プレゼンで「間」をとることは、本当に必要なのでしょうか? 話が途切れるのを恐れて、つい埋めてしまう人も多いはず。しかし、実は「間」には意外な力が隠されています。聞き手の理解を深め、プレゼンをより効果的にするための秘訣とは?話題の書籍『対話するプレゼン』の著者、岩下宏一は、『プレゼンで「間」を取ることで4つの効果を得られる』と言います。本記事では、『対話するプレゼン』より、本文の一部を抜粋・加筆・再編集してお届けします。

対話するプレゼンにおいて、「間」は「罪悪」ではなく「宝物」
『対話するプレゼンにおいて、「間」は「罪悪」ではなく「宝物」です』というお話を本連載でお伝えしてきました。
間のとり方の基本は「、」で1拍、「。」で2拍、改行3拍です。
ここでいう1拍というのは、字の1つ分の長さです。たとえば「あら、こんにちは」という言葉を例にとると、「あ」が1拍、「ら」で2拍、「あら、」までが3拍、となります。「1拍ってどのくらいの長さ?」と思われたと思います。それぞれの話す速さは違いますから、テンポ速めに話す人は短くなりますし、ゆったりと話す人は長くなります。
「間」の4つの効果を知っておく
なぜ間をとるのでしょう? 間には主に4つの効果があります。
①相手がアタマの中を整理する
プレゼンには、相手にとって初めて聞く情報が含まれていることが多く、ストーリーも話し手が作り上げたものです。そのため、全体を通して間をとらずに矢継ぎ早に話してしまうと、相手のアタマは間違いなくオーバーフローしてしまいます。相手が聞いた内容を整理できるよう、適度に間をとりながら進めることで、相手の理解が深まり、プレゼンの効果も高まります。
②話し手自身がアタマの中を整理する
話し手にも、相手と同様にアタマの整理が必要です。ページをめくったら、すぐに話し始めるのではなく、まず全体構成と現在地の関係をアタマの中で確認しましょう。そのうえで、そのページで話す内容を整理します。
具体的には、「ページタイトル」「要点」「詳細」にざっと目を通しながら、「こう話そう」と自分の中で再確認することが大切です。「このページではこれを伝えるんだ」という確信を持てた段階で話し始めるようにしましょう。
③質問を歓迎する姿勢を見せる
間をとることで、相手がアタマの中を整理する時間を持つと、疑問や質問が湧くことがあります。その疑問や質問を言葉にするには少しの時間が必要です。相手にそうした気配が見えたら、焦らずに待ちましょう。あるいは、積極的に質問を促すのも効果的です。質問の引き出し方や働きかけの具体的な方法については、第6章の「問いかけ」の項で詳しく説明しますので、そちらもぜひ参考にしてください。
④ストーリーの構造を、言葉だけでなく体感時間で伝える
たとえば、アクション映画を想像してみてください。クライマックスのアクションシーンでは、次々とシーンが切り替わり、息をつく暇もありません。しかし、事件が解決したあとはどうでしょうか? たいてい、テンポがゆっくりとしたものに変わりますよね。
エピローグ(結末部分)に入る際には、まず広い草原などの静かな風景が映し出され、カメラがゆっくりと流れていきます。次に主人公の家が見えてきて、そこから家の中へと場面が切り替わっていく。こうした「緩急」をつけることで、ストーリーの変わり目の大きさが視覚的にも感覚的にも伝わります。「ここが大きな節目ですよ!」ということを示しているわけです。