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JP2000094480A - 円盤状記録媒体用の成形金型および射出成形機 - Google Patents

円盤状記録媒体用の成形金型および射出成形機

Info

Publication number
JP2000094480A
JP2000094480A JP26948698A JP26948698A JP2000094480A JP 2000094480 A JP2000094480 A JP 2000094480A JP 26948698 A JP26948698 A JP 26948698A JP 26948698 A JP26948698 A JP 26948698A JP 2000094480 A JP2000094480 A JP 2000094480A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
stamper
thick
plate
disk
mold
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP26948698A
Other languages
English (en)
Inventor
Noriyuki Arakawa
宣之 荒川
Masanobu Yamamoto
真伸 山本
Yuji Akiyama
雄治 秋山
Ken Minemura
憲 峯村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sony Corp filed Critical Sony Corp
Priority to JP26948698A priority Critical patent/JP2000094480A/ja
Publication of JP2000094480A publication Critical patent/JP2000094480A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B29WORKING OF PLASTICS; WORKING OF SUBSTANCES IN A PLASTIC STATE IN GENERAL
    • B29CSHAPING OR JOINING OF PLASTICS; SHAPING OF MATERIAL IN A PLASTIC STATE, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; AFTER-TREATMENT OF THE SHAPED PRODUCTS, e.g. REPAIRING
    • B29C45/00Injection moulding, i.e. forcing the required volume of moulding material through a nozzle into a closed mould; Apparatus therefor
    • B29C45/17Component parts, details or accessories; Auxiliary operations
    • B29C45/26Moulds
    • B29C45/263Moulds with mould wall parts provided with fine grooves or impressions, e.g. for record discs

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Moulds For Moulding Plastics Or The Like (AREA)
  • Injection Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 表面の微小凹凸や面振れの少ないディスク基
板を得ることができる円盤状記録媒体用の成形金型を提
供する。 【解決手段】 本発明は円盤状記録媒体用の成形金型に
関するものである。この成形金型は固定側金型10と可
動側金型11とよりなっている。また、固定側金型10
は固定側プレート6に固定側プレート温調回路37を有
し、可動側金型11は可動側ミラー7に可動側ミラー温
調回路40を有している。また、固定側金型10は、凹
凸信号を有する薄板金属からなるスタンパ2と厚板金属
板4とをハンダ3で接合してなる厚板スタンパ1を有し
ている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、オーディオ、ビデ
オその他各種記録情報を記録する円盤状記録媒体用の成
形金型およびこれを用いた射出成形機に関するもので、
詳しくは、マスタリングプロセスによって得られた微小
凹凸信号や溝を有する薄板スタンパを同質又は異材質の
厚板金属板に低融点合金(ハンダ合金等)で接合して得
られる厚板スタンパを用い成形金型を作製し、この成形
金型を使用して射出成形しディスクを作成することによ
り超フラットな基板ノイズのないディスクを得ることが
できる円盤状記録媒体用の成形金型および射出成形機に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】オーディオ用、ビデオ用その他各種情報
を記録する媒体として光記録媒体、磁気記録媒体が知ら
れている。これら記録媒体はエンボスピットやグループ
によって情報信号が書き込まれたプラスチック基板にレ
ーザ光により記録膜の結晶構造変化による反射率変化を
利用する相変化型光ディスクや記録膜の磁気光学効果を
利用した光磁気ディスクや磁気的に信号を書き込む磁気
ディスク等がある。
【0003】その情報記録層にデータ情報、トラッキン
グサーボ信号等の記録がなされる位相ピット、プリグル
ープ等の微細凹凸を有する情報記録層の形成方法として
スタンパを用いた射出成形によるプラスチック製の基板
が今日では一般的に使われている。
【0004】図7は従来の薄板スタンパを用いて光ディ
スク一般に使用されている射出成形金型構造である。図
8は、射出成形機の概略図で図7のスタンパ取り付け構
造をした金型を図8の金型部49に取り付け、信号が形
成されたスタンパから複製したプラスチック基板を得る
模式図である。
【0005】この図7に使用される0.3mm前後の薄
板スタンパは、図10の一連のマスタリング工程と電鋳
プロセスを経て作成される。図10で明らかな様にレー
ザ露光装置によってレジストが塗布、乾燥されたガラス
原盤を露光から現像導電化処理(無電解メッキ又はスパ
ッター)によって極く薄い金属皮膜を付与したのち電鋳
なるメッキ工程を経て(一般的に0.3mm前後の膜厚
までメッキ)後、内径、外径を打ち抜きプレスや旋盤加
工等でフォーミングして得られたものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ディスク成形で得られ
る基板の欠点として溶融樹脂が金型キャビティー内に射
出された段階で樹脂が充填する際の応力と熱によってス
タンパが径方向に伸びると共に回転力が与えられ金型と
の擦れ傷を作りやすい。このスタンパの回転力は樹脂が
成形機のシリンダ内で溶融する際のスクリュー回転に伴
う回転力と金型内ゲート等を通過する際の回転方向のモ
ーメント等によって発生する。
【0007】冷却から固化の段階でスタンパはある程度
の時間内での応力緩和と冷却の進行により樹脂の体積収
縮が成形時の応力むらや接触する金型面の微小凹凸等に
より均一な線上運動のみならず微小な波打ち運動を繰り
返し、スタンパが薄いこともあって裏面のメッキブツや
スタンパ厚さ調整に行われている裏面研磨時の研磨跡が
加算され射出成形時の圧力でスタンパ裏面研磨の凹凸が
反転した凹凸として擦れ傷と共にディスクに転写残存す
る。
【0008】これらの問題は、コンパクトディスク(C
D)やビデオディスク(VD)等、低開口数(低NA)
の時には焦点深度が大きく問題視されなかったが、高開
口数(高NA)ディスクでは図9の様にレーザ光が急激
に絞られるため、焦点深度が浅く許容値も厳しく、信号
面の微小凹凸や面振れがフォーカスエラーやトラッキン
グエラーになり易い。このスタンパの伸縮回転に伴う変
形のほかにディスク内部には射出の際の圧力や温度等で
スタンパには伸縮応力が発生し、得られたディスクには
これらの応力以外に樹脂の分子配向や熱歪みが残存す
る。
【0009】ディスクの内部応力は冷却固化と共に小さ
くなるが大部分は固化するまでに緩和されず残留応力と
して基板内に残り、これらディスクの体積収縮とスタン
パの膨張収縮運動も加わった応力が複屈折や半径方向、
周方向の反り(SKEW)の原因にもなっている。
【0010】上記の様にスタンパの熱膨張、収縮は樹脂
が充填から冷却固化されている金型が加圧された状態下
で行なわれるため金型鏡面との擦れ傷がスタンパ裏面と
金型表面の間で発生する。この擦れ傷は金型材質として
一般的に使用されているSUS−402系の材質とスタ
ンパのニッケルの硬度が近い材質であるために傷がつき
やすい。一例としてSUS材の焼き入れ焼き戻ししたビ
ッカース硬度は650前後に対しニッケルの硬度は75
0前後である。このため、ディスク金型では窒化チタン
(Ti−N)や窒化シリコン(Si−N)等のハードコ
ートを金型表面に数ミクロン施し表面硬度を上げて金型
面への傷防止を行うのが一般的である。しかしながら、
これらの方法とて完全なものでなく、例えば窒化チタン
(Ti−N)のビッカース硬度は2000〜3000と
固いものの数ミクロンと薄いため下地のSUSの影響が
現れコートなしよりは寿命が長いけれど無傷の状態は保
てず再ラッピング・再コーティングのメンテナンスを定
期的に行う必要があった。
【0011】一方、ディスクリート型ハードディスクで
はプラスチック基板に光ディスクと同様の微小凹凸信号
を転写したメディアがあるが、光ディスクと異なり信号
の読み取りはフライトヘッドでディスクとヘッドの間隔
は50nm以内と極端に狭く、ディスクの反りや変形や
真円度等光ディスクで許容される値よりも厳しい規格値
が要求されている。
【0012】このためスタンパ方式によるディスク成形
では前述の様に成形過程でスタンパが熱膨張、収縮等の
影響により真円度や面精度、反り等の問題がクリア出来
ず、金型を鏡面に加工後光ディスクのマスタリングプロ
セスであるレジスト塗布、レーザ露光、現像した後に電
鋳工程では無くエッチングを行うことによって必要な凹
凸信号を金型表面に作成してディスク基板を行う直接金
型による基板成形方法がある。
【0013】しかしながら、この金型表面に直接信号パ
ターンを作成する方法は図11に示すように複雑なプロ
セスと設備と時間と費用を必要とする。以下に工程を説
明する。まず、荒取りされた金型材を金型形状に加工す
る。次に、鏡面部をJISの最大高さ(Ry)=0.2
mm前後の表面粗さに平面研削仕上げを行う。次に、ダ
イヤモンド砥粒を段階的に細かくして最終的に2ミクロ
ン程度の鏡面ラップを行う。なお、これまでコンパクト
ディスク(CD)やディジタル・バーサタイル・ディス
ク(DVD)の読み取り面に使用されてきた鏡面金型は
このレベルのラッピング加工で十分であったが微細研磨
傷が残存し、この表面をディスクの読み取り面として利
用するにはレーザスポット径が大きいこともあって問題
なかったが、信号面として使用するにはノイズやエラー
の原因になり、これら研磨微小スクラッチキズは信号面
では使用できない。次に、状況によって、研磨砥粒を1
μm以下のさらに細かい研磨を繰り返し行ない、ラッピ
ング面上に金属スパッタ・ラッピングを数回繰り返し傷
と微小凹凸を除去し光学ガラス面並みの表面を得る。最
後に、この様にして出来上がった鏡面板にマスタリング
プロセスを行ない現像後、エッチングによってパターニ
ングを行ない信号付き金型を得ていた。
【0014】高開口数(高NA)対応高密度ディスクで
は、0.3mm前後の従来の薄板スタンパより得られる
ディスクには前述の射出、冷却、固化に伴う応力、熱、
膨張、収縮等に伴うスタンパの微小凹凸、変形、スタン
パと金型面表面での擦れ傷やスタンパ裏面研磨跡がディ
スクへの影響によりディスク基板信号面にはCDやDV
Dまでの低開口数(低NA)ディスクでは無視できたノ
イズがある(図12)。
【0015】このノイズはディスクの読み取り面側表面
にはほとんど無いことと、図13に示すようにスタンパ
単体そのものには存在しないことから、上述したように
成形過程でのスタンパ変形が起因していることが明らか
である。なお、スタンパ単体の垂直面振れは、スタンパ
をガラス板に貼り付けて測定した。
【0016】なお、図12は同一ディスクでも薄いスタ
ンパ側表面のノイズが大きく、反対の厚板スタンパに相
当する側、すなわち読み取り面側表面ではノイズが小さ
い測定例であって、図13はスタンパそのもののノイズ
測定結果でこの両者を比較すると成形されたディスクに
ノイズが大きいことがわかり、薄いスタンパが成形時に
微小変形した結果と判断できる。
【0017】本発明は、このような課題に鑑みてなされ
たものであり、表面の微小凹凸や面振れの少ないディス
ク基板を得ることができる円盤状記録媒体用の成形金型
および射出成形機を提供することを目的とする。さら
に、本発明はディスクの表面と裏面の温度分布の不均一
に起因するディスクの反りの発生を防止することができ
る円盤状記録媒体用の成形金型および射出成形機を提供
することを目的とする。またさらに、本発明は成形時に
厚板スタンパが金型内で回転することを防止することが
できる円盤状記録媒体用の成形金型および射出成形機を
提供することを目的とする。またさらに、本発明は熱膨
張と収縮による厚板スタンパの寸法変化を吸収すること
ができる円盤状記録媒体用の成形金型および射出成形機
を提供することを目的とする。またさらに、本発明は厚
板スタンパを固定側プレートに密着させることができる
円盤状記録媒体用の成形金型および射出成形機を提供す
ることを目的とする。またさらに、本発明は接合時のハ
ンダの溶融温度を下げることができる円盤状記録媒体用
の成形金型および射出成形機を提供することを目的とす
る。またさらに、本発明は射出成形等に於ける熱膨張、
冷却の繰り返し伸縮で金型表面が傷つかないようにする
ことができる円盤状記録媒体用の成形金型および射出成
形機を提供することを目的とする。またさらに、本発明
は樹脂の冷却効率を高めることができる円盤状記録媒体
用の成形金型および射出成形機を提供することを目的と
する。
【0018】
【課題を解決するための手段】高開口数(高NA)化に
伴うディスク基板の表面の微小凹凸や面振れの少ないデ
ィスク基板を、従来のマスタリングプロセスを使用して
得られる薄板スタンパと粗い研削仕上げの厚板円盤とハ
ンダの様な低融点合金により接合した厚板スタンパと専
用ガイド構造を持つ金型構造を用いることにより、成形
時の加圧下でのスタンパの熱膨張・収縮に伴うスタンパ
の微小変形や回転で金型との擦れ傷による凹凸を吸収又
は防止し、この結果得られた基板表面がミクロなレベル
でフラットを実現し、成形基板ノイズがほとんど無い円
盤状記録媒体を光ディスクのみならず、ハードディスク
基板を含む超フラットな円盤状基板を安価に短時間で作
成提供することを目的にしている。
【0019】上記の目的を達成するために、従来の光デ
ィスク一般に使用されているマスタリングプロセスをそ
のまま経由して得られる薄板スタンパを金属円盤又はセ
ラミック等にメッキされた円盤にハンダで接合してなる
厚板スタンパを用いた着脱容易な金型構造を採ることに
よりハンダ層が接合のみならず、緩衝層として働き、従
来のスタンパ法で問題であった金型部材との擦れ傷によ
る微小凹凸を防止するか発生したとしても厚板部が2m
m以上と厚いため薄板表面に影響することも無く、厚板
部の材質を金型構成部材の硬さより柔らかな材質にした
ことにより金型部材側には傷がつかなくメンテナンス性
も容易な金型構造となる。
【0020】本発明の円盤状記録媒体用の成形金型は、
それぞれ温調回路部を設けた固定側金型と可動側金型と
に分離される1対の円盤状記録媒体用の成形金型におい
て、固定側金型は、凹凸信号を有する薄板金属スタンパ
と厚板金属板とが接合してなるものである。
【0021】また、本発明の円盤状記録媒体用の射出成
形機は、それぞれ温調回路部を設けた固定側金型と可動
側金型とに分離される1対の金型を有する円盤状記録媒
体用の射出成形機において、固定側金型は、凹凸信号を
有する薄板金属スタンパと厚板金属板とが接合してなる
厚板スタンパを構成要素とするものである。
【0022】本発明の円盤状記録媒体用の成形金型およ
び射出成形機によれば、薄板金属スタンパと厚板金属板
とが接合してなる厚板スタンパとすることにより、溶融
樹脂が金型キャビティー内に射出された段階で樹脂が充
填する際の応力と熱によってスタンパが径方向に伸びる
と共に回転力が与えられことによる金型との擦れ傷の発
生を防止することができる。
【0023】また、本発明の円盤状記録媒体用の成形金
型は、厚板スタンパに使用する厚板金属板の裏面に冷却
用の温調回路の溝を設け、厚板スタンパ側の温調温度と
固定側プレートの温調温度を独立して制御するものであ
る。
【0024】また、本発明の円盤状記録媒体用の射出成
形機は、厚板スタンパに使用する厚板金属板の裏面に冷
却用の温調回路の溝を設け、厚板スタンパ側の温調温度
と固定側プレートの温調温度を独立して制御するもので
ある。
【0025】本発明の円盤状記録媒体用の成形金型およ
び射出成形機によれば、厚板スタンパ側の温調温度と固
定側プレートの温調温度を独立して制御するすることに
より、樹脂により接近したところで温度の制御ができ
る。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態、すな
わち円盤状記録媒体用の成形金型および射出成形機に係
る発明の実施の形態について図1〜図6および表1〜表
2を参照しながら説明する。
【0027】まず、第1の発明の実施の形態について説
明する。図1Aは、本発明の円盤状記録媒体用の成形金
型の概略を示すものである。図からわかるように、成形
金型は大きく可動側金型11と固定側金型10とに分離
される1対の金型である。
【0028】可動側金型11は、可動側ミラー7と可動
側ミラー温調回路40をその構成要素としている。ま
た、固定側金型10は、マスタリングプロロセスを経て
凹凸信号を有する薄板金属からなるスタンパ2と厚板金
属板とが低融点合金で接合してなる着脱容易な厚板スタ
ンパ1、固定側プレート6および固定側プレート温調回
路37をその構成要素としている。なお、図1Bに示し
た厚板スタンパ1、すなわちマスタリングプロロセスを
経て凹凸信号を有する薄板金属からなるスタンパ2と厚
板金属板4とが低融点合金(ハンダ3)で接合してなる
着脱容易な厚板スタンパ1の作製方法については後に詳
述する。
【0029】また、固定側プレート温調回路37の天板
厚さ14と厚板スタンパ1の厚さの合計厚さを可動側ミ
ラー温調回路40の天板厚さ15と等しくするか、或い
は固定側、可動側の表面温度が等しくなるように厚板ス
タンパ1の板厚を調整した。すなわち、固定側金型は厚
板スタンパ1と固定側プレート温調回路37の天板厚さ
14の合計厚さが可動側ミラー温調回路40の天板厚さ
15と等しくするか或いは同一の金型温調機より加熱媒
体を途中分岐して固定側、可動側の双方の金型を温調加
熱したとき厚板スタンパ1の厚さを、可動側表面温度と
同一になる様に変えた。このように構成することによ
り、成形されたディスクの表面と裏面の温度分布が不均
一となることを防止することができ、ディスクの反りの
発生を防止することができる。
【0030】また、固定側金型10の固定側プレート6
の表面の内周と外周には厚板スタンパ1の真空吸着用の
同心円状溝を設け、厚板スタンパ1の底面はフラットで
着脱容易な構造とした。すなわち、厚板スタンパ1のス
タンパ側と反対の面に接する、固定側プレート6の表面
の内周と外週に同心円の溝を加工し、これら溝を固定側
プレートにある連通孔(図示していない)を通じて外部
の真空吸着機構につなげた。
【0031】この真空吸着によって厚板スタンパ1が固
定側プレート6に離れることなく密着され、固定側プレ
ート6との隙間がなく樹脂の熱を固定側プレート温調回
路37にスムーズに伝導できる。なお、図1Aのセンタ
ーチャック42は、厚板スタンパ1を保持する部分が
0.2mm程度と薄く厚板スタンパ1を保持するもので
なく、射出時の樹脂によるスタンパ2がめくれるのを防
止するために用いるものである。
【0032】次に、メカチャック式による厚板スタンパ
の固定法について説明する。従来の金型では、スタンパ
の伸縮を吸収させキャビティ内のガス逃げ効果を図る構
造が数多く見られたが、図7AおよびBに示すように、
可動側ミラー金型が飛び込み方式(可動側ミラーが凸形
状になっいるもの)なので必然的に固定側とのクリアラ
ンス43を必要とし、ここからガスは逃げる構造になっ
ている。
【0033】本発明に係る成形金型においては、図1に
示すように、従来の金型構造(図7)と同様に外周リン
グ12を有する似た構造であるが、外周リング12と厚
板スタンパ1の構成は従来のように成形過程でのスタン
パの伸縮を吸収しかつ樹脂のバリが出ない範囲のクリア
ランスを持つ様にする必要はなく軽く接触させている。
【0034】次に、鉛(Pb)系ハンダでニッケル(N
i)スタンパと接合した厚板スタンパの作製方法につい
て、図2を参照しながら説明する。まず、図10で説明
したマスタリング工程と電鋳工程を経て得られた0.3
mm厚のNiスタンパに内径φ22mm、外径φ138
mmにプレス機や旋盤等でホーミングする。
【0035】次に、5mm厚で上述のスタンパより外径
が同じ径か多少大きい形状の円形の厚板金属板SUS−
420J(商品名:STAVAX系円板、ウッデホルム
社製)に簡単に研磨後、ハンダ接合を容易にするため銅
メッキする。なお、厚板スタンパの厚板金属板の厚さ
は、上述の5mmに限定されるわけではなく、この他の
厚さを採用することができる。すなわち、厚板金属板の
厚さは2〜10mmの範囲であることが好ましい。厚板
金属板は、機械加工や研磨上の変形やスタンパ接合時の
熱などの関係から変形防止を考慮すると2mm以上必要
である。逆に、厚さが10mmより厚いと金型熱効率が
悪くなり成形サイクルが取れないからである。
【0036】次に、図2に示すプロセスに図示した様に
スタンパ2と厚板金属板4の双方に塩化亜鉛系のフラッ
クスを各々塗布し乾燥する。なお、フラックスはハンダ
付けに欠かせないものであり、金属間の接合の際におけ
るフラックスの作用は、金属表面の清浄作用、酸化被膜
の除去および再酸化防止作用、界面張力の低下作用、金
属表面への濡れ性および流動性を上げる作用などを挙げ
ることができる。
【0037】次に、図3に示すような、加熱されたハン
ダ接合用の金型上において、SUS−420J系厚板金
属板をハンダの液相線以上の温度に加熱させハンダをセ
ットして溶融させる。ハンダとしては、例えばSn−P
b=5:95の高温ハンダ(液相線=314℃、固相線
=300℃)を用いることができる。なお、液相線とは
ハンダの溶融状態から初晶(金属結晶)が析出し始める
温度をいい、固相線とは溶けたハンダが完全に固まり終
わる温度をいう。また、ハンダの組成としては上述の組
成に限るわけではない。例えば、このほかにハンダの組
成としては、Pb−Sn−Ag=92.5−5−2.5
(固相線300℃)、またPb−Ag−In=90−5
−5(固相線292℃)などを用いることができる。
【0038】次に、薄板スタンパとセンター位置決めガ
イドを基準にセットし、加熱しつつ連通孔よりガスと余
分なハンダを真空で吸引しながら金型を固相線以下の温
度好ましくは100℃以下の温度に冷却する。なお、こ
のはんだ接合にあたって真空吸引以外に油圧プレスにて
全体を加圧(例えば、ゲージ圧10〜30kg/c
2 )した状態で徐冷してもよい。
【0039】次に、室温まで冷却後、必要に応じて端面
にはみ出したフラックスやハンダを洗浄・除去する。最
後に、こうして得られた厚板スタンパを、図1において
説明した厚板スタンパ専用金型に取り付ける。
【0040】次に、上述の方法により作製した金型を用
いて、樹脂を射出成形した場合について説明する。ここ
では、従来の光ディスクと同じポリカーボネート樹脂を
用い射出成形してディスク基板を得た。この場合の射出
成形条件は以下の通りである。 ポリカーボネート (商品名 グレード:AD−9000TG、帝人化成K
K製) ガラス転移点=145℃ 曲げ弾性率 =2,200MPa 吸水率 =0.3% 成形条件 金型温度:130℃ 樹脂温度:330℃ 射出速度:平均160mm/sec 冷却時間:12秒
【0041】この様にして得られたディスクのフォーカ
スエラー取り残り量を測定した。その結果を図4に示
す。図に示すように、1kHz以上の周波数成分(ハイ
パスフィルタ(HPF):1kHz)と4kHz以上の
周波数成分(ハイパスフィルタ(HPF):4kHz)
について、それぞれ半径25mm(線速度6.28m/
s)と半径40mm(線速度10.05m/s)におけ
る垂直面振れを測定した。
【0042】図からわかるように、この様にして得られ
たディスクのフォーカスエラー取り残り量は従来のスタ
ンパでのディスクに比べ非常に少ない結果が得られた。
すなわち、厚板スタンパにより成形されたディスクの信
号側の垂直面振れが、図12に示した従来のスタンパ側
表面の垂直面振れに比べて小さくなり、著しく改善され
たことがわかる。
【0043】以上のことから、本発明の実施の形態によ
れば、高開口数(高NA)高密度ディスクでは従来の低
開口数(低NA)光学系で問題にされなかたディスク成
形過程の熱膨張や収縮によって成形されたプラスチック
基板のミクロの変形によるフォーカスエラー取れ残りノ
イズが厚板スタンパによりほとんど無視出来るレベルに
改善された。
【0044】また、従来の0.3mm前後の薄板スタン
パを用いたディスク成形では電鋳メッキ後の裏面研磨工
程で起こる研磨布による加圧裏面研磨跡は成形時の圧力
で信号面にまでマクロの凹凸して現れていた。裏面研磨
跡はハンダ接合処理をした厚板スタンパからは全く観察
されず、ハンダによるレベリング作用で厚板スタンパと
の凹凸をフラットにしていることが認められた。
【0045】また、従来の0.3mm前後の薄板スタン
パを用いてのディスク成形ではスタンパ取り付けの際に
金型との間に異物を挟み易くスタンパのダメージとして
発生しやすかった。この異物はスタンパ取り付け時に細
心の注意を払っても埃や糸屑等を挟み易く成形しないと
解らなかった。このため異物を挟まない様スタンパ、金
型表面の洗浄と作業環境に留意する必要があった。これ
らスタンパ取り付け時の問題は、厚板スタンパであるが
ゆえ無視することができ、この結果、作業時間の短縮や
簡便性が図られた。
【0046】また、厚板スタンパと同じコンセプトの直
接エッチング金型により成形したディスクに見られる複
雑、多工程の金型鏡面のプロセスを必要とせず、信号特
性向上に伴う工程の複雑さがハンダ接合のみで済みプロ
セスの簡易化と製作時間の短縮が可能となった。すなわ
ち、エッチングによる直接金型方式は、複雑な工程と時
間がかかるため、従来のディスクのスタンパを接合して
使う厚板スタンパが時間的にも工程的にも費用の面でも
メリットがある。
【0047】次に、第2の発明の実施の形態について説
明する。ここでは、厚板スタンパとこの厚板スタンパと
が接触する温調回路を構成する固定側プレートの部材に
ついて、熱伝導性が高い金属を使用する成形金型につい
て検討した。
【0048】線膨張係数がNiスタンパと比較的に近い
Ni厚板による厚板スタンパを作製した。すなわち、デ
ィスク成形時の樹脂の熱と金型内での冷却を考慮し線膨
張係数の近い材料の組み合わせとしてニッケル厚板(大
同インコアロイ社製、商品名:ニッケル200)とNi
スタンパとの接合厚板スタンパ使用の金型を作製した。
このニッケル200は、SUS−420J(STAVA
X)に比較して、高い熱伝導性を有しており、スタンパ
の組成であるNiメッキとほとんど同じであるため、線
膨張係数や熱伝導度が同じでありスタンパーと厚板が金
型内で同一の動きをする。
【0049】
【表1】
【0050】なお、本発明の成形金型については、上述
した構成以外は第1の発明の実施の形態で述べた構成と
同様とした。
【0051】第1の発明の実施の形態の厚板スタンパ作
成工程に準じて作成した厚板スタンパを図1の金型に挿
入し、第1の発明の実施の形態と同じ条件でディスク成
形を行ったところ、第1の発明の実施の形態と同様に図
4と同じく垂直面振れが小さいディスクが得られた。ま
た、ニッケル200は、熱伝導性が高く冷却効率が高い
ことから接合時のハンダの溶融温度を下げることができ
る。すなわち、熱伝導性が高いので、ハンダ部分の温度
を低下させることができる。
【0052】次に、第3の発明の実施の形態について説
明する。ここでは、厚板スタンパに使用する厚板金属板
が、固定側プレート部材よりも柔らかい組成の金属単体
よりなる場合、または、厚板スタンパに使用する厚板金
属板が、その表面を柔らかい組成の金属で被覆されてい
る場合について検討した。すなわち、厚板スタンパの厚
板金属板として銅合金や同一金型部材であっても厚板金
属板の表面に柔らかい金属が被覆された場合について検
討した。
【0053】線膨張係数がNiスタンパと比較的に近い
銅合金、すなわち線膨張係数の近い材料の組み合わせと
して金型材として使用されているCu−Ni−Siの3
元系合金HR750(神戸製鋼所)とNiスタンパとの
接合厚板スタンパを使用した。なお、本発明の成形金型
については、上述した構成以外は第1の発明の実施の形
態で述べたと同様の構成とした。
【0054】第1の発明の実施の形態の厚板スタンパ作
成工程に準じて作成した厚板スタンパを図1の金型に挿
入し、第1の発明の実施の形態と同じ条件でディスク成
形を行ったところ、第1の発明の実施の形態と同様に図
4と同じく垂直面振れが小さいディスクが得られた。
【0055】また、銅合金ゆえ硬度がSUS系金型部材
の金属より柔らかく金型部材との傷を緩和させる。すな
わち、射出成形等に於ける熱膨張、冷却の繰り返し伸縮
で金型表面が傷つかないようにすることができる。
【0056】また、従来のスタンパ金型で使用されたT
i−N等のハードコート処理も不要となり金型の製作時
間の短縮とメンテナンス費用が削減できた。また、3元
系合金(HR750)は、熱伝導性が高く冷却効率が高
いことから接合時のハンダの溶融温度を下げることがで
きる。すなわち、熱伝導性が高いので、ハンダ部分の温
度を低下させることができる。
【0057】次に、第4の発明の実施の形態について説
明する。ここでは、厚板スタンパの取り付け構造と廻り
止め機構について検討した。
【0058】従来、射出成形では樹脂がシリンダ外部加
熱で溶融され、射出時のスクリュー回転により金型に射
出された際に樹脂にも回転力が発生し、スパイラルに回
転しながら充填されている。
【0059】従来のスタンパは、図7に示したように取
り付け方法としてセンターの一部で爪を軽く押さえるメ
カ式クランプか真空クランプのいずれかが採用されてお
り、外周部はいずれの場合もスタンパの熱膨張、収縮に
対応すべく外周フリーの状態である。このため、射出充
填時の樹脂の回転モーメントによってスタンパの回転が
起こり易い構造になっている。
【0060】なお、メカクランプは図7のセンターチャ
ックと記載した部分で機械的にスタンパを取り付ける構
造であり、薄板スタンパによるコンパクトディスク(C
D)やディジタル・バーサタイル・ディスク(DVD)
の成形で一般的に行われている。真空クランプは、例え
ば図1のスタンパの裏面に溝を掘ってこの溝を外部の真
空吸引と接続してスタンパを固定する方法である。
【0061】このスタンパの回転を防止する方法とし
て、スタンパの回転防止のためにスタンパの外周をU字
形に加工し金型にガイドピンを立てスタンパの回転防止
を図った方法(特開平1−159226)がある。
【0062】しかし、この方法ではスタンパ径方向の伸
縮による擦れ傷は防止出来ず、加えてスタンパの内外周
をU字形状で一体成形(プレス)するには金型が複雑か
つ高価になる。また、円板状に加工した後にU字形に追
加工の場合は、複数個精度良く追加工とガイドを必要と
しコストが増大し、さらに金型表面をTi−N等でハー
ドコートし擦れ傷をつきにくくする必要があった。
【0063】ここでは、厚板スタンパの裏面と固定側金
型には各々篏合するガイド穴とガイドピンをディスク有
効径外に設けた。すなわち、図1に示すように、厚板ス
タンパが円板状形状の場合は、厚板スタンパの厚板金属
板の裏面にメスのガイド穴9を、金型本体に凸のガイド
ピン8を立てることによって厚板スタンパを金型にセッ
ト嵌合した。なお、本発明の成形金型については、上述
した構成以外は第1の発明の実施の形態で述べたと同様
の構成とした。
【0064】第1の発明の実施の形態の厚板スタンパ作
成工程に準じて作成した厚板スタンパを図1の金型に挿
入し、第1の発明の実施の形態と同じ条件でディスク成
形を行ったところ、第1の発明の実施の形態と同様に図
4と同じく垂直面振れが小さいディスクが得られた。
【0065】また、スタンパは厚板金属板に接合されて
おりハンダの液相線以上の温度でなくては回転せず、こ
のガイドピンにより厚板スタンパの回転止めが図られ
た。すなわち、成形時の樹脂の回転方向応力で厚板スタ
ンパが金型内で回転することを防止することができた。
【0066】また、スタンパが厚板金属板に接合されて
いるためにスタンパ回転防止にU字溝等の追加工でスタ
ンパの廻り止めを設ける必要がなく、ガイドピンにより
位置決めとスタンパの廻り止めが併用できることにより
金型との擦れ傷防止が図られた。
【0067】次に、第5の発明の実施の形態について説
明する。ここでは、多角形の厚板スタンパによる廻り止
め機構について検討した。すなわち、厚板スタンパに使
用する厚板金属板は、円盤状薄板金属スタンパの外径を
内接するか又は包含する多角形形状をした金属板であ
る。また、固定側金型は多角形形状の厚板スタンパが嵌
合する凹部を有し、厚板スタンパと凹部の間にはクリア
ランスを設ける。
【0068】本発明の実施の形態では、図5に示すよう
に、スタンパ2を接合する厚板金属板4を多角形構造と
し、多角形がスタンパ2を内接するか多角形がそれ以上
の径を有する厚板金属板4に、スタンパ2をハンダ接合
した。ここで、厚板金属板の厚さは2mm以上にする。
【0069】また、厚板スタンパを取り付ける金型に
は、厚板スタンパの熱膨張、収縮による伸縮幅を吸収す
る範囲内のクリアランスを設ける。ここで、クリアラン
スは、例えば5μm程度にする。また、厚板スタンパと
金型のセンターはスタンパ内径で金型と嵌合させる。な
お、本発明の成形金型については、上述した構成以外は
第1の発明の実施の形態で述べたと同様の構成とした。
【0070】第1の発明の実施の形態の厚板スタンパ作
成工程に準じて作成した厚板スタンパを図1の金型に挿
入し、第1の発明の実施の形態と同じ条件でディスク成
形を行ったところ、第1の発明の実施の形態と同様に図
4と同じく垂直面振れが小さいディスクが得られた。
【0071】また、多角形厚板スタンパとこの厚板スタ
ンパが嵌合する凹形状の金型の組み合わせにより、多角
形のそれぞれの角と稜がガイドの役割を果たし、ディス
ク成形時の樹脂回転方向の応力で厚板スタンパが金型内
で回転するのを防止し、さらに熱膨張と収縮による厚板
スタンパの寸法変化を吸収することができる。
【0072】また、この多角形ガイドにより位置決めと
スタンパの廻り止めが併用できることにより金型との擦
れ傷防止が図られた。
【0073】次に、第6の発明の実施の形態について説
明する。ここでは、厚板スタンパに使用する厚板金属板
の裏面に冷却用の温調回路の溝を設けるとともに、固定
側プレートにも温調回路を設けた。また、厚板スタンパ
の温調温度と固定側プレートの温調温度を独立して制御
した。
【0074】射出成形一般として溶融した樹脂が金型に
充填されたあとは、樹脂がガラス転移点温度(例えば、
樹脂のガラス転移点は145℃である)以下にならない
と取り出せない。よって金型内で樹脂が急速に固化され
るほど成形工程のサイクル時間は短縮される。しかし、
樹脂を急速冷却をすると成形時の応力などでディスクの
複屈折が増大し、また金型温度が低いと信号転写不良を
起こすので、これらの問題を解決するが必要であった。
【0075】そこで、ここではダブル温調回路による冷
却方法を検討した。すなわち、厚板スタンパの裏面に冷
却用の温調回路の溝を作り、固定側プレートの温調回路
とのダブル温調を行うことにより冷却効率と複屈折等の
機械特性を向上させた。
【0076】詳しくは、図6に示す金型構造で厚板スタ
ンパの裏面に固定側プレートの温調回路とは別の温調回
路の溝を作りOリング等のシール機構を介して2段構造
の金型温調構造をもつ金型を作成した。
【0077】ここで、固定側金型の温調回路は、厚板ス
タンパと固定側プレートより温調回路が構成されその各
々に単独に温調回路を設けた。また、可動側金型は固定
側金型と同様に可動側ミラーと可動側プレートに分割し
てもよく、従来の単独温調回路でも良い。
【0078】ここでは、固定側金型の温調回路が、厚板
スタンパと固定側プレートの各々に単独に温調回路を設
けた場合について説明する。また、厚板スタンパのダブ
ル温調開始の信号を成形機の射出開始タイマー(開始遅
延時間を含む)と連動させ冷却終了までの任意の時間金
型温調温度と異なる温度の冷媒を流した。
【0079】すなわち、固定側厚板スタンパの温調及び
固定側プレートの温調回路は100℃の温調機と130
℃の温調機から各々接続され加圧、加熱水が3方切り換
え弁付きの電磁弁を介して接続し、射出成形機の射出各
段階の工程信号と連動で130℃と100℃のいずれか
に切り換え可能とする機構を設けた。
【0080】表1は、この場合の成形工程と各段階の切
り換え温度の一例を示したものであり、表に記載した例
1は固定側プレートの温調温度を成形工程信号と同期し
た場合である。また、固定側プレートの温調を130℃
の温調機に接続し常時加熱媒体を通水し温調する場合が
例2である。
【0081】
【表2】
【0082】なお、本発明の成形金型については、上述
した構成以外は第1の発明の実施の形態で述べたと同様
の構成とした。
【0083】例1および例2において、第1の発明の実
施の形態の厚板スタンパ作成工程に準じて作成した厚板
スタンパを図1の金型に挿入し、第1の発明の実施の形
態と同じ条件でディスク成形を行ったところ、第1の発
明の実施の形態と同様に図4と同じく垂直面振れが小さ
いディスクが得られた。
【0084】また、このようにして得られた1.2mm
厚さのディスクの複屈折は内外周ともに良好であり、ま
た従来の130℃の単独温調のサイクルタイムが10秒
であったに比べて、例1および例2のサイクルタイムは
7秒に短縮された。
【0085】これら例1および例2の結果から、厚板ス
タンパの温度制御が固定側プレートの温度制御よりもよ
り重要であることがわかる。なお、上述の例2では、固
定側プレートの温度を130℃としたが、サイクルタイ
ムアップを図るためには固定側プレートの温度は100
℃以下であっても良い。
【0086】このように、ダブル温調回路をとることで
樹脂の冷却効率を高めることができるとともに、複屈折
や反り、サイクルタイムアップなどのメリットが大き
い。すなわち、同一金型内を2層構造にし、各構造を異
なる温度で調整するダブル温調機構を採用した結果、こ
れまで均一温度でしか行われなかった金型温調を成形各
段階に応じた異なる温調機構によって転写が確保され冷
却効率が高くなる等の効果が確かめられた。
【0087】なお、上述した発明の実施の形態では成形
金型について説明したが、これらの成形金型は、円盤状
記録媒体用の通常の射出成形機に適用することができる
ことはもちろんである。
【0088】また、本発明は上述の実施の形態に限らず
本発明の要旨を逸脱することなくその他種々の構成を採
り得ることはもちろんである。
【0089】
【発明の効果】本発明は、以下に記載されるような効果
を奏する。薄板金属スタンパと厚板金属板とを接合して
厚板スタンパとすることにより、表面の微小凹凸や面振
れの少ないディスク基板を得ることができる。
【0090】また、固定側温調回路部の天板厚さと厚板
スタンパの厚さの合計厚さを可動側温調回路部の天板厚
さと等しくするか、或いは厚板スタンパの厚さを調整す
ることにより、固定側の表面温度と可動側の表面温度を
ほぼ等しくすることにより、ディスクの表面と裏面の温
度分布の不均一に起因するディスクの反りの発生を防止
することができる。
【0091】また、厚板スタンパの裏面と固定側金型
に、各々篏合するガイド穴とガイドピンを設けることに
より、成形時に厚板スタンパが金型内で回転することを
防止することができる。
【0092】また、厚板金属板を、円盤状薄板金属スタ
ンパの外径を内接するか又は包含する多角形形状とする
ことにより、成形時に厚板スタンパが金型内で回転する
ことを防止することができる。
【0093】また、固定側金型に多角形形状の厚板スタ
ンパが嵌合する凹部を設け、厚板スタンパと凹部の間に
はクリアランスを設けることにより、熱膨張と収縮によ
る厚板スタンパの寸法変化を吸収することができる。
【0094】また、固定側金型の固定側プレート表面の
内周と外周に厚板スタンパ真空吸着用の同心円状の溝を
設けることにより、厚板スタンパを固定側プレートに密
着させることができる。
【0095】また、厚板スタンパとこの厚板スタンパと
が接触する温調回路を構成する部材に熱伝導性が高い金
属を使用することにより、接合時のハンダの溶融温度を
下げることができる。
【0096】また、厚板スタンパに使用する厚板金属板
が、固定側プレート部材よりも柔らかい組成の金属単体
よりなるか、或いはその表面を柔らかい組成の金属で被
覆されることにより、射出成形等に於ける熱膨張、冷却
の繰り返し伸縮で金型表面が傷つかないようにすること
ができる。
【0097】また、厚板スタンパに使用する厚板金属板
の裏面に冷却用の温調回路の溝を設け、厚板スタンパ側
の温調温度と固定側プレートの温調温度を独立して制御
することにより、樹脂の冷却効率を高めることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る円盤状記録媒体用の成形金型の断
面図およびこれに用いる厚板スタンパの断面図である。
【図2】本発明に係る成形金型に用いる厚板スタンパの
製造工程を示す図である。
【図3】本発明に係る成形金型に用いる厚板スタンパを
接合するための金型を示す断面図である。
【図4】本発明に係る成形金型を用いて成形されたディ
スクについての、垂直面振れを測定した結果を示す図で
ある。
【図5】本発明に係る成形金型に用いる多角形形状の厚
板スタンパの平面図および断面図である。
【図6】本発明に係る成形金型に用いる温調回路を示す
断面図である。
【図7】従来の成形金型を示す断面図、およびその一部
の詳細を示す断面図である。
【図8】本発明に係る成形金型、および従来の成形金型
を用いる射出成形機を示す断面図である。
【図9】光ディスクとレンズの位置関係を示す断面図で
ある。
【図10】マスタリング工程と電鋳工程からなる、光デ
ィスクの製造工程を示す図である。
【図11】直接エッチング金型の製造工程を示す図であ
る。
【図12】従来の成形金型を用いて製造されたディスク
の、スタンパ側表面および読み取り面側表面の面振れを
測定した結果を示す図である。
【図13】従来の薄板スタンパ単体の、面振れを測定し
た結果を示す図である。
【符号の説明】
1‥‥厚板スタンパ、2‥‥スタンパ、3‥‥ハンダ、
4‥‥厚板金属板、5‥‥ディスク、6‥‥固定側プレ
ート、7‥‥可動側ミラー、8‥‥ガイドピン、9‥‥
ガイド穴、10‥‥固定側金型、11‥‥可動側金型、
12‥‥外周リング、13‥‥クリアランス(ガス逃
げ)、14,15‥‥天板厚さ、16‥‥固定側取付
板、17‥‥可動側取付板、18‥‥スプルー、19‥
‥ゲートカットパンチ、20‥‥レンズ、21‥‥光デ
ィスク、22‥‥基板、23‥‥光反射層、24‥‥記
録層、25‥‥光透過層、26‥‥情報信号、27‥‥
レーザ光、28‥‥フラックス、29,30‥‥連通
孔、31‥‥ヒータ、32‥‥冷却水穴、33‥‥セン
ター位置決めガイド、34‥‥外周リング、35‥‥上
金型、36‥‥下金型、37‥‥固定側プレート温調回
路、38‥‥厚板スタンパ温調回路、39‥‥可動側プ
レート温調回路、40‥‥可動側ミラー温調回路、41
‥‥固定側ミラー、42‥‥センターチャック、43‥
‥クリアランス、44‥‥固定側型板、45‥‥可動側
型板、46‥‥クリアランス、47‥‥固定側枠板、4
8‥‥射出成形機、49‥‥金型部、50‥‥加熱シリ
ンダ、51‥‥ホッパ、52‥‥油圧モータ部、53‥
‥油圧シリンダ、54‥‥スクリュー、55‥‥冷却水
溝、56‥‥レジスト、57‥‥金型、58‥‥ガラス
原盤、59‥‥フォトレジスト、60‥‥グルーブまた
はピット列の潜像、61‥‥グルーブ、62‥‥ピッ
ト、63‥‥ランド、64‥‥Niメッキ層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 秋山 雄治 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 峯村 憲 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 Fターム(参考) 4F202 AA28 AG19 AH38 AH79 AJ02 AJ09 CA11 CD21 CD27 CN05 CN21 CP06 4F206 AA28 AG19 AH38 AH79 AJ02 AJ09 JA07 JN43 JQ81

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 それぞれ温調回路部を設けた固定側金型
    と可動側金型とに分離される1対の円盤状記録媒体用の
    成形金型において、 上記固定側金型は、凹凸信号を有する薄板金属スタンパ
    と厚板金属板とが接合してなる厚板スタンパを構成要素
    とすることを特徴とする円盤状記録媒体用の成形金型。
  2. 【請求項2】 固定側温調回路部の天板厚さと厚板スタ
    ンパの厚さの合計厚さを可動側温調回路部の天板厚さと
    等しくするか、或いは厚板スタンパの厚さを調整するこ
    とにより、固定側の表面温度と可動側の表面温度がほぼ
    等しくすることを特徴とする請求項1記載の円盤状記録
    媒体用の成形金型。
  3. 【請求項3】 厚板スタンパの裏面と固定側金型は、各
    々篏合するガイド穴とガイドピンを有することを特徴と
    する請求項1記載の円盤状記録媒体用の成形金型。
  4. 【請求項4】 厚板スタンパに使用する厚板金属板は、
    円盤状薄板金属スタンパの外径を内接するか又は包含す
    る多角形形状をした金属板であることを特徴とする請求
    項1記載の円盤状記録媒体用の成形金型。
  5. 【請求項5】 固定側金型は多角形形状の厚板スタンパ
    が嵌合する凹部を有し、厚板スタンパと凹部の間にはク
    リアランスを設けることを特徴とする請求項4記載の円
    盤状記録媒体用の成形金型。
  6. 【請求項6】 固定側金型の固定側プレート表面の内周
    と外周には厚板スタンパ真空吸着用の同心円状の溝を有
    することを特徴とする請求項1記載の円盤状記録媒体用
    の成形金型。
  7. 【請求項7】 厚板スタンパとこの厚板スタンパとが接
    触する温調回路を構成する部材は熱伝導性が高い金属を
    使用することを特徴とする請求項1記載の円盤状記録媒
    体用の成形金型。
  8. 【請求項8】 厚板スタンパに使用する厚板金属板は、
    固定側プレート部材よりも柔らかい組成の金属単体より
    なるか、或いはその表面を柔らかい組成の金属で被覆さ
    れていることを特徴とする請求項1記載の円盤状記録媒
    体用の成形金型。
  9. 【請求項9】 厚板スタンパに使用する厚板金属板の裏
    面に冷却用の温調回路の溝を設けることを特徴とする円
    盤状記録媒体用の成形金型。
  10. 【請求項10】 厚板スタンパ側の温調温度と固定側プ
    レートの温調温度を独立して制御することを特徴とする
    請求項9記載の円盤状記録媒体用の成形金型。
  11. 【請求項11】 それぞれ温調回路部を設けた固定側金
    型と可動側金型とに分離される1対の金型を有する円盤
    状記録媒体用の射出成形機において、 上記固定側金型は、凹凸信号を有する薄板金属スタンパ
    と厚板金属板とが接合してなる厚板スタンパを構成要素
    とすることを特徴とする円盤状記録媒体用の射出成形
    機。
  12. 【請求項12】 固定側温調回路部の天板厚さと厚板ス
    タンパの厚さの合計厚さを可動側温調回路部の天板厚さ
    と等しくするか、或いは厚板スタンパの厚さを調整する
    ことにより、固定側の表面温度と可動側の表面温度がほ
    ぼ等しくすることを特徴とする請求項11記載の円盤状
    記録媒体用の射出成形機。
  13. 【請求項13】 厚板スタンパの裏面と固定側金型は、
    各々篏合するガイド穴とガイドピンを有することを特徴
    とする請求項11記載の円盤状記録媒体用の射出成形
    機。
  14. 【請求項14】 厚板スタンパに使用する厚板金属板
    は、円盤状薄板金属スタンパの外径を内接するか又は包
    含する多角形形状をした金属板であることを特徴とする
    請求項11記載の円盤状記録媒体用の射出成形機。
  15. 【請求項15】 固定側金型は多角形形状の厚板スタン
    パが嵌合する凹部を有し、厚板スタンパと凹部の間には
    クリアランスを設けることを特徴とする請求項14記載
    の円盤状記録媒体用の射出成形機。
  16. 【請求項16】 固定側金型の固定側プレート表面の内
    周と外周には厚板スタンパ真空吸着用の同心円状の溝を
    有することを特徴とする請求項11記載の円盤状記録媒
    体用の射出成形機。
  17. 【請求項17】 厚板スタンパとこの厚板スタンパとが
    接触する温調回路を構成する部材は熱伝導性が高い金属
    を使用することを特徴とする請求項11記載の円盤状記
    録媒体用の射出成形機。
  18. 【請求項18】 厚板スタンパに使用する厚板金属板
    は、固定側プレート部材よりも柔らかい組成の金属単体
    よりなるか、或いはその表面を柔らかい組成の金属で被
    覆されていることを特徴とする請求項11記載の円盤状
    記録媒体用の射出成形機。
  19. 【請求項19】 厚板スタンパに使用する厚板金属板の
    裏面に冷却用の温調回路の溝を設けることを特徴とする
    円盤状記録媒体用の射出成形機。
  20. 【請求項20】 厚板スタンパ側の温調温度と固定側プ
    レートの温調温度を独立して制御することを特徴とする
    請求項19記載の円盤状記録媒体用の射出成形機。
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