JP2000054034A - 還元鉄ペレット製造における還元炉操業方法 - Google Patents
還元鉄ペレット製造における還元炉操業方法Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 回転炉床法で製造した還元鉄ペレットを溶鉱
炉にて直接使用することを目的とする。 【解決手段】 本発明は、回転炉床式焼成還元炉内に
て、炭材及び酸化鉄の混合原料を造粒したペレットを還
元処理して還元鉄ペレットを製造するにあたり、還元炉
内の反応温度及び時間を下記で示されるような還元反応
におけるペレット温度の時間積分形式で計算される反応
指標と消費炭素量との関係に基づいて適正に調整するこ
とを特徴とする還元鉄ペレット製造における還元炉操業
方法である。 反応指標=∫exp(−Tr/Tt)dt (ただし、Trは定数、Ttは時間tでのペレット温
度)
炉にて直接使用することを目的とする。 【解決手段】 本発明は、回転炉床式焼成還元炉内に
て、炭材及び酸化鉄の混合原料を造粒したペレットを還
元処理して還元鉄ペレットを製造するにあたり、還元炉
内の反応温度及び時間を下記で示されるような還元反応
におけるペレット温度の時間積分形式で計算される反応
指標と消費炭素量との関係に基づいて適正に調整するこ
とを特徴とする還元鉄ペレット製造における還元炉操業
方法である。 反応指標=∫exp(−Tr/Tt)dt (ただし、Trは定数、Ttは時間tでのペレット温
度)
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、還元鉄の製造方法
に関し、特に酸化鉄粉と炭素源を混合したペレットを回
転炉床式焼成還元炉(以下、回転炉床と称す)にて還元
する方法に関し、更に詳しくは、回転炉床にて製造され
た還元ペレットを経済的に製鉄用溶鉱炉で使用するため
の還元鉄ペレットの製造技術に関する。
に関し、特に酸化鉄粉と炭素源を混合したペレットを回
転炉床式焼成還元炉(以下、回転炉床と称す)にて還元
する方法に関し、更に詳しくは、回転炉床にて製造され
た還元ペレットを経済的に製鉄用溶鉱炉で使用するため
の還元鉄ペレットの製造技術に関する。
【0002】
【従来の技術】還元鉄の製造プロセスとしては、水素ガ
スによるペレットの直接還元法、流動層によるガス還元
法等があるが、安価な石炭エネルギーをベースとする回
転炉床法、キルン法、その他を用いる還元鉄ペレットの
製造方法は、還元鉄の安価な製造方法として有効な技術
である。このうち、例えば特開平6−238207号公
報に示される、回転炉床法での還元鉄ペレットの製造方
法は、生産性、製品歩留まりが高い等の特徴を有し、特
に有効な技術である。回転炉床法は、その特徴を生か
し、鉄鉱石と石炭を用いた直接還元鉄の製造や、特殊鋼
の電気炉ダストの還元に用いられ、製品の還元ペレット
は主として電気炉用の鉄原料として用いられている。
スによるペレットの直接還元法、流動層によるガス還元
法等があるが、安価な石炭エネルギーをベースとする回
転炉床法、キルン法、その他を用いる還元鉄ペレットの
製造方法は、還元鉄の安価な製造方法として有効な技術
である。このうち、例えば特開平6−238207号公
報に示される、回転炉床法での還元鉄ペレットの製造方
法は、生産性、製品歩留まりが高い等の特徴を有し、特
に有効な技術である。回転炉床法は、その特徴を生か
し、鉄鉱石と石炭を用いた直接還元鉄の製造や、特殊鋼
の電気炉ダストの還元に用いられ、製品の還元ペレット
は主として電気炉用の鉄原料として用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来技術では、還元鉄
ペレットの製造においては還元率、金属化率の向上目的
が主体であり、還元鉄ペレットの強度を高める技術はな
かった。従って、回転炉床法によって製造された還元鉄
ペレットは、強度が弱いため電気炉、転炉等での使用に
止まっていた。しかしながら、当該ペレットは石炭等の
炭素源からの硫黄が還元鉄中に固定されるため、硫黄の
含有率が0.1から0.3%以上と高く、転炉等の脱硫
能力の小さい製鋼炉では使用量が限られる、炉外での脱
硫費用がかかる等の問題が生じていた。従って、当該還
元鉄ペレットを安価かつ大量に使用するためには、脱硫
能力の大きい溶鉱炉で使用することが求められていた。
ペレットの製造においては還元率、金属化率の向上目的
が主体であり、還元鉄ペレットの強度を高める技術はな
かった。従って、回転炉床法によって製造された還元鉄
ペレットは、強度が弱いため電気炉、転炉等での使用に
止まっていた。しかしながら、当該ペレットは石炭等の
炭素源からの硫黄が還元鉄中に固定されるため、硫黄の
含有率が0.1から0.3%以上と高く、転炉等の脱硫
能力の小さい製鋼炉では使用量が限られる、炉外での脱
硫費用がかかる等の問題が生じていた。従って、当該還
元鉄ペレットを安価かつ大量に使用するためには、脱硫
能力の大きい溶鉱炉で使用することが求められていた。
【0004】一方、溶鉱炉においては、炉内での装入物
の崩壊粉化を避けるために、鉄鉱石、焼結鉱、焼成ペレ
ット、コークス等の強度の高い塊状物を装入原料として
使用している。一般的に溶鉱炉の装入原料は粒径5mm
以上、圧潰強度50kgf/cm2 (4.9×106 N
/m2 )以上のものである。しかしながら、従来の回転
炉床法での操業方法で製造された還元鉄ペレットの強度
は低く、20から30kgf/cm2 程度の圧潰強度し
かなかった。その結果、この低強度の還元鉄ペレットを
溶鉱炉で使用すると、溶鉱炉内で容易に圧潰粉化してし
まい、溶鉱炉ダストとして排出され、鉄原料としての歩
留まりが悪いばかりか、発生した粉により溶鉱炉内の通
気が悪化し、操業が困難になるといった問題があった。
従って、従来法の回転炉床法で製造された還元鉄ペレッ
トを溶鉱炉で直接使用することはできなかった。
の崩壊粉化を避けるために、鉄鉱石、焼結鉱、焼成ペレ
ット、コークス等の強度の高い塊状物を装入原料として
使用している。一般的に溶鉱炉の装入原料は粒径5mm
以上、圧潰強度50kgf/cm2 (4.9×106 N
/m2 )以上のものである。しかしながら、従来の回転
炉床法での操業方法で製造された還元鉄ペレットの強度
は低く、20から30kgf/cm2 程度の圧潰強度し
かなかった。その結果、この低強度の還元鉄ペレットを
溶鉱炉で使用すると、溶鉱炉内で容易に圧潰粉化してし
まい、溶鉱炉ダストとして排出され、鉄原料としての歩
留まりが悪いばかりか、発生した粉により溶鉱炉内の通
気が悪化し、操業が困難になるといった問題があった。
従って、従来法の回転炉床法で製造された還元鉄ペレッ
トを溶鉱炉で直接使用することはできなかった。
【0005】この問題を回避するためには、製造した還
元鉄ペレットを、さらに、ホットブリケット装置で圧縮
成型した高強度ブリケットを溶鉱炉で使用する方法があ
るが、そのために余分な費用がかかり、経済的ではなか
った。従って、回転炉床法で製造された還元鉄ペレット
を溶鉱炉で直接使用できるような高強度の還元鉄ペレッ
トの製造方法が望まれていた。これに対し、本発明者ら
は同時期に出願した発明により、還元鉄ペレットの残留
炭素を適正範囲に制御すること、あるいは配合原料にお
ける鉄分重量割合及び炭素配合比率を適正範囲に調整す
ることにより、高炉での使用に耐え得る高強度の還元鉄
ペレットの製造方法を発見した。
元鉄ペレットを、さらに、ホットブリケット装置で圧縮
成型した高強度ブリケットを溶鉱炉で使用する方法があ
るが、そのために余分な費用がかかり、経済的ではなか
った。従って、回転炉床法で製造された還元鉄ペレット
を溶鉱炉で直接使用できるような高強度の還元鉄ペレッ
トの製造方法が望まれていた。これに対し、本発明者ら
は同時期に出願した発明により、還元鉄ペレットの残留
炭素を適正範囲に制御すること、あるいは配合原料にお
ける鉄分重量割合及び炭素配合比率を適正範囲に調整す
ることにより、高炉での使用に耐え得る高強度の還元鉄
ペレットの製造方法を発見した。
【0006】このような条件にて、還元反応を十分に行
うことにより所期の目的である高強度還元鉄ペレットの
製造が達成される。しかしながら、還元炉において還元
反応を最も経済的に行うための必要最小限の還元温度及
び時間の設定方法について定量的に言及された技術はこ
れまでになく、回転炉床法の生産効率、経済性を最も向
上させ得る還元鉄ペレット製造のための還元炉操業技術
が望まれていた。
うことにより所期の目的である高強度還元鉄ペレットの
製造が達成される。しかしながら、還元炉において還元
反応を最も経済的に行うための必要最小限の還元温度及
び時間の設定方法について定量的に言及された技術はこ
れまでになく、回転炉床法の生産効率、経済性を最も向
上させ得る還元鉄ペレット製造のための還元炉操業技術
が望まれていた。
【0007】さらには、還元鉄ペレットの製造原料とし
て、鉄鋼製造工程で発生する鉄分及び炭素分含有ダスト
を用いることができれば、資源の再利用による廃棄物の
低減が図られ、環境面からも切に望まれるものである。
このような、ダスト類は、亜鉛分を含むことが多く、そ
のままの亜鉛含有量にて高炉で使用した場合、高炉炉壁
部にて亜鉛系の付着物が成長し、高炉内のガス流れや原
料降下に異常を来すといった問題があった。従って、こ
のような鉄鋼製造工程で発生する鉄分及び炭素分含有ダ
ストを原料として製造した還元鉄ペレットの高炉での直
接使用においては、強度面に加え、亜鉛分の除去につい
ても考慮しなければならない。
て、鉄鋼製造工程で発生する鉄分及び炭素分含有ダスト
を用いることができれば、資源の再利用による廃棄物の
低減が図られ、環境面からも切に望まれるものである。
このような、ダスト類は、亜鉛分を含むことが多く、そ
のままの亜鉛含有量にて高炉で使用した場合、高炉炉壁
部にて亜鉛系の付着物が成長し、高炉内のガス流れや原
料降下に異常を来すといった問題があった。従って、こ
のような鉄鋼製造工程で発生する鉄分及び炭素分含有ダ
ストを原料として製造した還元鉄ペレットの高炉での直
接使用においては、強度面に加え、亜鉛分の除去につい
ても考慮しなければならない。
【0008】従って、製鋼製造工程で発生するダスト、
場合により亜鉛分を含むダストを原料として回転炉床法
で製造された還元鉄ペレットを、溶鉱炉で直接使用でき
るような高強度低亜鉛の還元鉄ペレットを製造するにあ
たり、回転炉床法の生産効率、経済性を最も向上させ得
る還元鉄ペレット製造のための還元炉操業技術が望まれ
ていた。
場合により亜鉛分を含むダストを原料として回転炉床法
で製造された還元鉄ペレットを、溶鉱炉で直接使用でき
るような高強度低亜鉛の還元鉄ペレットを製造するにあ
たり、回転炉床法の生産効率、経済性を最も向上させ得
る還元鉄ペレット製造のための還元炉操業技術が望まれ
ていた。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、 (1)回転炉床式焼成還元炉内にて、炭材及び酸化鉄の
混合原料を造粒したペレットを還元処理して還元鉄ペレ
ットを製造するにあたり、還元炉内の反応温度及び時間
を、下記で示されるような還元反応におけるペレット温
度の時間積分形式で計算される反応指標と消費炭素量と
の関係に基づいて適正に調整することを特徴とする還元
鉄ペレット製造における還元炉操業方法。 反応指標=∫exp(−Tr/Tt)dt (ただし、Trは定数、Ttは時間tでのペレット温
度)
混合原料を造粒したペレットを還元処理して還元鉄ペレ
ットを製造するにあたり、還元炉内の反応温度及び時間
を、下記で示されるような還元反応におけるペレット温
度の時間積分形式で計算される反応指標と消費炭素量と
の関係に基づいて適正に調整することを特徴とする還元
鉄ペレット製造における還元炉操業方法。 反応指標=∫exp(−Tr/Tt)dt (ただし、Trは定数、Ttは時間tでのペレット温
度)
【0010】(2)反応指標中の定数Trを1323K
とし、時間の単位として分を用いて計算した反応指標
が、2.8以上8.0以下になるような反応温度および
/または反応時間とすることを特徴とする前記(1)に
記載の還元鉄ペレット製造における還元炉操業方法。 (3)炭材及び酸化鉄の混合原料として、鉄鋼製造工程
で発生する鉄分及び炭素分含有ダストを用いることを特
徴とする前記(1)または(2)に記載の還元鉄ペレッ
ト製造における還元炉操業方法。
とし、時間の単位として分を用いて計算した反応指標
が、2.8以上8.0以下になるような反応温度および
/または反応時間とすることを特徴とする前記(1)に
記載の還元鉄ペレット製造における還元炉操業方法。 (3)炭材及び酸化鉄の混合原料として、鉄鋼製造工程
で発生する鉄分及び炭素分含有ダストを用いることを特
徴とする前記(1)または(2)に記載の還元鉄ペレッ
ト製造における還元炉操業方法。
【0011】(4)炭材及び酸化鉄の混合原料として、
鉄鋼製造工程で発生する鉄分及び炭素分含有ダストを用
いると共に、ダスト中に亜鉛分が含まれる場合におい
て、反応指標中のTrを1323Kとし、時間の単位と
して分を用いて計算した反応指標が、3.2以上8.0
以下になるような反応温度および/または反応時間とす
ることを特徴とする前記(1)に記載の還元鉄ペレット
製造における還元炉操業方法である。すなわち、本発明
においては、回転炉床法で製造した還元鉄ペレットを溶
鉱炉にて直接使用する目的にかなった高強度低亜鉛の還
元鉄ペレットの効率的かつ経済的な製造技術を提供する
ものである。
鉄鋼製造工程で発生する鉄分及び炭素分含有ダストを用
いると共に、ダスト中に亜鉛分が含まれる場合におい
て、反応指標中のTrを1323Kとし、時間の単位と
して分を用いて計算した反応指標が、3.2以上8.0
以下になるような反応温度および/または反応時間とす
ることを特徴とする前記(1)に記載の還元鉄ペレット
製造における還元炉操業方法である。すなわち、本発明
においては、回転炉床法で製造した還元鉄ペレットを溶
鉱炉にて直接使用する目的にかなった高強度低亜鉛の還
元鉄ペレットの効率的かつ経済的な製造技術を提供する
ものである。
【0012】
【発明の実施の形態】回転炉床内においては、石炭、コ
ークス、その他の炭素源及び粉鉱石、その他の酸化鉄等
を主体とした混合原料に、場合によりベントナイト等の
バインダーを添加したものを造粒機にて造粒したペレッ
ト(以下、生ペレットと称す)を、回転炉床内にて加熱
して、生ペレット内にて、 C+Fet O=CO+tFe CO+Fet O=CO2 +tFe の反応により、金属鉄を生じる。1000℃程度からこ
の反応が始まるが、1200℃以上では、反応が特に活
発になり、回転炉床の生産性が向上するため、一般的に
は、1200℃以上の反応温度で操業を行っている。
ークス、その他の炭素源及び粉鉱石、その他の酸化鉄等
を主体とした混合原料に、場合によりベントナイト等の
バインダーを添加したものを造粒機にて造粒したペレッ
ト(以下、生ペレットと称す)を、回転炉床内にて加熱
して、生ペレット内にて、 C+Fet O=CO+tFe CO+Fet O=CO2 +tFe の反応により、金属鉄を生じる。1000℃程度からこ
の反応が始まるが、1200℃以上では、反応が特に活
発になり、回転炉床の生産性が向上するため、一般的に
は、1200℃以上の反応温度で操業を行っている。
【0013】本発明者らは、図1に示す回転炉床の実験
炉において、種々の実験を行い、溶鉱炉での使用に耐え
うる高強度の還元ペレットの製造方法を研究した結果、
還元反応にて消費される炭素量を、ペレットの温度を時
間積分して計算した反応指標にて制御することができ、
所期の目的にあった高強度の還元鉄ペレットを経済的に
製造できることを見出した。
炉において、種々の実験を行い、溶鉱炉での使用に耐え
うる高強度の還元ペレットの製造方法を研究した結果、
還元反応にて消費される炭素量を、ペレットの温度を時
間積分して計算した反応指標にて制御することができ、
所期の目的にあった高強度の還元鉄ペレットを経済的に
製造できることを見出した。
【0014】図1において、1は発熱体であり、アルミ
ナ管2の炉床に置かれたアルミナボート3の上にペレッ
ト4を置いて上下方向から焼成する。アルミナ管の端部
は栓でふさがれており、栓の中央を貫通して窒素等の雰
囲気ガスを吹き込むガス管5が差し込まれている。6は
熱電対であり、レコーダー7を介して装置内の温度を予
定の温度に保っている。
ナ管2の炉床に置かれたアルミナボート3の上にペレッ
ト4を置いて上下方向から焼成する。アルミナ管の端部
は栓でふさがれており、栓の中央を貫通して窒素等の雰
囲気ガスを吹き込むガス管5が差し込まれている。6は
熱電対であり、レコーダー7を介して装置内の温度を予
定の温度に保っている。
【0015】本発明者らは、まず実験炉内の設定温度に
対し、ペレットがどのような温度上昇パターンをとる
か、生ペレットに熱電対をセットして実測した。その結
果図2に示す通り、ペレットが設定温度に到達するまで
の温度上昇パターンとして、昇温開始から設定温度へ近
づくにつれて徐々に昇温速度が低下し、滑らかに設定温
度まで上昇すること、及びこの昇温速度が設定温度の違
いにより、差があることを見出した。すなわち、還元炉
内での生ペレットの還元反応を定量的に制御するために
は、生ペレット自体の温度上昇パターンを十分考慮する
必要があることが判った。つまり、還元炉の設定温度が
一定条件でも、ペレットが設定温度に到達するまでに所
定時間かかるため、反応時間の比例のみで還元反応量を
単純に推定することができないということである。
対し、ペレットがどのような温度上昇パターンをとる
か、生ペレットに熱電対をセットして実測した。その結
果図2に示す通り、ペレットが設定温度に到達するまで
の温度上昇パターンとして、昇温開始から設定温度へ近
づくにつれて徐々に昇温速度が低下し、滑らかに設定温
度まで上昇すること、及びこの昇温速度が設定温度の違
いにより、差があることを見出した。すなわち、還元炉
内での生ペレットの還元反応を定量的に制御するために
は、生ペレット自体の温度上昇パターンを十分考慮する
必要があることが判った。つまり、還元炉の設定温度が
一定条件でも、ペレットが設定温度に到達するまでに所
定時間かかるため、反応時間の比例のみで還元反応量を
単純に推定することができないということである。
【0016】これに対し、本発明者らは、種々の反応温
度及び反応時間において、炭材及び酸化鉄の混合原料を
造粒したペレットを還元処理した結果、還元炉の設定温
度の違いにかかわらず、下記の式に示されるようなペレ
ットの温度を時間積分計算して得られた反応指標と、還
元反応にて消費される炭素量との間に強い相関があるこ
とを見出した。 反応指標=∫exp(−Tr/Tt)dt (ただし、Trは定数、Ttは時間tでのペレット温
度) さらに詳しくは、本実験条件においては、反応指標の計
算における定数Trを1323Kを用いることにより、
図3に示すごとく、極めて精度よく、反応指標と還元に
よる消費炭素量の相関関係を得ることができることを見
出した。
度及び反応時間において、炭材及び酸化鉄の混合原料を
造粒したペレットを還元処理した結果、還元炉の設定温
度の違いにかかわらず、下記の式に示されるようなペレ
ットの温度を時間積分計算して得られた反応指標と、還
元反応にて消費される炭素量との間に強い相関があるこ
とを見出した。 反応指標=∫exp(−Tr/Tt)dt (ただし、Trは定数、Ttは時間tでのペレット温
度) さらに詳しくは、本実験条件においては、反応指標の計
算における定数Trを1323Kを用いることにより、
図3に示すごとく、極めて精度よく、反応指標と還元に
よる消費炭素量の相関関係を得ることができることを見
出した。
【0017】また、図4に示すように、消費炭素量と還
元鉄ペレットの圧潰強度との関係より、消費炭素量が1
0%を越えると、還元鉄ペレットの圧潰強度が、溶鉱炉
装入に必要な50kgf/cm2 以上が得られることか
ら、図3において反応指標の計算値が2.8以上となる
ような反応温度及び/または反応時間を設定すること
で、消費炭素量が10%以上となり、圧潰強度50kg
f/cm2 以上の高強度還元鉄ペレットの製造が可能で
あることを見出した。また、反応指標の計算値が8.0
以上では、炭素の消費量が殆ど変化せず、ほぼ飽和状態
となっていると考えてよいため、反応指標の上限の目安
は8.0とすることが妥当である。
元鉄ペレットの圧潰強度との関係より、消費炭素量が1
0%を越えると、還元鉄ペレットの圧潰強度が、溶鉱炉
装入に必要な50kgf/cm2 以上が得られることか
ら、図3において反応指標の計算値が2.8以上となる
ような反応温度及び/または反応時間を設定すること
で、消費炭素量が10%以上となり、圧潰強度50kg
f/cm2 以上の高強度還元鉄ペレットの製造が可能で
あることを見出した。また、反応指標の計算値が8.0
以上では、炭素の消費量が殆ど変化せず、ほぼ飽和状態
となっていると考えてよいため、反応指標の上限の目安
は8.0とすることが妥当である。
【0018】さらに、発明者らは、混合原料として鉄鋼
製造工程で発生する鉄分、炭素及び亜鉛分を含有するダ
ストを用いて、当該反応指標と還元鉄ペレットの脱亜鉛
率との関係を調査する実験を行った。この結果、図5に
示すとおり、反応指標の計算値が3.2に達するまで脱
亜鉛率が急激に上昇し、3.2以上で徐々に脱亜鉛率が
飽和に近づくことを見出した。従って、原料ダストから
の亜鉛の除去を効率的に行うためには、反応指標の計算
値が3.2以上となるような反応温度及び/または反応
時間を設定することが望ましいことを見出した。
製造工程で発生する鉄分、炭素及び亜鉛分を含有するダ
ストを用いて、当該反応指標と還元鉄ペレットの脱亜鉛
率との関係を調査する実験を行った。この結果、図5に
示すとおり、反応指標の計算値が3.2に達するまで脱
亜鉛率が急激に上昇し、3.2以上で徐々に脱亜鉛率が
飽和に近づくことを見出した。従って、原料ダストから
の亜鉛の除去を効率的に行うためには、反応指標の計算
値が3.2以上となるような反応温度及び/または反応
時間を設定することが望ましいことを見出した。
【0019】以上のような定数Tr及び反応指標の目標
値を設定することにより、回転炉床式焼成還元炉によ
り、かなり精度よく初期の目的である高強度低亜鉛の還
元鉄ペレットを効率的かつ経済的に製造することができ
るが、還元炉により炉内設定温度と実際のペレット温度
との関係に微妙な違いがあるため、実際にペレットの温
度を測定するなどにより、定数Trや反応指標の目標値
を調整して使用することも可能である。
値を設定することにより、回転炉床式焼成還元炉によ
り、かなり精度よく初期の目的である高強度低亜鉛の還
元鉄ペレットを効率的かつ経済的に製造することができ
るが、還元炉により炉内設定温度と実際のペレット温度
との関係に微妙な違いがあるため、実際にペレットの温
度を測定するなどにより、定数Trや反応指標の目標値
を調整して使用することも可能である。
【0020】本発明の実験による還元鉄ペレットの反応
の進行状況を確認するために、実験を行った還元鉄ペレ
ットの組織分析を行ったところ、反応指標の目標値以上
の条件で反応を行った高強度の還元鉄ペレットでは、還
元反応が進み、金属鉄がペレット全体に分布しており、
金属鉄のネットワークにより強度が発現していることを
見出した。一方、反応指標の目標値に達しない条件で反
応を行った還元鉄ペレットは、還元鉄ペレット内での金
属鉄の存在比率が低く、ネットワークの形成が不十分で
あり、強度の発現がなされていなかった。
の進行状況を確認するために、実験を行った還元鉄ペレ
ットの組織分析を行ったところ、反応指標の目標値以上
の条件で反応を行った高強度の還元鉄ペレットでは、還
元反応が進み、金属鉄がペレット全体に分布しており、
金属鉄のネットワークにより強度が発現していることを
見出した。一方、反応指標の目標値に達しない条件で反
応を行った還元鉄ペレットは、還元鉄ペレット内での金
属鉄の存在比率が低く、ネットワークの形成が不十分で
あり、強度の発現がなされていなかった。
【0021】以上より、回転炉床法にて、炭材及び酸化
鉄の混合原料を造粒したペレットを還元処理して還元鉄
ペレットを製造するにあたり、還元炉内の反応温度及び
時間を、下記で示されるような還元反応におけるペレッ
ト温度の時間積分形式で計算される反応指標と消費炭素
量との関係に基づいて適正に調整することにより、圧潰
強度50kgf/cm2 以上の高強度還元鉄ペレットを
効率的かつ経済的に製造でき、これを溶鉱炉で直接使用
できることを、本発明者らは見出した。 反応指標=∫exp(−Tr/Tt)dt (ただし、Trは定数、Ttは時間tでのペレット温
度)
鉄の混合原料を造粒したペレットを還元処理して還元鉄
ペレットを製造するにあたり、還元炉内の反応温度及び
時間を、下記で示されるような還元反応におけるペレッ
ト温度の時間積分形式で計算される反応指標と消費炭素
量との関係に基づいて適正に調整することにより、圧潰
強度50kgf/cm2 以上の高強度還元鉄ペレットを
効率的かつ経済的に製造でき、これを溶鉱炉で直接使用
できることを、本発明者らは見出した。 反応指標=∫exp(−Tr/Tt)dt (ただし、Trは定数、Ttは時間tでのペレット温
度)
【0022】
【実施例】本発明で得られた操業条件において、回転炉
床法にて操業条件を適正に行った結果、以下に示される
高強度の還元鉄ペレットを製造でき、溶鉱炉で使用する
ことができた。
床法にて操業条件を適正に行った結果、以下に示される
高強度の還元鉄ペレットを製造でき、溶鉱炉で使用する
ことができた。
【0023】
【発明の効果】本発明の回転炉床法により、炭材及び酸
化鉄の混合原料を造粒したペレットを還元処理して還元
鉄ペレットを製造するにあたり、還元炉内の反応温度及
び時間を、還元反応におけるペレット温度の時間積分形
式で計算される反応指標と消費炭素量との関係に基づい
て適正に調整することにより、圧潰強度50kgf/c
m2 以上の高強度還元鉄ペレットが製造でき、これを溶
鉱炉で直接使用できることとなり、還元ペレットを溶鉱
炉にて直接使用するという目的にかなった高強度の還元
鉄ペレットの効率的かつ経済的な製造技術を提供可能と
なった。
化鉄の混合原料を造粒したペレットを還元処理して還元
鉄ペレットを製造するにあたり、還元炉内の反応温度及
び時間を、還元反応におけるペレット温度の時間積分形
式で計算される反応指標と消費炭素量との関係に基づい
て適正に調整することにより、圧潰強度50kgf/c
m2 以上の高強度還元鉄ペレットが製造でき、これを溶
鉱炉で直接使用できることとなり、還元ペレットを溶鉱
炉にて直接使用するという目的にかなった高強度の還元
鉄ペレットの効率的かつ経済的な製造技術を提供可能と
なった。
【図1】本発明の実験に用いた電気炉焼成還元装置の概
略図、
略図、
【図2】本発明の実験結果による還元炉内での時間経過
によるペレット温度測定値を示す図、
によるペレット温度測定値を示す図、
【図3】本発明の実験結果による反応指標と還元による
消費炭素量の関係を示した相関図、
消費炭素量の関係を示した相関図、
【図4】本発明の実験結果による消費炭素量と還元鉄ペ
レットの圧潰強度との関係を示した相関図、
レットの圧潰強度との関係を示した相関図、
【図5】本発明の実験結果による反応指標と還元鉄ペレ
ットの脱亜鉛率との関係を示した相関図である。
ットの脱亜鉛率との関係を示した相関図である。
1 発熱体 2 アルミナ管 3 アルミナボート 4 ペレット 5 雰囲気ガス導入管 6 熱電対 7 レコーダー
Claims (4)
- 【請求項1】 回転炉床式焼成還元炉内にて、炭材及び
酸化鉄の混合原料を造粒したペレットを還元処理して還
元鉄ペレットを製造するにあたり、還元炉内の反応温度
及び時間を、下記で示されるような還元反応におけるペ
レット温度の時間積分形式で計算される反応指標と消費
炭素量との関係に基づいて適正に調整することを特徴と
する還元鉄ペレット製造における還元炉操業方法。 反応指標=∫exp(−Tr/Tt)dt (ただし、Trは定数、Ttは時間tでのペレット温
度) - 【請求項2】 反応指標中の定数Trを1323Kと
し、時間の単位として分を用いて計算した反応指標が、
2.8以上8.0以下になるような反応温度および/ま
たは反応時間とすることを特徴とする請求項1に記載の
還元鉄ペレット製造における還元炉操業方法。 - 【請求項3】 炭材及び酸化鉄の混合原料として、鉄鋼
製造工程で発生する鉄分及び炭素分含有ダストを用いる
ことを特徴とする請求項1または2に記載の還元鉄ペレ
ット製造における還元炉操業方法。 - 【請求項4】 炭材及び酸化鉄の混合原料として、鉄鋼
製造工程で発生する鉄分及び炭素分含有ダストを用いる
と共に、ダスト中に亜鉛分が含まれる場合において、反
応指標中のTrを1323Kとし、時間の単位として分
を用いて計算した反応指標が、3.2以上8.0以下に
なるような反応温度および/または反応時間とすること
を特徴とする請求項1に記載の還元鉄ペレット製造にお
ける還元炉操業方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21907398A JP2000054034A (ja) | 1998-08-03 | 1998-08-03 | 還元鉄ペレット製造における還元炉操業方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21907398A JP2000054034A (ja) | 1998-08-03 | 1998-08-03 | 還元鉄ペレット製造における還元炉操業方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000054034A true JP2000054034A (ja) | 2000-02-22 |
Family
ID=16729847
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP21907398A Pending JP2000054034A (ja) | 1998-08-03 | 1998-08-03 | 還元鉄ペレット製造における還元炉操業方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2000054034A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6986801B2 (en) | 2001-09-14 | 2006-01-17 | Nippon Steel Corporation | Method of producing reduced iron compacts in rotary hearth-type reducing furnace, reduced iron compacts, and method of producing molten iron using them |
US7037356B2 (en) | 2000-11-10 | 2006-05-02 | Nippon Steel Corporation | Method for operating rotary hearth type reducing furnace and rotary hearth type reducing furnace facilities |
WO2016185801A1 (ja) * | 2015-05-18 | 2016-11-24 | 物産フードサイエンス株式会社 | 修飾キシロポリサッカライドの製造方法 |
JP2024519059A (ja) * | 2021-05-18 | 2024-05-08 | アルセロールミタル | 直接還元鉄を製造するための方法 |
-
1998
- 1998-08-03 JP JP21907398A patent/JP2000054034A/ja active Pending
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7037356B2 (en) | 2000-11-10 | 2006-05-02 | Nippon Steel Corporation | Method for operating rotary hearth type reducing furnace and rotary hearth type reducing furnace facilities |
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JP2016216552A (ja) * | 2015-05-18 | 2016-12-22 | 国立大学法人信州大学 | 修飾キシロポリサッカライドの製造方法 |
CN107614535A (zh) * | 2015-05-18 | 2018-01-19 | 物产食品科技股份有限公司 | 改性多聚木糖的制造方法 |
US10858685B2 (en) | 2015-05-18 | 2020-12-08 | B Food Science Co., Ltd. | Method for producing modified xylopolysaccharide |
JP2024519059A (ja) * | 2021-05-18 | 2024-05-08 | アルセロールミタル | 直接還元鉄を製造するための方法 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Effective date: 20040914 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 |
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A521 | Written amendment |
Effective date: 20041112 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 |
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A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20050301 |
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A02 | Decision of refusal |
Effective date: 20050628 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 |