JPH0726192B2 - 高Al含有ステンレス鋼板の製造法 - Google Patents
高Al含有ステンレス鋼板の製造法Info
- Publication number
- JPH0726192B2 JPH0726192B2 JP28723088A JP28723088A JPH0726192B2 JP H0726192 B2 JPH0726192 B2 JP H0726192B2 JP 28723088 A JP28723088 A JP 28723088A JP 28723088 A JP28723088 A JP 28723088A JP H0726192 B2 JPH0726192 B2 JP H0726192B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- stainless steel
- plate
- layer
- steel sheet
- diffusion treatment
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Landscapes
- Pressure Welding/Diffusion-Bonding (AREA)
- Solid-Phase Diffusion Into Metallic Material Surfaces (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は,常温での成形が可能であり且つ優れた高温耐
酸化性,耐食性,電熱性を有し,電熱器の発熱帯や汚染
気体を処理する触媒金属基板に適した高Alステンレス合
金板の工業的製造法に関する。
酸化性,耐食性,電熱性を有し,電熱器の発熱帯や汚染
気体を処理する触媒金属基板に適した高Alステンレス合
金板の工業的製造法に関する。
ステンレス鋼板は耐酸化性や耐食性に優れるのでこの特
徴を生かして各種産業分野にて広範囲に使用されている
が,一層の耐酸化性を付与するには,鋼中にAlを添加す
るのが有効である。しかし,多量のAlの添加は非常に材
質を脆くするため冷間圧延はもちろんのこと熱間圧延さ
えも難しく,通常の圧延と焼鈍の組合わせによって高Al
ステンレス鋼板を製造することは極めて困難である。こ
のため高Alステンレス鋼板は電気抵抗が高く,耐酸化
性,耐食性に優れた材料であるにもかかわらず製造性が
非常に悪いため充分利用されるに至っていない。
徴を生かして各種産業分野にて広範囲に使用されている
が,一層の耐酸化性を付与するには,鋼中にAlを添加す
るのが有効である。しかし,多量のAlの添加は非常に材
質を脆くするため冷間圧延はもちろんのこと熱間圧延さ
えも難しく,通常の圧延と焼鈍の組合わせによって高Al
ステンレス鋼板を製造することは極めて困難である。こ
のため高Alステンレス鋼板は電気抵抗が高く,耐酸化
性,耐食性に優れた材料であるにもかかわらず製造性が
非常に悪いため充分利用されるに至っていない。
本発明の目的はかかる有益な高Alステンレス鋼板を簡便
に製造する方法を確立し,高Alステンレス鋼板の普及利
用に資すことにある。
に製造する方法を確立し,高Alステンレス鋼板の普及利
用に資すことにある。
前記の目的を達成せんとする本発明の要旨とするところ
は,C≦0.03%,Cr≦30%,Ti,Nb,VまたはMoの1種もしく
は2種以上を0.01〜0.8%含有するステンレス鋼板また
は鋼帯の少なくとも片面に,含有させるAl量に相当する
割合となるようにAl板または薄帯を重ね合わせ,これを
ロール間に通板して積層圧接板とし,得られた積層圧接
板を,場合によってはさらに目標板厚まで圧延したうえ
(そのさい,圧延の前または途中において250〜550℃の
中間焼鈍を施すことが有利である),600〜1300℃の範囲
の温度においてAl層が溶融せずに合金化する条件下の拡
散処理を施すことを特徴とする高Al含有ステンレス鋼板
または鋼帯の製造法に存する。
は,C≦0.03%,Cr≦30%,Ti,Nb,VまたはMoの1種もしく
は2種以上を0.01〜0.8%含有するステンレス鋼板また
は鋼帯の少なくとも片面に,含有させるAl量に相当する
割合となるようにAl板または薄帯を重ね合わせ,これを
ロール間に通板して積層圧接板とし,得られた積層圧接
板を,場合によってはさらに目標板厚まで圧延したうえ
(そのさい,圧延の前または途中において250〜550℃の
中間焼鈍を施すことが有利である),600〜1300℃の範囲
の温度においてAl層が溶融せずに合金化する条件下の拡
散処理を施すことを特徴とする高Al含有ステンレス鋼板
または鋼帯の製造法に存する。
また本発明によれば,前記の製造法の途中に得られた積
層圧接板,焼鈍圧接板或いは圧延板を素材としてこれか
ら用途に応じた製品形状または中間製品の形状に成形加
工し,この加工品または半加工品を600〜1300℃の範囲
の温度においてAl層が溶融せずに合金化する条件下の拡
散処理を施すことを特徴とするAl含有ステンレス鋼の加
工品または半加工品を製造する方法が提供される。
層圧接板,焼鈍圧接板或いは圧延板を素材としてこれか
ら用途に応じた製品形状または中間製品の形状に成形加
工し,この加工品または半加工品を600〜1300℃の範囲
の温度においてAl層が溶融せずに合金化する条件下の拡
散処理を施すことを特徴とするAl含有ステンレス鋼の加
工品または半加工品を製造する方法が提供される。
本発明法によると,従来は困難であった3%以上のAlを
含有する,場合によっては,10%以上ものAlを含有する
ステンレス鋼板が工業的に製造できる。しかも,通常の
ステンレス鋼板の製造と同様に鋼帯としての工業的製造
が可能である。本発明法によって得られた高Al含有ステ
ンレス鋼板は,その拡散処理の程度によって,Alが均一
に拡散した厚み方向に均一濃度の合金鋼板としたもの,
また,厚み方向にAlの濃度分布が異なったもの,場合に
よって層状の合金層が介在したり最外表面層にAlやCrの
酸化被膜をもつ特殊構造のもの,として高Alステンレス
鋼板が製造でき,用途に適したものが比較的簡単に製造
できるという特徴がある。そして,従来では製造が困難
であった形状が複雑な高Alステンレス鋼製の加工品また
は半加工品でも容易に製造できる。
含有する,場合によっては,10%以上ものAlを含有する
ステンレス鋼板が工業的に製造できる。しかも,通常の
ステンレス鋼板の製造と同様に鋼帯としての工業的製造
が可能である。本発明法によって得られた高Al含有ステ
ンレス鋼板は,その拡散処理の程度によって,Alが均一
に拡散した厚み方向に均一濃度の合金鋼板としたもの,
また,厚み方向にAlの濃度分布が異なったもの,場合に
よって層状の合金層が介在したり最外表面層にAlやCrの
酸化被膜をもつ特殊構造のもの,として高Alステンレス
鋼板が製造でき,用途に適したものが比較的簡単に製造
できるという特徴がある。そして,従来では製造が困難
であった形状が複雑な高Alステンレス鋼製の加工品また
は半加工品でも容易に製造できる。
特に本発明は,出発材料としてのステンレス鋼板とし
て,C≦0.03%,Cr≦30%,Ti,Nb,VまたはMoの1種もしく
は2種以上を0.01〜0.8%含有するステンレス鋼板を使
用する点に大きな特徴があり,この成分系のステンレス
鋼板を用いることによって圧接板の拡散処理時に鋼板と
Al板との界面近くに発生することがあるボイドやクラッ
クが防止され,一層耐熱性に優れた良品質の高Al含有ス
テンレス鋼板を製造することができる。
て,C≦0.03%,Cr≦30%,Ti,Nb,VまたはMoの1種もしく
は2種以上を0.01〜0.8%含有するステンレス鋼板を使
用する点に大きな特徴があり,この成分系のステンレス
鋼板を用いることによって圧接板の拡散処理時に鋼板と
Al板との界面近くに発生することがあるボイドやクラッ
クが防止され,一層耐熱性に優れた良品質の高Al含有ス
テンレス鋼板を製造することができる。
本発明は,C≦0.03%,Cr≦30%,Ti,Nb,VまたはMoの1種
もしくは2種以上を0.01〜0.8%含有するステンレス鋼
板または鋼帯(以下,鋼板と総称する)を出発材料とし
て使用する。使用するステンレス鋼板のC含有量が多い
と,鋼板とAl板の圧接板を拡散処理するさいに,両者の
界面付近にボイドが生成しやすくなり,これによって界
面にクラックが生じる原因とする。したがってC含有量
はできる限り低い方が望ましいが0.03%までは許容でき
る。一方,Crは30%を越えると加工性が劣り,圧接時に
割れが発生し易くなり,良好な圧接板を得ることが困難
となることから30%以下にすることが必要である。Ti,N
b,VまたはMoが鋼中に適量含有されると,圧接板の拡散
処理時における鋼層とAl層との界面付近のボイド,クラ
ックの発生を防止することができる。これらの成分の一
種または二種以上の含有量が0.01%未満ではその効果が
認められない。一方,多量に含有させてもその効果は飽
和するとともに,加工性が劣下し圧接板を得ることが困
難となることから0.8%以下に限定される。なお,これ
らの成分を含有すると界面付近に生じるボイド,クラッ
クがなぜ防止できるのかは必ずも明らかではないが,こ
れらの成分がCを固定し安定な炭化物を生成することに
関連しているものと考えれらる。
もしくは2種以上を0.01〜0.8%含有するステンレス鋼
板または鋼帯(以下,鋼板と総称する)を出発材料とし
て使用する。使用するステンレス鋼板のC含有量が多い
と,鋼板とAl板の圧接板を拡散処理するさいに,両者の
界面付近にボイドが生成しやすくなり,これによって界
面にクラックが生じる原因とする。したがってC含有量
はできる限り低い方が望ましいが0.03%までは許容でき
る。一方,Crは30%を越えると加工性が劣り,圧接時に
割れが発生し易くなり,良好な圧接板を得ることが困難
となることから30%以下にすることが必要である。Ti,N
b,VまたはMoが鋼中に適量含有されると,圧接板の拡散
処理時における鋼層とAl層との界面付近のボイド,クラ
ックの発生を防止することができる。これらの成分の一
種または二種以上の含有量が0.01%未満ではその効果が
認められない。一方,多量に含有させてもその効果は飽
和するとともに,加工性が劣下し圧接板を得ることが困
難となることから0.8%以下に限定される。なお,これ
らの成分を含有すると界面付近に生じるボイド,クラッ
クがなぜ防止できるのかは必ずも明らかではないが,こ
れらの成分がCを固定し安定な炭化物を生成することに
関連しているものと考えれらる。
他方,本発明法で使用するAl板(通常は薄板または薄
帯)は,純Al板であることが望ましいが,通常のAl板に
はFe,Si等が多少含有されている。これらの元素はステ
ンレス鋼板にも含有されているものであり,したがっ
て,特にこのような元素が含有されていても問題はな
く,このような元素が3%まで含まれたAl板でも本発明
では有利に使用することができる。
帯)は,純Al板であることが望ましいが,通常のAl板に
はFe,Si等が多少含有されている。これらの元素はステ
ンレス鋼板にも含有されているものであり,したがっ
て,特にこのような元素が含有されていても問題はな
く,このような元素が3%まで含まれたAl板でも本発明
では有利に使用することができる。
本発明においては該ステンレス鋼板の片面または両面に
Al板を,目標とするAl含有量となるように重ね合わせて
ロールを用いて圧接するのであるが,両者とも重ね合わ
せ面は浄化処理をしておくのが望ましい。このロールに
よる重ね合わせ板の圧接工程において,圧接圧下率が30
%未満ではステンレス鋼とAlとの良好な圧接状態を得る
ことが通常は困難である。したがって,圧接圧下率は30
%以上とすることが必要であり,これによって,ステン
レス鋼とAlとの積層圧接板が得られる。
Al板を,目標とするAl含有量となるように重ね合わせて
ロールを用いて圧接するのであるが,両者とも重ね合わ
せ面は浄化処理をしておくのが望ましい。このロールに
よる重ね合わせ板の圧接工程において,圧接圧下率が30
%未満ではステンレス鋼とAlとの良好な圧接状態を得る
ことが通常は困難である。したがって,圧接圧下率は30
%以上とすることが必要であり,これによって,ステン
レス鋼とAlとの積層圧接板が得られる。
この積層圧接板の接着性向上のために焼鈍処理すること
が好ましい。この焼鈍処理は全てに必要なものではない
が,圧接板の板厚が約1.5mmを超えるような場合には,
次工程で更に冷間圧延して板厚減少を行なうさいに,ま
た場合によっては製品形状または半製品形状に成形加工
するさいに,接着面に剥離が発生することがあり,これ
を防止するために焼鈍を施すのが有利となる。この中間
焼鈍は250℃以上の温度を採用しないと効果が認められ
ない。しかし550℃を越えると圧接板のステンレス鋼層
とAl層との界面に合金層が厚く発達し,次工程の冷間圧
延時にこの合金層付近にクラツクが生じ,このために剥
離が生じたりする。この中間焼鈍の焼鈍方式としてはタ
イトコイルによるバッチ焼鈍とすることができる。この
場合,焼鈍時間は1〜20時間程度とするのが良い。その
他の焼鈍方式でもよいが,いずれにしても冷間圧延時の
剥離を防止するためには250℃〜550℃の温度範囲で実施
することが必要である。
が好ましい。この焼鈍処理は全てに必要なものではない
が,圧接板の板厚が約1.5mmを超えるような場合には,
次工程で更に冷間圧延して板厚減少を行なうさいに,ま
た場合によっては製品形状または半製品形状に成形加工
するさいに,接着面に剥離が発生することがあり,これ
を防止するために焼鈍を施すのが有利となる。この中間
焼鈍は250℃以上の温度を採用しないと効果が認められ
ない。しかし550℃を越えると圧接板のステンレス鋼層
とAl層との界面に合金層が厚く発達し,次工程の冷間圧
延時にこの合金層付近にクラツクが生じ,このために剥
離が生じたりする。この中間焼鈍の焼鈍方式としてはタ
イトコイルによるバッチ焼鈍とすることができる。この
場合,焼鈍時間は1〜20時間程度とするのが良い。その
他の焼鈍方式でもよいが,いずれにしても冷間圧延時の
剥離を防止するためには250℃〜550℃の温度範囲で実施
することが必要である。
このようにして,圧接工程を経たまま積層圧接板,中間
焼鈍を施した焼鈍圧接板,或いは中間焼鈍を施すかまた
は施さないで更に冷間圧延した冷延圧接板を,目標とす
るAl量をもって製造したら,次にこれを拡散処理する。
この拡散処理はステンレス鋼層とAl層とを相互に拡散さ
せる処理であり,600〜1300℃の温度範囲で施す必要があ
る。拡散処理温度が600℃未満ではAlの拡散が充分進行
しなく,1300℃を越えると拡散合金層において溶融層が
生じる。なお,この拡散処理時の加熱速度を速くしてAl
の融点以上の高温まで急速加熱すると,約700℃付近でA
l層が溶融することがある。このAl層が溶融すると,垂
れや集積によってAlの板面方向での濃度変化を発生する
原因となる。したがって,このようなAl層の溶融は出来
るだけ防止することが必要であり,このために,Alの融
点以下の温度で加熱して,例えば550〜680℃の温度に1
分間以上保持することによってAl層を融点の高い合金層
にさせてからさらに高温に加熱して十分な拡散処理を施
すのがよい。なすわち,600〜1300℃の範囲の温度におい
てAl層が溶融せずに合金化する条件下の拡散処理を施す
ことが必要である。
焼鈍を施した焼鈍圧接板,或いは中間焼鈍を施すかまた
は施さないで更に冷間圧延した冷延圧接板を,目標とす
るAl量をもって製造したら,次にこれを拡散処理する。
この拡散処理はステンレス鋼層とAl層とを相互に拡散さ
せる処理であり,600〜1300℃の温度範囲で施す必要があ
る。拡散処理温度が600℃未満ではAlの拡散が充分進行
しなく,1300℃を越えると拡散合金層において溶融層が
生じる。なお,この拡散処理時の加熱速度を速くしてAl
の融点以上の高温まで急速加熱すると,約700℃付近でA
l層が溶融することがある。このAl層が溶融すると,垂
れや集積によってAlの板面方向での濃度変化を発生する
原因となる。したがって,このようなAl層の溶融は出来
るだけ防止することが必要であり,このために,Alの融
点以下の温度で加熱して,例えば550〜680℃の温度に1
分間以上保持することによってAl層を融点の高い合金層
にさせてからさらに高温に加熱して十分な拡散処理を施
すのがよい。なすわち,600〜1300℃の範囲の温度におい
てAl層が溶融せずに合金化する条件下の拡散処理を施す
ことが必要である。
この拡散処理温度と拡散処理時間の選定,さらには雰囲
気調整によって,種々の構成の鋼板製品が製造できる。
すなわち,十分な拡散を非酸化性雰囲気下で行わせる
と,板厚方向に均一なAl濃度をもつ高Al含有ステンレス
鋼板が製造できるし,十分な拡散に至るまでの途中で処
理を終えれば表層部に高Al濃度をもつ高Al含有ステンレ
ス鋼板が製造できる。また,表面酸化を特に回避しない
で拡散焼鈍すれば,表層部にAlやCrなどの酸化物層がリ
ッチに存在した特殊な耐熱用の高Alステンレス鋼板が製
造できる。なお,拡散処理後において鋼板表面の性状が
不良となった場合には,軽冷延によって歪を取り除いた
り或いは表面の研磨や光沢仕上げを行うことによって良
好な表面性状にすることができる。
気調整によって,種々の構成の鋼板製品が製造できる。
すなわち,十分な拡散を非酸化性雰囲気下で行わせる
と,板厚方向に均一なAl濃度をもつ高Al含有ステンレス
鋼板が製造できるし,十分な拡散に至るまでの途中で処
理を終えれば表層部に高Al濃度をもつ高Al含有ステンレ
ス鋼板が製造できる。また,表面酸化を特に回避しない
で拡散焼鈍すれば,表層部にAlやCrなどの酸化物層がリ
ッチに存在した特殊な耐熱用の高Alステンレス鋼板が製
造できる。なお,拡散処理後において鋼板表面の性状が
不良となった場合には,軽冷延によって歪を取り除いた
り或いは表面の研磨や光沢仕上げを行うことによって良
好な表面性状にすることができる。
このようにして,本発明法によると通常の鋼板の製造法
では製造が困難な高Alステンレス鋼板が工業的に製造で
きる。とくに,高Al含有ステンレス鋼では冷間圧延はも
とより熱間圧延でも圧延が困難であるが,本発明法では
加工性の良好なステンレス鋼板とAl板を,Alが合金化す
る前の圧接状態で或いは圧接後の圧延で板厚減少を行な
うので目標とする薄板まで良好に冷間で圧延することが
でき,場合によっては製品形状または半製品形状に冷間
で加工することができ,しかも,Al含有量は必要に応じ
て10%以上にすることも可能である。したがって特殊な
用途,例えば電気抵抗加熱用素材や高温で使用される触
媒担持用金属基板等はもとより,一層耐熱性と耐食性に
優れた高Al含有ステンレス鋼板または鋼帯が安価に製造
できる。本発明法によって得られた高Al含有ステンレス
鋼の耐酸化性は後記実施例に示すように1200℃に2000時
間加熱といった過酷な条件下でも十分なものであり,且
つCが0.03%以下で且つ0.01〜0.8%のTi,Nb,VまたはMo
の1種もしくは2種以上を含有させたステンレス鋼板を
使用することによって拡散処理時に鋼層とAl層との界面
にボイドやクラックの発生を防止することができ,高品
質のものとすることができる。従来は,ステンレス鋼に
一層の耐酸化性を付与することを目的としてAlを添加し
たステンレス鋼を圧延・焼鈍をくり返す方法でこれを達
成しようと試みられてきたが,この場合にはAl含有が3
%以下に制限されるものであることに鑑み,本発明法が
いかに有益なものであるかが理解されるであろう。
では製造が困難な高Alステンレス鋼板が工業的に製造で
きる。とくに,高Al含有ステンレス鋼では冷間圧延はも
とより熱間圧延でも圧延が困難であるが,本発明法では
加工性の良好なステンレス鋼板とAl板を,Alが合金化す
る前の圧接状態で或いは圧接後の圧延で板厚減少を行な
うので目標とする薄板まで良好に冷間で圧延することが
でき,場合によっては製品形状または半製品形状に冷間
で加工することができ,しかも,Al含有量は必要に応じ
て10%以上にすることも可能である。したがって特殊な
用途,例えば電気抵抗加熱用素材や高温で使用される触
媒担持用金属基板等はもとより,一層耐熱性と耐食性に
優れた高Al含有ステンレス鋼板または鋼帯が安価に製造
できる。本発明法によって得られた高Al含有ステンレス
鋼の耐酸化性は後記実施例に示すように1200℃に2000時
間加熱といった過酷な条件下でも十分なものであり,且
つCが0.03%以下で且つ0.01〜0.8%のTi,Nb,VまたはMo
の1種もしくは2種以上を含有させたステンレス鋼板を
使用することによって拡散処理時に鋼層とAl層との界面
にボイドやクラックの発生を防止することができ,高品
質のものとすることができる。従来は,ステンレス鋼に
一層の耐酸化性を付与することを目的としてAlを添加し
たステンレス鋼を圧延・焼鈍をくり返す方法でこれを達
成しようと試みられてきたが,この場合にはAl含有が3
%以下に制限されるものであることに鑑み,本発明法が
いかに有益なものであるかが理解されるであろう。
以下に本発明の代表的な実施例を揚げ,本発明法によっ
て得られた鋼板の耐熱特性がいかに優れたものであるか
を示す。
て得られた鋼板の耐熱特性がいかに優れたものであるか
を示す。
〔実施例1〕 第1表にその化学成分値(重量%)を示した板厚1.0mm
のステンレス鋼板の両表面をワイヤーブラシ付ロールで
研磨したものを芯材とし,板厚が0.2mmのJIS合金番号10
50のAl板をトリクロールエタンでスプレー脱脂したもの
を皮材とした。
のステンレス鋼板の両表面をワイヤーブラシ付ロールで
研磨したものを芯材とし,板厚が0.2mmのJIS合金番号10
50のAl板をトリクロールエタンでスプレー脱脂したもの
を皮材とした。
この芯材の両面に,第2表に示す板厚構成のもとで皮材
を重ね合わせて,4段圧延機にかみ込ませ,第2表に示す
板厚にまで表示の圧下率で圧接圧延し、コイラーに巻き
取った。圧延速度は10〜30m/分であった。得られた圧接
板コイルをバッチ焼鈍炉に装入し,350℃×10時間の中間
焼鈍を施した後,板厚0.30mmにまで冷間圧延した。そし
て得られた厚接冷延板より60mmφの円板状試片を採取
し,この円板状試片を650℃×1時間保持の熱処理を施
し,次いで1100℃および1200℃の温度に大気中にて加熱
する酸化試験を実施した。その結果を第2表に示した。
また,1100℃×25時間保持の熱処理後の試料No.1およびN
o.5のサンプルを採取し,それらの断面を顕微鏡観察し
た。その写真を第1図および第2図に示した。
を重ね合わせて,4段圧延機にかみ込ませ,第2表に示す
板厚にまで表示の圧下率で圧接圧延し、コイラーに巻き
取った。圧延速度は10〜30m/分であった。得られた圧接
板コイルをバッチ焼鈍炉に装入し,350℃×10時間の中間
焼鈍を施した後,板厚0.30mmにまで冷間圧延した。そし
て得られた厚接冷延板より60mmφの円板状試片を採取
し,この円板状試片を650℃×1時間保持の熱処理を施
し,次いで1100℃および1200℃の温度に大気中にて加熱
する酸化試験を実施した。その結果を第2表に示した。
また,1100℃×25時間保持の熱処理後の試料No.1およびN
o.5のサンプルを採取し,それらの断面を顕微鏡観察し
た。その写真を第1図および第2図に示した。
第2表より明らかな如く,比較材である試料No.6では酸
化試験1100℃×25時間において10mg/cm2以上の酸化増量
を示すのに対し,本発明である試料No.1,No.2,No.3およ
びNo.4は酸化試験1100℃×1200時間においても酸化増量
は10mg/cm2未満の良好な耐酸化性を示す。
化試験1100℃×25時間において10mg/cm2以上の酸化増量
を示すのに対し,本発明である試料No.1,No.2,No.3およ
びNo.4は酸化試験1100℃×1200時間においても酸化増量
は10mg/cm2未満の良好な耐酸化性を示す。
また,Ti,Nb,VまたはMoを含有しない比較材の試料No.5も
酸化増量は少なく良好な耐酸化性を示すが,第2図の写
真に見られるように,鋼板層とAl層の界面付近にボイド
やクラックが生じている。これに対し,本発明で規定す
る成分のステンレス鋼板を使用した場合には,第1図の
写真に見られるように,ボイドやクラックは見られず界
面は均一したものとなる。なお圧接冷延板のAlが高温で
の酸化試験中に均一に拡散するが,その条件は1100℃で
2時間であった。
酸化増量は少なく良好な耐酸化性を示すが,第2図の写
真に見られるように,鋼板層とAl層の界面付近にボイド
やクラックが生じている。これに対し,本発明で規定す
る成分のステンレス鋼板を使用した場合には,第1図の
写真に見られるように,ボイドやクラックは見られず界
面は均一したものとなる。なお圧接冷延板のAlが高温で
の酸化試験中に均一に拡散するが,その条件は1100℃で
2時間であった。
〔実施例2〕 実施例1における試料No.2とNo.5の圧接圧延板を板厚0.
3mmに冷間圧延し,650℃×1時間の熱処理と,これに引
き続いて1100℃×2時間の拡散処理を真空中で実施し,A
lが均一に拡散した高Alステンレス鋼板とした。その
後,板の形状修正のために伸び率1.0%の軽冷延を施し
た。得られた高Alステンレス鋼板から60mmφの円板状試
片を採取し,大気中で1100℃,1200℃に加熱して酸化実
験を行った。その結果を第3表に示す。
3mmに冷間圧延し,650℃×1時間の熱処理と,これに引
き続いて1100℃×2時間の拡散処理を真空中で実施し,A
lが均一に拡散した高Alステンレス鋼板とした。その
後,板の形状修正のために伸び率1.0%の軽冷延を施し
た。得られた高Alステンレス鋼板から60mmφの円板状試
片を採取し,大気中で1100℃,1200℃に加熱して酸化実
験を行った。その結果を第3表に示す。
本実施例は圧接板のAlを均一拡散した高Alステンレス鋼
板の耐酸化性を調べたものである。第3表からも明らか
な如く,比較材である試料No.6のSUS430鋼板は酸化温度
1100℃,1200℃において25時間未満で10mg/cm2以上の酸
化増量を示すのに対し,本発明に係る試料No.2aにおい
ては1100℃×1200時間以上,1200℃×2000時間において
も10mg/cm2未満の酸化増量であり良好な耐酸化性を示
す。
板の耐酸化性を調べたものである。第3表からも明らか
な如く,比較材である試料No.6のSUS430鋼板は酸化温度
1100℃,1200℃において25時間未満で10mg/cm2以上の酸
化増量を示すのに対し,本発明に係る試料No.2aにおい
ては1100℃×1200時間以上,1200℃×2000時間において
も10mg/cm2未満の酸化増量であり良好な耐酸化性を示
す。
なお,Ti,Nb,VまたはMoを含有しないステンレス鋼板を使
用した比較材試料No.5aでは酸化増量は小さく良好であ
るが,圧接冷延板を拡散処理すると鋼層とAl層との界面
付近にボイドやクラックが生じ(第2図と同様),拡散
処理後の板の形状修正のために施す軽冷延時において板
切れが生じ易く,また打板加工や曲げ加工等の加工時割
れが発生する。
用した比較材試料No.5aでは酸化増量は小さく良好であ
るが,圧接冷延板を拡散処理すると鋼層とAl層との界面
付近にボイドやクラックが生じ(第2図と同様),拡散
処理後の板の形状修正のために施す軽冷延時において板
切れが生じ易く,また打板加工や曲げ加工等の加工時割
れが発生する。
第1図はTiを含有するステンレス鋼板を芯材とした拡散
処理後の鋼板断面の金属組織を示す金属顕微鏡写真,第
2図はTi,Nb,V,Moを含有しないステンレス鋼板を芯材と
した拡散処理後の鋼板断面の金属組織を示す金属顕微鏡
写真である。
処理後の鋼板断面の金属組織を示す金属顕微鏡写真,第
2図はTi,Nb,V,Moを含有しないステンレス鋼板を芯材と
した拡散処理後の鋼板断面の金属組織を示す金属顕微鏡
写真である。
フロントページの続き (72)発明者 御堂丸 哲光 兵庫県尼崎市次屋2―3―1 日新製鋼株 式会社大阪製造所神崎製造課内 (72)発明者 ▲槇▼本 守 兵庫県尼崎市次屋2―3―1 日新製鋼株 式会社大阪製造所神崎製造課内 (56)参考文献 特開 昭50−11942(JP,A) 特公 昭54−9985(JP,B2)
Claims (3)
- 【請求項1】C≦0.03%,Cr≦30%,Ti,Nb,VまたはMoの
1種もしくは2種以上を0.01〜0.8%含有するステンレ
ス鋼板の少なくとも片面に,含有させるAl量に相当する
割合となるようにAl板を重ね合わせ,これをロール間に
通板して積層圧接板とし,得られた積層圧接板を,600〜
1300℃の範囲の温度においてAl層が溶融せずに合金化す
る条件で拡散処理を施すことからなる高Al含有ステンレ
ス鋼板の製造法。 - 【請求項2】C≦0.03%,Cr≦30%,Ti,Nb,VまたはMoの
1種もしくは2種以上を0.01〜0.8%含有するステンレ
ス鋼板の少なくとも片面に,含有させるAl量に相当する
割合となるようにAl板を重ね合わせ,これをロール間に
通板して積層圧接板とし,得られた積層圧接板をさらに
目標板厚まで圧延し,次いで600〜1300℃の範囲の温度
においてAl層が溶融せずに合金化する条件で拡散処理を
施すことからなる高Al含有ステンレス鋼板の製造法。 - 【請求項3】C≦0.03%,Cr≦30%,Ti,Nb,VまたはMoの
1種もしくは2種以上を0.01〜0.8%含有するステンレ
ス鋼板の少なくとも片面に,含有させるAl量に相当する
割合となるようにAl板を重ね合わせ,これをロール間に
通板して積層圧接板とし,得られた積層圧接板をさらに
目標板厚まで圧延し,そのさい,この圧延の前または途
中において250〜550℃の中間焼鈍を施し,次いで600〜1
300℃の範囲の温度においてAl層が溶融せずに合金化す
る条件で拡散処理を施すことからなる高Al含有ステンレ
ス鋼板の製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28723088A JPH0726192B2 (ja) | 1988-11-14 | 1988-11-14 | 高Al含有ステンレス鋼板の製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28723088A JPH0726192B2 (ja) | 1988-11-14 | 1988-11-14 | 高Al含有ステンレス鋼板の製造法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH02133563A JPH02133563A (ja) | 1990-05-22 |
JPH0726192B2 true JPH0726192B2 (ja) | 1995-03-22 |
Family
ID=17714723
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP28723088A Expired - Lifetime JPH0726192B2 (ja) | 1988-11-14 | 1988-11-14 | 高Al含有ステンレス鋼板の製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0726192B2 (ja) |
Families Citing this family (11)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0788563B2 (ja) * | 1989-01-20 | 1995-09-27 | 日本金属工業株式会社 | 高アルミ含有フェライト系ステンレス鋼の製造方法 |
JP2015062922A (ja) * | 2013-09-25 | 2015-04-09 | 株式会社特殊金属エクセル | 3層クラッド構造を有する電子機器用放熱板素材およびその製造方法 |
JP6182088B2 (ja) * | 2014-03-03 | 2017-08-16 | 株式会社トッキンHd | 三層クラッド構造を有するリチウムイオン二次電池用端子素材を製造する方法 |
JP6543439B2 (ja) * | 2014-04-01 | 2019-07-10 | 東洋鋼鈑株式会社 | 金属積層材の製造方法 |
JP6381944B2 (ja) * | 2014-04-01 | 2018-08-29 | 東洋鋼鈑株式会社 | 金属積層材の製造方法 |
CN108098270B (zh) * | 2017-12-18 | 2019-10-01 | 武汉理工大学 | 一种Ti-Al体系梯度防护屏材料的制备方法 |
CN112703264B (zh) | 2018-09-13 | 2022-03-04 | 杰富意钢铁株式会社 | 铁素体类不锈钢板及其制造方法、以及Al系镀敷不锈钢板 |
US20220118740A1 (en) | 2019-02-19 | 2022-04-21 | Jfe Steel Corporation | Ferritic stainless steel sheet and method of producing same, and al vapor deposited layer-equipped stainless steel sheet |
WO2022004100A1 (ja) | 2020-07-01 | 2022-01-06 | Jfeスチール株式会社 | Alコーティング層付きステンレス鋼板 |
JP6954508B1 (ja) | 2020-07-01 | 2021-10-27 | Jfeスチール株式会社 | Alコーティング層付きステンレス鋼板 |
CN114908293A (zh) * | 2022-05-13 | 2022-08-16 | 江苏中色复合材料有限公司 | 一种适用于多热源的不锈钢铝炒锅料及其制备方法 |
-
1988
- 1988-11-14 JP JP28723088A patent/JPH0726192B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH02133563A (ja) | 1990-05-22 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
RU2355788C2 (ru) | Стальной лист с высоким содержанием алюминия и способ его производства | |
EP3851550B1 (en) | Ferritic stainless steel sheet, method for producing same and al plated stainless steel sheet | |
JPH10251750A (ja) | 自動車排気管の触媒担体として使用可能なアルミニウム含有率の高いフェライトステンレス鋼フォイルの製造方法 | |
JPH0726192B2 (ja) | 高Al含有ステンレス鋼板の製造法 | |
JP3885108B2 (ja) | 寸法安定な鉄−クロム−アルミニウム−シートの製造及びその使用 | |
EP1365910B1 (en) | Method of manufacturing metallic composite material | |
JP3176403B2 (ja) | 波付け加工用高強度ステンレス鋼箔およびその製造方法 | |
JP2796732B2 (ja) | 高A▲l▼含有フエライト系ステンレス鋼板またはその成形品の製造法 | |
JP2822141B2 (ja) | 高Al含有フェライトステンレス鋼箔の製造方法 | |
JPH0739627B2 (ja) | 高Al含有ステンレス鋼板の製造法 | |
JP3017236B2 (ja) | 磁気特性の優れたFe―Al合金軟磁性薄板の製造方法 | |
JPS6142498A (ja) | 成形加工用アルミニウム−ステンレス鋼クラツド板の製造方法 | |
JP3017237B2 (ja) | Fe―Si―Al合金軟磁性薄板の製造方法 | |
JP2649590B2 (ja) | Fe―Al合金薄板の製造法 | |
JPH0353077B2 (ja) | ||
JPH10118702A (ja) | 鉄−クロム−アルミニウム箔の製造方法及びその用法 | |
US20230271405A1 (en) | Method of producing ferritic stainless steel sheet | |
JP3377332B2 (ja) | アルミナ皮膜を形成した高Al含有Fe−Cr−Ni−Al系合金板材の製造方法 | |
JP2663811B2 (ja) | アルミニウムクラッド鋼板の製造方法 | |
JPH0569161A (ja) | 複合金属板の製造方法 | |
JPS5935664A (ja) | 冷延性にすぐれたα+β型チタン合金熱延板の製造方法 | |
JPH04124251A (ja) | アルミニウム箔の製造方法 | |
JPH0661630B2 (ja) | 銅または銅合金を中間媒接材としたチタンクラッド薄鋼板の製造方法 | |
JPH10140397A (ja) | Niメッキ鋼板の製造方法 | |
JPH01194942A (ja) | メタル担体素材 |