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中村匠吾

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
中村 匠吾 Portal:陸上競技
マラソングランドチャンピオンシップ
(2019年9月15日撮影)
選手情報
フルネーム 中村 匠吾
国籍 日本の旗 日本
種目 長距離走マラソン
所属 富士通
大学 駒澤大学
生年月日 (1992-09-16) 1992年9月16日(32歳)
生誕地 日本の旗 日本三重県四日市市[1]
身長 172cm[2]
体重 55kg[2]
自己ベスト
5000m 13分38秒93 (2016年)
10000m 28分05秒79 (2013年)
ハーフマラソン 1時間01分40秒 (2020年)
マラソン 2時間08分16秒 (2018年)
獲得メダル
陸上競技
ユニバーシアード
2013 カザン ハーフマラソン
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中村 匠吾(なかむら しょうご、1992年9月16日 - )は、三重県四日市市出身の陸上競技選手[1]。専門は長距離走マラソン上野工業高校[1](現・伊賀白鳳高校)、駒澤大学経済学部経済学科卒業。富士通陸上競技部所属[2]

経歴・人物

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高校3年時の2010年沖縄インターハイ5000mで3位入賞(日本人2位)。同年10月には5000m高校歴代7位(当時)となる13分50秒38を記録し、5000mで同世代の最高記録保持者となる。しかし、この1ヵ月後に、翌年から駒澤大学でチームメイトとなる村山謙太が中村の記録を上回る13分49秒45を記録した。同年の高校駅伝では大会直前の怪我をおして強行出場したものの、1区区間44位のブレーキとなった[3]

駒澤大学入学後しばらくは、前述の怪我の影響もあり、同級生の村山らの影に隠れ目立った活躍はなかった[3]。しかし、着実に力を付けていき3年時の2013年関東インカレでは2部10000mで優勝。同年の日本選手権でも10000mに出場し5位入賞を果たした。また、同年のユニバーシアードにハーフマラソン代表選手として出場し、銅メダルを獲得。2014年3月に開催された世界ハーフマラソンにもチームメイトの村山とともに日本代表として出場した。駅伝においても大学三大駅伝のうちの2つ、出雲駅伝全日本大学駅伝でともに1区を走り区間賞獲得の活躍。三大駅伝残りの1つである箱根駅伝でも1区を走り区間賞はならなかったものの、区間賞を獲得した日本体育大学山中秀仁から11秒差の区間2位であった[4]。このように大学3年生の1年間は、個人のトラック・ロードレース、また駅伝と多くの場で無類の強さを見せた1年であった。

大学4年時にはチームの主将を務める[1] が、好調だった3年時とは打って変わって不調に悩まされ、レースへの出場も少なかった。それでも秋口からは調子を上げ、全日本大学駅伝では4区を走り区間賞。駒澤大学の同駅伝4連覇に貢献した。4年間の集大成となる第91回東京箱根間往復大学駅伝競走では再び1区を任せられる。終盤何度か先頭集団から振り放されそうになるも、そのたびに粘りの走りで先頭に追いつき、最終的に自らスパートを仕掛けトップで盟友・村山にタスキをつないだ(区間賞)。この区間賞獲得で、中村は三大駅伝のすべてで1区区間賞を獲得したことになった。

大学卒業後は富士通に入社して同社陸上部に所属[2]。入社1ヶ月後の2015年ゴールデンゲームズinのべおかで5000mA組に出場し、13分43秒41の記録で高校以来の自己ベストを塗り替えた。同年9月の第63回全日本実業団対抗陸上競技選手権大会では5000mに出場し、日本人最高位となる6位に入賞した。

2016年元日のニューイヤー駅伝では大学時代から得意としていた1区に出走し、先頭から5秒差の区間6位でタスキリレーした。同年2月の第44回全日本実業団ハーフマラソンでは6位入賞し日本人トップとなり、翌3月に開催された世界ハーフマラソン日本代表に2大会連続で選出された。同年9月の第64回全日本実業団対抗陸上競技選手権大会では5000mに出場し、前年と同じく日本人最高の記録で走り5位入賞した。

2018年3月には第73回びわ湖毎日マラソンに出場し、初マラソンに挑戦した。気温15~20度と季節外れな高温の悪条件だったが、27km付近まで先頭集団についていった。その後優勝争いから後退するも、レース終盤から追い上げる。37Km過ぎで日本人暫定首位ながら極端にペースダウンした窪田忍トヨタ自動車)を追い越し、38Km付近で並走していた今井正人トヨタ自動車九州)を突き放す。結果総合7位ながらも日本人ではトップとなり、ゴールタイムは2時間10分51秒と、辛うじてマラソングランドチャンピオンシップ2020年東京オリンピック男子マラソン選考会)の出場権を獲得した[5]

2018年9月にはベルリンマラソンドイツ)に出場し、2度目のマラソンに挑戦した。同大会で2時間1分39秒の世界新記録で優勝したエリウド・キプチョゲケニア)の超ハイペースには、号砲直後からついていかず、15分丁度前後のイーブンペースを維持。30Km以降はペースダウンしたものの、ゴールタイムは2時間8分16秒と自己記録を2分35秒更新、日本男子トップの4位に入った[6][7]

2019年3月の東京マラソン2019に出場し、自己記録更新を目指したものの、冷雨の悪条件もあってか中間点を過ぎてスローダウン、2時間14分台の総合15位(日本人11着)に留まった[8]

2019年9月にはマラソングランドチャンピオンシップに出場した。スタート直後から独り飛び出した設楽悠太HONDA・前マラソン日本記録保持者)にはつかずに、後方の第二集団で待機した。37km過ぎで大幅にペースが落ちた設楽を追い抜き、その後は最終盤まで大迫傑ナイキ・オレゴン・プロジェクト・現マラソン日本記録保持者)、服部勇馬トヨタ自動車)らと激しく競り合った。39.5km付近で中村がスパートを掛けて抜け出すも、41km付近で大迫に追いつかれた。しかし、再度スパートを掛けて大迫を突き放し、優勝を飾り、2020年東京オリンピック男子マラソン日本代表に内定した(2位は8秒差で服部が入り、中村と共に東京五輪内定。3位は13秒差で大迫)[9][10][11]。中村の優勝ゴール後、駒澤大学の恩師・大八木弘明監督が中村に駆け寄り、抱擁して祝福した[12]

2021年8月8日、2020年東京オリンピック男子マラソンでは2時間22分23秒で62位だった[13]

自己記録

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種目 記録 大会
5000m 13分38秒93 2016年9月25日 全日本実業団対抗陸上競技選手権大会
10000m 28分05秒79 2013年5月11日 ゴールデンゲームズinのべおか
ハーフマラソン 1時間01分40秒 2020年1月12日 高根沢町元気あっぷハーフマラソン
30 km 1時間30分11秒 2014年2月16日 熊日30キロロードレース
マラソン 2時間8分16秒 2018年9月16日 ベルリンマラソン

主な戦績

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主な戦績

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大会 種目 順位 記録
2008 第13回全国都道府県対抗駅伝競走大会 2区(3.0 km) 区間28位 9分05秒
2012 第34回読売犬山ハーフマラソン ハーフマラソン 優勝 1時間03分26秒
2013 第16回日本学生ハーフマラソン ハーフマラソン 優勝 1時間02分41秒
2013 第97回日本陸上競技選手権大会 10000m走 5位 28分27秒73
2013 第27回夏季ユニバーシアード ハーフマラソン 3位 1時間4分21秒
2014 第57回熊日30kmロードレース 30 km 3位 1時間30分11秒
2014 第21回世界ハーフマラソン選手権大会 ハーフマラソン 28位 1時間01分57秒
2015 第99回日本陸上競技選手権大会 5000m走 23位 13分53秒16
2015 第63回全日本実業団対抗陸上競技選手権大会 5000m走 6位(日本人1位) 13分45秒58
2016 第44回全日本実業団ハーフマラソン ハーフマラソン 6位(日本人1位) 1時間01分53秒
2016 第22回世界ハーフマラソン選手権大会 ハーフマラソン 36位 1時間04分49秒
2016 第64回全日本実業団対抗陸上競技選手権大会 5000m走 5位(日本人1位) 13分38秒93
2016 第57回東日本実業団対抗駅伝競走大会 2区 区間5位 45分19秒
2017 第1回世田谷陸上競技会 5000m 13組3位 14分30秒13
2017 第1回世田谷陸上競技会 5000m 16組26位 14分16秒97
2017 第51回織田幹雄記念国際陸上競技大会 5000m 18位 14分36秒09
2017 第101回日本陸上競技選手権大会 5000m 3位 13分50秒91
2017 ホクレン・ディスタンスチャレンジ網走 10000m 7位 28分16秒01
2017 ボストンハーフマラソン ハーフマラソン 4位 1時間04分50秒
2017 第58回東日本実業団対抗駅伝競走大会 2区 区間5位 45分27秒
2018 第1回世田谷陸上競技会 3000m 13組16位 8分18秒67
2018 第66回兵庫リレーカーニバル 10000m 9位 28分50秒84
2018 第29回ゴールデンゲームズinのべおか 5000m 14位 13分53秒43
2018 第102回日本陸上競技選手権大会 10000m 15位 29分57秒05
2018 第59回東日本実業団対抗駅伝競走大会 4区 区間2位 27分59秒
2020 第61回東日本実業団対抗駅伝競走大会 3区 区間4位 48分03秒
2024 第65回東日本実業団対抗駅伝競走大会 1区 区間12位 34分00秒

大学三大駅伝

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学年 出雲駅伝 全日本大学駅伝 箱根駅伝
1年生
(2011年度)
第23回
― - ―
出走なし
第43回
6区-区間3位
36分59秒
第88回
― - ―
出走なし
2年生
(2012年度)
第24回
― - ―
出走なし
第44回
― - ―
出走なし
第89回
3区-区間3位
1時間05分55秒
3年生
(2013年度)
第25回
1区-区間賞
23分25秒
第45回
1区-区間賞
42分38秒
第90回
1区-区間2位
1時間01分36秒
4年生
(2014年度)
第26回
― - ―
大会中止
第46回
4区-区間賞
41分01秒
第91回
1区-区間賞
1時間02分00秒

全日本実業団駅伝

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年(回) 区間 区間順位 記録
2016年(第60回) 1区 区間6位 35分29秒
2018年(第62回) 5区 区間4位 48分21秒
2019年(第63回) 4区 区間9位 1時間5分49秒
2021年(第65回) 4区 区間2位 1時間4分14秒
2022年(第66回) 4区 区間26位 1時間6分13秒
2024年(第68回) 7区 区間11位 48分52秒

マラソン全成績

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年月 大会 順位 記録 備考
2018年3月4日 第73回びわ湖毎日マラソン 7位 2時間10分51秒 初マラソン・日本男子首位・MGCシリーズ第5弾(2020年東京オリンピックマラソン代表選考会)
2018年9月16日 ベルリンマラソン 4位 2時間08分16秒 自己記録更新・日本男子首位
2019年3月3日 東京マラソン2019 15位 2時間14分52秒 MGCシリーズ第9弾
2019年9月15日 マラソングランドチャンピオンシップ(MGC) 優勝 2時間11分28秒 東京オリンピック男子マラソン選考会・日本代表内定
2021年8月8日 東京オリンピックマラソン 62位 2時間22分23秒 日本人2位
2024年8月25日 北海道マラソン2024 優勝 2時間15分36秒

脚注

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  1. ^ a b c d 中村 匠吾(主将):駒大:箱根駅伝選手名鑑”. スポーツ報知 (2015年). 2015年6月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年6月29日閲覧。
  2. ^ a b c d 中村匠吾 陸上競技部:富士通”. 富士通. 2015年6月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年6月29日閲覧。
  3. ^ a b MGCチャンピオン、中村匠吾の原点 写真家・水上俊介が見た、オリンピックをつかんだ男の素顔 – onyourmark MAG”. mag.onyourmark.jp. 2020年10月25日閲覧。
  4. ^ [1] 箱根駅伝公式Webサイト
  5. ^ スポーツナビ陸上:びわ湖毎日マラソン 中村は2時間10分台の7位でMGC出場権獲得 初マラソンのディラングが優勝 2018年3月4日掲載 12時30分スタート
  6. ^ 中村、大幅自己新に手応え=ベルリン・マラソン 時事ドットコム 2018年9月16日掲載
  7. ^ 中村、4位もタイムに不満「ある程度記録を狙える状態だった」 ベルリン・マラソン サンスポ 2018年9月16日掲載
  8. ^ 東京マラソン2019公式サイト 大会結果
  9. ^ 陸上:マラソングランドチャンピオンシップ 男子 スポーツナビ 2019年9月15日記事
  10. ^ 中村優勝、服部2位で東京五輪内定/男子MGC詳細◆レース速報 日刊スポーツ 2019年9月15日記事
  11. ^ "MGC・中村匠吾と服部勇馬が東京五輪代表に内定 大迫は3位". デイリースポーツ. 神戸新聞社. 15 September 2018. 2018年9月15日閲覧
  12. ^ マラソン中村匠吾の恩師・大八木監督も感激、涙で「男だろ」など声かけに行けず デイリースポーツ 2019年9月15日掲載
  13. ^ “大迫傑は6位、中村匠吾62位、服部勇馬73位 キプチョゲが金メダル”. 日刊スポーツ. https://www.nikkansports.com/olympic/tokyo2020/athletics/news/202108080000298.html 2021年8月8日閲覧。 

外部リンク

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