サクソン (バンド)
サクソン | |
---|---|
イタリア クレモナ公演(2023年) | |
基本情報 | |
出身地 |
イングランド サウス・ヨークシャー州 バーンズリー |
ジャンル |
ヘヴィメタル ハードロック NWOBHM |
活動期間 | 1977年 - 現在 |
レーベル |
EMI Carrere ロードランナー・レコード ヴァージン・レコード SPV/Steamhammer Militia Guard Music UDR Music |
公式サイト | www.saxon747.com |
メンバー |
ビフ・バイフォード (Vo) ポール・クィン (G) ダグ・スカーラット (G) ブライアン・タトラー (G) ニッブス・カーター (B) ナイジェル・グロックラー (Ds) |
旧メンバー |
グラハム・オリヴァー (G) スティーヴ・ドーソン (B) ほか 別記参照 |
サクソン(SAXON)は、イギリスのヘヴィメタル・バンドである。
「アイアン・メイデン」「デフ・レパード」らとNWOBHMムーヴメントを牽引してきたとされるバンドの一つで、その活動は40年以上に及ぶ[1]。
当バンドのほか、離脱したオリジナルメンバーが結成したもう一組の「サクソン」も存在する。
概要
[編集]NWOBHM期
[編集]イングランド・ヨークシャーのローカル・バンド「COAST」のビフ・バイフォード(Vo)とポール・クィン(G)、「SOB」のグラハム・オリヴァー(G)とスティーヴ・ドーソン(B)が合流し「Son of a Bitch」を結成。そこに「the glitter band」で活動していたピート・ギル(Ds)が加わった1977年、ロック・バンド「サクソン (SAXON)」を結成。このラインナップでNWOBHMムーヴメント基点の年である1979年に、アルバム『サクソン』でデビュー。
1980年に2ndアルバム『ホイールズ・オブ・スティール』発表後にワールドツアーを行い、第1回「モンスターズ・オブ・ロック」に出演。1981年の4thアルバム『デニム・アンド・レザー』は、母国でシルバーディスクを獲得した。アルバムタイトルに代表される楽曲の多くは、バイク乗りをテーマにした歌詞や彼らのスタイルをテーマにしている影響で、ヨーロッパのバイカーによる支持が多かった。
1981年に初来日。同年ピート・ギル(Ds)が脱退し、ナイジェル・グロックラーに交代。
1984年の6thアルバム『CRUSADER』をリリース。北米進出を狙って、当時のLAメタル・ムーヴメントのようなポップを加味した音楽性にシフトしたため、従来のファンから不評を買い低迷期に入る。1986年にスティーヴ・ドーソン(B)が脱退し、同年リリースのアルバム『ロック・ザ・ネイションズ』ではバイフォードがベースも兼任して[2]、その後ポール・ジョンソンが正式ベーシストとして加入した。しかし、ジョンソンは短期間で脱退し、1988年にニッブス・カーターが加入。
1991年の10thアルバム『ソリッド・ボール・オブ・ロック』から徐々に原点に戻り、作品を重ねるごとに良質なヘヴィメタル・アルバムを発表し続ける。1995年のアルバム『ドッグス・オブ・ウォー』リリースの翌年、オリジナルメンバーのグラハム・オリヴァー(G)が解雇される。新たにダグ・スカーラットが加入。
2派に分裂
[編集]その後、離脱したグラハム・オリヴァーとスティーヴ・ドーソンがバンド名の「Saxon」を商標登録し、サクソン名義で活動を展開。問題視した本家バンド側は差し止めを裁判に訴え、バンド名使用で争うようになる。最終的に条件付きのバンド名「Oliver/Dawson Saxon」として活動を認められ、もう一つの「サクソン」が派生した。(#オリヴァー/ドーソン サクソン (Oliver/Dawson Saxon)の節も参照)
2007年、結成30周年。HR/HMフェス『LOUD PARK 07』参加のため、26年ぶりに来日[3]。ファンからの反応が好評で、翌2008年や2011年には単独での来日公演を開催した[4]。
2012年、バンドの伝記映画『ヘヴィメタル・サンダー』が公開。日本では2016年に上映された[5]。
2021年、バンドに影響を与えたクラシック・ロック・バンドの楽曲を取り上げたカヴァー・アルバム『インスピレイションズ』を発表[6]。
2022年のアルバム『カルペ・ディエム〜鋼鉄の瞬間〜』は全英アルバムチャートで17位に達し、バンドにとって38年ぶりの全英トップ20アルバムとなった[7]。
ポール・クィン引退以降
[編集]2023年4月、ギターのポール・クィンが、長年蓄積されたストレスや疲労による自身のパフォーマンス低下を理由に、ツアー活動からの引退を発表した。ただしバンドから脱退はせず、レコーディング等には参加する意向である[8]。後任には、ダイアモンド・ヘッドのブライアン・タトラーが参加[9]。
2024年、正式にタトラーも携わった最初のアルバム『ヘル、ファイア・アンド・ダムネイション』をリリースし、11月には新作に伴った13年ぶりの来日ツアーを開催予定だっだがビザの問題により2025年に延期となった[10][11]。
メンバー
[編集]2024年10月時点
現ラインナップ
[編集]- ビフ・バイフォード (Biff Byford) - ボーカル (1977- )
- ポール・クィン (Paul Quinn) - ギター (1977- ) - 2023年よりツアーは引退
- ダグ・スカーラット (Doug Scarratt) - ギター (1996- )
- ブライアン・タトラー (Brian Tatler) - ギター (2023- ) - ダイアモンド・ヘッド兼任
- ニッブス・カーター (Nibbs Carter) - ベース (1988- )
- ナイジェル・グロックラー (Nigel Glockler) - ドラムス (1981-1987, 1988-1999, 2005- )
-
ビフ・バイフォード(Vo) 2023年
-
ポール・クィン(G) 2018年
-
ダグ・スカーラット(G) 2023年
-
ブライアン・タトラー(G) 2023年
-
ニッブス・カーター(B) 2023年
-
ナイジェル・グロックラー(Ds) 2023年
旧メンバー
[編集]- グラハム・オリヴァー (Graham Oliver) - ギター (1977-1996)
- スティーヴ・ドーソン (Steve Dawson) - ベース (1977-1986)
- ピート・ギル (Pete Gill) - ドラムス (1977-1981)
- ポール・ジョンソン (Paul Johnson) - ベース (1986-1988)
- ナイジェル・ダラム (Nigel Durham) - ドラムス (1988)
- フリッツ・ランドウ (Fritz Randow) - ドラムス (1999-2004)
- ヨルグ・マイケル (Jörg Michael) - ドラムス (2004-2005)
ディスコグラフィ
[編集]スタジオ・アルバム
[編集]- 1979年 『サクソン』 - Saxon
- 1980年 『ホイールズ・オブ・スティール』 - Wheels of Steel -英5位
- 1980年 『ストロング・アーム・オブ・ザ・ロウ』 - Strong Arm of the Law -英11位
- 1981年 『デニム・アンド・レザー』 - Denim and Leather -英9位
- 1983年 『パワー・アンド・ザ・グローリー』 - Power and the Glory -英15位
- 1984年 『クルセイダー』 - Crusader -英18位
- 1985年 『イノセンス・イズ・ノー・エクスキューズ』 - Innocence Is No Excuse -英36位
- 1986年 『ロック・ザ・ネイションズ』 - Rock the Nations -英34位
- 1988年 『ディスティニー』 - Destiny -英49位
- 1991年 『ソリッド・ボール・オブ・ロック』 - Solid Ball of Rock
- 1992年 『伝説からの生還』 - Forever Free
- 1995年 『ドッグス・オブ・ウォー』 - Dogs of War
- 1997年 『アンリーシュ・ザ・ビースト』 - Unleash the Beast
- 1999年 『メタルヘッド』 - Metalhead
- 2001年 『キリング・グラウンド』 - Killing Ground
- 2004年 『ライオンハート』 - Lionheart
- 2007年 『ザ・インナー・サンクタム』 - The Inner Sanctum - 英102位
- 2009年 『イントゥ・ザ・ラビリンス』 - Into the Labyrinth
- 2011年 『コール・トゥ・アームズ〜メタル召集命令〜』 - Call to Arms
- 2013年 『サクリファイス』 - Sacrifice -英87位
- 2015年 『バタリング・ラム〜破城槌〜』 - Battering Ram -英50位
- 2018年 『サンダーボルト』 - Thunderbolt -英29位
- 2021年 『インスピレイションズ』 - Inspirations -英56位、カバーアルバム
- 2022年 『カルペ・ディエム〜鋼鉄の瞬間〜』 - Carpe Diem -英17位
- 2023年 More Inspirations - カバーアルバム
- 2024年 『ヘル、ファイア・アンド・ダムネイション〜天誅のヘル・ファイア〜』 - Hell, Fire and Damnation
ライヴ・アルバム
[編集]- 1982年 『イーグル・ハズ・ランデッド』 - The Eagle Has Landed -英5位
- 1989年 Rock 'N' Roll Gypsies
- 1990年 Greatest Hits Live
- 1998年 The Eagle Has Landed Part2
- 1999年 BBC Sessions
- 2006年 The Eagle Has Landed Part3
- 2012年 Heavy Metal Thunder - Live: Eagles Over Wacken
- 2014年 St. George’s Day Sacrifice: - Live in Manchester
- 2016年 Let Me Feel Your Power
オリヴァー/ドーソン サクソン (Oliver/Dawson Saxon)
[編集]オリヴァー/ドーソン サクソン Oliver/Dawson Saxon | |
---|---|
ドイツ・ブランデ=ヘルナーキルヒェン公演 (2014年7月) | |
基本情報 | |
別名 | Son of a Bitch |
出身地 | イングランド |
ジャンル |
ヘヴィメタル ハードロック |
活動期間 | 1995年 -2021年 |
レーベル |
Hengest Records Phoenix Music Angel Air Records |
公式サイト | オフィシャル (OliverDawson-Saxon-163079953711145) - Facebook |
メンバー |
ブリ・ショーネシー (Vo) グラハム・オリヴァー (G) ギャヴ・コールソン (G) スティーヴ・ドーソン (B) ポール・オリヴァー (Ds) |
旧メンバー |
ピート・ギル (Ds) ハイドン・コンウェイ (G)、ほか |
オリヴァー/ドーソン サクソン(Oliver/Dawson Saxon)は、「サクソン」のオリジナルメンバー グラハム・オリヴァー(G)とスティーヴ・ドーソン(B)を中心とした「サクソン」名義の派生グループ。
もう1つのサクソン
[編集]1995年、「サクソン」のオリジナルメンバー グラハム・オリヴァー(G)とスティーヴ・ドーソン(B)が、サクソン結成以前に活動したバンド「Son of a Bitch」の再興プロジェクトを開始し、サクソン・オリジナルドラマーのピート・ギルも合流。翌年にサクソンから解雇されたオリヴァーは「Saxon」を商標登録した上で、Son of a Bitchから「サクソン」名義で活動するようになる。
本家の「サクソン」側は当初、楽曲を演奏する程度のライヴまでは寛容な態度をとっていたが、徐々にビジネスを拡大し商標登録もして対抗されたため、バンド名の使用を差し止める訴えを裁判所に起こした。高等裁判所はオリヴァー側が取得した「Saxon」の商標効力を無効にし、バンド名に主宰者名を含めることを義務付け、本家のロゴを使用しないことを条件に活動を許された。
活動は「サクソン」時代の楽曲を主体としたライヴ中心だったが、2012年にOliver/Dawson Saxon名義で初のスタジオ・アルバム『Motorbiker』をリリース。2019年には来日公演も実現している[12]。
2021年、ドーソンの引退に伴いバンドは解散し、グラハム・オリヴァーは残りのメンバーと共に「グラハム・オリバーズ・アーミー」(Graham Oliver's Army)を新たに結成。2023年には、サクソンメンバーのポール・クインが特別参加し来日公演を果たした[13]。
メンバーの変遷は、旧メンバーを参照のこと。
メンバー
[編集]最終ラインナップ
[編集]- ブリ・ショーネシー (Bri Shaughnessy) - ヴォーカル (2011- 2021)
- グラハム・オリヴァー (Graham Oliver) - ギター (1995-2021 ) - 「サクソン」オリジナルメンバー
- ギャヴ・コールソン (Gav Coulson) - ギター (2016- 2021)
- スティーヴ・ドーソン (Steve Dawson) - ベース (1995-2021 ) - 「サクソン」オリジナルメンバー
- ポール・オリヴァー (Paul Oliver) - ドラムス (2010- 2021) - グラハムの息子
-
ブリ・ショーネシー(Vo) 2014年
-
グラハム・オリヴァー(G) 2014年
-
スティーヴ・ドーソン(B) 2014年
旧メンバー
[編集]- ピート・ギル (Pete Gill) - ドラムス (1995-1999) - 「サクソン」オリジナルメンバー
- テッド・ブレット (Ted Bullet) - ヴォーカル (1995-1999)
- ハイドン・コンウェイ (Haydn Conway) - ギター (1995-2016)
- ケヴ・ムーア (Kev Moore) - ヴォーカル (1999)
- ナイジェル・ダラム (Nigel Durham) - ドラムス (1999-2010)
- ジョン・ワード (John Ward) - ボーカル (2000-2011)
サポート
- カイル・ヒューズ (Kyle Hughes) - ドラムス (2019)
ディスコグラフィ
[編集]- スタジオ・アルバム
- ライヴ・アルバム
脚注
[編集]- ^ Rivadavia, Eduardo. “Saxon - Biography & History”. AllMusic. 2021年7月12日閲覧。
- ^ O'Brien, Joe (2022年2月7日). “An Interview with Biff Byford of Saxon”. vwmusic. 2023年2月13日閲覧。
- ^ NWOBHMのサクソン、26年ぶりの来日公演が決定 - CDjournal
- ^ ブリティッシュ・ヘビー・メタルの雄SAXON、8月に日本ツアー決定! - ATOSS
- ^ サクソン/ヘヴィメタル・サンダー - シネマトゥデイ
- ^ “サクソン カヴァーアルバム発売、ZEP/ビートルズ/サバス/ジミヘン等、ストーンズのカヴァーMV公開”. amass.jp (2020年12月13日). 2021年7月12日閲覧。
- ^ SAXON | Official Charts
- ^ “サクソンのギタリスト ポール・クィンがツアー活動から引退”. amass.jp. 2023年5月5日閲覧。
- ^ “サクソンの新しいツアー・ギタリストはダイアモンド・ヘッドのブライアン・タトラー”. amass.jp. 2023年9月5日閲覧。
- ^ “サクソンが2024年11月来日。地獄・炎・破滅のヘヴィ・メタル【前編】”. Yahoo! JAPAN山崎智之コラム (2024年9月14日). 2024年10月13日閲覧。“サクソンが2024年11月来日。ヘヴィ・メタル・サンダーで脳を満たせ!【後編】”. Yahoo! JAPAN山崎智之コラム (2024年9月16日). 2024年10月13日閲覧。
- ^ “SAXON サクソン "Hell, Fire And Damnation~天誅のヘル・ファイア~JAPAN TOUR 2024 公演延期!(Ticket)”. 2024年10月27日閲覧。
- ^ ““もう1つのサクソン”奇跡の来日! OLIVER DAWSON SAXON 2019徹底レポート”. シンコーミュージック (2020年7月13日). 2021年9月7日閲覧。
- ^ “グラハム・オリヴァー&ポール・クイン、サクソン時代には「2人でとても良い曲を書いてきた」GRAHAM OLIVER’S ARMY来日インタビュー”. 2024年9月5日閲覧。
外部リンク
[編集]- 公式ウェブサイト
- サクソン (Saxon) - Facebook
- Oliver/Dawson Saxon (OliverDawson-Saxon-163079953711145) - Facebook