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JP2000101379A - 高周波多層積層部品 - Google Patents

高周波多層積層部品

Info

Publication number
JP2000101379A
JP2000101379A JP10281993A JP28199398A JP2000101379A JP 2000101379 A JP2000101379 A JP 2000101379A JP 10281993 A JP10281993 A JP 10281993A JP 28199398 A JP28199398 A JP 28199398A JP 2000101379 A JP2000101379 A JP 2000101379A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
dielectric
group
monomer
fumarate
polymer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP10281993A
Other languages
English (en)
Inventor
Kenji Endo
謙二 遠藤
Toshiaki Yamada
俊昭 山田
Toshiyuki Abe
敏之 阿部
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
TDK Corp
Original Assignee
TDK Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by TDK Corp filed Critical TDK Corp
Priority to JP10281993A priority Critical patent/JP2000101379A/ja
Publication of JP2000101379A publication Critical patent/JP2000101379A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 積層時に層間のズレを生じることなく、印刷
回数も少なくて済み、焼成時等の縮みを生じることな
く、基板内部のパターンの形状、厚み、間隔、分割後の
個品の内部パターンの位置等に歪みを生じるのを防止で
き、バリ等を生じることもなく、製造時の分割効率がよ
く、製品の歩留まり、コストに優れ、性能がセラミック
スなみの高周波多層積層部品を実現する。 【解決手段】 大面積の積層体からチップ化されて得ら
れ、誘電体層と、導電体層とを有する多層構造の高周波
多層積層部品であって、前記誘電体層は、重量平均絶対
分子量1000以上の樹脂の1種または2種以上で構成
される樹脂組成物であって、その組成物の炭素原子と水
素原子の原子数の和が99%以上であり、かつ樹脂分子
間の一部またはすべてが相互に化学的結合を有する耐熱
性低誘電性高分子材料と、セラミックス誘電体材料とを
含有する複合誘電体材料組成物により形成されている高
周波多層積層部品とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、携帯電話の他、移
動体通信櫻器等のマイクロ波、ミリ波帯域において使用
される電子部品の1つである高周波多層積層部品に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、マイクロ波、ミリ波帯域での無線
通信機器の高周波部等において使用されるフィルタ、カ
プラ等の電子部品として、図2に示すような多層構造を
有するSMDタイプの高周波多層積層部品が知られてい
る。これらの部品は、セラミック中に複数個(数個〜数
百個)分の導電パターンを形成し、焼成され1枚の基板
としてから各個品に分割される多数個取りの工程で製造
される。
【0003】このようなセラミックを使用した従来の電
子部品には、次のような問題があった。セラミックのグ
リーンシートに導電ペーストを印刷し積層する方式で
は、積層時に層間のずれが発生しやすい。また、セラミ
ックをもペースト状にして印刷する、いわゆる印刷多層
方式では印刷回数が多大になる。さらに、いずれの方式
にしても焼成の際に通常10%以上の縮みが見られ、パ
ターンの形状、厚み、間隔、分割後の個品の内部パター
ンの位置等に歪みを生じやすく、各個品の均一性を保つ
ことが大変困難であり、製品の歩留まり、コスト、性能
に多大な悪影響を与えている。また、基板を分割して個
品を形成する工程についても、分割を基板の焼成前に行
う方式では個品の形状が歪むおそれがある。焼成前に予
めスナップを形成して焼成後に分割する方式では、バリ
が発生するおそれがある。さらに、焼成後にダイシング
により分割する方式では、焼成後の堅いセラミックを切
断するため、分割の効率が悪い。
【0004】上記セラミック基板に代わるものとして、
ガラスエポキシ系をはじめとして樹脂基板や、近年は高
周波用としてBTレジン、PPO等の樹脂基板も普及し
てきているが、その高周波における損失特性(tan
δ)は0.03〜0.05以上あり、セラミックの0.
001以下には及ばなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、積層
時に層間のズレを生じることなく、印刷回数も少なくて
済み、焼成時等の縮みを生じることなく、基板内部のパ
ターンの形状、厚み、間隔、分割後の個品の内部パター
ンの位置等に歪みを生じるのを防止でき、バリ等を生じ
ることもなく、製造時の分割効率がよく、製品の歩留ま
り、コストに優れ、性能がセラミックスなみの高周波多
層積層部品を実現することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち、上記目的は以
下の本発明の構成により達成される。 (1) 大面積の積層体からチップ化されて得られ、誘
電体層と、導電体層とを有する多層構造の高周波多層積
層部品であって、前記誘電体層は、重量平均絶対分子量
1000以上の樹脂の1種または2種以上で構成される
樹脂組成物であって、その組成物の炭素原子と水素原子
の原子数の和が99%以上であり、かつ樹脂分子間の一
部またはすべてが相互に化学的結合を有する耐熱性低誘
電性高分子材料と、セラミックス誘電体材料とを含有す
る複合誘電体材料組成物により形成されている高周波多
層積層部品。 (2) 前記耐熱性低誘電性高分子材料は、その化学的
結合が架橋、ブロック重合およびグラフト重合から選ば
れる1種以上である上記(1)の高周波多層積層部品。 (3) 前記耐熱性低誘電性高分子材料は、非極性α−
オレフィン系重合体セグメントおよび/または非極性共
役ジエン系重合体セグメントとビニル芳香族系重合体セ
グメントとが化学的結合をした共重合体であって、一方
のセグメントにより形成された分散相が他方のセグメン
トより形成された連続相中に微細に分散している多相構
造を示す熱可塑性樹脂である上記(1)または(2)の
高周波多層積層部品。 (4) 前記耐熱性低誘電性高分子材料は、非極性α−
オレフィン系重合体セグメントとビニル芳香族系重合体
セグメントとが化学的結合をした共重合体である上記
(3)の高周波多層積層部品。 (5) 前記耐熱性低誘電性高分子材料は、ビニル芳香
族系重合体セグメントがジビニルベンゼンの単量体を含
むビニル芳香族系共重合体セグメントである上記(3)
または(4)の高周波多層積層部品。 (6) 前記耐熱性低誘電性高分子材料は、非極性α−
オレフィン系重合体セグメントおよび/または非極性共
役ジエン系重合体セグメントとビニル芳香族系重合体セ
グメントとが化学的結合をした共重合体が、グラフト重
合により化学的に結合した共重合体である上記(4)ま
たは(5)の高周波多層積層部品。 (7) 前記耐熱性低誘電性高分子材料は、さらに4−
メチルペンテン−1の単量体を含む非極性α−オレフィ
ン系重合体を含有する上記(1)〜(6)のいずれかの
高周波多層積層部品。 (8) 大面積の積層体からチップ化されて得られ、誘
電体層と、導電体層とを有する多層構造の高周波多層積
層部品であって、前記誘電体層は、単量体として少なく
ともフマル酸ジエステルを含む単量体組成物を重合して
得られた誘電性高分子材料と、セラミックス誘電体材料
とを含有する複合誘電体材料組成物により形成されてい
る高周波多層積層部品。 (9) 前記フマル酸ジエステルは、下記式(I)で表
される上記(1)〜(8)のいずれかの高周波多層積層
部品。
【0007】
【化3】
【0008】[式(I)において、R1 はアルキル基ま
たはシクロアルキル基を表し、R2 はアルキル基、シク
ロアルキル基またはアリール基を表し、R1 およびR2
は同一でも異なるものであってもよい。] (10)前記単量体組成物は、さらに下記式(II)で表
されるビニル系単量体を含む上記(1)〜(9)のいず
れかの高周波多層積層部品。
【0009】
【化4】
【0010】[式(II)において、Xは水素原子または
メチル基を表し、Yはフッ素原子、塩素原子、アルキル
基、アルケニル基、アリール基、エーテル基、アシル基
またはエステル基を表す。]
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の高周波多層積層部品は、
大面積の積層体からチップ化されて得られ、誘電体層
と、導電体層とを有する多層構造の高周波多層積層部品
であって、前記誘電体層は、重量平均絶対分子量100
0以上の樹脂の1種または2種以上で構成される樹脂組
成物であって、その組成物の炭素原子と水素原子の原子
数の和が99%以上であり、かつ樹脂分子間の一部また
はすべてが相互に化学的結合を有する耐熱性低誘電性高
分子材料と、セラミックス誘電体材料とを含有する複合
誘電体材料組成物により形成されている。
【0012】大面積の積層体からチップ化されて得られ
る高周波多層積層部品を、複合誘電体材料組成物を用い
て形成することにより、チップ化の際の切断が容易とな
り、積層時に層間のズレを生じることもなく、印刷回数
も少なくて済む。また、焼成時等の縮みを生じることも
なく、基板内部のパターンの形状、厚み、間隔、分割後
の個品の内部パターンの位置等に歪みを生じるのを防止
できる。さらに、バリ等を生じることもなく、製造時の
分割効率がよく、製品の歩留まりや、コストに優れた高
周波多層積層部品とすることができる。
【0013】ここで、大面積の積層体(積層前駆体)と
は、チップ体を切断して形成する前の前駆体をいう。そ
の大きさとしては、通常、縦:4〜25cm、横:4〜2
5cm、厚さ:0.02〜0.5cm、特に縦:4〜12c
m、横:4〜12cm、厚さ:0.05〜0.2cmの範囲
が好ましい。
【0014】積層前駆体を形成するには、誘電体層と、
この誘電体層上、または誘電体層間の必要な箇所に導電
体層を積層し、上下方向より加圧すればよい。また、加
圧時に加熱してもよい。加圧時の圧力としては、好まし
くは3〜10kg/cm2 、特に5〜7kg/cm2 の範囲が好ま
しい。加熱する場合の温度としては、通常、100〜2
60℃、特に180〜220℃程度である。
【0015】この積層前駆体から切断されて得られるチ
ップ体の数は、チップ体の形状によるが、通常、10〜
5000個、特に20〜500個である。
【0016】積層前駆体からチップ体を得る方法として
は、通常、シャー、丸ノコ、帯ノコ、砥石切断、超音波
加工機等で切断したり、打ち抜いたりすればよい。
【0017】このようにして得られる本発明の高周波多
層積層部品の歩留まりは、好ましくは90%以上、特に
97〜100%程度である。
【0018】誘電体層は、重量平均絶対分子量が100
0以上の1種または2種以上の樹脂で構成される樹脂組
成物であって、炭素原子と水素原子の原子数の和が99
%以上からなり、かつ樹脂分子間の一部またはすべてが
相互に化学的結合している耐熱性低誘電性高分子材料
と、高周波セラミックス誘電体材料を含有するものであ
る。このような構成とすることによって、高周波数帯域
において、高誘電率で、かつ低誘電正接の良好な特性が
得られる。これに対し、高周波セラミックス誘電体材料
を含有させることなく、耐熱性低誘電性高分子材料のみ
を含有させると、比誘電率が低くなり、実用に耐えな
い。また、上記のような重量平均絶対分子量の樹脂組成
物の耐熱性低誘電性高分子材料を用いるのは、十分な強
度、金属との密着性、および耐熱性を得るためであり、
一方炭素と水素の原子数の和を99%以上とするのは、
存在する化学的結合を非極性結合とするためであり、こ
れにより低誘電正接が得られやすくなる。従って、重量
平均絶対分子量が1000より小さいと、機械的物性、
耐熱性が不足になり不適である。また、炭素と水素の原
子数の和が99%より少ない場合、特に酸素原子や、窒
素原子などの有極性分子を形成する原子数が1%より多
く含まれる場合、特に誘電正接が高くなるため不適であ
る。
【0019】特に好ましい重量平均絶対分子量は300
0以上、最も好ましくは5000以上である。このとき
の重量平均絶対分子量の上限に特に制限はないが、通常
1000万程度(ただし、熱可塑性樹脂の場合、これよ
り遙かに大きくなることもある)である。
【0020】さらに、耐熱性低誘電性高分子材料につい
て説明する。
【0021】上記高分子材料を構成する樹脂の具体例と
しては、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、
超超低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、低分子
量ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、エチレン−
プロピレン共重合体、ポリプロピレン、ポリブテン、ポ
リ4−メチルペンテン等の非極性α−オレフィンの単独
ないし共重合体[以下、(共)重合体ともいう]、ブタ
ジエン、イソプレン、ペンタジエン、ヘキサジエン、ヘ
プタジエン、オクタジエン、フェニルブタジエン、ジフ
ェニルブタジエン等の共役ジエンの各単量体の(共)重
合体、スチレン、核置換スチレン、例えばメチルスチレ
ン、ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピル
スチレン、クロルスチレン、α−置換スチレン、例えば
α−メチルスチレン、α−エチルスチレン、ジビニルベ
ンゼン、ビニルシクロヘキサン等の炭素環含有ビニルの
各単量体の(共)重合体等が挙げられる。
【0022】上記では、非極性α−オレフィンの単量体
同志、共役ジエンの単量体同志、炭素環含有ビニルの単
量体同志の重合体を主に例示したが、例えば非極性α−
オレフィンの単量体と共役ジエンの単量体、非極性α−
オレフィンの単量体と炭素環含有ビニルの単量体のよう
に、異なる化合物種の単量体から得られた共重合体であ
ってもよい。
【0023】このように、これらの重合体、すなわち樹
脂の1種または2種以上により樹脂組成物が構成される
が、これらの樹脂分子間の一部またはすべてが相互に化
学的結合をしていなければならない。したがって、一部
は混合状態であってもよい。このように少なくとも一部
に化学的結合を有することによって耐熱性低誘電性高分
子材料として用いるときの強度、金属との密着性、耐熱
性が十分になる。これに対し、単なる混合で、化学的結
合を有しないときは、耐熱性、機械的物性の観点から不
十分である。
【0024】本発明における化学的結合の形態は特に限
定はないが、架橋構造、ブロック構造、グラフト構造な
どが挙げられる。このような化学的結合を生じさせるに
は公知の方法によればよく、グラフト構造、ブロック構
造の好ましい態様については後述する。架橋構造を生じ
させる具体的方法としては、熱による架橋が好ましく、
このときの温度は50〜300℃程度が好ましい。この
ほか電子線照射による架橋等も挙げられる。
【0025】本発明による化学的結合の有無は架橋度、
グラフト構造においてはグラフト効率等を求めることに
よって確認することができる。また、透過型電子顕微鏡
(TEM)写真や走査型電子顕微鏡(SEM)写真によ
っても確認することができる。通常、一方の重合体セグ
メント中に他方の重合体セグメントがほぼ10μm 以
下、より具体的には、0.01〜10μm の微細粒子と
して分散している。これに対し、単なる混合物(ブレン
ドポリマー)では、グラフト共重合体のような両ポリマ
ー同志の相溶性はみられず、分散粒子の粒径は大きいも
のとなる。
【0026】本発明における樹脂組成物としては、ま
ず、非極性α−オレフィン系重合体セグメントとビニル
芳香族系共重合体セグメントとが化学的に結合した共重
合体であって、一方のセグメントにより形成された分散
相が他方のセグメントより形成された連続相中に微細に
分散している多相構造を示す熱可塑性樹脂が好ましいも
のとして挙げられる。
【0027】上記のような特定の多相構造を示す熱可塑
性樹脂中のセグメントの一つである非極性α−オレフィ
ン系重合体とは、高圧ラジカル重合、中低圧イオン重合
等で得られる非極性α−オレフィン単量体の単独重合体
または2種類以上の非極性α−オレフィン単量体の共重
合体でなければならない。極性ビニル単量体との共重合
体は誘電正接が高くなるため不適である。上記重合体の
非極性α−オレフィン単量体としてはエチレン、プロピ
レン、ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、4−
メチルペンテン−1類が挙げられ、なかでもエチレン、
プロピレン、ブテン−1、4−メチルペンテン−1が、
得られる非極性α−オレフィン系重合体の比誘電率が低
いため好ましい。
【0028】上記非極性α−オレフィン(共)重合体の
具体例としては、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエ
チレン、超超低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレ
ン、低分子量ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、
エチレン−プロピレン共重合体、ポリプロピレン、ポリ
ブテン、ポリ4−メチルペンテン等が挙げられる。ま
た、これらの非極性α−オレフィン(共)重合体は、単
独で使用することも、2種以上併用することもできる。
【0029】このような非極性α−オレフィン(共)重
合体の好ましい分子量は重量平均絶対分子量で1000
以上である。この上限には特に制限はないが、1000
万程度である。
【0030】一方、特定の多相構造を示す熱可塑性樹脂
中のセグメントの一つであるであるビニル芳香族系重合
体とは、非極性のものであり、具体的には、スチレン、
核置換スチレン、例えばメチルスチレン、ジメチルスチ
レン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、クロル
スチレン、α−置換スチレン、例えばα−メチルスチレ
ン、α−エチルスチレン、o−,m−,p−ジビニルベ
ンゼン(好ましくはm−,p−ジビニルベンゼン、特に
好ましくはp−ジビニルベンゼン)等の各単量体の
(共)重合体である。このように非極性のものとするの
は、極性官能基を持った単量体を共重合で導入すると、
誘電正接が高くなるため不適であるからである。ビニル
芳香族系重合体は単独で使用することも、2種以上併用
することもできる。
【0031】なかでもビニル芳香族系共重合体は、ジビ
ニルベンゼンの単量体を含むビニル芳香族共重合体が耐
熱性を向上させる上で好ましい。ジビニルベンゼンを含
むビニル芳香族共重合体とは、具体的には、スチレン、
核置換スチレン、例えばメチルスチレン、ジメチルスチ
レン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、クロル
スチレン、α−置換スチレン、例えばα−メチルスチレ
ン、α−エチルスチレン等の各単量体とジビニルベンゼ
ンの単量体の共重合体である。
【0032】ジビニルベンゼンの単量体と、これ以外の
上記のようなビニル芳香族の単量体との割合は特に限定
はないが、半田耐熱性を満足するために、ジビニルベン
ゼンの単量体の割合が1重量%以上含まれていることが
好ましい。ジビニルベンゼンの単量体は100重量%で
もかまわないが、合成上の問題から上限は90重量%が
好ましい。
【0033】このような一方のセグメントであるビニル
芳香族系重合体の分子量は、重量平均絶対分子量で10
00以上であることが好ましい。この上限には特に制限
はないが、1000万程度である。
【0034】本発明の特定の多相構造を示す熱可塑性樹
脂は、オレフィン系重合体セグメントが5〜95重量
%、好ましくは40〜90重量%、最も好ましくは50
〜80重量%からなるものである。したがって、ビニル
系重合体セグメントは95〜5重量%、好ましくは60
〜10重量%、最も好ましくは50〜20重量%であ
る。
【0035】オレフィン系重合体セグメントが少なくな
ると、成形物が脆くなるため好ましくない。また、オレ
フィン系重合体セグメントが多くなると、金属との密着
性が低く好ましくない。
【0036】このような熱可塑性樹脂の重量平均絶対分
子量は1000以上である。この上限には特に制限はな
いが、成形性の点から1000万程度である。
【0037】オレフィン系重合体セグメントとビニル系
重合体セグメントとが化学的に結合した構造の共重合体
としては具体的にはブロック共重合体やグラフト共重合
体を例示することができる。なかでも製造の容易さから
グラフト共重合体が特に好ましい。なお、これらの共重
合体にはブロック共重合体、グラフト共重合体等の特徴
を逸脱しない範囲で、オレフィン系重合体やビニル系重
合体が含まれていてもかまわない。
【0038】本発明の特定の多相構造を示す熱可塑性樹
脂を製造する方法は、グラフト化法として一般によく知
られている連鎖移動法、電離性放射線照射法等いずれの
方法によってもよいが、最も好ましいのは、下記に示す
方法によるものである。なぜならグラフト効率が高く熱
による二次的凝集が起こらないため、性能の発現がより
効果的であり、また製造方法が簡便であるためである。
【0039】以下、本発明の特定の多相構造を示す熱可
塑性樹脂であるグラフト共重合体の製造方法を具体的に
詳述する。すなわち、オレフィン系重合体100重量部
を水に懸濁させて、別にビニル芳香族系単量体5〜40
0重量部に、下記一般式(1)または(2)で表される
ラジカル重合性有機過酸化物の1種または2種以上の混
合物を上記ビニル単量体100重量部に対して0.1〜
10重量部と、10時間の半減期を得るための分解温度
が40〜90℃であるラジカル重合開始剤をビニル単量
体とラジカル重合性有機過酸化物との合計100重量部
に対して0.01〜5重量部とを溶解させた溶液を加
え、ラジカル重合開始剤の分解が実質的に起こらない条
件で加熱し、ビニル単量体、ラジカル重合性有機過酸化
物およびラジカル重合開始剤をオレフィン系重合体に含
浸させて、この水性懸濁液の温度を上昇させ、ビニル単
量体とラジカル重合性有機過酸化物とをオレフィン共重
合体中で共重合させて、グラフト化前駆体を得る。
【0040】ついで、グラフト化前駆体を100〜30
0℃の溶融下、混練することにより、本発明のグラフト
共重合体を得ることができる。このとき、グラフト化前
駆体に、別にオレフィン系重合体またはビニル系重合体
を混合し、溶融下に混練してもグラフト共重合体を得る
ことができる。最も好ましいのはグラフト化前駆体を混
練して得られたグラフト共重合体である。
【0041】
【化5】
【0042】一般式(1)中、R1は水素原子または炭
素数1〜2のアルキル基を示し、R2は水素原子または
メチル基を示し、R3およびR4はそれぞれ炭素数1〜4
のアルキル基を示し、R5は炭素数1〜12のアルキル
基、フェニル基、アルキル置換フェニル基または炭素数
3〜12のシクロアルキル基を示す。m1は1または2
である。
【0043】
【化6】
【0044】一般式(2)中、R6は水素原子または炭
素数1〜4のアルキル基を示し、R7は水素原子または
メチル基を示し、R8およびR9はそれぞれ炭素数1〜4
のアルキル基を示し、R10は炭素数1〜12のアルキル
基、フェニル基、アルキル置換フェニル基または炭素数
3〜12のシクロアルキル基を示す。m2は0、1また
は2である。
【0045】一般式(1)で表されるラジカル重合性有
機過酸化物として、具体的には、t−ブチルペルオキシ
アクリロイロキシエチルカ−ボネ−ト;t−アミルペル
オキシアクリロイロキシエチルカ−ボネ−ト;t−ヘキ
シルペルオキシアクリロイロキシエチルカ−ボネ−ト;
1,1,3,3−テトラメチルブチルペルオキシアクリ
ロイロキシエチルカ−ボネ−ト;クミルペルオキシアク
リロイロキシエチルカ−ボネ−ト;p−イソプロピルク
ミルペルオキシアクリロイロキシエチルカ−ボネ−ト;
t−ブチルペルオキシメタクリロイロキシエチルカ−ボ
ネ−ト;t−アミルペルオキシメタクリロイロキシエチ
ルカ−ボネ−ト;t−ヘキシルペルオキシメタクリロイ
ロキシエチルカ−ボネ−ト;1,1,3,3−テトラメ
チルブチルペルオキシメタクリロイロキシエチルカ−ボ
ネ−ト;クミルペルオキシメタクリロイロキシエチルカ
−ボネ−ト;p−イソプロピルクミルペルオキシメタク
リロイロキシエチルカ−ボネ−ト;t−ブチルペルオキ
シメタクリロイロキシエチルカ−ボネ−ボネ−ト;t−
アミルペルオキシアクリロイロキシエトキシエチルカ−
ボネ−ト;t−ヘキシルペルオキシアクリロイロキシエ
トキシエチルカ−ボネ−ト;1,1,3,3−テトラメ
チルブチルペルオキシアクリロイロキシエトキシエチル
カ−ボネ−ト;クミルペルオキシアクリロイロキシエト
キシエチルカ−ボネ−ト;p−イソプロピルクミルペル
オキシアクリロイロキシエトキシエチルカ−ボネ−ト;
t−ブチルペルオキシメタクリロイロキシエトキシエチ
ルカ−ボネ−ト;t−アミルペルオキシメタクリロイロ
キシエトキシエチルカ−ボネ−ト;t−ヘキシルペルオ
キシメタクリロイロキシエトキシエチルカ−ボネ−ト;
1,1,3,3−テトラメチルブチルペルオキシメタク
リロイロキシエトキシエチルカ−ボネ−ト;クミルペル
オキシメタクリロイロキシエトキシエチルカ−ボネ−
ト;p−イソプロピルクミルペルオキシメタクリロイロ
キシエトキシエチルカ−ボネ−ト;t−ブチルペルオキ
シアクリロイロキシイソプロピルカ−ボネ−ト;t−ア
ミルペルオキシアクリロイロキシイソプロピルカ−ボネ
−ト;t−ヘキシルペルオキシアクリロイロキシイソプ
ロピルカ−ボネ−ト;1,1,3,3−テトラメチルブ
チルペルオキシアクリロイロキシイソプロピルカ−ボネ
−ト;クミルペルオキシアクリロイロキシイソプロピル
カ−ボネ−ト;p−イソプロピルクミルペルオキシアク
リロイロキシイソプロピルカ−ボネ−ト;t−ブチルペ
ルオキシメタクリロイロキシイソプロピルカ−ボネ−
ト;t−アミルペルオキシメタクリロイロキシイソプロ
ピルカ−ボネ−ト;t−ヘキシルペルオキシメタクリロ
イロキシイソプロピルカ−ボネ−ト;1,1,3,3−
テトラメチルブチルペルオキシメタクリロイロキシイソ
プロピルカ−ボネ−ト;クミルペルオキシメタクリロイ
ロキシイソプロピルカ−ボネ−ト;p−イソプロピルク
ミルペルオキシメタクリロイロキシイソプロピルカ−ボ
ネ−ト等を例示することができる。
【0046】さらに、一般式(2)で表される化合物と
しては、t−ブチルペルオキシアリルカ−ボネ−ト;t
−アミルペルオキシアリルカ−ボネ−ト;t−ヘキシル
ペルオキシアリルカ−ボネ−ト;1,1,3,3−テト
ラメチルブチルペルオキシアリルカ−ボネ−ト;p−メ
ンタンペルオキシアリルカ−ボネ−ト;クミルペルオキ
シアリルカ−ボネ−ト;t−ブチルペルオキシメタリル
カ−ボネ−ト;t−アミルペルオキシメタリルカ−ボネ
−ト;t−ヘキシルペルオキシメタリルカ−ボネ−ト;
1,1,3,3−テトラメチルブチルペルオキシメタリ
ルカ−ボネ−ト;p−メンタンペルオキシメタリルカ−
ボネ−ト;クミルペルオキシメタリルカ−ボネ−ト;t
−ブチルペルオキシアリロキシエチルカ−ボネ−ト;t
−アミルペルオキシアリロキシエチルカ−ボネ−ト;t
−ヘキシルペルオキシアリロキシエチルカ−ボネ−ト;
t−ブチルペルオキシメタリロキシエチルカ−ボネ−
ト;t−アミルペルキシメタリロキシエチルカ−ボネ−
ト;t−ヘキシルペルオキシメタリロキシエチルカ−ボ
ネ−ト;t−ブチルペルオキシアリロキシイソプロピル
カ−ボネ−ト;t−アミルペルオキシアリロキシイソプ
ロピルカ−ボネ−ト;t−ヘキシルペルオキシアリロキ
シイソプロピルカ−ボネ−ト;t−ブチルペルオキシメ
タリロキシイソプロピルカ−ボネ−ト;t−アミルペル
オキシメタリロキシイソプロピルカ−ボネ−ト;t−ヘ
キシルペルオキシメタリロキシイソプロピルカ−ボネ−
ト等を例示することができる。
【0047】中でも好ましくは、t−ブチルペルオキシ
アクリロイロキシエチルカ−ボネ−ト;t−ブチルペル
オキシメタクリロイロキシエチルカ−ボネ−ト;t−ブ
チルペルオキシアリルカ−ボネ−ト;t−ブチルペルオ
キシメタリルカ−ボネ−トである。
【0048】このようにして得られるグラフト共重合体
のグラフト効率は20〜100重量%である。グラフト
効率はグラフト化していない重合体の溶媒抽出を行い、
その割合から求めることができる。
【0049】本発明の特定の多相構造を示す熱可塑性樹
脂としては、上記の非極性α−オレフィン系重合体セグ
メントとビニル芳香族系重合体セグメントとのグラフト
共重合体が好ましいが、このようなグラフト共重合体に
おいて、非極性α−オレフィン系重合体セグメントのか
わりに、あるいはこれに加えて非極性共役ジエン系重合
体セグメントを用いたものであってもよい。非極性共役
ジエン系重合体としては、前述のものを用いることがで
き、単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
【0050】なお、以上のグラフト共重合体における非
極性α−オレフィン系重合体には共役ジエン単量体が含
まれていてもよく、非極性共役ジエン系重合体にはα−
オレフィンの単量体が含まれていてもよい。
【0051】また、本発明では、得られたグラフト共重
合体にさらにジビニルベンゼン等を用いて架橋すること
もできる。特に、ジビニルベンゼンの単量体を含まない
グラフト共重合体において、耐熱性向上の観点から好ま
しい。
【0052】一方、本発明の特定の多相構造を示す熱可
塑性樹脂としては、ブロック共重合体であってもよく、
ブロック共重合体としては、少なくとも1つのビニル芳
香族単量体の重合体と、少なくとも1つの共役ジエンの
重合体とを含むブロック共重合体を挙げることができ、
直鎖型であっても、ラジアル型、すなわちハードセグメ
ントとソフトセグメントが放射線状に結合したものであ
ってもよい。また、共役ジエンを含む重合体が少量のビ
ニル芳香族の単量体とのランダム共重合体であってもよ
く、いわゆるテーパー型ブロック共重合体、すなわち1
つのブロック内でビニル芳香族の単量体が漸増するもの
であってもよい。
【0053】ブロック共重合体の構造については特に制
限はなく、(A−B)n 型、(A−B)n −A型または
(A、B)n −C型のいずれであってもよい。式中、A
はビニル芳香族の単量体の重合体、Bは共役ジエンの重
合体、Cはカップリング剤残基、nは1以上の整数を示
す。なお、このブロック共重合体において、共役ジエン
部分が水素添加されたブロック共重合体を使用すること
も可能である。
【0054】このようなブロック共重合体において、上
記の非極性共役ジエン系共重体のかわりに、あるいはこ
れに加えて、前述の非極性α−オレフィン系重合体を用
いてもよく、非極性共役ジエン系重合体はα−オレフィ
ン単量体を含んでいるものであってもよく、非極性α−
オレフィン系重合体は、共役ジエンの単量体を含んでい
るものであってもよい。ブロック共重合体における各セ
グメントの量比や好ましい態様についてはグラフト共重
合体に準じる。
【0055】本発明の樹脂組成物、好ましくは特定の多
相構造を示す熱可塑性樹脂(特に好ましくはグラフト共
重合体)には、耐熱性を向上させるために、4−メチル
ペンテン−1の単量体を含む非極性α−オレフィン系重
合体を加えることが好ましい。なお、本発明では、4−
メチルペンテン−1の単量体を含む非極性α−オレフィ
ン系重合体が化学的結合をすることなく樹脂組成物に含
有されている場合もありうるが、このような場合には必
ずしもその添加は必要とはされない。ただし、所定の特
性を得るためにさらに添加してもよい。
【0056】このような4−メチルペンテン−1の単量
体を含む非極性α−オレフィン系共重合体における4−
メチルペンテン−1の単量体の割合は50重量%以上で
あることが好ましい。なお、このような非極性α−オレ
フィン系共重合体は、共役ジエンの単量体を含むもので
あってもよい。
【0057】特に、4−メチルペンテン−1の単量体を
含む非極性α−オレフィン系共重合体としては、4−メ
チルペンテン−1の単量体の単独重合体であるポリ4−
メチルペンテン−1であることが好ましい。
【0058】ポリ4−メチルペンテン−1は、結晶性の
ポリ4−メチルペンテン−1であって、プロピレンの2
量体である4−メチルペンテン−1をチーグラー・ナッ
タ系触媒等を用いて重合されるアイソタクチック・ポリ
4−メチルペンテン−1が好ましい。
【0059】ポリ4−メチルペンテン−1と特定の多相
構造を示す熱可塑性樹脂の割合は、特に限定はないが、
耐熱性および金属との接着性を満足するために、ポリ4
−メチルペンテン−1の割合が10〜90重量%である
ことが好ましい。ポリ4−メチルペンテン−1の割合が
少ないと半田耐熱性が不足する傾向がある。またポリ4
−メチルペンテン−1の割合が多くなると金属との密着
性が不足する傾向がある。ポリ4−メチルペンテン−1
にかえて、共重合体を使用するときの添加量は、これに
準じるものとすればよい。
【0060】本発明の樹脂組成物(4−メチルペンテン
−1の単量体を含む非極性α−オレフィン系重合体を加
えたものを含む)の軟化点は200〜260℃であり、
適宜選択して用いることにより、十分な半田耐熱性を得
ることができる。
【0061】本発明の耐熱性低誘電性高分子材料の電気
的性能は、好ましくは周波数帯域が500MHz〜3GH
z、特に800MHz 〜2GHz のマイクロ波、ミリ波帯
域において、比誘電率(εr )が5以上、特に10〜2
0を示し、かつ誘電損失正接(tanδ)が、0.01
以下、通常0.005〜0.001である。
【0062】なお、本発明の高分子材料の絶縁抵抗率は
常態における体積抵抗率で2〜5×1014Ωcm以上であ
る。また、絶縁破壊強度も強く、15KV/mm 以上、特に
18〜30KV/mm とすぐれた特性を示す。さらには耐熱
性にも優れる。
【0063】これらの高分子材料は1種だけ用いてもよ
く、2種以上併用してもよい。また、これらの高分子材
料は、造粒物として用いられる。
【0064】本発明で用いるセラミックス誘電体材料は
特に限定されないが、比誘電率(εr)が好ましくは1
0以上、より好ましくは30以上、さらに好ましくは8
5〜100、誘電正接(tanδ)が好ましくは0.00
2以下、Qが好ましくは2500〜20000/1GHz
であるものが望ましい。
【0065】本発明において好ましく用いられるセラミ
ックス誘電体材料としては、例えば、チタン−バリウム
−ネオジウム系複合酸化物、鉛−カルシウム系複合酸化
物、二酸化チタン系セラミックス、チタン酸バリウム系
セラミックス、チタン酸鉛系セラミックス、チタン酸ス
トロンチウム系セラミックス、チタン酸カルシウム系セ
ラミックス、チタン酸ビスマス系セラミックス、チタン
酸マグネシウム系セラミックス、ジルコン酸鉛系セラミ
ックスなどが挙げられる。さらに、CaWO4系セラミ
ックス、Ba(Mg,Nb)O3系セラミックス、Ba
(Mg,Ta)O3系セラミックス、Ba(Co,M
g,Nb)O3系セラミックス、Ba(Co,Mg,T
a)O3系セラミックスなども挙げられる。これらは、
単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよ
い。
【0066】なお、前記二酸化チタン系セラミックスと
は、組成的には二酸化チタンのみを含む系、または二酸
化チタンに他の少量の添加物を含む系であって、主成分
である二酸化チタンの結晶構造が保持されているもので
ある。他の系のセラミックスもこれと同様である。二酸
化チタンはTiO2で示される物質で、種々の結晶構造
をとりうるものであるが、誘電体セラミックスとして使
用されるのは、その中のルチル構造のものである。
【0067】セラミックス誘電体材料の粒子径は、1μ
m 径から200μm 径までの範囲に分布しているのが特
性上好ましく、その平均粒子径は90〜150μm であ
ることが好ましい。セラミックス誘電体材料の粒子径が
大きすぎると、高分子誘電体材料内への均一な分散・混
合が困難となる。一方、粒子径が小さすぎると、セラミ
ックス誘電体材料と高分子材料との混合ができなくなっ
たり、セラミックス誘電体材料の粒子が凝集して不均一
な混合体となるなど、取り扱いが困難となる。
【0068】セラミックス誘電体材料としては、高周波
数帯域での高誘電率と低誘電正接を得る上で、特に、チ
タン−バリウム−ネオジウム系や、鉛−カルシウム系の
材料が好ましい。これらの好ましく用いられるセラミッ
クス誘電体材料の複合誘電体材料組成物中の含有量は5
0〜95wt% が好ましく、より好ましくは50〜90wt
% であり、特には60〜90wt% であることが好まし
い。このような含有量とすることで、高誘電率と低誘電
正接が得られやすくなる。これに対し、セラミックス誘
電体材料の含有量が少なくなると比誘電率が低くなり、
誘電正接が高くなりやすくなる。また、セラミックス誘
電体材料の含有量が多くなりすぎると、機械物性が低下
し、成形性が悪くなる。
【0069】このようなセラミックス誘電体材料は公知
の方法により焼成して得られたものであり、その焼成条
件にも特に制限はないが、焼成温度としては850〜1
400℃であることが好ましい。
【0070】本発明の複合誘電体材料組成物は、所定量
の耐熱性低誘電性高分子材料とセラミックス誘電体材料
とを溶融混練することによって得られる。具体的にはバ
ンバリーミキサー、加圧ニーダー、混練押出機、二軸押
出機、ロール等の通常用いられる混練機により溶融混練
することができる。
【0071】本発明の複合誘電体材料組成物から使用形
態の複合誘電体材料を得るには、熱プレス等により例え
ば薄膜(フィルム)等の所望形状に成形する方法等によ
り得ることができるほか、せん断力のある、例えばロ−
ルミキサ−、バンバリ−ミキサ−、ニ−ダ−、単軸ある
いは二軸の押出成型機等で、他の熱可塑性樹脂と溶融混
合し、所望形状に成形する方法等によっても得ることが
できる。
【0072】あるいは、本発明の高周波積層電子部品の
誘電体層は、以下に示す誘電性高分子材料を用いてもよ
いが、好ましくは上記グラフト重合体である。
【0073】誘電性高分子材料は、好ましくは単量体と
してフマル酸ジエステルを含む単量体組成物を重合して
得られたものであり、フマル酸ジエステルから誘導され
る繰り返し単位を有するフマレート系重合体である。
【0074】本発明におけるフマル酸ジエステル単量体
としては高分子材料としたとき、高分子材料に低誘電性
や耐熱性を付与するものであれば特に限定されるもので
はないが、式(I)[上記化3に掲載]で表される化合
物が好ましい。
【0075】式(I)について記すと、式(I)中、R
1 はアルキル基またはシクロアルキル基を表し、R2
アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基を表
し、R1 およびR2 は同一でも異なるものであってもよ
い。
【0076】R1 、R2 で表されるアルキル基として
は、総炭素数2〜12のものが好ましく、直鎖状であっ
ても分岐を有するものであってもよく、さらには置換基
を有していてもよい。置換基を有する場合の置換基とし
ては、ハロゲン原子(F、Cl)、アルコキシ基(メト
キシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等)、
アリール基(フェニル基等)などが挙げられる。
【0077】R1 、R2 で表されるアルキル基の具体例
としては、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル
基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチ
ル基、n−ペンチル基(n−アミル基)、sec−アミ
ル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペ
ンチル基、n−ヘキシル基、4−メチル−2−ペンチル
基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウ
ンデシル基、ドデシル基、トリフルオロエチル基、ヘキ
サフルオロイソプロピル基、パーフルオロイソプロピル
基、パーフルオロブチルエチル基、パーフルオロオクチ
ルエチル基、2−クロロエチル基、1−ブトキシ−2−
プロピル基、メトキシエチル基、ベンジル基などが挙げ
られる。
【0078】R1 、R2 で表されるシクロアルキル基と
しては、総炭素数3〜14のものが好ましく、単環であ
っても橋かけ環を有するものであってもよく、さらには
置換基を有していてもよい。この場合の置換基としては
上記のアルキル基のところで例示したものと同様のもの
であってよく、このほかアルキル基(メチル基等の炭素
数1〜14の直鎖あるいは分岐のもの)などを挙げるこ
とができる。
【0079】R1 、R2 で表されるシクロアルキル基の
具体例としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル
基、アダマンチル基、ジメチルアダマンチル基などが挙
げられる。
【0080】R2 で表されるアリール基としては、総炭
素数6〜18のものが好ましく、単環が好ましいが多環
(縮合環ないし環集合)であってもよく、置換基を有し
ていてもよい。この場合の置換基は、アルキル基、シク
ロアルキル基のところで例示したものと同様のものが挙
げられる。
【0081】R2 で表されるアリール基の具体例として
は、フェニル基等が挙げられる。
【0082】R1 、R2 としては、アルキル基、シクロ
アルキル基が好ましい。アルキル基としては、分岐を有
するアルキル基が好ましく、イソプロピル基、sec−
ブチル基、tert−ブチル基などが好ましい。また、
シクロアルキル基としてはシクロヘキシル基などが好ま
しい。
【0083】式(I)で表されるフマル酸ジエステル単
量体の好適例として、具体的にはジエチルフマレート、
ジ−n−プロピルフマレート、ジ−n−ヘキシルフマレ
ート、イソプロピル−n−ヘキシルフマレート、ジイソ
プロピルフマレート、ジ−n−ブチルフマレート、ジ−
sec−ブチルフマレート、ジ−tert−ブチルフマ
レート、ジ−sec−アミルフマレート、n−ブチル−
イソプロピルフマレート、イソプロピル−sec−ブチ
ルフマレート、tert−ブチル−4−メチル−2−ペ
ンチルフマレート、イソプロピル−tert−ブチルフ
マレート、イソプロピル−sec−アミルフマレート、
ジ−4−メチル−2−ペンチルフマレート、ジ−イソア
ミルフマレート、ジ−4−メチル−2−ヘキシルフマレ
ート、tert−ブチル−イソアミルフマレート等のジ
アルキルフマレート類;ジシクロペンチルフマレート、
ジシクロヘキシルフマレート、ジシクロヘプチルフマレ
ート、シクロペンチル−シクロヘキシルフマレート、ビ
ス(ジメチルアダマンチル)フマレート、ビス(アダマ
ンチル)フマレート等のジシクロアルキルフマレート
類;イソプロピル−シクロヘキシルフマレート、イソプ
ロピル−ジメチルアダマンチルフマレート、イソプロピ
ル−アダマンチルフマレート、tert−ブチル−シク
ロヘキシルフマレート等のアルキルシクロアルキルフマ
レート類;イソプロピル−フェニルフマレート等のアル
キルアリールフマレート類;tert−ブチルベンジル
フマレート、イソプロピル−ベンジルフマレート等のア
ルキルアラルキルフマレート類;ジトリフルオロエチル
フマレート、ジヘキサフルオロイソプロピルフマレー
ト、ジパーフルオロイソプロピルフマレート、ジビス
(パーフルオロブチルエチル)フマレート等のジ−フル
オロアルキルフマレート類; イソプロピル−パーフル
オロオクチルエチルフマレート、イソプロピル−ヘキサ
フルオロイソプロピルフマレート等のアルキルフルオロ
アルキルフマレート類;1−ブトキシ−2−プロピル−
tert−ブチルフマレート、メトキシエチル−イソプ
ロピルフマレート、2−クロロエチル−イソプロピルフ
マレート等のその他の置換アルキルアルキルフマレート
類などが挙げられる。
【0084】なかでも、ジイソプロピルフマレート、ジ
シクロヘキシルフマレート、ジ−sec−ブチルフマレ
ート、ジ−tert−ブチルフマレート、イソプロピル
−tert−ブチルフマレート、n−ブチル−イソプロ
ピルフマレート、n−ヘキシル−イソプロピルフマレー
トなどが特に好ましい。
【0085】これらのジエステル類は通常のエステル化
技術および異性化技術を組み合わせることにより、合成
することができる。
【0086】誘電性高分子材料であるフマレート系重合
体を得るに際し、上記のフマル酸ジエステル(フマレー
ト系化合物)は1種のみを用いてもよく、2種以上を併
用してもよい。したがって本発明のフマレート系重合体
は上記のフマル酸ジエステルを1種のみ重合した単独重
合体であってもよく、2種以上を重合した共重合体であ
ってもよい。共重合体はランダム共重合体、交互共重合
体、ブロック共重合体等のいずれであってもよい。
【0087】本発明のフマレート系重合体は、このよう
に、フマル酸ジエステルのみを単量体成分に用いたもの
であってもよいが、フマル酸ジエステルのほかに他の単
量体を用いることができ、他の単量体成分との共重合体
とすることができる。このような他の単量体成分として
はビニル系単量体(モノマー)を用いればよく、コモノ
マーとされるビニル系単量体としては、成形加工性、フ
ィルム成膜性、機械的強度を付与することができ、前記
フマレート系化合物と共重合しうるものであれば特に限
定されるものではないが、好ましくは式(II)[前記化
4]で表される化合物を挙げることができる。
【0088】式(II)について説明すると、Xは水素原
子またはメチル基を表し、Yはフッ素原子、塩素原子、
アルキル基、アルケニル基、アリール基、エーテル基、
アシル基またはエステル基を表す。
【0089】Yで表されるアルキル基としては、総炭素
数1〜14のものが好ましく、直鎖状であっても分岐を
有するものであってもよい。
【0090】Yで表されるアルケニル基としては、総炭
素数2〜14のものが好ましく、直鎖状であっても分岐
を有するものであってもよく、さらには置換基を有して
いてもよく、例えばビニル基、アリル基、プロペニル
基、ブテニル基等が挙げられる。
【0091】Yで表されるアリール基としては、総炭素
数6〜18のものが好ましく、単環であっても縮合環等
の多環であってもよく、さらにはハロゲン原子(F、C
l)、アルキル基(メチル基等)の置換基を有していて
もよい。具体的には、フェニル基、α−ナフチル基、β
−ナフチル基、(o−、m−、p−)トリル基、(o
−、m−、p−)クロロフェニル基等が挙げられる。
【0092】Yで表されるエーテル基は、−OR3 で示
され、この場合のR3 としてはアルキル基、アリール基
等が挙げられる。R3 で表されるアルキル基としては総
炭素数が1〜8であるものが好ましく、直鎖状であって
も分岐を有するものであってもよく、さらには置換基
(ハロゲン原子等)を有していてもよい。R3 で表され
るアリール基としては総炭素数6〜18のものが好まし
く、単環が好ましいが縮合環等の多環であってもよい。
【0093】Yで表されるエーテル基としては、メトキ
シ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、イソブ
トキシ基、フェノキシ基等が挙げられる。
【0094】Yで表されるアシル基は−COR4 で示さ
れ、この場合のR4 としてはアルキル基、アリール基等
が挙げられる。R4 で表されるアルキル基としては総炭
素数1〜8であるものが好ましく、直鎖状であっても分
岐を有するものであってもよく、さらには置換基(ハロ
ゲン原子等)を有していてもよい。R4 で表されるアリ
ール基としては総炭素数6〜18のものが好ましく、単
環が好ましいが縮合環等の多環であってもよい。
【0095】Yで表されるアシル基としては、アセチル
基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ベ
ンゾイル基等が挙げられる。
【0096】Yで表されるエステル基は、−OCOR5
または−COOR5 で示され、この場合のR5 としては
アルキル基、アリール基等が挙げられる。R5 で表され
るアルキル基としては総炭素数が1〜20であるものが
好ましく、直鎖状であっても分岐を有するものであって
もよく、さらには置換基(ハロゲン原子等)を有してい
てもよい。R5 で表されるアリール基としては総炭素数
6〜18のものが好ましく、単環が好ましいが縮合環等
の多環であってもよい。
【0097】Yで表されるエステル基としては、アセト
キシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イ
ソブチリルオキシ基、バレリルオキシ基、イソバレリル
オキシ基、−OCOC49 (−sec)、−OCOC
49 (−tert)、−OCOC(CH32 CH2
CH3 、−OCOC(CH32 CH2 CH2 CH3
ステアロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、tert
−ブチルベンゾイルオキシ基、メトキシカルボニル基、
エトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、2−エ
チルヘキシルオキシカルボニル基、フェノキシカルボニ
ル基等が挙げられる。
【0098】誘電性高分子材料に用いる共重合成分とは
オレフィン系炭化水素を主体とするビニル系コモノマー
であり、式(II)で表されるビニル系モノマーとして
は、例えば酢酸ビニル、ピバリン酸ビニル、2,2−ジ
メチルブタン酸ビニル、2,2−ジメチルペンタン酸ビ
ニル、2−メチル−2−ブタン酸ビニル、プロピオン酸
ビニル、ステアリン酸ビニル、2−エチル−2−メチル
ブタン酸ビニル等のカルボン酸ビニル類;p−tert
−ブチル安息香酸ビニル、N,N−ジメチルアミノ安息
香酸ビニル、安息香酸ビニル等の芳香族ビニル系単量体
類;スチレン、o−,m−,p−クロロメチルスチレ
ン、α−メチルスチレンおよびその核置換体などのα−
置換スチレン誘導体類;o−、m−、p−メチルスチレ
ン等のアルキル核置換スチレン類;塩化ビニル、フッ化
ビニル等のα−オレフィン類;p−クロロスチレン等の
o−、m−、p−ハロゲン化スチレン等のハロゲン核置
換スチレン;エチルビニルエーテル、ビニルブチルエー
テル、イソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル
類;α−、β−ビニルナフタレン等のナフタレン誘導
体;メチルビニルケトン、イソブチルビニルケトン等の
アルキルビニルケトン類;ブタジエン、イソプレン等の
ジエン類;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メ
タ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−
エチルヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メ
タ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類等
の公知のラジカル重合成モノマー等を好ましく挙げるこ
とができる。
【0099】このようなビニル系モノマーを製造するに
は、例えば酢酸ビニルと相当する有機酸とのエステル交
換反応を酢酸水銀または硫酸等の存在下で行うか、他の
触媒、例えば白金、ロジウム等の金属錯体、触媒の存在
下反応を行うことにより容易に合成することができる。
【0100】このようなビニル系モノマーはコモノマー
として1種のみを用いても2種以上を併用してもよい。
【0101】また、このようなビニル系モノマーから誘
導される繰り返し単位を有する本発明のフマレート系重
合体は共重合体であるが、ランダム共重合体、交互共重
合体、ブロック共重合体等のいずれであってもよい。
【0102】上記フマル酸ジエステルから誘導される繰
り返し単位を有する高分子材料は低誘電性であり、成膜
性、膜密着性、さらには機械的物性等の点で優れる。こ
のような高分子材料は、前述のように、同一のフマル酸
ジエステルのみを用いた単独重合体、フマル酸ジエステ
ル同志の共重合体、フマル酸ジエステルとこれと共重合
可能な他のビニル系単量体との共重合体のいずれであっ
てもよい。
【0103】またフマレート系重合体の分子量は特に限
定はされないが、例えば電気絶縁フィルムおよびそれを
積層して得られる電気絶縁基板を形成するには、電子部
品の製造中に生ずるかなりの応力に、電気絶縁基板が耐
えられるだけの機械的強度が必要とされるため、その用
途等を考慮すると、高分子量体のものが望ましく、数平
均分子量で、10000〜1500000であることが
好ましい。分子量が小さくなると機械的強度および化学
安定性に劣りやすくなり、耐熱性も悪くなる。特に成膜
性、基板に対する膜密着性、膜欠陥をなくすために、な
るべく分子量が高い方が望ましい。しかし、分子量が大
きくなりすぎると均一でかつ平滑な膜の成膜が困難にな
るなど作業性に劣り、また加工性も悪くなる。
【0104】誘電性高分子材料は、単量体成分として前
記のようなフマル酸ジエステルのみを実質的に含有する
単量体組成物を重合するか、あるいはさらに単量体成分
として前記のようなビニル系単量体を含有させた単量体
組成物を重合するかして得られたものである。
【0105】この場合、前記のフマル酸ジエステルは原
料となる単量体(原料モノマー)全体の50重量%以
上、さらには60重量%以上、特に80重量%以上であ
ることが好ましい。フマル酸ジエステル量が少なくなる
と、電気特性(誘電率および低誘電損失正接)、ならび
に耐熱性等が不十分となり好ましくない。
【0106】一方、前記のビニル系単量体の原料モノマ
ー全体に対する割合は、低誘電性(低誘電率、低誘電正
接)、成形加工性、溶液粘度、膜密着性、さらには機械
的物性等の点から0〜50重量%が好ましく、さらに好
ましくは0〜40重量%、特に好ましくは0〜20重量
%である。
【0107】このようなフマレート系重合体中のフマル
酸ジエステルに由来する構成成分は好ましくは50重量
%以上、さらに好ましくは60重量%以上、特に好まし
くは80重量%以上である。
【0108】また、本発明で用いられるフマレート系重
合体の軟化温度は200℃以上であり、通常230〜3
50℃の範囲にある。このように軟化温度が高いのでデ
バイス化工程に必須の半田付工程での耐熱性は十分であ
る。このように高軟化温度を有するのは、主鎖構造とな
る部分にメチレン基を有さず主鎖の炭素上に置換基が結
合し、主鎖の分子鎖熱運動性が抑制されるためと考えら
れる。
【0109】このように本発明で用いられるフマレート
系重合体はロッド状の構造を有し、剛直なポリマーであ
る。したがって側鎖の結合に対する攻撃も受けにくく、
耐熱性、耐酸・耐アルカリ性(耐エッチング性)に優れ
た重合体を得ることができる。
【0110】以下に、本発明で好ましく用いられるフマ
レート系重合体を例示する。重合体は原料モノマーで示
すものとする。
【0111】I)ジ−アルキルフマレート系 I−1 ジ−イソプロピルフマレート I−2 ジ−シクロヘキシルフマレート I−3 ジ−sec−ブチルフマレート I−4 ジ−tert−ブチルフマレート I−5 tert−ブチル−イソプロピルフマレート I−6 ジ−イソプロピルフマレート/ジ−sec−ブ
チルフマレート I−7 tert−ブチル−イソプロピルフマレート/
ジ−イソプロピルフマレート I−8 ジ−イソプロピルフマレート/ジ−シクロヘキ
シルフマレート I−9 ジ−イソプロピルフマレート/n−ブチル−イ
ソプロピルフマレート I−10 ジ−イソプロピルフマレート/n−ヘキシル−
イソプロピルフマレート I−11 ジ−シクロヘキシルフマレート/n−ブチル−
イソプロピルフマレート I−12 ジ−シクロヘキシルフマレート/ジ−sec−
ブチルフマレート
【0112】II)ジ−アルキルフマレート/ビニル系 II−1 ジ−イソプロピルフマレート/スチレン II−2 ジ−sec−ブチルフマレート/tert−ブ
チル安息香酸ビニル II−3 ジ−シクロヘキシルフマレート/2−エチル−
2−メチルブタン酸ビニル II−4 ジ−イソプロピルフマレート/tert−ブチ
ル安息香酸ビニル II−5 ジ−イソプロピルフマレート/p−N,N−ジ
メチルアミノ安息香酸ビニル II−6 ジ−シクロヘキシルフマレート/tert−ブ
チル安息香酸ビニル II−7 シクロヘキシル−イソプロピルフマレート/酢
酸ビニル II−8 ジ−tert−ブチルフマレート/ジ−シクロ
ヘキシルフマレート−tert−ブチル安息香酸ビニル II−9 ジ−イソプロピルフマレート/ジ−シクロヘキ
シルフマレート/2−エチル−2−メチルブタン酸ビニ
ル II−10 ジ−イソプロピルフマレート/ジ−sec−ブ
チルフマレート/N,N−ジメチルアミノ安息香酸ビニ
ル II−11 ジ−sec−ブチルフマレート/ジ−シクロヘ
キシルフマレート/tert−ブチル安息香酸ビニル II−12 ジ−シクロヘキシルフマレート/ジ−イソプロ
ピルフマレート/スチレン
【0113】本発明において、前記のフマレート系重合
体を製造するには、通常のラジカル重合法を好ましく用
いることができる。重合に際し用いられる重合開始剤と
しては、分子量を上げるため10時間半減期温度が80
℃以下の有機過酸化物およびアゾ化合物の1種または2
種以上を好ましく用いることができる。このような重合
開始剤として、例えば過酸化ベンゾイル、ジイソプロピ
ルペルオキシジカーボネート、tert−ブチルペルオ
キシジ−2−エチルヘキサノエート、tert−ブチル
ペルオキシジイソブチレート、クメンパーオキサイド、
tert−ブチルヒドルパーオキシド、tert−ブチ
ルペルオキシピバレート、過酸化ラウロイルジアシルパ
ーオキシド等の有機過酸化物、2,2’−アゾビスブチ
ロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニ
トリル)、アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリ
ル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カル
ボニトリル)、2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチ
ル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニト
リル)、tert−ブチルペルオキシイソプロピルカー
ボネート等のアゾ系化合物が挙げられる。重合開始剤の
使用量としては原料モノマー100重量部に対して10
重量部以下が好ましく、さらに好ましくは5重量部以下
である。
【0114】またこのような調製法において各モノマー
を重合ないし共重合させる際の条件としては、適時重合
系を不活性ガス、例えば窒素、二酸化炭素、ヘリウム、
アルゴン等で置換ないしは雰囲気下、あるいは脱気条件
下で重合させることが好ましい。重合ないし共重合させ
る際の温度としては使用する重合開始剤の種類により異
なるが、30℃〜120℃の範囲が好ましい。また重合
に要する全時間は、10時間〜72時間程度であること
が望ましい。また原料モノマーに色素等の着色あるいは
紫外線吸収剤等の添加物を加えて重合させることも可能
である。
【0115】また前記ラジカル重合法としては、溶液重
合、塊状重合、乳化重合、懸濁重合、放射線重合等の汎
用のビニル系モノマーのラジカル重合に用いられる数多
くの重合法により行うことができる。本発明では高周波
帯域用の用途において、低誘電性電気絶縁基板の電気特
性として、低誘電損失正接を極めて低くすることが重要
なポイントとなる。高分子材料中の低分子量体の存在が
外部可塑化を引き起こし誘電損失正接を大きくし、高周
波帯域における誘電特性を悪化する要因となるため、フ
マレート系重合体および共重合体の分子量が極めて高く
なるような重合方法をとることが重要であり、仕込みモ
ノマーの濃度を高くすることができる、例えば共重合さ
せる際の仕込みモノマーであるフマル酸ジエステルと、
ビニル系モノマーとの両モノマーの濃度を十分高くする
ことができる塊状重合法あるいは懸濁重合法が最も望ま
しい。また重合温度は高くなるにつれて重合体ないし共
重合体の分子量が小さくなるので、例えば0℃から60
℃の低温にてラジカル重合ないし共重合させるのが好ま
しい。
【0116】本発明のフマレート系重合体は、核磁気共
鳴スペクトル(NMR)、赤外吸収スペクトル(IR)
等によって同定することができる。
【0117】また、末端基として目的に応じ種々のもの
を導入することができる。
【0118】誘電性高分子材料も、上記耐熱性誘電性高
分子材料同様に、セラミックス誘電体材料と共に使用さ
れる。
【0119】セラミックス誘電体材料としては、上記と
同様である。これらの好ましく用いられるセラミックス
誘電体材料の複合誘電体材料組成物中の含有量は50〜
95wt% が好ましく、より好ましくは50〜90wt% で
あり、特には60〜85wt%であることが好ましい。こ
のような含有量とすることで、高誘電率と低誘電正接が
得られやすくなる。これに対し、セラミックス誘電体材
料の含有量が少なくなると比誘電率が低くなり、誘電正
接が高くなりやすくなる。また、セラミックス誘電体材
料の含有量が多くなりすぎると、機械物性が低下し、成
形性が悪くなる。
【0120】誘電体層上、あるいはそれらの間、または
誘電体層中に形成される導電体層は、金、銀、銅、ニッ
ケル、クロム、チタン、アルミニウム等の金属単体、あ
るいはこれらを用いた合金等を用いることができる。こ
れらは、通常、エッチング、プレス等により成形した導
電体層(導電板)を鋳込んでインジェクション成形をし
たり、印刷法により形成した誘電体層上に導電体層パタ
ーンを置き、更にその上に誘電体層を重ねて形成する。
また、金属導体フィルムとして誘電体層上に接着、融着
することも可能であり、この他に蒸着、スパッタ法など
の気相堆積法、湿式メッキ法等により形成することもで
きる。形成された導電体層を所望のパターンにエッチン
グ(湿式または乾式)して素子パターンを得ることがで
きる。この場合、上記誘電体層を用いることで、金属導
体フィルムとの密着性が良好なものが得られる。この場
合の誘電体層は成形等によって50〜1000μm 、特
に100〜800μm 、さらには200〜500μm の
厚さとすることが好ましい。また、金属導体フィルム
は、好ましくは10〜70μm 、特に18〜35μmで
ある。また、必要により貫通孔を形成し、メッキ等によ
りスルーホールを形成してもよい。
【0121】なお、導電体層をパターン状に形成すると
きは、金属導体フィルムを所定の形状にパターン化して
から密着してもよい。ただし、積層によって金属導体フ
ィルムと誘電体層とを密着する場合、最外層となる金属
導体層はパターン化してから密着しても、密着してから
エッチングによる除去を行ってパターン化してもよい。
【0122】本発明の高周波多層積層部品の使用周波数
帯域としては、好ましくは500MHz〜3GHz、特に8
00MHz〜2GHzである。
【0123】以下、本発明の高周波多層積層部品につい
て、具体例を図示して詳細に説明する。
【0124】図1は、本発明の高周波多層積層部品の具
体例を示すフィルタの分解斜視図、図2はこれを組み立
てた状態の一部透過外観斜視図である。図示例のフィル
タは、各誘電体層101〜118を有する。そして、こ
の誘電体層101〜118には、必要に応じてキャパシ
タ、インダクタ等の回路素子を構成するような導電体層
が形成されている。これらの回路素子のパラメータは、
誘電体層の誘電率や厚さ、導電体層の形状等により決め
られる。すなわち、この例では、誘電体層101の上に
は導電体層201が形成され、誘電体層102の上には
導電体層202a、202bが形成されている。そし
て、導電体層201と導電体層202aとでキャパシタ
CE11を構成し、導電体層201と導電体層202bと
でキャパシタCE21を構成している。同様に、誘電体層
103上には導電体層203a,203c,203dが
形成されていて、前記導電体層202aと導電体層20
3aとでキャパシタCE12を構成し、導電体層202b
と導電体層203aとでキャパシタCE22を構成してい
る。導電体層203c,203dはいわゆるスルーホー
ルを構成し、前記導電体層202a,202bの同様な
位置に形成されているスルーホールや、下層となる誘電
体層104上に形成されている導電体層204a,20
4bとを電気的に接続している。また、導電体層204
aと導電体層203aとはキャパシタCE13を構成し、
導電体層204bと導電体層203aとはキャパシタC
E23を構成している。
【0125】誘電体層105上には導電体層205a,
205b,205c,205dが形成されていて、導電
体層205aと導電体層204aとでキャパシタCi1を
構成し、導電体層205bと導電体層204bとでキャ
パシタCi2を構成している。また、導電体層205c、
205dのチップ端面側の部分は、それぞれ入力端I
N、出力端OUTとして機能するようになっている。導
電体層205c,205dは、スルーホールを構成し、
前記導電体層204a,204bの同位置に形成されて
いるスルーホールと接続される。誘電体層106上に
は、導電体層206a,206c,206dが形成され
ている。導電体層206aは、導電体層205aとキャ
パシタCp1を構成し、導電体層205aとキャパシタC
p2を構成している。また、導電体層206c,206d
はスルーホールを構成し、前記スルーホール205c、
205dと接続されている。
【0126】さらに、誘電体層107〜111には、導
電体層としてのスルーホール207c,207d,20
8c,208d,209c,209d,210c,21
0d,211c,211dが形成されていて、それぞれ
接続されると共に、前記スルーホール206c,206
dと接続され、さらに、下記の導電体層212a,21
2bとも接続されている。誘電体層112には、導電体
層212a,212bが形成されていて、それぞれがイ
ンダクタL1 ,L2 を構成している。さらに、その下層
には複数の誘電体層113〜117が配置される。そし
て、その下層の誘電体層118には、導電体層218が
形成されていて、アースパターン(E)として機能する
ようになっている。
【0127】そして、これらを積層して図2に示すよう
なフィルタとなる。図2は、積層された複数取りの素子
構造体を切断し、1つの部品チップとしたものである。
図において、フィルタ1は、短辺側の断面に導電層20
5aの入力端INと接続された端子11が形成され、そ
の反対側には導電体205bの出力端OUTと接続され
た端子が形成されている(図示せず)。また、長辺側に
は導電体201,203aおよび導電体218と接続さ
れたアース端子12が形成されていて、それぞれ外部の
回路と接続されるようになっている。対向する長辺側に
は、導電体210,203a,212a,212b,2
18と接続されたアース端子(図示せず)が形成されて
いる。
【0128】フィルタ1の等価回路を図3に示す。図に
おいて、Cp =Cp1+Cp2であり、CE1=CE11+CE12
+CE13であり、CE2=CE21+CE22+CE23である。ま
た、L1 とL2 とは相互インダクタンスMで相互に結合
している。
【0129】このような構成の本発明のフィルタは、従
来のフィルタがセラミックのグリーンシート法或いは印
刷多層法により基板1枚あたりに数個から数百個(場合
により数千個)分の必要な導電パターンを形成し、焼
成、分割(または分割、焼成)する多数個取りの工程に
より製造されてるのに対して、エッチング、プレス等に
より成形した導電板を鋳込んでインジェクション成形を
したり、印刷法により形成した樹脂基板上に導電板パタ
ーンを置き、更にその上に樹脂基板を重ねて形成するこ
とができる。また、フマレート系樹脂をガラスクロスに
含浸し、さらに鋼箔を貼り基板材料に形成してからエッ
チング等によりパターンを形成し、必要箇所には貫通孔
を設置してメッキによりスルーホールを設けた拳板を積
層し、分割して製造することができる。
【0130】また、誘電体層は、フマレート系またはグ
ラフトポリマ系樹脂でセラミックパウダーと混合して比
誘電率を10〜20に調整した状態で約0.002〜
0.0001となり、セラミックと同等の電気特性が得
られ、更に重量も軽くなる。
【0131】本発明の高周波多層積層部品は、セラミッ
クを積層体として使用していないため焼成前の粘性によ
り層ずれを生じたり、焼成により縮み、内部構造に歪み
を生じたりすることがなく、また分割も用意に切断可能
である。
【0132】本発明の多層積層部品は、上記のフィルタ
に限定されるものではなく、広く高周波回路に使用され
る多層積層部品、例えば、カプラ、ミキサ、分配器、V
CO等に応用可能である。
【0133】
【実施例】まず、実施例に用いた高分子材料の合成例を
示す。
【0134】(合成例)容積5リットルのステンレス製
オ−トクレ−ブに、純水2500gを入れ、さらに懸濁
剤としてポリビニルアルコ−ル2.5gを溶解させた。
この中にオレフィン系重合体としてポリプロピレン「J
アロイ150G」(商品名、日本ポリオレフィン(株)
製)700gを入れ、撹はん・分散した。別にラジカル
重合開始剤としてのベンゾイルペルオキシド1.5g、
ラジカル重合性有機過酸化物としてt−ブチルペルオキ
シメタクリロイロキシエチルカ−ボネ−ト9gを、ビニ
ル芳香族単量体としてスチレン300g中に溶解させ、
この溶液を前記オ−トクレ−ブ中に投入・撹はんした。
次いでオ−トクレ−ブを60〜65℃に昇温し、2時間
撹はんすることによりラジカル重合開始剤およびラジカ
ル重合性有機過酸化物を含むビニル単量体をポリプロピ
レン中に含浸させた。次いで、温度を80〜85℃に上
げ、その温度で7時間維持して重合を完結させ、濾過
後、水洗および乾燥してグラフト化前駆体(a)を得
た。
【0135】次いで、このグラフト化前駆体(a)をラ
ボプラストミル一軸押出機((株)東洋精機製作所製)
で200℃にて押し出し、グラフト化反応させることに
よりグラフト共重合体(A)を得た。
【0136】このグラフト共重合体(A)を熱分解ガス
クロマトグラフィーによって分析したところ、ポリプロ
ピレン(PP):スチレン(St)の重量割合は70:
30であった。
【0137】なお、このとき、スチレン重合体セグメン
トのグラフト効率は50.1重量%であった。グラフト
効率は、ソツクスレー抽出器で酢酸エチルにより、グラ
フト化していないスチレン重合体を抽出し、この割合を
求めることによって算出した。
【0138】分子量は、高温GPC(ウオーターズ
(株)製)を用いて重量平均絶対分子量を測定した。こ
の樹脂の炭素と水素の含有量は元素分析法で定量した。
その結果、炭素原子と水素原子の数の和の割合は、99
%以上であった。なお、PPの分子量は300000で
あった。
【0139】この樹脂粒子をを熱プレス成型機(上島機
械(株)製)により220℃で熱プレス成形して10cm
×10cm×0.1cmの電気絶縁材料試験片を作製した。
また、アイゾット衝撃試験片、および半田耐熱性試験片
として射出成型機で、13mm×65mm×6mmの試験片を
作成した。得られた試験片を用いて以下の測定を行い、
体積抵抗率、絶縁破壊強さ、比誘電率、誘電正接、アイ
ゾット衝撃強度および金属との接着性の評価を行った。
また、得られた樹脂ペレットを用いて吸水率の測定を行
った。また、熱プレスで成形し、熱架橋させた樹脂を粉
砕し、キシレン中で加熱し、その溶解性から架橋度を確
認した。試験法を以下に示す。
【0140】絶縁抵抗試験(体積抵抗率);JIS K 6911
(試験電圧 500V) 絶縁破壊試験(絶縁破壊強さ);JIS C 2110 誘電率試験;JIS L 1094 B法に準拠 誘電正接;ASTM D150に準拠
【0141】アイゾット衝撃強度(ノッチ付き)(表
中、アイゾットと記した。また単位はkg・cm/cm
2である。);JIS K7110 金属との接着性;試験片にアルミを真空蒸着した後、布
で軽くこすった際の薄膜の接着性を調べた。
【0142】吸水率;ASTM D570 に準拠 架橋度;粉砕した樹脂1gをキシレン70ml中に入
れ、環流しながら120℃に加熱し、10分間攪拌し
た。その後、樹脂の溶解性を観察した。
【0143】成形性;射出成形機にてアイゾット衝撃試
験片を作成したときの成形性と、プレス機での成形性、
および押出成形でフィルムをを作成したときの成形性に
ついて評価した。
【0144】各試験の結果、体積抵抗率:3.1×10
16(Ω・cm)、絶縁破壊強さ:22(kV/mm)、誘電
率:1GHzで2.27、2GHzで2.30、5GHzで
2.30、10GHzで2.26、誘電正接:1GHzで
0.84×10-3、2GHzで0.52×10-3、5GHz
で0.49×10-3、10GHzで0.48×10-3、ア
イゾット衝撃値:9(Kg・cm/cm2)、金属との接着性:
良好、吸水率:0.03%以下、成形性:良好、架橋度
(溶解性):膨潤であった。
【0145】上記グラフト共重合体(A)とセラミック
ス誘電体材料を定量フィーダーを用いて、シリンダー温
度230℃に設定されたスクリュー径30mmの同軸方向
二軸押出機(池貝鉄鋼(株)製、PCM30二軸押出
機)に供給して溶融混練し、複合誘電体材料組成物を得
た。この複合誘電体材料組成物を灰化法によって分析し
たところ、樹脂とセラミックスの重量割合は15/85
であった(仕込み量とでき上がり分析量同じ)。
【0146】セラミックス誘電体材料としてはチタン−
バリウム−ネオジウム系のセラミックス(平均粒子径1
20μm :焼成温度1350℃)を用いた。
【0147】この複合誘電体材料組成物を熱プレス成型
機(上島機械(株)製)により220℃、300Kg/cm2
で熱プレス成形した後切削加工して、1mm×1mm×10
0mmのサンプルを得た。このサンプルに対し、摂動法に
より、1GHz、2GHz、5GHzでの比誘電率εと
誘電正接(tanδ)とを測定し、Q値を求めた。また、
半田耐熱性を以下のようにして調べた。
【0148】半田耐熱性;200℃、230℃に加熱し
た半田中に2分間試験片を浸漬し、変形の度合いを観察
した。
【0149】その結果、誘電率:1GHzで10.4、2
GHzで10.6、5GHzで11.4、誘電正接:1GHz
で2.10×10-3、2GHzで2.07×10-3、5G
Hzで2.03×10-3、ハンダ耐熱性:200℃:変形
なし、230℃:変形なし、であった。
【0150】<実施例>複合誘電体材料組成物を、大き
さ、縦:150mm、横:100mm、厚さ:0.5mmのシ
ート状フィルムに加工した。この複合誘電体材料組成物
を用い、これを導電体層として厚さ18μm の銅フィル
ムを貼り付けた後、所定の形状にパターニングし、積層
し、切断して図1に示すようなフィルタを形成した。さ
らに得られたフィルタの外形は、縦:3.2〜2.5m
m、横:3.2〜4.5mm、高さ:1.5〜2mmであっ
た。このフィルタ素体に図2に示すような電極を無電解
Cuメッキ法により下地形成し、さらに電解Cuメッキ
法にて電極を形成し、フィルタ素子とした。
【0151】得られたフィルタ素子の1〜3GHzにおけ
る通過特性、および反射特性を測定した。結果を図4に
示す。なお、通過特性における各測定点の値は次の通り
である。1:周波数=1.894GHz、通過特性=−
0.7847dB、2:周波数=1.92GHz、通過特性
=−0.81747dB、3:周波数=1.68GHz、通
過特性=−9.2876dB、4:周波数=1.415G
Hz、通過特性=−43.354dB、5:周波数=2.1
4GHz、通過特性=−19.316dB。図4から明らか
なように、本発明のフィルタ素子は、従来のセラミック
を用いたフィルタ素子とほぼ同等の性能が得られている
ことがわかる。
【0152】上記実施例において、使用した複合誘電体
材料組成物の樹脂を上記合成例の樹脂に代えて、上記の
他の樹脂を用いたところほぼ同様の結果が得られた。な
お、フマレート系の樹脂よりも、グラフト重合体系の樹
脂を用いることでより良好な結果が得られた。また、高
周波セラミックス誘電体材料を、同様にして上記他の例
示セラミックスの代えても同様であった。
【0153】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、積層時に
層間のズレを生じることなく、印刷回数も少なくて済
み、焼成時等の縮みを生じることなく、基板内部のパタ
ーンの形状、厚み、間隔、分割後の個品の内部パターン
の位置等に歪みを生じるのを防止でき、バリ等を生じる
こともなく、製造時の分割効率がよく、製品の歩留ま
り、コストに優れ、性能がセラミックスなみの高周波多
層積層部品を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の高周波多層積層部品の具体例を示した
フィルタの分解斜視図である。
【図2】図1の組立図である。
【図3】図1および図2のフィルタの等価回路図であ
る。
【図4】実施例で作製した、図1および図2の構造を有
するフィルタの1〜3GHzにおける通過特性と反射特性
を示すグラフである。
【符号の説明】
1 フィルタ 11 入力端子 12 アース端子 101〜118 誘電体層 201〜218 導電体層

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 大面積の積層体からチップ化されて得ら
    れ、 誘電体層と、導電体層とを有する多層構造の高周波多層
    積層部品であって、 前記誘電体層は、重量平均絶対分子量1000以上の樹
    脂の1種または2種以上で構成される樹脂組成物であっ
    て、その組成物の炭素原子と水素原子の原子数の和が9
    9%以上であり、かつ樹脂分子間の一部またはすべてが
    相互に化学的結合を有する耐熱性低誘電性高分子材料
    と、セラミックス誘電体材料とを含有する複合誘電体材
    料組成物により形成されている高周波多層積層部品。
  2. 【請求項2】 前記耐熱性低誘電性高分子材料は、その
    化学的結合が架橋、ブロック重合およびグラフト重合か
    ら選ばれる1種以上である請求項1の高周波多層積層部
    品。
  3. 【請求項3】 前記耐熱性低誘電性高分子材料は、非極
    性α−オレフィン系重合体セグメントおよび/または非
    極性共役ジエン系重合体セグメントとビニル芳香族系重
    合体セグメントとが化学的結合をした共重合体であっ
    て、一方のセグメントにより形成された分散相が他方の
    セグメントより形成された連続相中に微細に分散してい
    る多相構造を示す熱可塑性樹脂である請求項1または2
    の高周波多層積層部品。
  4. 【請求項4】 前記耐熱性低誘電性高分子材料は、非極
    性α−オレフィン系重合体セグメントとビニル芳香族系
    重合体セグメントとが化学的結合をした共重合体である
    請求項3の高周波多層積層部品。
  5. 【請求項5】 前記耐熱性低誘電性高分子材料は、ビニ
    ル芳香族系重合体セグメントがジビニルベンゼンの単量
    体を含むビニル芳香族系共重合体セグメントである請求
    項3または4の高周波多層積層部品。
  6. 【請求項6】 前記耐熱性低誘電性高分子材料は、非極
    性α−オレフィン系重合体セグメントおよび/または非
    極性共役ジエン系重合体セグメントとビニル芳香族系重
    合体セグメントとが化学的結合をした共重合体が、グラ
    フト重合により化学的に結合した共重合体である請求項
    4または5の高周波多層積層部品。
  7. 【請求項7】 前記耐熱性低誘電性高分子材料は、さら
    に4−メチルペンテン−1の単量体を含む非極性α−オ
    レフィン系重合体を含有する請求項1〜6のいずれかの
    高周波多層積層部品。
  8. 【請求項8】 大面積の積層体からチップ化されて得ら
    れ、 誘電体層と、導電体層とを有する多層構造の高周波多層
    積層部品であって、前記誘電体層は、単量体として少な
    くともフマル酸ジエステルを含む単量体組成物を重合し
    て得られた誘電性高分子材料と、セラミックス誘電体材
    料とを含有する複合誘電体材料組成物により形成されて
    いる高周波多層積層部品。
  9. 【請求項9】 前記フマル酸ジエステルは、下記式
    (I)で表される請求項1〜8のいずれかの高周波多層
    積層部品。 【化1】 [式(I)において、R1 はアルキル基またはシクロア
    ルキル基を表し、R2 はアルキル基、シクロアルキル基
    またはアリール基を表し、R1 およびR2 は同一でも異
    なるものであってもよい。]
  10. 【請求項10】 前記単量体組成物は、さらに下記式
    (II)で表されるビニル系単量体を含む請求項1〜9の
    いずれかの高周波多層積層部品。 【化2】 [式(II)において、Xは水素原子またはメチル基を表
    し、Yはフッ素原子、塩素原子、アルキル基、アルケニ
    ル基、アリール基、エーテル基、アシル基またはエステ
    ル基を表す。]
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