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JPH06100591A - ペプチド、それらから誘導される抗体並びにその抗体を含有する抗ニュ−カッスル病薬 - Google Patents

ペプチド、それらから誘導される抗体並びにその抗体を含有する抗ニュ−カッスル病薬

Info

Publication number
JPH06100591A
JPH06100591A JP3182107A JP18210791A JPH06100591A JP H06100591 A JPH06100591 A JP H06100591A JP 3182107 A JP3182107 A JP 3182107A JP 18210791 A JP18210791 A JP 18210791A JP H06100591 A JPH06100591 A JP H06100591A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
peptide
antibody
amino acid
virus
gel
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP3182107A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoshio Okada
善雄 岡田
Takako Shimamoto
太香子 島本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ishihara Sangyo Kaisha Ltd
Original Assignee
Ishihara Sangyo Kaisha Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ishihara Sangyo Kaisha Ltd filed Critical Ishihara Sangyo Kaisha Ltd
Priority to JP3182107A priority Critical patent/JPH06100591A/ja
Publication of JPH06100591A publication Critical patent/JPH06100591A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Classifications

    • Y02A50/407

Landscapes

  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Medicines Containing Antibodies Or Antigens For Use As Internal Diagnostic Agents (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ニューカッスル病ウイルス感染及び感染の伝
播を阻止するような有効かつ安全なニューカッスル病
(家禽ペスト)の感染予防薬、発病予防薬又は治療薬を
提供する。 【構成】 本発明は、配列表配列番号1で示されるアミ
ノ酸配列において、6番目のグリシン残基から11番目
のアルギニン残基までのアミノ酸配列を含み、かつ6〜
15個のアミノ酸残基からなるペプチド、該ペプチドか
ら誘導される抗体及びその抗体を有効成分として含有す
る抗ニューカッスル病薬に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ペプチド、それらから
誘導される抗体並びにその抗体を有効成分として含有す
る抗ニューカッスル病薬に関する。
【0002】
【従来の技術】しばしば「家禽ペスト」とも称されるニ
ューカッスル病は、家禽を襲う最も重大な病気の一つで
ある。原因となる病原体はパラミキソウイルスに属する
ニューカッスル病ウイルス(NDV)である。ウイルス
感染はしばしば麻痺および死につながる重篤な神経系異
常を伴う呼吸器障害を引き起こし、1鶏舎に万の単位で
飼育されるニワトリに次々と伝播して家禽飼育事業に深
刻な経済的影響を及ぼす。本ウイルス病に対してはニュ
ーカッスル病不活化予防液(佐藤株、石井株)や生ウイ
ルス予防液(B1株)などのワクチンが調製され、実用
化されている。
【0003】しかしながら、前記不活化予防液では不活
化が不十分であったり、防腐剤やアジュバント等の添加
物が原因となる事故が、また、生ウイルス予防液では生
ワクチンウイルス株の病原性復帰や製造工程中の迷入微
生物による事故が、しばしば発生している。従ってウイ
ルスの感染によるニューカッスル病の感染予防、発病予
防或は治療の方策として、より有効かつ安全な手段を提
供することが求められている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】NDVは、感染細胞に
細胞融合を起こし、巨核細胞を形成する特徴を持ってい
るが、この融合現象はウイルス外膜上に存在する糖蛋白
質であるF蛋白により引き起こされる。F蛋白は分子量
約68kdの前駆体(F)として産生された後、トリ
プシン様の宿生内プロテアーゼによる限定分解を受けて
開裂し、F(56kd)とF(12kd)の2つの
ジスルフィド結合ポリペプチドを形成して初めて生物活
性を発現することが知られている(Nagai Y.
ら、ビロロジー(Virology)72巻、494〜
508頁(1976年))。限定分解認識部位のアミノ
酸配列は、細胞融合を引き起こすウイルス間でよく保存
されており、NDVにおいても強毒株、弱毒株を問わ
ず、非常に相同性が高いことが示されている(R.L.
Glickmanら、ジャーナル・オブ・ビロロジー
(Journal of Virology)62巻、
354〜356頁(1988年)、N.S.Milla
rら、ジャーナル・オブ・ジエネラル・ビロロジー(J
ournal of General Virolog
y)69巻、613〜620頁(1988年))。
【0005】Fポリペプチドアミノ末端は疎水性に富
む部位であり、ウイルスはこの部分を介して標的細胞の
細胞膜と融合を起こす。このアミノ末端に相当する合成
ペプチド或はその類似体がパラミキソウイルスに属する
センダイウイルスや麻疹ウイルスの膜融合を抑制するこ
とが示されている(S.C.H.Stuart−Har
ris and J.Oxford 著、「プロブレン
ズ・オブ・アンチバイラル・セラピィ」(Proble
ms of Antiviral Therapy)、
13−34頁、アカデミック・プレス(Academi
c Press)1983年)。
【0006】また、F蛋白に対するウサギ抗血清がウイ
ルスと標的細胞との膜融合を阻止し、感染の拡大を抑制
することが同じパラミキソウイルスに属するパラインフ
ルエンザウイルス、シミアンウイルス5(SV5)に対
してin Vitroで示されている(D.C.Mer
zら、ジャーナル・オブ・エクスペリメンタル・メデイ
シン(Journal of Experimenta
l Medicine)151巻、275−288頁、
(1980年))。しかし、ウイルスの中和に関与する
F蛋白上の抗原認識部位や感染防御の機構は明らかにさ
れておらず、またNDVに関してはF蛋白を認識する抗
体の有効性は確認されていない。
【0007】本発明においては、NDVのF蛋白の限定
分解認識部位に相当するポリペプチドに着目し、それら
を認識する抗体を作製することにより該蛋白の開裂を阻
害し、結果としてウイルス感染及び感染の伝播を阻止す
る有効かつ安全なNDV感染予防薬、発病予防薬又は治
療薬を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、NDVの
F蛋白上にあるトリプシンと相互作用を有すると推定さ
れる一定のペプチド部分を合成し、該ペプチドから誘導
された抗体がF蛋白の開裂を阻害してNDVの増殖を抑
制しうるとの知見を得て、本発明を完成した。
【0009】すなわち、本発明は、配列表配列番号1で
示されるアミノ酸配列において、6番目のグリシン残基
から11番目のアルギニン残基までのアミノ酸配列を含
み、かつ6〜15個のアミノ酸残基からなるペプチド、
該ペプチドから誘導される抗体及びその抗体を有効成分
として含有する抗ニューカッスル病薬に関する。
【0010】本発明のペプチドには、後述するキャリア
蛋白質との連結のために、アミノ酸配列のC末端にシス
テインが付加されてもよい。本発明のペプチドの具体例
としては、配列表配列番号2、3又は4で示されるペプ
チドなどが挙げられる。
【0011】本発明のペプチドは、従来の液相法、固相
法などの方法で得ることができるが、より簡便には、固
相法による市販のペプチド合成機を用いて得ることが出
来る。
【0012】固相法においては、ポリマー性の支持体に
前記ペプチドのC末端側から、そのアミノ酸残基に対応
したアミノ酸を縮合させ、ペプチド結合を形成させる。
縮合方法としては、例えばジシクロヘキシルカルボジイ
ミド(DCC)法、酸無水物法、活性エステル法などの
方法を使用することが出来る。α−アミノ基の保護基と
してはt−ブトキシカルボニル(以下Boc)基又は9
−フルオレニルメチルオキシカルボニル(以下Fmo
c)基が使用できる。例えば、ペプチド自動合成装置を
用いて合成する時にはその装置のマニュアル指示に従い
適宜アミノ酸の性質を考慮して選択して合成するのが好
ましい。
【0013】液相法にて合成する時には固相法と同様、
通常のペプチド合成法に従って行うことが出来る。公知
の方法として例えば泉屋信夫他著、ペプチド合成の基礎
と実験、丸善(株)、1975年などに記載されている
方法等が挙げられる。
【0014】次に保護基および支持体からの脱離は、α
−アミノ基保護基にBoc基を用いる時には、スカベン
ジャーを含むフッ化水素、トリフルオロメタンスルホン
酸などを用いて行われる。スカベンジャーとしては、チ
オアニソール、エタンジチオール、ジメチルスルフィド
などが用いられる。またα−アミノ基保護基にFmoc
基を用いる時には、フェノールとトリフルオロ酢酸を含
む混合液などを用いることが出来る。
【0015】ペプチドの精製には一般的に使用されるイ
オン交換樹脂、分配クロマトグラフィー、ゲルクロマト
グラフィー、逆相型液体クロマトグラフィー等を単独に
或は組み合わせて用いることによって行うことが出来
る。精製されたペプチドのアミノ酸組成は、アミノ酸分
析装置により容易に測定することが出来る。
【0016】本発明のペプチドは、主に抗体を誘導する
目的で使用される。
【0017】本発明の抗体は、前記ペプチドから誘導さ
れ、従って該ペプチドと特異的に反応する。また該抗体
は、ニューカッスル病ウイルスの外膜上に存在するF蛋
白のトリプシン様プロテアーゼによる開裂を特異的に阻
害するものである。本発明の抗体にはモノクローナル抗
体或はポリクローナル抗体が含まれる。
【0018】本発明の抗体は、以下の方法によって製造
することができる。すなわち、免疫された動物の血清か
ら免疫グロブリン画分を得、次いで免疫グロブリン画分
をアフィニティークロマトグラフィーにて精製すること
によって製造される。免疫される動物としてはウサギ、
ヤギ、マウス、ラットなどが利用できる。免疫は、本発
明の前記ペプチドをキャリア蛋白質と連結して得られる
免疫原を、フロイントアジュバントと混合し、動物の皮
下、筋肉内又は腹腔内に1回に0.05〜50mg、7
〜30日間隔で2〜15週間投与することによって行わ
れる。最終免疫後3〜10日目に免疫動物から血液を採
取し、通常行われる方法により血清部分が分離、取得さ
れる。血清から免疫グロブリン画分を得る方法として
は、公知の硫安分画法が用いられる。アフィニティーク
ロマトグラフィーによる精製では、抗原である本発明の
前記ペプチドが使用され、該ペプチドに結合する抗体の
みが分離、取得される。
【0019】モノクローナル抗体は、いわゆる細胞融合
法によって製造することができる。
【0020】本発明の抗体は、後記試験例に示される通
り、ニューカッスル病ウイルス感染細胞からの新たな感
染性ウイルスの産生を阻害することから、感染予防薬、
発病予防薬又は治療薬として有効である。本発明の抗体
を有効成分として含有するニューカッスル病の感染予防
薬、発病予防薬又は治療薬は、担体又は希釈剤などと共
に例えばメンブレンフィルターによる除菌操作の後に注
射剤、経鼻噴霧剤などとして家禽に投与される。
【0021】以下に実施例を示し、本発明を更に詳細に
説明するが、これらは本発明を限定するものではない。
【0022】
【実施例】
実施例1 ペプチドの調製 (1)配列表配列番号2で示されるペプチドの合成。
【0023】カルボキシ末端から出発する段階的固相合
成法により、Boc−Cys−PAM(PAM:4−
(オキシメチル)フェニルアセタミドメチル)樹脂71
6mg(Cys含量0.7mM/g)を原料としてペプ
チド自動合成装置(アプライドバイオシステム社製43
0A)を用いて固相合成法によって合成した。合成手順
については、本装置の合成マニュアル指示に従い適宜ア
ミノ酸の性質を考慮して行なった。本ペプチドの合成は
常法に従い、前記アミノ酸配列に従ってC末端Cysか
ら順次7個のL体アミノ酸をそれぞれ2mMずつ反応さ
せることによって1.4gの保護ペプチド樹脂を得た。
この反応に用いたアミノ酸の側鎖官能基の保護基として
は、Argのグアニジノ基には2、4、6−トリメチル
ベンゼンスルホニル基、Cysのメルカプト基にはp−
メトキシベンジル基を用いた。
【0024】乾燥後、この保護ペプチド樹脂1.4gを
0.7mlのエタンジチオールと1.4mlのチオアニ
ソールの混合液で氷冷下10分間攪拌後、14mlのト
リフルオロ酢酸を加え10分間攪拌した。この混合液の
中に1.4mlのトリフルオロメタンスルホン酸を加え
10分間攪拌後、さらに室温にて50分間攪拌した。そ
の後、50mlの無水エーテルを加えて粗ペプチドを沈
澱させ、グラスフィルターにて粗ペプチドと脱離した樹
脂とを濾過した。グラスフィルター上の粗ペプチドに5
mlのトリフルオロ酢酸を加え、溶解後、このものに無
水エーテルを加えて粗ペプチドの沈澱を得た。このもの
を分離後、無水エーテルで数回洗浄し、減圧下で乾燥し
た。このようにして得られたペプチド200mgを高速
液体クロマトグラフィー(HPLC)にて次のような条
件で精製した。カラムは逆相系ODS(商品名:ULT
RON S−C18)で0.1%トリフルオロ酢酸を含
むアセトニトリルにて直線グラジエント法(60分間で
アセトニトリル100%流量10ml/分)により分
離、精製した。この条件でのペプチドの保持時間は2
4.2分であった。必要な溶出画分を濃縮後、凍結乾燥
することによって目的とするペプチド90mgを得た。
【0025】ペプチドのアミノ酸分析については6規定
塩酸で110℃20時間加水分解した後、アミノ酸分析
装置L8500(日立製作所製)にて測定した。 アミノ酸の分析結果
【0026】(2)配列表配列番号4で示されるペプチ
ドの合成 前記(1)と同様の方法によりペプチドの合成を行い更
に精製することにより(精製はHPLCの条件としてペ
プチドの保持時間は28.4分)、目的とするペプチド
90mgを得た。 アミノ酸の分析結果
【0027】実施例2 抗NDVペプチド抗体の調製 (1)キャリア蛋白質へのペプチドの連結 キャリア蛋白質、キーホールリンペットヘモシアニン
(以下KLH、カルバイオケミ社)に連結する際に、5
0mMのDTT(ジチオスレイトール)を含む1mlの
リン酸ナトリウム緩衝液(0.2M、PH8.0)中に
実施例1(1)の方法により合成されたペプチド20m
gを溶解させた。KLH9mgを20mMホウ酸ナトリ
ウム緩衝液−0.15Mナトリウム塩液(PH9.0)
に溶解させ、0.5Mリン酸緩衝液(PH7.0)10
0μlで溶液を中性付近に戻し、その液に対し、連結剤
であるスクシニル4−(p−マレイミドフェニル)ブチ
レイト(以下SMPB、ピアス社)0.8mgをジオキ
サンに溶解させた溶液を徐々に加えた。得られた混合液
を1時間撹拌した後、カラムクロマトグラフィにて精製
した。カラムはセファデックスG−25(ファルマシア
社)を用い、生理食塩リン酸緩衝液(以下PBS、20
mMリン酸、150mMのNaCl、pH7.2)によ
り分離、精製した。
【0028】このように前もって処理されたペプチド液
を撹拌しながらキャリア蛋白質液を滴下し混合した。混
合液は室温で3時間穏かに撹拌した後PBSに対し一夜
透析した。
【0029】このように合成されたKLHキャリア一連
結ペプチドについてポリアクリルアミド電気泳動を行
い、分子量の増加により確かに免疫原が作成されたこと
を確認した。各試料を10mMのDTTを含有するLa
emmli’sサンプル・バッファー(62.5mMト
リス−塩酸緩衝液pH6.8、2%ドデシル硫酸ナトリ
ウム、0.01%プロモフェニルブルー及び10%グリ
セロール)に加え〔Laemmli,Nature,2
27巻,680頁(1970)〕の方法に準じ8%の分
離用ゲルを用いて泳動を行った。分離用ゲル中の蛋白質
をクマシー・ブリリアント・ブルーで染色することによ
り確認した。
【0030】(2)試験動物の接種 前記実施例2(1)で得られたKLH連結ペプチド50
0μg/160μlをPBSで希釈し、1:1の割合で
完全フロイントアジュバント(ICNイムノバイオロジ
カルズ社)と共に乳化した。続いて日本白色種ウサギ
(1.5kg、オス、清水実験材料株式会社)に250
μg/1mlの乳化物を皮下注射により接種した。続い
て一週間間隔で2回完全フロイントアジュバントを用い
て接種を行い、さらに一週間間隔で4回不完全フロイン
トアジュバント(ナカライテスク社)を1:1で混合し
たKLH連結ペプチドを追加免疫注射した。最終免疫後
5日目に動物から採血した。血清を公知の硫安分画法
(50%飽和硫安)にて精製し、血清中の免疫グロブリ
ン画分を得、これを部分精製物とした。このようにして
抗ペプチド抗体を含有する免疫グロブリン画分28.3
mg/mlを得た。前記実施例1(2)で得られたペプ
チドについても前記実施例2(1)及び(2)の場合と
同様に処理したところ同様な結果が得られ、以後これら
に対する抗体をそれぞれFcl−2およびFcl−1と
略祢する。
【0031】(3)免疫学的検定(ペプチド被覆プレー
トに対する抗ペプチド血清を用いる酵素的結合免疫吸着
法(ELISA))
【0032】この試験では、本発明のペプチドにより動
物内で生成した抗血清がそのペプチドに特異的に結合す
ることを測定した。試験の結果、本発明のペプチドが免
疫原性を有し、試験動物内で抗体を誘発することが確め
られた。
【0033】検定ではファルコン3912マイクロテス
トIIITMフレキシブルアッセイプレート(ベクトン
ディッキンソンラブウエア社)を用いた。このプレート
にPBS中で100μg/mlの濃度のペプチド50μ
lを被覆し、そのプレートを37℃で30分インキュベ
ートした。その後プレートを倒立させ全ての穴を空に
し、RIAバッファー(PBS/0.1%アジ化ナトリ
ウム、0.5%牛血清アルブミン)/0.05%Twe
en20で3回洗浄した。ペーパータオルの上で軽く叩
いて吸取りプレートを乾燥させた。プレートの吸取りの
後100μlのRIAバッファーをそれぞれの穴に添加
し37℃で30分インキュベートした。その後前述の場
合と同様にプレートを洗浄し吸取った。
【0034】その後前記実施例2(2)の方法で得られ
た抗ペプチド抗体を含む免疫グロブリン画分を、調製し
た被覆プレート上で検定した。最初、免疫画分を1:5
0に希釈したのに続きRIAバッファーでの連続2倍希
釈でペプチド抗原に対する抗体応答を検定した。
【0035】37℃で30分インキュベートした後、前
述の場合と同様にプレートを洗浄し、吸取った。その後
RIAバッファー中の1:4000希釈ヤギ抗ウサギI
gGアルカリホスファターゼ(タゴ社)50μlをそれ
ぞれの穴に添加し、37℃で30分インキュベートし
た。その後前述の場合と同様にプレートを洗浄し吸取っ
た。DEAバッファー(10%ジエタノールアミン緩衝
液(pH9.8)/0.02%アジ化ナトリウム、0.
01%塩化マグネシウム6水和物)中、4mMのp−ニ
トロフェニルホスフェイト(シグマ社)を50μlずつ
穴に添加した。15分後25μlの1MNaOHで酵素
反応を停止した。その後マイクロプレート読取り機(バ
イオラッド社、モデル2550EIAリーダー)を用い
405nmで分光光度的にプレートを解析した。この結
果、希釈依存的に吸光度が減少したことから両ペプチド
に対するFcl−1、Fcl−2それぞれの抗血清がペ
プチドに結合することを観測した。
【0036】(4)抗ペプチド血清の精製 ウイルス作用の検定を行うにあたっては、できるだけ他
のウイルス阻害因子を除外する為、アフィニティカラム
クロマトグラフィによる精製を行ってもよい。ここでは
FMP−アクティベーティドアビッドゲルF(バイオプ
ローブインターナショナル社)を用いた精製法を述べ
る。
【0037】15mlの炭酸ナトリウム−重炭酸ナトリ
ウム緩衝液(50mM、pH9.4)中、40mgのK
LHを溶解させる。このKLH液に対し、1・5gの乾
燥ゲル(FMP−アクティベーティドアビッドゲルF)
を液を攪拌しながら徐々に加え、その液を4℃で10時
間穏かに攪拌した。その後30mlの炭酸ナトリウム−
重炭酸ナトリウム緩衝液(50mM、pH9.4)で、
続いて30mlのリン酸緩衝液(50mM、pH7.
2)でゲルを洗浄した。このようにして得られたKLH
結合ゲルは15mlのリン酸緩衝液(50mM、pH
7.2)に懸濁された。このKLH(キーホールリンペ
ットヘモシアニン)結合ゲル液に対し、0.3mlのジ
オキサンに溶解した20mgのSMPB(スクシニル4
−(p−マレイミドフェニル)ブチレイト)を混合し、
その混合液を室温で1時間穏かに攪拌した。その後30
mlのリン酸緩衝液(50mM、pH7.2)でKLH
−SMPB結合ゲルを洗浄した。得られたKLH−SM
PB結合ゲルは未反応の水酸基を不活化する為に20m
Mの2−メルカプトエタノールを含有する50mlのト
リス−塩酸緩衝液(0.1M、pH8.5)に懸濁し、
4℃で6時間穏かに攪拌した。その後、以下の順でKL
H−SMPB結合ゲルを洗浄した。40mlの酢酸ナト
リウム緩衝液(10mM、pH4.5)、40mlの酢
酸ナトリウムバッファー食塩水(10mM、pH4.
5、0.5MNaCl)、40mlのトリス塩酸バッフ
ァー(10mM、pH8.5)、40mlのトリス塩酸
バッファー食塩水(10mM、pH8.5、0.5MN
aCl)、最後に40mlのホウ酸バッファー食塩水
(20mM、pH8.5、0.15MNaCl)で洗浄
した。
【0038】このようにして得られたKLH−SMPB
結合ゲルに、前記実施例2(2)で得られた抗ペプチド
抗体含有部分精製物約15mlを混合し、4℃で10時
間穏かに攪拌した。その後グラスフィルターにてゲルと
抗ペプチド抗体含有液とを濾過、分離した。グラスフィ
ルター上のゲルに10mlの20mMホウ酸バッファー
食塩水(0.15MNaCl)続いて10mlの20m
Mホウ酸バッファー食塩水(0.4MNaCl)を加え
ゲルを洗浄した。濾液と洗浄液は回収し、次の操作まで
4℃で貯蔵した。
【0039】次にFMP−アクティベーティドアビッド
ゲルFに抗原ペプチドを結合させる。
【0040】0.05Mジチオスレイトールを含有する
20mlのリン酸バッファー(0.5M、pH8.0)
中に抗原ペプチド16mgを溶解させた。このペプチド
溶液に2gの乾燥ゲル(FMP−アクティベーティドア
ビッドゲルF)を、液を攪拌しながら徐々に加え、添加
後、室温で15分攪拌した。その後そのペプチド、ゲル
混合液を更に室温で8時間穏かに撹拌した後、50ml
のリン酸バッファー(50mM、pH8.0)でゲルを
洗浄した。このようにして得られたペプチド結合ゲル
は、前記KLH−SMPBの場合と同様にして未反応の
水酸基を不活化する為に前記したように処理を行った。
その後前述の場合と同様にしてペプチド結合ゲルの洗浄
を行い、最後に20mlの20mMホウ酸バッファー食
塩水(pH8.5、0.15MNaCl)に懸濁した。
【0041】最後に、先に述べた操作により回収した抗
ペプチド抗体含有液とペプチド結合ゲルとの結合及び抗
ペプチド抗体の溶出について述べる。作成したペプチド
結合ゲルと抗ペプチド抗体含有液を混合し、4℃で10
時間穏かに攪拌した。これにより抗ペプチド抗体はペプ
チド結合ゲルに結合する。この抗ペプチド抗体結合ゲル
を適当なガラスカラム(1.2cmφ×18cm)に入
れ50mlの20mMホウ酸バッファー食塩水(pH
8.5、0.15MNaCl)で洗浄し、続いて50m
lの20mMホウ酸バッファー食塩水(pH8.5、
0.4MNaCl)で、最後に20mMホウ酸バッファ
ー食塩水(pH8.0、0.4MNaCl)で洗浄し
た。最後の洗浄は溶出液を分光光度計で測定し、測定波
長280nmで吸光度が0.01〜0.02になるまで
洗浄を行った。
【0042】このようにして作成された抗ペプチド抗体
結合アフイニティーゲルカラムに0.1Mグリシン塩酸
バッファー(pH2.4)を供給し抗ペプチド抗体を溶
出した。溶出液は0.5mlずつ回収され、1〜30画
分中、画分番号13〜18の範囲に抗体成分が回収され
た。このようにして得られたアフィニティー精製抗ペプ
チド抗体中のIgG含有量は0.3mg/mlであっ
た。
【0043】実施例3 精製抗ペプチド抗体の性状 本発明の精製抗NDVペプチド抗体の反応特異性に関
し、Fcl−1を例にとって説明する。
【0044】精製Fcl−1抗体は公知のウエスタンブ
ロッティング法により分析した結果、抗原に用いた合成
ペプチドと特異的に反応することが確認された。また本
抗体は精製NDV(宮寺株:名古屋大学永井教授より分
与)の構成成分のうち、F蛋白と特異的に反応し、この
うち主としてF蛋白部分を認識することが明らかとな
った。
【0045】さらに、本抗体のF蛋白の開裂阻害作用を
以下の手順に従って調べた。24ウエルプレート上で単
層状態に増殖したBHK−21細胞(幼若ハムスター腎
臓由来細胞株、ATCCクローンNo.CCL−10)
に、5%子牛血清を含むイーグルMEM培地((財)微
生物病研究会製)で希釈したNDVを感染させ、37℃
で培養した。4時間後、35Sラベルしたメチオニン
(100μCi/ml)と精製抗体(0.03mg/m
l)を加えてさらに培養を続けた。30時間後、感染細
胞を集め、界面活性剤で溶解した後、NDVのF蛋白に
対するマウスモノクローナル抗体(北海道大学喜田教授
より分与)を用いて免疫沈降を行い、電気泳動法によっ
てF蛋白の開裂状態を分析した。精製抗体を加えない場
合、ほぼ全てのF蛋白が開裂を受けているのに対し
て、精製抗体を加えた場合は、F蛋白が明らかに開裂
阻害を受けていた。また、これらのF蛋白は、主とし
て細胞表面に分布していた。以上から、NDVのF蛋白
の限定分解認識部位に対する抗体は感染細胞の表面にお
いてFがFとFに開裂するのを阻害する性質を有
することが示された。
【0046】実施例4 ウイルスに対する作用の検定(中和試験):NDV感染
細胞からの感染性ウイルスの産生に対する阻害効果 NDV感染細胞の培養液中にFcl−1を添加しながら
培養を行い、感染細胞からの新たな感染性ウイルスの産
生がどの程度阻害されるかを検定した。5%子牛血清を
含むイーグルMEM培地で希釈したNDV(70プラー
ク形成単位/200μl)を24ウエルプレート上で単
層状態に増殖したBHK−21細胞に吸着(37℃、1
時間)させた後、未吸着ウイルスを除去、洗浄し段階希
釈したFcl−1(終濃度0.1、0.01、0300
1及び0mg/ml)を含む同培地1mlを加えて、5
%炭酸ガス下37℃で培養した。20時間後、培養上清
中のNDVの感染価をプラーク法により算出した。結果
を図1に示す。
【0047】NDVのF蛋白の開裂部位に対する抗体
は、0.1mg/mlの濃度で、抗体非存在下の場合の
ウイルス産生量に対して約60%の阻害効果を示した。
従って、本抗体は感染細胞から新たに感染力を持ったウ
イルスが産生されるステップに対しては細胞表面におい
てウイルスF蛋白の開裂を抑制することによって感染阻
害効果を示すことが明らかとなった。
【0048】
【発明の効果】本発明の抗体は、細胞表面において、N
DVのF蛋白、FがFとFに開裂するのを阻害
し、その結果として、ウイルス感染細胞からの新たな感
染性ウイルス粒子の産生を阻害する。従って、本抗体
は、NDVの感染宿生、主として家禽における本ウイル
スの感染予防薬或は発病予防薬として利用できるばかり
でなく、既に発病したものに対しても新たなウイルス産
生を抑制することによって、治療薬として利用できる。
同時に、先にも述べた通り、本抗体の抗原認識部位はN
DVの異なるクローン間で良く保存されており、抗原性
の変化が生じる頻度は極めて低い部分と考えられること
から、NDV変異株が出現した場合でも引き続き本抗体
が有効に作用して感染防御効果を発揮できる。
【0049】
【図面の簡単な説明】
【図1】抗ペプチド抗体の感染性NDV産生に対する阻
害効果を示す図である。
【0050】
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:15 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列
【0051】配列番号:2 配列の長さ:7 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列
【0052】配列番号:3 配列の長さ:8 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列
【0053】
【配列表】
配列番号:4 配列の長さ:9 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年6月8日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の詳細な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ペプチド、それらから
誘導される抗体並びにその抗体を有効成分として含有す
る抗ニューカッスル病薬に関する。
【0002】
【従来の技術】しばしば「家禽ペスト」とも称されるニ
ューカッスル病は、家禽を襲う最も重大な病気の一つで
ある。原因となる病原体はパラミキソウイルスに属する
ニューカッスル病ウイルス(NDV)である。ウイルス
感染はしばしば麻痺および死につながる重篤な神経系異
常を伴う呼吸器障害を引き起こし、1鶏舎に万の単位で
飼育されるニワトリに次々と伝播して家禽飼育事業に深
刻な経済的影響を及ぼす。本ウイルス病に対してはニュ
ーカッスル病不活化予防液(佐藤株、石井株)や生ウイ
ルス予防液(B1株)などのワクチンが調製され、実用
化されている。
【0003】しかしながら、前記不活化予防液では不活
化が不十分であったり、防腐剤やアジュバント等の添加
物が原因となる事故が、また、生ウイルス予防液では生
ワクチンウイルス株の病原性復帰や製造工程中の迷入微
生物による事故が、しばしば発生している。従ってウイ
ルスの感染によるニューカッスル病の感染予防、発病予
防或は治療の方策として、より有効かつ安全な手段を提
供することが求められている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】NDVは、感染細胞に
細胞融合を起こし、巨核細胞を形成する特徴を持ってい
るが、この融合現象はウイルス外膜上に存在する糖蛋白
質であるF蛋白により引き起こされる。F蛋白は分子量
約68kdの前駆体(F)として産生された後、トリ
プシン様の宿生内プロテアーゼによる限定分解を受けて
開裂し、F(56kd)とF(12kd)の2つの
ジスルフィド結合ポリペプチドを形成して初めて生物活
性を発現することが知られている(Nagai Y.
ら、ビロロジー(Virology)72巻、494〜
508頁(1976年))。限定分解認識部位のアミノ
酸配列は、細胞融合を引き起こすウイルス間でよく保存
されており、NDVにおいても強毒株、弱毒株を問わ
ず、非常に相同性が高いことが示されている(R.L.
Glickmanら、ジャーナル・オブ・ビロロジー
(Journal of Virology)62巻、
354〜356頁(1988年)、N.S.Milla
rら、ジャーナル・オブ・ジエネラル・ビロロジー(J
ournal of General Viro1og
y)69巻、613〜620頁(1988年))。
【0005】Fポリペプチドアミノ末端は疎水性に富
む部位であり、ウイルスはこの部分を介して標的細胞の
細胞膜と融合を起こす。このアミノ末端に相当する合成
ペプチド或はその類似体がパラミキソウイルスに属する
センダイウイルスや麻疹ウイルスの膜融合を抑制するこ
とが示されている(S.C.H.Stuart−Har
ris and J.Oxford 著、「プロブレン
ズ・オブ・アンチバイラル・セラピィ」(Proble
ms of Antiviral Therapy)、
13−34頁、アカデミック・プレス(Academi
c Press)1983年)。
【0006】また、F蛋白に対するウサギ抗血清がウイ
ルスと標的細胞との膜融合を阻止し、感染の拡大を抑制
することが同じパラミキソウイルスに属するパラインフ
ルエンザウイルス、シミアンウイルス5(SV5)に対
してin vitroで示されている(D.C.Mer
zら、ジャーナル・オブ・エクスペリメンタル・メデイ
シン(Journal of Experimenta
l Medicine)151巻、275−288頁、
(1980年))。しかし、ウイルスの中和に関与する
F蛋白上の抗原認識部位や感染防御の機構は明らかにさ
れておらず、またNDVに関してはF蛋白を認識する抗
体の有効性は確認されていない。
【0007】本発明においては、NDVのF蛋白の限定
分解認識部位に相当するポリペプチドに着目し、それら
を認識する抗体を作製することにより該蛋白の開裂を阻
害し、結果としてウイルス感染及び感染の伝播を阻止す
る有効かつ安全なNDV感染予防薬、発病予防薬又は治
療薬を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、NDVの
F蛋白上にあるトリプシンと相互作用を有すると推定さ
れる一定のペプチド部分を合成し、該ペプチドから誘導
された抗体がF蛋白の開裂を阻害してNDVの増殖を抑
制しうるとの知見を得て、本発明を完成した。
【0009】すなわち、本発明は、配列表配列番号1で
示されるアミノ酸配列において、6番目のグリシン残基
から11番目のアルギニン残基までのアミノ酸配列を含
み、かつ6〜15個のアミノ酸残基からなるペプチド、
該ペプチドから誘導される抗体及びその抗体を有効成分
として含有する抗ニューカッスル病薬に関する。
【0010】本発明のペプチドには、後述するキャリア
蛋白質との連結のために、アミノ酸配列のC末端にシス
テインが付加されてもよい。本発明のペプチドの具体例
としては、配列表配列番号2、3又は4で示されるペプ
チドなどが挙げられる。
【0011】本発明のペプチドは、従来の液相法、固相
法などの方法で得ることができるが、より簡便には、固
相法による市販のペプチド合成機を用いて得ることが出
来る。
【0012】固相法においては、ポリマー性の支持体に
前記ペプチドのC末端側から、そのアミノ酸残基に対応
したアミノ酸を縮合させ、ペプチド結合を形成させる。
縮合方法としては、例えばジシクロヘキシルカルボジイ
ミド(DCC)法、酸無水物法、活性エステル法などの
方法を使用することが出来る。α−アミノ基の保護基と
してはt−ブトキシカルボニル(以下Boc)基又は9
−フルオレニルメチルオキシカルボニル(以下Fmo
c)基が使用できる。例えば、ペプチド自動合成装置を
用いて合成する時にはその装置のマニュアル指示に従い
適宜アミノ酸の性質を考慮して選択して合成するのが好
ましい。
【0013】液相法にて合成する時には固相法と同様、
通常のペプチド合成法に従って行うことが出来る。公知
の方法として例えば泉屋信夫他著、ペプチド合成の基礎
と実験、丸善(株)、1975年などに記載されている
方法等が挙げられる。
【0014】次に保護基および支持体からの脱離は、α
−アミノ基保護基にBoc基を用いる時には、スカベン
ジャーを含むフッ化水素、トリフルオロメタンスルホン
酸などを用いて行われる。スカベンジャーとしては、チ
オアニソール、エタンジチオール、ジメチルスルフィド
などが用いられる。またα−アミノ基保護基にFmoc
基を用いる時には、フェノールとトリフルオロ酢酸を含
む混合液などを用いることが出来る。
【0015】ペプチドの精製には一般的に使用されるイ
オン交換樹脂、分配クロマトグラフィー、ゲルクロマト
グラフィー、逆相型液体クロマトグラフィー等を単独に
或は組み合わせて用いることによって行うことが出来
る。精製されたペプチドのアミノ酸組成は、アミノ酸分
析装置により容易に測定することが出来る。
【0016】本発明のペプチドは、主に抗体を誘導する
目的で使用される。
【0017】本発明の抗体は、前記ペプチドから誘導さ
れ、従って該ペプチドと特異的に反応する。また該抗体
は、ニューカッスル病ウイルスの外膜上に存在するF蛋
白のトリプシン様プロテアーゼによる開裂を特異的に阻
害するものである。本発明の抗体にはモノクローナル抗
体或はポリクローナル抗体が含まれる。
【0018】本発明の抗体は、以下の方法によって製造
することができる。すなわち、免疫された動物の血清か
ら免疫グロブリン画分を得、次いで免疫グロブリン画分
をアフィニティークロマトグラフィーにて精製すること
によって製造される。免疫される動物としてはウサギ、
ヤギ、マウス、ラットなどが利用できる。免疫は、本発
明の前記ペプチドをキャリア蛋白質と連結して得られる
免疫原を、フロイントアジュバントと混合し、動物の皮
下、筋肉内又は腹腔内に1回に0.05〜50mg、7
〜30日間隔で2〜15週間投与することによって行わ
れる。最終免疫後3〜10日目に免疫動物から血液を採
取し、通常行われる方法により血清部分が分離、取得さ
れる。血清から免疫グロブリン画分を得る方法として
は、公知の硫安分画法が用いられる。アフィニティーク
ロマトグラフィーによる精製では、抗原である本発明の
前記ペプチドが使用され、該ペプチドに結合する抗体の
みが分離、取得される
【0019】モノクローナル抗体は、いわゆる細胞融合
法によって製造することができる。
【0020】本発明の抗体は、後記試験例に示される通
り、ニューカッスル病ウイルス感染細胞からの新たな感
染性ウイルスの産生を阻害することから、感染予防薬、
発病予防薬又は治療薬として有効である。本発明の抗体
を有効成分として含有するニューカッスル病の感染予防
薬、発病予防薬又は治療薬は、担体又は希釈剤などと共
に例えばメンブレンフィルターによる除菌操作の後に注
射剤、経鼻噴霧剤などとして家禽に投与される。
【0021】以下に実施例を示し、本発明を更に詳細に
説明するが、これらは本発明を限定するものではない。
【0022】
【実施例】 実施例1 ペプチドの調製 (1)配列表配列番号2で示されるペプチドの合成。
【0023】カルボキシ末端から出発する段階的固相合
成法により、Boc−Cys−PAM(PAM:4−
(オキシメチル)フェニルアセタミドメチル)樹脂71
6mg(Cys含量0.7mM/g)を原料としてペプ
チド自動合成装置(アプライドバイオシステム社製43
0A)を用いて固相合成法によって合成した。合成手順
については、本装置の合成マニュアル指示に従い適宜ア
ミノ酸の性質を考慮して行なった。本ペプチドの合成は
常法に従い、前記アミノ酸配列に従ってC末端Cysか
ら順次7個のL体アミノ酸をそれぞれ2mMずつ反応さ
せることによって1.4gの保護ペプチド樹脂を得た。
この反応に用いたアミノ酸の側鎖官能基の保護基として
は、Argのグアニジノ基には2、4、6−トリメチル
ベンゼンスルホニル基、Cysのメルカプト基にはp−
メトキシベンジル基を用いた。
【0024】乾燥後、この保護ペプチド樹脂1.4gを
0.7mlのエタンジチオールと1.4mlのチオアニ
ソールの混合液で氷冷下10分間攪拌後、14mlのト
リフルオロ酢酸を加え10分間攪拌した。この混合液の
中に1.4mlのトリフルオロメタンスルホン酸を加え
10分間攪拌後、さらに室温にて50分間攪拌した。そ
の後、50mlの無水エーテルを加えて粗ペプチドを沈
澱させ、グラスフィルターにて粗ペプチドと脱離した樹
脂とを濾過した。グラスフィルター上の粗ペプチドに5
mlのトリフルオロ酢酸を加え、溶解後、このものに無
水エーテルを加えて粗ペプチドの沈澱を得た。このもの
を分離後、無水エーテルで数回洗浄し、減圧下で乾燥し
た。このようにして得られたペプチド200mgを高速
液体クロマトグラフィー(HPLC)にて次のような条
件で精製した。カラムは逆相系ODS(商品名:ULT
RON S−C18)で0.1%トリフルオロ酢酸を含
むアセトニトリルにて直線グラジエント法(60分間で
アセトニトリル100%流量10ml/分)により分
離、精製した。この条件でのペプチドの保持時間は2
4.2分であった。必要な溶出画分を濃縮後、凍結乾燥
することによって目的とするペプチド90mgを得た。
【0025】ペプチドのアミノ酸分析については6規定
塩酸で110℃20時間加水分解した後、アミノ酸分析
装置L8500(日立製作所製)にて測定した。 アミノ酸の分析結果
【0026】(2)配列表配列番号4で示されるペプチ
ドの合成 前記(1)と同様の方法によりペプチドの合成を行い更
に精製することにより(精製はHPLCの条件としてペ
プチドの保持時間は28.4分)、目的とするペプチド
90mgを得た。 アミノ酸の分析結果
【0027】実施例2 抗NDVペプチド抗体の調製 (1)キャリア蛋白質へのペプチドの連結 キャリア蛋白質、キーホールリンペットヘモシアニン
(以下KLH、カルバイオケミ社)に連結する際に、5
0mMのDTT(ジチオスレイトール)を含む1mlの
リン酸ナトリウム緩衝液(0.2M、pH8.0)中に
実施例1(1)の方法により合成されたペプチド20m
gを溶解させた。KLH9mgを20mMホウ酸ナトリ
ウム緩衝液−0.15Mナトリウム塩液(pH9.0)
に溶解させ、0.5Mリン酸緩衝液(pH7.0)10
0μlで溶液を中性付近に戻し、その液に対し、連結剤
であるスクシニル4−(p−マレイミドフェニル)ブチ
レイト(以下SMPB、ビアス社)0.8mgをジオキ
サンに溶解させた溶液を徐々に加えた。得られた混合液
を1時間攪拌した後、カラムクロマトグラフィにて精製
した。カラムはセファデックスG−25(ファルマシア
社)を用い、生理食塩リン酸緩衝液(以下PBS、20
mMリン酸、150mMのNaC1、pH7.2)によ
り分離、精製した。
【0028】このように前もって処理されたペプチド液
を攪拌しながらキャリア蛋白質液を滴下し混合した。混
合液は室温で3時間穏かに攪拌した後PBSに対し一夜
透析した。
【0029】このように合成されたKLHキャリア一連
結ペプチドについてポリアクリルアミド電気泳動を行
い、分子量の増加により確かに免疫原が作成されたこと
を確認した。各試料を10mMのDTTを含有するLa
emmli’sサンプル・バッファー(62.5mMト
リス−塩酸緩衝液pH6.8、2%ドデシル硫酸ナトリ
ウム、0.01%ブロモフェニルブルー及び10%グリ
セロール)に加え〔Laemmli,Nature,2
27巻,680頁(1970)〕の方法に準じ8%の分
離用ゲルを用いて泳動を行った。分離用ゲル中の蛋白質
をクマシー・ブリリアント・ブルーで染色することによ
り確認した。
【0030】(2)試験動物の接種 前記実施例2(1)で得られたKLH連結ペプチド50
0μg/160μlをPBSで希釈し、1:1の割合で
完全フロイントアジュバント(ICNイムノバイオロジ
カルズ社)と共に乳化した。続いて日本白色種ウサギ
(1.5kg、オス、清水実験材料株式会社)に250
μg/1mlの乳化物を皮下注射により接種した。続い
て一週間間隔で2回完全フロイントアジュバントを用い
て接種を行い、さらに一週間間隔で4回不完全フロイン
トアジュバント(ナカライテスク社)を1:1で混合し
たKLH連結ペプチドを追加免疫注射した。最終免疫後
5日目に動物から採血した。血清を公知の硫安分画法
(50%飽和硫安)にて精製し、血清中の免疫グロブリ
ン画分を得、これを部分精製物とした。このようにして
抗ペプチド抗体を含有する免疫グロブリン画分28.3
mg/mlを得た。前記実施例1(2)で得られたペプ
チドについても前記実施例2(1)及び(2)の場合と
同様に処理したところ同様な結果が得られ、以後これら
に対する抗体をそれぞれFc1−2およひFc1−1と
略称する。
【0031】(3)免疫学的検定(ペプチド被覆プレー
トに対する抗ペプチド血清を用いる酵素的結合免疫吸着
法(ELISA))
【0032】この試験では、本発明のペプチドにより動
物内で生成した抗血清がそのペプチドに特異的に結合す
ることを測定した。試験の結果、本発明のペプチドが免
疫原性を有し、試験動物内で抗体を誘発することが確め
られた。
【0033】検定ではファルコン3912マイクロテス
トIIITMフレキシブルアッセイプレート(ベクトン
ディッキンソンラブウエア社)を用いた。このプレート
にPBS中で100μg/mlの濃度のペプチド50μ
lを被覆し、そのプレートを37℃で30分インキュベ
ートした。その後プレートを倒立させ全ての穴を空に
し、RIAバッファー(PBS/0.1%アジ化ナトリ
ウム、0.5%牛血清アルブミン)/0.05%Twe
en20で3回洗浄した。ペーパータオルの上で軽く叩
いて吸取りプレートを乾燥させた。プレートの吸取りの
後100μlのRIAバッファーをそれぞれの穴に添加
し37℃で30分インキュベートした。その後前述の場
合と同様にプレートを洗浄し吸取った。
【0034】その後前記実施例2(2)の方法で得られ
た抗ペプチド抗体を含む免疫グロブリン画分を、調製し
た被覆プレート上で検定した。最初、免疫画分を1:5
0に希釈したのに続きRIAバッファーでの連続2倍希
釈でペプチド抗原に対する抗体応答を検定した。
【0035】37℃で30分インキュベートした後、前
述の場合と同様にプレートを洗浄し、吸取った。その後
RIAバッファー中の1:4000希釈ヤギ抗ウサギI
gGアルカリホスファターゼ(タゴ社)50μlをそれ
ぞれの穴に添加し、37℃で30分インキュベートし
た。その後前述の場合と同様にプレートを洗浄し吸取っ
た。DEAバッファー(10%ジエタノールアミン緩衝
液(pH9.8)/0.02%アジ化ナトリウム、0.
01%塩化マグネシウム6水和物)中、4mMのp−ニ
トロフェニルホスフェイト(シグマ社)を50μlずつ
穴に添加した。15分後25μlの1MNaOHで酵素
反応を停止した。その後マイクロプレート読取り機(バ
イオラッド社、モデル2550EIAリーダー)を用い
405nmで分光光度的にプレートを解析した。この結
果、希釈依存的に吸光度が減少したことから両ペプチド
に対するFcl−1、Fcl−2それぞれの抗血清がペ
プチドに結合することを観測した。
【0036】(4)抗ペプチド血清の精製 ウイルス作用の検定を行うにあたっては、できるだけ他
のウイルス阻害因子を除外する為、アフィニティカラム
クロマトグラフィによる精製を行ってもよい。ここでは
FMP−アクティベーティドアビッドゲルF(バイオプ
ローブインターナショナル社)を用いた精製法を述べ
る。
【0037】15mlの炭酸ナトリウム−重炭酸ナトリ
ウム緩衝液(50mM、pH9.4)中、40mgのK
LHを溶解させる。このKLH液に対し、1.5gの乾
燥ゲル(FMP−アクティベーティドアビッドゲルF)
を液を攪拌しながら徐々に加え、その液を4℃で10時
間穏かに攪拌した。その後30mlの炭酸ナトリウム−
重炭酸ナトリウム緩衝液(50mM、pH9.4)で、
続いて30mlのリン酸緩衝液(50mM、pH7.
2)でゲルを洗浄した。このようにして得られたKLH
結合ゲルは15mlのリン酸緩衝液(50mM、pH
7.2)に懸濁された。このKLH(キーホールリンペ
ットヘモシアニン)結合ゲル液に対し、0.3mlのジ
オキサンに溶解した20mgのSMPB(スクシニル4
−(p−マレイミドフェニル)ブチレイト)を混合し、
その混合液を室温で1時間穏かに攪拌した。その後30
mlのリン酸緩衝液(50mM、pH7.2)でKLH
−SMPB結合ゲルを洗浄した。得られたKLH−SM
PB結合ゲルは未反応の水酸基を不活化する為に20m
Mの2−メルカプトエタノールを含有する50mlのト
リス−塩酸緩衝液(0.1M、pH8.5)に懸濁し、
4℃で6時間穏かに攪拌した。その後、以下の順でKL
H−SMPB結合ゲルを洗浄した。40mlの酢酸ナト
リウム緩衝液(10mM、pH4.5)、40mlの酢
酸ナトリウムバッファー食塩水(10mM、pH4.
5、0.5MNaCl)、40mlのトリス塩酸バッフ
ァー(10mM、pH8.5)、40mlのトリス塩酸
バッファー食塩水(10mM、pH8.5、0.5MN
aCl)、最後に40mlのホウ酸バッファー食塩水
(20mM、pH8.5、0.15MNaCl)で洗浄
した。
【0038】このようにして得られたKLH−SMPB
結合ゲルに、前記実施例2(2)で得られた抗ペプチド
抗体含有部分精製物約15mlを混合し、4℃で10時
間穏かに攪拌した。その後グラスフィルターにてゲルと
抗ペプチド抗体含有液とを濾過、分離した。グラスフィ
ルター上のゲルに10mlの20mMホウ酸バッファー
食塩水(0.15MNaCl)続いて10mlの20m
Mホウ酸バッファー食塩水(0.4MNaCl)を加え
ゲルを洗浄した。濾液と洗浄液は回収し、次の操作まで
4℃で貯蔵した。
【0039】次にFMP−アクティベーティドアビッド
ゲルFに抗原ペプチドを結合させる。
【0040】0.05Mジチオスレイトールを含有する
20mlのリン酸バッファー(0.5M、PH8.0)
中に抗原ペプチド16mgを溶解させた。このペプチド
溶液に2gの乾燥ゲル(FMP−アクティベーティドア
ピッドゲルF)を、液を攪拌しながら徐々に加え、添加
後、室温で15分攪拌した。その後そのペプチド、ゲル
混合液を更に室温で8時間穏かに攪拌した後、50ml
のリン酸バッファー(50mM、pH8.0)でゲルを
洗浄した。このようにして得られたペプチド結合ゲル
は、前記KLH−SMPBの場合と同様にして未反応の
水酸基を不活化する為に前記したように処理を行った。
その後前述の場合と同様にしてペプチド結合ゲルの洗浄
を行い、最後に20mlの20mMホウ酸バッファー食
塩水(pH8.5、0.15MNaCl)に懸濁した。
【0041】最後に、先に述べた操作により回収した抗
ペプチド抗体含有液とペプチド結合ゲルとの結合及び抗
ペプチド抗体の溶出について述べる。作成したペプチド
結合ゲルと抗ペプチド抗体含有液を混合し、4℃で10
時間穏かに攪拌した。これにより抗ペプチド抗体はペプ
チド結合ゲルに結合する。この抗ペプチド抗体結合ゲル
を適当なガラスカラム(1.2cmφ×18cm)に入
れ50mlの20mMホウ酸バッファー食塩水(pH
8.5、0.15MNaCl)で洗浄し、続いて50m
lの20mMホウ酸バッファー食塩水(pH8.5、
0.4MNaCl)で、最後に20mMホウ酸バッファ
ー食塩水(pH8.0、0.4MNaCl)で洗浄し
た。最後の洗浄は溶出液を分光光度計で測定し、測定波
長280nmで吸光度が0.01〜0.02になるまで
洗浄を行った。
【0042】このようにして作成された抗ペプチド抗体
結合アフィニティーゲルカラムに0.1Mグリシン塩酸
バッファー(pH2.4)を供給し抗ペプチド抗体を溶
出した。溶出液は0.5mlずつ回収され、1〜30画
分中、画分番号13〜18の範囲に抗体成分が回収され
た。このようにして得られたアフィニティー精製抗ペプ
チド抗体中のIgG含有量は0.3mg/mlであっ
た。
【0043】実施例3 精製抗ペプチド抗体の性状 本発明の精製抗NDVペプチド抗体の反応特異性に関
し、Fcl−1を例にとって説明する。
【0044】精製Fcl−1抗体は公知のウエスタンブ
ロッティング法により分析した結果、抗原に用いた合成
ペプチドと特異的に反応することが確認された。また本
抗体は精製NDV(宮寺株:名古屋大学永井教授より分
与)の構成成分のうち、F蛋白と特異的に反応し、この
うち主としてF蛋白部分を認識することが明らかとな
った。
【0045】さらに、本抗体のF蛋白の開裂阻害作用を
以下の手順に従って調べた。24ウエルプレート上で単
層状態に増殖したBHK−21細胞(幼若ハムスター腎
臓由来細胞株、ATCCクローンNo.CCL−10)
に、5%子牛血清を含むイーグルMEM培地((財)微
生物病研究会製)で希釈したNDVを感染させ、37℃
で培養した。4時間後、35Sラベルしたメチオニン
(100μCi/ml)と精製抗体(0.03mg/m
l)を加えてさらに培養を続けた。30時間後、感染細
胞を集め、界面活性剤で溶解した後、NDVのF蛋白に
対するマウスモノクローナル抗体(北海道大学喜田教授
より分与)を用いて免疫沈降を行い、電気泳動法によっ
てF蛋白の開裂状態を分析した。精製抗体を加えない場
合、ほぼ全てのF蛋白が開裂を受けているのに対し
て、精製抗体を加えた場合は、F蛋白が明らかに開裂
阻害を受けていた。また、これらのF蛋白は、主とし
て細胞表面に分布していた。以上から、NDVのF蛋白
の限定分解認識部位に対する抗体は感染細胞の表面にお
いてFがFとFに開裂するのを阻害する性質を有
することが示された。
【0046】実施例4 ウイルスに対する作用の検定(中和試験):NDV感染
細胞からの感染性ウイルスの産生に対する阻害効果 NDV感染細胞の培養液中にFcl−1を添加しながら
培養を行い、感染細胞からの新たな感染性ウイルスの産
生がどの程度阻害されるかを検定した。5%子牛血清を
含むイーグルMEM培地で希釈したNDV(70プラー
ク形成単位/200μ1)を24ウエルプレート上で単
層状態に増殖したBHK−21細胞に吸着(37℃、1
時間)させた後、未吸着ウイルスを除去、洗浄し段階希
釈したFcl−1(終濃度0.1、0.01、0.00
1及び0mg/ml)を含む同培地1mlを加えて、5
%炭酸ガス下37℃で培養した。20時間後、培養上清
中のNDVの感染価をプラーク法により算出した。結果
を図1に示す。
【0047】NDVのF蛋白の開裂部位に対する抗体
は、0.1mg/mlの濃度で、抗体非存在下の場合の
ウイルス産生量に対して約60%の阻害効果を示した。
従って、本抗体は感染細胞から新たに感染力を持ったウ
イルスが産生されるステップに対しては細胞表面におい
てウイルスF蛋白の開裂を抑制することによって感染阻
害効果を示すことが明らかとなった。
【0048】
【発明の効果】本発明の抗体は、細胞表面において、N
DVのF蛋白、FがFとFに開裂するのを阻害
し、その結果として、ウイルス感染細胞からの新たな感
染性ウイルス粒子の産生を阻害する。従って、本抗体
は、NDVの感染宿生、主として家禽における本ウイル
スの感染予防薬或は発病予防薬として利用できるばかり
でなく、既に発病したものに対しても新たなウイルス産
生を抑制することによって、治療薬として利用できる。
同時に、先にも述べた通り、本抗体の抗原認識部位はN
DVの異なるクローン間で良く保存されており、抗原性
の変化が生じる頻度は極めて低い部分と考えられること
から、NDV変異株が出現した場合でも引き続き本抗体
が有効に作用して感染防御効果を発揮できる。
【0049】
【配列表】 配列番号:1 配列の長さ:15 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド
【0050】配列番号:2 配列の長さ:7 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド
【0051】配列番号:3 配列の長さ:8 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド
【0052】配列番号:4 配列の長さ:9 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】抗ペプチド抗体の感染性NDV産生に対する阻
害効果を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // C07K 99:00

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列表配列番号1で示されるアミノ酸配
    列において、6番目のグリシン残基から11番目のアル
    ギニン残基までのアミノ酸配列を含み、かつ6〜15個
    のアミノ酸残基からなるペプチド。
  2. 【請求項2】 アミノ酸配列のC末端にシステインが付
    加された請求項1に記載のペプチド。
  3. 【請求項3】 前記ペプチドが配列表配列番号2、3又
    は4で示される請求項2に記載のペプチド。
  4. 【請求項4】 配列表配列番号1で示されるアミノ酸配
    列において、6番目のグリシン残基から11番目のアル
    ギニン残基までのアミノ酸配列を含み、かつ6〜15個
    のアミノ酸残基からなるペプチドから誘導される抗体。
  5. 【請求項5】 前記抗体が、ニューカッスル病ウイルス
    の外膜上に存在するF蛋白のトリプシン様プロテアーゼ
    による開裂を阻害する、請求項4に記載の抗体。
  6. 【請求項6】 前記抗体が、前記ペプチドとキャリア蛋
    白質とから誘導される免疫原により免疫された動物の血
    清から免疫グロブリン画分を得、前記ペプチドを用いて
    この免疫グロブリン画分をアフィニティークロマトグラ
    フィーにて精製することにより取得される請求項4又は
    5に記載の抗体。
  7. 【請求項7】 配列表配列番号1で示されるアミノ酸配
    列において、6番目のグリシン残基から11番目のアル
    ギニン残基までのアミノ酸配列を含み、かつ6〜15個
    のアミノ酸残基からなるペプチドから誘導される抗体を
    有効成分として含有する抗ニューカッスル病薬。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100955502B1 (ko) * 2007-11-30 2010-04-30 대한민국 병원성 뉴캐슬병 바이러스 항체와 특이적으로 반응하는펩타이드 및 그의 용도
CN110488017A (zh) * 2018-05-14 2019-11-22 洛阳中科生物芯片技术有限公司 新城疫病毒抗体检测试剂盒
CN110488010A (zh) * 2018-05-14 2019-11-22 洛阳中科生物芯片技术有限公司 新城疫病毒抗体检测试剂盒
CN110488011A (zh) * 2018-05-14 2019-11-22 洛阳中科生物芯片技术有限公司 新城疫病毒抗体检测试剂盒

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CN110488011B (zh) * 2018-05-14 2022-11-01 洛阳中科生物芯片技术有限公司 新城疫病毒抗体检测试剂盒
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