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JPH07303485A - Hcvアンチセンスrna、それを含む発現ベクター、及び該rna又は発現ベクターを含むhcv関連疾患治療剤 - Google Patents

Hcvアンチセンスrna、それを含む発現ベクター、及び該rna又は発現ベクターを含むhcv関連疾患治療剤

Info

Publication number
JPH07303485A
JPH07303485A JP6124609A JP12460994A JPH07303485A JP H07303485 A JPH07303485 A JP H07303485A JP 6124609 A JP6124609 A JP 6124609A JP 12460994 A JP12460994 A JP 12460994A JP H07303485 A JPH07303485 A JP H07303485A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rna
hcv
antisense
dna
virus
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP6124609A
Other languages
English (en)
Inventor
Shinichi Funahashi
真一 舟橋
Akira Hasegawa
明 長谷川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tonen General Sekiyu KK
Original Assignee
Tonen Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tonen Corp filed Critical Tonen Corp
Priority to JP6124609A priority Critical patent/JPH07303485A/ja
Publication of JPH07303485A publication Critical patent/JPH07303485A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 C型肝炎ウイルス(HCV)ゲノムの5′非
翻訳領域の部分配列に対するアンチセンスRNA、この
RNAを発現可能なように保有する発現ベクター、及び
このRNA又はベクターを含むHCV関連疾患治療剤。 【効果】 C型肝炎ウイルスの構造蛋白質の発現を抑制
することにより、生体内でのHCVの増殖を阻害する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、C型肝炎ウイルス(H
CV)ゲノムの5′非翻訳領域の部分配列に対するアン
チセンスRNA、該RNAを保有する発現ベクター、及
び該RNA又は発現ベクターを含むHCV関連疾患治療
剤に関する。
【0002】
【従来の技術】ある遺伝子に対して相補的な遺伝子を用
いて該遺伝子の転写制御あるいは翻訳開始を妨害する、
いわゆるアンチセンス医薬品はアンチセンスDNA 、アン
チセンス RNAを用いた研究が幾つかなされている(総説
として Biotechniqes 6,p.958-976 (1988) 及び TIBTE
CH 10, p.152-158 (1992))。アンチセンスDNAにつ
いては、例えばHIV の RRE(Rev resposive element )
について相補的な oligodeoxinucleotide phosphorothi
oate (S-ODN)は Rev活性を阻害し、in vitroでは治療薬
としての効果が示されている(Ge Li らJournal of Vir
ology. 67, p.6882-6888 (1993))。アンチセンス医薬
は一般には化学合成により数十塩基のオリゴヌクレオチ
ドを作成し、それを適当な DDS(drug delivery syste
m)により体内に運び入れ、特定な遺伝子の発現を制御
することにより治療するというものである。導入する遺
伝子の安定性を高める為に幾つかの誘導体が試みられて
いるが、一般的には効果は一時的であり、頻繁に投与を
必要とする。DDS についてはリポソームを用いる方法が
試みられているものの、そのアンチセンス医薬の導入効
率や組織特異性を高める方法についてはまだ多くの問題
を抱えている。アンチセンスRNA は標的とする遺伝子の
mRNAと相補的に符合することにより翻訳過程を阻害する
が、これはアンチセンス DNAによる DNA-RNAよりもRNA-
RNA の方が結合が強いのでより特異的な阻害が期待でき
る。しかしながら、RNA は分解されやすく、取り扱いが
難しい。そこで、レトロウイルスベクターに組み込んで
細胞に導入する方法が考案された(Nishikura, K. and
J. Murray, Molecular and Cellular Biology. 7, p.63
9-649 (1987))。レトロウイルスベクターについては感
染効率が低い、導入遺伝子が感染先の細胞の染色体への
ランダムな部位に組み込まれてしまう危険性、分裂細胞
にしか遺伝子を導入することができない等の問題点があ
り、アンチセンスRNA をレトロウイルスベクターによっ
て導入できるのは骨髄細胞等限られた細胞、組織にしか
適用することができない。また、直接体内に投与するこ
とはできず、採取した細胞にレトロウイルスベクターを
導入し、増殖させた後に体内に戻すという操作(ex viv
o 投与)が必要であり、その間に病原菌等に汚染する恐
れもあり、患者からの細胞採取から体内に戻すまで多く
の時間と労力が必要となる。
【0003】
【発明が解決しようとする問題点】C型肝炎ウイルス感
染者に対する有効な治療法は現在インターフェロン投与
以外にはない。しかしながら、この治療法においてはC
型肝炎ウイルスの二つのグループ、すなわちグループ
I、グループ II において効果に差があり、すべてのC
型肝炎ウイルス感染症に適用できるものではない。最
近、金井ら(Kanai, K.et al.: Lancet. 339, p.1543
(1992) )及び吉岡ら(Yoshioka, K. et al. :Hepatolo
gy. 16, p.293-299 (1992))は PCR法により遺伝子型を
分類し、それらがインターフェロン治療に対して異なる
反応を示すことを報告している。小原(日本臨床 51 巻
2 号 p.86-91) は慢性肝炎患者についてグループ分類と
治療効果について検討している。グループ I C型肝炎
ウイルス感染者では著効例(ALT正常値が 6ケ月以上持
続したもの)が11%しかなかったのに対して、グループ
IIC型肝炎ウイルス感染者は87%が著効を示し、残りの
13%も有効(一時的に ALT値が正常化したもの)であ
り、無効例は認められなかったと報告している。グルー
プ I C型肝炎ウイルス感染者では有効例 50%、無効例
39%であり、PCR 法により血液中のウイルス量を定量し
た結果、ウイルス量が低い方が有効である傾向が認めら
れた。
【0004】そこで、高いウイルス量が血液中に排出さ
れている患者の場合にはそのウイルス量を下げるために
なんらかの処置が必要である。
【0005】
【問題点を解決するための手段】本発明は一時的にC型
肝炎ウイルス感染者のウイルス量を抑制することにより
インターフェロン療法等の治療がより効果的に行えるよ
うな補完的な治療法として考案されたものである。具体
的には、ウイルスベクター等の適切なベクターに、C型
肝炎ウイルスの5′端に存在する非翻訳領域(5′UTR)の
部分領域をアンチセンスRNA として組み込み、適当なプ
ロモーターの制御のもとにin vivo発現させるこ
とにより、C型肝炎ウイルスの構造蛋白質の発現を抑
制、即ち該ウイルスの複製を抑制するものである。
【0006】本発明は、C型肝炎ウイルス(HCV)ゲ
ノムの5′非翻訳領域の部分配列に対するアンチセンス
RNAを提供する。例えば、そのようなアンチセンスR
NAは配列番号1、2、3、4、5及び6に示されるヌ
クレオチド配列からなる群から選択される。
【0007】特定のアンチセンスRNAは、それぞれR
NA−AS1′、RNA−AS3、RNA−AS3′、
RNA−AS5、RNA−RS6及びRNA−AS15
と称され、図1に示されるHCV5′UTRのヌクレオ
チド配列の部分配列に相補的であり、且つ逆向きの配列
を有する。図1中、RNA−AS1′はHCV5′UT
Rの位置78〜215に相補的な配列(AS1′と称す
る)に、RNA−AS3はHCV5′UTRの位置10
1〜170に相補的な配列(AS3と称する)に、RN
A−AS3′はHCV5′UTRの位置101〜240
に相補的な配列(AS3′と称する)に、RNA−AS
5はHCV5′UTRの位置131〜200に相補的な
配列(AS5と称する)に、RNA−AS6はHCV
5′UTRの位置163〜231に相補的な配列(AS
6と称する)に、及びRNA−AS15はHCV5′U
TRの位置122〜308に相補的な配列(AS15と
称する)にそれぞれ逆向きの配向をもって対応してい
る。
【0008】本発明のアンチセンスRNAは、HCVの
5′UTRを含むクローン、例えばクローン2−1(Ts
ukiyama-Koharaら,Journal of Virology : 66,p.1476-
1483(1992) )を用い、且つ、HCV5′UTRの部分
配列に相補的な目的のヌクレオチド配列(例えば、AS
1、AS1′、AS3、AS3′、AS5、AS6、A
S15等)を得るのに適するセットのプライマーを用い
てポリメラーゼ連鎖反応(例えば、H. A. Erlich編,PC
R Technology, Stockton Press, 1989)を実施して得ら
れる増幅された該目的ヌクレオチド配列を鋳型DNAと
して、RNAポリメラーゼによる転写反応を介して調製
することができる。さらに、得られたアンチセンスRN
Aをゲル電気泳動等の公知の方法で精製する。これらの
調製法については、後述の実施例に詳細に説明されてお
り、これを参照されたい。
【0009】本発明のアンチセンスRNAは、HCVの
5′UTRと構造領域(例えば、コア遺伝子領域、E1
遺伝子領域、NS1遺伝子領域)を含むプラスミド[例
えば、プラスミドpKIV(Tsukiyama-Koharaら,Jour
nal of Virology 66, p.1476-1483(1992) ]を制限酵素
処理して得られるDNAを鋳型として合成したRNAを
mRNAとするin vitro翻訳実験等において、
HCV構造蛋白質の強い翻訳阻害を生じさせることが判
明した。すなわち、本発明のアンチセンスRNAは、生
体内でのHCV構造蛋白質の発現を有意に低減すること
が可能であり、それ故、生体内でのHCVの増殖を抑制
するのに有用である。
【0010】したがって、本発明はさらに、上記アンチ
センスRNAを有効成分として含有してなるHCV関連
疾患治療剤を提供する。
【0011】本明細書中、「HCV関連疾患」とは、H
CVが原因で引き起こされる肝炎、肝硬変、肝癌等の疾
患を意味する。
【0012】RNAは一般に生体内で分解され易いため
に、例えばリポソーム等の医薬上許容可能な物質中に封
入することによって安定的に投与することもできる。例
えば、静電荷多重膜リポソームは細胞毒性が低いことが
知られており(八木ら、BBRC196, p.1042-1048 (199
3))、アンチセンスRNA又は後述のアンチセンス遺伝
子発現ベクターを封入することにより、遺伝子を導入す
ることも可能である。
【0013】したがって、本発明は、リポソーム内に封
入されたアンチセンスRNAを有効成分として含有して
なるHCV関連疾患治療剤にも関する。
【0014】あるいは、操作可能なプロモーターをもつ
発現ベクターにアンチセンスRNAを組み込むことによ
り、生体内で該RNA遺伝子を発現させることが可能で
ある。ベクターとしては、ウイルスベクターが好まし
く、アデノウイルスベクターがより好ましい。アデノウ
イルスベクターは一般に効率よく非分裂細胞に感染し、
多量の遺伝子産物を産生することができ、目的遺伝子の
発現は数週間から数ヵ月と持続の長い一時的発現を提供
し、レトロウイルスと異なって積極的な染色体への組み
込みの機構を持たないため、宿主細胞の正常な遺伝子の
働きを妨害しないなどの利点をもつ。さらに、in v
ivo投与が可能であり、内視鏡を用いるなどして直接
特定の組織、細胞に導入することが可能である。
【0015】したがって、本発明はまた、アンチセンス
RNAを発現可能なように保有する発現ベクターを提供
する。また、該発現ベクターを有効成分として含有して
なるHCV関連疾患治療剤をも提供する。
【0016】ここで、「発現可能なように」とは、生体
内でアンチセンスRNAが発現され得ることを意味し、
そのために操作可能なプロモーターがベクター中に含ま
れる。
【0017】発現に用いるプロモーターとしては、プロ
モーター活性の強いCAGプロモーター(Niwaら, Gen
e 108, p.193-200 (1991))、EF−1αプロモーター
(Kim ら, Gene 91, p.217-223 (1990))、SRαプロ
モーター(Takebeら, Mol.Cell. Biol. 8, p.466 (19
88))、RSV LTRプロモーター(Cullen Methods
Enzymol. 152, p.684-704 (1987))、CMV immediat
e earlyプロモーター(Seed and Aruffo, Proc. Natl.
Acad. Sci. USA 84, p.3365-3369 (1987))、SV40
earlyプロモーター(Rigby In Williamson (Ed.), Gene
tic Engineering, Vol. 3, Academic Press, London,
p.83-141 (1982) )、SV40 late プロモーター(Gh
eysen and Fiers, J. Mol. Appl. Genet. 1, p.385-394
(1982))、アデノウイルス late プロモーター(Kaufm
an ら, Mol. Cell. Biol. 9,p.946(1989) )、単純ヘ
ルペスTKプロモーター、ヒト血清アルブミンプロモー
ター、αフェトプロテインプロモーター(Gutierrez
ら, Lancet 339, p.715-721 (1992))等の一般的に使
用できるプロモーターであれば何を用いてもよい。
【0018】本発明の発現ベクター、特に組換えウイル
スの製法については、実験医学別冊バイオマニュアルシ
リーズ4「動物細胞への遺伝子導入と発現・解析」羊土
社(1993年)に斉藤らが詳細に記載しており、これを参
照することにより目的の組換えウイルスを作製すること
が可能である。
【0019】遺伝子を体内に導入する方法としては、組
換えウイルスを用いる場合、例えばアンチセンス遺伝子
を発現させる方法や、センダイウイルスとリポソームの
融合体(virosome)を利用する方法(中西ら、第113
回日本薬学会(1993))、金属微粒子上にアンチセンス
遺伝子をコーティングして高速で細胞に打ち込む、いわ
ゆる遺伝子銃(gene gun)による方法(T.M. Kleinら,
Bio/Technology 10,p.286-291 (1992))が用いられ
る。
【0020】また医薬の製剤化に際しては、本発明のア
ンチセンスRNA又は発現ベクターを、医薬上許容可能
な担体又は希釈剤と混合して製剤を得ることができる。
また、本発明の治療剤中には、必要により肝炎、肝硬変
及び肝癌等の公知の治療剤を含有させることも可能であ
る。
【0021】投与量としては、in vivoでのHC
Vの複製を抑制できる量であり特に限定されないが、好
ましくはアンチセンスRNAの場合には1 pg/kg(体
重)/Day〜1g/kg/Day、好ましくは、1μg/kg/Day〜1
mg/kg/Day、組換えウイルスベクターの場合には106
〜108 PFU が適当である。
【0022】投与方法としてはカテーテルなど物理的な
手段を用いて直接肝臓に遺伝子導入を行う方法が考えら
れるが、さらに肝臓特異的に遺伝子導入を行うためには
B.Goudらの(Virology: 163, p.251-254 (198
8))トランスフェリンに対する抗体とウイルスベクター
をカップリングさせる方法や、ウイルスエンベロープ糖
蛋白質をアシアル化する方法により肝細胞特異的に存在
するアシアロ糖蛋白質受容体との結合を利用する方法
(B. Salmonsらの総説 Human Gene Therapy : 4,p.129
-141 (1993))を用いてもよい。
【0023】毒性については、例えばアデノウイルスを
ベクターとして用いる場合、すでにアデノウイルスがワ
クチンとして用いられている経緯からもワクチン株を親
株として用いる場合には細胞毒性はないと考えてよい。
アデノ関連ウイルスはヒト染色体19qに組み込まれる
ことが知られているが、細胞毒性はないとされている。
リポソームを利用する方法は、すでに米国において臨床
応用されているが前述のウイルスをベクターとして用い
る方法よりもさらに細胞毒性は低いことが期待される。
【0024】
【実施例】実施例1 アンチセンスRNAの合成 1. オリゴヌクレオチドの合成 C型肝炎ウイルス(HCV)の 5′UTR の一部を含むオリゴ
ヌクレオチド16種類をβアミダイト法を用いて DNA合成
機 CycloneTM Plus Synthesizer (日本ミリポア社製)
により合成した。合成したオリゴヌクレオチドは以下の
配列を有する。
【0025】
【表1】 AS15 5′-cggggtaccttccgcagaccacta- 3′ AS13 5′-ccggaattcggcgttagtatgagt- 3′ AS1′5 5′-cggggtacctctccaggcattgag- 3′ AS35 5′-cggggtacctggcaattccggtgt- 3′ AS33 5′-taggaattcgcctccaggaccccc- 3′ AS3′5 5′-ataggtaccagtcttgcgggggca- 3′ AS55 5′-cggggtaccgggttaatccaagaa- 3′ AS53 5′-ccggaattcatagtggtctgcgga- 3′ AS65 5′-tatggtaccgggggcacgcccaaa- 3′ AS63 5′-ccggaattcaattgccaggacgac- 3′ AS153 5′-gggagagccatagtggtctg- 3′2. テンプレート DNAの調製 HCVの 5′UTR を含んだプラスミドクローン2−1を用
い、以下の条件により遺伝子増幅を行った。
【0026】
【表2】 60μl 蒸留水 10μl 10×Pfu バッファー#2 (200mM Tris-HCl (pH8.2), 100mM KCl, 60mM (NH4 2
SO4 ,15mM MgCl2 , 1% Triton X-100) 1 μl クローン2−1 DNA (0.1 mg/ml) 10μl プライマー A (10 pmol /μl) 10μl プライマー B (10 pmol /μl) 8 μl dNTP 混合液 (10 mM) 1 μl Pfu DNA ポリメラーゼ (2.5units/μl) (St
ratagene社製、カタログ#600135) 計100 μl を 0.5 ml アシストチューブに入れ、ピペッ
ティングにより混合後、ミネラルオイル(シグマ社製、
カタログ#M5904)を上層した後、94℃ 5分、45℃ 5
分、72℃2分保温後、94℃ 1分、45℃ 1分、72℃ 1分の
反応を30回繰り返し、最後に72℃ 7分の反応を行った。
プライマー A,プライマーB の組み合わせ及び得られた
反応物の呼称については以下の通りである。
【0027】
【表3】 プライマー A プライマー B 反応物 AS15 AS13 AS1 AS1′5 AS13 AS1′ AS35 AS33 AS3 AS3′5 AS33 AS3′ AS55 AS53 AS5 AS65 AS63 AS6 反応物は -80℃ 10 分間放置後、室温に戻し融解してき
たミネラルオイルを除去し、エタ沈メート(和光純薬社
製)1μl 、3 M酢酸ナトリウム液(和光純薬社製)3
μl 、エタノール 220μl を加えよく混合した後、室温
で15000 回転15分間の遠心操作の後、沈殿物として回収
した。70μl TE(10mM Tris-HCl, 1mMEDTA pH 8.0)に
溶解し、45μl を以下の条件により制限酵素による切断
を行った。反応液(200mM Tris-acetate, 100mM magnes
ium acetate, 500mM potassiumacetate, 10mM DTT (pH
7.9 at 25℃) )を 5μl 添加し、各20ユニットの制限
酵素 EcoRI, KpnIをさらに加えた後、37℃にて 6時間反
応させた。これを4% NusieveTM GTG Agarose(宝酒造社
製)ゲル電気泳動により分離し、目的の長さの反応物の
みをゲルから切り出し、BIO 101 社製の MERMAIDTM kit
を用いて DNAを回収した。方法はキット添付のマニュア
ルに従い、最終産物として 20 μl の DNA溶液が得られ
た。得られた DNAは制限酵素 EcoRI, KpnIにて上記条件
と同じように消化した pBluescriptR II SK(-) 50 ngと
ともに宝酒造社製DNA Ligation kitを用いてプロトコー
ルに従って連結反応を16℃ 30 分間行った。75μl の反
応液中 1μl を用いて再び前記と同様な条件にて遺伝子
増幅反応を行った。但し、プライマーA はすべてM13 Se
quencing primer M4(5′-gttttcccagtcacgac-3′)(10pm
ol/μl)(宝酒造社製)を用い、プライマーB は連結反
応に用いた反応物を得るための最初の遺伝子増幅に用い
たプライマーとそれぞれ同じものを用いた。これらの反
応から得られた産物はバクテリオファージT7のプロモー
ターの下流に最初の遺伝子増幅で得られた DNAが連結し
た形となる。これらを前記と同様な操作によりアガロー
スゲル電気泳動後、 MERMAIDTM kitを用いて目的の DNA
断片を回収した。最初の遺伝子増幅で得られた DNA,今
回の遺伝子増幅で得られた DNAそれぞれの呼称と断片の
長さ及び T7 RNA ポリメラーゼを用いたin vitro翻訳に
より得られる転写体(RNA 産物)の長さについては以下
のようになる。
【0028】
【表4】 最初の産物 2回目の産物 DNA の長さ RNA の長さ AS1 T7-AS1 157bp 94base AS1′ T7-AS1′ 226bp 163base AS3 T7-AS3 158bp 95base AS3′ T7-AS3′ 227bp 164base AS5 T7-AS5 158bp 95base AS6 T7-AS6 158bp 95base 2回目の産物についてはミネラルオイルを前記と同様な
操作により除去した後、フェノール/クロロホルム抽出
を行い、反応液の 1/10の容積の 5M 酢酸ナトリウム溶
液と2容積のエタノールを加えて、 -20℃ 30 分間放置
後、15000 回転15分間の遠心操作により DNAを回収し、
30μl の RNase-free の蒸留水に溶かした。RNase-free
の蒸留水は最終濃度が 0.05%となるようにジエチルピロ
カルボネート(DEPC)(Sigma社製) を蒸留水に添加後、
37℃にて一晩放置した後に 120℃45 分間オートクレー
ブすることによって調製した。得られた2回目の産物の
濃度は 20 μg /mlでそれぞれ 7μl (0.5 pmole から
1.4 pmoleに相当)を invitro 翻訳のテンプレート DN
Aとして用いた。
【0029】クローン2−1 DNA 5μg を10×SmaIバッ
ファー(100mM Tris-HCl (pH8.0),70mM MgCl2 ,70mM
2-メルカプトエタノール, 200mM KCl, 0.1% BSA) 5μ
l と蒸留水を加えて、50μl として制限酵素 SmaI 20 u
nitsとともに37℃ 6時間保温して消化した後、4% Nusie
veTM GTGアガロースゲルで分離し、187 bpの SmaI 断片
をゲルから切り出し、 MERMAIDTM kitを用いた前述と同
様の操作により DNAを回収した。pBluescript II SK(-)
3μg を10×H バッファー(500mM Tris-HCl (pH7.5), 1
00mM MgCl2 , 10mM Dithiothreitol, 1000mM NaCl) 5
μl と蒸留水を加えて50μl とし、20 unitsの制限酵素
HincII で消化したもの 50ng とともに宝酒造社製 DNA
Ligation kit を用いて16℃ 30 分間保温して連結反応
を行い、M13 sequencing primer M4, M13 Reverse prim
er RV それぞれ 100pmolと共に遺伝子増幅を行い、438
bpの産物が得られた。これをさらに、M13 sequencing p
rimer M4、AS153 それぞれ 100pmolとともに遺伝子増幅
し、T7-AS15 を得た。同様な操作により in vitro 翻訳
のテンプレート DNAとした。図1、表5にアンチセンス
RNA として用いた領域を示す。
【0030】
【表5】 表5には、 in vitro 翻訳に用いるテンプレートDNA を
遺伝子増幅により作成した際に用いたプライマーの種
類、テンプレート DNAに含まれているC型肝炎ウイルス
の 5′UTR の領域、ベクター由来で 5′端、 3′端に付
加された領域の長さ、T7 RNAポリメラーゼにより合成さ
れる RNA産物の長さを示す。塩基番号は図1による。
【0031】3. アンチセンス RNAの合成 アンチセンス RNAは Ambion 社製のin vitro transcrip
tion kit(MEGAscriptTMT7 kit 、カタログ#1334)を
用いて作製した。以下に反応条件を示す。
【0032】
【表6】 2 μl 10x Transcription buffer(キット添付) 2 μl 75mM ATP Solution (キット添付) 2 μl 75mM CTP Solution (キット添付) 2 μl 75mM GTP Solution (キット添付) 2 μl 75mM UTP Solution (キット添付) 7 μl テンプレート DNA 2 μl Enzyme Mix (キット添付) 1 μl cloned T7 RNA polymerase(200 units/μl)
(Ambion社製、カタログ#2085) 計 20 μl の反応液を 0.5 ml アシストチューブに分注
し、37℃保温器にて6時間保温した。各サンプルに対し
て 1μl の RNase-free DNase I (キット添付)を加え
て、37℃にて15分間反応させてテンプレート DNAを分解
した後、115 μl の RNase-free 蒸留水と 15 μl の A
mmonium acetate Stop Solution (キット添付)をよく
混合し、さらにフェノール/クロロホルム抽出、クロロ
ホルム抽出にて蛋白質を除去した。150 μl のイソプロ
パノールを加え、よく混合した後に -20℃ 30 分間放置
し、15000 回転 15 分間の遠心操作により RNAを沈殿さ
せた。70% エタノールにて沈殿物を洗浄した後、20μl
の RNase-free 蒸留水に溶かした。各 RNA産物の濃度と
純度を以下に示す。RNA 濃度は 260nmの吸光度 1.0を 3
5 μg / mlとして計算し、純度については 260nmと 280
nmの吸光度の比により 1.7から 2.1の間であることが純
粋な RNAであることが一般に知られている。得られた R
NAは概ね 1.8付近であり純度について問題はないもので
あった。
【0033】
【表7】 RNA RNA 濃度 RNA 純度 (OD 260 /OD 280 ) AS1-RNA 5.57 mg / ml 1.84 AS1′-RNA 6.07 mg / ml 1.84 AS3-RNA 5.62 mg / ml 1.84 AS3′-RNA 5.72 mg / ml 1.85 AS5-RNA 5.48 mg / ml 1.79 AS6-RNA 5.09 mg / ml 1.87 AS15-RNA 8.16 mg / ml 1.83 2 μl の RNAサンプルに対して 2μl の Loading buffe
r (キット添付)を加え、95℃ 3分間保温した後、1 mg
/mlエチジウムブロマイド(EtBr) 1 μl を加えて 8M
尿素/5 %ポリアクリルアミドゲル電気泳動により分離
し、正しい長さの RNAが合成されたことを確認した。
【0034】実施例2 In vitro翻訳実験 1. mRNAの調製 HCV の 5′UTR 、コア遺伝子領域、E1遺伝子領域、NS1
遺伝子領域(塩基番号9 番から1772番)を含むプラスミ
ド pKIV (小原ら, Journal of Virology. 66, p.1476
-1483 (1992))は T7 プロモーターの下流に HCVの前記
遺伝子領域が挿入されており、T7 RNAポリメラーゼによ
り人工的に RNAを合成することができる。制限酵素 Sal
I にて以下の条件にてプラスミド DNA 10 μg を消化し
た。
【0035】
【表8】 25μl 10×H バッファー (500mM Tris-HCl (pH7.5), 100mM MgCl2 , 10mMDithio
threitol, 1000mM NaCl) 220 μl DNA 溶液 5 μl 制限酵素 SalI (6units/μl ) 計 250μl を1.5 mlアシストチューブに分注し、37℃に
て 4時間反応させた。完全に消化されて DNAが直鎖状と
なったことをアガロースゲル電気泳動にて確認した後、
13μl の 10% SDS、2.6 μl の Proteinase K (20 mg/
ml) (Stratagene社製、カタログ#300140)を加えて制
限酵素及び DNA回収の際に微量に含まれている RNaseを
37 ℃ 1時間の反応にて分解した。フェノール/クロロ
ホルム抽出により Proteinase K を除去し、26.5μl の
5M 酢酸ナトリウム溶液、530 μlのエタノールを加え
てよく混合し、-20 ℃にて 30 分間放置後、15000 回転
15分間の遠心操作により DNAを沈殿物として回収した。
70% エタノールにて洗浄後、30μl の RNase-free 蒸留
水に溶解させた。DNA の濃度はともに0.2 mg/mlであ
り、8 μl (0.5 pmoleに相当)を DNAテンプレートとし
て前述と同様な操作によりMEGAscriptTM kitを用いて R
NAを合成した。得られた RNAは mRNA としてさらに in
vitro 翻訳(translation )により蛋白質への翻訳を行
わせた。RNA 合成は以下の条件により行った。
【0036】
【表9】 2 μl 10×Transcription Buffer 2 μl 75mM ATP Solution 2 μl 75mM CTP Solution 2 μl 75mM GTP Solution 2 μl 75mM UTP Solution 8 μl DNA テンプレート 2 μl Enzyme Mix 計 20 μl の反応液を 0.5 ml アシストチューブに分注
し、37℃ 6時間保温した。反応後 1μl の RNase-free
DNase I を加えて 37 ℃ 15 分間の保温によりテンプレ
ート DNAを分解した。30μl の RNase-free 蒸留水、25
μl の LiCl Solution(キット添付)を加えて、-20 ℃
30 分間放置後、4 ℃にて15000 回転 15分間の遠心操
作により RNAを沈殿物として回収した。70% エタノール
にて沈殿物を洗浄した後、20μl の RNase-free 蒸留水
に溶解させた。得られた RNAの濃度、純度は以下のよう
な結果であった。
【0037】
【表10】 RNA RNA 濃度 RNA 純度(OD 260 /OD 280 mRNA-KIV 7.25 mg / ml 1.7 得られた RNAはホルムアルデヒド法による電気泳動によ
り確認した。方法を以下に示す。0.8 g のSeakemTM GTG
agarose(宝酒造社製)に 73 mlの蒸留水を加え、加温
し、よくアガロースを溶かしてから、60℃にまで冷や
す。10×Gel Running Buffer (0.2M MOPS (pH7.0), 50m
M 酢酸ナトリウム、5mM EDTA(pH8.0)) 10 mlと37% ホル
ムアルデヒド 16.2 mlをフード内で添加し、よく混ぜ合
わせてゲル作製台に流し込み、ゲルを作製する。泳動サ
ンプルの調製は以下のようにして行った。
【0038】
【表11】 3.5 μl RNA 2.0 μl 10×Gel Running Buffer 3.5 μl ホルムアルデヒド 10.0μl 脱イオン化ホルムアミド 計19μl を 0.5 ml アシストチューブに分注し、68℃ 5
分間保温した後、1 mg/ml EtBr を 1μl 加え、68℃ 1
5 分間保温した後氷上に 5分間置く。2 μl の Loading
Buffer (50% glycerol, 1mM EDTA, 0.4% bromophenol
blue, 0.4% xylene cyanol) を加え、前述の 0.8% アガ
ロース/2.2Mホルムアルデヒドゲルにて50V で泳動し、
RNA が正しく合成されていることを確認した。
【0039】2. In vitro翻訳実験 1.で調製した mRNA を用いて in vitro 翻訳を行った。
Stratagene社製の Invitro ExpressTM translation ki
t(カタログ#200360)を用いた。反応条件は添付のプ
ロトコールに従い、以下のような手順で実験を行った。
【0040】1.5 μg mRNA (約 2.5 pmole) を 0.5 ml
アシストチューブに分注し、RNase-free蒸留水を加えて
5μl とし、68℃30秒間保温した後、上記キットの rab
bitreticulocyte lysate をすばやく融解させ、このう
ちの 20 μl を mRNA の入ったチューブに加えて、穏や
かによく混合し、30℃ 1時間反応させた。反応終了後25
μl の 2×SDS-PAGE buffer (0.125M Tris-HCl (pH6.
8), 4% SDS, 20% glycerol, 10% 2-メルカプトエタノー
ル, 0.002% bromophenol blue)を加えて 5分間95℃に保
温し、15%-25 % SDS- ポリアクリルアミドゲルにより
分離した。泳動後のゲルは SDS入りのトランスファーバ
ッファー(48mM トリス (ヒドロキシメチル) アミノメ
タン、39mM グリシン、0.0375% SDS)にて PVDF 膜
( ImmobilonTM-P Transfer membranes :日本ミリポア
社製)へ Sartorius社製の SartoblotR II-Sを用いて転
写した。転写は 300mA 30 分間で行った。ウエスタンブ
ロッティングは蛋白質の転写されたPVDF膜を 5% スキム
ミルク(Difco社製) 、2.5 %牛血清アルブミン (BSA)の
入った T-TBSバッファー (0.05% Tween80, 20mM Tris-H
Cl (pH7.5), 500mM NaCl) 中にて 1晩 4℃に置き、非特
異的な蛋白質の吸着を阻害した後、ウサギ抗 HCVコア蛋
白質抗血清を抗体希釈液(1 %スキムミルク、0.5 % B
SA、T-TBS )にて 1000 倍に希釈した溶液中に室温で 1
時間反応させた。T-TBS にて洗浄後、ビオチン化した抗
ウサギ Ig 抗体(アマシャム社製)を 1000 倍に抗体希
釈液にて希釈した溶液中にて室温 1時間の反応を行っ
た。T-TBS による洗浄後、ストレプトアビジン標識ビオ
チン化ペルオキシダーゼ複合体(アマシャム社製)を 5
000 倍に抗体希釈液にて希釈した溶液中にて室温 15 分
間反応させた。T-TBS にてよく洗浄した後、アマシャム
社製の ECL detection kitを用いて HCVコア蛋白質の検
出を行い、22 Kd のバンドが検出された。
【0041】実施例3 アンチセンス RNAによる翻訳阻
害実験 mRNAを in vitro にて翻訳させる際に HCV 5′UTR の領
域の一部に対するアンチセンス RNA、RNA-AS1, RNA-AS
1′, RNA-AS3, RNA-AS3′, RNA-AS5, RNA-AS6,RNA-AS15
の7 種類をそれぞれ 1.5μg mRNAに対してモル比 1:10
0 となるように加えて総量 5μl とし、実施例2の 2.
と同様にして in vitro 翻訳を行った。15-25% SDS-PAG
E にて分離後、PVDF膜に転写し、ウエスタンブロッティ
ングを行った。その結果、 RNA-AS15, RNA-AS1′を添加
したサンプルでは HCVコア蛋白質の 22Kd バンドの顕著
な消長が見られ、強い翻訳阻害が生じていた。 RNA-AS
3′でも翻訳阻害が見られた(図2)。これら以外のア
ンチセンス RNAについてはさらに以下の実験を行った。
【0042】 35S ラベルの in vitro 翻訳実験 mRNA-KIVを用いて Amersham rabbit reticulocyte lysa
te (N150) による35S-methionineラベルの in vitro 翻
訳実験を行った。
【0043】反応液の組成は、下記に示す。
【0044】
【表12】 17.5μl Amino acid-depleted lysate(Amersham
N.150) 1.6 μl 2M potassium acetate solution 1.25μl 1mM amino acid mixture minus L-methi
onine 0.5 μl 1.25 pmol mRNA-KIV 2.15μl 125 pmol antisense RNA 2 μl 35S-L-methionine(ICN 51001H; >1000 C
i/mmol ) 総量 25 μl にて、30℃1時間反応後、反応液2μlを
98μlの 1N NaOH/2% H2 2 に加えて、37℃にて10
分間反応させ、900 μl の25% TCA(トリクロロ酢
酸)/2%カザミノ酸を添加して、氷上に30分間静置
した。沈殿させた反応物をガラスフイルターにより濾過
して、液体シンチレーターにより、その放射活性を測定
して、翻訳阻害効果の比較とした。陰性コントロールと
してmRN−KIVを添加しないでin vitro翻
訳を行い、その値をバックグラウンドとして各サンプル
の値から差し引いた。mRNA−KIVのみを添加した
際の放射活性を1として、アンチセンスRNAを加えた
ことによる翻訳の阻害を相対比で示した。その結果、R
NA−AS1を除きRNA−AS1′,RNA−AS
3,RNA−AS3′,RNA−AS5,RNA−AS
6のいずれにおいても翻訳阻害効果が見られた(表1
3)。
【0045】
【表13】 表13中、count は液体シンチレーションカウンターに
より測定した値で、陰性コントロールとしてmRNA−
KIVを添加しないでin vitro翻訳を行った値をバック
グラウンドとして各サンプルの値から差し引いた値を示
し、単位はcpmである。アンチセンスRNAを添加しな
かった値との相対比をさらに示した。
【0046】実施例4 組換えアデノウイルスの作製 組換えアデノウイルスの作製方法については、実験医学
別冊バイオマニュアルシリーズ4「動物細胞への遺伝子
導入と発現・解析」羊土社(1993年)に斉藤らが詳しい
方法について述べており、それらの方法に従って行えば
同業者であれば簡単に作製することができる。
【0047】アンチセンスRNA−AS15は発現させ
るためのベクターの製法について具体的に以下に述べる
が、用いるプロモーターおよびアデノウイルスの種類に
ついてはこれらに限らず、他のものを用いてもよい。
【0048】組換えアデノウイルスAS15の作製法 クローン2−1(Tsukiyama-Kohara et al. Journal of
Virology : 66, p.1476-1483 (1992)) 0.1μg を以下
の配列を有するプライマー各100pmolとともにPfu po
lymeraseを用いて先に述べたような反応条件により遺伝
子増幅を行い、両末端に制限酵素EcoRIによる認識部
位を導入したDNA断片を得た。
【0049】
【表14】 プライマー EcoAS153 5′-CGGAATTCGGGAGAGCCATAGTG-3′ プライマー EcoAS155 5′-CGGAATTCGGGGCACTCGCAAGC-3′ 得られたDNA断片は1μgを10×EcoRIバッファ
ー(1000mM Tris-HCl(pH7.5), 70mM MgCl2 , 70mM 2-
メルカプトエタノール,500mM NaCl, 0.1% BSA)5μl
と蒸留水、制限酵素EcoRI 10 units を加えて、50
μlとして37℃2時間保温して消化した後、4% Nus
ieveTM GTGアガロースゲルで分離し、197 bp の
DNA断片をゲルから切り出し、 MERMAIDTM kitを用い
た前述と同様の操作によりDNAを回収した。
【0050】CAGプロモーターが組み込まれたベクタ
ーpCAGGS(Niwaら,Gene: 108, p.193-200
(1991))2μgを制限酵素EcoRIにて上記と同様な条
件にて消化し、AS15の配列を有する先のDNA断片
とともにDNA Ligationkit (宝酒造社製)を用いて
連結反応を行い、CAGプロモーターの下流にEcoRI
認識部位を介して、配列6に示すAS15の配列が挿入
されたベクターpCAG−AS15が作製できた。pC
AG−AS15のDNA 5μgを10×Hバッファー5
μlと蒸留水を加え、制限酵素SalI、HindIII 各
20 unitsを加えて、50μlとして37℃6時間保温
して消化した後、宝酒造社製のDNABlunting kit を
用いてプロトコールに従って、DNAの末端の平滑化を
行った。
【0051】アデノウイルス発現コスミドカセットpA
dexlw(斎藤ら、実験医学別冊バイオマニュアルシ
リーズ4「動物細胞への遺伝子導入と発現・解析」羊土
社(1993))5μgを制限酵素SwaI(ベーリンガー
社製)にて10×Hバッファー5μlと蒸留水を加え、
制限酵素SwaI 12 unitsを加えて、50μlとし
て25℃2時間保温して消化し、フェノール/クロロホ
ルム抽出後、ファルマシア社製のG−25カラムを用い
て精製した。SwaI消化のpAdexlw1μgと平
滑末端化したDNA断片0.2μgをエタノール沈殿し
た後、5μlのTE(10mM Tris-HCl, 1mM EDTA (pH8.
0) )に懸濁し、0.7μl 10×Lバッファー、
0.3μl 10mM ATP、1μl T4 DNA L
igase とともに15℃にて一晩反応を行った。0.5μ
l 2M NaCl、4μl 10×Hバッファー、34μl蒸
留水を加えて、70℃10分保温することでDNA Lig
aseを熱失活させた。制限酵素SwaI 20 unitsを
加え、25℃1時間の反応後、フェノール/クロロホル
ム抽出し、G−25カラムにて連結されたDNAを回収
した。50μlDNA溶液をさらに6μl 10×Hバ
ッファーと20unitsSwaIを加えて再度25℃で2
時間消化した。このうち1μlをStratagene社製のGI
GAPACK XLを用いて、プロトコールにある用法
の 1/4 のスケールでパッケージングを行い、目的のコ
スミドpAdex−CAGAS15を得た。組換えアデ
ノウイルスの作製については前述の斉藤ら記載の方法に
従って行い、組換えアデノウイルスAd−CAGAS1
5を得た。
【0052】
【発明の効果】本発明はアンチセンスRNAを例えばリ
ポソームに封入して又はウイルベクターに組み込んで直
接炎症をおこしている肝臓に投与することにより、肝臓
で増殖しているC型肝炎ウイルスの構造蛋白質の発現の
制御を司っているC型肝炎ウイルス遺伝子の5′UTR
(5′側に存在するC型肝炎ウイルスの非翻訳領域)に
対して相補的に符合させて立体障害を伴う構造遺伝子発
現制御領域の障害を誘導し、C型肝炎ウイルスの増殖を
阻害して、C型肝炎ウイルス量を制限することでインタ
ーフェロンによるより効果的な治療を可能にするもので
ある。
【0053】
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:138 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 アンチセンス:Yes 配列 CUCCAGGCAU UGAGCGGGUU AAUCCAAGAA AGGACCCGGU CGUCCUGGCA AUUCCGGUGU 60 ACUCACCGGU UCCGCAGACC ACUCUGGCUC UCCCGGGAGG GGGGGUCCUG GAGGCUGCAC 120 GACACUCAUA CUAACGCC 138 配列番号:2 配列の長さ:70 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 アンチセンス:Yes 配列 UGGCAAUUCC GGUGUACUCA CCGGUUCCGC AGACCACUAU GGCUCUCCCG GGAGGGGGGG 60 UCCUGGAGGC 70 配列番号:3 配列の長さ:140 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 アンチセンス:Yes 配列 CAGUCUCGCG GGGGCACGCC CAAAUCUCCA GGCAUUGAGC GGGUUAAUCC AAGAAAGGAC 60 CCGGUCGUCC UGGCAAUUCC GGUGUACUCA CCGGUUCCGC AGACCACUAU GGCUCUCCCG 120 GGAGGGGGGG UCCUGGAGGC 140 配列番号:4 配列の長さ:70 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 アンチセンス:Yes 配列 GGGUUAAUCC AAGAAAGGAC CCGGUCGUCC UGGCAAUUCC GGUGUACUCA CCGGUUCCGC 60 AGACCACUAU 70 配列番号:5 配列の長さ:69 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 アンチセンス:Yes 配列 GGGGGCACGC CCAAAUCUCC AGGCAUUGAG CGGGUUAAUC CAAGAAAGGA CCCGGUCGUC 60 CUGGCAAUU 69 配列番号:6 配列の長さ:186 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 アンチセンス:Yes 配列 GGGGCACUCG CAAGCACCCU AUCAGGCAGU ACCACAAGGC CUUUCGCGAC CCAACACUAC 60 UCGGCUAGCA GUCUCGCGGG GGCACGCCCA AAUCUCCAGG CAUUGAGCGG GUUAAUCCAA 120 GAAAGGACCC GGUCGUCCUG GCAAUUCCGG GUACUCACCG GUUCCGCAGA CCACUAUGGC 180 UCUCCC 186
【図面の簡単な説明】
【図1】この図は、C型肝炎ウイルス クローン2−1
の 5′UTR の配列とアンチセンスRNA の領域を示す。ク
ローン2−1 5′UTR の配列の上部に示したstem-loopI
I, III, IV は Brown, E.ら(Nucleic Acids Research.
20, p.5041-5045 (1992))が報告しているC型肝炎ウ
イルス 5'UTRの二次構造予測による領域の分類であり、
配列下部に示したstem-loop A, B, C, D, E, Fは Tsuki
yama-Kohara, K.ら(Journal of Virology.66, p.1476-
1483 (1992))による二次構造予測による分類である。
【図2】この図は、35Sラベルの in vitro 翻訳実験の
結果を示す、ウサギ抗core蛋白質ポリクローナル抗
体を用いたウエスタンブロッティングで検出されるco
re蛋白質のバンドを示す写真である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C型肝炎ウイルス(HCV)ゲノムの
    5′非翻訳領域の部分配列に対するアンチセンスRN
    A。
  2. 【請求項2】 配列番号1、2、3、4、5及び6に示
    されるヌクレオチド配列からなる群から選択される、C
    型肝炎ウイルス(HCV)ゲノムの5′非翻訳領域の部
    分配列に対するアンチセンスRNA。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載のアンチセンスRN
    Aを発現可能なように保有する発現ベクター。
  4. 【請求項4】 請求項1又は2記載のアンチセンスRN
    Aを有効成分として含有してなるHCV関連疾患治療
    剤。
  5. 【請求項5】 請求項3記載の発現ベクターを有効成分
    として含有してなるHCV関連疾患治療剤。
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