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JPH06283178A - 固体電解質型燃料電池の電解質膜製造方法 - Google Patents

固体電解質型燃料電池の電解質膜製造方法

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Publication number
JPH06283178A
JPH06283178A JP5093643A JP9364393A JPH06283178A JP H06283178 A JPH06283178 A JP H06283178A JP 5093643 A JP5093643 A JP 5093643A JP 9364393 A JP9364393 A JP 9364393A JP H06283178 A JPH06283178 A JP H06283178A
Authority
JP
Japan
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electrolyte
film
crack
electrolytic
flame spraying
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP5093643A
Other languages
English (en)
Inventor
Toshio Matsushima
敏雄 松島
Isao Nemoto
勲 根本
Toshitaka Yumiba
利恭 弓場
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Telegraph and Telephone Corp
Original Assignee
Nippon Telegraph and Telephone Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Telegraph and Telephone Corp filed Critical Nippon Telegraph and Telephone Corp
Priority to JP5093643A priority Critical patent/JPH06283178A/ja
Publication of JPH06283178A publication Critical patent/JPH06283178A/ja
Pending legal-status Critical Current

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    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
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    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P70/00Climate change mitigation technologies in the production process for final industrial or consumer products
    • Y02P70/50Manufacturing or production processes characterised by the final manufactured product

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  • Fuel Cell (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 電極材料によってセル自身を機械的に支える
構造のSOFCにおける電解質膜の製造プロセスに関わ
るもので、SOFCに要求される緻密な電解質膜を効率
良く、かつ安価に製造する固体電解質型燃料電池の電解
質膜製造方法を提供する。 【構成】 電極基板1上に、固体電解質層を形成し、さ
らにこの表面に他の電極層を形成して構成される固体電
解質型燃料電池の固体電解質層の形成法であって、まず
最初に電極基板1上に溶射法によって電解質溶射膜2を
形成し、焼結した後に、この電解質溶射膜2の表面に生
じるクラックの内径よりも小さい粒径を有する電解質の
ゾル状液体を付着し、前記ゾル状液体を焼結させること
を特徴とする。 【効果】 溶射法によって電解質膜を形成し、焼結した
後に、この電解質溶射膜の表面に生じるクラックの内径
よりも小さい粒径を有する電解質のゾル状液体を塗布し
て焼結することで電解質のクラックを閉塞させている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、固体電解質型燃料
電池における電解質薄膜の製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】固体電解質型燃料電池(以下、SOFC
と略)は、イオンの選択透過性を有する固体電解質と、
これを挟んで配置した2つの電極(酸化剤極と燃料極)
を基本要素として構成されている。そして、一般的には
酸化剤極に酸素(または空気)を、燃料極に水素を流す
ことで化学反応が進行し、発電が行われる。
【0003】電解質としては、酸素イオンか水素イオン
のどちらかを透過させる材料が使用され、通常、材料的
な点から、酸素イオン透過性を持った物質が使用されて
いる。現在、電解質材料としては、酸化ジルコニアに、
酸化イットリアを添加して結晶構造を立方晶に安定化さ
せた安定化ジルコニア(以下、YSZと略)が使用さ
れ、酸化剤極にはペロブスカイト構造を持ち、ランタン
の一部をアルカリ土類金属で置換したランタンマンガナ
イト(La1-x(M)xyMnO3(M:アルカリ土類金
属)やランタンコバルタイト(La1-x(M)xyCo
3(M;アルカリ土類金属)が、そして燃料電極とし
ては、YSZに所定のNiを混合して調整されたニッケ
ルジルコニアサーメットが用いられている。
【0004】SOFCの構造としては、例えば図4に示
すように、固体電解質31の両面に酸化剤極32と燃料
極33を設けた単セル30を燃料通路37および酸化剤
通路38を有するインタコネクタ34を介して積層した
構造で、電解質に機械的な強度を持たせたものが知られ
ている。また図5に示すように、燃料通路37を有する
燃料電極基板36に固体電解質31および酸化剤極32
を積層した単セル30を、インタコネクタ34が積層さ
れ、酸化剤通路38が形成された酸化剤電極基板35を
介して複数積層する構造のSOFCも知られている。
【0005】すなわち図4に示すように、電解質31に
機械的な強度を持たせて、その両側に2つの電極32、
33を形成するものと、図5に示すような、一方の電極
に機械的な強度を持たせ、その表面に電解質と他の電極
を形成するものがある。
【0006】
【発明が解決する問題点】しかし、SOFCにおける各
部材は、先に示したような材料を高温処理して作製した
セラミックスであり、また、各材料の中で電解質はSO
FCの動作温度である900〜1000℃においても導
電率が小さい。したがって電解質部での電圧降下による
単セルの出力不足を防ぐには電解質の厚みをおさえる必
要がある。
【0007】しかるに、前者のような構造では、電解質
自体にセル全体を支えうるような機械的強度を付与する
必要があるため、極端な薄膜は使用できず、厚みは30
0〜500μm程度となっている。
【0008】一方、後者の構造では、どちらかの電極が
セルの支持体となり、電極材料の導電率は電解質材料の
1000〜10000倍も大きいので支持体の厚みにあ
まりこだわらずに構成でき、この結果、電解質は製造上
許容される厚みまで薄くても良いことになり、単セルと
して非常に高い性能が期待される。しかし、現実には電
極支持体の作製法や構造・形状等による制約があり、こ
のような構造のセルの作製法としては、電極と電解質の
シートを重ねて共焼結する方法や、プラズマ溶射やレー
ザ溶射法、さらにはEVD法によって電解質膜を形成す
る方法が採られている。
【0009】しかし、前者のシートの共焼結による方法
の場合、有機溶剤と有機物バインダを用いたセラミック
粉末シートの作製や、シートの圧着・焼結等に多大な稼
働を要する。このようなことから、産業上の観点から見
ると、試料の形状や大きさにとらわれず、成膜速度が大
きい溶射法が好ましい。
【0010】しかし溶射法によって、SOFCの電解質
膜を製造する場合、YSZの融点が約2700℃と高い
ために問題があった。すなわち、溶射法では高温の溶射
炎中にYSZ粉末を供給して溶融状態とし、溶融したY
SZが固化する前に基板上に融着させるものであるが、
この方法では溶射の条件によっては基板に到着する前に
固化するYSZ粒子が発生してしまうこともあり、必ず
しも全てのYSZが充分に溶融した状態で基板に到着す
るとは限らない。したがって、一部半融状の粒子が基板
上に付着し、基板表面上のYSZは完全な溶融物にはな
らない。また、全ての粒子が溶融した状態で基板に到達
したとしても、基板表面上で急激な固体化が進行するた
めにクラックが発生しやすい状態にある。このため、溶
射法によって基板上に生成したYSZ膜は完全な緻密体
になり難く、クラックや粒子間に隙間を持ったものとな
り、この結果、ある程度のガス(特に分子径の小さい水
素)の透過が生じるという問題があった。
【0011】このようなガスの透過を防止する手段とし
ては、溶射法で作製する電解質の厚みを増すことが考え
られる。しかし、このような単純な方法では電解質内に
おける電圧降下が増してしまうことになる。また、溶射
の装置・方法によっては減圧条件下で行うものや、溶射
エネルギーを大きくした高出力機もあるが、このような
方法でも完全な緻密体を得ることは困難である。このよ
うに、溶射法だけでは完全に緻密な電解質膜は得難く、
このような電解質膜を用いて単セルを作製しても、セル
の起電力は理論値より低いものとなったり、外部に電流
を取り出した際の電圧降下が大きくなったりして、発電
特性は必ずしも充分なものとは言えなかった。
【0012】本発明は、電極材料によってセル自身を機
械的に支える構造のSOFCにおける電解質膜の製造プ
ロセスに関わるもので、SOFCに要求される緻密な電
解質膜を効率良く、かつ安価に製造することを目的とし
ている。
【0013】
【問題点を解決するための手段】上記問題点を解決する
ため、本発明による固体電解質型燃料電池の電解質膜製
造方法は、電極基板上に、固体電解質層を形成し、さら
にこの表面に他の電極層を形成して構成される固体電解
質型燃料電池の固体電解質層の形成法であって、まず最
初に電極基板上に溶射法によって電解質溶射膜を形成
し、焼結した後に、この電解質溶射膜の表面に生じるク
ラックの内径よりも小さい粒径を有する電解質のゾル状
液体を付着し、前記ゾル状液体を焼結させることを特徴
とする。
【0014】本発明の特徴は、電極基板上に溶射法を用
いて電解質膜を形成する際、まず第一に膜の製造速度等
の面で有利な溶射法を使用して所定の厚みの膜を形成
し、焼結した後に、この電解質溶射膜の表面に生じるク
ラックの内径よりも小さい粒径を有する電解質のゾル状
液体を塗布などの方法により付着して前記ゾル状液体を
焼結させ、これによって溶射法で形成した膜に生じてい
るクラック等を閉塞させ、SOFCに適した緻密な膜を
効率良く作ることを特徴としている。
【0015】従来、溶射法だけで電解質膜を作ることは
行われてきていたが、溶射法においては減圧溶射法や、
高出力装置によっても膜の緻密度は低く、この方法だけ
では充分な高性能を持つための緻密な電解質膜の作製に
は限界があった。
【0016】
【実施例】図1から図3に本発明による電解質薄膜製造
方法の概念を示す。図中、1は多孔性の基板、2は溶射
した電解質溶射膜、そして、3が電解質ゾルを塗布して
焼結した電解質ゾル液体燒結層、4はクラックである。
【0017】本発明による形成法では、まず第一に基板
1上に電解質を溶射し、次いで、この電解質溶射膜2の
表面に形成されたクラック4の内径よりも小さい粒径を
有する電解質のゾル状液体を塗布し焼結させて電解質ゾ
ル液体燒結層3を形成し、緻密でガス不透過性の電解質
薄膜を形成することで燃料電池を作製するために必要な
固体電解質膜を形成する。
【0018】以下、具体的な実施例として、まず燃料電
極材料によって作製した多孔性電極基板に本発明の方法
で電解質膜を形成した例を示す。
【0019】燃料電極の材料としては、ここでは一般的
に広く使用されているニッケルジルコニアサーメットを
使用した。サーメットの調整に用いた材料は、酸化ニッ
ケル粉末とイットリア安定化ジルコニア粉末(酸化イッ
トリアを8モル%添加したもの:東ソー製、TZ−8
Y)であり、これらを酸化ニッケルが体積比で40体積
%以上含まれるように秤量して混合した。混合物にPV
A系バインダを重量比で2〜10%添加した後プレス成
形し、これを1250〜1500℃で2〜10時間焼結
した。焼結体の多孔度は焼結条件やバインダの添加量で
異なるが、これらの調整によって20〜30%程度の基
板が得られた。これを水素雰囲気下で900〜1000
℃で処理するとNiOがNiに還元され、還元処理後の
基板1の細孔は、1μmを中心に0.2〜3μm程度に
分布したものとなった。
【0020】この表面にプラズマ溶射装置によって電解
質溶射膜2を形成した。溶射による電解質溶射膜形成に
あたっては大気溶射を使用し50μm〜100μmの厚
みで形成した。
【0021】このように作製した電解質溶射膜2にはク
ラック4が発生しているので、このような多孔性基板1
上に直接作製した電解質溶射膜2は、燃料ガスが容易に
酸素極側に透過してしまう。そこで先に作製した電解質
溶射膜2の表面の緻密化処理を行った。緻密化処理にあ
たっては、電解質溶射膜2に生じるクラック4と同程度
の粒径を持った電解質をゾル状に分散させた水溶液を使
用した。
【0022】電解質溶射膜2に生じるクラックの発生原
因としては、先に述べたように、半融状粒子の到達によ
るものと、基板表面での融解部分の急冷によるものの2
つが想定される。この2つのうち、前者についてはどち
らかと言えば電解質溶射膜2の厚みを厚くすることで比
較的処理しやすいものであり、電解質溶射膜2における
クラック4は主に、後者の原因によるものと考えられ
る。
【0023】大気溶射法によって作製したYSZ(酸化
イットリアを8モル%添加したもの)膜におけるクラッ
クの観察例として、断面がV字状を呈し、冷却時の体積
収縮をうかがわせるものであり、クラックの隙間は膜表
面において約1μm以下のものであることが観察され
た。したがって、本発明ではこのようなクラック内にY
SZ微粒子を充填して焼結しクラック内をYSZ焼結体
で埋めてガスの透過を防止するため、この間隔よりも平
均粒径が小さく、0.07〜0.1μmの粒径を持った
YSZ電解質のゾル状水溶液を使用した。そして、クラ
ック内にYSZ微粒子を充填した後、基板1全体に熱処
理を施し、YSZ微粒子と電解質溶射膜2を焼結により
一体化させて電解質ゾル液体燒結層3を形成し緻密化を
図った。
【0024】このような緻密化処理は一回ではなく、数
回の処理が有効であった。なお、熱処理温度は、充填し
たYSZ粒子が細かく非常に焼結性に富んでいるため1
000〜1100℃の温度で行うことができた。基板の
作製に使用したYSZ(東ソー製、TZ−8Y)の場
合、緻密化する焼結温度は1400℃あたりが下限であ
るが、今回は、YSZの粒径を平均0.1μm以下に小
さくすることではるかに低い温度での焼結・緻密化を行
うことができた。粒径サイズを小さくすることの利点
は、溶射膜に生じたクラック内に有効に充填させること
ができる点と、緻密化の際の焼結温度が低くなり電極基
板に熱ストレスを与えることなしに溶射した電解質溶射
膜のクラックの閉塞による緻密化が可能な2点である。
なお、細孔に入り込みにくい場合には塗布面の反対側を
減圧とすることでより良い効果を得ることができる。
【0025】このようにして作製した本発明の溶射膜と
従来の膜は、図1から3のプロセス内に示され、図2が
従来の電解質溶射膜、図3が本発明の処理を施したもの
に相当し、形成された電解質膜の形態的特徴としては明
らかに本発明の方が優れたものとなることは明らかであ
る。
【0026】そして、このように作製した電解質層に重
ねて酸化剤電極層を形成しSOFC単セルを作製した。
ここでは、酸化剤電極層はスラリー塗布・焼結法によっ
て形成した。すなわち、ランタンマンガナイト(La
0.8Sr0.2MnO3)をポリエチレングリコールとエタ
ノールで混合してスラリーを作成し、これを電解質表面
に塗布し、その後1100〜1300℃の範囲の温度で
2〜5時間熱処理して焼き付けた。このように作製した
セルの開路電圧は以下のようであった。
【0027】
【0028】なお、本発明では、溶射による電解質溶射
膜の形成には大気溶射を使用し、50μm〜100μm
の厚みで形成したが、もちろん減圧溶射によって行って
も一向に支障はない。従来、溶射法によってYSZ膜を
形成するには緻密性の向上の点で減圧溶射の方が適して
いたが、本発明によれば、作製した溶射膜に生じたクラ
ックを緻密化処理によって閉塞した状態とすることがで
きるので、大気溶射でも問題はない。
【0029】また、従来は溶射法によるYSZ形成にお
いては、マイクロクラックの発生によるガスの透過を防
止するため、膜の厚みを200〜300μm程度に厚く
していた。しかし、本発明によれば、ガスの透過を電解
質表面で防止できるので溶射膜の厚みを増す必要性がな
くなる。
【0030】溶射においては、通常、溶射炎が試料の表
面を何回か走査することで製膜が行われているが、一走
査回数あたりの膜圧は5〜10μm程度である。このた
め、厚膜の形成のためには必然的に炎の走査回数を増す
ことになるが、この場合、製膜に要する時間が長くなり
製造コストが上昇するのみならず、試料が高温の溶射炎
に暴される時間が長くなるために試料温度が上昇し、試
料の破損や基板の材質の変化といった問題が生じる恐れ
があった。しかし、本発明によれば溶射に要する時間の
短縮も図ることができ、製造コストの低減はもとより、
製造上の歩留りを著しく改善することができる。
【0031】次に酸化剤極基板を用いて行った、本発明
の他の実施例について述べる。
【0032】酸化剤極を用いた場合も基本的プロセスは
これまで述べてきたものと同様である。
【0033】ここでは、材料粉末として、SOFCで一
般敵に使用されているランタンマンガナイト(La0.8
Sr0.2MnO3)を使用した。なお、粉末は、平均粒径
が2〜10μmの範囲内に位置する数種の中から適宜選
択して使用した。これらの粉末の焼結特性は、平均粒径
が小さいほど、焼結が進行しやすく緻密化するので、各
粉末の粒径に対応して焼結条件を決定して酸化剤極基板
1を作製した。作製した基板1は、燃料電極基板と同様
にPVA系バインダを加えてプレス成形したものであ
る。作製した酸化剤極基板の物性としては、多孔度が2
0〜40%であり、平均の細孔径は、おおよそ1〜2μ
mであった。
【0034】このような試料基板1に、プラズマ溶射装
置によって電解質溶射膜2を作製した。そして、これに
次いで先に述べたと同様の方法でYSZゾル液体を塗布
して焼結させ、電解質ゾル液体燒結層3を形成した。酸
化剤電極はあまり高い温度で焼結させると緻密化してし
まい、電極に要求される多孔性が失われてしまい、原料
の粒径にもよるが、好ましい電極特性が得られる粒径の
原料での焼結温度の上限は、1200〜1250℃であ
る。しかし、表面に塗布したYSZゾル液体の焼結はこ
れをはるかに下回る温度によって可能であるので、酸化
剤極基板を不必要な高温に暴すことなしに、電解質表面
のクラックを塞ぐことができた。
【0035】そして、このように作製した電解質膜の表
面にニッケルジルコニアサーメットからなる燃料電極層
を形成し、単セルを得た。燃料電極の形成にあたって
は、酸化剤極基板(ランタンマンガナイト)の耐熱温度
が約1300℃程度と、ニッケルジルコニアサーメット
の焼結温度以下であるのでスラリー塗布・焼結法は適用
できない。したがって、基板に対する熱ストレスのない
プラズマ溶射法によってサーメット層を形成した。この
ようにして作製したセルの開路電圧も、燃料電極基板を
使用して作製したセルと同様に表面処理を施すことによ
って理論電圧近くまで高めることができた。
【0036】以上述べたように本発明によれば、これま
で行われていた溶射法による電解質の作成プロセスに準
じた方法で、これまでよりも高性能のSOFCセルを得
ることができる。しかも、従来の溶射法のプロセスその
ものは何ら変えることなしに、逆に溶射プロセスの短縮
化によって製品の歩留り向上を図ることもできる。
【0037】なお、本発明では溶射して形成した電解質
溶射膜の表面にYSZ電解質のゾル状水溶液を塗布・燒
結しているが、これは溶射によって形成した膜に生じる
クラックの断面が先に述べたようにV字状の断面であ
り、このような形状を有しているために内部への充填が
可能となった。電極基板へ直接塗布した場合、基板が多
孔性であり細孔の直径がサブミクロンから数ミクロンで
あるため、塗布したゾル液体が基板の細孔内に浸漬し、
ここで焼結するため多孔性が失われる結果となり、層状
を呈する電解質の作製が困難であった。
【0038】
【発明の効果】以上説明したように、本発明ではSOF
Cセルの電解質膜を溶射法によって形成するにあたっ
て、まず溶射法によって電解質溶射膜を形成し、焼結し
た後に、この電解質溶射膜の表面に生じるクラックの内
径よりも小さい粒径を有する電解質のゾル状液体を塗布
して焼結することで電解質のクラックを閉塞させてい
る。従来、溶射法はEVD法やスパッタリング法に比べ
て膜の製造速度が大きいことや、製膜する試料面の大き
さや形状にとらわれないという利点に着目されSOFC
の電解質薄膜形成法として検討されてきた。しかし、電
解質材料であるジルコニアの融点が2700℃と高いた
めに必ずしも緻密な膜にはなりえず、膜内にはマイクロ
クラック等が存在し、これがガスの透過による発電特性
の不良の原因となっていた。溶射膜において、このよう
なガスの透過を防止するための対策としては、膜の厚み
を増すことが考えられる。しかし、ガスの透過だけに着
目して徒らに膜厚を厚くすると、電解質内における電圧
降下が大きくなりセルの性能が低下するという問題があ
った。このようなことを少しでも改善しようとした試み
としては、減圧溶射法によるものや、溶射エネルギーを
大きくした高出力機の使用も考えられるが、このような
方法でもSOFCに適した完全な緻密体を得ることは困
難である。しかし、本発明に示した方法では、溶射した
電解質溶射膜の表面に生じるクラックの内径よりも小さ
い粒径を有する電解質のゾル状液体を塗布して焼結し、
電解質のクラックを閉塞させているので、電解質溶射質
膜にマイクロクラックが発生したとしても、電解質薄膜
全体としての緻密性を確保することができる。また、本
発明の効果としては、溶射電解質膜の厚さを従来の方法
に比べて薄くすることもでき、これによる、製造コスト
の低減と製造上の留りの向上を図ることができる。
【0039】以上述べたように、本発明では、溶射法に
よる大きな製膜速度を有効利用し、SOFCに必要とさ
れる緻密な電解質薄膜を得ることができ、産業上得られ
る利点は甚大なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電解質膜製造プロセスと試料の断面模
式図。
【図2】本発明の電解質膜製造プロセスと試料の断面模
式図。
【図3】本発明の電解質膜製造プロセスと試料の断面模
式図。
【図4】従来の固体電解質型燃料電池の構造例。
【図5】従来の固体電解質型燃料電池の構造例。
【符号の説明】
1 電極基板 2 電解質膜 3 電解質ゾル液体焼結層 4 クラック 30 単セル 31 固体電解質 32 酸化剤極 33 燃料極 34 インタコネクタ 35 酸化剤電極基板 36 燃料電極基板 37 燃料通路 38 酸化剤通路

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電極基板上に、固体電解質層を形成し、さ
    らにこの表面に他の電極層を形成して構成される固体電
    解質型燃料電池の固体電解質層の形成法であって、まず
    最初に電極基板上に溶射法によって電解質溶射膜を形成
    し、焼結した後に、この電解質溶射膜の表面に生じるク
    ラックの内径よりも小さい粒径を有する電解質のゾル状
    液体を付着し、前記ゾル状液体を焼結させることを特徴
    とする固体電解質型燃料電池の電解質膜製造方法。
JP5093643A 1993-03-29 1993-03-29 固体電解質型燃料電池の電解質膜製造方法 Pending JPH06283178A (ja)

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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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