2008 年 3 巻 2 号 p. 133-142
安価で耐火性,断熱性等に優れる石膏ボードは,建築資材として広く普及しているが,その生産量を反映して,建築物や住宅の解体によって発生する廃石膏ボードの量は近年益々増加している。このような現状から,処分場の容量不足に関する問題が指摘され始めており,廃石膏ボードのリサイクル技術の開発が急務であるといわれている。そこで本研究では,まず廃石膏ボードを再生するために,予め廃石膏ボードを紙と石膏とに分別粉砕した二水石膏に対して加熱処理を施し,水硬性の半水石膏に転化させる半水石膏生産システムを開発したので,その概要を報告する。さらに本システムから得られた半水石膏の地盤改良材としての有効性を明らかにするため,その半水石膏のセメント安定処理土への適用性を検討した。その結果,半水石膏の混入率と一軸圧縮強さ,乾燥密度および含水比との間に高い相関関係があることを明らかにし,廃石膏ボードから再生した半水石膏の地盤改良材としての有効性を実証している。