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JP2000086906A - 熱硬化性樹脂溶液組成物、カラーフィルターおよび液晶表示装置 - Google Patents

熱硬化性樹脂溶液組成物、カラーフィルターおよび液晶表示装置

Info

Publication number
JP2000086906A
JP2000086906A JP26132998A JP26132998A JP2000086906A JP 2000086906 A JP2000086906 A JP 2000086906A JP 26132998 A JP26132998 A JP 26132998A JP 26132998 A JP26132998 A JP 26132998A JP 2000086906 A JP2000086906 A JP 2000086906A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
thermosetting resin
resin solution
solution composition
solvent
color filter
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP26132998A
Other languages
English (en)
Inventor
Akiko Nomura
章子 野村
Masahiro Yoshioka
正裕 吉岡
Kunihiko Nakada
邦彦 中田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP26132998A priority Critical patent/JP2000086906A/ja
Publication of JP2000086906A publication Critical patent/JP2000086906A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Formation Of Insulating Films (AREA)
  • Optical Filters (AREA)
  • Liquid Crystal (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】従来の熱硬化性樹脂溶液組成物においては、ス
ピンコートによるオーバーコート膜厚の不均一性、加熱
時に構成成分が析出することにより塗布欠陥が発生する
ことなどの問題点があり、液晶表示装置において、カラ
ーフィルターの欠陥に基づく表示不良が発生する場合が
あった。 【解決手段】熱硬化性樹脂成分および溶剤を含有してな
る熱硬化性樹脂溶液組成物において、該溶剤が2種以上
の溶剤成分からなり、かつ、沸点190℃以上である溶
剤成分が全溶剤に対して占める割合が30〜60重量%
であり、かつ、該溶剤100gに対する熱硬化性樹脂成
分の25℃における溶解度が35g以上であることを特
徴とする熱硬化性樹脂溶液組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体用バッファ
コート、層間絶縁膜、パッシベーション膜等を形成する
熱硬化性樹脂溶液組成物、および、カラーフィルター、
液晶表示装置に関するものであるが、特に液晶表示装置
におけるカラーフィルターなどのオーバーコートを形成
するのに好適な、高い平坦化特性を有する熱硬化性樹脂
溶液組成物、および、該オーバーコートを付与したカラ
ーフィルター、さらに、該カラーフィルターを使用した
液晶表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、液晶素子に色分解用カラーフィル
ターを組み合わせたカラー液晶表示素子が多々提案され
ている。ここで、カラーフィルターとは、光透過性基板
上に形成された赤、緑、青の3原色の画素を一絵素とし
た多数の絵素から構成され、各画素間には、表示コント
ラストを高めるために、一定の幅をもつ遮光領域(ブラ
ックマトリクス)が設けられているものであり、必要に
応じて、オーバーコートや透明電極を配しているものも
ある。オーバーコートには、カラーフィルターの表面を
平坦化する能力(平坦化特性)、下層を構成する光透過
性基板、画素、および、ブラックマトリクスとの接着
性、上層を構成する透明電極などとの接着性、液晶セル
を構成するための封止剤との接着性、画素不純物成分の
遮断性、平滑性、耐光性、耐湿熱性、耐溶剤性、耐薬品
性、耐熱性、および液晶セルを製造する際の基板貼り合
わせ工程における耐圧性、強靱性等の幅広い特性が要求
される。
【0003】このようなオーバーコートとして、従来、
シロキサンポリマー、シリコーンポリイミド、エポキシ
樹脂、アクリル樹脂等の熱硬化性樹脂溶液組成物が使用
されてきた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
熱硬化性樹脂溶液組成物においては、熱硬化性樹脂溶液
をスピンコーターを用いて基板に塗布する際、回転中心
からの距離に応じて膜厚が不均一となり、この不均一性
が、セルギャップの不均一性、すなわち液晶表示装置の
表示不良の原因となる問題点があった。さらに、基板上
に塗布した熱硬化性樹脂溶液を加熱してオーバーコート
を形成する際に、未反応の熱硬化性樹脂成分の析出によ
り、ハジキが発生し、塗布欠陥となる場合があった。
【0005】本発明はかかる従来技術の欠点を改良し、
液晶表示装置の表示不良発生の防止、および、塗布欠陥
の発生防止に好適な熱硬化性樹脂溶液組成物、および、
熱硬化性樹脂溶液組成物を使用したカラーフィルター、
液晶表示装置を提供せんとすることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記課題を達成するた
め、本発明は次のような構成をとる。
【0007】本発明の熱硬化性樹脂溶液組成物は、熱硬
化性樹脂成分および溶剤を含有してなる熱硬化性樹脂溶
液組成物において、該溶剤が2種以上の溶剤成分からな
り、かつ、沸点190℃以上である溶剤成分が全溶剤に
対して占める割合が30〜60重量%であり、かつ、該
溶剤100gに対する熱硬化性樹脂成分の25℃におけ
る溶解度が35g以上であることを特徴とするものであ
る。
【0008】また、本発明のカラーフィルターは、光透
過性基板上に形成された、ブラックマトリクス、3原色
からなる着色層、および、オーバーコートから構成され
たものであって、該オーバーコートが本発明の熱硬化性
樹脂溶液組成物から形成されたものであることを特徴と
するものである。
【0009】さらに、本発明の液晶表示装置は、本発明
のカラーフィルターを使用したことを特徴とするもので
ある。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の著者らは、オーバーコー
トに関する前述の課題(膜厚の不均一性、ハジキ)につ
いて、以下の対策が有効であることを見出した。
【0011】すなわち、本発明の著者らは、熱硬化性樹
脂成分および溶剤を含有してなる熱硬化性樹脂溶液組成
物において、該溶剤が2種以上の溶剤成分からなり、か
つ、沸点190℃以上である溶剤成分が全溶剤に対して
占める割合が30〜60重量%であり、かつ、溶剤10
0gに対する熱硬化性樹脂成分の25℃における溶解度
が35g以上であることを特徴とする熱硬化性樹脂溶液
組成物により、上記の対策を実現した優れたオーバーコ
ートが得られることを見出し、本発明に到達した。
【0012】熱硬化性樹脂溶液をスピンコーターを用い
て基板に塗布する際、基板中央部に滴下された熱硬化性
樹脂溶液は、回転に伴って、基板全体に放射状の筋とな
って広がっていき、全面に塗布される。回転中心から遠
ざかるほど、基板の速度は大きくなるので、基板端部ほ
ど溶剤の蒸発が速くなり、熱硬化性樹脂溶液の流動性が
低下する。したがって、回転中心からの距離に応じて、
オーバーコート膜厚が不均一となってしまう。
【0013】膜厚の不均一性を防止するには、高沸点の
溶剤を用いて、塗布時の溶剤蒸発を抑制すればよい。し
かしながら、単に高沸点の溶剤を用いただけでは、塗布
後の乾燥工程における熱硬化性樹脂溶液の乾燥が不十分
となり、ハジキや異物混入等の欠点が生じやすくなる。
したがって、本発明の溶剤は、2種以上の溶剤成分から
なり、そのうちの沸点190℃以上である溶剤成分が全
溶剤に対して占める割合が30〜60重量%、より好ま
しくは35〜60重量%であることが必要である。沸点
190℃以上である溶剤成分は、2種以上のものを混合
して用いても良い。
【0014】さらに、溶剤にあまりに低沸点の溶剤が含
まれると、スピンコート時における低沸点溶剤の蒸発に
より、ムラ等の塗布欠陥が生じやすくなる。したがっ
て、本発明の溶剤に含まれる溶剤成分は、全て沸点14
0℃以上のものであることがより好ましい。
【0015】このような溶剤の具体例としては、3−メ
トキシ−3−メチル−1−ブタノール(bp174
℃)、1,3−ブタンジオール(bp203℃)、3−
メチル−1,3−ブタンジオール(bp203℃)、2
−メチル−1,3−プロパンジオール(bp213
℃)、2−ヘプタノン(bp150.2℃)、4−ヘプ
タノン(bp144.1℃)、シクロヘキサノン(bp
155.7℃)、ジイソブチルケトン(bp168.1
℃)、エチレングリコールモノブチルエーテル(bp1
70.2℃)、エチレングリコールジブチルエーテル
(bp203.3℃)、ジエチレングリコールモノエチ
ルエーテル(bp202.0℃)、ジエチレングリコー
ルモノブチルエーテル(bp230.4℃)、ジエチレ
ングリコールジメチルエーテル(bp159.8℃)、
ジエチレングリコールジエチルエーテル(bp188.
4℃)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル
(bp190℃)、ジプロピレングリコールモノエチル
エーテル(bp197.8℃)、トリエチレングリコー
ルモノメチルエーテル(bp249℃)、トリエチレン
グリコールジメチルエーテル(bp216℃)、3−メ
トキシブチルアセテート(bp172.5℃)、3−メ
トキシ−3−メチルブチルアセテート(bp188
℃)、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテー
ト(bp144.5℃)、エチレングリコールモノエチ
ルエーテルアセテート(bp156.3℃)、エチレン
グリコールモノブチルエーテルアセテート(bp19
1.5℃)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル
アセテート(bp217.4℃)、プロピレングリコー
ルモノメチルエーテルアセテート(bp146℃)、プ
ロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート(b
p158℃)、γ−ブチロラクトン(bp204℃)、
N,N−ジメチルホルムアミド(bp153.0℃)、
N,N−ジメチルアセトアミド(bp166.1℃)、
2−ピロリドン(bp245℃)、N−メチルピロリド
ン(bp202℃)、1,2,3−トリクロロプロパン
(bp156.9℃)、o−クロロトルエン(bp15
9.3℃)、p−クロロトルエン(bp162.0
℃)、o−キシレン(bp144.4℃)、o−ジエチ
ルベンゼン(bp183.4℃)、m−ジエチルベンゼ
ン(bp181.1℃)、p−ジエチルベンゼン(bp
183.8℃)、o−ジクロロベンゼン(bp180.
5℃)、m−ジクロロベンゼン(bp173.0℃)、
n−ブチルベンゼン(bp183.3℃)、sec−ブ
チルベンゼン(bp178.3℃)、tert−ブチル
ベンゼン(bp169.1℃)等が挙げられる。
【0016】また、溶剤に対する熱硬化性樹脂成分の溶
解度が小さいと、熱硬化性樹脂溶液を加熱してオーバー
コートを形成する際に、未反応の熱硬化性樹脂成分が析
出し、ハジキの原因となる。したがって、25℃におい
て、溶剤100gが、熱硬化性樹脂成分を35g以上、
好ましくは50g以上、より好ましくは70g以上溶解
することが必要である。溶剤は、前述の具体例またはそ
の他の溶剤から、熱硬化性樹脂成分に合わせて、適宜選
択する。
【0017】本発明における溶解度とは、溶質(本発明
では、熱硬化性樹脂成分)が溶媒(本発明では、溶剤)
に溶解する限度をいい、溶媒100gに対する溶質の量
(グラム数)で表す。本発明における溶解度の測定は以
下のように行う。25℃の恒温槽中において、溶剤10
0gに、熱硬化性樹脂成分を添加していく。ある一定量
以上を添加すると、熱硬化性樹脂成分が溶解しきれずに
溶液中に残存する。このときの熱硬化性樹脂溶液が、飽
和溶液であり、この飽和溶液の濃度から、溶解度を算出
することができる。溶解度は、一般に温度によって変化
するため、測定は、恒温装置等を用いて、一定の温度条
件下で行うことが必要である。
【0018】本発明の熱硬化性樹脂溶液組成物の固形分
濃度については、上述の溶解度を越えない範囲で、塗布
性の観点から、10〜60重量%、より好ましくは、1
5〜50重量%である。なお、本発明における固形分濃
度とは、熱硬化性樹脂溶液組成物を加熱してオーバーコ
ート膜を形成した際に膜として残る成分の、熱硬化性樹
脂溶液組成物全体に対する濃度のことをさす。
【0019】本発明の熱硬化性樹脂溶液組成物の熱硬化
性樹脂成分には、特に限定はないが、酸無水物およびカ
ルボン酸のうちの少なくとも1種を含有する化合物と、
エポキシ化合物とを用いるのが好ましい。この場合、酸
無水物および/またはカルボン酸と、エポキシ基との反
応により硬化が進行するため、硬化時の収縮が小さく、
平坦化特性に優れている。
【0020】さらに、酸無水物およびカルボン酸のうち
の少なくとも1種を含有する化合物が、アルコキシシラ
ン、シラノールおよびシラノール縮合物のうちの少なく
とも1種と、酸無水物およびカルボン酸のうちの少なく
とも1種とを同一分子内に含有する化合物であること
が、ガラス基板とオーバーコートとの密着性の点から、
より好ましい。
【0021】また、アルコキシシラン、シラノールおよ
びシラノール縮合物のうちの少なくとも1種と、酸無水
物およびカルボン酸のうちの少なくとも1種とを同一分
子内に含有する化合物については、分子量が高すぎる場
合には、平坦化特性が不良になること、また、分子量が
低すぎる場合には、加熱時に、熱硬化性樹脂成分の昇華
・蒸発による塗布欠陥が生じやすいことから、分子量の
範囲としては、200〜1000であることが好まし
く、300〜500であることがより好ましい。このよ
うな分子量範囲にある化合物を使用することにより、平
坦化特性が良好かつ、塗布欠陥の生じにくい熱硬化性樹
脂溶液組成物を得ることが可能となる。
【0022】アルコキシシラン、シラノールおよびシラ
ノール縮合物のうちの少なくとも1種と、酸無水物およ
びカルボン酸のうちの少なくとも1種とを同一分子内に
含有する化合物を得る方法については、特に限定され
ず、アルコキシシランを有する化合物と、酸無水物およ
び/またはカルボン酸を有する化合物の反応、重合など
により、得ることができるが、化合物入手の容易性や、
分子量の制御が容易であることから、アミノアルコキシ
シランと酸無水物の反応により得ることが好ましい。特
に、材料の汎用性、分子量から考えて、アミノアルコキ
シシランとして、γ−アミノプロピルメチルジメトキシ
シラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−
アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエ
チル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N
−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシ
シラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルト
リエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピル
トリメトキシシランなどを使用することが可能である。
また、酸無水物としては、カルボン酸と酸無水物とを同
一分子内に有する化合物または、同一分子内に少なくと
も2つ以上の酸無水物を有する化合物であれば、特に限
定されないが、入手の容易性、コストから考えて、トリ
メリット酸無水物を使用することが好ましい。
【0023】なお、上記のアミノアルコキシシランは、
酸無水物と反応させたままの状態で使用できるが、加水
分解したシラノールの状態、加水分解縮合したシラノー
ル縮合物の状態でも使用できる。加水分解は、アミノア
ルコキシシランと酸無水物の反応物に水を加えて、低温
で反応させることにより行い、加水分解縮合は、アミノ
アルコキシシランと酸無水物の反応物に水を加えて、加
熱することにより、水とアルコールを留去することによ
り行う。ここで、加水分解、加水分解縮合には、酸触媒
を添加しても良い。
【0024】本発明の熱硬化性樹脂溶液組成物におい
て、エポキシ化合物には特に限定はなく、ビスフェノー
ルA型エポキシ、ビスフェノールF型エポキシ、フェノ
ールノボラックエポキシ、クレゾールノボラックエポキ
シ、脂環式エポキシ化合物等を使用できるが、特に、分
子量70〜1000の範囲にある平面構造を持つ基を側
鎖に有するエポキシ化合物を用いることが好ましい。該
化合物は、平面構造をもつ基を側鎖に有するため、硬化
後のポリマーの塗膜面内での配向を抑制するために、オ
ーバーコート塗膜の光学異方性による表示不良を低減す
ることが可能となる。ここで、該平面構造を持つ基の分
子量に関しては、70より小さい場合には、配向抑制の
効果が小さくなること、また、1000より大きい場合
には、硬化剤との反応性が低下することから、70〜1
000の範囲あることが好ましい。また、平面構造をも
つ基としては、特に限定されず、多環式の芳香族などを
使用できる。
【0025】しかしながら、入手の容易性からみて、分
子量70〜1000の範囲にある平面構造をもつ基とし
ては、フルオレン基が好ましく、さらに入手の容易性か
ら、下記一般式(1)のようなエポキシ化合物を使用す
ることが好ましい。
【0026】
【化2】 (ただし、Rは−O−または−OCH2CH2O−を示
し、R’は水素またはメチル基、エチル基等のアルキル
基を示す。) また、フルオレン基を有するエポキシ化合物において
は、フルオレン基の存在により、加熱時の昇華・蒸発に
よる塗布欠陥を抑制できるという効果も得られる。
【0027】本発明の熱硬化性樹脂溶液組成物におけ
る、酸無水物およびカルボン酸のうちの少なくとも1種
とを同一分子内に含有する化合物と、エポキシ化合物の
混合比率は、酸無水物およびカルボン酸のうちの少なく
とも1種とを同一分子内に含有する化合物100重量部
に対して、該エポキシ化合物5〜300重量部、好まし
くは、10〜250重量部、より好ましくは、20〜2
00重量部である。エポキシ化合物が多すぎると、エポ
キシ化合物の硬化が不十分となり、また、少なすぎる
と、塗膜の強靱性が低下するため、好ましくない。
【0028】また、本発明の熱硬化性樹脂溶液組成物に
は、硬化触媒を加えても良い。硬化触媒としては、アミ
ン類、イミダゾール類、金属キレート類などが使用でき
るが、これらに限定されない。
【0029】また、本発明の熱硬化性樹脂溶液組成物に
は、塗布性、および、乾燥性を良好にする目的で、界面
活性剤を添加することができる。界面活性剤の添加量
は、通常、樹脂100重量部に対して、0.01〜10
重量部で、好ましくは0.03〜1重量部である。添加
量が少なすぎると、塗布性、乾燥性の改良効果がなく、
多すぎると逆に塗布性の不良や、塗膜の強靱性低下を引
き起こす。
【0030】界面活性剤の具体例としては、ジメチルシ
リコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイルなど
のシリコーンオイル類、アルキル、フッ素変性シリコー
ンオイル、ポリエーテル、アルコール変性シリコーンオ
イル、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリ
コーンオイル、フェノール、カルボキシ、メルカプト変
性シリコーンオイルなどの変性シリコーンオイル類、ラ
ウリル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンアルキル
エーテル硫酸トリエタノールアミンなどの陰イオン界面
活性剤、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライドな
どの陽イオン界面活性剤、ラウリルジメチルアミンオキ
サイド、ラウリルカルボキシメチルヒドロキシエチルイ
ミダゾリウムベタインなどの両性界面活性剤、ポリオキ
シエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステ
アリルエーテル、ソルビタンモノステアレートなどの非
イオン界面活性剤、アクリル重合体などが挙げられる。
本発明では、これらに限定されずに、上記のような界面
活性剤を1種、または、2種以上組み合わせて用いるこ
とができる。
【0031】本発明のカラーフィルターは、光透過性基
板上に形成された、ブラックマトリクス、3原色からな
る着色層、および、オーバーコートから構成されたもの
であって、該オーバーコートが本発明の熱硬化性樹脂溶
液組成物から形成されたものであることを特徴とするも
のである。
【0032】オーバーコートとして本発明の熱硬化性樹
脂溶液組成物を使用することにより、良好な平坦性を有
し、ハジキ等の塗布欠陥のないオーバーコートを有する
カラーフィルターを得ることができる。
【0033】また、ブラックマトリクス上の一部に3原
色からなる着色層の一部、あるいは、すべての積層によ
り形成された複数個のドット状スペーサーを有すること
により、液晶表示装置製造工程上のスペーサー散布が不
要になり、歩留まり向上に大きく寄与し、好ましい。
【0034】また、本発明におけるカラーフィルターに
は、オーバーコート上に透明電極が設けられていてもよ
い。
【0035】本発明のカラーフィルターの構成要素につ
いて説明する。まず、光透過性基板は、通常、ガラス基
板が使用される。
【0036】次に、ブラックマトリクスは画素間の遮光
領域であり、液晶表示装置のコントラスト向上などの役
割を果たすものであるが、微細なパターンからなる金属
薄膜より形成されることが多い。金属としては、Cr、
Ni、Alなどが使用される。金属薄膜の形成方法とし
ては、スパッタ法や真空蒸着法などが広く用いられてい
る。また、微細なパターンについては、金属薄膜上に、
フォトリソグラフィ法によりフォトレジストのパターン
を形成した後、このレジストパターンをエッチングマス
クとして金属薄膜のエッチングを行うことにより得られ
る。
【0037】ところが、金属薄膜により形成されたブラ
ックマトリクスは、製造コストが高く、カラーフィルタ
ーそのものの価格を引き上げる原因となっている。さら
に、ブラックマトリクス用金属薄膜として一般的に用い
られているCrは、反射率が高いため、外光の強い場所
ではCrの反射光により表示品位が著しく低下するとい
う問題をもつ。また、ブラックマトリクスの反射率を低
減するために、Crと光透過性基板の間に酸化クロムの
層を設ける方法が提案されているが、製造コストの面か
らみて、好ましくない。
【0038】そのため、ブラックマトリクスとしては、
遮光剤を樹脂中に分散した樹脂ブラックマトリクスを使
用することが好ましい。
【0039】樹脂ブラックマトリクスに使用される遮光
剤としては、カーボンブラックや、酸化チタン、四酸化
鉄などの金属酸化物粉や、金属硫化物粉や、金属粉の他
に、赤、青、緑色の顔料混合物などを用いることができ
る。この中でも、とくにカーボンブラックは、遮光性に
優れており、好ましい。
【0040】遮光剤としてカーボンブラックを使用する
場合、色調を無彩色とするため、カーボンブラックの補
色の顔料を混合することが好ましい。補色用の顔料とし
ては、青色顔料、および、紫色顔料を、それぞれ単独
で、あるいは、両者を混合して使用することができる。
【0041】遮光剤として、カーボンブラックとカーボ
ンブラックに対して補色の顔料を用いた場合には、高い
遮光性を得るために、遮光剤中にしめるカーボンブラッ
クの割合を、50重量%以上にするのが好ましく、より
好ましくは60重量%以上、さらに好ましくは70重量
%以上である。
【0042】カーボンブラックの補色として使用する代
表的な顔料の例をカラーインデックスナンバーで示す。
青色顔料の例としては、ピグメントブルー15、15:
1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、
21、22、60、64などが挙げられるが、とくにピ
グメントブルー15、15:1、15:2、15:6が
好ましい。紫色顔料の例としては、ピグメントバイオレ
ット19、23、29、31、32、33、36、3
7、39、43、50などが挙げられるが、とくに、ピ
グメントバイオレット23、31、33、43、50が
好ましい。
【0043】これ以外にも、緑色顔料、黄色顔料、オレ
ンジ色顔料なども適宜添加しても構わないが、遮光剤中
にしめる割合としては、10重量%以下が好ましい。こ
れ以上にすると、ブラックマトリクスの膜厚あたりの遮
光性が低下して好ましくない。
【0044】樹脂ブラックマトリクスに使用される樹脂
としては、アクリル系、エポキシ系などの透明樹脂を使
用することができるが、塗膜の耐熱性、耐光性、耐溶剤
性からみて、樹脂としては、ポリアミック酸を使用する
ことが好ましい。
【0045】ポリアミック酸は、テトラカルボン酸二無
水物とジアミンを反応させることにより得ることができ
る。
【0046】ポリアミック酸の合成には、テトラカルボ
ン酸二無水物として、たとえば、脂肪族系または脂環式
系のものを用いることができ、その具体的な例として、
1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水
物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸
二無水物、1,2,3,5−シクロペンタンテトラカル
ボン酸二無水物、1,2,4,5−ビシクロヘキセンテ
トラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキ
サンテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,
5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5
−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−C]フ
ラン−1,3−ジオンなどが挙げられる。また、芳香族
系のものを用いると、耐熱性の良好な膜に変換しうるポ
リアミック酸を得ることができ、その具体的な例とし
て、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボ
ン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、3,4,9,
10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,
4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水
物、4,4’−オキシジフタル酸無水物、3,3’,
4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,
2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、
3,3”,4,4”−パラターフェニルテトラカルボン
酸二無水物、3,3”,4,4”−メタターフェニルテ
トラカルボン酸二無水物が挙げられる。また、フッ素系
のものを用いると、短波長領域での透明性が良好な膜に
変換しうるポリアミック酸を得ることができ、その具体
的な例として、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピ
リデン)ジフタル酸無水物などが挙げられる。なお、本
発明は、これらに限定されずにテトラカルボン酸二無水
物が1種または2種以上用いられる。
【0047】また、ジアミンとして、たとえば、脂肪族
系または脂環式系のものを用いることができ、その具体
的な例として、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,
4−ジアミノシクロヘキサン、4,4’−ジアミノ−
3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン、4,4’
−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルなど
が挙げられる。また、芳香族系のものを用いると、耐熱
性の良好な膜に変換しうるポリアミック酸を得ることが
でき、その具体的な例として、4,4’−ジアミノジフ
ェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテ
ル、4,4’ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジ
アミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニ
ルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、
4,4’−ジアミノジフェニルサルファイド、m−フェ
ニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,4−ジ
アミノトルエン、2,5−ジアミノトルエン、2,6−
ジアミノトルエン、ベンジジン、3,3’−ジメチルベ
ンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、o−トリ
ジン、4,4”−ジアミノターフェニル、1,5−ジア
ミノナフタレン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジア
ミノジフェニルメタン、4,4’−ビス(4−アミノフ
ェノキシ)ビフェニル、2,2−ビス[4−(4−アミ
ノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(4−
アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−
(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス
[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホンな
どが挙げられる。また、フッ素系のものを用いると、短
波長領域での透明性が良好な膜に変換しうるポリアミッ
ク酸を得ることができ、その具体的な例として、2,2
−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキ
サフルオロプロパンなどが挙げられる。
【0048】また、ジアミンの一部として、シロキサン
ジアミンを用いると、無機基板との接着性を良好にする
ことができる。シロキサンジアミンは、通常、全ジアミ
ン中の1〜20モル%量用いる。シロキサンジアミンの
量が少なすぎれば接着性向上効果が発揮されず、多すぎ
れば耐熱性が低下する。シロキサンジアミンの具体例と
しては、ビス−3−(アミノプロピル)テトラメチルシ
ロキサンなどが挙げられる。本発明は、これに限定され
ずにジアミンが1種または2種以上用いられる。
【0049】ポリアミック酸の合成は、極性有機溶媒中
でテトラカルボン酸二無水物とジアミンを混合して反応
させることにより行うのが一般的である。この時、ジア
ミンとテトラカルボン酸二無水物の混合比により、得ら
れるポリアミック酸の重合度を調節することができる。
【0050】このほか、テトラカルボン酸ジクロライド
とジアミンを極性有機溶媒中で反応させて、その後、塩
酸と溶媒を除去することによってポリアミック酸を得る
など、ポリアミック酸を得るには種々の方法がある。
【0051】一方、3原色の着色層については、色素を
樹脂中に分散したものを用いることができる。顔料は3
原色を表すために適当なものを組み合わせて使用するこ
とができる。使用できる色素としては、赤、橙、黄、
緑、青、紫などの顔料や染料が挙げられるが、これらに
限定されない。また、樹脂としては、アクリル系、エポ
キシ系などの透明樹脂を使用することができるが、塗膜
の耐熱性、耐光性、耐溶剤性からみて、樹脂としては、
ポリアミック酸を使用することが好ましい。
【0052】また、透明電極は、通常、インジウム・錫
酸化物(ITO)が使用される。透明電極は、液晶を駆
動させるために必要なものであるが、横電界駆動の表示
方式の液晶表示装置では、透明電極はカラーフィルター
側には必要でないため、透明電極を設けないカラーフィ
ルターが使用される。
【0053】本発明の液晶表示装置は、本発明のカラー
フィルターを使用したことを特徴とするものである。本
発明のカラーフィルターを使用することにより、液晶表
示装置においては、カラーフィルター表面の凹凸および
オーバーコートの膜厚不均一に基づく表示不良の発生を
防止することが可能となる。また、本発明のカラーフィ
ルターは、カラー液晶表示装置に用いられることから、
本発明の液晶表示装置の駆動には、薄膜トランジスタ
(TFT)を使用することが好ましい。
【0054】
【実施例】以下に、実施例により、本発明をさらに具体
的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0055】実施例1 (熱硬化性樹脂溶液組成物の作成)トリメリット酸無水
物 65.05gをγ−ブチロラクトン(bp204
℃)280gに溶解した後に、γ−アミノプロピルトリ
エトキシシラン 74.95gを添加し、120℃で2
時間加熱した。得られた溶液 20gに、ビスフェノキ
シエタノールフルオレンジグリシジルエーテル 7g、
ジエチレングリコールジメチルエーテル(bp159.
8℃) 31.20g、γ−ブチロラクトン10.13
gを加えて、室温(約23℃)で、2時間攪拌して、熱
硬化性樹脂溶液組成物(A1)を得た。
【0056】A1において、沸点190℃以上の溶剤
は、42.9%、溶剤に対する熱硬化性樹脂成分の25
℃での溶解度は、122gであった。
【0057】次に、以下の工程によりカラーフィルター
を作成した。
【0058】(樹脂ブラックマトリクスの作成)温度
計、乾燥窒素導入口、温水・冷却水による加熱・冷却装
置、および、攪拌装置を付した20Lの反応釜に、γ−
ブチロラクトン 16644.1g、4,4’−ジアミ
ノジフェニルエーテル 600.7g、3,3’−ジア
ミノジフェニルスルホン 670.2g、ビス−3−
(アミノプロピル)テトラメチルシロキサン 74.6
gを投入し、釜を30℃に加熱した。30分後、3,
3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無
水物 644.4g、ピロメリット酸二無水物 64
1.3g、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカル
ボン酸二無水物 294.2gを投入し、釜を58℃に
加熱した。3時間後、無水マレイン酸 11.8gを添
加し、58℃でさらに1時間加熱することにより、ポリ
アミック酸のNMP溶液(A2)を得た。
【0059】カーボンブラック 4.6g、ポリアミッ
ク酸溶液(A2) 24.0g、N−メチルピロリドン
61.4gをガラスビーズ 90gとともにホモジナ
イザーを用い、7000rpmで30分間分散処理後、
ガラスビーズを濾過により除去し、カーボンブラックミ
ルベースを得た。
【0060】また、ピグメントブルー15:6 2.2
g、ポリアミック酸溶液(A2)24.0g、N−メチ
ルピロリドン 63.8gをガラスビーズ 90gとと
もにホモジナイザーを用い、7000rpmで30分間
分散処理後、ガラスビーズを濾過により除去し、青顔料
ミルベースを得た。
【0061】得られた両ミルベースを全量混合すること
により、樹脂ブラックマトリクス用ペーストを得た。
【0062】樹脂ブラックマトリクス用ペーストを無ア
ルカリガラス基板(厚さ0.7mm)上にスピンコート
し、50℃で10分間、90℃で10分間、110℃で
20分間オーブンを用いて空気中で加熱乾燥して、膜厚
1.3μmのポリイミド前駆体着色膜を得た。この膜上
にポジ型フォトレジスト(東京応化社製OFPR−80
0)を塗布し、80℃で20分間加熱乾燥して膜厚1μ
mのレジスト膜を得た。キヤノン(株)製紫外線露光機
PLA−501Fを用い、クロム製のフォトマスクを介
して、波長365nmでの強度が50mJ/cm2の紫
外線を照射した。露光後、テトラメチルアンモニウムハ
イドロオキサイドの2.38wt%の水溶液からなる現
像液に浸漬し、フォトレジストおよびポリイミド前駆体
着色被膜の現像を同時に行った。エッチング後、不要と
なったフォトレジスト層をメチルセロソルブアセテート
で剥離した。さらにこのようにして得られたポリイミド
前駆体着色被膜を窒素雰囲気中で300℃で30分間熱
処理し、膜厚1.0μmのポリイミド着色パターン被膜
を得た。
【0063】(着色層の作成)次に、赤、緑、青の顔料
として、それぞれ、ピグメントレッド177、ピグメン
トグリーン36、ピグメントブルー15:6を用意し、
ポリアミック酸溶液(A2)と混合分散し、赤、青、緑
の3種類の着色ペーストを得た。
【0064】得られた赤ペーストを樹脂ブラックマトリ
クス基板上にスピンコートし、50℃で10分間、90
℃で10分間、110℃で20分間オーブンを用いて空
気中で加熱乾燥して、膜厚1.2μmのポリイミド前駆
体着色膜を得た。この膜上にポジ型フォトレジスト(東
京応化社製OFPR−800)を塗布し、80℃で20
分間加熱乾燥して膜厚1.1μmのレジスト膜を得た。
キヤノン(株)製紫外線露光機PLA−501Fを用
い、クロム製のフォトマスクを介して、波長365nm
での強度が50mJ/cm2の紫外線を照射した。露光
後、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドの
2.38wt%の水溶液からなる現像液に浸漬し、フォ
トレジストおよびポリイミド前駆体着色被膜の現像を同
時に行った。エッチング後、不要となったフォトレジス
ト層をメチルセロソルブアセテートで剥離した。さら
に、このようにして得られたポリイミド前駆体着色被膜
を窒素雰囲気中で300℃で30分間熱処理し、膜厚
1.0μmのポリイミド赤色パターン被膜を得た。
【0065】その後、同様にして、緑ペースト、青ペー
ストのパターンを形成し、赤、緑、青の3原色を有する
カラーフィルターを得た。
【0066】(オーバーコート層の作成)熱硬化性樹脂
溶液組成物(A1)を前記カラーフィルターにスピンコ
ートし、100℃で5分、260℃で30分加熱するこ
とにより、厚さ1.0μmのオーバーコートとした。
【0067】得られたカラーフィルターには、オーバー
コート膜厚の不均一性は認められず、表面は非常に平坦
であった。また、ハジキ等の塗布欠陥も認められなかっ
た。
【0068】(液晶表示装置の作成)さらに、得られた
カラーフィルターを中性洗剤で洗浄した後、ポリイミド
樹脂からなる配向膜を印刷法により塗布し、ホットプレ
ートで250℃、10分間加熱した。膜厚は0.07μ
mであった。この後、カラーフィルター基板をラビング
処理し、シール剤をディスペンス法により塗布、ホット
プレートで90℃、10分間加熱した。
【0069】一方、ガラス上にTFTアレイを形成した
基板も同様に洗浄した後、配向膜を塗布、加熱する。そ
の後、直径5.5μmの球状スペーサーを散布し、前記
カラーフィルター基板と重ね合わせ、オーブン中で加圧
しながら160℃で90分間加熱して、シール剤を硬化
させる。このセルを120℃、13.3Paで4時間、
続いて、窒素中で0.5時間放置した後に、再度真空下
において液晶注入を行った。液晶注入は、セルをチャン
バーに入れて、室温で13.3Paまで減圧した後、液
晶注入口を液晶に漬けて、窒素を用いて常圧に戻すこと
により行った。液晶注入後、紫外線硬化樹脂により、液
晶注入口を封口した。次に、偏光板をセルの2枚のガラ
ス基板の外側に貼り付け、セルを完成させた。さらに、
得られたセルをモジュール化して、横電界駆動の液晶表
示装置を完成させた。得られた液晶表示装置を観察した
結果、表示不良はないことがわかった。
【0070】実施例2 オーバーコート上に以下の工程で透明電極を付与した以
外は実施例1と同様の手順により、液晶表示装置を作成
したが、表示不良はなかった。
【0071】(透明電極層の作成)スパッタリング法に
より、オーバーコート上にITOを製膜したところ、膜
厚が1400オングストロームで、表面抵抗が15Ω/
□のITOが得られた。
【0072】比較例1 トリメリット酸無水物 65.05gをジエチレングリ
コールジメチルエーテル(bp159.8℃) 280
gに溶解した後に、γ−アミノプロピルトリエトキシシ
ラン 74.95gを添加し、120℃で2時間加熱し
た。得られた溶液 20gに、ビスフェノキシエタノー
ルフルオレンジグリシジルエーテル 7g、ジエチレン
グリコールジメチルエーテル 30.33g、γ−ブチ
ロラクトン(bp204℃) 11.00gを加えて、
室温(約23℃)で、2時間攪拌して、熱硬化性樹脂溶
液組成物(B1)を得た。
【0073】B1において、沸点190℃以上の溶剤
は、20.1%、溶剤に対する熱硬化性樹脂成分の25
℃での溶解度は、131gであった。
【0074】オーバーコートとして、上記で得られた熱
硬化性樹脂溶液組成物(B1)を使用した以外は、実施
例1と同様にしてカラーフィルターを作成した。得られ
たカラーフィルターは、オーバーコートの膜厚に不均一
性が認められた。
【0075】さらに、得られたカラーフィルターを使用
して、実施例1と同様の手順により、液晶表示装置を作
成したが、オーバーコート膜厚の不均一性に基づく表示
不良が観察された。
【0076】比較例2 トリメリット酸無水物 65.05gをγ−ブチロラク
トン(bp204℃)280gに溶解した後に、γ−ア
ミノプロピルトリエトキシシラン 74.95gを添加
し、120℃で2時間加熱した。得られた溶液 20g
に、ビスフェノキシエタノールフルオレンジグリシジル
エーテル 7g、o−ジクロロベンゼン(bp180.
5℃) 42.28g、γ−ブチロラクトン 6.62
gを加えて、室温(約23℃)で、2時間攪拌して、熱
硬化性樹脂溶液組成物(B2)を得た。
【0077】B2において、沸点190℃以上の溶剤
は、32.1%、溶剤に対する熱硬化性樹脂成分の25
℃での溶解度は、28gであった。
【0078】オーバーコートとして、上記で得られた熱
硬化性樹脂溶液組成物(B2)を使用した以外は、実施
例1と同様にしてカラーフィルターを作成した。得られ
たカラーフィルターは、オーバーコート膜厚は均一であ
ったものの、オーバーコートのハジキによる塗布欠陥が
認められた。
【0079】さらに、得られたカラーフィルターを使用
して、実施例1と同様の手順により、液晶表示装置を作
成したが、オーバーコートの塗布欠陥に基づく表示不良
が観察された。
【0080】比較例3 トリメリット酸無水物 65.05gをγ−ブチロラク
トン(bp204℃)280gに溶解した後に、γ−ア
ミノプロピルトリエトキシシラン 74.95gを添加
し、120℃で2時間加熱した。得られた溶液 20g
に、ビスフェノキシエタノールフルオレンジグリシジル
エーテル 7g、γ−ブチロラクトン41.33gを加
えて、室温(約23℃)で、2時間攪拌して、熱硬化性
樹脂溶液組成物(B3)を得た。
【0081】B3において、沸点190℃以上の溶剤
は、100%、溶剤に対する熱硬化性樹脂成分の25℃
での溶解度は、130gであった。
【0082】オーバーコートとして、上記で得られた熱
硬化性樹脂溶液組成物(B3)を使用した以外は、実施
例1と同様にしてカラーフィルターを作成した。得られ
たカラーフィルターは、オーバーコートの乾燥性が不十
分であるため、ハジキによる塗布欠陥が認められた。
【0083】さらに、得られたカラーフィルターを使用
して、実施例1と同様の手順により、液晶表示装置を作
成したが、オーバーコートの塗布欠陥に基づく表示不良
が観察された。
【0084】実施例3 カラーフィルターを作成する際に、着色層の膜厚をすべ
て1.8μmとし、さらに、各着色層の形成と同時に樹
脂ブラックマトリクス上にスペーサーを形成した以外は
実施例1と同様にしてカラーフィルターを作成した。な
お、形成したスペーサーは3原色が積層された形態をと
っている。
【0085】得られたカラーフィルターについて、実施
例1と同様にして、表面形状を観察した結果、表面は非
常に平坦であり、膜厚の不均一性、ハジキ等の塗布欠点
も認められなかった。
【0086】さらに、得られたカラーフィルターを使用
して、スペーサー散布を取りやめた以外は、実施例1と
同様の手順により、液晶表示装置を作成したが、表示不
良は観察されなかった。
【0087】
【発明の効果】本発明は上述のごとく、膜厚が均一で、
平坦化特性に優れたオーバーコートを、塗布欠陥なく形
成することが可能となる熱硬化性樹脂溶液組成物を提供
することができる。また、本発明のカラーフィルターを
使用することにより、液晶表示装置におけるカラーフィ
ルターの欠陥に基づく表示不良の発生を防止することが
可能となる。

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱硬化性樹脂成分および溶剤を含有してな
    る熱硬化性樹脂溶液組成物において、該溶剤が2種以上
    の溶剤成分からなり、かつ、沸点190℃以上である溶
    剤成分が全溶剤に対して占める割合が30〜60重量%
    であり、かつ、該溶剤100gに対する熱硬化性樹脂成
    分の25℃における溶解度が35g以上であることを特
    徴とする熱硬化性樹脂溶液組成物。
  2. 【請求項2】請求項1において、溶剤を構成する各溶剤
    成分が沸点140℃以上であることを特徴とする熱硬化
    性樹脂溶液組成物。
  3. 【請求項3】熱硬化性樹脂成分が、酸無水物およびカル
    ボン酸のうちの少なくとも1種を含有する化合物と、エ
    ポキシ化合物とを含むことを特徴とする請求項1または
    2記載の熱硬化性樹脂溶液組成物。
  4. 【請求項4】酸無水物およびカルボン酸のうちの少なく
    とも1種を含有する化合物が、アルコキシシラン、シラ
    ノールおよびシラノール縮合物のうちの少なくとも1種
    と、酸無水物およびカルボン酸のうちの少なくとも1種
    とを同一分子内に含有する化合物であることを特徴とす
    る請求項3記載の熱硬化性樹脂溶液組成物。
  5. 【請求項5】アルコキシシラン、シラノールおよびシラ
    ノール縮合物のうちの少なくとも1種と、酸無水物およ
    びカルボン酸のうちの少なくとも1種とを同一分子内に
    含有する化合物の分子量が、200〜1000の範囲に
    あることを特徴とする請求項4記載の熱硬化性樹脂溶液
    組成物。
  6. 【請求項6】アルコキシシラン、シラノールおよびシラ
    ノール縮合物のうちの少なくとも1種と、酸無水物およ
    びカルボン酸のうちの少なくとも1種とを同一分子内に
    含有する化合物の分子量が、300〜500の範囲にあ
    ることを特徴とする請求項4記載の熱硬化性樹脂溶液組
    成物。
  7. 【請求項7】アルコキシシラン、シラノールおよびシラ
    ノール縮合物のうちの少なくとも1種と、酸無水物およ
    びカルボン酸のうちの少なくとも1種とを同一分子内に
    含有する化合物が、アミノアルコキシシランと酸無水物
    の反応物であることを特徴とする請求項4〜6のいずれ
    かに記載の熱硬化性樹脂溶液組成物。
  8. 【請求項8】酸無水物が、トリメリット酸無水物である
    ことを特徴とする請求項7記載の熱硬化性樹脂溶液組成
    物。
  9. 【請求項9】エポキシ化合物として、分子量が70〜1
    000の範囲にある平面構造を持つ基を側鎖にする化合
    物を使用することを特徴とする請求項3〜8のいずれか
    に記載の熱硬化性樹脂溶液組成物。
  10. 【請求項10】平面構造を持つ基が、フルオレン基であ
    ることを特徴とする請求項9記載の熱硬化性樹脂溶液組
    成物。
  11. 【請求項11】エポキシ化合物が、下記一般式(1)で
    表される構造を有することを特徴とする請求項9および
    10のいずれかに記載の熱硬化性樹脂溶液組成物。 【化1】 (ただし、Rは−O−または−OCH2CH2O−を示
    し、R’は水素またはメチル基、エチル基等のアルキル
    基を示す。)
  12. 【請求項12】光透過性基板上に形成された、ブラック
    マトリクス、3原色からなる着色層、および、オーバー
    コートから構成されたものであって、該オーバーコート
    が請求項1〜11のいずれかに記載の熱硬化性樹脂溶液
    組成物から形成されたものであることを特徴とするカラ
    ーフィルター。
  13. 【請求項13】ブラックマトリクス上の一部に3原色か
    らなる着色層の一部、あるいは全ての積層により形成さ
    れた複数個のドット状スペーサーを有することを特徴と
    する請求項12記載のカラーフィルター。
  14. 【請求項14】透明電極層がオーバーコート上に設けら
    れたことを特徴とする請求項12および13のいずれか
    に記載のカラーフィルター。
  15. 【請求項15】ブラックマトリクスが、遮光剤を樹脂中
    に分散したものであることを特徴とする請求項12〜1
    4のいずれかに記載のカラーフィルター。
  16. 【請求項16】請求項12〜15のいずれかに記載のカ
    ラーフィルターを使用したことを特徴とする液晶表示装
    置。
  17. 【請求項17】薄膜トランジスタにより液晶を駆動する
    ことを特徴とする請求項16記載の液晶表示装置。
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