酸化分離母液の20
0g(上記酸化処理によって生じた不溶物を除いて)
を、誘導撹拌機、還流冷却器、およびガス吹込管を備え
た内径66mm、深さ168mm、内容量500mlの
チタン製オートクレーブに仕込んだ。オートクレーブを
窒素で加圧して190℃まで昇温した。内温が190℃
に達したところで、内容物を強力に撹拌しながら空気を
2.8NL/分の割合で吹き込み始めた。空気の吹き込
みと同時に定量ポンプを用いて製造原料としてのパラキ
シレンを0.83ml/分の液流速で供給した。オート
クレーブの圧力は1.27MPa(ゲージ圧)に保っ
た。パラキシレンの供給は60分間行った。パラキシレ
ンの供給終了後、さらに空気の吹き込みを10分間続け
た後、吹き込みを停止してオートクレーブを冷却した。
オートクレーブ解放後、酸化反応混合物を取り出し、固
液分離してテレフタル酸サンプルおよび反応母液サンプ
ルを得た。パラアルデヒドを添加したのち酸化処理して
不純物を減少させた酸化分離母液を反応溶媒に用いて、
半連続酸化法でパラキシレンを酸化して得たテレフタル
酸の品質は、4−CBA濃度が1760ppm、340
nmの透過率が21%、400nmの透過率が77%で
あった。
【0052】比較例1 実施例1において、分離母液の200gを酸化処理しな
いで、実施例1の半連続酸化反応に用いたと同じ500
mlオートクレーブに仕込み、実施例1と同様にパラキ
シレンの半連続酸化反応を行った。得られたテレフタル
酸の品質分析を行った結果、4−CBA濃度は2300
ppmで340nmの透過率は13%、400nmの透
過率は65%であった。
【0053】参考例1 比較例1において、分離母液に代えて、実施例1の連続
酸化反応に用いたと同じフレッシュな触媒溶液を反応溶
媒として、パラキシレンの半連続酸化反応を行った。得
られたテレフタル酸の品質は、4−CBA濃度が163
0ppm、波長340nmでの透過率が29%、400
nmでの透過率が78%であった。
【0054】実施例2 実施例1のパラキシレンの連続酸化反応において、酢酸
コバルト4水塩5.98g、酢酸マンガン4水塩2.9
4g、47重量%濃度の臭化水素酸5.17gおよび水
294gを、酢酸2688gと混合して触媒溶液を調製
し、製造原料液の調製はパラキシレン100重量部と触
媒溶液1500重量部との割合で混合するように変更し
た。反応温度190℃、反応圧力1.27MPa、空気
の吹き込み速度5.2NL/分の条件下に、製造原料液
を1350g/時間の供給速度で供給しながら連続酸化
反応を行った。排ガス中のO2濃度は3.5〜4.0
%、CO2濃度は1.2〜1.3%、CO濃度は0.4
%であった。
【0055】パラキシレン連続酸化反応で得た酸化反応
混合物は高温高圧濾過器を備えたA系統の受器側へ抜き
出した。高温濾過器内に集めた酸化反応混合物を190
℃の条件下に固液分離した。高温濾過して得られた反応
母液を回収容器に集め、分離母液とした。高温濾過器に
よって取得されたテレフタル酸は酢酸洗浄、水洗浄の
後、乾燥した。テレフタル酸の分析を行った結果、HM
BAは15ppm、p−TAは130ppm、4−CB
Aは1440ppm、BAは5ppm、高沸点不純物は
トータルで50ppm含まれていた。さらに、波長34
0nmにおける透過率は70%、400nmにおける透
過率は96%であった。一方、分離母液中にはHMBA
が1120ppm、p−TAが3300ppm、4−C
BAが1120ppm、BAが480ppm、高沸点不
純物がトータルで130ppm含まれていた。
【0056】分離母液の230gを取り、実施例1と同
様にパラアルデヒドを添加し、分離母液の回分式反応に
よる酸化処理を行った。さらに、引き続いてパラキシレ
ンの半連続酸化を行った。実施例2においては、パラキ
シレンの供給時間を20分間とし、酸化反応系内の溶媒
量比がパラキシレンの供給終了時で15になる条件とし
た。パラキシレンの供給終了後の後処理は実施例1と同
じ方法によった。このようにして得られたテレフタル酸
の品質は4−CBA濃度が1320ppm、340nm
での透過率が48%,400nmでの透過率が90%で
あった。
【0057】比較例2 実施例2において、分離母液の200gを酸化処理しな
いで実施例1の半連続酸化反応に用いたと同じ500m
lオートクレーブに仕込み、実施例2と同様のパラキシ
レンの半連続酸化反応を行った。得られたテレフタル酸
の品質分析を行った結果、4−CBA濃度は3770p
pmで340nmの透過率は41%、400nmの透過
率は89%であった。
【0058】参考例2 比較例2において、分離母液に代えて、実施例2の連続
酸化反応に用いたと同じフレッシュな触媒溶液を反応溶
媒として、パラキシレンの半連続酸化反応を行った。得
られたテレフタル酸の品質は、4−CBA濃度が114
0ppm、波長340nmでの透過率が64%、400
nmでの透過率が91%であった。
【0059】実施例3 実施例1の分離母液の酸化処理において、パラアルデヒ
ドの代わりにメチルエチルケトン4.6gを用いた以外
は、実施例1と同様に行った。酸化分離母液は235g
得られた。酸化分離母液中の不純物を分析した結果、H
MBAは90ppm、p−TAは600ppm、4−C
BAは250ppm、BAは1000ppm、高沸点不
純物はトータルで210ppm含まれていた。
【0060】実施例4 実施例1の分離母液の酸化処理において、パラアルデヒ
ドの代わりにn−ブタン、2−ブテン、イソブタン等の
炭素数4の炭化水素混合物、すなわち炭素数4の炭化水
素混合物からブタジエン、イソブテン、1−ブテン等の
有用物を抽出利用後の混合物を用いた。この炭化水素混
合物の11.5gを分離母液に混合し、反応温度190
℃、圧力1.67MPa(ゲージ圧)の条件下に空気を
吹き込んで酸化を行った。このようにして得られた酸化
分離母液中の不純物の濃度は、HMBAが90ppm、
p−TAが650ppm、4−CBAが270ppm、
BAが1000ppm、高沸点不純物がトータルで21
0ppmであった。また、酸化分離母液の重量は237
gであった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07C 63/26 C07C 63/26 E // C07B 61/00 300 C07B 61/00 300 Fターム(参考) 4H006 AA02 AC46 BA16 BA20 BA37 BB17 BC10 BD35 BD52 BE30 BJ50 4H039 CA65 CC40

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重金属化合物および臭素化合物の存在下
    に、低級脂肪族カルボン酸を含む反応溶媒中で、アルキ
    ル置換基または一部酸化したアルキル置換基を有する芳
    香族化合物を、分子状酸素で液相酸化して芳香族カルボ
    ン酸を製造する方法において、 アルキル置換基または一部酸化したアルキル置換基を有
    する芳香族化合物を、150〜220℃の反応温度で、
    分子状酸素により液相酸化し、 得られた酸化反応混合物から反応母液を、(反応温度−
    30℃)〜反応温度の温度で分離回収し、 回収した分離母液に炭素数2〜8の脂肪族化合物を添加
    して分子状酸素で再酸化し、 この酸化分離母液を反応溶媒として再使用することを特
    徴とする芳香族カルボン酸の製造方法。
  2. 【請求項2】 分離母液に炭素数2〜8の脂肪族化合物
    を添加して分子状酸素で再酸化する際の再酸化反応温度
    が150〜230℃である請求項1記載の芳香族カルボ
    ン酸の製造方法。
  3. 【請求項3】 炭素数2〜8の脂肪族化合物がアルデヒ
    ド類、ケトン類および炭化水素類からなる群から選ばれ
    る少なくとも1種である請求項1または2記載の芳香族
    カルボン酸の製造方法。
  4. 【請求項4】 芳香族カルボン酸が反応溶媒に不溶また
    は難溶性の芳香族カルボン酸である請求項1ないし3の
    いずれかに記載の芳香族カルボン酸の製造方法。
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