2012 年 17 巻 3 号 p. 91-96
アジアゾウの個体数は野生下,飼育下ともに急速に減少している。野生捕獲個体の導入が行われないためにも,飼育下での繁殖が極めて重要である。出産率の低さと死亡率の高さが飼育下個体数の急速な減少を引き起こしている。国や動物園で実施されているアジアゾウの飼育下計画繁殖の成績も高くなく,野生下でも繁殖している個体は多くはない。観光業や材木業のゾウキャンプ,サーカス,動物園などその他ゾウ施設での飼育個体数の維持に,野生個体の導入や不法捕獲があってはならない。今回は,各国や欧米の動物園のゾウ施設における繁殖管理について,歴史,制限事項,成功例,そして改善方法について述べる。絶滅の恐れのあるゾウを守るための協力が国や大陸を越えて始まっている。