EV失速でどうなる? 電池覇権#5Photo:xia yuan/gettyimages

CATLやBYDなど、中国勢が幅を利かせている電池業界。実は、地政学リスクを抱えているのは、電池メーカーだけではない。中流や上流も含め、サプライチェーン全体が危機にひんしているのだ。特集『EV失速でどうなる?電池覇権』の#5では、資源調達から電池製造に至るまでの電池サプライチェーンを徹底解剖し、サプライチェーンの随所で活躍する日本企業を大公開する。日本勢復権のために突破すべき「四つの重大課題」とは。(ダイヤモンド編集部 今枝翔太郎)

あまたの日本企業が活躍する電池サプライチェーン
中国勢の伸長で高まる地政学リスク

 米国や欧州、中国、日本など、世界各国の自動車メーカーが電気自動車(EV)を生産しているのに対し、車載電池は日中韓のアジア勢が牛耳ってきた。近年では、CATLやBYDなど中国メーカーが伸長しており、日本勢のプレゼンスが揺らいでいる。これは、地政学リスクが高まっていることを意味する。

 実は、中国勢の隆盛による地政学リスクの高まりは、電池メーカー単体にとどまらない。上流から中流、下流に至るまで、サプライチェーン全体が危機にひんしているのだ。

 資源の採掘から製錬、部材製造、電池の組み立てに至るまで、電池が出来上がり自動車メーカーに納入されるまでには、長い工程がある。詳細は次ページで述べるが、それぞれの工程において、数多くの日本企業が活躍している。

 しかし、どの工程でも中国勢が幅を利かせている現状では、日本勢が“復権”を果たすのは容易ではない。越えなくてはならない“四つの壁”が立ちはだかっているのだ。

 次ページでは、資源調達から電池製造に至るまでの電池サプライチェーンを徹底解剖し、サプライチェーンの随所で活躍する日本企業を大公開する。その上で、日本勢復権のために突破すべき「四つの重大課題」を明らかにする。