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JP2000016877A - 炭化ケイ素接合体の製造方法 - Google Patents

炭化ケイ素接合体の製造方法

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Publication number
JP2000016877A
JP2000016877A JP3329399A JP3329399A JP2000016877A JP 2000016877 A JP2000016877 A JP 2000016877A JP 3329399 A JP3329399 A JP 3329399A JP 3329399 A JP3329399 A JP 3329399A JP 2000016877 A JP2000016877 A JP 2000016877A
Authority
JP
Japan
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silicon carbide
silicon
sintered body
carbide sintered
metal
Prior art date
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Pending
Application number
JP3329399A
Other languages
English (en)
Inventor
Fumio Odaka
文雄 小高
Taro Miyamoto
太郎 宮本
Keichi Takahashi
佳智 高橋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Bridgestone Corp
Original Assignee
Bridgestone Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Bridgestone Corp filed Critical Bridgestone Corp
Priority to JP3329399A priority Critical patent/JP2000016877A/ja
Publication of JP2000016877A publication Critical patent/JP2000016877A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い接合強度を有する大型の炭化ケイ素焼結
体を容易に製造し得る方法を提供することである。 【解決手段】 遊離炭素含有率が2〜10重量%の2
以上の炭化ケイ素焼結体の面間に、純度98%以上のシ
リコン金属を該面に接するように挟持させる工程と、シ
リコン金属を挟持する炭化ケイ素焼結体を高温加熱する
加熱工程とを含む炭化ケイ素接合体の製造方法である。
好ましくは、シリコン金属の量が、k×{炭化ケイ素接
合体の接合面表面積(cm2 )}×{炭化ケイ素焼結体
中の遊離炭素重量%}(g)(kは0.08〜0.12
である。)である炭化ケイ素接合体の製造方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は炭化ケイ素接合体の
製造方法に関し、より詳細には、接合材による汚染がな
く、半導体プロセス等の装置用の部品として使用し得る
高純度の炭化ケイ素接合体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ウエハ治具用の部品としては、石
英からなる部品を用いていた。しかし、ウエハの処理時
間を短縮化するためにウエハを高温処理したり、フッ酸
等の薬液で洗浄すると、部品の石英が熱変形したり、変
質することがあり、ウエハの処理時間を短縮化する上で
問題があった。このような問題を解決する方法として、
高温強度性、耐熱性、耐摩耗性、耐薬品性に優れている
炭化ケイ素焼結体(セラミックス)からなる部品を用い
る方法が種々提案されている。
【0003】また、近年のウエハの大型化に対応して、
治具用の部品もウエハの大きさに合せて大型化する必要
がある。一体成形により大型部品を作製すると、形状上
や工程上の制約がある。種々の部品を接合することによ
り大型部品を作製できれば、制約もなくなり、種々のウ
エハの大きさに適した治具用の部品を提供することがで
きる。セラミックスの炭化ケイ素接合体を製造する方法
としては、セラミックスより低融点の金属もしくは金属
酸化物を接合材として用い、接合材をセラミックスとセ
ラミックスとの間に介在させ、接合部に圧力をかけなが
ら接合材を加熱溶融させ、接合材をセラミックス中に浸
透させる方法が一般的である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記方法によ
り得られたセラミックス接合体は、高温条件下で使用す
ると、接合材として使用した低融点の金属または金属酸
化物が、セラミックス炭化ケイ素接合体に接触している
他の物体へ拡散移動するため、高い清浄度が要求される
系への使用には制限があった。
【0005】本発明は、前記問題点に鑑みなされたもの
であって、高い接合強度を有する大型の炭化ケイ素接合
体を容易に製造し得る方法を提供することにある。ま
た、他の部材を汚染することがなく、高い清浄度が要求
される系においても使用可能な高純度炭化ケイ素接合体
の製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は鋭意研究を
重ねた結果、接合材として用いるシリコン金属と炭化ケ
イ素から生じる遊離炭素とを反応させ、シリコン金属を
炭化ケイ素に変化させれば、強固に接合された炭化ケイ
素接合体が得られることを見出し、この知見と炭化ケイ
素焼結体の接合処理に関する知見とから本発明を完成す
るに至った。
【0007】即ち、本発明は、遊離炭素含有率が2〜1
0重量%の炭化ケイ素焼結体の接合面間に、純度98%
以上のシリコン金属を炭化ケイ素焼結体の接合面に接す
るように挟持させる工程と、シリコン金属を挟持する該
炭化ケイ素焼結体を高温加熱する加熱工程、とを含む炭
化ケイ素接合体の製造方法により解決する。
【0008】シリコン金属は炭化ケイ素より融点が低い
ので、高温加熱により溶融し、炭化ケイ素焼結体中に浸
透する。炭化ケイ素焼結体中に溶融浸透したシリコン金
属は、炭化ケイ素焼結体から生じる遊離炭素と反応して
炭化ケイ素に変化する。その結果、炭化ケイ素焼結体は
強固に接合される。
【0009】さらに、接合材として用いるシリコン金属
の量を一定の範囲内にすることにより、接合面のシリコ
ン金属の残留を防止することができ、より高純度で、よ
り高い接合強度を有する炭化ケイ素接合体を製造するこ
とができる。また、接合時の温度条件、昇温条件を一定
の範囲にすることにより、より効率的かつ安定的に、接
合強度の高い、高純度の炭化ケイ素接合体を製造するこ
とができる。さらに、用いる炭化ケイ素焼結体の密度、
気孔率、表面粗度、一定の範囲とすることにより、力学
的特性、電気特性、耐熱性等の炭化ケイ素接合体の種々
の特性を向上させることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の炭化ケイ素接合体の製造
方法には、遊離炭素含有率が2〜10重量%の炭化ケイ
素焼結体を使用する。このような炭化ケイ素焼結体は、
炭化ケイ素粉末と、非金属系焼結助剤との混合物を焼成
することにより得られる。まず、炭化ケイ素粉末につい
て説明する。炭化ケイ素粉末としては、α型、β型、非
晶質、あるいはこれらの混合物等を広く用いることがで
き、市販品を用いてもよい。中でもβ型炭化ケイ素粉末
が好適に用いられる。炭化ケイ素焼結体を高密度化する
ためには、用いる炭化ケイ素粉末の粒径は小さいほうが
よい。好ましくは0.01〜10μm程度、より好まし
くは0.05〜2μmである。粒径が0.01μm未満
であると、計量、混合等の処理工程における取り扱いが
困難となり、一方10μmを超えると、粉体の比表面
積、即ち、隣接する粉体との接触面積が小さくなり、高
密度化が困難となるので好ましくない。
【0011】高純度の炭化ケイ素粉末を用いると、得ら
れる炭化ケイ素焼結体も高純度になるので好ましい。高
純度の炭化ケイ素粉末は、例えば、ケイ素化合物(以下
「ケイ素源」という場合がある。)と、加熱により炭素
を発生する有機材料と、Z重合触媒または架橋触媒とを
混合し、得られた固形物を非酸化性雰囲気中で焼成する
ことにより製造することができる。ケイ素源としては、
液状、および固体状の化合物を広く用いることができる
が、少なくとも液状の化合物を1種以上用いる。液状の
ケイ素源としては、アルコキシシラン(モノ−、ジ−、
トリ−、テトラ−)の重合体等が挙げられる。アルコキ
シシランの重合体の中では、テトラアルコキシシランの
重合体が好適に用いられる。具体的には、メトキシシラ
ン、エトキシシラン、プロピロキシシラン、ブトキシシ
ラン等が挙げられるが、ハンドリングの点からはエトキ
シシランが好ましい。テトラアルコキシシラン重合体の
重合度は2〜15程度であると液状の低分子量重合体
(オリゴマー)となる。その他、重合度が高いケイ酸ポ
リマーで液状のものもある。液状のケイ素源と併用可能
な固体状のケイ素源としては、炭化ケイ素が挙げられ
る。ここにいう炭化ケイ素には、一酸化ケイ素(Si
O)、二酸化ケイ素(SiO2 )の他、シリカゾル(コ
ロイド状超微細シリカ含有液であって、コロイド分子内
にOH基やアルコキシ基を含有するもの)、微細シリ
カ、石英粉体等も含まれる。これらのケイ素源の中で
も、均質性やハンドリング性が良好であるテトラアルコ
キシシランのオリゴマー、またはテトラアルコキシシラ
ンのオリゴマーと微粉体シリカとの混合物等が好まし
い。また、これらのケイ素源は高純度であることが好ま
しく、具体的には初期の不純物含有量が20ppm以下
であるのが好ましく、5ppm以下であるのがさらに好
ましい。
【0012】加熱により炭素を生成する有機材料として
は、液状のものの他、液状のものと固体状のものを併用
することもできる。残炭率が高く、かつ触媒あるいは加
熱により重合または架橋する有機材料が好ましい。具体
的には、フェノール樹脂、フラン樹脂、ポリイミド、ポ
リウレタン、ポリビニルアルコール等のモノマー、およ
びプレポリマーが好ましい。その他、セルロース、しょ
糖、ピッチ、タール等の液状物も用いられる。中でもレ
ゾール型フェノール樹脂が、熱分解性および純度の点で
好ましい。有機材料の純度は、目的に応じて適宜、制御
すればよい。特に高純度の炭化ケイ素粉末が必要な場合
は、不純物元素の含有量が各々5ppm未満である有機
材料を用いるのが好ましい。
【0013】ケイ素源と有機材料の配合比率は、炭素と
ケイ素のモル比(以下「C/Si」と略記する。)を目
安に好ましい範囲をあらかじめ決定することができる。
ここにいうC/Siとは、ケイ素源と有機材料との混合
物を1000℃にて炭化した炭化ケイ素中間体を元素分
析し、その分析値より得られるC/Siである。炭素
は、以下の反応式で表わされるように、酸化ケイ素と反
応し、炭化ケイ素に変化する。 式(I) SiO2 + 3C → SiC + 2C
O 従って、化学量論的には、C/Siが3.0であると、
炭化ケイ素中間体中の遊離炭素は0%になるが、実際に
はSiOガス等が揮散するため、C/Siがより低い値
であっても遊離炭素が発生する。遊離炭素は粒成長を抑
制する効果を有するので、目的とする粉末粒子の粒径に
応じて、C/Siを決定し、その比となるようにケイ素
源と有機材料とを配合すればよい。例えば、約1気圧、
1600℃以上で、ケイ素源と有機材料との混合物を焼
成する場合、C/Siが2.0〜2.5の範囲になるよ
うに配合すると、遊離炭素の発生を抑制することができ
る。同条件で、C/Siが2.5を超えるように配合す
ると、遊離炭素の発生が顕著となり、粒子の小さな炭化
ケイ素粉末が得られる。このように、目的に応じて、配
合比率を適宜決定することができる。尚、炭化ケイ素粉
末に起因する遊離炭素の作用および効果は、焼結助剤か
ら生じる遊離炭素の作用および効果と比較して非常に弱
いので、炭化ケイ素粉末に起因する遊離炭素は、本発明
の効果には本質的に影響しないものである。
【0014】また、炭化ケイ素粉末に含まれる不純物炭
素は、約30重量%以上約40重量%以下であるのが好
ましい。炭化ケイ素(SiC)の炭素含有量は理論的に
は約30重量%であるが、非炭素系不純物を含有する場
合は30重量%より減少し、炭素系不純物を含有する場
合は30重量%より増加する。前記のように有機材料を
添加し、焼成することにより得られた炭化ケイ素粉末
は、炭素系不純物を含有するので、炭素の含有量は30
重量%より大きくなる。従って、炭化ケイ素粉末中の炭
素含有量が30重量%未満であると、非炭素系不純物の
割合が高いこととなり、純度の点で好ましくない。一
方、40重量%を超えると、得られる炭化ケイ素焼結体
の密度が低下し、強度、耐酸化性等の点で好ましくな
い。
【0015】ケイ素源と有機材料との混合物を硬化さ
せ、固形物にすることもできる。硬化の方法としては、
加熱による架橋反応を利用する方法、硬化触媒により硬
化する方法、電子線や放射線を利用する方法等がある。
用いる硬化触媒は、用いる有機材料に応じて適宜選択で
きるが、フェノール樹脂、フラン樹脂を有機材料に用い
た場合は、トルエンスルホン酸、トルエンカルボン酸、
酢酸、蓚酸、塩酸、硫酸等の酸類、ヘキサミン等のアミ
ン類等が挙げられる。ケイ素源と有機材料を含有する固
形物は、必要に応じ加熱炭化される。炭化は、窒素また
はアルゴン等の非酸化性雰囲気中800℃〜1000℃
にて30〜120分間加熱することにより行われる。さ
らに、非酸化性雰囲気中1350℃〜2000℃で加熱
すると炭化ケイ素が生成する。焼成温度と焼成時間は、
得られる炭化ケイ素粉末の粒径等に影響するので、適宜
決定すればよいが、1600〜1900℃で焼成すると
効率的で好ましい。以上に説明した高純度の炭化ケイ素
粉末を得る方法は、特開平9−48605号明細書によ
り詳細に記載されている。
【0016】次に非金属系焼結助剤について説明する。
本発明に用いられる炭化ケイ素焼結体は、遊離炭素2〜
10重量%のものである。この遊離炭素は、非金属系焼
結助剤に用いられる有機材料に起因するものであり、非
金属系焼結助剤の添加量等の添加条件を調整することに
より遊離炭素量を前記範囲にすることができる。
【0017】非金属系焼結助剤としては、前記したよう
に遊離炭素源となり得る、即ち加熱により炭素を生じる
有機材料(以下「炭素源」という場合がある。)を含有
するものを用いる。前記有機材料を単独で、または前記
有機材料を炭化ケイ素粉末(粒径:約0.01〜1ミク
ロン)表面に被覆させたものを焼結助剤として用いても
よいが、効果の点からは、有機材料を単独で用いるのが
好ましい。加熱により炭素を生成する有機材料として
は、具体的には、残炭化率の高いコールタールピッチ、
ピッチタール、フェノール樹脂、フラン樹脂、エポキシ
樹脂、フェノキシ樹脂の他、各種糖類、例えば、グルコ
ース等の単糖類、しょ糖等の小糖類、セルロース、でん
ぷん等の多糖類等が挙げられる。有機材料を炭化ケイ素
粉末と均質に混合するには、有機材料は常温で液状のも
の、溶媒に溶解するもの、または熱可塑性、熱融解性を
有する等加熱により軟化するものが好ましい。中でも、
フェノール樹脂を用いると炭化ケイ素焼結体の強度が向
上するので好ましく、さらにレゾール型フェノール樹脂
が好ましい。これらの有機材料の作用機構は明確にはな
っていないが、有機材料は加熱されると系中にカーボン
ブラック、グラファイトの如き無機炭素系化合物を生成
する。この無機炭素系化合物が焼結助剤として有効に作
用しているものと考えられる。但し、カーボンブラック
等を焼結助剤として用いても、同様な効果は得られな
い。
【0018】非金属系焼結助剤は、所望により有機溶媒
に溶解し、その溶液と炭化ケイ素粉末を混合してもよ
い。使用する有機溶媒は、非金属系焼結助剤により異な
り、例えば、焼結助剤としてフェノール樹脂を用いる場
合は、エチルアルコール等の低級アルコール類、エチル
エーテル、アセトン等を選択することができる。高純度
の炭化ケイ素焼結体を作製する場合は、高純度の炭化ケ
イ素粉末を使用するのみならず、焼結助剤および有機溶
媒も不純物含有量の少ないものを用いるのが好ましい。
【0019】非金属系焼結助剤の炭化ケイ素粉末に対す
る添加量は、炭化ケイ素焼結体の遊離炭素が2〜10重
量%になるように決定する。遊離炭素がこの範囲外であ
ると、接合処理中に進行するSiCへの化学変化、およ
び炭化ケイ素焼結体間の接合が不十分となる。ここで、
遊離炭素の含有率(重量%)は、炭化ケイ素焼結体を酸
素雰囲気下において、800℃で8分間加熱し、発生し
たCO2 、COの量を炭素分析装置で測定し、その測定
値から算出することができる。焼結助剤の添加量は、用
いる焼結助剤の種類および炭化ケイ素粉末の表面シリカ
(酸化ケイ素)量によって異なる。添加量を決定する目
安としては、あらかじめ炭化ケイ素粉末の表面シリカ
(酸化ケイ素)量を弗化水素水を用いて定量し、この酸
化ケイ素を還元するのに十分な化学量論(式(I)で算
出される化学量論)を算出する。これと、非金属系焼結
助剤が加熱により炭素を生成する割合を考慮し、遊離炭
素が前記の適する範囲となるように添加量を決定するこ
とができる。以上に説明した炭化ケイ素焼結体の非金属
系焼結助剤についての説明は、特願平9−041048
号明細書中により詳細に記載されている。
【0020】次に、炭化ケイ素粉末と非金属系焼結助剤
の混合物を焼結する方法について説明する。炭化ケイ素
粉末と非金属系焼結助剤は均質に混合する。均質の混合
物を得るために、前記したように焼結助剤を有機溶媒に
溶解した溶液を用いてもよい。混合方法としては、公知
の方法、例えば、ミキサー、遊星ボールミル等を用いる
方法が挙げられる。混合に使用する器具は、金属元素不
純物の混入を防止するため、合成樹脂素材のものを用い
るのが好ましい。混合は10〜30時間程度、特に16
〜24時間程度行い、十分に混合するのが好ましい。十
分に混合した後、溶媒を除去し、混合物を蒸発乾固させ
る。その後、篩にかけて混合物の原料粉体を得る。乾燥
には、スプレードライヤー等の造粒装置を使用してもよ
い。
【0021】このようにして得られた原料粉体は、成形
金型中に配置される。使用する成形金型が黒鉛製のもの
であると、金属不純物が炭化ケイ素焼結体中に混入しな
いので好ましい。金属製の成形金型であっても、原料粉
体と金型の金属部とが直接接触しないように、接触部を
黒鉛製とするか、または接触部にテフロンシートを介在
させれば、好適に使用できる。特に、高純度の炭化ケイ
素焼結体を製造したい場合は、金型、および炉内の断熱
材等には高純度の黒鉛材料を用いるのが好ましい。具体
的には、2500℃以上の温度で、あらかじめ十分にベ
ーキング処理され、高温使用しても不純物の発生がない
黒鉛材料等が挙げられる。
【0022】成形金型中に配置された原料粉体は、ホッ
トプレス加工を施される。ホットプレスの圧力について
は特に制約はなく、300〜700kgf/cm2 の広
い範囲の圧力により行うことができる。但し、400k
gf/cm2 以上で加圧する場合は、ホットプレス用の
部品、例えば、ダイス、パンチ等は耐圧性に優れたもの
を用いる必要がある。
【0023】ホットプレスは、2000℃〜2400℃
にて行うが、このホットプレス加工温度までの昇温は穏
やかに、かつ段階的に行うのが好ましい。このように昇
温すると、各々の温度で生じる化学変化、状態変化等を
十分に進行させることができ、その結果、不純物混入や
亀裂および空孔の発生を防止することができる。好まし
い昇温工程の一例を以下に示す。まず、5〜10gの原
料粉体をいれた成形金型を炉内に配置し、炉内を10-4
torrの真空状態にする。室温から200℃まで穏や
かに昇温し、約30分間200℃に保つ。その後、70
0℃まで6〜10時間で昇温し、2〜5時間700℃に
保つ。室温から700℃までの昇温工程で、吸着水分や
有機溶媒の脱離が起こり、また、非金属系焼結助剤の炭
化も進行する。一定温度の保持時間は、炭化ケイ素焼結
体のサイズによって異なり、適宜好適な時間に設定すれ
ばよい。また、保持時間が十分であるか否かの判断は、
真空度の低下がある程度少なくなる時点を目安にするこ
とができる。次に、700℃〜1500℃まで6〜9時
間で昇温し、1〜5時間程1500℃に保持する。15
00℃に保持している間、酸化ケイ素が還元され炭化ケ
イ素に変化する反応が進行する(式(I))。保持時間
が不十分であると、二酸化ケイ素が残留し、炭化ケイ素
粉末表面に付着するので、粒子の緻密化を妨げ、大粒の
成長原因となるので好ましくない。保持時間が十分であ
るか否かの判断は、副生成物である一酸化炭素の発生が
停止しているかを目安に、即ち、真空度の低下がおさま
り、還元反応開始温度である1300℃の真空度まで回
復しているかを目安にすることができる。
【0024】ホットプレスは、焼結が開始する1500
℃程度まで炉内を昇温し、次に炉内を非酸化性雰囲気と
するために、不活性ガスを充填した後行うのが好まし
い。不活性ガスとしては、窒素ガス、あるいはアルゴン
ガス等が用いられるが、高温においても非反応性である
アルゴンガスを用いるのが好ましい。高純度炭化ケイ素
焼結体を製造したい場合は、不活性ガスも高純度のもの
を用いる。炉内を非酸化性雰囲気とした後、温度が20
00℃〜2400℃、圧力が300〜700kgf/c
2 となるように炉内を加熱および加圧する。最高温度
が2000℃未満であると、高密度化が不十分となる。
一方、最高温度が2400℃を超えると、粉体もしく成
形体原料が昇華(分解)する虞があるため好ましくな
い。1500℃近傍〜最高温度までの昇温は2〜4時間
かけて行い、最高温度で1〜3時間保持するのが好まし
い。1850〜1900℃で焼結は急速に進行し、最高
温度保持時間中に焼結が完了する。また加圧条件が、3
00kgf/cm2 未満であると高密度化が不十分とな
り、700kgf/cm2 を超えると黒鉛製の成形金型
が破損することもあり、製造効率上好ましくない。圧力
はを異常粒が成長するのを抑えるために、300kgf
/cm2 〜700kgf/cm2 程度で加圧するのが好
ましい。
【0025】用いる炭化ケイ素焼結体は、高密度化され
ていて、密度が2.9g/cm3 以上、気孔率が1%以
下であると好ましく、密度が3.0g/cm3 以上、気
孔率が0.8%以下であると特に好ましい。高密度化さ
れた炭化ケイ素焼結体を用いると、得られる炭化ケイ素
接合体の曲げ強度、破壊強度等の力学的特性、および電
気的物性が向上する。また、高密度化された炭化ケイ素
焼結体を用いると、構成粒子が小粒化されているので汚
染性の点でも好ましい。一方、低密度の、例えば多孔性
の炭化ケイ素焼結体を用いると、炭化ケイ素接合体の耐
熱性、耐酸化性、耐薬品性、および機械的強度が劣り、
また接合強度が不十分となる場合もある。
【0026】炭化ケイ素焼結体を高密度化する方法とし
て、焼結工程に先立って予め成形工程を実施する方法が
ある。この成形工程は、焼結工程と比較して低温低圧で
行われるものである。この焼結工程を実施すると、嵩の
ある粉体を予めコンパクト(小容量化)にできるので、
この工程を何度も繰り返すことによって、大型の成形体
が製造しやすくなる。焼結工程に先立って予め実施され
る成形工程の諸条件の一例を以下に示す。炭化ケイ素粉
末と非金属系焼結助剤とを、均質に混合して得られた原
料粉体を成形金型内に配置し、温度80℃〜300℃、
好ましくは120℃〜140℃、圧力50kgf/cm
2 〜100kgf/cm2 で5〜60分間、好ましくは
20〜40分間プレスし、成形体を得る。加熱温度は非
金属系焼結助剤の特性に応じて、適宜決定すればよい。
得られる成形体の密度は、平均粒径1μm程度の粉体を
用いた場合は1.8g/cm2 以上となるように、また
平均粒径0.5μmの粉体を用いた場合は1.5g/c
2 となるようにプレスするのが好ましい。用いる成形
体の密度がこの範囲であると、炭化ケイ素焼結体の高密
度化が容易となるので好ましい。得られた成形体が焼結
工程に用いる成形金型に適合するように、成形体に切削
加工を施してもよい。
【0027】本発明に用いる炭化ケイ素焼結体中の不純
物元素(1989年IUPAC無機化学命名法改訂版の
元素周期表において、C、N、O、Siを除く、原子番
号3以上の元素)の総含有量は5ppm以下であると、
高い清浄度が要求されるプロセス、例えば、半導体製造
プロセス等にも使用し得るので好ましい。より好ましく
は3ppm以下、特に好ましくは1ppm以下である。
但し、化学的分析による不純物含有量は、実際に使用す
る場合の参考値としての意味を有するに過ぎない。例え
ば、不純物含有量は同一であっても、不純物が均一に分
布しているか、局所的に偏在しているかによってその炭
化ケイ素接合体に対する汚染性の評価は異なる場合もあ
る。尚、以上に具体的に例示した材料、および例示した
焼結方法を用いれば、不純物含有量1ppm以下の炭化
ケイ素焼結体が得られる。また、炭化ケイ素焼結体の不
純物元素含有量を減少させるには、用いる原料(例え
ば、炭化ケイ素粉末と非金属系焼結助剤)、および不活
性ガスに含まれる不純物元素含有量を1ppm以下にし
たり、焼結時間、温度等、焼結の諸条件を調整して不純
物を除去する方法等が挙げられる。尚、ここでいう不純
物元素とは、前記と同様であり、1989年IUPAC
無機化学命名法改訂版の周期律表における、原子番号3
以上(但し、C、N、O、Si、を除く。)の元素をい
う。
【0028】本発明に用いる炭化ケイ素焼結体の、その
他の物性値は、室温における曲げ強度550〜800k
gf/mm2 、ヤング率3.5×104 〜4.5×10
4 、ビッカース硬度550〜800kgf/mm2 、ポ
アソン比0.14〜0.21、熱膨張係数3.8×10
-6〜4.2×10-6l/℃、熱伝導率150W/m・K
以上、比熱0.15〜0.18cal/g・℃、耐熱衝
撃性500〜700ΔT℃、比抵抗1Ω・cmである
と、得られる炭化ケイ素接合体の諸特性が良好となるの
で好ましい。尚、本発明の炭化ケイ素焼結体として、本
発明者等の特願平9−041048号明細書に記載の炭
化ケイ素焼結体を好適に使用することができる。
【0029】また、炭化ケイ素焼結体の接合する面は、
密着性の観点から滑らかであると好ましく、具体的に
は、接合する面の表面粗さRaは0.5μm以下である
のが好ましく、0.02μm以下であるのがより好まし
い。炭化ケイ素焼結体の表面粗さは、メッシュ200か
ら800の砥石による研削加工またはバフ加工等を施す
ことによって、前記範囲に調整することができる。
【0030】次に、接合材として用いるシリコン金属に
ついて説明する。本発明に用いるシリコン金属は、純度
98%以上のものを用いるのが好ましく、より好ましく
は純度99%以上、特に好ましくは純度99.9%であ
る。純度の低いシリコン金属を用いると、炭化ケイ素接
合体中に不純物元素による共有化合物が生成し、耐火度
を低下させることになる。特に、ウエハ治具等、半導体
プロセス関連に用いる場合は、純度99.999%以上
のものを用いるのが好ましい。用いるシリコン金属が粉
体である場合は、粉体は100メッシュ以上のものが好
ましい。シリコン金属の大きさが100メッシュ未満で
あると、接合する面がずれやすくなり、寸法精度が得ら
れなくなる。上限値については特に制約はないが、実際
に入手できるものは350メッシュ以下のものである。
【0031】接合に用いるシリコン金属量は、得られる
炭化ケイ素接合体の接合強度等に影響する。本発明者等
が鋭意研究を重ねた結果、以下の式(1)に従って算出
される量のシリコン金属を用いると、得られる炭化ケイ
素接合体の接合強度が良好となるとともに、シリコン金
属の残存による接合強度の低下や、汚染は生じないこと
を見出した。 式(1) k ×{炭化ケイ素接合体の接合面表面積(cm2 )}
×{炭化ケイ素焼結体の遊離炭素量(%)}(g) 式中、炭化ケイ素接合体の接合面表面積は、接合面の投
影面でみた表面積を示すものである。例えば、2個の同
一の面を有する焼結体を接合する場合は、一方の炭化ケ
イ素焼結体の面の投影面でみた表面積を示す。また、3
個以上の炭化ケイ素焼結体を接合する場合は、炭化ケイ
素焼結体のすべての接合する面の投影面でみた表面積を
合計し、その1/2の面積を示すものである。式中、k
は0.08〜0.12であり、実験的に求められた係数
である。そのディメンジョンはg/cm2 になる。
【0032】シリコン金属は、接合される2以上の炭化
ケイ素焼結体の面の間に挟持される。例えば、一方の炭
化ケイ素焼結体の面にシリコン金属粉末を散布し、次に
シリコン金属が散布された面上に他方の炭化ケイ素焼結
体の接合する面を重ねたり、予め2以上の炭化ケイ素焼
結体を所定の空間が得られるように近接して配置し(接
合面同士が対向するように配置し)、その空間に金属シ
リコン粉末を充填すればよい。この際、特別に加圧する
必要はなく、例えば、炭化ケイ素焼結体を重ねた状態で
接合する場合は、炭化ケイ素焼結体の自重が負荷されて
いるのみでも面がずれなければよい。面がずれないよう
に、固定具で固定したり、加圧してもよい。シリコン金
属を炭化ケイ素焼結体の面上に散布する方法としては、
例えば、ロート等を用いて炭化ケイ素焼結体の面がシリ
コン金属ですべて被覆されるように散布する方法があ
る。
【0033】次に、シリコン金属を挟持する炭化ケイ素
焼結体は、高温加熱処理を施される。加熱処理は、非酸
化性雰囲気で行うのが好ましく、真空中または窒素ガス
以外の不活性ガス雰囲気中で行うのが好ましい。用いる
不活性ガスとしては、アルゴンガス、ヘリウムガスが好
ましい。不活性ガスとして窒素ガスを用いると、高温で
シリコン金属と反応し、窒化ケイ素が生成してしまい、
接合面が熱膨張差により剥離または破壊してしまうこと
がある。一方、アルゴンガスおよびヘリウムガスは、高
温においても非反応性であるので、そのような問題は生
じず好ましい。尚、高純度の炭化ケイ素接合体を製造し
たい場合は、不活性ガスも高純度のものを用いるのが好
ましい。
【0034】加熱温度は、シリコン金属の融点以上であ
ればよく、1450℃〜2200℃が好ましい。145
0℃未満ではシリコン金属が融解せず、2200℃では
シリコン金属が一部昇華する。原料としてβ型の炭化ケ
イ素を用いた場合は2000℃、α型を用いた場合は1
800℃を上限とするのが好ましい。特に1600℃程
度で接合すると、効率的に高強度な接合体を製造できる
ので好ましい。また、昇温を穏やかに行うと、シリコン
金属と炭化ケイ素焼結体中の遊離炭素との反応が十分に
進行するので好ましい。具体的には、5℃/分〜15℃
/分で昇温するのが好ましく、特に10℃/分程度で行
うのが好ましい。
【0035】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明をより詳細に
説明するが、本発明の範囲はこれに限定されるものでは
ない。 <実施例1> [炭化ケイ素粉体の製造]SiO2 含有量40%の高純
度エチルシリケートオリゴマー1700gと含水率20
%の高純度液体レゾール型フェノール樹脂762.5g
を混合し、触媒として高純度p−トルエンスルホン酸の
28%水溶液342.5gを加えて硬化乾燥させ、均質
な樹脂状固形物を得た。これを窒素雰囲気下で900
℃、1時間炭化した。得られた炭化物のC/Si比は元
素分析の結果2.40であった。この炭化物中間体10
00gを炭素製容器に入れ、アルゴン雰囲気下で175
0℃まで上昇し、30分間保管した後、1850℃まで
昇温し、1時間保持した。得られた粉体は黄緑色で、平
均粒径は50〜80μmであった。
【0036】[炭化ケイ素焼結体の製造]得られた高純
度炭化ケイ素粉末1000gと含水率20%の高純度液
体レゾール型フェノール樹脂(熱分解後の残炭率50
%)100gをエタノール1500gに溶解したもの
を、遊星ボールミルで18時間攪拌し充分に混合した。
その後エタノールを蒸発乾固させ、100μmの篩にか
けて均質な炭化ケイ素原料粉体を得た。この炭化ケイ素
粉体900gをφ150mmの黒鉛モールドに充填し、
以下の条件でホットプレスした。10-5〜10-4tor
rの真空条件下で、室温(25℃)から700℃まで8
時間かけて昇温し、1時間その温度に保持した。次に、
700℃から1200℃まで3時間で昇温し、さらに1
200℃から1500℃まで3時間で昇温し、4時間そ
の温度に保持した。次に、500kgf/cm2 の圧力
で加圧し、アルゴン雰囲気下で1500から2200℃
まで4時間で昇温し、2時間その温度に保持し、厚み1
6mmの炭化ケイ素焼結体を得た。炭化ケイ素焼結体の
遊離炭素量は5.5重量%、密度は3.13(重量/寸
法)、気孔率は0.03%であった。尚、気孔率は、ア
ルキメデス法にて測定した。
【0037】[炭化ケイ素接合体の製造]得られた炭化
ケイ素焼結体を、以下の条件で接合し、2種の炭化ケイ
素接合体試片を製造した。まず、放電加工により30m
m×30mm×2.5mmの大きさに2枚切り出し、厚
み2mmまで研削した。切り出された2枚の炭化ケイ素
焼結体の表面粗度Raは0.02μmであった。Ra
は、表面粗さ計(ミツトヨ社製)で分解精度0.01μ
mで測定した(以下同様である。)。また、この表面の
投影面でみた表面積は9cm2 であった。粒度350メ
ッシュ、純度99.999%のシリコン金属4.95g
(0.10(g/cm2 )×9(cm2 )×5.5
(%):k=0.10)を、ロ−トを用いて1枚の炭化
ケイ素焼結体の表面が隠れるように均一に散布した。こ
の上に、他方の炭化ケイ素焼結体を重ね合わせ、電気炉
内に配置した。電気炉内を、ほぼ真空状態にした後アル
ゴンガスを充填し、電気炉内を0.5気圧とした。その
後、10℃/分で1600℃まで昇温し、1時間保持し
た後放冷し、炭化ケイ素接合体試片を得た。この炭化ケ
イ素接合体試片について接合面の色調評価、シリコン金
属の溶出試験を行った。
【0038】前記炭化ケイ素焼結体試片とは別に、得ら
れた炭化ケイ素焼結体を放電加工により50mm×80
mm×2.5mmの大きさに2枚切り出し、厚み2mm
まで研削した。切り出された2枚の炭化ケイ素焼結体の
表面粗度Raは0.02であった。この表面の投影面で
みた表面積は15cm2 であった。粒度350メッシ
ュ、純度99.999%のシリコン金属8.25g
(0.10(g/cm2 )×15(cm2 )×5.5
(%):k=0.10)を、ロートを用いて1枚の炭化
ケイ素焼結体の表面が隠れるように均一に散布した。こ
の上に、他方の炭化ケイ素焼結体を重ね合わせ、電気炉
内に配置した。電気炉内を、ほぼ真空状態にした後アル
ゴンガスを充填し、電気炉内を0.5気圧とした。その
後、10℃/分で1600℃まで昇温、続いて冷却し、
炭化ケイ素接合体を得た。この炭化ケイ素接合体に、さ
らに放電加工を施して50mm×5mm×4mmとし、
曲げ試験用の試片を作製した。2種の炭化ケイ素接合体
試片は強固に接合されていた。
【0039】<実施例2>実施例1と同様に製造した炭
化ケイ素粉末1000gと含水率20%の高純度液体レ
ゾール型フェノール樹脂(熱分解後の残炭率50%)5
0gをエタノール1500gに溶解したものを、遊星ボ
ールミルで18時間攪拌し充分に混合した。その後エタ
ノールを蒸発乾固させ、100μmの篩にかけて均質な
炭化ケイ素原料粉体を得た。この炭化ケイ素原料粉体9
00gを、実施例1と同様な条件でホットプレスし、炭
化ケイ素焼結体を得た。この炭化ケイ素焼結体は、遊離
炭素含有量が2.4重量%、密度が3.01g/c
3 、気孔率が0.12%であった。
【0040】得られた炭化ケイ素焼結体を用いて、以下
の条件で、2種の炭化ケイ素接合体試片を製造した。シ
リコン金属2.16g(0.10(g/cm2 )×9
(cm2 )×2.4(%):k=0.10)を用いた以
外は、実施例1と同様の方法で、接合面の色調評価等用
の炭化ケイ素接合体試片を作製した。また、シリコン金
属3.60g(0.10(g/cm2 )×15(c
2 )×2.4(%):k=0.10)を用いた以外は
実施例1と同様な方法で、曲げ試験用の炭化ケイ素接合
体試片を作製した。2種の炭化ケイ素接合体試片は強固
に接合されていた。
【0041】<比較例1>実施例1と同様に製造した炭
化ケイ素粉末1000gと含水率20%の高純度液体レ
ゾール型フェノール樹脂(熱分解後の残炭率50%)2
0gをエタノール1500gに溶解したものを、遊星ボ
ールミルで18時間攪拌し充分に混合した。その後エタ
ノールを蒸発乾固させ、100μmの篩にかけて均質な
炭化ケイ素原料粉体を得た。この炭化ケイ素原料粉体9
00gを、実施例1と同様な条件でホットプレスし、炭
化ケイ素焼結体を得た。この炭化ケイ素焼結体は、遊離
炭素含有量が1.1重量%、密度が1.1g/cm3
気孔率が1.8%であった。
【0042】得られた炭化ケイ素焼結体を用いて、以下
の条件で、2種の炭化ケイ素接合体試片を製造した。シ
リコン金属0.99g(0.10(g/cm2 )×9
(cm2 )×1.1(%):k=0.10)を用いた以
外は、実施例1と同様の方法で、接合面の色調評価等用
の炭化ケイ素接合体試片を作製した。また、シリコン金
属1.65g(0.10(g/cm2 )×15(c
2 )×1.1(%):k=0.10)を用いた以外は
実施例1と同様な方法で、曲げ試験用の炭化ケイ素接合
体試片を作製した。
【0043】<評価>実施例1、実施例2、および比較
例1について、以下の条件で接合面の評価、、シリコン
金属の溶出試験、および曲げ強度を測定した。評価結果
を表1に示す。尚、表1には、各々の炭化ケイ素接合体
の製造に用いた原料の諸特性も示した。
【0044】[接合面の色調および組織]各々の炭化ケ
イ素接合体を接合面で切断し、接合面の色調および組織
を電子顕微鏡にて観察し、以下のように評価した。 ・色調 ○ : 接合面の色調が炭化ケイ素焼結体と同一の色調
である。 × : 接合面の色調が炭化ケイ素焼結体と比較して若
干白っぽい。 ・組織 ○ : 接合面の組織が均一でポーラス状態でない。 × : 接合面の組織が若干ポーラス状態である。
【0045】[シリコン金属の溶出試験]各々の炭化ケ
イ素焼結体を、20重量%弗化水素水溶液に1週間浸漬
後、弗化水素水溶液へのシリコン金属の溶出率を以下の
式から求めた。 式 溶出率(%)={(炭化ケイ素焼結体の初期重量−炭化
ケイ素焼結体の浸漬後の重量)}/(炭化ケイ素焼結体
の初期重量)}×100 尚、炭化ケイ素焼結体の浸漬後の重量は、浸漬した炭化
ケイ素焼結体を水洗し、60℃で24時間自然乾燥した
後に秤量した。
【0046】[曲げ強度]インストロン形試験機(スパ
ン40mm、クロスヘッドスピード1mm/分)を用い
て、3点曲げ試験を行った。
【0047】
【表1】
【0048】実施例1および実施例2と比較例1の評価
結果を比較すると、実施例1および実施例2は接合面が
炭化ケイ素焼結体と同一な色調であり、またシリコン金
属の弗化水素水溶液中への溶出率が0%であることか
ら、炭化ケイ素接合体中には、シリコン金属が残留して
いないことがわかった。さらに、曲げ強度の試験から、
実施例1および実施例2の曲げ強度は、比較例1のそれ
の1.5倍以上であり、格段に優れていることがわかっ
た。
【0049】<実施例3>実施例1と同様に製造した炭
化ケイ素焼結体を用いて、以下の条件で炭化ケイ素接合
体試片を製造した。シリコン金属4.21g(0.08
5(g/cm2 )×9(cm2 )×5.5(%):k=
0.085)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で
炭化ケイ素接合体試片を作製した。炭化ケイ素接合体試
片は強固に接合されていた。
【0050】<実施例4>実施例1と同様に製造した炭
化ケイ素焼結体を用いて、以下の条件で炭化ケイ素接合
体試片を製造した。シリコン金属3.71g(0.07
5(g/cm2 )×9(cm2 )×5.5(%):k=
0.075)を用いた以外は、実施例1と同様の方法
で、炭化ケイ素接合体試片を作製した。炭化ケイ素接合
体試片は、強固に接合されていた。
【0051】<実施例5>実施例1と同様に製造した炭
化ケイ素焼結体を用いて、以下の条件で炭化ケイ素接合
体試片を製造した。シリコン金属6.93g(0.14
(g/cm2 )×9(cm2 )×5.5(%):k=
0.14)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、
炭化ケイ素接合体試片を作製した。炭化ケイ素接合体試
片は強固に接合されていた。
【0052】<評価>実施例1および実施例3〜実施例
5について、実施例1と同様な条件で接合面の評価、お
よびシリコン金属の溶出試験を実施した。また、接合強
度を調べるために、以下の条件で耐熱性および耐熱衝撃
性を調べた。評価結果を表2に示す。尚、表2には、各
々の炭化ケイ素接合体の製造に用いた原料の諸特性も示
した。
【0053】[耐熱性]炭化ケイ素接合体を電気炉内に
置き、電気炉内をアルゴン雰囲気下で10分間、149
0℃に保持した。炉内を自然放冷後、剥離の有無を観察
した。 [耐熱衝撃性]炭化ケイ素接合体を電気炉内に置き、電
気炉内を800℃に1時間保持した。その後、電気炉内
からすぐに炭化ケイ素接合体を取り出し、空気中に放置
し、剥離の有無を観察した。
【0054】
【表2】
【0055】実施例1および実施例3〜実施例5までの
評価結果から、シリコン金属の添加量が実験式(1)を
満たす量であると(実施例1および実施例3)、より接
合強度が向上し、接合部の耐熱性、耐熱衝撃性が向上す
ることが実証された。このことは、接合面の色調および
組織を観察した結果からも明らかで、実施例1および実
施例3の接合面は、色調、組織ともに、炭化ケイ素焼結
体のそれと均質であった。一方、実施例4は、シリコン
金属が不足しているため、接合面が若干ポーラス状態と
なっていた。また、実施例5では、余剰のシリコン金属
が未反応の状態で残留しているため、接合部が炭化ケイ
素焼結体部より若干白い色調となっていた。
【0056】
【発明の効果】本発明の炭化ケイ素接合体の製造方法に
よれば、強固に接合された大型の炭化ケイ素焼結体を容
易に製造することができる。また、接合材として用いる
シリコン金属の量を一定の範囲にすることにより、シリ
コン金属の残留を防止することができ、より一層接合強
度の高い、高純度な炭化ケイ素接合体を製造することが
できる。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 遊離炭素含有率が2〜10重量%の2以
    上の炭化ケイ素焼結体の面間に、純度98%以上のシリ
    コン金属を該面に接するように挟持させる工程と、シリ
    コン金属を挟持する炭化ケイ素焼結体を高温加熱する加
    熱工程、とを含む炭化ケイ素接合体の製造方法。
  2. 【請求項2】 以下の式(1)で算出される重量のシリ
    コン金属を用いることを特徴とする請求項1に記載の炭
    化ケイ素接合体の製造方法。 式(1) k×{炭化ケイ素接合体の接合面表面積(cm2 )}×
    {炭化ケイ素焼結体中の遊離炭素重量%}(g) 式中、炭化ケイ素接合体の接合面表面積(cm2 )は投
    影面でみた表面積を示す。kは係数(g/cm2 )を示
    し、0.08〜0.12である。
  3. 【請求項3】 前記加熱工程が、真空中あるいは不活性
    ガス雰囲気中で1450℃〜2200℃で加熱する工程
    であることを特徴とする請求項1または2に記載の炭化
    ケイ素接合体の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記加熱工程における昇温を、5℃/分
    〜15℃/分で行うことを特徴とする請求項1から請求
    項3までのいずれか1項に記載の炭化ケイ素接合体の製
    造方法。
  5. 【請求項5】 前記炭化ケイ素焼結体が、密度2.9g
    /cm3 以上、気孔率1%以下であることを特徴とする
    請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の炭化
    ケイ素接合体の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記炭化ケイ素焼結体の不純物元素の含
    有量が5ppm以下であることを特徴とする請求項1か
    ら請求項5までのいずれかに1項に記載の炭化ケイ素接
    合体の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記炭化ケイ素焼結体の面の表面粗度
    が、Ra=0.5μm以下であることを特徴とする請求
    項1から請求項6までのいずれか1項に記載の炭化ケイ
    素接合体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010024122A (ja) * 2008-07-24 2010-02-04 Taiheiyo Cement Corp 炭化珪素接合体及びその製造方法
CN101885618A (zh) * 2010-08-19 2010-11-17 哈尔滨工业大学 反应烧结碳化硅陶瓷件的连接方法
JP2013091603A (ja) * 2013-02-20 2013-05-16 Taiheiyo Cement Corp 炭化珪素接合体の製造方法

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